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特許7408544眼科用手術システムのための圧力制御ユニット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-22
(45)【発行日】2024-01-05
(54)【発明の名称】眼科用手術システムのための圧力制御ユニット
(51)【国際特許分類】
   A61F 9/007 20060101AFI20231225BHJP
【FI】
A61F9/007 130G
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020526008
(86)(22)【出願日】2018-10-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-01-28
(86)【国際出願番号】 NL2018050699
(87)【国際公開番号】W WO2019093880
(87)【国際公開日】2019-05-16
【審査請求日】2021-10-22
(31)【優先権主張番号】2019884
(32)【優先日】2017-11-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(73)【特許権者】
【識別番号】518007625
【氏名又は名称】クレア・アイピー・ビー.ブイ.
【氏名又は名称原語表記】CREA IP B.V.
【住所又は居所原語表記】Seggelant-Noord2, 3237 MG Vierpolders,The Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 郁治
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】ダム-ユイスマン、アドリアーンチェ・コリーネ
【審査官】大橋 俊之
(56)【参考文献】
【文献】特表2009-509632(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0273826(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0099498(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 9/007
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気(A)を収容するための上部(10a)と、洗浄又は吸引される外科用流体(F)を収容するための下部(10b)とを有するチャンバ(10)を有する眼科用吸引/洗浄システムのための圧力制御ユニットであって、前記圧力制御ユニット(21)は、
負圧源(22)、正圧源(24)、および調整可能な弁装置(25)を備え、前記調整可能な弁装置(25)は、前記負圧源(22)に接続された真空ポート(25a)と、前記正圧源(24)に接続された圧力ポート(25b)とを備え、
前記調整可能な弁装置(25)は、前記真空ポート(25a)及び前記圧力ポート(25b)と制御可能に流体連通するメインポート(25c)を更に備え、前記メインポート(25c)は、前記チャンバ(10)に接続可能であり
前記調整可能な弁装置は、前記チャンバ内の前記外科用流体(F)に、前記負圧源からの負圧と前記正圧源からの正圧の混合を送達するように構成される、
圧力制御ユニット。
【請求項2】
前記調整可能な弁装置(25)は、比例的に調整可能な弁装置である、請求項1記載の圧力制御ユニット。
【請求項3】
前記調整可能な弁装置(25)は、前記真空ポート(25a)と前記メインポート(25c)との間に接続された第1の調整可能な弁(R1)と、前記圧力ポート(25b)と前記メインポート(25c)との間に接続された第2の調整可能な弁(R2)とを備える、請求項1又は2に記載の圧力制御ユニット。
【請求項4】
前記第1の調整可能な弁(R1)は第1の比例弁であり、前記第2の調整可能な弁(R2)は第2の比例弁である、請求項3に記載の圧力制御ユニット。
【請求項5】
前記調整可能な弁装置(25)は、3方向弁装置(T)である、請求項1~4のいずれか一項に記載の圧力制御ユニット。
【請求項6】
前記負圧源(22)と前記真空ポート(25a)との間に配置された真空バッファ(28a)、及び/又は前記正圧源(24)と前記圧力ポート(25b)との間に配置された圧力バッファ(28b)を更に備える、請求項1~5のいずれか一項に記載の圧力制御ユニット。
【請求項7】
前記負圧源(22)と前記正圧源(24)との間のバイアス流路内に配置された流量センサ(31)を更に備える、請求項1~6のいずれか一項に記載の圧力制御ユニット。
【請求項8】
前記調整可能な弁装置(25)の前記メインポート(25c)と連通するように配置された第1のエアフィルタ(29a)を更に備える、請求項1~7のいずれか一項に記載の圧力制御ユニット。
【請求項9】
前記第1のエアフィルタ(29a)は、細菌フィルタである、請求項8に記載の圧力制御ユニット。
【請求項10】
前記メインポート(25c)と連通する圧力センサ(30)を更に備える、請求項1~9のいずれか一項に記載の圧力制御ユニット。
【請求項11】
前記負圧源(22)及び/又は前記正圧源(24)は、膜ポンプを備える、請求項1~10のいずれか一項に記載の圧力制御ユニット。
【請求項12】
前記調整可能な弁装置(25)は、1つ又は複数の安全弁を備える、請求項1~11のいずれか一項に記載の圧力制御ユニット。
【請求項13】
前記圧力センサ(30)によって測定された圧力に応答して前記チャンバ(10)内の所望の圧力を維持するために、前記調整可能な弁装置(25)を調整するように構成されたコントローラを更に備える、請求項10に記載の圧力制御ユニット。
【請求項14】
前記調整可能な弁装置(25)は、電流源によって電気的に制御される、請求項1~13のいずれか一項に記載の圧力制御ユニット。
【請求項15】
外科用流体(F)を交換するように構成されたチャンバ(10)と、圧力センサ(30)と、負圧源(22)、正圧源(24)、および調整可能な弁装置(25)を備える圧力制御ユニット(21)とを備える眼科用吸引/洗浄システムにおいて圧力を調節するための作動方法であって、前記調整可能な弁装置(25)は、前記負圧源(22)に接続された真空ポート(25a)と、前記正圧源(24)に接続された圧力ポート(25b)とを備え、前記弁装置(25)は、前記チャンバ(10)に流体接続するように構成されたメインポート(25c)を更に備え、前記作動方法は、
前記圧力制御ユニット(21)が、所望のチャンバ圧力を決定することと、
前記調整可能な弁装置(25)が、前記メインポート(25c)を介して前記チャンバ(10)に前記所望の圧力を送達することと、
前記圧力センサ(30)が、前記チャンバ(10)内の前記圧力を測定することと、
前記圧力制御ユニット(21)が、前記チャンバ(10)内の前記所望の圧力を維持するために前記チャンバ内の前記外科用流体(F)に、前記負圧源からの負圧と前記正圧源からの正圧の混合を送達するように前記調整可能な弁装置(25)を調整することと
を行うステップを備える、作動方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧力制御ユニット、特に眼科用吸引/洗浄システムなどの吸引/洗浄システムで使用するための圧力制御ユニットに関する。さらなる態様では、本発明は、眼科用吸引/洗浄システムにおける圧力を調節する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
眼科手術の間、流体は通常、眼に送達され、そこから吸引される。一般に、流体を眼に移動させるために圧力源が使用され、流体を眼から移動させるために圧力源又はフロードレインが使用される。吸引処置では、眼から吸引チャンバ内に流体を引き込むために負圧が用いられ得る。洗浄処置では、注入源から眼に流体を送達するために正圧が加えられる。
【0003】
米国特許出願公開第5,674,194号は、吸引プローブのために真空を生成するよう構成された圧力制御ユニットを開示しており、その所望の真空レベルは、圧力制御ユニットの入力デバイスによって操作されることができる。このシステムは、入力マニホールドを介して比例弁に接続された調節された高圧源を備え、比例弁が開いている程度が、比例弁の出力に接続されたベンチュリを通る圧力及び空気流量を決定する。圧力制御ユニットは、吸引プローブ及びベンチュリに接続されるカセットボリュームを更に備え、ベンチュリは、吸引プローブで真空を引き込むことを可能にする。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、眼科用吸引/洗浄システムなどの眼科用手術システムのための改善された圧力制御ユニットを提供することを目的とし、圧力制御ユニットは、空気消費量を最小限にし、外部空気源の使用を回避する。本発明の圧力制御ユニットは、最大の精度で吸引圧力又は洗浄圧力の迅速な圧力制御を提供することを更に目的とする。
【0005】
本発明の一態様によれば、空気を収容するための上部と、洗浄又は吸引される外科用流体を収容するための下部とを有するチャンバを有する吸引/洗浄システムのための圧力制御ユニットが提供される。圧力制御ユニットは、負圧源、正圧源、および調整可能な弁装置を備え、調整可能な弁装置は、負圧源に接続された真空ポートと、正圧源に接続された圧力ポートとを備える。調整可能な弁装置は、真空ポート及び圧力ポートと制御可能に流体連通するメインポートを更に備え、メインポートはチャンバに接続される。
【0006】
調整可能な弁装置は、負圧源及び/又は正圧源が動作することが可能である強度に対応して、メインポートを通してチャンバへの及びチャンバからの空気圧及び空気流を制御し、負圧及び/又は正圧を真空ポート及び圧力ポートにそれぞれ供給するように適合される。言い換えれば、調整可能な弁装置における各弁の開口比の量は、それらの個々の寄与を決定し、したがって圧力源とメインポートとの間の結合を決定する。
【0007】
チャンバ内の圧力の調節が負圧源及び/又は正圧源の両方によって達成されるので(負圧及び正圧は周囲圧力に対して使用される)、本発明の圧力制御ユニットは、非常に短い応答時間及び精度でチャンバ内に動的圧力制御を提供することができ、調整可能な弁装置は、眼科処置中にチャンバに任意の必要な圧力を提供するように構成される。
【0008】
圧力制御ユニットの別の利点は、例えば、眼科用吸引/洗浄システムの既存の、使い捨てチャンバであり得るチャンバに接続するように好都合に構成されることである。このようにして、圧力制御ユニットを使用して、洗浄及び/又は吸引応答時間を増加させ、並びに必要な圧力をチャンバに提供することができる精度を増加させるために、眼科用手術システムがアップグレードされ得る。
【0009】
本発明のさらなる態様によれば、外科用流体を交換するためのチャンバと、負圧源、正圧源、および調整可能な弁装置を有する圧力制御ユニットとを備える眼科用吸引/洗浄システムにおける圧力を調節する方法が提供され、弁装置は、真空源に接続された真空ポートと、圧力源に接続された圧力ポートとを備え、弁装置は、チャンバに流体接続するように構成されたメインポートを更に備え、方法は、所望のチャンバ圧力を決定することと、メインポートを介してチャンバに所望の圧力を送達することと、チャンバ内の圧力を測定することと、チャンバ内の所望の圧力を維持するために正圧又は負圧を送達するように調整可能な弁装置を調整することと、を行うステップを備える。
【0010】
本発明は、添付の図面を参照して以下により詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、眼科手術処置中に眼球物質を吸引するための吸引システムの実施形態を示す。
図2図2は、眼科手術処置中に眼を洗浄するための洗浄システムの実施形態を示す。
図3図3は、眼科用吸引/洗浄システムで使用するためのコントローラの概略図を示す。
図4A図4Aは、本発明の実施形態による眼科用吸引/洗浄システムのための圧力制御ユニットの概略図を示す。
図4B図4Bは、本発明の実施形態による眼科用吸引/洗浄システムのための圧力制御ユニットの概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
ここで、本発明の例示的な実施形態を詳細に説明する。当業者であれば、本明細書に記載の装置及び方法が非限定的な例示的実施形態であり、保護の範囲が特許請求の範囲によって定義されることを理解するであろう。例えば、本発明は、眼科吸引及び/又は洗浄処置に関して記載されるが、当業者は、本発明が、他の用途、例えば、他の吸引及び/又は洗浄システム、例えば細針吸引処置において使用され得ることを容易に理解する。当業者はまた、1つの例示的な実施形態に関連して図示又は説明された特徴が、他の例示的な実施形態において説明された特徴と組み合わせられ得ることを理解するであろう。そのような修正及び変形は、本開示の範囲内に含まれる。
【0013】
本発明による圧力制御ユニットは、図1に示される吸引システム100の例示的な実施形態、又は図2に示されるような洗浄システム200の例示的な実施形態において採用され得る。図示のように、本発明の実施形態による吸引システム100及び洗浄システム200は各々、チャンバ10を有する、外科用カセットと呼ばれることもあるカセット8を備える。チャンバ10は、チャンバ10の下部10bに流体Fを、チャンバ10の上部10aに空気Aを収容するように構成され、上部10aは、チャンバ10の上部の残りの空間である(以下の図4A及び4Bの説明も参照)。
【0014】
チャンバ10内の圧力、したがってチャンバ10と患者の眼1との間の流体の流れを制御するために、可変圧力源20がチャンバ10に結合される。当業者であれば、図1に示す吸引システム100において、可変圧力源20は、吸引ライン116を介して眼1からチャンバ10内に流体を引き込むために、少なくとも、チャンバ10に負圧を加えることができ、すなわち、流体は、図1の矢印F1の方向に移動することを理解するであろう。
【0015】
洗浄システム200において、可変圧力源20は、チャンバ10から洗浄ライン214を介して眼1に流体を送達するために、少なくとも、チャンバ10に正圧を加えることができ、すなわち、流体は、図2の矢印F2の方向に移動する。当然ながら、チャンバ10に正圧及び負圧を加えることができる可変圧力源20は、有利には多用途であり、洗浄及び吸引処置の両方に使用することができる。図1及び図2に示すカセット8は、チャンバ10内の空気圧を監視するためにチャンバ10と流体連通する圧力センサ30を更に備え得る。
【0016】
吸引システム100及び洗浄システム200は、通常、チャンバ10からの流体Fの出入りを制御するポンプ212を備える。ポンプ212は、当技術分野で知られている任意のタイプの蠕動ポンプなど、この目的に適した任意のポンプであり得る。当業者は、図1に示されるような吸引システム100において、ポンプ212が吸引された流体をチャンバ10からドレイン120に送達するように構成され、それが排水ライン118によってチャンバ10に結合されることを理解するであろう。図2に示す洗浄システムでは、ポンプ212は、注入ライン218によって注入ボトル210からチャンバ10に洗浄流体を送達するように構成される。カセット8はまた、チャンバ10内の流体Fのレベルを示す流体レベルインジケータ50を備える。
【0017】
図2に示すように、可変圧力源20、圧力センサ30、流体レベルインジケータ50、及びポンプ212と連通するコントローラ40が提供され得る。コントローラ40は、例えば、圧力センサ30及び/又は流体レベルインジケータ50によって取得された測定値に基づいて、ポンプ212の速度を制御することによって、チャンバ10内の圧力及び流体レベルを制御するように構成される。コントローラ40は、同様に、図1の吸引システム100に提供され、チャンバ10内の圧力及び流体レベルを制御するために、可変圧力源20、圧力センサ30、ポンプ212、及び流体レベルインジケータ50に接続され得ることに留意されたい。
【0018】
ここで図3の概略図を参照すると、一実施形態では、コントローラ40は、チャンバ10内の流体レベルを所望の範囲内に維持するための流体レベルコントローラ43と、チャンバ10内の所望の圧力を維持するための圧力コントローラ42とを備える。チャンバ10内の所望の圧力は、吸引又は洗浄のいずれが必要かに応じて、負圧又は正圧となる。
【0019】
流体レベルコントローラ43は、流体レベルインジケータ50から流体レベル情報を受け取り、チャンバ10内の流体レベルを所望の範囲内に維持するようにポンプ212を制御する速度コントローラ220に設定点を提供する。例えば、吸引用途では、速度コントローラ220は、流体Fがチャンバ10からドレイン120に排出される速さを制御する。コントローラ40が、流体レベルインジケータ50からのフィードバックに基づいて、チャンバ10内の流体レベルが高すぎると決定した場合、コントローラ40は、ポンプ212が流体Fをチャンバ10からドレイン120に移動させる速さ/スピードを増加させるために、速度コントローラ220の設定点を調整する。
【0020】
洗浄用途では、速度コントローラ220は、流体Fが注入ボトル210からチャンバ10に入る速さを制御する。流体レベルインジケータ50からのフィードバックに基づいて、コントローラ40が、チャンバ10内の流体レベルが低すぎると決定した場合、コントローラ40は、ポンプ212が洗浄流体を注入ボトル210からチャンバ10に送達する速さ/スピードを増加させるために、速度コントローラ220の設定点を調整する。
【0021】
圧力コントローラ42は、圧力センサ30から圧力情報を受け取り、チャンバ10内の圧力を所望のレベルに維持するように、可変圧力源20によって送達される圧力を調整する。
【0022】
有利には、図3に示すコントローラ40は、吸引ライン116又は洗浄ライン214内の流量センサを必要とせずに、眼1への及び眼1からの流量の計算も可能にすることができる。これは、眼科用手術システムが一般に、狭いゲージの洗浄/吸引ラインを備えており、それを横切る正確な流量感知が困難であり得るため、有利である。しかしながら、上述の吸引及び洗浄システム100、200では、コントローラ40は、以下の既知の量:チャンバ内の流体レベル(流体レベルインジケータ50によって測定される)、チャンバ10内の圧力(圧力センサ30によって測定される)、及びポンプ212によってチャンバ10に出入りするように指示された流量、使用中に眼への/眼からの流れの圧力損失に関連するシステムパラメータ(例えば、管並びに針の長さ及び直径)のうちの全て又はいくつかに基づいて、眼1に出入りする流量を計算してもよい。
【0023】
図3の上記の説明は、圧力動作モードに関するものであり、ユーザは、所望の圧力の設定点を圧力コントローラ42に入力することができる。これは、本発明の実施形態が眼への洗浄を制御するために、及び眼からの吸引を制御するために使用される場合の両方に適用され得る。吸引目的に特に適したさらなる実施形態では、本発明の実施形態は、流量制御モードで動作する。流量制御モードでは、所望の吸引流量の設定点が、排水ポンプ212の速度を制御するために、速度コントローラ220に入力される。流体レベルコントローラ43は、後に内部の規定された設定点に流体レベルが制御されることを保証するように可変圧力源20を制御する圧力コントローラ42に圧力設定点を提供するために、流体レベルインジケータ50からの入力を使用する。
【0024】
眼1内の圧力の正確な制御を可能にするために、可変圧力源20は、チャンバ10内で、最大精度で高速圧力制御を提供することが可能であるべきであることが理解されるであろう。その目的のために、図4A及び図4Bを参照すると、これらの各々が、洗浄又は吸引される外科用流体Fを収容するための下部10bを有するチャンバ10を有する眼科用洗浄及び吸引システム100、200のための圧力制御システム21の実施形態を示す。
【0025】
本発明によれば、圧力制御ユニット21は、負圧源22(例えば、真空源)及び正圧源24(例えば、圧縮機)を備える。一実施形態では、負圧源又は正圧源22、24は、例えば、膜ポンプであるが、当業者は、他の正圧源及び/又は負圧源が採用され得ることを理解するであろう。負圧及び正圧という用語は、本明細書では周囲圧力に関して使用される。代替的な実施形態として、圧力源22、24の一方は、実際には周囲圧力であってもよい。
【0026】
圧力制御ユニット21は、調整可能な弁装置25を更に備え、弁装置25は、負圧源22に接続された真空ポート25aと、正圧源24に接続された圧力ポート25bとを備える。調整可能な弁装置25はまた、真空ポート25a及び圧力ポート25bと制御可能に流体連通するメインポート25cを備え、メインポート25cは、チャンバ10に接続され、例えば、空気Aを収容するためにチャンバ10に(より具体的にはチャンバ10の上部10aに)接続される。上述のように、チャンバ10は、チャンバ10の下部10bに収容された外科用流体Fを収容し交換するように構成される。
【0027】
調整可能な弁装置25は、真空源22及び/又は圧力源24が動作している強度に対応して、メインポート25cを通るチャンバ10への/からの空気の流れを制御するように適合される。図4A及び図4Bに示される弁装置25は、チャンバ10を負圧源22並びに正圧源24に結合するので、圧力制御ユニット21は、チャンバ10内の迅速な動的圧力制御を顕著な精度で提供することができる。したがって、本発明の調整可能な弁装置25は、任意の所望のスピード及び精度でチャンバ10内に実質的に任意の圧力を提供するように構成される。スピード及び精度に影響を及ぼす要因は、総空気量A及び制限(任意選択のフィルタ29aなど)の存在(または存在しないこと)である。本出願の実施形態は、カセット8のチャンバ10内の代わりに注入ボトル内の圧力を制御するために使用され得ることに留意されたい。
【0028】
一実施形態では、調整可能な弁装置25は、メインポート25cを横切る空気圧及び空気流の滑らかで連続的な変化を可能にする比例的に調整可能な弁装置である。比例的に調整可能な弁装置は、負圧源22と正圧源24との間で切り換え及び/又はこれらを「混合」することができ、その結果、高いスピード及び精度でメインポート25cを横切る任意の所望の圧力及び空気流が達成され得る。別の実施形態として、パルス幅変調(PWM)制御オン/オフ弁装置が適用され得る。
【0029】
図4Aに示すような例示的な実施形態では、調整可能な弁装置25は、真空ポート25aとメインポート25cとの間に接続された第1の調整可能な弁R1を備え、第2の調整可能な弁R2は、圧力ポート25bとメインポート25cとの間に接続される。これは、メインポート25cにおける負圧及び正圧の両方の正確な選択及び制御が可能となり、その結果、チャンバ10内の任意の所望の圧力に高速で到達し、(真空源22及び/又は圧力源24の負圧及び正圧範囲内で)正確に維持される。
【0030】
有利な実施形態では、第1の調整可能な弁R1は第1の比例弁であり、第2の調整可能な弁R2は第2の比例弁である。比例弁R1、R2の各々は、メインポート25cを横切る空気流のスピード及び精度を更に高めるために、高速で連続的な制御を可能にする。
【0031】
第1及び第2の調整可能/比例弁R1、R2を例えば電流源で制御することは、電流制御弁が電圧制御弁と比較したときに温度変化に対する感度が低い場合があるため、有利であり得る。あるいは、第1及び第2の調整可能/比例弁R1、R2は、位置制御弁である。
【0032】
さらなる実施形態では、第1及び第2の調整可能/比例弁R1、R2は、メインポート25cを通る正味0の流れを維持しながら(チャンバ10内の圧力を一定レベルに保つ)、負圧源22と正真空源24との間の流路内のバイアス流を可能にするために、第1の電流でバイアスされる。一般に、そのような弁の電流/流れ特性は、それ未満では弁が閉じたままである閾値電流を含む。少なくともこの閾値電流に等しい電流で第1及び第2の調整可能/比例弁R1、R2をバイアスすることは、制御中に弁R1、R2のうちの1つを更に開くときに、より速い応答時間を有することが可能になる。
【0033】
調整可能な弁装置25の制御及び適切な設定を可能にするために、圧力制御ユニットは、負圧源22と正圧源24との間のバイアス流路内に配置された流量センサ31を更に備え得る。バイアス流路は、本明細書に記載の例示的な実施形態のいずれかにおいて、負圧源22と正圧源24との間の直接接続部を備える。例えば、流量センサ31は、正圧源24と圧力ポート25bとの間、又は真空源22と真空ポート25aとの間に配置される。流量センサ31は、任意の適切な流量センサ、例えばインライン流量センサであり得る。
【0034】
流量センサ31は、コントローラ40(又は専用コントローラ)に接続されてもよく、質量流量センサ又は容量流量センサ(例えば、(固定された)制限部にわたる差圧を測定することによって容量流量を測定することを可能にする差圧ベースの流量センサ)として実装されてもよい。次いで、圧力センサ30からの測定データは、(メインポート25cを通る流れに影響を及ぼすことなく)バイアス流路内の流れを能動的に制御する二次制御ループで使用されることができる。
【0035】
図4Bを参照すると、代替的な実施形態では、調整可能な弁装置25は、3方向弁装置Tであり、これは、3つの接続ポートと、これら3つの接続ポートを通るおよびその間の空気流を制御/分割するように適合された弁インサートとを有する、単一の一体型弁マニホールドとして見ることができる。例えば、3方向弁装置(T)は、真空ポート25a及び/又は圧力ポート25bがメインポート25cと連通する程度を正確に制御するために、真空ポート25a、圧力ポート25b、及びメインポート25cを備える単一の弁ユニットとして見ることができる。
【0036】
第1及び第2の調整可能/比例弁R1、R2と同様に、3方向弁装置Tは電流制御されてもよく、それによって温度依存性弁感度を低減又は回避する。当業者であれば、調整可能な弁装置25、特に第1及び第2の調整可能/比例弁R1、R2、並びに上述の3方向弁装置Tを制御するために、電圧制御が依然として効率的に適用され得ることを理解することに留意されたい。
【0037】
チャンバ10内の圧力を監視するために、圧力制御ユニット21がメインポート25cと連通する圧力センサ30を備える実施形態が提供される。例えば、一実施形態では、圧力センサ30は、メインポート25cとチャンバ10との間に配置された導管に接続される。代替的な実施形態では、圧力センサ30は、図4A及び図4Bに示すように、別個の導管を介してチャンバ10の上部10aに直接接続されてもよい。先に述べたように、例えば図2及び図3を参照すると、コントローラ40は、圧力センサ30によって測定された圧力に応答してチャンバ10内の所望の圧力を維持するために調整可能な弁装置25を調整するように提供および構成され得る。
【0038】
外科処置中、圧力センサ30は、チャンバ10内の圧力を所望のレベルに維持するように弁装置25を調整するために、コントローラ40にフィードバックを提供する。例えば、チャンバ10内の感知された圧力が必要な圧力よりも低い場合、正圧源24からメインポート25cに、したがってチャンバ10に加圧空気を送達するように弁装置25を調整することによって、圧力が高速で増加され得る。チャンバ10内の感知された圧力が必要な圧力よりも高い場合、負圧がメインポート25cに、したがってチャンバ10に加えられるように弁装置25を調整することによって、圧力が高速で低下され得る。これは、チャンバ10内の圧力の迅速な調整を可能にする。これはまた、眼科用吸引/洗浄システム100、200内の閉塞及び/又は漏出に対処することを可能にするため、有利であり得る。
【0039】
一実施形態では、コントローラ40は、所望の圧力設定点が達成された場合に、定常状態の空気消費量が、圧縮機及び真空源の流量容量を満たすために最小限にされるように、第1及び第2の調整可能/比例弁R1、R2を制御する。チャンバ10内の圧力が変更される必要がある場合にのみ、空気流が適用される。一旦圧力が達成されると、弁R1、R2は、正圧源24(例えば、圧縮機によって供給される)及び負圧源22(例えば、ポンプによって供給される)がそれぞれの圧力レベルを維持することができるように、閉じられ得る(圧縮機及び/又はポンプがオフにされるか、又はより低い電力消費レベルで動作されることができる場合でも)。
【0040】
本発明の圧力制御ユニット21は、動作中にチャンバ10内の外科用流体Fと接触する可能性がある空気をフィルタリングするように構成された1つ又は複数のエアフィルタ29a、29bを更に備え得る。例示的な実施形態では、圧力制御ユニット21は、(図4A及び図4Bに示すように、チャンバ10、例えばその上部10aとも直接連通する)調整可能な弁装置25のメインポート25cと連通するように配置され得る第1のエアフィルタ29aを備える。図4A、4Bに示すように、第1のエアフィルタ29aは、メインポート25cとチャンバ10の上部10aとの間に延在する導管内に配置されてもよい。第1のエアフィルタ29aは、メインポート25cからチャンバ10に入る空気をフィルタリングするように適合され、チャンバ10内の外科用流体Fの適切な無菌性を維持する。流体Fの適切な無菌性は、第1のエアフィルタ29aが細菌フィルタ(例えば、0.22μm細菌フィルタ)である実施形態によって達成され得る。これは、チャンバ10からの流体が眼1に送達される洗浄処置において有用であるが、これはまた、吸引処置(吸引ラインのための洗浄を意味する)の間のバックフラッシュの適切な無菌性を保証する。
【0041】
第1のエアフィルタ29aが圧力制御ユニット21内に配置することができるいくつかの方法がある。例えば、一実施形態では、圧力センサ30は、メインポート25cとチャンバ10との間に延在する導管に接続されてもよく(図1及び図2も参照)、第1のエアフィルタ29aは、圧力センサ30とメインポート25cとの間の導管内に配置される。代替的な実施形態では、第1のエアフィルタ29aは、圧力センサ30とチャンバ10との間の導管内に配置される。
【0042】
本発明によれば、調整可能な弁装置25は、チャンバ10内の負及び正の空気圧の迅速かつ正確な制御を可能にする。この速い圧力変化を可能にするために、短期間の質量流量が必要とされる。内部システム圧力源22、24の流量容量と一致しない可能性があるこれらの流量を提供することができるように、真空バッファ28a及び圧力バッファ28bが使用される。更に、空気圧の急速な変化は、比較的高い質量流量の短いバースト及び圧力制御ユニット21を通る圧力リップルを誘発する可能性がある。そのような高い質量流量及び圧力リップルの減衰を提供するために、圧力制御ユニット21が、負圧源22と真空ポート25aとの間に配置された真空バッファ28a(例えば、真空バッファタンク)を備える実施形態が提供される。別の実施形態では、正圧源24と圧力ポート25bとの間に圧力バッファ28b(例えば、圧力バッファタンク)が提供および配置されることができる。当然ながら、有利な実施形態では、圧力制御ユニット21は、真空バッファ28a及び圧力バッファ28bの両方を備え、その結果、チャンバ10への、及びそこからの質量流量バーストが減衰される。真空バッファ28a及び圧力バッファ28bは各々、チャンバ10から/への質量流量の一部を瞬間的に吸収/収容するための静電容量を提供し、そうすることで、チャンバ10内の圧力リップルの減衰を提供する。真空バッファ28a及び/又は圧力バッファ28bは、負圧源22/正圧源24とメインポート25cとの間の空気配管内の空気量を使用することによって代替的に又は追加的に形成されてもよいことに留意されたい。
【0043】
調整可能な弁装置25は、チャンバ10内の圧力の急速な変化を可能にするので、動作中に圧力制御ユニット21内に高圧パルスが発生し得る。次いで、(例えば、制御ユニット21又は空気圧構成要素のうちの1つ又は複数の故障の場合に)動作安全性を保証するために、調整可能な弁装置25は、1つ又は複数の安全弁を更に備え得る。例示的な実施形態では、調整可能な弁装置25は、特定の正圧を超えたときに空気を周囲環境に排出するように構成された第1の安全弁を備える。さらなる実施形態では、調整可能な弁装置25は、眼科用手術システムの損傷を回避するために、チャンバ10内で特定の負圧及び/又は正圧を超えたときに、チャンバ10に向かって及び/又はチャンバから流れる空気を遮断するように構成された第2の安全弁を備える。有利には、調整可能な弁装置25は、安全性を高めるために第1の安全弁と第2の安全弁の両方を備え得る。
【0044】
当業者は、チャンバ圧力を所望の一定レベルに維持することに加えて、本明細書に記載の圧力制御ユニット21が、変動する圧力プロファイル(例えば、特定の吸引ストラテジに従って変動する吸引圧力)に従ってチャンバ圧力の正確な制御も可能にし得ることを理解するであろう。図4A及び4Bに示される装置はまた、システム内の空気消費量を最小限にし、それによって、チャンバ圧力を所望のレベルに維持するための外部空気源の必要性を排除する。
【0045】
本発明の圧力制御ユニット21の重要な利点は、メインポート25cを通して、眼科用吸引/洗浄システム100、200の使い捨てチャンバなどの既存のチャンバ10に容易に接続されることである。このようにして、既存の眼科用手術システムは、洗浄及び/又は吸引応答時間を増加させ、並びにチャンバ10内に必要な圧力が提供され得る精度を増加させるために、圧力制御ユニット21を展開することができる。
【0046】
しかしながら、既存のチャンバ10は、圧力制御ユニット21がそのようなチャンバ10のために使用されることができない特定の特徴又は欠点を示す場合が存在し得る。これらの困難を考慮して、圧力制御ユニット21は、その一体部分としてチャンバ10を備える。したがって、本発明によれば、眼科洗浄/吸引システム用の圧力制御ユニット21は、負圧源22、正圧源24、及び調整可能な弁装置25を備えることができ、調整可能な弁装置25は、負圧源22に接続された真空ポート25aと、正圧源24に接続された圧力ポート25bとを備える。調整可能な弁装置25は、真空ポート25a及び圧力ポート25bと制御可能に流体連通するメインポート25cも備える。次いで、圧力制御ユニット21は、外科用流体Fを交換するように構成されたチャンバ10を更に備える。チャンバ10は、空気Aを収容するための上部10aと、洗浄又は吸引される外科用流体Fを収容するための下部10bとを備える。調整可能な弁装置25のメインポート25cは、次いでチャンバ10、特にチャンバ10の上部10aに接続される。
【0047】
当業者は、チャンバ10が圧力制御ユニット21の一体部分として提供される場合、圧力制御ユニット21に関して既に上述した全ての実施形態が圧力制御ユニット21に容易に適用可能であることを理解するであろう。したがって、調整可能な弁装置25は、チャンバ10に向かう、及びチャンバ10からの空気流の連続的かつ正確な制御を可能にするために、比例的に調整可能な(又はPWM制御されるオン/オフ)弁装置であってもよい。特定の実施形態では、調整可能な弁装置25は、真空ポート25aとメインポート25cとの間に接続された第1の調整可能な弁R1と、圧力ポート25bとメインポート25cとの間に接続された第2の調整可能な弁R2とを備え得る。調整可能な弁装置25は、図4Bに示すような3方向弁装置Tである可能性があることにも留意されたい。
【0048】
先に述べたように、圧力制御ユニット21は、チャンバ10内の圧力を監視し、測定された圧力に基づいて負圧及び/又は正圧を制御するために、メインポート25cと連通する圧力センサ30を備え得る。特定の実施形態では、圧力センサ30は、メインポート25cとチャンバ10、すなわちその上部10aとの間に延在する導管に接続され得る。別の実施形態では、圧力センサ30は、チャンバ10内の圧力をより直接的に測定するために、チャンバ10の上部10aに直接接続されてもよい。使用中にチャンバ10内に無菌及び/又はクリーンな外科用流体Fを維持するために、圧力制御ユニット21がチャンバ10の上部10aに直接接続された圧力センサ30を備え、第2のエアフィルタ29bが圧力センサ30とチャンバ10との間に配置される実施形態がある。この第2のフィルタ29bは、特に外科用流体Fの無菌性を維持するための細菌フィルタであってもよい。更に、第2のフィルタ29b(例えば、細菌フィルタ)は、(メインポート25cを介する代わりに)チャンバ10への直接接続と組み合わせて、空気質量流量を最小限にすることによって圧力センサ30の高い動的応答を保証するように適合され得る。
【0049】
いくつかの実施形態では、チャンバ10は、少ない空気量(すなわち、10cc未満)を有する。しかしながら、当業者は、チャンバ10が、制御が必要とされる任意の空気量を有し得ることを理解する。空気量は、通常動作中、すなわちチャンバ10が目標範囲内の流体で満たされているときのチャンバ10内の空気の量であることに留意されたい。流体の目標量は、10~15ccであってもよい。これは、高速プライミング(すなわち、カセット8及び全ての接続ラインを流体で満たすこと)を依然として可能にする。通常動作中のチャンバ10内の流体の量の変動は、例えば約1ccであり、これはまた、流体レベルインジケータ50を使用して適切かつ正確なレベル検知を依然として可能にする。例示的な実施形態では、チャンバ10の全内部容積は約25~30ccである。
【0050】
図1図3図4A及び図4Bを参照すると、更なる態様において、本発明は、眼科用吸引/洗浄システムにおける圧力を調節するための方法に関する。上述したような圧力制御ユニット21を考慮すると、チャンバ10内の圧力は、チャンバ10内で必要な圧力に達するように、メインポート25cにおける負圧源22からの負圧の量と、正圧源24からの正圧の量とを正確に制御することを可能にする、調整可能な弁装置25によって調節される。
【0051】
本発明によれば、眼科用吸引/洗浄システム内の圧力を調節するための方法は、外科用流体Fを交換するように構成されたチャンバ10と、負圧源22、正圧源24、及び調整可能な弁装置25を備える圧力制御ユニット21とを備え、弁装置25は、負圧源22に接続された真空ポート25aと、正圧源24に接続された圧力ポート25bとを備え、弁装置25は、チャンバ10に流体接続するように構成されたメインポート25cを更に備える。この方法は、
所望のチャンバ圧力を決定することと、
メインポート25cを介してチャンバに所望の圧力を送達することと、
チャンバ10内の圧力を測定することと、
チャンバ内の測定された圧力に基づいて、チャンバ10内の所望の圧力を維持するために正圧又は負圧を送達するように調整可能な弁装置25を調整することと
を行うステップを備える。
【0052】
本発明の方法は、チャンバ10内の圧力が、調整可能な弁装置25を通じて負圧源22並びに正圧源24の両方によって制御されることを可能にする。これは、チャンバ圧力の極めて迅速かつ正確な変化を可能にし、したがって、眼科用吸引/洗浄システムの全体的な応答性を改善する。更に、チャンバ10内に所望の圧力を維持するために負圧源22及び正圧源24の両方を制御することは、眼科用手術システムの非線形性及び/又はヒステリシス現象を軽減することを可能にする。

以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1] 空気(A)を収容するための上部(10a)と、洗浄又は吸引される外科用流体(F)を収容するための下部(10b)とを有するチャンバ(10)を有する眼科用吸引/洗浄システムのための圧力制御ユニットであって、前記圧力制御ユニット(21)は、
負圧源(22)、正圧源(24)、および調整可能な弁装置(25)を備え、前記調整可能な弁装置(25)は、前記負圧源(22)に接続された真空ポート(25a)と、前記正圧源(24)に接続された圧力ポート(25b)とを備え、
前記調整可能な弁装置(25)は、前記真空ポート(25a)及び前記圧力ポート(25b)と制御可能に流体連通するメインポート(25c)を更に備え、前記メインポート(25c)は、前記チャンバ(10)に接続可能である、
圧力制御ユニット。
[2] 前記調整可能な弁装置(25)は、比例的に調整可能な弁装置である、[1]記載の圧力制御ユニット。
[3] 前記調整可能な弁装置(25)は、前記真空ポート(25a)と前記メインポート(25c)との間に接続された第1の調整可能な弁(R1)と、前記圧力ポート(25b)と前記メインポート(25c)との間に接続された第2の調整可能な弁(R2)とを備える、[1]又は[2]に記載の圧力制御ユニット。
[4] 前記第1の調整可能な弁(R1)は第1の比例弁であり、前記第2の調整可能な弁(R2)は第2の比例弁である、[3]に記載の圧力制御ユニット。
[5] 前記調整可能な弁装置(25)は、3方向弁装置(T)である、[1]~[4]のいずれか一項に記載の圧力制御ユニット。
[6] 前記負圧源(22)と前記真空ポート(25a)との間に配置された真空バッファ(28a)、及び/又は前記正圧源(24)と前記圧力ポート(25b)との間に配置された圧力バッファ(28b)を更に備える、[1]~[5]のいずれか一項に記載の圧力制御ユニット。
[7] 前記負圧源(22)と前記正圧源(24)との間のバイアス流路内に配置された流量センサ(31)を更に備える、[1]~[6]のいずれか一項に記載の圧力制御ユニット。
[8] 前記調整可能な弁装置(25)の前記メインポート(25c)と連通するように配置された第1のエアフィルタ(29a)を更に備える、[1]~[7]のいずれか一項に記載の圧力制御ユニット。
[9] 前記第1のエアフィルタ(29a)は、細菌フィルタである、[8]に記載の圧力制御ユニット。
[10] 前記メインポート(25c)と連通する圧力センサ(30)を更に備える、[1]~[9]のいずれか一項に記載の圧力制御ユニット。
[11] 前記負圧源(22)及び/又は前記正圧源(24)は、膜ポンプを備える、[1]~[10]のいずれか一項に記載の圧力制御ユニット。
[12] 前記調整可能な弁装置(25)は、1つ又は複数の安全弁を備える、[1]~[11]のいずれか一項に記載の圧力制御ユニット。
[13] 前記圧力センサ(30)によって測定された圧力に応答して前記チャンバ(10)内の所望の圧力を維持するために、前記調整可能な弁装置(25)を調整するように構成されたコントローラを更に備える、[10]に記載の圧力制御ユニット。
[14] 前記調整可能な弁装置(25)は、電流源によって電気的に制御される、[1]~[13]のいずれか一項に記載の圧力制御ユニット。
[15] 外科用流体(F)を交換するように構成されたチャンバ(10)と、負圧源(22)、正圧源(24)、および調整可能な弁装置(25)を備える圧力制御ユニット(21)とを備える眼科用吸引/洗浄システムにおいて圧力を調節するための方法であって、前記調整可能な弁装置(25)は、前記負圧源(22)に接続された真空ポート(25a)と、前記正圧源(24)に接続された圧力ポート(25b)とを備え、前記弁装置(25)は、前記チャンバ(10)に流体接続するように構成されたメインポート(25c)を更に備え、前記方法は、
所望のチャンバ圧力を決定することと、
前記メインポート(25c)を介して前記チャンバ(10)に前記所望の圧力を送達することと、
前記チャンバ(10)内の前記圧力を測定することと、
前記チャンバ(10)内の前記所望の圧力を維持するために正圧又は負圧を送達するように前記調整可能な弁装置(25)を調整することと
を行うステップを備える、方法。
図1
図2
図3
図4A
図4B