(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-22
(45)【発行日】2024-01-05
(54)【発明の名称】電子時計
(51)【国際特許分類】
G04C 3/00 20060101AFI20231225BHJP
G04G 21/02 20100101ALI20231225BHJP
【FI】
G04C3/00 B
G04C3/00 E
G04G21/02 G
(21)【出願番号】P 2020012264
(22)【出願日】2020-01-29
【審査請求日】2022-11-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000001960
【氏名又は名称】シチズン時計株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】関根 彬允
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 和貴
【審査官】吉田 久
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-125806(JP,A)
【文献】国際公開第2020/003700(WO,A1)
【文献】国際公開第2006/103965(WO,A1)
【文献】実開平5-23186(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04C 1/00-99/00
G04G 3/00-99/00
G04B 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部時刻に基づいて、少なくとも1以上の指針により時刻表示を行う時刻表示部と、
前記指針の基準位置を検出する基準位置検出を行う基準位置検出部と、
ダイビングモード切替条件を満たした場合に、少なくとも前記時刻表示を行う通常運針モードと、前記通常運針モードにおいて実行できる機能の少なくとも一部を制限するダイビングモードとを切り替える制御回路と、
を備え、
前記制御回路は、前記ダイビングモード切替条件を満たした場合に、前記基準位置検出部による前記基準位置検出を実行し、
前記指針の基準位置を検出した場合に、前記通常運針モードから前記ダイビングモードに切り替え、
前記指針の基準位置を検出しない場合に、前記通常運針モードから前記ダイビングモードに切り替え
ず、
前記ダイビングモード切替条件を満たした場合に、前記基準位置検出部による前記基準位置検出を実行し、前記指針の基準位置を検出しなかった場合に、前記通常運針モードおよび前記ダイビングモードと異なり、ユーザーが警告を認識することができる警告モードに切り替え、
前記指針は、秒針、分針、時針を含み、
前記警告モードでは、
少なくとも前記秒針が停止する、
ことを特徴とする電子時計。
【請求項2】
前記指針は、ダイビング用マークとの相対位置により、前記ダイビングモードであることを指し示す副針を含み、
前記警告モードでは、
前記副針が前記ダイビングモードであることを指し示す位置と異なる位置に位置する、
請求項
1に記載の電子時計。
【請求項3】
内部時刻に基づいて、少なくとも1以上の指針により時刻表示を行う時刻表示部と、
前記指針の基準位置を検出する基準位置検出を行う基準位置検出部と、
ダイビングモード切替条件を満たした場合に、少なくとも前記時刻表示を行う通常運針モードと、前記通常運針モードにおいて実行できる機能の少なくとも一部を制限するダイビングモードとを切り替える制御回路と、
を備え、
前記制御回路は、前記ダイビングモード切替条件を満たした場合に、前記基準位置検出部による前記基準位置検出を実行し、
前記指針の基準位置を検出した場合に、前記通常運針モードから前記ダイビングモードに切り替え、
前記指針の基準位置を検出しない場合に、前記通常運針モードから前記ダイビングモードに切り替えず、
前記ダイビングモード切替条件を満たした場合に、前記基準位置検出部による前記基準位置検出を実行し、前記指針の基準位置を検出しなかった場合に、前記通常運針モードおよび前記ダイビングモードと異なり、ユーザーが警告を認識することができる警告モードに切り替え、
前記指針は、ダイビング用マークとの相対位置により、前記ダイビングモードであることを指し示す副針を含み、
前記警告モードでは、
前記副針が前記ダイビングモードであることを指し示す位置と異なる位置に位置する、
ことを特徴とする電子時計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子時計に関する。
【背景技術】
【0002】
電子時計には、ユーザーがダイビングを行う際に、ベゼルと指針との相対位置に基づいてダイビングにおける潜水時間をユーザーに対して認識させるものがある。このような用途の電子時計には、通常運針モードと、通常運針モードとは異なるダイビングモードとを切り替えることができるものがある。電子時計は、通常運針モードからダイビングモードに切り替えた際に、時刻表示部において、ダイビングモードであることユーザーに認識させる(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、電子時計においては、外部衝撃や内部制御エラーにより指針が本来の位置すべき位置に対して異なる位置に位置する、いわゆる指針の位置ズレが発生することが想定される。指針位置ズレが発生した状態でダイビングモードに切り替えられると、ずれた位置に位置する指針に基づいて、ダイビングにおける潜水時間をユーザーに対して認識させるなどの影響がある。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、ダイビングモード使用時においてユーザーに対する影響を抑制することができる電子時計を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本実施形態における電子時計は、内部時刻に基づいて、少なくとも1以上の指針により時刻表示を行う時刻表示部と、前記指針の基準位置を検出する基準位置検出を行う基準位置検出部と、ダイビングモード切替条件を満たした場合に、少なくとも前記時刻表示を行う通常運針モードと、前記通常運針モードにおいて実行できる機能の少なくとも一部を制限するダイビングモードとを切り替える制御回路と、を備え、前記制御回路は、前記ダイビングモード切替条件を満たした場合に、前記基準位置検出部による前記基準位置検出を実行し、前記指針の基準位置を検出した場合に、前記通常運針モードから前記ダイビングモードに切り替え、前記指針の基準位置を検出しない場合に、前記通常運針モードから前記ダイビングモードに切り替えず、前記ダイビングモード切替条件を満たした場合に、前記基準位置検出部による前記基準位置検出を実行し、前記指針の基準位置を検出しなかった場合に、前記通常運針モードおよび前記ダイビングモードと異なり、ユーザーが警告を認識することができる警告モードに切り替え、前記指針は、秒針、分針、時針を含み、前記警告モードでは、少なくとも前記秒針が停止する、ことを特徴とする。
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本実施形態における電子時計は、内部時刻に基づいて、少なくとも1以上の指針により時刻表示を行う時刻表示部と、前記指針の基準位置を検出する基準位置検出を行う基準位置検出部と、ダイビングモード切替条件を満たした場合に、少なくとも前記時刻表示を行う通常運針モードと、前記通常運針モードにおいて実行できる機能の少なくとも一部を制限するダイビングモードとを切り替える制御回路と、を備え、前記制御回路は、前記ダイビングモード切替条件を満たした場合に、前記基準位置検出部による前記基準位置検出を実行し、前記指針の基準位置を検出した場合に、前記通常運針モードから前記ダイビングモードに切り替え、前記指針の基準位置を検出しない場合に、前記通常運針モードから前記ダイビングモードに切り替えず、前記ダイビングモード切替条件を満たした場合に、前記基準位置検出部による前記基準位置検出を実行し、前記指針の基準位置を検出しなかった場合に、前記通常運針モードおよび前記ダイビングモードと異なり、ユーザーが警告を認識することができる警告モードに切り替え、前記指針は、ダイビング用マークとの相対位置により、前記ダイビングモードであることを指し示す副針を含み、前記警告モードでは、前記副針が前記ダイビングモードであることを指し示す位置と異なる位置に位置する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明における時計は、ダイビングモード実行時においてユーザーに対する影響を抑制することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態における電子時計の全体構成図である。
【
図2】
図2は、実施形態における電子時計のムーブメントのブロック図である。
【
図3】
図3は、実施形態における電子時計のダイビングモード切替動作を示すフローチャート図である。
【
図4】
図4は、ダイビングモード実行時における電子時計を示す図である。
【
図5】
図5は、基準位置検出時における電子時計を示す図である。
【
図6】
図6は、針位置検出部の構成例を示す図である。
【
図7】
図7は、針位置検出部の構成例を示す図であり、
図6のA-A断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、下記の実施形態により本発明が限定されるものではない。また、下記の実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるものあるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0010】
〔実施形態〕
図1は、実施形態における電子時計の全体構成図である。
図2は、実施形態における電子時計のムーブメントのブロック図である。また、
図1(
図4、
図5、
図6も同様)におけるX方向は電子時計の12時6時方向であり、Y方向は電子時計の3時9時方向であり、X方向とY方向と直交する方向は電子時計の上下方向である。O1は電子時計1の中心であり、指針31の回転軸と一致する。また、O1を中心としたXY平面における方向を径方向である。
【0011】
実施形態における電子時計1は、後述する発振器51の出力に基づいて内部時刻を計時し、計時した時刻を指針31で示す電子時計である。電子時計1は、計時以外にもアラーム機能やクロノグラフなどの機能を有する多機能型電子時計であってもよい。また、通信部により外部の端末機器と無線あるいは有線の少なくともいずれか一方により接続され、端末機器において設定された指示に基づいて、特定の機能(例えば、アラーム機能、端末機器の内部時刻情報に基づいた時刻補正機能、メール受信時などに報知する報知機能など)を実現する端末機器連動時計であってもよい。
【0012】
電子時計1は、
図1に示すように、外装ケース2と、時刻表示部3と、操作部4と、ムーブメント5とを備える。本実施形態における電子時計1は、時刻表示部3がアナログ表示式のアナログ電子腕時計であり、ダイビング用途向けのダイビングモードを備えるダイバーズウオッチである。電子時計1は、腕時計式として説明するが、ダイバーズウオッチとしての機能を有すれば他の時計式、例えば、懐中時計式であってもよい。
【0013】
外装ケース2は、電子時計1の最外郭を構成するものであり、胴21とベゼル22と風防23と図示しない裏蓋とで構成される。胴21は、開口を有し、開口内部の空間にあたる内部空間部S1に時刻表示部3やムーブメント5が収容される。本実施形態においては、胴21は円環状であり、開口は電子時計1の中心O1を中心とする円形形状である。開口の形状は、電子時計1の外装ケース2の外形形状や、デザインに合わせて任意の形状とすることができる。胴21は、外周側面の12時方向及び6時方向からそれぞれ突出して形成された先かん24を備える。12時側の先かん24にはベルト8の一端が連結され、6時側の先かん24にはベルト8の他端が連結される。
【0014】
胴21の開口の一方の側である上方向開口を風防23が覆い、他方の側である下方向開口を裏蓋が覆い、それぞれ固定することによって、内部空間部S1が閉塞空間となるため、時刻表示部3やムーブメント5を保護することができる。風防23や裏蓋を胴21に固定するのに際して、それぞれゴムパッキンなどの図示しない防水部材を介することにより、保持力を高め、電子時計1の防塵性や防水性を高めることができる。胴21は、例えば、樹脂材料や金属材料、セラミック材料などにより形成されている。
【0015】
ベゼル22は、風防23を胴21に固定するものであり、リング状に形成されている。ベゼル22は、時刻表示部3の外周に位置するものである。本実施形態におけるベゼル22は、胴21に対して、電子時計1の中心O1を中心として、一方向、本実施形態では反時計回り方向に回転自在に支持されている。ベゼル22は、外力が作用していない状態において、回転が規制されて、胴21に対して支持されている。ベゼル22は、例えば、樹脂材料や金属材料、セラミック材料などにより形成されている。ベゼル22は、上方向側の表面に1つの基準インデックス22aおよび複数のダイビング用インデックス22bが設けられている。つまり、基準インデックス22aおよびダイビング用インデックス22bは、時刻表示部3を視認するユーザーが視認することができる。基準インデックス22aは、ダイビング開始時において、指針31、特に分針31bと径方向において一致させることで、ダイビング開始タイミングを確定するものである。ダイビング用インデックス22bは、ベゼル22に対して周方向に等間隔に複数形成されており、数字、矩形状、丸などのマークなどで形成されており、分針31bが運針することで、分針31bと径方向において一致するダイビング用インデックス22bが変化することで、ダイビング開始タイミングからの経過時間、すなわち潜水時間をユーザーに認識させるものである。
【0016】
風防23は、ベゼル22を介して、上方向側開口を覆う形状であり、上方向側から挿入し、ベゼル22に固定し、ベゼル22を介して胴21に固定することで内部空間部S1を閉塞する。本実施形態では風防23の平面視における外形形状は、円形状をしている。風防23は、例えば、ガラスや透過性の樹脂材料などにより形成されている。裏蓋は、下方向開口部と略同形状の係合部を有し、下方向側から挿入し胴21に固定することで内部空間部S1を閉塞する。本実施形態では裏蓋の外形形状は円形状である。裏蓋は、例えば、胴21と同様に樹脂材料や金属材料、セラミック材料などにより形成されている。
【0017】
時刻表示部3は、内部時刻に基づいて時刻表示を行う。時刻表示部3は、指針31と文字板32と見返しリング33とを有する。本実施形態における時刻表示部3は、ムーブメント5の後述する制御回路53によって計時された内部時刻を表示したり、時刻表示機能と異なる機能に関する機能表示を行う。本実施形態における時刻表示部3は、ダイビングモード実行をユーザーに認識させるモード表示や、内部時刻のうちの曜表示、電池残量表示機能などの時刻表示機能と異なる機能表示が可能なサブ表示部36を備える。サブ表示部36は、例えば、電子時計1の中心O1を基準として6時と9時との間、例えば7.5時位置に配置される。本実施形態におけるサブ表示部36は、ダイビング用マーク37が形成されている。ダイビング用マーク37は、Y方向、すなわち9時と3時とを結ぶ直線に沿って延在して形成されている。つまり、ダイビング用マーク37は、中心O1を中心とする径方向とは異なり、径方向と交差する方向に延在して形成されている。従って、指針31、特に秒針31a、分針31bおよび時針31cが運針することで、ダイビング用マーク37と上下方向において重なった場合において、秒針31a、分針31bおよび時針31cが形成されている方向とダイビング用マーク37の延在方向とが一致することを抑制することで、ダイビング用マーク37の視認性の低下を抑制することができる。本実施形態のダイビング用マーク37は、アルファベットで「DIVE」と形成されており、副針31dが径方向においてダイビング用マーク37と一致した場合(
図1においては副針31dがサブ表示部36における3時方向を指示した場合)に、「DIVE」と上下方向において重ならないように形成されている。なお、サブ表示部36は、6時位置や9時位置に配置されていても良いし、複数のサブ表示部が配置されてもよい。
【0018】
指針31は、電子時計1の中心O1を回転軸として回動可能なように配置され、ムーブメント5の輪列歯車に連結し、駆動回路の駆動信号に応じて駆動するモータを介して、回転駆動をする。指針31は棒状であり、金属材料や樹脂材料などにより形成される。本実施形態において、指針31は、秒針31a、分針31b、時針31cであり、文字板32よりも上方向側(風防23側)に配置される。分針31bは、ベゼル22の基準インデックス22aおよび複数のダイビング用インデックス22bとの相対位置で、潜水時間を認識するものであるため、秒針31a,時針31cとは異なる色、例えばオレンジで形成されている。また、指針31は、電子時計1の中心O2を回転軸として回動可能に配置され、サブ表示部36上の機能表示を指示可能な副針31dを含んでもよい。指針31は、ユーザーの操作により回転するものでもある。指針31は、指し示す位置に応じて内部時刻に基づいた時刻表示を行ったり、時刻表示機能と異なる機能に応じた設定情報などの情報表示を行うことができる。情報表示としては、アラーム機能のON・OFFの設定や、アラームの設定時刻、クロノグラフ表示、電池残量、発電量などが挙げられる。本実施形態における指針31は、副針31dがサブ表示部36を指し示す位置に応じて、ダイビングモードであるか否かを指し示したり、秒針31aが後述する表示部である見返しリング33を指し示す位置に応じて、タイムゾーン表示TDを指し示すものである。
【0019】
文字板32は、指針31とムーブメント5との間に配置され、ムーブメント5を保護する。文字板32は、ユーザーに対して電子時計1の美観を与える機能を有する。文字板32の表面上(風防23と対向する側)には、時字34(時字34a,34b)が設けられている。つまり、時字34は、上下方向において風防23と対向するように配置され、風防23を介してユーザーが視認することができる。ユーザーは、指針31(秒針31a、分針31bおよび時針31c)と時字34との相対位置により、時刻表示に基づいた現在時刻を認識することができる。また、文字板32は、時字34とは異なる機能マーク35が設けられている。本実施形態における秒針31aは、機能マーク35との相対位置により、情報表示に基づいた各機能の設定情報等を指し示すことで、ユーザーに認識させることができる。
【0020】
見返しリング33は、本実施形態において、各タイムゾーンTZに対応するタイムゾーン表示TDを行う表示部である。見返しリング33は、
図2および
図3に示すように、文字板32の径方向外側に配置されている。本実施形態における見返しリング33は、リング状に形成され、かつ指針31の先端よりも径方向外側に配置されている。見返しリング33は、複数のタイムゾーン表示TDが設けられている。
【0021】
操作部4は、ユーザーが操作することで、ムーブメント5に対して、操作に基づいた機能動作を実現するものである。本実施形態における操作部4は、少なくとも通常運針モードとダイビングモードとを切り替えるためのダイビングモード切替条件を満たすために操作を行うものである。操作部4は、りゅうず41と、プッシュボタン42と、プッシュボタン43とを有する。りゅうず41は、胴21の側面から突出して形成されており、ユーザーの操作により、突出方向に1段又は複数段引き出すことができ、軸心周りに回転することができる。りゅうず41は、突出方向に引き出されていない0段とは異なる段、例えば2段にした状態で、回転することで、時刻表示状態の指針31を強制的に回転させることができ、時刻表示を補正することができる。プッシュボタン42,43は、胴21の側面から突出して形成されており、ユーザーの操作により突出方向と反対方向に押圧することができる。プッシュボタン42,43は、外力が作用していない状態では、突出方向に突出した状態を維持する。操作部4は、ムーブメント5の制御回路53と接続されており、ユーザーによる操作状態を操作信号として、制御回路53に出力する。本実施形態における通常運針モードからダイビングモードにモード切り替えを行うダイビングモード切替開始操作は、プッシュボタン42,43を所定時間内に同時に押圧する操作である。なお、ダイビングモードから通常運針モードにモード切り替えを行うダイビングモード切替終了操作も、プッシュボタン42,43を所定時間内に同時に押圧する操作である。ここで、ダイビングモード切替開始操作又はダイビングモード切替終了操作は、プッシュボタン42,43を同時に所定時間押圧する操作としてもよい。
【0022】
ムーブメント5は、
図2に示すように、発振器51、アンテナ52、制御回路53、駆動機構54、針位置検出部55、発電機構56、二次電池57などを備え、電子時計1の計時機能やその他の機能動作などを行う。
【0023】
発振器51は、電子時計1の表示時刻の計時やその他の機能動作に関する基準周波数を生成するための源振であり、例えば水晶振動子を用いることができる。水晶振動子は外部温度により発振特性が変動しやすいため、温度補償型水晶振動器(TCXO)を用いてもよい。
【0024】
アンテナ52は、標準電波や衛星が出力するGPS(GLOBAL POSITIONING SYSTEM)電波を受信するものである。また、Bluetooth(登録商標)やWi-Fi(登録商標)等の通信規格により、外部装置と時刻情報や機能表示に使用するデータ等を送受信するためのアンテナであってもよい。
【0025】
制御回路53は、電子時計1の制御を行う回路であり、発振器51から出力されたクロック信号に基づき、電子時計1の内部時刻を計時したり、アンテナ52が受信した電波の時刻情報に基づいて内部時刻を補正したり、針位置検出部55により指針31に位置ズレが発生しているか否かを判定し、針位置検出部55が検出した指針検出位置が基準位置に対してずれている場合に、指針31を基準位置に基づいた位置に補正したり、指針31を基準位置まで強制的に運針して指針31に位置ズレが発生しているか否かを判定する基準位置検出を行ったり、各機能に応じた制御信号を出力する。制御回路53は、CPU(Central Processing Unit)及びRAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)といった記憶部53cを含む回路で構成される。制御回路53は、計時している内部時刻に基づいて、指針31に時刻表示を行わせるための制御信号を駆動機構54に出力する。制御回路53は、電波の時刻情報に基づいて内部時刻を補正し、補正後の内部時刻に指針31の位置が一致するように制御信号を駆動機構54に出力する。制御回路53は、指針31に位置ズレが発生している場合に、内部時刻に対して指針31の位置が一致するように制御信号を駆動機構54に出力する。制御回路53の記憶部53cには、各モードにおける機能の許可不許可情報、タイムゾーンTZに対応するタイムゾーン情報TIなどが記憶されている。
【0026】
制御回路53は、時刻設定部53aと、モード切替部53bとを少なくとも機能として有する。
【0027】
時刻設定部53aは、基準時刻およびタイムゾーンに基づいて内部時刻を設定するものであり、タイムゾーンTZの変更があった場合に、変更前のタイムゾーン情報TIから、変更後のタイムゾーンTZに対応するタイムゾーン情報TIに記憶部53cの記憶を更新し、基準時刻および変更後のタイムゾーンTZに基づいて内部時刻を再設定する。
【0028】
モード切替部53bは、操作部4に対するユーザーの操作に基づいて、電子時計1を各種モードに移行するものである。本実施形態におけるモード切替部53bは、少なくとも時刻表示を行う通常運針モードと、通常運針モードにおいて実行できる機能の少なくとも一部を制限するダイビングモードと、ユーザーが警告を認識することができる警告モードとを切り替えることができる。通常運針モードからダイビングモードへの切り替えは、通常運針モード実行中に、上記操作部4によるダイビングモード切替開始操作に伴う操作信号が制御回路53に入力されて、基準位置検出を実行し、指針31の基準位置が検出されることで行われる。ダイビングモードから通常運針モードへの切り替えは、ダイビングモード実行中に、上記操作部4によるダイビングモード切替終了操作に伴う操作信号が制御回路53に入力されることで行われる。ダイビングモードから警告モードの切り替えは、上記操作部4によるダイビングモード切替開始操作に伴う操作信号が制御回路53に入力されて、基準位置検出を実行し、指針31の基準位置が検出されないことが少なくとも1回発生することで行われる。
【0029】
ここで、通常運針モードは、内部時刻に基づいて時刻表示を行うモードである。タイムゾーン変更モードは、選択動作に基づいて、選択されたタイムゾーンTZが記憶部53cに記憶されているタイムゾーン情報TIに対応するタイムゾーンTZと異なる場合に、タイムゾーンTZの変更、すなわちタイムゾーン情報TIの更新を行うものである。ダイビングモードは、通常運針モードにおいて実行できる機能の少なくとも一部を制限するモードである。ここで、ダイビングモードにおいて、制限される通常運針モードにおいて実行できる機能としては、アンテナ52が受信した電波の時刻情報に基づいて内部時刻の補正、針位置検出部55による指針31の基準位置の検出に基づく指針31の位置補正(ベゼル22の操作後において、指針31の位置補正が行われることによる潜水時間ズレを防止)、ダイビングモード切替終了操作を除く操作部4による操作に基づいた機能、アラーム機能、所定条件で実行される指針31の運針を行わず電子時計1の消費電力を抑制するパワーセーブモードへの切替機能の少なくとも1以上である。警告モードは、本実施形態では、制御回路53により、副針31dをダイビング用マーク37と径方向において一致させない(現在の位置を維持する)ことで、副針31dをダイビングモードであることを指し示す位置と異なる位置に位置させ、秒針31aを内部時刻に基づいた位置まで運針し、その位置で停止させる。これにより、ユーザーは、操作部4を操作することで、ダイビングモードの実行を電子時計1に対して指示しても、副針31dがダイビングモードであることを指し示す位置と異なる位置に位置していることから、警告を認識することができる。また、ユーザーは、ダイビングモードの実行を電子時計1に対して指示しても、分針31b、時針31cが運針しているが、秒針31aの運針が停止していることから警告を認識することができる。なお、警告モードとしては、制御回路53により、副針31dをダイビング用マーク37と径方向において一致させず、かつ、秒針31a、分針31b、時針31cの運針を停止させてもよい。また、副針31dをダイビング用マーク37と径方向において一致させず、かつ、秒針31a、分針31b、時針31cを基準位置が検出できなかった際の位置で停止させてもよい。このとき、秒針31a、分針31b、時針31cを運針させない状態ではあるが、制御回路53により内部時刻の計時は行い、警告モードが解除されたとき、または、通常運針モードもしくはダイビングモードに移行した際に、現在時刻を示せるようにしておくとよい。
【0030】
駆動機構54は、駆動回路やモータ、輪列歯車等を含み、制御回路53からの制御信号が駆動回路に入力され、入力された信号に応じてモータを駆動させる。モータに連結された輪列歯車などは協働して動くものである。例えば図示しない地板に対して回転自在に支持されている輪列歯車の一端に指針が取り付けられている場合は、指針31を回転駆動することができる。本実施形態において、モータは、ステップモータやエレクトレットモータなどを用いることができる。本実施形態における駆動機構54は、秒針31a、分針31b、時針31c、副針31dにそれぞれ対応してモータが設けられており、各指針31をそれぞれ独立して運針することができる。
【0031】
針位置検出部55は、指針の基準位置を検出する基準位置検出を行うものである。本実施形態における針位置検出部55は、秒針31a、分針31b、時針31c、副針31dにそれぞれ対応して設けられている。針位置検出部55は、指針31が所定位置、例えば秒針31a、分針31b、時針31cは12時位置、副針31dは12時方向位置に位置した際に、指針31に連結する歯車などに形成された穴を発光素子からの光が通過し、受光素子が受光することで、秒針31a、分針31b、時針31cが12時位置(基準位置)、副針31dは12時方向位置(基準位置)であることを検出するものである。従って、針位置検出部55は、指針31か通常運針モードにおいて運針することで所定時間ごとに指針31の基準位置を検出することができる。つまり、制御回路53は、例えば、内部時刻に基づいて指針31の基準位置となるタイミングで指針31を針位置検出部55により検出することができれば、指針31の位置ズレは発生していないと判定し、異なるタイミングで指針31を針位置検出部55により検出した場合は、指針31の位置ズレが発生していると判定する。また、針位置検出部55は、基準位置検出において強制的に運針することで指針31の基準位置を検出することができる。つまり、制御回路53は、例えば、内部時刻に基づいて指針31が基準位置の直前まで強制的に通常運針時の運針速度よりも速い速度で運針させ、その後通常運針時の運針速度で指針31を基準位置まで運針させた際に、指針31を針位置検出部55により検出することができれば、指針31の位置ズレは発生していないと判定し、指針31を針位置検出部55により検出できない場合は、指針31の位置ズレが発生していると判定する。なお、本実施形態における基準位置検出は、指針のうち、秒針31a、分針31b、時針31cに対して行われるものであり、秒針31a、分針31b、時針31cの順番で行われる。これは、秒針31a、分針31b、時針31cの基準位置検出を同時行うと、それぞれに対応するモータが同時に駆動することとなり、消費電力の増加や、互いに駆動することによる影響を抑制するためである。また、秒針31a、分針31b、時針31cの基準位置は、すべて12時位置でなくてもよく、すべて異なる位置であってもよい。
【0032】
図6、7を用いて、実施形態の電子時計1における針位置検出部55の具体的な構成例を説明する。
図6は分針31bが取り付けられる輪列歯車、モータ及び針位置検出部の配置例を示す平面図である。
図7は
図6のA-A断面図である。ここで、X軸及びY軸にそれぞれ直交する方向をZ軸とし、
図7にはその方向を矢印で示す。なお、針位置検出部55のうち、分針31bに対応する針位置検出部55Mについて説明するが、秒針31aに対応する針位置検出部55Sおよび時針31cに対応する針位置検出部55Hも基本的な構成は同様である。
【0033】
駆動機構54のうち、分針31bに対応する駆動機構54Mは、
図6,7に示す通り、モータ60のロータ61と連動して回動する歯車62から順に中間車63、64、65、二番車66の順に配置され輪列歯車を構成している。分針31bは、二番車66に取り付けられる。本実施形態においては、中間車64、65はそれぞれ開口部64a、65aを有しており、中間車64,65の回転軌道に合わせて開口部64a,65aが移動し、所定のタイミングで開口部64a及び65aが重なるように形成されている。この開口部64a及び65aが重なる位置に分針31bに対応する針位置検出部55Mが配置されている。
【0034】
針位置検出部55Mは、例えば、
図7に示すように発光素子55Maと受光素子55Mbとの組み合わせで構成される。発光素子55Ma及び受光素子55Mbは、Z軸方向において輪列歯車の開口部(本実施形態においては開口部64a及び65a)を挟むように配置される。発光素子55Ma及び受光素子55Mbは回路基板70上に実装されて制御回路53と電気的に接続されている。制御回路53からの命令信号に応じて、発光素子55Ma及び受光素子55Mbは所定のタイミングごとに駆動し、発光素子55Maの出射光を受光素子55Mbが検出できたか否かを判断する。XY平面において、中間車64の開口部64aと中間車65の開口部65aが発光素子55Maの位置で重なったとき、開口部64a及び65aを介して発光素子55Maから出射した光が受光素子55Mbの検出面に入射するため、光を検出したと判断することができる。開口部64a及び65aが重なるタイミングを、分針31bが1周する間に1度だけ重なるように構成することによって、光が検出されたタイミングを基準位置検出のタイミングとすることができる。つまり、分針31bが時刻表示部3の所定位置を指し示すときに、開口部64a及び65aが一致するように構成することによって、分針31bの基準位置を検出できる。
【0035】
針位置検出を行うために、2つの歯車に開口部を形成して、両開口部を光が通過するように構成する例として説明を行ったが、これに限定されず、1つの歯車のみで検出するように構成しても良いし3つ以上の歯車が重なったタイミングで検出できるように構成してもよい。また、1つの歯車に対して複数の開口部を形成して、受光素子55Mbが検出できるタイミングを増やしてもよい。さらに、針位置検出部55としてZ軸方向において歯車を挟むように発光素子55Maと受光素子55Mbを配置する構成として説明をしたが、これに限定されず、発光素子55Maと受光素子55MbをXY平面において近接して配置し、発光素子55Maの光が歯車によって反射される反射光の有無を検出するような構成としてもよい。また、光検出以外の方法であってもよく、磁気や物理的なスイッチを用いる機構を採用してもよい。
【0036】
発電機構56は、外部エネルギーによって発電し、発電した電力を二次電池57や制御回路53などの電子部品に供給する。発電機構56には、光エネルギーを変換する光電変換素子や、熱エネルギーを変換する熱電変換素子、振動エネルギー等の機械運動から発電する機械電気変換素子などを用いることができる。
【0037】
二次電池57は、発電機構56によって発電した電力を蓄電することができるとともに、制御回路53や駆動機構54、その他の電子部品等に供給する電力源である。二次電池57には例えば、リチウムイオン電池や全個体電池を用いることができる。
【0038】
次に、電子時計1のダイビングモード切替動作について説明する。
図3は、実施形態における電子時計のダイビングモード切替動作を示すフローチャート図である。
図4は、ダイビングモード実行時における電子時計を示す図である。
図5は、基準位置検出時における電子時計を示す図である。ユーザーは、ダイビングモードを実行した場合に、操作部4に対してダイビングモードに切り替えるためのダイビングモード切替開始操作を行う。
【0039】
まず、制御回路53は、
図3に示すように、ダイビングモード切替開始操作があったか否かを判定する(ステップST1)。ここでは、制御回路53は、ダイビングモード切替開始操作があったか否かを判定することで、ダイビングモード切替条件を満たしているか否かを判定する。
【0040】
次に、制御回路53は、ダイビングモード切替開始操作があったと判定する(ステップST1:Yes)と、基準位置検出を行う(ステップST2)。ここでは、制御回路53は、ダイビングモード切替条件を満たしていると判定すると、秒針31a、分針31b、時針31cに対する基準位置検出を行う。なお、制御回路53は、ダイビングモード切替開始操作がないと判定する(ステップST1:No)と、ダイビングモード切替開始操作があったか否かの判定を繰り返す。
【0041】
次に、制御回路53は、基準位置検出により指針31の基準位置が検出されたか否かを判定する(ステップST3)。ここでは、制御回路53は、秒針31a、分針31b、時針31cの基準位置検出を行い、秒針31a、分針31b、時針31cのすべての基準位置が検出されたか否かを判定する。制御回路53は、
図3に示すように、秒針31a、分針31b、時針31cを強制的に運針し、秒針31a、分針31b、時針31cを基準位置で検出したか否かを判定する。
【0042】
次に、制御回路53は、
図3に示すように、基準位置検出により指針31の基準位置が検出されたと判定する(ステップST3;Yes)と、ダイビングモードを実行し(ステップST4)、制御周期を終了する。ここでは、制御回路53は、ダイビングモード切替条件を満たした場合に、針位置検出部55による基準位置検出を実行して、指針31の基準位置を検出したので、通常運針モードからダイビングモードに切り替える。このとき、制御回路53は、
図4に示すように、副針31dをダイビング用マーク37と径方向において一致する位置まで運針し、秒針31a、分針31b、時針31cを内部時刻に基づいて基準位置から内部時刻に対応する位置まで運針する。なお、ユーザーは、副針31dがダイビング用マーク37と径方向において一致していることを確認後、ベゼル22を基準インデックス22aが分針31bと径方向において一致するまで回転させる。
【0043】
また、制御回路53は、
図3に示すように、基準位置検出により指針31の基準位置が検出されていないと判定する(ステップST3;No)と、再基準位置検出を行う(ステップST5)。ここでは、制御回路53は、初回の基準位置検出により、秒針31a、分針31b、時針31cのすべての基準位置が検出されていないと判定すると、再度秒針31a、分針31b、時針31cの基準位置検出を行う。なお、制御回路53は、ユーザーによる操作部4の操作に基づいて再基準位置検出を行ってもよいし、初回の基準位置検出から所定時間経過後に再基準位置検出を行ってもよい。
【0044】
次に、制御回路53は、再度の基準位置検出により指針31の基準位置が検出されたと判定する(ステップST6;Yes)と、ダイビングモードを実行し(ステップST4)、制御周期を終了する。
【0045】
また、制御回路53は、
図3に示すように、基準位置検出により指針31の基準位置が検出されていないと判定する(ステップST6;No)と、警告モードを実行し(ステップST7)、制御周期を終了する。ここでは、制御回路53は、再度の基準位置検出により、秒針31a、分針31b、時針31cのすべての基準位置が検出されていないと判定すると、ダイビングモードにおいて精度のよい時刻表示が行えないため、ダイビングモード実行を行わない。
【0046】
以上のように、本実施形態における電子時計1は、ダイビングモード切替条件を満たした場合に、針位置検出部55による基準位置検出を実行し、指針31の基準位置を検出した場合に、通常運針モードからダイビングモードに切り替え、指針31の基準位置を検出しない場合に、通常運針モードからダイビングモードに切り替えないので、指針31の位置ズレが発生した状態で、ダイビングモードを実行しないので、ダイビングモード実行時においてユーザーに対する影響を抑制することができる。
【0047】
また、本実施形態における電子時計1は、ダイビングモード切替条件を満たした場合に、針位置検出部55による基準位置検出を実行し、指針31の基準位置を検出しない場合に、通常モードから警告モードに切り替える、すなわち、通常であればダイビングモードが実行されていると思っているユーザーに対して、通常運針モードおよびダイビングモードと異なるユーザーが警告を認識することができる警告モードを実行するので、ダイビングモードが実行されていないことをユーザーが認識しやすくなり、潜水時間の把握に電子時計1を使用しないので、ダイビング時におけるユーザーの安全性を向上することができる。
【0048】
なお、本実施形態における電子時計1は、ユーザーの操作部4に対する特定の操作をダイビングモード切替条件としたが、これに限定されるものではない。例えば、電子時計1に水感センサが設けられており、水感センサの出力値に基づいて、制御回路53が水感センサにより水を所定時間検出したと判定したことをダイビングモード切替条件としてもよい。また、電子時計1にベゼル22の回転を検出する回転センサが設けられており、回転センサの出力値に基づいて、ユーザーがベゼル22を回転することで、ベゼル22の基準インデックス22aと分針31bとが径方向において一致したことを検出したと判定したことをすることダイビングモード切替条件としてもよい。また、りゅうず41は、0段の位置から胴21に向けてりゅうず41を押し込みながら回転して固定するねじロック式(ねじ込み式などともいう)の構成とし、りゅうず41が胴21に向けて押し込まれて固定されたことを検知して制御回路53に信号が入力されたことをダイビングモード切替条件としてもよい。
【0049】
また、電子時計1は、基準位置検出の対象を分針31bのみとして、分針31bに対する基準位置の検出が行えればダイビングモード切替条件としてもよい。また、電子時計1は、分針31bの基準位置検出を他の指針31よりも優先して行い、分針31bに対する基準位置の検出が行えた時点で、他の分針31に対する基準位置検出が完了していなくても、ダイビングモード切替条件を満たすと判定し、ダイビングモードを実行してもよい。また、電池残量に応じて秒針31a、分針31b、時針31cのすべてについて基準位置検出を行うか、分針31bの基準位置検出のみを行うかを判断するように制御してもよい。また、針位置検出部55は、各指針31にそれぞれ対応して設けられるが、これに限定されるものではなく、1つのモータにより秒針31aが運針し、1つのモータにより分針31bおよび時針31cが運針する場合は、秒針31aと、分針31bまたは時針31cとに対応して設けられていればよい。また、針位置検出部55は、秒針31aのみに対応して設けられていてもよい。
【0050】
また、ダイビングモードにおいて制限されている機能のうち、内部時刻に基づいて行われる機能、例えばアラーム機能は、電子時計1がダイビングモードから通常運針モードに切り替わった後、機能における条件を満たした場合に、動作してもよい。また、電子時計1は、副針31dとサブ表示部36との相対位置により内部時刻のうちの曜表示を行う曜替わり運針機能を有する場合は、ダイビングモード実行中における曜替わり運針機能は制限せず、ダイビングモード実行中においても、曜替わり運針を実行する。これにより、ダイビングモード実行中のまま、電子時計1を放置した場合において、内部時刻として日が替わることで曜日が替わった状態にあって、時計表示部3として曜日が替わっていないことを抑制することができる。また、副針31dは、他の指針31と比較して、運針を行わないので、副針31dを積極的に運針させることで、副針31dが回転する際に生じる影響を抑制することができる。なお、電子時計1は、日をユーザーに認識させるための日車や、日針を有する場合も、ダイビングモード実行中において日替わり運針機能を制限せず、ダイビングモード実行中においても日替わり運針を実行する。
【0051】
また、ダイビングモードは、電子時計1のバッテリ電圧が第1しきい値(例えば、通常運針モードが有する充電警告モードに移行する条件である電子時計1のバッテリ電圧のしきい値と同じ)以下となることで、少なくとも分針31bを除く指針31の運針状態を変更することで、電子時計1のバッテリ電圧が低下したことをユーザーに認識させるダイビングモード時充電警告運針モードを有していてもよい。例えば、通常運針モードの場合に秒針31aが1秒ごとに運針するのに対して、充電警告運針モードにおいては、秒針31aを2秒ごとに運針するように制御することができる。もしくは、秒針31aが充電警告運針モードであることを示す所定の機能マーク35を指示した状態にするように制御してもよい。また、電子時計1は、電子時計1のバッテリ電圧が第2しきい値(第1しきい値よりも低い値)以下となることで、すべての指針31の運針を停止し、制御回路53の消費電力を最小限とするパワーブレイクモードを有する場合において、ダイビングモード時充電警告運針モードの実行中に、電子時計1のバッテリ電圧が第2しきい値以下となると、ダイビングモードからパワーブレイクモードに切り替えてよい。
【0052】
また、電子時計1は、ダイビングモードの実行時間をダイビングモード情報として記憶部53cに記憶してもよい。なお、ダイビングモード情報には、実行時間のみならず、ダイビングモード実行に記憶部53cに記憶されている現在のタイムゾーンTZに対応するタイムゾーン表示TDが含まれていてもよい。これにより、ユーザーは、ダイビングモード情報を電子時計1上で表示、または電子時計1と情報のやり取りが可能な端末上で表示することで、時針のダイビング歴を視認することができる。電子時計1は、ダイビングモード情報を表示するためのダイビング情報表示モードを有し、指針31によりダイビング情報を表示してもよい。
【符号の説明】
【0053】
1 電子時計
2 外装ケース
21 胴
22 ベゼル
23 風防
24 先かん
3 時刻表示部
31 指針
31a 秒針
31b 分針
31c 時針
31d 副針
32 文字板
33 見返しリング
34 時字
35 機能マーク
36 サブ表示部
37 ダイビング用マーク
4 操作部
41 りゅうず
42,43 プッシュボタン
5 ムーブメント
51 発振器
52 アンテナ
53 制御回路
53a 時刻設定部
53b モード切替部
53c 記憶部
54 駆動機構
55 針位置検出部
56 発電機構
57 二次電池
8 ベルト
TD タイムゾーン表示