(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-22
(45)【発行日】2024-01-05
(54)【発明の名称】副鼻腔流体アクセス埋め込み器具、アセンブリ、キット、および方法
(51)【国際特許分類】
A61B 17/24 20060101AFI20231225BHJP
A61F 9/007 20060101ALI20231225BHJP
【FI】
A61B17/24
A61F9/007 140
A61F9/007 170
(21)【出願番号】P 2020516701
(86)(22)【出願日】2018-09-20
(86)【国際出願番号】 US2018052038
(87)【国際公開番号】W WO2019060605
(87)【国際公開日】2019-03-28
【審査請求日】2021-09-17
(32)【優先日】2017-09-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】513082236
【氏名又は名称】シノプシス サージカル インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】SINOPSYS SURGICAL,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】レオ、マイケル ローレンス
(72)【発明者】
【氏名】バウアー、スティーブン ニコラス
(72)【発明者】
【氏名】ヒューム、ゲイリー ビー.
(72)【発明者】
【氏名】ジェンキンソン、ロナン エル.
(72)【発明者】
【氏名】ランス、ジャスティン アーロン
【審査官】北村 龍平
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-504163(JP,A)
【文献】国際公開第2003/092782(WO,A1)
【文献】特表2014-501542(JP,A)
【文献】特表2017-522122(JP,A)
【文献】特表2019-520177(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0250070(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/24
A61F 9/007
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部流体連通通路を有する副鼻腔流体アクセスインプラントデバイスを、前記内部流体連通通路を通じた眼窩内の涙器から副鼻腔への直接流体連通アクセスを提供するように、埋め込み手順において眼窩内の涙器と副鼻腔との間の人工外科的経路を通じて埋め込む埋め込み器具であって、前記埋め込み器具は、
前記インプラントデバイスを埋め込み手順中に瞼裂を通るアプローチから外科的経路を通じて埋め込み位置に配置するために、前記インプラントデバイスをキャリア部材の取り付け部上において取り付け姿勢で搬送するように構成されたキャリア部材と、
前記インプラントデバイスを埋め込み手順中に埋め込み位置へ搬送するために、前記インプラントデバイス
の遠位部分のみを前記キャリア部材上において埋め込み姿勢で固定する固定機構であって、前記固定機構は、埋め込み手順中に、前記インプラントデバイスを前記キャリア部材の取り付け部に埋め込み姿勢で固定する固定構成から、前記インプラントデバイスを前記キャリア部材に対する固定から解放して、前記インプラントデバイスに対する前記キャリア部材の抜去を可能にし、前記インプラントデバイスを埋め込み位置に埋め込まれたまま残存させるようにする解放構成に再構成可能であり、前記固定機構は、前記固定機構が固定構成にある場合に、埋め込み姿勢にある前記インプラントデバイスの外側部分上に延びて、前記外側部分を押し付けるように配置された少なくとも1つの固定部材を備え
、前記インプラントデバイスは、前記インプラントデバイスの遠位端部から前記インプラントデバイスの長さに沿った長さ部分の50%未満の長さ距離内の前記インプラントデバイスの前記遠位部分上のみにおいて前記少なくとも1つの固定部材によって前記キャリア部材に固定されており、前記インプラントデバイスは、前記少なくとも1つの固定部材によって前記キャリア部材に固定された箇所である固定部以外で覆われていない、前記固定機構と、
前記キャリア部材と接続され、埋め込み手順中に前記外科的経路の外部に残るように構成され、かつ埋め込み手順中に前記インプラントデバイスの埋め込みを誘導するために医師によって操作可能であるハンドル部と、
前記ハンドル部の少なくとも一部内および前記キャリア部材の少なくとも一部内に収容された内部作動空間と、
少なくとも一部は前記内部作動空間内に配置され、かつ前記固定機構を固定構成から解放構成に再構成するように操作可能である解放機構とを備える、埋め込み器具。
【請求項2】
前記固定部材のうちの少なくとも1つは、固定構成において前記キャリア部材の取り付け部の遠位端部の遠位に延びて、前記インプラントデバイスが前記取り付け部に埋め込み姿勢で取り付けられたときに前記インプラントデバイスの
前記遠位端
部を覆う、請求項1に記載の埋め込み器具。
【請求項3】
それぞれの前記固定部材は固定構成において引っ張られている張力がかかった状態にある、請求項1または2に記載の埋め込み器具。
【請求項4】
前記キャリア部材内の内部作動空間内に少なくとも一部が配置された摺動部材を備え、前記固定機構は、固定構成において少なくとも1つの前記固定部材の遠位部分に係合し、該遠位部分を保持するために、前記摺動部材上において保持構造を備える、請求項1~3のいずれか一項に記載の埋め込み器具。
【請求項5】
前記摺動部材は、前記固定機構が固定構成にある場合には第1位置にあり、前記固定機構が解放構成にある場合には第2位置にあり、
前記解放機構は、前記摺動部材を第1位置から、第1位置に対して前記埋め込み器具の近位端部に向かって後退した第2位置に摺動可能に再配置するときに前記摺動部材の少なくとも近位部分が摺動可能である、前記内部作動空間内の並進経路を含み、
前記解放機構は、前記摺動部材に付勢力を加えるチャージ状態にあるばね機構を備え
、前記ばね機構は、前記摺動部材が第1位置にある場合にチャージ状態にあり、付勢力は前記摺動部材を第2位置に向けて押しやるように向けられている、請求項4に記載の埋め込み器具。
【請求項6】
前記摺動部材は、埋め込み手順中に前記埋め込み器具の遠位端部を前記外科的経路に案内するためにガイドワイヤーを通過させるように構成された管腔を内部に有する、請求項4または5に記載の埋め込み器具。
【請求項7】
前記保持構造、および前記保持構造と固定構成において係合した前記固定部材の前記遠位部分は、前記キャリア部材内の内部作動空間の遠位端部の遠位に配置される、請求項4~6のいずれか一項に記載の埋め込み器具。
【請求項8】
少なくとも1つの前記固定部材は、前記キャリア部材上に埋め込み姿勢で取り付けられた前記インプラントデバイスの内部通路の内側から、前記インプラントデバイスのサイドポートを通って、前記インプラントデバイスの外側へ、前記サイドポートから前記インプラントデバイスの前記外側部分を越えて、前記インプラントデバイスの
前記遠位端部へ、さらに前記インプラントデバイスの
前記遠位端部の遠位まで延びるように構成されている、請求項1~7のいずれか一項に記載の埋め込み器具。
【請求項9】
少なくとも2つの前記固定部材は、前記キャリア部材上に埋め込み姿勢で取り付けられた前記インプラントデバイスの内部通路の内側から、前記インプラントデバイスの異なる前記サイドポートを通って、前記インプラントデバイスの外側へ、前記サイドポートから前記インプラントデバイスの前記外側部分を越えて、前記インプラントデバイスの前記遠位端部へ、さらに前記インプラントデバイスの前記遠位端部の遠位まで延びるように、それぞれ構成されている、請求項8に記載の埋め込み器具。
【請求項10】
少なくとも1つの前記固定部材は、前記固定機構が固定構成にある場合に、埋め込み姿勢にある前記インプラントデバイスの
前記遠位端部の上に延びるように構成されたシース部材を備え、
前記シース部材は、前記固定機構が固定構成にある場合に、埋め込み姿勢にある前記インプラントデバイスの
前記遠位端部の周囲の半径方向部分を覆うように構成されている、請求項1~9のいずれか一項に記載の埋め込み器具。
【請求項11】
前記キャリア部材の取り付け部の長さは8ミリメートル~45ミリメートルの範囲にあり、
前記キャリア部材は、前記取り付け部の近位端部において横断面を有し、該横断面の最大横断寸法は、0.7~1.2ミリメートルの範囲にあり、
前記埋め込み器具は100ミリメートル~150ミリメートルの範囲にある長さを有する、請求項1乃至10のいずれか1項に記載の埋め込み器具。
【請求項12】
副鼻腔流体アクセスインプラントデバイスを、前記インプラントデバイスの内部通路を通じて眼窩内の涙器から副鼻腔への直接流体連通アクセスを提供するように、埋め込み手順において眼窩内の涙器と副鼻腔との間の外科的経路を通じて埋め込むための埋め込みアセンブリであって、前記埋め込みアセンブリは、
インプラントデバイスと、
請求項1乃至10のいずれか1項に記載の埋め込み器具とを備え、前記インプラントデバイスは、固定構成において固定機構によって前記キャリア部材の取り付け部上に取り付け姿勢で取り付けられる、埋め込みアセンブリ。
【請求項13】
前記固定機構は、前記インプラントデバイスを複数の固定位置で前記キャリア部材に固定し、前記複数の固定位置のいずれも、前記キャリア部材の長さに沿って前記インプラントデバイスの
前記遠位端部から5ミリメートルを超えて近位に配置されない、請求項12に記載の埋め込みアセンブリ。
【請求項14】
前記インプラントデバイスは、前記インプラントデバイスを眼窩内の涙器と副鼻腔との間の組織内に定着するための外側アンカー表面特徴部を備え、前記外側アンカー表面特徴部は、組織に係合するように構成されたアンカー突出部と、前記アンカー突出部間にある凹部領域とを備え、アンカー突出部とアンカー突出部間にある凹部とを有し、
前記固定機構は、少なくとも1つの前記アンカー突出部上に延びる前記インプラントデバイスの前記外側と接触する、請求項12または13に記載の埋め込みアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
副鼻腔流体アクセス埋め込み器具、アセンブリ、キット、および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
毎年数百万人が副鼻腔の感染症、すなわち副鼻腔炎の治療を受けており、そのうちの多くが慢性副鼻腔炎に罹患している。改善された洗浄ドレナージの提供に関する従来の外科的介入は、中程度の症状の改善を提供するが、治癒をもたらすものではない。最近の介入としては、副鼻腔に直接アクセスして、医療処置または薬物治療を副鼻腔内でより直接的に実施できるようにすることが提案されている。副鼻腔への直接アクセスは、鼻部および鼻腔から副鼻腔内への自然開口を提供する小孔を通るアプローチから提案された。小孔の自然開口を通って副鼻腔に直接アクセスするそのような医学的介入は、小孔の限られた空間への、またその限られた空間を通るアクセス器具の複雑な操作を伴う。
【0003】
別のより最近の介入は、副鼻腔内において涙器の間に人工的に形成された外科的経路(surgical path)を通じて埋め込まれた副鼻腔アクセスインプラントデバイスを通る涙器と副鼻腔との間の人工の、流体が流れるように連通した(以下、「流体連通」と記載)経路を設けることで、埋め込まれたインプラントデバイスの内部通路を通じて涙器から副鼻腔への直接的な流体連通アクセスを提供することに基づく。1つの外科的アプローチは、瞼裂を介して、眼窩内の涙器と副鼻腔、多くの場合には篩骨洞との間に外科的経路を形成することである。涙器と副鼻腔との間の流体連通を提供するためのいくつかの副鼻腔アクセスインプラントデバイスおよび埋め込み器具、並びにそのようなインプラントデバイスを埋め込むための手順は、例えば、世界知的所有権機構によって公開された特許文献1~7に開示されている。
【0004】
そのような副鼻腔アクセスインプラントデバイスは、埋め込まれると、薬剤もしくは洗浄流体を副鼻腔へ直接投与したり、または副鼻腔において医療処置を実施したりするために、副鼻腔への好都合なアクセスを提供する。しかしながら、外科的に穿通された組織との適合性および相互作用を高めるために、そのような副鼻腔アクセスインプラントデバイスは比較的軟質かつ可撓性の材料、例えば、医療グレードシリコーンのような、多くの場合に約60~80の範囲にあるショアA硬度を有するポリマー材料から形成され得る。そのような可撓性インプラントデバイスを適切な寸法の外科的経路を通じて、外科的経路内およびそれに隣接する組織のさらなる炎症を伴うことなく前進させることは困難である可能性がある。そのようなインプラントデバイスは、外科的経路内で露出した組織と相互作用して、埋め込まれたインプラントデバイスの定着を支援するように構成されたアンカー突出部を備えていてもよい。外科的経路を通る適合性および外科的経路内における保持を高めるために、インプラントデバイスの外径は、特にアンカー突出部の位置において、外科的経路を形成するためになされた外科的切断部の直径より大きい場合がある。インプラントデバイスが埋め込み手順中に外科的経路内へ、さらにその外科的経路を通って進められるときの外科的経路を通る挿入に対する抵抗は、可撓性インプラントデバイスのアコーディオン状の変形をもたらすことがあり、これはインプラントデバイスの前進に対する抵抗をさらに増大させ、埋め込み手順の実施を複雑にし、患者の不快感および治癒時間の延長につながり得る組織のさらなる炎症の可能性を増大する。加えて、副鼻腔にアクセスするために外科的切断部が貫通する洞骨の壁は非常に薄く、埋め込み手順中に破損および損傷しやすい場合がある。そのような洞骨の壁の破損および損傷は、外科的切断部を介して埋め込み位置に埋め込まれたデバイスの良好な固定に不利益である可能性があり、また良好な外科診療に望ましくない。
【0005】
眼窩内の涙器と副鼻腔とを流体が流れるように接続(以下、「流体接続」と記載)するそのような副鼻腔アクセスインプラントデバイスを埋め込むための外科的埋め込み技術は、副鼻腔の症状へのアクセスおよび治療においてかなりのレベルの成功を収めているが、埋め込み器具および手順は、依然としてこれらの問題の1つ以上を抱えている場合があり、そのような問題にさらに対処するために、改善された埋め込み器具および手順の必要性が高い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】国際公開第2012/048278号(A2)
【文献】国際公開第2013/154843号(A1)
【文献】国際公開第2014/116980号(A1)
【文献】国際公開第2015/069433号(A1)
【文献】国際公開第2016/014996号(A1)
【文献】国際公開第2016/015002号(A1)
【文献】国際公開第2017/132573号(A1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明者は、これらの問題は、眼窩内の涙器と副鼻腔との間に人工的な流体連通接続を提供するために瞼裂を介した外科的アプローチによって埋め込まれた上記に要約した種類の副鼻腔アクセスインプラントデバイスの埋め込みについて、インプラントデバイスが埋め込み手順中に瞼裂アプローチから外科的経路を通って進められる際に副鼻アクセスインプラントデバイスをほとんど張力がかかった状態で維持する埋め込み器具および埋め込み手順を提供することによって、少なくともある程度は対処され得ることを発明的に認識した。別の言い方をすると、外科的経路を通って進められるインプラントデバイスの長さの大部分が、外科的経路を通って押される(圧縮状態)のではなく、外科的経路を通って引っ張られる(張力がかかった状態)場合、インプラントデバイスは、外科的経路内へ、さらに外科的経路を通って前進する間に、アコーディオン状に一箇所に集まるのではなく、伸張することができる。これは外科的経路を通るインプラントデバイスの前進を容易にし、洞壁骨の破損または損傷、他の組織炎症、および医療専門家が埋め込み手順を実施する際の困難を引き起こす可能性を低減する傾向にある。結果として、埋め込み手順は、医療専門家がより迅速かつ、より容易に実施できるものとなり、また外科合併症の可能性が低減される。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の第1態様は、内部流体連通通路を有する副鼻腔流体アクセスインプラントデバイスを、その内部通路を通じた眼窩内の涙器から副鼻腔への直接流体連通アクセスを提供するように、埋め込み手順において眼窩内の涙器と副鼻腔との間の人工外科的経路を通じて埋め込む埋め込み器具を提供する。埋め込み器具は、
インプラントデバイスを埋め込み手順中に瞼裂を通るアプローチから外科的経路を通じて埋め込み位置に配置するために、インプラントデバイスをキャリア部材の取り付け部上において取り付け姿勢(mounted orientation)で搬送するように構成されたキャリア部材と、
インプラントデバイスを埋め込み手順中に埋め込み位置へ搬送するために、インプラントデバイスをキャリア部材上において埋め込み姿勢で固定する固定機構であって、固定機構は、埋め込み手順中に、インプラントデバイスをキャリア部材の取り付け部に埋め込み姿勢で固定する固定構成から、インプラントデバイスをキャリア部材に対する固定から解放して、インプラントデバイスに対するキャリア部材の抜去を可能にし、インプラントデバイスを埋め込み位置に埋め込まれたまま残存させるようにする解放構成に再構成可能である、固定機構と、
キャリア部材と接続され、埋め込み手順中に外科的経路の外部に残るように構成され、かつ埋め込み手順中にインプラントデバイスの埋め込みを誘導するために医師によって操作可能であるハンドル部と、
ハンドル部の少なくとも一部内およびキャリア部材の少なくとも一部内に収容された内部作動空間と、
少なくとも一部は内部作動空間内に配置され、かつ固定機構を固定構成から解放構成に再構成するように操作可能である解放機構とを備え得る。
【0009】
本開示の第2態様は、副鼻腔流体アクセスインプラントデバイスを、そのインプラントデバイスの内部通路を通じて眼窩内の涙器から副鼻腔への直接流体連通アクセスを提供するように、埋め込み手順において眼窩内の涙器と副鼻腔との間の外科的経路を通じて埋め込むための埋め込みアセンブリを提供する。この第2の態様の埋め込みアセンブリは、
そのような副鼻腔アクセスインプラントデバイスと、
埋め込み器具とを備え、インプラントデバイスは、固定構成において埋め込み器具の固定機構によって埋め込み器具のキャリア部材の取り付け部上に取り付け姿勢(mounting orientation)で取り付けられ、固定機構は、インプラントデバイスをキャリア部材の取り付け部に対する固定から解放する解放構成に再構成可能である。
【0010】
この第2態様の埋め込みアセンブリ内の埋め込み器具は、本開示の第1態様によるものであってもよい。
本開示の第3態様は、副鼻腔流体アクセスインプラントデバイスを、そのインプラントデバイスの内部通路を通じて眼窩内の涙器から副鼻腔への直接流体連通アクセスを提供するように、埋め込み手順において眼窩内の涙器と副鼻腔との間の外科的経路を通じて埋め込むための埋め込みキットを提供する。この第3の態様の埋め込みキットは、
埋め込み器具であって、インプラントデバイスは、固定構成において埋め込み器具の固定機構によって埋め込み器具のキャリア部材の取り付け部上に取り付け姿勢で取り付け可能であり、固定機構は、インプラントデバイスをキャリア部材の取り付け部に対する固定から解放する解放構成に再構成可能である、埋め込み器具と、
そのような副鼻腔アクセスインプラントデバイスとを含み、
埋め込み器具およびインプラントデバイスは、インプラントデバイスが固定構成において固定機構によってキャリア部材の取り付け部上に取り付け姿勢で取り付けられた、埋め込みアセンブリに組み立てられているか、または組み立て可能である。
【0011】
この第3態様のキットの埋め込み器具は、本開示の第1態様によるものであってもよい。この第3態様のキットの埋め込みアセンブリは、本開示の第2態様によるものであってもよい。
【0012】
本開示の第4態様は、眼窩内の涙器を副鼻腔と流体接続するために、副鼻腔アクセスインプラントデバイスを埋め込むための方法を提供する。この第4態様の方法は、
瞼裂を通る外科的アプローチによって、眼窩内の涙器における位置と副鼻腔との間に人工外科的経路を外科的に形成するステップと、
そのような副鼻腔アクセスインプラントデバイスを備えた埋め込みアセンブリを、瞼裂を通るアプローチから、インプラントデバイスが埋め込み位置において外科的経路を通って延在するまで前進させるステップと、埋め込みアセンブリは、固定構成において埋め込み器具の固定機構によって埋め込み器具のキャリア部材の取り付け部上に取り付け姿勢で取り付けられたインプラントデバイスを備え、固定機構は、インプラントデバイスをキャリア部材の取り付け部に対する固定から解放する解放構成に再構成可能であることと、
固定機構を固定構成から解放構成に再構成するように解放機構を操作するステップと、
埋め込み器具を外科的経路から抜去して、インプラントデバイスを、外科的経路を通って埋め込まれたまま残存させて、眼窩内の涙器を副鼻腔と流体接続する、ステップとを含み得る。
【0013】
この第4態様の方法に用いられる埋め込み器具は、本開示の第1態様によるものであってもよい。この第4態様の方法に用いられる埋め込みアセンブリは、本開示の第2態様によるものであってもよい。この第4態様の方法に用いられる埋め込みアセンブリに使用されるインプラントデバイスおよび埋め込み器具は、本開示の第3態様による埋め込みキットに提供されてもよい。
【0014】
本開示の第5態様は、副鼻腔流体アクセスインプラントデバイスを、そのインプラントデバイスの内部通路を通じて眼窩内の涙器から副鼻腔への直接流体連通アクセスを提供するように、眼窩内の涙器と副鼻腔との間の人工外科的経路を通じて埋め込むための方法を提供する。この第5態様の方法は、
インプラントデバイスが埋め込み器具のキャリア部材の外側に固定され、インプラントデバイスの遠位端部は埋め込み器具の遠位端部に向かって配置され、かつインプラントデバイスの近位端部は埋め込み器具の近位端部に向かって配置された状態で、眼窩内の涙器からの埋め込みアプローチによって、インプラントデバイスを眼窩内の涙器と副鼻腔との間の外科的経路を通じて、インプラントデバイスが埋め込み位置に位置し、インプラントデバイスの遠位端部は副鼻腔内に配置され、かつインプラントデバイスの近位端部は眼窩内の涙器内に配置されるまで、前進させるステップと、
前進後に、インプラントデバイスをキャリア部材の外側に対する固定から解放し、かつキャリア部材を外科的経路から抜去して、インプラントデバイスを埋め込み位置に埋め込まれたまま残存させて、インプラントデバイスの内部通路を通じて眼窩内の涙器を副鼻腔と流体接続するステップとを含み、
インプラントデバイスはインプラントデバイスの近位端部から遠位端部までの長さを有し、
前進中、インプラントデバイスの長さより小さいインプラントデバイスの長さ部分が、外科的経路内に進入し、外科的経路を通って少なくともある程度の距離を前進し、その長さ部分の大部分は外科的経路を通って前進する間、張力がかかった状態にある。
【0015】
この第5態様の方法は、本開示の第4態様の方法の実施を含んでいてもよい。この第5態様の方法に用いられる埋め込み器具は、第1態様によるものであってもよい。この第5態様の方法において埋め込み器具のキャリア部材の外側に固定されたインプラントデバイスは、本開示の第2態様による埋め込みアセンブリに提供されてもよい。この第5態様の方法において用いられるインプラントデバイスおよび埋め込み器具は、本開示の第3態様による埋め込みキットに提供されてもよい。
【0016】
本開示のこれらおよび他の態様、並びにそれらと使用するための特徴について以下にさらに記載する。以下で開示される幾つかの特徴の改善および付加的な特徴は、埋め込み器具、埋め込みアセンブリ、埋め込みキットおよび任意のそのような態様の埋め込み方法を含む本開示の態様の各々に適用可能である。これらの特徴の改善および付加的な特徴は、これらの態様のうちのいずれかにおいて、またはすべてにおいて、個々に、またはいかなる組み合わせで用いられてもよい。従って、以下で検討されるであろう特徴の各々は、本開示の同一の態様または任意の他の態様の任意の他の特徴、または特徴の組み合わせとともに用いられてもよいが、これは必須ではない。
【0017】
本開示の多数の付加的な特徴および利点は、以下に提供する実施形態の説明の検討により、当業者には明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】涙器と、眼窩内の涙器から副鼻腔への直接流体連通アクセスを提供するためにインプラントデバイスを埋め込むための瞼裂を通る外科的アプローチによる眼窩内の涙器と副鼻腔との間の外科的経路のいくつかの例示的ルートとを示す図。
【
図2】眼窩内の涙器から副鼻腔への直接流体連通アクセスを提供するために埋め込むための副鼻腔アクセスインプラントデバイスの例示的実施形態の斜視図。
【
図3】
図2に示した副鼻腔アクセスインプラントデバイスの側面図。
【
図4】眼窩内の涙器から篩骨洞への直接流体連通アクセスを提供するために埋め込まれたときの埋め込み位置における副鼻腔アクセスインプラントデバイスの例示的実施形態を示す図。
【
図5】眼窩内の涙器から副鼻腔への直接流体連通アクセスを提供するために埋め込み器具を用いて埋め込まれる例示的な副鼻腔アクセスインプラントデバイスとの埋め込みアセンブリの組み合わせにおける、埋め込み器具の例示的実施形態を含む埋め込みアセンブリを示す斜視図。
【
図6】
図5の埋め込み器具の構成要素を示す分解組立図。
【
図7】
図5の例示的な副鼻腔アクセスインプラントデバイスを含む
図5の埋め込みアセンブリ構成において
図5の埋め込み器具の長さに沿った断面線に沿って得られた断面図。
【
図8】
図5の埋め込み器具の摺動部材の第1部分の側面図。
【
図9】
図8に示した摺動部材の第1部分の遠位端部分の側面図。
【
図12】
図5に示した器具アセンブリの組み合わせの遠位端部分の斜視図。
【
図13】
図5に示した副鼻腔アクセスインプラントデバイスの例示的実施形態を埋め込むための埋め込み手順中における
図5に示した埋め込み器具の使用を示す斜視図。
【
図14】
図5に示した副鼻腔アクセスインプラントデバイスの例示的実施形態を埋め込むための埋め込み手順中における
図5に示した埋め込み器具の使用を示す斜視図。
【
図15】
図5に示した副鼻腔アクセスインプラントデバイスの例示的実施形態を埋め込むための埋め込み手順中における
図5に示した埋め込み器具の使用を示す斜視図。
【
図16】埋め込み手順中における
図5に示した埋め込み器具の遠位端部分および副鼻腔アクセスインプラントデバイスの例示的実施形態を示す部分断面図。
【
図17】埋め込み手順中における
図5に示した埋め込み器具の遠位端部分および副鼻腔アクセスインプラントデバイスの例示的実施形態を示す部分断面図。
【
図18】埋め込み手順中における
図5に示した埋め込み器具の遠位端部分および副鼻腔アクセスインプラントデバイスの例示的実施形態を示す部分断面図。
【
図19】眼窩内の涙器から副鼻腔への直接流体連通アクセスを提供するための副鼻腔アクセスインプラントデバイスを埋め込むために使用するための埋め込み器具の別の例示的実施形態を示す斜視図。
【
図24】
図19の埋め込み器具のキャリア部材の遠位端部分の部分側面図。
【
図26】埋め込み手順を実施するための
図19の埋め込み器具の使用を示す斜視図。
【
図27】埋め込み手順を実施するための
図19の埋め込み器具の使用を示す斜視図。
【
図28】埋め込み手順を実施するための
図19の埋め込み器具の使用を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
「涙器」および「涙器系」という用語は、眼球を潤滑するための涙液の生成および分泌、眼窩内における涙液の貯蔵部における涙液の収容、および眼窩から鼻腔への涙液の排出を行う、生理学的構成要素の集合体を指す。涙器は、涙腺、涙排出系、および涙腺と涙排出系との間に位置する涙液の貯蔵部を含む。涙液の貯蔵部は、眼瞼縁および結膜嚢(並びに時に涙湖と称される下側の結膜円蓋(lower conjunctival cul-de-sac)における涙の貯留部(pool of tears))を含む。涙排水系は、涙点(puncta)、小管および鼻涙管(鼻涙管の頂部に位置するいわゆる涙嚢を含む)を含み、これらを通って過剰な涙液は、ハスネル弁に、さらに鼻腔内へ流出する。
図1は、涙器を概略的に示している。涙液は涙腺102から生成され分泌されて、眼窩内に配置された眼球104の表面を潤滑する。涙液は、眼球104を覆うコーティングを形成し、一般に結膜嚢(結膜によって覆われた、下眼瞼106、上眼瞼108、および眼球104の間の空間)内に収容されている。過剰な涙液は、内眼角(目の内側の隅)の近傍に伝えられ、涙点110を通って涙小管112内および鼻涙管116の涙嚢114内へ流出する。涙液は次に、鼻涙管116からハスネル弁を通って鼻腔内へ流出する。
【0020】
本願に用いられる場合、外科的経路とは、眼窩内の涙器から副鼻腔への直接流体連通アクセスを提供するための内部通路を有するインプラントデバイスを埋め込むために、瞼裂を通るアプローチから眼窩内の涙器と副鼻腔との間に外科的手段によって作成された、人工的に形成された通路を指す。理解できるように、瞼裂(palpebral fissure)とは、眼瞼裂(rima palpebrarum)とも称される眼瞼間の解剖学的開口である。そのようなインプラントデバイスは、例えば、米国特許第9,308,358号、米国特許第9,561,350号、米国特許出願公開第2017/0216094号(A1)、または国際公開第2017/132573号(A1)のうちのいずれかに記載されているような設計のものであってもよい。上記の特許文献の各々は参照によって本願に援用される。
【0021】
副鼻腔は、前頭骨内、上顎骨内、篩骨内および蝶形骨内にそれぞれ収容された空洞である前頭洞、上顎洞、篩骨洞および蝶形骨洞を含む。副鼻腔は鼻腔に排出する。
図1はまた、涙器の特徴に対する前頭洞122、上顎洞124、および篩骨洞126の全体的な近接を示しており、また外科的経路のためのいくつかの例示的なルートは破線によって示されている。外科的経路のための第1の例示的なルート130は、眼窩内の涙器から前頭洞である。第2の例示的な外科的経路のルート132は、眼窩内の涙器から篩骨洞126である。第3の例示的な外科的経路のルート134は、眼窩内の涙器から上顎洞124である。
図1に示す例示的な外科的経路のルートは、一般的な説明のみを目的としており、涙器の一部を対応する副鼻腔と接続するために外科的経路が形成され得る正確な場所を示すものではない。
図1には示していないが、外科的経路の別の例示的なルートは、眼窩内の涙器から蝶形洞である。副鼻腔への外科的経路のための好ましいルートのもう1つの特定の例は、外科的経路が涙丘および組織を直接通過して標的とされる副鼻腔に至るものである。外科的経路のためのそのようなルートは、埋め込み手順を実施する医療専門家による外科的進入点(surgical entry point)の位置選定が比較的容易であることから恩恵を受ける。
【0022】
図2および
図3は、国際公開第2017/132573号(A1)に記載されているような設計の例示的なインプラントデバイス200を示している。インプラントデバイス200は、ヘッド202および導管204を備える。導管204は、第1長手部分206と、第1長手部分206の遠位に配置された第2長手部分208とを備える。第1長手部分206は滑らかな外面を備え、第2長手部分208は、離間した周方向隆起部210の形態にあるアンカー突出部と、隆起部210の間にある凹部領域212とを含むアンカー表面特徴部(anchoring surface feature)を備える。インプラントデバイス200が、眼窩内の涙器を副鼻腔と流体接続するために外科的経路を通って埋め込まれる場合、隆起部210の1つ以上は、埋め込まれたときにインプラントデバイス200によって貫通される副鼻腔骨壁の付近に位置してもよく、好ましくはアンカー突出部の1つ以上は骨の各側面上に配置され、より好ましくは、インプラントデバイス200によって貫通される洞腔骨(sinus cavity bone)の壁は隆起部210の隣接した2つの間に配置される。インプラントデバイス200は、近位端部216と遠位端部218との間に延びて、ヘッド202および導管204の全長を通過する内部通路238を備えている。内部通路238は、埋め込まれたときに眼窩内の涙器と流体連通するように近位端部216において開放しており、かつ埋め込まれたときに副鼻腔と流体連通するように遠位端部218において開放しており、それによりインプラントデバイス200は埋め込まれたときに眼窩内の涙器と副鼻腔との間に流体連通経路を提供する。隣接する隆起部210の最遠位の対の間に配置されたインプラントデバイス200は、インプラントデバイス200の長手軸線251の両側に配置された2つのサイドポート250を備え、それらのサイドポートはインプラントデバイス200が埋め込まれたときに副鼻腔内に配置されるように設計されている。
【0023】
図3にインプラントデバイス200の様々な寸法を示す。インプラントデバイス200は、近位端部216と遠位端部との間において長手方向に測定された長さ214を備える。周方向隆起部210は、隆起部210の基部における幅222と、隣接した凹部領域212よりも高い高さ224とを有する。隆起部210は、中心間距離226で離間されており、隣接する隆起部210の隣接する基部の間に隆起部間間隔227を有する。導管204は隆起部210の頂部に対応する最大外幅228を有し、これは隆起部210の頂部において導管204を通る横断面の円の直径に相当する。導管204は、導管204の第2長手部分208上の凹部領域212に対応する位置において最低外幅231を有する。ヘッド202は、直径234および深さ236を有する円周部(circular perimeter)を有している。第2長手部分208の始まり、すなわち近位端部は、近位端部216の最も近くの隆起部210の基部において、近位端部216から距離220に位置し、また第2長手部分208は長さ221を有している。内部通路238はインプラントデバイス200の長さに沿って円形横断面を有しており、その円形横断面は、内部通路の直径が近位端部216および遠位端部218に隣接した移行部分においてより大径に拡開していることを除いて、一定の直径を有する。これらについては以下でさらに説明する。
【0024】
インプラントデバイス200の1つの例示的な実施形態について
図3に示した複数の寸法に対するいくつかの例示的な値を表1に要約する。
【0025】
【0026】
例示的なインプラントデバイス200のさらなる特徴は、国際公開第2017/132573号(A1)に記載されている。
図4は、眼窩内の涙器を篩骨洞と流体接続するための埋め込み位置におけるインプラントデバイス200のインプラント配置の例を示している。
図4に示した埋め込み位置において、ヘッド202および近位端部216は、結膜嚢において眼窩内の涙器に配置され、かつ遠位端部218は篩骨洞126に配置されている。導管204は結膜および篩骨洞126が位置する篩骨の壁を含む組織を横切る外科的経路を通過し、いくつかのアンカー隆起部210は外科的経路内に配置されて組織に係合し、インプラントデバイス200を定着させるのを助けている。またアンカー隆起部210の他のものおよびサイドポート250は篩骨洞内に配置されている。代替例において、眼窩の涙器からの外科的経路は、涙丘142を直接通過してもよく、また埋め込み位置においてヘッド202は涙丘142の組織の上に配置され、その組織に係合してもよい。
【0027】
埋め込まれたインプラントの設計が
図2および
図3に示すような種類の設計を有するか、または異なる設計を有するかにかかわらず、埋め込み後、インプラントデバイスは、副鼻腔へのアクセスを提供して、副鼻腔に関する医療処置または治療を実施するため、例えば、治療組成物(また治療製剤とも称される)を投与するため、副鼻腔または副鼻腔から流体を吸引するために用いられ得る。そのような治療製剤は、副鼻腔炎の治療のための1つ以上の薬剤を含有してもよいし、または副鼻腔を洗浄するための洗浄流体であってもよい。
【0028】
また
図5~
図18を参照しながら、副鼻腔流体アクセス埋め込み器具300の実施形態、並びに埋め込み器具300の様々な構成要素、および埋め込み器具300に関わる例示的な埋め込み手順について説明する。例示を目的として、埋め込み器具300は、
図2~
図4に示した例示的な副鼻腔流体アクセスインプラントデバイス200の埋め込みを伴うか、またはそれに関連して操作される埋め込みアセンブリで示されている。
【0029】
埋め込み器具300は、インプラントデバイス200を、埋め込み手順中に眼窩内の涙器と副鼻腔との間の外科的経路を通じて挿入するために搬送するように構成された挿入部302を備える。埋め込み器具300はまた、埋め込み手順中に外科的経路の外部に残るように構成されたハンドル部も備えており、そのハンドル部は埋め込み手順中にインプラントデバイス200の埋め込みを誘導するために医師によって操作可能である。挿入部302は、インプラントデバイス200が埋め込み手順中に瞼裂を通るアプローチから外科的経路を通って埋め込み位置へ搬送されるように取り付けられ得るキャリア部材306を備える。キャリア部材306は取り付け部308を含む。取り付け部308は、インプラントデバイス200が埋め込み手順中にキャリア部材306によって搬送されるように固定されるキャリア部材306の長手部分である。
図5および
図7に示すように、キャリア部材306の取り付け部308は、インプラントデバイス200が埋め込み手順中に埋め込み器具300によって搬送されるように固定されるキャリア部材306の長さと一致する。この点に関して、インプラントデバイス200が埋め込み手順のためにキャリア部材306に固定される際、取り付け部308の遠位端部はインプラントデバイス200の遠位端部218と一致し、かつ取り付け部308の近位端部はインプラントデバイス200の近位端部216と一致し得る。インプラントデバイス200は、埋め込み手順の準備として、キャリア部材306のそのような取り付け部308上に取り付けられて固定されるが、インプラントデバイス200が埋め込み手順中にキャリア部材306上で外科的通路(surgical passage)内に挿入されるときに、インプラントデバイス200はキャリア部材306に対して若干変形または変位し得ることに留意されたい。そのような変形または変位は、インプラントデバイス200が初めのうちは最初に取り付けられた通りに拘束されていた取り付け部308の外側のキャリア部材306に沿ったインプラントデバイス200の1つ以上の部分の移動を含み得る。例えば、埋め込み器具300では、インプラントデバイス200の遠位部分のみがキャリア部材306に固定されており、そのためインプラントデバイス200がインプラントの配置のために外科的経路内に挿入され、外科的経路を通って進められると、インプラントデバイス200の固定位置の近位に位置する部分は張力がかかった状態となるであろう。これは、インプラントデバイス200が固定位置の近位のキャリア部材306に沿って伸張して長くなることを有利に可能にし、伸張したインプラントデバイス200の近位部分は、キャリア部材306の取り付け部308の近位に延在し得る。同様に、インプラントデバイス200の固定された遠位部分は、固定の位置のまわりで若干変形して位置を変えることがあり、これはキャリア部材306の取り付け部308の遠位端部に対するインプラントデバイス200の遠位端部218の配置を若干変位させ得る。
【0030】
図5~
図17に示すように、摺動部材310は大部分がハンドル部304およびキャリア部材306内に収容された内部作動空間内に配置される。摺動部材310は内部作動空間内の並進経路(translation path)に沿って摺動可能である。インプラントデバイス200が外科的経路内において埋め込み位置まで進められた後、ばね312が摺動部材310を推進する力を提供して、インプラントデバイス200をキャリア部材306に対する固定から解放し、インプラントデバイス200を埋め込みのために留置する。図面に示すように、摺動部材310は、長尺状の導管(例えば、ハイポチューブとも称される皮下チューブ)の形態にある第1部分314を備える。摺動部材は、ばね312と相互作用するための第2部分316も備えており、また押圧可能部材318を有する。押圧可能部材318は、埋め込み手順中に医療専門家によって押圧されて、ばね312をチャージ状態(charged state)(予圧縮状態)から解放して、摺動部材310を埋め込み器具300の近位端部320に向けて推進し、摺動部材310を内部作動空間内で後退させ、インプラントデバイス200を埋め込み留置のためにキャリア部材306に対する固定から解放し得る。押圧可能部材318は、作動ボタン322の形態にある作動部材と界接しており、作動ボタン322は、医療専門家によって押されることで、押圧可能部材318を押圧し、埋め込み手順中にキャリア部材306に対する固定からのインプラントデバイス200の解放を作動させ得る。例として、摺動部材310の第1部分314は小径ハイポチューブ(例えばステンレス鋼製)の形態であってもよく、摺動部材310の第2部分316はハイポチューブ上に成形されたプラスチック構造物(例えばポリプロピレン製)であってもよい。
【0031】
図8は、
図10および
図11に示すように、摺動部材310のオーバーモールドされた第2部分316とのより確実な係合のために拡開した近位端部324を有するハイポチューブの形態にある摺動部材310の第1部分314を示している。摺動部材310の第2部分316は、ばね312に係合して、そのばね312を摺動部材310に対して保持するための保持突起326を備える。埋め込み器具300の例において、作動ボタン322は成形されたハンドル本体片(例えばポリプロピレン製)の一部である。圧縮状態において、ばね312の遠位端部はハンドル本体の肩特徴部328に対抗して配置されている。埋め込み器具300は、埋め込み手順中に埋め込み器具300の遠位端部を外科的経路に案内するためのガイドワイヤーを通過させるために、摺動部材310の第1部分314を通って設けられた管腔を備える。その管腔は、埋め込み器具300の近位端部320から、ハンドル本体内の開口特徴部333の近位部分内にロックするタブ部分331を有するエンドキャップ挿入物332を通る(though)開口330を介してアクセス可能である。エンドキャップ挿入物332は、近位端部320に隣接した内部作動空間を封じ、かつ圧縮状態にあるばね312が作動ボタン322の操作を通じた押圧可能部材318の押圧によって解放された場合に、近位端部320に向かって推進されたときの摺動部材310の移動に対する停止具として作用する。
【0032】
埋め込み器具300の重要な特徴は、インプラントデバイス200を埋め込み手順中に外科的経路を通って埋め込み位置へ搬送するために、インプラントデバイス200をキャリア部材306上において埋め込み姿勢で固定するように提供された固定機構である。固定機構は、インプラントデバイス200をキャリア部材306に固定する固定構成から、外科的経路を通って埋め込み位置へ進められた後にインプラントデバイス200をキャリア部材306に対する固定から解放する解放構成に再構成可能であり、これは埋め込み器具300およびキャリア部材306の抜去を可能にして、キャリア部材306を配置されたインプラントデバイス200から離脱させて、インプラントデバイス200を埋め込みのために適所に残存させる。インプラント器具300について示した実施形態において、固定機構は、キャリア部材306の遠位端部と一体であり、その遠位端部における延長部として設けられたシース部材340の形態にある2つの固定部材を含む。1つの例示的な想定される実施形態において、キャリア部材306は、一体シース部材340が、インプラントデバイス200の遠位に位置したサイドポート250を介してサイドポート250の内側から外側へ、次いでインプラントデバイス200の外側の遠位部分上を遠位方向に通されて、摺動部材310の遠位端部分上に備えられた保持構造特徴部に係合し、その保持構造特徴部によって固定構成に保持されるように十分な延性を有することを可能にする材料特性を有するポリマー組成物から製造され得る。
図8、
図9および
図12に見られるように、摺動部材310の遠位端部分は、摺動部材310の第1部分314の遠位端部分の対向側面の壁に切り込まれた固定タブ342を備える。固定タブ342の各々は摺動部材310の第1部分314の壁を貫通して切断されたスロット344によって画定されており、従って、各固定タブ342は、シース部材340を摺動部材310の遠位端部分に固定するために、シース部材340に対応する遠位端部分を通る対応する開口346を介して受容されるように構成されている。これにより、各シース部材340の遠位端部分が対応する固定タブ342上に掛止されることが可能となり、固定タブ342はシース部材340の開口346を通って突出して、埋め込み手順中にキャリア部材306上に取り付けられたインプラントデバイス200を外科的ルートへ、さらにそのルートを通じて前進させるために、シース部材340を固定構成で適所に固定された状態に保持する。埋め込み手順に備えた(reading for)埋め込みアセンブリにおける、シース部材340と開口346を通って突出した固定タブ342のうちの対応するものとの間の係合の一例は、例えば、
図16に示されている。固定タブ342と係合した固定構成にある固定されたシース部材340は双方とも、キャリア部材306上に取り付けられた埋め込み姿勢にあるインプラントデバイス200を固定し、かつシース部材340によって覆われるインプラントデバイス200の遠位端部分に対するシース様の保護を提供し、インプラントデバイス200の外科的経路への挿入を容易にし、またインプラントデバイス200の遠位端縁からの前進に対して少ない抵抗で、外科的経路を通じてインプラントデバイス200を埋め込み位置へ前進させる。インプラントデバイス200をサイドポート250およびサイドポート250より遠位の位置においてのみキャリア部材306に固定することにより、外科的経路内へ、さらに外科的経路を通って進められるインプラントデバイス200のサイドポート250の近位に位置する長さの大部分は、インプラントデバイス200が外科的経路を通って進められるときにインプラントデバイス200の導管204の外側を引っ張る外科的経路内の組織からの前進に対する抵抗の結果として張力がかかった状態で、インプラントデバイス200が埋め込み位置まで完全に進められたときにインプラントデバイス200のヘッド202が外科的経路の近位開口に隣接した結膜組織に係合するまで、進められることとなる。
図16に示すように、キャリア部材306の取り付け部308はインプラントデバイス200の遠位端部まで延びており、キャリア部材306の遠位端部分はインプラントデバイス200の外側に沿ってインプラントデバイス200の遠位端部まで延びている。埋め込み器具300の実施形態において、シース部材340の形態にある固定部材はキャリア部材306の一体部分であり、それらの一体部分は、タブ部分342を含む摺動部材310の遠位端部分と共に、インプラントデバイスを埋め込み姿勢でキャリア部材306上に固定する固定機構の一部である。本願に用いられる「キャリア部材」という用語は、インプラントデバイスを埋め込み手順中に外科的経路に対して埋め込み位置へ前進させるために、埋め込み手順中に支持された方法で取り付けられたインプラントデバイスに搬送機能を提供する部品または部分の組み合わせであってもよい搬送構造を指すことが理解されるはずである。
図5~
図18に示すような埋め込み器具300に対するいくつかの代替構成において、1つ以上のシース部材は、インプラントデバイスの内部通路の端部から延び出て、インプラントデバイスの遠位端部上に折り返して、インプラントデバイスの遠位端部分の外側を覆って延在してもよい。例えば、そのような折り返されたシース部材は、例えば、
図19~
図28に関して以下に記載するものに類似したスネア型構造物によってインプラントデバイス200の遠位端部分に沿って保持されてもよいし、またはインプラントデバイス200のサイドポート250付近に配置された摺動部材上の保持特徴部によって保持されてもよい。他の代替構成において、シース部材は、キャリア部材から分離しており、キャリア部材の一体部分でなくてもよい。
【0033】
埋め込み器具300は、埋め込み手順中にインプラントデバイス200をキャリア部材306に対する固定から時期尚早に解放しないように作動ボタン322への手の接触を防止するために作動ボタン322を覆う、ハンドル本体に取り付けられた安全カバー350を備える。インプラントデバイス200が外科的経路を通って埋め込み位置に配置されて、埋め込みのためにキャリア部材306に対する固定から解放される準備ができると、安全カバー350は、安全カバー350を引き上げることによってハンドル本体から選択的に除去される。それにより、作動ボタン322への手の接触が可能となり、
図7で最もよく分かるように、医師が作動ボタン322を押して、押圧可能部材318を押圧し、押圧可能部材318上の近位突起352をハンドル本体内の対応する陥凹特徴部から離脱させることが可能となり得る。
図7に示すように、突起352がハンドル本体内の対応する陥凹特徴部に受容されているとき、押圧可能部材318は、ばね312を圧縮状態に維持するロック構成にある。安全カバー350の除去後に、作動ボタン322が押し下げられると、突起352はロック構成から移動されて、ばね312の圧縮状態からの拡張を可能にして、摺動部材310を埋め込み器具300の近位端部320に向かって推進し、その結果として固定タブ342のシース部材340からの離脱をもたらし、シース部材340を、インプラントデバイス200をキャリア部材306に対して固定していることから解放する。摺動部材310が近位端部300に向かって移動するにつれて、例えば
図17に示すように、摺動部材310の遠位部分はキャリア部材306内の内部作動空間内に後退する。
【0034】
主に
図5~
図18を引き続き参照しながら、埋め込み器具300を用いた例示的な埋め込み手順の実施について説明する。
図13は、インプラントデバイス200がキャリア部材306に埋め込み姿勢で取り付けられ、かつ固定された状態で、埋め込み手順を実施するための準備ができている埋め込みアセンブリを示している。
図16は、摺動部材310の第1部分314上の固定タブ342と係合したシース部材340によってキャリア部材306に固定されたインプラントデバイス200を備えた埋め込み器具300の遠位部分を示しており、固定タブ342は開口346および対応するシース部材340を通って受容されている。
図16に示すように、固定タブ342は、外科的経路へのシース部材344の挿入を確実するため、および器具部材摺動部材310がシース部材340から離脱するように後退された場合にシース部材340を解放して、インプラントデバイス200をキャリア部材306に対する固定から解放するための双方のために、固定タブ342の性能を高めるように外向きに若干拡開していてもよい。
図14は、インプラントデバイス200が外科的経路内へ進められ、遠位端部218が副鼻腔(例えば篩骨洞、上顎洞または前頭洞)に配置され、近位端部216は眼窩の涙器に配置され、好ましくはヘッド202の遠位側が眼窩内の結膜組織に接触した埋め込み位置まで進められた後に、埋め込み手順中に固定機構を固定構成から解放構成に再構成するための埋め込み器具300の作動を示している。インプラントデバイス200のためのそのような埋め込み位置は、例えば
図4に示した通りであってもよいが、インプラントデバイス200はまだ埋め込み器具300のキャリア部材306に固定されている。
図14に示すように、インプラントデバイス200が外科的経路を通る埋め込み位置に位置した状態で、作動ボタン322へのアクセスを可能にするために安全カバー350が除去され得る。作動ボタン322は、埋め込み器具300の固定機構を解放構成に再構成するために押されてもよく、その解放構成において、インプラントデバイス200は
図17に示すようにキャリア部材306に対する固定から解放される。作動ボタン322を押してインプラントデバイス200をキャリア部材306に対する固定から解放した後、埋め込み手順を実施する医療専門家は、
図15に示すように、ハンドル部304を後方に引いてキャリア部材306を外科的経路から抜去して、インプラントデバイス200を埋め込み位置において適所に埋め込まれたまま残存させて、副鼻腔を眼窩の涙器と流体が流れるように接続し得る。キャリア部材306がインプラントデバイス200に対して引っ張られるにつれて、シース部材340の遠位部分はインプラントデバイス200のサイドポート250を通って後退され、
図4に示した埋め込み位置にあってもよい
図15および
図18に示すように、埋め込み位置に埋め込まれたインプラントデバイス200を、埋め込み器具300から完全に離脱した状態で残存させる。
【0035】
埋め込み器具300のキャリア部材306は、全体にわたって均一な構成材料で製造されていてもよいし、または、インプラントデバイス200を搬送するために高い剛性を有する第1構成材料(例えば金属または硬質エンジニアリングプラスティック材料)と、サイドポート250を通過して、固定タブ342と係合するように容易に変形させるために十分な展性を有するより低い剛性を有したシース部材340用の第2構成材料とから製造されていてもよい。キャリア部材306を通って配置される摺動部材310(例えば、ステンレス鋼または別の硬質剛性材料から製造)がキャリア部材306に支持を提供するので、一体シース部材340を含むキャリア部材306全体が、インプラントデバイスを埋め込み手順中に搬送するためにシース部材342およびキャリア部材306の他の部分の双方の能力に対して有利に選択された特性を有した均一材料から製造されていてもよい。一体シース部材342を含むキャリア部材306に用いられ得る単一の構成材料として使用されてもよいし、またはシース部材340のみに使用されてもよい、いくつかの例示的な材料としては、ポリイミド、ポリアミド(例えばナイロン)、マイラー、PET(ポリエチレンテレフタラート)、FEP(フッ素化エチレンプロピレン)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、ニチノール縫合糸、PVF(ポリフッ化ビニル)、複合重合体、およびシリコーン複合組成物が挙げられる。いくつかの好ましい組成物は、ポリイミド、ポリアミド(例えばナイロン)、マイラー、PET(ポリエチレンテレフタラート)、FEP(フッ素化エチレンプロピレン)およびPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)組成物のようなポリマー組成物であり、一部の実施のためにはポリアミド(例えばナイロン)組成物がより好ましい。一体シース部材342を含むキャリア部材306に特に好ましい構成材料の一例は、熱可塑性エラストマーであり、好ましくはポリエーテルブロックアミドエラストマー(PEBA)である。一体シース部材を有するか、または有さない、キャリア部材のための、好ましくはPEBA材料のための、ポリマー組成物、またはポリマーマトリックスを有する複合材用のポリマーマトリックスは、いくつかの実施において、50~100、好ましくは60~90、より好ましくは60~80の範囲のショアD硬度を有していてもよい。そのようなPEBA材料の1つの有用な群は、アルケマ(Arkema)社からのPebax(登録商標)組成物であり、好ましくはより硬質の(例えば60以上のショアD硬度を有する)Pebax(登録商標)材料のうちの一部である。例えば、いくつかのPebax(登録商標)組成物は、約72のショアD硬度を有しており、とりわけ有用である。そのような熱可塑性エラストマーの別の有用な群は、エボニック(Evonik)社からのVestamid(登録商標)E組成物であり、好ましくはより硬質の(例えば60以上のショアD硬度を有する)そのような材料のうちの一部である。
【0036】
また
図19~
図28を参照しながら、副鼻腔流体アクセス埋め込み器具400の別の実施形態、および埋め込み器具400に関わる例示的な埋め込み手順の様々な構成要素について説明する。例示を目的として、埋め込み器具400は
図2~
図4に示した例示的な副鼻腔流体アクセスインプラントデバイス200の取り付けまたは埋め込みについて説明される。
【0037】
埋め込み器具400は、埋め込み手順中に眼窩内の涙器と副鼻腔との間の外科的経路を通じて挿入するためにインプラントデバイス200を搬送するように構成された挿入部402を備える。埋め込み器具400はまた、埋め込み手順中に外科的経路の外部に残るように構成されたハンドル部も備えており、このハンドル部は埋め込み手順中にインプラントデバイス200の埋め込みを誘導するために医師によって操作可能である。挿入部402は、インプラントデバイス200が埋め込み手順中に瞼裂を通るアプローチによって外科的経路を通って埋め込み位置へ搬送されるように取り付けられ得るキャリア部材406を備える。キャリア部材406は取り付け部408を備えており、取り付け部408はインプラントデバイス200が埋め込み手順中にキャリア部材406によって搬送されるように固定されるキャリア部材406の長手部分である。取り付け部408は、インプラントデバイス200が埋め込み手順中に埋め込み器具400によって搬送されるように固定されるキャリア部材406の長さにほぼ一致している。取り付け部408の遠位端部は取り付けられたインプラントデバイスの遠位端部218と一致し、かつ取り付け部408の近位端部は取り付けられたインプラントデバイス200の近位端部216と一致し得る。埋め込み器具300に関する上記の検討と同様に、インプラント装置200は、埋め込み手順の準備として、キャリア部材406のそのような取り付け部408上に取り付けられ固定されるが、インプラントデバイス200が埋め込み手順中にキャリア部材406上で外科的通路内に挿入されるとき、インプラントデバイス200はキャリア部材406に対して若干変形または変位することがあり、これはインプラントデバイス200が初めのうちは最初に取り付けられた通りに拘束されていた取り付け部408の若干外側に移動する可能性があることを含む。
【0038】
ハンドル部404のハンドル本体およびキャリア部材406は、埋め込み器具400内の内部空間内に配置された内部構成要素にハウジングを提供する。摺動可能な解放部材410は、ハンドル部404内およびキャリア部材406内の内部作動空間内に配置される。解放部材410は内部作動空間内の並進経路に沿って摺動可能である。解放部材410は、解放ばね414と係合してそれを保持する解放ピン412と接続されている。解放ピン412の近位端部は、埋め込み器具の近位端部417に隣接して位置するエンドピース416内にねじ込まれている。エンドピース416は、埋め込み器具400の固定機構を固定構成から解放構成に再構成して、インプラントデバイス200をキャリア部材408に対する固定から解放し、埋め込み器具400およびキャリア部材406がインプラント装置200から抜去され離脱することを可能にして、インプラント装置200を埋め込み位置に埋め込まれたまま残存させるように、埋め込み手順中に医療専門家によって選択的に操作可能である。
【0039】
埋め込み器具400は、スネア部材418の形態にある固定部材と、インプラントデバイス200を取り付け部材406の取り付け部408に隣接して適切に配置し整合させることを支援するための整合部材420とを備え、インプラントデバイス200の遠位端部分は、インプラント装置200を固定構成においてキャリア部材406に固定するためにスネア部材418によって形成されたスネアループを通って配置される。スネア部材418は、インプラント装置200をキャリア部材406に固定するために、キャリア部材406の取り付け部408に沿って配置されたインプラント装置200の遠位部分のまわりにスネアループを後退させるように後退可能に構成されている。埋め込み器具400はまた、埋め込み手順中にガイドワイヤーを受容して埋め込み器具400の遠位端部424を外科的経路に案内するために、埋め込み器具400の遠位端部424付近に小径ループを提供するガイドループ部材422を備える。キャリア部材406の内部作動空間は、キャリア部材406の遠位端部において球形エンドピース426によって封じられている。キャリア部材406は、例えば、ハイポチューブの遠位端部に取り付けられて、それを封じる球形エンドピース426用の小径金属ボール(例えばステンレス鋼軸受ボール)を有した金属ハイポチューブ(例えばステンレス鋼ハイポチューブ)の形態にあってもよい。
【0040】
キャリア部材406は、遠位端部424の方に配置された5つの側方開口部を備える。キャリア部材406の対向した側面上にある2つの開口部428は、ガイドループ部材がキャリア部材406の内部作動空間から退出するための通路を提供する。開口部428からは、ガイドループ部材422がキャリア部材406の内部作動空間を通って近位方向に延びてもよく、さらにガイドループ部材422はハンドル部404の遠位端部においてハンドル移行部436に接続されて、ガイド部材ループ422を、埋め込み手順中にキャリア部材406を外科的経路の近位端部へ案内するためのガイドワイヤーを受容するために開放した所望の小径ループを有した固定姿勢で保持し得る。開口部430は、整合部材がキャリア部材406の内部作動空間を退出するための通路を提供する。開口部430からは、整合部材420がキャリア部材406の内部作動空間を通って近位方向に延びて、ハンドル部404内の内部作動空間内に配置された摺動可能な装着部材438に接続され得る。開口部432,434は、スネア部材がキャリア部材406の内部作動空間を退出するための通路を提供する。開口部432から、スネア部材418の第1部分がキャリア部材406の内部作動空間を通って近位方向に延びて、装着部材438と接続され得る。スネア部材418の第2部分はキャリア部材406の内部作動空間内に配置され得、スネア部材418がインプラントデバイス200をキャリア部材406の外側に固定するための固定構成にある場合、エンドループ440の形態にあるスネア部材418の係合部分は、エンドループ440を通って配置された解放部材410の遠位端部分によって内部作動空間内に保持される。ループ端部440を通って配置された解放部材410は、キャリア部材406の外側に隣接するスネアループが開口部432と開口部434との間に延びている状態で、ループ部材418を維持する。しかしながら、解放構成では、解放部材410はループ部材418のループ端部440から離脱するように後退されて、スネアループを解放し、従ってインプラントデバイス200をキャリア部材に対する固定406から解放する。
【0041】
スネア部材418は、装着構成、固定構成および解放構成とそれぞれ称される3つの異なる構成に配置され得る。装着構成および解放構成では、解放ピン410は、スネア部材418のループ端部440を通って配置されて、スネア部材418をスネアループが開口部432と開口部434との間に延びている状態で維持する。装着構成では、装着部材438は、
図22および
図23に示すように前方位置にあり、従って、装着部材438に接続されたスネアループ418の端部もまた前方位置にあり、スネアループは、キャリア部材406の取り付け部408に固定されるべきインプラントデバイス200を受容するための拡張位置にある。スネア部材418が装着構成にある状態で、整合部材420をインプラントデバイス200の遠位端部218から内部通路内に挿入して、インプラントデバイス200の遠位端部218が、整合部材420が開口部430から退出している整合部材420の屈曲部によって、開口部434に隣接して停止されるまで、インプラントデバイス200を整合部材420上に摺動させることによって、インプラントデバイス200はキャリア部材に対する固定406のための正しい位置へ案内され得る。整合部材420に沿って完全に進められると、インプラントデバイス200の遠位端部分は、スネア部材418のスネアループを通ってスネアループの遠位に配置されるであろう。インプラントデバイス200が整合部材420に沿って完全に進められたそのような位置にある状態で、スネア部材418は、医療専門家により、装着部材438をハンドル部の内部作動空間内の並進経路に沿って後退させることによって、固定構成に再配置されてもよく、結果として装着部材438に接続されたスネア部材418の端部の後退をもたらし、スネア部材418のスネアループを、スネアループ418を通って配置されたインプラントデバイス200の遠位端部分のまわりの後退位置に後退させる。後退位置において、スネアループはインプラントデバイス200の外側のまわりに閉じて、インプラントデバイス200を通る内部通路を後退したスネアループの位置で押し潰し、インプラントデバイス200をキャリア部材406の取り付け部408に堅固に固定する。インプラントデバイス200がキャリア部材306に固定されるときにインプラントデバイス200がインプラントデバイス200の内部通路を通って配置されるキャリア部材306を有する例示的な埋め込み器具300とは対照的に、例示的な実施形態器具400では、取り付けられたインプラントデバイス200には、キャリア部材406に固定されるインプラントデバイス200の内部通路を通って配置されるキャリア部材406が存在しない。
【0042】
スネア部材418を装着構成から固定構成に再構成するために、医療専門家は、装着部材438と接続されたノブ部材446の形態にある作動突起を後方に引くことができ、ノブ部材446の一部は、ハンドル部404の内部作動空間内の構成要素に対してハウジングを提供するハンドル本体の壁に形成されたスロットトラックの長手部分を通って配置されており、その長手部分によって案内される。ノブ部材446が後方に引かれて装着部材438を後退させるにつれて、装着部材438はハンドル部404内の内部作動空間内にある荷重ばね450を圧縮する。ノブ部材446がスロットトラック448の長手部分の端部における後退位置へ完全に後方に引かれると、ノブ部材はスロットトラック448の側方部分452内に横断方向に並進させられて、ノブ部材446および装着部材438を圧縮された荷重ばね450によって及ぼされる力によって適所に確実に保持された後退位置にロックし、それによりスネア部材418のスネアループも固定構成の後退位置に維持する。整合部材420も装着部材438に接続されているため、装着部材438を後退させるにつれて、整合部材420もまた後退され、整合部材の少なくとも一部はキャリア部材406の内部作動空間内に引き込まれ、さらに整合部材420の屈曲部を内部作動空間内に後退させることを含む。これは、インプラントデバイス200がキャリア部材に対する固定406から解放された後、整合部材422が埋め込み手順中にインプラントデバイス200から離脱することを容易にするであろう。整合部材は、例えば、屈曲部に対する形状記憶を有した、ニチノール材料(ニッケル-チタン合金)のような形状記憶材料から製造されていてもよい。スネア部材418もまた、スネアループに対する形状記憶を有した、そのような形状記憶材料から製造されていてもよい。
【0043】
図26~
図28は、インプラントデバイス200をキャリア部材406の取り付け部408に取り付けるプロセスをより詳細に示している。
図26は、取り付けのためにインプラントデバイス200を受容する準備ができている装着構成にある埋め込み器具400を示している。
図27は、インプラントデバイス200を整合部材420上でスネア部材418のスネアループに向けて摺動させることを示している。
図28は、キャリア部材406の取り付け部408上に取り付けるために、整合部材420上において埋め込み姿勢に完全に進められたインプラントデバイス200を示している。インプラントデバイス200が
図28に示したような位置にある状態で、ノブ部材をスロットトラック448の長手部分に沿って後退させて、スネア部材418のスネアループを固定構成においてインプラントデバイス200の遠位端部分上の位置のまわりに後退させ得る。好ましくは、スネアループは、インプラントデバイス200を、アンカー隆起部210の間の凹部領域212に一致する、好ましくは隣接したアンカー隆起部210の最遠位の対(例示的なインプラントデバイス200では、それらの間にサイドポート250が配置されている)の間の凹部領域212に一致するインプラントデバイス200の遠位端部分に沿った固定位置において、キャリア部材に対して固定する。スネアループ418をインプラントデバイス200のまわりに完全に後退させて、インプラントデバイス200をキャリア部材406に確実に保持した後に、スネア部材418を固定構成にロックするために、ノブ部材はスロットトラック448の側方部分452内に側方に並進させられ得る。インプラントデバイス200がキャリア部材に対して埋め込み姿勢で固定されたまま、キャリア部材406およびそれに固定されたインプラントデバイス200は、埋め込み手順中に、インプラントデバイス200が埋め込み位置へ進められるまで外科的経路内に進められてもよく、好ましくはインプラントデバイス200のヘッド202は外科的経路の近位端部に隣接した眼窩における涙器内の組織に係合する。インプラントデバイス200が埋め込み位置まで完全に進められると、次に、スネア部材418のスネアループは、インプラントデバイス200の埋め込みのために解放構成に解放され得る。
【0044】
スネア部材418を固定構成から解放構成に再構成して、インプラントデバイス200をキャリア部材406に対する固定から解放するためには、医療専門家がエンドピース416を後方に引いて、解放ピン412および解放ピン412に接続された解放部材410を後退させることによって、解放部材410を埋め込み器具400の内部作動空間内の並進経路に沿って後退させて、解放部材410の遠位端部分をスネア部材418のループ端部440から離脱させる。スネア部材418のループ端部440が解放されると、ループ端部440はもはやキャリア部材406内の内部作動空間内において固定されず、スネアループは解放され、インプラントデバイス200をキャリア部材406に対する固定から解放し、かつ埋め込み器具400と、よってキャリア部材406とが、インプラントデバイス200に対して外科的経路から抜去されて、インプラントデバイス200を、外科的経路を通る埋め込み位置に埋め込まれたまま残存させ、眼窩の涙器を副鼻腔に流体が流れるように接続することを可能にする。
【0045】
埋め込み器具400は、ロックばね456によって、通常は
図19、
図21および
図22に示すような上昇位置に維持されるロック部材454を備える。上昇位置において、ロック部材454は、解放ピン412および解放部材410の時期尚早の後退を防止するために、解放ピン412に係合して、解放ピン412をロック位置に維持する。解放ピン412を後退させるためにエンドピース416を後方に引く前に、医療専門家は、ロック部材454を押圧して解放ピン412をロック解除し、ロック部材454を押圧した位置に保持したまま、エンドピース416を後方に引いて、解放ピン412および解放部材410を後退させるであろう。解放ばね414は、最初は非チャージ状態(uncharged state)であってもよいし、または、好ましくはチャージされた伸長状態であってもよく、解放ばね414は、医療専門家がエンドピース416を後方に引くときに医療専門家は解放ばね414の付勢力に打ち勝つために十分な力で引かなければならないように、解放ピン412および解放部材410を埋め込み器具400の近位端部417に向かって付勢し、エンドピース416を解放ピン412に向けて押しやる。理解され得るように、埋め込み器具400について示した構成では、解放ばね414および荷重ばね450は互いから隔離されるであろう。
【0046】
図19~
図28に示した埋め込み器具400の構成に対する代替構成において、
図19~
図28に示したタイプのスネア型固定構造を備えた埋め込み器具は、インプラントデバイスの内部通路を通って延びるキャリア部材によるインプラントデバイスの取り付け、並びに、例えば開口部432,434のようなスネア出口開口部とインプラントデバイス200のサイドポート250のような特徴部との整合を含む、インプラントデバイスの外側の少なくとも周方向部分のまわりに延びるスネアループによるインプラントデバイスの取り付けに適合し得る。
【0047】
実施の組み合わせ
本開示の様々な態様の実施の組み合わせのいくつかの他の考えられる実施形態は、上記または本願の他の箇所に開示するような付加的な特徴の有無にかかわらず、下記に示す例示的な組み合わせに要約される。
【0048】
1. 内部流体連通通路を有する副鼻腔流体アクセスインプラントデバイスを、その内部通路を通じた眼窩内の涙器から副鼻腔への直接流体連通アクセスを提供するように、埋め込み手順において眼窩内の涙器と副鼻腔との間の人工外科的経路を通じて埋め込む埋め込み器具であって、埋め込み器具は、
インプラントデバイスを埋め込み手順中に瞼裂を通るアプローチから外科的経路を通じて埋め込み位置に配置するために、インプラントデバイスをキャリア部材の取り付け部上において取り付け姿勢で搬送するように構成されたキャリア部材と、
インプラントデバイスを埋め込み手順中に埋め込み位置へ搬送するために、インプラントデバイスをキャリア部材上において埋め込み姿勢で固定する固定機構であって、固定機構は、埋め込み手順中に、インプラントデバイスをキャリア部材の取り付け部に埋め込み姿勢で固定する固定構成から、インプラントデバイスをキャリア部材に対する固定から解放して、インプラントデバイスに対するキャリア部材の抜去を可能にし、インプラントデバイスを埋め込み位置に埋め込まれたまま残存させるようにする解放構成に再構成可能である、固定機構と、
キャリア部材と接続され、埋め込み手順中に外科的経路の外部に残るように構成され、かつ埋め込み手順中にインプラントデバイスの埋め込みを誘導するために医師によって操作可能であるハンドル部と、
ハンドル部の少なくとも一部内およびキャリア部材の少なくとも一部内に収容された内部作動空間と、
少なくとも一部は内部作動空間内に配置され、かつ固定機構を固定構成から解放構成に再構成するように操作可能である解放機構とを備える、埋め込み器具。
【0049】
2. 固定機構は、固定機構が固定構成にある場合に、埋め込み姿勢にあるインプラントデバイスの外側部分上に延びて、その外側部分を押し付けるように配置された少なくとも1つの固定部材を備える、例示的な組み合わせ1に記載の埋め込み器具。
【0050】
3. 固定機構は、固定機構が固定構成にある場合に、インプラントデバイスの前記外側部分上に延びて、前記外側部分を押し付けるようにそれぞれ配置された少なくとも2つの前記固定部材を備える、例示的な組み合わせ2に記載の埋め込み器具。
【0051】
4. 少なくとも1つの前記固定部材はキャリア部材内の内部作動空間の外側から内側に延びている、例示的な組み合わせ2または例示的な組み合わせ3のいずれか1つに記載の埋め込み器具。
【0052】
5. 前記固定部材の少なくとも1つは、固定構成においてキャリア部材の取り付け部の遠位端部の遠位に延びて、インプラントデバイスが取り付け部に埋め込み姿勢で取り付けられたときにインプラントデバイスの遠位端部分を覆う、例示的な組み合わせ2または例示的な組み合わせ3のいずれか1つに記載の埋め込み器具。
【0053】
6. 固定構成においてキャリア部材の取り付け部の遠位端部の遠位にそれぞれ延びて、インプラントデバイスが取り付け部に埋め込み姿勢で取り付けられたときにインプラントデバイスの遠位端部分を覆う、少なくとも2つの前記固定部材を備える、例示的な組み合わせ5に記載の埋め込み器具。
【0054】
7. それぞれの前記固定部材は固定構成において張力がかかった状態にある、例示的な組み合わせ2乃至6のいずれか1つに記載の埋め込み器具。
8. 前記キャリア部材内の内部作動空間内に少なくとも一部が配置された摺動部材を備え、固定機構は、固定構成において少なくとも1つの前記固定部材の遠位部分に係合し、それを保持するために、摺動部材上において保持構造を備える、例示的な組み合わせ2乃至7のいずれか1つに記載の埋め込み器具。
【0055】
9. 少なくとも2つの前記固定部材を備え、
摺動部材は、固定構成において異なる前記固定部材の前記遠位部分にそれぞれ係合し、それを保持するために、少なくとも2つの前記保持構造を備える、例示的な組み合わせ8に記載の埋め込み器具。
【0056】
10.摺動部材は、固定機構が固定構成にある場合には第1位置にあり、固定機構が解放構成にある場合には第2位置にある、例示的な組み合わせ8または例示的な組み合わせ9のいずれか1つに記載の埋め込み器具。
【0057】
11. 第2位置は、第1位置に対して埋め込み器具の近位端部に向かって摺動可能に後退している、例示的な組み合わせ10に記載の埋め込み器具。
12. 解放機構は、摺動部材を第1位置から第2位置に摺動可能に再配置するときに摺動部材の少なくとも近位部分が摺動可能である、内部作動空間内の並進経路を含む、例示的な組み合わせ10または例示的な組み合わせ11のいずれか1つに記載の埋め込み器具。
【0058】
13. 解放機構は、摺動部材が第1位置および第2位置の少なくとも一方にある場合に摺動部材に付勢力を加えるチャージ状態にあるばね機構を備える、例示的な組み合わせ11または例示的な組み合わせ12のいずれか1つに記載の埋め込み器具。
【0059】
14. ばね機構は、摺動部材が第1位置にある場合にチャージ状態にあり、付勢力は摺動部材を第2位置に向けて押しやるように向けられている、例示的な組み合わせ13に記載の埋め込み器具。
【0060】
15. 解放機構は、摺動部材が第1位置にあり、ばね機構をチャージ状態に維持するロック構成に保持される作動器機構を備え、
作動器機構は、ばね機構をチャージ状態から解放して、摺動部材を第2位置へ推進するために、作動器機構をロック構成から解放するように手動操作可能である、例示的な組み合わせ14に記載の埋め込み器具。
【0061】
16. チャージ状態は圧縮状態であり、作動器機構のロック構成からの解放は、ばねの圧縮状態からの拡張を可能にする、例示的な組み合わせ15に記載の埋め込み器具。
17. 作動器機構は、作動器機構をロック構成から解放するように手動で可動である可動作動部材を備え、
埋め込み器具は、可動作動部材への手の接触を許容および防止するために、可動作動部材を選択的に覆ったり、露出させたりするように選択的に可動である安全カバーを備える、例示的な組み合わせ15または例示的な組み合わせ16のいずれか1つに記載の埋め込み器具。
【0062】
18. 可動作動器部材は押圧可能部材である、例示的な組み合わせ17に記載の埋め込み器具。
19. ばね機構は、摺動部材が第1位置にある場合にチャージ状態にあり、付勢力は摺動部材を第1位置に向けて押しやるように向けられている、例示的な組み合わせ13に記載の埋め込み器具。
【0063】
20. 解放機構は、ばね機構に力を加えて、ばね機構の付勢力に打ち勝ち、かつ付勢力に対抗して摺動部材を第2位置に移動させるように手動操作可能な作動機構を備える、例示的な組み合わせ19に記載の埋め込み器具。
【0064】
21. チャージ状態は拡張状態であり、摺動部材が第2位置にある場合、第1位置にある場合よりも、ばね機構はより拡張された状態にある、例示的な組み合わせ20に記載の埋め込み器具。
【0065】
22. 摺動部材は、埋め込み手順中に埋め込み器具の遠位端部を外科的経路に案内するためにガイドワイヤーを通過させるように構成された管腔を内部に有する、例示的な組み合わせ8乃至21のいずれか1つに記載の埋め込み器具。
【0066】
23. 前記保持構造、および前記保持構造と固定構成において係合した固定部材の遠位部分は、キャリア部材の取り付け部の遠位端部の遠位に配置され、かつ任意で、固定機構が固定構成にある場合に、埋め込み姿勢にあるインプラントデバイスの遠位端部の遠位に配置される、例示的な組み合わせ8乃至22のいずれか1つに記載の埋め込み器具。
【0067】
24. それぞれの前記保持構造、および前記保持構造と固定構成において係合した固定部材のそれぞれの前記遠位部分は、キャリア部材の取り付け部の遠位端部の遠位に配置される、例示的な組み合わせ23に記載の埋め込み器具。
【0068】
25. 前記保持構造、および前記保持構造と固定構成において係合した前記固定部材の前記遠位部分は、キャリア部材内の内部作動空間の遠位端部の遠位に配置される、例示的な組み合わせ8乃至24の組み合わせいずれか1つの例示的組み合わせに記載の埋め込み器具。
【0069】
26. それぞれの前記保持構造、および前記保持構造と固定構成において係合した固定部材のそれぞれの前記遠位部分は、キャリア部材内の内部作動空間の遠位端部の遠位に配置される、例示的な組み合わせ25に記載の埋め込み器具。
【0070】
27. 少なくとも1つの前記固定部材は、キャリア部材のインプラント部上に埋め込み姿勢で取り付けられた前記インプラントデバイスの内部通路の内側から、前記インプラントデバイスのサイドポートを通って、前記インプラントデバイスの外側へ、サイドポートからインプラントデバイスの前記外側部分を越えて、インプラントデバイスの遠位端部へ、さらに前記インプラントデバイスの遠位端部の遠位まで延びるように構成されている、例示的な組み合わせ2乃至26のいずれか1つに記載の埋め込み器具。
【0071】
28. 少なくとも2つの前記固定部材は、キャリア部材のインプラント部上に埋め込み姿勢で取り付けられた前記インプラントデバイスの内部通路の内側から、前記インプラントデバイスの異なる前記サイドポートを通って、前記インプラントデバイスの外側へ、前記サイドポートからインプラントデバイスの前記外側部分を越えて、インプラントデバイスの前記遠位端部へ、さらに前記インプラントデバイスの前記遠位端部の遠位まで延びるように、それぞれ構成されている、例示的な組み合わせ27に記載の埋め込み器具。
【0072】
29. 前記サイドポートを通って延びるように構成されたそれぞれの前記固定部材は、0.55ミリメートル~0.85ミリメートルの範囲にある最大横断寸法(maximum cross-dimension)を有する、例示的な組み合わせ27または例示的な組み合わせ28のいずれか1つに記載の埋め込み器具。
【0073】
30. 前記固定部材は、固定機構が固定構成にある場合にスネアループを通って受容された前記インプラントデバイスの一部の外側部分を押し付けるスネアループに保持されたスネア部材を備える、例示的な組み合わせ2乃至23のいずれか1つに記載の埋め込み器具。
【0074】
31. スネア部材は、固定機構が解放構成にある場合に、スネアループから解放される、例示的な組み合わせ30に記載の埋め込み器具。
32. 少なくとも1つの前記固定部材は、固定機構が固定構成にある場合に、埋め込み姿勢にあるインプラントデバイスの遠位端部の上に延びるように構成されたシース部材を備え、
シース部材は、固定機構が固定構成にある場合に、埋め込み姿勢にあるインプラントデバイスの遠位端部の周囲の半径方向部分を覆うように構成されており、任意で、半径方向部分は少なくとも20°である、例示的な組み合わせ2乃至29のいずれか1つに記載の埋め込み器具。
【0075】
33. 少なくとも2つの前記固定部材はそれぞれ前記シース部材を備えており、それぞれの前記シース部材は、固定機構が固定構成にある場合に、インプラントデバイスの遠位端部の異なる前記半径方向部分の上に延在するように構成されており、
任意で、それぞれの前記半径方向部分は少なくとも30°である、例示的な組み合わせ32に記載の埋め込み器具。
【0076】
34. それぞれの前記半径方向部分は120°以下である、例示的な組み合わせ32または例示的な組み合わせ33のいずれか1つに記載のインプラント器具。
35. それぞれの前記固定部材は、固定機構が固定構成にある場合に、埋め込み姿勢にあるインプラントデバイスの遠位端部から近位に5ミリメートル以内においてキャリア部材の取り付け部に対して埋め込み姿勢で配置された前記インプラントデバイスの前記外側部分と接触するように構成されている、例示的な組み合わせ2乃至34のいずれか1つに記載の埋め込み器具。
【0077】
36. キャリア部材の取り付け部は、キャリア部材の近位端部と遠位端部との間においてキャリア部材に沿った長さを有するように構成されており、取り付け部の遠位端部は、固定構成において埋め込み姿勢にある前記インプラントデバイスの遠位端部の取り付け配置(mounted positioning)と一致し、かつ取り付け部の近位端部は、固定構成において埋め込み姿勢にある前記インプラントデバイスの近位端部の取り付け配置と一致する、例示的な組み合わせ1乃至35のいずれか1つに記載の埋め込み器具。
【0078】
37. キャリア部材の取り付け部の長さは8ミリメートル~45ミリメートルの範囲にある、例示的な組み合わせ1乃至36に記載の埋め込み器具。任意で、その範囲は、8ミリメートル、10ミリメートル、12ミリメートルまたは15ミリメートルの下限と、45ミリメートル、35ミリメートル、30ミリメートルまたは25ミリメートルの上限とを有してもよい。
【0079】
38. ガイドワイヤーを埋め込み器具を通じて埋め込み器具の遠位端部の遠位まで通過させて、埋め込み手順中にキャリア部材の遠位端部を外科的経路に案内するための、ハンドル部から埋め込み器具を通って埋め込み器具の遠位端部に隣接するまで延びる内部通路を備える、例示的な組み合わせ1乃至37のいずれか1つに記載の埋め込み器具。
【0080】
39. 埋め込み器具を通って延びる内部通路は、埋め込み器具を通る中央管腔を備える、例示的な組み合わせ38に記載の埋め込み器具。
40. キャリア部材は、0.7~1.2ミリメートルの範囲にある横断面の最大横断寸法を有する取り付け部の近位端部における横断面を有し、任意で、キャリアは、取り付け部の近位端部から取り付け部の長さに沿って少なくとも5ミリメートルにわたって、さらに任意で取り付け部の全長に沿って、上記の最大横断寸法を備えた一定の横断面を有する、例示的な組み合わせ1乃至39のいずれか1つに記載の埋め込み器具。
【0081】
42.キャリア部材は、取り付け部の近位のキャリア部材の長さに沿って少なくとも5ミリメートルにわたって上記の横断面を有する、例示的な組み合わせ40に記載の埋め込み器具。
【0082】
43. 例示的な組み合わせ30または例示的な組み合わせ31のいずれか1つのスネア部材を備え、固定構成において、後退位置にあるスネアループは、0.5ミリメートル~1.5ミリメートルの範囲にあり、かつ任意で0.5ミリメートル、0.6ミリメートル、または0.7ミリメートルの下限と、1.5ミリメートル、1.3ミリメートル、または1.1ミリメートルの上限とを有する範囲を備えたスネアループを横断する最大横断寸法を有する、例示的な組み合わせ1乃至42のいずれか1つに記載の埋め込み器具。
【0083】
44. ハンドル部はスネア部材を装着構成と固定構成との間で再配置するように操作可能であり、かつ、
装着構成においてスネアループは、スネアループを後退位置に後退させてインプラントデバイスをキャリア部材の取り付け部に対して固定する前に、インプラントデバイスを受容するための拡張位置にある、例示的な組み合わせ30、31および43のいずれか1つに記載の埋め込み器具。
【0084】
45. 装着構成において、拡張位置にあるスネアループは、後退位置における最大横断寸法より1ミリメートル~5ミリメートル大きい範囲にあるスネアループを横断する最大横断寸法を有し、かつ任意でその範囲は1ミリメートル、1.5ミリメートル、または2ミリメートルの下限と、5ミリメートル、4ミリメートル、または3.5ミリメートルの上限とを有する、例示的な組み合わせ44に記載の埋め込み器具。
【0085】
46. 整合部材を備え、スネア部材が装着構成にあり、スネアループが拡張位置にある場合、
整合部材は、スネアループを通って配置され、かつインプラントデバイスを装着位置に案内し、スネア部材が装着構成から固定構成に再構成されたときに埋め込み姿勢でキャリア部材の外側に固定されるようにするために、インプラントデバイスの内部通路を通って挿入されるように構成されており、
整合部材は、内部通路の近位端部に挿入されてインプラントデバイスを装着位置へ案内する自由挿入端部を有し、自由挿入端部はスネアループの近位のキャリア部材の外側に沿って配置されている、例示的な組み合わせ44または例示的な組み合わせ45のいずれか1つに記載の埋め込み器具。
【0086】
47. スネア部材が装着構成にあり、スネアループが拡張位置にある場合、埋め込み器具は、内部通路を通る整合部材の挿入移動の距離を制限し、かつインプラントデバイスの遠位端部を装着位置に位置させるための挿入停止具を備える、例示的な組み合わせ46に記載の埋め込み器具。
【0087】
48. ハンドル部およびキャリア部材の少なくとも一部を通って長手方向に埋め込み器具の近位端部から遠位端部まで延びた内部作動空間と、
スネアループを装着構成から固定構成に選択的に再構成するためにハンドル部を通じて操作可能な後退器とを備え、後退器は、内部作動空間内に配置され、かつスネア部材と接続された後退部材を備え、後退部材は、スネア部材の装着構成から固定構成への再構成中に、後退部材と接続されたスネア部材の一部を後退させるために、ハンドル部の操作によって、内部作動空間内において埋め込み器具の近位端部に向かって選択的に後退可能である、例示的な組み合わせ44乃至47のいずれか1つに記載の埋め込み器具。
【0088】
49. 後退器は、少なくとも一部が後退部材の近位の内部作動空間内に配置されたばねを備え、そのばねは、スネア部材の装着構成から固定構成への再構築中に後退部材が埋め込み器具の近位端部に向かって後退されると圧縮されるように内部作動空間に配置されている、例示的な組み合わせ48に記載の埋め込み器具。
【0089】
50. ハンドル部は、
スロットトラックを備えたハウジング部であって、スロットトラックはハンドル部に沿って長手方向に延びる長手部分、および長手部分に対して横断方向に延びる側方部分とを有する、ハウジング部と、
後退部材と接続され、かつスロットトラックからハウジング部の外側へ突出する手動操作可能な作動突起とを備え、作動突起は、後退部材を後退させるために、スネア部材が装着構成にあるときにインプラントデバイスの遠位端部の方に配置された前方位置から、前方位置に対してインプラントデバイスの近位端部の方に配置された後退位置までスロットトラックの長手部分に沿って摺動可能であり、後退位置において、作動突起は、圧縮ばねによって前方に付勢された後退部材を適所にロックして、固定構成でロックされたスネア部材を保持するように、スロットトラックの側方部分内へ横断方向に並進可能である、例示的な組み合わせ49に記載の埋め込み器具。
【0090】
51. スロットトラックの長手部分は、10ミリメートル~15ミリメートルの範囲にある埋め込み器具の長手軸線方向における長さを有する、例示的な組み合わせ50に記載の埋め込み器具。
【0091】
52. 例示的な組み合わせ46または例示的な組み合わせ47のいずれか1つの整合部材を備え、かつ整合部材は後退部材と接続されており、スネア部材の装着構成から固定構成への再構築中に後退部材が後退されると、整合部材の少なくとも一部はキャリア部材内の内部作動空間内に後退される、例示的な組み合わせ49乃至52のいずれか1つに記載の埋め込み器具。
【0092】
53. スネア部材が装着構成から固定構成に再構成されるにつれて、整合部材は全体的に内部作動空間内に配置されるように後退される、例示的な組み合わせ52に記載の埋め込み器具。
【0093】
54. スネア部材が装着構成にある場合、整合部材は内部作動空間の内側からキャリア部材の側方開口部を通ってキャリア部材の外側へ延びている、例示的な組み合わせ52または例示的な組み合わせ53のいずれか1つに記載の埋め込み器具。
【0094】
55. 前記キャリア部材内の内部作動空間内の少なくとも一部を通って延びるループ解放部材を備え、ループ解放部材は、内部作動空間内において、スネア部材の係合部分と係合して前記スネアループを含むスネア部材を維持する第1位置と、スネア部材の係合部分から離脱して前記スネアループを含むことからスネア部材を解放する第2位置との間で摺動可能であり、
スネア部材が固定構成にある場合には、解放部材は第1位置にあり、かつスネア部材が解放構成にある場合には、解放部材は第2位置にある、例示的な組み合わせ43乃至54のいずれか1つに記載の埋め込み器具。
【0095】
56. 解放部材は、埋め込み器具の近位端部に隣接した手動操作のために埋め込み器具のハンドル部上において露出した解放ハンドルと接続されており、解放ハンドルは、スネアループを解放し、かつスネア部材を固定構成から解放構成に再構成するために、解放部材を内部作動空間において第1位置から第2位置へ摺動させるように操作可能である、例示的な組み合わせ55に記載の埋め込み器具。
【0096】
57. スネア部材が固定位置にあるときに解放部材を第1位置に付勢する解放部材ばねを備え、
解放部材を第1位置から第2位置へ摺動させる解放ハンドルの操作は、解放ばねの付勢力に対抗する、例示的な組み合わせ56に記載の埋め込み器具。
【0097】
58. ハンドル部は、例示的な組み合わせ44乃至54のうちのいずれか1つよる装着構成と固定構成との間でスネア部材を再配置するように操作可能であり、
スネア部材が装着構成にあるとき、およびスネア部材が装着構成から固定構成に再構成される間、解放部材は第1位置に保持される、例示的な組み合わせ55乃至57のいずれか1つに記載の埋め込み器具。
【0098】
59. ハンドル部を通じて、解放部材が第1位置にロックされるロック構成と、解放部材がロック解除されて、第1位置から第2位置へ可動であるロック解除構成との間で操作可能である解放ロックを備える、例示的な組み合わせ55乃至58のいずれか1つに記載の埋め込み器具。
【0099】
60. ハンドル部は、スネア部材を例示的な組み合わせ44乃至54のいずれか1つに記載の装着構成と固定構成との間で再配置するように操作可能であり、埋め込み器具は、例示的な組み合わせ46または例示的な組み合わせ47のいずれか1つの整合部材を備え、かつ整合部材は解放部材と接続されており、スネア部材の固定構成から解放構成への再構築中に解放部材が第1位置から第2位置に再構成されるとき、整合部材の少なくとも一部はキャリア部材内の内部作動空間内に後退される、例示的な組み合わせ55乃至59のいずれか1つに記載の埋め込み器具。
【0100】
61. スネア部材が固定構成から解放構成に再構成されるにつれて、整合部材は全体的に内部作動空間内に配置されるように後退される、例示的な組み合わせ60に記載の埋め込み器具。
【0101】
62. スネア部材が装着構成にある場合、かつスネア部材が固定構成にある場合、整合部材は内部作動空間の内側からキャリア部材の側方開口部を通ってキャリア部材の外側へ延びている、例示的な組み合わせ60または例示的な組み合わせ61のいずれか1つに記載の埋め込み器具。
【0102】
63. スネア部材は、0.05ミリメートル~0.5ミリメートルの範囲にある、前記スネアループにおけるスネア部材のすべてに沿った横断寸法を有する、例示的な組み合わせ43乃至62のいずれか1つに記載の埋め込み器具。
【0103】
64. 例示的な組み合わせ46、47、52、53および60乃至62のいずれか1つに記載の整合部材を備え、整合部材は、ニチノール、ステンレス鋼、ナイロン、ポリエステル、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)、ポリプロピレン、およびポリエチレンのうちから選択された材料で構成されている、例示的な組み合わせ43乃至63のいずれか1つに記載の埋め込み器具。
【0104】
65. 後退位置にあるスネアループは、インプラントデバイスの内部通路を通って配置されるキャリア部材が不在な場合に、インプラントデバイスをキャリア部材の外側に保持するように構成されている、例示的な組み合わせ43乃至64のいずれか1つに記載の埋め込み器具。
【0105】
66.ハンドル部は、スネア部材を例示的な組み合わせ44乃至54のいずれか1つに記載の装着構成と固定構成との間で再配置するように操作可能であり、
拡張位置にあるスネアループは、インプラントデバイスの内部通路を通って配置されるキャリア部材が不在な場合に、インプラントデバイスの遠位部分をスネアループに挿入するために受容するように構成されている、例示的な組み合わせ65に記載の埋め込み器具。
【0106】
67. キャリア部材は10ミリメートル~45ミリメートルの範囲にある長さを有する、例示的な組み合わせ1乃至66のいずれか1つに記載の埋め込み器具。
68. キャリア部材は、キャリア部材の取り付け部の近位で、かつ任意で取り付け部の遠位端部の近位において、0.7ミリメートル~1.2ミリメートルの範囲にある最大横断寸法を有する、例示的な組み合わせ1乃至67のいずれか1つに記載の埋め込み器具。
【0107】
69. 埋め込み器具は100ミリメートル~150ミリメートルの範囲にある長さを有する、例示的な組み合わせ1乃至68のいずれか1つに記載の埋め込み器具。
70. 副鼻腔流体アクセスインプラントデバイスを、そのインプラントデバイスの内部通路を通じて眼窩内の涙器から副鼻腔への直接流体連通アクセスを提供するように、埋め込み手順において眼窩内の涙器と副鼻腔との間の外科的経路を通じて埋め込むための埋め込みアセンブリであって、埋め込みアセンブリは、
インプラントデバイスと、
例示的な組み合わせ1乃至69のいずれか1つに記載の埋め込み器具とを備え、インプラントデバイスは、固定構成において固定機構によってキャリア部材の取り付け部上に取り付け姿勢で取り付けられる、埋め込みアセンブリ。
【0108】
71.インプラントデバイスには、インプラントデバイスの内部通路を通って配置されるキャリア部材が不在である、例示的な組み合わせ70に記載の埋め込みアセンブリ。
72. インプラントデバイスの内部通路は、キャリア部材の取り付け部に対する固定の位置で固定機構によって押し潰される、例示的な組み合わせ70または例示的な組み合わせ71のいずれか1つに記載の埋め込みアセンブリ。
【0109】
73.キャリア部材はインプラントデバイスを通って配置される、例示的な組み合わせ70に記載の埋め込みアセンブリ。
74. インプラントデバイスの固定機構に接触する部分は、50~100の範囲にあるショアAデュロメータを有する構成のポリマー材料を含有している、例示的な組み合わせ70乃至73のいずれか1つに記載の埋め込みアセンブリ。
【0110】
75. インプラントデバイスは、50~100の範囲にあるショアAデュロメータを有するポリマー材料から構成されている、例示的な組み合わせ74に記載の埋め込みアセンブリ。
【0111】
76. 固定機構はインプラントデバイスを固定位置でキャリア部材に固定し、固定位置のいずれも、キャリア部材の長さに沿ってインプラントデバイスの遠位端部から5ミリメートルを超える近位には配置されない、例示的な組み合わせ70乃至75のいずれか1つに記載の埋め込みアセンブリ。
【0112】
77. 固定機構は、インプラントデバイスの遠位端部から5ミリメートルを超えて配置されたインプラントデバイス上の任意の位置においてインプラントデバイスの前記外側と接触しない、例示的な組み合わせ70乃至76のいずれか1つに記載の埋め込みアセンブリ。
【0113】
78. インプラントデバイスは、インプラントデバイスを眼窩内の涙器と副鼻腔との間の組織に定着するための外側アンカー表面特徴部を備え、外側アンカー表面特徴部は、組織に係合するように構成されたアンカー突出部と、アンカー突出部間にある凹部領域とを備え、アンカー突出部とアンカー突出部間にある凹部とを有し、
固定機構は、少なくとも1つのアンカー突出部上に延びるインプラントデバイスの前記外側と接触する、例示的な組み合わせ70乃至77のいずれか1つに記載の埋め込みアセンブリ。
【0114】
79. インプラントデバイスはインプラントデバイスの近位端部とインプラントデバイスの遠位端部との間の長さを有し、
インプラントデバイスは、埋め込み手順中に外科的経路内に進入し、外科的経路内を通って少なくともある程度の距離を進められるように構成された挿入部を備え、挿入部は、インプラントデバイスの長さより小さい、遠位端部からインプラントデバイスの長さに沿って近位端部に向かう長さ部分を有する、例示的な組み合わせ70乃至78のいずれか1つに記載の埋め込みアセンブリ。
【0115】
80. 副鼻腔流体アクセスインプラントデバイスを、そのインプラントデバイスの内部通路を通じて眼窩内の涙器から副鼻腔への直接流体連通アクセスを提供するように、埋め込み手順において眼窩内の涙器と副鼻腔との間の外科的経路を通じて埋め込むための埋め込みキットであって、埋め込みキットは、
例示的な組み合わせ1乃至69のいずれか1つに記載の埋め込み器具と、
インプラントデバイスとを含み、
埋め込み器具およびインプラントデバイスは、例示的な組み合わせ70乃至79のうちのいずれか1つの埋め込みアセンブリに組み立てられているか、または組み立て可能である、キット。
【0116】
81. 流体容器に収容された流体治療製剤を含み、流動治療製剤は、眼窩内の涙器から副鼻腔への直接流体連通アクセスを提供する埋め込みの後にインプラントデバイスの内部通路を通じて副鼻腔に投与するための流体組成物を少なくとも含有する、例示的な組み合わせ80に記載の埋め込みキット。
【0117】
82. 流動治療製剤は、副鼻腔炎治療用の少なくとも1種の薬物を含有する、例示的な組み合わせ81に記載の埋め込み容器。
83. 流体治療製剤は副鼻腔を洗浄するための洗浄流体である、例示的な組み合わせ82に記載の埋め込み容器。
【0118】
84. 埋め込みアセンブリは例示的な組み合わせ79に記載のものである、例示的な組み合わせ80乃至83のいずれか1つに記載の埋め込みキット。
85. 眼窩内の涙器を副鼻腔と流体接続するために副鼻腔アクセスインプラントデバイスを埋め込むための方法であって、
瞼裂を通る外科的アプローチによって、眼窩内の涙器における位置と副鼻腔との間に人工外科的経路を外科的に形成するステップと、
例示的な組み合わせ70乃至79のいずれか1つの埋め込みアセンブリを、瞼裂を通るアプローチから、インプラントデバイスが埋め込み位置において外科的経路を通って延在するまで前進させるステップと、
固定機構を固定構成から解放構成に再構成するように解放機構を操作するステップと、
埋め込み器具を外科的経路から抜去して、インプラントデバイスを、外科的経路を通って埋め込まれたまま残存させて、眼窩内の涙器を副鼻腔と流体接続するステップとを含む、方法。
【0119】
86. 抜去した後に、埋め込まれたインプラントデバイスの内部通路を通じて副鼻腔に流体治療製剤を投与するステップを含む、例示的な組み合わせ85に記載の方法。
87. 埋め込みアセンブリは例示的な組み合わせ79に記載のものである、例示的な組み合わせ85または例示的な組み合わせ86のいずれか1つに記載の方法。
【0120】
88. 副鼻腔流体アクセスインプラントデバイスを、そのインプラントデバイスの内部通路を通じて眼窩内の涙器から副鼻腔への直接流体連通アクセスを提供するように、眼窩内の涙器と副鼻腔との間の人工外科的経路を通じて埋め込むための方法であって、前記方法は、
インプラントデバイスが埋め込み器具のキャリア部材の外側に固定され、インプラントデバイスの遠位端部は埋め込み器具の遠位端部に向かって配置され、かつインプラントデバイスの近位端部は埋め込み器具の近位端部に向かって配置された状態で、眼窩内の涙器からの埋め込みアプローチによって、インプラントデバイスを眼窩内の涙器と副鼻腔との間の外科的経路を通じて、インプラントデバイスが埋め込み位置に位置し、インプラントデバイスの遠位端部は副鼻腔内に配置され、かつインプラントデバイスの近位端部は眼窩内の涙器内に配置されるまで、前進させるステップと、
前進後に、インプラントデバイスをキャリア部材の外側に対する固定から解放し、かつキャリア部材を外科的経路から抜去して、インプラントデバイスを埋め込み位置に埋め込まれたまま残存させて、インプラントデバイスの内部通路を通じて眼窩内の涙器を副鼻腔と流体接続するステップとを含み、
インプラントデバイスはインプラントデバイスの近位端部から遠位端部までの長さを有し、
前進中、インプラントデバイスの長さより小さいインプラントデバイスの長さ部分が、外科的経路内に進入し、外科的経路を通って少なくともある程度の距離を前進し、その長さ部分の大部分は外科的経路を通って前進する間、張力がかかった状態にある、方法。
【0121】
89. 埋め込み器具は例示的な組み合わせ1乃至69のいずれか1つに記載のものであり、インプラントデバイスを解放することは、固定機構を固定構成から解放構成に再構成するように解放機構を操作することを含む、例示的な組み合わせ88に記載の方法。
【0122】
90. 前進中、インプラントデバイスおよび埋め込み器具は、例示的な組み合わせ70乃至79のうちのいずれか1つに記載の埋め込みアセンブリの状態にある、例示的な組み合わせ88または例示的な組み合わせ89のいずれか1つに記載の方法。
【0123】
91. 長さ部分は8ミリメートル~40ミリメートルの範囲にある、例示的な組み合わせ79、84および87乃至90のいずれか1つに記載の方法、埋め込みアセンブリ、またはキット。
【0124】
92. インプラントデバイスの長さは、10ミリメートル~45ミリメートルの範囲にある、例示的な組み合わせ79、84および87乃至91のいずれか1つに記載の方法、埋め込みアセンブリ、またはキット。
【0125】
93. インプラントデバイスの長さは、長さ部分より最大2ミリメートル長い、例示的な組み合わせ79、84、87および87乃至92のいずれか1つに記載の方法、埋め込みアセンブリ、またはキット。
【0126】
94.インプラントデバイスの長さは、長さ部分より少なくとも0.15ミリメートル長い、例示的な組み合わせ79、84および87乃至93のいずれか1つに記載の方法、埋め込みアセンブリ、またはキット。
【0127】
95. インプラントデバイスの長さおよび長さ部分は、それぞれ少なくとも12ミリメートルである、例示的な組み合わせ79、84、87および87乃至94のいずれか1つに記載の方法、埋め込みアセンブリ、またはキット。
【0128】
96. インプラントデバイスの長さおよび長さ部分は、それぞれ少なくとも15ミリメートルである、例示的な組み合わせ79、84、87および87乃至95のいずれか1つに記載の方法、埋め込みアセンブリ、またはキット。
【0129】
97. インプラントデバイスの長さおよび長さ部分は、それぞれ30ミリメートル以下である、例示的な組み合わせ79、84、87および87乃至96のいずれか1つに記載の方法、埋め込みアセンブリ、またはキット。
【0130】
98. インプラントデバイスは、インプラントデバイスの遠位端部からインプラントデバイスの長さに沿った長さ部分の50%(半分)未満、任意でインプラントデバイスの遠位端部からインプラントデバイスの長さに沿った長さ部分の30%未満、25%未満、20%未満または15%未満、さらに任意でインプラントデバイスの遠位端部からインプラントデバイスの長さに沿った長さ部分の少なくとも5%の長さ距離内のインプラントデバイスの遠位部分上のみにおいてインプラントデバイスの外側の上に延びる固定部材によってキャリア部材に固定される、例示的な組み合わせ79、84、87および87乃至97のいずれか1つに記載の方法、埋め込みアセンブリ、またはキット。
【0131】
99. 長さ距離は、インプラントデバイスの遠位端部からの長さ部分の三分の一以下である、例示的な組み合わせ98に記載の方法、埋め込みアセンブリ。
100. 長さ距離は、インプラントデバイスの遠位端部から5ミリメートル以下であり、任意でインプラントデバイスの遠位端部から4ミリメートル以下、3ミリメートル以下、または2.5ミリメートル以下であり、さらに任意でインプラントデバイスの遠位端部から少なくとも0.5ミリメートル、または少なくとも1ミリメートルである、例示的な組み合わせ98または例示的な組み合わせ99のいずれか1つに記載の方法、埋め込みアセンブリ、またはキット。
【0132】
101. 長さ距離はインプラントデバイスの遠位端部から3ミリメートル以下である、例示的な組み合わせ98乃至100のいずれか1つに記載の方法、埋め込みアセンブリ、またはキット。
【0133】
102. 埋め込み器具は例示的な組み合わせ2乃至35のいずれかに記載の固定機構を備え、1つ以上の前記固定部材はキャリア部材と一体である、例示的な組み合わせ1乃至101のいずれか1つに記載の埋め込み器具、埋め込みアセンブリ、キット、または方法。
【0134】
103. 埋め込み器具は例示的な組み合わせ32乃至34のいずれか1つに記載のシース部材を備え、シース部材はキャリア部材と一体である、例示的な組み合わせ102に記載の埋め込み器具、埋め込みアセンブリ、キット、または方法。
【0135】
104. 埋め込み器具は、例示的な組み合わせ2乃至35のいずれか1つに記載の固定部材を備え、固定部材は、ポリイミド、ポリアミド(例えばナイロン)、マイラー、PET(ポリエチレンテレフタラート)、FEP(フッ素化エチレンプロピレン)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、ニチノール縫合糸材料、PVF(ポリフッ化ビニル)、複合重合体、およびシリコーン複合組成物のうちから選択された構成材料を含有する、例示的な組み合わせ1乃至103のいずれか1つに記載の埋め込み器具、埋め込みアセンブリ、キット、または方法。
【0136】
105. 埋め込み器具は、構成材料としてポリエーテルブロックアミドエラストマーを含有する、例示的な組み合わせ2乃至35のいずれか1つに記載の固定部材を備える、例示的な組み合わせ1乃至103のいずれか1つに記載の埋め込み器具、埋め込みアセンブリ、キット、または方法。
【0137】
本発明およびその様々な態様の前述の説明は、例示および説明のために示されている。さらに、上記の説明は本発明を本願で開示した形態に限定するものではない。従って、上記の教示および関連技術の技能および知識に応じた変形および修正は本発明の範囲内にある。上述した実施形態はさらに、本発明を実施する既知の方式について説明し、当業者が本発明をそのような実施形態または他の実施形態で、かつ本発明の特定の用途または使用法によって必要とされる様々な変更とともに、利用できるようにすることを意図している。添付する特許請求の範囲は、従来技術によって許容される範囲で代替実施形態を含むように解釈されることが意図される。
【0138】
特定の組み合わせにおける1つ以上の特徴の説明は、特定の組み合わせの変形例に1つ以上のさらなる特徴を含めることを除外するものではない。処理ステップおよび順序付けは例示のみを目的としており、そのような例示は、必ずしも矛盾する訳ではない範囲で、他のステップまたは他のステップの順序付けを含むことを除外するものではない。任意の例示した処理ステップ間に、任意の例示した処理ステップの前後に、必ずしも矛盾する訳ではない範囲で、付加的なステップが含まれてもよい。
【0139】
「備える(comprising)」、「含有する(containing)」、「含む(including)」、および「有する(having)」という用語、およびそれらの用語の文法的変形物は、そのような用語の使用が特定の条件または機能の存在を示すが、他の条件または機能の存在も除外するわけではないという点で、包括的なものであり、限定しないことが意図される。1つ以上の構成要素、サブ構成要素または材料の存在に言及する際に「備える」、「含有する」、「含む」、および「有する」という用語、ならびにそれらの用語の文法的変形物を使用することは、「備える」、「含有する」、「含む」もしくは「有する」(またはそのような用語の変形物)という用語が場合によって「本質的に~からなる」または「~からなる」または「~のみからなる」という下位語(またはそのような下位語の文法上の適当な変形物)のいずれかによって置き換えられる、より具体的な実施形態も含み、かつそれらを開示することを意図している。例えば、ある物が1つ以上の記載した要素を「備える」という記載は、その物が1つ以上の記載した要素「から本質的になる」、およびその物が1つ以上の記載した要素「からなる」という、より具体的なより狭い実施形態を含み、かつそれらを開示することも意図している。様々な特徴の例が例示のために提供されており、「例」、「例えば」などの用語は、限定事項ではない例示的な例を示しており、1つ以上の特徴を任意の特定の例に限定するものとして理解または解釈されるべきではない。数字が後続する「少なくとも」という用語(例えば「少なくとも1つ」)は、その数またはその数を超える数を意味する。「少なくとも一部」という用語は、全て、または、全てに満たない一部を意味する。「少なくとも一部分」という用語は、全て、または全てに満たない一部分を意味する。