IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ シャープ株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-ウェアラブルマイクスピーカ 図1
  • 特許-ウェアラブルマイクスピーカ 図2
  • 特許-ウェアラブルマイクスピーカ 図3
  • 特許-ウェアラブルマイクスピーカ 図4
  • 特許-ウェアラブルマイクスピーカ 図5
  • 特許-ウェアラブルマイクスピーカ 図6
  • 特許-ウェアラブルマイクスピーカ 図7
  • 特許-ウェアラブルマイクスピーカ 図8
  • 特許-ウェアラブルマイクスピーカ 図9
  • 特許-ウェアラブルマイクスピーカ 図10
  • 特許-ウェアラブルマイクスピーカ 図11
  • 特許-ウェアラブルマイクスピーカ 図12
  • 特許-ウェアラブルマイクスピーカ 図13
  • 特許-ウェアラブルマイクスピーカ 図14
  • 特許-ウェアラブルマイクスピーカ 図15
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-22
(45)【発行日】2024-01-05
(54)【発明の名称】ウェアラブルマイクスピーカ
(51)【国際特許分類】
   H04R 1/00 20060101AFI20231225BHJP
   H04R 1/40 20060101ALI20231225BHJP
【FI】
H04R1/00 318Z
H04R1/40 310
H04R1/40 320A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020010797
(22)【出願日】2020-01-27
(65)【公開番号】P2021118448
(43)【公開日】2021-08-10
【審査請求日】2022-09-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】弁理士法人あーく事務所
(72)【発明者】
【氏名】西尾 達也
【審査官】冨澤 直樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-121896(JP,A)
【文献】国際公開第2020/004363(WO,A1)
【文献】特開2019-122035(JP,A)
【文献】国際公開第2017/090311(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0192066(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 1/00
H04R 1/40
H04R 1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
話者に装着可能な本体部と、
前記本体部に備えられて前記話者の声を収音する複数の第1マイクと、
前記本体部に備えられて音声を前記話者に向けて出力する1又は複数のスピーカとを備えるウェアラブルマイクスピーカであって、
前記本体部は前記話者の首に装着可能なネックバンド型であり、前記話者の肩上から胸側に伸びる装着部を有し、
複数の前記第1マイクは前記話者の口方向に指向性を有しており、
前記スピーカは、前記第1マイクの指向性範囲外に配置され
胸側に位置する前記装着部の先端寄りに複数の前記第1マイクが備えられ、
複数の前記第1マイクは、前記装着部の先端側ほど該装着部の内側寄りで、前記先端から離れる程外側寄りとなるように配列されていることを特徴とするウェアラブルマイクスピーカ。
【請求項2】
請求項1に記載のウェアラブルマイクスピーカにおいて、
前記スピーカは前記話者の耳方向に指向性を有することを特徴とするウェアラブルマイクスピーカ。
【請求項3】
請求項又はに記載のウェアラブルマイクスピーカにおいて、
前記本体部には、前記スピーカの指向性範囲外に配置された第2マイクが備えられ、
前記第2マイクは、前記スピーカに対して前記第1マイクの反対側に配置されていることを特徴とするウェアラブルマイクスピーカ。
【請求項4】
請求項に記載のウェアラブルマイクスピーカにおいて、
前記スピーカは前記話者の耳の下方に対応する位置に配設され、
前記装着部には、先端側から順に、前記第1マイク、前記スピーカ、前記第2マイクが配列されていることを特徴とするウェアラブルマイクスピーカ。
【請求項5】
話者に装着可能な本体部と、
前記本体部に備えられて前記話者の声を収音する1又は複数の第1マイクと、
前記本体部に備えられて音声を前記話者に向けて出力する1又は複数のスピーカとを備えるウェアラブルマイクスピーカであって、
前記本体部は前記話者の首に装着可能なネックバンド型であり、前記話者の肩上から胸側に伸びる装着部に前記第1マイクおよび前記スピーカが備えられ、
前記第1マイクは前記話者の口方向に指向性を有しており、
前記スピーカは、前記第1マイクの指向性範囲外に配置され、
前記装着部の前記第1マイクは、前記本体部に対して、前記装着部が延びる方向を軸方向とする軸回りに回動可能に設けられていることを特徴とするウェアラブルマイクスピーカ。
【請求項6】
請求項に記載のウェアラブルマイクスピーカにおいて、
前記第1マイクを備える前記装着部は前記本体部に対して伸張可能に設けられていることを特徴とするウェアラブルマイクスピーカ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、身体に装着して用いることが可能なウェアラブルマイクスピーカに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的なスピーカシステムは、複数人が同時に聞くことのできるメリットがあり、また、ヘッドホンやイヤホンは、1人でしか聞くことはできないが周囲の音を遮断するメリットがある。一方で、前記スピーカシステムでは第三者には騒音となることがあり、ヘッドホン等では周りの音が聞こえないといったデメリットもあった。近年では、スピーカシステムやヘッドホン等のデメリットを解消するものとして、耳以外の部分に装着して使用するスピーカ装置も用いられている。
【0003】
また、ウェブ会議やテレビ会議等の音声会議の場面では、電話回線やIPネットワークを介した音声による遠隔会議がなされ、複数人で相手方の音声を取得しつつコミュニケーションを取ることが求められる。このような場面では、周囲の音が会議の妨げにならないようにすることを目的として、ヘッドセット(ウェアラブルデバイス)を使用することも知られている。例えば特許文献1には、この種のウェアラブルデバイスとして、話者の声が入力されるマイクと、外部より入力された音声を出力するスピーカとを備えた装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2018/051663号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記のような音声会議の場面では、エコーやハウリングといった不快な現象を防いで、会話の円滑化を図ることが可能なウェアラブルマイクスピーカが求められている。また、話者が電子黒板を使用しながら顔だけを横に向けて話したり、説明のために動作を伴いながら話したりするなど、顔の向きを前方に固定せずに発話することが多くある。そのため、話者の口元とマイクとの距離が変化しやすく、収音されにくくなることがあるといった問題がある。
【0006】
前記特許文献1に開示されたウェアラブルデバイスでは、正しい装着状態とすることが求められ、話者が正面を向いていることを前提に、その口元座標を取得する異なる複数の演算部による信号処理も必要とされており、構成が複雑化してコストが嵩むという問題がある。
【0007】
本発明は、上記のような問題点にかんがみてなされたものであり、その目的とするところは、顔の向きを前方に固定せずに発話しても音声を捉えることが可能であって、簡単な構成でかつ低コストで実現可能なウェアラブルマイクスピーカを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の目的を達成するための本発明の解決手段は、話者に装着可能な本体部と、前記本体部に備えられて前記話者の声を収音する1又は複数の第1マイクと、前記本体部に備えられて音声を前記話者に向けて出力する1又は複数のスピーカとを備えるウェアラブルマイクスピーカであって、前記第1マイクは前記話者の口方向に指向性を有しており、前記スピーカは、前記第1マイクの指向性範囲外に配置されていることを特徴としている。
【0009】
また、前記構成のウェアラブルマイクスピーカにおいて、前記スピーカは前記話者の耳方向に指向性を有することが好ましい。
【0010】
また、前記構成のウェアラブルマイクスピーカにおいて、前記本体部は前記話者の首に装着可能なネックバンド型であり、前記話者の肩上から胸側に伸びる装着部に前記第1マイクが備えられてもよい。
【0011】
また、前記構成のウェアラブルマイクスピーカにおいて、胸側に位置する前記装着部の先端寄りに複数の前記第1マイクが備えられ、前記第1マイクは、前記装着部の先端側ほど、該装着部の内側寄りとなるように配列されてもよい。
【0012】
また、前記構成のウェアラブルマイクスピーカにおいて、前記本体部には、前記スピーカの指向性範囲外に配置された第2マイクが備えられ、前記第2マイクは、前記スピーカに対して前記第1マイクの反対側に配置されていることが好ましい。
【0013】
また、前記構成のウェアラブルマイクスピーカにおいて、前記スピーカは前記話者の耳の下方に対応する位置に配設され、前記装着部には、先端側から順に、前記第1マイク、前記スピーカ、前記第2マイクが配列されてもよい。
【0014】
また、前記構成のウェアラブルマイクスピーカにおいて、前記装着部は、前記本体部に対して回動可能に設けられてもよく、また、前記本体部に対して伸張可能に設けられてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、顔の向きを前方に固定せずに発話しても音声を捉えることが可能であり、複雑な構成を要することなく低コストで実現可能なウェアラブルマイクスピーカとすることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態1に係るウェアラブルマイクスピーカを示す正面図である。
図2図1のウェアラブルマイクスピーカの装着例を示す斜視図である。
図3】本発明の実施形態1に係るウェアラブルマイクスピーカの変形例を示す斜視図である。
図4】本発明の実施形態2に係るウェアラブルマイクスピーカを示す斜視図である。
図5】本発明の実施形態2に係るウェアラブルマイクスピーカの変形例を示す斜視図である。
図6】本発明の実施形態3に係るウェアラブルマイクスピーカを示す斜視図である。
図7】本発明の実施形態4に係るウェアラブルマイクスピーカを示す斜視図である。
図8】本発明の実施形態4に係るウェアラブルマイクスピーカの変形例を示す斜視図である。
図9】本発明の実施形態5に係るウェアラブルマイクスピーカを示す斜視図である。
図10】本発明の実施形態5に係るウェアラブルマイクスピーカの変形例を示す斜視図である。
図11】本発明の実施形態5に係るウェアラブルマイクスピーカの変形例を示す斜視図である。
図12】本発明の実施形態5に係るウェアラブルマイクスピーカの変形例を示す斜視図である。
図13】本発明の実施形態6に係るウェアラブルマイクスピーカを示す斜視図である。
図14】単一指向性を有するマイクのポーラパターンの例を示す図である。
図15】超指向性を有するマイクのポーラパターンの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態に係るウェアラブルマイクスピーカ1について、図面を参照しつつ説明する。
【0018】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係るウェアラブルマイクスピーカ1を示す正面図であり、図2は、ウェアラブルマイクスピーカ1を話者Pが装着した様子を示す斜視図である。また、図3は、実施形態1に係るウェアラブルマイクスピーカ1の変形例を示す斜視図である。
【0019】
なお、以下の実施形態に係る説明中において、ウェアラブルマイクスピーカ1における前後左右等の方向を、図2に示すようにウェアラブルマイクスピーカ1を装着した話者Pにとっての左右方向X(右側X1、左側X2)、前後方向Y(前方Y1、後方Y2)、および上下方向Z(上方Z1、下方Z2)を基準として説明する。
【0020】
実施形態1に係るウェアラブルマイクスピーカ1は、話者Pに装着可能に構成された本体部20と、本体部20に備えられた第1マイク30およびスピーカユニット40とを有している。図1に示すように、本体部20は、正面から見たときに略U字形状又は略円環形状を有しており、中央部から右前方および左前方の両方向に延びる装着部21(右側装着部211、左側装着部212)を備えている。
【0021】
この本体部20は、話者Pの首に装着可能なネックバンド型とされており、肩上から胸側に伸びる装着部21に第1マイク30が備えられている。図2に示すように、ウェアラブルマイクスピーカ1の使用形態の一つとして、本体部20の中央部を話者Pの首の後方Y2に位置させ、本体部20の他の部分を話者Pの首の両側部から前方Y1にかけて配置する、首かけ状態で用いることができる。
【0022】
例示の形態では、本体部20の一方の装着部21である左側装着部212には、指向性を有する第1マイク30が備えられている。第1マイク30は、全方位に感度を有するものではなく、話者Pの口方向に特定される指向性を有し、話者Pの声を収音するように構成されている。なお、各図に示される網かけ部はその指向性範囲のイメージを模式的に示したものであって、ウェアラブルマイクスピーカ1における指向性範囲を限定するものではない。
【0023】
本実施形態において指向性とは、前面方向の音を捉え易い指向特性である単一指向性、又はさらに狭角の指向特性である超指向性をいい、ポーラパターンにおいては不感性の領域(方位)を有していることを特徴とする。図14は、単一指向性を有するマイクのポーラパターンの例を示す図であり、図15は、超指向性を有するマイクのポーラパターンの例を示す図である。図14および図15では、0°が図2における話者Pの口方向に対応する。
【0024】
超指向性を有するマイクは、図15に示すように、口方向(0°)を中心に約60°の範囲に強い指向性を有する。このため、超指向性マイクは、側面方向(90°,270°)からの雑音を収音することは少ない。第1マイク30は、単一指向性又は超指向性を有する指向性マイクであることが好ましい。
【0025】
本体部20の両先端のうち、右側X1の先端から所定の長さの部分を右側装着部211とし、左側X2の先端から所定の長さの部分を左側装着部212とすると、第1マイク30は例えば左側装着部212に配設されている。特に、図1および図2に示す例では、第1マイク30は左側装着部212の先端に設けられている。本体部20には、第1マイク30で取得された音声信号を増幅処理するマイクアンプ回路やA/D変換器が備えられていてもよく、図示しない制御部へ音声データを出力する。
【0026】
スピーカとしてのスピーカユニット40は、音声を話者Pに向けて出力する音声出力部であり、第1マイク30の指向性範囲外に配置されている。この場合、第1マイク30は話者Pの口方向に指向性を有するように構成され、これに対してスピーカユニット40は、話者Pの耳方向に指向性を有するように構成されている。
【0027】
図1および図2に示すように、スピーカユニット40は本体部20に2つ設けられ、一方は右側装着部211に、他方は左側装着部212に配列されている。これらのスピーカユニット40は、例えば、一列に並設されたラインアレイスピーカや、超音波素子をアレイ状に配列したパラメトリックスピーカであることが好ましく、線状音源として音波を放出し、隣り合うスピーカユニットによる背圧の干渉を減少させるように構成されている。
【0028】
スピーカユニット40の指向性は、例えば、ラインアレイスピーカを設置する際の取付角度を調整したり、ラインアレイスピーカ内における各スピーカの向きを調整したりすることによって適宜設定することができる。例えば、向きを揃えて各スピーカを配置することにより、配列方向への音の拡散を抑えた指向性を得ることができる。
【0029】
図2に示すように、話者Pの首にウェアラブルマイクスピーカ1をかけて装着した場合、第1マイク30は話者Pの口方向に指向性を有し、スピーカユニット40は話者Pの耳の下方Z2に位置して、耳方向への指向性を有している。このように構成されたウェアラブルマイクスピーカ1によれば、話者Pから発せられた声は第1マイク30で好適に取得され、またスピーカユニット40から発せられる音声は話者Pの耳に明瞭に届くものとなる。また、耳を塞がないことにより、話者Pは他人の発する音声や周囲の音を聞きながら話すことができ、複数人での会話や動きながらの使用にも好適なものとすることができ、音声会議等を円滑に進めることが可能となる。また、ウェアラブルマイクスピーカ1を首かけ状態とすることによって、耳に近い位置に装着することが可能であり、移動しても音場が変化することが少なく、小さな音量であっても十分な音圧を得ることが可能となる。
【0030】
なお、第1マイク30は、本体部20の一方の先端に設けられるだけでなく、図3に示すように、左側装着部212の先端と右側装着部211の先端との両方に設けられていてもよい。また、ウェアラブルマイクスピーカ1は、本実施形態で示したネックバンド型であるに限られず、身体に装着して用いることが可能な構成であれば、例えばストラップ等で話者の首にかけられたり、ベルト等で話者の胸部、腹部、腕等に装着されたりするなど、どのように装着される構成であってもよく、以下に説明する各実施形態においても同様である。
【0031】
(実施形態2)
図4は、実施形態2に係るウェアラブルマイクスピーカ1を示す斜視図であり、図5は、実施形態2に係るウェアラブルマイクスピーカ1の変形例を示す斜視図である。
【0032】
以下に説明する実施形態2~6に係るウェアラブルマイクスピーカ1は、本体部20の基本構成は実施形態1と同様であり、第1マイク30およびスピーカユニット40の配置形態等に特徴を有するものである。そこで、以下の説明では、各実施形態の特徴部について詳述し、他の構成については実施形態1と共通の参照符号により示して重複説明を省略する。
【0033】
ウェアラブルマイクスピーカ1は、互いに所定距離を有して配置された複数の第1マイク30が、左側装着部212(又は右側装着部211)に設けられていてもよい。図4に示すように、ウェアラブルマイクスピーカ1は、本体部20に搭載される第1マイク30が、左側装着部212に複数設けられている。これらの複数の第1マイク30は、左側装着部212の先端寄りに配列されている。複数の第1マイク30は口方向の指向性を有しており、一列のアレイ状に配列されたアレイマイクを構成している。
【0034】
例示の形態では、4つの第1マイク30が互いに間隔を設けて一方向に配列されている。これらの第1マイク30は、ウェアラブルマイクスピーカ1を話者P(図2参照)が装着した状態で、話者Pの口と、各第1マイク30との距離とが、異なるように設けられている。
【0035】
これらの複数の第1マイク30はビームフォーミング処理により話者Pの声を効率的に収音し強調することが可能とされている。また、音声処理回路では、複数の第1マイク30に対応して、複数の音声信号の位相を調整してもよく、ビームフォーミングの既存技術を用いて、再変換された音声を強化して収音することができる。
【0036】
また、図5に示すように、複数の第1マイク30が、装着部21の内側寄りから外側寄りに順に並んで配列されてもよい。例示の形態では、左側装着部212における前方Y1の先端(胸側)から後方Y2(肩上方向)へと、徐々に外側(左側装着部212における右側X1から左側X2)に位置するように、4つの第1マイク30が配列されている。
【0037】
このように複数の第1マイク30を備えることにより、話者Pが顔を横に向けて話したり、顔を動かしながら話したりすることに対応でき、その指向性を口の位置が移動することに追従させることが可能となる。特に、図5に示すように、複数の第1マイク30が前方Y1から後方Y2へと徐々に外側に配列されていることで、話者Pが顔を横に動かしたときの口の位置にそれぞれ対応して収音することが可能となる。なお、複数の第1マイク30は、一列に配列されるに限らず、複数列に配列された構成であってもよい。また、複数の第1マイク30は、左側装着部212に設けられるに限らず、右側装着部211に設けられてもよく、また、左右両方の装着部21(右側装着部211、左側装着部212)に設けられてもよい。
【0038】
(実施形態3)
図6は、実施形態3に係るウェアラブルマイクスピーカ1を示す斜視図である。この形態に係るウェアラブルマイクスピーカ1は、本体部20に、第1マイク30およびスピーカユニット40に加えて、スピーカユニット40の指向性範囲外に配置された第2マイク50を備えている。
【0039】
図6に示すように、ウェアラブルマイクスピーカ1の本体部20には、右側装着部211および左側装着部212のそれぞれに、複数の第1マイク30と、スピーカユニット40とを備えている。第2マイク50は、スピーカユニット40に対して第1マイク30の反対側に配置されている。すなわち、第2マイク50は、右側装着部211および左側装着部212における、各スピーカユニット40の後方Y2に配置されている。
【0040】
この場合、スピーカユニット40は話者Pの耳の下方Z2に対応する位置に配設されて、耳方向の指向性を有している。第1マイク30は、話者Pの口方向の指向性を有している。右側装着部211および左側装着部212には、それぞれ、先端側(前方Y1)から順に、第1マイク30、スピーカユニット40、第2マイク50が配列されている。
【0041】
第2マイク50は、スピーカユニット40よりも後方Y2に複数配置されている。これらの第2マイク50は、本体部20に対して上方Z1の指向性を有しており、スピーカユニット40の指向性範囲外に配置されている。第2マイク50は、スピーカユニット40の指向性範囲外であれば本体部20に対して外向きの指向性を有していてもよい。
【0042】
複数の第1マイク30および複数の第2マイク50は、ビームフォーミング処理を要しない。そのため、複雑な信号処理が不要であり、制御するための電子基板等も不要とされる。前後方向Yに分散して配置された複数の第1マイク30および第2マイク50を備えていることで、ウェアラブルマイクスピーカ1は話者Pの顔がどの向きに動いても、発せられる声に対応することができる。また、第2マイク50は上方Z1又は外向きの指向性を有するので、顔を横に向けた話者Pの声を確実に収音することが可能となる。
【0043】
(実施形態4)
図7は、実施形態4に係るウェアラブルマイクスピーカ1を示す斜視図であり、図8は、実施形態4に係るウェアラブルマイクスピーカ1の変形例を示す斜視図である。
【0044】
ウェアラブルマイクスピーカ1には、指向性を有するスピーカユニット40に代えて、指向性を有しないスピーカが備えられてもよい。図7に示す例では、ウェアラブルマイクスピーカ1は、本体部20の左側装着部212に複数の第1マイク30が配置され、それらの第1マイク30の後方Y2に1つの無指向性スピーカ60が配置されている。
【0045】
無指向性スピーカ60は、送信された音を無指向で出力し、全方位に音の波面が伝搬される。無指向性スピーカ60は、複数の第1マイク30と同じ左側装着部212に設けられている。無指向性スピーカ60を用いることによって、ウェアラブルマイクスピーカ1の低コスト化を実現することができる。
【0046】
また、複数の第1マイク30は、それぞれ指向性を有しており、互いに間隔を設けて配置されているので、いずれかの第1マイク30が話者Pの声を収音し、顔を動かして話す場合にも対応することができる。
【0047】
複数の第1マイク30は、左側装着部212に直線状に配列されるだけでなく、右側装着部211に無指向性スピーカ60とともに設けられてもよく、また図8に示すように、前方Y1から後方Y2へと徐々に外側に配列されていてもよい。複数の第1マイク30が前方Y1から後方Y2へと徐々に外側に配列されていることで、話者Pが顔を横に動かしたときの口の位置にそれぞれ対応して収音することが可能となる。
【0048】
さらに、図8に示すように、無指向性スピーカ60を天井方向(上方Z1)に向くように配置するために、左側装着部212に上方Z1向きの突部22が設けられて、この突部22に無指向性スピーカ60が配置されていてもよい。また、突部22の向きは上方Z1に限らず、例えば後方Y2向きの突部22を設けることで無指向性スピーカ60を後方Y2へ向けて配置することも可能である。これにより、比較的安価な無指向性スピーカ60を用いつつも、配置角度を突部22によって設定することが可能となって、第1マイク30に収音されにくくすることができるとともにエコーやハウリングを低減させることができる。
【0049】
(実施形態5)
図9は、実施形態5に係るウェアラブルマイクスピーカ1を示す斜視図であり、図10図11は、実施形態5に係るウェアラブルマイクスピーカ1の変形例をそれぞれ示す斜視図である。
【0050】
図9に示すように、ウェアラブルマイクスピーカ1は、例えば左側装着部212の前方Y1(先端側)から後方Y2へ、第1マイク30、指向性スピーカ70、第2マイク50が順に配列された構成であってもよい。第1マイク30と第2マイク50とは、1つの指向性スピーカ70を挟んで前後方向Yに配置される。また、この場合に、指向性スピーカ70は、話者Pの耳の下方Z2に対応する位置に配設されることが好ましい。
【0051】
指向性スピーカ70は、話者Pの耳方向に指向性を有するか、又は上方Z1に向けて設置されて上向きの指向性を有することが好ましい。第1マイク30および第2マイク50は、指向性スピーカ70の指向性範囲外に配置され、それぞれ1つずつ設けられるに限らず、一方又は両方が複数設けられた構成であってもよい。
【0052】
前後方向Yに第1マイク30と第2マイク50とを対で備えることにより、話者Pが顔を横に向けて話したり、顔を動かしながら話したりすることに対応でき、口の位置が移動することに追従させることが可能となる。
【0053】
また、図10に示すように、ウェアラブルマイクスピーカ1には、指向性スピーカ70に代えて、アレイ状に配置されたスピーカユニット40が備えられてもよい。これにより、線状音源として音波を放出し、隣り合うスピーカユニットによる背圧の干渉を減少させることができる。
【0054】
これらの第1マイク30、指向性スピーカ70(又はスピーカユニット40)、および第2マイク50は、左側装着部212に設けられるに限らず、右側装着部211に設けられてもよく、また両側に設けられてもよい。
【0055】
例えば、図11に示すように、ウェアラブルマイクスピーカ1には、右側装着部211および左側装着部212のそれぞれに、前方Y1寄りから順に、第1マイク30、スピーカユニット40、第2マイク50が配列されて、左右対称形に構成されてもよい。この場合に、右側装着部211の一組の第1マイク30および第2マイク50と、左側装着部212の一組の第1マイク30および第2マイク50とを対として、これらの出力に基づくステレオ信号を生成し、ステレオ録音する構成とされてもよい。
【0056】
さらに、図12に示すように、左側X2の第1マイク30とこれに対応する右側X1の第1マイク30との指向性を略平行に設定し、左側X2の第2マイク50とこれに対応する右側X1の第2マイク50との指向性を略平行に設定して、収音軸が交差しないA-B方式と呼ばれるステレオ録音が可能な構成とされてもよい。ウェアラブルマイクスピーカ1には、第1マイク30と第2マイク50とが合計で4つ搭載されているので、十分な立体感のあるステレオ音声信号を得ることができる。
【0057】
(実施形態6)
図13は、実施形態6に係るウェアラブルマイクスピーカ1を示す斜視図である。
【0058】
図11に示したように、ウェアラブルマイクスピーカ1の右側装着部211と左側装着部212とに、それぞれ、第1マイク30、スピーカユニット40、および第2マイク50が順に設けられた形態において、さらに第1マイク30および第2マイク50が回動可能に設けられていてもよい。すなわち、図13に示すように、ウェアラブルマイクスピーカ1は、右側装着部211において第1マイク30が設けられた部分は回動部23aを構成し、第2マイク50が設けられた部分は回動部23bを構成しており、それぞれ、本体部20の軸回りに回動可能とされている。左側装着部212においても同様に、第1マイク30が設けられた部分は回動部23cを構成し、第2マイク50が設けられた部分は回動部23dを構成し、それぞれ、本体部20の軸回りに回動可能とされている。
【0059】
これらの回動部23a~23dはいずれも、本体部20の軸回りに回動し得るとともに任意の角度で回動を停止させて固定することができる。そのため、第1マイク30と第2マイク50との各指向性を任意の方向に向けて設定することが可能とされる。
【0060】
また、図13に示す例では、前方Y1に位置する2つの回動部23a、23cが、本体部20(右側装着部211、左側装着部212)より前方Y1へ伸張可能とされて、前後方向Yに伸縮自在に設けられていてもよい。これにより、ウェアラブルマイクスピーカ1を装着する際に、適宜の好ましい角度および位置に第1マイク30と第2マイク50とを調整し、より明瞭に収音することが可能となる。
【0061】
以上、説明したように、本発明の実施形態に係るウェアラブルマイクスピーカ1にあっては、第1マイク30が話者Pの口方向に指向性を有して、その第1マイク30の指向性範囲外にスピーカユニット40、指向性スピーカ70等が配置されているので、話者Pから発せられた声は第1マイク30で良好に収音され、またスピーカユニット40等から発せられる音声は話者Pの耳に届きやすいものとすることができる。また、ウェアラブルマイクスピーカ1は耳を塞がない構成であることにより、話者Pはスピーカユニット40等の音声だけでなく、他人の発する音声や周囲の音を聞きながら話すことができ、複数人での会話や動きながらの使用に好適なものとすることができる。
【符号の説明】
【0062】
1 ウェアラブルマイクスピーカ
20 本体部
21 装着部
211 右側装着部
212 左側装着部
22 突部
23a、23b、23c、23d 回動部
30 第1マイク
40 スピーカユニット(スピーカ)
50 第2マイク
60 無指向性スピーカ
70 指向性スピーカ
P 話者
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15