(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-22
(45)【発行日】2024-01-05
(54)【発明の名称】画像形成システム
(51)【国際特許分類】
G03G 15/00 20060101AFI20231225BHJP
G03G 13/22 20060101ALI20231225BHJP
B41J 5/30 20060101ALI20231225BHJP
B41J 29/00 20060101ALI20231225BHJP
【FI】
G03G15/00 303
G03G13/22
B41J5/30 C
B41J29/00 H
(21)【出願番号】P 2020046524
(22)【出願日】2020-03-17
【審査請求日】2023-03-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000718
【氏名又は名称】弁理士法人中川国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】千代田 保▲晴▼
【審査官】市川 勝
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-015210(JP,A)
【文献】特開2013-022891(JP,A)
【文献】特開2018-151810(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/00
G03G 13/22
B41J 5/30
B41J 29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートに画像を形成する画像形成装置と、シートに形成された画像を下地として当該画像上に薄膜である箔を転写する箔転写装置と、を有する画像形成システムにおいて、
複数の色のトナーを用いてシートに画像を形成する画像形成部と、
前記画像形成部を制御する制御部と、
前記箔転写装置に装着されている前記箔の色に関する情報を検出する検出部と、を備え、
前記制御部は、
前記検出部から入力された前記箔転写装置に装着されている前記箔の色に関する情報に応じて、前記画像形成部が前記箔の下地となる画像を形成する際の画像の色を設定することを特徴とする画像形成システム。
【請求項2】
前記制御部は、ネットワークを介して接続された情報処理装置から入力された前記箔転写装置に装着されている前記箔の色に関する情報に応じて、前記画像形成部が前記箔の下地となる画像を形成する際の画像の色を設定することを特徴とする請求項
1に記載の画像形成システム。
【請求項3】
前記箔転写装置に装着されている前記箔の色に関する情報を入力可能な操作部を備え、
前記制御部は、前記操作部から入力された前記箔転写装置に装着されている前記箔の色に関する情報に応じて、前記画像形成部が前記箔の下地となる画像を形成する際の画像の色を設定することを特徴とする請求項
1に記載の画像形成システム。
【請求項4】
前記検出部は、撮像素子によって前記箔転写装置に装着されている前記箔の色に関する情報を検出することを特徴とする請求項
1に記載の画像形成システム。
【請求項5】
前記箔転写装置に対し、前記箔は芯材に巻き付けられた状態で装着されており、
前記検出部は、前記芯材に取り付けられたICチップの情報を読み取ることで前記箔の色に関する情報を検出することを特徴とする請求項
1に記載の画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートにトナーを用いて画像を形成する画像形成装置と、シート上の画像に箔を転写する箔転写装置を有する画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、特許文献1に記載されているように、画像形成装置と、画像形成装置によってシートに形成された画像の上に箔を転写する箔転写装置を有する画像形成システムが知られている。箔転写装置は、画像が形成されたシートを加熱し、当該シートに対して箔を圧接させることで、シートに形成された画像上に箔を転写する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで特許文献1では、箔が転写される下地となる画像の色をイエロー、マゼンダ、シアン、ブラックのいずれかのトナーを用いて形成することが記載されており、箔が転写される画像の色に関して考慮されていない。しかしながら、シートに転写されている箔が擦れなどによって部分的に剥がされた場合、箔が欠けた部分で箔の下地となる画像が露出することになる。この場合、シートに転写されている箔の色と箔の下地となる画像の色との関係によっては箔が欠けた部分が目立つおそれがある。
【0005】
また箔が透光性を有する場合、シートに転写されている箔の色合いは、箔の下地となる画像の色合いに影響を受ける。つまりブラックの画像上に箔が転写された場合と、イエローの画像上に箔が転写された場合とでシートに転写されている箔の色合いは異なるものとなる。このような観点から、箔の下地となる画像の色を一律の色に設定するのではなく、ユーザの設定などに応じて変更できる構成とするのが望ましい。
【0006】
そこで本発明は、箔が転写される画像の色を変更することができる画像形成システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための本発明に係る画像形成システムの代表的な構成は、シートに画像を形成する画像形成装置と、シートに形成された画像を下地として当該画像上に薄膜である箔を転写する箔転写装置と、を有する画像形成システムにおいて、複数の色のトナーを用いてシートに画像を形成する画像形成部と、前記画像形成部を制御する制御部と、前記箔転写装置に装着されている前記箔の色に関する情報を検出する検出部と、を備え、前記制御部は、前記検出部から入力された前記箔転写装置に装着されている前記箔の色に関する情報に応じて、前記画像形成部が前記箔の下地となる画像を形成する際の画像の色を設定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、画像形成システムにおいて、箔が転写される画像の色を変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図5】画像形成システムのシステム構成を示すブロック図である。
【
図7】画像形成用ソフトの選択画面を示す図である。
【
図8】画像形成用ソフトの設定画面を示す図である。
【
図9】画像形成用ソフトの画像挿入画面を示す図である。
【
図10】画像形成用ソフトのマニュアル設定画面を示す図である。
【
図11】ICチップと箔検出センサの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<画像形成システム>
以下、まず本発明に係る画像形成システムの全体構成を説明する。以下に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0011】
図1は、画像形成システムAの断面概略図である。
図1に示す様に、画像形成システムAは、シートSに画像を形成する画像形成装置100と、画像形成装置100によって画像が形成されたシートSに後処理を行うフィニッシャ200から構成される。フィニッシャ200は、画像形成装置100に対して任意に取り付けられるオプション装置であり、シートSに形成された画像に箔を転写する箔転写装置1を備える。
【0012】
画像形成装置100は、イエローY、マゼンダM、シアンC、ブラックKの複数の色のトナーを用いてシートSにフルカラー画像を形成する。画像形成装置100は、シートSにトナーを用いて画像を形成する画像形成部150を備える。画像形成部150は、感光ドラム91(91Y、91M、91C、91K)、帯電ローラ92(92Y、92M、92C、92K)、レーザスキャナユニット93(93Y、93M、93C、93K)、現像装置94(94Y、94M、94C、94K)を備える。また一次転写ローラ95(95Y、95M、95C、95K)、クリーニングブレード83(83Y、83M、83C、83K)、中間転写ベルト110、二次転写ローラ97、二次転写対向ローラ96を備える。
【0013】
また画像形成装置100は、ユーザが操作することで各種の設定が可能なユーザインターフェースである操作部99を備える。操作部99は、情報を表示するディスプレイに操作可能なソフトキーを表示させるタッチパネル方式のものである。なお、操作部99として、ディスプレイと数値を入力するためのテンキーや操作ボタンを組み合わせたハードキー方式のものを用いてもよい。ユーザは、ソフトキーやハードキーを操作して数値の入力等を行うことで、画像形成枚数の設定などの画像形成に関する設定を行うことができる。
【0014】
また画像形成装置100には、ネットワークを介してパーソナルコンピュータ10(情報処理装置)が接続されている。パーソナルコンピュータ10は、情報を処理する情報処理部(不図示)や、各種の画像を表示させる画面10aを備える。
【0015】
次に、画像形成装置100による画像形成動作について説明する。画像をする際は、まず
図5に示すCPU161に画像形成ジョブ信号が入力される。これによりシートカセット101に積載されたシートSがピックアップローラ84によりピックアップされ、給送ローラ86によって搬送パス102に送り出される。搬送パス102に送り出されたシートSは、二次転写ローラ97と二次転写対向ローラ96から形成される二次転写部に送り込まれる。
【0016】
一方、画像形成部150においては、まず帯電ローラ92Yにより感光ドラム91Y表面が帯電させられる。その後、パーソナルコンピュータ10から伝送された画像信号に応じてレーザスキャナユニット93Yが感光ドラム91Y表面にレーザ光を照射する露光処理を行う。これによりレーザ光が照射された露光箇所において電位降下が生じ、感光ドラム91Y表面に静電潜像を形成される。
【0017】
その後、現像装置94Yにより感光ドラム91Yの表面に形成された静電潜像にイエローのトナーが付着され、感光ドラム91Y表面にイエローのトナー像が形成される。感光ドラム91Y表面に形成されたトナー像は、一次転写ローラ95Yに一次転写バイアスが印加されることで中間転写ベルト110に一次転写される。トナー像が一次転写された後、感光ドラム91Yに残留したトナーは、クリーニングブレード83Yにより掻き取られて除去される。
【0018】
同様のプロセスにより、感光ドラム91M、91C、91Kにも、マゼンダ、シアン、ブラックのトナー像が形成される。そして一次転写ローラ95M、95C、95Kに一次転写バイアスが印加されることで、これらのトナー像が中間転写ベルト110上のイエローのトナー像に対して重畳的に転写される。これにより中間転写ベルト110の表面に画像信号に応じたフルカラーの画像が形成される。
【0019】
その後、中間転写ベルト110が周回移動することで、フルカラーのトナー像が二次転写部に送られる。そして二次転写部において二次転写ローラ97に二次転写バイアスが印加されることで、中間転写ベルト110上のフルカラーのトナー像がシートSに転写される。
【0020】
次に、トナー像が転写されたシートSは、搬送ベルト103によって定着装置98に搬送され、定着装置98において加熱、加圧される定着処理が施される。これによりシートS上のトナー像がシートSに定着されてシートS上に画像が形成される。その後、画像が定着されたシートSは、排出パス104を通り、排出ローラ105によってフィニッシャ200に搬送される。
【0021】
フィニッシャ200に搬送されたシートSは、箔転写を行わない場合、排出パス203を通り、排出ローラ223によって排出トレイ224に排出される。一方、箔転写を行う場合、シートSは箔転写パス202を通って箔転写装置1に搬送され、箔転写装置1においてシートSに形成された画像上に箔転写が行われる。
【0022】
箔転写が行われたシートSは、再送パス204、206、再搬送パス106、搬送パス102を通り、画像形成部150に再び送られて、画像形成部150において箔が転写されない部分の画像が形成される。箔が転写されない部分の画像とは、シートSにおける箔が転写されていない部分に形成される画像や、シートSにおける箔が転写された部分に箔の上から重ねて形成される画像である。その後、シートSは、フィニッシャ200に搬送され、排出パス203を通り、排出ローラ223によって排出トレイ224に排出される。
【0023】
なお、画像形成装置100においてシートSの両面に画像を形成する場合、定着装置98を通過したシートSは、反転パス107に送られる。その後、シートSは、反転パス107においてスイッチバック方式で表裏が反転され、再搬送パス106を通り、搬送パス102に再度搬送されて、画像形成部150においてシートSの裏面に表面と同様に画像が形成される。
【0024】
<箔転写装置>
次に、箔転写装置1の構成について説明する。
【0025】
図2は、箔転写装置1の断面概略図である。
図3は、箔転写装置1の斜視概略図である。
図2、
図3に示す様に、箔転写装置1は、ハロゲンヒータ22を内包する加熱ローラ21を備える。加熱ローラ21は、STKM材からなるパイプの外周面に厚み2mmのシリコンゴムを巻き付けて形成され、その外径は40mmである。加熱ローラ21は、その両端部がベアリング(不図示)によって回転可能に支持されており、駆動モータ60(
図5)の駆動力によって
図2に示す矢印R1方向に回転する。
【0026】
また箔転写装置1において、加熱ローラ21表面に接する位置には、不図示のサーミスタが設けられている。ハロゲンヒータ22は、サーミスタが検出する加熱ローラ21の表面温度が長手方向で一様に160℃を保つように点灯が制御される。加熱ローラ21の表面温度が160℃に達したことをサーミスタが検出すると、その情報が
図5に示す制御部50や通信部67、167を介して画像形成装置100に伝送される。これにより画像形成装置100は箔が転写されるシートSに画像形成可能な状態となり、加熱ローラ21は所定のタイミングで回転を開始する。
【0027】
また箔転写装置1において、加熱ローラ21と対向する位置には、不図示のバネによって加熱ローラ21に圧接し、加熱ローラ21との間でニップ部Nを形成する加圧ローラ23が設けられている。加圧ローラ23は、STKM材のローラの表面にPFAチューブを巻き付けて形成されている。加圧ローラ23は、その両端部がベアリング(不図示)によって回転可能に支持されており、加熱ローラ21の回転に従動して回転する。
【0028】
また箔転写装置1は、ロール状の箔フィルム24を保持する保持ローラ25を備える。箔フィルム24は、芯材24aに巻き付けられている。保持ローラ25は、箔フィルム24の芯材24aが嵌合することで箔フィルム24を保持している。保持ローラ25は、後述する巻取ローラ26の回転に伴って箔フィルム24が回転しながら芯材24aから引き出される際に芯材24aと一体的に回転する。
【0029】
箔フィルム24は、未使用段階での総長さが120mであり、A4サイズ(シート搬送方向の長さが210mm)のシートSに箔転写を行う場合に約450枚の箔転写を行うことができる。また
図4に示す様に、箔フィルム24は、PET樹脂フィルムで形成されたベース層24s1(ベースフィルム)に対して、剥離層24s2、着色層24s3、アルミ蒸着層24s4、トナーと接着する接着層24s5が順に積層されて構成されている。後述する通り、ベース層24s1は、シートSに転写されない層(第1層)であり、箔フィルム24における箔以外の部分である。また、剥離層24s2、着色層24s3、アルミ蒸着層24s4、接着層24s5は、ベース層24s1から剥離してシートSに転写される層(第2層)であり、箔フィルム24における箔の部分であり、装飾用の薄膜(転写膜)である。
【0030】
また箔フィルム24の各々の層の厚みは、ベース層24s1が11.00μm以上13.00μm、剥離層24s2が0.01μm以上0.03μm以下、着色層24s3が1.00μm以上2.00μm以下である。またアルミ蒸着層24s4が100Å以上600Å以下、トナーと接着する接着層24s5が2.00以上6.00μm以下である。つまり箔フィルム24におけるシートSに転写される薄膜の箔部分は、3.02μm以上、8.09μm以下である。箔フィルム24は、加熱ローラ21にベース層24s1が接し、加圧ローラ23に接着層24s5が接するように配置される。
【0031】
また箔転写装置1は、芯材24aから引き出された箔フィルム24を巻き取る巻取ローラ26を備える。巻取ローラ26には、巻取芯45が保持されており、巻取ローラ26が
図5に示す駆動モータ60の駆動力によって
図2に示す矢印R2方向に回転することで、箔フィルム24が巻取芯45に巻き取られる。また芯材24aから引き出された箔フィルム24は、テンションローラ28によって張力が付与され、ニップ部Nを通り、分離ローラ209で折り返されて、巻取ローラ26に巻き取られる。テンションローラ28は、鋼にKNメッキが施されて形成されたローラであり、箔フィルム24の移動に従動して回転する。巻取ローラ26は、加熱ローラ21と同一の駆動モータ60の駆動力によって回転し、巻取ローラ26の回転速度は、加熱ローラ21の回転速度の1.05倍に設定されている。
【0032】
なお、巻取ローラ26には、不図示のトルクリミッタが取り付けられており、箔フィルム24を巻き取る際にトルクリミッタによって箔フィルム24のニップ部Nと巻取ローラ26との間の部分に一定の張力を付与されている。また保持ローラ25には、不図示のトルクリミッタが取り付けられており、所定以上のトルクが付与されないと保持ローラ25が回転しないように構成されている。これにより箔フィルム24に長手方向でほぼ一様のテンションを付与して皺の発生を抑制している。
【0033】
次に、箔転写装置1による箔転写動作について説明する。箔転写の際は、まず画像形成装置100の画像形成部150でトナー像が転写され、定着装置98でトナー像が定着されたシートSが箔転写装置1に搬送される。箔転写装置1に搬送されたシートSは、搬送ローラ85により、搬送ガイド46に移動を案内されながら、ニップ部Nに向かって搬送される。なお、搬送ローラ85は、箔転写装置1に設けられており、
図5に示す搬送モータ65によって駆動される。
【0034】
箔転写装置1は、シートSの先端を検出する先端検出センサ30を備える。搬送ローラ85に搬送されたシートSが先端検出センサ30に検出されると、駆動モータ60が駆動されて加熱ローラ21と巻取ローラ26の回転が開始される。これにより保持ローラ25から箔フィルム24が引き出され、加熱ローラ21の回転速度と略同一の速度で移動しながら巻取ローラ26に巻き取られる。
【0035】
次に、シートSは、ニップ部Nにおいて箔フィルム24と加圧ローラ23の間に進入する。これによりニップ部Nにおいて、箔フィルム24とシートSとが共に挟持されながら加熱ローラ21で加熱され、シートSに形成された画像に箔フィルム24が圧着されて転写される。具体的には、ニップ部Nにおいて、シートSと箔フィルム24が加熱、加圧されることで、シートSに形成された画像の表面が溶融する。その結果、画像と箔フィルム24の接着層24s5が結合し、箔フィルム24は剥離層24s2においてベース層24s1から剥離する。
【0036】
つまりニップ部Nは、箔フィルム24の移動方向において保持ローラ25と巻取ローラ26との間に配置され、シートSに形成された画像に箔フィルム24を転写させる転写部である。換言すれば、ニップ部Nは、保持ローラ25に保持されている箔フィルム24が巻取ローラ26に巻き取られるまでの移動経路上に配置され、シートSに形成された画像に箔フィルム24を転写させる転写部である。
【0037】
次に、ニップ部Nを通過したシートSは、箔フィルム24のベース層24s1と密着した状態で、搬送ガイド27に沿って移動しながら分離ローラ29に搬送される。その後、分離ローラ29によってシートSから箔フィルム24のベース層24s1が剥離され、不図示の搬送ローラによって箔転写装置1からシートSが排出される。
【0038】
<制御部>
次に、画像形成システムAのシステム構成の概略について、
図5に示すブロック図を用いて説明する。
【0039】
図5に示す様に、画像形成装置100は、CPU161、ROM162、RAM163から構成される制御部160を備える。ROM162には、各種の情報やテーブル、制御プログラムが記憶されている。RAM163は、CPU161の作業領域として画像形成に係るシートSの情報などが記憶される。制御部160には、画像形成部150や画像処理部165が接続されており、CPU161は、ROM162に記憶されたプログラムに基づいて、RAM163を作業領域に使用して演算処理を行ってこれらを制御する。画像処理部165は、CPU161の指示に従って、外部機器から送信された画像情報に対して色分解、γ補正、濃度補正等の各種の画像処理を行う。
【0040】
また制御部160には、操作部99が接続されている。ユーザが操作部99を操作することで、各種の情報が制御部160に入力される。例えば操作部99においてシートカセット101に収納されるシートSの情報が入力されると、この情報がRAM163に記憶される。またCPU161は、操作部99のディスプレイに各種の情報を表示させることができる。なお、本実施形態では、画像形成装置100に操作部99を設けているものの、箔転写装置1に操作部99を設ける構成としてもよい。
【0041】
また制御部160には、ネットワークインターフェース69が接続されている。ネットワークインターフェース69には、有線LANや無線LANなどのネットワークを介してパーソナルコンピュータ10が接続されている。このように画像形成装置100の制御部160とパーソナルコンピュータ10がネットワークを介して接続されており、制御部160は、パーソナルコンピュータ10との間で各種の情報を送受信することができる。
【0042】
箔転写装置1は、CPU51、ROM52、RAM53から構成される制御部50を備える。ROM52には、各種の情報やテーブル、制御プログラムが記憶されている。RAM53は、CPU51の作業領域として、箔転写されるシートSの情報などが記憶される。CPU51は、ROM52に記憶されたプログラムに基づいて、RAM53を作業領域に使用して演算処理を行い、制御部50に接続されたデバイスを制御する。
【0043】
また制御部50には、駆動モータ60を制御するモータドライバ61と、搬送モータ65を制御するモータドライバ66と、ハロゲンヒータ22を制御するヒータドライバ62が接続されている。制御部50のCPU51は、先端検出センサ30から入力された信号に基づいて、モータドライバ61へ駆動モータ60の駆動、又は駆動停止や、モータドライバ66へ搬送モータ65の駆動、又は駆動停止を指示する。またCPU51は、先端検出センサ30から入力された信号に基づいて、ヒータドライバ62へハロゲンヒータ22の駆動、又は駆動停止を指示する。
【0044】
また箔転写装置1は、画像形成装置100の通信部167と接続された通信部67を備える。これらの通信部67、167により、画像形成装置100と箔転写装置1との間で双方向の通信が可能になっている。このため、画像形成装置100の操作部99に入力された情報は、画像形成装置100の制御部160で処理され、通信部67、167を介して、箔転写装置1の制御部50にも入力される。
【0045】
<箔転写シーケンス>
上述した通り、シートSに転写されている箔が擦れなどによって部分的に剥がされた場合、箔が欠けた部分で箔の下地となる画像が露出することになる。この場合、シートSに転写されている箔の色と箔の下地となる画像の色との関係によっては、箔が欠けた部分が目立ってしまう。
【0046】
また箔は薄膜であるため、箔が透光性を有する場合、シートSに転写されている箔の色合いは、箔が転写される下地となる画像の色合いに影響を受ける。透光性の計測は、例えばエックスライト社の341Cポータブル透過濃度計により箔に光源から光量I0で光を照射して箔を透過後の光量Iを計測し、透過率Vを以下の式1で算出することで行う。
V=I/I0×100〔%〕・・(1)
【0047】
ここで箔の透過率が0%で透光性を有しない場合、シートSに転写されている箔の色味は、箔の下地となる画像の色の影響を受けない。一方、箔の光の透過率が10%程度の場合でも、シートSに転写されている箔の色味は、箔の下地となる画像の色の影響を受けることになる。つまりブラックの画像上に箔が転写された場合と、イエローの画像上に箔が転写された場合とでシートSに転写されている箔の色合いは異なるものとなる。
【0048】
このような観点から、本実施形態に係る画像形成システムAにおいては、箔の下地となる画像の色を一律にするのではなく、ユーザの設定や箔の色に応じて変化させる構成としている。以下、画像形成システムAにおいて箔を転写する際に実行される箔転写シーケンスについて、
図6に示すフローチャートを用いて説明する。なお、
図6に示すフローチャートにおいては、パーソナルコンピュータ10を「PC」と表記している。
【0049】
図6に示す様に、まずパーソナルコンピュータ10で画像形成用ソフトが開かれた情報をCPU161が受信すると、CPU161は、箔転写装置1に設けられた不図示のセンサから入力される信号に基づいて箔フィルム24の有無を判定する(S1、S2)。次にCPU161は、箔フィルム24が無いと判定する場合、画像形成用ソフト上で表示されている
図7に示す選択画面において、箔転写装置1で箔転写を行う箔転写モードボタンをインアクティブにする(S3)。
【0050】
一方、CPU161は、箔フィルム24が有ると判定する場合、
図7に示す選択画面において、箔転写モードボタンをアクティブにする(S4)。
図7に示す選択画面では、箔転写モードボタンの他に通常モードボタンが表示される。ユーザは、箔転写画像を得たい場合、箔転写モードボタンを選択して箔転写モードを実行させる。また箔転写が行われない通常の画像を得たい場合、通常モードボタンを選択して通常モードを実行させる。なお、CPU161は、パーソナルコンピュータ10への画面表示を、パーソナルコンピュータ10にインストールされているドライバを介して行う。
【0051】
次に、ユーザが箔転写モードボタンを選択し、画像形成用ソフト上で箔の転写範囲を設定すると、CPU161は、パーソナルコンピュータ10から箔の転写範囲の設定情報を受信する(S5)。CPU161は、箔の転写範囲の設定情報を受信すると、箔が転写される画像、即ち箔の下地となる画像の色を設定する
図8に示す設定画面を画像形成用ソフト上で表示させる(S6)。
【0052】
図8に示す設定画面上には、箔の色を選択する色選択ボタン70aと、箔の下地となる画像の色をマニュアルで設定するためのマニュアル設定ボタン70bと、画像を挿入するための画像挿入ボタン70cが表示される。ユーザは、箔の下地となる画像の色を自動的に設定したい場合、色選択ボタン70aにおいて箔転写装置1に装着されている箔の色を選択する。CPU161は、ユーザが色選択ボタン70aから箔の色を選択すると、選択された色に応じて、画像形成部150によって箔が転写される画像を形成する際に使用されるトナーを次のように設定し、画像の色を設定する(S7、S8、S9)。
【0053】
CPU161は、銀色ボタンが選択された場合、使用されるトナーをイエロー50%、シアン50%に設定する。CPU161は、白色/透明ボタンが選択された場合、使用されるトナーをイエロー100%に設定する。CPU161は、黒色ボタンが選択された場合、使用されるトナーをブラック100%に設定する。CPU161は、金色ボタンが選択された場合、使用されるトナーをイエロー80%、マゼンダ20%に設定する。CPU161は、赤銅色ボタンが選択された場合、使用されるトナーをイエロー50%、マゼンダ50%に設定する。CPU161は、青銅色ボタンが選択された場合、使用されるトナーをイエロー20%、マゼンダ30%、シアン50%に設定する。このようにCPU161は、箔の下地となる画像を形成する際、箔から光沢感を除いた色に近い色の画像となるように画像の色を設定する。
【0054】
次に、CPU161は、ユーザの画像形成の実行指示をパーソナルコンピュータ10から受信すると、画像形成部150に対し、箔の下地となる画像の形成を指示する(S13、S14)。この時、CPU161は、箔の下地となる画像がステップS9で設定された色の画像となるように、画像形成部150に対し、ステップS9で設定されたトナーを用いて画像を形成させる。
【0055】
次に、CPU161は、CPU51を介して箔転写装置1を制御し、画像形成部150により形成された画像の上に箔を転写させる(S15)。その後、CPU161は、箔転写シーケンスを終了させる。
【0056】
このようにCPU161は、パーソナルコンピュータ10から入力された、箔転写装置1に装着されている箔の色に関する情報に応じて、画像形成部150により箔が転写される画像を形成する際の画像の色を設定する。この時、CPU161は、箔の下地となる画像の色を、箔から光沢感を除いた色に近い色に設定する。このような構成により、シートSに転写されている箔の一部が欠けた場合に、箔の欠けた部分が目立つことを抑制することができる。
【0057】
なお、CPU161は、
図8に示す設定画面において画像挿入ボタン70cが選択された場合、
図9に示す画像挿入画面を画像形成用ソフト上で表示させる。
図9に示す画像挿入画面上には、三つのユーザ設定ウインドウ77a~77cが表示される。ユーザはパーソナルコンピュータ10内の所定のフォルダに自社マークなどの頻繁に使用される画像のファイルを格納しておくことで、ユーザ設定ウインドウ77a~77cにそれぞれ格納された画像を読み出して箔が転写される画像として挿入することができる。
【0058】
またCPU161は、
図8に示す設定画面においてマニュアル設定ボタン70bが選択された場合、
図10に示すマニュアル設定画面を画像形成用ソフト上で表示させる(S7、S10)。
図10に示すマニュアル設定画面上には、色指定ボタン75aと色選択ボタン75bが表示される。ユーザは、色選択ボタン75bを選択し、箔の下地となる画像の色をイエロー、ブラック、グレーの中から選択して設定することができる。CPU161は、この設定情報をパーソナルコンピュータ10から受信すると、箔の下地となる画像の色を設定情報で設定されている色に設定し、設定された色の画像を形成するためのトナーの割合を設定する(S11、S12)。
【0059】
またユーザは、
図10に示すマニュアル設定画面において、色指定ボタン75aを選択し、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)の各々のトナーの割合を数値入力することで、箔の下地となる画像の色を、各色のトナーの割合から設定することができる。CPU161は、この設定情報をパーソナルコンピュータ10から受信すると、箔の下地となる画像の色を設定情報で設定されている色に設定する(S11、S12)。
【0060】
なお、CPU161は、色指定ボタン75aで指定されたトナーの割合の合計が100%を超えている場合、混合色の一部をブラックのトナーで補完し、同様の色味を持たせつつ合計が100%となるように調整を行う。例えばユーザが上記割合をイエロー80%、マゼンダ80%、シアン50%に指定した場合、CPU161はトナーの割合をイエロー25%、マゼンダ25%、ブラック50%に調整する。
【0061】
次に、CPU161は、ユーザの画像形成の実行指示をパーソナルコンピュータ10から受信すると、画像形成部150に対し、箔の下地となる画像の形成を指示する(S13、S14)。この時、CPU161は、箔の下地となる画像がステップS12で設定された色の画像となるように、画像形成部150に対し、ステップS12で設定されたトナーを用いて画像を形成させる。
【0062】
次に、CPU161は、CPU51を介して箔転写装置1を制御し、画像形成部150により形成された画像の上に箔を転写させる(S15)。その後、CPU161は、箔転写シーケンスを終了させる。
【0063】
このようにCPU161は、パーソナルコンピュータ10から入力された、箔が転写される画像の色の設定情報に応じて箔の下地となる画像が形成されるように、画像形成部150を制御する。具体的には、パーソナルコンピュータ10から入力された、箔が転写される画像の色の設定情報に応じて、画像形成部150により箔が転写される画像を形成する際の画像の色を設定する。この時、ユーザが、箔が転写される画像の色を、箔から光沢感を除いた色に近い色に設定することで、シートSに転写されている箔の一部が欠けた場合に箔が欠けた部分が目立つことを抑制することができる。またユーザが、箔の色味を考慮して箔が転写される画像の色を設定することで、シートSに転写されている箔の色味をユーザが希望する色味に近づけることができる。
【0064】
なお、本実施形態では、ローラ対である加熱ローラ21と加圧ローラ23によってニップ部Nを形成し、ニップ部Nにおいて加熱ローラ21により熱を付与することでシートS上の画像に箔フィルム24の箔を転写させる構成について説明した。しかし加熱ローラ21に代えて、搬送ガイド46のガイド面に対向して配置されるプレヒータを別途設け、プレヒータによりシートS上の画像に熱を付与した上で、ローラ対などのニップ部Nにより箔フィルム24の箔を転写させる構成としてもよい。
【0065】
また本実施形態では、CPU161は、色選択ボタン70aで選択された箔の色に応じて、画像形成部150により箔が転写される画像を形成する際の画像の色を設定する構成について説明したものの、本発明はこれに限られるものではない。即ち、箔の色そのものではなく、例えば箔の種類、型番、色を数値化した情報などの箔の色に関する情報をパーソナルコンピュータ10からCPU161に入力する。そしてCPU161が入力された箔の色に関する情報に応じて、画像形成部150により箔が転写される画像を形成する際の画像の色を設定する構成としてもよい。
【0066】
また本実施形態では、パーソナルコンピュータ10の画像形成用ソフトを使用して箔の転写範囲、箔の色、箔が転写される画像の色などを設定する構成について説明したものの、本発明はこれに限られるものではない。即ち、操作部99において箔の転写範囲、箔の色に関する情報、箔が転写される画像の色などを入力可能な構成とし、操作部99で設定された情報に基づいてCPU161が上記制御を行う構成としても、上記同様の効果を得ることができる。
【0067】
また本実施形態では、イエローY、マゼンダM、シアンC、ブラックKのトナーを使用する画像形成装置100について説明したものの、本発明はこれに限られるものではない。即ち、画像形成装置100に白トナーやクリアトナーを搭載し、透光性が高い箔を転写する際に箔の下地となる画像を白トナーやクリアトナーで形成することで、箔の色味の選択の幅が広がり、パッケージへの箔転写なども可能となる。
【0068】
また本実施形態では、
図8に示す設定画面において、ユーザが色選択ボタン70aを選択して箔の色を選択する構成について説明したものの、本発明はこれに限られるものではない。即ち、画像形成システムAに箔の色に関する情報を検出する検出部を設け、CPU161が検出部により検出された箔の色に関する情報に応じて箔が転写される画像の色を設定する構成としてもよい。これによりユーザが箔の色に関する情報を入力する手間を省くことができるため、ユーザビリティを向上させることができる。
【0069】
ここで検出部の構成としては、例えばカメラなどの撮像素子によって箔を読み取って箔の色に関する情報を検出する構成が考えられる。また
図11に示す様に、箔フィルム24の芯材24aに箔フィルム24の箔の色に関する情報が記憶されたICチップ24a1を埋め込んで取り付ける。そしてICチップ24a1に記憶されている箔の色に関する情報を箔検出センサ31によって読み取り、箔検出センサ31からCPU51を介してCPU161に出力する構成としてもよい。
【0070】
また本実施形態では、粉体のトナーをトナー像としてシートSに転写し、シートSに担持されたトナー像に定着装置98により加熱、加圧による定着処理を施してシートSに画像を形成する構成について説明した。しかし本発明はこれに限られず、液状のトナーによるトナー像をシートSに形成し、定着装置においてトナー像に紫外線を照射するUV定着方式の定着処理を施して、シートSに画像を形成する構成としてもよい。
【符号の説明】
【0071】
1…箔転写装置
10…パーソナルコンピュータ(情報処理装置)
24…箔フィルム
24a…芯材
24a1…ICチップ
31…箔検出センサ(検出部)
99…操作部
100…画像形成装置
150…画像形成部
160…制御部
A…画像形成システム