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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-22
(45)【発行日】2024-01-05
(54)【発明の名称】判定装置、判定方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/04 20120101AFI20231225BHJP
   G06Q 50/10 20120101ALI20231225BHJP
【FI】
G06Q50/04
G06Q50/10
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020122362
(22)【出願日】2020-07-16
(65)【公開番号】P2022018916
(43)【公開日】2022-01-27
【審査請求日】2022-03-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】301063496
【氏名又は名称】東芝デジタルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】石井 賢
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 潤
(72)【発明者】
【氏名】竹之内 宏樹
(72)【発明者】
【氏名】小林 仁志
(72)【発明者】
【氏名】日下部 峻
(72)【発明者】
【氏名】秋本 悠斗
【審査官】樋口 龍弥
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-185224(JP,A)
【文献】国際公開第2018/138803(WO,A1)
【文献】特開2015-011107(JP,A)
【文献】特開2019-021253(JP,A)
【文献】伊藤 敏彦,現場を巻き込み成果を上げるIT活用の着眼点,工場管理 ,日本,日刊工業新聞社,2008年07月01日,第54巻 第9号,第46-51ページ
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
工場の監視対象領域内の各エリアにおける人の密集を判定する判定装置であって、
前記監視対象領域内の各人が装着するセンサの位置を表す位置情報を、時間情報とともに、対応する人の識別情報に関連付けて記憶する第1のデータベースと、
前記第1のデータベースに、前記人の識別情報に関連付けて記憶された位置情報および時間情報から、前記各エリア毎に、滞在した人と、前記滞在した人毎の、滞在した時間帯とを取得する滞在情報取得部と、
前記滞在情報取得部によって取得された結果に基づいて、予め定めた連続時間長さ以上、複数の人が滞在していたエリアを、密集が多いエリアであると判定する第1の判定部と
前記各エリア毎に、予め定めた近接距離以内に互いに近接して滞在している人と、前記近接距離以内に互いに近接して滞在している各人が、前記近接距離以内に、連続して滞在した時間帯とを判定する第2の判定部とを備えた、判定装置。
【請求項2】
前記第2の判定部はさらに、前記時間帯に対応する時間長さが、前記予め定めた連続時間長さ以上である場合、前記近接距離以内に互いに近接して滞在している各人が、互いに密接していると判定する、請求項に記載の判定装置。
【請求項3】
前記各エリア毎に、前記第2の判定部によって、前記近接距離以内に互いに近接して滞在していると判定された各人の識別情報と、前記判定された各人について判定された、前記近接距離以内に連続して滞在した時間帯および位置に対応する時間情報および位置情報とを関連付けて記憶する第2のデータベースをさらに備えた、請求項に記載の判定装置。
【請求項4】
前記第2のデータベースに記憶された情報に基づいて、前記エリア毎に、前記近接距離以内に互いに近接して滞在していると判定された各人が、前記近接距離以内に連続して滞在した時間長さの合計値が明示された画面を表示させる表示制御部をさらに備えた、請求項に記載の判定装置。
【請求項5】
前記表示制御部は、前記画面において、前記合計値の内訳を、人別に区別して表示させる、請求項に記載の判定装置。
【請求項6】
前記表示制御部は、前記画面において、前記合計値の内訳をさらに、時間帯別に区別して表示させる、請求項に記載の判定装置。
【請求項7】
前記第2のデータベースに記憶された情報に基づいて、前記エリア毎に、前記近接距離以内に互いに近接して滞在していると判定された各人が、時間帯別に区別された画面を表示させる表示制御部をさらに備えた、請求項に記載の判定装置。
【請求項8】
前記第2の判定部によって、密接が多いと判定されたエリアについて、前記近接距離以内に互いに近接して滞在していると判定された各人が、近接していた時間長さとともに明示された画面を表示させる表示制御部をさらに備えた、請求項に記載の判定装置。
【請求項9】
前記第2のデータベースに記憶された情報に基づいて、前記エリア毎に、前記近接距離以内に互いに近接して滞在していると判定された人の数の変化履歴が明示された画面を表示させる表示制御部をさらに備えた、請求項に記載の判定装置。
【請求項10】
工場の監視対象領域内の各エリアにおける人の密集を判定する判定装置によって実施される判定方法であって、
前記判定装置は、
前記監視対象領域内の各人が装着するセンサの位置を表す位置情報を、時間情報とともに、対応する人の識別情報に関連付けて第1のデータベースに記憶し、
前記第1のデータベースに、前記人の識別情報に関連付けて記憶された位置情報および時間情報から、前記各エリア毎に、滞在した人と、前記滞在した人毎の、滞在した時間帯とを取得し、
前記取得された結果に基づいて、予め定めた連続時間長さ以上、複数の人が滞在していたエリアを、密集が多いエリアであると判定し、
前記各エリア毎に、予め定めた近接距離以内に互いに近接して滞在している人と、前記近接距離以内に互いに近接して滞在している各人が、前記近接距離以内に、連続して滞在した時間帯とを判定する、判定方法。
【請求項11】
工場の監視対象領域内の各エリアにおける人の密集を判定するためのプログラムであって、
前記監視対象領域内の各人が装着するセンサの位置を表す位置情報を、時間情報とともに、対応する人の識別情報に関連付けて第1のデータベースに記憶する機能、
前記第1のデータベースに、前記人の識別情報に関連付けて記憶された位置情報および時間情報から、前記各エリア毎に、滞在した人と、前記滞在した人毎の、滞在した時間帯とを取得する機能、
前記取得された結果に基づいて、予め定めた連続時間長さ以上、複数の人が滞在していたエリアを、密集が多いエリアであると判定する機能、
前記各エリア毎に、予め定めた近接距離以内に互いに近接して滞在している人と、前記近接距離以内に互いに近接して滞在している各人が、前記近接距離以内に、連続して滞在した時間帯とを判定する機能をコンピュータに実現させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、工場等の監視対象領域内の各エリアにおける、作業者等の人の密集を判定する判定装置、判定方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
工場のように敷地面積が限られた施設において、高い生産効率を実現するために、レイアウトや動線の最適化が不可欠である。
【0003】
不適切なレイアウトは、効率的な作業の実現を阻害する要因となる。また、不適切な動線は、作業員の不必要な密集や密接をもたらし、作業効率の低下をもたらす恐れもある。
【0004】
さらには、作業員の不必要な密集や密接は、新型コロナウィルス等の感染防止の観点からも、望ましくない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第4218669号公報
【文献】特許第5198981号公報
【文献】特許第5107206号公報
【文献】特許第6520029号公報
【文献】特許第6385613号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、工場等の監視対象領域内の各エリアにおける、作業者等の人の密集を判定する判定装置、判定方法、およびプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の判定装置は、工場の監視対象領域内の各エリアにおける人の密集を判定する判定装置であって、第1のデータベースと、滞在情報取得部と、第1の判定部と、第2の判定部とを備えている。第1のデータベースは、前記監視対象領域内の各人が装着するセンサの位置を表す位置情報を、時間情報とともに、対応する人の識別情報に関連付けて記憶する。滞在情報取得部は、前記第1のデータベースに、前記人の識別情報に関連付けて記憶された位置情報および時間情報から、前記各エリア毎に、滞在した人と、前記滞在した人毎の、滞在した時間帯とを取得する。第1の判定部は、前記滞在情報取得部によって取得された結果に基づいて、予め定めた連続時間長さ以上、複数の人が滞在していたエリアを、密集が多いエリアであると判定する。第2の判定部は、前記各エリア毎に、予め定めた近接距離以内に互いに近接して滞在している人と、前記近接距離以内に互いに近接して滞在している各人が、前記近接距離以内に、連続して滞在した時間帯とを判定する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本発明の実施形態の判定方法が適用された判定装置の電子回路構成例を示すブロック図である。
図2図2は、判定装置の他の装置との接続関係の一例を示す概念図である。
図3図3は、2人の作業者間の近接距離を、三角関数を用いて算出する方法を示す例である。
図4図4は、密接時間の合計値が、エリア毎に表示された画面の一例を示す、工場内のレイアウトを示す平面図である。
図5図5は、密接時間の合計値が、エリア毎に表示された画面の別の例を示す図である。
図6図6は、密接時間の合計値の内訳を、作業者毎に区別して、エリア毎に表示された画面の例を示す図である。
図7図7は、密接時間の合計値の内訳を、作業者毎に区別して、エリア毎に表示された画面の別の例を示す図である。
図8図8は、図6および図7に示される密接時間の合計値の内訳を、作業者別に、かつ時間帯別に区別して表示する画面の一例を示すテーブルである。
図9図9は、エリア毎に、密接していると判定された各作業者を、密接時間とともに明示した画面の例を示すテーブルである。
図10図10は、密接していると判定された各作業者を、密接時間とともに明示した画面の例を示すテーブルである。
図11図11は、あるエリアにおいて、密接していると判定された人の数の変化履歴が明示された画面の一例を示す図である。
図12図12は、本発明の実施形態の判定方法が適用された判定装置の動作例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
【0010】
本発明の実施形態の判定方法が適用された判定装置について説明する。
【0011】
図1は、本発明の実施形態の判定方法が適用された判定装置の電子回路構成例を示すブロック図である。
【0012】
判定装置10は、監視対象領域内における人の密集や密接を判定する装置である。
【0013】
本発明の実施形態では、限定される訳ではないが、監視対象領域が工場であり、人が工場の作業員である例を説明する。
【0014】
判定装置10の電子回路は、図1に示すように、バス11によって互いに接続されたCPU12、記録媒体読取部14、通信部15、表示部16(例えば、ディスプレイ)、メモリ20、および記憶装置30を備えている。
【0015】
メモリ20は、判定装置10を実現するプログラムとして、処理モジュール21、滞在情報取得モジュール22、密集判定モジュール23、密接判定モジュール24、および表示制御モジュール25を記憶している。
【0016】
これらプログラムモジュール21~25は、メモリ20に予め記憶されていてもよいし、あるいはメモリカード等の外部記録媒体13から記録媒体読取部14を介してメモリ20に読み込まれて記憶されたものであってもよい。これらプログラムモジュール21~25は、書き換えできないようになっている。
【0017】
メモリ20には、このようなユーザ書き換え不可能なメモリエリアの他に、書き換え可能なデータを記憶するメモリエリアとして、書込可能データエリア29が確保されている。
【0018】
CPU12は、各プログラムモジュール21~25を実行可能な1つまたは複数のプロセッサの一例であって、各プログラムモジュール21~25に従い回路各部の動作を制御する。
【0019】
図2は、判定装置の他の装置との接続関係の一例を示す概念図である。
【0020】
各作業者100には、固有のセンサIDが付与された位置センサ110が取り付けられている。
【0021】
位置センサ110は、GPS機能やWiFi機能、あるいはビーコン125を介して、作業者100の位置を測定し、測定した位置情報を、センサIDとともに、通信ネットワーク70を介して判定装置10に送信する。
【0022】
また、各作業者100には、上記のような位置センサ110の代わりに、あるいは位置センサ110に加えて、カメラ等の映像センサ115が取り付けられていてもよい。映像センサ115にも同様に、固有のセンサIDが付与されている。
【0023】
映像センサ115は、各作業者100の視線上の映像を撮像し、撮像した映像情報を、センサIDとともに、通信ネットワーク70を介して判定装置10に送信する。
【0024】
記憶装置30は、作業者データベース31、位置情報データベース32、および密集密接判定情報データベースを備えている。
【0025】
作業者データベース31は、各作業者100の作業者ID(例えば、社員番号等)を記憶している。また、各作業者100に取り付けられている位置センサ110や映像センサ115のセンサIDも、対応する作業者100の作業者IDに関連付けて記憶している。
【0026】
位置情報データベース32は、工場内の各作業者100の位置情報を、時間情報とともに、作業者100の作業者IDに関連付けて記憶するためのデータベースである。
【0027】
密集密接判定情報データベースは、密集判定モジュール23および密接判定モジュール24による判定結果に関連する情報を記憶するためのデータベースである。
【0028】
これらデータベース31~33を記憶する記憶装置30は、例えばSSD(Solid State Drive)やHDD(Hard Disk Drive)等からなる。
【0029】
通信部15は、通信ネットワーク70に接続されており、通信ネットワーク70を介して、位置センサ110から送信される位置情報や、映像センサ115から送信される映像情報を、センサIDとともに受信し、受信した位置情報あるいは映像情報を、センサIDとともに処理モジュール21へ出力する。
【0030】
図2では、一例として、位置センサ110(および/または、映像センサ115)からの位置情報(および/または、映像情報)が、通信ネットワーク70を経由して、ゲートウェイによって実現される通信部15によって受信される例が示されている。
【0031】
通信部15はまた、表示制御モジュール25によって表示部16から表示される監視結果等を、外部端末130から表示させるために、監視結果等の表示に必要なデータを、図2に示すように、通信ネットワーク70を介して外部端末130へ出力することもできる。
【0032】
処理モジュール21は、通信部15から位置情報およびセンサIDが出力されると、作業者データベース31から、センサIDに関連付けられている作業者IDを取得し、作業者IDを、位置情報およびセンサIDとともに、位置情報データベース32へ出力する。
【0033】
また、処理モジュール21は、通信部15から映像情報およびセンサIDが出力されると、作業者データベース31から、センサIDに関連付けられている作業者IDを取得することに加えて、映像情報から位置情報を、例えばAIにより取得する。そして、同様に、作業者IDを、位置情報およびセンサIDとともに、位置情報データベース32へ出力する。
【0034】
位置情報データベース32は、処理モジュール21から出力された位置情報を、時間情報、作業者ID、およびセンサIDに関連付けて記憶する。位置情報は、例えば、Bluetooth(登録商標)ビーコンを用いた三点測位などの手法で求められる座標の形式で表すことができる。位置情報データベース32は、時間情報として、判定装置10の内部時計(図示せず)によって計時された時間情報や、判定装置10が接続している外部システムの時計(計時手段)と同期された時間情報を使うことができる。
【0035】
滞在情報取得モジュール22は、位置情報データベース32から、作業者IDに関連付けられて記憶された位置情報、および時間情報に基づいて、工場内の各エリア毎に、滞在した作業者100と、滞在した作業者100毎の、滞在した時間帯とを取得する。
【0036】
密集判定モジュール23は、滞在情報取得モジュール22によって取得された結果に基づいて、予め定めた連続時間長さ(例えば、15分)以上、複数の人が滞在していたエリアを、密集が多いエリア(以下、「密集エリア」とも称する)であると判定する。
【0037】
密接判定モジュール24は、位置情報データベース32に、作業者IDに関連付けて記憶された位置情報および時間情報に基づいて、各エリア毎に、予め定めた近接距離(例えば、1m)以内に近接して滞在している複数の作業者100と、これら各作業者100が、近接距離以内に、連続して滞在した時間帯とを判定する。
【0038】
密接判定モジュール24はさらに、判定された時間帯に対応する時間長さが、予め定めた連続時間長さ(例えば、15分)以上である場合、これら各作業者100を、互いに密接していると判定する。
【0039】
このため、密接判定モジュール24は、各エリアに同時に滞在していた複数の作業者100について、位置情報データベース32に記憶された位置情報および時間情報に基づいて、同一時間における互いの近接距離を算出する。
【0040】
2人の作業者間の近接距離は、例えば三角関数を用いて算出することができる。
【0041】
図3は、2人の作業者間の近接距離を、三角関数を用いて算出する方法を示す例である。
【0042】
作業者100Aおよび作業者100Cには、腕時計タイプの位置センサ110が装着されている。
【0043】
位置情報データベース32には、ある時間における作業者100Aの位置Aの位置情報として(x、y)が記憶され、作業者100Cの位置Cの位置情報として(x、y)が記憶されている。
【0044】
このような場合、密接判定モジュール24は、作業者100Aの位置Aと、作業者100Cの位置Cとの間の距離を、以下の式から算出する。
((x-x+(y-y(1/2)
なお、上記式では、作業者100A、100Cの身長は同程度であると仮定して、x、y座標からなる2次元で取り扱っているが、3次元を考慮した場合は、x、y、z座標からなる3次元に拡張し、同様の数学的取扱をすることによって対応可能である。また、位置Aと位置Cとの間の距離は近いことから、地球の弧を考慮した較正は不要である。
【0045】
密接判定モジュール24は、上記のようにして、同一時間における作業者間の距離を算出できるので、例えば15分以上連続して、1m以内に近接していた、すなわち、密接条件を満たす作業者100(例えば、作業者100Aと作業者100C)を判定することができる。
【0046】
密接判定モジュール24は、各エリア毎に、密接条件を満たすと判定された各作業者100(例えば、作業者100Aと作業者100C)の作業者IDと、これら作業者100(例えば、作業者100Aと作業者100C)について判定された、近接距離以内に連続して滞在した時間帯および位置に対応する時間情報および位置情報とを関連付けて、密集密接判定情報データベースに記憶させる。
【0047】
表示制御モジュール25は、密接判定情報データベース33に記憶された情報に基づいて、各エリアが表示された工場のマップ上に、エリア毎に、密接条件を満たすと判定された各作業者100が、近接距離以内に連続して滞在した時間長さの合計値が明示された画面を、表示部16、あるいは、通信ネットワーク70を介して外部端末130の表示画面から表示させる。図4および図5に、その一例を示す。
【0048】
図4は、密接時間の合計値が、エリア毎に表示された画面の一例を示す、工場内のレイアウトを示す平面図である。
【0049】
図4では、密接時間の合計値がゼロ以上であるエリアは、ハッチングで示されている。また、ハッチングで示されているエリアには、合計値が「分」単位の数字で表示されている。特に、両側ハッチングで示されるエリアは、合計値を2つのグループに分割した場合、合計値が大きいグループに属するエリアであり、片側ハッチングで示されるエリアは、合計値が小さいグループに属するエリアである。なお、丸印内に示される「15」は、エリアを識別するエリアIDである。
【0050】
図5は、密接時間の合計値が、エリア毎に表示された画面の別の例を示す図である。
【0051】
図5において、横軸はエリアを示し、縦軸は密接時間(分)を示す。例えば、図中丸印に示すように、エリア「15」では、密接時間が合計して42(分)となっており、密接時間が15分以上連続していることが分かる。
【0052】
表示制御モジュール25はまた、図5に例示するような画面において、密接時間の内訳を、作業者別に区別して、表示部16、あるいは、通信ネットワーク70を介して外部端末130の表示画面から表示させることもできる。図6および図7に、その一例を示す。
【0053】
図6は、密接時間の合計値の内訳を、作業者毎に区別して、エリア毎に表示された画面の例を示す図である。
【0054】
図7は、密接時間の合計値の内訳を、作業者毎に区別して、エリア毎に表示された画面の別の例を示す図である。
【0055】
図6および図7において、横軸はエリアを示し、縦軸は密接時間(分)を示す。
【0056】
表示制御モジュール25はさらに、図6および図7に例示するような画面において、密接時間の合計値の内訳をさらに、時間帯別に区別して、表示部16、あるいは、通信ネットワーク70を介して外部端末130の表示画面から表示させることもできる。図8に、その一例を示す。
【0057】
図8は、図6および図7に示される密接時間の合計値の内訳を、作業者別に、かつ時間帯別に区別して表示する画面の一例を示すテーブルである。
【0058】
図8において縦軸はエリアを示し、横軸は1段目に時間帯を、2段目に作業者を示している。
【0059】
図8内に示される数値は、エリア別および時間帯別に区別して表示された、各作業者の分単位での密接時間である。
【0060】
なお、図6および図7に示される密接時間の合計値の内訳を、作業者別に、かつ時間帯別に区別して表示する場合、図8のようにテーブル形式で示すのはあくまで一例であり、グラフ形式で表示してもよい。
【0061】
表示制御モジュール25はさらに、密集密接判定情報データベースに記憶された情報に基づいて、エリア毎に、近接距離以内に互いに近接して滞在していると判定された各作業者100が、密接時間とともに明示された画面を、表示部16、あるいは、通信ネットワーク70を介して外部端末130の表示画面から表示させることもできる。図9に、その一例を示す。
【0062】
図9は、エリア毎に、密接して滞在していると判定された各作業者100を、密接時間とともに明示した画面の例を示すテーブルである。
【0063】
図9において縦軸は密接時間(分)を示し、横軸は1段目にエリアを、2段目に作業者を示している。
【0064】
図9内に示される数値「1」は、横軸に示されるエリアにおいて、縦軸に示される時間滞在していた作業者100を示している。
【0065】
なお、エリア毎に、近接距離以内に互いに近接して滞在している、すなわち、密接していると判定された各作業者100を、密接時間とともに明示する場合、図9に示すようなテーブル形式で示すのはあくまで一例であり、グラフ形式で表示してもよい。
【0066】
さらに表示制御モジュール25は、図9に示すような画面を、図10のように簡略化したな画面を、表示部16、あるいは、通信ネットワーク70を介して外部端末130の表示画面から表示させることもできる。その一例を図10に示す。
【0067】
図10は、密接していると判定された各作業者100を、密接時間長さとともに明示した画面の例を示すテーブルである。
【0068】
図10において縦軸は密接時間(分)を示し、横軸は作業者を示している。
【0069】
図10内に示される数値「1」は、縦軸に示される密接時間滞在していた作業者100を示しており、図10は、図9における横軸の1段目のエリアを無視して、作業者の表示のみにまとめることによって表示される。
【0070】
表示制御モジュール25はさらに、密集密接判定情報データベースに記憶された情報に基づいて、エリア毎に、密接していると判定された人の数の変化履歴が明示された画面を表示させることもできる。その一例を図11に示す。
【0071】
図11は、あるエリアにおいて、密接していると判定された人の数の変化履歴が明示された画面の一例を示す図である。
【0072】
図11において横軸は時間を示し、縦軸は滞在人数を示す。
【0073】
図11において、実線は、密接していると判定された人の数の変化を示す。図中丸印で示されるように、表示される実線の数が多いことによって、濃く表示される時間帯は、密接関係にある相手が頻繁に変化したことを示す。そして、縦軸方向に高くなるにしたがって、密接関係にある相手が増えていることを示す。したがって、縦軸方向により高く表示されることは、多くの作業者が密接していることを示し、濃く表示される面積が多いほど、作業者の出入りが頻繁であることが分かる。すなわち、密接が発生した時間帯および程度を視覚的に示すことができる。
【0074】
また、図11には、エリア選択ボタンEAも表示されており、ユーザは、エリア選択ボタンEAから所望のエリアを指定することにより、そのエリアについての変化履歴の表示に切り替えることもできる。
【0075】
密集密接判定情報データベースには、各エリア毎に、密接条件を満たすと判定された各作業者100の作業者IDと、これら各作業者100についての、密接して滞在していた時間帯および位置に対応する時間情報および位置情報が記憶されているので、表示制御モジュール25は、密集密接判定情報データベースに記憶された情報に基づいて、図4図11に例示されるような画面を表示させることが可能である。
【0076】
次に、以上のように構成した本発明の実施形態の判定方法が適用された判定装置の動作例について説明する。
【0077】
図12は、本発明の実施形態の判定方法が適用された判定装置の動作例を示すフローチャートである。
【0078】
各作業者100には、固有のセンサIDが付与された位置センサ110が取り付けられている。また、各作業者100には、位置センサ110の代わりに、あるいは、位置センサ110に加えて、カメラ等の映像センサ115が取り付けられていてもよい。
【0079】
位置センサ110によって測定された、作業者100の位置情報(位置センサ110によるセンシング情報)は、位置センサ110から、センサIDとともに判定装置10に送信される。映像センサ115によって撮像された映像情報(映像センサ115によるセンシング情報)もまた、映像センサ115から、センサIDとともに、通信ネットワーク70を介して判定装置10に送信される(S1)。
【0080】
位置センサ110から送信されたセンシング情報である位置情報およびセンサID、映像センサ115から送信されたセンシング情報である映像情報およびセンサIDは、判定装置10において通信部15によって受信され、通信部15によって、処理モジュール21へ出力される。
【0081】
処理モジュール21では、通信部15から位置情報およびセンサIDが出力されると、作業者データベース31から、センサIDに関連付けられている作業者IDが取得される。同様に、処理モジュール21では、通信部15から映像情報およびセンサIDが出力された場合も、作業者データベース31から、センサIDに関連付けられている作業者IDが取得される(S2)。
【0082】
さらに、処理モジュール21では、ステップS1で送信されたセンシング情報が位置情報であった場合(S3:Yes)には、ステップS2で取得された作業者IDが、位置情報およびセンサIDとともに、位置情報データベース32へ出力され、位置情報が、時間情報、作業者ID、およびセンサIDに関連付けられて、位置情報データベース32に記憶される(S5)。
【0083】
一方、処理モジュール21では、ステップS1で送信されたセンシング情報が映像情報であった場合(S3:No)には、例えばAIによって、映像情報から位置情報が取得される(S4)。その後、ステップS2で取得された作業者IDが、ステップS4で取得された位置情報およびセンサIDとともに、位置情報データベース32へ出力され、位置情報が、時間情報、作業者ID、およびセンサIDに関連付けられて、位置情報データベース32に記憶される(S5)。
【0084】
次に、滞在情報取得モジュール22によって、位置情報データベース32から、作業者IDに関連付けられて記憶された位置情報、および時間情報に基づいて、工場内の各エリア毎に、滞在した作業者100と、滞在した作業者100毎の、滞在した時間帯とが取得される(S6)。
【0085】
次に、滞在情報取得モジュール22によって取得された結果に基づいて、密集判定モジュール23によって、予め定めた連続時間長さ(例えば、15分)以上、複数の人が滞在していたエリアが、密集エリアであると判定される(S7)。
【0086】
次に、位置情報データベース32に、作業者IDに関連付けて記憶された位置情報および時間情報に基づいて、密接判定モジュール24によって、各エリア毎に、予め定めた近接距離(例えば、1m)以内に互いに近接して滞在している作業者100(例えば、図3に示す作業者100Aと作業者100C)と、これら各作業者100(例えば、図3に示す作業者100Aと作業者100C)が、連続して滞在した時間帯とが判定される(S8)。
【0087】
密接判定モジュール24ではさらに、判定された時間帯に対応する時間長さが、予め定めた連続時間長さ(例えば、15分)以上である場合、近接距離以内に互いに近接して滞在している各作業者100(例えば、図3に示す作業者100Aと作業者100C)は、互いに密接していると判定される(S9)。
【0088】
このため、密接判定モジュール24では、各エリアに同時に滞在していた複数の作業者100について、位置情報データベース32に記憶された位置情報および時間情報に基づいて、同一時間における互いの近接距離が、例えば三角関数を用いて算出される。
【0089】
その後、密接判定モジュール24では、各エリア毎に、密接条件を満たすと判定された各作業者100(例えば、作業者100Aと作業者100C)の作業者IDと、これら各作業者100(例えば、作業者100Aと作業者100C)について判定された、近接距離以内に連続して滞在した時間帯および位置に対応する時間情報および位置情報とが関連付けられて、密集密接判定情報データベースに記憶される(S10)。
【0090】
このように、密集密接判定情報データベースに記憶された情報に基づいて、表示制御モジュール25によって、例えば図4図11に例示されるような画面が作成され、表示部16、あるいは、通信ネットワーク70を介して外部端末130の表示画面から表示される(S11)。
【0091】
図4に例示されるような画面によれば、密接が発生したエリアを、視覚的に把握することが可能となる。
【0092】
図5に例示されるような画面によれば、密接が発生したエリアの密接度合いを、他のエリアと比較しながら把握することが可能となる。
【0093】
図6および図7に例示されるような画面によれば、どの作業者の密接度合が高いのかを個別に把握することが可能となる。
【0094】
図8に例示されるような画面によれば、どのエリアにおいて、どの時間帯に、どの作業者の密接度合が高いのかを詳細に把握することが可能となる。
【0095】
図9に例示されるような画面によれば、どのエリアにおいて、どの作業者がどの作業者と、どの程度の密接状態にあったのかを把握することが可能となる。
【0096】
図10に例示されるような画面によれば、どの作業者がどの作業者と、どの程度の密接状態にあったのかを把握することが可能となる。
【0097】
図11に例示されるような画面によれば、密接が発生した時間帯およびその程度を視覚的に把握することが可能となる。
【0098】
このように、本発明の実施形態の判定方法が適用された判定装置によれば、工場等の監視対象領域内の各エリアにおける、作業者等の人の密集や密接の状態を様々な観点から把握することが可能となる。
【0099】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0100】
10・・判定装置、11・・バス、12・・CPU、13・・外部記録媒体、14・・記録媒体読取部、15・・通信部、16・・表示部、20・・メモリ、21・・処理モジュール、22・・滞在情報取得モジュール、23・・密集判定モジュール、24・・密接判定モジュール、25・・表示制御モジュール、29・・書込可能データエリア、30・・記憶装置、31・・作業者データベース、32・・位置情報データベース、33・・密集密接判定情報データベース、70・・通信ネットワーク、100・・作業者、110・・位置センサ、115・・映像センサ、120・・マイクロコントローラ、125・・ビーコン、130・・外部端末
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