(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-22
(45)【発行日】2024-01-05
(54)【発明の名称】作業機
(51)【国際特許分類】
E02F 9/00 20060101AFI20231225BHJP
【FI】
E02F9/00 M
(21)【出願番号】P 2020137179
(22)【出願日】2020-08-15
【審査請求日】2022-12-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110003041
【氏名又は名称】安田岡本弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】福田 祐史
(72)【発明者】
【氏名】阿部 太樹
(72)【発明者】
【氏名】濱本 亮太
(72)【発明者】
【氏名】植田 和輝
(72)【発明者】
【氏名】倉智 浩平
【審査官】石川 信也
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-343269(JP,A)
【文献】特開昭62-082220(JP,A)
【文献】特開2014-092137(JP,A)
【文献】特開2017-053438(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/00
E02F 9/20- 9/22
F01P 1/00-11/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作動油によって駆動するファンモータであって、第1ポートと第2ポートとを有するファンモータと、
前記ファンモータの前記第1ポート側と前記第2ポート側とを接続するバイパス油路と、
前記バイパス油路に設けられ且つ当該バイパス油路を流れる作動油の流量を調節する流量調節弁と、
前記バイパス油路に連通し且つ作動油を排出する排出油路と、
前記排出油路を閉鎖する全閉位置と当該排出油路を開放する全開位置とに切り換え可能なアンロード弁と、
を備え
、
前記流量調節弁は、比例弁によって構成されていて開度が調節可能であり、
前記アンロード弁は、前記流量調節弁が所定開度に開いている状態で、前記全開位置から前記全閉位置に切り換わる作業機。
【請求項2】
作動油によって駆動するファンモータであって、第1ポートと第2ポートとを有するファンモータと、
前記ファンモータの前記第1ポート側と前記第2ポート側とを接続するバイパス油路と、
前記バイパス油路に設けられ且つ当該バイパス油路を流れる作動油の流量を調節する流量調節弁と、
前記バイパス油路に連通し且つ作動油を排出する排出油路と、
前記排出油路を閉鎖する全閉位置と当該排出油路を開放する全開位置とに切り換え可能なアンロード弁と、
を備え、
前記アンロード弁は、前記流量調節弁が所定開度になっている状態で、前記全開位置から前記全閉位置に切り換わり、
前記流量調節弁は、前記アンロード弁が前記全閉位置に切り換わった後、一定時間経過後に閉鎖す
る作業機。
【請求項3】
作動油によって駆動するファンモータであって、第1ポートと第2ポートとを有するファンモータと、
前記ファンモータの前記第1ポート側と前記第2ポート側とを接続するバイパス油路と、
前記バイパス油路に設けられ且つ当該バイパス油路を流れる作動油の流量を調節する流量調節弁と、
前記バイパス油路に連通し且つ作動油を排出する排出油路と、
前記排出油路を閉鎖する全閉位置と当該排出油路を開放する全開位置とに切り換え可能なアンロード弁と、
を備え、
前記アンロード弁は、前記流量調節弁が所定開度開いた状態から徐々に閉鎖する間に、前記全開位置から前記全閉位置に切り換わ
る作業機。
【請求項4】
作動油によって駆動するファンモータであって、第1ポートと第2ポートとを有するファンモータと、
前記ファンモータの前記第1ポート側と前記第2ポート側とを接続するバイパス油路と、
前記バイパス油路に設けられ且つ当該バイパス油路を流れる作動油の流量を調節する流量調節弁と、
前記バイパス油路に連通し且つ作動油を排出する排出油路と、
前記排出油路を閉鎖する全閉位置と当該排出油路を開放する全開位置とに切り換え可能なアンロード弁と、
を備え、
前記アンロード弁が前記全開位置に維持されている状態で、前記流量調節弁は、所定開度に変更され
る作業機。
【請求項5】
前記流量調節弁及び前記アンロード弁に制御信号を出力することで、前記流量調節弁及び前記アンロード弁を制御する制御装置を備え、
前記制御装置は、前記アンロード弁に第1制御信号を出力して当該アンロード弁を前記全開位置に維持している状態で、前記流量調節弁に第2制御信号を出力することで前記流量調節弁を所定開度に設定する請求項
3又は4に記載の作業機。
【請求項6】
前記バイパス油路は、前記第1ポート側と前記流量調節弁とを接続する第1区間と、前記第2ポート側と前記流量調節弁とを接続する第2区間とを有し、
前記排出油路は、前記第1区間と前記第2区間とを連通する油路である請求項1~
7のいずれか1項に記載の作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に開示された作業機が知られている。
特許文献1に開示された作業機は、作動油によって駆動しファンを回転させるファンモータと、ファンモータをバイパスして作動油を流すバイパス油路と、バイパス油路に流れる作動油の流量を調節する流量調節弁とを有している。流量調節弁によってバイパス油路に流れる作動油の流量を調節することにより、ファンの回転を調節することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、例えば、エンジンの回転が高いときなど、ファンモータに投入される作動油の流量が多い場合がある。このような場合にファンの回転を低下させようとしても、該回転が良好に低下しない場合がある。
本発明は、前記問題点に鑑み、ファンの回転を良好に低下させることができる作業機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様に係る作業機は、作動油によって駆動するファンモータであって、第1ポートと第2ポートとを有するファンモータと、前記ファンモータの前記第1ポート側と前記第2ポート側とを接続するバイパス油路と、前記バイパス油路に設けられ且つ当該バイパス油路を流れる作動油の流量を調節する流量調節弁と、前記バイパス油路に連通し且つ作動油を排出する排出油路と、前記排出油路を閉鎖する全閉位置と当該排出油路を開放する全開位置とに切り換え可能なアンロード弁と、を備え、前記流量調節弁は、比例弁によって構成されていて開度が調節可能であり、前記アンロード弁は、前記流量調節弁が所定開度に開いている状態で、前記全開位置から前記全閉位置に切り換わる。
【0006】
また、作業機は、作動油によって駆動するファンモータであって、第1ポートと第2ポートとを有するファンモータと、前記ファンモータの前記第1ポート側と前記第2ポート側とを接続するバイパス油路と、前記バイパス油路に設けられ且つ当該バイパス油路を流れる作動油の流量を調節する流量調節弁と、前記バイパス油路に連通し且つ作動油を排出する排出油路と、前記排出油路を閉鎖する全閉位置と当該排出油路を開放する全開位置とに切り換え可能なアンロード弁と、を備え、前記アンロード弁は、前記流量調節弁が所定開度になっている状態で、前記全開位置から前記全閉位置に切り換わり、前記流量調節弁は、前記アンロード弁が前記全閉位置に切り換わった後、一定時間経過後に閉鎖する。
また、作業機は、作動油によって駆動するファンモータであって、第1ポートと第2ポートとを有するファンモータと、前記ファンモータの前記第1ポート側と前記第2ポート側とを接続するバイパス油路と、前記バイパス油路に設けられ且つ当該バイパス油路を流れる作動油の流量を調節する流量調節弁と、前記バイパス油路に連通し且つ作動油を排出する排出油路と、前記排出油路を閉鎖する全閉位置と当該排出油路を開放する全開位置とに切り換え可能なアンロード弁と、を備え、前記アンロード弁は、前記流量調節弁が所定開度開いた状態から徐々に閉鎖する間に、前記全開位置から前記全閉位置に切り換わる。
【0007】
また、作業機は、作動油によって駆動するファンモータであって、第1ポートと第2ポートとを有するファンモータと、前記ファンモータの前記第1ポート側と前記第2ポート側とを接続するバイパス油路と、前記バイパス油路に設けられ且つ当該バイパス油路を流れる作動油の流量を調節する流量調節弁と、前記バイパス油路に連通し且つ作動油を排出する排出油路と、前記排出油路を閉鎖する全閉位置と当該排出油路を開放する全開位置とに切り換え可能なアンロード弁と、を備え、前記アンロード弁が前記全開位置に維持されている状態で、前記流量調節弁は、所定開度に変更される。
また、前記流量調節弁及び前記アンロード弁に制御信号を出力することで、前記流量調節弁及び前記アンロード弁を制御する制御装置を備え、前記制御装置は、前記アンロード弁に第1制御信号を出力して当該アンロード弁を前記全開位置に維持している状態で、前記流量調節弁に第2制御信号を出力することで前記流量調節弁を所定開度に設定する。
【0008】
前記バイパス油路は、前記第1ポート側と前記流量調節弁とを接続する第1区間と、前記第2ポート側と前記流量調節弁とを接続する第2区間とを有し、前記排出油路は、前記第1区間と前記第2区間とを連通する油路である。
【発明の効果】
【0009】
上記の作業機によれば、ファンモータによって回転するファンの回転を良好に低下させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】他の実施形態に係る油圧制御システムを示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態について、図面を適宜参照しつつ説明する。
図3は、本発明に係る作業機1の側面図を示している。
図3では、作業機1の一例として、コンパクトトラックローダを示している。但し、本発明に係る作業機1はコンパクトトラックローダに限定されず、例えば、スキッドステアローダ等の他の種類のローダ作業機であってもよい。また、ローダ作業機以外の作業機であってもよい。
【0012】
図3に示すように、作業機1は、機体2と、キャビン3と、作業装置4と、一対の走行装置5とを備えている。
キャビン3は、機体2に搭載されている。このキャビン3の室内にはオペレータが着座する運転席8が設けられている。作業装置4は機体2に装着されている。一対の走行装置5は、機体2の外側に設けられている。機体2内の後部には、原動機6が搭載されている。
【0013】
本実施形態においては、作業機1の運転席8に着座したオペレータの前側(
図3の左側)を前方、オペレータの後側(
図3の右側)を後方、オペレータの左側(
図3の手前側)を左方、オペレータの右側(
図3の奥側)を右方として説明する。また、前後の方向に直交する方向である水平方向を機体幅方向として説明する。機体2の中央部から右部或いは左部へ向かう方向を機体外方として説明する。言い換えれば、機体外方とは、機体幅方向であって、機体2から離れる方向である。機体外方とは反対の方向を、機体内方として説明する。言い換えれば、機体内方とは、機体幅方向であって、機体2の幅方向の中心部に近づく方向である。
【0014】
作業装置4は、油圧駆動型の装置であって、ブーム10と、作業具11と、リフトリンク12と、制御リンク13と、ブームシリンダ14と、バケットシリンダ15とを有している。
ブーム10は、キャビン3の右側及び左側に上下揺動自在に設けられている。作業具11は、例えば、バケットであって、当該バケット11は、ブーム10の先端部(前端部)に上下揺動自在に設けられている。リフトリンク12及び制御リンク13は、ブーム10が上下揺動自在となるように、ブーム10の基部(後部)を支持している。ブームシリンダ14は、伸縮することによりブーム10を昇降させる。バケットシリンダ15は、伸縮することによりバケット11を揺動させる。
【0015】
左側及び右側の各ブーム10の前部同士は、異形の連結パイプで連結されている。各ブーム10の基部(後部)同士は、円形の連結パイプで連結されている。
リフトリンク12、制御リンク13及びブームシリンダ14は、左側と右側の各ブーム10に対応して機体2の左側と右側にそれぞれ設けられている。
リフトリンク12は、各ブーム10の基部の後部に、縦向きに設けられている。このリフトリンク12の上部(一端側)は、各ブーム10の基部の後部寄りに枢支軸16(第1枢支軸)を介して横軸(機体幅方向に延伸する軸心)回りに回転自在に枢支されている。また、リフトリンク12の下部(他端側)は、機体2の後部寄りに枢支軸17(第2枢支軸)を介して横軸回りに回転自在に枢支されている。第2枢支軸17は、第1枢支軸16の下方に設けられている。
【0016】
ブームシリンダ14の上部は、枢支軸18(第3枢支軸)を介して横軸回りに回転自在に枢支されている。第3枢支軸18は、各ブーム10の基部であって、当該基部の前部に設けられている。ブームシリンダ14の下部は、枢支軸19(第4枢支軸)を介して横軸回りに回転自在に枢支されている。第4枢支軸19は、機体2の後部の下部寄りであって第3枢支軸18の下方に設けられている。
【0017】
制御リンク13は、リフトリンク12の前方に設けられている。この制御リンク13の一端は、枢支軸20(第5枢支軸)を介して横軸回りに回転自在に枢支されている。第5枢支軸20は、機体2であって、リフトリンク12の前方に対応する位置に設けられている。制御リンク13の他端は、枢支軸21(第6枢支軸)を介して横軸回りに回転自在に枢支されている。第6枢支軸21は、ブーム10であって、第2枢支軸17の前方で且つ第2枢支軸17の上方に設けられている。
【0018】
ブームシリンダ14を伸縮することにより、リフトリンク12及び制御リンク13によって各ブーム10の基部が支持されながら、各ブーム10が第1枢支軸16回りに上下揺動し、各ブーム10の先端部が昇降する。制御リンク13は、各ブーム10の上下揺動に伴って第5枢支軸20回りに上下揺動する。リフトリンク12は、制御リンク13の上下揺動に伴って第2枢支軸17回りに前後揺動する。
【0019】
ブーム10の前部には、バケット11の代わりに別の作業具が装着可能とされている。別の作業具としては、例えば、油圧圧砕機、油圧ブレーカ、アングルブルーム、アースオーガ、パレットフォーク、スイーパー、モア、スノウブロア等のアタッチメント(予備アタッチメント)である。
左側のブーム10の前部には、接続部材50が設けられている。接続部材50は、予備アタッチメントに装備された油圧機器と、ブーム10に設けられたパイプ等の管材とを接続する装置である。接続部材50は、油圧カプラ50aと、油圧カプラ50aをブーム10に支持する支持部材(取付ステー)50bとで構成されている。
【0020】
バケットシリンダ15は、各ブーム10の前部寄りにそれぞれ配置されている。バケットシリンダ15を伸縮することで、バケット11が揺動される。
一対の走行装置5は、油圧駆動型の装置であって、油圧モータで構成される走行モータM1で駆動される。一対の走行装置5のうち、一方の走行装置5は機体2の左側に設けられ、他方の走行装置5は機体2の右側に設けられている。一対の走行装置5は、本実施形態ではクローラ型(セミクローラ型を含む)の走行装置が採用されている。なお、前輪及び後輪を有する車輪型の走行装置を採用してもよい。
【0021】
原動機6は、ディーゼルエンジン、ガソリンエンジン等の内燃機関、電動モータ等である。この実施形態では、原動機6は、ディーゼルエンジンであるが限定はされない。以下、原動機6をエンジンという。
図1は、作業機1の油圧制御システムH1を示している。
図1に示すように、油圧制御システムH1は、第1ポンプP1(第1油圧ポンプ)と、第2ポンプP2(第2油圧ポンプ)とを備えている。第1ポンプP1及び第2ポンプP2は、エンジン6の動力によって駆動される定容量型のギヤポンプであって、タンクT1に貯留された作動油を吸い込んで吐出する油圧ポンプである。第1ポンプP1は、油圧アクチュエータを駆動する作動油を吐出する油圧ポンプである。第1ポンプP1から吐出される作動油によって駆動される油圧アクチュエータは、例えば、作業装置4のブームシリンダ14及びバケットシリンダ15や、走行装置5の走行モータM1や、バケット11の代わりに装着されるアタッチメントに装備される油圧アクチュエータ等である。第2ポンプP2から吐出される作動油は、信号用や制御用の作動油(パイロット油)を供給するために使用される。
【0022】
油圧制御システムH1は、制御装置47を有している。制御装置47は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)などを備えたマイクロコンピュータを利用して構成される。
制御装置47には、作業機1を循環する作動油の油温及び冷却水の水温のいずれか一方又は両方を測定する測定装置48が接続されている。制御装置47は、作動油の温度及び冷却水の温度のいずれか一方又は両方を取得可能である。
【0023】
図1に示すように、第2ポンプP2の吐出ポートには、当該第2ポンプP2から吐出した作動油が流れる油路である吐出油路41が接続されている。吐出油路41の下流側には、第2ポンプP2からの作動油が流れる油路である供給ライン42が接続されている。供給ライン42の下流側には、冷却装置43が設けられている。
冷却装置43は、作動油を冷却するオイルクーラ44、エンジン6の冷却水を冷却するラジエータ45等の冷却対象46を冷却する装置であって、第2ポンプP2から吐出した作動油によって駆動される。
【0024】
冷却装置43は、回転して冷却風を起こすファン(冷却ファン)49と、作動油によって駆動してファン49を回転するファンモータ60と、ファンモータ60に供給される作動油を該ファンモータ60を迂回させてタンクT1側に流すバイパス回路51とを有している。
ファンモータ60は、油圧モータによって構成され、第2ポンプP2からの作動油によって駆動する。詳しくは、
図1に示すように、ファンモータ60は、第1ポート60aと第2ポート60bとを有している。本実施形態では、第1ポート60aは、ファンモータ60に作動油が流入する作動油流入側のポートである。第2ポート60bは、ファンモータ60から作動油が流出する作動油流出側のポートである。第1ポート60aには、供給ライン42が接続されている。第2ポート60bには、排出ライン52が接続されている。排出ライン52は、ファンモータ60から流出する作動油が流れる油路である。排出ライン52を流れる作動油はタンクT1側に流れて該タンクT1に戻る。
【0025】
第2ポンプP2から吐出された作動油は、吐出油路41、供給ライン42及び第1ポート60aを介してファンモータ60に流入し、ファンモータ60に流入した作動油は、ファンモータ60を通過する共に、第2ポート60bを介して排出ライン52に排出される。つまり、作動油が第1ポート60a側(一方側)から第2ポート60b側(他方側)に通過することでファンモータ60が駆動される。ファンモータ60が駆動されることでファン49が回転する。
【0026】
図1に示すように、バイパス回路51は、バイパス油路53と、バイパス油路53に設けられた流量調節弁54と、バイパス油路53に連通する排出油路55と、排出油路55に設けられたアンロード弁56とを有している。
バイパス油路53は、ファンモータ60に供給される作動油を該ファンモータ60を迂回してタンクT1側に流す。詳しくは、バイパス油路53は、供給ライン42(第1ポート60a側)と流量調節弁54とを接続する第1区間(第1接続ラインという)53aと、排出ライン52(第2ポート60b側)と流量調節弁54とを接続する第2区間(第2接続ラインという)53bとを有して構成されている。第1接続ライン53aと第2接続ライン53bとは、第1接続ライン53aから第2接続ライン53bへの作動油の流通を阻止する逆止弁57が介装された接続油路58で接続されている。
【0027】
流量調節弁54は、バイパス油路53を流れる作動油の流量を調節する。言い換えると、流量調節弁54は、ファンモータ60に供給される作動油の流量を調節する。厳密に言えば、流量調節弁54は、第2ポンプP2から吐出されてファンモータ60に供給される作動油圧力を規定するバルブであって、ファンモータ60に供給される作動油圧力を制御(調節)することで、結果としてバイパス油路53を流れる作動油流量を調節する。
【0028】
流量調節弁54は、電磁弁によって構成されている。詳しくは、流量調節弁54は、可変ソレノイド59を有する電磁式の比例弁(可変リリーフ弁)によって構成されている。可変ソレノイド59(流量調節弁54)は、制御装置47に接続されている。制御装置47は、流量調節弁54に制御信号を出力することで該流量調節弁54を制御可能である。詳しくは、制御装置47は、可変ソレノイド59に印加する電流(電流値)を調節することにより、流量調節弁54の開度(弁の開き度合い)を調節可能である。流量調節弁54の開度を調節することにより、ファンモータ60に供給される作動油の流量を調節している。
【0029】
言い換えると、流量調節弁54で第1ポート60aと第2ポート60bとの圧力差(ファンモータ60の作動油供給側の圧力)を設定し、第2ポンプP2からの作動油が上記設定した圧力を超えることにより生じる余剰油が第1接続ライン53a→流量調節弁54→第2接続ライン53bを通って流れてファンモータ60をバイパスすることで、ファンモータ60に供給される作動油の流量を制御している。
【0030】
排出油路55は、バイパス油路53に連通し且つ作動油を排出する。詳しくは、排出油路55は、バイパス油路53に流量調節弁54の上流側で連通して、流量調節弁54の上流側の作動油を排出する。言い換えると、排出油路55は、第1接続ライン53aと第2接続ライン53bとを連通する油路であって、ファンモータ60に供給される作動油を流量調節弁54及びファンモータ60を迂回させてタンクT1側に流す。さらに、詳しくは、排出油路55は、第1接続ライン53aとアンロード弁56とを接続する第1区間(第3接続ラインという)55aと、第2接続ライン53bとアンロード弁56とを接続する第2区間(第4接続ラインという)55bとを有して構成されている。
【0031】
アンロード弁56は、排出油路55を開閉する弁であって、電磁弁によって構成されている。詳しくは、アンロード弁56は、ソレノイドを有する電磁式の開閉弁によって構成され、流量調節弁54と並列に搭載されている。ソレノイド(アンロード弁56)は、制御装置47に接続されている。制御装置47は、アンロード弁56に制御信号を出力することでアンロード弁56を制御可能である。詳しくは、アンロード弁56は、全閉位置(OFF位置)56aと全開位置(ON位置)56bとの2位置に切り換え可能な弁であって、バネ56dの付勢力によって全閉位置56aに保持され、ソレノイド56cに印加された電流で生じる磁力がバネ56dの付勢力に打ち勝つことで全開位置56bに切り換えられる。全閉位置56aは、排出油路55を閉鎖する位置であり、全開位置56bは、排出油路55を開放する位置である。
【0032】
上記構成の冷却装置43にあっては、流量調節弁54を全閉すると共にアンロード弁56を全閉位置56aにすることにより、第1ポート60aに流入した殆どの作動油がファンモータ60へ流入する。これにより、ファン49の回転数であるファン回転数が最高回転数となる。また、アンロード弁56を全開位置56bにすることにより、ファンモータ60の第1ポート60aへ流れる作動油(供給ライン42を流れる作動油)が、ファンモータ60及び流量調節弁54をバイパスして、第1接続ライン53a→第3接続ライン55a→第4接続ライン55b→第2接続ライン53b→排出ライン52へ流れ、ファン回転数が最低回転数(零回転数を含む)となる。
【0033】
なお、本実施形態では、流量調節弁54を全閉すると共にアンロード弁56を全開したときに、アンロード弁56を通過する作動油の流量は、アンロード弁56を全閉にして流量調節弁54を全開した場合において流量調節弁54を通過する作動油の流量よりも大である。また、ファン回転数を最低回転数にする場合、アンロード弁56及び流量調節弁54の両方を開くようにしてもよい。
【0034】
また、アンロード弁56を全閉位置56aにし、流量調節弁54の開度を調節してファンモータ60に供給される作動油の流量を調節することで、ファン回転数を変更することができる。
ところで、従来は、ファンモータ60の制御は流量調節弁54だけで行っているので、流量調節弁54を全開しただけでは、ファンを停止できない場合がある。例えば、エンジン6の回転数が高く、ファンモータ60に投入される作動油の流量が多いと、流量調節弁54のオーバーライド特性により、制御でファン回転数を低下させようとしてもファン49が回転してしまう場合がある。
【0035】
本実施形態では、アンロード弁56を流量調節弁54と並列に搭載しているので、従来よりもファン回転数の最低回転数を低下させることができる。ファン49を停止することもできる。
また、流量調節弁54を全閉し且つアンロード弁56を全開位置56bにしている状態で、アンロード弁56を全開位置56bから全閉位置56aに切り換えると、流れている作動油が急に遮られることによる圧力の急激な変動によって、ファンモータ60や第2ポンプP2にサージ圧が立つ虞がある。そこで、アンロード弁56を全開位置56bから全閉位置56aに切り換えて、ファン49の回転が停止を含む最低回転数からファン回転数を上昇するときは、ファンモータ60や第2ポンプP2にサージ圧が立たないようにする必要がある。
【0036】
ファン49の回転数が最低回転数から上昇する際にサージ圧がたたないようにするには、アンロード弁56を全開位置56bから全閉位置56aに切り換える際に、流量調節弁54を所定開度に開く。言い換えると、アンロード弁56は、流量調節弁54が所定開度になっている状態で、全開位置56bから全閉位置56aに切り換わる。これにより、作動油の急激な流れのせき止めを抑制することができ、ファンモータ60や第2ポンプP2にサージ圧が立つのを抑制することができる。
【0037】
上記動作をより具体的に説明すると、本実施形態では、アンロード弁56を全開位置56bから全閉位置56aに切り換える際に、流量調節弁54に電流を印加して、流量調節弁54を所定開度に開く。アンロード弁56を全閉位置56aに切り換えた後は、一定時間経過後に流量調節弁54に印加した電流を低下させて、該流量調節弁54を閉鎖する。このとき流量調節弁54に印加する電流を瞬時に低下させるのではなく徐々に低下させる。つまり、アンロード弁56を全閉位置56aに切り換えた後は、一定時間経過後に流量調節弁54を徐々に閉鎖する。これにより、流量調節弁54に印加する電流を瞬時に低下させる(流量調節弁54を瞬時に閉鎖する)ことによって生じるサージ圧を、該電流を徐々に低下させる(流量調節弁54を徐々に閉鎖する)ことで抑制することができる。また、アンロード弁56を全開位置56bから全閉位置56aに切り換える間は、流量調節弁54に印加する電流値を一定とする。
【0038】
また、アンロード弁56を全開位置56bから全閉位置56aに切り換える際の制御は、以下のように行ってもよい。
即ち、アンロード弁56を全開位置56bから全閉位置56aに切り換える際において、アンロード弁56が全開位置56bである状態で流量調節弁54を所定開度に開くと共に、該流量調節弁54を徐々に閉じていく間にアンロード弁56を全閉位置56aに切り換える。言い換えると、アンロード弁56は、流量調節弁54が所定開度開いた状態から徐々に閉鎖する間に、全開位置56bから全閉位置56aに切り換わる。具体的には、アンロード弁56が全開位置56bである状態で、流量調節弁54に電流を印加すると共に該電流をゆっくり低下させ、該電流を低下させている間にアンロード弁56を全閉位置56aに切り換える。アンロード弁56が全閉位置56aに切り換わるタイミングの電流値は、零mAを除く一定の値とする。つまり、アンロード弁56が全閉位置56aに切り換わるタイミングの電流値は、バネ56dがソレノイド56cの磁力に打ち勝つ電流値であればよい。
【0039】
アンロード弁56を全閉位置56aに切り換えるときに、流量調節弁54に印加する電流値は、電流値の制御範囲の最大値まで上昇させていることが望ましいが、電流を昇圧しても流量調節弁54の圧力が変動しない(変動幅が小さい)領域まで電流値を上昇させる必要はない。
また、アンロード弁56を全開位置56bに維持しているときに、例えば、該アンロード弁56に接続されている電線が断線すること等によって電流供給が遮断されると、アンロード弁56が全開位置56bから全閉位置56aに切換わってしまう。このような場合に備えて、アンロード弁56を全開位置56bにし且つ該全開位置56bを維持している際において、流量調節弁54を所定開度に開いておいてもよい。詳しくは、アンロード弁56の全開位置56b状態を維持するモードのとき、即ち、作動油の温度及び冷却水の温度のどちらか一方又は両方が一定以下の場合は、流量調節弁54に一定以上の電流値を印加する。この場合、流量調節弁54に印加する電流値は、制御範囲の最大値未満の電流を印加する。これにより、消費電流を抑えることができる。上記制御を言い換えると、制御装置47は、アンロード弁56に第1制御信号を出力して当該アンロード弁56を全開位置56bに維持している状態で、流量調節弁54に第2制御信号を出力することで該流量調節弁54を所定開度に設定する。
【0040】
上記した実施形態では、流量調節弁54及びアンロード弁56は、電流によって制御される電磁弁によって構成したが、これに限定されることはなく、流量調節弁54とアンロード弁56との一方または両方が、パイロット圧(パイロット油の圧力)で弁の開度が変更可能なパイロット操作切換弁であってもよい。また、電磁パイロット切換弁であってもよい。
【0041】
また、第3接続ライン55aは、供給ライン42とアンロード弁56とを接続する構成としてもよく、第4接続ライン55bは、排出ライン52とアンロード弁56とを接続する構成としてもよい。
さらに、ファンモータ60は、第1ポート60aから第2ポート60bに作動油が通過して回転するモータを例示したが、ファンモータ60は、一方向に作動油が通過して正転し、他方向に作動油が通過して逆転する正逆転可能なファンモータ60であってもよい。この場合、冷却装置43に、ファンモータ60を通過する作動油の流れ方向を切り換える方向切換弁が設けられる。
【0042】
図2は、他の実施形態に係る油圧制御システムH1を示している。
図2に示すように、油圧制御システムH1は、予備用制御弁(SP制御弁という)30と、予備用電磁弁(SP電磁弁という)31,32とを備えている。SP電磁弁31,32は、SP制御弁30を操作する一対の電磁弁である。
第1ポンプP1は、バケット11の代わりに装着される予備アタッチメントの油圧アクチュエータ33を駆動するのに使用される。説明の便宜上、予備アタッチメントの油圧アクチュエータ33のことを、予備アクチュエータという。この予備アクチュエータ33を操作する操作部材25は制御装置(コントローラ)47に接続されている。
【0043】
SP制御弁30は、パイロット方式の直動スプール形3位置切換弁である。SP制御弁30は、パイロット圧によって中立位置35aと第1位置35bと第2位置35cとに切換自在である。なお、SP制御弁30は、バネによって中立位置35aに戻される。
SP制御弁30には、第1ポンプP1の吐出路e1に連通する作業系供給油路f1が接続されている。また、SP制御弁30には、排油路k1を介してバイパス油路h1が接続され、タンクT1側に戻るドレン油路g1も接続されている。
【0044】
また、SP制御弁30と接続部材50との間には、作動油供給路39が接続されている。作動油供給路39は、2つの流路から構成されており、一方の流路39iは、第1逃がし路m1を介してバイパス油路h1に接続され、他方の流路39jは、第2逃がし路n1を介してバイパス油路h1に接続されている。第1,第2逃がし路m1,n1には、それぞれリリーフ弁40,41Aが設けられている。
【0045】
接続部材50は、SP制御弁30と予備アクチュエータ33とを接続するものであって、作動油供給路39及び油圧ホース等を介してSP制御弁30と予備アクチュエータ33とを接続する。
一方のSP電磁弁31は、第1パイロット油路q1を介してSP制御弁30の一側の受圧部42aに接続されている。他方のSP電磁弁32は、第2パイロット油路r1を介してSP制御弁30の他側の受圧部42bに接続されている。SP電磁弁31,32には、パイロット圧供給油路t2を介して第2ポンプP2からのパイロット油(圧油)が供給可能である。したがって、SP電磁弁31によって、SP制御弁30を第1位置35bに切り換えると、一方の流路39iから予備アクチュエータ33へと第1ポンプP1からの作動油が供給されると共に予備アクチュエータ33からの戻りの油が他方の流路39jから排油路k1に流れる。
【0046】
また、SP電磁弁32によって、SP制御弁30を第2位置35cに切り換えると、他方の流路39jから予備アクチュエータ33へと第1ポンプP1からの作動油が供給されると共に予備アクチュエータ33からの戻りの油が一方の流路39iから排油路k1に流れる。
以上の油圧制御システムH1では、SP電磁弁31,32を作動させることにより、SP制御弁30を介して予備アタッチメントの予備アクチュエータ33を作動させることができる。
【0047】
このSP電磁弁31,32の制御は、作業機1に搭載された制御装置47によって行う。制御装置47は、操作部材25に設けられたスイッチ等の操作に応じて、SP電磁弁31,32(SP制御弁30)の操作を実行する。
さて、上述の油圧制御システムH1において、第2ポンプP2と、SP電磁弁31,32へパイロット油(圧油)を供給するパイロット圧供給油路t2との間には、ファンモータ60が設けられている。ファンモータ60は、第2ポンプP2から吐出される作動油の流れに沿って第2ポンプP2よりも下流側に設けられている。ファンモータ60の一次側であって作動油の流入口であるポートP10は、吐出油路41によって第2ポンプP2に接続されており、第2ポンプP2からファンモータ60へ作動油が供給される。また、ファンモータ60の二次側であって作動油の吐出口であるポートS10は、油路u1に接続され、この油路u1には作動油を濾過するフィルタ62が接続されている。フィルタ62の上流側には、油路u1が接続され、下流側にはパイロット圧供給油路t2が接続されている。したがって、ファンモータ60を通過して二次側のポートS10から吐出された作動油が、フィルタ62で濾過されてパイロット圧供給油路t2に供給される。
【0048】
バイパス油路53は、ファンモータ60の一次側のポートP10よりも若干下流側と、二次側のポートS10よりも若干上流側とを連結する。バイパス油路53に流量調節弁54が設けられている。制御装置47は、測定装置(温度センサ)48が検出した油温及び水温のいずれか一方又は両方に応じて、ファン49を適切な回転数で回転させるように、流量調節弁54の操作を実行してファンモータ60の一次側に供給される作動油の量を変更する。なお、制御装置47と測定装置48とを一体化してもよい。
【0049】
図2に示す油圧制御システムH1にあっても、冷却装置43は、上述した排出油路55及びアンロード弁56を有している。
さらに、
図2に示す油圧制御システムH1にあっては、ファンモータ60の二次側とフィルタ62との間の油路u1にリリーフ油路71が接続されている。リリーフ油路71には、油路u1を流れる作動油の最高圧力(リリーフ圧)を設定するリリーフ弁66が設けられている。したがって、ファンモータ60とフィルタ62との間の油路u1を流れる作動油がリリーフ圧以上の高圧となったときに、ファンモータ60から排出された作動油をタンクT1へ逃がすことができる。これにより、フィルタ62を保護することができる。
【0050】
また、油圧制御システムH1は、HST(Hydro-Static Transmission:静油圧式無段変速機)72を備えている。HST72は、エンジン6によって駆動されるHSTポンプ73と、該HSTポンプ73と一対の変速用油路76a,76bによって閉回路接続されたHSTモータ74とを有している。HSTモータ74は、走行モータM1を構成する。
また、HST72は、低圧側の変速用油路76a,76bに作動油を補充するチャージ回路75を有している。チャージ回路75は、高圧側の変速用油路76a,76bの圧が設定以上になると低圧側の変速用油路76a,76bに逃がす高圧リリーフ弁77a,77bと、高圧リリーフ弁77aと高圧リリーフ弁77bとの間の油路80とを有している。油路80は、補充油路79を介してパイロット圧供給油路t2に接続されている。したがって、第2ポンプP2から吐出されてファンモータ60、フィルタ62を通過した作動油が補充油路79を介してチャージ回路75に流れる。また、チャージ回路75は、該チャージ回路75の回路圧を設定するチャージリリーフ弁78を有しており、該チャージリリーフ弁78は補充油路79及びタンクT1に連通している。
【0051】
上記構成の他の実施形態に係る油圧制御システムH1にあっては、ファンモータ60,リリーフ弁66,フィルタ62,HST72と、流量調節弁54とが並列配置されている。
本実施形態の作業機1は、作動油によって駆動するファンモータ60であって、第1ポート60aと第2ポート60bとを有するファンモータ60と、ファンモータ60の第1ポート60a側と第2ポート60b側とを接続するバイパス油路53と、バイパス油路53に設けられ且つ当該バイパス油路53を流れる作動油の流量を調節する流量調節弁54と、バイパス油路53に連通し且つ作動油を排出する排出油路55と、前記排出油路55を閉鎖する全閉位置56aと当該排出油路55を開放する全開位置56bとに切り換え可能なアンロード弁56と、を備えている。
【0052】
この構成によれば、ファンモータ60によって回転するファン49の回転を良好に低下させることができる。
また、アンロード弁56は、流量調節弁54が所定開度になっている状態で、全開位置56bから全閉位置56aに切り換わる。
この構成によれば、アンロード弁56を全開位置56bから全閉位置56aに切り換える際に、ファンモータ60にサージ圧が立つのを抑制することができる。
【0053】
また、流量調節弁54は、アンロード弁56が全閉位置56aに切り換わった後、一定時間経過後に閉鎖する。
この構成によれば、ファン49の回転が上昇するときの動作を安定させることができる。
また、アンロード弁56は、流量調節弁54が所定開度開いた状態から徐々に閉鎖する間に、全開位置56bから全閉位置56aに切り換わる。
【0054】
この構成によっても、アンロード弁56を全開位置56bから全閉位置56aに切り換える際に、ファンモータ60にサージ圧が立つのを抑制することができる。
また、アンロード弁56が全開位置56bに維持されている状態で、流量調節弁54は、所定開度に変更される。
この構成によれば、アンロード弁56が全開状態を維持しているときに、何らかの原因によって、アンロード弁56が全開位置56bから全閉位置56aに切り換わるような場合に、ファンモータ60にサージ圧が立つのを抑制することができる。
【0055】
また、流量調節弁54及びアンロード弁56に制御信号を出力することで、流量調節弁54及びアンロード弁56を制御する制御装置47を備え、制御装置47は、アンロード弁56に第1制御信号を出力して当該アンロード弁56を全開位置56bに維持している状態で、流量調節弁54に第2制御信号を出力することで流量調節弁54を所定開度に設定する。
【0056】
この構成によれば、アンロード弁56に接続されている電線が断線すること等によって電流供給が遮断した場合に、ファンモータ60にサージ圧が立つのを抑制することができる。
また、バイパス油路53は、第1ポート60a側と流量調節弁54とを接続する第1区間(第1接続ライン)53aと、第2ポート60b側と流量調節弁54とを接続する第2区間(第2接続ライン)53bとを有し、排出油路55は、第1区間53aと第2区間53bとを連通する油路である。
【0057】
この構成によれば、油路構成を簡素化することができる。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0058】
42 供給ライン
47 制御装置
52 排出ライン
53 バイパス油路
53a 第1区間(第1接続ライン)
53b 第2区間(第2接続ライン)
54 流量調節弁
55 排出油路
56 アンロード弁
56a 全閉位置
56b 全開位置
60 ファンモータ
60a 第1ポート
60b 第2ポート