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▶ ユニリーバー・アイピー・ホールディングス・ベスローテン・ヴェンノーツハップの特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-22
(45)【発行日】2024-01-05
(54)【発明の名称】パーソナルクレンジング組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/891 20060101AFI20231225BHJP
   A61K 8/44 20060101ALI20231225BHJP
   A61K 8/46 20060101ALI20231225BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20231225BHJP
   A61K 8/81 20060101ALI20231225BHJP
   A61K 8/892 20060101ALI20231225BHJP
   A61K 8/898 20060101ALI20231225BHJP
   A61Q 5/02 20060101ALI20231225BHJP
【FI】
A61K8/891
A61K8/44
A61K8/46
A61K8/73
A61K8/81
A61K8/892
A61K8/898
A61Q5/02
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020528113
(86)(22)【出願日】2018-12-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-22
(86)【国際出願番号】 EP2018085074
(87)【国際公開番号】W WO2019121428
(87)【国際公開日】2019-06-27
【審査請求日】2021-10-14
(31)【優先権主張番号】17209538.2
(32)【優先日】2017-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】521042714
【氏名又は名称】ユニリーバー・アイピー・ホールディングス・ベスローテン・ヴェンノーツハップ
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】モガダム,アーラシュ・モハイエル
(72)【発明者】
【氏名】マスカット,ジョセフ
【審査官】松元 麻紀子
(56)【参考文献】
【文献】特表2009-518326(JP,A)
【文献】特表2002-505258(JP,A)
【文献】特表2015-506984(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/891
A61K 8/44
A61K 8/46
A61K 8/73
A61K 8/81
A61K 8/892
A61K 8/898
A61Q 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下を含む水性シャンプー組成物:
a. 予め形成された乳化シリコン;
b. カチオン性付着ポリマー;
c. 0.2~1.5%の(3-アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリドのホモポリマーである毛髪のカチオン性コンディショニングポリマー;
d. 10~14%のクレンジング界面活性剤;
e. 1%~5%の共-界面活性剤;及び
f. 懸濁剤、
但し、前記クレンジング界面活性剤はアニオン性界面活性剤であり、前記共-界面活性剤は両性界面活性剤である、前記水性シャンプー組成物。
【請求項2】
シリコンの総量が、組成物の総重量を基準として、0.01~10重量%である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
乳化シリコンが、ジメチコン、ジメチコノール、アモジメチコン及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
乳化シリコンエマルジョンが、アミノ官能化シリコンとジメチコンとのブレンドである、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項5】
共-界面活性剤が、ベタイン類及びその混合物から選択される両性界面活性剤である、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記ベタイン類が一般式R(CHCHCOOを有し、ここで、Rは、アルキル又はアルキルアミドアルキル基である、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記アルキル基が、10~16の炭素原子を有する、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
付着ポリマーが、電荷密度0.5~1.8meq/gの範囲を有する、グアーヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド類(及びその混合物)から選択されるカチオン性ポリガラクトマンナンである、請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
グアーヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド(類)のレベルが、組成物の総重量に基づいて、0.15~0.2重量%の範囲である、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
懸濁剤が、ポリアクリル酸、アクリル酸の架橋ポリマー、アクリル酸と疎水性モノマーとのコポリマー、カルボン酸含有モノマーとアクリル酸エステルとのコポリマー、アクリル酸とアクリル酸エステルとの架橋コポリマー、ヘテロ多糖ガム及び結晶性長鎖アシル誘導体よりなる群から選択される、請求項1~9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
懸濁剤が、組成物の総重量に基づいて、懸濁剤の総重量の0.1~10重量%のレベルで存在する、請求項1から10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載の組成物を毛髪に適用するステップと、水で第1のすすぎを行うステップとを含む、毛髪を処理する方法。
【請求項13】
コンディショナー組成物を適用し、そして、水で第2のすすぎを行う後続のステップを含む、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪に使用するためのシャンプー組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
US2012/276210は、ポリアクリレートマイクロカプセルを含むシャンプー組成物に関し、ここで、ポリアクリレートマイクロカプセルは、毛髪への付着が増加している。以下を含むシャンプー組成物が開示される:
(a)約0.001%~約10%のアニオン荷電ポリアクリレートマイクロカプセル;
(b)約0.01%~約2%のカチオン性付着ポリマー、及び
(c)約2%~約25%の洗浄性界面活性剤;及び
(d)キャリア。
【0003】
WO2007/065537は、シャンプーを行う過程の異なる段階でコンディショニング効果の良好なバランスを得ることが困難であるという点において、カチオン性付着ポリマーの使用に関連する問題に取り組み、以下を含む水性シャンプー組成物を開示している。
(i)1以上のアニオン性クレンジング界面活性剤;
(ii)平均液滴径(D3,2)が4マイクロメートル以下の水不溶性コンディショニング剤の個別の分散液滴、
(iii)pH7で1.0meq/g未満のカチオン電荷密度を有するカチオン変性アクリルアミドポリマー、カチオン変性セルロース及びそれらの混合物から選択される1以上のカチオンポリマー(A)、及び
(iv)pH7で1.0meq/gより大きいカチオン電荷密度を有するカチオン変性アクリルアミドポリマー、カチオン変成ポリガラクトマンナン及びそれらの混合物から選択される1以上のカチオンポリマー(B)を含み、
ここで、組成物は、カチオン変性アクリルアミドポリマー以外のカチオン性ポリマーを含む。
【0004】
WO2013/122861は、ケラチン表面に即時かつ長期的な利益を提供するためのコンディショニング組成物添加剤を開示し:
a)疎水的に修飾されたポリ(アクリルアミド-N-プロピルトリメチルアンモニウムクロリド)(ポリAPTAC)、及び、b)水;を含み
ここで、疎水的に修飾されたポリAPTACは、コンディショニング組成物添加剤の総重量の0.1重量%~20重量%の量で存在し、そして、約1~8meq/gの範囲のカチオン電荷密度を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】US2012/276210号
【文献】WO2007/065537号
【文献】WO2013/122861号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
毛髪に使用する多くのクレンジング及びコンディショニング製品は、シリコンを含む。コンディショニングと感覚的な利点を与えるために、毛髪にシリコンを付着させることが望ましい。典型的な毛髪洗浄プロセスは、最初に毛髪をシャンプーで洗い、リンスし、続いてコンディショナー製品を適用してリンスすることを含む。
【0007】
シリコンはシャンプーから毛髪に付着させることができる。しかしながら、発明者らは、通常の洗浄プロセスの一部として毛髪が引き続いてコンディショナーで洗浄されるときに、このシリコンは、大部分洗い落とされることを発見した。この結論としては、毛髪が乾いたときに明らかなコンディショニング効果を提供するために、コンディショナーにシリコンを含める必要があることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明者らは、(3-アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリドのホモポリマーを含むシャンプーが、シャンプーから供給されるシリコンの接着力を高め、そして、コンディショナーで洗浄中/洗浄後にそれを毛髪に保持するのに役立つことを見出した。
【0009】
毛髪を、N-DurHance A1000を含むシャンプーで、次いでシリコンフリーのコンディショナーで洗浄すると、1%シリコン含有シャンプーで、次いでシリコンフリーのコンディショナーで洗浄した毛髪に比べて、シリコンの著しく高い付着があった。乾燥摩擦のデータでは、N-DurHance A1000を含むシャンプーで、次いでシリコンフリーのコンディショナーで洗浄した毛髪は、1%のシリコンを含むシャンプーで、次いでシリコンフリーのコンディショナーで洗浄した毛髪に比べて、著しく低い乾燥摩擦を有する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
発明の概要
第1の態様では、本発明は、以下を含む毛髪用の水性シャンプーを提供する:a. 予め形成された乳化シリコン;
b. カチオン性付着ポリマー;
c. (3-アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリドのホモポリマーである毛髪の実質的なカチオン性コンディショニングポリマー;
d. クレンジング界面活性剤;
e. 共-界面活性剤;及び
f. 懸濁剤。
【0011】
第2の態様では、本発明は、第1の態様の組成物を毛髪に適用するステップと、水で第1のすすぎを行うステップとを含む、毛髪を処理する方法を提供する。
【0012】
本発明の方法の間に、シリコンは本発明の組成物から毛髪に付着する。
【0013】
好ましくは、この方法は、コンディショナー組成物を適用し、次いで水で第2のすすぎを行う後続のステップを含む。これらの後続のステップに続いて、本発明の組成物から毛髪に付着したシリコンは、毛髪上に残る。
【0014】
第3の態様では、本発明は、毛髪にシリコンを保持するために、シャンプー中への(3-アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリドのホモポリマーである毛髪の実質的なカチオン性コンディショニングポリマーの使用を提供する。
【0015】
シリコンの一部又はすべては、水でリンスした後、及び/又はヘアコンディショナーと2回目のリンスで処理した後に、毛髪に保持される。毛髪に「保持される」とは、シリコンが毛髪に残っていることを意味する。
【0016】
詳細な説明及び好ましい実施形態
乳化シリコン
本発明の組成物は、予め形成された乳化シリコンを含む。乳化シリコンの混合物が使用できる。
【0017】
適切なシリコンには、ポリジオルガノシロキサン、特にCTFA指定ジメチコンを有するポリジメチルシロキサンが含まれる。また、本発明の組成物の使用に適しているのは、ヒドロキシル末端基を有するポリジメチルシロキサンであり、これは、CTFA指定ジメチコノールを有する。例えばWO96/31188の実施例に記載されているように、わずかな程度の架橋を有するシリコンガムも本発明の組成物での使用に適している。
【0018】
乳化シリコン自体(エマルジョン又は最終的な毛髪組成物ではない)の粘度は、通常、25℃で少なくとも10,000cstであり、シリコン自体の粘度は、好ましくは少なくとも60,000cstであり、最も好ましくは少なくとも500,000cst、理想的には少なくとも1,000,000cstである。好ましくは、粘度は、処方を容易にするために10cstを超えない。
【0019】
本発明の組成物で使用するための乳化シリコンは、典型的には、組成物中で30未満のD90シリコン液滴サイズを有し、好ましくは20未満、より好ましくは10ミクロン未満、理想的には0.01~1ミクロンである。0.15ミクロンの平均シリコン液滴サイズ(D50)を有するシリコンエマルジョンは、一般にマイクロエマルジョンと呼ばれる。
【0020】
シリコン粒子サイズは、例えば、Malvern Instrumentsの2600D Particle Sizerを使用して、レーザー光散乱技術によって測定することができる。
【0021】
予め形成されたエマルジョンの適切な例には、ダウコーニングから入手可能なXiameter MEM1785及びマイクロエマルジョンDC2-1865が含まれる。これらは、ジメチコノールのエマルジョン/マイクロエマルジョンである。架橋シリコンガムは、予め乳化された形態で入手することもでき、これは、処方の容易さのために有利である。
【0022】
本発明の組成物に含めるためのさらに好ましいクラスの乳化シリコンは、アミノ官能性シリコンである。「アミノ官能性シリコン」とは、少なくとも1つの第一級、第二級若しくは第三級アミン基又は第四級アンモニウム基を含有するシリコンを意味する。適切なアミノ官能性シリコンの例には、CTFAで定義の「アモジメチコン」を有するポリシロキサンが含まれる。
【0023】
本発明での使用に適したアミノ官能性シリコンの特定の例は、アミノシリコン油DC2-8220、DC2-8166及びDC2-8566(すべてダウコーニングから)である。
【0024】
適切な第四級シリコンポリマーは、EP-A-0530974に記載されている。好ましい第四級シリコンポリマーは、GoldschmidtからのK3474である。
【0025】
非イオン性及び/又はカチオン性界面活性剤を含むアミノ官能性シリコン油のエマルジョンも適している。
【0026】
アミノ官能性シリコンの予め形成されたエマルジョンは、ダウコーニングやゼネラルエレクトリックのようなシリコンオイルのサプライヤーからも入手できる。特定の例には、DC939カチオンエマルジョン及び非イオン性エマルジョンDC2-7224、DC2-8467、DC2-8177、DC2-8154(すべてダウコーニングの例)が含まれる。
【0027】
好ましくは、シリコンは、ジメチコン、ジメチコノール、アモジメチコン及びそれらの混合物からなる群から選択される。アミノ官能化シリコンとジメチコンのブレンドも好ましい。
【0028】
シリコンの総量は、好ましくは全組成物の0.01重量%~10重量%、より好ましくは0.1重量%~5重量%、最も好ましくは0.5重量%~3重量%が適切なレベルである。
【0029】
付着ポリマー
本発明の組成物は、pH7で0.2~2meq/gの平均電荷密度を有するカチオン性ポリガラクトマンナンから選択され得るカチオン性付着ポリマーを含む。そのようなポリマーは、消費者の使用中に組成物から皮膚及び/又は毛髪表面へのコンディショニング剤の送達を増強するのに役立ち得、これにより、得られるコンディショニングの利点が向上する。カチオン付着ポリマーの混合物を使用することができる。
【0030】
本発明の文脈における用語「電荷密度」は、ポリマーが含まれるモノマー単位の正電荷の数の、モノマー単位の分子量に対する比を指す。電荷密度にポリマー分子量を掛けて、所定のポリマー鎖上の正に帯電した部位の数を決める。
【0031】
ポリガラクトマンナンは、主にガラクトース及びマンノース単位で構成される多糖類であり、通常、グアー、ローカストビーン、ミツバチ、フレームツリーなどのようなマメ科種子の胚乳に見られる。グアー小麦粉は主にガラクトマンナンで構成されているが、これは本質的に単一メンバーのガラクトース分岐を持つ直鎖マンナンである。マンノース単位は1-4-β-グリコシド結合で連結されており、ガラクトース分岐は別のマンノース単位への1-6結合によって行われる。したがって、グアーポリマーにおけるガラクトースとマンノースの比率は、1対2である。
【0032】
本発明での使用に適したカチオン性ポリガラクトマンナンには、グアーのようなポリガラクトマンナン、及び、1以上の誘導体化剤との化学反応によりカチオン的に修飾された、ヒドロキシアルキルグアー(例えば、ヒドロキシエチルグアー又はヒドロキシプロピルグアー)のようなポリガラクトマンナン誘導体が含まれる。
【0033】
誘導体化剤は、通常、反応性官能基、例えばエポキシ基、ハライド基、エステル基、無水物基又はエチレン性不飽和基、及び、少なくとも1つのカチオン性基、例えばカチオン性窒素基、より典型的には第四級アンモニウム基を含む。誘導体化反応は、典型的には、酸素原子がポリガラクトマンナン骨格上の反応が起こるヒドロキシル基に対応するエーテル結合を介して一般に連結される、ポリガラクトマンナン骨格に側鎖カチオン性基を導入する。
【0034】
本発明での使用に好ましいカチオン性ポリガラクトマンナンには、グアーヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリドが含まれる。
【0035】
本発明で使用するグアーヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリドは、一般に、エーテル結合2-ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド基で官能化された非イオン性グアーガム骨核からなり、そして、典型的には、グアーガムとN-(3-クロロ-2-ヒドロキシプロピル)トリメチルアンモニウムクロリドとの反応により調製される。
【0036】
本発明で使用するためのカチオン性ポリガラクトマンナン(好ましくはグアーヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド)は、一般に、500,000~300万g/mol、より好ましくは800,000~250万g/molの範囲の平均分子量(サイズ排除クロマトグラフィーにより決定される重量平均分子量(Mw))を有する。
【0037】
本発明で使用するためのカチオン性ポリガラクトマンナンは、一般に、0.5~1.8meq/gの範囲の電荷密度を有する。
【0038】
好ましくは、カチオン性ポリガラクトマンナンは、0.5~1.8meq/g(及びそれらの混合物)の範囲の電荷密度を有するグアーヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリドから選択される。ポリマーのカチオン電荷密度は、窒素測定のための化学試験下で米国薬局方に記載されているケルダール法を介して適切に決定される。
【0039】
好ましいカチオン性ポリガラクトマンナンの具体例は、カチオン電荷密度が0.5~1.1meq/gのグアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドである。
【0040】
カチオン性ポリガラクトマンナンの混合物も適しており、その1つは、0.5~1.1meq/gのカチオン性電荷密度を有し、そして、1つは、1.1~1.8meq/gのカチオン性電荷密度を有するものである。
【0041】
カチオン性ポリガラクトマンナンの好ましい混合物の具体例は、グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドの混合物であり、その1つは、0.5~1.1meq/gのカチオン電荷密度を有し、そして、1つは、1.1~1.8meq/gのカチオン電荷密度を有するものである。
【0042】
本発明で使用するためのカチオン性ポリガラクトマンナンは、ローディアからのJAGUAR(登録商標)C13S、JAGUAR(登録商標)C14及びJAGUAR(登録商標)C17として商業的に利用可能である。
【0043】
本発明による典型的な組成物において、カチオン性ポリガラクトマンナンのレベルは、組成物の総重量に基づいて、一般に0.05~2重量%、好ましくは0.1~0.5重量%、最も好ましくは0.15~0.2重量%の範囲である。
【0044】
本発明による好ましい組成物において、カチオン性ポリガラクトマンナンは、組成物の総重量に基づいて0.15~0.2重量%の範囲のレベルで、0.5~1.8meq/gの範囲(及びそれらの混合)の電荷密度を有するグアーヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリドから選択される。
【0045】
毛髪の実質的なカチオン性コンディショニングポリマー
本発明の組成物は、(3-アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリドのホモポリマーである毛髪の実質的なカチオン性コンディショニングポリマーを含む。
【0046】
WO2013/122861は、ラジカル重合反応を用いた、様々な分子量の(3-アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド(APTAC)ホモポリマーの合成を記載している。記載された方法によれば、APTACモノマーは、アゾ又は過硫酸塩ラジカル開始剤を使用する不連続断熱プロセスによって水性媒体中で重合される。そのようにして得られたAPTACホモポリマーは、約100,000g/モル~約1,000,000g/モルの範囲の分子量を有する。分子量は、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)のような標準的な分析測定を使用して決定できる。
【0047】
本発明での使用に適したポリマーは、Ashland、Inc.からN-DurHance(商標)A-1000コンディショニングポリマー(ポリマーの20%a.i.水溶液として供給)として商業的に利用可能である。
【0048】
本発明による典型的な組成物において、ポリマーのレベル(それ自体が有効成分として)は、一般に、0.05~5%、より好ましくは0.1~2%、最も好ましくは0.15~1%の範囲である(組成物の総重量に基づく重量による)。
【0049】
クレンジング界面活性剤
本発明の組成物は、クレンジング界面活性剤を含む。クレンジング界面活性剤は、1以上のアニオン性界面活性剤から適切に選択され得る。
【0050】
本発明においてクレンジング界面活性剤として使用するための典型的なアニオン性界面活性剤には、分子構造中に8~14個の炭素原子、好ましくは10~14個の炭素原子を有する有機疎水基を含み、そして、好ましくは、硫酸塩、スルホン酸塩、サルコシン酸塩及びイセチオン酸塩から選択される少なくとも1つの水溶性基を含むような界面活性薬剤が含まれる。
【0051】
そのようなアニオン性界面活性剤の具体例には、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウレス硫酸アンモニウム、トリメチルアミンラウリル硫酸塩、トリメチルアミンラウレス硫酸塩、トリエタノールアミンラウリル硫酸塩、トリメチルエタノールアミンラウレス硫酸塩、モノエタノールアミンラウリル硫酸塩、モノエタノールアミンラウレス硫酸塩、ジエタノールアミンラウリル硫酸塩、ジエタノールアミンラウレス硫酸塩、ラウリン酸モノグリセリド硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウレス硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム、ラウレス硫酸カリウム、ラウリルサルコシンナトリウム、ラウロイルサルコシンナトリウム、ラウリルサルコシン、ココイル硫酸アンモニウム、ラウロイル硫酸アンモニウム、ココイル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ココイル硫酸カリウム、ラウリル硫酸カリウム、モノエタノールアミンココイル硫酸塩、モノエタノールアミンラウリル硫酸塩、トリデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ココイルイセチオン酸ナトリウム及びそれらの混合物を含む。
【0052】
本発明においてクレンジング界面活性剤として使用するための好ましいクラスのアニオン性界面活性剤は、以下の一般式のアルキルエーテル硫酸塩であり:
R-O-(CHCH-O)n-SO
ここで、Rは、10~14個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖アルキル基であり、nは、平均エトキシル化度を表す数であり、1~5、好ましくは1~3.5の範囲であり、そして、Mは、アルカリ金属、アンモニウム又はアルカノールアンモニウムカチオン、好ましくはナトリウム、カリウム、モノエタノールアンモニウム又はトリエタノールアンモニウム、又はそれらの混合物である。
【0053】
そのような好ましいアニオン性界面活性剤の具体例には、C10~C12アルキル硫酸及びC10~C12アルキルエーテル硫酸の、ナトリウム、カリウム、アンモニウム又はエタノールアミン塩(例えば、ラウリルエーテル硫酸(nEO)ナトリウム、ここでnは1~3.5の範囲)が含まれる。
【0054】
上記の材料のいずれかの混合物も使用することができる。
【0055】
本発明の典型的な組成物においては、クレンジング界面活性剤のレベルは、一般に5~26%の範囲であり、好ましくは10~14%(組成物の総重量に基づく重量による)の範囲である。
【0056】
本発明の特に好ましい組成物において、クレンジング界面活性剤は、ラウリルエーテル硫酸(nEO)ナトリウムであり、ここで、nは、1~3.5の範囲であり、10~14%のレベルである(組成物の総重量に基づく重量による)。
【0057】
共-界面活性剤-CAPB
本発明の組成物は、カチオン性ポリマーとアニオン性界面活性剤との間の電荷を遮蔽するための共-界面活性剤を含む。好ましくは、共-界面活性剤は、両性界面活性剤である。適切な両性界面活性剤は、ベタイン、例えば一般式
R(CHCHCOOを有し、ここで、Rは、アルキル又はアルキルアミドアルキル基であり、アルキル基は、好ましくは、10~16個の炭素原子を有し、そして、それらの混合物である。特に適切なベタインは、オレイルベタイン、カプリラミドプロピルベタイン、ラウラミドプロピルベタイン、イソステアリルアミドプロピルベタイン及びココアミドプロピルベタイン並びにそれらの混合物である。
【0058】
共-界面活性剤のレベルは、組成物の総重量に基づいて、一般に0.1重量%~20重量%、好ましくは1重量%~10重量%、より好ましくは1重量%~5重量%である。
【0059】
懸濁剤
本発明の組成物は、1以上の懸濁剤を含む。適切な懸濁剤は、ポリアクリル酸、アクリル酸の架橋ポリマー、アクリル酸と疎水性モノマーとのコポリマー、カルボン酸含有モノマーとアクリル酸エステルとのコポリマー、アクリル酸とアクリル酸エステルとの架橋コポリマー、ヘテロ多糖ガム及び結晶性長鎖アシル誘導体から選択される。長鎖アシル誘導体は、望ましくは、エチレングリコールステアレート、16~22個の炭素原子を有する脂肪酸のアルカノールアミド及びそれらの混合物から選択される。エチレングリコールジステアレート及びポリエチレングリコール3ジステアレートは、組成物に真珠光沢を与えるので、好ましい長鎖アシル誘導体である。ポリアクリル酸は、Carbopol 420、Carbopol 488、又はCarbopol 493として商業的に利用可能である。多官能剤で架橋されたアクリル酸のポリマーも使用でき;それらはCarbopol 910、Carbopol 934、Carbopol 941及びCarbopol 980として商業的に利用可能である。カルボン酸含有モノマー及びアクリル酸エステルの適切なコポリマーの例は、カルボポール1342である。すべてのCarbopol(商標)材料は、oodrichから利用可能である。
【0060】
アクリル酸とアクリル酸エステルとの適切な架橋ポリマーは、Pemulen TR1又はPemulen TR2である。適切なヘテロ多糖ガムは、キサンタンガム、例えば、ケルザンムー(Kelzan mu)として利用可能である。
【0061】
上記の懸濁剤の任意の混合物を使用することができる。アクリル酸の架橋ポリマーと結晶性長鎖アシル誘導体の混合物が好ましい。懸濁剤は、一般に、本発明で使用するためのシャンプー組成物中に、組成物の総重量に基づき、懸濁剤の総重量で0.1~10%、好ましくは0.15~6%、より好ましくは0.2~4%のレベルで存在する。
【0062】

本発明の水性組成物は、適切には約50~約90%、好ましくは約55~約85%、より好ましくは約60~約85%、最も好ましくは約65~約83%の水(組成物の総重量に基づく重量)を含む。
【0063】

組成物の好ましい成分は、無機電解質である。本発明での使用に適した無機電解質には、金属塩化物(例えば塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、塩化第二鉄及び塩化アルミニウム)及び金属硫酸塩(例えば硫酸ナトリウム及び硫酸マグネシウム)が含まれる。無機電解質は、油性成分の可溶化を補助し、組成物に粘度を提供するために使用される。
【0064】
本発明での使用に好ましい無機電解質の例には、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸マグネシウム及びそれらの混合物が含まれる。
【0065】
上記の材料の任意の混合物も適切であり得る。
【0066】
含まれる場合、本発明の組成物中の無機電解質のレベルは、一般に約1~約25%、好ましくは約1.5~約20%(組成物の総重量に基づく総重量の無機電解質による)の範囲である。
【0067】
本発明の組成物は、適切には、30℃でブルックフィールドV2粘度計(スピンドルRTV5、1分、20rpm)を使用して測定したときに、3,000~10,000mPa.s、好ましくは4,000~9,000mPa.sの範囲の粘度を有し得る。
【0068】
他の成分
本発明による組成物は、性能及び/又は消費者の受容性を高めるために、さらなる任意の成分を含んでもよい。そのような成分の例には、香料、染料及び顔料、ならびにpH調整剤が含まれる。これらの各成分は、その目的を達成するのに有効な量で存在する。一般に、これらの任意の成分は、組成物の総重量に基づいて、最大5重量%のレベルで個別に含まれる。
【0069】
本発明の組成物のpHは、適切には3.0~7.0の範囲であり、そして、好ましくは3.0~6.5の範囲であり、より好ましくは4~5.1の範囲である。
【0070】
本発明の組成物は、主に毛髪及び頭皮への局所適用を意図している。
【0071】
最も好ましくは、本発明の組成物は、毛髪に局所的に適用され、次いで毛髪及び頭皮にマッサージされる。次に、毛髪を乾燥させる前に、組成物を毛髪及び頭皮から水で洗い流す。
【実施例
【0072】
本発明は、以下の非限定的な実施例によってさらに説明される。
【0073】
実施例1:本発明による組成物1~2、比較組成物A-B及び対照1
表1に示すような成分を有する毛髪洗浄シャンプー処方物を調製した。組成物1~2は本発明によるものである;組成物A~Bは比較例である。引用されているすべての重量パーセンテージ(wt%)は、特に明記されていない限り、総重量に基づく重量による。
【0074】
【表1】
【0075】
シャンプー組成物1~2、比較組成物A~B及び対照は、以下の方法により調製された:
1.カチオン性コンディショニングポリマーを水に完全に分散させた。
2.次に、CAPBが追加された。
3.クレンジング界面活性剤を水性混合物に加え、完全に分散させた。
4.懸濁剤(カルボマー)を加えた。
5.グアーポリマーを水に分散させ、混合物に加えた。
6.次に、シリコンを撹拌しながら加え、そして
7.残りの微量成分を加えた。
8.最後に、シャンプーのpHと粘度を、それぞれpH調整剤(例えばクエン酸)と塩化ナトリウムを使用して調整した。
【0076】
実施例2:組成物1~2、比較組成物A~B及び対照1による毛髪の処理
使用した毛髪は、重さ2.5g、長さ6インチのスイッチのダークブラウンヨーロピアン髪である。これらの例では、これをバージンヘアと呼ぶ。
【0077】
漂白された髪は次のように準備された:9%のクリームペルオキシド、30’vol’(Excel GS Ltd、英国)(60gのパウダーを120gのクリーム過酸化物と混合)と混合されたプラチナプレシジョンホワイトコンパクトライトニングパウダー(L’Oreal Professionnel Paris、パリ、フランス)を用いて、毛髪を30分間で1回漂白した。次に毛髪を水で2分間すすいだ。
【0078】
表1に記載されている処方物を使用して、典型的な洗浄プロトコルの間に毛髪を処理した。次に、処理された毛髪を、表面に付着したシリコンレベル及び毛髪が乾いたときの摩擦レベルについて評価した。
【0079】
毛髪は、以下の方法を使用して、シャンプー組成物である組成物1-2、比較組成物A-B及び対照1で処理された:
毛髪繊維を流水下に30秒間保持し、シャンプーを毛髪1gあたり0.1mlのシャンプーの用量で適用し、毛髪に30秒間こすりつけた。流水下で30秒間保持し過剰な泡を取り除き、そして、シャンプー段階を繰り返した。毛髪を流水で1分間すすいだ。
【0080】
次に、毛髪を、シリコンを含まないコンディショナーで処理し、ここで、毛髪1グラムあたり0.2mlのコンディショナーを適用して1分間こすり、次いで、流水で1分間すすいだ。
【0081】
実施例3:組成物1~2、比較組成物A~B及び対照1で処理した毛髪上のシリコン付着
処理したヘアスイッチをすすぎ、そして乾燥させ、その後、X線蛍光(XRF)を使用して毛髪の表面に付着したシリコンレベルを定量した。
【0082】
各試験処方物について5つの複製が作成された。毛髪に付着したシリコンの平均量を表2に示す。
【0083】
【表2】
【0084】
本発明による組成物1及び2は、ポリマーを含まない比較組成物A及びBよりも毛髪に付着するシリコンレベルが劇的に高いことがわかる。予期せぬことに、シャンプーから供給されたシリコンは、コンディショナーの適用とすすぎプロセスを通して保持された。
【0085】
実施例4:組成物1~2、比較組成物A~B及び対照1で処理された毛髪の摩擦
さらなる一連のテストでは、表1に記載されている処方物を、バージン又は一度漂白したダークブラウンヨーロピアン(DBE)ヘアの切り替え(Switch)での典型的な毛髪洗浄プロトコルに続いて摩擦レベルについて評価した。各試験処方物について5つの複製が作成された。測定された平均摩擦を表3に示す。
【0086】
上記の実施例2のように、毛髪を最初にシャンプーとコンディショナーで洗浄した。
【0087】
乾燥した毛髪の摩擦は、プローブの上部に500gの重りを取り付けたテクスチャーアナライザーを使用して評価した。
【0088】
【表3】
【0089】
本発明による組成物で処理された毛髪は、比較組成物A及びBで処理された毛髪よりも摩擦が少ないことがわかる。