(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-22
(45)【発行日】2024-01-05
(54)【発明の名称】無停電電源装置
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20231225BHJP
H02M 7/48 20070101ALI20231225BHJP
H02J 7/34 20060101ALI20231225BHJP
H02J 9/06 20060101ALI20231225BHJP
H02J 3/32 20060101ALI20231225BHJP
H01M 50/251 20210101ALI20231225BHJP
H01M 10/42 20060101ALI20231225BHJP
【FI】
H02J7/00 301B
H02M7/48 Z
H02M7/48 N
H02J7/34 G
H02J9/06 120
H02J3/32
H01M50/251
H01M10/42 P
(21)【出願番号】P 2020086859
(22)【出願日】2020-05-18
【審査請求日】2022-07-14
(73)【特許権者】
【識別番号】501137636
【氏名又は名称】東芝三菱電機産業システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 祐生
【審査官】赤穂 嘉紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-011083(JP,A)
【文献】特開平06-086567(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 3/00-7/12
H02J 7/34-11/00
H01M 10/42-10/48
H01M 50/20-50/298
H02M 7/42-7/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
商用電源からの交流電圧を直流電圧に変換する交流直流変換器と、
前記直流電圧を交流電圧に変換して交流負荷に供給する直流交流変換器と、
前記直流交流変換器と並列に接続され、前記直流電圧を蓄電して、前記交流負荷に電力を供給するための蓄電装置とを備え、
前記蓄電装置は、
前記直流交流変換器の直流電圧の母線と接続され、配線径路が設定された蓄電装置本体と、
前記蓄電装置本体内に挿入可能に設けられた少なくとも1つ以上の蓄電池ユニットとを含み、
前記蓄電池ユニットは、
少なくとも1つ以上の蓄電池モジュールと、
前記蓄電池モジュールと前記蓄電装置本体側の配線接続に用いられる接続ユニットとを含み、
前記接続ユニットは、
絶縁されたハンドルと、
前記ハンドルによるハンドル操作により移動可能に設けられ、前記蓄電池モジュールと前記蓄電装置本体側の配線との間で配線接続するプラグとを含む、無停電電源装置。
【請求項2】
前記ハンドルを介して前記プラグを前記蓄電装置本体側のプラグ挿入口に内挿することにより、前記蓄電
池モジュールと前記蓄電装置本体との配線接続が実行される、請求項1記載の無停電電源装置。
【請求項3】
前記接続ユニットは、
側面側にスライド孔が設けられた筐体と、
前記ハンドルと前記プラグとの間に設けられたガイド板と、
前記スライド孔に支持され、前記ガイド板の前記ハンドル操作を介してスライドするためのガイド軸とを含む、請求項1記載の無停電電源装置。
【請求項4】
前記スライド孔は、L字形状に形成されている、請求項3記載の無停電電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、無停電電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、商用電源が停電した場合に蓄電装置より電力を負荷へ供給する無停電電源装置が知られている。この点で、蓄電装置は、負荷に対する停電補償の要求を満たすために大規模な蓄電池システムを形成する場合がある(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この点で、従来においては、蓄電池モジュールの蓄電装置内への組み込みや定期交換作業は、1モジュールごとに実施しなければならなかった。また、組み込みや交換作業の接続の際には感電防止の安全配慮を十分に払う必要があった。
【0005】
本開示は、上記の課題を解決するためになされたものであって、より安全に組み込みや交換作業が可能な蓄電装置を有する無停電電源装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ある局面に従う無停電電源装置は、商用電源からの交流電圧を直流電圧に変換する交流直流変換器と、直流電圧を交流電圧に変換して交流負荷に供給する直流交流変換器と、直流交流変換器と並列に接続され、直流電圧を蓄電して、交流負荷に電力を供給するための蓄電装置とを備える。蓄電装置は、直流交流変換器の直流電圧の母線と接続され、配線径路が設定された蓄電装置本体と、蓄電装置本体内に挿入可能に設けられた少なくとも1つ以上の蓄電池ユニットとを含む。蓄電池ユニットは、少なくとも1つ以上の蓄電池モジュールと、蓄電池モジュールと蓄電装置本体側の配線接続に用いられる接続ユニットとを含む。接続ユニットは、絶縁されたハンドルと、ハンドルによるハンドル操作により移動可能に設けられ、蓄電池モジュールと蓄電装置本体側の配線との間で配線接続するプラグとを含む。
【0007】
好ましくは、ハンドルを介してプラグを蓄電装置本体側のプラグ挿入口に内挿することにより、蓄電値モジュールと蓄電装置本体との配線接続が実行される。
【0008】
好ましくは、接続ユニットは、側面側にスライド孔が設けられた筐体と、ハンドルとプラグとの間に設けられたガイド板と、スライド孔に支持され、ガイド板のハンドル操作を介してスライドするためのガイド軸とを含む。
【0009】
好ましくは、スライド孔は、L字形状に形成されている。
【発明の効果】
【0010】
一実施例によれば、無停電電源装置は、より安全に組み込みや交換作業が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施形態に基づく無停電電源システム1の構成を説明する図である。
【
図2】実施形態に従う蓄電装置30を説明する図である。
【
図3】実施形態に従う蓄電装置30の配線接続を説明する図である。
【
図4】実施形態に従う蓄電装置30の外観構成について説明する図である。
【
図5】実施形態に従う接続ユニット54について説明する図である。
【
図6】実施形態に従う接続ユニット54と接続ユニット58との接続の様子を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中の同一または相当部分については、同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0013】
図1は、実施形態に基づく無停電電源システム1の構成を説明する図である。
図1に示されるように、無停電電源装置10は、交流入力電源3および負荷20に接続される。
【0014】
交流入力電源3は、無停電電源装置10に交流電力を供給する交流電源であり、例えば商用交流電源である。交流入力電源の一例として三相三線(3φ3W)式を示す。ただし、交流入力電源の種類は三相三線式に限定されず、たとえば三相四線式の電源でもよいし、単相三線式の電源でもよい。
【0015】
無停電電源装置10は、コンバータ5と、蓄電装置30と、インバータ7と、チョッパ回路6とを備える。コンバータ5と、インバータ7とは、交流入力電源3と負荷20との間に直列に接続される。蓄電装置30は、インバータ7と並列にチョッパ回路6を介してコンバータ5と接続される。コンバータ5は、交流入力電源3から供給される交流電圧を直流電圧に変換する。インバータ7は、コンバータ5により変換された直流電圧を交流電圧に変換する。チョッパ回路6は、直流電圧の電圧レベルを変換して蓄電装置30に供給する。
【0016】
蓄電装置30は、スイッチ32と、2次電池を構成する複数の蓄電池ユニット40とを含む。蓄電装置30は、交流入力電源3が交流電圧を供給できないとき(たとえば停電時)において、インバータ7に直流電圧を供給するための装置である。なお、スイッチ32は導通しており、コンバータ5から2次電池を構成する複数の蓄電池ユニット40に対する充電が行われている。
【0017】
交流入力電源3から交流電力を供給されている通常時には、コンバータ5およびチョッパ回路6によって生成された直流電圧が蓄電装置30に蓄電されるとともに、チョッパ回路6およびインバータ7によって交流電圧に変換されて負荷20に供給される。一方、交流入力電源3からの交流電圧の供給が停止した停電時にはコンバータ5の運転が停止され、蓄電装置30に蓄えられた直流電圧がチョッパ回路6およびインバータ7によって交流電圧に変換されて負荷20に供給される。したがって、無停電電源装置によれば、停電時によりコンバータ5が停止した場合であっても蓄電装置30に蓄えられた電力を用いて負荷20の運転を継続することができる。なお、本例においては、チョッパ回路6を設ける構成について説明しているが、コンバータ5、インバータ7で十分に昇降圧可能な場合にはチョッパ回路6を設けない構成ととすることも可能である。
【0018】
図2は、実施形態に従う蓄電装置30を説明する図である。
図2に示されるように、蓄電装置30は、正極側および負極側の母線30Pおよび30Nとそれぞれ接続されている。
【0019】
母線30Pおよび30Nは、チョッパ回路6を介してコンバータ5の直流電圧の母線と接続される。蓄電装置30は、1つの筐体内に制御回路35と、スイッチ32と、複数の蓄電池モジュール50とを含む。一例として蓄電池モジュール50は、17個設けられる場合が示されている。なお、当該個数は調整することが可能である。
【0020】
図3は、実施形態に従う蓄電装置30の配線接続を説明する図である。
図3に示されるように、少なくとも1つの蓄電池モジュール50を含む複数の蓄電池ユニット40が複数段に配置されている。本例においては7段配置されている場合が示されている。各蓄電池ユニット40は直列に接続されている。一例として下の段から上の段に対して蓄電池ユニット40-1~40-7が設けられている場合が示されている。各蓄電池ユニット40-1~40-6は、3つの蓄電池モジュール50を含む。蓄電池ユニット40-7は、1つの蓄電池モジュール50を含む。
【0021】
制御回路35からの制御信号が出力される制御線は、一点鎖線で示されており、蓄電池ユニット40-1の蓄電池モジュール50から順番に蓄電池ユニット40-7の蓄電池モジュール50まで順番に接続されている。電源線は、実線で示されており、母線30Pと母線30Nとの間に蓄電池ユニット40-1の蓄電池モジュール50から順番に蓄電池ユニット40-7の蓄電池モジュール50まで順番に接続されている。
【0022】
蓄電池ユニット40-1~40-7は、蓄電装置30の本体側と着脱可能に設けられている。蓄電池ユニット毎に交換可能に設けられているため蓄電池モジュールを1つずつ交換する場合に比べて交換作業を効率的に行うことが可能である。蓄電池ユニット40は、2つの接続ユニット52と、54と、少なくとも1つ以上の蓄電池モジュール50とを含む。
【0023】
蓄電装置30の本体側には、各段に対応して、蓄電池ユニット40との接続のために用いられる接続ユニット56と58とが設けられている。本例においては、7段の蓄電池ユニット40にそれぞれ対応して、各段に接続ユニット56,58が設けられている。蓄電池ユニット40を挿入することにより、各段の蓄電池ユニット40に対応する接続ユニット52は、本体側の各段に対応する接続ユニット56と接続される。同様に、各段の蓄電池ユニット40に対応する接続ユニット54は、本体側の各段に対応する接続ユニット58と接続される。
【0024】
本体側の接続ユニット56,58は、蓄電池ユニット40の挿入前に予め配線径路が設定されている。上段の7段目の接続ユニット56は、スイッチ32を介して母線30Pと接続される。7段目の接続ユニット58は、6段目の接続ユニット56と接続される。6段目の接続ユニット58は、5段目の接続ユニット56と接続される。5段目の接続ユニット58は、4段目の接続ユニット56と接続される。4段目の接続ユニット58は、3段目の接続ユニット56と接続される。3段目の接続ユニット58は、2段目の接続ユニット56と接続される。2段目の接続ユニット58は、1段目の接続ユニット56と接続される。1段目の接続ユニット58は、母線30Nと接続される。
【0025】
本例においては、蓄電池ユニット40を各段において挿入するとともに、所定の操作をすることにより本体側の接続ユニットと接続される。具体的には、蓄電池ユニット40に設けられている接続ユニット52,54について所定の操作をすることにより接続ユニット同士が連結される。
【0026】
図4は、実施形態に従う蓄電装置30の外観構成について説明する図である。
図4(A)に示されるように蓄電池ユニット40毎に蓄電装置30の本体側に挿入される場合が示されている。なお、本例においては、蓄電池ユニット40の配線接続については省略されている。
図4(B)に示されるように、本例においては、1段目の蓄電池ユニット40-1が挿入される場合が示されている。蓄電池ユニット40には、図示しないが蓄電池モジュール50側と接続ユニット52,54側との相対的な位置関係を調整可能なレールが設けられており、蓄電池モジュール50側が本体側に近い側に配置されている。
図4(C)および(D)には、蓄電池ユニット40-1を拡大した場合が示されている。
図4(E)には、蓄電池ユニット40-1内の配線接続が示されている。なお、本例においては、レールにより蓄電池モジュール50側と接続ユニット52,54側との相対的な位置関係を調整可能な場合が示されているが、当該レールが設けられない構成とすることも可能である。
【0027】
図5は、実施形態に従う接続ユニット54について説明する図である。
図5(A)および(B)は、所定の操作前の初期状態を示している。
図5(C)および
図5(D)は、所定の操作後の状態を示している。
【0028】
図5(A)に示されるように接続ユニット54の正面視が示されている。接続ユニット54は、接続ユニット54の本体の筐体60と、プラグ部63とを含む。プラグ部63は、絶縁されているハンドル62と、持ち手であるハンドル62を支持するガイド板64と、ハンドル62と反対側に設けられたプラグ70と、ガイド板64と連結されたガイド軸68とを含む。プラグ70は、蓄電池ユニット40内の蓄電池モジュール50の電源線と配線接続される。プラグ70が図示しない接続ユニット58のプラグ挿入口に挿入されることにより接続ユニット54と接続ユニット58とが電気的に接続される。本例に示されるように、接続ユニット54の本体の筐体60には、正面側に開口部が設けられているが、当該開口部を塞ぐようにガイド板64が設けられている。ガイド板64が筐体60の正面側の開口部を塞ぐことにより筐体60内部に設けられたプラグ70に操作者が接触することを防止することが可能である。
【0029】
接続ユニット54の筐体60の側面の両側にはスライド孔66が設けられている。ガイド板64はガイド軸68と連結されており、ガイド軸68は、スライド孔66に支持されている。これにより、ガイド板64は、ガイド軸68を介してスライド孔66に沿って移動可能に設けられている。本例においては、ガイド板64にハンドル62が設けられており、操作者がハンドル62を操作することによりガイド板64を移動させることが可能である。スライド孔は、L字形状である。
【0030】
図5(B)に示されるように接続ユニット58の背面側を見た場合が示されている。接続ユニット54には、背面側に周囲が絶縁体で覆われた開口部61が設けられている。開口部61の形状は、プラグ70の形状に合わせられており、開口部61からプラグ70を外側に突き出すことが可能に構成されている。
【0031】
図5(C)に示されるようにハンドル62を介してガイド板64と連結されたガイド軸68をスライド孔66に沿ってL字形状の先端まで移動させる。
図5(D)に示されるように、プラグ70が開口部61から突き出される。プラグ70が開口部61から突き出されることにより、本体側の接続ユニット58のプラグ挿入口に挿入される。これにより接続ユニット58と接続ユニット54とが電気的に接続される。
【0032】
図6は、実施形態に従う接続ユニット54と接続ユニット58との接続の様子を説明する図である。
図6(A)に示されるように接続ユニット58の内部にはプラグ挿入口72が設けられている。また、接続ユニット58の周囲が絶縁体で覆われた開口部71が設けられている。開口部71の形状は、プラグ70の形状に合わせられており、開口部71からプラグ70を内側に挿入することが可能に構成されている。
【0033】
図6(B)に示されるように、ハンドル62を介してガイド板64を内部に移動させる。これにより、プラグ70が開口部61から突き出されて、接続ユニット84の開口部71を介してプラグ挿入口72と組み合わせられる。すなわち、プラグ70とプラグ挿入口72とが嵌合される。これにより、電流径路が形成される。
【0034】
当該構成の場合には、接続ユニット54と接続ユニット58との接続前において、プラグ70は、接続ユニット54の内部に配置されている。したがって、操作者は電流径路となるプラグ70に接触することはできない。また、接続ユニット58のプラグ挿入口72も接続ユニット58の内部に配置されている。したがって、操作者は電流径路となるプラグ挿入口72に接触することはできない。それゆえ、接続ユニット54と接続ユニット58との接続前において、操作者は、電流径路となるプラグ70およびプラグ挿入口72のいずれにも接触することはできないため感電を確実に防止することが可能である。
【0035】
また、本例においては、スライド孔66はL字形状に形成されており、ガイド軸68が初期位置の場合にはハンドル62を介してプラグ70を開口部61側に移動させることはできない。L字形状のスライド孔66に沿って一度ハンドル62を介してガイド板64を持ち上げて開口部61側に移動させることが必要である。これによりプラグ70を誤操作によりプラグ挿入口に挿入することを抑制することが可能である。なお、本例においては、L字形状のスライド孔を設ける構成について説明したが、これに限られず他の形状とすることも可能である。
【0036】
本例においては、接続ユニット54と接続ユニット58との接続について説明したが、接続ユニット52と接続ユニット56との接続についても同様である。なお、本例においては、蓄電池ユニット40の両側に2つの接続ユニット52,54を設ける構成について説明したが、いずれか1つとすることも可能である。実施形態の構成により、複数の蓄電池モジュール50を1つの蓄電池ユニット40として装着可能であるため組み込みや定期交換作業を簡易に実行することが可能である。また、電流径路となる接続ユニット54のプラグ70および接続ユニット58のプラグ挿入口72に接触することなく互いに接続することが可能であるため感電を確実に防止することが可能である。すなわち、より安全に組み込みや交換作業が可能である。
【0037】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0038】
1 無停電電源システム、2 発電機、3 交流入力電源、4 コントローラ、5 コンバータ、6 チョッパ回路、7 インバータ、10 無停電電源装置、20 負荷、30 蓄電装置、32 スイッチ、35 制御回路、40 蓄電池ユニット、50 蓄電池モジュール、52,54,56,58 接続ユニット。