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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-22
(45)【発行日】2024-01-05
(54)【発明の名称】釣情報管理システム
(51)【国際特許分類】
   A01K 89/017 20060101AFI20231225BHJP
   A01K 89/015 20060101ALI20231225BHJP
【FI】
A01K89/017
A01K89/015 A
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020143240
(22)【出願日】2020-08-27
(65)【公開番号】P2022038634
(43)【公開日】2022-03-10
【審査請求日】2022-10-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000002495
【氏名又は名称】グローブライド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100140822
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 光広
(72)【発明者】
【氏名】安田 悠
【審査官】中村 圭伸
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-068736(JP,A)
【文献】特開2019-187283(JP,A)
【文献】特開2002-345380(JP,A)
【文献】特開2002-262736(JP,A)
【文献】実開昭61-020171(JP,U)
【文献】実開平05-023863(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2014/0358483(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0295826(US,A1)
【文献】米国特許第5833156(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 89/00 - 89/08
A01K 97/00 - 99/00
G06Q 50/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
釣糸を巻回可能なスプールを有する魚釣用リールが取付けられた釣竿を備える釣情報管理システムであって、
該魚釣用リールと該釣竿とを含む釣具の使用時の該釣具の操作と操作環境に関する情報を検出する操作・環境情報検出部と、
該釣具の操作に関する情報から、該釣具の操作の習熟度を算出する演算部と、
前記操作・環境情報検出部により検出された検出値と該習熟度を記憶する記憶部と、
該検出値と該習熟度の少なくともいずれかを表示する表示部と、を備えるものであり、
該習熟度は、キャスティングスキルと、リーリングスキルと、ファイティングスキルとで構成され、
前記キャスティングスキルは、投擲時の仕掛けの飛距離と、バックラッシュの発生回数と、手返しの時間とにより算出されることを特徴とする釣情報管理システム。
【請求項2】
前記釣具は、前記魚釣用リール、前記釣竿、前記釣糸、針、及び仕掛けを少なくとも含む、請求項1に記載の釣情報管理システム。
【請求項3】
前記釣具の操作環境は、該釣具の使用開始時刻、使用終了時刻、該釣具の使用時の気象条件、及び該釣具の使用場所を少なくとも含む、請求項1又は2に記載の釣情報管理システム。
【請求項4】
前記操作・環境情報検出部は、前記魚釣用リールの操作情報を検出するリール操作情報検出部と、前記釣竿の操作情報を検出する釣竿操作情報検出部と、を少なくとも含む、請求項1から3までのいずれか1項に記載の釣情報管理システム。
【請求項5】
前記魚釣用リールの操作情報は、リールのドラグ引出し量、リールのドラグ引出し速度、スプール回転開始点、スプール回転終了点、スプール径、スプールの最高回転数、スプールの回転速度履歴、ブレーキ設定、バックラッシュ情報の少なくともいずれかを含む、請求項1から4までのいずれか1項に記載の釣情報管理システム。
【請求項6】
前記釣竿の操作情報は、釣竿の速度、釣竿の加速度、釣竿の変形量、釣竿のモーション、釣竿投擲方法の少なくともいずれかを含む、請求項1から5までのいずれか1項に記載の釣情報管理システム。
【請求項7】
前記釣具の操作の習熟度は、リールの飛距離、リールの最高回転数、又は手返し時間の少なくともいずれかから算出される、請求項1から6までのいずれか1項に記載の釣情報管理システム。
【請求項8】
前記キャスティングスキルは、機械学習を利用した評価方法により算出される、請求項1から7までのいずれか1項に記載の釣情報管理システム。
【請求項9】
前記習熟度は、キャスティングスキルと、リーリングスキルと、ファイティングスキルの各スキルを加重平均して算出される、請求項1から7までのいずれか1項に記載の釣情報管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、釣糸を巻回可能なスプールを有する魚釣用リールが取付けられた釣竿を備える釣情報管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、船釣り等、一般に深場の魚層を対象とした魚釣りを行う場合、魚釣用電動リール等(以下、「魚釣用リール」という)が広く使用されている。
【0003】
従来、この種の魚釣用リールには、正確な棚取りを行って釣果の向上を図るため、スプール等の回転数を基に釣糸の繰出し量や巻取り量を計測する糸長計測装置が装着されており、リール本体に設けた表示器に、斯かる糸長計測装置の計測値が表示されるようになっている。
【0004】
このような魚釣用リールとして、特許文献1には、リール本体の側板間に回転自在に支持されたスプールと、当該スプールに巻回される釣糸の巻取り操作時の巻取り速度を検出する巻取り速度検出手段と、リール本体に設けられ、当該巻取り速度検出手段の検出値を表示する表示器とを備えた魚釣用リールが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2006-42607号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示の魚釣用リールでは、リール本体に設けられた表示器に巻取り速度の検出値を表示するものであり、これをリールの外部に送信するものではなかった。また、魚釣用リールの情報を表示できるとしても、魚釣にはルアー、魚釣に関する画像、魚釣の環境等様々な情報が存在し得るが、特許文献1に開示の魚釣用リールではあくまでリールの特定の情報を表示するものであり、本来釣人が欲するであろう情報から比べると極めて限定的なものとならざるを得ないという問題があった。他方で、釣人の釣への満足度を更に向上させるためには、魚釣に係る様々な情報を単に提示するだけでは必ずしも十分とは言えないという問題もあった。
【0007】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、魚釣に関する様々な情報から算出された魚釣の習熟度を算出することが可能な釣糸を巻回可能なスプールを有する魚釣用リールが取付けられた釣竿を備える釣情報管理システムを提供することにある。本発明のこれら以外の目的は、本明細書全体を参照することにより明らかとなる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態に係る釣情報管理システムは、釣糸を巻回可能なスプールを有する魚釣用リールが取付けられた釣竿を備え、該魚釣用リールと該釣竿とを含む釣具の使用時の該釣具の操作と操作環境に関する情報を検出する操作・環境情報検出部と、該釣具の操作に関する情報から、該釣具の操作の習熟度を算出する演算部と、該検出値と該習熟度を記憶する記憶部と、該検出値と該習熟度の少なくともいずれかを表示する表示部と、を備えるように構成される。
【0009】
本発明の一実施形態に係る釣情報管理システムにおいて、前記釣具は、前記魚釣用リール、前記釣竿、前記釣糸、針、及び仕掛けを少なくとも含むように構成される。
【0010】
本発明の一実施形態に係る釣情報管理システムにおいて、前記釣具の操作環境は、該釣具の使用開始時刻、使用終了時刻、該釣具の使用時の気象条件、及び該釣具の使用場所を少なくとも含むように構成される。
【0011】
本発明の一実施形態に係る釣情報管理システムにおいて、前記操作・環境情報検出部は、前記魚釣用リールの操作情報を検出するリール操作情報検出部と、前記釣竿の操作情報を検出する釣竿操作情報検出部と、を少なくとも含むように構成される。
【0012】
本発明の一実施形態に係る釣情報管理システムにおいて、前記魚釣用リールの操作情報は、リールのドラグ引出し量、リールのドラグ引出し速度、スプール回転開始点、スプール回転終了点、スプール径、スプールの最高回転数、スプールの回転速度履歴、ブレーキ設定、釣竿のモーション、バックラッシュ情報の少なくともいずれかを含むように構成される。
【0013】
本発明の一実施形態に係る釣情報管理システムにおいて、前記釣竿の操作情報は、釣竿の速度、釣竿の加速度、釣竿の変形量、釣竿のモーション、釣竿投擲方法の少なくともいずれかを含むように構成される。
【0014】
本発明の一実施形態に係る釣情報管理システムにおいて、前記釣具の操作の習熟度は、リールの飛距離、リールの最高回転数、又は手返し時間の少なくともいずれかから算出されるように構成される。
【発明の効果】
【0015】
上記実施形態によれば、魚釣に関する様々な情報から算出された魚釣の習熟度を算出することが可能な釣糸を巻回可能なスプールを有する魚釣用リールが取付けられた釣竿を備える釣情報管理システムを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態に係る釣情報管理システムを示す図である。
図2】本発明の一実施形態に係る釣情報管理システムを示す図である。
図3】本発明の一実施形態に係る釣情報管理システムを示す図である。
図4】本発明の一実施形態に係る釣情報管理システムを示す図である。
図5】本発明の一実施形態に係る釣情報管理システムにおける糸絡みを解く場合の一例を説明する図である。
図6】本発明の一実施形態に係る釣情報管理システムにおけるバックラッシュの検出方法を説明する図である。
図7】本発明の一実施形態に係る釣情報管理システムにおけるスキル値の例を示す図である。
図8】本発明の一実施形態に係る釣情報管理システムにおけるスキル値の例を示す図である。
図9】本発明の一実施形態に係る釣情報管理システムにおけるスキル値の例を示す図である。
図10】本発明の一実施形態に係る釣情報管理システムにおけるスキル値の例を示す図である。
図11】本発明の一実施形態に係る釣情報管理システムにおけるスキル値の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照しながら具体的に説明する。複数の図面において共通する構素には当該複数の図面を通じて同一の参照符号が付されている。各図面は、説明の便宜上、必ずしも正確な縮尺で記載されているとは限らない点に留意されたい。
【0018】
魚釣りにおいて釣果を上げるには、ユーザ自身の要因、すなわち釣りのスキルによる要因と、ユーザ以外の要因、すなわち気象条件や魚の食い気による要因の双方が関連している。釣果を上げるために、多くの釣人がスキル向上を目指すが、釣人のスキルを示す指標として釣った魚の数を用いるのは、上記理由により、不適切になることがある。
【0019】
本発明では、釣竿や魚釣用リールに加えられた操作を検出し、演算することで、釣人のスキルの指標化を可能とするものである。釣人のスキルには、釣具の選び方や釣り場所の選び方などの各種項目に細分化することができるが、本発明では、釣具を扱うスキルを対象とする。釣具を扱うスキルはさらに具体化、細分化できる。本発明では、釣具を扱うスキルを下記のように分類する。
(a)キャスティングスキル:仕掛けの放出時に必要なスキル
(b)リーリングスキル:仕掛けを放出後、魚を釣針に掛けるために必要なスキル
(c)ファイティングスキル:釣針に掛かった魚を回収する際に必要なスキル
以下では、これらを算出するための具体的方法について説明する。
【0020】
まず、図1から図4を参照して、釣情報管理システム100の基本的構成について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る釣情報管理システム100の構成を示す。図示のように、本発明の一実施形態に係る釣情報管理システム100は、魚釣用リール10と、釣竿20と、仕掛け30と、情報処理装置40と、からなる。
【0021】
魚釣用リール10は、一般的な魚釣用リールと同様、下記の操作が可能である。
スプール11に釣糸31を巻き取り、スプール11から釣糸31が放出可能な状態と不能な状態とを切り替え、釣糸31に設定値以上の張力をかけるとスプール11が空転させ(ドラグ機能)、当該設定値である張力の閾値を設定する。また、両軸タイプでは、キャスト時のバックラッシュを防止するための制動力を調整する。
【0022】
また、魚釣用リール10は、上記操作および状態の一部または全部を検出し、情報処理装置40に送信する。詳細は後述する。釣竿20は、一般的な釣竿と同様、魚釣用リール10を保持し、釣糸31を案内する。ユーザは、釣竿20を操作することで、釣糸31を必要に応じて操ることができる。釣竿20は、釣竿20の操作および状態の一部または全部を検出し、情報処理装置40に送信する。詳細は後述する。
【0023】
仕掛け30は、釣糸31の一端に取付けられ、魚に食い付かせるための釣針を持つ。本実施例では、ルアー(疑似餌)32内に釣針をつけている。このほか、狙う魚や釣法によって各種の仕掛けが用いられ、必要に応じてウキ、錘、撒餌容器、天秤などが用いられる。本発明の一実施形態では、仕掛けの一部に加速度センサなどの動作検出手段を備え、ルアー32の動作を情報処理装置40に送信する。動作検出手段は、必要に応じて、電源、記憶手段、通信手段と共に防水処理を施し、仕掛けの一部に封入する。以降、リール10、釣竿20、仕掛け30を総称して、本タックルと呼ぶことにする。
【0024】
情報処理装置40は、受信部35により、本タックルを構成する各要素からの検出結果を集積し、また、リスト作成部36により、釣糸の放出開始毎の操作情報を集約した操作情報リストを作成する。また、詳細は後述するが、情報処理装置40の処理部33において、スキル値の算出などを行う。情報処理装置40は、例えば、携帯情報端末(スマートフォン)等であってもよい。また、釣情報処理装置10は、魚釣用リール1若しくは釣竿20に組み込まれ、これらの一部を構成するようにしてもよい。若しくは、釣情報処理装置10の一部が、魚釣用リール1若しくは釣竿20に組み込まれるようにしてもよい。情報処理装置40の一部もしくは全部が、インターネット上のサーバ(クラウド)内にあってもよい。
【0025】
図2は、リール10の機械的な部品構成を示す図であり、(A)はリール10として両軸リールと呼ばれるタイプを用いた場合、(B)はスピニングリールと呼ばれるタイプを用いた場合である。まず、両軸リール10Aについて説明する。
スプール11Aは、釣糸31を巻回可能であり、操作部14Aによって正回転させると釣糸31を巻き取ることができる。
【0026】
クラッチ12は、操作部14Aとの動力伝達の接続/解放を選択することができる。接続状態では操作部14Aによる巻き取りが可能である。開放状態ではスプール11Aを正逆方向に自由に回転させることができ、釣糸31は放出可能となる。ドラグ装置13は、釣糸31に設定した張力以上の負荷がかかると、スプール11を空転させることができる。操作部14Aは、例えばハンドルとして構成され、ユーザの回転操作をギヤ等の伝達機構によってスプール11Aに伝え、該スプール11Aを正回転することができる。操作部4は、レバー等の操作部材と、モータ等の動力源との組み合わせでもよい。制動装置15は、スプールに制動力を働かせることができる。これにより、キャスティング時のバックラッシュ発生を抑制する。この制動力は、制動力設定部151で設定できる。
【0027】
次に、スピニングリール10Bについて説明する。スプール11Bは、リール本体に対してドラグ装置13Bを介して固定されている。ドラグ装置13Bは、釣糸31に設定した張力以上の負荷がかかると、スプール11を空転させることができる。釣糸31は、ラインガイド12Bに案内され、ラインガイド12Bがスプール11の周囲を回転することで、スプール11Bに巻き取られる。ラインガイド12Bは、リール本体に対して回転可能に支持されるロータの先に保持され、ベールアームの開閉により釣糸31の案内可否が切り替えられる。ベールアームが開状態では巻き取り不能となり、釣糸31は放出可能となる。ベールアームが閉状態では巻き取り可能となり、釣糸31は放出不能となる。操作部14Bは、例えばハンドルとして構成され、ユーザの回転操作をギヤ等の伝達機構によってロータに伝え、該ラインガイド12Bを正回転することができる。
【0028】
図3は、魚釣用リール10の基本的構成を示す図である。魚釣用リール10は、ユーザによる各種操作や、リールの状態を検出するための検出部19を有する。検出結果は演算部16に送られ、必要に応じて演算処理や、記憶部18で一時保存されたのち、通信部17を介して情報処理装置40に送信される。検出部19には、下記のものが挙げられる。コストや大きさなどの制限から、一部を省略してもよい。張力検出部191は、釣糸31に働く張力を検出する。釣糸31を案内するプーリーの回転軸に働く力をひずみセンサで検出するなど、従来公知の技術によって実現できる。
【0029】
スプール回転検出部192は、スプール11の回転を検出する。フォトインタラプタや磁気センサを利用したインクリメンタル式の回転センサなど、公知の手段で実現できる。スプール11のスムーズな回転を実現するため、非接触式の回転センサが望ましい。
【0030】
巻き取り操作検出部193は、操作部14の回転を検出する。操作部14またはそれに連動して回転するギヤ等に回転センサを取付けることで実現できる。フォトインタラプタや磁気センサを利用したインクリメンタル式の回転センサなど、公知の手段で実現できる。操作部14のスムーズな回転を実現するため、非接触式の回転センサが望ましい。巻き取り操作検出部193と、スプール回転検出部192との差分を取ることにより、ドラグ装置13によって空転した回転量を算出することができる。
【0031】
放出可能状態検出部194は、魚釣用リール10から釣糸31が放出可能であるか否かを検出する。上述の両軸リール10Aの例では、クラッチ12の接続状態を検出することで実現できる。クラッチの作動する部材の一部に、リミットセンサ等を取付ければよい。スピニングリール10Bの例では、ベールアームの作動する部材の一部に、リミットセンサ等を取付ければよい。
【0032】
設定ドラグ力検出部195は、スプール11が空転する閾値となる設定張力を検出する。ドラグ装置内の摩擦部材に働くチャージ力を、圧力センサ等により検出することによって実現できる。設定制動力検出部196は、バックラッシュ抑制のための制動力の設定値を検出する。制動力設定部151にボリューム抵抗などを設けることにより実現できる。コンピュータより制動力を設定するタイプの制動装置では、制動装置への指令値を取得することで設定制動力検出部196とすることができる。
【0033】
上記検出部19によって得られた値を、必要に応じて演算部16にて演算することで、リール10の状態および操作情報を取得または算出できる。より具体的には、釣糸に働く張力、釣糸の巻き取り量、ドラグ装置による引き出し量、ドラグ設定力、放出可能状態、制動力の設定値が得られる。また、これらの時間微分値である、巻き取り速度や張力変化量も算出可能である。
【0034】
次に、図4を用いて、釣竿20の電気部品における構成要素の詳細を説明する。
釣竿20は、ユーザによる各種操作や、釣竿20の状態を検出するための検出部21を有する。検出結果は演算部16に送られ、必要に応じて演算処理や、記憶部18で一時保存されたのち、通信部17を介して情報処理装置40に送信される。なお、この時の演算部16、通信部17、記憶部18は、有線接続などを利用することで、魚釣用リール10のものと共有してもよいし、釣竿20専用のものであってもよい。これらは、魚釣用リール10内に配置してもよいし、釣竿20に配置してもよい。
【0035】
検出部21には、下記のものが挙げられる。コストや大きさなどの制限から、一部を省略してもよい。たわみ検出部211は、釣竿20のたわみ(曲がり)を検出する。釣竿20の各部にひずみセンサを設けることにより実現できる。方位検出部212は、地磁気の方向を検出することで、釣竿20の向いている方角を検出することができる。加速度検出部213は、釣竿20の並進方向の加速度を検出する。ピエゾ抵抗方式や静電容量検出方式などの、従来公知の技術である加速度センサを利用することにより実現できる。
【0036】
角速度検出部214は、釣竿20の角速度(回転方向の速度)を検出する。振動させた圧電素子の周波数変化を検知する方式など、従来公知の技術であるジャイロセンサを利用することにより実現できる。なお、直交する3軸それぞれの方位、加速度、角速度を検出する9軸モーションセンサと呼ばれるセンサを利用することで、方位検出部212、加速度検出部213、角速度検出部214とすることができる。以後、これらをモーションセンサと呼ぶ。これらの検出結果を演算することで、釣竿20の姿勢や動作を取得できる。なお、モーションセンサはリール10内に配置してもよい。
【0037】
次に、釣具を扱うスキルの算出方法について説明する。まず、キャスティングスキルに関して説明する。キャスティングスキルの高いユーザは、仕掛けを投擲する際に下記のことを実現できる。
(a)投擲時の仕掛けの飛距離が長い。
(b)バックラッシュの発生が少ない。
(c)手返しが早い(仕掛けの回収から次の投擲までの時間が短い)。
【0038】
したがって、仕掛けの投擲距離を測定すれば、飛距離が長い程キャスティングスキルが高いと評価できる。また、糸絡みの発生を検知すれば、その発生頻度が少ないほどキャスティングスキルが高いと評価できる。また、手返しの時間を測定すれば、手返しの時間が短いほどキャスティングスキルが高いと評価できる。これらの要素の一部を用いてキャスティングスキルを算出してもよいし、これらの各要素に信頼度に応じて重みづけをしたのちに荷重平均した値を用いてもよい。
【0039】
次に、飛距離の測定方法について、両軸リール10Aを用いた場合を例に説明する。ユーザは仕掛けを投擲する際、下記のような作業を行う。
(1)クラッチ12を操作して、釣糸31を放出可能な状態にする。
(2)竿を振って仕掛けを投擲し、釣糸31を放出する。
(3)仕掛けが所定の場所に到達したら、(1)と逆の操作により、釣糸31を巻き取り可能(放出不可能)な状態にする。
(4)操作手段14を操作してルアーを泳がせたり、そのまま放置する等して、魚種や釣法に応じた手段により、魚が食いつくのを待つ。
(5)魚がかかったら、または所定の時間が経過したら、操作手段14を操作して釣糸31を巻き取り、仕掛けを回収する。
(6)巻き取り終えたら、必要に応じて魚を回収したり、釣り餌やルアーを交換し、再度(1)に戻る。
【0040】
したがって、放出可能状態検出部194によって、クラッチが開状態になったことを検出したら、釣糸の放出準備がなされたと判断し、スプール回転数のカウント値を初期化する。その後、スプール回転数検出部によってスプールが逆方向に回転するのを検出したら、検出した回転量に応じてスプール回転数のカウント値を増加させる。
【0041】
スプールの回転が止まったら、釣糸の放出が終了したと判断する。このときのスプール回転数のカウント値によって、飛距離を算出できる。釣糸の放出長さは、釣糸の伸びや弛みが無視できれば、スプールが回転した量によって一意に決まるため、公知の換算式を用いて算出することができる。仕掛けの水平方向の飛距離と、放出した糸長は、仕掛けの軌跡によっては差が出ることはあるものの、通常の投擲では大きな差は出ない。したがって、放出した糸長を用いて、仕掛けの飛距離とみなすことができる。
【0042】
このようにして得られた仕掛けの飛距離が、所定値以上であればキャスティングスキルを高く評価する。なお、習熟度の高いユーザでも、釣り場の状況に合わせて近距離に仕掛けを投擲することは多い。したがって、最低飛距離や平均飛距離が低くても、キャスティングスキルが低いと評価するのは不適切なことが多い。
【0043】
また、仕掛けの飛距離は、投擲時のスプールの最高回転数が高い程、釣竿の角速度が早いほど、遠方に飛ばすことができる。したがって、これらの値が所定値以上だったときに、キャスティングスキルが高いと評価してもよい。
【0044】
なお、仕掛けの投擲は、気象条件やタックルの種類によって難易度が変わり、例えば下記条件のときほど飛距離が出やすい。
(a)釣竿が長い
(b)錘が重い
(c)釣糸が細い
(d)仕掛けの空気抵抗が小さい
(e)追い風が強い
【0045】
したがって、本タックルに用いる仕掛けや釣竿の情報、気象条件などを、情報処理装置40に入力し、その影響を補正してキャスティングスキルを評価するとさらによい。例えば、短い釣竿を用いて50m飛ばしたときは、長い釣竿を用いて同距離を飛ばした時よりも高い評価を与えるとよい。
【0046】
次に、糸絡み発生の検知方法について説明する。両軸リール10Aを用いて投擲した場合、引出される釣糸よりもスプールの回転が速くなると、釣糸の一部が引出されずにリール内に留まり、釣糸が絡んだ状態となる所謂バックラッシュが起きる。
【0047】
糸絡みが発生していた場合、その絡まり具合が甚だしいと、絡まった糸がスプールの正常な回転を妨げてしまい、巻き取り操作を行うことができなくなってしまう。糸絡みの程度が軽い場合でも、以降のトラブル未然防止のためには、糸の弛みを解消するのが望ましい。そのため、ユーザは、巻き取り操作に入る前に、絡まった糸を解く必要がある。糸絡みを解く場合、ユーザは下記のような操作が必要となる。
【0048】
(a)クラッチを切る、又はドラグ装置の設定ドラグ力を緩めるなどの操作により、糸を引き出し可能な状態にする。
(b)緩んでいる箇所の糸を引き出す。
(c)絡まっている場所では引き出せなくなっている場合は絡みをほぐす。
(d)絡みがほぐれたら緩みがなくなるまで糸を引き出す。
(e)緩みがなくなったら糸をスプールに巻き取る。
(f)引き出した糸をすべて巻き取り、余分な糸が無くなったら釣りを再開できる。
【0049】
上記作業を行う場合、図5に示すように、ユーザは緩んだ糸をつまんだ後に、腕を伸ばすことで糸を引き出す作業を繰り返す。スプールに巻かれた糸は、数十cmから1m程度ずつ複数回、間歇的に糸が引き出される。この作業は、糸がらみが激しい場合は何度も必要で、軽い場合はすぐに終わる。
【0050】
次に、糸絡みの検出方法について、より具体的に説明する。魚釣用リールの使用方法の中で、上述の糸の放出形態は、バックラッシュの修正作業中に特有の形態である。したがって、この動作を検出し、継続時間を計測することで、バックラッシュの発生や、その絡み状態の程度を推定することができる。
【0051】
この具体的計算方法について、図6のフローチャートを用いて説明する。投擲の終了を検知すると、プログラムを開始する。投擲の終了検知は、クラッチをオフからオンにする、高速で回転していたスプールが停止または所定値以下になること等により実現できる。
【0052】
プログラム開始後、(S1)においてスプールの回転数を常時監視する。次に、(S2)において、直前のバックラッシュ判定結果によってその後の処理を変える。バックラッシュはしていないと判断することを初期値とするため、1回目である場合は、(S2)から(S3)へと進むこととなる。
【0053】
(S3)では、過去T1秒内にスプール回転数ωが立ち上がり閾値となる回転数ω1(所定の回転数)を越えた回数を数える。すなわち、ω1が20だった場合、ωが0から30になった際に当該回数として含め、20以上であり続けた場合は当該回数に含めない。
【0054】
このカウント値がN回以上だった場合に、バックラッシュの修正作業中であると判断する。NとT1の値を適切な値に設定することで、前述の(B)の場合と(C)の場合とを区別することができる。Nを大きくする程、魚の引きをバックラッシュと誤判定することは避けられるものの、バックラッシュと判定するために必要な時間T1が大きくなる。本実施形態では、例えば、N=2、T1=3秒と設定している。また、ω1の値は、ユーザが糸をほどく際に糸を引っ張る速度に相当する回転数以下に設定すればよく、本実施形態では、例えば、秒速10cm相当にしている。この値はスプールに巻かれる糸の径によって変化する。
【0055】
判定が終わったら、再度(S1)に戻る。バックラッシュと判定した後、(S2)に来た場合は、(S4)へ進む。スプール速度が所定値ω2(本実施形態では-50)よりも速く巻き取り方向に巻き取られると、ユーザがバックラッシュを解消させたと判断している。一旦バックラッシュと判定されたら、このω2よりも絶対値が大きな巻き取りが発生するまでは、バックラッシュ状態は継続すると考え、判定はNOのままである。
【0056】
次に、(S4)において、バックラッシュが解消されたと判断された場合、次回以降は再び(S3)の処理へ進み、次のバックラッシュ解消作業の検出を行なう。上記検出方法により、糸がらみの発生を検知した場合、キャスティングスキルを低く評価する。糸がらみの発生が無く投擲を繰り返した場合、キャスティングスキルを高く評価する。
【0057】
次に、手返しの時間の測定方法について説明する。ここで手返し時間とは、上述の釣りの動作(1)~(6)のうち、(6)から次の(1)までの時間間隔と定義する。一般に、釣果を上げるためには、手返し時間は短いほど良い。魚が釣れる可能性のあるのは、上記(3)~(5)の間であるため、釣りをしている全時間のうち、この区間の割合が長いほど釣果は上がり得る。(3)~(5)以外で最も時間がかかるのが(6)から(1)の区間であるため、この間に行うべき作業を手際よく進めることで、魚が釣れる可能性が上がる。熟練者ほど(6)から(1)に要する時間が短く、より多くの魚を釣る傾向がある。
【0058】
両軸リール10Aの場合では、放出可能状態検出部194によって、クラッチがオン状態からオフ状態に切り替わることを検出した場合、(1)になったと認識できる。その後、スプール回転検出部192によってスプール11Aが回転を開始したことを検出した場合、(2)になったと認識できる。その後、放出可能状態検出部194によって、クラッチがオフ状態からオン状態に切り替わることを検出した場合、(3)になったと認識できる。(1)から(3)の現象が連続して発生した場合に、釣糸の放出が発生したと認識できる。このときの発生時刻を記録する。
【0059】
回収終了検出部162による仕掛けの回収終了の検出方法について説明する。
上記の(6)で釣糸の回収が終了してから、次回放出時の(3)の間、ほとんどの場合ユーザは巻き取り操作を行わない。したがって、釣糸の放出開始を検出した場合、その直前に行われた最後の巻き取り操作を行なった時間が、回収終了を行なった時間である。この時間を記録しておくことで、仕掛けの回収を検出することができる。
【0060】
仕掛け回収終了から次の放出開始までの時間差を算出することで、手返し時間が得られる。上記検出方法により測定した手返し時間が、所定値よりも短かった場合にキャスティングスキルを高く評価する。また、所定値よりも長かった場合にキャスティングスキルを低く評価する。
【0061】
なお、上記で説明した3種類の評価方法は、キャスティングスキルの評価方法の一例に過ぎない。他にも、キャスティングスキルを構成する要素はあり、その中にはタックルへの操作を検出することで算出可能なものもある。それらを、機械学習を用いた手法で算出してもよい。すなわち、習熟度の高いユーザの操作データと、習熟度の低いユーザの操作データを多数用意し、教師データとする。その教師データを、ニューラルネットワークやデータマイニングを利用した評価方法で判断することにより、キャスティングスキルを算出してもよい。
【0062】
次に、リーリングスキルの算出方法について説明する。魚を釣針に食いつかせるための方法は、対象魚や釣法によって様々である。その中には、ルアーを引く速度の変化が少なく、一定速で動かすことができると釣果が上がる手法および状況が存在する。しかし、ハンドルを手で回す際のハンドル角度に応じた操作性の違いから、ハンドルを一定速で回転させるのは容易ではなく、熟練者ほど速度変化を少なくハンドルを回すことができる。このような釣法では、ハンドルを回す速度変化を検出すれば、速度変化が少ないほどリーリングスキルが高いと評価できる。
【0063】
ハンドルを回す速度は、巻き取り操作検出部193によって検出できる。この値を一定期間監視し、その間の最大値と最小値との差が、この期間のハンドルを回す速度変化である。ハンドルを停止させているときは、速度変化もゼロになるため、評価対象から外すと良い。
【0064】
なお、上記で説明した評価方法は、リーリングスキルの評価方法の一例に過ぎない。ほかにも、対象魚や釣法によってリーリングスキルを構成する要素は多数あり、その中にはタックルへの操作を検出することで算出可能なものもある。それらを、機械学習を用いた手法で算出してもよい。すなわち、習熟度の高いユーザの操作データと、習熟度の低いユーザの操作データを多数用意し、教師データとする。その教師データを、ニューラルネットワークなどの機械学習を利用した評価方法で判断することにより、リーリングスキルを算出可能してもよい。
【0065】
次に、ファイティングスキルの算出方法について説明する。この値は、魚が仕掛け30に食いついた時が評価対象であるため、まずそれを検出する必要がある。その方法としては、張力検出部191で検出する釣糸の張力が所定値以上になる、たわみ検出部211で検出する釣竿の曲がりが所定値以上になる、特定の周波数で釣竿が振動する、などの方法で、魚の食いつきを検出できる。ファイティングスキルを評価する判断基準の一つに、魚が掛かってから釣り上げるまでの張力変化がある。釣糸の張力が急激に弱くなると、釣糸の弛みが生じやすくなり、釣針が魚から外れるリスクが上がる。このような状態を検出した場合、ファイティングスキルを低く評価する。また、ドラグ装置の設定が適切でない、竿の操作が適切でない場合など、釣糸に働く張力が破断張力付近まで上がる場合、釣り糸が破断するリスクが上がる。このような状態を検出した場合、ファイティングスキルを低く評価する。
【0066】
釣糸の張力を保ったまま、あるいは釣竿の曲がりが所定値以上であることを保ったまま、釣糸の放出糸長がゼロ付近まで下がってきたら、無事に魚を釣り上げたと判断できる。このような場合、ファイティングスキルを高く評価する。また、魚が掛かってから回収までの時間が短いほど、ファイティングスキルを高く評価してもよい。
【0067】
このように、検出部19および21の検出結果を演算することで、ファイティングスキルを評価することができる。これらは、複数の検出結果の組み合わせで判断すると良好なことが多いため、ニューラルネットワークなどの機械学習法が有効である。
【0068】
上記の例では、釣具を扱うスキル全体を、キャスティングスキル、リーリングスキル、ファイティングスキルの3つに分けた。
この3つの各スキルをそれぞれ重みづけして荷重平均することで、全体のスキルを算出しても良い。これにより、指標として一つの値で表すことができるので、グラフ表示する際などに扱いやすくなる。
【0069】
なお、対象魚や釣りの方法によって、各スキルの重要度は変わる。例えば、キスの投げ釣りでは、遠投するほど有利になることが多いのでキャスティングスキルは重要だが、対象魚の泳力が弱いためファイティングスキルの重要度は低い。一方、深場の船釣りで大物を狙うときは、仕掛けは海底に落とすだけのことが多いためキャスティングスキルの重要度は低いが、対象魚の泳力が強いためファイティングスキルの重要度は高い。したがって、対象魚や釣りの方法に応じて、加重平均する際の各項目への重みづけを変更してもよい。
【0070】
また、釣具を扱うスキルは、一般に釣具を使う経験が増えるほど向上する。したがって、釣具を扱う時間や、釣糸を放出する回数が多いほど、スキルが高いと評価してもよい。すなわち、リール10や釣竿20の使用時間を監視し、使用時間が所定時間を越えるごとにスキル値を増加させる。または、放出可能状態検出部194やスプール回転数検出部192、巻き取り操作検出部193を監視して仕掛けの放出回数をカウントし、放出回数が所定値を越えるごとにスキル値を増加させる。この値は、タックルの使用状態や使用方法に応じて、キャスティングスキル、リーリングスキル、ファイティングスキルの各要素に加えてもよいし、経験値スキルを別に定義して、その値としてカウントしてもよい。
【0071】
上記の方法で算出したスキル値は、必要に応じて記憶部18に保存し、表示部34に表示する。図7から図11は、スキル値を表示した例である。
【0072】
まず、図7では、釣具を扱うスキル(総合スキルで本実施形態では各要素の合計)を構成する各項目を表示している。これにより、ユーザは自分のスキルを把握するのに役立つ。このとき、図7のように、各項目をチャート図で表すなど、視覚的表現を使うとよい。また、本実施形態では、総合スキルに応じたランク表示をしている。このようにすることで、ユーザのやりがい向上に繋げることができる。
【0073】
次に、図8は、釣り大会に参加したユーザたちの釣果とスキル値を表示した例である。このように、複数ユーザのスキルを表示し、比較することで、順位付けの基準として利用してもよい。
【0074】
また、図9は、各スキル値の経時変化を月毎に表示したものである。他方で、図10では、1日におけるスキル値の変化量に基づいた表示例である。このように、経時変化表示や賞賛表示を行なうことで、ユーザに釣り具を扱うスキルの向上を実感させることができ、釣りに対するやりがい向上につなげることができる。
【0075】
さらに、図11(a)は、タックルの種類それぞれに対するスキル値を表示している。また、図11(b)は、制動装置15の制動力に応じたキャスティングスキル値を表示している。このように、横軸にユーザの行なえる操作やタックルの種類をとり、縦軸にスキル値を取ることで、どのタックルを使えばよいかの判断基準としたり、タックルの設定値を最適化することができる。例えば図11(b)の例では、ブレーキ2の制動力を用いることで、投擲時に最も有利となることが判る。
【0076】
次に、本発明の一実施形態に係る釣情報管理システム100について説明する。本発明の一実施形態に係る釣情報管理システム100は、魚釣用リール1、釣竿21、及び釣情報処理装置10を含むように構成される。
【0077】
より具体的には、本発明の一実施形態に係る釣情報管理システム100は、釣糸を巻回可能なスプール3を有する魚釣用リール1が取付けられた釣竿21を備え、該魚釣用リール1と該釣竿21とを含む釣具の使用時の該釣具の操作と操作環境に関する情報を検出する操作・環境情報検出部22と、該釣具の操作に関する情報から、該釣具の操作の習熟度を算出する演算部32と、該検出値と該習熟度を記憶する記憶部33と、該検出値と該習熟度の少なくともいずれかを表示する表示部34と、を備えるように構成される。
【0078】
本発明の一実施形態に係る釣情報管理システム100により、魚釣に関する様々な情報から算出された魚釣の習熟度を算出することが可能な釣糸を巻回可能なスプールを有する魚釣用リールが取付けられた釣竿を備える釣情報管理システムを提供することが可能となる。
【0079】
本発明の一実施形態に係る釣情報管理システム100において、当該釣具は、前記魚釣用リール、前記釣竿、前記釣糸、針、及び仕掛けを少なくとも含むように構成される。
【0080】
本発明の一実施形態に係る釣情報管理システム100において、当該釣具の操作環境は、該釣具の使用開始時刻、使用終了時刻、該釣具の使用時の気象条件、及び該釣具の使用場所を少なくとも含むように構成される。
【0081】
本発明の一実施形態に係る釣情報管理システム100において、当該操作・環境情報検出部22は、該魚釣用リール1の操作情報を検出するリール操作情報検出部23と、該釣竿21の操作情報を検出する釣竿操作情報検出部24と、を少なくとも含むように構成される。
【0082】
本発明の一実施形態に係る釣情報管理システム100において、当該魚釣用リール1の操作情報は、リールのドラグ引出し量、リールのドラグ引出し速度、スプール回転開始点、スプール回転終了点、スプール径、スプールの最高回転数、スプールの回転速度履歴、ブレーキ設定、釣竿のモーション、バックラッシュ情報の少なくともいずれかを含むように構成される。
【0083】
本発明の一実施形態に係る釣情報管理システム100において、当該釣竿21の操作情報は、釣竿の速度、釣竿の加速度、釣竿の変形量、釣竿のモーション、釣竿投擲方法の少なくともいずれかを含むように構成される。
【0084】
本発明の一実施形態に係る釣情報管理システム100において、前記釣具の操作の習熟度は、リールの飛距離、リールの最高回転数、又は手返し時間の少なくともいずれかから算出されるように構成される。このようにして、適切な検出値に基づき、魚釣の習熟度を算出することが可能となる。
【0085】
本明細書で説明された各構成要素の寸法、材料、及び配置は、実施形態中で明示的に説明されたものに限定されず、この各構成要素は、本発明の範囲に含まれうる任意の寸法、材料、及び配置を有するように変形することができる。また、本明細書において明示的に説明していない構成要素を、説明した実施形態に付加することもできるし、各実施形態において説明した構成要素の一部を省略することもできる。
【符号の説明】
【0086】
10 魚釣用リール
11 スプール
12 クラッチ
13 ドラグ装置
14 操作部
15 制動装置
16 演算部
17 通信部
18 記憶部
19 検出部
20 釣竿
21 検出部
22 操作・環境情報検出部
23 リール操作情報検出部
24 釣竿操作情報検出部
25 送信部(送受信部)
30 仕掛け
31 釣糸
32 ルアー(疑似餌)
33 処理部
34 表示部
35 受信部
36 リスト作成部
40 情報処理装置
100 釣情報管理システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11