(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-22
(45)【発行日】2024-01-05
(54)【発明の名称】撮像装置
(51)【国際特許分類】
G03B 17/56 20210101AFI20231225BHJP
G03B 17/02 20210101ALI20231225BHJP
H04N 23/51 20230101ALI20231225BHJP
H04N 23/53 20230101ALI20231225BHJP
【FI】
G03B17/56 C
G03B17/02
H04N23/51
H04N23/53
(21)【出願番号】P 2020009307
(22)【出願日】2020-01-23
【審査請求日】2023-01-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125254
【氏名又は名称】別役 重尚
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 和宏
(72)【発明者】
【氏名】大石 裕紀
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼野 盛司郎
(72)【発明者】
【氏名】弘田 猶樹
(72)【発明者】
【氏名】橘川 武史
(72)【発明者】
【氏名】早川 圭
(72)【発明者】
【氏名】永野 路子
(72)【発明者】
【氏名】中田 武司
【審査官】瀬戸 息吹
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/203017(WO,A1)
【文献】特開2006-154124(JP,A)
【文献】特開2013-062879(JP,A)
【文献】特開2010-193066(JP,A)
【文献】特開2013-021521(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 17/56 - 17/58
G03B 17/02
G03B 17/22
H04N 5/222 - 5/257
H04N 23/00
H04N 23/40 - 23/76
H04N 23/90 - 23/959
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像手段と、
前記撮像手段の撮像光軸に対して垂直な面の隣り合った2辺に沿って設けられた開口部と、
前記開口部に沿って設けられた把持部と、
前記把持部と前記開口部を介して対向する位置に設けられたタッチセンサと、
を備え
、
前記タッチセンサは、前記撮像光軸に対して所定角度で傾斜した面に設けられていることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
撮像手段と、
前記撮像手段の撮像光軸に対して垂直な面の隣り合った2辺に沿って設けられた開口部と、
前記開口部に沿って設けられた把持部と、
前記把持部の縦棒部分と横棒部分との交差部近傍に設けられたレリーズボタンと、
を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項3】
前記開口部に
隣接するように設けられたディスプレイ画面を有することを特徴とする請求項1
又は2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記ディスプレイ画面の上部に接眼部を備えることを特徴とする請求項
3に記載の撮像装置。
【請求項5】
ユーザによってあらかじめ設定された撮像装置の撮像位置を
前記ディスプレイ画面に表示する表示制御手段を備えていることを特徴とする請求項
3または4に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記表示制御手段は、
前記ディスプレイ画面に撮像手段が撮像している映像を表示している場合であって、撮像位置が横位置から縦位置に変更され前記ディスプレイ画面が横長状態から縦長状態となった際に、前記ディスプレイ画面の上下に映像を表示しない領域を重畳表示し、
前記ディスプレイ画面に撮像手段が撮像している映像を表示している場合であって、撮像位置が縦位置から横位置に変更され前記ディスプレイ画面が縦長状態から横長状態となった際に、前記ディスプレイ画面の左右に映像を表示しない領域を重畳表示するように制御することを特徴とする請求項5記載の撮像装置。
【請求項7】
前記把持部における
前記撮像光軸と平行な面であって、前記開口部と接する面に操作部を設けたことを特徴とする請求項1ないし
6のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項8】
撮像装置本体と、
前記撮像装置本体内にそれぞれ設けられた撮像手段
、前記撮像手段の撮像光軸に対して垂直な面に設けられたL字型形状の開口部
及び前記L字型形状の開口部に沿って設けられたL字型形状の把持部と、
前記撮像装置本体の背面に設けられたディスプレイ画面及びその上方に設けられた接眼部と、を備え
、
前記L字型形状の開口部および前記L字型形状の把持部の横長形状部分が前記ディスプレイ画面の下方に位置するように前記撮像装置本体を把持した状態で、前記L字型形状の開口部および前記L字型形状の把持部の縦長形状部分が前記接眼部の中心と前記ディスプレイ画面の中心とを結ぶ軸線に沿って当該軸線の右側に位置することを特徴とする撮像装置。
【請求項9】
撮像装置本体と、
前記撮像装置本体内にそれぞれ設けられた撮像手段、前記撮像手段の撮像光軸に対して垂直な面に設けられたL字型形状の開口部及び前記L字型形状の開口部に沿って設けられたL字型形状の把持部と、
前記撮像装置本体の背面に設けられたディスプレイ画面及びその上方に設けられた接眼部と、を備え、
前記L字型形状の開口部および前記L字型形状の把持部の横長形状部分が前記ディスプレイ画面の下方に位置するように前記撮像装置本体を把持した状態で、前記L字型形状の開口部および前記L字型形状の把持部の縦長形状部分が前記接眼部の中心と前記ディスプレイ画面の中心とを結ぶ軸線に沿って当該軸線の左側に位置することを特徴とする撮像装置。
【請求項10】
前記ディスプレイ画面
は、前記L字型形状の開口部に隣接するように設けられていることを特徴とする請求項
8又は9に記載の撮像装置。
【請求項11】
ユーザによってあらかじめ設定された撮像装置の撮像位置を
前記ディスプレイ画面に表示する表示制御手段を備えていることを特徴とする請求項
8ないし10のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項12】
前記表示制御手段は、
前記ディスプレイ画面に撮像手段が撮像している映像を表示している場合であって、撮像位置が横位置から縦位置に変更され前記ディスプレイ画面が横長状態から縦長状態となった際に、前記ディスプレイ画面の上下に映像を表示しない領域を重畳表示し、
前記ディスプレイ画面に撮像手段が撮像している映像を表示している場合であって、撮像位置が縦位置から横位置に変更され前記ディスプレイ画面が縦長状態から横長状態となった際に、前記ディスプレイ画面の左右に映像を表示しない領域を重畳表示するように制御することを特徴とする請求項
11記載の撮像装置。
【請求項13】
前記把持部における
前記撮像光軸と平行な面であって、前記L字型形状の開口部
と接する面に操作部を設けたことを特徴とする請求項
8乃至12のいずれか1項に記載の撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者が把持部を把持し易くするための開口部を設けた撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一眼レフカメラやビデオカメラ等の撮像装置には、従来から、撮像角度を変更する際の操作性を向上させる等のために、グリップを把持し易くするための工夫が施されたものがある。
【0003】
例えば、特許文献1には、円周上に配設した角度固定部材により角度が規制される構造を備えた回転グリップ部を設け、グリップ部の回転角度をワンタッチで変更できるようにした撮像装置に関する技術が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、レンズと撮像素子とを有する装置本体に、光軸と略平行な軸回りに回動可能に取り付けられたグリップを備え、様々なアングルでの撮影を実現できるようにした撮像装置に関する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2015-138066号公報
【文献】特開2015-216490号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来技術には、撮像位置を縦位置から横位置、または横位置から縦位置に変更する際に装置を取り落とす恐れがあり、また、横位置及び縦位置の双方の撮像位置において良好な把持性を確保することは困難であった。
【0007】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、横、縦いずれの撮影位置でも良好な把持性を確保し、かつ撮像位置を縦位置から横位置、または横位置から縦位置に変更する際に、取り落とす虞のない撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、請求項1記載の撮像装置は、撮像手段と、前記撮像手段の撮像光軸に対して垂直な面の隣り合った2辺に沿って設けられた開口部と、前記開口部に沿って設けられた把持部と、前記把持部と前記開口部を介して対向する位置に設けられたタッチセンサと、を備え、前記タッチセンサは、前記撮像光軸に対して所定角度で傾斜した面に設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、横、縦いずれの撮像位置でも良好な把持性を確保することができ、かつ、撮像位置を縦位置から横位置、または横位置から縦位置に変更する際、撮像装置を取り落とす恐れがなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施の形態に係る撮像装置のハードウエア構成を示すブロック図である。
【
図5】実施の形態に係る撮像装置の左側面図である。
【
図6】実施の形態に係る撮像装置の右側面図である。
【
図7】ユーザがグリップを把持する位置を変えることにより、撮像位置を横位置から縦位置に変更する状態を示す図である。
【
図8】ユーザがタッチセンサに対してタッチジェスチャ操作を行っている状態を示す図である。
【
図9】実施の形態に係る撮像装置の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の実施の形態に記載した構成は例示に過ぎず、本発明の範囲は、実施の形態に記載した構成に限定されるものではない。
【0012】
図1は、本発明の実施の形態に係る撮像装置100のハードウエア構成を示すブロック図である。
【0013】
図1において、撮像装置100は、CPU101を備えており、CPU101は、内部バス150を介してメモリ102、不揮発性メモリ103、コンテンツ管理部104およびディスプレイ105とそれぞれ接続されている。また、CPU101は、内部バス150を介して受付部106、表示制御部107、記録媒体I/F108、外部I/F109および撮像部110とそれぞれ接続されている。CPU101に接続された各構成部は、内部バス150を介して互いにデータの授受を行うことができるように構成されている。
【0014】
メモリ102は、例えば、半導体素子を利用した揮発性メモリ(RAM)である。不揮発性メモリ103は、例えば、ハードディスクドライブ(HDD)やROMなどで構成されている。不揮発性メモリ103には、コンテンツデータ(以下、単に「コンテンツ」という。)や音声データ、その他のデータ、CPU101が動作するための各種プログラム等が格納されている。制御部としてのCPU101は、不揮発性メモリ103に格納されたプログラムに従い、メモリ102をワークメモリとして用いて撮像装置100の各部を制御する。
【0015】
なお、後述する撮像装置100の機能や処理は、CPU101が不揮発性メモリ103に格納されているプログラムを読み出し、読み出したプログラムを実行することにより実現される。
【0016】
コンテンツ管理部104は、例えば、CPU101の制御に基づいて、コンテンツに対して、グルーピングや編集等の各種処理を施す。コンテンツは、例えば、不揮発性メモリ103や記録媒体I/F108を介して接続された記録媒体に格納されたデータであってもよい。また、コンテンツは、撮像部110が取得したデータであってもよい。また、コンテンツは、外部I/F109を介して外部装置から取得したデータであってもよい。
【0017】
コンテンツ管理部104が行う編集処理には、データ同士の結合や分割、新たなデータの生成や削除、A/D変換処理、D/A変換処理等が含まれる。また、コンテンツ管理部104が行う編集処理には、コンテンツの符号化処理や圧縮処理、デコード処理、拡大/縮小処理(リサイズ)、ノイズ低減処理、色変換処理等が含まれる。
【0018】
ディスプレイ105は、表示制御部107の制御に基づいて、画像やGUI(Graphical User Interface)を構成するGUI画面等を表示する表示部である。以下、ディスプレイ105は、タッチパネルディスプレイであるものとして説明する。すなわち、ディスプレイ105は、入力機能を有する。但し、ディスプレイ105の入力機能は、ディスプレイ105とは別に撮像装置100に設けられていてもよい。
【0019】
受付部106は、ボタンやタッチバー、ダイヤル、ジョイステック等、ユーザによる入力を受け付ける機構である。記録媒体I/F108は、メモリカードやCD、DVD等の記録媒体が装着可能であり、CPU101の制御に基づいて装着された記録媒体からのデータの読み出しや、記録媒体に対するデータの書き込みを行う。外部I/F109は、有線ケーブルや無線を介して外部機器と接続されており、映像信号や音声信号の入出力を行うためのインターフェースとして機能する。撮像部110は、カメラであり、コンテンツを撮影するユニットである。
【0020】
図2は、実施の形態に係る撮像装置100の斜視図であり、
図3は、実施の形態に係る撮像装置100の正面図であり、
図4は、実施の形態に係る撮像装置100の背面図である。また、
図5は、実施の形態に係る撮像装置100の左側面図であり、
図6は、実施の形態に係る撮像装置100の右側面図である。
図2~
図6において、Zは、撮像光軸を示す矢印である。
【0021】
図2~
図6において、撮像装置100の一例としてレンズ交換式一眼レフカメラを示したが、撮像装置100は、レンズ交換式一眼レフカメラに限定されるものではない。
【0022】
撮像装置100は、撮影者(以下、「ユーザ」という。)が、片手で把持可能な撮像装置である。撮像装置100は、撮像部110、ディスプレイ105、操作部111aおよび111b、把持部としてのグリップ116(a、b)、開口部117(a、b)並びにレリーズボタン118を備えている。
【0023】
グリップ116は、開口部117に沿ってL字型形状に設けられている。すなわち、開口部117自身がL字型形状を有しており、グリップ116に沿って開口部117が開口していることによって、ユーザは、撮像装置100を把持する際、手の親指と他の指とが重なるようにグリップ116を握り込むことができる。これによって、安定して撮像装置100を把持することが可能になる。
【0024】
本実施の形態において、L字型形状は、正確なL字型形状だけでなく、略L字型形状を含む概念である。以下、略L字型形状を含むL字型形状を、便宜上、単に「L字型形状」という。たとえば、隣り合った2辺からなる角の角度が90度に限らず、変更してもよい。また、2辺が直線でなくてもよく、ユーザが把持しやすいように湾曲に設けてもよい。
【0025】
グリップ116がL字型形状を有していることにより、L字型形状のグリップ116の縦棒に相当する部分116bを把持するか、横棒に相当する部分116aを把持するかを切り換えることができる。把持する部分を切り換えることによって、ユーザは、横位置、縦位置のいずれの画角(撮像アングル)で撮像するか、つまり、横長の構図とするか縦長の構図とするかを切り換えることができる。また、開口部117が、縦長部分117bと横長部分117aとが連続するL字型形状であることにより、ユーザは、親指と他の指とが重なるようにしたまま、撮像装置100を落とす恐れなく、撮像時の構図を変更することが可能となる。
【0026】
図7は、ユーザがグリップ116を把持する位置を変えることによって撮像位置を横位置から縦位置に変更する状態を示す図である。
【0027】
図7(a)において、ユーザは、L字型形状をしたグリップ116の縦棒に相当する部分116bを把持しており、撮像装置100は、横長の構図となる撮像位置(横位置)に構えられている。また、
図7(c)において、ユーザは、L字型形状をしたグリップ116の横棒に相当する部分116aを把持しており、撮像装置100は、縦長の構図となる撮像位置(縦位置)に構えられている。そして、
図7(b)は、
図7(a)の状態から
図7(c)の状態に変更される途中の状態を示しており、ユーザによって、撮像装置100の撮像位置を横位置から縦位置に変更する途中の状態が示されている。
【0028】
図7(b)において、ユーザは、
図7(a)でグリップ116の縦棒部分116bを把持していた持ち手Hrの握りをいったん緩め、開口部117中を移動させている。この状態では、グリップ116の縦棒部分または横棒部分のいずれの部分も握られていないが、親指と他の指とが重なるようして環を形成し、当該環の中をグリップ116が移動するようにしている。従って、把持する位置を変更する途中で、撮像装置100を取り落とすことはない。
【0029】
すなわち、本実施の形態によれば、撮像装置100は、撮像光軸Zに対して垂直な面である背面に形成されたL字型形状の開口部117に沿ったL字型形状のグリップ116を有している。これによって、ユーザは、横位置、縦位置のいずれの撮影位置でも良好に撮像装置100を把持することができ、かつ、撮像装置100を取り落とす虞なく撮像位置を変更することができる。
【0030】
本実施の形態において、L字型形状の開口部117及びL字型形状の開口部117に沿ったL字型形状のグリップ116は、ディスプレイ105の隣り合った2辺に沿って配置されていることが好ましい。
【0031】
図2~
図6に示したように、撮像装置100は、撮像光軸Zに対して垂直な面(背面)に長方形のディスプレイ105を有しており、このディスプレイ105の隣り合った2辺に沿ってL字型形状の開口部117及びL字型形状のグリップ116が設けられている。
【0032】
ユーザは、撮影時の構図を変更させる目的で撮像位置を変更する。そして、その際、ユーザは、通常、ディスプレイに表示されたライブビューを視認しながら撮像位置を変更する。従って、L字型形状の開口部117及びグリップ116がディスプレイ105の隣り合った2辺に沿って配置されていると、ユーザは、ディスプレイ105の表示面を覆うことなく、グリップ116の縦棒部分116bまたは横棒部分116aを把持することができる。これによって、ユーザは、撮像時の構図を確認しつつ撮像位置を変更することができるので極めて便利である。
【0033】
すなわち、本実施の形態において、L字型形状の開口部117及びグリップ116は、ディスプレイ105の隣り合った2辺に沿って配置されている。これによって、装置を取り落す恐れなく縦位置と横位置の変更が可能な効果に加え、ユーザが視認性よく構図を確認しながら撮像位置を変更できるようになる。
【0034】
また、本実施の形態において、ディスプレイ105の隣り合う2辺に沿ったL字型のグリップ116における開口部117側(開口部側)の面に操作部111を設けることが好ましい。
【0035】
上述した
図4において、ディスプレイ105の隣り合った2辺に沿ったL字型形状の開口部117に沿ったグリップ116における開口部117側の面にダイヤル操作部111a及び111bが配置されている。
【0036】
上述したように、撮像装置100は、ユーザが視認性よく構図を確認しながら、装置を取り落とす恐れなく撮像位置を変更できる撮像装置である。そして、持ち手Hrの親指と他の指とが重なるようして形成した環の中を、グリップ116を移動させている状態で、持ち手Hrの指先は、グリップ116における開口部117側の面(開口部117の内側)に向くことになる。また、ユーザがグリップ116の横棒部分116aもしくは縦棒部分116bを把持している状態で、持ち手Hrの指先は、いずれもグリップ116における開口部117側の面(開口部117の内側)に向くことになる。従って、グリップ116における開口部117側の面に操作部を設けることによって、ユーザが撮像装置100を操作するうえで極めて便利になる。
【0037】
すなわち、本実施の形態において、ディスプレイ105の隣り合う2辺に沿ったL字型形状のグリップ116におけるL字型形状の開口部117側の面に操作部111が設けられている。これによって、装置を取り落とす恐れなく撮像位置を横位置から縦位置に、または縦位置から横位置に変更できる効果に加え、操作性にすぐれた撮像装置を提供することができるようになる。
【0038】
また、本実施の形態において、L字型形状の開口部117に隣接するディスプレイ105の2辺に沿ってタッチセンサを設けることが好ましい。
【0039】
図4において、ディスプレイ105における開口部117に隣接する2辺に沿ってタッチセンサ120a、120bが設けられている。
【0040】
上述の構成において、グリップ116における開口部117側の面に操作部を設けることによって、ユーザがディスプレイを視認しながら装置を落とす恐れなく撮像位置を変更できる撮像装置において、操作性を向上させることができた。
【0041】
そして、さらに、L字型形状の開口部117に沿ったディスプレイ105の隣接する2辺に沿ってタッチセンサを配置することによって、ディスプレイ105上の表示位置とタッチセンサ上の位置とを対応付けることができる。例えば、ディスプレイ105上の縦領域の位置とタッチセンサ120aの位置とを対応付け、ディスプレイ105上の横領域の位置とタッチセンサ120bの位置とを対応付けることができる。また、ディスプレイ105上のポイントとタッチセンサ120aおよび120bの位置とを対応付けることができる。
【0042】
これによって、ディスプレイ105上にグラフィカル・ユーザ・インターフェースを表示したとき、ユーザはグリップ116から持ち手Hrを離すことなく、GUIに対してタッチジェスチャ操作を行うことが可能になる。なお、グラフィカル・ユーザ・インターフェース(Graphical User Interface)を、以下、単に「(GUI)」という。また、タッチジェスチャ操作には、単なる「タッチオン/タッチオフ」操作も含まれる。
【0043】
すなわち、本実施の形態において、開口部117に沿ったディスプレイ105の隣接する2辺に沿ってタッチセンサ120(a、b)を設けることが好ましく、これによって、上記効果に加え、ディスプレイに表示したGUIへのタッチジェスチャ操作が可能となる。
【0044】
また、本実施の形態において、タッチセンサ120は、撮像光軸に対して所定角度、例えば、略45度傾斜した面上に設けられていることが好ましい。
【0045】
上述した
図4において、タッチセンサ120a、120bは、撮像光軸Zに対して略45度傾いた面上に設けられている。
【0046】
L字型形状の開口部117に沿ったディスプレイ105の隣接する2辺に沿って、タッチセンサ120a、120bを配置することによって、ディスプレイ105に表示したGUIへのタッチジェスチャ操作が容易になることについては上述した。
【0047】
この場合、タッチセンサ120a、120bを撮像光軸に対して略45度傾いた面上に設けることによって、以下のような効果が得られる。
【0048】
すなわち、ユーザは、ディスプレイ105上に表示されているGUIとタッチセンサ120a、120b上の位置とを対応させて視認することができるようになる。これによって、
図8に示したように、グリップ116の持ち手Hrの親指Fによるタッチセンサ120bへのタッチジェスチャ操作が容易になる。
【0049】
図8は、ユーザがタッチセンサに対してタッチジェスチャ操作を行っている状態を示す図である。
図8において、ユーザは、グリップ116を把持する持ち手Hrの親指Fによって、容易にタッチセンサ120bを操作している。
【0050】
すなわち、本実施の形態の発明によれば、タッチセンサ120a及び120bは、撮像光軸Zに対して略45度傾いた面上に設けられている。これによって、ユーザが装置を取り落とす恐れなく撮像位置を変更することができる効果に加え、ディスプレイ105に表示したGUIへのタッチジェスチャ操作をいっそう好適に行うことができるようになる。
【0051】
また、本実施の形態において、L字型形状の開口部117に沿ったL字型形状のグリップ116の縦棒部分116bと横棒部分116aとの交差部の近傍にレリーズボタン118を配置することが好ましい。
【0052】
上述した
図3において、レリーズボタン118は、開口部117に沿ったグリップ116の縦棒部分116bと横棒部分116aとの交差部近傍に設けられている。
【0053】
撮像装置において、レリーズボタン118は、ユーザが撮像動作の開始を指示するための重要な操作部材である。そして、レリーズボタン118は、撮像動作がなされている間、及び撮像動作がなされた直後は他の撮像動作の実行が制約されるため、誤って操作されることを防止すべきであり、また、二以上の個所に設けることは望ましくない。他方、ユーザは、縦位置、横位置のいずれの撮像位置でも撮像を実行するための指示を容易にできることが必要である。従って、縦位置、横位置のいずれの撮像位置でも持ち手Hrの親指Fで操作可能な位置である、開口部117に沿ったグリップ116の縦棒部分116bと横棒部分116aとの交差部近傍にレリーズボタン118を設けることが有利である。
【0054】
すなわち、本実施の形態によれば、L字型形状の開口部117に沿ったグリップ116の縦棒部分116bと横棒部分116aとの交差部近傍にレリーズボタン118が設けられている。これによって、上記したユーザが装置を取り落とす恐れなく撮像位置を変更することができる効果に加え、撮像動作の開始を指示するのに好適な撮像装置を提供することができるようになる。
【0055】
また、本実施の形態において、ディスプレイ105のディスプレイ画面にあらかじめ決定された撮像位置を表示する表示制御部を有することが好ましい。
【0056】
映像や画像を再生、表示する環境として、従来は、横長画面一辺倒であったが、近年では縦長画面で表示することも極めて普通になされている。そして、ユーザは、撮像位置として横位置と縦位置のいずれで撮像するかを、撮像されたコンテンツが再生、表示される環境を予め想定して決定する場合がある。
【0057】
例えば、縦長画面で再生、表示されることを想定して縦位置で撮像を開始した場合、途中で撮像位置を横位置に変更した際、ディスプレイ105のディスプレイ画面に予め設定された撮像位置が表示されると、設定した撮像位置を失念せずに済み、好都合である。
【0058】
予め設定した撮像位置の表示制御部としては、例えば、以下のように制御するものが挙げられる。
【0059】
すなわち、表示制御部は、ディスプレイ105に、現在撮像している映像であるライブビューを表示している場合であって、当初横位置であった撮像位置が縦位置に変更された際、ディスプレイ画面の上下に映像を表示しない領域を重畳表示するように制御する。一方、表示制御部は、当初縦位置であった撮像位置が横位置に変更されたときにディスプレイ画面の左右に映像を表示しない領域を重畳表示するように制御する。これによって、ユーザは、当初、横長画面又は縦長画面で再生されることを想定して撮像を開始したことを失念せずに済み、好都合である。なお、撮像位置が横位置から縦位置に変更された際、ディスプレイ画面が横長状態から縦長状態となる。また、撮像位置が縦位置から横位置に変更された際、ディスプレイ画面は縦長状態から横長状態となる。
【0060】
すなわち、本実施の形態の発明によれば、ディスプレイ105のディスプレイ面に、ユーザによってあらかじめ設定された撮像位置を表示する表示制御部を有する。これによって、上述したユーザが装置を取り落とす恐れなく撮像位置を変更することができるという効果に加え、予め横長又は縦長の再生環境を想定して撮像するのに好適な撮像装置を提供できるようになる。
【0061】
また、本実施の形態において、開口部117及びグリップ116の横長形状部分をディスプレイ105の下部に配置し、開口部117及びグリップ116の縦長形状部分をディスプレイ105とその上部の接眼部とを結ぶ軸に沿って配置することが好ましい。
【0062】
本実施の形態に係る撮像装置100は、撮像光軸Zに対して垂直な背面に、ディスプレイ105を有し、ディスプレイ105の上部に接眼部を有している(例えば、
図4)。
【0063】
図4において、撮像光軸Zに対して垂直な面である背面の最上部に、接眼部119が配置されており、接眼部119の下部にディスプレイ105が配置されている。そして、L字型形状の開口部117の横長形状部分117a及びL字型形状のグリップ116の横長形状部分116aは、ディスプレイ105の下部に配置されている。また、L字型形状の開口部117の縦長形状部分117b及びL字型形状のグリップ116の縦長形状部分116bは、接眼部119とディスプレイ105を結ぶ軸Yに沿って、ディスプレイ画面に対向するユーザから見て当該軸Yの右側に配置されている。
【0064】
ユーザが被写体等を観察する方法として、ディスプレイ105上のライブビューを視認する方法と、接眼部119を通じて光学像または電子ビューファインダを視認する方法がある。ユーザは、外光環境等の条件に応じて、随時、両者を切り替えて対応することが一般的である。また、撮像位置の変更についても、ディスプレイ105上のライブビューを視認しながら行う場合と、接眼部119に接眼しながら行う場合とがある。
【0065】
開口部117及びグリップ116の横長形状部分が、接眼部119の上部や、ディスプレイ105と接眼部119の中間部に配置されていると、ユーザがグリップ116の横長形状部分を把持することも、接眼部119に接眼することも困難となり、不都合である。
【0066】
これに対し、撮像光軸Zに対して垂直な面の最上部に接眼部を設け、その下にディスプレイ105を設けた撮像装置100において、L字型形状の開口部117及びグリップ116の横長形状部分をディスプレイ105の下部に配置することは、最も合理的である。このように配置することによって、L字型形状の開口部117及びグリップ116の縦長形状部分は必然的に、接眼部119とディスプレイ105を結ぶ軸Yに沿って当該軸の右または左に配置されることになる。すなわち、本実施の形態において、L字型形状の開口部117およびL字型形状のグリップ116の縦長形状部分を接眼部119とディスプレイ105を結ぶ軸Yに沿って当該軸Yの左側に配置することもできる。
【0067】
図9は、本実施の形態に係る撮像装置100の変形例を示す図である。
図9において、L字型形状の開口部117及びグリップ116の縦長形状部分が軸Yに沿って、ディスプレイ105のディスプレイ面に対向するユーザから見て左側に配置されている。これによっても、上述の
図2~
図8に記載した撮像装置100と同様、接眼部119、ディスプレイ105及びL字型の開口部117及びグリップ116を合理的に配置した撮像装置が得られる。
【0068】
すなわち、本実施の形態によれば、開口部117及びグリップ116の横長形状部分をディスプレイ105の下部に配置し、開口部117及びグリップ116の縦長形状部分をディスプレイ105とその上部に配置された接眼部を結ぶ軸に沿って配置している。これによって、上述したユーザが装置を取り落とす虞なく撮像位置を変更可能できる効果に加え、接眼部119、ディスプレイ105及びL字型形状の開口部117及びグリップ116を合理的に配置した撮像装置を提供することができる。
【0069】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、L字型形状の開口部117及びグリップ116は、当初から撮像装置本体に設けられたものであってもよいし、撮像装置本体にアタッチメント等を装着することによって設けられたものであってもよい。
【0070】
また、例えば、撮像装置は、別体で提供されるレンズが装着、交換可能のものであってもよいし、レンズと一体に構成されたものであってもよい。
【0071】
加えて、撮像装置本体における、筐体の形状、およびレンズの種類、数、レイアウト等についても上述した例に限定されるものではない。更に、操作を行うための各種のボタン、キーもしくはネジ孔等の種類およびレイアウトについても上述したものに限定されない。また、上述した全ての構成部材を備える必要はなく、必要に応じて省略されてもよいし、更に別の操作のためのボタン等が設置されていてもよい。
【符号の説明】
【0072】
100 撮像装置
101 CPU
105 ディスプレイ
110 撮像部
111 操作部
116 L字型形状のグリップ(把持部)
117 L字型形状の開口部
118 レリーズボタン
119 接眼部
120 タッチセンサ