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特許7408543拡散長さに沿って均一な照明を有する光拡散光ファイバ、および光拡散光ファイバを形成する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-22
(45)【発行日】2024-01-05
(54)【発明の名称】拡散長さに沿って均一な照明を有する光拡散光ファイバ、および光拡散光ファイバを形成する方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/00 20060101AFI20231225BHJP
   F21V 8/00 20060101ALI20231225BHJP
   G02B 6/02 20060101ALI20231225BHJP
   G02B 6/036 20060101ALI20231225BHJP
【FI】
G02B6/00 326
F21V8/00 241
F21V8/00 282
F21V8/00 260
F21V8/00 100
G02B6/02 356A
G02B6/036
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020522985
(86)(22)【出願日】2018-10-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-01-07
(86)【国際出願番号】 US2018056980
(87)【国際公開番号】W WO2019083918
(87)【国際公開日】2019-05-02
【審査請求日】2021-10-25
(31)【優先権主張番号】62/576,229
(32)【優先日】2017-10-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100123652
【弁理士】
【氏名又は名称】坂野 博行
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】ログノフ,ステファン ルヴォヴィッチ
【審査官】堀部 修平
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-511749(JP,A)
【文献】国際公開第2017/091528(WO,A2)
【文献】特表2015-501443(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0125114(US,A1)
【文献】特表2010-524255(JP,A)
【文献】特表2018-512605(JP,A)
【文献】特開2007-272070(JP,A)
【文献】国際公開第2016/202328(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/00 - 6/10
G02B 6/245- 6/25
G02B 6/44 - 6/54
H01L 33/00
H01L 33/48 -33/64
F21V 8/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光拡散光ファイバにおいて、
コアと、
該コアを包囲するクラッドと、
外面と、
前記コアの径方向全体、前記クラッド、または前記コアおよび前記クラッドの両方の内部に配置された複数の散乱構造であって、該複数の散乱構造は、導波光を前記外面に向かって散乱させるように構成されており、これにより、前記光拡散光ファイバの拡散長さに沿って前記外面を通して拡散する450nm~650nmの波長を有する光が、15%以下のスペクトル減衰パーセント相対範囲を有するものとなる、複数の散乱構造と
を有する光拡散光ファイバ。
【請求項2】
前記光拡散光ファイバの前記拡散長さに沿って前記外面を通して拡散する光の前記スペクトル減衰パーセント相対範囲は、8%以下を含む、請求項1記載の光拡散光ファイバ。
【請求項3】
前記光拡散光ファイバの前記拡散長さに沿って前記外面を通して拡散する光の相関色温度(CCT)、2500K~8000Kの範囲に平均(平均CCT)を有するとともに、当該平均の±500K以内の相関色温度の変化(ΔCCT)を有する請求項1または2記載の光拡散光ファイバ。
【請求項4】
前記光拡散光ファイバの前記拡散長さに沿って前記外面を通して拡散する光の相関色温度(CCT)、5160K~6000Kの範囲に平均(平均CCT)を有するとともに、当該平均の±420K以内の相関色度の変化(ΔCCT)を有する、請求項1から3までのいずれか1項記載の光拡散光ファイバ。
【請求項5】
前記複数の散乱構造は、複数のガス充満空所を含む、請求項1から4までのいずれか1項記載の光拡散光ファイバ。
【請求項6】
前記複数のガス充満空所は、テーパを有する、請求項5記載の光拡散光ファイバ。
【請求項7】
前記光拡散光ファイバの前記拡散長さに沿って前記外面を通して拡散する光の強度は、30%より多く変化しない、請求項1から6までのいずれか1項記載の光拡散光ファイバ。
【請求項8】
前記複数の散乱構造は、前記導波光の一部を前記光拡散光ファイバの前記外面に向かって散乱させるように構成されており、これにより、前記導波光の一部が、前記光拡散光ファイバの前記拡散長さに沿って前記光拡散光ファイバの前記外面を通して拡散して、50dB/km以上の散乱誘発減衰を生じさせる、請求項1から7までのいずれか1項記載の光拡散光ファイバ。
【請求項9】
前記光拡散光ファイバは、前記コアおよび前記クラッドを包囲する2次散乱層をさらに有し、
該2次散乱層は、ベース材料および散乱材料を含み、かつ最小散乱照明強度と最大散乱照明強度との差が、40度~120度の全ての視角に対して、前記最大散乱照明強度の50%未満であるように構成されている、
請求項1から8までのいずれか1項記載の光拡散光ファイバ。
【請求項10】
光拡散光ファイバを製造する方法において、
光拡散光ファイバを光ファイバプリフォームからドロー炉においてドロー経路に沿って引き出すステップ、
を含み、前記光拡散光ファイバを引き出すステップは、
前記光ファイバプリフォームをドロー温度で前記ドロー炉において加熱するステップと、
前記光拡散光ファイバが、
コアと、
該コアを包囲するクラッドと、
外面と、
前記コアの径方向全体、前記クラッドまたは前記コアおよび前記クラッドの両方の内部に配置された複数の散乱構造であって、該複数の散乱構造は、導波光を前記外面に向かって散乱させるように構成されており、これにより、450nm~560nmの波長を有する光が前記光拡散光ファイバの拡散長さに沿って前記外面を通して拡散され、15%以下のスペクトル減衰パーセント相対範囲および2700K~8000Kの相関色温度を有するものとなる、複数の散乱構造と、
を有するように前記光拡散光ファイバにドロー張力を加えるステップと、
を含む、光拡散光ファイバを製造する方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本願は、2017年10月24日付にて提出された米国特許出願第62/576229号明細書の米国特許法第119条による優先権の利益を主張し、その内容はその全体を引用することにより本明細書に組み込まれるものとする。
【技術分野】
【0002】
本開示は、概して、光拡散光ファイバおよび光拡散光ファイバを製造する方法に関する。より具体的には、本開示は、光拡散光ファイバの拡散長さに沿って複数の波長に対する均一な照明を提供するための散乱構造を有する光拡散光ファイバに関する。
【背景技術】
【0003】
光ファイバは、光源から遠隔位置への光の送信が必要な様々な用途に利用されている。例えば、光通信システムは、サービスプロバイダからシステムエンドユーザへ光を送信する光ファイバのネットワークに依拠している。
【0004】
通信用光ファイバは、吸収および散乱に起因する減衰が比較的低いレベルでしか生じない、800nm~1675nmの範囲の近赤外波長で作動するように設計されている。これにより、ファイバの一方の端部に入射した光のほとんどがファイバの反対側の端部から出ることができ、僅かな量のみがファイバの側面を通して周囲へ出ていく。
【0005】
典型的には、光ファイバは、長距離にわたってファイバの一方の端部からファイバの他方の端部へ光を効率的に送信するように設計されているので、極めて僅かな光しか典型的なファイバの側面から逃げ出さず、したがって、光ファイバは、延長型の照明源を形成するための使用に適しているとは考えられていない。しかしながら、特殊照明、看板、または生物学的用途などの多数の用途が存在し、当該生物学用途には、選定された量の光を指定された領域に効率的に提供しなければならない、細菌成長ならびに光バイオエネルギおよびバイオマス燃料の製造が含まれる。バイオマス成長のためには、光エネルギをバイオマスベース燃料に変換するプロセスを開発する必要がある。特殊照明のためには、光源は、薄く、柔軟で、様々な異なる形状に容易に変形される必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、長さに沿って均一な照明を有する光拡散光ファイバ、および長さに沿って均一な照明を有する光拡散光ファイバを製造する改良された方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の主題によれば、光拡散光ファイバが、コアと、当該コアを包囲するクラッドと、外面と、コア、クラッドまたはコアおよびクラッドの両方の内部に配置された複数の散乱構造とを有する。複数の散乱構造は、導波光を外面に向かって散乱させるように構成されており、これにより、光拡散光ファイバの拡散長さに沿って外面を通して拡散する約450nm~約650nmの波長を有する光が、約15%以下のスペクトル減衰パーセント相対範囲を有する。
【0008】
本開示の別の実施形態によれば、光拡散光ファイバを製造する方法が、光拡散光ファイバを光ファイバプリフォームからドロー炉においてドロー経路に沿って引き出すステップを含む。光拡散光ファイバを引き出すステップは、光ファイバプリフォームをドロー温度でドロー炉において加熱するステップと、光拡散光ファイバにドロー張力を加えるステップとを含む。光拡散光ファイバは、コアと、当該コアを包囲するクラッドと、外面と、コア、クラッドまたはコアおよびクラッドの両方の内部に配置された複数の散乱構造とを有する。複数の散乱構造は、導波光を外面に向かって散乱させるように構成されており、これにより、光拡散光ファイバの拡散長さに沿って外面を通して拡散する約450nm~約560nmの波長を有する光が、約15%以下のスペクトル減衰パーセント相対範囲および約2700K~約8000Kの相関色温度を有する。
【0009】
本開示のさらに別の実施形態によれば、方法が、第1の光拡散光ファイバを光ファイバプリフォームからドロー炉においてドロー経路に沿って第1のドロー速度で引き出すステップを含む。第1の光拡散光ファイバを引き出すステップは、光ファイバプリフォームをドロー炉において第1のドロー温度で加熱するステップと、第1の光拡散光ファイバに第1のドロー張力を加えるステップとを含む。第1の光拡散光ファイバは、コアと、当該コアを包囲するクラッドと、外面と、コア、クラッドまたはコアおよびクラッドの両方の内部に配置された複数のガス充満空所とを有する。複数のガス充満空所は、第1の空所容積分率および第1の平均断面寸法を有する。方法はさらに、光の一部が第1の光拡散光ファイバの外面を通して拡散するように光を光源から第1の光拡散光ファイバ内へ配向するステップと、第1の光拡散光ファイバの外面を通して拡散する光のスペクトル減衰パーセント相対範囲を測定するステップと、第2の光拡散光ファイバを光ファイバプリフォームからドロー炉内へドロー経路に沿って第2のドロー速度で引き出すステップとを含む。第2の光拡散光ファイバを引き出すステップは、光ファイバプリフォームをドロー炉において第2のドロー温度で加熱するステップと、第2の光拡散光ファイバに第2のドロー張力を加えるステップとを含む。第2の光拡散光ファイバは、コアと、当該コアを包囲するクラッドと、外面と、コア、クラッドまたはコアおよびクラッドの両方の内部に配置された複数の散乱構造とを有する。複数の散乱構造は、第2の空所容積分率および第2の平均断面直径を有し、かつ第2の光拡散光ファイバの拡散長さに沿って外面を通して拡散する約450nm~約560nmの波長を有する光が、約15%以下でありかつ第1の光拡散光ファイバのスペクトル減衰パーセント相対範囲より小さい第2のスペクトル減衰パーセント相対範囲を含むように、導波光を外面に向かって散乱させるように構成される。
【0010】
本開示の概念を、主に、長さに沿った均一な照明を有する光拡散光ファイバに関して本明細書において説明するが、この概念は、あらゆる光拡散光ファイバへの適応可能性を有すると考えられたい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本開示の具体的な実施形態の以下の詳細な説明は、以下の図面に関連して読まれた場合に最も良く理解することができ、ここで、図面では、同じ構造を同じ参照符号によって示している。
図1】本明細書において示しかつ説明する1つ以上の実施形態による、一例としての光拡散光ファイバの1つのセクションの側面図を概略的に示している。
図2A】本明細書において示しかつ説明する1つ以上の実施形態による、方向2A-2Aに沿って見たときの図1の光拡散ファイバの断面図を概略的に示している。
図2B】本明細書において示しかつ説明する1つ以上の実施形態による、方向2B-2Bに沿って見たときの図2Aの光拡散ファイバの断面図を概略的に示している。
図3】本明細書において示しかつ説明する1つ以上の実施形態による、光拡散光ファイバに沿って伝搬する導波光の所定の波長範囲の散乱誘発減衰損失をグラフにより示している。
図4】本明細書において示しかつ説明する1つ以上の実施形態による、+10%~-10%の範囲のスペクトル減衰を有する光拡散光ファイバについてのシミュレーション結果を示す、CIE u’v’プロットをグラフにより示している。
図5】本明細書において示しかつ説明する1つ以上の実施形態による、光拡散光ファイバの、色度距離対スペクトル減衰のスプレッドをグラフにより示している。
図6】本明細書において説明された1つ以上の実施形態による、光拡散光ファイバを製造するための光ファイバ製造システムを概略的に示している。
図7】本明細書において説明された1つ以上の実施形態による、約15%以下のスペクトル減衰パーセント相対範囲を有する光拡散光ファイバを製造するためのドロープロセスを調整する方法を示すフローチャートである。
図8】本明細書において説明する1つ以上の実施形態による、異なるドロー張力の結果としての2つのスペクトル曲線をグラフにより示している。
【発明を実施するための形態】
【0012】
ここで図1図2Aおよび図2Bを参照すると、第1の端部112、第1の端部112と反対側の第2の端部114、コア110、コア110を包囲するクラッド120、外面130、およびコア110、クラッド120またはコア110およびクラッド120の両方の内部に配置された複数の散乱構造115を有する光拡散光ファイバ100が概略的に示されている。特に、図1は、光拡散光ファイバ100の1つのセクションの概略的な側面図を示しており、かつ光拡散光ファイバ100の中心軸線16(「中心線」)を示しており、図2Aは、図1に示された方向2A-2Aに沿って見たときの光拡散光ファイバ100の概略的な断面図を示しており、図2Bは、図2Aに示された方向2B-2Bに沿って見たときの光拡散光ファイバ100の別の概略的な断面図を示している。さらに、光拡散光ファイバ100は、例えば、周期的または非周期的に配置された散乱構造115、例えば、ガス充満空所を有する、散乱構造化ファイバ領域を備える様々なタイプの光ファイバのうちのいずれか1つであることができる。
【0013】
動作中、複数の散乱構造115は、光拡散光ファイバ100に沿って伝搬する導波光(例えば発光ダイオード(LED)、レーザダイオード、マルチモードレーザダイオード、シングルモードレーザダイオード、SiPレーザダイオード、VCSELレーザダイオードまたは別のタイプの半導体レーザダイオードなどを含む光源によって出力された光)を光拡散光ファイバ100の外面130に向かって散乱させるように構成されており、これにより、導波光の一部が、光拡散光ファイバ100の拡散長さに沿って外面130を通して拡散する。本明細書において使用されるとき、「拡散長さ」とは、光拡散光ファイバ100の第1の端部112(または入力光を受け取るいずれかの端部)から、光拡散光ファイバ100の長さに沿って、導波光の90%が光拡散光ファイバ100から拡散した位置まで延在する、光拡散光ファイバ100の長さである。本明細書において使用されるとき、「光拡散」なる用語は、光散乱が、光拡散光ファイバ100の長さの少なくとも一部に沿って実質的に空間的に連続すること、すなわち、離散的な(例えば、点状の)散乱に関連したものなど、実質的な跳躍または不連続が存在しないことを意味する。すなわち、本開示に記載するような実質的に連続する光放出または実質的に連続する光散乱という概念は、空間的連続性を意味する。さらに、本明細書において使用されるとき、「水平」、「鉛直」、「前」、「後」などの用語およびデカルト座標の使用は、図面における基準のためおよび説明を容易にするためのものであり、絶対的な配向および/または方向につき説明または特許請求の範囲における厳密な限定を意図するものではない。
【0014】
ここで図2Aおよび図2Bを参照すると、コア110、コア110を包囲するクラッド120、外面130および複数の散乱構造115を含む光拡散光ファイバ100の1つの実施形態の例としての断面図が示されている。コア110は、ガラスコア、例えば、シリカ、ゲルマニウムがドープされたシリカ、フッ素がドープされたシリカを含んでもよい。さらに、コア110は、屈折率nを有する。幾つかの実施形態では、コア110の屈折率は、約1.3~約1.55、例えば1.35、1.4、1.42、1.44、1.45、1.458、1.46、1.48などであってよい。さらに、コア110は、約10μm~約600μmの半径を有してよい。幾つかの実施形態では、コア110の半径は、約30μm~約400μmである。その他の実施形態において、コア110の半径は、約125μm~約300μmである。さらに別の実施形態において、コア110の半径は、約50μm、60μm、70μm、80μm、90μm、100μm、120μm、140μm、160μm、170μm、180μm、200μm、220μm、240μmまたは250μmである。さらに別の実施形態において、コア110の半径は、約250μm~約2.5mmである。選択的に、コア110の半径は、約1mm~約2.5mmである。選択的に、コア110の半径は、約1mm、1.1mm、1.2mm、1.3mm、1.4mm、1.5mm、1.6mm、1.7mm、1.8mm、1.9mm、2.0mm、2.1mm、2.2mm、2.3mm、2.4mmまたは2.5mmである。さらに、クラッド120は、ガラスクラッド、例えば、純粋なシリカ、Fドープされたシリカ、またはF(フッ素)/B(ホウ素)共同ドープされたシリカ、またはポリマークラッドであってもよい。一実施形態において、クラッド120は、低屈折率ポリマー材料、例えばUV硬化性もしくは熱硬化性のフルオロアクリル酸、例えば韓国, Kyunggi, Ansan, Moknae, 403-2在のSSCP Co. Ltd.社から市販されているPC452、またはシリコーンを含む。その他の実施形態において、クラッド120は、ウレタンアクリレート、例えばイリノイ州エルジン在のDSM Desotech社によって製造されたCPC6を含む。幾つかの実施形態では、クラッド120は、高弾性コーティングを含む。
【0015】
図2Aおよび図2Bに示したように、クラッド120は、コア110に直接に接触してコア110を包囲している。クラッド120は、概して、コア110の外周面から延在している。本明細書において説明されている幾つかの実施形態では、クラッドの半径方向幅は、約10μmより大きく、約20μmより大きく、約50μmより大きく、または約70μmより大きい。幾つかの実施形態では、クラッド120は、約10μm、20μm、30μm、40μm、50μm、60μm、70μm、80μm、90μmまたは100μmの厚さを有する。クラッド120は、概して、コア110に沿って伝搬する光の内部全反射を促進するためにコア110の屈折率より小さい屈折率を有する。幾つかの実施形態では、コア110、クラッド120またはその両方は、アップドーパントまたはダウンドーパントを含んでもよい。本明細書において使用されるとき、「アップドーパント」とは、純粋なドープされていないシリカに対して屈折率を上昇させる性質を有するドーパントであり、「ダウンドーパント」は、純粋なドープされていないシリカに対して屈折率を低下させる性質を有するドーパントである。例えば、クラッド120は、例えば、フッ素などのダウンドーパントがダウンドープされたシリカガラスを含む。さらに、光拡散光ファイバ100は、約0.1m~約100m、例えば、約100m、75m、50m、40m、30m、20m、10m、9m、8m、7m、6m、5m、4m、3m、2m、1m、0.75m、0.5m、0.25m、0.15mまたは0.1mの長さ(例えば第1の端部112と第2の端部114との間の長さ)を有することができる。
【0016】
幾つかの実施形態では、光拡散光ファイバ100のコア110は、ガラス母材(「ガラス」)117を有し、当該ガラス母材(「ガラス」)117には、複数の周期的または非周期的に配置された散乱構造115(例えば「空所」)、例えば図2Aの拡大挿入図に詳細に示された例としての空所が配置されている。散乱構造115は、ガス充満空所、散乱粒子、例えばセラミック材料、ドーパントなどを含む。散乱構造115は、(図2Aおよび図2Bに示したように)コア110の全体にわたって存在してもよいし、またはコア110とクラッド120との境界面(例えば、コア‐クラッド境界)の近くに存在してもよいし、またはコア110内の環状のリングに存在してもよい。(「ランダムな空気路」、「ナノ構造」、「ナノサイズ構造」または「散乱構造」とも称される)ランダムに配置されかつランダムなサイズの空所を有する光拡散光ファイバの幾つかの例が、それらの全体が引用により本明細書に組み込まれる米国特許第7450806号明細書、米国特許出願公開第12/950045号明細書、米国特許出願公開第13/097208号明細書および米国特許出願公開第13/269055号明細書に記載されている。代替的に、光拡散光ファイバ100は、コア‐クラッド境界におけるコア110の表面における不規則性が光散乱を生じさせる、「粗面化された」コア110を有してもよい。その他のタイプの光拡散光ファイバが利用されてもよい。動作中、光拡散光ファイバ100は、所定の照明波長(例えば放出される放射の波長)につき、約50dB/km以上、例えば約100dB/km~約60000dB/kmの散乱誘発減衰(すなわち、コア110内の散乱粒子の吸収による減衰ではなく、光拡散光ファイバ100の外面130を通した光損失による減衰)を生じることがある。
【0017】
散乱構造115がガス充満空所を有する実施形態において、ガス充満空所は、ランダムなパターンまたは組織化されたパターンで配置されていてよく、光拡散光ファイバ100の長さに対して平行に延在していてもよいし、またはらせん状であってもよい(すなわち、光拡散光ファイバ100の長軸に沿って回転していてもよい)。理論による限定を意図しないが、光散乱は、強い波長依存性を有する散乱粒子のサイズに依存し、例えば、青色光は赤色光よりも強く散乱する(例えばレイリー散乱、ミー散乱)。しかし、本明細書において説明しているように、空所の形状および分布を制御することにより、平坦なまたは均一なスペクトル減衰曲線が得られる。
【0018】
さらに、光拡散光ファイバ100は、ファイバの直交断面に、多数のガス充満空所、例えば50個より多い、100個より多い、または200個より多いガス充満空所を有することができる。本明細書において使用されるとき、「直交断面」とは、導波光の伝搬方向(例えば、図2Bに示した導波光の伝搬方向10)に対して直交する、光拡散光ファイバの長さに沿って切断したいずれかの任意の断面を意味する。光拡散光ファイバ100のいずれかの直交断面における散乱構造115(例えばガス充満空所)は、空所容積分率を有する。本明細書において使用されるとき、「空所容積分率」とは、光拡散光ファイバ100の直交断面に存在するガラス母材117の全面積に対する散乱構造115(例えばガス充満空所)の全面積の比を意味する。光拡散光ファイバ100の任意の直交断面の空所容積分率は、約1:1000~約1:5、例えば約1:100~約1:10(例えば約0.5%~約20%、例えば約1%~約10%、例えば2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%など)であってよい。動作中、光拡散光ファイバ100からの光の散乱誘発減衰は、「空所容積分率」と空所の平均断面寸法との関数であり、空所が大きくなると、散乱誘発減衰もより大きくなる。
【0019】
ガス充満空所は、例えばSO2、Kr、Ar、CO2、N2、O2またはこれらの混合物を含むことができる。幾つかの実施形態では、散乱構造115が、実質的にガスを含まない真空を有する空所を含んでもよい。ただし、何らかのガスの存在または不存在にかかわらず、複数の散乱構造115を有するコア110、クラッド120またはコア‐クラッド境界の領域における平均屈折率は、空所の存在により低下する。さらに、空所などの複数の散乱構造115は、コア110、クラッド120またはコア‐クラッド境界にランダムまたは非周期的に配置することができる。しかし、その他の実施形態において、空所が周期的に配置されていてもよい。
【0020】
空所、例えばガス充満空所(またはその他の散乱粒子)の断面寸法(例えば直径)は、約50nm~約100μmであってよく、長さは、約1mm~約100m(すなわち数ミリメートル~数メートル)で変化してもよい。幾つかの実施形態では、空所(またはその他の散乱粒子)の断面寸法は、約100nm、150nm、200nm、250nm、300nm、350nm、400nm、450nm、500nm、550nm、600nm、650nm、700nm、750nm、800nm、850nm、900nm、950nm、1μm、10μm、20μm、30μm、40μm、50μm、60μm、70μm、80μm、90μmまたは100μmである。幾つかの実施形態では、空所の長さは、約1mm、2mm、3mm、4mm、5mm、6mm、7mm、8mm、9mm、10mm、20mm、30mm、40mm、50mm、60mm、70mm、80mm、90mm、100mm、200mm、300mm、400mm、500mm、600mm、700mm、800mm、900mm、1m、2m、3m、4m、5m、10m、20mまたは50mである。さらに、散乱構造115は、非球面テーパ形状を含んでもよい。非球面テーパ形状は、高い散乱効率および所望の波長依存性を形成するために光拡散光ファイバ100の長さに沿ってランダムに開始および終了してもよい。ガス充満空所の断面寸法および長さは、使用されるガス、圧密条件およびドロープロセス条件に依存する。複数の実施形態において、光拡散光ファイバ100のいずれかの直交断面で測定されたガス充満空所の平均断面寸法(例えば平均直径)は、約50nm~約100μm、例えば約250nm~約50μm、約500nm~約10μm、約1μm~約5μmなどであってよい。
【0021】
さらに図2Aおよび図2Bを参照すると、光拡散光ファイバ100は、さらに、1つ以上の付加的な層、例えばコーティング、ジャケットなどを有してもよい。例えば、図2Aおよび図2Bに示したように、光拡散光ファイバ100は、第1のコーティング層122および2次散乱層124を有することができる。第1のコーティング層122は、機械的取扱いの容易さのためにコア110およびクラッド120を包囲する実質的に透明な層、例えばポリマーコーティングを含んでもよい。幾つかの実施形態では、第1のコーティング層122は、散乱粒子を有してよく、2次散乱層124は、散乱粒子を有さなくてよい。さらに、2次散乱層124は、コア110、クラッド120、および幾つかの実施形態での第1のコーティング層122を包囲するように配置されてもよい。2次散乱層124は、ベース材料(例えばポリマー)およびベース材料に配置された散乱材料を含んでもよい。動作中、2次散乱層124は、大きな角度範囲(例えば40°~120°、30°~130°または15°~150°)にわたって均一な角度散乱を促進することがある。例えば、光拡散光ファイバ100は、散乱により実質的に均一な照明を提供するように構成されており、これにより、最小散乱照明強度と最大散乱照明強度との差は、約40度~約120度の全ての視角に対して、最大散乱照明強度の50%未満である。
【0022】
幾つかの実施形態では、2次散乱層124は、ベース材料(例えばポリマー)およびベース材料に配置された散乱材料(例えば散乱剤)を含む。幾つかの実施形態では、ベース材料は、ポリマー、例えば液体ポリマーまたはプレポリマー材料を含み、当該ポリマーに、散乱剤、例えば、イリノイ州エルジン在のDSM Desotech社によって製造されたCPC6などのアクリルベースポリマーまたはシリコーンベースポリマーを添加することができる。さらに、製造中、2次散乱層124を、液体として光拡散光ファイバ100に塗布し、次いで、光拡散光ファイバ100への塗布後に固体に変換することもできる。
【0023】
散乱材料は、2次散乱層のベース材料(例えばベースポリマー)からの屈折率差、例えば、0.05より大きい屈折率差を有する材料を含む(例えば、ベース材料と散乱材料との間の屈折指標の差は0.05より大きい)。幾つかの実施形態では、ベース材料と散乱材料との屈折指標の差は、少なくとも0.1である。すなわち、散乱材料の屈折率は、2次散乱層124のベース材料(例えばポリマーまたはその他の母材材料)の屈折率より少なくとも0.1大きくてよい。動作中、散乱材料は、光拡散光ファイバ100のコア110から散乱した光の、角度に依存しない分布を形成する。
【0024】
散乱材料は、固体粒子(例えば有機または無機固体粒子)、液滴または気泡であってよい。例としての固体有機粒子は、顔料、ポリマーまたは粉末としてベース材料に混入可能なあらゆる有機材料を含む。散乱材料が無機である場合、散乱粒子は、例えば、顔料、酸化物または鉱物フィラーであることができる。有機および無機両方の散乱粒子は、固体を粉砕することによって生成することができ、または(例えばエマルジョン重合またはゾルゲルから)初期的に小さな粒子を含んでいてもよい。幾つかの実施形態では、固体散乱粒子は、シリカ(SiO2)、アルミナ(Al23)、ジルコニア(ZrO2)、チタニア(TiO2)、酸化セリウム(CeO2)、酸化スズ(SnO2)および酸化アンチモン(Sb23)などの無機酸化物である。例えば、チタニアベース散乱粒子は、白色インクであってもよい。粉砕されたガラス、セラミックまたはガラス-セラミックも散乱粒子として利用することができる。石英、滑石、ムライト、キンセイ石、粘土、霞石閃長岩、炭酸カルシウム、三水和アルミナ、硫酸バリウム、珪灰石、雲母、長石、葉ろう石、珪藻土、真珠岩およびクリストバライトなどの、粉砕されたケイ酸塩または鉱物フィラーを、散乱材料として2次散乱層124において利用することができる。
【0025】
さらに、散乱材料は、インサイチュで、結晶化および/または相分離によって生成可能であり、例えば固化の間にウレタン官能基が整列しかつ結晶化する、ポリエチレン、ポリプロピレン、シンジオタクチックポリスチレン、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート、ポリケトンおよびポリウレタンであってよい。例えば、2次散乱層124となる材料の硬化または固化の間、光散乱部位として機能する結晶が形成可能である。さらに、2次散乱層124が硬化されかつ/または固化するとき、散乱層の材料(例えばベース材料および散乱材料)が不適合となって材料を相分離させ、光を散乱させうる液滴または粒子を形成することがあり、これにより散乱部位が形成される。その例には、スチレン-ブタジエン-スチレンブロックコポリマー、ポリスチレンにおけるポリメチルメタクリレートおよびアクリロニトリル-ブタジエン-スチレンがあるが、これらに限定されない。
【0026】
散乱材料の平均直径は、約200nm~約10μm、例えば300nm、400nm、500nm、600nm、700nm、800nm、900nm、1μm、2μm、3μm、4μm、5μm、6μm、7μm、8μm、9μm、10μmまたはそれらの間の直径であってよい。散乱材料が散乱粒子を含む実施形態において、2次散乱層124内の散乱粒子の断面寸法は、0.1λ~10λを含むことができ、ここでλは光拡散光ファイバ100を通して伝搬する光の波長である。幾つかの実施形態では、散乱粒子の断面寸法は、0.2λより大きくかつ5λより小さく、例えば約0.5λ~約2λである。散乱粒子の量は、約0.005重量%~70重量%、例えば0.01%~60%、0.02%~50%などの範囲で変化することができる。一般に、2次散乱層124が薄いほど、2次散乱層124内により多くの量の散乱粒子が存在しなければならない。
【0027】
散乱粒子の濃度は、光拡散光ファイバ100の長さに沿って変化してもよいし、または一定であってもよく、光の均一な(例えば、角度に依存しない)散乱を生じさせるのに十分な重量パーセントであってもよい。幾つかの実施形態では、2次散乱層124における散乱粒子の重量パーセントは、約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、25%、30%、35%、40%、45%または50%を含む。幾つかの実施形態では、散乱材料は、2次散乱層124内の副層を含んでもよい。例えば、幾つかの実施形態では、副層は約1μm~約5μmの厚さを有してもよい。
【0028】
さらに図2Aおよび図2Bを参照すると、動作中、2次散乱層124は、大きな角度範囲(例えば40°~120°、30°~130°または15°~150°)にわたって均一な角度散乱を促進することができる。例えば、散乱しない導波光は、光拡散光ファイバ100に沿って光出力装置150から伝搬方向10に伝搬する。散乱光は、光拡散光ファイバ100から方向12へ、光拡散光ファイバ100に沿って伝搬する導波光の伝搬方向10と光拡散光ファイバ100から散乱光が出るときの当該散乱光の方向12との角度差である散乱角度θsで出ることが示されている。幾つかの実施形態では、散乱角度θsが約15°~約150°または約30°~約130°であるときのスペクトルの強度は、ピーク波長につき測定される場合、±50%、±30%、±25%、±20%、±15%、±10%または±5%以内である。幾つかの実施形態では、散乱角度θsが30°~130°内の全ての角度の間、または40°~120°内の全ての角度の間であるときのスペクトルの強度は、ピーク波長につき測定される場合、少なくとも±50%以内、例えば±30%、±25%、±20%、±15%、±10%または±5%以内である。したがって、光拡散光ファイバ100は、散乱により実質的に均一な照明を提供するように構成されており、これにより、最小散乱照明強度と最大散乱照明強度との差は、少なくとも40度~110度の全ての視角(例えば伝搬方向10と観察者の観察位置との間の角度)に対して、例えば約40度~約120度の全ての視角に対して、最大散乱照明強度の50%未満である。幾つかの実施形態によれば、最小散乱照明強度と最大散乱照明強度との差は、最大散乱照明強度の30%以下である。
【0029】
動作中、光拡散光ファイバ100は、550nmの波長につき、約0.2dB/mより大きい散乱誘発減衰損失を有することがある。例えば、幾つかの実施形態では、散乱誘発減衰損失(散乱構造115による減衰損失)は、550nmにつき、約0.5dB/m、0.6dB/m、0.7dB/m、0.8dB/m、0.9dB/m、1dB/m、1.2dB/m、1.4dB/m、1.6dB/m、1.8dB/m、2.0dB/m、2.5dB/m、3.0dB/m、3.5dB/m、または4dB/m、5dB/m、6dB/m、7dB/m、8dB/m、9dB/m、10dB/m、20dB/m、30dB/m、40dB/mまたは50dB/mより大きくなることがある。さらに、以下に詳細に説明するように、光拡散光ファイバ100の散乱誘発減衰損失は、光の波長範囲に対して実質的に均一とすることができ、これにより、光拡散光ファイバ100は、様々な異なる波長について実質的に均一な強度で光を出力することができる。
【0030】
ここで図3を参照すると、光拡散光ファイバ100に沿って伝搬する導波光の波長の範囲の散乱誘発減衰損失がグラフにより示されている。より具体的には、図3には、約3%のスペクトル減衰パーセント相対範囲を有する光拡散光ファイバ100の散乱誘発減衰損失がグラフにより示されている。本明細書において使用されるとき、「スペクトル減衰パーセント相対範囲」とは、特定の波長範囲にわたる(例えばdB/mの単位での)最小から最大までの減衰損失のパーセント差を規定している。幾つかの実施形態では、約450nm~約650nmの波長に対するスペクトル減衰パーセント相対範囲は、約15%以下、約14%以下、約13%以下、12%以下、約11%以下、10%以下、約9%以下、8%以下、約7%以下、約6%以下、約5%以下、約4%以下、約3%以下、約2%以下または約1%以下である。約15%以下のスペクトル減衰パーセント相対範囲は「均一である」と考えることができる。本明細書において使用されるとき、「均一な照明」とは、光拡散光ファイバ100から放出される光の強度が、複数の波長に対して、指定された長さにわたって15%より大きく変化しない、光拡散光ファイバ100の長さに沿った照明を意味する。図示の例としての光拡散光ファイバ100は、約500nmの波長を有する光につき、約600nmの波長を有する光の散乱誘発減衰損失の約15%以内である散乱誘発減衰損失を有することができる。これにより、光拡散光ファイバ100は、これらの各波長について(同時にまたは異なるときに)類似の強度で光を出力することができ、これにより、観察者は、これらの各波長を実質的に同じ明るさを有するものとして認識することができる。
【0031】
理論による限定を意図しないが、概して平坦なスペクトル減衰を有する光拡散光ファイバ100は、光拡散光ファイバ100から外方へ散乱する光の色度(例えば色度点、色点または知覚される色)の維持(例えば均一性)を高めることもある。本明細書において使用されるとき、「色度」とは、明るさから独立した光の色の品質を意味する。色度とは、色における色相と彩度との組合せであり、色相とは、観察者によって知覚される色(例えば赤、オレンジ、緑、青など)を意味し、彩度とは、色の鮮やかさまたは鈍さ、例えばその色がグレーまたは色の純粋色相にどれだけ近いかを意味する。理論による限定を意図しないが、光拡散光ファイバ100に沿った色度の維持とは、光拡散光ファイバ100の長さに沿って初期色度を規定する1つ以上の入力波長(例えば光拡散光ファイバ100に光学的に結合された光源による光拡散ファイバへの入力)によって生成された色相および彩度の変化および変化の不在を意味する。すなわち、複数の波長に対して指定された長さにわたって概して平坦なスペクトル減衰(例えば約15%以下のスペクトル減衰パーセント相対範囲)を有する光拡散光ファイバ100は、光拡散光ファイバ100の拡散長さに沿って、初期色度を生成する1つ以上の波長の特定の組合せを維持することができる。1つ以上の波長の組合せを維持することによって、光拡散光ファイバ100に沿った色度は、観察者が色度の変化を知覚できない状態で維持することができる。同様に、複数の波長に対して指定された長さにわたって概して平坦なスペクトル減衰を有する光拡散光ファイバ100は、色度の変化の認識可能な差なしに、光拡散光ファイバ100の同じ長さに沿って1つ以上の異なる色度につき均一な照明で拡散することもできる。観察者の知覚または色度における認識不能な変化は、以下でより詳細に説明するマクアダム楕円430によって定量化することができる。
【0032】
さらに、色度は、(図4に示したように)色空間、例えばCIE1931色空間またはCIE1976色空間にプロット可能である。理論による限定を意図しないが、CIE1931色空間は、国際照明委員会(CIE)によって設定された標準三刺激値(XYZ)に基づくxy色度座標を使用して色度を示しており、これについては、引用によりその全体が本明細書に組み込まれる、T.SmithおよびJ.Guild, The C.I.E Colorimetric Standards and Their Use, 33 TRANS,OP.SOC.73-134(1931)を参照されたい。理論による限定を意図しないが、三刺激値は、知覚可能な色相を独特に表示するための数学的構成であり、原色の相対強度から導出される。さらに、理論による限定を意図しないが、三刺激値は、CIE1931色空間を用いて2次元座標において色度を示すためにxy色度座標に変換可能である。
【0033】
さらに、CIE1976色空間(その一部が図4に示されている)は、u’v’座標を使用して色度を示しており、これにより、知覚される色度(例えば観察者によって知覚される色度)の差が表される。u’v’座標は、CIE1931色空間のxy座標から導出可能であり、色度の差を幾何学的距離として示すために使用可能である。すなわち、u’v’座標は、1つの色度が別の色度からどれだけ異なるかを空間的に表すために使用可能である。CIE1976色空間は、引用によりその全体が本明細書に組み込まれる、Colorimetry, second edition: CIE Publication 15.2, Vienna: Bureau Central CIE, 1986において詳細に説明されている。
【0034】
さらに、理論による限定を意図しないが、CIE1931色空間およびCIE1976色空間の両方は、黒体がある範囲の温度にわたって加熱されたときに黒体によって放出される光の色度を表す「黒体軌跡」を表している。図4に示したCIE1976色空間の部分において、黒体軌跡410は、要素番号410によって表されている。以下で説明するように、黒体軌跡410は、色空間内の白色光および近白色光の基準位置を提供する。理論による限定を意図しないが、「黒体」とは、黒体を照射する所定の範囲の波長、例えば、可視光の波長を有する全ての電磁放射を吸収する理論的物体を意味する。黒体は電磁放射を吸収するので、黒体はまた、絶対零度より高い(例えば0ケルビン(K)より高い)温度で電磁放射を放出する。
【0035】
さらに、黒体によって放出される電磁放射は白色または近白色であり、当該放出された白色または近白色電磁放射の特定の色度およびスペクトル分布は黒体の温度に依存する。黒体放射の温度は「色温度」と称され、各色温度は、黒体軌跡410に配置された光の色度を規定する(例えば各色温度は、黒体軌跡410に配置された光の特定の白色または近白色色度を規定している)。理論による限定を意図しないが、黒体の温度が上昇すると、スペクトル分布はより短い波長に向かって偏移し、これにより、より高い温度では、色度は青色の色相に向かって偏移し、より低い温度では、色度は赤色の色相に向かって偏移する。
【0036】
さらに、色温度は黒体軌跡410に配置された光の色度を規定しているが、他の色度は「相関色温度(CCT)」によって規定可能であり、当該相関色温度CCTは、黒体軌跡410がCIE1976色空間のu’‐v’座標を用いてプロットされたときに(例えばu’‐v’座標は色度の差を幾何学的距離として空間的に表すので)、該当する色度に最も近い黒体軌跡410における点の色温度である。さらに、本明細書において使用されるとき、黒体軌跡410における該当する色度と、該当する色度に最も近い点との間に延在するかつ/またはこれらを通って延在する(例えば黒体軌跡410における該当する色度に最も近い点における目標線に対して垂直に延在する)CIE1976色空間における線は、「等温線」と称される。等温線に沿った各色度点は、等しいCCTを有する。概して、CCTは、「白色」光のカラーアピアランスを説明する方法である。一例として、可視スペクトルにおける波長のために、色温度の変化は、入力された可視波長の「より暖色の」バージョンまたは「より寒色の」バージョンとして明示される。暖色の光は、概して、低いCCT値(例えば2700K~3000K)を有するのに対し、寒色の光は、高いCCT値(例えば4000K~6500K)を有する。
【0037】
本明細書において使用されるとき、色空間(例えばCIE1931色空間またはCIE1976色空間)における2つの色度点の間の無次元距離は、「色度距離」と称される。例えば、初期または測定された色度を、目標色度、または光拡散光ファイバ100の指定された長さでの別の測定された色度と比較するとき、色度距離を、CIE1931色空間またはCIE1976色空間の間の距離を規定するために使用することができる。1つの例としての色度距離は、該当する色度と、該当する色度に最も近い黒体軌跡410における点との間の距離(例えば等温線に沿って測定された距離)であり、これは、本明細書においてならびに当該技術分野において、u‐v距離または「Duv」と称される。Duvは、正または負の無次元数であり、正のDuvは、CIE1976色空間における黒体軌跡410より上側の点を意味し、負のDuvは、CIE1976色空間における黒体軌跡410より下側の点を意味する。Duvは一例としての色度距離であるが、色度距離は、色空間におけるいずれか2つの点の間の距離または色空間における1つの点と色空間400における線(例えば等温線)との間の距離を意味しうると理解されたい。非限定的な一例として、色度距離は、個々の色度点と、特定の色調整温度を表す等温線との間で(例えば、色度点と等温線に沿ったいずれかの位置との間の最短距離として)測定可能である。別の非限定的な例として、色度距離は、色度の2つの個々の点間で測定可能である。
【0038】
再び図4を参照すると、黒体軌跡410を有するCIE1976色空間400が、+10%~-10%の範囲のスペクトル減衰(すなわち、約20%のスペクトル減衰パーセント相対範囲)を有する光拡散光ファイバ100の、例としてのシミュレーション結果を示すためにグラフにより示されている。
【0039】
加えて、マクアダム楕円430も、CIE1976色空間400に示されている。マクアダム楕円430は、CIEダイアグラム(例えばCIE1976色空間400)における1つの領域であり、当該領域は、マクアダム楕円430の中心の色から、平均的な人間の目にとって識別不能である色をそれぞれ有する色度を規定している。同様に、マクアダム楕円430の輪郭(例えば、周囲または境界)に沿って捕捉される色は、人間の目による、色度の「ぎりぎり認識可能な差」を表している。マクアダム楕円430は、標準偏差σに等しい「ステップ」を有すると説明される。母集団の大きなサンプルが使用されかつ訓練された観察者が観察を確実に反復可能であれば、ステップは、次のような一般的母集団のための確率に変換されうる:1σ/1‐ステップは、一般的な、色通常母集団の68.268%、2σ/2‐ステップは95.449%、3σ/3‐ステップは99.730%、4σ/4‐ステップは99.993%、および5σ/5‐ステップは99.999%である。ターゲットの周囲に描かれた「1ステップ」楕円の輪郭上のいずれかの点は、ターゲットからの1つの標準偏差1σを表している。言い換えれば、1本の線が輪郭上の1点から中心点435を通して引かれて、輪郭上の反対側の点と交差する場合、2点は相互に2σ離れた位置にある。図4に示したマクアダム楕円430は、5‐ステップのマクアダム楕円430である。
【0040】
さらに図4を参照すると、約20%~約0%のスペクトル減衰パーセント相対範囲を有する光拡散光ファイバの色度の結果が、白色LED源を使用してシミュレーションされている。各光拡散光ファイバ100の色度は、約±2%のステップで20%~約0%のスペクトル減衰パーセント相対範囲を有し、すなわち、光拡散光ファイバ100は、例えば、約0%、約4%(約±2%のスペクトル減衰)、約8%(±4%)、約12%(±6%)、約16%(±8%)および約20%(±10%)のスペクトル減衰パーセント相対範囲を有する。結果として生じる各色度は、CIE1976色空間400における三角形によって表されている。それと共に、結果として生じる色度、すなわち三角形は、色度スプレッド420と称される。例えば、図4では、色度スプレッド420は、約±2%のステップで20%~約0%のスペクトル減衰パーセント相対範囲を有する各光拡散光ファイバ、すなわち、それぞれ約0%、約4%(±2%)、約8%(±4%)、約12%(±6%)、約16%(±8%)および約20%(±10%)のスペクトル減衰パーセント相対範囲を有する各光拡散光ファイバ100への、白色LED源入力に対するものである。
【0041】
約0%のスペクトル減衰パーセント相対範囲を有する光拡散光ファイバ100の結果でのターゲット、すなわち楕円中心を有するマクアダム楕円430、例えば5ステップのマクアダム楕円430の適用により、プロットは、マクアダム楕円430の内側に色度スプレッド420(すなわち、三角形によって示されている)の光線の約50%を示している。理論による限定を意図しないが、これは、約8%(すなわち、±4%)のスペクトル減衰パーセント相対範囲を有する光拡散光ファイバ100が、人間の観察者に認識可能な色度の差を生じないことを示唆している。約8%のスペクトル減衰パーセント相対範囲は、図5にプロットされた同じ結果から、より簡単に定量化可能である。
【0042】
図5を参照すると、マクアダム楕円430の中心点435から図4における色度スプレッド420の各色度までの色度距離に対するスペクトル減衰が示されている。図4に示されたマクアダム楕円430内の色度スプレッド420を捕捉するボックス510を構成することによって、約8%のスペクトル減衰パーセント相対範囲(すなわち、±4%のスペクトル減衰)を有する光拡散光ファイバ100が色度の認識可能な差を生じないことを観察可能である。ボックス510は、約±0.0055の色度距離の変化をも規定している。色度距離の当該変化は、良好な色度均一性に相関する。幾つかの実施形態では、約±0.006以下、または約±0.005以下、または約±0.004以下、または約±0.003以下、または約±0.002以下、または約±0.001以下の色度距離の変化(例えばDuv)が、光拡散光ファイバ100の長さ(例えば拡散長さ)に沿った良好な色度均一性に相当する。図4および図5は、白色LED源の場合のシミュレーション結果を示しているが、他の色に対して同様の分析を用いることもできる。加えて、理論による限定を意図しないが、±0.006以下の色度距離は、7‐ステップのマクアダム楕円に対応し、許容可能な色座標変化についての米国国家規格(ANSI C78.377)の規定である。±4%未満のスペクトル減衰変化の場合、色の差は観察可能でないものとされる。
【0043】
非白色光の光源の場合、色点の変化におけるほぼ同じターゲット、すなわち、約±0.006以下の色度距離を用いることができる。しかし、非白色光の場合、人間の眼は色変化に対してより敏感でなくなるので、より緩いターゲット色度距離、例えば約±0.01以下または±0.013以下を、色度における均一なまたは認識不可能な変化を達成するために色点に応じて使用することができる。しかし、非白色光の場合、発光源のスペクトル範囲がより狭いことがあり、これにより、より狭いスペクトル範囲内でのスペクトル変化は、白色光の光源の調整の際に既に考慮に入れることができる。例えば、スペクトル要求が白色光に対して満たされているならば、非白色光の光源に対する要求もほぼ同様に満たすことができる。
【0044】
さらに、理論による限定を意図しないが、色度の変化は、光拡散光ファイバ100に沿ったCCTの変化にも変換可能である。再び図4を参照すると、マクアダム楕円430によって囲まれた色度スプレッド420の部分にわたるCCTの変化(ΔCCT)は、平均相関色温度を約5580Kとした約±420Kとして観察される。上述のように、CCTは、色度のカラーアピアランスを記述する方法である。ΔCCTは、色度がどれだけ暖色または寒色に見えるかに影響する。光拡散光ファイバ100が、その拡散長さに沿ってΔCCTを生じさせる場合、光拡散光ファイバ100へ入力される特定の色度を有する光源は、拡散長さに沿ってより暖色またはより寒色となりうるので、これにより、拡散長さに沿って、光拡散光ファイバ100から放出される光の色度のアピアランスが変化する。特定の光源の場合のΔCCTにおける認識可能な差は色度に依存するが、例えば±500K、±450K、±400K、±350K、±300K、±250K、±200K、±150K、±100Kまたは±50K未満のより小さなΔCCTは、概して、より認識しにくくなる。認識可能な差は、示したように平均CCTに相関しうる。例えば、限定するものではないが、図4では、マクアダム楕円430内のΔCCTは、5580KのCCTを有する中心点435から約±420Kである。結果として、中心点435によって規定された色度からの約±420KのΔCCTは、約8%のスペクトル減衰パーセント相対範囲(すなわち±4%のスペクトル減衰)を有する光拡散光ファイバ100の拡散長さに沿って色度のアピアランスに認識可能な差を生じないものとなる。
【0045】
ここで図6および図7を参照すると、光拡散光ファイバにおける約15%以下のスペクトル減衰パーセント相対範囲は、例えば、光拡散光ファイバ610を製造するように構成された光ファイバ製造システム600を使用して、光拡散光ファイバの形成中のドロープロセスを制御することによって達成可能である。したがって、光拡散光ファイバ610が約15%以下のスペクトル減衰パーセント相対範囲を有するように光拡散光ファイバ610を製造する方法は、以下で説明するように、ドロープロセス中の光拡散光ファイバ610のドロー温度、ドロー張力およびドロー速度のうちの少なくとも1つを制御するステップを含む。さらに、以下に説明する製造方法を使用して形成された光拡散光ファイバ610は、均一なCCTと、光拡散光ファイバ610の拡散長さに沿って光拡散光ファイバ610から放出される光の色度距離とを有する。さらに、図6に示された光拡散光ファイバ610は、上述の光拡散光ファイバ100の実施形態のうちのいずれを含んでもよいことを理解されたい。
【0046】
図6に示したように、光ファイバ製造システム600は、ドロー炉620、ファイバ収集ユニット670、および選択的にファイバコーティングユニット680を有する。ドロー経路602は、ドロー炉620からファイバ収集ユニット670まで延在しており、光拡散光ファイバ610が製造中に例えばドロー方向601へ移動する経路である。図6に示したように、光ファイバプリフォーム605がドロー炉620に配置される。光ファイバプリフォーム605は、光ファイバの製造に適したあらゆるガラスまたは材料から構成可能である。動作中、ドロー炉620は、光拡散光ファイバ610が光ファイバプリフォーム605から引き出されるように光ファイバプリフォーム605を加熱可能である。ドロー炉620は、鉛直方向経路であってよいドロー経路602に沿って配向可能であり、これにより、光ファイバプリフォーム605から引き出される光拡散光ファイバ610は、下方向であってよいドロー方向601で、ドロー経路602に沿ってドロー炉620から出ていく。ドロー炉620を鉛直方向に配向することによって、光拡散光ファイバ610は、ドロー炉620の温度によって光ファイバプリフォーム605を軟化させながら光ファイバプリフォーム605の重量にしたがって光ファイバプリフォーム605から引き出し可能であり、幾つかの実施形態では、ファイバ収集ユニット670によって光拡散光ファイバ610に加えられる、ひいては光ファイバプリフォーム605に加えられる張力によっても引き出し可能である。
【0047】
さらに図6を参照すると、幾つかの実施形態では、光ファイバ製造システム600は、さらに、例えば、ドロー炉620とファイバ収集ユニット670との間に、ドロー経路602に沿って配置されたファイバコーティングユニット680を有する。ファイバコーティングユニット680は、光拡散光ファイバ610がファイバコーティングユニット680を通過するときに光拡散光ファイバ610に1つ以上のコーティング層を提供可能である。例えば、ファイバコーティングユニット680は、熱可塑性コーティング、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、フッ素化エチレンポリプロピレン、ナイロン、塩化ポリビニルまたは類似の熱可塑性材料、UV硬化性コーティング、例えばUV硬化性アクリレートコーティングなどのうち1つ以上を提供することができる。ファイバコーティングユニット680は、現時点で当該分野において公知でありうるまたは後に開発されうる、光ファイバに1つ以上のコーティングを提供するのに適したあらゆるコーティングユニットであってよいことを理解されたい。
【0048】
さらに図6を参照すると、幾つかの実施形態では、ファイバコーティングユニット680で光拡散光ファイバ610がコーティングされた後、光拡散光ファイバ610を、ファイバ収集ユニット670によってファイバ保管スプール672に巻き取ることができる。ファイバ収集ユニット670は、ファイバ保管スプール672への光拡散光ファイバ610の巻取りを容易にするために、ドロー機構676およびテンショニングプーリ674を利用する。テンショニングプーリ674は、光拡散光ファイバ610が光ファイバ製造システム600を通して引き出されるとき、光拡散光ファイバ610に所要の張力を提供可能である。したがって、ファイバ収集ユニット670は、例えば、ドロー炉620およびファイバコーティングユニット680を通ってドロー経路602に沿って光拡散光ファイバ610が引き出されるとき、ファイバ保管スプール672に光拡散光ファイバ610を巻き取るために、ならびに光拡散光ファイバ610に所望の張力を提供するために、光拡散光ファイバ610に直接に接触していてよい。
【0049】
さらに、光拡散光ファイバ610の製造中に光拡散光ファイバ610に提供されるドロー温度、ドロー張力およびドロー速度により、光拡散光ファイバ610の結果として生じるスペクトル減衰パーセント相対範囲を制御することができる。特に、ドロー温度、ドロー張力およびドロー速度のうちの1つ以上を変化させると、散乱構造115、例えば光拡散光ファイバ610内のガス充満空所の結果として生じる特性(例えば形状および分布)を変化させることができ、これにより、光拡散光ファイバ610の結果として生じるスペクトル減衰パーセント相対範囲を変化させることができる。
【0050】
例えば、一実施形態において、光ファイバプリフォーム605は、ドロー炉620内で摂氏約2100度(℃)のドロー温度に加熱され、約18m/分のドロー速度で引き出される。さらに、当該例としての実施形態において、ファイバ収集ユニット670のドロー機構676およびテンショニングプーリ674は、約1グラム~約2グラムのドロー張力を加えることができる。幾つかの実施形態では、ドロー温度は、1800℃~約2500℃、例えば、約1800℃、1850℃、1900℃、1950℃、2000℃、2050℃、2100℃、2150℃、2200℃、2250℃、2300℃、2350℃、2400℃、2450℃などを含んでもよい。ドロー温度は、ドロー炉620の(例えば、Z軸に沿った)長さに依存しうる。一例として、ドロー炉620が大きな長さを有するとき、光ファイバプリフォーム605がドロー炉620内でより長い時間を経過するため、または光ファイバプリフォーム605が(例えばドロー炉620を通過する速度を高めるべく)より高いドロー張力下で引き出されるため、より低いドロー温度が所望されうる。幾つかの実施形態では、ドロー張力は、約0グラム~約200グラム、例えば、1グラム、2グラム、3グラム、4グラム、5グラム、6グラム、7グラム、8グラム、9グラム、10グラム、20グラム、30グラム、40グラム、50グラム、60グラム、70グラム、80グラム、90グラム、100グラム、110グラム、120グラム、130グラム、140グラム、150グラム、160グラム、170グラム、180グラム、190グラム、または200グラム以下を含んでもよい。さらに、幾つかの実施形態では、ドロー速度は、約10m/分~約25m/分、例えば約12m/分、約14m/分、約16m/分、約18m/分、約20m/分、約22m/分、約24m/分などであってよい。
【0051】
散乱構造115がガス充満空所を含む実施形態において、ドロー炉620において光ファイバプリフォーム605を加熱することにより、ガス充満空所の分布、容積、形状および長さが変化し、隣接するガス充満空所の合体(例えば合併)も生じる。様々な形状およびサイズを有するガス充満空所を含む散乱構造115の分布により、光散乱のスペクトル効率が制御される。ガス充満空所の開始箇所の分布の最適化を含みうる、所与のガラスプリフォームのためのガス充満空所の寸法の調整された分布は、光拡散光ファイバ610の結果として生じるスペクトル減衰の制御に役立つ。さらに、上記の例としてのドロー温度、ドロー張力およびドロー速度は、網羅的な例を提供しているものではなく、幾つかの実施形態では、ドロー温度、ドロー張力およびドロー速度のさらなる調整を、約15%以下のスペクトル減衰パーセント相対範囲を有する光拡散光ファイバ610を製造する所望のドロープロセスを達成するために行うこともできる。
【0052】
ここで図7を参照すると、約15%以下のスペクトル減衰パーセント相対範囲を有する光拡散光ファイバ610を製造するためのドロープロセスを調整する方法のフローチャートが示されている。ステップ710において、方法は、例えば図6に関連して説明しかつ示した光ファイバ製造システム600を使用して、第1のドロー張力、第1のドロー速度および第1のドロー温度で、第1の長さの光拡散光ファイバ100を引き出すことを含む。第1の長さの光拡散光ファイバは、光拡散光ファイバの拡散長さに沿った選択された断面に、ガス充満空所の第1の空所容積分率を有することができ、拡散長さに沿った選択された断面での複数のガス充満空所は、第1の平均断面寸法を有することができる。
【0053】
ステップ720において、例えば、光を光源から光拡散光ファイバ610内へ配向し、光拡散光ファイバ610の外面を通って拡散する光のスペクトル減衰パーセント相対範囲を測定して、光拡散光ファイバ610のスペクトル減衰パーセント相対範囲を求めることによって、光拡散光ファイバ610の長さに入射する波長の範囲にわたるスペクトル減衰が測定される。次いで、ステップ730において、方法は、スペクトル減衰パーセント相対範囲が所望の範囲内(例えば15%、12%、10%、8%、6%、5%、4%、3%、2%、1%以下など)にあるかどうかを求めることを含む。さらに、測定されたスペクトル減衰パーセント相対範囲が所望の範囲内にあれば、方法は、ステップ760へ進み、第1のドロー張力、第1のドロー速度および第1のドロー温度が、付加的な光拡散光ファイバ610の形成、例えば光拡散光ファイバ610の全体連続生産に使用される。
【0054】
代替的に、光拡散光ファイバ100の求められたスペクトル減衰パーセント相対範囲が所望の範囲にない場合、方法は、ステップ740へ進み、ステップ740は、ドロー張力、ドロー速度およびドロー温度のうちの1つ以上を第2のドロー張力、第2のドロー速度および/または第2のドロー温度に調節することを含む。第2のドロー張力は、第1のドロー張力より大きくてもよく、第1のドロー張力より小さくてもよく、または第1のドロー張力と等しくてもよい。第2のドロー速度は、第1のドロー速度より高くてもよく、第1のドロー速度より低くてもよく、または第1のドロー速度と等しくてもよい。第2のドロー温度は、第1のドロー温度より高くてもよく、第1のドロー温度より低くてもよく、または第1のドロー温度と等しくてもよい。幾つかの実施形態では、第2のドロー張力、第2のドロー速度および第2のドロー温度のうちの少なくとも1つは、求められたスペクトル減衰パーセント相対範囲が所望の範囲内にあるかどうかに応じて、第1のドロー張力、第1のドロー速度および第1のドロー温度と異なる。
【0055】
次いで、ステップ750において、方法は、第2の長さの光拡散光ファイバ610を引き出すことを含む。第2の長さの光拡散光ファイバは、光拡散光ファイバの拡散長さに沿った選択された断面に、ガス充満空所の第2の空所容積分率を有することができ、拡散長さに沿った選択された断面での複数のガス充満空所は、第2の平均断面寸法を有することができる。ガス充満空所の第2の空所容積分率および複数のガス充満空所の第2の平均断面寸法は、ガス充満空所の第1の空所容積分率および複数のガス充満空所の第1の平均断面寸法と異なっていてもよい。
【0056】
第2の長さの光拡散光ファイバ610が引き出されると、ステップ720が反復され、光拡散光ファイバ610の長さに入射された波長の範囲にわたるスペクトル減衰が測定され、これにより、第2の長さの光拡散光ファイバ610のスペクトル減衰パーセント相対範囲が求められる。次いで、方法は、ステップ730へ進み、ステップ730は、第2の長さの光拡散光ファイバ610のスペクトル減衰パーセント相対範囲が所望の範囲にあるかどうかを求めることを含む。さらに、第2の長さの光拡散光ファイバ610の測定されたスペクトル減衰相対範囲が所望の範囲内にあれば、方法は、ステップ760へ進み、第2のドロー張力、第2のドロー速度および第2のドロー温度が、付加的な光拡散光ファイバ610の形成に使用される。代替的に、第2の長さの光拡散光ファイバ610の求められたスペクトル減衰パーセント相対範囲が所望の範囲にない場合、方法は再びステップ740へ、次いでステップ750へ進み、プロセスが、付加的なドロー張力、ドロー速度および/またはドロー温度のために反復される。
【0057】
幾つかの実施形態では、第1の長さの光拡散光ファイバ610および第2の長さの光拡散光ファイバ610のための、スペクトル減衰パーセント相対範囲、空所容積分率または平均断面寸法の測定は、光拡散光ファイバ100の拡散長さに沿った対応する位置で行うことができる(すなわち、測定は、光拡散光ファイバ100の第1の端部112から等距離の位置で行うことができる)。その他の実施形態において、第1の長さの光拡散光ファイバ610および第2の長さの光拡散光ファイバ610のための、スペクトル減衰パーセント相対範囲、空所容積分率または平均断面寸法の測定は、光拡散光ファイバ610の拡散長さに沿ったいずれかの位置で行うことができる。
【0058】
理論による限定を意図しないが、ドロー張力の低下により、結果として、光拡散光ファイバに沿って伝搬する光のより短い波長に対してより大きな減衰が生じることがあり、ドロー温度の上昇により、結果として、光拡散光ファイバに沿って伝搬する光のより長い波長に対してより大きな減衰が生じることがある。言い換えれば、ドロー温度とドロー張力とは、逆の関係を共有している。また、ドロー速度とドロー温度とは直接的な関係を共有し、よって一方が増大すると他方が増大し、一方が減少すると他方が減少する。なお、光拡散光ファイバ100の長さに沿ったより高い散乱効率および均一な波長依存性を生じさせる、散乱構造115の始点および終点の発生は、本明細書において説明しているように、低いドロー温度および低いドロー張力によって達成可能である。
【0059】
例えば、図8には、それぞれ、異なるドロー張力(すなわち、90グラムおよび355グラム)、等しいドロー速度および等しいドロー温度で引き出された2つの光拡散光ファイバのスペクトル曲線がグラフにより示されている。図示しているように、ドロー速度およびドロー温度は一定であるが、ドロー張力が異なる、すなわち、一方が他方よりも大きい場合、より高いドロー張力で引き出された光拡散光ファイバのほうが、より低いスペクトル曲線を有する。図8に結果を示している例において、ドロー炉は、1900℃のドロー温度に設定され、ドロー速度は10m/sであった。同様の効果は、ドロー張力を一定に保持し、ドロー温度を変化させる(例えば、2つの光拡散光ファイバを異なる温度で引き出す)ことによって達成することができる。例えば、限定するものではないが、ドロー速度を約1m/sに維持しながらドロー温度を1900℃から約2200℃へ変化させかつドロー張力を約1グラムから約2グラムへ変化させることにより、散乱損失(すなわち散乱誘発減衰)が増大する。しかし、ドロー速度を約1m/sから約5m/sへ増大させると、より高いドロー速度で引き出された光拡散光ファイバのスペクトル応答は、より低いドロー速度で引き出された光拡散光ファイバより平坦になる(すなわち、より小さなスペクトル減衰相対範囲を有する)。
【0060】
本開示の態様(1)は、光拡散光ファイバであって、コアと、該コアを包囲するクラッドと、外面と、前記コア、前記クラッドまたは前記コアおよび前記クラッドの両方の内部に配置された複数の散乱構造と、を有し、該複数の散乱構造は、導波光を前記外面に向かって散乱させるように構成されており、これにより、前記光拡散光ファイバの拡散長さに沿って前記外面を通して拡散する約450nm~約650nmの波長を有する光が、約15%以下のスペクトル減衰パーセント相対範囲を有する、光拡散光ファイバに関する。
【0061】
態様(2)は、前記光拡散光ファイバの前記拡散長さに沿って前記外面を通して拡散する光の前記スペクトル減衰パーセント相対範囲は、約8%以下を含む、態様(1)記載のファイバに関する。
【0062】
態様(3)は、前記光拡散光ファイバの前記拡散長さに沿って前記外面を通して拡散する光の前記スペクトル減衰パーセント相対範囲は、約3%以下を含む、態様(1)または(2)記載のファイバに関する。
【0063】
態様(4)は、前記光拡散光ファイバの前記拡散長さに沿って前記外面を通して拡散する光の相関色温度は、約2500K~約8000Kを含む、態様(1)から(3)までのいずれかつ記載のファイバに関する。
【0064】
態様(5)は、前記光拡散光ファイバの前記拡散長さに沿って前記外面を通して拡散する光の相関色温度は、約5160K~約6000Kを含む、態様(1)から(4)までのいずれか1つ記載のファイバに関する。
【0065】
態様(6)は、前記複数の散乱構造は、複数のガス充満空所を含む、態様(1)から(5)までのいずれか1つ記載のファイバに関する。
【0066】
態様(7)は、前記複数のガス充満空所は、非球面テーパ形状を有する、態様(6)記載のファイバに関する。
【0067】
態様(8)は、前記複数のガス充満空所は、約50nm~約10μmの断面寸法を有する、態様(6)記載のファイバに関する。
【0068】
態様(9)は、前記複数のガス充満空所は、約1mm~約100mの長さを有する、態様(6)記載のファイバに関する。
【0069】
態様(10)は、前記光拡散光ファイバの前記拡散長さに沿って前記外面を通して拡散する光の強度は、約30%より多く変化しない、態様(1)から(9)までのいずれか1つ記載のファイバに関する。
【0070】
態様(11)は、前記複数の散乱構造は、前記導波光の一部を前記光拡散光ファイバの前記外面に向かって散乱させるように構成されており、これにより、前記導波光の一部が、前記光拡散光ファイバの前記拡散長さに沿って前記光拡散光ファイバの前記外面を通して拡散して、約50dB/km以上の散乱誘発減衰を生じさせる、態様(1)から(10)までのいずれか1つ記載のファイバに関する。
【0071】
態様(12)は、前記光拡散光ファイバは、前記コアおよび前記クラッドを包囲する2次散乱層をさらに有し、該2次散乱層は、ベース材料および散乱材料を含み、かつ最小散乱照明強度と最大散乱照明強度との差が、約40度~約120度の全ての視角に対して、前記最大散乱照明強度の50%未満であるように構成されている、態様(1)から(11)までのいずれか1つ記載のファイバに関する。
【0072】
態様(13)は、光拡散光ファイバを製造する方法であって、光拡散光ファイバを光ファイバプリフォームからドロー炉においてドロー経路に沿って引き出すステップを含み、前記光拡散光ファイバを引き出すステップは、前記光ファイバプリフォームをドロー温度で前記ドロー炉において加熱するステップと、前記光拡散光ファイバが、コアと、該コアを包囲するクラッドと、外面と、前記コア、前記クラッドまたは前記コアおよび前記クラッドの両方の内部に配置された複数の散乱構造とを有し、該複数の散乱構造は、導波光を前記外面に向かって散乱させるように構成されており、これにより、前記光拡散光ファイバの拡散長さに沿って前記外面を通して拡散する約450nm~約560nmの波長を有する光が、約15%以下のスペクトル減衰パーセント相対範囲および約2700K~約8000Kの相関色温度を有するように前記光拡散光ファイバにドロー張力を加えるステップと、を含む、光拡散光ファイバを製造する方法に関する。
【0073】
態様(14)は、前記ドロー温度は、約1800℃~約2300℃である、態様(13)記載の方法に関する。
【0074】
態様(15)は、前記ドロー張力は、約1グラム~約200グラムである、態様(13)または(14)記載の方法に関する。
【0075】
態様(16)は、方法であって、第1の光拡散光ファイバを光ファイバプリフォームからドロー炉においてドロー経路に沿って第1のドロー速度で引き出すステップであって、前記第1の光拡散光ファイバを引き出すステップは、前記光ファイバプリフォームを前記ドロー炉において第1のドロー温度で加熱するステップと、前記第1の光拡散光ファイバが、コアと、該コアを包囲するクラッドと、外面と、前記コア、前記クラッドまたは前記コアおよび前記クラッドの両方の内部に配置された複数のガス充満空所と、を有し、該複数のガス充満空所が、第1の空所容積分率および第1の平均断面寸法を有するように前記第1の光拡散光ファイバに第1のドロー張力を加えるステップと、を含むステップと、光の一部が前記第1の光拡散光ファイバの前記外面を通して拡散するように前記光を光源から前記第1の光拡散光ファイバ内へ配向するステップと、前記第1の光拡散光ファイバの前記外面を通して拡散する光のスペクトル減衰パーセント相対範囲を測定するステップと、第2の光拡散光ファイバを前記光ファイバプリフォームから前記ドロー炉内へ前記ドロー経路に沿って第2のドロー速度で引き出すステップであって、前記第2の光拡散光ファイバを引き出すステップは、前記光ファイバプリフォームを前記ドロー炉において第2のドロー温度で加熱するステップと、前記第2の光拡散光ファイバが、コアと、該コアを包囲するクラッドと、外面と、前記コア、前記クラッドまたは前記コアおよび前記クラッドの両方の内部に配置された複数の散乱構造と、を有し、該複数の散乱構造が、第2の空所容積分率および第2の平均断面直径を有し、かつ前記第2の光拡散光ファイバの拡散長さに沿って前記外面を通して拡散する約450nm~約560nmの波長を有する光が、約15%以下でありかつ前記第1の光拡散光ファイバの前記スペクトル減衰パーセント相対範囲より小さい第2のスペクトル減衰パーセント相対範囲を含むように、導波光を前記外面に向かって散乱させるように構成される、ように前記第2の光拡散光ファイバに第2のドロー張力を加えるステップと、を含むステップと、を含む、方法に関する。
【0076】
態様(17)は、前記第1のドロー張力は、前記第2のドロー張力と異なり、前記第1のドロー温度は、前記第2のドロー温度と異なる、態様(16)記載の方法に関する。
【0077】
態様(18)は、前記第2のドロー張力および前記第2のドロー温度のうちの少なくとも一方は、それぞれ前記第1のドロー張力および前記第1のドロー温度より低い、態様(16)または(17)記載の方法に関する。
【0078】
態様(19)は、前記第2のドロー張力および前記第2のドロー温度のうちの少なくとも一方は、それぞれ前記第1のドロー張力および前記第1のドロー温度より高い、態様(16)から(18)までのいずれか1つ記載の方法に関する。
【0079】
態様(20)は、前記第2の光拡散光ファイバの拡散長さに沿って前記外面を通して拡散する前記第2の光の前記第2のスペクトル減衰パーセント相対範囲は、約8%以下を含む、態様(16)から(19)までのいずれか1つ記載の光拡散光ファイバに関する。
【0080】
本技術を説明および定義する目的で、パラメータの「関数」である変数または別の変数についての本明細書における言及は、当該変数が、排他的に、列挙されたパラメータまたは変数の関数であることを意味する意図ではないことに留意されたい。むしろ、列挙されたパラメータの「関数」である変数についての本明細書における言及は、範囲を限定しないことが意図されており、これにより、当該変数は、単独のパラメータの関数であっても複数のパラメータの関数であってもよい。
【0081】
「少なくとも1つ」の構成部材、要素などの本明細書における言及は、冠詞「a」または「an」の代替的な使用が単独の構成部材、要素などに限定されるという推定の形成に使用されてはならないことにも留意されたい。
【0082】
特定の特性を具体化するまたは特定の形式において機能させるために特定の形式で「構成された」本開示の構成部材の本明細書における言及は、意図された使用の言及ではなく、構造的な言及である。より具体的には、構成部材が「構成された」形式への本明細書における言及は、当該構成部材の既存の物理的条件を意味し、これにより、当該構成部材の構造的特徴の明確な言及であると捉えられるべきである。
【0083】
本技術を説明および定義する目的で、「実質的に」および「約」なる用語は、いずれかの量的比較、値、測定またはその他の表現に帰属しうる不確実性の固有の程度を表すために本明細書において使用していることに留意されたい。また、「実質的に」および「約」なる用語は、問題となっている対象の基本的機能の変化を結果として生じさせることなく、量的表現が言明されている基準から変化してよい程度を表すために、本明細書において使用されている。
【0084】
本開示の対象を詳細にかつその特定の実施形態に関して説明したが、本明細書に開示された様々な詳細は、本明細書に付随する各図面に特定の要素が例示されている場合にも、これらの詳細が本明細書において説明された様々な実施形態の基本的な構成部材である要素に関することを示唆すると解されるべきではないことに留意されたい。さらに、添付の特許請求の範囲に規定された実施形態を含むがこれに限定されない本開示の範囲から逸脱することなく、変更および変化態様が可能であることが明らかであろう。より具体的には、本開示の幾つかの態様は、好ましいまたは特に有利なものとして本明細書に明示されているが、本開示は必ずしもこれらの態様に限定されるわけではないと考えられたい。
【0085】
以下の特許請求の範囲の1つ以上の請求項は、移行句として「ここで(wherein)」なる用語を使用していることに留意されたい。本技術を定義する目的で、当該用語は、構造の一連の特性の言及を示すために使用される、範囲を限定しない移行句として特許請求の範囲に示されており、より一般的に使用されており範囲を限定しない「含む」なるプリアンブル用語と同じ形式で解釈されるべきであることに留意されたい。
【0086】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0087】
実施形態1
光拡散光ファイバであって、コアと、該コアを包囲するクラッドと、外面と、前記コア、前記クラッドまたは前記コアおよび前記クラッドの両方の内部に配置された複数の散乱構造と、を有し、該複数の散乱構造は、導波光を前記外面に向かって散乱させるように構成されており、これにより、前記光拡散光ファイバの拡散長さに沿って前記外面を通して拡散する約450nm~約650nmの波長を有する光が、約15%以下のスペクトル減衰パーセント相対範囲を有する、光拡散光ファイバ。
【0088】
実施形態2
前記光拡散光ファイバの前記拡散長さに沿って前記外面を通して拡散する光の前記スペクトル減衰パーセント相対範囲は、約8%以下を含む、実施形態1記載の光拡散光ファイバ。
【0089】
実施形態3
前記光拡散光ファイバの前記拡散長さに沿って前記外面を通して拡散する光の前記スペクトル減衰パーセント相対範囲は、約3%以下を含む、実施形態1または2記載の光拡散光ファイバ。
【0090】
実施形態4
前記光拡散光ファイバの前記拡散長さに沿って前記外面を通して拡散する光の相関色温度は、約2500K~約8000Kを含む、実施形態1から3までのいずれか1つ記載の光拡散光ファイバ。
【0091】
実施形態5
前記光拡散光ファイバの前記拡散長さに沿って前記外面を通して拡散する光の相関色温度は、約5160K~約6000Kを含む、実施形態1から4までのいずれか1つ記載の光拡散光ファイバ。
【0092】
実施形態6
前記複数の散乱構造は、複数のガス充満空所を含む、実施形態1から5までのいずれか1つ記載の光拡散光ファイバ。
【0093】
実施形態7
前記複数のガス充満空所は、非球面テーパ形状を有する、実施形態6記載の光拡散光ファイバ。
【0094】
実施形態8
前記複数のガス充満空所は、約50nm~約10μmの断面寸法を有する、実施形態6記載の光拡散光ファイバ。
【0095】
実施形態9
前記複数のガス充満空所は、約1mm~約100mの長さを有する、実施形態6記載の光拡散光ファイバ。
【0096】
実施形態10
前記光拡散光ファイバの前記拡散長さに沿って前記外面を通して拡散する光の強度は、約30%より多く変化しない、実施形態1から9までのいずれか1つ記載の光拡散光ファイバ。
【0097】
実施形態11
前記複数の散乱構造は、前記導波光の一部を前記光拡散光ファイバの前記外面に向かって散乱させるように構成されており、これにより、前記導波光の一部が、前記光拡散光ファイバの前記拡散長さに沿って前記光拡散光ファイバの前記外面を通して拡散して、約50dB/km以上の散乱誘発減衰を生じさせる、実施形態1から10までのいずれか1つ記載の光拡散光ファイバ。
【0098】
実施形態12
前記光拡散光ファイバは、前記コアおよび前記クラッドを包囲する2次散乱層をさらに有し、該2次散乱層は、ベース材料および散乱材料を含み、かつ最小散乱照明強度と最大散乱照明強度との差が、約40度~約120度の全ての視角に対して、前記最大散乱照明強度の50%未満であるように構成されている、実施形態1から11までのいずれか1つ記載の光拡散光ファイバ。
【0099】
実施形態13
光拡散光ファイバを製造する方法であって、前記光拡散光ファイバを光ファイバプリフォームからドロー炉においてドロー経路に沿って引き出すステップを含み、前記光拡散光ファイバを引き出すステップは、前記光ファイバプリフォームをドロー温度で前記ドロー炉において加熱するステップと、前記光拡散光ファイバが、コアと、該コアを包囲するクラッドと、外面と、前記コア、前記クラッドまたは前記コアおよび前記クラッドの両方の内部に配置された複数の散乱構造とを有し、該複数の散乱構造は、導波光を前記外面に向かって散乱させるように構成されており、これにより、前記光拡散光ファイバの拡散長さに沿って前記外面を通して拡散する約450nm~約560nmの波長を有する光が、約15%以下のスペクトル減衰パーセント相対範囲および約2700K~約8000Kの相関色温度を有するように、前記光拡散光ファイバにドロー張力を加えるステップと、を含む、光拡散光ファイバを製造する方法。
【0100】
実施形態14
前記ドロー温度は、約1800℃~約2300℃である、実施形態13記載の光拡散光ファイバを製造する方法。
【0101】
実施形態15
前記ドロー張力は、約1グラム~約200グラムである、実施形態13または14記載の光拡散光ファイバを製造する方法。
【0102】
実施形態16
方法であって、第1の光拡散光ファイバを光ファイバプリフォームからドロー炉においてドロー経路に沿って第1のドロー速度で引き出すステップであって、前記第1の光拡散光ファイバを引き出すステップは、前記光ファイバプリフォームを前記ドロー炉において第1のドロー温度で加熱するステップと、前記第1の光拡散光ファイバが、コアと、該コアを包囲するクラッドと、外面と、前記コア、前記クラッドまたは前記コアおよび前記クラッドの両方の内部に配置された複数のガス充満空所とを有し、該複数のガス充満空所が、第1の空所容積分率および第1の平均断面寸法を有するように前記第1の光拡散光ファイバに第1のドロー張力を加えるステップとを含むステップと、光の一部が前記第1の光拡散光ファイバの前記外面を通して拡散するように前記光を光源から前記第1の光拡散光ファイバ内へ配向するステップと、前記第1の光拡散光ファイバの前記外面を通して拡散する光のスペクトル減衰パーセント相対範囲を測定するステップと、第2の光拡散光ファイバを前記光ファイバプリフォームから前記ドロー炉内へ前記ドロー経路に沿って第2のドロー速度で引き出すステップであって、前記第2の光拡散光ファイバを引き出すステップは、前記光ファイバプリフォームを前記ドロー炉において第2のドロー温度で加熱するステップと、前記第2の光拡散光ファイバが、コアと、該コアを包囲するクラッドと、外面と、前記コア、前記クラッドまたは前記コアおよび前記クラッドの両方の内部に配置された複数の散乱構造とを有し、該複数の散乱構造が、第2の空所容積分率および第2の平均断面直径を有し、かつ前記第2の光拡散光ファイバの拡散長さに沿って前記外面を通して拡散する約450nm~約560nmの波長を有する光が、約15%以下でありかつ前記第1の光拡散光ファイバの前記スペクトル減衰パーセント相対範囲より小さい第2のスペクトル減衰パーセント相対範囲を含むように、導波光を前記外面に向かって散乱させるように構成される、ように前記第2の光拡散光ファイバに第2のドロー張力を加えるステップとを含むステップと、を含む、方法。
【0103】
実施形態17
前記第1のドロー張力は、前記第2のドロー張力と異なり、前記第1のドロー温度は、前記第2のドロー温度と異なる、実施形態16記載の方法。
【0104】
実施形態18
前記第2のドロー張力および前記第2のドロー温度のうちの少なくとも一方は、それぞれ前記第1のドロー張力および前記第1のドロー温度より低い、実施形態16または17記載の方法。
【0105】
実施形態19
前記第2のドロー張力および前記第2のドロー温度のうちの少なくとも一方は、それぞれ前記第1のドロー張力および前記第1のドロー温度より高い、実施形態16から18までのいずれか1つ記載の方法。
【0106】
実施形態20
前記第2の光拡散光ファイバの拡散長さに沿って前記外面を通して拡散する前記第2の光の前記第2のスペクトル減衰パーセント相対範囲は、約8%以下を含む、実施形態16から19までのいずれか1つ記載の光拡散光ファイバ。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8