(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-22
(45)【発行日】2024-01-05
(54)【発明の名称】組織凝固用の装置
(51)【国際特許分類】
A61B 18/12 20060101AFI20231225BHJP
【FI】
A61B18/12
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020007010
(22)【出願日】2020-01-20
【審査請求日】2022-09-29
(32)【優先日】2019-01-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】592245823
【氏名又は名称】エルベ エレクトロメディジン ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Erbe Elektromedizin GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【氏名又は名称】新居 広守
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー・ノイゲバウアー
(72)【発明者】
【氏名】セルジオ・ヴィルチェス
(72)【発明者】
【氏名】クラウス・フィッシャー
(72)【発明者】
【氏名】ハンス・ザッペ
(72)【発明者】
【氏名】カグラー・アタマン
【審査官】菊地 康彦
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0378961(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0199540(US,A1)
【文献】特表2003-528684(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第02659846(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 18/12-18/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
組織凝固用の装置(10)であって、
プローブ本体(15)と、
電圧(U
HF)が印加可能であり、前記プローブ本体(15)内に配置され
、前記プローブ本体(15)を貫通して長手方向に延在する少なくとも1つの電極(16)と、
前記プローブ本体(15)に割り当てられ
、測定装置(24)に接続可能である少なくとも1つの導光装置(19)と、を有し、
前記測定装置(24)は、光学距離測定装
置として構成され
、
複数の焦点位置(32、33、34)を規定するGRINレンズ(28)またはレンズアレイは、前記導光装置(19)の遠位端に配置され、
前記GRINレンズ(28)またはレンズアレイは、複数の光軸(29、30、31)を規定するように構成され、前記複数の光軸のうち、少なくとも1つが前記電極(16)の長手方向と平行である、または鋭角をなす
装置。
【請求項2】
前記焦点位置(32、33、34)は
、平面(35)上に配置される
請求項
1に記載の装置。
【請求項3】
前記測定装置(24)は、距離測定装置として構成され、異なる前記複数の光軸(29、30、31)に沿って決定された距離(d
1、d
2、d
3)のうちの最短距離を示すように構成される
請求項
1または
2に記載の装置。
【請求項4】
前記プローブ本体(15)は、ガス源(23)に接続可能である少なくとも1つの流路(17)を含み、前記電極(16)は
、前記流路(17)内に配置される
請求項1~
3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記測定装置(24)は、干渉法距離測定装置である
請求項1~
4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
異なる波長(λ)の光を同時にまたは異なる時点で出射するように構成される光源(37)が、干渉法距離測定のために設けられる
請求項
5に記載の装置。
【請求項7】
前記測定装置(24)は、
さらに、温度測定装置として機能する高温計である
請求項1~
6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
前記測定装置(24)は、
さらに、組織タイプ決定装置として機能する発光分光計である
請求項1~
7のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
前記測定装置(24)は、少なくとも1つのフォトダイオードと少なくとも1つの光学フィルタとの組合せである
請求項1~
8のいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
前記プローブ本体(15)と、前記少なくとも1つの電極(16)と、前記少なくとも1つの導光装置(19)とは、組織処置用の前記
プローブ本体(15)の一部として構成され、前記測定装置(24)は、前記
プローブ本体(15)に動作電力および媒体を供給するための供給装置(12)の一部として構成される
請求項1~
9のいずれか1項に記載の装置。
【請求項11】
前記供給装置(12)は、前記
プローブ本体(15)の前記電極(16)が接続可能である、パルス(25)およびパルス休止(26)を有する高周波パルス電圧(U
HF)を生成するための発電機(22)と、前記
プローブ本体(15)の前記導光装置(19)が接続可能である
前記測定装置(24)とを含み、前
記測定装置(24)は、前記パルス休止(26)中、少なくとも有効である
請求項
10に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体組織を処置するための装置に関する。特に凝固および切除のために、電気エネルギーで組織に作用する器具が知られている。
【背景技術】
【0002】
例えば、国際公開第2012/099974号には、この目的のための、例えば高周波の電流および電圧ならびに凝固用アルゴンプラズマの形態の電磁エネルギーを使用する器具が開示されている。さらに、この文献では、例えば、供給されたエネルギーのパワー、作用を受けた深さ、組織温度、または、例えば色などの他の物理パラメータを決定する働きをし得る1以上のセンサに言及されている。さらに、筋層粘膜の筋電図検査における検出用筋電図センサ、熱量測定センサ、血清レベルセンサおよび撮像センサについて述べられている。
【0003】
米国特許出願公開第2014/0309632号明細書には、高周波エネルギーによって組織を切除するための器具を有するデバイスが記載されており、切除の進み具合を監視するために、個別の測定および監視システムが設けられている。このシステムは、組織状態を検出するように構成され、組織状態は、処置された組織における電気測定によって得ることができる。また、測定の可能性として、血管内超音波測定、光干渉断層撮影、光干渉反射率測定または血管造影が挙げられている。
【0004】
米国特許第5,321,501号明細書には、組織表面を走査することができる干渉光学センサの使用による生体組織の光学撮像について記載されている。プローブは、内視鏡または血管内視鏡とすることができ、内腔を走査するために使用することができる。平行走査を行うために、複数の光路が設けられている。焦点を大きくするために、焦点位置を移動させることができる。
【0005】
国際公開第2010/104752号から、人間と動物の医療用途向け光学多機能プローブシステムが知られている。そのプローブシステムは、測定方法として光干渉断層撮影を用い、組織表面の線形二次元走査または深さ段階的走査を実行することができる。そのような走査は、A走査、B走査またはC走査と呼ばれる。少なくとも一実施形態において、プローブを高周波切除プローブとして構成することもできる。
【0006】
さらに、生体組織を特に正確に切除するための医療器具が、米国特許出願公開第2007/0213704号明細書から知られており、少なくとも一実施形態において、スパーク生成によって組織を除去する電気的に印加された電極が、切除に使用される。引き続いて起こるスパークによる光の出現に基づいて、スパークが相互作用する組織タイプを決定することができる。評価には、スパークから出射された光が光ファイバを介して照射される分光システムが使用される。その解析システムは、スパークによって生じた光のスペクトルを決定する。得られたスペクトルを参照データと比較することによって、作用を受けてはならない組織に当たっているかが分かり、その結果、切除工程を直ちに停止させることができる。
【0007】
米国特許第9,060,750号明細書には、アルゴンプラズマ凝固によって組織に作用する器具を備えたシステムが記載されている。受けた光を検査する発光分光法によって、特定の化学物質の存在が決定される。
【0008】
米国特許第7,720,532号明細書には、多用途測定器として使用することができる一体型器具が記載されている。その一体型器具は、複数の超音波変換器を含む超音波センサと、中心電極および中心電極を中心として半径方向に距離をとって配置された環状電極を有し、中心電極および環状電極は器具の遠位前面に超音波変換器と共に配置される電気センサとを備える。
【0009】
さらに、米国特許出願公開第2012/0289954号明細書には、切除工程を監視するために設けられる1つ以上の光学センサを備えることができるプラズマプローブが開示されている。切除工程を制御するために、光学センサは、受けた光を解析し、かつこれに基づいて切除工程を制御する分光計に接続することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
それらを起点とし、本発明の目的は、改善された工程制御を可能にする装置を定義することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的は、請求項1に記載の装置および請求項15に記載の方法で解決される。
【0012】
本発明の装置は、例えば、組織凝固に使用することができる。装置の一部であるプローブ本体は、電圧、好ましくは高周波変調または非変調電圧UHFを印加することができる少なくとも1つの電極を含む。電流は、電極から出力され、プラズマを通り、処置対象生体組織上を流れる。組織は改質され、特に凝固し、かつ/または除去される。
【0013】
少なくとも1つの導光装置が、プローブ本体に割り当てられ、その少なくとも1つの導光装置は、測定装置に接続される。測定装置は、光学距離測定装置、温度測定装置、または組織タイプ決定装置として構成される。測定装置はまた、所望により、これらの機能のうちの2つまたは3つまたはすべて、および追加の機能を果たすことができる。測定装置は、多色光で動作して、絶対距離の決定を可能にする干渉法距離測定装置として構成されることが好ましい。プローブと組織との間の所望の距離より短いコヒーレンス長を有する短コヒーレント光を、光、特に白色光として使用することができる。また、プローブと組織との間の所望の距離より長いコヒーレンス長を有する長コヒーレント光を、光として使用することもできる。
【0014】
導光装置は、観察領域を画定する受光窓を含む。この観察領域は、プローブ本体からの出力されたプラズマジェットまたはスパークと少なくとも部分的に重なる。
【0015】
受光窓は、GRINレンズに、または、複数の光軸および/もしくは複数の焦点位置を規定することが好ましいレンズアレイに形成することができる。光軸は、対になって、鋭角、すなわち最大90°の角度をなす。光軸はまた、互いに平行に方向付けることもできる。GRINレンズまたはレンズアレイは、モノフィラメント導光装置に接続され、次にモノフィラメント導光装置は、光学測定装置に接続されることが好ましい。
【0016】
光学測定装置が距離測定の働きをする場合、導光体を介して光を(すべての)光軸および焦点位置に供給することができ、それらから戻るように散乱した光は、導光装置を介して測定装置に供給される。この測定装置は、異なる光軸の光の異なるインパクト位置から戻るように散乱した光を受け、光源の光との干渉を生じさせる。得られた干渉縞から、個々の光軸における組織とプローブとの距離を決定することができる。決定された距離を個別に、個々の焦点位置または光軸に割り当てることができなくても、測定装置はなお、最短の測定距離(最小距離)、または、例えば平均距離もしくは最大距離のような、さらに別の所望値を決定するように構成することができる。
【0017】
距離測定装置は、干渉法距離測定装置であることが好ましい。距離測定装置は、十分なコヒーレンス長を有する光源と、少なくとも1つのビームスプリッタと、受光器と、導光体と、対物レンズとを使用する。対物レンズは、GRINレンズとすることができ、ビームスプリッタは、ファイバカプラとすることができ、導光体は、光ファイバとすることができ、受光器は、例えば、カメラチップの形態のフォトダイオードまたはフォトダイオードアレイとすることができる。導光体および少なくとも1つのビームスプリッタによって規定される光路は、測定路および参照路を含み得る。同じ光学素子、特にGRINレンズとして構成されることが好ましい対物レンズは、ビームスプリッタから対物レンズまで導く光路(例えば、導光体)の一部と同様に、参照路および測定路の一部を形成することができる。組織に面する対物レンズ(例えば、GRINレンズ)の端面は、参照ミラーとして機能し得る。
【0018】
装置は、プローブの動作が、特に電極と、電極から出力され得るプラズマジェットとの有効化が、特定の距離を守ること、特に最小距離を下回らないことに依存するように、構成することができる。GRINレンズまたはレンズアレイの異なる光軸は処置対象組織に異なる位置で当たるため、複数のインパクト位置に基づいて、生体組織は、いずれの位置においてもプローブに近づきすぎないことが保証され得る。
【0019】
本発明のプローブは、特に手術ロボットに使用することができる。距離測定装置により、この目的は著しく容易になる。プローブと組織との距離は、カメラ画像よりも距離測定に基づいて、はるかに簡単に調整することができる。その際、プローブの遠隔制御、または半自動もしくは全自動のプローブ制御も可能である。
【0020】
プローブはまた、1以上の電極を含み得る。プローブは、同様に構成された、または構造上同一である別のプローブも備えたダブルプローブに一体化させることができる。導光装置は、例えば、プローブ本体内部に、プローブ本体上に、またはさらに1以上のプローブ本体を収容するホルダ上に設けることができる。この原理によれば、異なる用途タイプまたは適用位置に適合する異なるプローブ構成を生成することができる。
【0021】
測定装置が干渉法距離測定装置である場合、導光装置は、測定位置を照らすのと同時に、測定位置から戻るように散乱する光を測定装置に戻るよう導くようにも構成される。その際、測定装置は、電極から、特に電極からのスパークまたはプラズマから光が出射されない休止中に有効であるように構成されることが好ましい。例えば、電極にパルス高周波電圧UHFが供給される場合、干渉法測定装置は、高周波電圧UHFのパルス休止中に有効であることが好ましい。
【0022】
測定装置はまた、高温測定法温度測定装置として使用することもできる。この場合、測定装置は、処置された組織からの光、特に赤外光を受け、かつ受けた光の分光組成に基づいて組織の温度を決定するように構成される。この場合、測定装置は、電極に印加されるパルス高周波電圧UHFのパルス休止中に有効であるように構成されることが好ましい。
【0023】
測定装置はまた、干渉法距離測定および高温測定法温度測定を行う複合測定装置とすることもできる。
【0024】
測定装置は、追加的に、または排他的に、プラズマまたはスパークが照射される組織タイプを発光分光法によって決定するように構成することができる。このために、測定装置は、パルス処置電圧(高周波電圧UHF)のパルス中に光を受け、かつ解析するように構成されることが好ましい。光の解析は、スパークまたはプラズマから出射された光がスペクトル検査を受けるスペクトル解析が好ましい。組織を区別するために、測定されたスペクトルは、特定の組織タイプの参照スペクトルと比較することができる。特にまた、特定の組織層に典型的な化学元素のスペクトル線、例えばマグネシウムまたはカルシウムのスペクトル線を、組織層の指標として使用することもできる。発光分光法ESでは、光信号の強度は、距離に大きく依存する。この状況を光信号の評価中に考慮することにより、特に所定のスペクトルとの比較に関する、発光スペクトルの評価を著しく改善することができる。光学測定装置が、測定距離を光信号で割り当て、例えば、比較スペクトルが検出された距離に基づいて測定距離を計算するように構成される場合、処置中に変化する距離の干渉影響がなくなる。したがって、このことは、光学測定装置が、組織タイプの決定に対して距離と同様にスペクトルも考慮するように構成される場合、有利である。
【0025】
測定装置はまた、パルス休止中に組織からのプローブの距離および/または組織の温度を決定し、かつパルス中に組織組成を決定するために、常時有効であるように構成することもできる。
【0026】
本発明の一部はまた、切除の進み具合および/または生体組織の表面からのプローブ本体の距離および/または組織タイプが光学測定装置によって決定される組織切除のための方法である。その方法は、特に、粘膜切除に適している。患者の胃粘膜のプラズマアシスト切除中に層特異的発光スペクトル(ES)を検出することができ、それに応じて、それぞれの処置された組織層を外科医に示し、または別の方法で目立たせることができる。サブ粘膜層内の切除プラズマの進行は、粘膜層と比較された、マグネシウムの少なくとも1つのES信号の増加によって検出し、示すことができる。サブ粘膜層内の切除プラズマの進行はまた、粘膜層と比較された、カルシウムの少なくとも1つのES信号の増加によって検出し、示すこともできる。さらに、マグネシウムのES信号の増加と、カルシウムのES信号またはサブ粘膜内におけるプラズマの進行の指標としての別のマーカーの増加との同時発生を用いることもできる。
【0027】
特に、固有筋層(筋肉層)内の切除プラズマの進行は、粘膜層と比較された、マグネシウムの少なくとも1つのES信号の増加によって検出し、示すことができる。
【0028】
また、固有筋層(筋肉層)内の切除プラズマの進行は、粘膜層と比較された、カルシウムの少なくとも1つのES信号または別のマーカーの増加によって検出し、示すことができる。
【0029】
本発明の実施形態のさらなる詳細は、図面および明細書と同様に、従属クレームの主題である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図2】
図2は、組織切除用のプローブの異なる実施形態を示す斜視断面図である。
【
図3】
図3は、組織切除用のプローブの異なる実施形態を示す斜視断面図である。
【
図4】
図4は、組織切除用のプローブの異なる実施形態を示す斜視断面図である。
【
図5】
図5は、導光装置の遠位端と、異なる光軸によって導光装置と協働するGRINレンズとを示す概略図である。
【
図6】
図6は、
図5のGRINレンズと、GRINレンズによって規定された光束を示す図である。
【
図8】
図8は、干渉計によって生成された干渉スペクトルと、干渉スペクトルから導き出された測定距離である。
【
図9】
図9は、
図1の装置における構成要素の協働についての個々に分離した概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1は、組織凝固、組織切除または他の組織処置のために使用することができる装置10を示す。プローブ11と、プローブ11を供給する供給装置12とは、装置10の一部を形成する。供給装置12は、1以上の機器によって形成することができ、ブロックとして簡略化した
図1に示す。以降で用いる「装置12」という用語も、動作可能に一体化または結合された複数の機器を含む。
【0032】
プローブ11は、内視鏡用のプローブ、または、腹腔鏡用もしくは観血手術用の器具とすることもできる。これらの構成の各々が原理から外れない限り、後に説明する構造的および機能的な詳細が、これらの構成の各々に適用される。
【0033】
プローブ11は、1以上の導体13および1以上のコネクタ14を介して装置12に接続され、装置12は、プローブ11を動作させるための動作電力および媒体を供給する。プローブ11は、電極16が支持される剛性または可撓性を有するプローブ本体15を含む。本実施形態では、電極16は、プローブ本体15を貫通して長手方向に延在し、かつコネクタ14に通じる流路17内に配置され、電極16に電力を供給する導電体がコネクタ14を貫通して延在する。流路17は、プローブ本体15の遠位端の前面18で開いていることが好ましい。プローブ本体15には、さらに、プローブ本体15の遠位端からコネクタ14まで延在する導光装置19を設けることができる。導光装置19の遠位端には開口部20が設けられ、開口部20を通って光が出入りし得るため、光を導光装置19から処置位置に照射させ、処置位置から受けることができる。流路17および導光装置19は、プローブ本体15を貫通して同じ方向に延在することが好ましい。
【0034】
図3から分かるように、プローブ本体15を貫通して延在し、コネクタ14に通じる複数の導光装置19a、19b、19cを設けることも可能である。次いで、それに応じて、複数の窓20a、20b、20cも前面18に設けることができる。
【0035】
図4は、2つのプローブ11a、11bが1つのツインプローブに一体化されるさらなる変形形態を示す。2つのプローブ11a、11bは、同様にまたは異なるように構成することができる。それらは、入光窓または出光窓を備えてまたは備えずに、また、導光装置を備えてまたは備えずに形成することができる。
図4に示す例において、導光装置19は、2つのプローブ11a、11bを互いに接続するホルダ21に取り付けられている。
図2~
図4に示した特殊な変形形態は、互いに組み合わせることができる例である。例えば、
図2および
図3によるプローブを
図4のホルダで一体化して、ツインプローブを形成することができる。また、
図2または
図3によるプローブのうちの1つを
図4のホルダ21のプローブ15aまたは15bのうちの1つと一体化して、ツインプローブを形成することもできる。これらの構成のすべてには、少なくとも1つの電極16と、少なくとも1つの導光体19と、少なくとも1つの流路17とを含むという共通点がある。したがって、装置12において、コネクタ14および導体13を介して電極16に接続される少なくとも1つの発電機22と、コネクタ14および導体13を介して流路17に接続されるガス源23と、コネクタ14および導体13を介して導光装置19に接続される測定装置24とが設けられる。
【0036】
発電機22は、さらには図示していない制御回路によって制御される制御可能な高周波発電機であることが好ましい。発電機22は、周波数が明らかに100kHzを超える、例えば350kHzであることが好ましい高周波交流電圧U
HFを出力するように構成されることが好ましい。発電機22は、さらに、高周波交流電圧U
HFについて
図10に示すようなパルス25および休止26を有するパルス電圧出力が得られるよう、例えば矩形波で高周波交流電圧U
HFを変調するように構成される。制御部または発電機22はそれぞれ、所定の調整、所定のモード、または制御信号にも応じてパルス25および休止26の持続期間の比率を変えるように構成することができる。
【0037】
ガス源23もまた、ガス流を選択的に開放もしくは遮断し、かつ/または流量を調整するために、さらには図示していない制御装置に接続することができる。ガス流の遮断および開放ならびに/または流量の調整は、ユーザ調整に応じて、選択された動作モードに応じて、および/または制御信号に基づいて実行することができる。
【0038】
測定装置24は、光学距離測定装置および/または高温測定法温度測定装置、および/または、好ましくは発光分光法に基づいて、組織タイプを決定するための測定装置として構成することができる光学測定装置である。光学測定装置24が複数のパラメータ、例えば、距離および温度、または距離および組織タイプを同時に決定する場合、距離を考慮せず、温度または組織タイプに対して向上した精度を得ることができる。
【0039】
導光装置19の遠位端には、例えば、
図5に概略的に示すようなGRINレンズ28を含む対物レンズとして機能するレンズ部27を配置することができる。レンズ部27は、ビーム路が複数の光軸29、30、31に分かれる、または分割されるように構成することができる。中央光軸31は、導光装置19の光軸31と同一とすることができる。追加の光軸29、30は、光軸31の周りの円錐のエンベロープ上に配置することができる(例えば、6つ)。光軸29、30、31は、対になって、角度、好ましくは最大90°の角度、すなわち鋭角をなし得る。
【0040】
図6は、集束され得、ひいては焦点位置32、33、34を規定することができる、
図5のレンズ部27に対して得られる光束を示す。これらの焦点位置は、共通領域35、例えば、球面、円筒面または平面上に配置されることが好ましい。さらに、これらの焦点位置は、
図7に概略的に示すように、プローブ15の使用中にGRINレンズ28が生体組織36から離れて位置する距離と実質的に等しい距離をGRINレンズ28から隔てて配置されることが好ましい。
【0041】
図7は、距離制御または距離測定のための干渉法測定装置として構成される測定装置24の構造について、主に光学部品に限定して概略的に示す。例えば白色光源または波長可変レーザの形態の光源37は、測定装置の一部である。光源37は、ビームスプリッタとして機能するファイバカプラ38によって導光装置19に接続される。ファイバカプラ38は、さらに、光源37から出射された光の一部と、組織36の表面で反射した光の一部とを受ける受光器39に接続される。必要に応じて、反射器で終端する参照光路を、さらなるファイバカプラ38’を介してビーム路と結合させることができる。しかしながら、好ましい実施形態では、ビームスプリッタ38からGRINレンズの端面までの導光装置19のセクションにおける光路は、参照光路として機能する。GRINレンズの(または別の対物レンズの)端面は、光の一部を反射するため、参照ミラーを形成する。別個の参照光路は省略することができる。
【0042】
波長に応じて、強め合ったり、弱め合ったりする干渉が受光器39で得られ、その結果、受光器39は、
図8の左側に示すような光スペクトルSを受ける。
【0043】
干渉計は、短コヒーレント光(白色光干渉計)およびより長いコヒーレンス長の光で動作するように構成することができる。
【0044】
本実施形態では、波長可変の光を出射し得る波長可変光源37が、測定装置24における距離測定に使用される。光スペクトルの個々のスペクトル線は、光源37の波長変更中、続いて受けられる。逆に、いくつかのまたはすべての色を同時に発する光源37が使用される場合、
図8のスペクトルは、ファイバカプラ38から受光器39に供給された光のスペクトル分解によって生成することができ、記録し、複数の受光素子それぞれによって生成することができる。
【0045】
図8の左側に示すスペクトルは、光源37から出射された光と、光軸29、30、31が生体組織36の表面と交差する異なるインパクト位置の光との干渉によって生成されている。これまでのところ、それは合計スペクトルである。その合計スペクトルから、光軸29、30、31と組織36の表面との交差位置におけるGRINレンズ28からの個々の距離値d
1、d
2、d
3を決定することができる。さらに、より深い組織層で生じる反射によって生じた図示していない他の距離が測定される。これは、特に、透明な組織層に対する動作に適用される。
【0046】
測定装置24は、距離値d1、d2、d3のうちの最小のものを決定し、さらなる処置のためにこの値を装置12の制御部に提供するように構成することができる。制御部は、この値に基づいて発電機22を制御する、例えば、発電機のスイッチをオン・オフする、または、発電機の電力および/もしくは負荷サイクル(パルス休止比)に影響を与えることができる。制御部はまた、この最小距離値d1に基づいて、ガス源23のスイッチをオン・オフする、または、増加もしくは減少させたガス出力を開始することもできる。
【0047】
これまで説明した干渉光学動作測定装置24は、第1光学測定O
1について
図10の上部の図に示すように、電極16に印加されたパルス高周波電圧U
HFの休止26中に有効であることが好ましい。このため、発電機22は、
図9に概略的に示すように、光学測定装置24と直接または装置12の制御部を介して通信することができ、その結果、測定装置24は、発電機22と同期して動作する。
【0048】
また、さらに休止26中、組織36の表面からの放射線、特に赤外線を検出することによって組織表面温度測定を追加として、または代替として実行し、それに基づいて高温測定法温度検出を実行するように測定装置24を構成することも可能である。
【0049】
代替として、または追加として、スパークまたはプラズマが当たった組織のタイプを発光分光法で決定する組織決定装置または組織分類装置の一部として光学測定装置24を使用することも可能である。測定については、
図10の下の
図O2に示す。明らかに、測定を実行するための測定装置24は、パルス25中に有効であることが好ましい。このため、光源37は、無効または完全に省略される。後者の場合、ファイバカプラ38(および、存在すればファイバカプラ38’も)も省略することができる。受光器39は、スパークまたはプラズマからの光を受け、次いで、その光のスペクトルを
図8の左側の図に従って決定する。検出されたスペクトルは、それから組織タイプを決定するために参照スペクトルと比較することができる。組織タイプを決定するために、特に、例えばグレリン細胞を減少させるまたは除去するため、粘膜切除中に粘膜、サブ粘膜および固有筋層(筋肉層)を区別するために、マグネシウムおよび/またはカルシウムの典型的なスペクトル線も検出することができ、その存在および寸法から、プラズマはどの層と相互作用しているか、すなわち、どの層が切除されているかを決定することができる。
【0050】
測定装置24は、それに応じて、プローブと組織との間の最小距離および/または組織温度および/または組織タイプを特徴付ける1以上の制御信号を生成することができる。装置12の制御装置は、これらの信号に応じて発電機22および/またはガス源23を制御するように構成することができる。例えば、組織からのプローブの最小距離が下限を超えるとすぐに、制御装置は、発電機22を停止させることができる。同時に、または直後に、制御装置は、ガス源23を無効にすることができる。あるいは、距離制御装置が距離測定に基づいてプローブと組織との間の所望の処置距離を自動的に調整するという点で、プローブは、少なくとも組織からの距離に関して自動的に誘導され得る。さらに、プローブの動作中における測定距離を外科医に示すことも可能であり、外科医は、プローブの誘導中、カメラ画像だけに頼ってはならないようになっている。上述の変形形態のうちのいずれかと組み合わせて、またはそれらとは無関係に、エネルギー供給、電流量、電圧、変調、または、距離に依存する発電機から供給される電力の任意の他の特徴を適応させる、すなわち、測定距離に依存する電力を調整することも可能であり、組織への作用が、距離の変化によって変わらない、または著しく変わらないようになっている。
【0051】
追加として、または代替として、測定装置24が、プラズマまたはスパークの発光スペクトルに基づいて、作用を受けてはならない組織タイプの作用を決定するとすぐに、制御装置は、発電機22および/またはガス源23を無効にすることができる。例えば発電機22との測定装置24の協働について、
図9に概略的に示す。その際、発電機22および/またはガス源23のスイッチのオンおよびオフ以上のことができる。例えば、発電機22のパルス休止比および/またはガス源23のガス流量を、制御信号に基づいて調整またはフィードバック制御することができる。例えば、測定装置によって測定された組織温度が制限値を超える場合、高周波発電機24から出力される高周波電圧U
HFのパルス休止比を減少させることができる。同時に、ガス源23のガス流を増加させ、または減少させることもできる。その際、発電機22および/またはガス源23の動作を、プローブ11のそれぞれの一時的動作条件で自動的に適応させることができる。
【0052】
組織凝固または組織切除に使用可能である本発明の装置10のすべての実施形態において、高周波電圧が印加される電極16と、導光装置19とは、医療器具の一部を形成し得るプローブ本体に設けることができ、導光装置19は、測定装置24に接続される。この測定装置24は、光学距離測定装置および/または温度測定装置として、さらに、少なくとも選択的に、処置された組織タイプを発光分光法で決定するための装置として、構成することができる。光学測定装置は、距離測定装置として機能する限り、処置された組織の複数の点からのプローブまたは導光装置の距離を同時に決定するように構成される干渉光学測定装置として構成されることが特に好ましい。その際、光学測定装置の個々の測定点が分布する組織領域上方のプローブの最小距離を検出し、最小距離に応じてプローブの動作を制御することが可能である。結果として、ピーク電圧、電力、パルス休止比もしくは電極に印加された使用された高周波電圧UHFの他の電気的特性もしくはガス流を変更する、または単に、高周波発電機およびガス流のスイッチのオフを実行することもできる。
【0053】
本発明の装置10は、組織凝固および/または組織切除に使用することができる。本発明の装置10は、スパークまたはプラズマジェットを生成する働きをし、かつこの目的のために電源20に接続可能である少なくとも1つの電極16を備える。プローブ11は、電極16に近接して光を出射し、かつ/または受けて、組織36からのプローブ11の距離および/または組織温度および/または作用を受けた組織36の組成を決定する測定装置24に割り当てられる。測定装置24は、器具11の動作中に所望の測定を同時に行い、かつ得られた測定結果に基づいて器具11の動作をフィードバック制御するために、電極16のパルス休止変調高周波電圧UHFのパルスまたは休止と同期して動作することが好ましい。
【符号の説明】
【0054】
10 組織を切除または凝固するための装置
11 プローブ11a、11b
12 供給装置/機器
13 導体
14 コネクタ
15 プローブ本体15a、15b
16 電極
17 流路
18 前面
19 導光装置19a、19b、19c
20 窓20a、20b、20c
21 ホルダ
22 発電機
23 ガス源
24 光学測定装置
25 パルス
26 休止
27 レンズ
28 GRINレンズ
29~31 光軸
32~34 焦点位置
35 領域
36 生体組織
37 光源
38 ファイバカプラ
39 受光器