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特許7408441親局装置、基地局、および、通信制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-22
(45)【発行日】2024-01-05
(54)【発明の名称】親局装置、基地局、および、通信制御方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 72/54 20230101AFI20231225BHJP
   H04W 88/08 20090101ALI20231225BHJP
   H04W 72/0446 20230101ALI20231225BHJP
   H04W 72/0453 20230101ALI20231225BHJP
【FI】
H04W72/54
H04W88/08
H04W72/0446
H04W72/0453
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020042059
(22)【出願日】2020-03-11
(65)【公開番号】P2021145217
(43)【公開日】2021-09-24
【審査請求日】2022-12-21
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和元年度、総務省 「第5世代移動通信システムの更なる高度化に向けた研究開発」に関する委託事業、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】000005821
【氏名又は名称】パナソニックホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】関 裕太
(72)【発明者】
【氏名】牟田 竜二
【審査官】長谷川 未貴
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0198539(US,A1)
【文献】国際公開第2009/001594(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC H04B 7/24 - 7/26
H04W 4/00 - 99/00
DB名 3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フロントホールの伝送品質情報と端末のチャネル品質情報とに基づいて、前記端末に割り当てる前記フロントホールのリソース及び伝送方式を決定する制御部と、
決定した情報に基づいて、前記リソースによって前記フロントホールへ送信する信号の伝送方式を制御する送信器と、
を備え、
前記制御部は、前記チャネル品質情報が閾値未満の第1の端末に前記フロントホールの伝送方式のうち第1の伝送方式を割り当て、前記チャネル品質情報が閾値以上の第2の端末に、前記第1の伝送方式よりも誤り耐性の高い第2の伝送方式を割り当てる、
親局装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記チャネル品質情報に基づいて分類した端末グループ毎に、前記フロントホールのリソース及び伝送方式を決定する、
請求項1に記載の親局装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記第1の端末を前記フロントホールの第1リソースに割り当て、前記第2の端末を前記フロントホールの第2リソースに割り当てる、
請求項に記載の親局装置。
【請求項4】
前記閾値は、前記フロントホールの伝送品質情報に基づく、
請求項に記載の親局装置。
【請求項5】
前記第1リソース及び前記第2リソースのそれぞれは、前記フロントホールのリソースを時間軸及び周波数軸の少なくとも1つにおいて分割したリソースの1つである、
請求項に記載の親局装置。
【請求項6】
前記制御部により決定した情報に基づいて、前記リソースによって前記フロントホールから受信する信号の伝送方式を制御する受信器、
を備えた、請求項1からの何れか1項に記載の親局装置。
【請求項7】
フロントホールへ信号を送信する送信器と、
前記フロントホールから前記信号を受信する受信器と、
前記受信器において受信した前記信号を端末宛に無線送信する無線部と、
前記フロントホールの伝送品質情報と前記端末のチャネル品質情報とに基づいて、前記信号を割り当てる前記フロントホールのリソースと、前記送信器及び前記受信器が前記信号に適用する伝送方式と、を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記チャネル品質情報が閾値未満の第1の端末に第1の伝送方式を割り当て、前記チャネル品質情報が閾値以上の第2の端末に、前記第1の伝送方式よりも誤り耐性の高い第2の伝送方式を割り当てる、
基地局。
【請求項8】
前記制御部は、前記チャネル品質情報に基づいて分類した端末グループ毎に、前記フロントホールのリソース及び伝送方式を決定する、
請求項に記載の基地局。
【請求項9】
前記制御部は、前記第1の端末を前記フロントホールの第1リソースに割り当て、前記第2の端末を前記フロントホールの第2リソースに割り当てる、
請求項に記載の基地局。
【請求項10】
前記閾値は、前記フロントホールの伝送品質情報に基づく、
請求項に記載の基地局。
【請求項11】
前記第1リソース及び前記第2リソースのそれぞれは、前記フロントホールのリソースを時間軸及び周波数軸の少なくとも1つにおいて分割したリソースの1つである、
請求項に記載の基地局。
【請求項12】
基地局は、
フロントホールの伝送品質情報と端末のチャネル品質情報とに基づいて、前記端末に割り当てる前記フロントホールのリソース及び伝送方式を決定し、
決定した情報に基づいて、前記リソースによって前記フロントホールへ送信する信号の伝送方式を制御
前記チャネル品質情報が閾値未満の第1の端末に第1の伝送方式を割り当て、前記チャネル品質情報が閾値以上の第2の端末に、前記第1の伝送方式よりも誤り耐性の高い第2の伝送方式を割り当てる、
通信制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、親局装置、基地局、および、通信制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信システムにおいて、ユーザ端末(user equipment, UE)との無線通信が可能な地域を柔軟に構築するために、無線基地局を親局装置と子局装置に分割し、子局装置を親局装置と異なる位置に配置する構成を採ることが可能である。
【0003】
例えば、コアネットワークと接続された親局装置は、無線基地局のベースバンド信号処理機能を具備し、親局装置に1つ以上の子局装置が接続される。子局装置は、アナログ変換などの無線処理を行い、UEと無線通信を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-170805号公報
【文献】特開2016-111637号公報
【非特許文献】
【0005】
【文献】Common Public Radio Interface (CPRI) Interface Specification V7.0 (2015-10-09)
【文献】Common Public Radio Interface: eCPRI Interface Specification V2.0 (2019-05-10)
【文献】ITU-T G-series Recommendations - Supplement 66 (2018-10)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、既存の無線通信システム(例えば、無線基地局)においては、親局装置と子局装置との間(フロントホール)の伝送効率に関して検討の余地がある。
【0007】
本開示の非限定的な実施例は、フロントホールの伝送効率を向上できる親局装置、基地局、および、通信制御方法の提供に資する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様に係る親局装置は、フロントホールの伝送品質情報と端末のチャネル品質情報とに基づいて、前記端末に割り当てる前記フロントホールのリソース及び伝送方式を決定する制御部と、決定した情報に基づいて、前記リソースによって前記フロントホールへ送信する信号の伝送方式を制御する送信器と、を備える。
【0009】
なお、これらの包括的または具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム、または、記録媒体で実現されてもよく、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラムおよび記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本開示の一態様によれば、フロントホールの伝送効率を向上できる。
【0011】
本開示の一態様における更なる利点および効果は、明細書および図面から明らかにされる。かかる利点および/または効果は、いくつかの実施形態並びに明細書および図面に記載された特徴によってそれぞれ提供されるが、1つまたはそれ以上の同一の特徴を得るために必ずしも全てが提供される必要はない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施の形態1に係る無線通信システムの構成の一例を示す図
図2図1に例示した親局装置における親局処理部の構成の一例を示す図
図3図1に例示した親局装置におけるFH送信器の構成の一例を示す図
図4図1に例示した子局装置におけるFH受信器の構成の一例を示す図
図5図1に例示した子局装置における子局処理部の構成の一例を示す図
図6】実施の形態1に係る動作例を示すシーケンス図
図7】実施の形態1に係る閾値設定の一例を示す図
図8A】実施の形態1に係るFHリソース(時間区間)の割り当ての一例を示す図
図8B】実施の形態1に係るFHリソース(時間区間)の割り当ての他の一例を示す図
図9】実施の形態2に係るFHリソース(周波数区間)の割り当ての一例を示す図
図10】実施の形態2に係る親局装置における親局処理部の構成の一例を示す図
図11】実施の形態2に係る親局装置におけるFH送信器の構成の一例を示す図
図12】実施の形態2に係る子局装置におけるFH受信器の構成の一例を示す図
図13】実施の形態3に係る無線通信システムの構成の一例を示す図
図14図13に例示した子局装置における子局処理部の構成の一例を示す図
図15図13に例示した子局装置におけるFH送信器の構成の一例を示す図
図16図13に例示した親局装置におけるFH受信器の構成の一例を示す図
図17図13に例示した親局装置における親局処理部の構成の一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を適宜参照して、実施の形態について説明する。なお、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
【0014】
なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために、提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することは意図されていない。
【0015】
<本開示に至った知見>
既存技術(例えば、特許文献1)において、親局装置はBBU(baseband unit)と称され、子局装置はRRH(remote radio head)と称されることがある。親局装置と子局装置との間の接続には、例えば、同軸ケーブル、UTP(unshielded twisted pair)ケーブル、STP(Shielded twisted pair)ケーブル、あるいは、光ファイバーケーブルといった、有線伝送手段(あるいは、有線インタフェース)が用いられる。このような親局装置と子局装置との間の接続は、「フロントホール接続」、あるいは単に「フロントホール」と称されることがある。
【0016】
フロントホール(FH)の通信方式に関する規定(例えば、非特許文献1)において、親局装置はREC(radio equipment controller)と称され、子局装置はRE(radio equipment)と称される。
【0017】
ここで、無線通信が高速かつ大容量化するに伴い、FHの通信量(例えば、データトラフィック量)も増大する。このとき、FHの通信帯域が逼迫し得る。
【0018】
FHの帯域逼迫に対する対策の一例として、複数の基地局機能を親局装置と子局装置とに分割(又は分離)する構成を従前の構成から変更することで、FHのトラフィック量を軽減することが検討される(例えば、特許文献1)。なお、複数の基地局機能が、親局装置と子局装置とに分割される境界を「機能分割点」(functional split point)と呼ぶことがある。なお、「機能分割構成」は、「機能分割アーキテクチャ」と称されてもよい。
【0019】
非特許文献2においても同様に、親局装置と子局装置との機能分割を変更することが検討されている。
【0020】
また、FH帯域の空き具合に応じて、無線通信のユーザ割り当てやリソース割り当てを変更する方法も検討される(例えば、特許文献2)。例えば、無線通信のユーザ割り当てやリソース割り当てに関するパターンを幾つか用意しておき、FH帯域に収まるパターンを適用することで、FH帯域の逼迫を回避できる。
【0021】
しかしながら、非特許文献1に記載されるように親局装置と子局装置との機能分割を変更しても、全体のトラフィック量が増加した場合、FH帯域の逼迫は生じ得る。また、特許文献2のようにFH帯域に収まるパターンを適用することはFH帯域に制限を設けることになる。そのため、FH帯域を超える量のデータがFHに伝送されることは抑制できても、FHの伝送トラフィック量を増加することには繋がらない。
【0022】
一方、FH伝送を伝送される信号の残留歪み(以下「残留信号歪み」と称することがある)を許容することで、FH伝送の冗長度(例えば、パリティビットのような誤り検出に用いられる符号量)を低減する手法が検討される。
【0023】
例えば、FH伝送における残留信号歪みを無線区間のMCS(modulation and coding scheme)制御によって補償する。かかる補償制御によって、例えば、低いMCSを適用する端末ほどFH伝送における残留信号歪みに対する耐性(又はロバスト性)を高めることができる。以下、FH伝送における残留信号歪みに対する耐性を「FH残留歪み耐性」と略称することがある。
【0024】
ところで、基地局は、異なる複数の端末(別言すると、ユーザ)を同時に多重してデータ信号を送信できる。例えば、基地局は、リソースブロック(RB:resource block)と呼ばれる単位で、通信を行う複数の端末にそれぞれ異なるRBを割り当てることで、複数端末の多重を行う。
【0025】
ここで、高いMCSを適用する端末(以下「高MCS端末」と略記することがある)と、低いMCSを適用する端末(以下「低MCS端末」と略記することがある)とを多重するケースについて検討する。
【0026】
FH伝送品質を、例えば、高MCS端末に合わせて設計した場合、低MCS端末に対しては、FH残留歪み耐性が高MCS端末よりも高いため、FH伝送おいて過剰な冗長度を与えることになり得る。
【0027】
逆に、低MCS端末に合わせてFH伝送品質を設計した場合、高MCS端末は、低MCS端末よりもFH残留歪み耐性が低いため、結果的に、高MCS端末の無線区間における信号品質を保証できない場合があり得る。信号品質を保証できない結果、端末と無線基地局との間において信号の再送が生じ得る。
【0028】
したがって、FH伝送品質を高MCS端末及び低MCS端末の何れに合わせて設計しても、FHの伝送効率が低下し得る。
【0029】
<本開示の概要>
以上のような知見に基づき、本開示では、FHの伝送効率を向上する技術について説明する。例えば、以下の(1)~(4)に示す技術について説明する。
【0030】
(1)基地局がカバーするエリア(セルと呼ぶこともある)内には、高MCS端末と低MCS端末とが混在し得ることを想定する。高MCS端末は、基地局との無線による通信品質(別言すると、信号品質)がセル内の他の端末に対して相対的に高い端末(高信号品質端末)の一例である。これに対し、低MCS端末は、基地局との無線による信号品質がセル内の他の端末に対して相対的に高い端末(高信号品質端末)の一例である。信号品質の高低は、例えば、端末と基地局との間の距離や遮蔽物の有無といった無線伝搬環境(あるいは伝搬条件)が異なることによって生じ得る。
【0031】
(2)FH伝送に使用可能なリソース(以下「FHリソース」と称することがある)を異なる複数の区間に分割する。「区間」は、例えば、時間軸及び周波数軸の少なくとも1つにおける区間であってよい。FH伝送向けに分割された区間の数(n)は、2以上でよい。2以上の分割区間のそれぞれは、区間#j(jは1~nの何れか)として表されてもよい。非限定的な一例として、以下では、分割区間数n=2(j=1又は2)を想定する。
【0032】
(3)第1の区間#1には低MCS端末を割り当て(又は多重し)、第2の区間#2には高MCS端末を割り当てる(又は多重する)スケジューリング(別言すると、FHリソースの割当制御)を行う。低MCS端末と高MCS端末との分類(あるいは区別又は識別)は、例えば、FH伝送品質に基づく閾値(あるいは2つの閾値によって規定される範囲)に基づいて行われてよい。閾値は、非限定的な一例として予め決められた値であってよい。また、閾値は、3つ以上存在してもよい。
【0033】
(4)区間#1及び区間#2には、相互に異なるFH伝送方式が適用されてよい。FH伝送方式は、例えば、誤り訂正符号の種別(以下「符号種別」と略称することがある)、符号化率、及び、変調多値数、多重光波長といった伝送パラメータのうちの少なくとも1つによって定められてよい。符号種別は、例えば、リードソロモン(Reed-Solomon)符号、低密度パリティ検査(LDPC)符号、ポーラー(Polar)符号といった符号の種別を示す情報の一例である。「符号種別」には、ブロック符号に限らず、ターボ符号のような畳み込み符号が含まれてもよい。
【0034】
(区間について)
上記(2)において、FH伝送の時間軸における区間(つまりは時間区間)の単位は、例えば、ミニスロット(又はサブスロット)、スロット、サブフレーム、無線フレームといった無線リソースの時間区間(又は時間リソース)に対応した単位であってよい。「スロット」は、例えば、複数の「ミニスロット」によって構成されてよい。
【0035】
「サブフレーム」は、例えば、1つ又は複数の「スロット」によって構成されてよい。「無線フレーム」は、例えば、複数の「サブフレーム」によって構成されてよい。これらの時間区間の単位には、別の称呼が用いられてもよい。例えば、時間区間は、TTI(transmission time interval)と称されてもよい。
【0036】
一方、FH伝送の周波数軸における区間(つまりは周波数帯域)の単位は、RB、BWP(bandwidth part)といった無線リソースの周波数区間(又は周波数リソース)に対応した単位であってよい。
【0037】
1つ又は複数のRBは、物理リソースブロック(PRB)、サブキャリアグループ、リソースエレメントグループ(REG)、PRBペア、RBペアといった用語に読み替えられてもよい。RBは、1つ又は複数のリソースエレメント(RE)によって構成されてもよい。例えば、1REは、1サブキャリア及び1シンボルによって構成されてもよい。これらの周波数区間の単位には、別の称呼が用いられてもよい。
【0038】
FH伝送における時間軸又は周波数軸の「区間」(別言すると、FHリソース)の単位は、上述したような無線伝送におけるリソース(無線リソース)の単位と異なってもよいが、両者の単位を揃えることで、FH伝送信号の信号処理を簡易化できる。例えば、FHリソースの単位は、無線リソースに関するスケジューリングの単位に揃えられてよい。なお、FH伝送信号の信号処理には、例えば、FH送信側での符号化及び変調、並びに、FH受信側での復調及び復号が含まれてよい。
【0039】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1に係る無線通信システムの構成の一例を示す図である。図1に例示したように、無線通信システムは、例えば、無線基地局1と、端末の一例であるUE2と、を備える。無線基地局1及びUE2の数は、それぞれ、2以上であってよい。
【0040】
UE2は、無線基地局1と無線により接続して通信を行う。UE2と無線基地局1との間の無線通信には、上り(uplink, UL)通信及び下り(downlink, DL)通信の少なくとも1つが含まれる。なお、以下では、無線基地局1のDLに着目した構成及び動作の一例について説明する。ULに着目した例については、実施の形態3及び4にて後述する。
【0041】
無線基地局1は、例えば、FH13によって相互に接続された親局装置11と子局装置12とを備える。親局装置11は、例えば、BBU、CBBU(centralized baseband unit)、REC、又は、CU(central unit)と称されてもよい。子局装置12は、例えば、RRH、RE、又は、DU(distributed unit)と称されてもよい。なお、1つの親局装置11は2つ以上の子局装置12と接続することも可能である。また、1つの子局装置12は2つ以上のUE2と接続することも可能である。
【0042】
FH13には、例示的に、UTPケーブル、STPケーブル、あるいは、光ファイバーケーブルといった有線伝送手段(あるいは、有線インタフェース)が適用されてよい。有線インタフェースは、例えば、CPRI(common public radio interface)、eCPRI(evolved CPRI)、OBSAI(open base station architecture initiative)、RoE(radio over Ethernet)、RoF(radio over fiber)といった規格あるいは技術に準拠したインタフェースであってよい。なお、「Ethernet」は、登録商標である。
【0043】
<親局装置11>
図1に例示したように、親局装置11は、例えば、親局処理部20と、FH送信器30と、を備える。図2に、親局処理部20の構成の一例を示し、図3に、FH送信器30の構成の一例を示す。
【0044】
(親局処理部20)
図2に例示したように、親局処理部20は、例えば、SDAP(service data adaptation protocol)部201、PDCP(packet data convergence protocol)部202、RLC(radio link control)部203、MAC(medium access control)部204、及び、物理チャネル処理部205を備える。
【0045】
SDAP部201には、例えば、上位のコアネットワーク(例えば、EPCや5GC)から送られてくる信号(例えば、ユーザーデータ)が入力される。「EPC」は、「evolved packet core」の略記であり、5GCは、「5th generation (5G) core network」の略記である。5Gは、第5世代無線アクセス技術(RAT)を表し、NR(new radio)と表記されることもある。また、5GCは、NGC(next generation core network)と表記されることもある。
【0046】
SDAP部201は、例えば、QoS(quality of service)フローと無線ベアラとのマッピングを行い、上位のコアネットワークから送られてくる信号(例えば、パケット)に、SDAPヘッダを付与してPDCP部202へ出力する。
【0047】
PDCP部202は、SDAP部201の出力に対して、例えば、ユーザーデータの暗号化及びヘッダ圧縮といった処理を行い、PDCP PDU(protocol data unit)をRLC部203へ出力する。
【0048】
RLC部203は、PDCP部202の出力に対して、例えば、エラー検出及びARQ(automatic repeat request)による再送制御といった処理を行い、RLC PDUを出力する。
【0049】
MAC部204は、例えば、HARQ(hybrid automatic repeat request)による再送制御、スケジューリングによって通信機会を割り当てるUE2の決定および無線伝送におけるMCSの決定を行い、RLC PDUからMAC PDUを生成してトランスポートブロックを出力する。MCSの決定には、UE2からフィードバックされるチャネル品質情報(例えば、CQI(channel quality indicator))が用いられてよい。
【0050】
このようにCQIとMCSとの間には相関(又は関連)があるため、CQIは、MCS(又はMCSインデックス)に読み替えられてもよい。また、CQIは、UE2での受信品質指標の一例であるため、例えば、RSSI(received signal strength indicator)、SNR(signal-to-noise ratio)といった、CQIとは異なる品質指標に読み替えられてもよい。
【0051】
MAC部204は、例えば、閾値設定部2041と、UE分類部2042と、スケジューリング部2043と、を備えてよい。
【0052】
閾値設定部2041には、FH送信器30からのFH品質情報が入力されてよい。FH品質情報は、FH伝送区間の伝送品質の指標の一例である。非限定的な一例として、SNRがFH品質情報に用いられてよい。
【0053】
閾値設定部2041は、例えば、FH品質情報に基づき、FH伝送方式を切り替える閾値(あるいは閾値範囲)を決定し、決定した閾値(あるいは閾値範囲)を示す情報(以下「閾値情報」と称することがある)をUE分類部2042に出力する。
【0054】
閾値(あるいは閾値範囲)は、例えば、FH品質情報が高い品質を示すほど、高いMCSを適用する(別言すると、FH残留歪み耐性の低い)UE2の数が増える値(あるいは範囲)に決定されてよい。
【0055】
逆に、FH品質情報が低い品質を示すほど、閾値(あるいは閾値範囲)は、例えば、低いMCSを適用する(別言すると、FH残留歪み耐性の高い)UE2の数が増える値(あるいは閾値範囲)に決定されてよい。
【0056】
UE分類部2042には、閾値設定部2041によって決定された閾値情報と、UE2からUL信号にてフィードバックされるCQIと、が入力されてよい。UE分類部2042は、例えば、閾値情報とCQIとに基づき、UE2を、高いMCSを適用する(FH残留歪み耐性の低い)UEグループと、低いMCSを適用する(FH残留歪み耐性の高い)UEグループと、に分類する。なお、分類されるUEグループの数は、FHリソースの分割区間と同様に2以上であってよい。
【0057】
UEグループに関する情報(以下「UE分類情報」と称することがある)は、例えば、個々のUE2のCQIと共にスケジューリング部2043に出力される。なお、UEグループを構成するUE2の数は「1」の場合もあり得る。
【0058】
スケジューリング部2043は、例えば、UE分類部2042からのUE分類情報に基づき、分類されたUEグループ内のUE2から通信機会(例えば、無線リソース及びFHリソース)を割り当てるUE2を決定する。スケジューリング部2043は、例えば、通信機会の割り当てを決定したUE2宛のDL信号を、物理チャネル処理部205に出力する。
【0059】
また、スケジューリング部2043は、例えば、通信機会の割り当てを決定したUEグループの信号をFH送信器30がFH13へ送信する際に適用するFH伝送方式に関する制御情報(以下「FH制御情報」と称することがある)を、FH送信器30へ出力する。FH制御情報には、例えば、区間#j毎のFH伝送方式に関する情報(以下「FH伝送方式情報#j」と表記することがある)が含まれてよい。
【0060】
物理チャネル処理部205に出力されるDL信号には、例えば、ユーザーデータと、UE2がユーザーデータの復号に用いるDL制御情報(「UE制御情報」あるいは「無線制御情報」と称されてもよい)と、の少なくとも1つが含まれてよい。
【0061】
DL制御情報には、例えば、MCS、割り当てられた無線リソース(例えば、RB、RE)に対するマッピング情報といった情報(あるいは無線通信に関するパラメータ)が含まれてよい。
【0062】
物理チャネル処理部205において、ユーザーデータは、例えば、物理データチャネルの一例であるPDSCH(physical downlink shared channel)のリソースにマッピングされ、DL制御情報は、例えば、物理制御チャネルの一例であるPDCCH(physical downlink control channel)のリソースにマッピングされる。
【0063】
例えば、物理チャネル処理部205は、ユーザーデータについて、符号化処理、スクランブル処理、変調処理、REマッピング処理といったPDSCHの信号を構成(又は生成)するための信号処理を行う。また、物理チャネル処理部205は、例えば、DL制御情報について、UE2がPDSCHの信号の復調に用いる制御情報を基に、PDCCHの信号を構成するための信号処理を行う。なお、物理チャネル処理部205による信号処理は、「物理レイヤ処理」に読み替えられてもよい。
【0064】
符号化処理には、例えば、MAC部204から入力されたトランスポートブロックにCRC(cyclic redundancy check)符号を付加してコードブロックに分割する処理が含まれてよい。また、符号化処理には、例えば、コードブロックの符号化およびMCSに対応するレートマッチングが含まれてもよい。
【0065】
変調処理には、例えば、QPSK(quadrature phase shift keying)、16QAM(quadrature amplitude modulation)、64QAM、256QAMといった変調方式が適用されてよい。
【0066】
なお、無線伝送区間において、MIMO(multiple-input and multiple-output)伝送が適用される場合、物理チャネル処理部205における処理には、例えば、レイヤマッピング処理部及びプリコーディング処理が含まれてもよい。
【0067】
物理チャネル処理部205の出力信号は、例えば、FH送信器30へ送信される。なお、物理チャネル処理部205が処理するチャネルは、PDSCH及びPDCCHに限られない。ブロードキャストチャネル(PBCH;physical broadcast channel)といった他の称呼のDLチャネルの信号が物理チャネル処理部205において処理されてよい。
【0068】
物理チャネル処理部205から出力される信号は、便宜的に、「物理チャネル信号」と総称されてよい。また、物理チャネル処理部205から出力される信号は、物理的に異なる信号線によって並列にFH送信器30へ送信されてもよいし、1つの物理的な信号線内に多重されてFH送信器30へ送信されてもよい。多重方式の非限定的な一例としては、時分割多重(TDM)、周波数分割多重(FDM)、符号分割多重(CDM)、波長分割多重(WDM)が挙げられる。
【0069】
スケジューリング部2043から出力されるFH制御情報が、物理チャネル処理部205の出力信号に多重されてFH送信器30へ送信されてもよい。あるいは、FH制御情報は、物理チャネル信号とは多重されずに物理的に分けてFH送信器30へ送信されてもよい。
【0070】
(FH送信器30)
次に、図3を参照して、FH送信器30の構成の一例について説明する。図3に例示したように、FH送信器30は、例えば、FH制御情報解析部301、FH送信処理部302、多重部303、送信部304、受信部305、及び、測定部306を備える。
【0071】
FH制御情報解析部301は、例えば、親局処理部20(例えば、MAC部204のスケジューリング部2043)から入力される区間#jのFH制御情報を基に、区間#jに適用するFH伝送方式(例えば、符号種別、符号化率、変調多値数といったFH伝送パラメータ)を決定する。また、FH制御情報解析部301は、例えば、決定した区間#jのFH伝送方式情報#jを含むFH制御情報をFH送信処理部302に出力する。
【0072】
FH送信処理部302は、例えば、FH符号化処理部3021とFH変調処理部3022とを備える。
【0073】
FH符号化処理部3021は、例えば、FH制御情報解析部301から入力されたFH伝送方式情報#jに含まれる符号種別及び符号化率に従って、親局処理部20から入力された区間#jの物理チャネル信号を符号化してFH変調処理部3022へ出力する。
【0074】
FH変調処理部3022は、例えば、FH伝送方式情報#jに含まれる変調多値数に従って、FH符号化処理部3021の区間#jに対応する出力信号を、QPSK、16QAM、64QAM、あるいは、256QAMといった多値の変調信号に変調する。変調信号は、多重部303へ出力される。なお、「変調多値数」は、256以下に限られず、例えば、256より大きい多値数であってもよい。
【0075】
多重部303は、例えば、FH送信処理部302(FH変調処理部3022)の出力信号と、FH制御情報解析部301から出力された、FH伝送方式情報#jを含むFH制御情報と、を多重して送信部304へ出力する。FH制御情報は、例えば、子局装置12のFH受信器40においてFH伝送信号を区間#j毎に復調及び復号するために用いられる。なお、多重部303での多重方式には、非限定的な一例として、TDM、FDM、及び、CDMの何れかが適用されてよい。
【0076】
送信部304は、例えば、多重部303の出力信号に対し、例えば、UTPケーブル、STPケーブル、あるいは、光ファイバーケーブルといった有線伝送手段(あるいは、有線インタフェース)に応じた送信処理(例えば、パケット構成処理やヘッダ付加処理など)を施してFH13への送信を行う。
【0077】
光ファイバーケーブルが用いられる場合、例えば、送信部304には、電気/光(E/O)変換部(図示省略)が設けられてよい。E/O変換部において、WDMが適用されてもよい。別言すると、親局装置11からFH13へ伝送される複数の信号は、TDM、FDM、CDM、及び、WDMの何れかによって多重されればよい。
【0078】
なお、多重部303は、省略されてもよい。例えば、物理チャネル信号とFH制御情報とが、多重されずに物理的に分けて子局装置12へ送信されてもよい。多重部303が省略された場合、子局装置12のFH受信器40における分離部402(図4にて後述)も省略されてよい。
【0079】
受信部305は、子局装置12のFH受信器40が親局装置11に向けてFH13へ送信した信号、例えば、親局装置11と子局装置12との間において既知の信号(例えば、トレーニング信号)を受信して測定部306に出力する。
【0080】
測定部306は、例えば、受信部305から入力された信号の受信品質(別言すると、FH13の伝送品質)を測定し、その品質測定結果を、例えばFH品質情報として親局処理部20(例えば、MAC部204の閾値設定部2041)に出力する。FH品質情報は、FH13を通じて親局処理部20へ送信されてもよいし、FH13とは異なる通信経路において親局処理部20へ送信されてもよい。
【0081】
なお、図2図4には図示を省略するが、UE2がUL送信(フィードバック)したチャネル品質情報は、子局処理部50、FH受信器40、及び、FH送信器30を経由して親局処理部20(例えば、UE分類部2042)へ出力(又は伝達)される。
【0082】
また、受信部305及び測定部306の一方又は双方は、親局装置11に備えられていればよく、親局装置11内のFH送信器30とは異なる機能ブロックに備えられていてもよい。
【0083】
<子局装置12>
次に、図1に例示した子局装置12の構成の一例について説明する。図1に例示したように、子局装置12は、例えば、FH受信器40と、子局処理部50と、を備える。図4に、FH受信器40の構成の一例を示し、図5に、子局処理部50の構成の一例を示す。
【0084】
(FH受信器40)
図4に例示したように、FH受信器40は、例えば、受信部401、分離部402、FH制御情報解析部403、FH受信処理部404、トレーニング信号生成部405、及び、送信部406を備える。
【0085】
受信部401は、例えば、FH13から受信される信号に対し、UTPケーブル、STPケーブル、光ファイバーケーブルといった有線伝送手段(あるいは、有線インタフェース)に応じた受信処理を施して分離部402へ出力する。
【0086】
分離部402は、例えば、受信部401の出力信号に含まれるFH制御情報と物理チャネル信号とを分離し、FH制御情報をFH制御情報解析部403へ出力し、物理チャネル信号をFH受信処理部404へ出力する。
【0087】
FH制御情報解析部403は、例えば、区間#jのFH制御情報を基に、親局装置11のFH送信器30において区間#jに適用されたFH伝送方式を特定(又は識別)し、特定した区間#jのFH伝送方式に関する情報をFH受信処理部404へ出力する。なお、FH受信器40におけるFH制御情報解析部403は、FH送信器30におけるFH制御情報解析部301と、無線基地局1の内部において共通化されてもよい。
【0088】
FH受信処理部404は、例えば、FH復調処理部4041とFH復号処理部4042とを備える。
【0089】
FH復調処理部4041は、例えば、FH制御情報解析部403から入力されたFH制御情報のFH伝送方式情報#jを基に、親局装置11のFH送信器30において区間#jに適用された変調処理に対応する復調処理を分離部402からの物理チャネル信号に適用する。この復調処理によって復調された信号は、FH復号処理部4042に出力される。
【0090】
FH復号処理部4042は、例えば、FH伝送方式情報#jを基に、FH送信器30において区間#jに適用された符号化処理に対応する復号処理をFH復調処理部4041の出力信号に適用する。この復号処理によって物理チャネル信号が復号されて子局処理部50へ送信される。
【0091】
トレーニング信号生成部405は、例えば、FH13の伝送品質を測定するための既知信号を生成して送信部406へ出力する。「既知信号」の非限定的な一例は、送受信間で予め所定の系列を指定して使用するトレーニング信号(又はデータ)である。トレーニング信号は、パイロット信号、参照信号といった他の呼称に読み替えられてもよい。
【0092】
送信部406は、例えば、トレーニング信号を、親局装置11に接続されたFH13へ送信する。FH13へ送信されたトレーニング信号は、例えば、親局装置11において、FH送信器30の受信部305(図3参照)によって受信される。
【0093】
なお、FH13の伝送品質測定は、例えば、トレーニング信号を逆方向(別言すると、DL方向)に送信することで行われてもよい。例えば、親局装置11のFH送信器30から子局装置12のFH受信器40に向けて送信したトレーニング信号を、FH受信器40において受信及び測定し、その測定結果をFH送信器30にフィードバックしてもよい。
【0094】
また、トレーニング信号生成部405、及び、送信部406の一方又は双方は、FH受信器40の内部に備えられなくてもよく、子局装置12の内部に備えられていればよい。
【0095】
(子局処理部50)
図5に例示したように、子局処理部50は、例えば、物理チャネル処理部501、D/A(digital to analog)変換部502、及び、無線(RF)部503を備える。
【0096】
物理チャネル処理部501は、FH受信器40において復調及び復号されたFH伝送信号に含まれる物理チャネル信号に対して信号処理を行う。この信号処理には、例えば、ビームフォーミング処理、IFFT(inverse fast Fourier transform)処理、CP(cyclic prefix)の挿入処理といった処理が含まれてよい。物理チャネル処理部501による信号処理は、「物理レイヤ処理」に読み替えられてもよい。子局装置12においてビームフォーミングを実施しない場合、ビームフォーミング処理は省略されてよい。
【0097】
なお、親局処理部20における物理チャネル処理部205と、子局処理部50における物理チャネル処理部501とは、親局装置11と子局装置12との機能分割点によって、物理チャネル信号に対する複数の信号処理(機能)の一部が前者において実施され、残りが後者において実施される関係にある。後述するように機能分割点は複数種類存在するが、実施の形態1及び後述の実施の形態2~4において、何れの機能分割点が適用されてもよい。
【0098】
D/A変換部502は、例えば、物理チャネル処理部501の出力信号をデジタル信号からアナログ信号へ変換する。
【0099】
RF部503は、例えば、D/A変換部502の出力に対し、無線周波数へのアップコンバート処理や、増幅処理といった送信RF処理を施す。送信RF処理によって生成された無線信号は、例えば、RF部503に備えられたアンテナ(図示省略)を介して空間へ放射される(例えば、UE2宛に送信される)。
【0100】
<動作例>
次に、図6のシーケンス図を参照して、実施の形態1に係る無線通信システムの動作の一例について説明する。
【0101】
図6に例示したように、無線基地局1において、子局装置12におけるFH受信器40の送信部406(図4参照)から親局装置11に向けてFH13へトレーニング信号が送信される(S601)。トレーニング信号は、例えば、無線通信システムの起動時や、起動後の所定タイミングにて送信されてよい。
【0102】
所定タイミングは、例えば、FH帯域の逼迫を低減することを鑑みて、FH13のトラフィック量が相対的に低い時間帯(例えば、早朝や深夜など)に設定されてよい。また、FH伝送品質の経年変化に対応(例えば、補償あるいは校正)するために、適宜のタイミングで、トレーニング信号がFH受信器40から送信(別言すると、再送)されてもよい。
【0103】
トレーニング信号は、例えば、FH送信器30の受信部305(図3参照)において受信され、測定部306に入力される。測定部306は、入力されたトレーニング信号の受信品質(例えば、SNR)を測定する(S602)。
【0104】
測定部306による測定結果を示す情報(測定情報)は、例えば、親局処理部20のMAC部204(例えば、閾値設定部2041)へ出力される(S603)。
【0105】
親局処理部20において、閾値設定部2041は、FH品質情報に基づき、FH伝送方式を切り替える閾値(あるいは閾値範囲)を決定(又は設定)(S604)する。非限定的な一例として、閾値設定部2041は、図7に例示したMCSテーブル700において、MCSインデックス=11を閾値に決定(又は設定)する。決定した閾値情報は、UE分類部2042に出力される。
【0106】
なお、閾値情報は、上述したトレーニング信号の再送によるFH伝送品質の変化に応じて再決定(又は再設定)されてよい。また、MCSテーブル700は、例えば、変調次数、符号化率といった無線伝送方式を定義付ける無線パラメータの複数の組み合わせ(又は関連付け)をインデックス(MCSインデックス)と関連付けて示した情報の一例である。
【0107】
UE分類部2042は、閾値設定部2041からの閾値情報と、UE2からフィードバックされるチャネル品質情報(S605)と、に基づき、UE2を分類(又は、グルーピング)する(S606)。
【0108】
例えば図7に示したように、UE分類部2042は、チャネル品質情報によってMCSインデックス=11未満(つまりは0~10)が適用されるUE2をグループ#1(低MCS端末グループ)に分類する。一方、UE分類部2042は、チャネル品質情報によってMCSインデックス=11以上が適用されるUE2をグループ#2(高MCS端末グループ)に分類する。
【0109】
なお、図7において、「Modulation order」(変調次数)k=2は変調多値数=4(QPSK)を表し、k=4は変調多値数=16(16QAM)を表し、k=6は変調多値数=64(64QAM)を表し、k=8は変調多値数=256(256QAM)を表す。
【0110】
また、図7に例示した閾値設定では、UEグループ#1とUEグループ#2との間(別言すると、区間#1と区間#2との間)において、少なくとも異なる符号化率が相互に適用される。変調多値数(変調次数k)に関しては、UEグループ#1にはQPSK(k=2)又は16QAM(k=4)が適用され、UEグループ#2には16QAM(k=4)又は64QAM(k=6)以上が適用される。別言すると、図7の閾値設定例では、UEグループ#1とUEグループ#2とで同じ変調多値数が適用されることがある。FH伝送方式を定義付ける複数のパラメータのうちの少なくとも1つが異なれば、FH伝送方式としては異なると理解されてよい。
【0111】
なお、図7に例示したMCSテーブル700は、例えば、UE分類部2042がアクセス可能な記憶部(図示省略)に記憶されてよい。記憶部は、UE分類部2042あるいはMAC部204内に備えられてもよいし、MAC部204の外部であって親局処理部20の内部に備えられてもよい。あるいは、記憶部は、例えば、通信回線を介してアクセス可能な、親局装置11の外部機器に備えられてもよい。
【0112】
分類されたUEグループに関する情報(UE分類情報)は、例えば、個々のUE2のチャネル品質情報と共にスケジューリング部2043に出力される。
【0113】
スケジューリング部2043は、例えば、UE分類部2042からのUE分類情報に基づき、分類されたUEグループの別に通信機会を割り当てるUE2を決定する(S607)。
【0114】
図8Aに、FHリソースに着目した、スケジューリング部2043による通信機会の割り当て(別言すると、スケジューリング)の非限定的な一例を示す。
【0115】
図8Aにおいて、区間#1には、MCSインデックスが2、5又は6のように閾値(11)未満の低MCSが適用されるUEグループ#1(UE#1~#4)が割り当てられる。また、区間#2には、MCSインデックスが17、19又は20のように閾値以上の高MCSが適用されるUEグループ#2(UE#5~#7)が割り当てられる。
【0116】
ここで、区間#1には、低MCSが適用される(別言すると、FH残留歪み耐性の高い)UEグループ#1が割り当てられるため、区間#2よりも誤り耐性の低いFH伝送方式が適用されてよい。
【0117】
非限定的な一例として、スケジューリング部2043は、区間#1のFH伝送方式に、符号化率(R)=1(つまりは誤り訂正無し)かつ16QAMを適用し、区間#2の信号のFH伝送方式に、符号化率(R)=5/6かつQPSKを適用してよい。
【0118】
区間#1及び区間#2のそれぞれにおいて、UE2には、時間軸及び周波数軸の少なくとも一方において分割されたリソースが割り当てられてよい。
【0119】
例えば図8Aに示したように、区間#1及び区間#2のそれぞれは、時間軸において複数(例えば2つ)のサブフレームに相当する区間(以下「サブフレーム区間」と称することがある)に分割されてよい。
【0120】
区間#1の第1サブフレーム区間において、例えば、UE#1~UE#3のそれぞれに宛てたDL信号が、異なる周波数リソースにマッピング(別言すると、FDM)されてよい。また、区間#1の第2サブフレーム区間において、例えば、UE#1及びUE#4のそれぞれに宛てたDL信号がFDMされてよい。
【0121】
同様に、区間#2の第2サブフレーム区間において、例えば、UE#6及びUE#7のそれぞれに宛てたDL信号がFDMされてよい。また、区間#2の第1サブフレーム区間において、例えば、UE#5宛のDL信号が、他のUE2宛のDL信号とはFDMされずにマッピングされてよい。別言すると、複数UE2のそれぞれに宛てたDL信号のFDMに使用可能な周波数リソース(例えば、複数のRB)が、1つのUE2宛のDL信号に割り当てられる(あるいは占有される)ことがあってもよい(以降の説明において、同様)。
【0122】
なお、区間#1及び区間#2それぞれの長さ(区間長)は、固定でもよいし、1つのUEグループを構成するUE2の数によって適応的に変更されてもよい。例えば、スケジューリング部2043は、UE数が多い方のUEグループに対して、より長い区間長を設定してもよい。
【0123】
非限定的な一例を図8Bに示す。図8Bには、低MCSの適用されるUEグループ#1のUE数(例えば、UE#1~UE#3の3台)よりも高MCSの適用されるUEグループ#2のUE数(例えば、UE#4~UE#9の6台)が多い場合のスケジューリングの一例が示される。
【0124】
この場合、スケジューリング部2043は、図8Bに例示したように、高MCSの適用されるUEグループ#2を割り当てる区間#2の長さを区間#1の長さよりも長く設定してよい。なお、図8Aと同様、図8Bにおいて、低MCSのUEグループ#1が割り当てられる区間#1には、例えば、区間#2よりも誤り耐性の低いFH伝送方式が適用されてよい。
【0125】
図8Bの例において、区間#1におけるスケジューリングは、図8Aと同一でよい。一方、区間#2の第1サブフレームには、例えば、UE#4及びUE#5のそれぞれに宛てたDL信号がFDMされてよい。区間#2の第3サブフレームには、例えば、UE#7~UE#9のそれぞれに宛てたDL信号がFDMされてよい。また、区間#2の第2サブフレームには、UE#6宛のDL信号が、他のUE2宛のDL信号とはFDMされずにマッピングされてよい。
【0126】
なお、図8Bにて上述した区間長の設定(又は制御)は、1つのUEグループに割り当てるFHリソース量に基づいて行われてもよい。例えば、UE数が少なくても割り当てるFHリソースの総量が多いUEグループに対しては、より長い区間長が設定されてもよい。
【0127】
図6において、スケジューリング部2043は、例えば、スケジューリングしたUEグループ#1及び#2それぞれの信号に適用するFH伝送方式情報#1及び#2を含むFH制御情報を、FH送信器30からFH受信器40へ送信する(S609)。
【0128】
また、スケジューリングされたUEグループ#1及び#2の信号は、物理チャネル処理部205にて処理された後、FH送信器30、FH13、FH受信器40、及び、子局処理部50を経由して、UE2宛に送信される(S610)。
【0129】
なお、図8A及び図8Bに例示したスケジューリングでは、区間#1に低MCSのUEグループ#1が割り当てられ、区間#2に高MCSのUEグループ#2が割り当てられたが、これに限定されない。例えば、逆に、区間#1に高MCSのUEグループ#2が割り当てられ、区間#2に低MCSのUEグループ#1が割り当てられてもよい。
【0130】
以上のように、実施の形態1によれば、FH残留歪み耐性の高いUE(例えば、低MCS端末)2と低いUE(例えば、高MCS端末)2とで、異なるFHリソース(例えば、時間区間)が割り当てられる。
【0131】
別言すると、FH伝送における1つの時間区間#jには、FH残留歪み耐性が同じであるか近似(又は類似)したUE2がスケジューリングされる。したがって、FH伝送においてFH残留歪み耐性が同じであるか近似したUEグループ毎に、適用するFH伝送方式を最適化できるため、FH伝送効率を向上できる。
【0132】
なお、区間#jに対するスケジューリングは、UE分類情報に加えて、例えば、FH伝送されるUE2宛のDL信号のサービス種別に関する情報に基づいて行われてもよい。例えば、低遅延伝送が求められるサービスについてのDL信号は、複数の区間#jのうち、時間的に先行する区間に優先的に割り当てられてよい。
【0133】
<実施の形態2>
次に、実施の形態2について、図9図12を参照して説明する。実施の形態1では、時間軸においてFHリソースを複数の区間#jに分割する例について説明したのに対し、実施の形態2では、周波数軸においてFHリソースを複数の区間#jに分割する例について説明する。
【0134】
図9は、実施の形態2に係るFHリソースを周波数軸において分割した区間と区間毎のスケジューリングとの一例を示す図である。図9に例示したように、FH伝送に使用可能な周波数リソースは、複数(例えば2つ)の区間#1及び#2に分割されてよい。
【0135】
第1の区間#1には、例えば、低MCS(例えば、MCSインデックス=5)が適用される(別言すると、FH残留歪み耐性の高い)UE#2宛のDL信号が割り当てられてよい。
【0136】
なお、図9には、UE#2宛のDL信号が、区間#1において複数(例えば、2つ)のサブフレームにわたって割り当てられる例が示されるが、これに限定されない。例えば、区間#1において、1サブフレームにUE#2宛のDL信号が割り当てられてもよいし、3サブフレーム以上にわたってUE#2宛のDL信号が割り当てられてもよい。
【0137】
一方、第2の区間#2には、例えば、高MCS(例えば、MCSインデックス=18、19、又は20)が適用される(別言すると、FH残留歪み耐性の低い)UE#2、UE#3及びUE#4のそれぞれに宛てたDL信号が割り当てられてよい。
【0138】
例えば、UE#2(MCSインデックス=20)宛のDL信号、及び、UE#3(MCSインデックス=20)宛のDL信号は、区間#1において第1サブフレーム内の異なる周波数リソースにマッピング(別言すると、FDM)されてよい。また、UE#4(MCSインデックス=18)宛のDL信号は、区間#2の第2サブフレームに、他のUE2宛のDL信号とはFDMされずにマッピングされてよい。
【0139】
そして、FH残留歪み耐性の高いUEグループが割り当てられる区間#1には、例えば、FH残留歪み耐性の低いUEグループが割り当てられる区間#2よりも誤り耐性の低いFH伝送方式が適用されてよい。
【0140】
非限定的な一例として、実施の形態1と同様に、区間#1のFH伝送方式には、符号化率(R)=1(つまりは誤り訂正無し)かつ16QAMを適用し、区間#2の信号のFH伝送方式には、符号化率(R)=5/6かつQPSKを適用してよい。
【0141】
なお、図9では、区間#1に低MCSのUEグループ#1が割り当てられ、区間#2に高MCSのUEグループ#2が割り当てられたが、これに限定されない。例えば、逆に、区間#1に高MCSのUEグループ#2が割り当てられ、区間#2に低MCSのUEグループ#1が割り当てられてもよい。
【0142】
また、異なる区間#jに対して物理的に異なるFH13が用意されてもよい。例えば、区間#j毎の信号は、物理的に異なるFH13によって並列に伝送されてもよいし、物理的に1つのケーブル内において、例えばTDM、CDM、WDMといった多重方式によって多重されて伝送されてもよい。
【0143】
以下、実施の形態2に係る親局装置11及び子局装置12の構成の一例について説明する。なお、親局装置11及び子局装置12を含む無線基地局1の構成の一例は、実施の形態1(図1)と共通でよい。
【0144】
実施の形態2において、親局装置11は、例えば、図10に示す親局処理部20Aと、図11に示すFH送信器30Aと、を備える。一方、実施の形態2において、子局装置12は、例えば、図12に示すFH受信器40Aを備える。実施の形態2において、子局装置12の子局処理部50は、図5に例示した構成と共通でよい。
【0145】
<親局装置11>
(親局処理部20A)
図10に例示したように、実施の形態2における親局処理部20Aは、図2に例示した構成において物理チャネル処理部205が複数の(周波数)区間#jの別に設けられた構成を有してよい。
【0146】
図10において、スケジューリング部2043は、例えば、UE分類部2042からのUE分類情報に基づき、分類されたUEグループ内のUE2から周波数区間#jに割り当てるUE2を決定する。スケジューリング部2043は、例えば、周波数区間#jに割り当てられたUE2宛のDL信号を、周波数区間#jに対応する物理チャネル処理部205-jに出力する。また、スケジューリング部2043は、例えば、周波数区間#j毎のFH伝送方式情報#jを含むFH制御情報を、FH送信器30Aへ出力する。
【0147】
物理チャネル処理部205-jのそれぞれは、例えば、周波数区間#jに割り当てられたUE2宛のDL信号に対し、実施の形態1と同様に、PDSCH、PDCCHといった物理チャネルの信号処理を適用する。別言すると、実施の形態2において、UE2宛のDL信号は、周波数区間#jの別に並列に信号処理される。
【0148】
なお、FH制御情報は、物理チャネル信号と多重されてFH送信器30Aへ送信されてもよいし、物理チャネル信号とは多重されずに物理的に分けてFH送信器30Aへ送信されてもよい。また、親局処理部20Aにおいて、物理チャネル処理部205が複数の(周波数)区間#jの別に設けられた構成である必要はなく、例えば一つの物理チャネル処理部205が複数の周波数区間#jの信号処理を並列に行う構成であってもよい。
【0149】
(FH送信器30A)
一方、図11に例示したように、FH送信器30Aは、図3に例示した構成において、FH送信処理部302、多重部303及び送信部304が周波数区間#jの別に設けられた構成を有すると理解されてよい。
【0150】
FH送信処理部302-jのそれぞれには、実施の形態1において既述のFH符号化処理部3021及びFH変調処理部3022と同等の機能部が備えられてよい。
【0151】
多重部303-jは、例えば、FH送信処理部302-jにて周波数区間#jの別に並列処理されたDL信号(物理チャネル信号)と、FH制御情報解析部301から周波数区間#jの別に入力されるFH制御情報(FH伝送方式情報#j)と、を多重する。
【0152】
送信部304-jは、例えば、対応する多重部303-jの出力信号に対し、例えば、UTPケーブル、STPケーブル、あるいは、光ファイバーケーブルといった有線伝送手段(あるいは、有線インタフェース)に応じた送信処理(例えば、パケット構成処理やヘッダ付加処理など)を施してFH13への送信を行う。
【0153】
別言すると、FH送信器30Aにおいて、親局処理部20Aから受信した周波数区間#j毎のDL信号は、周波数区間#jの別に並列に信号処理され、対応するFH伝送方式情報#jを含むFH制御情報と多重されてFH13へ送信される。
【0154】
なお、FH13に光ファイバーケーブルが用いられる場合、例えば、送信部304-jに、E/O変換部(図示省略)が設けられてよい。E/O変換部において、WDMが適用されてもよい。別言すると、実施の形態2において、親局装置11からFH13へ伝送される区間#j毎の信号は、TDM、FDM、CDM、及び、WDMの何れかによって多重されればよい。
【0155】
なお、多重部303-jは、省略されてもよい。例えば、周波数区間#j別の物理チャネル信号とFH制御情報とが、多重されずに物理的に分けて子局装置12へ送信されてもよい。多重部303-jが省略された場合、子局装置12のFH受信器40における分離部402-j(図12にて後述)も省略されてよい。
【0156】
また、FH送信器30Aにおいて、FH送信処理部302、多重部303及び送信部304が、複数の(周波数)区間#jの別に設けられた構成である必要はなく、例えば一つのFH送信処理部302、多重部303及び送信部304が、複数の周波数区間#jの信号処理をそれぞれ並列に行う構成であってもよい。
【0157】
<子局装置12>
(FH受信器40A)
図12は、実施の形態2に係る子局装置12におけるFH受信器40Aの構成の一例を示すブロック図である。
【0158】
図12に例示したFH受信器40Aは、図4に例示した構成において、受信部401、分離部402、及び、FH受信処理部404(FH復調処理部4041及びFH復号処理部4042)のそれぞれが、周波数区間#jの別に設けられた構成を有してよい。また、FH受信器40Aは、例えば、FH受信処理部404-jの各出力信号を多重する多重部407を備えてよい。
【0159】
FH受信器40Aでは、分離部402-jのそれぞれにおいて、周波数区間#jのFH制御情報(FH伝送方式情報#j)が分離されてFH制御情報解析部403に入力される。また、FH制御情報解析部403からFH伝送方式情報#jが、周波数区間#jの別に対応するFH受信処理部404-jに入力される。
【0160】
したがって、受信部401-jにおいて周波数区間#jの別にFH送信器30Aから受信されたDL信号は、FH受信処理部404-jにおいて周波数区間#jの別に並列に復調及び復号を含む受信処理を受けて多重部407へ出力される。
【0161】
多重部407は、例えば、FH受信処理部404-jの各出力信号を多重して子局処理部50へ出力する。なお、実施の形態2において、子局処理部50の構成及び動作は、実施の形態1において例示した構成(図5)及び動作と共通でよい。
【0162】
実施の形態2に係る無線基地局1の動作例は、図6に例示したシーケンス図の説明において、(時間)区間#jを周波数区間#jに読み替え、周波数区間#jの別に信号が処理される動作に相当すると理解されてよい。
【0163】
例えば、スケジューリング(S607)が、周波数区間#jに対して行われ、FH制御情報(FH伝送方式情報#j)の伝送(S608、S609)及びDL信号の伝送(S610)が、それぞれ、周波数区間#jの別に並列に実施される。
【0164】
以上のように、実施の形態2によれば、FH残留歪み耐性の高いUE(例えば、低MCS端末)2と低いUE(例えば、高MCS端末)2とで、FHリソースにおいて異なる周波数区間が割り当てられる。
【0165】
別言すると、FH伝送における1つの周波数区間#jには、FH残留歪み耐性が同じであるか近似(又は類似)したUE2がスケジューリングされる。したがって、実施の形態1と同様に、FH伝送においてFH残留歪み耐性が同じであるか近似したUEグループ毎に、適用するFH伝送方式を最適化できるため、FH伝送効率を向上できる。
【0166】
また、実施の形態2では、FHリソースの周波数区間#jに対するスケジューリングが行われるため、複数のUEグループのDL信号を並列に(例えば、同一タイミングで)送信できる。したがって、例えば、同じサービスを利用する複数UE2宛のDL信号が、異なる周波数区間#jに割り当てられたとしても、UEグループ間において伝送遅延が異なることを抑制できる。
【0167】
なお、周波数区間#jに対するスケジューリングは、UE分類情報に加えて、例えば、FH伝送されるUE2宛のDL信号のサービス種別に関する情報に基づいて行われてもよい。
【0168】
また、実施の形態2は、FHリソースを周波数軸において分割するため、例えば、IFFT前の信号を処理する機能部が親局装置11及び子局装置12の双方に含まれる機能分割構成に適用できる。
【0169】
なお、FH受信器40Aにおいて、図4に例示した構成における受信部401、分離部402、及び、FH受信処理部404(FH復調処理部4041及びFH復号処理部4042)が、複数の(周波数)区間#jの別に設けられた構成である必要はなく、例えば一つの受信部401、分離部402、及び、FH受信処理部404(FH復調処理部4041及びFH復号処理部4042)のそれぞれが、複数の周波数区間#jの信号処理を並列に行う構成であってもよい。
【0170】
また、図12において、多重部407は、省略されてもよい。例えば、FH受信処理部404-jの各出力が並列に子局処理部50に入力されてよい。この場合、子局処理部50は、並列に入力された信号それぞれに物理チャネル処理を実施する構成、或いは並列に入力された信号のうち同一の物理チャネルにマッピングされる信号に対してまとめて物理チャネル処理を実施する構成としてよい。
【0171】
<実施の形態3>
実施の形態3では、実施の形態1において説明したDL構成に対応するUL構成について説明する。なお、実施の形態3(及び後述する実施の形態4)の説明に使用する「区間#j」という表記は、実施の形態1(あるいは実施の形態2)において説明したようにFHリソースが複数の区間に分割されることを表現するための便宜的な表記であり、ULに関する区間#jが既述のDLに関する区間#jと必ず一致することを意味しない。ULに関する区間#jは、DLの区間#jと同じであることもあるし異なることもある。別言すると、ULとDLとで分割区間の数は独立に設定されてよい。
【0172】
図13は、実施の形態3に係る無線通信システムの構成の一例を示す図である。図13に例示したように、UE2から無線基地局1へのUL通信に着目した場合、無線基地局1は、子局装置12において、例えば子局処理部60とFH送信器70とを備え、親局装置11において、例えばFH受信器80と親局処理部90とを備える。
【0173】
図14及び図15に、ULに着目した子局装置12(子局処理部60及びFH送信器70)の構成の一例を示し、図16及び図17に、ULに着目した親局装置11(FH受信器80及び親局処理部90)の構成の一例を示す。
【0174】
<子局装置12>
まず、図14及び図15を参照して、子局装置12における子局処理部60及びFH送信器70の構成の一例について説明する。なお、1つの親局装置11に、2つ以上の子局装置12が接続可能であること、1つの子局装置12が、2つ以上のUE2と接続可能であることは、実施の形態1と同様である。
【0175】
(子局処理部60)
図14に例示したように、子局処理部60は、例えば、RF部601、A/D(analog to digital)変換部602、及び、物理チャネル処理部603を備える。
【0176】
RF部601は、例えば、アンテナを有し、UE2から送信されたULの無線信号をアンテナにて受信し、受信した無線信号に対し、ダウンコンバート処理や、低雑音増幅処理といった受信RF処理を施す。
【0177】
A/D変換部602は、例えば、RF部601の出力(アナログ信号)をデジタル信号に変換する。
【0178】
物理チャネル処理部603は、例えば、A/D変換部602の出力に対し、CP除去(removal)、FFT(first Fourier transform)、ビームフォーミングといった物理チャネルの信号処理を適用する。なお、ビームフォーミングは、子局装置12においてビームフォーミングを実施しない場合、省略されてよい。
【0179】
(FH送信器70)
一方、FH送信器70は、図15に例示したように、受信部701、FH制御情報解析部702、FH送信処理部703、送信部704、トレーニング信号生成部705、及び、送信部706を備える。
【0180】
受信部701は、例えば、図17にて後述する親局処理部90(例えば、スケジューリング部9023)において決定され、図16にて後述するFH受信器80から送信されるFH制御情報を受信する。
【0181】
FH制御情報解析部702は、例えば、受信部701において受信されたFH制御情報に含まれるFH伝送方式情報#jをFH送信処理部703に出力する。
【0182】
FH送信処理部703には、例えば、FH制御情報解析部702からのFH制御情報と、子局処理部60の出力信号(UL信号)と、が入力される。FH送信処理部703は、例えば、FH符号化処理部7031とFH変調処理部7032とを備える。
【0183】
FH符号化処理部7031は、例えば、FH制御情報解析部702からのFH伝送方式情報#jに含まれる符号種別及び符号化率に従って、子局処理部60から入力された区間#jの物理チャネル信号を符号化してFH変調処理部7032へ出力する。
【0184】
FH変調処理部7032は、例えば、FH伝送方式情報#jに含まれる変調多値数に従って、FH符号化処理部7031の区間#jに対応する出力信号を、QPSK、16QAM、64QAM、あるいは、256QAMといった多値の変調信号に変調する。変調信号は、送信部704へ出力される。
【0185】
送信部704は、例えば、FH送信処理部703の出力信号に対し、例えば、UTPケーブル、STPケーブル、あるいは、光ファイバーケーブルといった有線伝送手段(あるいは、有線インタフェース)に応じた送信処理(例えば、パケット構成処理やヘッダ付加処理など)を施してFH13への送信を行う。
【0186】
トレーニング信号生成部705は、例えば、実施の形態1と同様に、FH13の伝送品質を測定するための既知信号の一例であるトレーニング信号を生成して送信部706へ出力する。
【0187】
送信部706は、例えば、トレーニング信号を、親局装置11に接続されたFH13へ送信する。FH13へ送信されたトレーニング信号は、例えば、親局装置11において、FH受信器80の受信部805(図16参照)によって受信される。
【0188】
なお、FH13の伝送品質測定は、実施の形態1において補足したとおり、例えば、トレーニング信号を逆方向(別言すると、DL方向)に送信することで行われてもよい。例えば、親局装置11のFH受信器80から子局装置12のFH送信器70に向けて送信したトレーニング信号を、FH送信器70において受信及び測定し、その測定結果をFH受信器80にフィードバックしてもよい。
【0189】
また、トレーニング信号生成部705、及び、送信部706の一方又は双方は、FH送信器70の内部に備えられなくてもよく、子局装置12の内部に備えられていればよい。
【0190】
FH制御情報解析部702は、図4に例示したFH制御情報解析部403と共通化されてもよい。トレーニング信号生成部705は、図4に例示したトレーニング信号生成部405と共通化されてもよい。送信部706は、図4に例示した送信部406と共通化されてもよい。
【0191】
<親局装置11>
次に、図16及び図17を参照して、親局装置11におけるFH受信器80及び親局処理部90の構成の一例について説明する。
【0192】
(FH受信器80)
図16に例示したように、FH受信器80は、例えば、受信部801、FH制御情報解析部802、FH受信処理部803、送信部804、受信部805、及び、測定部806を備える。
【0193】
受信部801は、例えば、子局装置12のFH送信器70からFH13へ送信された信号(UE2が送信したUL信号を含む)を受信する。
【0194】
FH制御情報解析部802は、例えば、親局処理部90(例えば、スケジューリング部9023)において決定されたFH制御情報(区間#j毎のFH伝送方式情報#j)を受信し、FH伝送方式情報#jをFH受信処理部803と送信部804とに出力する。
【0195】
送信部804は、例えば、FH伝送方式情報#jを含むFH制御情報を子局装置12のFH送信器70へ送信する。このFH制御情報は、FH送信器70の受信部701において受信される。
【0196】
FH受信処理部803は、例えば、FH復調処理部8031及びFH復号処理部8032を備える。
【0197】
FH復調処理部8031は、例えば、FH制御情報解析部802から入力されたFH伝送方式情報#jを基に、FH送信器70において区間#jに適用された変調処理に対応する復調処理を受信部801の出力信号(ULの物理チャネル信号)に適用する。この復調処理によって復調された信号は、FH復号処理部8032に出力される。
【0198】
FH復号処理部8032は、例えば、FH伝送方式情報#jを基に、FH送信器70において区間#jに適用された符号化処理に対応する復号処理をFH復調処理部8031の出力信号に適用する。この復号処理によって物理チャネル信号が復号されて親局処理部90へ送信される。
【0199】
受信部805は、子局装置12のFH送信器70(例えば、送信部706)が送信したトレーニング信号を受信して測定部806に出力する。
【0200】
測定部806は、例えば、受信部805から入力されたトレーニング信号の受信品質(別言すると、FH13の伝送品質)を測定し、その品質測定結果を、例えばFH品質情報として親局処理部90(例えば図17のMAC部902における閾値設定部9021)に出力する。FH品質情報は、FH13を通じて親局処理部90へ送信されてもよいし、FH13とは異なる通信経路において親局処理部90へ送信されてもよい。
【0201】
なお、図14図17には図示を省略するが、UE2がULへ送信したチャネル品質情報は、子局処理部60、FH送信器70、及び、FH受信器80を経由して親局処理部90(例えば、図17のMAC部902におけるUE分類部9022)へ出力(又は伝達)される。
【0202】
また、受信部805及び測定部806の一方又は双方は、親局装置11に備えられていればよく、親局装置11内のFH受信器80とは異なる機能ブロックに備えられていてもよい。
【0203】
また、受信部805は、図3に例示した受信部305と共通化されてもよく、測定部806は、図3に例示した測定部306と共通化されてもよい。また、FH制御情報解析部802は、図3に例示した301と共通化されてもよい。
【0204】
(親局処理部90)
一方、親局処理部90は、図17に例示したように、物理チャネル処理部901、MAC部902、RLC部903、PDCP部904、及び、SDAP部905を備える。
【0205】
物理チャネル処理部901には、FH受信器80において復調及び符号されたULの物理チャネル信号が入力される。例えば、物理チャネル処理部901は、入力された物理チャネル信号に対して、REデマッピング、レイヤデマッピング、復調、デスクランブリング、復号といった信号処理を適用してよい。
【0206】
例えば、ULのユーザーデータは、ULの物理データチャネルの一例であるPUSCH(physical uplink shared channel)のリソースからデマッピングされる。UL制御情報(「UE制御情報」あるいは「無線制御情報」と称されてもよい)は、例えば、ULの物理制御チャネルの一例であるPUCCH(physical uplink control channel)のリソースからデマッピングされる。
【0207】
MAC部902は、例えば、UL信号のMAC PDUからRLC PDUを生成してRLC部903へ出力する。また、MAC部902は、例えば、スケジューリングによってULの通信機会を割り当てるUE2の決定およびULの無線伝送におけるMCSの決定を行う。MCSの決定には、UE2からフィードバックされるチャネル品質情報(例えば、CQI)が用いられてよい。
【0208】
MAC部902には、例えば、閾値設定部9021、UE分類部9022、及び、スケジューリング部9023が備えられてよい。
【0209】
これらの閾値設定部9021、UE分類部9022、及び、スケジューリング部9023は、それぞれ、図2にて既述の閾値設定部2041、UE分類部2042、及び、スケジューリング部2043と同等の機能を有すると理解されてよい。
【0210】
あるいは、閾値設定部9021、UE分類部9022、及び、スケジューリング部9023は、それぞれ、閾値設定部2041、UE分類部2042、及び、スケジューリング部2043と共通化されてもよい。
【0211】
閾値設定部9021は、例えば、FH受信器80の測定部806において測定されたFH品質情報に基づき、FH伝送方式を切り替える閾値(あるいは閾値範囲)を決定し、決定した閾値(あるいは閾値範囲)を示す情報(閾値情報)をUE分類部9022に出力する。
【0212】
実施の形態1と同様に、閾値(あるいは閾値範囲)は、例えば、FH品質情報が高い品質を示すほど、高いMCSを適用する(FH残留歪み耐性の低い)UE2の数が増える値(あるいは範囲)に決定されてよい。
【0213】
逆に、FH品質情報が低い品質を示すほど、閾値(あるいは閾値範囲)は、例えば、低いMCSを適用する(FH残留歪み耐性の高い)UE2の数が増える値(あるいは閾値範囲)に決定されてよい。
【0214】
UE分類部9022には、閾値設定部9021によって決定された閾値情報と、UE2からUL信号にてフィードバックされるCQIと、が入力されてよい。UE分類部9022は、例えば、閾値情報とCQIとに基づき、UE2を、UL信号に関して高いMCSを適用する(FH残留歪み耐性の低い)UEグループと、UL信号に関して低いMCSを適用する(FH残留歪み耐性の高い)UEグループと、に分類する。UEグループに関する情報(UE分類情報)は、例えば、個々のUE2のCQIと共にスケジューリング部9023に出力される。なお、UEグループを構成するUE2の数は「1」の場合もあり得る。
【0215】
スケジューリング部9023は、例えば、UE分類部9022からのUE分類情報に基づき、分類されたUEグループ内のUE2からULの通信機会を割り当てるUE2を決定する。スケジューリング部9023は、例えば、ULの通信機会を割り当てたUE2が送信元のUL信号からRLC PDUを生成してRLC部903へ出力する。
【0216】
また、スケジューリング部9023は、例えば、区間#j毎のFH伝送方式情報#jを含むFH制御情報を、例えば、FH受信器80を介して子局装置12のFH送信器70へ伝達する。このFH制御情報(FH伝送方式情報#j)は、例えば、ULの通信機会を割り当てたUEグループのUL信号を子局装置12がFH送信器70からFH13へ送信する際のFH伝送方式の決定に用いられる。
【0217】
RLC部903は、例えば、MAC部902の出力に対して、例えば、エラー検出及びARQによる再送制御といった処理を行い、PDCP PDUを出力する。
【0218】
PDCP部904は、RLC部903の出力に対して、例えば、暗号化されているユーザーデータの復号化及びヘッダ解凍といった処理を行い、SDAP PDUをSDAP部905へ出力する。
【0219】
SDAP部905は、例えば、QoSフローと無線ベアラとのマッピングを行い、PDCP部904の出力からSDAPヘッダを除去して上位のコアネットワークへ送信する。
【0220】
なお、実施の形態3に係るULに着目した動作例は、例えば、実施の形態1の図6に例示したシーケンス図において、「物理チャネル信号」の流れが逆方向であり、かつ、親局処理部20、FH送信器30、FH受信器40、及び、子局処理部50を、それぞれ、親局処理部90、FH受信器80、FH送信器70、及び、子局処理部60に読み替えた動作に相当すると理解されてよい。
【0221】
例えば、図6のシーケンス図において、FH品質情報に基づく閾値設定(S604)、閾値及びチャネル品質情報に基づくUE分類(S606)、及び、通信機会を与えるUE2の決定(S607)の対象が、UL信号に読み替えられる。
【0222】
以上のように、実施の形態3によれば、ULに関して実施の形態1と同様に、ULに関して、FH伝送における1つの時間区間#jに、FH残留歪み耐性が同じであるか近似(又は類似)したUE2をスケジューリングできる。
【0223】
したがって、ULに関するFH伝送においてFH残留歪み耐性が同じであるか近似したUEグループ毎に、ULに関して適用するFH伝送方式を最適化できるため、ULのFH伝送効率を向上できる。
【0224】
なお、実施の形態3においても、実施の形態1と同様に、区間#jに対するスケジューリングは、UE分類情報に加えて、例えば、FH伝送されるUE2宛のDL信号のサービス種別に関する情報に基づいて行われてもよい。
【0225】
<実施の形態4>
実施の形態4に係る無線基地局1は、実施の形態2において説明したDL構成(図10図12)に対応したUL構成を有する。別言すると、実施の形態4は、実施の形態3において例示したUL構成において、実施の形態2と同様に、周波数区間#jの別にULのFH伝送方式を制御する例に相当する。
【0226】
例えば、実施の形態4において、子局装置12には、図14に例示した子局処理部60と、図15に例示したFH送信器構成において例えばFH送信処理部703(FH符号化処理部7031及びFH変調処理部7032)を周波数区間#jの別に備えたFH送信器と、が設けられてよい。
【0227】
また、実施の形態4において、親局装置11には、図16に例示したFH受信器構成において例えばFH受信処理部803(FH復調処理部8031及びFH復号処理部8032)を周波数区間#jの別に備えたFH受信器が設けられてよい。
【0228】
また、実施の形態4における親局装置11が備える親局処理部としては、図17に例示した親局処理部構成において例えば物理チャネル処理部901を周波数区間#jの別に備えた親局処理部が設けられてよい。
【0229】
以上のような構成により、子局装置12から親局装置11へFH13を通じて伝送されるUL信号について、周波数区間#jの別(別言すると、FH残留歪み耐性の相違に応じて分類されたUEグループ#jの別)に、FH伝送方式を制御できる。
【0230】
したがって、周波数区間#j毎に、別言すると、FH伝送においてFH残留歪み耐性が同じであるか近似したUEグループ毎に、ULに関して適用するFH伝送方式を最適化でき、ULのFH伝送効率を向上できる。
【0231】
また、実施の形態4では、実施の形態2と同様に、FHリソースの周波数区間#jに対するスケジューリングが行われるため、複数のUEグループのUL信号を並列に(例えば、同一タイミングで)受信できる。したがって、例えば、同じサービスを利用する複数UE2から送信されたUL信号が、異なる周波数区間#jに割り当てられたとしても、UEグループ間においてULの伝送遅延が異なることを抑制できる。
【0232】
なお、実施の形態2と同様に、周波数区間#jに対するスケジューリングは、UE分類情報に加えて、例えば、FH伝送されるUL信号のサービス種別に関する情報に基づいて行われてもよい。
【0233】
(その他)
実施の形態1と実施の形態2とは、組み合わせて実施されてもよい。同様に、実施の形態3と実施の形態4とは、組み合わせて実施されてもよい。例えば、時間軸と周波数軸との双方についてFHリソースを分割した単位でUEグループの割り当てが行われてよい。
【0234】
また、実施の形態1と実施の形態2とは、切り替えて(選択的に)実施されてもよい。同様に、実施の形態3と実施の形態4とは、切り替えて(選択的に)実施されてもよい。
【0235】
また、DLに関する実施の形態1とULに関する実施の形態4とが組み合わせて実施されてもよいし、DLに関する実施の形態2とULに関する実施の形態3とが組み合わせて実施されてもよい。別言すると、FHリソースの分割に関してDLとULとで時間区間#jを用いるか周波数区間#jを用いるかが異なってもよい。
【0236】
また、上述した実施の形態1~4において、UE2の分類(別言すると、閾値決定)に用いるチャネル品質情報(例えば、CQI)は、UE2と無線基地局1との間の無線伝搬環境(あるいは伝搬条件)を示す情報あるいはパラメータに読み替えられてもよい。例えば、UE2と無線基地局1との間の距離や遮蔽物の有無といった要因によって無線伝搬環境が異なり得るため、そのような要因に関する指標が、UE2の分類に用いられてもよい。
【0237】
上述した実施の形態1~4において、親局処理部20(又は90)、及び、子局処理部50(又は60)の少なくとも1つは、論理的なスライスによって構成されてもよい。また、親局装置11及び子局装置12の少なくとも1つが、論理的なスライスによって構成されてもよい。
【0238】
FH伝送品質の測定は、トレーニング信号に代えて、例えば、DL又はULのデータのCRC結果、あるいはCRC結果に基づく確認応答(Ack/Nack)情報を用いて行われてもよい。この場合、FH伝送品質測定のための信号の送信及び受信を不要にできる。したがって、FH帯域の利用効率を向上できる。
【0239】
DLのFH送信器30とULのFH受信器80とは、物理的に異なる装置として構成されてもよいし、物理的に同じ装置内において実現されてもよい。また、FH送信器30とFH受信器80とは、例えば、DL及びULに共用のFH送受信装置又はFH通信装置として一体化されてもよい。
【0240】
子局装置12についても、同様に、DLのFH受信器40とULのFH送信器70とは、物理的に異なる装置として構成されてもよいし、物理的に同じ装置内において実現されてもよい。また、FH受信器40とFH送信器70とは、例えば、DLとULとに共用のFH送受信装置又はFH通信装置として一体化されてもよい。
【0241】
また、DLの子局処理部50とULの子局処理部60とは、物理的に異なる装置として構成されてもよいし、物理的に同じ装置内において実現されてもよい。
【0242】
上述した実施の形態1~4において使用した「・・・部」という表記は、物理的なエレメントを意味する場合、「・・・回路(circuitry)」、「・・・デバイス」、「・・・ユニット」、又は、「・・・モジュール」といった他の表記に置換されてもよい。これに対し、論理的なエレメントを意味する場合、「・・・部」という表記は、例えば、既述のとおり「スライス」に置換されてよい。
【0243】
上述した実施の形態1~4において使用した「機能分割点」という用語は、「スプリット」、「オプション」、あるいは「スプリットオプション」と称されることもある。
【0244】
例えば、非特許文献2では、スプリットA~Eが規定される。また、「分割オプション」の一例としては、例えば非特許文献3に記載されるように、以下の分割オプション1~8が挙げられる。
【0245】
(1)分割オプション1:RRC(radio resource control)とPDCPとの間
(2)分割オプション2:PDCPとRLC(High-RLC)との間
(3)分割オプション3:High-RLCとLow-RLCとの間
(4)分割オプション4:RLC(Low-RLC)とMAC(High-MAC)との間
(5)分割オプション5:High-MACとLow-MACとの間
(6)分割オプション6:MAC(Low-MAC)とPHY(High-PHY)との間
(7)分割オプション7:High-PHYとLow-PHYとの間
(8)分割オプション8:PHY(Low-PHY)とRFとの間
【0246】
FHリソースを時間軸において分割する実施の形態1及び3に関しては、例えば、分割オプション1~8の何れかが適用可能であると理解されてよい。また、FHリソースを周波数軸において分割する実施の形態2及び4に関しては、例えば、分割オプション1~7の何れかが適用可能であると理解されてよい。
【0247】
なお、上記の分割オプション1~8に示されるとおり、実施の形態1~4において、RLC部及びMAC部のそれぞれは、上位(High)と下位(Low)とに機能的に分割(又は分類)されることがある。
【0248】
なお、スプリットA~E(又は、分割オプション1~8)のうちの何れか1つは、例えば、「サブスプリット」(又は「サブオプション」)として更に分割(又は分類)されてもよい。
【0249】
実施の形態1~4では、機能分割点が1つ(機能分割構成が親局装置11と子局装置12との2つ)のケースについて説明したが、機能分割点は2つ以上であってもよい。例えば、複数の基地局機能部が、2つの機能分割点によってCU、DU及びRU(radio unit)の3つに分割配置されてもよい。
【0250】
この場合、例えば、CUとDUとの間の接続がFH13に相当する。例えば、CUとDUとの間の伝送品質情報を基に、UE2を分類する閾値(あるいは閾値範囲)が決定されて、UE2のグルーピングとUEグループの区間#jに対する割り当てとが行われてよい。
【0251】
本開示はソフトウェア、ハードウェア、又は、ハードウェアと連携したソフトウェアで実現することが可能である。上記実施の形態の説明に用いた各機能ブロックは、部分的に又は全体的に、集積回路であるLSIとして実現され、上記実施の形態で説明した各プロセスは、部分的に又は全体的に、一つのLSI又はLSIの組み合わせによって制御されてもよい。LSIは個々のチップから構成されてもよいし、機能ブロックの一部または全てを含むように一つのチップから構成されてもよい。LSIはデータの入力と出力を備えてもよい。LSIは、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。
【0252】
また、集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路、汎用プロセッサ又は専用プロセッサで実現してもよい。また、LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)や、LSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。本開示は、デジタル処理又はアナログ処理として実現されてもよい。
【0253】
さらには、半導体技術の進歩または派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックの集積化を行ってもよい。バイオ技術の適用等が可能性としてあり得る。
【0254】
<本開示のまとめ>
本開示の非限定的な一実施例に係る親局装置は、フロントホールの伝送品質情報と端末のチャネル品質情報とに基づいて、前記端末に割り当てる前記フロントホールのリソース及び伝送方式を決定する制御部と、決定した情報に基づいて、前記リソースによって前記フロントホールへ送信する信号の伝送方式を制御する送信器と、を備える。
【0255】
本開示の非限定的な一実施例に係る親局装置において、前記制御部は、前記チャネル品質情報に基づいて分類した端末グループ毎に、前記フロントホールのリソース及び伝送方式を決定してよい。
【0256】
また、本開示の非限定的な一実施例に係る親局装置において、前記制御部は、前記チャネル品質情報が閾値未満の第1の端末に前記フロントホールの伝送方式のうち第1の伝送方式を割り当て、前記チャネル品質情報が閾値以上の第2の端末に、前記第1の伝送方式よりも誤り耐性の高い第2の伝送方式を割り当ててよい。
【0257】
また、本開示の非限定的な一実施例に係る親局装置において、前記制御部は、前記第1の端末を前記フロントホールの第1リソースに割り当て、前記第2の端末を前記フロントホールの第2リソースに割り当ててよい。
【0258】
また、本開示の非限定的な一実施例に係る親局装置において、前記閾値は、前記フロントホールの伝送品質情報に基づいてよい。
【0259】
また、本開示の非限定的な一実施例に係る親局装置において、前記第1リソース及び前記第2リソースのそれぞれは、前記フロントホールのリソースを時間軸及び周波数軸の少なくとも1つにおいて分割したリソースの1つであってよい。
【0260】
また、本開示の非限定的な一実施例に係る親局装置は、前記制御部により決定した情報に基づいて、前記リソースによって前記フロントホールから受信する信号の伝送方式を制御する受信器、を備えてもよい。
【0261】
また、本開示の非限定的な一実施例に係る基地局は、フロントホールへ信号を送信する送信器と、前記フロントホールから前記信号を受信する受信器と、前記受信器において受信した前記信号を端末宛に無線送信する無線部と、前記フロントホールの伝送品質情報と前記端末のチャネル品質情報とに基づいて、前記信号を割り当てる前記フロントホールのリソースと、前記送信器及び前記受信器が前記信号に適用する伝送方式と、を制御する制御部と、を備える。
【0262】
本開示の非限定的な一実施例に係る基地局において、前記制御部は、前記チャネル品質情報に基づいて分類した端末グループ毎に、前記フロントホールのリソース及び伝送方式を決定してよい。
【0263】
また、本開示の非限定的な一実施例に係る基地局において、前記制御部は、前記チャネル品質情報が閾値未満の第1の端末に第1の伝送方式を割り当て、前記チャネル品質情報が閾値以上の第2の端末に、前記第1の伝送方式よりも誤り耐性の高い第2の伝送方式を割り当ててよい。
【0264】
また、本開示の非限定的な一実施例に係る基地局において、前記制御部は、前記第1の端末を前記フロントホールの第1リソースに割り当て、前記第2の端末を前記フロントホールの第2リソースに割り当ててよい。
【0265】
また、本開示の非限定的な一実施例に係る基地局において、前記閾値は、前記フロントホールの伝送品質情報に基づいてよい。
【0266】
また、本開示の非限定的な一実施例に係る基地局において、前記第1リソース及び前記第2リソースのそれぞれは、前記フロントホールのリソースを時間軸及び周波数軸の少なくとも1つにおいて分割したリソースの1つであってよい。
【0267】
また、本開示の非限定的な一実施例に係る通信制御方法は、基地局が、フロントホールの伝送品質情報と端末のチャネル品質情報とに基づいて、前記端末に割り当てる前記フロントホールのリソース及び伝送方式を決定し、決定した情報に基づいて、前記リソースによって前記フロントホールへ送信する信号の伝送方式を制御する。
【産業上の利用可能性】
【0268】
本開示は、例えば、無線通信の基地局に好適である。
【符号の説明】
【0269】
1 無線基地局
2 UE
11 親局装置
12 子局装置
13 FH
20,20A,90 親局処理部
30,30A,70 FH送信器
40,40A,80 FH受信器
50,60 子局処理部
205,205-1,205-2,501,603,901 物理チャネル処理部
301,403,702,802 FH制御情報解析部
302,302-1,302-2,703 FH送信処理部
306,806 測定部
404,404-1,404-2,803 FH受信処理部
405,705 トレーニング信号生成部
2041,9021 閾値設定部
2042,9022 UE分類部
2043,9023 スケジューリング部
図1
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