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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-22
(45)【発行日】2024-01-05
(54)【発明の名称】鉄筋配置方法
(51)【国際特許分類】
   E04G 21/12 20060101AFI20231225BHJP
   E04C 5/04 20060101ALI20231225BHJP
   B21F 27/08 20060101ALI20231225BHJP
【FI】
E04G21/12 105D
E04C5/04
B21F27/08
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020022425
(22)【出願日】2020-02-13
(65)【公開番号】P2021127599
(43)【公開日】2021-09-02
【審査請求日】2022-07-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000001373
【氏名又は名称】鹿島建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100122781
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 寛
(74)【代理人】
【識別番号】100133064
【弁理士】
【氏名又は名称】大野 新
(72)【発明者】
【氏名】河野 哲也
(72)【発明者】
【氏名】三室 恵史
(72)【発明者】
【氏名】坂西 由弘
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 豊和
【審査官】山口 敦司
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-037994(JP,A)
【文献】特開2019-027224(JP,A)
【文献】特開平06-220956(JP,A)
【文献】特開平11-071858(JP,A)
【文献】特開2000-110358(JP,A)
【文献】特開昭56-095732(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 21/12
E04C 5/04
E04C 5/18
B21F 27/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
その長手方向が互いに平行になるようにしつつ、その前記長手方向に直交する方向に互いに間隔を隔てて配置された複数の鉄筋と、
前記間隔を隔てて配置された互いに隣接する前記鉄筋を連結する間隔保持線と、
前記間隔保持線により連結された複数の前記鉄筋がその周りに巻き付けられた芯材と、
を備えた鉄筋ユニットを用いた鉄筋配置方法であって、
前記芯材の周りに巻き付けられた前記鉄筋が展開される方向に前記芯材を回転させる力である惰力を前記鉄筋ユニットに付与する惰力付与部材を配置する惰力付与部材配置工程を備え、
前記惰力付与部材は、重力により前記鉄筋ユニットに前記惰力を付与する斜面部を有し、
前記惰力付与部材配置工程では、前記鉄筋ユニットのいずれかの前記鉄筋を前記斜面部の上に配置し、
前記惰力付与部材の下に前記芯材の周りに最後の周回で巻き付けられた前記鉄筋が配置され、前記惰力付与部材の前記斜面部の上に前記芯材の周りに最後の周回から1周前の周回で巻き付けられた前記鉄筋が配置される、
鉄筋配置方法
【請求項2】
前記惰力付与部材配置工程では、前記芯材の周りに最後の周回で巻き付けられた前記鉄筋と、前記芯材の周りに最後の周回から1周前の周回で巻き付けられた前記鉄筋との間に予め前記惰力付与部材が挿入された前記鉄筋ユニットを配置することにより、前記惰力付与部材を配置する、請求項に記載の鉄筋配置方法。
【請求項3】
前記惰力付与部材により付与される前記惰力により前記芯材が回転を始めないように前記鉄筋ユニットを停止させる停止部材を配置する停止部材配置工程と、
前記惰力付与部材配置工程の後に、前記停止部材配置工程で配置された前記停止部材が前記鉄筋ユニットを停止させないようにする停止部材解除工程と、
をさらに備えた、請求項1または請求項2に記載の鉄筋配置方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄筋配置方法に関する。
【背景技術】
【0002】
長手方向が互いに平行になるようにしつつ、その長手方向に直交する方向に互いに間隔を隔てて配置された複数の鉄筋と、間隔を隔てて配置された互いに隣接する鉄筋を連結する間隔保持線と、間隔保持線により連結された複数の鉄筋がその周りに巻き付けられた芯材とを備えた鉄筋ユニットが知られている。例えば、特許文献1には、芯材の端部に備えられたハンドルを回転させて、芯材を作業台上で鉄筋の長手方向に直交する方向に転がしながら、間隔保持線により連結された複数の鉄筋を芯材に巻き付けて鉄筋ユニットを製造することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007‐63938号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のような技術では、鉄筋の配置場所で鉄筋ユニットが転がされ、鉄筋ユニットの芯材に巻き付けられた鉄筋が展開される際には、鉄筋ユニットを転がすために大きな力を必要とする。そのため、鉄筋ユニットを転がす力を準備するために、多数の作業員又は大きな駆動力を有する機械が必要になる。
【0005】
そこで本発明は、鉄筋の配置をより容易に行うことができる鉄筋配置方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、その長手方向が互いに平行になるようにしつつ、その長手方向に直交する方向に互いに間隔を隔てて配置された複数の鉄筋と、間隔を隔てて配置された互いに隣接する鉄筋を連結する間隔保持線と、間隔保持線により連結された複数の鉄筋がその周りに巻き付けられた芯材とを備えた鉄筋ユニットを用いた鉄筋配置方法であって、芯材の周りに巻き付けられた鉄筋が展開される方向に芯材を回転させる力である惰力を鉄筋ユニットに付与する惰力付与部材を配置する惰力付与部材配置工程を備え、惰力付与部材は、重力により鉄筋ユニットに惰力を付与する斜面部を有し、惰力付与部材配置工程では、鉄筋ユニットのいずれかの鉄筋を斜面部の上に配置し、惰力付与部材の下に芯材の周りに最後の周回で巻き付けられた鉄筋が配置され、惰力付与部材の斜面部の上に芯材の周りに最後の周回から1周前の周回で巻き付けられた鉄筋が配置される。
【0007】
鉄筋ユニットの芯材に巻き付けられた鉄筋が展開される際に鉄筋ユニットを転がすためには、鉄筋ユニットの転がし始めでは鉄筋ユニットが回転する慣性が無い状態であるために大きな力が必要であるが、鉄筋ユニットが転がり始めると鉄筋ユニットが回転する慣性を有するため、比較的に小さな力で鉄筋ユニットを転がすことが可能である。そこで、この構成では、その長手方向が互いに平行になるようにしつつ、その長手方向に直交する方向に互いに間隔を隔てて配置された複数の鉄筋と、間隔を隔てて配置された互いに隣接する鉄筋を連結する間隔保持線と、間隔保持線により連結された複数の鉄筋がその周りに巻き付けられた芯材とを備えた鉄筋ユニットを用いた鉄筋配置方法において、惰力付与工程で、芯材の周りに巻き付けられた鉄筋が展開される方向に芯材が回転を始めるように鉄筋ユニットに惰力を付与する惰力付与部材が配置されるため、鉄筋ユニットをより小さな力で転がし始めることができ、鉄筋の配置をより容易に行うことができる。
【0009】
この構成によれば、惰力付与部材は、重力により鉄筋ユニットに惰力を付与する斜面部を有し、惰力付与部材配置工程では、鉄筋ユニットのいずれかの鉄筋を斜面部の上に配置することにより鉄筋ユニットに惰力を付与するため、単純な構造の惰力付与部材によって、より容易に鉄筋ユニットに惰力を付与することができる。
【0010】
また、惰力付与部材は、流体を供給されることによって膨張することにより鉄筋ユニットに惰力を付与する膨張部を有し、惰力付与部材配置工程では、鉄筋ユニットのいずれかの鉄筋を膨張部の上に配置してもよい。
【0011】
この構成によれば、惰力付与部材は、流体を供給されることによって膨張することにより鉄筋ユニットに惰力を付与する膨張部を有し、惰力付与部材配置工程では、鉄筋ユニットのいずれかの鉄筋を膨張部の上に配置することにより鉄筋ユニットに惰力を付与するため、単純な構造の惰力付与部材によって、より容易に鉄筋ユニットに惰力を付与することができる。
【0012】
また、惰力付与部材配置工程では、芯材の周りに最後の周回で巻き付けられた鉄筋の下に惰力付与部材を配置してもよい。
【0013】
この構成によれば、惰力付与部材配置工程では、芯材の周りに最後の周回で巻き付けられた鉄筋の下に惰力付与部材を配置するため、単に惰力付与部材の上に鉄筋ユニットが配置された状態とすればよく、惰力付与部材の配置がより容易となる。
【0014】
また、惰力付与部材配置工程では、芯材の周りに最後の周回で巻き付けられた鉄筋と、芯材の周りに最後の周回から1周前の周回で巻き付けられた鉄筋との間に惰力付与部材を配置してもよい。
【0015】
この構成によれば、惰力付与部材配置工程では、芯材の周りに最後の周回で巻き付けられた鉄筋と、芯材の周りに最後の周回から1周前の周回で巻き付けられた鉄筋との間に惰力付与部材を配置するため、鉄筋の配置後は、展開された鉄筋の上から惰力付与部材を撤去するだけでよく、鉄筋の配置後の惰力付与部材の撤去がより容易となる。
【0016】
この場合、惰力付与部材配置工程では、芯材の周りに最後の周回で巻き付けられた鉄筋と、芯材の周りに最後の周回から1周前の周回で巻き付けられた鉄筋との間に予め惰力付与部材が挿入された鉄筋ユニットを配置することにより、惰力付与部材を配置してもよい。
【0017】
この構成によれば、惰力付与部材配置工程では、芯材の周りに最後の周回で巻き付けられた鉄筋と、芯材の周りに最後の周回から1周前の周回で巻き付けられた鉄筋との間に予め惰力付与部材が挿入された鉄筋ユニットを配置することにより、惰力付与部材を配置するため、鉄筋ユニットの配置と惰力付与部材の配置とを同時に行うことができ、鉄筋の配置場所での作業の効率が向上する。
【0018】
また、惰力付与部材により付与される惰力により芯材が回転を始めないように鉄筋ユニットを停止させる停止部材を配置する停止部材配置工程と、惰力付与部材配置工程の後に、停止部材配置工程で配置された停止部材が鉄筋ユニットを停止させないようにする停止部材解除工程とをさらに備えてもよい。
【0019】
この構成によれば、停止部材配置工程で、惰力付与部材により付与される惰力により芯材が回転を始めないように鉄筋ユニットを停止させる停止部材が配置され、停止部材解除工程で、惰力付与部材配置工程の後に、停止部材配置工程で配置された停止部材が鉄筋ユニットを停止させないようにされるため、惰力付与部材配置工程の後に鉄筋ユニットが転がり始めるタイミングを制御することがより容易となる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の鉄筋配置方法によれば、鉄筋の配置をより容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】第1実施形態の鉄筋ユニットを示す斜視図である。
図2】第1実施形態の鉄筋ユニットを示す側面図である。
図3】第1実施形態の鉄筋配置方法の惰力付与部材配置工程を示す側面図である。
図4】第2実施形態の鉄筋配置方法の惰力付与部材配置工程を示す側面図である。
図5】第2実施形態の鉄筋配置方法で予め惰力付与部材が挿入される鉄筋ユニットを示す斜視図である。
図6】第3実施形態の鉄筋配置方法の惰力付与部材配置工程を示す側面図である。
図7】第4実施形態の鉄筋配置方法の惰力付与部材配置工程を示す側面図である。
図8】第5実施形態の鉄筋配置方法の停止部材配置工程を示す側面図である。
図9】第5実施形態の鉄筋配置方法の停止部材解除工程を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照しつつ本発明に係る鉄筋配置方法について詳細に説明する。図1及び図2に示されるように、本発明の第1実施形態の鉄筋ユニット1は、鉄筋2、間隔保持線3、芯材4及び引張線7を備えている。鉄筋2は、その長手方向Yが互いに平行になるようにしつつ、その長手方向Yに直交する方向である幅方向Xに互いに間隔pを隔てて配置されている。
【0023】
間隔保持線3は、間隔pを隔てて配置された互いに隣接する鉄筋2を連結する。本実施形態では、間隔保持線3は、間隔保持線3のキンクのし難さと鉄筋ユニット1の展開のし易さしやすさとを考慮し、硬さや剛性を考慮して決定される。間隔保持線3は、例えば、番線(鈍し鉄線)である。番線は、加熱した後に徐々に冷やす焼き鈍ましによって得られる比較的柔らかい鉄線である。
【0024】
例えば、鉄筋2の径がD10~D22までは、14番(線径2.0mm)の番線である間隔保持線3が使用される。14番の番線である間隔保持線3は、例えば、線径2.0±0.05mm、引張強さ290~540N/mm、亜鉛付着量25g/mである。また、例えば、鉄筋2の径がD25~D32までは、12番(線径2.6mm)の番線である間隔保持線3が使用される。
【0025】
芯材4は、間隔保持線3により連結された複数の鉄筋2がその周りに複数の層をなすように巻き付けられる。芯材4は、鋼製の線材が円柱の側面で螺旋状をなすように湾曲させられることにより形成された螺旋線材5と、鉄筋2が掛けられるフック部6とを有する。なお、鉄筋ユニット1の鉄筋2の数が少ない、鉄筋2の重量が軽い等の状況に応じて、フック部6は省略されてもよい。
【0026】
芯材4の径は、例えば、芯材4に最も近い層では鉄筋2の数が3本になるようにし、芯材4に近い順の1~5、6層目までは層のそれぞれの鉄筋2が重ならないようにし、その他の層では鉄筋2の重なりは考慮せずに決定してもよい。例えば、鉄筋2の径がD10~D22までは、芯材4の直径は、例えば、300mmにできる。また、鉄筋2の径がD25~D32までは、芯材4の直径は、例えば、400mmにできる。鉄筋2の径が太い場合は、芯材4の径を大きくした方が鉄筋ユニット1を転がし易い。
【0027】
引張線7は、芯材4の周りに複数の層をなして巻き付けられた複数の鉄筋2の層の間に巻き込まれるように巻き付けられている。引張線7は、例えば、ロープ、ワイヤ及びチェーンのいずれかを適用することができる。図1及び図2に示されるように、引張線7の一端は、間隔保持線3により連結された複数の鉄筋2の内の一方の端部の鉄筋2であって、芯材4のフック部6に固定された鉄筋2に固定されている。なお、引張線7の一端は芯材4に固定されていてもよい。また、例えば、鉄筋ユニット1の鉄筋2の数が少ない、鉄筋2の重量が軽い、引張線7の外面の摩擦係数が大きい等の状況に応じて、引張線7は省略されてもよい。図1の例では、引張線7はリール8に巻き付けられている。
【0028】
以下、本実施形態の鉄筋配置方法について説明する。図3に示されるように、本実施形態では、芯材4の周りに巻き付けられた鉄筋2が展開される方向に芯材4が回転を始めるように、鉄筋ユニット1に惰力を付与する惰力付与部材10Aを鉄筋2の配置面Sに配置する惰力付与部材配置工程が実行される。惰力付与部材10Aは、重力により鉄筋ユニット1に惰力を付与する斜面部11を有する。惰力付与部材10Aは、例えば、金属、ゴム等で形成された斜面部11を有する楔である。斜面部11の傾斜角及び大きさは、鉄筋ユニット1の重量及び大きさに応じて、鉄筋ユニット1に十分な惰力を付与可能な傾斜角及び大きさとされる。
【0029】
惰力付与部材配置工程では、鉄筋ユニット1のいずれかの鉄筋2が斜面部11の上に配置される。本実施形態では、惰力付与部材配置工程では、芯材4の周りに最後の周回で巻き付けられた鉄筋2と、芯材4の周りに最後の周回から1周前の周回で巻き付けられた鉄筋2´との間に惰力付与部材10Aが配置される。惰力付与部材10Aの下に芯材4の周りに最後の周回で巻き付けられた鉄筋2が配置され、惰力付与部材10Aの斜面部11の上に芯材4の周りに最後の周回から1周前の周回で巻き付けられた鉄筋2´が配置される。
【0030】
本実施形態では、鉄筋ユニット1を転がし始める力を簡易に与える方法として、鉄筋ユニット1が配置面Sに配置される際に、斜面部11を有する惰力付与部材10Aが配置され、鉄筋ユニット1が自身の重量により転がる力を得ることで、鉄筋ユニット1を転がし始める力を簡易に得ることができる。鉄筋ユニット1が転がり始めた後は、鉄筋ユニット1が転がり続ける慣性と、引張線7を引っ張る巻取機械20等の機械の力又は引張線7を引っ張る人力とを合わせることで、配置面Sに鉄筋2を展開可能となる。なお、可能な場合は、巻取機械20等の機械及び人力による引張線7の引っ張りは省略されてもよい。
【0031】
また、後述する他の実施形態の他に、鉄筋ユニット1の鉄筋2の展開を開始するタイミングを図るため、ジャッキ等で鉄筋ユニット1がリフトアップされた状態から、鉄筋ユニット1が惰力付与部材10Aの斜面部11の上にジャッキダウンされ、鉄筋ユニット1が惰力付与部材10Aの斜面部11の上に載せられて、鉄筋ユニット1が転がされ始めてもよい。
【0032】
鉄筋ユニット1の芯材4に巻き付けられた鉄筋2が展開される際に鉄筋ユニット1を転がすためには、鉄筋ユニット1の転がし始めでは鉄筋ユニット1が回転する慣性が無い状態であるために大きな力が必要であるが、鉄筋ユニット1が転がり始めると鉄筋ユニット1が回転する慣性を有するため、比較的に小さな力で鉄筋ユニット1を転がすことが可能である。
【0033】
そこで、本実施形態では、その長手方向Yが互いに平行になるようにしつつ、その長手方向Yに直交する方向である幅方向Xに互いに間隔pを隔てて配置された複数の鉄筋2と、間隔pを隔てて配置された互いに隣接する鉄筋2を連結する間隔保持線3と、間隔保持線3により連結された複数の鉄筋2がその周りに巻き付けられた芯材4とを備えた鉄筋ユニット1を用いた鉄筋配置方法において、惰力付与工程で、芯材4の周りに巻き付けられた鉄筋2が展開される方向に芯材4が回転を始めるように鉄筋ユニット1に惰力を付与する惰力付与部材10Aが配置されるため、鉄筋ユニット1をより小さな力で転がし始めることができ、鉄筋2の配置をより容易に行うことができる。
【0034】
また、本実施形態によれば、惰力付与部材10Aは、重力により鉄筋ユニット1に惰力を付与する斜面部11を有し、惰力付与部材配置工程では、鉄筋ユニット1のいずれかの鉄筋2を斜面部11の上に配置することにより鉄筋ユニット1に惰力を付与するため、単純な構造の惰力付与部材10Aによって、より容易に鉄筋ユニット1に惰力を付与することができる。
【0035】
また、本実施形態によれば、惰力付与部材配置工程では、芯材4の周りに最後の周回で巻き付けられた鉄筋2と、芯材4の周りに最後の周回から1周前の周回で巻き付けられた鉄筋2´との間に惰力付与部材10Aを配置するため、鉄筋2の配置後は、展開された鉄筋2の上から惰力付与部材10Aを撤去するだけでよく、鉄筋2の配置後の惰力付与部材10Aの撤去がより容易となる。
【0036】
以下、本発明の第2実施形態について説明する。図4に示されるように、惰力付与部材10Bは、流体を供給されることによって膨張することにより鉄筋ユニット1に惰力を付与する膨張部12を有する。惰力付与部材配置工程では、鉄筋ユニット1のいずれかの鉄筋2が膨張部12の上に配置される。惰力付与部材10Bは、例えば、コンプレッサ30Aにより圧縮空気を供給されることによって膨張する膨張部12を有するエアチューブである。
【0037】
本実施形態では、惰力付与部材配置工程では、芯材4の周りに最後の周回で巻き付けられた鉄筋2と、芯材4の周りに最後の周回から1周前の周回で巻き付けられた鉄筋2´との間にのみ惰力付与部材10Bが配置される。惰力付与部材10Bの膨張部12の下に芯材4の周りに最後の周回で巻き付けられた鉄筋2が配置され、惰力付与部材10Bの膨張部12の上に芯材4の周りに最後の周回から1周前の周回で巻き付けられた鉄筋2´が配置される。
【0038】
図4及び図5に示されるように、本実施形態では、惰力付与部材配置工程では、芯材4の周りに最後の周回で巻き付けられた鉄筋2と、芯材4の周りに最後の周回から1周前の周回で巻き付けられた鉄筋2´との間に予め惰力付与部材10Bが挿入された鉄筋ユニット1が配置面Sに配置されることにより、惰力付与部材10Bが配置される。例えば、鉄筋ユニット1の製造時において、鉄筋2と鉄筋2´との間に予め惰力付与部材10Bが挿入される。また、鉄筋ユニット1が配置面Sに搬送される前に、鉄筋2と鉄筋2´との間に予め惰力付与部材10Bが挿入されてもよい。
【0039】
惰力付与部材10Bは、コンプレッサ30Aにより圧縮空気等を供給されることによって膨張部12が膨張する。膨張した膨張部12が、芯材4の周りに最後の周回で巻き付けられた鉄筋2と、芯材4の周りに最後の周回から1周前の周回で巻き付けられた鉄筋2´との間を押し拡げることにより、鉄筋ユニット1に惰力が付与される。なお、惰力付与部材10Bの膨張部12は、流体を供給されることによって、上記第1実施形態の惰力付与部材10Aと同様に斜面部11を形成し、重力により鉄筋ユニット1に惰力を付与してもよい。
【0040】
本実施形態によれば、惰力付与部材10Bは、流体を供給されることによって膨張することにより鉄筋ユニット1に惰力を付与する膨張部12を有し、惰力付与部材配置工程では、鉄筋ユニット1のいずれかの鉄筋2を膨張部12の上に配置することにより鉄筋ユニット1に惰力を付与するため、単純な構造の惰力付与部材10Bによって、より容易に鉄筋ユニット1に惰力を付与することができる。
【0041】
また、本実施形態によれば、惰力付与部材配置工程では、芯材4の周りに最後の周回で巻き付けられた鉄筋2と、芯材4の周りに最後の周回から1周前の周回で巻き付けられた鉄筋2´との間に予め惰力付与部材10Bが挿入された鉄筋ユニット1を配置することにより、惰力付与部材10Bを配置するため、鉄筋ユニット1の配置と惰力付与部材10Bの配置とを同時に行うことができ、鉄筋2の配置場所の配置面Sでの作業の効率が向上する。
【0042】
また、本実施形態によれば、惰力付与部材配置工程では、芯材4の周りに最後の周回で巻き付けられた鉄筋2と、芯材4の周りに最後の周回から1周前の周回で巻き付けられた鉄筋2´との間に惰力付与部材10Bを配置するため、鉄筋2の配置後は、展開された鉄筋2の上から惰力付与部材10Bを撤去するだけでよく、エアチューブである惰力付与部材10Bは軽量であり、内部の空気が排気された後には惰力付与部材10Bを小さく折り畳むことも容易であるため、鉄筋2の配置後の惰力付与部材10Bの撤去がさらに容易となる。
【0043】
以下、本発明の第3実施形態について説明する。図6に示されるように、本実施形態では、惰力付与部材配置工程では、芯材4の周りに最後の周回で巻き付けられた鉄筋2の下に惰力付与部材10Aが配置される。つまり、本実施形態では、惰力付与部材10Aは配置面Sに直接に配置され、惰力付与部材10Aの下には何も配置されず、惰力付与部材10Aの斜面部11の上に芯材4の周りに最後の周回で巻き付けられた鉄筋2が配置される。
【0044】
本実施形態によれば、惰力付与部材配置工程では、芯材4の周りに最後の周回で巻き付けられた鉄筋2の下に惰力付与部材10Aを配置するため、単に惰力付与部材10Aの上に鉄筋ユニット1が配置された状態とすればよく、惰力付与部材10Aの配置がより容易となる。
【0045】
また、図7に示される本発明の第4実施形態のように、惰力付与部材配置工程では、芯材4の周りに最後の周回で巻き付けられた鉄筋2の下に惰力付与部材10Bが配置されてもよい。つまり、本実施形態では、惰力付与部材10Bは配置面Sに直接に配置され、惰力付与部材10Bの下には何も配置されず、惰力付与部材10Bの膨張部12の上に芯材4の周りに最後の周回で巻き付けられた鉄筋2が配置される。
【0046】
本実施形態によれば、惰力付与部材配置工程では、芯材4の周りに最後の周回で巻き付けられた鉄筋2の下に惰力付与部材10Bを配置するため、単に惰力付与部材10Bの上に鉄筋ユニット1が配置された状態とすればよく、惰力付与部材10Bの配置がより容易となる。なお、鉄筋2の配置後は、展開された鉄筋2の下から惰力付与部材10Bを撤去する必要があるが、エアチューブである惰力付与部材10Bは軽量であり、内部の空気が排気された後には惰力付与部材10Bは小さく薄くなるため、展開された鉄筋2の下から惰力付与部材10Bを撤去することも容易である。
【0047】
以下、本発明の第5実施形態について説明する。図8及び図9に示されるように、本実施形態では、上記第4実施形態の惰力付与部材配置工程において、惰力付与部材10Bにより付与される惰力により芯材4が回転を始めないように鉄筋ユニット1を停止させる停止部材40を配置する停止部材配置工程が実行される。停止部材40は、例えば、上記第2実施形態及び第4実施形態の惰力付与部材10Bと同様のエアチューブであり、コンプレッサ30Bにより圧縮空気等の流体を供給されることによって膨張し、芯材4が回転を始めないように鉄筋ユニット1を停止させる。
【0048】
停止部材配置工程は、惰力付与部材配置工程の前に実行されても、惰力付与部材配置工程の後に実行されてもよい。また、惰力付与部材10Bと停止部材40とが互いに別々に膨張収縮自在であるように仕切られつつ連結されており、互いに連結された惰力付与部材10Bと停止部材40とが配置されることにより、惰力付与部材配置工程と停止部材配置工程とが同時に実行されてもよい。また、停止部材40は、上記第1実施形態及び第3実施形態の惰力付与部材10Aと同様に斜面部11を有する楔でもよい。
【0049】
惰力付与部材配置工程の後に、停止部材配置工程で配置された停止部材40が鉄筋ユニット1を停止させないようにする停止部材解除工程が実行される。本実施形態では、コンプレッサ30Bにより、エアチューブである停止部材40の内部から空気等の流体が排気されることにより、停止部材40が収縮し、停止部材40が鉄筋ユニット1を停止させないようになる。なお、停止部材40が上記第1実施形態及び第3実施形態の惰力付与部材10Aと同様に斜面部11を有する楔である場合には、停止部材解除工程では、停止部材40が鉄筋ユニット1から除去される。また、以上の停止部材配置工程及び停止部材解除工程は、上記第1実施形態~第3実施形態のいずれにおいても実行されてもよい。
【0050】
本実施形態によれば、停止部材配置工程で、惰力付与部材10Bにより付与される惰力により芯材4が回転を始めないように鉄筋ユニット1を停止させる停止部材40が配置され、停止部材解除工程で、惰力付与部材配置工程の後に、停止部材配置工程で配置された停止部材40が鉄筋ユニット1を停止させないようにされるため、惰力付与部材配置工程の後に鉄筋ユニット1が転がり始めるタイミングを制御することがより容易となる。
【0051】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されることなく様々な形態で実施される。例えば、惰力付与部材10A,10B及び停止部材40の構造、形状、配置及び数量は、適宜変更し得る。
【符号の説明】
【0052】
1…鉄筋ユニット、2,2´…鉄筋、3…間隔保持線、4…芯材、5…螺旋線材、6…フック部、7…引張線、8…リール、10A,10B…惰力付与部材、11…斜面部、12…膨張部、20…巻取機械、30A,30B…コンプレッサ、40…停止部材、X…幅方向、Y…長手方向、p…間隔、S…配置面。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9