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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-22
(45)【発行日】2024-01-05
(54)【発明の名称】ニアアイライトフィールド表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 13/00 20060101AFI20231225BHJP
   G02B 3/00 20060101ALI20231225BHJP
   G03B 35/08 20210101ALI20231225BHJP
   G03B 15/00 20210101ALI20231225BHJP
   G02F 1/13 20060101ALI20231225BHJP
   G02F 1/1335 20060101ALI20231225BHJP
【FI】
G02B13/00
G02B3/00 A
G03B35/08
G03B15/00 B
G02F1/13 505
G02F1/1335
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020215979
(22)【出願日】2020-12-25
(65)【公開番号】P2022047465
(43)【公開日】2022-03-24
【審査請求日】2023-02-13
(31)【優先権主張番号】202010950898.4
(32)【優先日】2020-09-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】500093133
【氏名又は名称】中強光電股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】羅 欣祥
(72)【発明者】
【氏名】▲呉▼ 瑞翊
【審査官】瀬戸 息吹
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第109557666(CN,A)
【文献】特開2007-233253(JP,A)
【文献】米国特許第05973844(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0261650(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第109581678(CN,A)
【文献】台湾特許第I688790号公報,2020年03月21日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 9/00 - 17/08
G02B 21/02 - 21/04
G02B 25/00 - 25/04
G02B 27/00 - 30/60
G02B 1/00 - 1/08
G02B 3/00 - 3/14
G03B 35/00 - 37/06
G02F 1/13
G02F 1/1335
G02F 1/13363
G02F 1/137 - 1/141
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ニアアイライトフィールド表示装置であって、
前記ニアアイライトフィールド表示装置は、目側から表示側へ中央光軸に沿って順に設けられた第一レンズ、マイクロレンズアレイ、第二レンズ及びディスプレイを有し、
前記ディスプレイが画像光束を提供し、
前記マイクロレンズアレイが目側面及び表示側面を有し、前記目側面が前記目側に向いており、かつ前記画像光束を通過させ、前記表示側面が前記表示側に向いており、かつ記画像光束を通過させ、
前記マイクロレンズアレイの前記目側面が複数の目側マイクロレンズを有し、前記マイクロレンズアレイの前記表示側面が複数の表示側マイクロレンズを有し、前記複数の目側マイクロレンズが第一間隔で等間隔に配列され、前記複数の表示側マイクロレンズが第二間隔で等間隔に配列あれ、かつ前記第一間隔と前記第二間隔が異なり、
各前記目側マイクロレンズが前記目側に向いた凸面を有し、かつ、各前記表示側マイクロレンズが前記表示側に向いた凹面を有することを特徴とする、ニアアイライトフィールド表示装置。
【請求項2】
前記ディスプレイが複数の表示領域を有し、前記複数の表示領域が複数のサブ画像光束よって構成される前記画像光束を提供することができ、
前記表示領域が提供する前記サブ画像光束が一つの前記表示側マイクロレンズ及び一つの前記目側マイクロレンズまで対応して伝達されることを特徴とする、請求項1に記載のニアアイライトフィールド表示装置。
【請求項3】
前記第一間隔が前記第二間隔より小さいことを特徴とする、請求項1に記載のニアアイライトフィールド表示装置。
【請求項4】
前記マイクロレンズアレイが関係式fMLA>0を満たし、かつfMLAが以下の方程式によって定義され、
【数2】

ここで、fMLAは前記マイクロレンズアレイの相当焦点距離であり、nは前記マイクロレンズアレイの材質の屈折率であり、
各前記目側マイクロレンズが前記目側に向いた第一曲面を有し、各前記表示側マイクロレンズが前記表示側に向いた第二曲面を有し、R1は前記第一曲面の曲率半径であり、R2は前記第二曲面の曲率半径であり、dは前記目側面と前記表示側面との間の距離であることを特徴とする、請求項1に記載のニアアイライトフィールド表示装置。
【請求項5】
各前記目側マイクロレンズがそれぞれ第一光軸を有し、各前記表示側マイクロレンズがそれぞれ第二光軸を有し、前記複数の目側マイクロレンズが前記複数の表示側マイクロレンズと一対一に対応し、
中心目側マイクロレンズとそれに対応する中心表示側マイクロレンズを除き、
任意の前記目側マイクロレンズの前記第一光軸から前記中央光軸までの距離を第一距離と定義し、かつ、それに対応する前記表示側マイクロレンズの前記第二光軸から前記中央光軸までの距離を第二距離と定義し、
前記第一距離と前記第二距離との間の差の絶対値が前記中央光軸から径方向に沿って逓増することを特徴とする、請求項4に記載のニアアイライトフィールド表示装置。
【請求項6】
前記中央光軸から前記マイクロレンズアレイの縁部への径方向を定義し、各前記目側マイクロレンズがそれぞれ第一光軸を有し、各前記表示側マイクロレンズがそれぞれ第二光軸を有し、前記複数の目側マイクロレンズが前記複数の表示側マイクロレンズに一対一に対応し、
中心目側マイクロレンズとそれに対応する中心表示側マイクロレンズを除き、
任意の前記目側マイクロレンズの前記第一光軸とそれに対応する前記表示側マイクロレンズの前記第二光軸が平行し、かつ、両者の間の距離がゼロではないことを特徴とする、請求項4に記載のニアアイライトフィールド表示装置。
【請求項7】
前記複数の目側マイクロレンズのうちの中心目側マイクロレンズと前記複数の表示側マイクロレンズのうちの中心表示側マイクロレンズが共通光軸であることを特徴とする、請求項1に記載のニアアイライトフィールド表示装置。
【請求項8】
前記複数の目側マイクロレンズと前記複数の表示側マイクロレンズはそれぞれ以アレイ状に配列されることを特徴とする、請求項1に記載のニアアイライトフィールド表示装置。
【請求項9】
前記複数の目側マイクロレンズが前記中央光軸を中心軸として放射状に配列され、かつ、前記複数の表示側マイクロレンズが前記中央光軸を中心軸として放射状に配列されることを特徴とする、請求項1に記載のニアアイライトフィールド表示装置。
【請求項10】
前記第一レンズと前記第二レンズが何れも正屈折率を有することを特徴とする、請求項1に記載のニアアイライトフィールド表示装置。
【請求項11】
前記複数の目側マイクロレンズの数が前記複数の表示側マイクロレンズの数に等しいことを特徴とする、請求項1に記載のニアアイライトフィールド表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は表示装置に関し、特にニアアイライトフィールド表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、ライトフィールドディスプレイは空間多重式及び時間多重式の二種類に分けられる。時間多重式のライトフィールドディスプレイは、マイクロ機械電気素子(Microelectromechanical elements)を用いて虚像の位置を変更し、前景後景の明瞭度を調整するものである。一方、空間多重式のライトフィールドディスプレイは、マイクロ発光ダイオードディスプレイ(Micro‐LED)、マイクロ有機発光ダイオードディスプレイ(Micro‐OLED)及び液晶ディスプレイ(LCD)などの表示素子を用いて、ライトフィールドサブ画像を例えばマイクロレンズアレイ(Miro‐Lens Array)といった光学素子より透過させ、視差画像を網膜上に重ねることで、ユーザに奥行のあるライトフィールド画像を見せるものである。
【0003】
従来の空間多重式のライトフィールドディスプレイにおいて、マイクロレンズアレイによってパネルディスプレイのライトフィールドサブ画像がユーザの網膜に投射されると、ユーザが沢山のサブ画像が重なり合ってなる虚像ライトフィールド画像を見ることができるが、ユーザが異なる視角方向からマイクロレンズアレイを見た時に,大きい視角のライトフィールド画像にぼんやり現象が起こり、かつ、視角が大きい程、ぼんやり現象がより顕著になるため、従来の空間多重式のライトフィールドディスプレイの光学品質が芳しくない。
【0004】
「背景技術」は本発明内容に関する理解を促すことのみが目的であり、「背景技術」の記載内容には当業者が既知の従来技術以外の構成が含まれている可能性がある。「背景技術」に記載された内容は、当該内容または本発明の一つ若しくは複数の実施例が解決しようとする課題が本発明の出願前に既に当業者に把握または認識されていたことを意味するものではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は好な表示品質を有するニアアイライトフィールド表示装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のその他の目的と利点について、本発明が開示する技術特徴からより一層理解を深めることができる。
【0007】
本発明の一実施例のニアアイライトフィールド表示装置は、目側から表示側へ中央光軸に沿って順に設けられた第一レンズ、マイクロレンズアレイ、第二レンズ及びディスプレイを有する。ディスプレイは画像光束を提供する。マイクロレンズアレイは、目側に向き、かつ画像光束を通過させる目側面、及び表示側に向き、かつ画像光束を通過させる表示側面を有する。マイクロレンズアレイの目側面が複数の目側マイクロレンズを有し、マイクロレンズアレイの表示側面が複数の表示側マイクロレンズを有する。これらの目側マイクロレンズが第一間隔で等間隔に配列され、これらの表示側マイクロレンズが第二間隔で等間隔に配列され、かつ第一間隔が第二間隔と異なる。
【発明の効果】
【0008】
以上によると、本発明の実施例のニアアイライトフィールド表示装置おいて、マイクロレンズアレイが第一、第二レンズの間に設置され、かつ、マイクロレンズアレイの目側面と表示側面にそれぞれ複数の目側マイクロレンズと複数の表示側マイクロレンズが設けられ、目側マイクロレンズの間隔が表示側マイクロレンズの間隔と異なる。このような設計により、大視角のライトフィールド画像の輝度を高めることができ、かつ、口径食(vignetting)の問題を解決できるため、ニアアイライトフィールド表示装置が良好な表示品質を有する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施例のニアアイライトフィールド表示装置の光学構造の概略図。
図2】マイクロレンズアレイの断面拡大概略図。
図3A図1の実施例のマイクロレンズアレイを目側から表示側の方向に観察した正面図。
図3B図1の実施例のマイクロレンズアレイを表示側から目側の方向に観察の正面図。
図4A】画像光束が比較例のマイクロレンズアレイを通過する光路の概略図。
図4B】画像光束が図2の実施例のマイクロレンズアレイを通過する光路の概略図。
図5図4A図4Bの異なるマイクロレンズアレイを採用した場合の変調伝達関数(Modulation transfer function、MTF)とディスプレイの異なる位置のシミュレーション関係図。
図6図4A図4Bの異なるマイクロレンズアレイを採用した場合の開口数(Numerical aperture、NA)と設置数(Configuration number)のシミュレーション関係図。
図7】本発明の異なる実施例のマイクロレンズアレイの側面概略図。
図8】本発明の異なる実施例のマイクロレンズアレイの側面概略図。
図9A】本発明の別の実施例のマイクロレンズアレイを目側から表示側の方向に観察した正面図。
図9B図9Aの実施例のマイクロレンズアレイを表示側から目側の方向に観察した正面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の前記及びその他の技術内容、特徴と効果を明確に示すべく、以下は図面を参照しながらその好ましい実施例を詳しく説明する。以下の実施例において言及される方向用語、例えば、上、下、左、右、前及び後などは、図面を参照する方向のみである。従って、これらの方向用語は説明を目的とするものであり、本発明を制限するものではない。
【0011】
図1は本発明の一実施例のニアアイライトフィールド表示装置の光学構造の概略図である。
【0012】
図1を参照すると、本実施例において、ニアアイライトフィールド表示装置100はユーザの目Eの前方に配置され、かつ、目側ESから表示側DSへ、中央光軸CIに沿って順に設置された第一レンズ110、マイクロレンズアレイ120、第二レンズ130とディスプレイ140を含み、目側ESが人の目Eが位置する側であり、表示側DSがディスプレイ140の位置する側である。ディスプレイ140は画像内容を含む画像光束IBを提供する。中央光軸CIとは、ニアアイライトフィールド表示装置100の光軸を意味する。なお、図1においてマイクロレンズアレイ120の位置を四角枠で示しているが、図2は本発明の一実施例のマイクロレンズアレイ120の具体的な形状を示している。以下の段落では前記各素子について詳しく説明する。
【0013】
第一、第二レンズ110、130は屈折率と高い透光率を有する光学素子であり、かつ、第一、第二レンズ110、130の屈折率がいずれも正であり、その材料がプラスチックまたはガラスであってもよいが、本発明はこれに限定されない。本実施例において、第一、第二レンズ110、130のいずれも凸レンズであるが、これに限定されない。別の実施例において、第一、第二レンズ110、130が球面、非球面レンズ及びその組み合わせであってもよいが、これに限定されない。
【0014】
ディスプレイ140は表示功能を有する光電素子であり、画像内容を含む画像光束IBを提供し、その種類にマイクロ発光ダイオードディスプレイ(Micro LED Display)、ミニ発光ダイオードディスプレイ(Mini LED Display)、マイクロ有機発光ダイオードディスプレイ(Micro‐OLED)、液晶ディスプレイ(LCD Display)またはその他の異なる種類のディスプレイが含まれるが、本発明はこれに限定されない。
【0015】
図2はマイクロレンズアレイの断面拡大概略図である。図3A図1の実施例のマイクロレンズアレイをその目側から表示側の方向に観察した場合の正面図である。図3B図1の実施例のマイクロレンズアレイをその表示側から目側の方向に観察した場合の正面図である。
【0016】
図2図3A図3Bを参照すると、マイクロレンズアレイ120は、それぞれ目側ESと表示側DSに向き、かつ画像光束IBを通過させる目側ESにおける目側面ESSと表示側DSにおける表示側面DSSを有し、図2が示すように、目側ESが人の目Eの存在する側で、表示側DSがディスプレイ140の存在する側を意味する。目側面ESSは間隔P1で等間隔に配列された複数の目側マイクロレンズ122を含み、表示側面DSSは間隔P2で等間隔に配列された複数の表示側マイクロレンズ124を含み、かつ間隔P1が間隔P2と異なり、例えば、間隔P2より小さい。図3A図3Bが示すように、これらの目側マイクロレンズ122の寸法W1、表示側マイクロレンズ124の寸法W2が例えばミリメートル級の寸法であり、かつ、その大きさが例えば0.5ミリメートルから4ミリメートルの範囲にあり、まら、表示側マイクロレンズ124の寸法W2が目側マイクロレンズ122の寸法W1より大きいが、これに限定されない。
【0017】
図2を参照すると、目側面ESSにおいて、これらの目側マイクロレンズ122が何れも光軸I1を有し、かつ、これらの光軸I1が互いに平行である。本実施例において、各目側マイクロレンズ122が目側ESに向いた凸面を有するが、これに限定されない。表示側面DSにおいて、これらの表示側マイクロレンズ124が何れも光軸I2を有し、かつ、これらの光軸I2が互いに平行である。本実施例において、各表示側マイクロレンズ124が表示側DSに向いた凸面を有するが、これに限定されない。図3A図3Bを参照すると、これらの目側マイクロレンズ122が例えばアレイ状に配列され、これらの表示側マイクロレンズ124が例えばアレイ状に配列されているが、これに限定されない。これらの目側マイクロレンズ122の数が例えばこれらの表示側マイクロレンズ124の数と同じであり、かつ、これらの目側マイクロレンズ122がこれらの表示側マイクロレンズ124と一対一に対応する(または、それぞれに対応するとも言う)。詳しく言うと、一つの目側マイクロレンズ122とそれに対応する一つの表示側マイクロレンズ124が、人の目Eに対し一つの虚像範囲を生成し、かつ、各虚像範囲が互いに少なくとも部分的に重なり、ディスプレイ140によって生成された画像光束IBが各表示側マイクロレンズ124に対応し、このように重なった虚像範囲によって立体的な奥行きのある画像が構成される。
【0018】
再度図2を参照すると、本実施例において、中央光軸CIと重なる光軸I1を有する目側マイクロレンズ122を中心目側マイクロレンズ122cとする。中央光軸CIと重なる光軸I2を有する表示側マイクロレンズ124を中心表示側マイクロレンズ124cとする。中心目側マイクロレンズ122c、中心表示側マイクロレンズ124cの光軸I1、I2が共通光軸(common optical axis)であり、かつ、中央光軸CIとも共通光軸である。
【0019】
マイクロレンズアレイ120の設計を説明するに当たって、まず一部の名称について定義を行う。詳しく言うと、中央光軸CIからマイクロレンズアレイ120の縁部Eに向かう径方向RDにおいて、中心目側マイクロレンズ122cに最も近い目側マイクロレンズ122を第一目側マイクロレンズ1221とし、その次に中心目側マイクロレンズ122cに近い目側マイクロレンズ122を第二目側マイクロレンズ1222とし、中心目側マイクロレンズ122cから最も離れている目側マイクロレンズ122(または、縁部Eに最も近い目側マイクロレンズ122)を第N目側マイクロレンズ122Nとし、その他も同じように類推される。同じように、中心表示側マイクロレンズ124cに最も近い表示側マイクロレンズ124を第一表示側マイクロレンズ1241とし、その次に中心表示側マイクロレンズ124cに近い表示側マイクロレンズ124を第二表示側マイクロレンズ1242とし、中心表示側マイクロレンズ124cから最も離れている表示側マイクロレンズ124(または、縁部Eに最も近い表示側マイクロレンズ124)を第N表示側マイクロレンズ124Nとし、その他も同じように類推さえる。本実施例において、中心目側マイクロレンズ122cが中心表示側マイクロレンズ124cに対応し、第一目側マイクロレンズ1221が第一表示側マイクロレンズ1241に対応し、第二目側マイクロレンズ1222が第二表示側マイクロレンズ1242に対応し、その他も同じように類推される。
【0020】
そして、中心目側マイクロレンズ122c、中心表示側マイクロレンズ124cの光軸I1、I2が共通光軸であることを除き、これらの目側マイクロレンズ122、表示側マイクロレンズ124がそれぞれ異なる大きさの間隔P1、P2で配列されるため、その他の対応関係にある目側マイクロレンズ122及び表示側マイクロレンズ124の光軸I1、I2が共通光軸ではない(または、ずれているとも言う)。例を挙げると、第一目側マイクロレンズ1221と第一表示側マイクロレンズ1241が第一マイクロレンズ組であり、第二目側マイクロレンズ1222と第二表示側マイクロレンズ1242が第二マイクロレンズ組であり、第一マイクロレンズ組における第一目側マイクロレンズ1221の光軸I1と第一表示側マイクロレンズ1241の光軸I2との間にゼロではない距離△C1を有し、第二マイクロレンズ組における第二目側マイクロレンズ1222の光軸I1と第二表示側マイクロレンズ1242の光軸I2との間にもゼロではない距離△C2を有し、第Nマイクロレンズ組における第N目側マイクロレンズ122Nの光軸I1と第N表示側マイクロレンズ124Nの光軸I2の間にもゼロではない距離ΔCNを有し、その他も同じように類推される。以上の対応関係を有するマイクロレンズ組のゼロではない距離△C1、△C2、・・・△CNは、中心目側マイクロレンズ122c以外の任意一つの目側マイクロレンズ122の光軸I1から中央光軸CIまでの距離とそれに対応する表示側マイクロレンズ124の光軸I2から中央光軸CIまでの距離との差を算出することで得られる。なお、これらのゼロではない距離△C1、△C2、・・・△CNの絶対値は、中央光軸CIから径方向RDに沿って逓増する。
【0021】
言い換えれば、マイクロレンズアレイ120において、不均等な間隔P1、P2でマイクロレンズを配列する設計を採用している。中心視角(FOV=0度)おいて、それぞれ目側面ESS、表示側面DSSにあるマイクロレンズ122c、124cが共通光軸であるが、視角が大きくなるにつれて、目側面ESS、表示側面DSSのマイクロレンズ122、124が共通光軸ではなく、かつ、対応するマイクロレンズ組の二つの光軸I1、I2の間の距離△C1、△C2、・・・△CNも視角に従って大きくなる。
【0022】
図4Aは画像光束が比較例のマイクロレンズアレイを通過する光路概略図である。図4Bは画像光束が図2の実施例のマイクロレンズアレイを通過する光路概略図である。
【0023】
以下は本実施例の光学效果について詳しく説明する。また、前記マイクロレンズアレイの配置によって本実施例にもたらす光学效果をより明確に示すために、以下の記載において図4Aが示す比較例のマイクロレンズアレイ120’と比較しながら説明する。なお、比較例のマイクロレンズアレイ120’は、マイクロレンズアレイ120に類似するが、主な相違点がその複数の目側マイクロレンズ122’の複数の光軸I1がそれぞれ複数の表示側マイクロレンズ124’の複数の光軸I2と共通光軸であり、かつ、これらの目側マイクロレンズ122’、表示側マイクロレンズ124’が何れも等間隔Pで配列される。なお、図4A図4Bにおいて第一、第二レンズ110、130を省略している。
【0024】
図1が示すように、大まかに言うと、ディスプレイ140が画像光束IBを発した後、中央光軸CIに沿って第二レンズ130、マイクロレンズアレイ120、第一レンズ110を順に透過して人の目Eに到達し、人の目Eに対し表示側DSに位置した、かつ奥行きを有するライトフィールド画像IMを体験させる。
【0025】
ディスプレイ140は、複数のサブ画像光束SIBを提供する複数の表示領域PXを有し、かつ、各サブ画像光束SIBが対応する一つの表示側マイクロレンズ124及び一つの目側マイクロレンズ122まで伝達される。具体的に言うと、サブ画像光束SIBが対応する一つの表示側マイクロレンズ124まで伝達された後、このサブ画像光束SIBがこの表示側マイクロレンズ124に対応する目側マイクロレンズ122によって射出される。
【0026】
図1のディスプレイ140が提供する画像光束IBは実際に図4A図4Bのディスプレイ140上の異なる部分の表示領域PXから発したサブ画像光束SIBを含み、サブ画像光束SIBが少なくとも光束SIB1~SIB3を含む。サブ画像光束SIBは対応関係にある表示側マイクロレンズ124(124’)、目側マイクロレンズ122(122’)を順に透過することで、人の目Eまで好適に伝達され、異なる部分のライトフィールド画像IMを見せることができる。図4A図4Bでは、縁部における表示領域PXの異なる位置から発出された三本の光束SIB1~SIB3が概略的に示されている。見比べてる、図4Aの比較例のサブ画像光束SIBがそれぞれ表示側マイクロレンズ124及び目側マイクロレンズ122に一々対応できないが、図4Bの表示領域PXで発生するサブ画像光束SIBがそれぞれ一組の表示側マイクロレンズ124及び目側マイクロレンズ122に対応し、即ち、一つの表示領域PXが提供するサブ画像光束が一つの表示側マイクロレンズ124及び一つの目側マイクロレンズ122まで対応して伝達されることがはっきりわかる。
【0027】
詳しく言うと、ニアアイライトフィールド表示装置が図4Aの等間隔Pの配列に設計されたマイクロレンズアレイ120’を採用した場合、大きな視角の観察角度において(Field of View、FOVが例えば50度より大きい)、サブ画像光束SIBが傾斜してマイクロレンズアレイ120’に入射し、かつ目側マイクロレンズ122’、表示側マイクロレンズ124’が等間隔Pで設置された関係にあるため、サブ画像光束SIBが縁部の表示側マイクロレンズ124’の半分及び目側マイクロレンズ122’しか透過せずに人の目Eまで伝達される。言い換えれば、マイクロレンズアレイ120’の縁部における目側マイクロレンズ122’、表示側マイクロレンズ124’が光学上の対応関係が一対一の対応関係ではない故に、縁部におけるライトフィールド画像IMが比較的に暗くなる(即ち、光学効率が低下し、画像が比較的に不明瞭である)。一方、小さい視角の観察角度において(FOVが例えば0度に近い)、ディスプレイ140の中央部の表示領域から発出されたサブ画像光束(図示せず)が略垂直にマイクロレンズアレイ120’に入射されるため、完全な形で表示側マイクロレンズ124’、目側マイクロレンズ122’を順に透過することができ、その後人の目まで伝達されるため、中央部のライトフィールド画像IMが比較的に明るくなる(即ち、光学效率が比較的に高く、画像が比較的に明瞭である)。ライトフィールド画像IMの縁部領域の輝度が中心領域より低い現象を口径食現象と呼び、比較例のマイクロレンズアレイ120’をニアアイライトフィールド表示装置に採用した場合、その表示品質が損なうことになる。
【0028】
一方、ニアアイライトフィールド表示装置100が図2図4Bの不均等な間隔P1、P2の配列に設計されたマイクロレンズアレイ120を採用した場合、大きな視角の観察角度において、目側マイクロレンズ122、表示側マイクロレンズ124が不均等な間隔P1、P2の配列に設計されているため、サブ画像光束SIBが完全な形で縁部における目側マイクロレンズ122、表示側マイクロレンズ124に取り込まれ、人の目まで伝達される。言い換えれば、マイクロレンズアレイ120の縁部における目側マイクロレンズ122N、表示側マイクロレンズ124Nの光学上の対応関係が一対一の対応関係である故に、大きな視角の画像の輝度を高め、かつ口径食を効率的に解消できるという効果が得られる。
【0029】
図5図4A図4Bの異なるマイクロレンズアレイを用いた場合の変調伝達関数とディスプレイの異なる位置のシミュレーション関係図であり、図5の横軸がディスプレイの任意の一箇所がディスプレイ中心から離れている距離(単位はミリメートル)を意味し、縦軸が変調伝達関数の値(単位は無次元、dimensionless)を意味する。図6図4A図4Bの異なるマイクロレンズアレイを採用した場合の開口数と設置数のシミュレーション関係図であり、図6の横軸の設置数(単位はミリメートル)の数値が大きい程、大きい視角のマイクロレンズの位置を意味し、逆は小さいものであり、図6の縦軸が開口数の値(単位は無次元)を意味する。図5図6において、破線が不均等な間隔P1、P2に設計されたマイクロレンズアレイ120を用いて行われたシミュレーションを意味し、実線が等間隔Pに設計されたマイクロレンズアレイ120’を用いて行われたシミュレーションを意味する。
【0030】
図5を参照すると、図5は空間周波数28cyc/mmで行われたシミュレーション関係図であり、図5中の実線、破線の突起が対応関係にあるマイクロレンズ組の個数を意味し、横軸が大きい程、ディスプレイがより大きい視角の位置にあることを意味する。マイクロレンズアレイ120を採用した変調伝達関数の値がマイクロレンズアレイ120’を採用した変調伝達関数の値より優れていることがわかる。即ち、不均等な間隔P1、P2に設計されたマイクロレンズアレイ120を用いることで、大視角においても良好な解像度を有し、つまり、良好な画像品質を有する。かつ、マイクロレンズアレイ120’が等間隔Pの設計であるため、単一マイクロレンズの縁部を最適化することが難しく、即ち、大きい視角における実線の起伏程度が比較的に大きくなる現象がある。一方、マイクロレンズアレイ120が不均等な間隔P1、P2の設計であるため、破線が大きな視角における破線の起伏程度が比較的に小さい。
【0031】
再度図6を参照すると、図6におけるシミュレーション結果は、人の目の中央がマイクロレンズの中心位置に対応した光線、かつ、開口数が光線に対し算出される。図6からわかるように、実線の開口数の変化程度が破線の開口数の変化より遥かに大きく、かつ、大きい視角における開口数の低減程度が比較的に激しく、光線の円錐角の低減程度が比較的に大きいことを意味し、実線で示された同間隔Pに設計されたマイクロレンズアレイ120’は大きい視角における有効光線が比較的に少ないため、その他の光学素子(例えば、バックライトモジュール)との組み合わせに不利である。一方、,破線で示された異なる間隔P1、P2に設計されたマイクロレンズアレイ120を用いた場合、開口数の低減程度を破線よりずっと小さくなり、大きい視角の光線円錐角と小さい視角の光線円錐角において両者をより一致させることができる。
【0032】
マイクロレンズアレイ120の目側ES及び表示側DSの面の形は、実際のニースによって調整することが可能であり、図7図8はそれぞれ本発明の異なる実施例のマイクロレンズアレイの側面概略図である。
【0033】
図7を参照すると、本実施例のマイクロレンズアレイ120aは図2のマイクロレンズアレイ120と略同じであるが、その主な相違点は各目側マイクロレンズ122が目側ESに向いた凹面を有し、各表示側マイクロレンズ124が表示側DSに向いた凸面を有し、かつ、マイクロレンズアレイ120aが正の焦点距離を有する。
【0034】
図8を参照すると、本実施例のマイクロレンズアレイ120bは図2のマイクロレンズアレイ120と略同じであるが、その主な相違点は、各目側マイクロレンズ122が目側ESに向いた凸面を有し、各表示側マイクロレンズ124が表示側DSに向いた凹面を有し、かつ、マイクロレンズアレイ120bが正の焦点距離を有する。
【0035】
また、前記マイクロレンズアレイ120、120a、120bはさらに、fMLA>0の関係式を満たし、fMLAは以下の方程式で定義される。
【0036】
【数1】
fMLAはマイクロレンズアレイ120、120a、120bの相当焦点距離(equivalent focal length)であり、nはマイクロレンズアレイ120、120a、120bの材質の屈折率であり、各目側マイクロレンズ122、122a、122bが目側ESに向いた曲面CS1を有し、各表示側マイクロレンズ124、124a、124bが表示側DSSに向いた曲面CS2を有し、R1が曲面CS1の曲率半径(radius of curvature)であり、R2が第二曲面CS2の曲率半径であり、かつdが目側面ESSと表示側面DSSの中央光軸CIにおける距離である。
【0037】
図9Aは本発明の別の実施例のマイクロレンズアレイを目側から表示側への方向に観察した正面図である。図9B図9Aの実施例のマイクロレンズアレイを表示側から目側への方向に観察した正面図である。
【0038】
図9A図9Bを参照すると、本実施例のマイクロレンズアレイ120cは図2のマイクロレンズアレイ120と略同じであるが、その主な相違点は、目側マイクロレンズ122c、表示側マイクロレンズ124cの配列方法が異なる。詳しく言うと、本実施例において、これらの目側マイクロレンズ122cが中央光軸CIを中心軸に放射状に配列され、かつ、これらの表示側マイクロレンズ124cが中央光軸CIを中心軸に放射状に配列される。このような配置により、任意一つの目側マイクロレンズ122cと隣接する各目側マイクロレンズ122cが同じ間隔を有し、任意一つの表示側マイクロレンズ124cと隣接する各表示側マイクロレンズ124cが相同間隔を有し、マイクロレンズアレイ120cの転移面積におけるマイクロレンズ数を高めることができる。
【0039】
以上を纏めると、本発明実施例のニアアイライトフィールド表示装置において、マイクロレンズアレイが第一、第二レンズの間に設置され,マイクロレンズアレイの目側面、表示側面にそれぞれ複数の目側マイクロレンズと複数の表示側マイクロレンズが設置され、かつ、目側マイクロレンズの間隔が表示側マイクロレンズの間隔と異なる。このような設計により、大きい視角のライトフィールド画像の輝度を高めることができ、かつ、口径食の問題を解決できるため、ニアアイライトフィールド表示装置が良好な表示品質を有する。
【0040】
以上は本発明の好ましい実施例のみであり、本発明の実施範囲がこれに限定されず、本発明の請求の範囲及び発明内容に基づいて行われた簡単、等価な変更と修正はすべて本発明の範囲内に属する。また、本発明の任意の実施例または請求項は、必ずしも本発明のすべての目的または利点または特徴を達成するものとは限らない。また、要約書と発明の名称は特許検索に利用されるものであり、本発明の権利範囲を制限するものではない。また、明細書で言及される「第一」、「第二」等の用語は素子(element)の名称を示しものであり、素子の数の上限または下限を制限するものではない。
【符号の説明】
【0041】
100 ニアアイライトフィールド表示装置
110 第一レンズ
120、120’ マイクロレンズアレイ
122、122’ 目側マイクロレンズ
124、124’ 表示側マイクロレンズ
1221、1222、122N 第一、第二、第N目側マイクロレンズ
1241、1242、124N 第一、第二、第N表示側マイクロレンズ
130 第二レンズ
140 ディスプレイ
CI 中央光軸
CS1、CS2 曲面
ΔC1~ΔCN、d 距離
DS 表示側
EY 人の目
E 縁部
ES 目側
ESS 目側面
DS 表示側
DSS 表示側面
I1、I2 光軸
IB 画像光束
IM ライトフィールド画像
P1、P2、P 間隔
PX 表示領域
RD 径方向
SIB サブ画像光束
SIB1~SIB3 光束
W1、W2 寸法
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B