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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-22
(45)【発行日】2024-01-05
(54)【発明の名称】放射線検出器及び穴明け装置
(51)【国際特許分類】
   G01T 1/20 20060101AFI20231225BHJP
   G02B 6/06 20060101ALI20231225BHJP
【FI】
G01T1/20 C
G01T1/20 E
G01T1/20 G
G01T1/20 L
G02B6/06
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020148892
(22)【出願日】2020-09-04
(65)【公開番号】P2022043562
(43)【公開日】2022-03-16
【審査請求日】2023-03-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000236436
【氏名又は名称】浜松ホトニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140442
【弁理士】
【氏名又は名称】柴山 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100170818
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 秀輝
(72)【発明者】
【氏名】太田 宣宏
(72)【発明者】
【氏名】阿井 稔晴
【審査官】大門 清
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2002/042798(WO,A1)
【文献】特開2002-048871(JP,A)
【文献】米国特許第06448544(US,B1)
【文献】特開平10-156793(JP,A)
【文献】特開2003-302538(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0224561(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01T 1/20
G02B 6/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
受け入れた放射線に対応する光を発生するシンチレータと、
前記シンチレータが発生した前記光を光入射面から受けると共に、光出射面から出射するファイバ光学プレートと、
前記光出射面から出射された前記光を受ける受光部を有すると共に受けた前記光に対応する電気信号を発生する固体撮像素子を有する撮像部と、
前記固体撮像素子から前記電気信号を受ける駆動回路と、
前記撮像部及び前記駆動回路を収容する筐体と、
前記筐体に対する前記撮像部の位置を保持する第1保持部材と、
前記受光部に対する前記光出射面の位置を保持する第2保持部材と、を備え、
前記ファイバ光学プレートと前記撮像部とは、前記第2保持部材によって一体化されており、
前記撮像部は、前記駆動回路に対して移動可能である、放射線検出器。
【請求項2】
前記駆動回路を前記筐体に対して固定する固定部材をさらに備える、請求項1に記載の放射線検出器。
【請求項3】
前記撮像部から前記駆動回路に対して前記電気信号を伝えると共に可撓性を有するフレキシブル基板をさらに備える、請求項1又は2に記載の放射線検出器。
【請求項4】
前記ファイバ光学プレートは、前記光出射面側に設けられて前記光の進行方向に沿って断面積が次第に小さくなるテーパ部を含む、請求項1~3の何れか一項に記載の放射線検出器。
【請求項5】
前記ファイバ光学プレートにおける前記光出射面側の側面には、カット面が設けられている、請求項1~4の何れか一項に記載の放射線検出器。
【請求項6】
前記撮像部は、
前記固体撮像素子が取り付けられる素子取付面と、
前記素子取付面から立設する枠部と、を含む、請求項1~5の何れか一項に記載の放射線検出器。
【請求項7】
前記第1保持部材は、エポキシ樹脂又はシリコーンゴムである、請求項1~6の何れか一項に記載の放射線検出器。
【請求項8】
前記第2保持部材は、エポキシ樹脂である、請求項1~7の何れか一項に記載の放射線検出器。
【請求項9】
前記光出射面の面積は、前記光入射面の面積より小さい、請求項1~8の何れか一項に記載の放射線検出器。
【請求項10】
被加工物の第1の面側に配置されて、前記被加工物の前記第1の面に向けて放射線を照射する放射線出射部と、
前記被加工物の前記第1の面に対して逆側の第2の面側に配置されて、前記放射線出射部から照射されて前記被加工物を透過した前記放射線を受ける放射線検出部と、
前記放射線検出部を被加工物に対して相対的に移動させる移動機構と、
前記被加工物に貫通穴を形成する穴明け部と、を備え、
前記放射線検出部は、
受け入れた放射線に対応する光を発生するシンチレータと、
前記シンチレータが発生した前記光を光入射面から受けると共に、光出射面から出射するファイバ光学プレートと、
前記光出射面から出射された前記光を受ける受光部を有すると共に受けた前記光に対応する電気信号を発生する固体撮像素子を有する撮像部と、
前記固体撮像素子から前記電気信号を受ける駆動回路と、
前記撮像部及び前記駆動回路を収容する筐体と、
前記筐体に対する前記撮像部の位置を保持する第1保持部材と、
前記受光部に対する前記光出射面の位置を保持する第2保持部材と、を備え、
前記ファイバ光学プレートと前記撮像部とは、前記第2保持部材によって一体化されており、
前記撮像部は、前記駆動回路に対して移動可能である、穴明け装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線検出器及び穴明け装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1、2は、放射線検出器を開示する。放射線検出器は、シンチレータとファイバ光学プレートと固体撮像素子とを備えている。放射線検出器は、シンチレータによって放射線を可視光線に変換する。放射線検出器は、ファイバ光学プレートによってシンチレータから固体撮像素子に可視光線を導く。そして、放射線検出器は、固体撮像素子によって当該可視光線を検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第4080873号
【文献】特許第4070598号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
放射線検出器の技術分野にあっては、検出能力の向上が望まれている。検出能力を向上させる手段として、シンチレータ及びファイバ光学プレートといった光学部品の大型化が挙げられる。光学部品は、固体撮像素子や当該素子を駆動する回路基板を収容する筐体に収められている。より詳細には、光学部品の一部は、筐体に対して固定されている。この光学部品には、固体撮像素子が固定されている。さらに、固体撮像素子には、電極ピンを介して回路基板が固定されている。そして、回路基板は、筐体に対してネジなどによって固定されている。
【0005】
筐体に複数の構成要素が収容されており、それぞれの構成要素が個別に筐体に固定されていると、構成要素の接続箇所において力学的な負荷が発生することがある。例えば、衝撃や振動が加わったとき、質量の違いに応じて、光学部品と回路基板との動きに差異が生じる。その結果、光学部品と回路基板との接続箇所に負荷が発生する。光学部品と回路基板との質量差が大きいほど、動きの違いが大きくなるので、負荷が大きくなりやすい。従って、光学部品を大型化することが難しかった。
【0006】
そこで、本発明は、光学部品の大型化を可能とする放射線検出器及び当該放射線検出器を備えた穴明け装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一形態である放射線検出器は、受け入れた放射線に対応する光を発生するシンチレータと、シンチレータが発生した光を光入射面から受けると共に光出射面から出射するファイバ光学プレートと、光出射面から出射された光を受ける受光部を有すると共に受けた光に対応する電気信号を発生する固体撮像素子を有する撮像部と、固体撮像素子から電気信号を受ける駆動回路と、撮像部及び駆動回路を収容する筐体と、筐体に対する撮像部の位置を保持する第1保持部材と、受光部に対する光出射面の位置を保持する第2保持部材と、を備え、ファイバ光学プレートと撮像部とは、第2保持部材によって一体化されており、撮像部は、駆動回路に対して移動可能である。
【0008】
放射線検出器では、ファイバ光学プレート及び撮像部が一体の構造物としてみなせる。そして、これらは、第1保持部材によって一体として筐体に保持されている。一方、撮像部は、駆動回路に対して移動可能である。そうすると、比較的質量の大きいファイバ光学プレートと一体である撮像部と、比較的質量の小さい駆動回路との間に相対的な位置の変化が生じたとしても、それぞれが独立に動くことが可能である。つまり、撮像部と駆動回路との間に、相対位置の変化に起因する負荷が発生しない。その結果、駆動回路の特性に左右されることなく、ファイバ光学プレートの大きさや質量を決めることが可能になる。従って、光学部品であるシンチレータ及びファイバ光学プレートを大型化することができる。
【0009】
一形態における放射線検出器は、駆動回路を筐体に対して固定する固定部材をさらに備えてもよい。この構成によれば、駆動回路を確実に固定することができる。
【0010】
一形態における放射線検出器は、撮像部から駆動回路に対して電気信号を伝えると共に可撓性を有するフレキシブル基板をさらに備えてもよい。この構成によれば、撮像部に対して駆動回路の移動を許容しながら、撮像部から駆動回路に対して電気信号を伝える構成を実現できる。
【0011】
一形態において、ファイバ光学プレートは、光出射面側に設けられて光の進行方向に沿って断面積が次第に小さくなるテーパ部を含んでもよい。この構成によれば、光入射面の面積を大きくして感度を高めると共に、光出射面の面積を小さくして撮像素子の小型化を図ることができる。
【0012】
一形態において、ファイバ光学プレートにおける光出射面側の側面には、カット面が設けられていてもよい。この構成によれば、ファイバ光学プレートを好適に筐体に配置することができる。
【0013】
一形態において、撮像部は、固体撮像素子が取り付けられる素子取付面と、素子取付面から立設する枠部と、を含んでもよい。この構成によれば、固体撮像素子を保護しながら固体撮像素子とファイバ光学プレートとを接続することができる。
【0014】
一形態において、第1保持部材は、エポキシ樹脂又はシリコーンゴムであってもよい。この構成によれば、ファイバ光学プレートを筐体に確実に保持することができる。
【0015】
一形態において、第2保持部材は、エポキシ樹脂であってもよい。この構成によれば、受光部に対する光出射面の位置を好適に保持することができる。
【0016】
一形態において、光出射面の面積は、前記光入射面の面積より小さくてもよい。この構成によれば、光出射面の面積を小さくして撮像素子の小型化を図ることができる。
【0017】
本発明の別の形態である穴明け装置は、被加工物の第1の面側に配置されて、被加工物の第1の面に向けて放射線を照射する放射線出射部と、被加工物の第1の面に対して逆側の第2の面側に配置されて、放射線検出部から照射されて被加工物を透過した放射線を受ける放射線検出部と、放射線検出部を被加工物に対して相対的に移動させる移動機構と、被加工物に貫通穴を形成する穴明け部と、を備え、放射線検出部は、受け入れた放射線に対応する光を発生するシンチレータと、シンチレータが発生した光を光入射面から受けると共に光出射面から出射するファイバ光学プレートと、光出射面から出射された光を受ける受光部を有すると共に受けた光に対応する電気信号を発生する固体撮像素子を有する撮像部と、固体撮像素子から電気信号を受ける駆動回路と、撮像部及び駆動回路を収容する筐体と、筐体に対する撮像部の位置を保持する第1保持部材と、受光部に対する光出射面の位置を保持する第2保持部材と、を有し、ファイバ光学プレートと撮像部とは、第2保持部材によって一体化されており、撮像部は、駆動回路に対して移動可能である。
【0018】
この穴明け装置は、上述した放射線検出器を備えている。従って、大型化が可能なファイバ光学プレートによって穴明け位置の検出精度を高めることができる。さらに、放射線検出部を被加工物に対して相対的に移動させる場合、放射線検出器は、大型の光学部品を備えていながら、移動速度を高めることも可能である。従って、加工速度を高めることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、光学部品の大型化を可能とする放射線検出器及び当該放射線検出器を備えた穴明け装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、実施形態に係る放射線検出器の構造を示す斜視図である。
図2図2は、実施形態に係る放射線検出器の構造を示す正面図である。
図3図3は、図1に示す放射線検出器が備える第2保持部材及びコーティング部材を示す拡大図である。
図4図4は、ファイバ光学プレートの斜視図である。
図5図5は、ファイバ光学プレートの側面図である。
図6図6図1に示す放射線検出器を備えたX線ドリリング装置を示す概要図である。
図7図7は、比較例に係る放射線検出器の構造を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付図面を参照しながら本発明を実施するための形態を詳細に説明する。図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0022】
図1及び図2に示すように、放射線検出器1は、筐体2と、X線検出部3と、駆動回路4と、を備えている。
【0023】
筐体2は、X線検出部3の一部と、駆動回路4と、を収容する。筐体2は、収容物をX線から遮蔽する。筐体2の形状は、略直方体であり、ステンレス鋼製の部材からなる。筐体2は、ケース21と、固定部材22と、を有する。ケース21は、X線検出部3の一部(後述する固体撮像素子)と駆動回路4とを収容する。ケース21の第1の端部には、固定部材22が取り付けられている。ケース21の第2の端部には、接続端子23が設けられている。この接続端子23は、駆動回路4との電気的な信号を送受信するものであってもよいし、電力を供給するためのものであってもよい。
【0024】
固定部材22は、X線検出部3の別の部分(後述するファイバ光学プレート34)を収容する。また、固定部材22は、ファイバ光学プレート34を保持する。固定部材22は、例えば、平面視して円形の貫通穴22hを有する。貫通穴22hには、ファイバ光学プレート34が配置されている。固定部材22の厚みは、ファイバ光学プレート34の長さよりも短くてもよい。つまり、固定部材22の第1の端部からファイバ光学プレート34の第1の端部である光入射面34Rが突出する。同様に、固定部材22の第2の端部からファイバ光学プレート34の第2の端部である光出射面34Sが突出する。ファイバ光学プレート34の第2の端部は、前述のケース21の内部に配置される。
【0025】
固定部材22は、ケース21に対して固定されている。この固定とは、固定部材22の位置がケース21に対して実質的に変化しないことを意味する。つまり、固定部材22とケース21とは、一体物としてみなしてよい。
【0026】
X線検出部3は、パッケージ31と、回路基板32と、固体撮像素子33と、ファイバ光学プレート34と、シンチレータ35と、閉鎖部材36と、を有する。これらのうち、パッケージ31、回路基板32、固体撮像素子33及び閉鎖部材36は、撮像部5を構成する。セラミック製の部材からなるパッケージ31には、固体撮像素子33が取り付けられる。パッケージ31は、素子取付面31aと、枠部31bと、を有する。素子取付面31aは、固体撮像素子33を取り付ける領域と配線パターンとが形成されており、配線パターンと固体撮像素子33とは、ボンディングワイヤによって電気的に接続されている。素子取付面31aにおける周辺部には、素子取付面31aから立設する枠部31bが設けられている。枠部31bの高さは、固体撮像素子33よりも高いし、ボンディングワイヤよりも高い。この素子取付面31aと枠部31bとに囲まれた空間は、固体撮像素子33を収容する凹部31S(図2参照)である。
【0027】
図3に示すように、閉鎖部材36は、凹部31Sを覆う。閉鎖部材36は、パッケージ31の枠部31bに固定されている。閉鎖部材36は、ポリイミドフィルムを用いた樹脂テープ(例えば、カプトン(登録商標)テープ)であってもよい。閉鎖部材36には、開口36hが形成されている。開口36hは、ファイバ光学プレート34を挿通させるためのものである。この閉鎖部材36によれば、後述するコーティング部材37Bが凹部31Sに入り込むことを抑制できる。
【0028】
なお、閉鎖部材36は、樹脂テープである必要はない。例えば、閉鎖部材として、充分な剛性を有すると共に可視光を遮る金属板を採用してもよい。閉鎖部材として、厚さ1mm程度のステンレス鋼製の不透明な板状部材を採用してもよい。閉鎖部材としてステンレス鋼製の不透明な板状部材を採用した場合には、X線及び可視光線を遮蔽することができる。
【0029】
閉鎖部材36には、コーティング部材37Bが設けられている。より詳細には、コーティング部材37Bは、閉鎖部材36を覆っている。閉鎖部材36は、凹部31Sを覆う部分と、枠部31bを覆う部分と、を含む。コーティング部材37Bは、これらの両方の部分に設けられている。このうち、枠部31bを覆う部分に設けられたコーティング部材37Bは、厳密には閉鎖部材36に設けられているといえるが、本実施形態ではこの構成をコーティング部材37Bは、枠部31b上に設けられているともいう。また、コーティング部材37Bは、閉鎖部材36とファイバ光学プレート34との境界を覆っている。コーティング部材37Bは、ファイバ光学プレート34の表面であるカット面34Cに接してもよい。コーティング部材37Bが閉鎖部材36とファイバ光学プレート34との間に充填されることにより、パッケージ31の内側(凹部31S)は、封止される。つまり、パッケージ31の内部と外部との間で、ガスや水蒸気などの出入りは阻害される。換言すると、コーティング部材37Bは、閉鎖部材36とファイバ光学プレート34との連結部分から凹部31Sへの水分の侵入を防止する。コーティング部材37Bは、例えばエポキシ樹脂を採用してよい。コーティング部材37Bは、凹部31Sには、侵入させないことが望ましい。この構成によれば、コーティング部材37Bの熱変形に起因して、凹部31Sに配置されている固体撮像素子33やボンディングワイヤにダメージが与えられることを抑制できる。
【0030】
固体撮像素子33は、凹部31Sの底を形成する素子取付面31aに固定される。凹部31Sの固体撮像素子33が固定された領域の外側には、複数の電極パッドが設けられている。固体撮像素子33と電極パッドとは、前述したボンディングワイヤによって互いに接続されている。これらの電極パッドを含む配線パターンは、パッケージ31の入出力部に接続されているフレキシブル基板38によって駆動回路4に対して電気的に接続されている。
【0031】
固体撮像素子33は、シリコン基板に形成されたCMOSイメージセンサである。固体撮像素子33は、受光部33aを含む。固体撮像素子33は、生成した信号を出力する複数の電極パッドを含む。固体撮像素子33の電極パッドは、素子取付面31aの電極パッドに対してボンディングワイヤによって電気的に接続されている。固体撮像素子33が生成した信号は、固体撮像素子33側の電極パッド、ボンディングワイヤ、パッケージ31側の電極パッド、配線パターン、及び、フレキシブル基板38(図1参照)を介して、駆動回路4に出力される。
【0032】
固体撮像素子33の受光部33aには、エポキシ光学接着剤37Aが塗布されており、このエポキシ光学接着剤37Aによってファイバ光学プレート34の光出射面34Sが固定されている。エポキシ光学接着剤37Aは、ファイバ光学プレート34に対する固体撮像素子33の位置を保持する。つまり、エポキシ光学接着剤37Aは、第2保持部材である。
【0033】
なお、第2保持部材が設けられる位置は、ファイバ光学プレート34に対する固体撮像素子33の位置を保持できる位置であれば、上記の位置に限定されない。例えば、コーティング部材37Bの内側に配置されてもよい。つまり、第2保持部材は、閉鎖部材36とファイバ光学プレート34とを固定するように設けられてもよい。
【0034】
図4に示すように、ファイバ光学プレート34は、シンチレータ35が発生した光を固体撮像素子33まで導く。従って、ファイバ光学プレート34は、シンチレータ35と固体撮像素子33の間に配置されている。ファイバ光学プレート34は、コアガラス材料からなるコア、クラッドガラス材料からなるクラッドコアガラス等で構成される。
【0035】
ファイバ光学プレート34は、光入射面34Rと、光出射面34Sと、を有する。ファイバ光学プレート34の光入射面34Rは、シンチレータ35に対して光学的に接続されている。ファイバ光学プレート34の光出射面34Sは、X線入射方向から見て固体撮像素子33の受光部33aの有効領域を含む。光学的な接続には、ファイバ光学プレート34の光入射面34Rに対してシンチレータ35が直接に接触する態様だけではなく、ファイバ光学プレート34の光入射面34Rとシンチレータ35との間に光学材料が配置される態様を含んでよい。ファイバ光学プレート34の光出射面34Sは、固体撮像素子33の受光部33aに対してエポキシ光学接着剤37Aによって光学的に接続されている。
【0036】
ファイバ光学プレート34は、光出射面34Sが固体撮像素子33の受光部33aに対して光学的に接続された状態で保持される。より詳細には、ファイバ光学プレート34は、第1保持部材39によって固定部材22に保持されている。ファイバ光学プレート34は、被保持面34tを含んでおり、被保持面34tは、固定部材22に設けられた貫通穴22hの内周面22tに向いている。被保持面34tにおけるファイバ光学プレート34の外径は、貫通穴22hの内径よりも小さいので、被保持面34tと内周面22tとの間には、隙間が形成される。
【0037】
そして、被保持面34tと内周面22tとの間に形成された隙間には、第1保持部材39が充填されている。被保持面34tが円周面である場合には、第1保持部材39はX線入射方向から見て円環状である。第1保持部材39は、樹脂製の材料からなる。例えば、第1保持部材39は、シリコーンゴムであってもよい。そうすると、第1保持部材39は、有意な弾性変形を生じるものとしてみてもよい。この有意な弾性変形によれば、固定部材22に対するファイバ光学プレート34の位置が有意に変化し得る。例えば、初期状態として、ファイバ光学プレート34の中心軸線と貫通穴22hの中心軸線とが一致しているとすれば、被保持面34tから内周面22tまでの距離は、同じである。一方、第1保持部材39に変形が生じたとすれば、被保持面34tから内周面22tまでの距離に偏りが生じる。
【0038】
光出射面34Sの面積は、光入射面34Rの面積より小さい。このような関係を有するファイバ光学プレート34の形状は、テーパ形状である。ファイバ光学プレート34の光入射面34Rの面積は、一例として310mm程度である。また、ファイバ光学プレート34の光出射面34Sの面積は、一例として95mm程度である。従って、光入射面34Rの面積と光出射面34Sの面積との比率は、1.0以上であり、一例として3.24である。
【0039】
ファイバ光学プレート34の形状について、さらに説明する。ファイバ光学プレート34は、光入射面34Rを含む上流部34aと、光出射面34Sを含む下流部34b(テーパ部)と、を含む。図4及び図5に示す例示において、上流部34aは、X線入射方向RAに沿って、X線入射方向RAと直交する幅が一定である。つまり、平面視した上流部34aの形状が円形であるならば、X線入射方向RAと直交する幅とは直径のことである。
【0040】
下流部34bの形状は、X線入射方向RAに沿って所定の割合で次第に幅が狭くなる。図4及び図5に示す例示によれば、下流部34bのおおよその形状は、先すぼみの略テーパ形状である。X線入射方向RAを含む面において下流部34bを断面視したとき、下流部34bの断面形状を規定する外形線は、曲線である。つまり、下流部34bの外表面は、曲面である。さらに、下流部34bは、この曲面の一部が削り取られて形成された4つの平面を含む。これらの4つの平面をカット面34Cと称する。
【0041】
カット面34Cの下端は、光出射面34Sを囲む。つまり、下端は、光出射面34Sの形状を規定する。従って、カット面34Cを設けることによって、光出射面34Sの形状を任意の平面形状にすることができる。例えば、図4及び図5に示す例では、光出射面34Sの形状は、長方形である。光出射面34Sの形状は、固体撮像素子33の受光部33aの形状に対応する。このような構成によれば、放射線検出器1を小型化することができる。
【0042】
カット面34Cは、例えば、X線入射方向RAに沿う軸線AZに対して直交する仮想平面AXとの間の角度A1と、カット面34Cを含む仮想平面と軸線AZとの交点の位置によって規定できる。角度A1は、30度以上60度以下である。例えば、角度A1は、50度としてよい。また、カット面34Cによれば、ファイバ光学プレート34の周囲に配置される部品との干渉を避けることができる。このような構成によっても、放射線検出器1を小型化することができる。そのうえ、放射線検出器1を組み立てる際、例えば、固体撮像素子33とファイバ光学プレート34とを接続する工程では、パッケージ31が取り付けられる回路基板32の位置決め又は固定のための治具を用いる。この場合において、カット面34Cを設けることにより、治具にファイバ光学プレート34が干渉しにくくなる。つまり、ファイバ光学プレート34と固体撮像素子33とを互いに保持するエポキシ光学接着剤37Aが配置される領域の周囲に、充分な作業空間を確保することができる。従って、固体撮像素子33とファイバ光学プレート34との組み立て作業を容易に行うことができる。要するに、カット面34Cの態様は、光出射面34Sの形状だけでなく、周辺部品との位置関係によって決めてもよい。
【0043】
再び図1及び図2を参照する、ファイバ光学プレート34の光入射面34Rには、シンチレータ35が形成されている。シンチレータ35は、第1の端面35Rから入射したX線を光に変換する。光の波長帯は、固体撮像素子33が感度を有する波長帯に対応する。そして、シンチレータ35は、光を第2の端面35Sから出射する。シンチレータ35は、CsI、NaI等の柱状結晶又は粒状結晶からなる。シンチレータ35の表面には、有機膜が設けられている。この有機膜は、シンチレータ35に空気が触れることを防ぐ。その結果、潮解性を有するシンチレータの場合に潮解による発光効率の劣化が抑制される。潮解性を有さないシンチレータの場合は有機膜を形成しなくてもよい。有機膜は、X線の透過性が高く且つ水蒸気及びガスの透過が極めて少ない、ポリパラキシリレン、ポリパラクロロキシリレン等のキシリレン系樹脂からなる。有機膜の形成には、CVD(化学的蒸着)法等が用いられる。これらのパリレンによるコーティング膜は、水蒸気及びガスの透過が極めて少ない。さらに、これらのコーティング膜は、撥水性及び耐薬品性も高い。そのうえ、これらのコーティング膜は、薄膜であっても優れた電気絶縁性を有するうえに、放射線、可視光線に対して透明である。有機膜の外側あるいは内側には、金、銀、アルミニウム等からなる反射薄膜が設けられている。反射薄膜は、シンチレータ35で発生した光のうち、固体撮像素子33(ファイバ光学プレート34)側でなく、X線入射面側に向かう光を反射する。その結果、光の損失が低減されるので、放射線検出器1の感度を高めることができる。また、反射膜は、外部から侵入し、ノイズとなる光を遮断することもできる。
【0044】
シンチレータ35の第1の端面35R側には、フィルタ41が配置されている。フィルタ41は、シンチレータ35に受け入れるX線を選択的に透過する。フィルタ41は、第1の端面35Rを覆う円形又は矩形の平板である。矩形のフィルタ41は、それぞれの角部において、スペーサ42を介して固定部材22に対して着脱可能に固定されている。スペーサ42の長さは、フィルタ41とシンチレータ35との間隔が所定値となるように設定されている。フィルタ41には、アルミニウム製の板状部材を採用してよい。フィルタ41の厚さは、1mm程度である。アルミニウム製のフィルタ41によれば、低エネルギーのX線を遮蔽すると共に、高エネルギーのX線を透過する。その結果、高エネルギーのX線を精度よく検出することができる。また、フィルタ41の材質及び厚さは、検出対象となるX線のエネルギーの大きさに応じて適宜選択してよい。
【0045】
なお、フィルタ41は、板形の部材に限定されない。例えば、フィルタ41として、ファイバ光学プレート34の側面を覆う側部を有するケース形状の部品を採用してもよい。フィルタ41が側部を有することにより、ファイバ光学プレート34の側面を確実に遮光することができる。
【0046】
駆動回路4は、フレキシブル基板38の第2の端部側に電気的に接続されている。駆動回路4は、所定の演算処理を行う演算処理部、演算処理部の出力を増幅する増幅部等を有している。駆動回路4は、ケース21内に収納されている。より詳細には、ケース21の内面には、突起部21aが設けられている。この突起部21aは、構造的にはケース21と一体である。そして、この突起部21aに対して駆動回路4が固定されている。例えば、突起部21aに駆動回路4の角部が載置される。載置された駆動回路4の一部と、突起部21aとには、互いに挿通する貫通穴が設けられている。これらの貫通穴に対して締結部品21bを挿通することによって、突起部21aに対して駆動回路4が固定される。この固定によっては、駆動回路4は、突起部21aに対して有意な移動を生じない。つまり、駆動回路4は、ケース21に対して有意な移動を生じないし、ひいてはケース21を含む筐体2に対しても有意な移動を生じない。
【0047】
放射線検出器1は、例えば、図6に示すX線ドリリング装置200(穴明け装置)に適用することができる。X線ドリリング装置200は、被加工物101にガイド穴を設ける。この穴明け加工を行うとき、被加工物101において穴を設けるべき位置に対して、穴明け機構102を正確に合わせる必要がある。放射線検出器1は、穴明け機構102の位置合わせに用いられる。つまり、X線ドリリング装置200は、放射線出射装置103(放射線出射部)と、放射線検出器1(放射線検出部)と、穴明け機構102(穴明け部)と、移動機構104と、を含む。放射線出射装置103は、被加工物101の第1の面101a側に配置されており、第1の面101aに向けて放射線を照射する。放射線は、例えばX線であってよい。放射線検出器1は、被加工物101の第2の面101b側に配置されている。第2の面101bは、第1の面101aに対して裏側である。つまり、放射線出射装置103及び放射線検出器1は、被加工物101を挟むように配置されている。
【0048】
放射線検出器1は、被加工物101に設けられたマーカーの位置を測定する。マーカーの位置情報を用いて、被加工物101に対する穴明け機構102の位置が制御される。放射線検出器1は、マーカーの測定のために、回路基板といった被加工物101に対してXY平面に沿って移動する。放射線検出器1の移動速度は、一例として50cm/secである。つまり、放射線検出器1は、二軸に沿う移動が可能である。X線ドリリング装置200は、放射線出射装置103、放射線検出器1及び穴明け機構102を移動させるための移動機構104を備える。移動機構104は、放射線検出器1を被加工物101に対して相対的に移動させる。穴明け機構102は、被加工物101に貫通穴を形成する。穴明け機構102は、ドリル装置やレーザ装置を採用してよい。図6の例示では、穴明け機構102は、第1の面101a側に配置されているが、第2の面101b側に配置されてもよい。
【0049】
ところで、図6に示すようなX線ドリリング装置200は、加工速度の向上が望まれている。加工速度を向上させるためには、マーカーの位置情報を迅速に取得することが必要である。そうすると、放射線検出器1をマーカーが設定されている領域に素早く移動させることが必要となる。放射線検出器1を目標位置まで高速に移動させた後に、目標位置において放射線検出器1を停止させたとする。そうすると、放射線検出器1を構成する各部品には、それぞれの質量に応じた慣性力が作用する。例えば、ファイバ光学プレート34の質量は、駆動回路4よりも質量が大きい。従って、ファイバ光学プレート34に作用する慣性力は、駆動回路4に作用する慣性力よりも大きい。この慣性力の違いは、ファイバ光学プレート34と駆動回路4との間において、相対的な位置の変化を生じさせる要因となる。このような相対的な位置の変化は、振動、衝撃、温度変化などによっても生じることがあり得る。
【0050】
ここで、図7に示す比較例の放射線検出器300のように、ファイバ光学プレート34には固体撮像素子33が接合されており、当該回路基板332は、剛体である電極ピン333によって駆動回路4に連結されている。この接続構成によれば、回路基板332と駆動回路4とは、構造的に一体物としてみなせる。さらに、ファイバ光学プレート34は、第1保持部材39を介して筐体2に保持されており、駆動回路4は固定部材22を介して筐体2に保持されている。このような構造において、ファイバ光学プレート34と駆動回路4との間に相対的な位置の変化を生じると、ファイバ光学プレート34と駆動回路4との連結部分、つまり、固体撮像素子33に負荷が生じてしまう。つまり、各構成部品が互いに相対的な移動を許さないような強固な固定によって連結されているため、部品間における相対的な位置変化が許容されにくい。その結果、何れかの部品に負荷(応力)が発生してしまう。この負荷によれば、ファイバ光学プレート34と固体撮像素子33との接続状態が変化する。例えば、ファイバ光学プレート34に固体撮像素子33を保持するエポキシ光学接着剤37Aの剥がれが生じ得る。その結果、放射線検出器1の信頼性を損なってしまう。この負荷は、相対的な位置変化の度合いが大きいほど、大きくなる。相対的な位置変化の度合いは、例えば部品同士における質量の差異に応じるともいえる。さらに、X線ドリリング装置200における加工速度の高速化に応じるために、放射線検出器1を高速移動させることによっても、相対的な位置変化の度合いが大きくなってしまう。
【0051】
従って、検出感度向上させる目的からファイバ光学プレート34を大型化すればするほど、相対的な位置変化の度合いが大きくなると共に、加工速度を向上させる目的から放射線検出器1の移動速度を高めるほど、相対的な位置変化の度合いが大きくなる。ひいては部品間に生じる負荷も大きくなってしまう。
【0052】
上述した問題は、複数の部品が互いに強固に固定されていることが要因の一つである。そこで、実施形態の放射線検出器1は、部品同士の相対的な位置変化を積極的に許容する構成を採用した。
【0053】
具体的には、パッケージ31が取り付けられた回路基板32と駆動回路4とを可撓性を有するフレキシブル基板38によって電気的に接続し、力学的には連結されていない構成を採用した。この構成は、換言すると固体撮像素子33が筐体2に強固に固定されていない。そして、筐体2には、シンチレータ35、ファイバ光学プレート34及び固体撮像素子33が一体化された第1の構造物と、駆動回路4を含む第2の構造物とが収容されている。さらに、第1の構造物が筐体2に対して保持され、第2の構造物が別の位置において筐体2に保持されている。そして、第1の構造物と第2の構造物とは、電気的に接続されているだけであり、力学的には連結された状態ではない。換言すると、固体撮像素子33は、筐体2に対して直接に固定されることがない。
【0054】
なお、回路基板32は、駆動回路4及び/又は筐体2に対して移動可能であればよいので、その物理的な構成についてはいくつかの態様があり得る。例えば、回路基板32は、ファイバ光学プレート34のみに接しており、筐体2には直接に接していないとしてよい。また、回路基板32は、例えば突起部21aのような部位に載置されているだけであってもよい。この場合には、回路基板32は、X線入射方向RAの方向には移動できないが、X線入射方向RAに直交する方向への移動は許容される。その一方で、パッケージ31及び回路基板32の側面と筐体2の内面との間には、移動を許容するための隙間を要する。
【0055】
このような構成によると、ファイバ光学プレート34と駆動回路4との相対的な位置関係に変化を生じさせる力が働いた場合でも、フレキシブル基板38が相対的な移動を妨げることがないので、ファイバ光学プレート34及び回路基板32と、駆動回路4とがそれぞれ独立した移動を行うことが可能である。その結果、回路基板32と駆動回路4との間に負荷が生じることがない。従って、ファイバ光学プレート34について、検出精度の観点から所望の形状や大きさを選択することができる。さらに、放射線検出器1の移動速度についても、上限を緩和することが可能になる。
【0056】
要するに、放射線検出器1は、受け入れた放射線に対応する光を発生するシンチレータ35と、シンチレータ35が発生した光を光入射面34Rから受けると共に光出射面34Sから出射するファイバ光学プレート34と、光出射面34Sから出射された光を受ける受光部33aを有すると共に受けた光に対応する電気信号を発生する固体撮像素子33を有する撮像部5と、固体撮像素子33から電気信号を受ける駆動回路4と、撮像部5及び駆動回路4を収容する筐体2と、筐体2に対する撮像部5の位置を保持する第1保持部材39と、受光部33aに対する光出射面34Sの位置を保持するエポキシ光学接着剤37Aと、を備える。ファイバ光学プレート34と撮像部5とは、エポキシ光学接着剤37Aによって一体化されている。撮像部5は、駆動回路4に対して移動可能である。
【0057】
放射線検出器1では、ファイバ光学プレート34及び撮像部5が一体の構造物としてみなせる。そして、これらは、第1保持部材39によって一体として筐体2に保持されている。一方、撮像部5は、駆動回路4に対して移動可能である。そうすると、比較的質量の大きいファイバ光学プレート34と一体である撮像部5と、比較的質量の小さい駆動回路4との間に相対的な位置の変化が生じたとしても、それぞれが独立に動くことが可能である。つまり、撮像部5と駆動回路4との間に、相対位置の変化に起因する負荷が発生しない。その結果、駆動回路4の特性に左右されることなく、ファイバ光学プレート34の大きさや質量を決めることが可能になる。従って、シンチレータ35を大型化することができる。
【0058】
放射線検出器1は、駆動回路4を筐体2に対して固定する突起部21aをさらに備える。この構成によれば、駆動回路4を確実に固定することができる。
【0059】
放射線検出器1は、撮像部5から駆動回路4に対して電気信号を伝えると共に可撓性を有するフレキシブル基板38をさらに備える。この構成によれば、撮像部5に対して駆動回路4の移動を許容しながら、撮像部5から駆動回路4に対して電気信号を伝える構成を実現できる。
【0060】
ファイバ光学プレート34は、光出射面34Sの側に設けられて光の進行方向に沿って断面積が次第に小さくなるテーパ部である下流部34bを含む。換言すると、光出射面34Sの面積は、光入射面34Rの面積より小さい。この構成によれば、光入射面34Rの面積を大きくして感度を高めると共に、光出射面34Sの面積を小さくして撮像素子の小型化を図ることができる。
【0061】
ファイバ光学プレート34における光出射面34S側の側面には、カット面34Cが設けられている。この構成によれば、ファイバ光学プレート34を好適に筐体2に配置することができる。
【0062】
撮像部5は、固体撮像素子33が取り付けられる素子取付面31aと、素子取付面31aから立設する枠部31bと、を含む。この構成によれば、固体撮像素子33を保護しながら固体撮像素子33とファイバ光学プレート34とを接続することができる。
【0063】
第1保持部材39は、エポキシ樹脂又はシリコーンゴムである。この構成によれば、ファイバ光学プレート34を筐体2に確実に保持することができる。
【0064】
エポキシ光学接着剤37Aは、エポキシ樹脂である。この構成によれば、受光部33aに対する光出射面34Sの位置を好適に保持することができる。
【0065】
X線ドリリング装置200は、被加工物101の第1の面101a側に配置されて、被加工物101の第1の面101aに向けて放射線を照射する放射線出射装置103と、被加工物101の第1の面101aに対して逆側の第2の面101b側に配置されて、放射線検出器1から照射されて被加工物101を透過した放射線を受ける放射線検出器1と、放射線検出器1を被加工物101に対して相対的に移動させる移動機構104と、被加工物101に貫通穴を形成する穴明け機構102と、を備える。放射線検出器1は、受け入れた放射線に対応する光を発生するシンチレータ35と、シンチレータ35が発生した光を光入射面34Rから受けて、光入射面34Rよりも小さい光出射面34Sから出射するファイバ光学プレート34と、光出射面34Sから出射された光を受ける受光部33aを有すると共に受けた光に対応する電気信号を発生する固体撮像素子33を有する撮像部5と、固体撮像素子33から電気信号を受ける駆動回路4と、撮像部5及び駆動回路4を収容する筐体2と、筐体2に対する撮像部5の位置を保持する第1保持部材39と、受光部33aに対する光出射面34Sの位置を保持するエポキシ光学接着剤37Aと、を有する。撮像部5は、駆動回路4に対して移動可能である。
【0066】
このX線ドリリング装置200は、上述した放射線検出器1を備えている。従って、大型化が可能なファイバ光学プレート34によって穴明け位置の検出精度を高めることができる。さらに、放射線検出器1は、大型のファイバ光学プレート34を備えていながら、移動速度を高めることも可能である。従って、加工速度を高めることができる。
【0067】
以上、本発明をその実施形態に基づいて詳細に説明した。しかし、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
【0068】
実施形態の放射線検出器1は、固体撮像素子33を収容したパッケージ31は、回路基板32を介してフレキシブル基板38に接続されていた。例えば、放射線検出器は、回路基板32を省略してもよい。この場合には、パッケージ31にフレキシブル基板38の第1の端部が直接に電気的に接続される。
【0069】
また、放射線検出器1の適用先は、X線ドリリング装置200に限定されない。例えば、放射線検出器1は、放射光ビームモニタやX線イメージングカメラに適用してもよい。
【符号の説明】
【0070】
1…放射線検出器(放射線検出部)、2…筐体、3…X線検出部、4…駆動回路、5…撮像部、21…ケース、21a…突起部、21b…締結部品、22…固定部材、22h…貫通穴、22t…内周面、23…接続端子、31…パッケージ、31S…凹部、31a…素子取付面、31b…枠部、32…回路基板、33…固体撮像素子、33a…受光部、34…ファイバ光学プレート、34C…カット面、34R…光入射面、34S…光出射面、34a…上流部、34b…下流部(テーパ部)、34t…被保持面、35…シンチレータ、35R…第1の端面、35S…第2の端面、36…閉鎖部材、36h…開口、37A…エポキシ光学接着剤(第2保持部材)、37B…コーティング部材、38…フレキシブル基板、39…第1保持部材、41…フィルタ、42…スペーサ、200…X線ドリリング装置、101…被加工物、101a…第1の面、101b…第2の面、102…穴明け機構(穴明け部)、103…放射線出射装置、104…移動機構、332…回路基板、333…電極ピン、200…X線ドリリング装置(穴明け装置)、RA…X線入射方向。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7