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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-22
(45)【発行日】2024-01-05
(54)【発明の名称】貯蔵庫
(51)【国際特許分類】
   F25D 29/00 20060101AFI20231225BHJP
   F25D 19/00 20060101ALI20231225BHJP
【FI】
F25D29/00 Z
F25D19/00 560Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020018842
(22)【出願日】2020-02-06
(65)【公開番号】P2021124257
(43)【公開日】2021-08-30
【審査請求日】2022-06-15
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 1.販売日 最初の納入日令和1年6月28日(但し、フクシマガリレイ株式会社から販売先への納入日を販売日とする。) 2.販売した場所 ライフ本一色店(東京都江戸川区本一色1丁目26-4)
(73)【特許権者】
【識別番号】000239585
【氏名又は名称】フクシマガリレイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100148138
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡
(72)【発明者】
【氏名】相磯 宏明
【審査官】庭月野 恭
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-180785(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0221605(US,A1)
【文献】実開昭53-020132(JP,U)
【文献】特開2010-139096(JP,A)
【文献】特開2016-003845(JP,A)
【文献】特開平11-264648(JP,A)
【文献】特開2004-358017(JP,A)
【文献】特開2007-335201(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 1/00-31/00
A45D 33/00
H01M 50/20
H05K 7/12
A47B 67/04,88/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械室(14)内に組み付けられた電装箱(21)を前後方向にスライド移動可能に支持するスライド機構(22)を備える貯蔵庫であって、
前記スライド機構(22)は、前記機械室(14)の上部に設けられた左右一対のガイド体(23)と、前記電装箱(21)の上部に設けられて当該ガイド体(23)に係合案内される左右一対のランナー体(24)とを備え、
各前記ガイド体(23)は、前記機械室(14)の後方に配された後ガイド(23B)と、前記機械室(14)の前方に配された前ガイド(23A)とからなり、
前記後ガイド(23B)は、前記機械室(14)の後端部から当該機械室(14)の前後方向の中央部に至っており、
前記前ガイド(23A)は、前記機械室(14)の前後方向の中央部から当該機械室(14)の前端部に至っており、
各前記ランナー体(24)は、前記電装箱(21)の後方に配されて前記後ガイド(23B)で前後方向にスライド移動可能に係合案内された後ランナー(24B)と、当該電装箱(21)の前方に配されて前記前ガイド(23A)で前後方向にスライド移動可能に係合案内された前ランナー(24A)とからなり、
前記前ガイド(23A)の前記前ランナー(24A)を支持する支持部(30)の伸び方向に基づいて前支持面(33A)を規定し、前記後ガイド(23B)の前記後ランナー(24B)を支持する支持部(30)の伸び方向に基づいて後支持面(33B)を規定したとき、当該後支持面(33B)の前端部(Pa)における高さ位置(Ha)は、当該前支持面(33A)の後端部(Pb)における高さ位置(Hb)よりも低くなるように設定されており、
前記後ガイド(23B)の前記支持部(30)に支持させながら前記後ランナー(24B)を前方にスライド移動させた際の当該後ランナー(24B)のスライド軌跡が、前記前ガイド(23A)に干渉しないように設定されており、
前記スライド機構(22)により前記機械室(14)内に前記電装箱(21)が組付けられた装着姿勢から、当該電装箱(21)を前方向にスライド移動させて前記後ランナー(24B)と前記後ガイド(23B)との係合状態が解除されるとき、前記前ランナー(24A)と前記前ガイド(23A)との係合状態が解除されるように構成されていることを特徴とする貯蔵庫。
【請求項2】
前記後支持面(33B)の前記前端部(Pa)における前記高さ位置(Ha)と、前記前ガイド(23A)の下面の後端部(Pc)における高さ位置(Hc)とで規定される上下方向のギャップ寸法(G)が、前記後ランナー(24B)の上下方向の厚み寸法(Ta)よりも大きく設定されている、請求項1記載の貯蔵庫。
【請求項3】
前記前ガイド(23A)と前記後ガイド(23B)は、前記機械室(14)の上部に設けられて前後に伸びる一対の支持壁(29)から内方に張り出すレール片(31)を有し、
前記前ランナー(24A)と前記後ランナー(24B)は、前記電装箱(21)の左右の側面から外方に張り出すランナー片(32)を有し、
前記前ガイド(23A)を構成する前記レール片(31)の上面の伸び方向に基づいて前記前支持面(33A)が規定され、前記後ガイド(23B)を構成する前記レール片(31)の上面の伸び方向に基づいて前記後支持面(33B)が規定されており、
前記後支持面(33B)の前記前端部(Pa)における前記高さ位置(Ha)と、前記前ガイド(23A)を構成する前記レール片(31)の下面の後端部(Pc)における高さ位置(Hc)とで規定される上下方向のギャップ寸法(G)が、前記後ランナー(24B)を構成する前記ランナー片(32)の上下方向の厚み寸法(Tb)よりも大きく設定されている、請求項1記載の貯蔵庫。
【請求項4】
前記前支持面(33A)と前記後支持面(33B)のそれぞれが、前後方向に走る水平面とされている、請求項1記載の貯蔵庫。
【請求項5】
前記前支持面(33A)と前記後支持面(33B)のそれぞれが、後方に行くに従って下がる傾斜面とされている、請求項1記載の貯蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械室内に吊り下げ支持された電装箱が前後方向にスライド移動可能に構成された貯蔵庫に関する。本発明における貯蔵庫の具体例としては、ショーケースのほか、冷蔵庫、冷凍庫、冷却庫、保冷庫などを挙げることができる。
【背景技術】
【0002】
本発明の貯蔵庫では、機械室内に配設されたレールに電装箱が吊り下げ支持され、このレールに沿って電装箱が前後方向にスライド移動可能に構成されているが、同様の構成は例えば特許文献1に公知である。特許文献1の冷却貯蔵庫の機械室13の天面には、前後にわたって保持部としての本体側レール23が配設されている。本体側レール23は、機械室13の天面にネジ止めされた断面階段状の取付レール24と、この取付レール24の下辺上面及び端面との間に前後にわたる所定の間隔Gを形成して取り付けられたクランク状の押さえレール25とから構成される。電装箱16の上端には被保持部としての断面略L字状の電装箱側レール32が前後にわたり取付けられており、この電装箱側レール32は電装箱16の側から上面側に屈曲されている。以上のようなレール構造を備える特許文献1の冷却貯蔵庫においては、電装箱16の電装箱側レール32の後端を、本体側レール23の前端の取付レール24と押さえレール25との間の隙間G内に挿入することで、機械室13内に電装箱16を吊り下げ支持させることができる。また、本体レール23内で電装箱側レール32を移動させることで、吊り下げ支持状態を維持したままで、電装箱16を前後方向にスライド移動させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平7-159025号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の冷却貯蔵庫において、電装箱16を本体側レール23から降ろして吊り下げ支持状態を解除するためには、電装箱16の全てを機械室13から引き出して、本体側レール23に対する電装箱側レール32の係合状態の全てを解除する必要があり、より具体的には、電装箱側レール32の後端を本体側レール23の前端から抜き出す必要がある。このため、特許文献1の冷却貯蔵庫では、電装箱16を降ろして(吊り下げ支持状態を解除して)メンテナンス作業を行うときには、電装箱16の奥行長さ分の全てを機械室13から引き出さなければならず、作業効率良くメンテナンス作業を行うことができない。また、特許文献1の冷却貯蔵庫では、電装箱16の奥行長さの分だけ、予め電源線や通信線といったケーブル長を長く設定する必要があり、その分だけケーブルの引き回しが煩雑化することが避けられない。
【0005】
本発明は、電装箱の奥行長さの全てを機械室から引き出すことなく、電装箱の機械室における吊り下げ支持状態を解除することができ、メンテナンス作業性に優れた貯蔵庫を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、機械室14内に組み付けられた電装箱21を前後方向にスライド移動可能に支持するスライド機構22を備える貯蔵庫を対象とする。スライド機構22は、機械室14の上部に設けられた左右一対のガイド体23と、電装箱21の上部に設けられてガイド体23に係合案内される左右一対のランナー体24とを備える。各ガイド体23は、機械室14の後方に配された後ガイド23Bと、機械室14の前方に配された前ガイド23Aとからなる。後ガイド23Bは、機械室14の後端部から該機械室14の前後方向の中央部に至っており、前ガイド23Aは、機械室14の前後方向の中央部から該機械室14の前端部に至っている。各ランナー体24は、電装箱21の後方に配されて後ガイド23Bで前後方向にスライド移動可能に係合案内された後ランナー24Bと、電装箱21の前方に配されて前ガイド23Aで前後方向にスライド移動可能に係合案内された前ランナー24Aとからなる。前ガイド23Aの前ランナー24Aを支持する支持部30の伸び方向に基づいて前支持面33Aを規定し、後ガイド23Bの後ランナー24Bを支持する支持部30の伸び方向に基づいて後支持面33Bを規定したとき、後支持面33Bの前端部Paにおける高さ位置Haは、前支持面33Aの後端部Pbにおける高さ位置Hbよりも低くなるように設定されている。後ガイド23Bの支持部30に支持させながら後ランナー24Bを前方にスライド移動させた際の当該後ランナー24Bのスライド軌跡、前ガイド23Aに干渉しないように設定されている。スライド機構22により機械室14内に電装箱21が組付けられた装着姿勢から、電装箱21を前方向にスライド移動させて後ランナー24Bと後ガイド23Bとの係合状態が解除されるとき、前ランナー24Aと前ガイド23Aとの係合状態が解除されるように構成されていることを特徴とする。なお、ここで言う「後ランナー24Bと後ガイド23Bとの係合状態が解除されるとき、前ランナー24Aと前ガイド23Aとの係合状態が解除されるように構成されている。」とは、後ランナー24Bと後ガイド23Bとの係合状態が解除されるのと略同時に、前ランナー24Aと前ガイド23Aとの係合状態が解除される構成に限られず、後ランナー24Bと後ガイド23Bとの係合状態が解除されたのちに、前ランナー24Aと前ガイド23Aとの係合状態が解除される構成、あるいは後ランナー24Bと後ガイド23Bとの係合状態が解除される前に、前ランナー24Aと前ガイド23Aとの係合状態が解除される構成をも含む概念である。
【0008】
後支持面33Bの前端部Paにおける高さ位置Haと、前ガイド23Aの下面の後端部Pcにおける高さ位置Hcとで規定される上下方向のギャップ寸法Gは、後ランナー24Bの上下方向の厚み寸法Taよりも大きく設定されている。
【0009】
前ガイド23Aと後ガイド23Bは、機械室14の上部に設けられて前後に伸びる一対の支持壁29から内方に張り出すレール片31を有し、前ランナー24Aと後ランナー24Bは、電装箱21の左右の側面から外方に張り出すランナー片32を有している。前ガイド23Aを構成するレール片31の上面の伸び方向に基づいて前支持面33Aが規定され、後ガイド23Bを構成するレール片31の上面の伸び方向に基づいて後支持面33Bが規定されている。後支持面33Bの前端部Paにおける高さ位置Haと、前ガイド23Aを構成するレール片31の下面の後端部Pcにおける高さ位置Hcとで規定される上下方向のギャップ寸法Gは、後ランナー24Bを構成するランナー片32の上下方向の厚み寸法Tbよりも大きく設定されている。
【0010】
前支持面33Aと後支持面33Bのそれぞれは、前後方向に走る水平面とすることができる。もしくは、前支持面33Aと後支持面33Bのそれぞれは、後方に行くに従って下がる傾斜面とすることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の貯蔵庫1においては、機械室14の上部に設けられる左右一対のガイド体23のそれぞれを、機械室14の後方に配された後ガイド23Bと、機械室14の前方に配された前ガイド23Aとからなるものとし、後ガイド23Bの支持部30の伸び方向に基づいて規定される後支持面33Bの前端部Paにおける高さ位置Haを、前ガイド23Aの支持部30に伸び方向に基づいて規定される前支持面33Aの後端部Pbにおける高さ位置Hbよりも低くなるように設定した。また、電装箱21の上部に設けられてガイド体23に係合案内される左右一対のランナー体24のそれぞれを、電装箱21の後方に配された後ランナー24Bと、電装箱21の前方に配された前ランナー24Aとからなるものとし、さらに、後ランナー24Bを前方にスライド移動させた際の後ランナー24Bのスライド軌跡が前ガイド23Aに干渉しないように設定した。以上のような構成からなる貯蔵庫1においては、電装箱21側の前後のランナー24A・24Bが、機械室14側の前後のガイド23A・23Bに支持されることで、電装箱21を機械室14内に吊り下げ支持状態に装着させることができる。また、かかる装着状態から電装箱21を前方向に移動させたときに、前ランナー24Aの前ガイド23Aとの間の係合状態と、後ランナー24Bの後ガイド23Bとの間の係合状態とが解除されることで、電装箱21の吊り下げ支持状態を解除して、電装箱21を機械室14の底面上等に降下させることができる。このとき、後ランナー24Bを前方にスライド移動させた際の後ランナー24Bのスライド軌跡が前ガイド23Aに干渉しないように設定したので、ガイド体23を前ガイド23Aと後ガイド23Bに分割したにも拘らず、支障なく後ランナー24Bを前方にスライド移動させることができる。
【0012】
このように、本発明の貯蔵庫1によれば、前ランナー24Aの前ガイド23Aとの間の係合状態と、後ランナー24Bの後ガイド23Bとの間の係合状態とを解除することで、電装箱21の吊り下げ支持状態を解除して、電装箱21を降下させることができるので、電装箱21の奥行長の全てを引き出さずとも、より小さなスライド移動幅で電装箱21を降下させることが可能となり、作業効率良くメンテナンス作業を行うことが可能となる。また、降下時の電装箱21のスライド移動幅を小さくした分だけ、電源線や通信線といったケーブル長の遊びしろを小さくすることができるので、ケーブルの引きまわし構成を簡素化することができる。また、ケーブルの引き回しが煩雑化することを防ぐことができる。
【0013】
後ガイド23Bが、機械室14の後端部から該機械室14の前後方向の中央部に至っており、前ガイド23Aが、機械室14の前後方向の中央部から該機械室14の前端部に至っており、スライド機構22により機械室14内に電装箱21が組付けられた装着姿勢から、電装箱21を前方向にスライド移動させて後ランナー24Bと後ガイド23Bとの係合状態が解除されるとき、前ランナー24Aと前ガイド23Aとの係合状態が解除されるように構成されていると、前後のガイド23A・23Bの前後方向の長さ寸法を機械室14の全長の半分程度とすることができ、また、電装箱21を機械室14の全長の半分程度、スライド移動させることで、吊り下げ支持状態を解除して電装箱21を降下させることができる。したがって、作業効率良くメンテナンス作業を行うことができるとともに、ケーブルの引き回し構成を簡素化することができる。
【0014】
具体的には、後支持面33Bの前端部Paにおける高さ位置Haと、前ガイド23Aの下面の後端部Pcにおける高さ位置Hcとで規定される上下方向のギャップ寸法Gが、後ランナー24Bの上下方向の厚み寸法Taよりも大きく設定されている構成を採ることができる。これにより、後ランナー24Bを前方にスライド移動させた際に後ランナー24Bのスライド軌跡が前ガイド23Aに干渉することを防ぐことができる。
【0015】
前後のガイド23A・23Bをレール片31を有するものとし、前後のランナー24A・24Bをランナー片32を有するものとしていると、例えばガイド体23またはランナー体24をローラを有するランナーユニットで構成する形態に比べて、ガイド機構を大幅に簡素化することができる。ガイド機構の省スペース化を図ることもできる。このとき、前ガイド23Aを構成するレール片31の上面の伸び方向に基づいて前支持面33Aが規定され、後ガイド23Bを構成するレール片31の上面の伸び方向に基づいて後支持面33Bが規定されており、後支持面33Bの前端部Paにおける高さ位置Haと、前ガイド23Aを構成するレール片31の下面の後端部Pcにおける高さ位置Hcとで規定される上下方向のギャップ寸法Gが、後ランナー24Bを構成するランナー片32の上下方向の厚み寸法Tbよりも大きく設定されていると、後ランナー24Bを前方にスライド移動させた際の後ランナー24Bのスライド軌跡が前ガイド23Aに干渉することを防ぐことができる。
【0016】
前支持面33Aと後支持面33Bのそれぞれが、前後方向に走る水平面とされていると、電装箱21が不用意に前後方向にスライド移動することを抑えて、スライド機構の信頼性が向上する。
【0017】
前支持面33Aと後支持面33Bのそれぞれが、後方に行くに従って下がる傾斜面とされていると、電装箱21を後方向に移動勝手な構成とすることができるので、電装箱21が不用意に前方にスライド移動することを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施例1に係る貯蔵庫の要部の縦断側面図である。
図2】貯蔵庫の縦断側面図である。
図3】貯蔵庫を構成する機械室の正面図である。
図4】スライド機構の平面図であり、図1におけるA-A線断面図である。
図5】スライド機構の縦断正面図であり、図1におけるB-B線断面図である。
図6】電装箱の機械室からの取り外し作業を説明するための図である。
図7】電装箱の機械室への装着方法を説明するための図である。
図8】電装箱の機械室への他の装着方法を説明するための図である。
図9】本発明の実施例2に係る貯蔵庫の要部の縦断側面図である。
図10】本発明の実施例3に係る貯蔵庫の要部の縦断側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(実施例1) 図1から図8に、本発明に係る貯蔵庫を多段型のオープンショーケースに適用した実施例1を示す。本実施例における前後、左右、上下は、図1から図3に示す交差矢印と、矢印の近傍の前後、左右、上下の表記に従う。図2においてオープンショーケース1は、前面が開口する断熱箱体で形成される本体ケース2と、本体ケース2の内側に配置される内ケース3とを備えており、内ケース3の内部が陳列室4として区画されている。両ケース2・3の間には、陳列室4の下側前縁に設けられる吸込口5から陳列室4の上側前縁に設けられる吹出口6へと至る冷気通路7が区画されている。符号8は多段状に設けられる板ガラス製の棚板であり、棚板8の左右端にそれぞれ固定された棚ブラケット9の後端が内ケース3の後壁で支持されている。
【0020】
冷気通路7は断面コ字状に形成されており、同通路7には冷凍装置を構成する蒸発器12と、本体ケース2内で空気を循環させる循環ファン13とが設置されている。循環ファン13はオープンショーケース1の運転中において常時駆動されており、循環ファン13の駆動により吹出口6から吸込口5へ向かって空気が吹き出されて、本体ケース2の前面開口に陳列室4への外気の侵入を抑制するエアカーテンが形成される。陳列室4は蒸発器12で熱交換され冷却された空気がエアカーテンによって供給されることで冷却される。
【0021】
本体ケース2の下側に区画された機械室14には、蒸発器12とともに冷凍装置を構成する圧縮機15および凝縮器16と、両者15・16を冷却する凝縮器ファン17などが設置されている。これら冷凍装置を構成する各機器12・15~17は図外の冷媒配管でループ状に接続されている。機械室14の前面には、機械室パネル18が着脱自在に装着されており、該機械室パネル18の着脱により機械室14を開閉できる。
【0022】
図3に示すように、機械室14に設置された冷凍装置を構成する先の機器15~17は、正面視において機械室14の左方に組み付けられており、機械室14の右方には、オープンショーケース1が備える照明機器や冷凍装置を制御する制御装置などが搭載される電装箱21が設置されている。具体的には、電装箱21は、同箱21を前後方向にスライド移動可能に吊り下げ支持するスライド機構22で機械室14内に組み付けられている(図2参照)。スライド機構22は、機械室14の上部に設けられた左右一対のガイド体23と、電装箱21の上部に設けられてガイド体23に係合案内される左右一対のランナー体24とを備える。図1および図4に示すように各ガイド体23は、機械室14の前方に配置される前ガイド23Aと、機械室14の後方に配置される後ガイド23Bとで構成される。また、各ランナー体24は、電装箱21の前方に配置される前ランナー24Aと、電装箱21の後方に配置される後ランナー24Bとで構成される。前ランナー24Aは前ガイド23Aで前後方向にスライド移動可能に係合支持され、後ランナー24Bは後ガイド23Bで前後方向にスライド移動可能に係合支持されている。機械室14内の左右方向における前後のガイド23A・23Bの配置位置は一致しており、平面視において前後に配置される前ガイド23Aと後ガイド23Bとは直線列状とされている。
【0023】
図1および図5に示すようにガイド体23は、ガイドベース27を介して本体ケース2の底壁2Aの下面(機械室14の天壁)に設けられている。ガイドベース27は、側面視で断面逆ハット状の支持枠28と、支持枠28の下壁の左右縁から下向きに延設される一対の垂直壁(支持壁)29とを備えている。各垂直壁29は、支持枠28の下壁の前後方向にわたって設けられており、その下縁は略中央部を境にして前側が高く後側が低い階段状に形成されている。垂直壁29の下縁の前側部分と後側部分には、前後のランナー24A・24Bを受止める支持部30がそれぞれ設けられている。本実施例では、各垂直壁29の前側下縁と後側下縁のそれぞれにレール片31が内向きに張り出し形成されており、該レール片31が支持部30を構成している。垂直壁29の前側下縁に形成された一対のレール片31が前ガイド23Aを構成しており、該前ガイド23Aは、機械室14の前後方向の中央部から該機械室14の前端部に至っている。また、垂直壁29の後側下縁に形成された一対のレール片31が後ガイド23Bを構成しており、該後ガイド23Bは、機械室14の後端部から該機械室14の前後方向の中央部に至っている。ガイドベース27の支持枠28および垂直壁29と、レール片31(支持部30)とは、所定形状に切り抜き加工した亜鉛めっき鋼板に折り曲げ加工を施して一体的に形成されている。レール片31は、ガイドベース27の前後の水平壁部分を機械室14の天壁に締結具で締結することにより、機械室14の天面に固定される。
【0024】
図1および図4に示すように電装箱21は、上面が開口する四角箱状に形成されており、その内部に制御装置などが搭載される。図示していないが、電装箱21内の制御装置は、電源線や通信線といったケーブルによりオープンショーケース1が備える各種機器と接続されている。電装箱21の左右の壁21A・21Bの上縁のそれぞれは、略中央部を境にして前側が高く後側が低い階段状に形成されており、前側上縁と後側上縁に前後のガイド23A・23Bで受止められる前後のランナー24A・24Bが設けられている。本実施例では、電装箱21の左右の壁21A・21Bの前側上縁と後側上縁のそれぞれにランナー片32が外向きに張り出し形成されている。左右の壁21A・21Bの前側上縁に形成された左右一対のランナー片32が前ランナー24Aを構成し、左右の壁21A・21Bの後側上縁に形成された左右一対のランナー片32が後ランナー24Bを構成している。電装箱21とランナー片32とは、所定形状に切り抜き加工した亜鉛めっき鋼板に折り曲げ加工を施して一体的に形成されている。
【0025】
各レール片31は水平壁で構成されている。具体的には、前ガイド23Aの前ランナー24Aを支持するレール片31(支持部30)の上面の伸び方向に基づいて前支持面33Aを規定し、後ガイド23Bの後ランナー24Bを支持するレール片31(支持部30)の伸び方向に基づいて後支持面33Bを規定したとき、前支持面33Aと後支持面33Bのそれぞれは、前後方向に走る水平面とされている。同様に、各ランナー片32は水平壁で構成されており、具体的には、前支持面33Aおよび後支持面33Bに係合支持(受け止め支持)される前ランナー24Aおよび後ランナー24Bの下面のそれぞれは、前後方向に走る水平面とされている。図1において符号36は、装着姿勢にある電装箱21を移動不能に保持するためのロックねじを示す。ロックねじ36を電装箱21の前壁の上縁に連続して形成される固定壁37を介して支持枠28にねじ込むことで、固定壁37がガイドベース27に締結固定されるので、電装箱21のスライド移動を規制することができる。
【0026】
前後のガイド23A・23Bのレール片31(支持部30)にランナー片32(前後のランナー24A・24B)を支持させた状態で、電装箱21を前方にスライド移動させたとき、後ランナー24Bのスライド軌跡は前ガイド23Aに干渉しないように構成されている。具体的には、図3に示すように、後ガイド23Bの後支持面33Bの前端部Paにおける高さ位置Haは、前ガイド23Aにおける前支持面33Aの後端部Pbにおける高さ位置Hbよりも低く設定されている。また、図3に示すように、後ガイド23Bにおける後支持面33Bの前端部Paにおける高さ位置Haと、前ガイド23Aを構成するレール片31の下面の後端部Pcにおける高さ位置(前ガイド23Aの下面の後端部Pcにおける高さ位置)Hcとで規定される上下方向のギャップ寸法Gは、後ランナー24Bの上下方向の厚み寸法Ta、換言すれば、後ランナー24Bを構成するランナー片32の上下方向の厚み寸法Tbよりも大きく設定されている。
【0027】
さらに、図3に示すように、支持枠28の下壁の下面と前支持面33Aとの間の上下寸法W1は、前ランナー24Aの上面と後ランナー24Bの下面との間の上下寸法W2よりも大きく設定されている。
【0028】
次に、以上のような構成からなる本実施例に係るオープンショーケースにおける、分離された電装箱21の装着方法について、図7を参照して説明する。まず、電装箱21の前後方向の半分程度を機械室14内に差し込み、電装箱21を機械室14の底面上に載置する。この状態から電装箱21を保持して持ち上げ、後ガイド23Bの後支持面33Bの先端に後ランナー24Bの後端を引っ掛ける。次いで、後ランナー24Bが後ガイド23Bで片持ち状に受け止め支持された電装箱21を後方に押し込みながら、前ガイド23Aの前支持面33Aの先端に前ランナー24Aの後端を引っ掛ける。こののち、電装箱21をその固定壁37が支持枠28に当接するまで後方に押し込むことで、電装箱21をスライド機構22で吊り下げ支持された装着状態にすることができる。最後に、ロックねじ36をねじ込んで電装箱21のスライド移動を規制して、装着操作が完了する。
【0029】
なお、本実施例に係るオープンショーケースでは、図8に示すような手順でも分離された電装箱21を装着させることができる。まず、機械室14前方の床面に載置した電装箱21を保持して持ち上げ、前ガイド23Aの前支持面33Aの先端に後ランナー24Bの後端を引っ掛ける。この状態で電装箱21を後方に押し込み、前支持面33Aで後ランナー24Bを受け止め支持したまま、前ランナー24Aを支持枠28の下壁の下面と前支持面33Aとの間に差し込む。この状態では、後ランナー24Bは前支持面33Aで受け止め支持されているが、前ランナー24Aは前支持面33Aから離間しており支持されていない。さらに、電装箱21を後方に押し込むと、前支持面33Aの後端側で後ランナー24Bの受け止め支持が解除され落下するが、落下した後ランナー24Bは、直後に後支持面33Bで受け止められ支持される。電装箱21の落下に伴い、電装箱21は下方に沈み込むので、前ランナー24Aは前支持面33Aで受け止め支持される。こののち、電装箱21をその固定壁37が支持枠28に当接するまで後方に押し込む。以降は先の装着方法と同様にして装着操作が完了する。なお、図8の装着方法は、上述のように、支持枠28の下壁の下面と前支持面33Aとの間の上下寸法W1を、前ランナー24Aの上面と後ランナー24Bの下面との間の上下寸法W2よりも大きく設定したことに拠る。
【0030】
次に、電装箱21の分離操作(取り外し作業)について、図6を参照して説明する。まず、機械室パネル18を機械室14の前面から分離し、機械室14の正面側から電装箱21にアクセスできるようにする。次いで、ロックねじ36を緩め操作して支持枠28に対する固定壁37の締結固定を解除することで電装箱21はスライド可能な状態となる。この状態で、電装箱21を保持して手前側(前方側)に引くことにより、前ランナー24Aおよび後ランナー24Bが前ガイド23Aおよび後ガイド23B上をスライド移動しながら、電装箱21が機械室14の外部へと引き出される。電装箱21の前後方向の略半分ほどを引き出すと、先に前側のガイド23Aとランナー24Aとの係合状態が解除される。さらに、電装箱21を手前側に引き出すと、後側のガイド23Bとランナー24Bとの係合状態が解除されて、スライド機構22による電装箱21の吊り下げ支持状態が解除され、電装箱21を機械室14の底面上等に降下させることができる。
【0031】
以上のように、本実施例に係るオープンショーケース1によれば、前ランナー24Aの前ガイド23Aとの間の係合状態と、後ランナー24Bの後ガイド23Bとの間の係合状態とを解除することで、電装箱21の吊り下げ支持状態を解除して、電装箱21を降下させることができるので、電装箱21の奥行長の全てを引き出さずとも、より小さなスライド移動幅で電装箱21を降下させることができ、より作業効率良くメンテナンス作業を行うことができる。また、降下時の電装箱21のスライド移動幅を小さくした分だけ、電源線や通信線といったケーブル長の遊びしろを小さくすることができるので、ケーブルの引きまわし構成を簡素化することができる。ケーブルの引き回しが煩雑化することを防ぐこともできる。
【0032】
具体的には、スライド機構22により機械室14内に電装箱21が組付けられた装着姿勢から、電装箱21を前方向にスライド移動させて後ランナー24Bと後ガイド23Bとの係合状態が解除されるとき、前ランナー24Aと前ガイド23Aとの係合状態が解除されるように構成したので、前後のガイド23A・23Bの前後方向の長さ寸法を機械室14の全長の半分程度とすることができ、また、電装箱21を機械室14の全長の半分程度、スライド移動させることで、吊り下げ支持状態を解除して電装箱21を降下させることができる。したがって、作業効率良くメンテナンス作業を行うことができるとともに、ケーブルの引き回し構成を簡素化することができる。
【0033】
前後のガイド23A・23Bをレール片31で構成し、前後のランナー24A・24Bをランナー片32で構成したので、スライド機構22を大幅に簡素化して、省スペース化を図ることができる。また、後支持面33Bの前端部Paにおける高さ位置Haと、前ガイド23Aを構成するレール片31の下面の後端部Pcにおける高さ位置Hcとで規定される上下方向のギャップ寸法Gを、後ランナー24Bを構成するランナー片32の上下方向の厚み寸法Tbよりも大きく設定したので、後ランナー24Bを前方にスライド移動させた際の後ランナー24Bのスライド軌跡が前ガイド23Aに干渉することを防ぐことができる。
【0034】
(実施例2) 図9に実施例2に係るオープンショーケースを示す。本実施例では、前ガイド23Aを構成するレール片31(支持壁30)および後ガイド23Bを構成するレール片31(支持壁30)のそれぞれを、前端部が後端部より低い位置に設けた傾斜壁で構成して、前支持面33Aと後支持面33Bのそれぞれが、後方に行くに従って下がる傾斜面とされている点が実施例1のスライド機構22と異なる。また、前ランナー24Aを構成するランナー片32および後ランナー24Bを構成するランナー片32のそれぞれが、前端部が後端部より低い位置に設けた傾斜壁で構成されている点が実施例1のスライド機構22と異なる。レール片31およびランナー片32を構成する傾斜壁の勾配は同一に設定されている。他は実施例1と同じであるので、同じ部材に同じ符号を付してその説明を省略する。以下の実施例においても同じとする。
【0035】
上記のように、前支持面33Aと後支持面33Bのそれぞれが、後方に行くに従って下がる傾斜面とされていると、電装箱21を後方向に移動勝手な構成とすることができ、電装箱21が不用意に前方にスライド移動することを防ぐことができる。スライド機構22で電装箱21の不用意な前方スライド移動を防ぐので、実施例1におけるロックねじ36を省略することができる。なお、前支持面33Aと後支持面33Bのそれぞれを、後方に行くに従って上がる傾斜面とすることも想定でき、その場合には、電装箱21の分離操作(取り外し作業)時に、電装箱21の自重を利用して小さな引き出し力で電装箱21を手前側(前方側)に引き出すことが可能となる。
【0036】
(実施例3) 図10に実施例3に係るオープンショーケースを示す。本実施例では、前後のガイド23A・23Bの支持部30をレール片31に替えて、前後一対のローラ40・40とした点が実施例1のスライド機構22と異なる。各ローラ40は、支持枠28の下壁の左右縁から下向きに延設される舌片状の垂直壁(支持壁)29の内面側に、横軸からなるローラ軸41で回転可能に設けられている。各ローラ40は同形同大であり、前ガイド23Aを構成するローラ40のローラ軸41の高さ位置は一致している。同様に、後ガイド23Bを構成するローラ40のローラ軸41の高さ位置は一致している。前ガイド23Aの支持部30の前支持面33Aは、一対のローラ40・40の上半部における共通外接線に一致している。同様に、後ガイド23Bの支持部30の後支持面33Bは、一対のローラ40・40の上半部における共通外接線に一致している。前支持面33Aと後支持面33Bのそれぞれは、前後方向に走る水平面とされている。
【0037】
実施例1における後ガイド23Bの後支持面33Bの前端部Paにおける高さ位置Ha、前ガイド23Aにおける前支持面33Aの後端部Pbにおける高さ位置Hb、および前ガイド23Aの下面の後端部Pcにおける高さ位置Hcは、それぞれ本実施例における後ガイド23Bの前側のローラ40の最上部、前ガイド23Bの後側のローラ40の最上部、および前ガイド23Bの後側のローラ40の最下部に相当する。前記高さ位置Haと前記高さ位置Hcとで規定される上下方向のギャップ寸法Gは、後ランナー24B(レール片31)の厚み寸法Tb(Ta)よりも大きく設定されている。なお、前後のガイド23A・23Bの支持部30をレール片31で構成し、前後のランナー24A・24Bのランナー片32を前後一対のローラ40で構成することもできる。
【0038】
上記の各実施例では、機械室14の右方に電装箱21を設置したが、機械室14の右方に冷凍機器を組み付け、左方に電装箱21を設置してもよい。本発明は、本体ケース2の左右側または上側に機械室14が区画されたオープンショーケースにも適用することができる。本発明はオープンショーケース以外に、リーチインショーケース、業務用の冷凍冷蔵庫、冷却庫、保冷庫などにも適用することができる。
【符号の説明】
【0039】
1 貯蔵庫(オープンショーケース)
14 機械室
21 電装箱
22 スライド機構
23 ガイド体
23A 前ガイド
23B 後ガイド
24 ランナー体
24A 前ランナー
24B 後ランナー
30 支持部
31 レール片
32 ランナー片
33A 前支持面
33B 後支持面
G ギャップ寸法
Ha 後支持面の前端部における高さ位置
Hb 前支持面の後端部における高さ位置
Hc 前ガイドの下面の後端部における高さ位置
(レール片の下面の後端部における高さ位置)
Pa 後支持面の前端部
Pb 前支持面の後端部
Pc 前ガイドの下面の後端部
Ta 後ランナーの上下方向の厚み寸法
Tb ランナー片の上下方向の厚み寸法
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10