(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-22
(45)【発行日】2024-01-05
(54)【発明の名称】搬送処理装置
(51)【国際特許分類】
A61J 3/06 20060101AFI20231225BHJP
B65G 45/22 20060101ALI20231225BHJP
【FI】
A61J3/06 Q
B65G45/22 B
B65G45/22 A
(21)【出願番号】P 2020003073
(22)【出願日】2020-01-10
【審査請求日】2022-12-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100135013
【氏名又は名称】西田 隆美
(72)【発明者】
【氏名】西川 貴之
【審査官】加藤 三慶
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-183671(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0071624(KR,A)
【文献】特開2013-121432(JP,A)
【文献】特開2017-176763(JP,A)
【文献】特開2019-156643(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 3/06
B65G 45/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の粒状物を搬送して所定の処理を行う搬送処理装置であって、
外表面に複数の吸着孔を有し、前記吸着孔に負圧を作用させて前記粒状物を吸着保持しつつ所定の搬送経路に沿って搬送する吸着ベルトと、
前記吸着ベルトを清掃する清掃装置と、
を有し、
前記清掃装置は、
前記吸着ベルトの前記外表面に向けて圧縮空気を吹き付けるブロー機構と、
前記外表面に圧縮空気が吹き付けられることによって前記外表面から吹き飛ばされた前記粒状物の微粉を回収する回収機構と、
を有
し、
前記搬送経路上の検査位置において、前記吸着ベルトにより搬送される前記粒状物を撮影するカメラと、
前記カメラの撮影した画像に基づいて、前記粒状物を検査する検査部と、
をさらに有し、
前記ブロー機構は、前記搬送経路上の前記検査位置よりも上流側の清掃位置において、前記吸着ベルトの前記外表面に向けて圧縮空気を吹き付ける、搬送処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の搬送処理装置であって、
前記ブロー機構は、
複数の前記吸着孔に対向する位置に配置された吹出口を有するリニアノズルと、
前記リニアノズルに圧縮空気を供給するエアホースと、
を有し、
前記回収機構は、
前記吸着ベルトに対向する吸気口から気体を吸引する真空ポンプ
を有する、搬送処理装置。
【請求項3】
請求項1に記載の搬送処理装置であって、
前記清掃装置は、
前記搬送経路上の同一の清掃位置に向けて圧縮空気を吹き付ける一対の前記ブロー機構と、
一対の前記ブロー機構の間に位置し、前記吸着ベルトに対向する吸気口から気体を吸引する前記回収機構と、
を有する、搬送処理装置。
【請求項4】
複数の粒状物を搬送して所定の処理を行う搬送処理装置であって、
外表面に複数の吸着孔を有し、前記吸着孔に負圧を作用させて前記粒状物を吸着保持しつつ所定の搬送経路に沿って搬送する吸着ベルトと、
前記吸着ベルトを清掃する清掃装置と、
を有し、
前記清掃装置は、
前記吸着ベルトの前記外表面に向けて圧縮空気を吹き付けるブロー機構と、
前記外表面に圧縮空気が吹き付けられることによって前記外表面から吹き飛ばされた前記粒状物の微粉を回収する回収機構と、
を有し、
それぞれ幅方向に延びる軸を中心として回転する一対のプーリと、前記一対のプーリの間に架け渡された環状の前記吸着ベルトと、を含む吸着コンベアと、
外周部が前記幅方向に延びる軸を中心として回転する吸着ドラムと、
をさらに有し、
前記吸着ドラムは、前記外周部において、
前記粒状物を1つずつ吸着保持する複数のドラム吸着孔
を有し、前記粒状物を前記ドラム吸着孔に吸着保持しつつ回転して前記搬送経路に沿って搬送した後、前記搬送経路上の受渡位置において、前記ドラム吸着孔に陽圧を作用させることによって、前記吸着コンベアへ受け渡し、
前記ブロー機構は、前記搬送経路上の前記受渡位置の下流側の清掃位置において、前記吸着ベルトの前記外表面に向けて圧縮空気を吹き付ける、搬送処理装置。
【請求項5】
複数の粒状物を搬送して所定の処理を行う搬送処理装置であって、
外表面に複数の吸着孔を有し、前記吸着孔に負圧を作用させて前記粒状物を吸着保持しつつ所定の搬送経路に沿って搬送する吸着ベルトと、
前記吸着ベルトを清掃する清掃装置と、
を有し、
前記清掃装置は、
前記吸着ベルトの前記外表面に向けて圧縮空気を吹き付けるブロー機構と、
前記外表面に圧縮空気が吹き付けられることによって前記外表面から吹き飛ばされた前記粒状物の微粉を回収する回収機構と、
を有し、
前記搬送経路の幅方向に対して傾斜した第1軸を中心とする円錐状または角錐状の第1側面を有する第1傾斜ドラムと、
前記第1傾斜ドラムに前記幅方向に隣接し、前記幅方向に対して傾斜した第2軸を中心とする円錐状または角錐状の第2側面を有する第2傾斜ドラムと、
をさらに有し、
前記第1傾斜ドラムは、前記第1側面に、前記第1軸を中心として円環状に配列された複数の第1反転吸着孔または前記第1軸を中心とする円環状の第1吸着スリットを有し、
前記第2傾斜ドラムは、前記第2側面に、前記第2軸を中心として円環状に配列された複数の第2反転吸着孔または前記第2軸を中心とする円環状の第2吸着スリットを有し、
前記第1傾斜ドラムは、前記搬送経路上の反転位置において、前記吸着ベルトから受け渡される前記粒状物を、前記第1側面に吸着保持しつつ回転した後、前記粒状物が吸着保持された前記第1反転吸着孔または前記第1吸着スリットに陽圧を作用させて前記第1反転吸着孔または前記第1吸着スリットにおける前記粒状物の吸着を解除することによって、前記第2傾斜ドラムへ前記粒状物を受け渡し、
前記第2傾斜ドラムは、前記第1傾斜ドラムから受け渡される前記粒状物を、前記第2側面に吸着保持しつつ回転した後、前記粒状物が吸着保持された前記第2反転吸着孔または前記第2吸着スリットに陽圧を作用させて前記第2反転吸着孔または前記第2吸着スリットにおける前記粒状物の吸着を解除することによって、前記吸着ベルトへ前記粒状物を受け渡すことで、前記粒状物の表裏を反転させ、
前記ブロー機構は、前記搬送経路上の前記反転位置の下流側の清掃位置において、前記吸着ベルトの前記外表面に向けて圧縮空気を吹き付ける、搬送処理装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の搬送処理装置であって、
マンセル表色系において、前記粒状物の明度は、前記吸着ベルトの前記外表面の明度よりも大きい、搬送処理装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の搬送処理装置であって、
前記粒状物はコーティング錠、糖衣錠、およびカプセル錠を除く錠剤または錠菓である、搬送処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の粒状物を搬送して所定の処理を行う搬送処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
医薬品である錠剤には、製品を識別するための文字やコードが印刷される。また、ラムネ等の錠菓にも、マークやイラストが印刷される場合がある。従来、このような錠剤・錠菓等の粒状物に、インクジェット方式で画像を印刷する印刷装置が知られている。特に、近年では、後発医薬品の普及により、錠剤の種類が多様化している。このため、錠剤を識別しやすくするために、錠剤にインクジェット方式で鮮明に画像を印刷する技術が注目されている。
【0003】
この種の印刷装置では、装置内へ流し込まれた複数の錠剤を1つ1つ搬送方向に所定の間隔をあけて搬送しつつ、表面や裏面に印刷、検査、および乾燥等の所定の処理を行う。この種の印刷装置を用いた錠剤の製造工程では、長時間に亘って大量の錠剤を順に搬送するため、錠剤から発生した微粉が搬送装置に付着する場合がある。この場合、錠剤の検査時に、搬送装置に付着した微粉と錠剤との判別が難しくなり、検査結果に不具合が生じる虞がある。そこで、錠剤の搬送用ベルトに付着した薬剤粉(余剰粉)を除去する装置が、例えば、特許文献1に開示されている。
【0004】
特許文献1に記載の装置(10)は、搬送用ベルト(12,22)の吸引溝(12b)において錠剤(T)を吸引して保持しつつ、搬送する。また、錠剤(T)が検査カメラ(11,21)の直近を通過する過程で、錠剤(T)の表面(または裏面)および側面における疵や汚れを検査し、次工程へと搬送する。さらに、検査カメラ(11,21)によって取得した映像信号を、ベルト清掃制御装置(30,40)に入力し、当該信号の輝度レベルにより搬送用ベルト(12,22)における余剰粉の堆積を検出する。さらに、ベルト清掃部(15,25)に具えられたブラシ機構(15a)によって、搬送用ベルト(12,22)に付着した余剰粉を剥離するとともに、噴射ノズル(16)から高圧の大量の圧縮空気を噴射して、搬送用ベルト(12,22)の汚れを清掃する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の装置(10)では、搬送用ベルト(12,22)において、錠剤(T)が搬送される搬送経路とは別に、ベルト清掃部(15,25)を用いて清掃するための経路が設けられている。このため、搬送用ベルト(12,22)を含む装置全体が大型化し、限られたスペースでは配置することが難しくなる虞がある。また、ブラシ機構(15a)が搬送用ベルト(12,22)に接触することによって、搬送用ベルト(12,22)に傷が付いたり異物が混入したりする虞がある。この結果、当該装置を用いて製造される錠剤(T)の品質に悪影響を及ぼす虞がある。
【0007】
また、特許文献1の装置(10)では、搬送用ベルト(12)において錠剤(T)の上面側を吸引して搬送した後、錠剤(T)の下面側を吸引する搬送用ベルト(22)へ受け渡す際に、錠剤(T)が振れたり動いたりすることによって、再び錠剤(T)の余剰粉が搬送用ベルト(12,22)の吸引溝(12b)付近に付着し、その後の検査へ悪影響を及ぼす虞がある。特に、搬送用ベルト(12)から搬送用ベルト(22)への錠剤(T)の受け渡しの際に、よりスムーズに錠剤(T)を受け渡す目的で、錠剤(T)を受け取る側である搬送用ベルト(22)へ向けて空気の噴射等を行う場合には、余剰粉がより舞い散り、搬送用ベルト(22)の吸引溝(12b)付近に付着して堆積する虞がある。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであり、搬送用ベルトを清掃するための経路を新たに追加することなく、かつ、搬送用ベルトに直接接触することなく、搬送用ベルトに付着した粒状物の微粉を除去または低減できる装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本願の第1発明は、複数の粒状物を搬送して所定の処理を行う搬送処理装置であって、外表面に複数の吸着孔を有し、前記吸着孔に負圧を作用させて前記粒状物を吸着保持しつつ所定の搬送経路に沿って搬送する吸着ベルトと、前記吸着ベルトを清掃する清掃装置と、を有し、前記清掃装置は、前記吸着ベルトの前記外表面に向けて圧縮空気を吹き付けるブロー機構と、前記外表面に圧縮空気が吹き付けられることによって前記外表面から吹き飛ばされた前記粒状物の微粉を回収する回収機構と、を有する。また、前記搬送処理装置は、前記搬送経路上の検査位置において、前記吸着ベルトにより搬送される前記粒状物を撮影するカメラと、前記カメラの撮影した画像に基づいて、前記粒状物を検査する検査部と、をさらに有する。前記ブロー機構は、前記搬送経路上の前記検査位置よりも上流側の清掃位置において、前記吸着ベルトの前記外表面に向けて圧縮空気を吹き付ける。
【0010】
本願の第2発明は、第1発明の搬送処理装置であって、前記ブロー機構は、複数の前記吸着孔に対向する位置に配置された吹出口を有するリニアノズルと、前記リニアノズルに圧縮空気を供給するエアホースと、を有し、前記回収機構は、前記吸着ベルトに対向する吸気口から気体を吸引する真空ポンプを有する。
【0011】
本願の第3発明は、第1発明の搬送処理装置であって、前記清掃装置は、前記搬送経路上の同一の清掃位置に向けて圧縮空気を吹き付ける一対の前記ブロー機構と、一対の前記ブロー機構の間に位置し、前記吸着ベルトに対向する吸気口から気体を吸引する前記回収機構と、を有する。
【0013】
本願の第4発明は、複数の粒状物を搬送して所定の処理を行う搬送処理装置であって、外表面に複数の吸着孔を有し、前記吸着孔に負圧を作用させて前記粒状物を吸着保持しつつ所定の搬送経路に沿って搬送する吸着ベルトと、前記吸着ベルトを清掃する清掃装置と、を有し、前記清掃装置は、前記吸着ベルトの前記外表面に向けて圧縮空気を吹き付けるブロー機構と、前記外表面に圧縮空気が吹き付けられることによって前記外表面から吹き飛ばされた前記粒状物の微粉を回収する回収機構と、を有する。また、前記搬送処理装置は、それぞれ幅方向に延びる軸を中心として回転する一対のプーリと、前記一対のプーリの間に架け渡された環状の前記吸着ベルトと、を含む吸着コンベアと、外周部が前記幅方向に延びる軸を中心として回転する吸着ドラムと、をさらに有し、前記吸着ドラムは、前記外周部において、前記粒状物を1つずつ吸着保持する複数のドラム吸着孔を有し、前記粒状物を前記ドラム吸着孔に吸着保持しつつ回転して前記搬送経路に沿って搬送した後、前記搬送経路上の受渡位置において、前記ドラム吸着孔に陽圧を作用させることによって、前記吸着コンベアへ受け渡し、前記ブロー機構は、前記搬送経路上の前記受渡位置の下流側の清掃位置において、前記吸着ベルトの前記外表面に向けて圧縮空気を吹き付ける。
【0014】
本願の第5発明は、複数の粒状物を搬送して所定の処理を行う搬送処理装置であって、外表面に複数の吸着孔を有し、前記吸着孔に負圧を作用させて前記粒状物を吸着保持しつつ所定の搬送経路に沿って搬送する吸着ベルトと、前記吸着ベルトを清掃する清掃装置と、を有し、前記清掃装置は、前記吸着ベルトの前記外表面に向けて圧縮空気を吹き付けるブロー機構と、前記外表面に圧縮空気が吹き付けられることによって前記外表面から吹き飛ばされた前記粒状物の微粉を回収する回収機構と、を有する。また、前記搬送処理装置は、前記搬送経路の幅方向に対して傾斜した第1軸を中心とする円錐状または角錐状の第1側面を有する第1傾斜ドラムと、前記第1傾斜ドラムに前記幅方向に隣接し、前記幅方向に対して傾斜した第2軸を中心とする円錐状または角錐状の第2側面を有する第2傾斜ドラムと、をさらに有し、前記第1傾斜ドラムは、前記第1側面に、前記第1軸を中心として円環状に配列された複数の第1反転吸着孔または前記第1軸を中心とする円環状の第1吸着スリットを有し、前記第2傾斜ドラムは、前記第2側面に、前記第2軸を中心として円環状に配列された複数の第2反転吸着孔または前記第2軸を中心とする円環状の第2吸着スリットを有し、前記第1傾斜ドラムは、前記搬送経路上の反転位置において、前記吸着ベルトから受け渡される前記粒状物を、前記第1側面に吸着保持しつつ回転した後、前記粒状物が吸着保持された前記第1反転吸着孔または前記第1吸着スリットに陽圧を作用させて前記第1反転吸着孔または前記第1吸着スリットにおける前記粒状物の吸着を解除することによって、前記第2傾斜ドラムへ前記粒状物を受け渡し、前記第2傾斜ドラムは、前記第1傾斜ドラムから受け渡される前記粒状物を、前記第2側面に吸着保持しつつ回転した後、前記粒状物が吸着保持された前記第2反転吸着孔または前記第2吸着スリットに陽圧を作用させて前記第2反転吸着孔または前記第2吸着スリットにおける前記粒状物の吸着を解除することによって、前記吸着ベルトへ前記粒状物を受け渡すことで、前記粒状物の表裏を反転させ、前記ブロー機構は、前記搬送経路上の前記反転位置の下流側の清掃位置において、前記吸着ベルトの前記外表面に向けて圧縮空気を吹き付ける。
【0015】
本願の第6発明は、第1発明から第5発明までのいずれか1発明の搬送処理装置であって、マンセル表色系において、前記粒状物の明度は、前記吸着ベルトの前記外表面の明度よりも大きい。
【0016】
本願の第7発明は、第1発明から第6発明までのいずれか1発明の搬送処理装置であって、前記粒状物はコーティング錠、糖衣錠、およびカプセル錠を除く錠剤または錠菓である。
【発明の効果】
【0017】
本願の第1発明~第7発明によれば、吸着ベルトを清掃するための経路を新たに追加することなく、かつ、吸着ベルトに直接接触することなく、吸着ベルトに付着した粒状物の微粉を除去または低減できる。
【0018】
特に、本願の第3発明によれば、吸着ベルトの外表面から吹き飛ばされた粒状物の微粉を、吸着ベルトや清掃装置の周囲に飛散させることなく、効率良く回収することができる。
【0019】
本願の第4発明および第5発明によれば、粒状物の受け渡しの際に吸着ベルトに付着した粒状物の微粉を除去または低減することによって、その後の検査への悪影響を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図4】錠剤印刷装置の吸着ドラム付近の部分側面図である。
【
図7】吸着コンベアおよび反転機構を、
図1中の白抜き矢印V1の方向から見た図である。
【
図8】吸着コンベア、不良品回収機構、および良品排出機構を、
図2中の白抜き矢印V2の方向から見た図である。
【
図9】制御部と各部との接続を示したブロック図である。
【
図10】清掃装置および吸着コンベアの部分斜視図である。
【
図11】清掃装置を用いて吸着ベルトの清掃を行うことによる効果を検証した結果を示す図である。
【
図12】錠剤印刷装置における処理の流れを示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、以下の説明においては、複数の粒状物が搬送される方向を「搬送方向」と称し、搬送方向に対して垂直かつ水平な方向を「幅方向」と称する。
【0022】
<1.錠剤印刷装置の全体構成>
図1は、本発明に係る搬送処理装置の一例である錠剤印刷装置1の側面図である。
図2は、錠剤印刷装置1の上面図である。
図3は、錠剤印刷装置1の下面図である。
【0023】
この錠剤印刷装置1は、粒状物である複数の錠剤9を搬送しながら、各錠剤9の表裏両面に、製品名、製品コード、会社名、ロゴマーク等の画像を印刷する装置である。また、本実施形態では、錠剤9として、コーティング錠、糖衣錠、およびカプセル錠を除く素錠(裸錠)等の、微粉を発生しやすい錠剤を想定する。ただし、錠剤9は、医薬品としての錠剤以外の、健康食品としての錠剤や、ラムネ等の錠菓であってもよい。また、本実施形態では、錠剤9として、白色系や薄黄色等の淡色系の錠剤を想定する。
図13は、錠剤9の斜視図である。
図13に示すように、錠剤9は、円形の表面および裏面と、円環状の側面とを有する。ただし、錠剤9の形状は、これに限定されない。
【0024】
図1~
図3に示すように、本実施形態の錠剤印刷装置1は、フィーダ10、搬送コンベア20、吸着ドラム30、吸着コンベア40、第1カメラ50、印刷部60、第2カメラ70、乾燥機構80、反転機構90、不良品回収機構100、良品排出機構110、清掃装置120、および制御部130を備えている。
【0025】
フィーダ10は、錠剤印刷装置1に投入された複数の錠剤9を、搬送コンベア20へ搬入するための機構である。フィーダ10は、例えば、投入ホッパ、回転フィーダ、振動フィーダ等により構成される。錠剤印刷装置1に投入された複数の錠剤9は、これらの機構により、複数の列に整列されつつ、搬送コンベア20まで搬送される。具体的には、搬送方向に並ぶ錠剤9の列が、幅方向に複数列(本実施形態では、3列)形成される。そして、整列後の複数の錠剤9が、搬送コンベア20へ供給される。なお、
図1では、1つの列の錠剤9のみが示されている。
【0026】
搬送コンベア20は、フィーダ10と吸着ドラム30との間において、錠剤9を保持しつつ水平に搬送する機構である。搬送コンベア20は、一対のプーリ21と、一対のプーリ21の間に架け渡された環状の搬送ベルト22とを有する。一対のプーリ21の一方は、モータM1から得られる動力により回転する。これにより、搬送ベルト22が、
図1中の矢印の方向に回動する。一対のプーリ21の他方は、搬送ベルト22の回動に伴い従動回転する。
【0027】
フィーダ10から供給された複数の錠剤9は、搬送ベルト22の上面に載置され、搬送ベルト22とともに搬送方向に移動する。このとき、錠剤9は、上述したフィーダ10により幅方向に複数列に整列済みであるが、各列における錠剤9の搬送方向の間隔は、不均一である。複数の錠剤9は、搬送方向に互いに密接した状態または僅かな間隔をあけて搬送される。
【0028】
吸着ドラム30は、搬送コンベア20よりも搬送経路の下流側に位置し、搬送コンベア20から吸着コンベア40へ錠剤9を移載するための機構である。吸着ドラム30は、幅方向に水平に延びる回転軸Oを中心とする略円筒状の外周面を有する。
図1中に破線で示したように、吸着ドラム30にはモータM2が接続されている。また、
図4は、錠剤印刷装置1の吸着ドラム30付近の部分側面図である。
図4では、
図1と同様に、1つの列の錠剤9のみが示されている。
図4に示すように、吸着ドラム30は、固定ドラム31と可動ドラム32とを有する。
【0029】
固定ドラム31は、可動ドラム32の内側に配置された円柱状のドラムである。固定ドラム31は、錠剤印刷装置1の枠体に対して固定されている。このため、固定ドラム31は、モータM2の駆動時にも、非回転に保たれる。固定ドラム31の外周部のうち、後述する第1受渡位置P1と第2受渡位置P2との間の角度範囲の位置には、内部空間R1が形成されている。
【0030】
可動ドラム32は、固定ドラム31の外側に配置される円筒状のドラムである。可動ドラム32は、吸着ドラム30の外周部を形成する。可動ドラム32は、モータM2の出力軸に接続されている。このため、モータM2を駆動させると、可動ドラム32は、回転軸Oを中心として回転する。可動ドラム32には、複数のドラム吸着孔301が設けられている。複数のドラム吸着孔301は、複数の錠剤9の幅方向に並ぶ各列に対応する複数の幅方向位置において、搬送方向に間隔を空けて設けられている。複数のドラム吸着孔301はそれぞれ、上述の内部空間R1に連通している。さらに、各ドラム吸着孔301は、幅方向に向けて水平に開口する。
【0031】
吸着ドラム30が回転すると、複数のドラム吸着孔301は、搬送ベルト22の上面に近接した第1受渡位置P1と、後述する吸着ベルト42の表面に近接した第2受渡位置P2とを含む円環状の経路に沿って移動する。本実施形態では、第1受渡位置P1が、吸着ドラム30の回転軸Oの真下に位置する。そして、第2受渡位置P2が、吸着ドラム30の回転軸Oの真上よりも搬送方向の上流側に位置する。ただし、第1受渡位置P1および第2受渡位置P2の位置関係は、これに限定されない。
【0032】
さらに、
図1および
図4に示すように、吸着ドラム30には、第1吸引機構302が接続されている。第1吸引機構302を動作させると、吸着ドラム30の内部空間R1から、気体が吸い出される。これにより、当該内部空間R1が、大気圧よりも低い負圧となる。搬送コンベア20により搬送され、第1受渡位置P1まで到達した錠剤9は、この負圧によって、吸着ドラム30のドラム吸着孔301に1つずつ吸着保持される。複数の錠剤9は、各ドラム吸着孔301に1つずつ吸着保持される。これにより、複数の錠剤9の搬送方向の間隔が、ドラム吸着孔301の間隔に応じた所定の間隔となる。つまり、複数の錠剤9を、幅方向に加えて搬送方向にも所定の間隔をあけて整列させることができる。
【0033】
錠剤9は、ドラム吸着孔301に吸着保持されつつ、吸着ドラム30の回転によって、第1受渡位置P1から第2受渡位置P2まで
図1中および
図4中の矢印の方向に搬送される。そして、ドラム吸着孔301が第2受渡位置P2を通過すると、上述の負圧に保たれた内部空間R1の角度範囲から外れることによって、錠剤9の吸着が解除される。
【0034】
さらに、吸着ドラム30は、第1ブロー機構B1を有する。第1ブロー機構B1は、吸着ドラム30における、複数のドラム吸着孔301を有する外周部よりも内側、かつ、上述の内部空間R1よりも搬送方向の直ぐ下流側に設けられている。第1ブロー機構B1は、図示を省略したノズルを有し、複数のドラム吸着孔301のうち、第2受渡位置P2を丁度通過するドラム吸着孔301のみに、気体を吹き付ける。すなわち、本実施形態の吸着ドラム30は、錠剤9をドラム吸着孔301に吸着保持しつつ回転して搬送経路に沿って搬送した後、搬送経路上の第2受渡位置P2において、第1ブロー機構B1によって、当該錠剤9が吸着保持されていたドラム吸着孔301に陽圧を作用させる。これにより、錠剤9が、吸着コンベア40の後述する吸着孔421へ、スムーズに受け渡される。
【0035】
なお、ドラム吸着孔301は、吸着ドラム30の外周面において半径方向に開口するものであってもよい。その場合、第1ブロー機構B1は、当該ドラム吸着孔301を介して、錠剤9に、吸着コンベア40へ向かう圧力を付与するものであってもよい。
【0036】
吸着コンベア40は、複数の錠剤9を吸着保持しつつ所定の環状の搬送経路に沿って搬送する機構である。吸着コンベア40は、一対のプーリ41と、一対のプーリ41の間に架け渡された環状の吸着ベルト42とを有する。一対のプーリ41の一方は、モータM3から得られる動力により、幅方向に水平に延びる回転軸を中心として回転する。これにより、吸着ベルト42が、
図1中の矢印の方向に回動する。一対のプーリ41の他方は、吸着ベルト42の回動に伴い、幅方向に水平に延びる回転軸を中心として従動回転する。また、本実施形態では、吸着ベルト42の外周面420(外表面)の色は、例えば、茶色系または濃色系である。すなわち、マンセル表色系において、錠剤9の明度は、吸着ベルト42のうち錠剤9を吸着保持する外表面の明度よりも大きい。そして、吸着ベルト42の外周面420の本来の色と錠剤9の色との間には、高いコントラストが生じている。
【0037】
図5は、吸着コンベア40の部分斜視図である。
図5に示すように、吸着ベルト42の外周面420には、複数の吸着孔421が設けられている。複数の吸着孔421は、搬送方向および幅方向に、等間隔に配列されている。また、本実施形態の吸着コンベア40は、第2吸引機構44(
図1参照)をさらに有する。第2吸引機構44は、吸着ベルト42の内側の空間R2から気体を吸い出す負圧発生部である。第2吸引機構44を動作させると、空間R2が、大気圧よりも低い負圧となる。複数の錠剤9は、当該負圧によって、吸着孔421に1つずつ吸着保持される。各吸着孔421は、錠剤9の表面または裏面を吸着保持する。
【0038】
このように、複数の錠剤9は、吸着ベルト42の外周面420(外表面)に、搬送方向および幅方向に整列した状態で保持される。そして、吸着コンベア40は、吸着ベルト42を回動させることによって、複数の錠剤9を、吸着ベルト42の外周面420によって構成される所定の環状の搬送経路に沿って移動させる。なお、当該所定の環状の搬送経路の一部には、水平面が含まれる。本実施形態では、後述する4つのヘッド61の下方と、後述する3つの第2ブロー機構B2、後述する第3ブロー機構B3、および後述する第4ブロー機構B4の下方とでは、複数の錠剤9は、水平方向に搬送される。
【0039】
図1中に示すように、吸着コンベア40は、3つの第2ブロー機構B2と、1つの第3ブロー機構B3と、1つの第4ブロー機構B4とをさらに有する。3つの第2ブロー機構B2は、吸着ベルト42の内側、かつ、後述する第1傾斜ドラム91、第3傾斜ドラム93、および第5傾斜ドラム95と吸着ベルト42を介してそれぞれ対向する位置に、設けられている。3つの第2ブロー機構B2は、吸着ベルト42の複数の吸着孔421のうち、第1傾斜ドラム91、第3傾斜ドラム93、および第5傾斜ドラム95と対向する吸着孔421のみに、気体を吹き付ける。そうすると、当該吸着孔421が、大気圧よりも高い陽圧となる。これにより、当該吸着孔421における錠剤9の吸着が解除され、吸着ベルト42から第1傾斜ドラム91、第3傾斜ドラム93、および第5傾斜ドラム95へ、錠剤9が受け渡される。なお、第3ブロー機構B3および第4ブロー機構B4の構成については、後述する。
【0040】
図2および
図3に示すように、本実施形態の吸着ベルト42の外周面420には、後述する反転機構90による反転前の錠剤9を保持する第1領域A1と、反転後の錠剤9を保持する第2領域A2とが存在する。第1領域A1と第2領域A2とは、幅方向に隣接する。本実施形態では、第1領域A1および第2領域A2に、複数の吸着孔421が、幅方向に3列ずつ設けられる。上述した吸着ドラム30から受け渡された錠剤9は、第1領域A1の吸着孔421に吸着保持される。また、表裏両面に印刷処理が施された複数の錠剤9は、不良品回収機構100または良品排出機構110によって、第2領域A2の吸着孔421から錠剤印刷装置1の外部へ排出される。
【0041】
第1カメラ50は、印刷前の錠剤9を撮影するための処理部である。第1カメラ50は、上述した第2受渡位置P2よりも搬送経路の下流側かつ印刷部60よりも搬送経路の上流側の第1検査位置P3に位置する。また、第1カメラ50は、第1領域A1と第2領域A2との双方に跨がって、幅方向に延びる。第1カメラ50には、例えば、CCDやCMOS等の撮像素子が幅方向に配列されたラインセンサが用いられる。第1カメラ50は、搬送経路上の第1検査位置P3において、吸着ベルト42により搬送される複数の錠剤9を撮影する。撮影により取得された画像は、第1カメラ50から制御部130へ送信される。制御部130は、第1カメラ50から得られた画像における画素の輝度値の分布を解析した結果に基づいて、各吸着孔421における錠剤9の有無、錠剤9の表裏、錠剤9の鉛直軸周りの回転姿勢、および錠剤9の吸着孔421に対する位置ずれを検出する。また、制御部130は、第1カメラ50から得られた画像における画素の輝度値の分布を解析した結果に基づいて、各錠剤9に欠け等の欠陥が無いかどうかの検査も行う。
【0042】
印刷部60は、吸着コンベア40による搬送経路上の印刷位置において、錠剤9の表面に、インクジェット方式で印刷を行う処理部である。
図1および
図2に示すように、本実施形態の印刷部60は、4つのヘッド61を有する。4つのヘッド61は、吸着ベルト42の上方に位置し、錠剤9の搬送方向に沿って、一列に配置されている。各ヘッド61は、吸着ベルト42の第1領域A1と第2領域A2との双方に跨がって、幅方向に延びる。4つのヘッド61は、錠剤9に向けて、互いに異なる色(例えば、シアン、マゼンタ、イエロー、およびブラックの各色)のインク滴を吐出する。すると、これらの各色により形成される単色画像の重ね合わせによって、錠剤9の表面または裏面に、多色画像が記録される。なお、各ヘッド61から吐出されるインクには、日本薬局方、食品衛生法等で認可された原料により製造された可食性インクが使用される。
【0043】
図6は、1つのヘッド61の下面図である。
図6には、吸着ベルト42と、吸着ベルト42に保持された複数の錠剤9とが、二点鎖線で示されている。
図6中に拡大して示したように、ヘッド61の下面には、インク滴を吐出可能な複数のノズル611が設けられている。本実施形態では、ヘッド61の下面に、複数のノズル611が、搬送方向および幅方向に二次元的に配列されている。各ノズル611は、幅方向に位置をずらして配列されている。このように、複数のノズル611を二次元的に配置すれば、各ノズル611の幅方向の位置を、互いに接近させることができる。ただし、複数のノズル611は、幅方向に沿って一列に配列されていてもよい。
【0044】
ノズル611からのインク滴の吐出方式には、例えば、ピエゾ素子に電圧を加えて変形させることにより、ノズル611内のインクを加圧して吐出する、いわゆるピエゾ方式が用いられる。ただし、インク滴の吐出方式は、ヒータに通電してノズル611内のインクを加熱膨張させることにより吐出する、いわゆるサーマル方式であってもよい。
【0045】
第2カメラ70は、印刷後の錠剤9を撮影するための処理部である。第2カメラ70は、印刷部60よりも搬送経路の下流側かつ乾燥機構80よりも搬送経路の上流側の第2検査位置P4に位置する。また、第2カメラ70は、第1領域A1と第2領域A2との双方に跨がって、幅方向に延びる。第2カメラ70には、例えば、CCDやCMOS等の撮像素子が幅方向に配列されたラインセンサが用いられる。第2カメラ70は、搬送経路上の第2検査位置P4において、吸着ベルト42により搬送される複数の錠剤9を撮影する。撮影により取得された画像は、第2カメラ70から制御部130へ送信される。制御部130は、第2カメラ70から得られた画像における画素の輝度値の分布を解析した結果に基づいて、錠剤9に印刷された画像に汚れ、印刷箇所のずれ、またはドット欠け等が無いかどうかを検査する。
【0046】
乾燥機構80は、錠剤9の表面に付着したインクを乾燥させる機構である。乾燥機構80は、第2カメラ70よりも搬送経路の下流側、かつ、反転機構90、不良品回収機構100、および良品排出機構110よりも搬送経路の上流側に位置する。また、乾燥機構80は、第1領域A1と第2領域A2との双方に跨がって、幅方向に延びる。乾燥機構80には、例えば、吸着ベルト42により搬送される錠剤9へ向けて、加熱された気体(熱風)を吹き付ける、熱風供給機構が用いられる。錠剤9に付着したインクは、熱風により乾燥して、錠剤9の表面に定着する。
【0047】
反転機構90は、吸着ベルト42により搬送される錠剤9の表裏を反転させるとともに、第1領域A1から第2領域A2へ錠剤9を移動させる機構である。反転機構90は、不良品回収機構100および良品排出機構110よりも搬送経路の下流側、かつ、吸着ドラム30よりも搬送経路の上流側に位置する。
【0048】
図7は、吸着コンベア40および反転機構90を、
図1中の白抜き矢印V1の方向から見た図である。
図1、
図3、および
図7に示すように、本実施形態の反転機構90は、第1傾斜ドラム91、第2傾斜ドラム92、第3傾斜ドラム93、第4傾斜ドラム94、第5傾斜ドラム95、および第6傾斜ドラム96を有する。
【0049】
第1傾斜ドラム91および第2傾斜ドラム92は、幅方向に隣接して配置される。第3傾斜ドラム93および第4傾斜ドラム94は、第1傾斜ドラム91および第2傾斜ドラム92よりも搬送経路の下流側において、幅方向に隣接して配置される。第5傾斜ドラム95および第6傾斜ドラム96は、第3傾斜ドラム93および第4傾斜ドラム94よりも搬送経路の下流側において、幅方向に隣接して配置される。以下では、吸着コンベア40の搬送経路上の、第1傾斜ドラム91および第2傾斜ドラム92が設けられる位置を「第1反転位置P5」、第3傾斜ドラム93および第4傾斜ドラム94が設けられる位置を「第2反転位置P6」、第5傾斜ドラム95および第6傾斜ドラム96が設けられる位置を「第3反転位置P7」、とそれぞれ称する。
【0050】
第1傾斜ドラム91は、幅方向に対して傾斜した第1軸C1を中心とする円錐状の第1側面910を有する。第1側面910の一部は、吸着ベルト42の第1領域A1と、僅かな隙間を介して対向する。また、第1傾斜ドラム91は、モータ91Mの出力軸に固定されている。モータ91Mを駆動させると、第1傾斜ドラム91は、第1軸C1を中心として回転する。
【0051】
第2傾斜ドラム92は、幅方向に対して傾斜した第2軸C2を中心とする円錐状の第2側面920を有する。第1傾斜ドラム91と第2傾斜ドラム92とは、互いの頂部が対向するように、幅方向に隣接配置される。第2側面920の一部は、吸着ベルト42の第2領域A2と、僅かな隙間を介して対向する。第2側面920の他の一部は、第1側面910と、僅かな隙間を介して対向する。また、第2傾斜ドラム92は、モータ92Mの出力軸に固定されている。モータ92Mを駆動させると、第2傾斜ドラム92は、第2軸C2を中心として回転する。
【0052】
本実施形態では、吸着コンベア40の搬送方向に見たときの、第1傾斜ドラム91の頂角と、第2傾斜ドラム92の頂角とは、いずれも90°である。また、吸着ベルト42の外周面420に対する第1軸C1の傾斜角度は、45°である。また、吸着ベルト42の外周面420に対する第2軸C2の傾斜角度は、45°である。したがって、第1側面910と第2側面920とは、外周面420に対して90°の位置において、互いに対向する。また、第1傾斜ドラム91と第2傾斜ドラム92とは、互いに同一の形状、構造、および大きさを有する。このため、第1傾斜ドラム91と第2傾斜ドラム92とを、部品として共通化できる。これにより、錠剤印刷装置1の製造コストを低減できる。
【0053】
第1側面910には、複数の第1反転吸着孔911が設けられている。複数の第1反転吸着孔911は、第1軸C1を中心として円環状に、等角度間隔で設けられている。同様に、第2側面920にも、複数の第2反転吸着孔921が設けられている。複数の第2反転吸着孔921は、第2軸C2を中心として円環状に、等角度間隔で設けられている。
【0054】
第1傾斜ドラム91の内部空間の圧力は、図示を省略した吸引機構によって、大気圧よりも低い負圧に保たれる。第1傾斜ドラム91は、この負圧によって、複数の第1反転吸着孔911に、複数の錠剤9を1つずつ保持する。同様に、第2傾斜ドラム92の内部空間の圧力も、図示を省略した吸引機構によって、大気圧よりも低い負圧に保たれる。第2傾斜ドラム92は、この負圧によって、複数の第2反転吸着孔921に、複数の錠剤9を1つずつ保持する。
【0055】
図7中に破線で示したように、第1傾斜ドラム91の内部には、第5ブロー機構B5が設けられている。第5ブロー機構B5は、第1傾斜ドラム91の複数の第1反転吸着孔911のうち、第2傾斜ドラム92と対向する第1反転吸着孔911のみに、気体を吹付ける。そうすると、当該第1反転吸着孔911が、大気圧よりも高い陽圧となる。これにより、当該第1反転吸着孔911における錠剤9の吸着が解除され、第1傾斜ドラム91の第1反転吸着孔911から、第2傾斜ドラム92の第2反転吸着孔921へ、錠剤9が受け渡される。
【0056】
また、
図7中に破線で示したように、第2傾斜ドラム92の内部には、第6ブロー機構B6が設けられている。第6ブロー機構B6は、第2傾斜ドラム92の複数の第2反転吸着孔921のうち、吸着ベルト42の第2領域A2と対向する第2反転吸着孔921のみに、気体を吹付ける。そうすると、当該第2反転吸着孔921が、大気圧よりも高い陽圧となる。これにより、当該第2反転吸着孔921における錠剤9の吸着が解除され、第2傾斜ドラム92の第2反転吸着孔921から、吸着ベルト42の第2領域A2の吸着孔421へ、錠剤9が受け渡される。
【0057】
なお、第2側面920における複数の第2反転吸着孔921による錠剤9の吸着力は、第1側面910における複数の第1反転吸着孔911による錠剤9の吸着力よりも、やや大きくするとよい。そうすれば、第1傾斜ドラム91の第1反転吸着孔911から第2傾斜ドラム92の第2反転吸着孔921への錠剤9の受け渡し時に、錠剤9の脱落が生じにくくなる。ただし、第1傾斜ドラム91の複数の第1反転吸着孔911の吸着力と、第2傾斜ドラム92の複数の第2反転吸着孔921の吸着力とは、同一であってもよい。
【0058】
第3傾斜ドラム93および第4傾斜ドラム94は、第1傾斜ドラム91および第2傾斜ドラム92と、同等の構造を有し、第1傾斜ドラム91および第2傾斜ドラム92と同様に、隣接配置されている。ただし、第3傾斜ドラム93および第4傾斜ドラム94は、第1傾斜ドラム91および第2傾斜ドラム92が配置される第1反転位置P5よりも搬送経路の下流側の第2反転位置P6に配置される。また、第3傾斜ドラム93および第4傾斜ドラム94は、第1傾斜ドラム91および第2傾斜ドラム92よりも、錠剤9の幅方向の配列間隔の1つ分だけ、幅方向にずれた位置に配置されている。第3傾斜ドラム93は、モータ93Mの出力軸に固定されている。第4傾斜ドラム94は、モータ94Mの出力軸に固定されている。
【0059】
第5傾斜ドラム95および第6傾斜ドラム96も、第1傾斜ドラム91および第2傾斜ドラム92と、同等の構造を有し、第1傾斜ドラム91および第2傾斜ドラム92と同様に、隣接配置されている。ただし、第5傾斜ドラム95および第6傾斜ドラム96は、第3傾斜ドラム93および第4傾斜ドラム94が配置される第2反転位置P6よりも搬送経路の下流側の第3反転位置P7に配置される。また、第5傾斜ドラム95および第6傾斜ドラム96は、第3傾斜ドラム93および第4傾斜ドラム94よりも、錠剤9の幅方向の配列間隔の1つ分だけ、幅方向にずれた位置に配置されている。第5傾斜ドラム95は、モータ95Mの出力軸に固定されている。第6傾斜ドラム96は、モータ96Mの出力軸に固定されている。
【0060】
図3に示すように、吸着ベルト42の幅方向の第1位置W1の吸着孔421に保持されて、搬送経路上の第1反転位置P5まで搬送された錠剤9は、第1傾斜ドラム91へ受け渡される。第1傾斜ドラム91は、当該第1反転位置P5において吸着ベルト42から受け取った錠剤9を、第1側面910の第1反転吸着孔911に吸着保持しつつ回転した後、第2傾斜ドラム92へ受け渡す。その後、第2傾斜ドラム92は、第1傾斜ドラム91から受け取った錠剤9を、第2側面920の第2反転吸着孔921に吸着保持しつつ回転した後、吸着ベルト42の幅方向の第2位置W2の吸着孔421へ受け渡す。これにより、第1領域A1に属する第1位置W1から、第2領域A2に属する第2位置W2へ、搬送経路における錠剤9の幅方向の位置が移動するとともに、錠剤9の表裏が反転する。
【0061】
同様に、第3傾斜ドラム93および第4傾斜ドラム94は、搬送経路上の第2反転位置P6において、第1領域A1に属する幅方向の第3位置W3から、第2領域A2に属する幅方向の第4位置W4へ、搬送経路における錠剤9の幅方向の位置を移動させるとともに、錠剤9の表裏を反転させる。また、同様に、第5傾斜ドラム95および第6傾斜ドラム96は、搬送方向の第3反転位置P7において、第1領域A1に属する幅方向の第5位置W5から、第2領域A2に属する幅方向の第6位置W6へ、搬送経路における錠剤9の幅方向の位置を移動させるとともに、錠剤9の表裏を反転させる。
【0062】
図8は、吸着コンベア40、不良品回収機構100(図示一部省略)、および良品排出機構110を、
図2中の白抜き矢印V2の方向から見た図である。不良品回収機構100は、搬送経路上の第1検査位置P3および第2検査位置P4よりも搬送方向の下流側の不良品排出位置P8において、制御部130により不良品と判定された錠剤9を吸着コンベア40から搬出するための排出機構である。
図8に示すように、不良品回収機構100は、不良品シュート101と、図示を省略した回収ボックスとを有する。
【0063】
不良品シュート101は、乾燥機構80よりも搬送経路の下流側、かつ、良品排出機構110よりも搬送経路の上流側に位置する。不良品シュート101は、円筒状に形成される。不良品シュート101の上端部の開口である不良品回収口102は、吸着ベルト42の外周面420の第2領域A2と間隙を隔てて鉛直方向に対向する。
【0064】
吸着コンベア40の第3ブロー機構B3は、吸着ベルト42の内側、かつ、不良品回収口102と吸着ベルト42を介して対向する位置に、設けられている。不良品と判定された錠剤9を吸着保持する吸着孔421が、不良品回収口102と対向する不良品排出位置P8に到達すると、第3ブロー機構B3は、吸着ベルト42の複数の吸着孔421のうち、不良品排出位置P8の吸着孔421のみに、鉛直下向きに気体を吹き付ける。そうすると、当該吸着孔421が、大気圧よりも高い陽圧となる。これにより、当該吸着孔421における錠剤9の吸着が解除され、吸着ベルト42から不良品回収口102へ、錠剤9が落下する。
【0065】
吸着ベルト42の吸着孔421から不良品シュート101の不良品回収口102へ落下した錠剤9は、不良品シュート101の内部を通って上述の回収ボックス内に収容される。そして、回収ボックス内に収容された錠剤9が、作業者等によって回収され、錠剤印刷装置1の外部へ廃棄される。
【0066】
良品排出機構110は、搬送経路上の第1検査位置P3、第2検査位置P4、および不良品排出位置P8よりも搬送方向の下流側の良品排出位置P9において、制御部130により良品と判定された錠剤9を吸着コンベア40から搬出するための排出機構である。
図8に示すように、良品排出機構110は、良品シュート111と、良品排出コンベア112と、カバー113とを有する。
【0067】
良品シュート111は、不良品回収機構100よりも搬送経路の下流側に位置する。良品シュート111は、円筒形状を有しつつ、一部で曲がった構造を有する。良品シュート111の上端部の開口である良品排出口114は、吸着ベルト42の外周面420の第2領域A2と間隙を隔てて鉛直方向に対向する。
【0068】
吸着コンベア40の第4ブロー機構B4は、吸着ベルト42の内側、かつ、良品排出口114と吸着ベルト42を介して対向する位置に、設けられている。良品と判定された錠剤9を吸着保持する吸着孔421が、良品排出口114と対向する良品排出位置P9に到達すると、第4ブロー機構B4は、吸着ベルト42の複数の吸着孔421のうち、良品排出位置P9の吸着孔421のみに、鉛直下向きに気体を吹き付ける。そうすると、当該吸着孔421が、大気圧よりも高い陽圧となる。これにより、当該吸着孔421における錠剤9の吸着が解除され、吸着ベルト42から良品排出口114へ、錠剤9が落下する。
【0069】
吸着ベルト42の吸着孔421から良品シュート111の良品排出口114へ落下した錠剤9は、良品シュート111の内部を通って良品排出コンベア112へ落下する。良品排出コンベア112は、上述の搬送コンベア20と同等の構成を有する。良品排出コンベア112のプーリ115がモータM4から得られる動力により回転することによって、搬送ベルト116が、
図8中の矢印の方向に回動する。良品排出コンベア112へ落下した複数の錠剤9は、搬送ベルト116に載置されつつ、錠剤印刷装置1の外部へ搬出される。
【0070】
清掃装置120は、吸着ベルト42を清掃するための装置である。清掃装置120の構成については、詳細を後述する。
【0071】
制御部130は、錠剤印刷装置1内の各部を動作制御するための手段である。
図9は、制御部130と、錠剤印刷装置1内の各部との接続を示したブロック図である。
図9中に概念的に示したように、制御部130は、CPU等のプロセッサ131、RAM等のメモリ132、およびハードディスクドライブ等の記憶部133を有するコンピュータにより構成される。記憶部133内には、印刷処理を実行するためのコンピュータプログラムCPが、インストールされている。
【0072】
また、
図9に示すように、制御部130は、上述したフィーダ10、搬送コンベア20(モータM1を含む)、吸着ドラム30(モータM2、第1吸引機構302、および第1ブロー機構B1を含む)、吸着コンベア40(モータM3、第2吸引機構44、およびブロー機構B2~B4を含む)、第1カメラ50、印刷部60(ヘッド61を含む)、第2カメラ70、乾燥機構80、反転機構90(モータ91M~モータ96M、第5ブロー機構B5、第6ブロー機構B6、および吸引機構を含む)、良品排出機構110(モータM4を含む)、および清掃装置120(後述する第7ブロー機構B7、および回収機構121を含む)と、それぞれ有線または無線により通信可能に接続されている。制御部130は、記憶部133に記憶されたコンピュータプログラムCPやデータをメモリ132に一時的に読み出し、当該コンピュータプログラムCPに基づいて、プロセッサ131が演算処理を行うことにより、上述の各部を動作制御する。これにより、複数の錠剤9の搬送と、各錠剤9に対する印刷処理とが進行する。
【0073】
また、上述のとおり、制御部130は、第1カメラ50および第2カメラ70から受信した画像における画素の輝度値の分布を解析し、その解析結果に基づいて、各錠剤9における欠け等の欠陥の有無や、錠剤9に印刷された画像における汚れ、印刷箇所のずれ、またはドット欠け等の有無を検査する。そして、検査した結果に基づいて、各錠剤9が良品か不良品かを判定する。すなわち、制御部130は、第1カメラ50および第2カメラ70によりそれぞれ撮影された各画像に基づいて、錠剤9を検査し、錠剤9の印刷状態や形状の良否を判定する、検査部および判定部として機能する。
【0074】
<2.清掃装置の構成>
続いて、清掃装置120の構成について、詳細を説明する。
図10は、清掃装置120および吸着コンベア40の部分斜視図である。
【0075】
図4および
図10に示すように、清掃装置120は、吸着ドラム30の上方に配置される。清掃装置120は、一対の第7ブロー機構B7と、一対の第7ブロー機構B7の間に位置する回収機構121とを有する。一対の第7ブロー機構B7および回収機構121はそれぞれ、錠剤印刷装置1の筐体に固定される。また、一対の第7ブロー機構B7および回収機構121はそれぞれ、吸着ベルト42に対向しつつ、吸着ベルト42の第1領域A1と第2領域A2との双方に跨がって、幅方向に延びる。
【0076】
なお、
図10では、説明の便宜上、一対の第7ブロー機構B7と、回収機構121とを、間隔をあけて図示している。しかしながら、一対の第7ブロー機構B7と、回収機構121とは、互いに近接して配置されていてもよい。また、一対の第7ブロー機構B7と、回収機構121とは、一体化されたユニットとして、錠剤印刷装置1の筐体に固定されていてもよい。
【0077】
各第7ブロー機構B7は、1つのリニアノズル71を有する。本実施形態の各リニアノズル71には、6つの吹出口710が設けられている。6つの吹出口710はそれぞれ、吸着ベルト42における幅方向に隣接する6つの吸着孔421に対向する位置に設けられている。ただし、これらの吹出口710は、互いに繋がっていてもよい。すなわち、各リニアノズル71は、吸着ベルト42における幅方向に隣接する1または複数の吸着孔421に対向する位置に配置された吹出口710を有していればよい。
【0078】
各リニアノズル71は、エアホース72を介して、エア供給源73(
図4参照)に接続されている。また、エアホース72には、開閉弁74が設けられている。開閉弁74を開放すると、エア供給源73からエアホース72通ってリニアノズル71へ、加圧されたクリーンドライエア(圧縮空気)が供給される。
【0079】
本実施形態では、一対の第7ブロー機構B7は、互いに上下方向に配置される。そして、一対の第7ブロー機構B7は、吸着ベルト42の外周面420のうち、互いに搬送経路上の同一の位置に向けて、圧縮空気を吹き付ける。本実施形態では、一対の第7ブロー機構B7はそれぞれ、搬送経路上の吸着ドラム30から吸着コンベア40へ錠剤9が受け渡される第2受渡位置P2の下流側、かつ、搬送経路上のカメラ50,70が配置される検査位置P3,P4よりも上流側の位置である清掃位置P10において、吸着ベルト42の外周面420に向けて圧縮空気を吹き付ける。より具体的には、一対の第7ブロー機構B7はそれぞれ、吸着ベルト42の外周面420おける、互いに搬送方向に同じ位置(清掃位置P10)に有り、互いに幅方向に隣接する6つの吸着孔421およびこれらの周辺に向けて、圧縮空気を吹き付ける。吸着ベルト42の外周面420に圧縮空気が吹き付けられることによって、外周面420に付着していた錠剤9の微粉が、一対の第7ブロー機構B7の上下方向の間の空間へ向かって吹き飛ばされる。
【0080】
回収機構121は、本体配管81と真空ポンプ82とを有する。本体配管81の一端側には、幅方向に延びる吸気口810が形成されている。吸気口810は、吸着ベルト42の外周面420の第1領域A1と第2領域A2との双方に跨がって対向している。真空ポンプ82を稼働すると、吸気口810から、空気等の気体とともに、上述のとおり吸着ベルト42の外周面420から吹き飛ばされた錠剤9の微粉が吸引される。さらに、本体配管81の内部には、錠剤9の微粉よりも細かな目を有するフィルタ83が設けられている。これにより、回収機構121は、吸気口810から吸引した空気等の気体を、フィルタ83を通過させて排出するとともに、錠剤9の微粉をフィルタ83において回収することができる。ただし、フィルタ83は、必ずしも設けられなくてもよい。この場合でも、吸気口810から吸引した気体を排出した先で、当該気体に含まれる錠剤9の微粉を回収することができる。
【0081】
なお、本実施形態では、一対の第7ブロー機構B7の開閉弁74の開閉および回収機構121の真空ポンプ82の動作は、制御部130によって制御する。ただし、これらは、作業者等によって手動で行ってもよい。また、第7ブロー機構B7から噴出する気体には、クリーンドライエアだけでなく、錠剤9の製造に影響しない他の気体(例えば窒素など)を用いてもよい。また、第7ブロー機構B7は、常時一定量の気体を噴出してもよいが、清掃作業の工程によっては、噴出を断続的に行ったり、気体の噴出を一次的に停止したり、一定時間ごとに噴出量を変えたりしてもよい。
【0082】
ここで、上述のとおり、吸着ドラム30から吸着コンベア40へ錠剤9をスムーズに受け渡すために、吸着ドラム30の第1ブロー機構B1は、第2受渡位置P2を丁度通過するドラム吸着孔301に気体を吹き付ける。このため、錠剤9の表面からより微粉が発生したり、発生した微粉が吸着コンベア40へ向かって飛び散ったりして、吸着ベルト42の吸着孔421や吸着孔421の周縁部付近により付着して積層する場合がある。この場合、仮に清掃を行わないまま新たに錠剤9を搬送し、第1カメラ50および第2カメラ70によって錠剤9を撮影すると、得られた画像データにおいて錠剤9と微粉の付着した吸着孔421との判別が難しくなり、制御部130による検査の結果に不具合が生じる虞があった。
【0083】
しかしながら、本実施形態では、清掃装置120を用いて吸着ベルト42の清掃を行うことによって、吸着孔421や吸着孔421の周縁部付近に付着した錠剤9の微粉を除去し、または微粉の量を低減できる。したがって、錠剤9の微粉が付着したり積層したりすることによる、その後の検査への悪影響を抑制できる。また、上述の清掃装置120を用いることによって、吸着ベルト42に付着した錠剤9の微粉を、吸着ベルト42に直接接触することなく、除去または低減できる。このため、吸着ベルト42に直接接触した場合に起こり得る、吸着ベルト42に傷が付いたり異物が混入したりすることを防止し、製品としての錠剤9の品質に悪影響を及ぼすことを抑制できる。
【0084】
また、本実施形態の清掃装置120を用いることによって、吸着ベルト42を清掃するための経路を新たに追加することなく、吸着ベルト42に付着した錠剤9の微粉を除去または低減できる。このため、吸着ベルト42を含む錠剤印刷装置1全体が大型化することを抑制できる。この結果、限られたスペースにおいても、吸着ベルト42の清掃作業を行うことができる。
【0085】
また、本実施形態の清掃装置120は、上下方向に間隔を空けて配置された一対の第7ブロー機構B7から、互いに搬送方向に同じ清掃位置P10へ向けて圧縮空気を吹き付ける。そして、これにより一対の第7ブロー機構B7の上下方向の間の空間へ向かって吹き飛ばされる錠剤9の微粉を、一対の第7ブロー機構B7の間に位置する回収機構121によって回収する。このため、錠剤9の微粉を、吸着ベルト42や清掃装置120の周囲に飛散させることなく、効率良く回収することができる。なお、一対の第7ブロー機構B7は、左右方向に間隔を空けて配置されてもよく、回収機構121は、左右の一対の第7ブロー機構B7の間に配置されていてもよい。
【0086】
図11は、本実施形態の錠剤印刷装置1を用いて、1ロット分(約100万個)の錠剤9の印刷処理を行った後、清掃装置120を用いて吸着ベルト42の清掃を行った際に見られる効果を検証した結果を示す。
図11の左図は、錠剤印刷装置1を用いて約100万個の錠剤9の印刷処理を行った直後の吸着ベルト42を撮影した画像を示している。
図11の右図は、その後に清掃装置120を用いて吸着ベルト42の清掃を完了した時点の吸着ベルト42を撮影した画像を示している。
【0087】
図11に示すとおり、清掃装置120を用いて清掃を行った場合(右図)の方が、清掃を行う前(左図)と比べて、吸着孔421および吸着孔421の周縁部付近における錠剤9の付着量が顕著に抑制されることが目視結果として確認された。
【0088】
<3.処理の流れについて>
続いて、上述の錠剤印刷装置1を用いた搬送処理、印刷処理、および清掃作業の流れについて、説明する。以下では、ある1つの錠剤9に対して行われる処理と、その後の作業とについて、順に説明する。ただし、この錠剤印刷装置1は、搬送処理時および印刷処理時において、複数の錠剤9を順次に搬送経路に沿って搬送しつつ所定の処理を行う。したがって、錠剤印刷装置1の内部には、同時に複数の錠剤9が存在する。
【0089】
図12は、錠剤印刷装置1における処理の流れを示したフローチャートである。錠剤印刷装置1に所定数(例えば、1ロット分=約100万個)の錠剤9が投入されると(ステップS1)、まず、フィーダ10は、複数の錠剤9を搬送コンベア20へ供給する。搬送コンベア20に供給された複数の錠剤9は、搬送ベルト22の上面に載置され、搬送ベルト22の回動に伴い、第1受渡位置P1まで搬送方向に略水平に移動する(ステップS2)。
【0090】
次に、錠剤9は、第1受渡位置P1において、吸着ドラム30のドラム吸着孔301に吸着保持され、吸着ドラム30の回転によって上方の第2受渡位置P2まで搬送方向に移動する。このとき、複数の錠剤9の搬送方向の間隔がドラム吸着孔301の間隔に応じた所定の間隔となるように整列される。錠剤9が第2受渡位置P2まで到着すると、ドラム吸着孔301における錠剤9の吸着が解除される。これにより、吸着ドラム30から吸着コンベア40へ、錠剤9が受け渡される(ステップS3)。
【0091】
続いて、錠剤9は、吸着ベルト42の第1領域A1の吸着孔421に吸着保持される。そして、吸着ベルト42の回動に伴い、環状の搬送経路に沿って、錠剤9が搬送される。以下では、第1領域A1の吸着孔421に保持された状態において、錠剤9の外側を向く面を「第1面」と称する。また、当該状態において、吸着孔421に吸着される面を「第2面」と称する。
図2および
図3では、第1面と第2面とを区別するために、錠剤9の第1面に斜線を付している。ただし、この「第1面」および「第2面」は、錠剤9の本来の表裏面とは無関係である。例えば、錠剤9が片面のみに割線140(
図13参照)を有する割線錠である場合に、第1領域A1に保持される複数の錠剤9の中に、割線140を有する面が第1面となる錠剤9と、割線140が無い面が第1面となる錠剤9とが、混在していてもよい。
【0092】
錠剤9が第1カメラ50の下方の第1検査位置P3に到達すると、第1カメラ50は、錠剤9の第1面を撮影する。これにより、錠剤9の第1面の画像データを取得する。取得された画像データは、第1カメラ50から制御部130へ送信される。制御部130は、第1カメラ50から受信した画像データに基づいて、第1面の印刷前検査を行う(ステップS4)。具体的には、吸着孔421における錠剤9の有無、錠剤9の表裏、錠剤9の鉛直軸周りの回転姿勢、錠剤9の吸着孔421に対する位置ずれ、錠剤9の形状欠陥の有無、等が検査される。
【0093】
次に、錠剤9が印刷部60の下方の印刷位置に到達すると、4つのヘッド61が、錠剤9の第1面に向けてインク滴を吐出する。これにより、錠剤9の第1面に印刷処理が行われる。その結果、錠剤9の第1面に画像が印刷される(ステップS5)。このとき、制御部130は、上述したステップS4の検査結果に基づいて、各錠剤9に印刷すべき画像を調整する。例えば、割線140を有する面かその反対側の面かに応じて適切な画像を選択し、選択された画像を、各錠剤9の回転姿勢に応じて回転させる。そして、調整後の画像に基づいて、ヘッド61に印刷信号を入力する。その結果、各錠剤9の第1面に、適切な画像が適切な姿勢で印刷される。
【0094】
続いて、錠剤9が第2カメラ70の下方の第2検査位置P4に到達すると、第2カメラ70は、錠剤9の第1面を撮影する。これにより、錠剤9の第1面の画像データを取得する。取得された画像データは、第2カメラ70から制御部130へ送信される。また、制御部130は、第2カメラ70から受信した画像データに基づいて、第1面の印刷後検査を行う(ステップS6)。具体的には、制御部130は、例えば、第2カメラ70から受信した画像データと、予め用意された正常画像のデータとを、比較することにより、各錠剤9の第1面の印刷状態の良否を判定する。
【0095】
続いて、錠剤9が乾燥機構80の下方の位置に到達すると、乾燥機構80は、錠剤9の第1面に向けて、熱風を吹き付ける。これにより、錠剤9の第1面に付着したインクが乾燥して、第1面にインクが定着する(ステップS7)。
【0096】
その後、錠剤9が搬送経路上の反転位置である第1反転位置P5,第2反転位置P6,または第3反転位置P7に到達すると、反転機構90が、錠剤9の表裏を反転させるとともに、第1領域A1から第2領域A2へ錠剤9を移動させる(ステップS8)。このステップS8により、錠剤9は、第2領域A2の吸着孔421に第1面が吸着され、第2面が外側を向く状態となる。
【0097】
続いて、錠剤9が第1カメラ50の下方の第1検査位置P3に到達すると、第1カメラ50は、錠剤9の第2面を撮影する。これにより、錠剤9の第2面の画像データを取得する。取得された画像データは、第1カメラ50から制御部130へ送信される。また、制御部130は、第1カメラ50から受信した画像データに基づいて、第2面の印刷前検査を行う(ステップS9)。具体的には、吸着孔421における錠剤9の有無、錠剤9の表裏、錠剤9の鉛直軸周りの回転姿勢、錠剤9の吸着孔421に対する位置ずれ、錠剤9の形状欠陥の有無、等が検査される。
【0098】
次に、錠剤9が印刷部60の下方の印刷位置に到達すると、4つのヘッド61が、錠剤9の第2面に向けてインク滴を吐出する。これにより、錠剤9の第2面に印刷処理が行われる。その結果、錠剤9の第2面に画像が印刷される(ステップS10)。このとき、制御部130は、上述したステップS9の検査結果に基づいて、各錠剤9に印刷すべき画像を調整する。例えば、割線140を有する面かその反対側の面かに応じて適切な画像を選択し、選択された画像を、各錠剤9の回転姿勢に応じて回転させる。そして、調整後の画像に基づいて、ヘッド61に印刷信号を入力する。その結果、各錠剤9の第2面に、適切な画像が適切な姿勢で印刷される。
【0099】
続いて、錠剤9が第2カメラ70の下方の第2検査位置P4に到達すると、第2カメラ70は、錠剤9の第2面を撮影する。これにより、錠剤9の第2面の画像データを取得する。取得された画像データは、第2カメラ70から制御部130へ送信される。また、制御部130は、第2カメラ70から受信した画像データに基づいて、第2面の印刷後検査を行う(ステップS11)。具体的には、制御部130は、例えば、第2カメラ70から受信した画像データと、予め用意された正常画像のデータとを、比較することにより、各錠剤9の第2面の印刷状態の良否を判定する。
【0100】
続いて、錠剤9が乾燥機構80の下方の位置に到達すると、乾燥機構80は、錠剤9の第2面に向けて、熱風を吹き付ける。これにより、錠剤9の第2面に付着したインクが乾燥して、第2面にインクが定着する(ステップS12)。
【0101】
上述のとおり、制御部130は、第1カメラ50および第2カメラ70によりそれぞれ撮影された各画像に基づいて、錠剤9を検査し、錠剤9の印刷状態や形状の良否を判定する、検査部および判定部として機能する。また、制御部130は、各錠剤9に対して、印刷状態が良く、かつ、欠け等の形状欠陥の無い良品であるか、それとも、印刷不良または形状欠陥が有る不良品であるかを判定する(ステップS13)。
【0102】
錠剤9が制御部130により不良品であると判定された場合(ステップS13=NO)、その後、不良品と判定された錠剤9が不良品排出位置P8に到達すると、当該錠剤9が吸着保持された吸着コンベア40の吸着孔421に陽圧が作用されて吸着孔421における錠剤9の吸着が解除される。これにより、不良品と判定された錠剤9は、不良品回収口102へ排出される(ステップS14)。
【0103】
錠剤9が制御部130により良品であると判定された場合(ステップS13=YES)、その後、良品と判定された錠剤9が良品排出位置P9に到達すると、当該錠剤9が吸着保持された吸着コンベア40の吸着孔421に陽圧が作用されて吸着孔421における錠剤9の吸着が解除される。これにより、良品と判定された錠剤9は、良品排出口114へ排出される(ステップS15)。良品排出口114から良品排出コンベア112へ落下した複数の錠剤9は、搬送ベルト116に載置されつつ、錠剤印刷装置1の外部へ搬出される。
【0104】
その後、制御部130は、錠剤印刷装置1に投入された所定数の錠剤9の全てに対して搬送処理および印刷処理が行われ、良品排出機構110または不良品回収機構100によって錠剤印刷装置1の外部へ排出されたか否かを判定する(ステップS16)。所定数の錠剤9の全てに対しての処理が完了し、錠剤印刷装置1の外部へ排出されたと判定された場合(ステップS16=YES)、制御部130は、清掃装置120を作動させ、清掃位置P10において吸着ベルト42の清掃作業を行う(ステップS17)。この時、制御部130は、全ての吸着孔421において錠剤9を保持していない状態で吸着ベルト42を回動させつつ、清掃装置120を連続的に作動させて吸着ベルト42の清掃作業を行う。これにより、環状の吸着ベルト42に設けられた全ての吸着孔421およびこれらの周辺に付着した錠剤9の微粉を除去または低減できる。この結果、その後に錠剤印刷装置1へ新たに所定数(例えば、1ロット分=約100万個)の錠剤9を投入して処理する際に、錠剤9の微粉が、その後の検査へ悪影響を及ぼすことを抑制できる。
【0105】
<4.変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではない。
【0106】
上述の実施形態においては、錠剤印刷装置1に投入された所定数の錠剤9の全てに対して、搬送処理および印刷処理が行われ、錠剤印刷装置1の外部へ排出された後に、錠剤9を保持していない状態で吸着ベルト42を回動させつつ、清掃装置120を作動させて吸着ベルト42の清掃作業を行っていた。しかしながら、複数の錠剤9に対して搬送処理または印刷処理が行われている途中に、並行して清掃装置120を作動させて吸着ベルト42の清掃作業を行ってもよい。
【0107】
この場合、清掃装置120を、例えば、第1傾斜ドラム91~第6傾斜ドラム96の搬送方向の下流側の第1領域A1付近に配置すればよい。そして、搬送経路上の第1反転位置P5,第2反転位置P6,および第3反転位置P7の下流側の清掃位置P11(
図3参照)において、一対の第7ブロー機構B7によって、吸着ベルト42の外周面420に向けて圧縮空気を吹き付けて、回収機構121によって、吸着ベルト42から吹き飛ばされる錠剤9の微粉を回収すればよい。
【0108】
また、清掃装置120を、良品排出機構110の搬送方向の下流側の第2領域A2付近に配置すればよい。そして、搬送経路上の良品排出機構110の下流側の清掃位置P12(
図3参照)において、一対の第7ブロー機構B7によって、吸着ベルト42の外周面420に向けて圧縮空気を吹き付けて、回収機構121によって、吸着ベルト42から吹き飛ばされる錠剤9の微粉を回収すればよい。
【0109】
図3に示すように、これらの清掃位置P11,P12は、錠剤9を保持していない吸着孔421に対向する。したがって、複数の錠剤9に対して搬送処理または印刷処理が行われている途中に、並行して清掃装置120を作動させる場合でも、処理中の錠剤9に対して圧縮空気や微粉が当たることによる影響が抑えられる。
【0110】
上述の実施形態においては、清掃装置120は、2つの第7ブロー機構B7と、1つの回収機構121とを有していた。しかしながら、清掃装置120が有する第7ブロー機構B7および回収機構121の数は、これに限定されない。例えば、清掃装置120は、1つの第7ブロー機構B7と、1つの回収機構121とを有していてもよい。そして、例えば、第7ブロー機構B7の下方に回収機構121を配置してもよい。さらに、上方の当該第7ブロー機構B7によって、吸着ベルト42の外周面420に向けて圧縮空気を吹き付けて、下方の回収機構121によって、吸着ベルト42から吹き飛ばされる錠剤9の微粉を回収してもよい。
【0111】
上述の実施形態の第1傾斜ドラム91~第6傾斜ドラム96はそれぞれ、複数の小孔である吸着孔を有していた。しかしながら、第1傾斜ドラム91~第6傾斜ドラム96はそれぞれ、側面に、円環状の吸着スリット(図示省略)を有していてもよい。例えば、第1傾斜ドラム91は、第1側面910に、第1軸C1を中心とする円環状の第1吸着スリットを有していてもよい。また、第2傾斜ドラム92は、第2側面920に、第2軸C2を中心とする円環状の第2吸着スリットを有していてもよい。そして、これらの吸着スリットに、複数の錠剤9を吸着保持してもよい。このようにすれば、吸着スリットの任意の位置において、錠剤9を吸着保持できる。したがって、錠剤9の受け渡しの際に、錠剤9に多少の位置ずれがあったとしても、錠剤9を吸着保持できる。
【0112】
上述の実施形態では、第1傾斜ドラム91~第6傾斜ドラム96は、いずれも、円錐状の側面を有していた。しかしながら、第1傾斜ドラム91~第6傾斜ドラム96の側面の形状は、四角錐、六角錐、八角錐などの多角錐状であってもよい。
【0113】
また、上述の実施形態では、印刷部60に、4つのヘッド61が設けられていた。しかしながら、印刷部60に含まれるヘッド61の数は、1~3つであってもよく、5つ以上であってもよい。
【0114】
また、上述の実施形態および変形例の錠剤印刷装置1は、吸着コンベア40による搬送経路上の印刷位置において錠剤9の表面または裏面に印刷処理を行う印刷部60を備えていた。しかしながら、錠剤印刷装置1は、錠剤9の包装を行う包装装置等の他の処理部を備えていてもよい。すなわち、上述の実施形態および変形例における「複数の錠剤を搬送して印刷処理を行う」は、「複数の錠剤を搬送して所定の処理を行う」として読み替えられるものとする。
【0115】
また、装置内の細部の構成については、本願の各図と相違していてもよい。また、上述の実施形態や変形例に登場した各要素を、矛盾が生じない範囲で、適宜に組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0116】
1 錠剤印刷装置
9 錠剤
10 フィーダ
20 搬送コンベア
30 吸着ドラム
31 固定ドラム
32 可動ドラム
40 吸着コンベア
41 プーリ
42 吸着ベルト
44 第2吸引機構
50 第1カメラ
60 印刷部
70 第2カメラ
71 リニアノズル
72 エアホース
73 エア供給源
74 開閉弁
80 乾燥機構
81 本体配管
82 真空ポンプ
83 フィルタ
90 反転機構
91 第1傾斜ドラム
92 第2傾斜ドラム
93 第3傾斜ドラム
94 第4傾斜ドラム
95 第5傾斜ドラム
96 第6傾斜ドラム
100 不良品回収機構
110 良品排出機構
120 清掃装置
121 回収機構
130 制御部
301 ドラム吸着孔
302 第1吸引機構
420 外周面(外表面)
421 吸着孔
710 吹出口
810 吸気口
910 第1側面
911 第1反転吸着孔
920 第2側面
921 第2反転吸着孔
A1 第1領域
A2 第2領域
B1 第1ブロー機構
B2 第2ブロー機構
B5 第5ブロー機構
B6 第6ブロー機構
B7 第7ブロー機構
C1 第1軸
C2 第2軸
P1 第1受渡位置
P2 第2受渡位置
P3 第1検査位置
P4 第2検査位置
P5 第1反転位置
P6 第2反転位置
P7 第3反転位置
P8 不良品排出位置
P9 良品排出位置
P10 清掃位置
P11 清掃位置
P12 清掃位置
R1 内部空間
R2 空間