(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-22
(45)【発行日】2024-01-05
(54)【発明の名称】光源モジュールおよび点灯回路
(51)【国際特許分類】
H05B 45/48 20200101AFI20231225BHJP
H01L 33/00 20100101ALI20231225BHJP
B60Q 1/44 20060101ALI20231225BHJP
H05B 45/54 20200101ALI20231225BHJP
【FI】
H05B45/48
H01L33/00 J
B60Q1/44 B
H05B45/54
(21)【出願番号】P 2020047976
(22)【出願日】2020-03-18
【審査請求日】2023-02-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100109047
【氏名又は名称】村田 雄祐
(74)【代理人】
【識別番号】100109081
【氏名又は名称】三木 友由
(72)【発明者】
【氏名】市川 知幸
(72)【発明者】
【氏名】小澤 篤
(72)【発明者】
【氏名】三輪 麻理子
(72)【発明者】
【氏名】松本 裕
【審査官】山崎 晶
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-013642(JP,A)
【文献】特開2019-192478(JP,A)
【文献】特開2015-168305(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 45/48
H01L 33/00
B60Q 1/44
H05B 45/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直列に接続される4個のLED(発光ダイオード)を含むLEDストリングと、
バッテリ電圧を受け、前記LEDストリングに目標電流に安定化された駆動電流を供給するLEDドライバ回路と、
前記LEDストリングのうちの隣接する2個のLEDを含む被バイパス部分と並列に設けられ、前記バッテリ電圧に応じたバイパス電流をシンクするバイパス回路と、
を備
え、
前記被バイパス部分に含まれる前記2個のLEDの光量の前記バッテリ電圧の変化に対する傾きは、5%/0.1V以下であることを特徴とする光源モジュール。
【請求項2】
前記被バイパス部分の断線を検出すると、前記バイパス回路をディセーブルとする断線検出回路をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の光源モジュール。
【請求項3】
前記断線検出回路は、前記被バイパス部分の電圧降下が、Vf×2を超えると、前記被バイパス部分の断線と判定することを特徴とする請求項2に記載の光源モジュール。
【請求項4】
LEDソケットであることを特徴とする請求項1から
3のいずれかに記載の光源モジュール。
【請求項5】
前記LEDドライバ回路の入力端子とバッテリの間に設けられた逆接保護用のダイオードをさらに備えることを特徴とする請求項1から
4のいずれかに記載の光源モジュール。
【請求項6】
直列に接続される4個のLED(発光ダイオード)を含むLEDストリングを駆動する点灯回路であって、
バッテリ電圧を受け、前記LEDストリングに目標電流に安定化された駆動電流を供給するLEDドライバ回路と、
前記LEDストリングのうちの隣接する2個のLEDを含む被バイパス部分と並列に設けられ、前記バッテリ電圧に応じたバイパス電流をシンクするバイパス回路と、
を備
え、
前記バイパス回路がシンクする電流の前記バッテリ電圧の変化に対する傾きは、前記目標電流を100%とするとき、5%/0.1V以下であることを特徴とする点灯回路。
【請求項7】
前記被バイパス部分の断線を検出すると、前記バイパス回路をディセーブルとする断線検出回路をさらに備えることを特徴とする請求項6に記載の点灯回路。
【請求項8】
前記断線検出回路は、前記被バイパス部分の電圧降下が、Vf×2を超えると、前記被バイパス部分の断線と判定することを特徴とする請求項
7に記載の点灯回路。
【請求項9】
前記LEDドライバ回路の入力端子とバッテリの間に設けられた逆接保護用のダイオードをさらに備えることを特徴とする請求項
6から8のいずれかに記載の点灯回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車などの車両に用いられる灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用灯具に用いられる光源として、従来は電球が多く用いられてきたが、近年では、LED(発光ダイオード)などの半導体光源が広く採用されるようになっている。
【0003】
図1は、従来の車両用灯具1のブロック図である。車両用灯具1には、スイッチ4を介してバッテリ2からの直流電圧(入力電圧V
IN)を受ける。LEDストリング(LEDバー)10は、直列に接続される複数n個のLED12を含む。LEDストリング10の輝度は、それに流れる駆動電流I
LEDに応じて制御される。点灯回路20は、駆動電流I
LEDを目標輝度に応じた目標量I
REFに安定化するLEDドライバ回路22を含む。
【0004】
LED12に、目標量IREFに安定化された駆動電流ILEDが流れているときの順方向電圧をVf0とすると、LEDストリング10の両端間電圧(最低点灯電圧という)VMINは、Vf0×nとなる。n=3とすると、白色LEDではVMIN≒11Vである。言い換えると、LEDドライバ回路22の出力電圧VOUTが、この最低点灯電圧VMINを下回ると、駆動電流ILEDが目標量IREFを維持できなくなり、複数のLED12が消灯する。
【0005】
従来の自動車用電球の代替として販売されるLEDソケットでは、低コスト化が求められるため、LEDドライバ回路22は、定電流シリーズレギュレータあるいは定電流出力の降圧コンバータ、あるいは抵抗で構成される。この場合、LEDドライバ回路22の出力電圧VOUTは、入力電圧VINより低くなる。入力電圧VINは、バッテリの満充電状態で13Vであるが、放電が進むと、10V以下まで低下することも珍しくない。したがって、バッテリ電圧VBATが低下すると(低電圧状態という)、出力電圧VOUTが最低点灯電圧VMINを下回る状況が生じ、LED12が消灯する。
【0006】
低電圧状態におけるLEDストリング10の消灯を防止するためにバイパススイッチ24およびバイパス制御回路26が設けられる。バイパススイッチ24は、最も低電位側の1個のLED12_nと並列に接続される。バイパス制御回路26は、入力電圧VINがあるしきい値VTHより低くなると低電圧状態と判定し、バイパススイッチ24をオンする。この状態では、最低点灯電圧VMIN=Vf0×(n-1)となり、VIN>VMINが保たれる。つまり、LED12_nの消灯と引き換えに、残りのLED12_1~12_(n-1)の点灯を維持することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明者らは
図1の点灯回路20を、ストップランプ、テイルランプ、リアフォグランプなどの後方の標識灯に適用することを検討し、以下の課題を認識するに至った。赤色LEDの電圧降下を2.4V、n=4とすると、V
MIN=2.4V×4=9.6Vとなる。逆接保護用のダイオード30の順方向電圧を0.8Vとすると、しきい値電圧V
THは、9.6V+0.8V+αとなり、マージンαを1Vとすると、V
TH=11.4Vとなる。したがって、V
IN>11.4VではLEDストリング10は正常に点灯する。
【0009】
またVBATが11.4Vを下回ると、バイパススイッチ24に電流が流れ、最低電位側のLED12_4がバイパスされる。このときの最低点灯電圧は、VMIN=1.8V×3=5.4Vとなる。したがって、VBAT=5.4V+0.8V=6.2V付近まで、LEDストリング10の点灯を維持することができる。
【0010】
近年、燃費向上のためにアイドリングストップ機能を有する車両が増えている。ストップランプは、車両の停車中、言い換えると、アイドリングストップが発生する期間中にこそ点灯する必要がある。アイドリングストップ中は、オルタネータが停止するため、バッテリの負荷が増えると、バッテリ電圧が著しく低下する。たとえばアイドリングストップ中に、エアコンが作動したり、ステアリングを操作してエンジンが再始動すると、バッテリ2の負荷電流が増加する。その結果、バッテリ電圧VBATが最低点灯電圧VMIN=6.2Vを下回ると、LEDストリング10が消灯する。ストップランプが消灯すると、後続車は、先行車が発進したものと誤認識してしまう。
【0011】
本発明はかかる課題に鑑みてなされたものであり、そのある態様の例示的な目的のひとつは、安全性を高めることが可能な後方標識灯の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明のある態様は光源モジュールに関する。光源モジュールは、直列に接続される4個のLED(発光ダイオード)を含むLEDストリングと、バッテリ電圧を受け、LEDストリングに目標電流に安定化された駆動電流を供給するLEDドライバ回路と、LEDストリングのうちの隣接する2個のLEDを含む被バイパス部分と並列に設けられ、バッテリ電圧に応じたバイパス電流をシンクするバイパス回路と、を備える。
【0013】
本発明の別の態様は、直列に接続される4個のLED(発光ダイオード)を含むLEDストリングを駆動する点灯回路に関する。点灯回路は、バッテリ電圧を受け、LEDストリングに目標電流に安定化された駆動電流を供給するLEDドライバ回路と、LEDストリングのうちの隣接する2個のLEDを含む被バイパス部分と並列に設けられ、バッテリ電圧に応じたバイパス電流をシンクするバイパス回路と、を備える。
【0014】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせや本発明の構成要素や表現を、方法、装置、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0015】
本発明のある態様によれば、安全性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図2】実施の形態に係る点灯回路を備える車両用灯具のブロック図である。
【
図4】
図4(a)は、出射光量の入力電圧依存性の一例を示す図であり、
図4(b)は、バイパス回路の入出力特性の一例を示す図である。
【
図5】
図5(a)、(b)は、バイパス回路の構成例を示す回路図である。
【
図6】
図6(a)~(d)は、車両用灯具の一例であるLEDソケットを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(実施の形態の概要)
本明細書に開示される一実施の形態は、光源モジュールに関する。光源モジュールは、直列に接続される4個のLED(発光ダイオード)を含むLEDストリングと、バッテリ電圧を受け、LEDストリングに目標電流に安定化された駆動電流を供給するLEDドライバ回路と、LEDストリングのうちの隣接する2個のLEDを含む被バイパス部分と並列に設けられ、バッテリ電圧に応じたバイパス電流をシンクするバイパス回路と、を備える。
【0018】
この構成によると、バッテリ電圧が低下したときに、2個のLEDがバイパスされるため、アイドリングストップ中にバッテリの負荷が増えた場合でも、LEDストリングが消灯するのを防止できる。したがって、この光源モジュールを後方標識灯に用いた場合には、車両の停車中に、意図せずにLEDストリングが消灯して後続車両に誤ったメッセージを送るのを防止できる。
【0019】
光源モジュールは、被バイパス部分の断線を検出すると、バイパス回路をディセーブルとする断線検出回路をさらに備えてもよい。被バイパス部分が断線している場合に、減電圧状態において電流バイパスを行うと、通常のバッテリ電圧ではLEDストリングが消灯するのにもかかわらず、減電圧状態ではLEDストリングが点灯するという好ましくない状況が生ずる。そこで、断線検出回路を設けることにより、断線しているときには、バッテリ電圧の電圧レベルにかかわらず、LEDストリングを消灯させておくことができる。
【0020】
断線検出回路は、被バイパス部分の電圧降下が、Vf×2を超えると、被バイパス部分の断線と判定してもよい。
【0021】
バイパス電流のバッテリ電圧に対する傾きは、4個のLEDの出射光量のバッテリ電圧の変化に対する傾きが5%/0.1V以下となるように定めるとよい。これによりバッテリ電圧の短期的な変動に起因する出射光量の変動を、人間が感じにくくなる。
【0022】
(実施の形態)
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0023】
本明細書において、「部材Aが、部材Bと接続された状態」とは、部材Aと部材Bが物理的に直接的に接続される場合のほか、部材Aと部材Bが、それらの電気的な接続状態に実質的な影響を及ぼさない、あるいはそれらの結合により奏される機能や効果を損なわせない、その他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
【0024】
同様に、「部材Cが、部材Aと部材Bの間に設けられた状態」とは、部材Aと部材C、あるいは部材Bと部材Cが直接的に接続される場合のほか、それらの電気的な接続状態に実質的な影響を及ぼさない、あるいはそれらの結合により奏される機能や効果を損なわせない、その他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
【0025】
また本明細書において、電圧信号、電流信号などの電気信号、あるいは抵抗、キャパシタなどの回路素子に付された符号は、必要に応じてそれぞれの電圧値、電流値、あるいは抵抗値、容量値を表すものとする。
【0026】
図2は、実施の形態に係る点灯回路600を備える車両用灯具500のブロック図である。車両用灯具500には、スイッチ4を介してバッテリ2からの直流電圧(入力電圧)V
INが供給される。車両用灯具500は、LEDストリング502および点灯回路600を備える。LEDストリング502は、直列に接続される4個のLED504_1~504_4を含む。車両用灯具500は、たとえばストップランプやテイルランプ、リアフォグランプなどの後方標識灯であり、LEDストリング502は赤色のLEDを含む。
【0027】
車両用灯具500の好適な一態様は、LEDストリング502と点灯回路600とが1パッケージに収容された光源モジュールである。たとえば車両用灯具500は、従来の自動車用電球と同様に、図示しないランプボディに着脱可能な形状を有するLEDソケットである。LEDソケットは、長寿命化はもちろんのこと、消耗品であるが故に低コスト化が強く求められる。
【0028】
点灯回路600は、逆接保護用のダイオード602、LEDドライバ回路610、バイパス回路620、断線検出回路630を備える。
【0029】
LEDドライバ回路610は逆接保護用のダイオード602を介して入力電圧VINを受け、LEDストリング502に、目標量IREFに安定化された駆動電流ILEDを供給する。LEDドライバ回路610は、(i)定電流リニアレギュレータ、(ii)定電流出力の降圧スイッチングコンバータあるいは、(iii)定電圧出力の降圧スイッチングコンバータと定電流回路の組み合わせ、(iv)抵抗のいずれかで構成することができる。
【0030】
バイパス回路620は、複数のLED504_1~504_4のうちの2個(504_3,504_4)と並列に接続される。LED504_3、504_504_4を、被バイパス部分503ともいう。バイパス回路620は、イネーブル状態、ディセーブル状態が切り替え可能であり、イネーブル状態において入力電圧VINに応じたバイパス電流IBYPASSをLEDストリング502からシンクする。バイパス電流IBYPASSが流れるとき、被バイパス部分503に流れる電流は、ILED-IBYPASSとなる。IBYPASS=0のとき、被バイパス部分503は、残りのLED504_1,504_2と同じ輝度で発光し、IBYPASS=ILEDのとき、被バイパス部分503は消灯する。
【0031】
断線検出回路630は、被バイパス部分503の断線を検出可能に構成される。断線検出回路630は、被バイパス部分503の断線故障を検出すると、バイパス回路620をディセーブルとする。ディセーブル状態のバイパス回路620は、バイパス電流IBYPASSが0となり、電流をシンクできなくなる。
【0032】
断線検出回路630における断線検知の方法は特に限定されないが、たとえば被バイパス部分503の電圧降下、すなわちノードAの電圧VAが、しきい値電圧Vf×2を超えると、被バイパス部分503の断線故障と判定してもよい。Vfは、LEDストリング502の順方向電圧である。
【0033】
たとえば断線検出回路630は、ノードAの電圧をしきい値電圧VOPENと比較する電圧コンパレータを含んでもよい。しきい値電圧VOPENは、Vf×2よりわずかに高く設定しておいてもよい。
【0034】
図3は、車両用灯具500の動作を説明する図である。横軸は入力電圧V
INを、縦軸はLEDストリング502の光量(相対値)を表す。比較のために、
図1のように被バイパス部分を1個としたときの動作を示す。
【0035】
被バイパス部分が1個の場合、入力電圧VINが、とある電圧V1を下回ると、バイパス回路により、4個のLEDのうち、1個のLEDがバイパスされるため、光量は75%に向かって低下していく。そして、入力電圧VINがとある電圧V2(たとえば、1.8V×3+0.8V=6.2V)を下回ると、光量が0に落ちる。
【0036】
これに対して、本実施の形態によれば、入力電圧VINの電圧V1を下回ると、光量は50%に向かって低下するが、入力電圧VINがさらに低下しても、光量は50%のままで維持される。さらに入力電圧VINが電圧V3まで低下すると、光量は0%となる。
【0037】
以上が車両用灯具500の動作である。この車両用灯具500によれば、バッテリ電圧VBATが低下したときに、2個のLED504_3,504_4がバイパスされるため、アイドリングストップ中にバッテリの負荷が増えた場合でも、LEDストリング502が消灯するのを防止できる。したがって、この車両用灯具500を後方標識灯に用いた場合には、車両の停車中に、意図せずにLEDストリング502が消灯して後続車両に誤ったメッセージを送るのを防止できる。
【0038】
続いて、断線検出回路630の動作を説明する。通常のバッテリ電圧VBATが供給された状態ではIBYPASS=0となる。このとき、被バイパス部分503が断線していると、LEDストリング502に電流ILEDが流れなくなり、LEDストリング502は消灯する。一方で、被バイパス部分503が断線している場合に、バッテリ電圧VBAT(入力電圧VIN)が低下すると、断線箇所である被バイパス部分503が、バイパス回路620によってバイパスされ、LEDストリング502が点灯するため、好ましくない。
本実施の形態では、断線検出回路630を設け、断線しているときには、バイパス回路620をディセーブルとしてIBYPASS=0とすることにより、バッテリ電圧VBAT(VIN)の電圧レベルにかかわらず、LEDストリングを消灯させておくことができる。
【0039】
バッテリ電圧VBATの変動に対するバイパス電流IBYPASSの傾きが大きいと、バッテリ電圧VBATのわずかな変動が、大きな光量変化となって現れる。そこでバイパス電流IBYPASSの傾きは、4個のLEDの出射光量のバッテリ電圧の変化に対する傾きが、5%/0.1V以下となるように設計するとよい。これによりバッテリ電圧の短期的な変動に起因する光量の変動を、人間が感じにくくなる。
【0040】
図4(a)は、出射光量の入力電圧依存性の一例を示す図であり、
図4(b)は、バイパス回路620の入出力特性の一例を示す図である。
図4(a)、(b)において横軸は入力である入力電圧V
INある。また
図4(a)の縦軸は、4個のLEDの出射光量Ivを、最大光量を100%として正規化した値を示す。
図4(b)の縦軸は、バイパス電流I
BYPASSを、駆動電流I
LEDの目標量I
REFを100%として正規化した値を示す。この例では、V
IN>10.3VにおいてI
BYPASS=0であり、出射光量Ivは100%である。V
IN<10.3Vとなると、バイパス電流I
BYPASSが増加し、電流バイパスが始まり、出射光量Ivは、5%/0.1V以下の勾配で減光する。そして入力電圧V
IN=8.8Vとなると、I
BYPASS=100%となり、出射光量Ivは50%まで低下する。
【0041】
図5(a)、(b)は、バイパス回路620の構成例を示す回路図である。
図5(a)のバイパス回路620は、電圧コンパレータ622とトランジスタ(スイッチ)624を含む。電圧コンパレータ622は、入力電圧V
INをしきい値電圧V
THと比較し、V
IN<V
THとなると、トランジスタ624をオンする。入力電圧V
INが低下するにしたがって、トランジスタ624のゲート電圧が緩やかに低下するようにしてもよい。トランジスタ624に流れる電流が、バイパス電流I
BYPASSとなる。電圧コンパレータ622に代えて、アンプを用いてもよい。電圧コンパレータ622に代えて、入力電圧V
INに応じたデューティサイクルを有するPWM(Pulse Width Modulation)信号を生成するパルス幅変調器を設けて、PWM信号にもとづいてトランジスタ624のゲートを駆動してもよい。
【0042】
図5(b)のバイパス回路620は、可変電流源626を含む。可変電流源626は、入力電圧V
INに応じた電流量のバイパス電流I
BYPASSを生成する。
【0043】
続いて車両用灯具500の用途を説明する。
図6(a)~(d)は、車両用灯具500の一例であるLEDソケットを示す図である。
図6(a)はLEDソケット700の外観の斜視図である。
図6(b)はLEDソケット700の正面図を、
図6(c)はLEDソケット700の平面図を、
図6(c)はLEDソケット700の底面図を示す。
【0044】
筐体702は、図示しないランプボディに着脱可能な形状を有する。中央部には、複数のLED504が実装され、それらは透明の封止樹脂704で覆われている。基板710には、点灯回路600の部品が実装される。複数のLED504は赤色のLEDチップであり、ストップランプとして利用される。
【0045】
ストップランプとテイルランプの兼用のLEDソケットでは、複数のLED504と隣接して、テイルランプ用の発光素子が実装され、基板710上には、テイルランプ用の点灯回路が実装される。
【0046】
筐体702の底面側には、3本のピン721、722、723が露出している。ピン721には、スイッチを介して入力電圧VINが供給され、ピン722には接地電圧が供給される。ピン723は、テイルランプの点灯時にハイとなる入力電圧が供給される。ピン721~723は、筐体702の内部を貫通しており、それらの一端は、基板710の配線パターンと接続される。
【0047】
実施の形態にもとづき、具体的な語句を用いて本発明を説明したが、実施の形態は、本発明の原理、応用を示しているにすぎず、実施の形態には、請求の範囲に規定された本発明の思想を逸脱しない範囲において、多くの変形例や配置の変更が認められる。
【符号の説明】
【0048】
500 車両用灯具
502 LEDストリング
503 被バイパス部分
504 LED
600 点灯回路
602 ダイオード
610 LEDドライバ回路
620 バイパス回路
630 断線検出回路