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特許7408494蒸気タービン弁異常監視システム、蒸気タービン弁駆動装置、蒸気タービン弁装置および蒸気タービンプラント
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-22
(45)【発行日】2024-01-05
(54)【発明の名称】蒸気タービン弁異常監視システム、蒸気タービン弁駆動装置、蒸気タービン弁装置および蒸気タービンプラント
(51)【国際特許分類】
   F01D 17/10 20060101AFI20231225BHJP
   F01D 25/00 20060101ALI20231225BHJP
   F16K 37/00 20060101ALI20231225BHJP
【FI】
F01D17/10 K
F01D17/10 A
F01D17/10 G
F01D25/00 G
F01D25/00 W
F01D25/00 V
F01D17/10 L
F16K37/00 F
F16K37/00 D
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020103243
(22)【出願日】2020-06-15
(65)【公開番号】P2021195912
(43)【公開日】2021-12-27
【審査請求日】2023-02-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100150717
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 和也
(72)【発明者】
【氏名】常川 拓浩
(72)【発明者】
【氏名】中村 優一
(72)【発明者】
【氏名】後藤 寿史
(72)【発明者】
【氏名】宮 啓之
【審査官】藤原 弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-123732(JP,A)
【文献】特開2018-131923(JP,A)
【文献】特開2011-027090(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01D 17/10
F01D 25/00
F16K 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸気タービン弁を操作する操作ロッドに設けられたピストンを収容し、前記ピストンによって区画された負荷側油室および反負荷側油室を有するシリンダと、前記負荷側油室および前記反負荷側油室に選択的に作動油を供給する双方向ポンプと、前記双方向ポンプを駆動するサーボモータと、前記サーボモータを制御する制御部と、前記双方向ポンプから漏洩した前記作動油が供給される貯油部と、を備えた、蒸気タービン弁駆動装置によって駆動される前記蒸気タービン弁の開度制御の異常を監視する蒸気タービン弁異常監視システムであって、
前記蒸気タービン弁または前記蒸気タービン弁駆動装置の状態を検出する検出部と、
前記検出部により検出された前記蒸気タービン弁駆動装置の状態に基づいて、前記蒸気タービン弁の開度制御に異常が発生したか否かを判定する判定部と、
前記判定部により前記蒸気タービン弁の開度制御に異常が発生したと判定された場合に、警報を発する、または蒸気タービンの停止指令を発する異常処理部と、を備え
前記蒸気タービン弁駆動装置は、前記制御部から受ける指令回転数と前記サーボモータから受ける実回転数とに基づいて、前記サーボモータをフィードバック制御するサーボドライバを更に備え、
前記サーボドライバは、前記フィードバック制御を行うON状態と、前記フィードバック制御を行わないOFF状態と、に切り替え可能に構成され、
前記検出部は、前記サーボドライバが前記ON状態であるか前記OFF状態であるかを検出し、
前記判定部は、前記サーボドライバが前記OFF状態であると前記検出部が検出した場合に、前記蒸気タービン弁の開度制御に異常が発生したと判定する、蒸気タービン弁異常監視システム。
【請求項2】
蒸気タービン弁を操作する操作ロッドに設けられたピストンを収容し、前記ピストンによって区画された負荷側油室および反負荷側油室を有するシリンダと、前記負荷側油室および前記反負荷側油室に選択的に作動油を供給する双方向ポンプと、前記双方向ポンプを駆動するサーボモータと、前記サーボモータを制御する制御部と、前記双方向ポンプから漏洩した前記作動油が供給される貯油部と、を備えた、蒸気タービン弁駆動装置によって駆動される前記蒸気タービン弁の開度制御の異常を監視する蒸気タービン弁異常監視システムであって、
前記蒸気タービン弁または前記蒸気タービン弁駆動装置の状態を検出する検出部と、
前記検出部により検出された前記蒸気タービン弁駆動装置の状態に基づいて、前記蒸気タービン弁の開度制御に異常が発生したか否かを判定する判定部と、
前記判定部により前記蒸気タービン弁の開度制御に異常が発生したと判定された場合に、警報を発する、または蒸気タービンの停止指令を発する異常処理部と、を備え
前記蒸気タービン弁駆動装置は、前記制御部から受ける指令回転数に基づいて、前記サーボモータに駆動電力を供給するサーボドライバを更に備え、
前記検出部は、前記サーボドライバから前記サーボモータに供給される駆動電力の電流値を検出し、
前記判定部は、前記駆動電力の検出電流値が規定値以上である場合に、前記蒸気タービン弁の開度制御に異常が発生したと判定する、蒸気タービン弁異常監視システム。
【請求項3】
蒸気タービン弁を操作する操作ロッドに設けられたピストンを収容し、前記ピストンによって区画された負荷側油室および反負荷側油室を有するシリンダと、前記負荷側油室および前記反負荷側油室に選択的に作動油を供給する双方向ポンプと、前記双方向ポンプを駆動するサーボモータと、前記サーボモータを制御する制御部と、前記双方向ポンプから漏洩した前記作動油が供給される貯油部と、を備えた、蒸気タービン弁駆動装置によって駆動される前記蒸気タービン弁の開度制御の異常を監視する蒸気タービン弁異常監視システムであって、
前記蒸気タービン弁または前記蒸気タービン弁駆動装置の状態を検出する検出部と、
前記検出部により検出された前記蒸気タービン弁駆動装置の状態に基づいて、前記蒸気タービン弁の開度制御に異常が発生したか否かを判定する判定部と、
前記判定部により前記蒸気タービン弁の開度制御に異常が発生したと判定された場合に、警報を発する、または蒸気タービンの停止指令を発する異常処理部と、を備え
前記検出部は、前記蒸気タービン弁の開度を検出する開度検出器を含み、
前記判定部は、前記蒸気タービン弁の指令開度値と前記開度検出器で検出された前記蒸気タービン弁の検出開度値との偏差が規定値以上である場合に、前記蒸気タービン弁の開度制御に異常が発生したと判定する、蒸気タービン弁異常監視システム。
【請求項4】
蒸気タービン弁を操作する操作ロッドに設けられたピストンを収容し、前記ピストンによって区画された負荷側油室および反負荷側油室を有するシリンダと、前記負荷側油室および前記反負荷側油室に選択的に作動油を供給する双方向ポンプと、前記双方向ポンプを駆動するサーボモータと、前記サーボモータを制御する制御部と、前記双方向ポンプから漏洩した前記作動油が供給される貯油部と、を備えた、蒸気タービン弁駆動装置によって駆動される前記蒸気タービン弁の開度制御の異常を監視する蒸気タービン弁異常監視システムであって、
前記蒸気タービン弁または前記蒸気タービン弁駆動装置の状態を検出する検出部と、
前記検出部により検出された前記蒸気タービン弁駆動装置の状態に基づいて、前記蒸気タービン弁の開度制御に異常が発生したか否かを判定する判定部と、
前記判定部により前記蒸気タービン弁の開度制御に異常が発生したと判定された場合に、警報を発する、または蒸気タービンの停止指令を発する異常処理部と、を備え
前記検出部は、前記双方向ポンプから漏洩した前記作動油を前記貯油部に供給するドレン油路に設けられたフィルタの上流側の圧力と下流側の圧力との差圧を検出するフィルタ差圧検出器を含み、
前記判定部は、前記フィルタ差圧検出器で検出された前記差圧が規定値以上である場合に、前記蒸気タービン弁の開度制御に異常が発生したと判定する、蒸気タービン弁異常監視システム。
【請求項5】
蒸気タービン弁を操作する操作ロッドに設けられたピストンを収容し、前記ピストンによって区画された負荷側油室および反負荷側油室を有するシリンダと、前記負荷側油室および前記反負荷側油室に選択的に作動油を供給する双方向ポンプと、前記双方向ポンプを駆動するサーボモータと、前記サーボモータを制御する制御部と、前記双方向ポンプから漏洩した前記作動油が供給される貯油部と、を備えた、蒸気タービン弁駆動装置によって駆動される前記蒸気タービン弁の開度制御の異常を監視する蒸気タービン弁異常監視システムであって、
前記蒸気タービン弁または前記蒸気タービン弁駆動装置の状態を検出する検出部と、
前記検出部により検出された前記蒸気タービン弁駆動装置の状態に基づいて、前記蒸気タービン弁の開度制御に異常が発生したか否かを判定する判定部と、
前記判定部により前記蒸気タービン弁の開度制御に異常が発生したと判定された場合に、警報を発する、または蒸気タービンの停止指令を発する異常処理部と、を備え
前記検出部は、前記負荷側油室の圧力を検出する負荷側圧力検出器を含み、
前記判定部は、前記負荷側油室の目標圧力値と、前記負荷側圧力検出器で検出された前記負荷側油室の検出圧力値との偏差が規定値以上である場合に、前記蒸気タービン弁の開度制御に異常が発生したと判定する、蒸気タービン弁異常監視システム。
【請求項6】
蒸気タービン弁を操作する操作ロッドに設けられたピストンを収容し、前記ピストンによって区画された負荷側油室および反負荷側油室を有するシリンダと、前記負荷側油室および前記反負荷側油室に選択的に作動油を供給する双方向ポンプと、前記双方向ポンプを駆動するサーボモータと、前記サーボモータを制御する制御部と、前記双方向ポンプから漏洩した前記作動油が供給される貯油部と、を備えた、蒸気タービン弁駆動装置によって駆動される前記蒸気タービン弁の開度制御の異常を監視する蒸気タービン弁異常監視システムであって、
前記蒸気タービン弁または前記蒸気タービン弁駆動装置の状態を検出する検出部と、
前記検出部により検出された前記蒸気タービン弁駆動装置の状態に基づいて、前記蒸気タービン弁の開度制御に異常が発生したか否かを判定する判定部と、
前記判定部により前記蒸気タービン弁の開度制御に異常が発生したと判定された場合に、警報を発する、または蒸気タービンの停止指令を発する異常処理部と、を備え
前記検出部は、前記反負荷側油室の圧力を検出する反負荷側圧力検出器を含み、
前記判定部は、前記反負荷側油室の目標圧力値と、前記反負荷側圧力検出器で検出された前記反負荷側油室の検出圧力値との偏差が規定値以上である場合に、前記蒸気タービン弁の開度制御に異常が発生したと判定する、蒸気タービン弁異常監視システム。
【請求項7】
蒸気タービン弁を操作する操作ロッドに設けられたピストンを収容し、前記ピストンによって区画された負荷側油室および反負荷側油室を有するシリンダと、前記負荷側油室および前記反負荷側油室に選択的に作動油を供給する双方向ポンプと、前記双方向ポンプを駆動するサーボモータと、前記サーボモータを制御する制御部と、前記双方向ポンプから漏洩した前記作動油が供給される貯油部と、を備えた、蒸気タービン弁駆動装置によって駆動される前記蒸気タービン弁の開度制御の異常を監視する蒸気タービン弁異常監視システムであって、
前記蒸気タービン弁または前記蒸気タービン弁駆動装置の状態を検出する検出部と、
前記検出部により検出された前記蒸気タービン弁駆動装置の状態に基づいて、前記蒸気タービン弁の開度制御に異常が発生したか否かを判定する判定部と、
前記判定部により前記蒸気タービン弁の開度制御に異常が発生したと判定された場合に、警報を発する、または蒸気タービンの停止指令を発する異常処理部と、を備え
前記検出部は、前記双方向ポンプから漏洩した前記作動油の温度を検出するドレン油温度検出器を含み、
前記判定部は、前記ドレン油温度検出器で検出された前記作動油の検出温度値が規定値以上である場合に、前記蒸気タービン弁の開度制御に異常が発生したと判定する、蒸気タービン弁異常監視システム。
【請求項8】
蒸気タービン弁を操作する操作ロッドに設けられたピストンを収容し、前記ピストンによって区画された負荷側油室および反負荷側油室を有するシリンダと、前記負荷側油室および前記反負荷側油室に選択的に作動油を供給する双方向ポンプと、前記双方向ポンプを駆動するサーボモータと、前記サーボモータを制御する制御部と、前記双方向ポンプから漏洩した前記作動油が供給される貯油部と、を備えた、蒸気タービン弁駆動装置によって駆動される前記蒸気タービン弁の開度制御の異常を監視する蒸気タービン弁異常監視システムであって、
前記蒸気タービン弁または前記蒸気タービン弁駆動装置の状態を検出する検出部と、
前記検出部により検出された前記蒸気タービン弁駆動装置の状態に基づいて、前記蒸気タービン弁の開度制御に異常が発生したか否かを判定する判定部と、
前記判定部により前記蒸気タービン弁の開度制御に異常が発生したと判定された場合に、警報を発する、または蒸気タービンの停止指令を発する異常処理部と、を備え
前記検出部は、前記貯油部内の前記作動油の温度を検出する貯油温度検出器を含み、
前記判定部は、前記貯油温度検出器で検出された前記作動油の検出温度値が規定値以下である場合に、前記蒸気タービン弁の開度制御に異常が発生したと判定する、蒸気タービン弁異常監視システム。
【請求項9】
蒸気タービン弁を操作する操作ロッドに設けられたピストンを収容し、前記ピストンによって区画された負荷側油室および反負荷側油室を有するシリンダと、前記負荷側油室および前記反負荷側油室に選択的に作動油を供給する双方向ポンプと、前記双方向ポンプを駆動するサーボモータと、前記サーボモータを制御する制御部と、前記双方向ポンプから漏洩した前記作動油が供給される貯油部と、を備えた、蒸気タービン弁駆動装置によって駆動される前記蒸気タービン弁の開度制御の異常を監視する蒸気タービン弁異常監視システムであって、
前記蒸気タービン弁または前記蒸気タービン弁駆動装置の状態を検出する検出部と、
前記検出部により検出された前記蒸気タービン弁駆動装置の状態に基づいて、前記蒸気タービン弁の開度制御に異常が発生したか否かを判定する判定部と、
前記判定部により前記蒸気タービン弁の開度制御に異常が発生したと判定された場合に、警報を発する、または蒸気タービンの停止指令を発する異常処理部と、を備え
前記検出部は、前記貯油部内の前記作動油の圧力を検出する貯油圧力検出器を含み、
前記判定部は、前記貯油圧力検出器で検出された前記作動油の検出圧力値が規定値以下である場合に、前記蒸気タービン弁の開度制御に異常が発生したと判定する、蒸気タービン弁異常監視システム。
【請求項10】
蒸気タービン弁を操作する操作ロッドに設けられたピストンを収容し、前記ピストンによって区画された負荷側油室および反負荷側油室を有するシリンダと、前記負荷側油室および前記反負荷側油室に選択的に作動油を供給する双方向ポンプと、前記双方向ポンプを駆動するサーボモータと、前記サーボモータを制御する制御部と、前記双方向ポンプから漏洩した前記作動油が供給される貯油部と、を備えた、蒸気タービン弁駆動装置によって駆動される前記蒸気タービン弁の開度制御の異常を監視する蒸気タービン弁異常監視システムであって、
前記蒸気タービン弁または前記蒸気タービン弁駆動装置の状態を検出する検出部と、
前記検出部により検出された前記蒸気タービン弁駆動装置の状態に基づいて、前記蒸気タービン弁の開度制御に異常が発生したか否かを判定する判定部と、
前記判定部により前記蒸気タービン弁の開度制御に異常が発生したと判定された場合に、警報を発する、または蒸気タービンの停止指令を発する異常処理部と、を備え
前記検出部は、前記サーボモータの温度を検出するモータ温度検出器を含み、
前記判定部は、前記モータ温度検出器で検出された前記サーボモータの検出温度値が規定値以上である場合に、前記蒸気タービン弁の開度制御に異常が発生したと判定する、蒸気タービン弁異常監視システム。
【請求項11】
蒸気タービン弁を操作する操作ロッドに設けられたピストンを収容し、前記ピストンによって区画された負荷側油室および反負荷側油室を有するシリンダと、前記負荷側油室および前記反負荷側油室に選択的に作動油を供給する双方向ポンプと、前記双方向ポンプを駆動するサーボモータと、前記サーボモータを制御する制御部と、前記双方向ポンプから漏洩した前記作動油が供給される貯油部と、を備えた、蒸気タービン弁駆動装置によって駆動される前記蒸気タービン弁の開度制御の異常を監視する蒸気タービン弁異常監視システムであって、
前記蒸気タービン弁または前記蒸気タービン弁駆動装置の状態を検出する検出部と、
前記検出部により検出された前記蒸気タービン弁駆動装置の状態に基づいて、前記蒸気タービン弁の開度制御に異常が発生したか否かを判定する判定部と、
前記判定部により前記蒸気タービン弁の開度制御に異常が発生したと判定された場合に、警報を発する、または蒸気タービンの停止指令を発する異常処理部と、を備え
前記異常処理部は、前記判定部により前記蒸気タービン弁の開度制御に異常が発生したと判定された場合に、前記蒸気タービン弁が設置された蒸気流路において前記蒸気タービン弁よりも上流側に設置された他の蒸気タービン弁を閉じるための停止指令を発する、蒸気タービン弁異常監視システム。
【請求項12】
蒸気タービン弁を操作する操作ロッドに設けられたピストンを収容し、前記ピストンによって区画された負荷側油室および反負荷側油室を有するシリンダと、前記負荷側油室および前記反負荷側油室に選択的に作動油を供給する双方向ポンプと、前記双方向ポンプを駆動するサーボモータと、前記サーボモータを制御する制御部と、前記双方向ポンプから漏洩した前記作動油が供給される貯油部と、を備えた、蒸気タービン弁駆動装置によって駆動される前記蒸気タービン弁の開度制御の異常を監視する蒸気タービン弁異常監視システムであって、
前記蒸気タービン弁または前記蒸気タービン弁駆動装置の状態を検出する検出部と、
前記検出部により検出された前記蒸気タービン弁駆動装置の状態に基づいて、前記蒸気タービン弁の開度制御に異常が発生したか否かを判定する判定部と、
前記判定部により前記蒸気タービン弁の開度制御に異常が発生したと判定された場合に、警報を発する、または蒸気タービンの停止指令を発する異常処理部と、を備え
前記蒸気タービン弁駆動装置は、非常時に前記負荷側油室から前記作動油を排出させる急閉用電磁弁を更に備えており、
前記異常処理部は、前記判定部により前記蒸気タービン弁の開度制御に異常が発生したと判定された場合に、前記負荷側油室から前記作動油を排出させるように前記急閉用電磁弁に指令を発する、蒸気タービン弁異常監視システム。
【請求項13】
蒸気タービン弁を駆動する蒸気タービン弁駆動装置であって、
前記蒸気タービン弁を操作する操作ロッドに設けられたピストンを収容し、前記ピストンによって区画された負荷側油室および反負荷側油室を有するシリンダと、
前記負荷側油室および前記反負荷側油室に選択的に作動油を供給する双方向ポンプと、 前記双方向ポンプを駆動するサーボモータと、
前記サーボモータを制御する制御部と、
前記双方向ポンプから漏洩した前記作動油が供給される貯油部と、
請求項1~12のいずれか一項に記載の蒸気タービン弁異常監視システムと、を備えた、蒸気タービン弁駆動装置。
【請求項14】
蒸気タービン弁と、
前記蒸気タービン弁を駆動する、請求項13に記載の蒸気タービン弁駆動装置と、を備えた、蒸気タービン弁装置。
【請求項15】
蒸気を発生させるボイラーと、
前記ボイラーで発生した前記蒸気で回転駆動力を得る蒸気タービンと、
前記蒸気タービンから排出された前記蒸気を凝縮する復水器と、
前記ボイラーで発生した前記蒸気の流れを制御する、請求項14に記載の蒸気タービン弁装置と、
を備えた、蒸気タービンプラント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、蒸気タービン弁異常監視システム、蒸気タービン弁駆動装置、蒸気タービン弁装置および蒸気タービンプラントに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、蒸気タービンプラントにおいては、各蒸気タービン弁の開度が、対応する蒸気タービン弁駆動装置によって制御されている。このことにより、蒸気タービンへ流入する蒸気の流入量が制御されて、蒸気タービンの回転数および出力が調整される。
【0003】
蒸気タービンプラントにおいて異常が発生した場合には、蒸気タービン弁駆動装置によって、蒸気タービン弁を急速に閉じる急閉動作が行われる。このことにより、蒸気タービンに蒸気を導く蒸気流路が遮断され、蒸気タービンが停止する。このようにして、蒸気タービンプラントを構成する機器が保護されている。
【0004】
このような蒸気タービン弁駆動装置は、ピストンが収容されたシリンダに作動油を供給および排出させるように構成されている。シリンダに供給された作動油の圧力で、ピストンが駆動されて、蒸気タービン弁の開閉動作が制御される。
【0005】
各蒸気タービン弁駆動装置には、1つの集約型油圧発生装置から作動油が供給される場合がある。この場合、1つの集約型油圧発生装置と各蒸気タービン弁駆動装置とが作動油配管を介して接続される。
【0006】
一方、このような集約型油圧発生装置を用いることなく、各蒸気タービン弁駆動装置に油圧発生装置を搭載した蒸気タービン弁駆動装置が知られている。このような蒸気タービン弁駆動装置においては、ピストンによって区画された負荷側油室および反負荷側油室を接続する油路に双方向ポンプが設けられており、双方向ポンプがサーボモータで駆動される。サーボモータの回転数を制御することにより、各油室に対する作動油の供給および排出を切り替えて、各油室内の作動油の圧力を制御する。このようにして、蒸気タービン弁の開度制御が行われる。
【0007】
蒸気タービン弁の急閉動作を行う場合には、閉鎖ばねの作用によって、負荷側油室の作動油を排出する。より具体的には、急閉用電磁弁を動作させることによって、負荷側油室と反負荷側油室とを連通させる。すると、閉鎖ばねの荷重により、負荷側油室内の作動油が反負荷側油室に排出される。このため、閉鎖ばねの荷重を受けた弁体が移動し、蒸気タービン弁を急閉させることができる。
【0008】
このように、油圧発生装置を搭載した蒸気タービン弁駆動装置では、作動油配管を削減または不要にすることができる。また、作動油配管の配管施工やフラッシングなどの現地作業工程の削減を図ることもできる。さらに、油圧発生装置を搭載した蒸気タービン弁駆動装置では、集約型油圧発生装置を用いる場合よりも、作動油の使用量を低減することができる。
【0009】
このような油圧発生装置を搭載した蒸気タービン弁駆動装置においては、構成機器の破損を防止したり、作動油の漏洩を防止したりするために、異常発生時の信頼性を向上させることが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】特開2017-160890号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、異常が発生した場合の信頼性を向上させることができる蒸気タービン弁異常監視システム、蒸気タービン弁駆動装置、蒸気タービン弁装置および蒸気タービンプラントを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
実施の形態による蒸気タービン弁異常監視システムは、蒸気タービン弁駆動装置によって駆動される蒸気タービン弁の開度制御の異常を監視する。蒸気タービン弁駆動装置は、蒸気タービン弁を操作する操作ロッドに設けられたピストンを収容し、ピストンによって区画された負荷側油室および反負荷側油室を有するシリンダと、負荷側油室および反負荷側油室に選択的に作動油を供給する双方向ポンプと、双方向ポンプを駆動するサーボモータと、サーボモータを制御する制御部と、双方向ポンプから漏洩した作動油が供給される貯油部と、を備えている。蒸気タービン弁異常監視システムは、蒸気タービン弁または蒸気タービン弁駆動装置の状態を検出する検出部と、判定部と、異常処理部と、を備えている。判定部は。検出部により検出された蒸気タービン弁駆動装置の状態に基づいて、蒸気タービン弁の開度制御に異常が発生したか否かを判定する。異常処理部は、判定部により蒸気タービン弁の開度制御に異常が発生したと判定された場合に、警報を発する、またはタービンの停止指令を発する。
【0013】
実施の形態による蒸気タービン弁駆動装置は、蒸気タービン弁を駆動する。蒸気タービン弁駆動装置は、蒸気タービン弁を操作する操作ロッドに設けられたピストンを収容し、ピストンによって区画された負荷側油室および反負荷側油室を有するシリンダと、負荷側油室および反負荷側油室に選択的に作動油を供給する双方向ポンプと、双方向ポンプを駆動するサーボモータと、サーボモータを制御する制御部と、双方向ポンプから漏洩した作動油が供給される貯油部と、上述の蒸気タービン弁異常監視システムと、を備えている。
【0014】
実施の形態による蒸気タービン弁装置は、蒸気タービン弁と、蒸気タービン弁を駆動する上述の蒸気タービン弁駆動装置と、を備えている。
【0015】
実施の形態による蒸気タービンプラントは、蒸気を発生させるボイラーと、ボイラーで発生した蒸気で回転駆動力を得る蒸気タービンと、蒸気タービンから排出された蒸気を凝縮する復水器と、ボイラーで発生した蒸気の流れを制御する上述の蒸気タービン弁装置と、を備えている。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、異常が発生した場合の信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、第1の実施の形態における蒸気タービンプラントの一例を示す系統図である。
図2図2は、第1の実施の形態における蒸気タービン弁異常監視システムを示す図である。
図3図3は、第2の実施の形態における蒸気タービン弁異常監視システムを示す図である。
図4図4は、第3の実施の形態における蒸気タービン弁異常監視システムを示す図である。
図5図5は、第4の実施の形態における蒸気タービン弁異常監視システムを示す図である。
図6図6は、第5の実施の形態における蒸気タービン弁異常監視システムを示す図である。
図7図7は、第6の実施の形態における蒸気タービン弁異常監視システムを示す図である。
図8図8は、第7の実施の形態における蒸気タービン弁異常監視システムを示す図である。
図9図9は、第8の実施の形態における蒸気タービン弁異常監視システムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態による蒸気タービン弁異常監視システム、蒸気タービン弁駆動装置、蒸気タービン弁装置および蒸気タービンプラントについて説明する。
【0019】
(第1の実施の形態)
図1および図2を用いて、本実施の形態における蒸気タービン弁異常監視システム、蒸気タービン弁駆動装置、蒸気タービン弁装置および蒸気タービンプラントについて説明する。ここではまず、図1を用いて、本実施の形態における蒸気タービン弁異常監視システム、蒸気タービン弁駆動装置および蒸気タービン弁装置が適用可能な蒸気タービンプラントの一例について説明する。以下、「蒸気タービン弁異常監視システム」を単に「異常監視システム」と記す。
【0020】
図1に示すように、蒸気タービンプラント1は、蒸気を発生させるボイラー2と、ボイラー2で発生した蒸気で回転駆動力を得る蒸気タービン3と、蒸気タービン3から排出された蒸気を凝縮する復水器4と、を備えている。
【0021】
ボイラー2は、復水器4から供給された復水を加熱して蒸気を発生させる蒸気発生器5と、後述する高圧タービン7で膨張仕事を終えた主蒸気S1を再加熱する再熱器6と、を有している。ボイラー2は、供給される燃料を、空気を混合させて燃焼させて燃焼ガスを生成し、生成された燃焼ガスの熱で、蒸気発生器5において復水から蒸気を発生させるとともに、再熱器6において蒸気を再加熱している。
【0022】
蒸気タービン3は、高圧タービン7と、中圧タービン8と、低圧タービン9と、を有している。高圧タービン7のタービンロータ、中圧タービン8のタービンロータおよび低圧タービン9のタービンロータ(いずれも図示せず)は、互いに連結されている。
【0023】
蒸気発生器5において発生した蒸気は、主蒸気S1として、主蒸気ライン10(蒸気流路の一例)を介して高圧タービン7に供給される。主蒸気ライン10は、主蒸気止め弁20と、主蒸気止め弁20の下流側に設けられた蒸気加減弁21と、を有している。このうち、主蒸気止め弁20は、主に蒸気タービン3の非常時に主蒸気S1の流れを止めるための弁であるが、主蒸気S1の流量を調整する場合もある。蒸気加減弁21は、主に高圧タービン7に供給される主蒸気S1の流量を調整するための弁である。高圧タービン7は、蒸気発生器5から供給される主蒸気S1を用いて回転駆動される。すなわち、高圧タービン7に供給された主蒸気S1は膨張仕事を行い、高圧タービン7は回転駆動力を得る。膨張仕事を終えた主蒸気S1は、逆止弁11を有する低温再熱ライン12を通って再熱器6に供給される。
【0024】
再熱器6において再加熱された蒸気は、再熱蒸気S2として、再熱蒸気ライン13(蒸気流路の一例)を介して中圧タービン8に供給される。再熱蒸気ライン13は、再熱蒸気止め弁22と、再熱蒸気止め弁22の下流側に設けられたインターセプト弁23(再熱蒸気加減弁)と、を有している。このうち、再熱蒸気止め弁22は、主に蒸気タービン3の非常時に再熱蒸気S2の流れを止めるための弁であるが、再熱蒸気S2の流量を調整する場合もある。インターセプト弁23は、主に中圧タービン8に供給される再熱蒸気S2の流量を調整するための弁である。中圧タービン8に供給された再熱蒸気S2は膨張仕事を行い、中圧タービン8は回転駆動力を得る。膨張仕事を終えた再熱蒸気S2は、低圧タービン9に供給されて更に膨張仕事を行い、その後、タービン排気として復水器4に供給される。
【0025】
復水器4に供給されたタービン排気は、凝縮されて復水となる。復水器4とボイラー2の蒸気発生器5は、給水ライン14によって連結されており、この給水ライン14が、給水ポンプ15を有している。このことにより、復水器4内の復水は、給水ポンプ15によって加圧されてボイラー2の蒸気発生器5に供給される。
【0026】
蒸気タービンプラント1は、蒸気タービン3の回転駆動力で発電を行う発電機16を更に備えている。上述したように、高圧タービン7、中圧タービン8および低圧タービン9の回転駆動力を得ることにより、発電機16が駆動されて、発電が行われる。
【0027】
上述した主蒸気ライン10のうち主蒸気止め弁20の上流側の部分から、高圧タービンバイパスライン17が分岐している。この高圧タービンバイパスライン17は、高圧タービンバイパス弁24を有し、低温再熱ライン12に合流している。このようにして、主蒸気S1が、高圧タービン7に供給されることなく低温再熱ライン12に供給可能になっている。例えば、タービン起動時等に主蒸気S1の圧力や温度が所定の値に達していない場合、または負荷遮断時等に主蒸気S1の流量が過剰になった場合に、高圧タービンバイパス弁24を開いて、余剰の主蒸気S1を低温再熱ライン12に供給するという運用が行われる。
【0028】
再熱蒸気ライン13のうち再熱蒸気止め弁22の上流側の部分から、低圧タービンバイパスライン18が分岐している。この低圧タービンバイパスライン18は、低圧タービンバイパス弁25を有し、復水器4に連結されている。このようにして、再熱蒸気S2が、中圧タービン8および低圧タービン9に供給されることなく復水器4に供給可能になっている。例えば、高圧タービンバイパス弁24と同様に、タービン起動時等に再熱蒸気S2の圧力や温度が所定の値に達していない場合、または負荷遮断時等に再熱蒸気S2の流量が過剰になった場合に、低圧タービンバイパス弁25が開いて、余剰の再熱蒸気S2を復水器4に供給するという運用が行われる。
【0029】
このような高圧タービンバイパスライン17および低圧タービンバイパスライン18が設けられていることにより、蒸気タービン3に蒸気を供給させることなく、ボイラー単独の循環運転が可能になっている。
【0030】
このように、蒸気タービンプラント1においては、ボイラー2で発生した蒸気の種々の機器に向う流れが形成されている。このような蒸気タービンプラント1における蒸気の流れは、蒸気タービン弁装置30によって制御される。蒸気タービン弁装置30は、図2に示すように、弁体34を有する蒸気タービン弁31と、高圧の作動油を用いて蒸気タービン弁31の弁体34を開閉駆動する蒸気タービン弁駆動装置40と、を備えている。
【0031】
次に、図2を用いて、本実施の形態による蒸気タービン弁31について説明する。本実施の形態による蒸気タービン弁31の例としては、上述した蒸気タービンプラント1における主蒸気止め弁20、蒸気加減弁21、再熱蒸気止め弁22、インターセプト弁23、高圧タービンバイパス弁24および低圧タービンバイパス弁25などが挙げられる。
【0032】
図2に示すように、本実施の形態による蒸気タービン弁31は、弁ケーシング32と、弁ケーシング32内に設けられた弁座33と、弁座33に対して接離可能に設けられた弁体34と、を備えている。弁体34には、弁棒35が一体的に接続されている。弁棒35は、カップリング36を介して蒸気タービン弁駆動装置40に連結されている。蒸気タービン弁駆動装置40によって弁体34が弁座33に対して進退可能に移動するようになっている。蒸気タービン弁31の閉状態では、弁体34が弁座33に当接する。蒸気タービン弁31の開状態では、弁体34が弁座33から離間する(図2参照)。
【0033】
次に、図2を用いて、本実施の形態における蒸気タービン弁駆動装置40について説明する。
【0034】
本実施の形態による蒸気タービン弁駆動装置40は、蒸気タービン3へ蒸気を供給する上述の蒸気流路に設置された蒸気タービン弁31を駆動するための装置である。
【0035】
蒸気タービン弁駆動装置40は、油圧駆動部50と、油圧回路部60と、制御装置90と、異常監視システム92と、を備えている。油圧回路部60によって油圧駆動部50が駆動されて、蒸気タービン弁31が開閉動作を行うようになっている。
【0036】
油圧駆動部50は、蒸気タービン弁31に取り付けられている。油圧駆動部50は、主として、シリンダ51と、操作ロッド52と、を備えている。
【0037】
シリンダ51は、蒸気タービン弁31を操作する操作ロッド52に設けられたピストン53を収容している。このピストン53によって、シリンダ51の内部空間が、負荷側油室54aおよび反負荷側油室54bに区画されている。ピストン53は、内部空間において、操作ロッド52の軸方向に沿って摺動可能になっている。シリンダ51は、蒸気タービン弁31に取り付けられている。
【0038】
負荷側油室54aは、シリンダ51の内部空間のうちピストン53よりも蒸気タービン弁31の弁体34の側に位置している。負荷側油室54aには、蒸気タービン弁31を開くための作動油が充填される。
【0039】
反負荷側油室54bは、シリンダ51の内部空間のうちピストン53よりも弁体34とは反対側(後述する開度検出器55の側)に位置している。反負荷側油室54bには、蒸気タービン弁31を閉じるための作動油が充填される。
【0040】
操作ロッド52の一端は、上述したカップリング36を介して弁棒35に連結されている。操作ロッド52の他端には、開度検出器55が接続されている。開度検出器55は、蒸気タービン弁31の開度を検出するように構成されている。
【0041】
このように油圧駆動部50が構成されていることにより、蒸気タービン弁31を開く場合には、負荷側油室54aに作動油が供給される。この際、後述する双方向ポンプ61の作用によって反負荷側油室54bから作動油が排出される。このことにより、負荷側油室54aと反負荷側油室54bの差圧によって、ピストン53が弁体34とは反対側に移動する。このため、弁体34が弁座33から離間し、蒸気タービン弁31が開く。一方、蒸気タービン弁31を閉じる場合には、反負荷側油室54bに作動油が供給される。この際、双方向ポンプ61の作用によって負荷側油室54aから作動油が排出される。このことにより、負荷側油室54aと反負荷側油室54bの差圧によって、ピストン53が弁体34の側に移動する。このため、弁体34が弁座33に当接し、蒸気タービン弁31が閉じる。そして、蒸気タービン弁31の開度を保持させる場合には、ピストン53が所望の位置で停止するように、負荷側油室54aの圧力と反負荷側油室54bの圧力が調整される。
【0042】
操作ロッド52は、閉鎖ばね56の荷重を受けている。閉鎖ばね56は、操作ロッド52を蒸気タービン弁31の弁体34の側に押圧している。このことにより、蒸気タービン弁31を閉じる方向に操作ロッド52を付勢している。
【0043】
油圧回路部60は、双方向ポンプ61と、貯油部64と、供給用チェック弁71a、71bと、急閉用ダンプ弁72と、急閉用電磁弁76と、パイロットチェック弁80a、80bと、を備えている。これらの構成機器は、作動油が流れる油路を介して接続されている。
【0044】
双方向ポンプ61は、負荷側油室54aおよび反負荷側油室54bに選択的に作動油を供給するように構成されている。双方向ポンプ61は、例えば、可逆回転側ポンプであってもよい。双方向ポンプ61が作動油の流れ方向を切り替えることができる。
【0045】
双方向ポンプ61は、負荷側ポンプポート62aと、反負荷側ポンプポート62bを有している。負荷側ポンプポート62aは、負荷側油路63aを介して負荷側油室54aに接続されている。反負荷側ポンプポート62bは、反負荷側油路63bを介して反負荷側油室54bに接続されている。例えば、双方向ポンプ61が反負荷側ポンプポート62bから負荷側ポンプポート62aへの作動油の流れを形成する場合、負荷側ポンプポート62aから作動油が吐出されて、負荷側油室54aに作動油が供給される。このことにより、ピストン53が弁体34とは反対側に移動し、蒸気タービン弁31が開く。この場合、反負荷側油室54bの作動油は、反負荷側ポンプポート62bに吸引される。一方、負荷側ポンプポート62aから反負荷側ポンプポート62bへの作動油の流れを形成する場合、反負荷側ポンプポート62bから作動油が吐出されて、反負荷側油室54bに作動油が供給される。このことにより、ピストン53が弁体34の側に移動し、蒸気タービン弁31が閉じる。この場合、負荷側油室54aの作動油は、負荷側ポンプポート62aに吸引される。
【0046】
双方向ポンプ61に、第1ドレン油路65を介して貯油部64が接続されている。双方向ポンプ61から漏洩した作動油は、第1ドレン油路65を通って貯油部64に供給される。第1ドレン油路65の一端が、後述する貯油部油路70を介して貯油部64に接続され、第1ドレン油路65の他端が双方向ポンプ61に接続されている。このようにして、双方向ポンプ61から漏洩した作動油が、貯油部油路70を通って貯油部64に供給される。
【0047】
双方向ポンプ61は、サーボモータ66によって駆動される。サーボモータ66の駆動軸は、双方向ポンプ61の駆動軸に連結されている。サーボモータ66が駆動軸の回転方向を切り替えることにより、双方向ポンプ61の作動油の流れ方向が切り替えられる。また、サーボモータ66が駆動軸の回転速度を調整することにより、双方向ポンプ61の作動油の吐出量が調整されるように構成されている。
【0048】
サーボモータ66は、駆動軸の回転数を検出する回転数検出器67を含んでいる。回転数検出器67は、例えば、レゾルバやエンコーダであってもよい。
【0049】
サーボモータ66には、サーボモータ66を駆動するサーボドライバ68が接続されている。サーボモータ66とサーボドライバ68は、モータ動力線L10およびモータ信号線L11によって接続されている。サーボドライバ68から出力される駆動電力は、制御信号として、モータ動力線L10を介してサーボモータ66に入力される。この駆動電力の周波数に応じた回転数で、サーボモータ66の駆動軸が回転する。一方、サーボモータ66の回転数検出器67で検出された実回転数は、検出信号として、モータ信号線L11を介してサーボドライバ68に入力される。
【0050】
サーボドライバ68には、サーボドライバ68を制御する制御装置90の制御部91(後述)が接続されている。サーボドライバ68と制御装置90は、回転数信号線L12およびドライバ信号線L13によって接続されている。
【0051】
制御部91から出力される指令回転数が、制御信号として、回転数信号線L12を介してサーボドライバ68に入力される。サーボドライバ68は、制御部91から受ける指令回転数に基づいて、サーボモータ66に駆動電力を供給する。より具体的には、サーボドライバ68は、指令回転数に応じた周波数の駆動電力を、サーボモータ66に供給する。また、サーボドライバ68は、サーボモータ66をフィードバック制御してもよい。より具体的には、サーボドライバ68は、制御部91から受ける指令回転数とサーボモータ66から受ける実回転数とに基づいて、サーボモータ66をフィードバック制御する。すなわち、サーボドライバ68は、指令回転数と実回転数との偏差を考慮しながら、サーボモータ66の駆動軸の回転数が指令回転数となるように、サーボモータ66への駆動電力の周波数を調整する。
【0052】
貯油部64は、作動油を貯蔵する。貯油部64は、アキュムレータであってもよい。貯油部64は、負荷側供給用油路69aを介して負荷側油路63aに接続されるとともに、反負荷側供給用油路69bを介して反負荷側油路63bに接続されている。より具体的には、貯油部64に貯油部油路70が接続されている。この貯油部油路70に負荷側供給用油路69aの一端が接続されるとともに反負荷側供給用油路69bの一端が接続されている。負荷側供給用油路69aの他端は、負荷側油路63aに接続されている。反負荷側供給用油路69bの他端は、反負荷側油路63bに接続されている。このようにして、貯油部64に貯蔵された作動油は、貯油部油路70および負荷側供給用油路69aを通って負荷側油路63aに供給されるとともに、貯油部油路70および反負荷側供給用油路69bを通って反負荷側油路63bに供給される。
【0053】
負荷側供給用チェック弁71aは、負荷側供給用油路69aに設けられている。負荷側供給用チェック弁71aは、貯油部油路70から負荷側油路63aへの作動油の流れを許可するが、負荷側油路63aから貯油部油路70への作動油の流れを遮断するように構成されている。
【0054】
反負荷側供給用チェック弁71bは、反負荷側供給用油路69bに設けられている。反負荷側供給用チェック弁71bは、貯油部油路70から反負荷側油路63bへの作動油の流れを許可するが、反負荷側油路63bから貯油部油路70への作動油の流れを遮断するように構成されている。
【0055】
急閉用ダンプ弁72は、第1急閉用油路73に設けられている。第1急閉用油路73の一端は、負荷側油路63aに接続され、第1急閉用油路73の他端は、反負荷側油路63bに接続されている。
【0056】
急閉用ダンプ弁72には、急閉用電磁弁76からパイロット油が供給されるようになっている。パイロット油が供給されると急閉用ダンプ弁72は閉じ、パイロット油が排出されると急閉用ダンプ弁72は開く。通常時には、急閉用ダンプ弁72にパイロット油が供給されて、急閉用ダンプ弁72は閉じている。このことにより、第1急閉用油路73における作動油の流れを遮断している。非常時には、急閉用ダンプ弁72からパイロット油が排出されて、急閉用ダンプ弁72が開く。このことにより、負荷側油室54aから反負荷側油室54bへの作動油の流れが許可されて、負荷側油室54a内の作動油が急速に排出される。なお、パイロット油とは、作動油であるが、急閉用ダンプ弁72の制御を行うための作動油として、説明を明瞭にするために作動油とは異なる名称を用いて説明する。
【0057】
第1急閉用油路73のうち急閉用ダンプ弁72よりも負荷側油路63aの側の部分は、第2急閉用油路74を介して負荷側油室54aに接続されている。第2急閉用油路74が接続される負荷側油室54aのポートは、負荷側油路63aが接続される負荷側油室54aのポートとは異なっている。負荷側油室54aに、オリフィス75が設けられている。
【0058】
急閉用電磁弁76は、急閉用ダンプ弁72に供給されるパイロット油を制御するようになっている。そして、急閉用電磁弁76は、非常時に、負荷側油室54aから作動油を排出させるようになっている。急閉用電磁弁76は、第1パイロット油路77を介して急閉用ダンプ弁72に接続されている。第1パイロット油路77の一端は急閉用電磁弁76に接続され、第1パイロット油路77の他端は、急閉用ダンプ弁72に接続されている。
【0059】
急閉用電磁弁76は、第2パイロット油路78を介して負荷側油路63aおよび反負荷側油路63bに接続されている。より具体的には、第2パイロット油路78は、負荷側パイロット油路79aを介して負荷側油路63aに接続されているとともに、反負荷側パイロット油路79bを介して反負荷側油路63bに接続されている。第2パイロット油路78の一端は急閉用電磁弁76に接続され、第2パイロット油路78の他端は負荷側パイロット油路79aおよび反負荷側パイロット油路79bに接続されている。第2パイロット油路78には、オリフィス80が設けられている。負荷側パイロット油路79aの一端は、第2パイロット油路78に接続され、負荷側パイロット油路79aの他端は、負荷側油路63aに接続されている。反負荷側パイロット油路79bの一端は、第2パイロット油路78に接続され、反負荷側パイロット油路79bの他端は、反負荷側油路63bに接続されている。
【0060】
急閉用電磁弁76は、励磁状態では、負荷側油路63aおよび反負荷側油路63bから急閉用ダンプ弁72へのパイロット油の流れを許可する。一方、急閉用電磁弁76は、無励磁状態では、負荷側油路63aおよび反負荷側油路63bから急閉用ダンプ弁72へのパイロット油の流れを遮断する。その代わりに、無励磁状態の急閉用電磁弁76は、急閉用ダンプ弁72から後述する第2ドレン油路82へのパイロット油の流れを許可する。
【0061】
通常時には、急閉用電磁弁76は励磁状態となって、負荷側油路63aおよび反負荷側油路63bから急閉用ダンプ弁72へのパイロット油の流れを許可する。このことにより、急閉用ダンプ弁72にパイロット油が供給されて、急閉用ダンプ弁72が閉じる。非常時には、急閉用電磁弁76は無励磁になって、急閉用ダンプ弁72から後述する第2ドレン油路82へのパイロット油の流れを許可する。このことにより、急閉用ダンプ弁72からパイロット油が排出されて、急閉用ダンプ弁72が開く。そして、負荷側油室54aから作動油が排出される。
【0062】
負荷側パイロットチェック弁81aは、負荷側パイロット油路79aに設けられている。負荷側パイロットチェック弁81aは、負荷側油路63aから急閉用電磁弁76へのパイロット油の流れを許可するが、急閉用電磁弁76から負荷側油路63aへのパイロット油の流れを遮断するように構成されている。
【0063】
反負荷側パイロットチェック弁81bは、反負荷側パイロット油路79bに設けられている。反負荷側パイロットチェック弁81bは、反負荷側油路63bから急閉用電磁弁76へのパイロット油の流れを許可するが、急閉用電磁弁76から反負荷側油路63bへのパイロット油の流れを遮断するように構成されている。
【0064】
なお、急閉用ダンプ弁72から漏洩した作動油および急閉用電磁弁76から漏洩した作動油が、上述した貯油部64に供給される。より具体的には、第1ドレン油路65には、第2ドレン油路82を介して、急閉用電磁弁76が接続されている。第2ドレン油路82の一端は、第1ドレン油路65に接続され、第2ドレン油路82の他端は、急閉用電磁弁76に接続されている。急閉用電磁弁76と急閉用ダンプ弁72は、上述した第1パイロット油路77で接続されている。これらの油路を介して、急閉用ダンプ弁72から漏洩した作動油および急閉用電磁弁76から漏洩した作動油が、貯油部油路70を通って貯油部64に供給される。
【0065】
制御装置90は、制御部91を含んでいる。制御部91は、上述したサーボドライバ68および急閉用電磁弁76を制御する。
【0066】
制御部91には、蒸気タービンプラント1の上位の制御装置から蒸気タービン弁31の指令開度値が検出信号として入力される。そして、制御部91は、この指令開度値に基づいて、蒸気タービン弁31の弁体34の位置を制御する制御信号をサーボドライバ68に入力するように構成されている。例えば、制御部91は、上述した指令開度値に基づいて、サーボモータ66の指令回転数を演算し、上述した回転数信号線L12を介してサーボドライバ68に入力してもよい。この際、制御部91は、上述した開度検出器55により検出された蒸気タービン弁31の検出開度値を用いて、サーボドライバ68をフィードバック制御してもよい。この場合、開度検出器55で検出された検出開度値が、開度信号線L14(図3参照)を介して制御部91に入力される。制御部91は、蒸気タービン弁31の開度指令値と、検出開度値との偏差を求める。この偏差を小さくするように、サーボドライバ68に入力する指令回転数を調整してもよい。
【0067】
また、制御部91は、上述したように入力される開度指令値に基づいて、急閉用電磁弁76を制御する。例えば、蒸気タービン弁31を開く場合には、制御部91は、励磁電力を、制御信号として、急閉用電磁弁76のコイル(図示せず)に入力する。このことにより、急閉用電磁弁76は励磁状態になる。一方、蒸気タービン弁31を閉じる場合には、励磁電力を停止する。このことにより、急閉用電磁弁76は無励磁状態になる。
【0068】
本実施の形態による異常監視システム92は、上述のように構成された蒸気タービン弁31の開度制御の異常を監視する装置である。
【0069】
異常監視システム92は、検出部93と、判定部94と、異常処理部95と、を備えている。
【0070】
検出部93は、蒸気タービン弁31または蒸気タービン弁駆動装置40の状態を検出する。本実施の形態における検出部93は、蒸気タービン弁駆動装置40の状態の一例として、サーボドライバ68の状態を検出する。より具体的には、検出部93は、サーボドライバ68が、ON状態であるかOFF状態であるかを検出する。このような検出部93は、サーボドライバ68に組み込まれていてもよい。
【0071】
すなわち、サーボドライバ68は、上述したように、制御部91から受ける指令回転数とサーボモータ66から受ける実回転数とに基づいて、サーボモータ66をフィードバック制御する。サーボドライバ68は、このフィードバック制御を行うON状態と、フィードバック制御を行わないOFF状態とに切り替え可能に構成されている。通常時には、サーボドライバ68はON状態になっており、フィードバック制御を行っている。異常時には、サーボドライバ68はOFF状態に切り替わる。サーボドライバ68は、サーボドライバ68自体およびその周辺の構成機器で異常が発生した場合にOFF状態に切り替わるような保護機能を有している。
【0072】
OFF状態に切り替わる条件として、例えば、サーボモータ66に電力を供給する電源系統(図示せず)に異常が発生した場合が挙げられる。この場合、サーボドライバ68に入力される電力を監視することによって、電源系統における異常発生の有無を認識してもよい。OFF状態に切り替わる他の条件として、例えば、モータ動力線L10に異常が発生した場合が挙げられる。この場合、サーボドライバ68から出力される電力を監視することによって、モータ動力線L10における異常発生の有無を認識してもよい。また、OFF状態に切り替わる他の条件として、例えば、モータ信号線L11に異常が発生した場合が挙げられる。この場合、検出信号としてサーボドライバ68に入力される実回転数を監視することによって、モータ信号線L11における異常発生の有無を認識してもよい。さらに、OFF状態に切り替わる他の条件として、例えば、サーボドライバ68自体に異常が発生した場合が挙げられる。このような条件が少なくとも1つ発生した場合に、サーボドライバ68の保護機能が動作し、サーボドライバ68がOFF状態に切り替わる。
【0073】
サーボドライバ68に組み込まれた検出部93は、サーボドライバ68がON状態であるか、OFF状態であるかを検出するように構成されている。そして、検出した状態を検出信号として判定部94に入力する。例えば、サーボドライバ68がON状態である場合には、ON状態である旨の検出信号が、検出部93からドライバ信号線L13を介して判定部94に入力される。サーボドライバ68がOFF状態である場合には、OFF状態である旨の検出信号が、検出部93からドライバ信号線L13を介して判定部94に入力される。
【0074】
判定部94は、検出部93により検出された蒸気タービン弁駆動装置40の状態に基づいて、蒸気タービン弁31の開度制御に異常が発生したか否かを判定する。本実施の形態による判定部94は、検出部93から入力された検出信号に基づいて、蒸気タービン弁31の開度制御に異常が発生したか否かを判定する。例えば、判定部94は、サーボドライバ68がOFF状態であると検出部93が検出した場合に、蒸気タービン弁31の開度制御に異常が発生したと判定する。一方、判定部94は、サーボドライバ68がON状態であると検出部93が検出した場合には、蒸気タービン弁31の開度制御に異常が発生していないと判定する。
【0075】
異常処理部95は、判定部94により蒸気タービン弁31の開度制御に異常が発生したと判定された場合に、異常処理を行う。異常処理の例として、異常処理部95は警報を発してもよい。例えば、警報音や警報アナウンスを発生させてもよく、または警報表示を点灯若しくは点滅させてもよい。異常処理の他の例として、異常処理部95は、蒸気タービン3の停止指令を発してもよい。例えば、異常処理部95は、異常が発生した蒸気タービン弁駆動装置40に対応する蒸気タービン弁31が設置された蒸気流路よりも上流側に位置する他の蒸気タービン弁を閉じるための停止指令を発してもよい。この場合、停止指令を受けた蒸気タービン弁に対応する蒸気タービン弁駆動装置が駆動されて、当該蒸気タービン弁が閉じられる。あるいは、異常処理部95は、負荷側油室54aから作動油を排出させるように急閉用電磁弁76に指令を発してもよい。例えば、異常処理部95は、異常が発生した蒸気タービン弁駆動装置40の急閉用電磁弁76の励磁を解くための指令を発してもよい。この場合、異常処理部95から制御部91に蒸気タービン弁31を閉じるための停止指令が発せられてもよい。このことにより、制御部91は、急閉用電磁弁76を無励磁状態にする。このため、蒸気タービン弁駆動装置40の負荷側油室54a内の作動油が反負荷側油室54bに排出され、蒸気タービン弁31が急速に閉じる。
【0076】
上述した判定部94および異常処理部95は、制御装置90に組み込まれていてもよい。すなわち、本実施の形態による制御装置90は、制御部91と、判定部94と、異常処理部95と、を含んでいてもよい。
【0077】
次に、このような構成からなる本実施の形態による異常監視システム92における異常監視方法について説明する。
【0078】
蒸気タービンプラント1の運転中、蒸気タービンプラント1内の各種の検出信号が制御装置90の制御部91に入力される。制御部91は、これらの検出信号に基づいて、蒸気タービン弁31の弁体34の位置を制御する。より具体的には、弁体34の位置を制御するための制御信号を、蒸気タービン弁駆動装置40のサーボドライバ68に入力する。例えば、制御部91は、検出信号に基づいてサーボモータ66の指令回転数を演算し、回転数信号線L12を介してサーボドライバ68に入力する。一方、サーボドライバ68は、サーボモータ66から入力されるサーボモータ66の駆動軸の実回転数を考慮して、フィードバック制御を行う。すなわち、サーボドライバ68は、指令回転数と実回転数とに基づいて、サーボモータ66への駆動電力の周波数を調整する。
【0079】
サーボドライバ68は、モータ動力線L10を介して、駆動電力をサーボモータ66に入力する。サーボモータ66は、入力した駆動電力に応じて、駆動軸を回転させる。サーボモータ66の駆動軸の回転数が、サーボモータ66の回転数検出器67で検出される。検出された実回転数が、モータ信号線L11を介してサーボドライバ68に入力される。このようにして、サーボドライバ68はフィードバック制御を継続する。
【0080】
このようなフィードバック制御を行っている間、サーボモータ66はON状態になっている。サーボドライバ68に組み込まれた検出部93は、サーボドライバ68がON状態であることを検出し、サーボドライバ68がON状態である旨の検出信号を、ドライバ信号線L13を介して異常監視システム92の判定部94に入力する。判定部94は、サーボドライバ68がON状態である旨の検出信号が入力すると、蒸気タービン弁31の開度制御に異常が発生していないと判定する。この場合、異常監視システム92の異常処理部95は、警報を発する等の異常処理を行わない。
【0081】
一方、サーボドライバ68自体やサーボドライバ68の周辺の構成機器で異常が発生した場合、サーボドライバ68は、その保護機能によってフィードバック制御を行わないOFF状態に切り替わる。
【0082】
サーボドライバ68がOFF状態に切り替わると、サーボドライバ68に組み込まれた検出部93は、サーボドライバ68がOFF状態であることを検出する。そして、サーボドライバ68がOFF状態である旨の検出信号を、ドライバ信号線L13を介して異常監視システム92の判定部94に入力する。判定部94は、サーボドライバ68がOFF状態である旨の検出信号が入力すると、蒸気タービン弁31の開度制御に異常が発生していると判定する。
【0083】
蒸気タービン弁31の開度制御に異常が発生していると判定されると、異常監視システム92の異常処理部95は、異常処理を行う。例えば、警報音や警報アナウンスを発生させてもよく、警報表示を点灯若しくは点滅させてもよい。このことにより、オペレータに、蒸気タービン弁31の開度制御に異常が発生したことを知らせることができる。あるいは、蒸気タービン3の停止指令を発してもよい。例えば、異常が発生したと判定された蒸気タービン弁駆動装置40に対応する蒸気タービン弁31の上流側に位置する他の蒸気タービン弁を閉じてもよい。このことにより、蒸気タービン3への蒸気の流れが遮断され、蒸気タービン3を停止させることができる。更には、異常が発生したと判定された蒸気タービン弁駆動装置40の急閉用電磁弁76を無励磁状態にしてもよい。この場合、蒸気タービン弁31が急速に閉じる。この場合においても、蒸気タービン3への蒸気の流れが遮断され、蒸気タービン3を停止させることができる。
【0084】
ここで、サーボドライバ68がOFF状態になった場合、サーボモータ66の回転数の制御が困難になり、蒸気タービン弁31の開度の制御が困難になる。この場合、蒸気タービン3に流入する蒸気量を調整することができなくなり、蒸気タービン3の回転数や発電出力の制御が困難になる。
【0085】
これに対して、本実施の形態によれば、サーボドライバ68がOFF状態になった場合に、蒸気タービン弁31の開度制御に異常が発生したと判定することができる。このことにより、異常監視システム92の異常処理部95が、警報を発する等の異常処理を行うことができる。警報を発した場合には、オペレータに、蒸気タービン弁31の開度の制御が不能になっていることを知らせることができる。その後、オペレータによって、蒸気タービン3を安全に停止させることができる。また、異常処理部95が蒸気タービン3の停止指令を発する場合にも、蒸気タービン3を安全に停止させることもできる。
【0086】
なお、サーボドライバ68がOFF状態になった場合、閉鎖ばね56によって蒸気タービン弁31を閉鎖させることができる場合がある。すなわち、閉鎖ばね56の荷重が、負荷側油室54aの作動油の圧力に打ち勝つ場合には、閉鎖ばね56の荷重で蒸気タービン弁31を閉じることができる。この場合には、蒸気タービン弁31を安全に停止させることができる。
【0087】
このように本実施の形態によれば、検出部93によって蒸気タービン弁駆動装置40の状態が検出され、この検出された蒸気タービン弁駆動装置40の状態に基づいて、蒸気タービン弁31の開度制御に異常が発生したか否かが判定される。そして、蒸気タービン弁31の開度制御に異常が発生したと判定された場合に、異常処理部95によって異常処理が行われ、警報が発せられたり、蒸気タービン3の停止指令が発せられたりする。このため、蒸気タービン弁31の開度制御に異常が発生した場合に、蒸気タービン3を安全に停止させることができ、信頼性を向上させることができる。
【0088】
なお、上述した本実施の形態においては、サーボドライバ68がOFF状態になった場合に、蒸気タービン弁31の開度制御に異常が発生したと判定する例について説明した。しかしながら、このことに限られることはない。例えば、判定部94は、サーボドライバ68からサーボモータ66に供給される駆動電力の電流値に基づいて、蒸気タービン弁31の開度制御に異常が発生したか否かを判定するようにしてもよい。
【0089】
より具体的には、検出部93は、蒸気タービン弁駆動装置40の状態の一例として、サーボドライバ68からサーボモータ66に供給される駆動電力の電流値を検出するように構成されている。このような検出部93は、サーボドライバ68に組み込まれていてもよい。判定部94は、サーボドライバ68から出力される駆動電力の検出電流値に基づいて、蒸気タービン弁31の開度制御に異常が発生したか否かを判定する。判定部94は、検出電流値が規定値よりも小さい場合には、蒸気タービン弁31の開度制御に異常は発生していないと判定する。一方、検出電流値が規定値以上である場合には、蒸気タービン弁31の開度制御に異常が発生したと判定する。判定部94が、蒸気タービン弁31の開度制御に異常が発生したと判定した場合には、第1の実施の形態と同様にして、異常処理部95により異常処理が行われる。
【0090】
例えば、蒸気タービン弁31の内部流路に酸化スケールが堆積している場合には、酸化スケールが蒸気タービン弁31の開閉動作の抵抗となって、開閉動作に支障を来す恐れがある。また、双方向ポンプ61やサーボモータ66の軸受部などに焼き付きが発生している場合も、蒸気タービン弁31の開閉動作に支障を来す恐れがある。このような場合には、蒸気タービン弁31の開度を調整する際に、サーボモータ66のトルクが増大し得る。また、油圧フィードバック制御状態においても、油室54a、54b内の作動油の漏洩を補填するためにサーボモータ66が駆動され続けるが、双方向ポンプ61やサーボモータ66の軸受部などに焼き付きが発生している場合には、サーボモータ66のトルクが増大し得る。
【0091】
これに対して、サーボドライバ68からサーボモータ66に供給される駆動電力の電流値が規定値以上である場合に、蒸気タービン弁31の開度制御に異常が発生したと判定することができる。このことにより、異常監視システム92の異常処理部95が、異常処理を行うことができ、警報を発することができる。警報を発した場合には、オペレータに、サーボモータ66のトルクに異常が発生して、双方向ポンプ61やサーボドライバ68等の損傷が懸念されることを知らせることができる。その後、オペレータによって、蒸気タービン3を安全に停止させることができる。また、異常処理部95が蒸気タービン3の停止指令を発する場合にも、蒸気タービン3を安全に停止させることもできる。
【0092】
また、上述のようにサーボモータ66に供給される駆動電力の電流値を監視することにより、蒸気タービン弁駆動装置40の構成機器の健全性を確認することができる。
【0093】
なお、サーボモータ66のトルクは、サーボモータ66に供給される駆動電力の電流値と比例関係にあるため、トルクの上昇は電流値の上昇を招く。この電流値は、サーボモータ66の回転数を増大させる際に上昇し得る。このため、蒸気タービン弁31の開閉動作が問題にならない範囲でサーボモータ66のトルクを制限することにより、サーボモータ66で消費される駆動電力を削減したり、電源容量を削減したりすることができる。
【0094】
(第2の実施の形態)
次に、図3を用いて、第2の実施の形態による蒸気タービン弁異常監視システム、蒸気タービン弁駆動装置、蒸気タービン弁装置および蒸気タービンプラントについて説明する。
【0095】
図3に示す第2の実施の形態においては、蒸気タービン弁の指令開度値と検出開度値との偏差が規定値以上である場合に、蒸気タービン弁の開度制御に異常が発生したと判定する点が主に異なり、他の構成は、図1および図2に示す第1の実施の形態と略同一である。なお、図3において、図1および図2に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0096】
図3に示すように、本実施の形態においては、検出部93は、蒸気タービン弁31の開度を検出する上述の開度検出器55を含んでいる。本実施の形態による検出部93は、蒸気タービン弁31の状態の一例として、蒸気タービン弁31の開度を検出する。開度検出器55と異常監視システム92の判定部94は、開度信号線L14によって接続されている。このことにより、開度検出器55で検出された蒸気タービン弁31の検出開度値は、検出信号として、開度信号線L14を介して異常監視システム92の判定部94に入力される。
【0097】
本実施の形態による判定部94は、制御装置90の制御部91に入力された蒸気タービン弁31の上述の指令開度値と、開度検出器55で検出された蒸気タービン弁31の検出開度値との偏差に基づいて、蒸気タービン弁31の開度制御に異常が発生したか否かを判定する。判定部94は、指令開度値と検出開度値との偏差が規定値よりも小さい場合には、蒸気タービン弁31の開度制御に異常は発生していないと判定する。一方、判定部94は、指令開度値と検出開度値との偏差が規定値以上である場合には、蒸気タービン弁31の開度制御に異常が発生していると判定する。なお、制御部91は、蒸気タービン弁31の指令開度値と検出開度値とに基づいて、フィードバック制御を行ってもよい。すなわち、制御部91は、指令開度値と検出開度値との偏差を考慮しながら、蒸気タービン弁31の開度が指令開度値となるように、サーボドライバ68へ出力する指令回転数を調整してもよい。
【0098】
判定部94が、蒸気タービン弁31の開度制御に異常が発生したと判定した場合には、第1の実施の形態と同様にして、異常処理部95により異常処理が行われる。
【0099】
例えば、蒸気タービン弁31の弁体34および弁棒35に動作不良が発生した場合、蒸気タービン弁31の開度の制御が困難になる。この場合、蒸気タービン3に流入する蒸気量を調整することができなくなり、蒸気タービン3の回転数や発電出力の制御が困難になる。この場合、制御部91に入力された蒸気タービン弁31の指令開度値と、開度検出器55で検出された検出開度値との偏差が大きくなる。
【0100】
これに対して本実施の形態によれば、蒸気タービン弁31の指令開度値と検出開度値との偏差が規定値以上である場合に、蒸気タービン弁31の開度制御に異常が発生したと判定することができる。このことにより、異常監視システム92の異常処理部95が、警報を発する等の異常処理を行うことができる。警報を発した場合には、オペレータに、蒸気タービン弁31の開度制御に異常が発生していることを知らせることができる。その後、オペレータによって、蒸気タービン3を安全に停止させることができる。また、異常処理部95が蒸気タービン3の停止指令を発する場合にも、蒸気タービン3を安全に停止させることもできる。
【0101】
(第3の実施の形態)
次に、図4を用いて、第3の実施の形態による蒸気タービン弁異常監視システム、蒸気タービン弁駆動装置、蒸気タービン弁装置および蒸気タービンプラントについて説明する。
【0102】
図4に示す第3の実施の形態においては、第1ドレン油路に設けられたフィルタの上流側の圧力と下流側の圧力との差圧が規定値以上である場合に、蒸気タービン弁の開度制御に異常が発生したと判定する点が主に異なり、他の構成は、図1および図2に示す第1の実施の形態と略同一である。なお、図4において、図1および図2に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0103】
図4に示すように、本実施の形態においては、第1ドレン油路65に、フィルタ100が設けられている。フィルタ100は、第1ドレン油路65を流れる作動油から、スラッジなどの異物を取り除くための部材である。
【0104】
第1ドレン油路65には、フィルタ100をバイパスするフィルタバイパスライン101が設けられている。フィルタバイパスライン101の一端は、第1ドレン油路65のうちフィルタ100よりも上流側(双方向ポンプ61の側)の部分に接続されている。フィルタバイパスライン101の他端は、第1ドレン油路65のうちフィルタ100よりも下流側(貯油部油路70の側)の部分に接続されている。フィルタバイパスライン101には、フィルタバイパスチェック弁102が設けられている。フィルタバイパスチェック弁102は、双方向ポンプ61から貯油部油路70への作動油の流れを許可するが、貯油部油路70から双方向ポンプ61への作動油の流れを遮断するように構成されている。
【0105】
本実施の形態による検出部93は、フィルタ差圧検出器103を含んでいる。フィルタ差圧検出器103は、蒸気タービン弁駆動装置40の状態の一例として、フィルタ100の上流側の圧力と下流側の圧力との差圧(以下、フィルタ差圧と記す)を検出するように構成されている。
【0106】
より具体的には、第1ドレン油路65に、フィルタ100およびフィルタバイパスチェック弁102をバイパスする差圧検出ライン104が接続されている。差圧検出ライン104の一端は、第1ドレン油路65のうち、第1ドレン油路65とフィルタバイパスライン101との上流側の接続点よりも上流側の部分に接続されている。差圧検出ライン104の他端は、第1ドレン油路65のうち、第1ドレン油路65とフィルタバイパスライン101との下流側の接続点よりも下流側の部分に接続されている。
【0107】
上述したフィルタ差圧検出器103は、差圧検出ライン104に設けられている。フィルタ差圧検出器103は、フィルタ差圧信号線L15を介して、異常監視システム92の判定部94に接続されている。このことにより、フィルタ差圧検出器103で検出されたフィルタ差圧が、検出信号として、フィルタ差圧信号線L15を介して異常監視システム92の判定部94に入力される。
【0108】
本実施の形態による判定部94は、フィルタ差圧検出器103で検出されたフィルタ差圧に基づいて、蒸気タービン弁31の開度制御に異常が発生したか否かを判定する。判定部94は、フィルタ差圧が規定値よりも小さい場合には、蒸気タービン弁31の開度制御に異常は発生していないと判定する。一方、判定部94は、フィルタ差圧が規定値以上である場合には、蒸気タービン弁31の開度制御に異常が発生したと判定する。
【0109】
判定部94が、蒸気タービン弁31の開度制御に異常が発生したと判定した場合には、第1の実施の形態と同様にして、異常処理部95により異常処理が行われる。
【0110】
一般に、油圧機器を長期間運転させていると、スラッジが発生して、双方向ポンプ61や急閉用ダンプ弁72、急閉用電磁弁76等の構成機器の性能低下を引き起こす可能性がある。スラッジは、作動油の温度が上昇すると発生し得る。作動油の温度は、双方向ポンプ61の圧縮過程や絞り流れで生じる圧力損失によって上昇し得る。
【0111】
このようなスラッジを除去するために、本実施の形態による蒸気タービン弁駆動装置40においては、第1ドレン油路65にフィルタ100が設けられている。このことにより、作動油からスラッジを除去することができ、作動油の清浄度を向上させることができる。
【0112】
フィルタ100にスラッジ等の異物が滞留すると、フィルタ差圧が上昇し得る。この場合、第1ドレン油路65のうちフィルタ100よりも上流側の部分の圧力が上昇し、油漏れを引き起こすことが懸念される。フィルタ差圧が上昇した場合には、フィルタバイパスライン101を通って作動油を貯油部油路70に流すことができるが、フィルタ100を通らずに作動油が貯油部油路70に流れるため、作動油から異物を除去することができない。このため、油圧駆動部50や油圧回路部60に、異物が混在した作動油が流れ、構成機器の動作不良を引き起こす懸念がある。
【0113】
これに対して本実施の形態によれば、フィルタ差圧が規定値以上である場合に、蒸気タービン弁31の開度制御に異常が発生したと判定することができる。このことにより、異常監視システム92の異常処理部95が、異常処理を行うことができ、警報を発することができる。警報を発した場合には、オペレータに、フィルタ差圧に異常が発生していることを知らせることができる。その後、オペレータによって、蒸気タービン3を安全に停止させることができる。この場合、フィルタ100のエレメントが交換されてもよい。また、異常処理部95が蒸気タービン3の停止指令を発する場合にも、蒸気タービン3を安全に停止させることもできる。
【0114】
(第4の実施の形態)
次に、図5を用いて、第4の実施の形態による蒸気タービン弁異常監視システム、蒸気タービン弁駆動装置、蒸気タービン弁装置および蒸気タービンプラントについて説明する。
【0115】
図5に示す第4の実施の形態においては、油室の目標圧力値と検出圧力値との偏差が規定値以上である場合に、蒸気タービン弁の開度制御に異常が発生したと判定する点が主に異なり、他の構成は、図1および図2に示す第1の実施の形態と略同一である。なお、図5において、図1および図2に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0116】
図5に示すように、本実施の形態においては、検出部93は、負荷側油室54aの圧力を検出する負荷側圧力検出器105aを含んでいてもよい。本実施の形態による検出部93は、蒸気タービン弁駆動装置40の状態の一例として、負荷側油室54aの圧力を検出するように構成されている。負荷側圧力検出器105aは、負荷側油路63aに設けられている。負荷側圧力検出器105aと異常監視システム92の判定部94は、油圧信号線L16aによって接続されている。このことにより、負荷側圧力検出器105aで検出された負荷側油路63aの検出圧力値は、検出信号として、油圧信号線L16aを介して異常監視システム92の判定部94に入力される。
【0117】
本実施の形態による判定部94は、制御装置90の制御部91で演算された負荷側油室54aの目標圧力値と、負荷側圧力検出器105aで検出された負荷側油室54aの検出圧力値との偏差に基づいて、蒸気タービン弁31の開度制御に異常が発生したか否かを判定するようにしてもよい。判定部94は、負荷側油室54aの目標圧力値と検出圧力値との偏差が規定値よりも小さい場合には、蒸気タービン弁31の開度制御に異常は発生していないと判定する。一方、判定部94は、負荷側油室54aの目標圧力値と検出圧力値との偏差が規定値以上である場合には、蒸気タービン弁31の開度制御に異常が発生していると判定する。なお、制御部91は、負荷側油室54aの目標圧力値と検出圧力値とに基づいて、フィードバック制御を行ってもよい。すなわち、制御部91は、目標圧力値と検出圧力値との偏差を考慮しながら、蒸気タービン弁31の開度が指令開度値となるように、サーボドライバ68へ出力する指令回転数を調整してもよい。
【0118】
判定部94が、蒸気タービン弁31の開度制御に異常が発生したと判定した場合には、第1の実施の形態と同様にして、異常処理部95により異常処理が行われる。
【0119】
例えば、双方向ポンプ61の油圧が故障等で低下した場合、負荷側油室54aの圧力が低下し、負荷側油室54aの目標圧力値と検出圧力値との偏差が増大し得る。また、サーボドライバ68に異常が生じた場合においても、同様に負荷側油室54aの目標圧力値と検出圧力値との偏差が増大し得る。このような場合には、蒸気タービン弁31の開度が低下し、蒸気タービン3に流入する蒸気量を調整することが困難になる。サーボモータ66の回転数を高めたとしても、目標圧力値と検出圧力値との偏差を小さくすることは困難になる。
【0120】
これに対して本実施の形態によれば、負荷側油室54aの目標圧力値と検出圧力値との偏差が規定値以上である場合に、蒸気タービン弁31の開度制御に異常が発生したと判定することができる。このことにより、異常監視システム92の異常処理部95が、異常処理を行うことができ、警報を発することができる。警報を発した場合には、オペレータに、負荷側油室54a内の作動油の圧力に異常が発生して、双方向ポンプ61やサーボドライバ68等の損傷が懸念されることを知らせることができる。その後、オペレータによって、蒸気タービン3を安全に停止させることができる。また、異常処理部95が蒸気タービン3の停止指令を発する場合にも、蒸気タービン3を安全に停止させることもできる。
【0121】
なお、負荷側油室54aの作動油の圧力と、蒸気タービン弁31の開度や蒸気タービン弁31内の蒸気圧力との相関関係を監視するようにしてもよい。この場合、蒸気タービン弁31や双方向ポンプ61、サーボモータ66の動作の健全性を評価することができる。例えば、蒸気タービン弁31の内部流路に酸化スケールが堆積している場合には、酸化スケールが蒸気タービン弁31の開閉動作の抵抗となって、開閉動作に支障を来す恐れがある。また、双方向ポンプ61やサーボモータ66の軸受部などに焼き付きが発生している場合も、蒸気タービン弁31の開閉動作に支障を来す恐れがある。このような場合には、蒸気タービン弁31の開度を調整する際に、負荷側油室54aの圧力が増大し得る。このため、負荷側油室54aの作動油の圧力を監視することにより、蒸気タービン弁駆動装置40の構成機器の健全性を確認することができる。
【0122】
検出部93は、反負荷側油室54bの圧力を検出する反負荷側圧力検出器105bを含んでいてもよい。本実施の形態による検出部93は、蒸気タービン弁駆動装置40の状態の一例として、反負荷側油室54bの圧力を検出するように構成されている。反負荷側圧力検出器105bは、反負荷側油路63bに設けられている。反負荷側圧力検出器105bと異常監視システム92の判定部94は、油圧信号線L16bによって接続されている。このことにより、反負荷側圧力検出器105bで検出された反負荷側油路63bの検出圧力値は、検出信号として、油圧信号線L16bを介して異常監視システム92の判定部94に入力される。
【0123】
判定部94は、制御装置90の制御部91で演算された反負荷側油室54bの目標圧力値と、反負荷側圧力検出器105bで検出された反負荷側油室54bの検出圧力値との偏差に基づいて、蒸気タービン弁31の開度制御に異常が発生したか否かを判定するようにしてもよい。判定部94は、反負荷側油室54bの目標圧力値と検出圧力値との偏差が規定値よりも小さい場合には、蒸気タービン弁31の開度制御に異常は発生していないと判定する。一方、判定部94は、反負荷側油室54bの目標圧力値と検出圧力値との偏差が規定値以上である場合には、蒸気タービン弁31の開度制御に異常が発生していると判定する。なお、制御部91は、反負荷側油室54bの目標圧力値と検出圧力値とに基づいて、フィードバック制御を行ってもよい。すなわち、制御部91は、目標圧力値と検出圧力値との偏差を考慮しながら、蒸気タービン弁31の開度が指令開度値となるように、サーボドライバ68へ出力する指令回転数を調整してもよい。
【0124】
判定部94が、蒸気タービン弁31の開度制御に異常が発生したと判定した場合には、第1の実施の形態と同様にして、異常処理部95により異常処理が行われる。
【0125】
例えば、双方向ポンプ61の油圧が故障等で低下した場合、反負荷側油室54bの圧力が低下し、反負荷側油室54bの目標圧力値と検出圧力値との偏差が増大し得る。また、サーボドライバ68に異常が生じた場合においても、同様に反負荷側油室54bの目標圧力値と検出圧力値との偏差が増大し得る。このような場合には、蒸気タービン弁31の開度が増大し、蒸気タービン3に流入する蒸気量を調整することが困難になる。サーボモータ66の回転数を高めたとしても、目標圧力値と検出圧力値との偏差を小さくすることは困難になる。
【0126】
これに対して本実施の形態によれば、反負荷側油室54bの目標圧力値と検出圧力値との偏差が規定値以上である場合に、蒸気タービン弁31の開度制御に異常が発生したと判定することができる。このことにより、異常監視システム92の異常処理部95が、異常処理を行うことができ、警報を発することができる。警報を発した場合には、オペレータに、反負荷側油室54b内の作動油の圧力に異常が発生して、双方向ポンプ61やサーボドライバ68等の損傷が懸念されることを知らせることができる。その後、オペレータによって、蒸気タービン3を安全に停止させることができる。また、異常処理部95が蒸気タービン3の停止指令を発する場合にも、蒸気タービン3を安全に停止させることもできる。
【0127】
なお、蒸気タービン弁異常監視システム92の検出部93が、負荷側圧力検出器105aと反負荷側圧力検出器105bの両方を含み、判定部94が、負荷側油室54aの圧力と反負荷側油室54bの圧力の両方に基づいて、蒸気タービン弁31の開度制御に異常が発生しているか否かを判定するようにしてもよい。
【0128】
また、反負荷側油室54bの作動油の圧力と、蒸気タービン弁31の開度や蒸気タービン弁31内の蒸気圧力との相関関係を監視するようにしてもよい。この場合、蒸気タービン弁31や双方向ポンプ61、サーボモータ66の動作の健全性を評価することができる。例えば、蒸気タービン弁31の内部流路に酸化スケールが堆積している場合には、酸化スケールが蒸気タービン弁31の開閉動作の抵抗となって、開閉動作に支障を来す恐れがある。また、双方向ポンプ61やサーボモータ66の軸受部などに焼き付きが発生している場合も、蒸気タービン弁31の開閉動作に支障を来す恐れがある。このような場合には、蒸気タービン弁31の開度を調整する際に、反負荷側油室54bの圧力が増大し得る。このため、反負荷側油室54bの作動油の圧力を監視することにより、蒸気タービン弁駆動装置40の構成機器の健全性を確認することができる。
【0129】
(第5の実施の形態)
次に、図6を用いて、第5の実施の形態による蒸気タービン弁異常監視システム、蒸気タービン弁駆動装置、蒸気タービン弁装置および蒸気タービンプラントについて説明する。
【0130】
図6に示す第5の実施の形態においては、双方向ポンプから漏洩した作動油の検出温度値が規定値以上である場合に、蒸気タービン弁の開度制御に異常が発生したと判定する点が主に異なり、他の構成は、図1および図2に示す第1の実施の形態と略同一である。なお、図6において、図1および図2に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0131】
図6に示すように、本実施の形態においては、検出部93は、双方向ポンプ61から漏洩した作動油の温度を検出するドレン油温度検出器106を含んでいる。本実施の形態による検出部93は、蒸気タービン弁駆動装置40の状態の一例として、双方向ポンプ61から漏洩した作動油の温度を検出するように構成されている。ドレン油温度検出器106は、第1ドレン油路65に設けられており、第1ドレン油路65内の作動油の温度を検出する。ドレン油温度検出器106と異常監視システム92の判定部94は、ドレン油温度信号線L17によって接続されている。このことにより、ドレン油温度検出器106で検出されたドレン油の検出温度値は、検出信号として、ドレン油温度信号線L17を介して異常監視システム92の判定部94に入力される。
【0132】
本実施の形態による判定部94は、ドレン油温度検出器106で検出された作動油の検出温度値に基づいて、蒸気タービン弁31の開度制御に異常が発生したか否かを判定する。判定部94は、検出温度値が規定値よりも小さい場合には、蒸気タービン弁31の開度制御に異常は発生していないと判定する。一方、検出温度値が規定値以上である場合には、蒸気タービン弁31の開度制御に異常が発生したと判定する。
【0133】
判定部94が、蒸気タービン弁31の開度制御に異常が発生したと判定した場合には、第1の実施の形態と同様にして、異常処理部95により異常処理が行われる。
【0134】
一般に、双方向ポンプ61から漏洩する作動油は、数MPa程度まで昇圧されていた状態から大気圧程度まで降圧されて流入した作動油である。このため、第1ドレン油路65に流入した作動油の温度は急激に上昇する。例えば、蒸気タービン弁31が全開または全閉されている場合には、双方向ポンプ61内の作動油の圧力が高まるため、この作動油の温度上昇は顕著になる。このような作動油の温度上昇は、双方向ポンプ61自体の温度を上昇させ、双方向ポンプ61内のシール材(図示せず)の破損を引き起こし得る。このため、双方向ポンプ61などの構成機器を保護する観点から、第1ドレン油路65内の作動油の温度を監視することが望ましい。
【0135】
これに対して本実施の形態によれば、第1ドレン油路65内の作動油の検出温度値が規定値以上である場合に、蒸気タービン弁31の開度制御に異常が発生したと判定することができる。このことにより、異常監視システム92の異常処理部95が、異常処理を行うことができ、警報を発することができる。警報を発した場合には、オペレータに、ドレン油の温度が低下するという異常が発生して、双方向ポンプ61の損傷が懸念されることを知らせることができる。その後、オペレータによって、蒸気タービン3を安全に停止させることができる。また、異常処理部95が蒸気タービン3の停止指令を発する場合にも、蒸気タービン3を安全に停止させることもできる。
【0136】
(第6の実施の形態)
次に、図7を用いて、第6の実施の形態による蒸気タービン弁異常監視システム、蒸気タービン弁駆動装置、蒸気タービン弁装置および蒸気タービンプラントについて説明する。
【0137】
図7に示す第6の実施の形態においては、貯油部内の作動油の検出温度値が規定値以下である場合に、蒸気タービン弁の開度制御に異常が発生したと判定する点が主に異なり、他の構成は、図1および図2に示す第1の実施の形態と略同一である。なお、図7において、図1および図2に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0138】
図7に示すように、本実施の形態においては、検出部93は、貯油部64内の作動油の温度を検出する貯油温度検出器107を含んでいる。本実施の形態による検出部93は、蒸気タービン弁駆動装置40の状態の一例として、貯油部64内の作動油の温度を検出するように構成されている。貯油温度検出器107は、貯油部64に設けられている。貯油温度検出器107と異常監視システム92の判定部94は、貯油温度信号線L18によって接続されている。このことにより、貯油温度検出器107で検出された作動油の検出温度値は、検出信号として、貯油温度信号線L18を介して異常監視システム92の判定部94に入力される。
【0139】
本実施の形態による判定部94は、貯油温度検出器107で検出された作動油の検出温度値に基づいて、蒸気タービン弁31の開度制御に異常が発生したか否かを判定する。判定部94は、検出温度値が規定値よりも大きい場合には、蒸気タービン弁31の開度制御に異常は発生していないと判定する。一方、検出温度値が規定値以下である場合には、蒸気タービン弁31の開度制御に異常が発生したと判定する。
【0140】
判定部94が、蒸気タービン弁31の開度制御に異常が発生したと判定した場合には、第1の実施の形態と同様にして、異常処理部95により異常処理が行われる。
【0141】
例えば、本実施の形態による蒸気タービン弁駆動装置40が寒冷地で用いられる場合、作動油の温度が低くなり、作動油の粘度が高くなる。この場合、サーボモータ66の起動時に過電流が流れ、サーボモータ66が破損することが懸念される。また、過電流からサーボモータ66を保護するために、サーボドライバ68がOFF状態になり得る。
【0142】
これに対して本実施の形態によれば、貯油部64内の作動油の検出温度値が規定値以下である場合に、蒸気タービン弁31の開度制御に異常が発生したと判定することができる。このことにより、異常監視システム92の異常処理部95が、異常処理を行うことができ、警報を発することができる。警報を発した場合には、オペレータに、作動油の温度が低下するという異常が発生して、双方向ポンプ61を起動できない状態であることを知らせることができる。その後、オペレータによって、蒸気タービン3を安全に停止させることができる。また、異常処理部95が蒸気タービン3の停止指令を発する場合にも、蒸気タービン3を安全に停止させることもできる。
【0143】
なお、貯油部64内の作動油の温度が規定値以下である場合には、サーボモータ66の起動を禁止するようにしてもよい。この場合、作動油の粘度が低い状態でサーボモータ66が起動されることを防止でき、サーボモータ66に過電流が流れることを防止できる。
【0144】
また、貯油部64内に作動油を加熱するヒータ(図示せず)が設けられていてもよい。この場合、ヒータは、貯油温度検出器107で検出された作動油の検出温度値に基づいてフィードバック制御されてもよい。例えば、検出温度値が低い場合にヒータをONにし、検出温度値が高い場合に、ヒータをOFFにしてもよい。この場合においても、作動油の粘度が低下することを防止でき、起動時にサーボモータ66に過電流が流れることを防止できる。
【0145】
(第7の実施の形態)
次に、図8を用いて、第7の実施の形態による蒸気タービン弁異常監視システム、蒸気タービン弁駆動装置、蒸気タービン弁装置および蒸気タービンプラントについて説明する。
【0146】
図8に示す第7の実施の形態においては、貯油部内の作動油の検出圧力値が規定値以下である場合に、蒸気タービン弁の開度制御に異常が発生したと判定する点が主に異なり、他の構成は、図1および図2に示す第1の実施の形態と略同一である。なお、図8において、図1および図2に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0147】
図8に示すように、本実施の形態においては、検出部93は、貯油部64内の作動油の圧力を検出する貯油圧力検出器108を含んでいる。本実施の形態による検出部93は、蒸気タービン弁駆動装置40の状態の一例として、貯油部64内の作動油の圧力を検出するように構成されている。貯油圧力検出器108は、貯油部64に設けられている。貯油圧力検出器108と異常監視システム92の判定部94は、貯油圧力信号線L19によって接続されている。このことにより、貯油圧力検出器108で検出された作動油の検出圧力値は、検出信号として、貯油圧力信号線L19を介して異常監視システム92の判定部94に入力される。
【0148】
本実施の形態による判定部94は、貯油圧力検出器108で検出された作動油の検出圧力値に基づいて、蒸気タービン弁31の開度制御に異常が発生したか否かを判定する。判定部94は、検出圧力値が規定値よりも大きい場合には、蒸気タービン弁31の開度制御に異常は発生していないと判定する。一方、検出温度値が規定値以下である場合には、蒸気タービン弁31の開度制御に異常が発生したと判定する。
【0149】
判定部94が、蒸気タービン弁31の開度制御に異常が発生したと判定した場合には、第1の実施の形態と同様にして、異常処理部95により異常処理が行われる。
【0150】
一般に、本実施の形態による蒸気タービン弁駆動装置40は、上述したように、集約型油圧発生装置よりも作動油の使用量を低減することができる。このため、少量であっても、作動油の漏洩は防止できることが望ましい。
【0151】
これに対して本実施の形態によれば、貯油部64内の作動油の検出圧力値が規定値以下である場合に、蒸気タービン弁31の開度制御に異常が発生したと判定することができる。このことにより、異常監視システム92の異常処理部95が、異常処理を行うことができ、警報を発することができる。警報を発した場合には、オペレータに、貯油部64内の作動油の圧力が低下しているという異常が発生して、作動油の漏洩が懸念されることを知らせることができる。その後、オペレータによって、蒸気タービン3を安全に停止させることができる。また、異常処理部95が蒸気タービン3の停止指令を発する場合にも、蒸気タービン3を安全に停止させることもできる。
【0152】
例えば、貯油部64がアキュムレータで構成されている場合には、貯油部64内の作動油の圧力の低下は、貯油部64内の作動油の貯蔵量の低下を意味する。このことにより、貯油部64内の作動油の圧力の監視によって、貯油部64内の作動油の漏洩を監視することができる。このため、貯油部64内の作動油の漏洩を防止することができ、貯油部64内の作動油の油量の低減を防止できる。また、貯油部64がアキュムレータで構成されている場合には、貯油部64内の作動油の圧力を監視することによって、貯油部64内のエアの漏洩を監視することもできる。
【0153】
(第8の実施の形態)
次に、図9を用いて、第8の実施の形態による蒸気タービン弁異常監視システム、蒸気タービン弁駆動装置、蒸気タービン弁装置および蒸気タービンプラントについて説明する。
【0154】
図9に示す第8の実施の形態においては、サーボモータの検出温度値が規定値以上である場合に、蒸気タービン弁の開度制御に異常が発生したと判定する点が主に異なり、他の構成は、図1および図2に示す第1の実施の形態と略同一である。なお、図9において、図1および図2に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0155】
図9に示すように、本実施の形態による蒸気タービン弁駆動装置40においては、検出部93は、サーボモータ66の温度を検出するモータ温度検出器109を含んでいる。本実施の形態による検出部93は、蒸気タービン弁駆動装置40の状態の一例として、サーボモータ66の温度を検出するように構成されている。モータ温度検出器109は、サーボモータ66に組み込まれていてもよい。モータ温度検出器109と異常監視システム92の判定部94は、モータ温度信号線L20によって接続されている。このことにより、モータ温度検出器109で検出されたサーボモータ66の検出温度値は、検出信号として、モータ温度信号線L20を介して異常監視システム92の判定部94に入力される。
【0156】
本実施の形態による判定部94は、モータ温度検出器109で検出されたサーボモータ66の検出温度値に基づいて、蒸気タービン弁31の開度制御に異常が発生したか否かを判定する。判定部94は、検出温度値が規定値よりも小さい場合には、蒸気タービン弁31の開度制御に異常は発生していないと判定する。一方、検出温度値が規定値以上である場合には、蒸気タービン弁31の開度制御に異常が発生したと判定する。
【0157】
判定部94が、蒸気タービン弁31の開度制御に異常が発生したと判定した場合には、第1の実施の形態と同様にして、異常処理部95により異常処理が行われる。
【0158】
一般に、蒸気タービン弁31の開閉動作を繰り返したり、油室内の作動油の圧力を高めるようにフィードバック制御したりする場合には、サーボモータ66に流れる電流が大きくなる。このことにより、サーボモータ66の発熱量が増大する。サーボモータ66の温度上昇は、モータ巻線の破損や、双方向ポンプ61のシール材の破損などを引き起こすと考えられる。
【0159】
これに対して本実施の形態によれば、サーボモータ66の検出温度値が規定値以上である場合に、蒸気タービン弁31の開度制御に異常が発生したと判定することができる。このことにより、異常監視システム92の異常処理部95が、異常処理を行うことができ、警報を発することができる。警報を発した場合には、オペレータに、サーボモータ66の温度が上昇しているという異常が発生して、サーボモータ66や双方向ポンプ61等の損傷が懸念されることを知らせることができる。その後、オペレータによって、蒸気タービン3を安全に停止させることができる。また、異常処理部95が蒸気タービン3の停止指令を発する場合にも、蒸気タービン3を安全に停止させることもできる。
【0160】
例えば、本実施の形態による蒸気タービン弁駆動装置40が比較的温度が高い地域で用いられる場合、サーボモータ66の温度が高くなり得る。本実施の形態のようにサーボモータ66の検出温度値が規定値以上に上昇した場合に警報を発するなどの異常処理を行うことにより、比較的温度が高い地域においても、サーボモータ66や双方向ポンプ61等の破損を効果的に防止することができる。
【0161】
なお、以上述べた各実施の形態による蒸気タービン弁異常監視システム92は、複合されていてもよい。この場合、蒸気タービン弁駆動装置40の複数の状態に基づいて、蒸気タービン弁31の開度制御に異常が発生したか否かを判定することができる。
【0162】
以上述べた各実施の形態によれば、異常が発生した場合の信頼性を向上させることができる。
【0163】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。また、当然のことながら、本発明の要旨の範囲内で、これらの実施の形態を、部分的に適宜組み合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0164】
1:蒸気タービンプラント、2:ボイラー、3:蒸気タービン、4:復水器、30:蒸気タービン弁装置、31:蒸気タービン弁、40:蒸気タービン弁駆動装置、51:シリンダ、52:操作ロッド、53:ピストン、54a:負荷側油室、54b:反負荷側油室、55:開度検出器、61:双方向ポンプ、64:貯油部、65:第1ドレン油路、66:サーボモータ、68:サーボドライバ、76:急閉用電磁弁、91:制御部、92:異常監視システム、93:検出部、94:判定部、95:異常処理部、100:フィルタ、103:フィルタ差圧検出器、105a:負荷側圧力検出器、105b:反負荷側圧力検出器、106:ドレン油温度検出器、107:貯油温度検出器、108:貯油圧力検出器、109:モータ温度検出器、
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9