(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-22
(45)【発行日】2024-01-05
(54)【発明の名称】プラチナベースの薬剤と抗組織因子抗体-薬物コンジュゲートの組み合わせを用いるがんの治療方法
(51)【国際特許分類】
A61K 47/68 20170101AFI20231225BHJP
A61K 33/24 20190101ALI20231225BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20231225BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20231225BHJP
【FI】
A61K47/68 ZNA
A61K33/24
A61P35/00
A61P43/00 121
(21)【出願番号】P 2020550665
(86)(22)【出願日】2019-03-20
(86)【国際出願番号】 US2019023218
(87)【国際公開番号】W WO2019183253
(87)【国際公開日】2019-09-26
【審査請求日】2022-03-14
(32)【優先日】2018-03-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】507316398
【氏名又は名称】ジェンマブ エー/エス
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100188433
【氏名又は名称】梅村 幸輔
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100214396
【氏名又は名称】塩田 真紀
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【氏名又は名称】川本 和弥
(74)【代理人】
【識別番号】100221741
【氏名又は名称】酒井 直子
(74)【代理人】
【識別番号】100114926
【氏名又は名称】枝松 義恵
(72)【発明者】
【氏名】ラングワラ レシュマ アブドゥラ
(72)【発明者】
【氏名】ブレイ エステル シー. ダブリュ.
(72)【発明者】
【氏名】フェルプルーヘン サンドラ
(72)【発明者】
【氏名】アビドイエ オイウェイル オー.
(72)【発明者】
【氏名】ニカシオ レオナルド ヴィアーナ
【審査官】新熊 忠信
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-532148(JP,A)
【文献】国際公開第2017/042352(WO,A1)
【文献】JOURNAL OF CLINICAL ONCOLOGY,2017年,Vol.35, No.10,pp.1112-1118
【文献】Annals of Oncology,2017年,Vol.28, Supplement 5, 931O
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 47/00-4769
A61K 45/00-45/08
A61K 31/00-33/44
A61P 35/00
A61P 43/00
C07K 16/00-16/46
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
組織因子(TF)に結合する抗体-薬物コンジュゲートを含み、プラチナベースの薬剤と組み合わせて用いられることを特徴とする、対象におけるがんを治療するための医薬であって、
該抗体-薬物コンジュゲートが、アウリスタチ
ンにコンジュゲートされた、抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントを含
み、
該抗体-薬物コンジュゲートの該抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントが、
(i) SEQ ID NO:1のアミノ酸配列を含むCDR-H1;
(ii) SEQ ID NO:2のアミノ酸配列を含むCDR-H2;および
(iii)SEQ ID NO:3のアミノ酸配列を含むCDR-H3
を含む、重鎖可変領域と、
(i) SEQ ID NO:4のアミノ酸配列を含むCDR-L1;
(ii) SEQ ID NO:5のアミノ酸配列を含むCDR-L2;および
(iii)SEQ ID NO:6のアミノ酸配列を含むCDR-L3
を含む、軽鎖可変領域と
を含み、
プラチナベースの薬剤が、シスプラチンまたはカルボプラチンである、
医薬。
【請求項2】
組織因子(TF)に結合する抗体-薬物コンジュゲートとプラチナベースの薬剤とを組み合わせてなる、対象におけるがんを治療するための医薬であって、
該抗体-薬物コンジュゲートが、アウリスタチ
ンにコンジュゲートされた、抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントを含
み、
該抗体-薬物コンジュゲートの該抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントが、
(i) SEQ ID NO:1のアミノ酸配列を含むCDR-H1;
(ii) SEQ ID NO:2のアミノ酸配列を含むCDR-H2;および
(iii)SEQ ID NO:3のアミノ酸配列を含むCDR-H3
を含む、重鎖可変領域と、
(i) SEQ ID NO:4のアミノ酸配列を含むCDR-L1;
(ii) SEQ ID NO:5のアミノ酸配列を含むCDR-L2;および
(iii)SEQ ID NO:6のアミノ酸配列を含むCDR-L3
を含む、軽鎖可変領域と
を含み、
プラチナベースの薬剤が、シスプラチンまたはカルボプラチンである、
医薬。
【請求項3】
プラチナベースの薬剤を含み、組織因子(TF)に結合する抗体-薬物コンジュゲートと組み合わせて用いられることを特徴とする、対象におけるがんを治療するための医薬であって、該抗体-薬物コンジュゲートが、アウリスタチ
ンにコンジュゲートされた、抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントを含
み、
該抗体-薬物コンジュゲートの該抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントが、
(i) SEQ ID NO:1のアミノ酸配列を含むCDR-H1;
(ii) SEQ ID NO:2のアミノ酸配列を含むCDR-H2;および
(iii)SEQ ID NO:3のアミノ酸配列を含むCDR-H3
を含む、重鎖可変領域と、
(i) SEQ ID NO:4のアミノ酸配列を含むCDR-L1;
(ii) SEQ ID NO:5のアミノ酸配列を含むCDR-L2;および
(iii)SEQ ID NO:6のアミノ酸配列を含むCDR-L3
を含む、軽鎖可変領域と
を含み、
プラチナベースの薬剤が、シスプラチンまたはカルボプラチンである、
医薬。
【請求項4】
前記抗体-薬物コンジュゲートが約0.9mg/kg~約2.1mg/kgの範囲の用量で投与されるように用いられることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の医薬。
【請求項5】
前記抗体-薬物コンジュゲートが約1.3mg/kgの用量または約2.0mg/kgの用量で投与されるように用いられることを特徴とする、請求項4に記載の医薬。
【請求項6】
前記抗体-薬物コンジュゲートが、約1週間に1回、約2週間に1回、約3週間に1回、または約4週間に1回投与されるように用いられることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の医薬。
【請求項7】
前記抗体-薬物コンジュゲートが約3週間に1回投与されるように用いられることを特徴とする、請求項6に記載の医薬。
【請求項8】
前記プラチナベースの薬剤が、約1週間に1回、約2週間に1回、約3週間に1回、または約4週間に1回投与されるように用いられることを特徴とする、請求項1~
7のいずれか一項に記載の医薬。
【請求項9】
前記がんが膀胱癌である、請求項1~
8のいずれか一項に記載の医薬。
【請求項10】
前記がんが子宮頸癌である、請求項1~
8のいずれか一項に記載の医薬。
【請求項11】
前記対象が根治療法の候補ではない、請求項
10に記載の医薬。
【請求項12】
根治療法が、放射線療法および/または除臓術を含む、請求項
11に記載の医薬。
【請求項13】
前記対象が、子宮頸癌のための以前の全身療法を受けたことがない、請求項
10に記載の医薬。
【請求項14】
前記子宮頸癌が、腺癌、腺扁平上皮癌、または扁平上皮癌である、請求項
10~
13のいずれか一項に記載の医薬。
【請求項15】
前記子宮頸癌が、進行期の子宮頸癌であり、任意で、該進行期の子宮頸癌が、ステージ3またはステージ4の子宮頸癌である、請求項
10~
14のいずれか一項に記載の医薬。
【請求項16】
前記進行期の子宮頸癌が転移性子宮頸癌である、請求項
15に記載の医薬。
【請求項17】
前記子宮頸癌が再発子宮頸癌である、請求項
10~
16のいずれか一項に記載の医薬。
【請求項18】
前記アウリスタチンがモノメチルアウリスタチンであり、任意で、モノメチルアウリスタチンがモノメチルアウリスタチンE(MMAE)である、請求項1~
17のいずれか一項に記載の医薬。
【請求項19】
前記抗体-薬物コンジュゲートの抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントが、SEQ ID NO:7のアミノ酸配列と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、およびSEQ ID NO:8のアミノ酸配列と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1~
18のいずれか一項に記載の医薬。
【請求項20】
前記抗体-薬物コンジュゲートの抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントが、SEQ ID NO:7のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、およびSEQ ID NO:8のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1~
19のいずれか一項に記載の医薬。
【請求項21】
前記抗体-薬物コンジュゲートの抗TF抗体がチソツマブ(tisotumab)である、請求項1~
20のいずれか一項に記載の医薬。
【請求項22】
前記抗体-薬物コンジュゲートが、前記抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントと前記アウリスタチンとの間にリンカーをさらに含む、請求項1~
21のいずれか一項に記載の医薬。
【請求項23】
前記リンカーが、切断可能なペプチドリンカーであり、任意で、該切断可能なペプチドリンカーが式:-MC-vc-PAB-を有し、式中、
a)MCは
であり、
b)vcはジペプチドであるバリン-シトルリンであり、
c)PABは
である、請求項
22に記載の医薬。
【請求項24】
前記リンカーが、前記抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントの部分還元または完全還元によって得られた抗TF抗体のスルフヒドリル残基に結合している、請求項
22または
23に記載の医薬。
【請求項25】
前記リンカーがMMAEに結合しており、その場合に、前記抗体-薬物コンジュゲートが以下の構造:
を有し、ここで、pは1~8の数を表し、Sは前記抗TF抗体のスルフヒドリル残基を表し、Abは該抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントを表す、請求項
24に記載の医薬。
【請求項26】
前記抗体-薬物コンジュゲートの集団におけるpの平均値が約4である、請求項
25に記載の医薬。
【請求項27】
前記抗体-薬物コンジュゲートがチソツマブベドチン(tisotumab vedotin)である、請求項1~
26のいずれか一項に記載の医薬。
【請求項28】
前記抗体-薬物コンジュゲートが静脈内投与されるように用いられることを特徴とする、請求項1~
27のいずれか一項に記載の医薬。
【請求項29】
前記プラチナベースの薬剤が静脈内投与されるように用いられることを特徴とする、請求項1~
28のいずれか一項に記載の医薬。
【請求項30】
前記プラチナベースの薬剤と前記抗体-薬物コンジュゲートが逐次的に投与されるように用いられることを特徴とする、請求項1~
29のいずれか一項に記載の医薬。
【請求項31】
前記プラチナベースの薬剤と前記抗体-薬物コンジュゲートが同時に投与されるように用いられることを特徴とする、請求項1~
29のいずれか一項に記載の医薬。
【請求項32】
子宮頸癌細胞の少なくとも約0.1%、少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約6%、少なくとも約7%、少なくとも約8%、少なくとも約9%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、または少なくとも約80%が、TFを発現する、請求項1~
31のいずれか一項に記載の医薬。
【請求項33】
前記対象における1つまたは複数の治療効果が、ベースラインと比較して、前記抗体-薬物コンジュゲートと前記プラチナベースの薬剤の投与後に改善される、請求項1~
32のいずれか一項に記載の医薬。
【請求項34】
前記1つまたは複数の治療効果が、子宮頸癌に由来する腫瘍のサイズ、客観的奏効率、奏効持続期間、奏効までの期間、無増悪生存期間、および全生存期間からなる群より選択される、請求項
33に記載の医薬。
【請求項35】
子宮頸癌に由来する腫瘍のサイズが、前記抗体-薬物コンジュゲートと前記プラチナベースの薬剤の投与前の子宮頸癌に由来する腫瘍のサイズと比較して、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、または少なくとも約80%減少する、請求項1~
34のいずれか一項に記載の医薬。
【請求項36】
客観的奏効率が、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、または少なくとも約80%である、請求項1~
35のいずれか一項に記載の医薬。
【請求項37】
前記対象が、前記抗体-薬物コンジュゲートと前記プラチナベースの薬剤の投与後に、少なくとも約1ヶ月、少なくとも約2ヶ月、少なくとも約3ヶ月、少なくとも約4ヶ月、少なくとも約5ヶ月、少なくとも約6ヶ月、少なくとも約7ヶ月、少なくとも約8ヶ月、少なくとも約9ヶ月、少なくとも約10ヶ月、少なくとも約11ヶ月、少なくとも約12ヶ月、少なくとも約18ヶ月、少なくとも約2年、少なくとも約3年、少なくとも約4年、または少なくとも約5年の無増悪生存期間を示す、請求項1~
36のいずれか一項に記載の医薬。
【請求項38】
前記対象が、前記抗体-薬物コンジュゲートと前記プラチナベースの薬剤の投与後に、少なくとも約1ヶ月、少なくとも約2ヶ月、少なくとも約3ヶ月、少なくとも約4ヶ月、少なくとも約5ヶ月、少なくとも約6ヶ月、少なくとも約7ヶ月、少なくとも約8ヶ月、少なくとも約9ヶ月、少なくとも約10ヶ月、少なくとも約11ヶ月、少なくとも約12ヶ月、少なくとも約18ヶ月、少なくとも約2年、少なくとも約3年、少なくとも約4年、または少なくとも約5年の全生存期間を示す、請求項1~
37のいずれか一項に記載の医薬。
【請求項39】
前記抗体-薬物コンジュゲートの奏効持続期間が、該抗体-薬物コンジュゲートと前記プラチナベースの薬剤の投与後の少なくとも約1ヶ月、少なくとも約2ヶ月、少なくとも約3ヶ月、少なくとも約4ヶ月、少なくとも約5ヶ月、少なくとも約6ヶ月、少なくとも約7ヶ月、少なくとも約8ヶ月、少なくとも約9ヶ月、少なくとも約10ヶ月、少なくとも約11ヶ月、少なくとも約12ヶ月、少なくとも約18ヶ月、少なくとも約2年、少なくとも約3年、少なくとも約4年、または少なくとも約5年である、請求項1~
38のいずれか一項に記載の医薬。
【請求項40】
前記対象が、1つまたは複数の有害事象を有し、前記医薬が、該1つまたは複数の有害事象を排除するかまたはその重症度を軽減するための追加の治療剤と組み合わせて用いられることを特徴とする、請求項1~
39のいずれか一項に記載の医薬。
【請求項41】
前記対象が、1つまたは複数の有害事象を発症するリスクを有し、前記医薬が、該1つまたは複数の有害事象を予防するかまたはその重症度を軽減するための追加の治療剤と組み合わせて用いられることを特徴とする、請求項1~
40のいずれか一項に記載の医薬。
【請求項42】
前記1つまたは複数の有害事象が、出血、吐き気、脱毛症、結膜炎、角膜炎、結膜潰瘍、粘膜炎、便秘、食欲不振、下痢、嘔吐、好中球減少症、発熱性好中球減少症、血小板数の減少、または出血の増加である、請求項
40または
41に記載の医薬。
【請求項43】
前記1つまたは複数の有害事象が、グレード3以上の有害事象である、請求項
40または
41に記載の医薬。
【請求項44】
前記1つまたは複数の有害事象が重篤な有害事象である、請求項
40または
41に記載の医薬。
【請求項45】
前記1つまたは複数の有害事象が結膜炎および/または角膜炎であり、前記追加の薬剤が、防腐剤フリーの潤滑点眼薬、眼科用血管収縮薬および/またはステロイド点眼薬である、請求項
40または
41に記載の医薬。
【請求項46】
前記対象がヒトである、請求項1~
45のいずれか一項に記載の医薬。
【請求項47】
前記抗体-薬物コンジュゲートが、該抗体-薬物コンジュゲートと薬学的に許容される担体を含む薬学的組成物として存在する、請求項1~
46のいずれか一項に記載の医薬。
【請求項48】
前記プラチナベースの薬剤が、該プラチナベースの薬剤と薬学的に許容される担体を含む薬学的組成物として存在する、請求項1~
47のいずれか一項に記載の医薬。
【請求項49】
請求項1~
48のいずれか一項に記載の医薬を製造するための、TFに結合する抗体-薬物コンジュゲートの使用であって、
該医薬がプラチナベースの薬剤と組み合わせて使用するためのものであり、
該抗体-薬物コンジュゲートが、アウリスタチ
ンにコンジュゲートされた、抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントを含
み、
該抗体-薬物コンジュゲートの該抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントが、
(i) SEQ ID NO:1のアミノ酸配列を含むCDR-H1;
(ii) SEQ ID NO:2のアミノ酸配列を含むCDR-H2;および
(iii)SEQ ID NO:3のアミノ酸配列を含むCDR-H3
を含む、重鎖可変領域と、
(i) SEQ ID NO:4のアミノ酸配列を含むCDR-L1;
(ii) SEQ ID NO:5のアミノ酸配列を含むCDR-L2;および
(iii)SEQ ID NO:6のアミノ酸配列を含むCDR-L3
を含む、軽鎖可変領域と
を含み、
プラチナベースの薬剤が、シスプラチンまたはカルボプラチンである、
使用。
【請求項50】
請求項1~
48のいずれか一項に記載の医薬を製造するための、プラチナベースの薬剤の使用であって、
該医薬が、TFに結合する抗体-薬物コンジュゲートと組み合わせて使用するためのものであり、
該抗体-薬物コンジュゲートが、アウリスタチ
ンにコンジュゲートされた、抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントを含
み、
該抗体-薬物コンジュゲートの該抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントが、
(i) SEQ ID NO:1のアミノ酸配列を含むCDR-H1;
(ii) SEQ ID NO:2のアミノ酸配列を含むCDR-H2;および
(iii)SEQ ID NO:3のアミノ酸配列を含むCDR-H3
を含む、重鎖可変領域と、
(i) SEQ ID NO:4のアミノ酸配列を含むCDR-L1;
(ii) SEQ ID NO:5のアミノ酸配列を含むCDR-L2;および
(iii)SEQ ID NO:6のアミノ酸配列を含むCDR-L3
を含む、軽鎖可変領域と
を含み、
プラチナベースの薬剤が、シスプラチンまたはカルボプラチンである、
使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
この出願は、2018年3月21日に出願された米国仮特許出願第62/646,256号および2018年10月31日に出願された米国仮特許出願第62/753,730号の優先権を主張するものであり、それぞれの内容は全体として参照により本明細書に組み入れられる。
【0002】
ASCIIテキストファイルでの配列表の提出
次のASCIIテキストファイルでの提出の内容は、その全体が参照により本明細書に組み入れられる:配列表のコンピュータ可読形式(CRF)(ファイル名:761682000640SEQLIST.TXT、記録日:2019年3月7日、サイズ:6KB)。
【0003】
技術分野
本発明は、プラチナベースの薬剤と抗組織因子(抗TF)抗体-薬物コンジュゲートの組み合わせを用いる、膀胱癌および子宮頸癌などのがんを治療する方法に関する。
【背景技術】
【0004】
背景
組織因子(TF)は、トロンボプラスチン、第III因子またはCD142とも呼ばれており、酵素前駆体(zymogen)プロトロンビンからのトロンビン形成を開始させるのに必要な、内皮下組織、血小板、および白血球に存在するタンパク質である。トロンビンの形成は、最終的に血液の凝固につながる。TFは、細胞が血液凝固カスケードを開始できるようにし、セリンプロテアーゼである凝固第VIIa因子(FVIIa)の高親和性受容体として機能する。生じる複合体は、特定のタンパク質限定分解による凝固プロテアーゼカスケードの開始に関与する触媒作用を提供する。非機能的な前駆体として循環するこれらのプロテアーゼカスケードの他の補因子とは異なり、TFは細胞表面に発現されたときに完全に機能する強力な開始因子である。
【0005】
TFはセリンプロテアーゼ第VIIa因子(FVIIa)の細胞表面受容体である。FVIIaのTFへの結合は、細胞内でシグナル伝達プロセスを開始し、前記シグナル伝達機能は血管新生(angiogenesis)における役割を担っている。血管新生は、成長および発達、ならびに創傷治癒における正常なプロセスであるが、腫瘍が休眠状態から悪性状態に移行する際の基本的な段階でもある。がん細胞が血管新生に関与するタンパク質(すなわち、血管新生増殖因子)を産生する能力を獲得すると、これらのタンパク質は腫瘍によって近くの組織に放出され、それによって、既存の健康な血管から発生して腫瘍の方へ、そして腫瘍の中に入り込むように新しい血管を刺激する。ひとたび新しい血管が腫瘍に入ると、腫瘍は急速にそのサイズを拡大して、局所組織および器官に侵入することができる。新しい血管を介して、がん細胞はさらに循環系へと逃げ込み、かつ他の器官にとどまって新しい腫瘍を形成することがあり、これは転移としても知られている。
【0006】
TFの発現は、子宮頸癌を含む多くの種類のがんで観察されており、より侵攻性の高い疾患と関連している。さらに、ヒトTFは、可溶性の選択的スプライシング型asHTFとしても存在する。asHTFは腫瘍成長を促進することがわかった(Hobbs et al., 2007, Thrombosis Res. 120(2):S13-S21)。
【0007】
プラチナベースの薬剤は、DNAに共有結合しかつDNA鎖を架橋するアルキル化剤であり、DNAの合成と機能を阻害するだけでなく、転写をも阻害する。単剤のカルボプラチンは、数十年間にわたって、ファーストラインの再発性または転移性疾患の選択肢となっている。子宮頸部の再発性または転移性扁平上皮癌に対する単剤カルボプラチンの第2相試験では、全体的な奏効率は15%(6/41)であり、吐き気と嘔吐(48%)、貧血(47%)、白血球減少症(38%)、血小板減少症(22%)などの主要な毒性作用が認められた(Weiss et al., 1990, Gynecol. Oncol. 39, 332-336)。パクリタキセルの追加は、パクリタキセルと併用するまたは併用しないシスプラチンの第3相試験で評価され、子宮頸部のステージIVBの再発性または持続性扁平上皮癌の対象者においてPFSの大幅な改善を実証した;さらに、この併用レジメンでは奏効率がかなり高かった。客観的奏効率(OR)は、シスプラチンを投与された対象者では19%(6%完全奏効+13%部分奏効)であったのに対して、カルボプラチン+パクリタキセルを投与された対象者では36%(15%完全奏効+21%部分奏効)であった(P=0.002)。シスプラチン対カルボプラチン+パクリタキセルの場合のPFS中央値は、それぞれ2.8ヶ月と4.8ヶ月であった(P<0.001)。データカットオフ時の生存期間中央値(8.8ヶ月対9.7ヶ月)に差はなかった(Moore et al, 2004)。シスプラチンで観察された有効性の向上にもかかわらず、この薬剤の毒性プロファイルはカルボプラチンよりも悲惨である。これら2つの薬剤の互換性は、第3相試験JCOG050を含む複数の試験で評価されている。この試験では、シスプラチンとパクリタキセルの併用と、カルボプラチン+パクリタキセルとの間で比較して、同様の有効性が実証され(OS中央値それぞれ18.3ヶ月対17.5ヶ月;HR 0.994(90%CI、0.79~1.25;P=0.032))、ステージIVBの再発性または持続性子宮頸癌の患者のための標準治療の選択肢であると考えられる(Kitagawa et al., 2015, J. Clin. Oncol. 33, 2129-2135)。
【0008】
膀胱癌は生命にかかわる進行性の疾患であり、通常は膀胱の上皮層(すなわち、尿路上皮)の内層に発生する。浸潤性の膀胱癌は、リンパ節、骨盤内の他の臓器(腎臓および腸機能の問題を引き起こす)、または肝臓、肺などの体内の他の臓器に拡がることがある。膀胱癌の標準的な治療法は、手術、放射線療法、化学療法、および生物学的療法である。膀胱癌は米国では5番目に多いがん診断である。患者には再発と進行の高いリスクがあるため、膀胱癌は患者ごとに生涯ベースで治療するのに最も費用のかかるがんである。その発生率と有病率にもかかわらず、膀胱癌の研究はひどく資金不足であり、膀胱癌の治療を改善する上でほとんど進展が見られない。
【0009】
子宮頸癌は世界中で重大な医学的問題となっており、年間50万件を超える新規症例が発生し、25万人が死亡すると推定されている。Tewari et al., 2014, N Engl J Med., 370:734-743を参照のこと。欧州連合では、毎年約34,000件の子宮頸癌の新規症例と13,000人の死亡が発生している。Hillemanns et al., 2016, Oncol. Res. Treat. 39:501-506を参照のこと。子宮頸癌の主なタイプは扁平上皮癌と腺癌である。ヒトパピローマウイルス(HPV)16型および18型による長期にわたる感染が、子宮頸癌のほとんどの症例の原因である。子宮頸癌のファーストライン療法の標準は、プラチナベース療法+タキサンベースの療法であった。抗VEGF抗体であるベバシズマブは、米国食品医薬品局によって子宮頸癌の化学療法との併用が承認され、臨床試験で全生存期間を改善させてきた。進行した子宮頸癌のファーストライン(1L)治療は、パクリタキセル+プラチナ製剤(例:シスプラチンまたはカルボプラチン)またはパクリタキセル+トポテカンと組み合わせたベバシズマブで構成される。48%の客観的奏効率(ORR)と約18ヶ月の全生存期間(OS)中央値にもかかわらず、残念ながら、この1L治療の後でほぼ全ての患者が再発している。Tewari et al., 2014, N Engl J Med., 370:734-743を参照のこと。セカンドライン(2L)治療については、承認された治療法がなく、患者は、ペメトレキセド、トポテカン、ドセタキセル、nab-パクリタキセル、ビノレルビン、場合によってはベバシズマブを含むがこれらに限定されない単剤療法で治療されることが多い。単剤療法のメタ分析からは、わずか10.9%(すなわち、552人の患者のうち60人の奏効者)のささやかな奏効率と約7ヶ月の全生存期間(OS)中央値が示されている。例えば、以下の文献を参照のこと:Burotto et al., 2015, Oncologist 20:725-726; Candelaria et al., 2009, Int. J. Gynecol. Cancer. 19:1632-1637; Coronel et al., 2009, Med. Oncol. 26:210-214; Fiorica et al., 2009, Gynecol. Oncol. 115:285-289; Garcia et. al., 2007, Am. J. Clin. Oncol. 30-428-431; Goncalves et al., 2008, Gynecol. Oncol. 108:42-46; Homesley et al., 2008, Int. J. Clin. Oncol. 13:62-65; McLachlan et al., 2017, Clin. Oncol. (R. Coll. Radiol.) 29:153-160; Miller et al., 2008, Gynecol. Oncol. 110:65-70; Monk et al., 2009, J. Clin. Oncol. 27:1069-1074; Muggia et al., 2004, Gynecol. Oncol. 92:639-643;Rose et al., 2006, Gynecol. Oncol. 102:210-213; Santin et al., 2011, Gynecol. Oncol. 122:495-500; Schilder et al., 2005, Gynecol. Oncol. 96:103-107; およびTorfs et al., 2012, Eur. J. Cancer. 48:1332-1340。ステージIVの子宮頸癌の5年相対生存率はわずか15%であり、子宮頸癌の改善された治療法の必要性が高いことを示している。
【0010】
がんの治療のための、特に膀胱癌と子宮頸癌の治療のための、許容される安全性プロファイルおよび高い効力を有する併用療法が依然として必要とされている。本発明は、プラチナベースの薬剤と抗組織因子(抗TF)抗体-薬物コンジュゲートの組み合わせを用いて、膀胱癌、子宮頸癌などのがんを治療する方法を提供することにより、この必要性を満たすものである。
【0011】
特許出願、特許公開公報、および科学文献を含めて、本明細書で引用される全ての参考文献は、個々の参考文献が参照により組み込まれることが具体的かつ個別に示されているかのように、全体として参照により本明細書に組み入れられる。
【発明の概要】
【0012】
概要
本明細書では、対象におけるがんの治療方法が提供され、該方法は、プラチナベースの薬剤と、組織因子(TF)に結合する抗体-薬物コンジュゲートを対象に投与する工程を含み、ここで、該抗体-薬物コンジュゲートは、モノメチルアウリスタチンまたはその機能的類似体もしくはその機能的誘導体にコンジュゲートされた、抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントを含む。いくつかの態様では、抗体-薬物コンジュゲートは、約0.9mg/kg~約2.1mg/kgの範囲の用量で投与される。いくつかの態様では、抗体-薬物コンジュゲートは、約1.3mg/kgの用量で投与される。いくつかの態様では、抗体-薬物コンジュゲートは、1.3mg/kgの用量で投与される。いくつかの態様では、抗体-薬物コンジュゲートは、約2.0mg/kgの用量で投与される。いくつかの態様では、抗体-薬物コンジュゲートは、2.0mg/kgの用量で投与される。本明細書中の任意のいくつかの態様では、抗体-薬物コンジュゲートは、約1週間に1回、約2週間に1回、約3週間に1回、または約4週間に1回投与される。本明細書中の任意のいくつかの態様では、抗体-薬物コンジュゲートは、約3週間に1回投与される。本明細書中の任意のいくつかの態様では、抗体-薬物コンジュゲートは、3週間に1回投与される。本明細書中の任意のいくつかの態様では、プラチナベースの薬剤は、AUC=約4~約6の用量で投与される。本明細書中の任意のいくつかの態様では、プラチナベースの薬剤は、AUC=約5の用量で投与される。本明細書中の任意のいくつかの態様では、プラチナベースの薬剤は、AUC=5の用量で投与される。本明細書中の任意のいくつかの態様では、プラチナベースの薬剤は、約1週間に1回、約2週間に1回、約3週間に1回、または約4週間に1回投与される。本明細書中の任意のいくつかの態様では、プラチナベースの薬剤は、約3週間に1回投与される。本明細書中の任意のいくつかの態様では、プラチナベースの薬剤は、3週間に1回投与される。本明細書中の任意のいくつかの態様では、がんは膀胱癌である。本明細書中の任意のいくつかの態様では、がんは子宮頸癌である。本明細書中の任意のいくつかの態様では、対象は根治療法の候補ではない。本明細書中の任意のいくつかの態様では、根治療法は放射線療法および/または除臓術(exenterative surgery)を含む。本明細書中の任意のいくつかの態様では、対象は子宮頸癌のための以前の全身療法を受けたことがない。本明細書中の任意のいくつかの態様では、子宮頸癌は腺癌、腺扁平上皮癌、または扁平上皮癌である。本明細書中の任意のいくつかの態様では、子宮頸癌は進行期の子宮頸癌である。本明細書中の任意のいくつかの態様では、進行期子宮頸癌はステージ3またはステージ4の子宮頸癌である。本明細書中の任意のいくつかの態様では、進行期子宮頸癌は転移性子宮頸癌である。本明細書中の任意のいくつかの態様では、子宮頸癌は再発子宮頸癌である。本明細書中の任意のいくつかの態様では、モノメチルアウリスタチンはモノメチルアウリスタチンE(MMAE)である。本明細書中の任意のいくつかの態様では、抗体-薬物コンジュゲートの抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントは、モノクローナル抗体またはそのモノクローナル抗原結合フラグメントである。本明細書中の任意のいくつかの態様では、抗体-薬物コンジュゲートの抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントは重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、該重鎖可変領域は、
(i) SEQ ID NO:1のアミノ酸配列を含むCDR-H1;
(ii) SEQ ID NO:2のアミノ酸配列を含むCDR-H2;および
(iii)SEQ ID NO:3のアミノ酸配列を含むCDR-H3;
を含み、かつ該軽鎖可変領域は、
(i) SEQ ID NO:4のアミノ酸配列を含むCDR-L1;
(ii) SEQ ID NO:5のアミノ酸配列を含むCDR-L2;および
(iii)SEQ ID NO:6のアミノ酸配列を含むCDR-L3;
を含み;抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントのCDRはIMGTナンバリングスキームによって定義される。本明細書中の任意のいくつかの態様では、抗体-薬物コンジュゲートの抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントは、SEQ ID NO:7のアミノ酸配列と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、およびSEQ ID NO:8のアミノ酸配列と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。本明細書中の任意のいくつかの態様では、抗体-薬物コンジュゲートの抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントは、SEQ ID NO:7のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、およびSEQ ID NO:8のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。本明細書中の任意のいくつかの態様では、抗体-薬物コンジュゲートの抗TF抗体はチソツマブ(tisotumab)である。本明細書中の任意のいくつかの態様では、抗体-薬物コンジュゲートは、抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントとモノメチルアウリスタチンとの間にリンカーをさらに含む。本明細書中の任意のいくつかの態様では、そのリンカーは、切断可能なペプチドリンカーである。本明細書中の任意のいくつかの態様では、切断可能なペプチドリンカーは式:-MC-vc-PAB-を有し、式中、
a)MCは
であり、
b)vcはジペプチドであるバリン-シトルリンであり、
c)PABは
である。本明細書中の任意のいくつかの態様では、該リンカーは、抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントの部分還元または完全還元によって得られた抗TF抗体のスルフヒドリル残基に結合する。本明細書中の任意のいくつかの態様では、該リンカーはMMAEに結合し、その場合に、抗体-薬物コンジュゲートは以下の構造:
を有し、ここで、pは1~8の数を表し、Sは抗TF抗体のスルフヒドリル残基を表し、Abは抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントを表す。本明細書中の任意のいくつかの態様では、抗体-薬物コンジュゲートの集団におけるpの平均値は、約4である。本明細書中の任意のいくつかの態様では、抗体-薬物コンジュゲートはチソツマブベドチン(tisotumab vedotin)である。本明細書中の任意のいくつかの態様では、抗体-薬物コンジュゲートの投与経路は静脈内である。本明細書中の任意のいくつかの態様では、プラチナベースの薬剤は、カルボプラチン、シスプラチン、オキサリプラチン、およびネダプラチンからなる群より選択される。本明細書中の任意のいくつかの態様では、プラチナベースの薬剤はカルボプラチンである。本明細書中の任意のいくつかの態様では、プラチナベースの薬剤はシスプラチンである。本明細書中の任意のいくつかの態様では、プラチナベースの薬剤の投与経路は静脈内である。本明細書中の任意のいくつかの態様では、プラチナベースの薬剤と抗体-薬物コンジュゲートは逐次的に投与される。本明細書中の任意のいくつかの態様では、プラチナベースの薬剤と抗体-薬物コンジュゲートは同時に投与される。本明細書中の任意のいくつかの態様では、子宮頸癌細胞の少なくとも約0.1%、少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約6%、少なくとも約7%、少なくとも約8%、少なくとも約9%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、または少なくとも約80%は、TFを発現する。本明細書中の任意のいくつかの態様では、対象における1つまたは複数の治療効果は、ベースラインと比較して、抗体-薬物コンジュゲートとプラチナベースの薬剤の投与後に改善される。本明細書中の任意のいくつかの態様では、1つまたは複数の治療効果は、以下からなる群より選択される:子宮頸癌に由来する腫瘍のサイズ、客観的奏効率、奏効持続期間、奏効までの期間、無増悪生存期間、および全生存期間。本明細書中の任意のいくつかの態様では、子宮頸癌に由来する腫瘍のサイズは、抗体-薬物コンジュゲートとプラチナベースの薬剤の投与前の子宮頸癌に由来する腫瘍のサイズと比較して、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、または少なくとも約80%減少する。本明細書中の任意のいくつかの態様では、客観的奏効率は、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、または少なくとも約80%である。本明細書中の任意のいくつかの態様では、対象は、抗体-薬物コンジュゲートとプラチナベースの薬剤の投与後に、少なくとも約1ヶ月、少なくとも約2ヶ月、少なくとも約3ヶ月、少なくとも約4ヶ月、少なくとも約5ヶ月、少なくとも約6ヶ月、少なくとも約7ヶ月、少なくとも約8ヶ月、少なくとも約9ヶ月、少なくとも約10ヶ月、少なくとも約11ヶ月、少なくとも約12ヶ月、少なくとも約18ヶ月、少なくとも約2年、少なくとも約3年、少なくとも約4年、または少なくとも約5年の無増悪生存期間を示す。本明細書中の任意のいくつかの態様では、対象は、抗体-薬物コンジュゲートとプラチナベースの薬剤の投与後に、少なくとも約1ヶ月、少なくとも約2ヶ月、少なくとも約3ヶ月、少なくとも約4ヶ月、少なくとも約5ヶ月、少なくとも約6ヶ月、少なくとも約7ヶ月、少なくとも約8ヶ月、少なくとも約9ヶ月、少なくとも約10ヶ月、少なくとも約11ヶ月、少なくとも約12ヶ月、少なくとも約18ヶ月、少なくとも約2年、少なくとも約3年、少なくとも約4年、または少なくとも約5年の全生存期間を示す。本明細書中の任意のいくつかの態様では、抗体-薬物コンジュゲートの奏効持続期間は、抗体-薬物コンジュゲートとプラチナベースの薬剤の投与後の少なくとも約1ヶ月、少なくとも約2ヶ月、少なくとも約3ヶ月、少なくとも約4ヶ月、少なくとも約5ヶ月、少なくとも約6ヶ月、少なくとも約7ヶ月、少なくとも約8ヶ月、少なくとも約9ヶ月、少なくとも約10ヶ月、少なくとも約11ヶ月、少なくとも約12ヶ月、少なくとも約18ヶ月、少なくとも約2年、少なくとも約3年、少なくとも約4年、または少なくとも約5年である。本明細書中の任意のいくつかの態様では、対象は、1つまたは複数の有害事象を有し、該1つまたは複数の有害事象を排除するか、またはその重症度を軽減するために、追加の治療剤をさらに投与される。本明細書中の任意のいくつかの態様では、対象は、1つまたは複数の有害事象を発症するリスクを有し、該1つまたは複数の有害事象を予防するかまたはその重症度を軽減するために、追加の治療剤をさらに投与される。本明細書中の任意のいくつかの態様では、該1つまたは複数の有害事象は、出血、吐き気、脱毛症、結膜炎、角膜炎、結膜潰瘍、粘膜炎、便秘、食欲不振、下痢、嘔吐、好中球減少症、発熱性好中球減少症、血小板数の減少、または出血の増加である。本明細書中の任意のいくつかの態様では、該1つまたは複数の有害事象はグレード3以上の有害事象である。本明細書中の任意のいくつかの態様では、該1つまたは複数の有害事象は重篤な有害事象である。本明細書中の任意のいくつかの態様では、該1つまたは複数の有害事象は結膜炎および/または角膜炎であり、追加の薬剤は防腐剤フリーの潤滑点眼薬、眼科用血管収縮薬および/またはステロイド点眼薬である。本明細書中の任意のいくつかの態様では、対象はヒトである。本明細書中の任意のいくつかの態様では、抗体-薬物コンジュゲートは、該抗体-薬物コンジュゲートと薬学的に許容される担体を含む薬学的組成物として存在する。本明細書中の任意のいくつかの態様では、プラチナベースの薬剤は、該プラチナベースの薬剤と薬学的に許容される担体を含む薬学的組成物として存在する。
【0013】
本明細書では、以下を含むキットも提供される:
(a)AUC=約4~約6の範囲の投与量のプラチナベースの薬剤;
(b)約1.5mg/kg~約2.1mg/kgの範囲の投与量の、組織因子(TF)に結合する抗体-薬物コンジュゲート、ここで、該抗体-薬物コンジュゲートは、モノメチルアウリスタチンまたはその機能的類似体もしくはその機能的誘導体にコンジュゲートされた、抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントを含む;および
(c)本明細書中の任意のいくつかの態様に従ってプラチナベースの薬剤と抗体-薬物コンジュゲートを使用するための説明書。
いくつかの態様では、プラチナベースの薬剤はカルボプラチンである。本明細書中の任意のいくつかの態様では、抗体-薬物コンジュゲートはチソツマブベドチンである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1A】
図1A~Eは、子宮頸癌異種移植マウスモデルにおけるチソツマブベドチンとシスプラチンの組み合わせの抗腫瘍活性を示す一連のグラフである。A)4mg/kgのIgG1対照(白丸)、4mg/kgのIgG1-MMAE対照(黒丸)、4mg/kgのシスプラチン(白四角)、2mg/kgのチソツマブベドチン(黒四角)、または2mg/kgのチソツマブベドチンと4mg/kgのシスプラチンの組み合わせ(白三角)で治療した後のマウスの平均腫瘍サイズ。黒の逆矢印は、チソツマブベドチン用量の投与日を示す。黒く塗りつぶした逆三角形は、シスプラチン用量の投与日を示す。腫瘍量(tumor burden)はキャリパー測定で評価した。エラーバーは平均の標準誤差を示す。*は単剤治療に対するチソツマブベドチン+シスプラチン治療のp<0.05を示す。
【
図1B】B)4mg/kgのIgG1対照(白丸)、4mg/kgのIgG1-MMAE対照(黒丸)、4mg/kgのシスプラチン(白四角)、4mg/kgのチソツマブベドチン(黒四角)、または4mg/kgのチソツマブベドチンと4mg/kgのシスプラチンの組み合わせ(白三角)で治療した後のマウスの平均腫瘍サイズ。黒の逆矢印は、チソツマブベドチン用量の投与日を示す。黒の逆三角形は、シスプラチン用量の投与日を示す。腫瘍量はキャリパー測定で評価した。エラーバーは平均の標準誤差を示す。*は単剤治療に対するチソツマブベドチン+シスプラチン治療のp<0.05を示す。
【
図1C】C)4mg/kgのIgG1対照(グループ01)、4mg/kgのIgG1-MMAE対照(グループ02)、4mg/kgのチソツマブベドチン(グループ03)、2mg/kgのチソツマブベドチン(グループ04)、1mg/kgのチソツマブベドチン(グループ05)、0.5mg/kgのチソツマブベドチン(グループ06)、4mg/kgのシスプラチン(グループ07)、4mg/kgのチソツマブベドチンと4mg/kgのシスプラチンの組み合わせ(グループ08)、2mg/kgのチソツマブベドチンと4mg/kgのシスプラチンの組み合わせ(グループ09)、1mg/kgのチソツマブベドチンと4mg/kgのシスプラチンの組み合わせ(グループ10)、または0.5mg/kgのチソツマブベドチンと4mg/kgのシスプラチンの組み合わせ(グループ11)で治療した後の38日目のマウスの平均腫瘍サイズ。
【
図1D】D)4mg/kgのIgG1-MMAE対照(グループ02)、4mg/kgのチソツマブベドチン単独(グループ03)、4mg/kgのチソツマブベドチンと4mg/kgのシスプラチンの組み合わせ(グループ08)、または4mg/kgのシスプラチン単独(グループ07)で治療したマウスにおける腫瘍サイズカットオフ1000mm
3を有する無腫瘍生存率。
【
図1E】E)4mg/kgのIgG1-MMAE対照(グループ02)、2mg/kgのチソツマブベドチン単独(グループ04)、2mg/kgのチソツマブベドチンと4mg/kgのシスプラチンの組み合わせ(グループ09)、または4mg/kgのシスプラチン単独(グループ07)で治療したマウスにおける腫瘍サイズカットオフ1000mm
3を有する無腫瘍生存率。
【0015】
【
図2A】
図2A~Dは、膀胱癌マウスモデルにおけるチソツマブベドチンとシスプラチンの組み合わせの抗腫瘍活性を示すグラフである。A)IgG1-MMAE対照(黒丸)、シスプラチン(白四角)、チソツマブベドチン(黒四角)、またはチソツマブベドチンとシスプラチンの組み合わせ(白三角)で治療した後のマウスの平均腫瘍サイズ。黒の逆矢印は、チソツマブベドチン用量の投与日を示す。黒の逆三角形は、シスプラチン用量の投与日を示す。腫瘍量はキャリパー測定で評価した。エラーバーは平均の標準誤差を示す。
【
図2B】B)IgG1-MMAE対照、チソツマブベドチン、シスプラチン、またはチソツマブベドチンとシスプラチンの組み合わせで治療した後の25日目のマウスの平均腫瘍サイズ。
【
図2C】C)チソツマブベドチンまたはチソツマブベドチンとシスプラチンの組み合わせで治療した後の32日目のマウスの平均腫瘍サイズ。
【
図2D】D)IgG1-MMAE対照、チソツマブベドチン単独、シスプラチン単独、チソツマブベドチンとシスプラチンの組み合わせで治療したマウスにおける腫瘍サイズカットオフ500mm
3を有する無腫瘍生存率。
【0016】
【
図3A】
図3A~Cは、子宮頸癌マウスモデルにおけるチソツマブベドチンとカルボプラチンの組み合わせの抗腫瘍活性を示すグラフである。A)2mg/kgのIgG1対照(白丸)、2mg/kgのIgG1-MMAE対照(黒丸)、2mg/kgのチソツマブベドチン(黒四角)、40mg/kgのカルボプラチン(白四角)、80mg/kgのカルボプラチン(白菱形)、2mg/kgのチソツマブベドチンと40mg/kgのカルボプラチンの組み合わせ(白三角)、または2mg/kgのチソツマブベドチンと80mg/kgのカルボプラチンの組み合わせ(黒三角)で治療した後のマウスの平均腫瘍サイズ。矢印は治療日を示す。腫瘍量はキャリパー測定で評価した。エラーバーは平均の標準誤差を示す。
【
図3B】B)2mg/kgのIgG1対照(白丸)、2mg/kgのIgG1-MMAE対照(黒丸)、2mg/kgのチソツマブベドチン(黒四角)、40mg/kgのカルボプラチン(白四角)、80mg/kgのカルボプラチン(白菱形)、2mg/kgのチソツマブベドチンと40mg/kgのカルボプラチンの組み合わせ(白三角)、または2mg/kgのチソツマブベドチンと80mg/kgのカルボプラチンの組み合わせ(黒三角)で治療した後の20日目のマウスの平均腫瘍サイズ。
【
図3C】C)2mg/kgのIgG1対照(白丸)、2mg/kgのIgG1-MMAE対照(黒丸)、2mg/kgのチソツマブベドチン(黒四角)、40mg/kgのカルボプラチン(白四角)、80mg/kgのカルボプラチン(白菱形)、2mg/kgのチソツマブベドチンと40mg/kgのカルボプラチンの組み合わせ(白三角)、または2mg/kgのチソツマブベドチンと80mg/kgのカルボプラチンの組み合わせ(黒三角)で治療したマウスにおける腫瘍サイズカットオフ750mm
3を有する無増悪生存率。
【0017】
【
図4A】
図4A~Bは、子宮頸癌異種移植マウスモデルにおけるチソツマブベドチンとシスプラチンの組み合わせの抗腫瘍活性を示すグラフである。A)2mg/kgのIgG1対照(薄い灰色の丸)、2mg/kgのIgG1-MMAE対照(灰色四角)、2mg/kgのチソツマブベドチン(薄い灰色の三角)、40mg/kgのカルボプラチン(濃い灰色の三角)、または2mg/kgのチソツマブベドチンと40mg/kgのカルボプラチンの組み合わせ(黒丸)で治療した後のマウスの平均腫瘍体積。矢印は治療日を示す。腫瘍量はキャリパー測定で評価した。エラーバーは平均の標準誤差を示す。
【
図4B】B)2mg/kgのIgG1対照、2mg/kgのIgG1-MMAE対照、2mg/kgのチソツマブベドチン、40mg/kgのカルボプラチン、または2mg/kgのチソツマブベドチンと40mg/kgのカルボプラチンの組み合わせで治療したマウスにおける腫瘍サイズカットオフ1,000mm
3を有する無増悪生存率。
【発明を実施するための形態】
【0018】
詳細な説明
I. 定義
本開示をより容易に理解できるようにするために、最初に特定の用語を定義する。本出願で使用する場合、本明細書で別に定義しない限り、以下の各用語は、以下に示す意味を有するものとする。本出願全体を通して追加の定義が示される。
【0019】
本明細書で使用する用語「および/または」は、他方の有無にかかわらず、2つの指定された特徴または構成要素のそれぞれの具体的な開示として解釈されるべきである。したがって、本明細書で「Aおよび/またはB」などの表現で使用される「および/または」という用語は、「AおよびB」、「AまたはB」、「A」(単独)、および「B」(単独)を含むものとする。同様に、「A、B、および/またはC」などの表現で使用される「および/または」という用語は、以下の解釈のそれぞれを包含するものとする:A、B、およびC;A、B、またはC;AまたはC;AまたはB;BまたはC;AおよびC;AおよびB;BおよびC;A(単独);B(単独);C(単独)。
【0020】
本明細書に記載される本発明の局面および態様は、局面および態様「を含む」、「からなる」、および「から本質的になる」ことを包含することが理解されよう。
【0021】
別に定義しない限り、本明細書で使用する全ての技術用語および科学用語は、本開示が関係する技術分野の当業者によって一般的に理解されているのと同じ意味を有する。例えば、以下は本開示で使用される用語の多くの一般的な辞書を当業者に提供する:Concise Dictionary of Biomedicine and Molecular Biology, Juo, Pei-Show, 第2版, 2002, CRC Press; Dictionary of Cell and Molecular Biology, 第3版, 1999, Academic Press; およびOxford Dictionary Of Biochemistry And Molecular Biology, 改訂版, 2000, Oxford University Press。
【0022】
単位、接頭辞、および記号は、国際単位系(Systeme International de Unites:SI)で承認された形式で表示される。数値範囲には、その範囲を規定する数値が含まれる。本明細書で提供される見出しは、本開示の様々な局面の限定ではなく、そうした局面は本明細書を全体として参照することにより得られる。したがって、すぐ下で定義される用語は、本明細書全体を参照することでより完全に定義される。
【0023】
用語「組織因子」、「TF」、「CD142」、「組織因子抗原」、「TF抗原」および「CD142抗原」は、本明細書では相互交換可能に使用され、特に明記しない限り、細胞によって天然に発現されるか、または組織因子遺伝子でトランスフェクトされた細胞に発現される、ヒト組織因子のバリアント、アイソフォーム、および種ホモログを包含する。いくつかの態様では、組織因子は、GenbankアクセッションNP_001984にて見出されるアミノ酸配列を含む。
【0024】
用語「免疫グロブリン」とは、1対の低分子量軽(L)鎖と1対の重(H)鎖の2対のポリペプチド鎖からなり、4本全てがジスルフィド結合によって相互に連結されている、構造的に関連する糖タンパク質のクラスを指す。免疫グロブリンの構造は十分に特徴付けられている。例えば、Fundamental Immunology 第7章 (Paul, W.編, 第2版, Raven Press, N.Y. (1989))を参照のこと。簡単に説明すると、各重鎖は、典型的には、重鎖可変領域(本明細書ではVHまたはVHと略す)と重鎖定常領域(CHまたはCH)で構成される。重鎖定常領域は、一般的に、CH1、CH2、およびCH3の3つのドメインからなる。重鎖は一般に、いわゆる「ヒンジ領域」でジスルフィド結合を介して相互に連結されている。各軽鎖は、典型的には、軽鎖可変領域(本明細書ではVLまたはVLと略す)と軽鎖定常領域(CLまたはCL)で構成される。軽鎖定常領域は、一般的に、1つのドメインCLからなる。CLはκ(カッパ)またはλ(ラムダ)のアイソタイプであり得る。用語「定常ドメイン」および「定常領域」は、本明細書では交換可能に使用される。特に明記しない限り、定常領域のアミノ酸残基の番号付けは、Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 第5版, Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD. (1991)に記載されるEUインデックスに従う。免疫グロブリンは、IgA、分泌型IgA、IgG、およびIgMを含むがこれらに限定されない、一般に知られているアイソタイプのいずれかに由来し得る。IgGサブクラスも当業者に周知であり、ヒトIgG1、IgG2、IgG3およびIgG4を含むがこれらに限定されない。「アイソタイプ」は、重鎖定常領域遺伝子によってコードされる抗体クラスまたはサブクラス(例えば、IgMまたはIgG1)を指す。
【0025】
用語「可変領域」または「可変ドメイン」は、抗体の抗原への結合に関与する抗体重鎖または軽鎖のドメインを指す。天然抗体の重鎖および軽鎖の可変領域(それぞれVHおよびVL)は、相補性決定領域(CDR)とも呼ばれる超可変性の領域(つまり、配列が超可変性でありかつ/または構造的に規定されたループの形であり得る、超可変領域)にさらに分割することができ、この超可変領域には、フレームワーク領域(FR)と呼ばれる、より保存された領域が介在する。用語「相補性決定領域」および「CDR」は、「超可変領域」または「HVR」と同義であって、抗原特異性および/または結合親和性を与える、抗体可変領域内のアミノ酸の非連続配列を指すことが当技術分野で知られている。一般に、各重鎖可変領域には3つのCDR(CDR-H1、CDR-H2、CDR-H3)があり、各軽鎖可変領域には3つのCDR(CDR-L1、CDR-L2、CDR-L3)がある。「フレームワーク領域」および「FR」は、重鎖および軽鎖の可変領域の非CDR部分を指すことが当技術分野で知られている。一般に、各全長重鎖可変領域には4つのFR(FR-H1、FR-H2、FR-H3、およびFR-H4)があり、各全長軽鎖可変領域には4つのFR(FR-L1、FR-L2、FR-L3、およびFR-L4)がある。各VHおよびVL内で、3つのCDRと4つのFRは、通常、アミノ末端からカルボキシ末端へ次の順序で配置されている:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4(Chothia and Lesk J. Mot. Biol., 195, 901-917 (1987)も参照のこと)。
【0026】
本発明との関連において用語「抗体」(Ab)とは、免疫グロブリン分子、免疫グロブリン分子のフラグメント、またはそれらのいずれかの誘導体を指す;これらは、通常の生理学的条件下で抗原に特異的に結合する能力を有し、その半減期はかなり長く、例えば、少なくとも約30分、少なくとも約45分、少なくとも約1時間、少なくとも約2時間、少なくとも約4時間、少なくとも約8時間、少なくとも約12時間、約24時間以上、約48時間以上、約3日、約4日、約5日、約6日、約7日、またはそれより多くの日数など、あるいは他の関連する機能的に定義された期間(例えば、抗原への抗体の結合に関連する生理学的応答を誘発、促進、増強および/または調節するのに十分な期間、および/または抗体がエフェクター活性をリクルートするのに十分な期間)である。免疫グロブリン分子の重鎖および軽鎖の可変領域は、抗原と相互作用する結合ドメインを含んでいる。抗体(Ab)の定常領域は、免疫系の様々な細胞(例えば、エフェクター細胞)および補体系の成分(例えば、補体活性化の古典的経路の第1成分であるC1q)を含めて、宿主組織または因子への免疫グロブリンの結合を仲介することができる。抗体はまた、二重特異性抗体、ダイアボディ、多重特異性抗体または同様の分子であってもよい。
【0027】
本明細書で使用する用語「モノクローナル抗体」は、単一の一次アミノ酸配列を有する、組換えにより産生される抗体分子の調製物を指す。モノクローナル抗体組成物は、特定のエピトープに対する単一の結合特異性と親和性を示す。したがって、用語「ヒトモノクローナル抗体」は、ヒト生殖細胞系列免疫グロブリン配列に由来する可変領域と定常領域を有する、単一の結合特異性を示す抗体を指す。ヒトモノクローナル抗体は、不死化細胞に融合された、ヒト重鎖トランスジーンと軽鎖トランスジーンを含むゲノムを有する、トランスジェニックマウスなどのトランスジェニックまたはトランスクロモソーマル(transchromosomal)非ヒト動物から得られたB細胞を含む、ハイブリドーマによって作成され得る。
【0028】
「単離された抗体」は、異なる抗原特異性を有する他の抗体を実質的に含まない抗体を指す(例えば、TFに特異的に結合する単離された抗体は、TF以外の抗原に特異的に結合する抗体を実質的に含まない)。しかし、TFに特異的に結合する単離された抗体は、異なる種からのTF分子など、他の抗原に対して交差反応性を示すことがある。さらに、単離された抗体は、他の細胞物質および/または化学物質を実質的に含まない。一態様では、単離された抗体は、別の薬剤(例えば、小分子薬物)にコンジュゲートされたコンジュゲートを含む。いくつかの態様では、単離された抗TF抗体は、抗TF抗体と小分子薬物(例えば、MMAEまたはMMAF)とのコンジュゲートを含む。
【0029】
「ヒト抗体」(HuMAb)は、FRとCDRの両方がヒト生殖細胞系列の免疫グロブリン配列に由来する可変領域を有する抗体を指す。さらに、該抗体が定常領域を含む場合、その定常領域もまた、ヒト生殖細胞系列免疫グロブリン配列に由来する。本開示のヒト抗体は、ヒト生殖細胞系列免疫グロブリン配列によってコードされないアミノ酸残基(例えば、インビトロでのランダムもしくは部位特異的変異誘発によって、またはインビボでの体細胞変異によって導入された変異)を含み得る。しかし、本明細書で使用する用語「ヒト抗体」は、マウスなどの別の哺乳動物種の生殖細胞系列に由来するCDR配列がヒトフレームワーク配列にグラフトされた抗体を含むことを意図しない。「ヒト抗体」および「完全ヒト抗体」という用語は同義的に使用される。
【0030】
本明細書で使用する用語「ヒト化抗体」は、ヒト抗体定常ドメインと、ヒト可変ドメインに対する高レベルの配列相同性を含むように改変された非ヒト可変ドメインとを含む、遺伝子操作された非ヒト抗体を指す。これは、一緒になって抗原結合部位を形成する6つの非ヒト抗体相補性決定領域(CDR)を、相同なヒトアクセプターフレームワーク領域(FR)にグラフトすることによって達成され得る(WO92/22653およびEP0629240を参照)。親抗体の結合親和性と特異性を完全に再構成するために、親抗体(すなわち、非ヒト抗体)からのフレームワーク残基のヒトフレームワーク領域への置換(復帰変異(back-mutation))が必要になるかもしれない。構造的ホモロジーモデリングは、抗体の結合特性にとって重要なフレームワーク領域のアミノ酸残基を特定するのに役立つことがある。したがって、ヒト化抗体は、非ヒトCDR配列と、任意で非ヒトアミノ酸配列への1つまたは複数のアミノ酸復帰変異を含む、主にヒトフレームワーク領域と、完全なヒト定常領域とを含むことができる。必要に応じて、親和性および生化学的特性などの、好ましい特性を有するヒト化抗体を得るために、必ずしも復帰変異ではない追加のアミノ酸改変を適用することもできる。
【0031】
本明細書で使用する用語「キメラ抗体」は、可変領域が非ヒト種(例えば、げっ歯類)に由来し、定常領域が異なる種(例えば、ヒト)に由来する抗体を指す。キメラ抗体は抗体エンジニアリングによって作成され得る。「抗体エンジニアリング」は、抗体の様々な種類の改変に対して一般的に使用される用語であり、当業者にはよく知られたプロセスである。特に、キメラ抗体は、Sambrook et al., 1989, Molecular Cloning: A laboratory Manual, New York: Cold Spring Harbor Laboratory Press, Ch. 15に記載されるような、標準的なDNA技術を用いて作成することができる。かくして、キメラ抗体は遺伝的または酵素的に作成された組換え抗体であり得る。キメラ抗体を作成することは当業者の知識の範囲内であり、それゆえ、本発明によるキメラ抗体の作成は、本明細書に記載の方法以外の方法で行ってもよい。治療用のキメラモノクローナル抗体は、抗体の免疫原性を低下させるために開発されている。それらは、典型的には、対象となる抗原に特異的な非ヒト(例えば、マウス)可変領域と、ヒト抗体重鎖および軽鎖の定常ドメインを含み得る。キメラ抗体との関連で使用される用語「可変領域」または「可変ドメイン」は、免疫グロブリンの重鎖と軽鎖の両方のCDRおよびフレームワーク領域を含む領域を指す。
【0032】
「抗抗原抗体」は、抗原に結合する抗体を指す。例えば、抗TF抗体は、抗原TFに結合する抗体である。
【0033】
抗体の「抗原結合部分」または「抗原結合フラグメント」とは、完全抗体(whole antibody)が結合する抗原に特異的に結合する能力を保持する、抗体の1つまたは複数のフラグメントを指す。抗体フラグメント(例えば、抗原結合フラグメント)の例には、限定するものではないが、以下が含まれる:Fv、Fab、Fab'、Fab'-SH、F(ab')2;ダイアボディ;線形抗体;一本鎖抗体分子(例:scFv);および抗体フラグメントから形成された多重特異性抗体。抗体のパパイン消化は、「Fab」フラグメント(それぞれが単一の抗原結合部位を有する)と呼ばれる2つの同一の抗原結合フラグメント、および残りの「Fc」フラグメント(その名称は容易に結晶化する能力を反映している)をもたらす。ペプシン処理は、F(ab')2フラグメントを生成し、これは2つの抗原結合部位を有し、まだ抗原を架橋することができる。
【0034】
基準ポリペプチド配列に対する「配列同一性パーセント(%)」は、配列同士をアラインさせ、最大の配列同一性を達成するために(いかなる保存的置換も配列同一性の一部として考慮しない)、必要に応じて、ギャップを導入した後、基準ポリペプチド配列のアミノ酸残基と同一である、候補配列のアミノ酸残基のパーセンテージとして定義される。アミノ酸配列同一性パーセントを求めるためのアラインメントは、例えば、BLAST、BLAST-2、ALIGNまたはMegalign(DNASTAR社)ソフトウェアなどの、公開されているコンピュータソフトウェアを使用して、当業者の範囲内である様々な方法で達成することができる。当業者は、比較される配列の全長にわたって最大のアラインメントを達成するために必要とされるアルゴリズムを含めて、配列同士をアラインするのに適切なパラメータを決定することができる。例えば、所定のアミノ酸配列Aの所定のアミノ酸配列Bに対する配列同一性%(これは、特定のアミノ酸配列Bに対してある配列同一性%を有する特定のアミノ酸配列Aと言い換えることもできる)は、次のように計算される:
100×分数X/Y
ここで、Xは、そのプログラムのAとBのアラインメントにおいて該配列による完全な一致として記録されたアミノ酸残基の数であり、YはBのアミノ酸残基の総数である。アミノ酸配列Aの長さがアミノ酸配列Bの長さに等しくない場合、AのBに対する配列同一性%は、BのAに対する配列同一性%に等しくないことが理解されよう。
【0035】
本明細書で使用する場合、所定の抗原への抗体の結合との関連において「結合」、「結合する」または「特異的に結合する」という用語は、典型的には、例えば、抗体をリガンドとして使用し、抗原をアナライトとして使用するOctet HTX機器でBioLayer Interferometry(BLI)法により測定した場合、約10-6M以下のKD、例えば、約10-7M以下、約10-8M以下、約10-9M以下、約10-10M以下、または約10-11M以下のKDに対応する親和性で結合することであり、そして抗体は、所定の抗原または密接に関連する抗原以外の非特異的抗原(例:BSA、カゼイン)への結合のKDよりも少なくとも10倍低いKD、例えば、少なくとも100倍低い、少なくとも1,000倍低い、少なくとも10,000倍低い、または少なくとも100,000倍低いKDに対応する親和性で所定の抗原に結合する。結合のKDが低くなる量は、抗体のKDに依存する;したがって、抗体のKDが非常に低い場合、抗原への結合のKDが非特異的抗原への結合のKDよりも低くなる量は、少なくとも10,000倍であり得る(つまり、その抗体は高度に特異性である)。
【0036】
本明細書で使用する用語「KD」(M)は、特定の抗体-抗原相互作用の解離平衡定数を指す。本明細書で使用する親和性とKDは逆の関係にあり、すなわち、より高い親和性はより低いKDを指すことが意図され、より低い親和性はより高いKDを指すことが意図される。
【0037】
用語「ADC」は抗体-薬物コンジュゲートを指し、本発明との関連においては、本出願に記載されるような薬物部分(例:MMAEまたはMMAF)に連結されている抗TF抗体を指す。
【0038】
略語「vc」および「val-cit」は、ジペプチドであるバリン-シトルリンを指す。
【0039】
略語「PAB」は、自壊性(self-immolative)スペーサー:
を指す。
【0040】
略語「MC」は、ストレッチャーであるマレイミドカプロイル:
を指す。
【0041】
用語「Ab-MC-vc-PAB-MMAE」は、MC-vc-PABリンカーを介して薬物MMAEにコンジュゲートされた抗体を指す。
【0042】
「プラチナベースの薬剤」は、化学元素白金を含む配位錯体を含有する、化学療法剤として有用な分子または該分子を含む組成物を指す。プラチナベースの薬剤は、一般にDNA合成を阻害することによって作用し、一部はアルキル化活性を有する。プラチナベースの薬剤には、化学療法レジメンの一部として現在使用されている薬剤、現在開発中の薬剤、および将来開発される薬剤が含まれる。
【0043】
「がん」とは、体内の異常な細胞の無制御の増殖を特徴とする様々な疾患の幅広いグループを指す。「がん」または「がん組織」は腫瘍を含み得る。無秩序な細胞分裂と増殖は悪性腫瘍の形成をもたらし、悪性腫瘍は近隣組織に侵入しかつリンパ系または血流を通じて身体の離れた部分に転移することもできる。転移後、その遠位部の腫瘍は転移前腫瘍に「由来する」と言うことができる。例えば、子宮頸癌に「由来する腫瘍」は、転移した子宮頸癌の結果である腫瘍を指す。
【0044】
対象の「治療」または「療法」とは、疾患に関連する症状、合併症、状態、または生化学的兆候の発生、進行、発達、重症度、または再発を逆転、緩和、改善、抑制、減速、または防止することを目的として、対象に対して行われる任意のタイプの介入もしくはプロセス、または対象への活性薬剤の投与を指す。いくつかの態様では、その疾患はがんである。
【0045】
「対象」には、任意のヒトまたは非ヒト動物が含まれる。用語「非ヒト動物」は、脊椎動物、例えば、非ヒト霊長類、ヒツジ、イヌ、およびマウス、ラット、モルモットなどのげっ歯類を含むが、これらに限定されない。いくつかの態様では、対象はヒトである。「対象」、「患者」および「個体」という用語は、本明細書では相互交換可能に使用される。
【0046】
薬物または治療剤の「有効量」、「治療有効量」または「治療上有効な投与量」は、単独で、または別の治療剤と組み合わせて使用される場合、疾患の発症から対象を保護する薬物の量、あるいは症状の重症度の低下、無症状期間の頻度と持続の増加、または病気の苦痛による機能障害(impairment)もしくは能力障害(disability)の防止により証明される疾患の退縮を促進する薬物の量である。疾患の退縮を促進する治療剤の能力は、当業者に公知の様々な方法を用いて、例えば、臨床試験中にヒト対象において、ヒトでの有効性を予測する動物モデル系において、またはインビトロアッセイで治療剤の活性をアッセイすることによって、評価することができる。
【0047】
腫瘍の治療例として、治療有効量の抗がん剤は、未治療対象(例えば、1つまたは複数の未治療対象)と比較して、治療対象(例えば、1つまたは複数の治療対象)における細胞増殖または腫瘍成長を少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%抑制する。いくつかの態様では、治療有効量の抗がん剤は、未治療対象(例えば、1つまたは複数の未治療対象)と比較して、治療対象(例えば、1つまたは複数の治療対象)における細胞増殖または腫瘍成長を少なくとも100%抑制する。
【0048】
本開示の他の態様では、腫瘍の退縮を観察することができ、退縮は少なくとも約20日間、少なくとも約30日間、少なくとも約40日間、少なくとも約50日間、または少なくとも約60日間継続し得る。治療有効性のこれらの究極の測定にもかかわらず、免疫療法剤の評価は、「免疫関連応答パターン(immune-related response patterns)」をも考慮に入れる必要がある。
【0049】
薬物(例えば、抗TF抗体-薬物コンジュゲートまたはプラチナベースの薬剤)の治療有効量には、「予防上有効な量」が含まれ、これは、単独でまたは抗がん剤と組み合わせて、がんを発症するリスクのある対象(例えば、前がん状態を有する対象)またはがんの再発を起こすリスクのある対象に投与した場合、がんの発生または再発を阻止する薬物の量である。いくつかの態様では、予防上有効な量は、がんの発生または再発を完全に防止する。がんの発生または再発を「阻止する」とは、がんの発生または再発の可能性を減らすか、あるいはがんの発生または再発を完全に防止することを意味する。
【0050】
本明細書で使用する「治療量以下(subtherapeutic dose)」とは、過剰増殖性疾患(例えば、がん)の治療のために単独で投与する場合の治療化合物(例えば、抗TF抗体-薬物コンジュゲートまたはプラチナベースの薬剤)の常用量または通常使用量よりも低い治療化合物の用量を意味する。
【0051】
「免疫関連応答パターン」とは、がん特異的免疫応答を誘発することによって、または天然の免疫プロセスを改変することによって抗腫瘍効果を生み出す免疫療法剤により治療されたがん患者でしばしば観察される臨床応答パターンを指す。この応答パターンは、腫瘍量の初期増加または新しい病変の出現(これは、従来の化学療法剤の評価では、病勢進行として分類されて、薬物障害と同義である)の後に続く有益な治療効果を特徴とする。したがって、免疫療法剤の適切な評価には、標的疾患に対するこれらの薬剤の効果の長期モニタリングが必要であり得る。
【0052】
例として、「抗がん剤」は対象におけるがんの退縮を促進する。いくつかの態様では、治療有効量の薬物は、がんを排除するくらいにがんの退縮を促進する。「がんの退縮を促進する」とは、有効量の薬物を単独でまたは抗がん剤と組み合わせて投与すると、結果的に、腫瘍の成長もしくはサイズの減少、腫瘍の壊死、少なくとも1つの症状の重症度の低下、無症状期間の頻度と持続の増加、または病気の苦痛による機能障害もしくは能力障害の防止が生じることを意味する。さらに、治療に関する「有効」および「有効性」という用語は、薬理学的有効性と生理学的安全性の両方を含む。薬理学的有効性とは、患者におけるがんの退縮を促進する薬物の能力を指す。生理学的安全性とは、薬物の投与から生じる細胞レベル、臓器レベル、および/または生物レベルでの毒性もしくは他の有害な生理学的作用(副作用)のレベルを指す。
【0053】
「持続的奏効(sustained response)」とは、治療の中止後に腫瘍成長を抑えることへの持続的効果を指す。例えば、腫瘍サイズは、投与期の開始時のサイズと比較して、同じかまたはそれよりも小さくなっている。いくつかの態様では、持続的奏効は、治療期間と少なくとも同じ期間、または治療期間よりも少なくとも1.5倍、2.0倍、2.5倍、もしくは3.0倍長い期間を有する。
【0054】
本明細書で使用する場合、「完全奏効(complete response)」または「CR」は、全ての標的病変の消失を指す;「部分奏効(partial response)」または「PR」は、ベースライン長径和(sum of the longest diameters:SLD)を基準として、標的病変の長径和の少なくとも30%減少を指す;「病勢安定(stable disease)」または「SD」は、PRの対象となるのに十分な標的病変の縮小もなく、治療開始以来の最小SLDを基準としてPDの対象となるのに十分な増加もないことを指す。
【0055】
本明細書で使用する場合、「無増悪生存期間(progression-free survival)」または「PFS」は、治療されている疾患(例えば、がん)が悪化しない治療中および治療後の期間を指す。無増悪生存期間には、患者が完全奏効または部分奏効を経験した期間、および患者が病勢安定を経験した期間を含めることができる。
【0056】
本明細書で使用する場合、「全奏効率(overall response rate)」または「ORR」は、完全奏効(CR)率と部分奏効(PR)率の合計を指す。
【0057】
本明細書で使用する場合、「全生存率(overall survival)」または「OS」は、特定の期間後に生存している可能性が高いグループ内の個体の割合を指す。
【0058】
本明細書で使用する用語「体重ベースの用量」は、対象に投与される用量が対象の体重に基づいて計算されることを意味する。例えば、体重60kgの対象が2.0mg/kgのプラチナベースの薬剤または抗TF抗体-薬物コンジュゲートを必要とする場合、当該対象への投与のためにプラチナベースの薬剤または抗TF抗体-薬物コンジュゲートの適切な量(すなわち、120mg)を計算して使用することができる。
【0059】
本開示の方法に関して用語「固定用量(fixed dose)」の使用は、2種以上の異なる薬剤(例えば、プラチナベースの薬剤と抗TF抗体-薬物コンジュゲート)が互いに特定の(固定された)比率で対象に投与されることを意味する。いくつかの態様では、固定用量は、それらの薬剤の量(例えば、mg)に基づく。特定の態様では、固定用量は、それらの薬剤の濃度(例えば、mg/ml)に基づく。例えば、対象に投与されるプラチナベースの薬剤と抗TF抗体-薬物コンジュゲートの3:1の比は、約240mgのプラチナベースの薬剤と約80mgの抗TF抗体-薬物コンジュゲート、または約3mg/mlのプラチナベースの薬剤と約1mg/mlの抗TF抗体-薬物コンジュゲートが対象に投与されることを意味し得る。
【0060】
本開示の方法および投与量に関する用語「固定用量」の使用は、対象の体重または体表面積(BSA)に関係なく対象に投与される用量を意味する。したがって、固定用量は、mg/kg用量としてではなく、薬剤(例えば、抗TF抗体-薬物コンジュゲートおよび/またはプラチナベースの薬剤)の絶対量として提供される。例えば、体重60kgの対象と100kgの対象は、同じ用量の抗体または抗体-薬物コンジュゲート(例えば240mgの抗TF抗体-薬物コンジュゲートまたは例えば750mgのプラチナベースの薬剤)を受け取るだろう。
【0061】
「薬学的に許容される」という語句は、物質または組成物が化学的および/または毒物学的に、製剤を構成する他の成分および/またはそれで治療される哺乳動物と、適合しなければならないことを示す。
【0062】
本明細書で使用する語句「薬学的に許容される塩」とは、本発明の化合物の薬学的に許容される有機または無機塩を指す。例示的な塩には、限定するものではないが、以下が含まれる:硫酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、硝酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、酸性リン酸塩、イソニコチン酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、酸性クエン酸塩、酒石酸塩、オレイン酸塩、タンニン酸塩、パントテン酸塩、重酒石酸塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、ゲンチシン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、サッカリン酸塩、ギ酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、メタンスルホン酸塩「メシル酸塩」、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、パモ酸(すなわち、4,4'-メチレン-ビス-(2-ヒドロキシ-3-ナフトエ酸))塩、アルカリ金属(例:ナトリウムおよびカリウム)塩、アルカリ土類金属(例:マグネシウム)塩、およびアンモニウム塩。薬学的に許容される塩は、酢酸イオン、コハク酸イオン、または他の対イオンなどの別の分子を含むことができる。対イオンは、親化合物の電荷を安定化させる任意の有機または無機部分であり得る。さらに、薬学的に許容される塩は、その構造内に複数の荷電原子を持つことがある。複数の荷電原子が薬学的に許容される塩の一部である場合は、複数の対イオンを持つことができる。したがって、薬学的に許容される塩は、1つ以上の荷電原子および/または1つ以上の対イオンを有することができる。
【0063】
「投与する」または「投与」とは、当業者に公知の様々な方法および送達システムのいずれかを用いて、対象に治療剤を物理的に導入することを指す。抗TF抗体-薬物コンジュゲートおよび/またはプラチナベースの薬剤の例示的な投与経路には、静脈内、筋肉内、皮下、腹腔内、脊髄または他の非経口の投与経路、例えば注射または注入(例:静脈内注入)による投与経路が含まれる。本明細書で使用する語句「非経口投与」は、経腸投与および外用以外の、通常は注射による、投与方法を意味し、限定するものではないが、以下が含まれる:静脈内、筋肉内、動脈内、くも膜下腔内、リンパ内、病巣内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、被膜下、くも膜下、脊髄内、硬膜外および胸骨内の注射および注入、ならびにin vivoエレクトロポレーション。治療剤は、非腸管外(non-parenteral)経路を介して、または経口的に投与することができる。他の非腸管外経路には、局所、表皮または粘膜の投与経路、例えば、鼻腔内、膣内、直腸内、舌下または外用が含まれる。投与はまた、例えば、1回、複数回、および/または1つ以上の長期間にわたって行うこともできる。
【0064】
本明細書で交換可能に使用される用語「ベースライン」または「ベースライン値」は、治療剤(例えば、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートおよび/または本明細書に記載のプラチナベースの薬剤)の投与前または治療剤投与の開始時の症状の測定または特性評価を指すことができる。本明細書で企図されるTF関連疾患(例えば、膀胱癌または子宮頸癌)などの本明細書で企図される疾患の症状の軽減または改善を判定するために、ベースライン値を参照値と比較することができる。本明細書で交換可能に使用される用語「参照」または「参照値」は、治療剤(例えば、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートおよび/または本明細書に記載のプラチナベースの薬剤)の投与後の症状の測定または特性評価を指すことができる。参照値は、投与レジメンまたは治療サイクルの間に1回以上、あるいは投与レジメンまたは治療サイクルの完了時に測定することができる。「参照値」は、絶対値;相対値;上限および/または下限のある値;値の範囲;平均値(average value);中央値;平均値(mean value);またはベースライン値と比較した値であり得る。
【0065】
同様に、「ベースライン値」は、絶対値;相対値;上限および/または下限のある値;値の範囲;平均値(average value);中央値;平均値(mean value);または参照値と比較した値であり得る。参照値および/またはベースライン値は、1個体から、異なる2個体から、または個体群(例えば、2、3、4、5個体またはそれ以上のグループ)から取得することができる。
【0066】
本明細書で使用する用語「単剤療法」とは、抗TF抗体-薬物コンジュゲートまたは本明細書に記載のプラチナベースの薬剤が治療サイクルの間に対象に投与される唯一の抗がん剤であることを意味する。しかし、他の治療剤を該対象に投与することもできる。例えば、がんに伴う症状(根底にあるがん自体ではない)、例えば、炎症、疼痛、体重減少、および全身倦怠感を治療するためにがん患者に投与される抗炎症剤または他の薬剤を単剤療法の期間中に投与することができる。
【0067】
本明細書で使用する「有害事象(adverse event)」(AE)は、医療的処置の使用に伴う好ましくない、一般的に意図しないまたは望ましくない徴候(異常な検査所見を含む)、症状、または疾患である。医療的処置は1つまたは複数の関連するAEを示すことがあり、各AEの重症度は同じまたは異なるレベルであり得る。「有害事象を変える」ことができる方法への言及は、異なる治療レジメンの使用に伴う1つまたは複数のAEの発生率および/または重症度を軽減する治療レジメンを意味する。
【0068】
本明細書で使用する「重篤な有害事象(serious adverse event)」または「SAE」とは、以下の基準の1つを満たす有害事象である:
・致命的であるか、または生命を脅かす(重篤な有害事象の定義で使用される場合);「生命を脅かす」とは、患者が有害事象時に死亡のリスクがあった事象を指す;もし仮にそれがもっと重篤であったならば死を引き起こしたかもしれない事象を指すことはない。
・永続的または重大な能力障害/無能力をもたらす。
・先天性異常/先天性欠損をきたす。
・医学的に重大である、すなわち、患者を危険にさらすか、または上記の結果の1つを防ぐために医学的もしくは外科的介入を必要としうる事象として定義される。AEが「医学的に有意」であるかどうかを決断する際には、医学的および科学的判断を下す必要がある。
・入院または現在の入院期間の延長が必要である、ただし、以下を除く:1)状態の悪化とは関連がない、基礎疾患の定期的な治療またはモニタリング;2)調査中の適応症とは無関係で、インフォームドコンセントにサインして以来悪化していない既存の状態に対する待機的なまたは事前に計画された治療;ならびに3)患者の全身状態の悪化がない場合の社会的理由およびレスパイトケア(respite care)。
【0069】
選択肢(例えば、「または」)の使用は、選択肢の一方、両方、またはそれらの任意の組み合わせを意味すると理解されたい。本明細書で使用する場合、不定冠詞「a」または「an」は、記載または列挙された構成要素の「1つまたは複数」を指すと理解されたい。
【0070】
「約」または「本質的に~からなる」という用語は、当業者によって決定された特定の値または組成の許容誤差範囲内にある値または組成を指し、これは、その値または組成がどのように測定され、決定されるか、つまり測定システムの限界、に一部依存する。例えば、「約」または「本質的に~からなる」は、当技術分野では実施ごとに1または1を超える標準偏差内を意味し得る。あるいは、「約」または「本質的に~からなる」は、最大20%の範囲を意味し得る。さらに、特に生物学的システムまたはプロセスに関して、これらの用語は、値の最大10倍または最大5倍を意味し得る。特定の値または組成が本出願および特許請求の範囲で提供される場合、特に明記しない限り、「約」または「本質的に~からなる」の意味は、その特定の値または組成の許容誤差範囲内であると見なすべきである。
【0071】
本明細書で使用する用語「約1週間に1回」、「約2週間に1回」、「約3週間に1回」、または他の同様の投与間隔用語は、およその数を意味する。「約1週間に1回」は、7日±1日ごと、つまり6日~8日ごとを含むことができる。「約2週間に1回」は、14日±2日ごと、つまり12日~16日ごとを含むことができる。「約3週間に1回」は、21日±3日ごと、つまり18日~24日ごとを含むことができる。同様の概数が、例えば、約4週間に1回、約5週間に1回、約6週間に1回、約12週間に1回などに適用される。いくつかの態様では、約6週間に1回または約12週間に1回の投与間隔は、初回量を1週目の任意の日に投与し、その後、次回量をそれぞれ6週目または12週目の任意の日に投与できることを意味する。他の態様では、約6週間に1回または約12週間に1回の投与間隔は、初回量を1週目の特定の日(例えば、月曜日)に投与し、その後次回量をそれぞれ6週目または12週目の同じ日(すなわち、月曜日)に投与することを意味する。
【0072】
本明細書に記載される任意の濃度範囲、パーセンテージ範囲、比率範囲、または整数範囲は、特に断りのない限り、列挙された範囲内の任意の整数の値、および適切な場合にはその分数(整数の10分の1および100分の1など)を含むと理解されるべきである。
【0073】
本開示の様々な局面は、以下のサブセクションでさらに詳細に説明される。
【0074】
II. 併用療法
本発明は、がんの治療に使用するための、TFに結合する抗TF抗体-薬物コンジュゲートを提供し、ここで、該抗体-薬物コンジュゲートは、プラチナベースの薬剤と組み合わせて投与するためのものまたは投与されるべきものであり;該抗体-薬物コンジュゲートは、モノメチルアウリスタチンまたはその機能的類似体もしくはその機能的誘導体にコンジュゲートされた、抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントを含む。別の局面では、本発明は、がんの治療に使用するためのプラチナベースの薬剤を提供し、ここで、該プラチナベースの薬剤は、TFに結合する抗体-薬物コンジュゲートと組み合わせて投与するためのものまたは投与されるべきものであり;該抗体-薬物コンジュゲートは、モノメチルアウリスタチンまたはその機能的類似体もしくはその機能的誘導体にコンジュゲートされた、抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントを含む。いくつかの態様では、がんは膀胱癌である。いくつかの態様では、がんは子宮頸癌である。いくつかの態様では、子宮頸癌は進行期の子宮頸癌(例えば、ステージ3の子宮頸癌またはステージ4の子宮頸癌または転移性子宮頸癌)である。いくつかの態様では、進行した子宮頸癌は転移性癌である。いくつかの態様では、対象は、再発した、再発性および/または転移性の子宮頸癌を有する。
【0075】
A. 抗TF抗体
一般に、本開示の抗TF抗体は、TF(例えばヒトTF)に結合して、膀胱癌細胞または子宮頸癌細胞などの悪性細胞に対して細胞増殖抑制効果および細胞傷害効果を発揮する。本開示の抗TF抗体は、好ましくはモノクローナルであり、多重特異性、ヒト、ヒト化またはキメラ抗体、一本鎖抗体、Fabフラグメント、F(ab')フラグメント、Fab発現ライブラリーによって作成されたフラグメント、および上記のいずれかのTF結合フラグメントであり得る。いくつかの態様では、本開示の抗TF抗体はTFに特異的に結合する。本開示の免疫グロブリン分子は、免疫グロブリン分子の任意のタイプ(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgAおよびIgY)、クラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1およびIgA2)またはサブクラスのものであり得る。
【0076】
本開示の特定の態様では、抗TF抗体は本明細書に記載の抗原結合フラグメント(例えば、ヒト抗原結合フラグメント)であり、限定するものではないが、Fab、Fab'およびF(ab')2、Fd、一本鎖Fv(scFv)、一本鎖抗体、ジスルフィド結合Fv(sdFv)、およびVLまたはVHドメインのいずれかを含むフラグメントが含まれる。一本鎖抗体などの、抗原結合フラグメントは、可変領域を単独で、またはヒンジ領域、CH1、CH2、CH3およびCLドメインの全体または一部と組み合わせて、含み得る。また、本開示には、可変領域とヒンジ領域、CH1、CH2、CH3およびCLドメインとの任意の組み合わせを含む抗原結合フラグメントも含まれる。いくつかの態様では、抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントは、ヒト、ネズミ(例:マウスおよびラット)、ロバ、ヒツジ、ウサギ、ヤギ、モルモット、ラクダ、ウマ、またはニワトリの抗体である。
【0077】
本開示の抗TF抗体は、単一特異性、二重特異性、三重特異性、またはより高い多重特異性であり得る。多重特異性抗体は、TFの異なるエピトープに特異的であっても、TFと異種タンパク質の両方に特異的であってもよい。例えば、PCT公開公報WO 93/17715; WO 92/08802; WO 91/00360; WO 92/05793; Tutt, et al., 1991, J. Immunol. 147:60 69; 米国特許第4,474,893号; 第4,714,681号; 第4,925,648号; 第5,573,920号; 第5,601,819号; Kostelny et al., 1992, J. Immunol. 148:1547-1553を参照のこと。
【0078】
本開示の抗TF抗体は、それらに含まれる特定のCDRの観点から説明または特定され得る。所与のCDRまたはFRの正確なアミノ酸配列の境界は、いくつかの周知のスキームのいずれかを使用して簡単に決定することができる;そうしたスキームには、以下に記載されるものが含まれる:Kabat et al. (1991), “Sequences of Proteins of Immunological Interest,” 第5版, Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD(「Kabat」ナンバリングスキーム); Al-Lazikani et al., (1997) JMB 273,927-948(「Chothia」ナンバリングスキーム); MacCallum et al., J. Mol. Biol. 262:732-745 (1996), “Antibody-antigen interactions: Contact analysis and binding site topography,” J. Mol. Biol. 262, 732-745(「Contact」ナンバリングスキーム); Lefranc MP et al., “IMGT unique numbering for immunoglobulin and T cell receptor variable domains and Ig superfamily V-like domains,” Dev Comp Immunol, 2003 Jan;27(1):55-77(「IMGT」ナンバリングスキーム); Honegger A and Plueckthun A, “Yet another numbering scheme for immunoglobulin variable domains: an automatic modeling and analysis tool,” J Mol Biol, 2001 Jun 8;309(3):657-70(「Aho」ナンバリングスキーム); およびMartin et al., “Modeling antibody hypervariable loops: a combined algorithm,” PNAS, 1989, 86(23):9268-9272(「AbM」ナンバリングスキーム)。所与のCDRの境界は、識別するために使用したスキームに応じて変化しうる。いくつかの態様では、所与の抗体またはその領域(例えば、その可変領域)の「CDR」つまり「相補性決定領域」または個々の特定されたCDR(例えば、CDR-H1、CDR-H2、CDR-H3)は、前述のスキームのいずれかによって定義されたCDR(または特定のCDR)を包含すると理解されたい。例えば、特定のCDR(例:CDR-H3)が所与のVHまたはVL領域のアミノ酸配列中の対応するCDRのアミノ酸配列を含むという記述がある場合、そのようなCDRは、前述のスキームのいずれかによって定義される可変領域内の対応するCDR(例:CDR-H3)の配列を有することが理解される。例えば、Kabat、Chothia、AbM、またはIMGT法により定義されたCDRといったように、特定のCDRを識別するためのスキームを指定することができる。
【0079】
本明細書で提供されるCDR配列におけるアミノ酸残基のナンバリングは、Lefranc, M. P. et al., Dev. Comp. Immunol., 2003, 27, 55-77に記載のIMGTナンバリングスキームに従う。抗TF抗体-薬物コンジュゲートの抗TF抗体について本明細書で提供されるCDR配列は、Lefranc, M. P. et al., Dev. Comp. Immunol., 2003, 27, 55-77に記載のIMGT法に従う。
【0080】
特定の態様では、本開示の抗体は、抗体011の1つまたは複数のCDRを含む。WO 2011/157741およびWO 2010/066803を参照のこと。本開示は、重鎖または軽鎖可変ドメインを含む抗体またはその誘導体を包含する;該可変ドメインは、(a)3つのCDRのセット(該CDRのセットはモノクローナル抗体011に由来する)、および(b)4つのフレームワーク領域のセット(該フレームワーク領域のセットはモノクローナル抗体011のフレームワーク領域のセットとは異なる)を含み、該抗体またはその誘導体はTFに結合する。いくつかの態様では、該抗体またはその誘導体は、TFに特異的に結合する。特定の態様では、抗TF抗体は011である。抗体011はチソツマブとしても知られている。
【0081】
一局面では、TFへの結合についてチソツマブと競合する抗TF抗体も本明細書において提供される。チソツマブと同じエピトープに結合する抗TF抗体も本明細書において提供される。
【0082】
一局面では、チソツマブのCDR配列の1、2、3、4、5、または6つを含む抗TF抗体が本明細書で提供される。
【0083】
一局面では、重鎖可変領域と軽鎖可変領域を含む抗TF抗体であって、該重鎖可変領域が、(i)SEQ ID NO:1のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(ii)SEQ ID NO:2のアミノ酸配列を含むCDR-H2、および(iii)SEQ ID NO:3のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含み、かつ/または該軽鎖可変領域が、(i)SEQ ID NO:4のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(ii)SEQ ID NO:5のアミノ酸配列を含むCDR-L2、および(iii)SEQ ID NO:6のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含み、該抗TF抗体のCDRがIMGTナンバリングスキームによって定められる、抗TF抗体が本明細書で提供される。
【0084】
本明細書に記載される抗TF抗体は、該抗体がTF(例えば、ヒトTF)に結合する能力を保持するという条件で、どのような適切なフレームワーク可変ドメイン配列を含んでもよい。本明細書で使用する場合、重鎖フレームワーク領域は「HC-FR1~FR4」を指定され、軽鎖フレームワーク領域は「LC-FR1~FR4」を指定される。いくつかの態様では、抗TF抗体は、SEQ ID NO:9、10、11、および12(それぞれ、HC-FR1、HC-FR2、HC-FR3、およびHC-FR4)の重鎖可変ドメインフレームワーク配列を含む。いくつかの態様では、抗TF抗体は、SEQ ID NO:13、14、15、および16(それぞれ、LC-FR1、LC-FR2、LC-FR3、およびLC-FR4)の軽鎖可変ドメインフレームワーク配列を含む。
【0085】
本明細書に記載の抗TF抗体のいくつかの態様では、その重鎖可変ドメインは、以下のアミノ酸配列:
を含み、かつその軽鎖可変ドメインは、以下のアミノ酸配列:
を含む。
【0086】
本明細書に記載の抗TF抗体のいくつかの態様では、その重鎖CDR配列は、
を含む。
【0087】
本明細書に記載の抗TF抗体のいくつかの態様では、その重鎖FR配列は、
を含む。
【0088】
本明細書に記載の抗TF抗体のいくつかの態様では、その軽鎖CDR配列は、
を含む。
【0089】
本明細書に記載の抗TF抗体のいくつかの態様では、その軽鎖FR配列は、
を含む。
【0090】
いくつかの態様では、TF(例えば、ヒトTF)に結合する抗TF抗体が本明細書で提供され;ここで、該抗体は重鎖可変領域と軽鎖可変領域を含み、該抗体は、
(a)(1)SEQ ID NO:9のアミノ酸配列を含むHC-FR1;
(2)SEQ ID NO:1のアミノ酸配列を含むCDR-H1;
(3)SEQ ID NO:10のアミノ酸配列を含むHC-FR2;
(4)SEQ ID NO:2のアミノ酸配列を含むCDR-H2;
(5)SEQ ID NO:11のアミノ酸配列を含むHC-FR3;
(6)SEQ ID NO:3のアミノ酸配列を含むCDR-H3;および
(7)SEQ ID NO:12のアミノ酸配列を含むHC-FR4;
を含む重鎖可変ドメイン、
および/または
(b)(1)SEQ ID NO:13のアミノ酸配列を含むLC-FR1;
(2)SEQ ID NO:4のアミノ酸配列を含むCDR-L1;
(3)SEQ ID NO:14のアミノ酸配列を含むLC-FR2;
(4)SEQ ID NO:5のアミノ酸配列を含むCDR-L2;
(5)SEQ ID NO:15のアミノ酸配列を含むLC-FR3;
(6)SEQ ID NO:6のアミノ酸配列を含むCDR-L3;および
(7)SEQ ID NO:16のアミノ酸配列を含むLC-FR4;
を含む軽鎖可変ドメイン、
を含む。
【0091】
一局面では、SEQ ID NO:7のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインを含むか、またはSEQ ID NO:8のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む、抗TF抗体が本明細書で提供される。一局面では、SEQ ID NO:7のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインを含み、かつSEQ ID NO:8のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む、抗TF抗体が本明細書で提供される。
【0092】
いくつかの態様では、SEQ ID NO:7のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインを含む、抗TF抗体が本明細書で提供される。特定の態様では、SEQ ID NO:7のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインは、参照配列に対して置換(例:保存的置換)、挿入、または欠失を含み、かつTF(例:ヒトTF)に結合する能力を保持する。特定の態様では、合計1~10個のアミノ酸がSEQ ID NO:7において置換、挿入および/または欠失されている。特定の態様では、置換、挿入、または欠失(例えば、1、2、3、4、または5個のアミノ酸)は、CDRの外側の領域(すなわち、FR)に存在する。いくつかの態様では、抗TF抗体は、その翻訳後修飾を含めて、SEQ ID NO:7の重鎖可変ドメイン配列を含む。特別の態様では、重鎖可変ドメインは、以下から選択される1つ、2つまたは3つのCDRを含む:(a)SEQ ID NO:1のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(b)SEQ ID NO:2のアミノ酸配列を含むCDR-H2、および(c)SEQ ID NO:3のアミノ酸配列を含むCDR-H3。
【0093】
いくつかの態様では、SEQ ID NO:8のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む、抗TF抗体が本明細書で提供される。特定の態様では、SEQ ID NO:8のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインは、参照配列に対して置換(例:保存的置換)、挿入、または欠失を含み、かつTF(例:ヒトTF)に結合する能力を保持する。特定の態様では、合計1~10個のアミノ酸がSEQ ID NO:8において置換、挿入および/または欠失されている。特定の態様では、置換、挿入、または欠失(例えば、1、2、3、4、または5個のアミノ酸)は、CDRの外側の領域(すなわち、FR)に存在する。いくつかの態様では、抗TF抗体は、その翻訳後修飾を含めて、SEQ ID NO:8の軽鎖可変ドメイン配列を含む。特別の態様では、軽鎖可変ドメインは、以下から選択される1つ、2つまたは3つのCDRを含む:(a)SEQ ID NO:4のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(b)SEQ ID NO:5のアミノ酸配列を含むCDR-L2、および(c)SEQ ID NO:6のアミノ酸配列を含むCDR-L3。
【0094】
いくつかの態様では、抗TF抗体は、上に提供された態様のいずれかに記載の重鎖可変ドメインと、上に提供された態様のいずれかに記載の軽鎖可変ドメインを含む。一態様では、該抗体は、SEQ ID NO:7の重鎖可変ドメイン配列とSEQ ID NO:8の軽鎖可変ドメイン配列を含み、これらの配列の翻訳後修飾をも含む。
【0095】
いくつかの態様では、抗TF抗体-薬物コンジュゲートの抗TF抗体は、i)SEQ ID NO:1のアミノ酸配列を含む重鎖CDR1、SEQ ID NO:2のアミノ酸配列を含む重鎖CDR2、SEQ ID NO:3のアミノ酸配列を含む重鎖CDR3;およびii)SEQ ID NO:4のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR1、SEQ ID NO:5のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR2、SEQ ID NO:6のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3を含み、抗TF抗体のCDRはIMGTナンバリングスキームによって定められる。
【0096】
いくつかの態様では、抗TF抗体-薬物コンジュゲートの抗TF抗体は、i)SEQ ID NO:7のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と少なくとも85%の配列同一性を有するアミノ酸配列、およびii)SEQ ID NO:8のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域と少なくとも85%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0097】
いくつかの態様では、抗TF抗体-薬物コンジュゲートの抗TF抗体は、モノクローナル抗体である。
【0098】
いくつかの態様では、抗TF抗体-薬物コンジュゲートの抗TF抗体は、チソツマブであり、これはWO 2011/157741およびWO 2010/066803に記載される抗体011としても知られている。
【0099】
本発明の抗TF抗体はまた、TF(例えば、ヒトTF)に対するその結合親和性の観点から記載または特定され得る。好ましい結合親和性には、解離定数またはKdが5×10-2M、10-2M、5×10-3M、10-3M、5×10-4M、10-4M、5×10-5M、10-5M、5×10-6M、10-6M、5×10-7M、10-7M、5×10-8M、10-8M、5×10-9M、10-9M、5×10-10M、10-10M、5×10-11M、10-11M、5×10-12M、10-12M、5×10-13M、10-13M、5×10-14M、10-14M、5×10-15M、または10-15M未満のものが含まれる。
【0100】
免疫グロブリンには、IgA、IgD、IgE、IgG、IgMの5つのクラスがあり、それぞれα、δ、ε、γ、μと指定された重鎖を有する。γおよびαクラスはさらにサブクラスに分類され、例えば、ヒトは次のサブクラスを発現する:IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1およびIgA2。IgG1抗体は、アロタイプと呼ばれる複数の多型バリアントとして存在することができ(Jefferis and Lefranc 2009. mAbs Vol 1 Issue 4 1-7で概説)、これらはいずれも本明細書の態様のいくつかで使用するのに適している。ヒト集団における共通のアロタイプバリアントは、a、f、n、z、またはそれらの組み合わせで指定されたものである。本明細書の態様のいずれかにおいて、該抗体は、ヒトIgG Fc領域を含む重鎖Fc領域を含み得る。さらなる態様では、ヒトIgG Fc領域はヒトIgG1を含む。
【0101】
前記抗体はまた、修飾された誘導体、すなわち、任意のタイプの分子の該抗体への共有結合により修飾された誘導体を含むが、その共有結合によって、該抗体がTFに結合したり、HD細胞に対して細胞増殖抑制効果または細胞傷害効果を発揮したりすることが妨げられないようにする。例えば、限定するものではないが、抗体誘導体には、グリコシル化、アセチル化、PEG化、リン酸化、アミド化、公知の保護基/ブロッキング基による誘導体化、タンパク質分解切断、細胞リガンドまたは他のタンパク質への結合などによって、修飾された抗体が含まれる。多くの化学修飾はどれも、特異的化学切断、アセチル化、ホルミル化、ツニカマイシンの代謝合成などを含むがこれらに限定されない公知の技術により行うことができる。さらに、該誘導体は、1つまたは複数の非古典的アミノ酸を含み得る。
【0102】
B. 抗体-薬物コンジュゲートの構造
いくつかの局面では、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートは、本明細書に記載の抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントと細胞増殖抑制性または細胞傷害性の薬物との間にリンカーを含む。いくつかの態様では、リンカーは切断不可能なリンカーである。いくつかの態様では、リンカーは切断可能なリンカーである。
【0103】
いくつかの態様では、該リンカーは、マレイミドカプロイル(MC)、ジペプチドバリン-シトルリン(vc)およびp-アミノベンジルカルバメート(PAB)を含む切断可能なペプチドリンカーである。いくつかの態様では、該切断可能なペプチドリンカーは式:MC-vc-PAB-を有し、式中、
a)MCは
であり、
b)vcはジペプチドであるバリン-シトルリンであり、
c)PABは
である。
【0104】
いくつかの態様では、該リンカーは、マレイミドカプロイル(MC)を含む切断可能なペプチドリンカーである。いくつかの態様では、該切断可能なペプチドリンカーは式:MC-を有し、式中、
a)MCは
である。
【0105】
いくつかの態様では、該リンカーは、抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントの部分還元または完全還元によって得られた抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントのスルフヒドリル残基に結合する。いくつかの態様では、該リンカーは、抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントの部分還元によって得られた抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントのスルフヒドリル残基に結合する。いくつかの態様では、該リンカーは、抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントの完全還元によって得られた抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントのスルフヒドリル残基に結合する。
【0106】
いくつかの局面では、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートは、本明細書に記載の抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントと細胞増殖抑制性または細胞傷害性の薬物との間に本明細書に記載のリンカーを含む。アウリスタチン類は微小管ダイナミクス、GTP加水分解、および核分裂と細胞分裂を妨害し(Woyke et al (2001) Antimicrob. Agents and Chemother. 45(12): 3580-3584参照)、抗がん活性(米国特許第5663149号参照)および抗真菌活性(Pettit et al., (1998) Antimicrob. Agents and Chemother. 42: 2961-2965参照)を有することが示されている。例えば、アウリスタチンEをp-アセチル安息香酸またはベンゾイル吉草酸と反応させて、それぞれAEBおよびAEVBを生成することができる。他の典型的なアウリスタチン誘導体には、AFP、MMAF(モノメチルアウリスタチンF)、およびMMAE(モノメチルアウリスタチンE)が含まれる。適切なアウリスタチン類、アウリスタチンの類似体、誘導体およびプロドラッグ、ならびにアウリスタチンのAbへのコンジュゲーションに適したリンカーは、例えば、米国特許第5,635,483号、第5,780,588号、第6,214,345号、および国際特許出願公開公報WO02088172、WO2004010957、WO2005081711、WO2005084390、WO2006132670、WO03026577、WO200700860、WO207011968、WO205082023に記載されている。本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートのいくつかの態様では、細胞増殖抑制性または細胞傷害性の薬物は、アウリスタチンまたはその機能的類似体(例:その機能的ペプチド)もしくはその機能的誘導体である。いくつかの態様では、アウリスタチンは、モノメチルアウリスタチンまたはその機能的類似体(例:その機能的ペプチド)もしくはその機能的誘導体である。
【0107】
一態様では、アウリスタチンは、モノメチルアウリスタチンE(MMAE):
であり、ここで、波線はリンカーへの結合部位を示す。
【0108】
一態様では、アウリスタチンは、モノメチルアウリスタチンF(MMAF):
であり、ここで、波線はリンカーへの結合部位を示す。
【0109】
一態様では、切断可能なペプチドリンカーは式:MC-vc-PAB-を有し、MMAEに結合する。結果として生じるリンカー-アウリスタチン、MC-vc-PAB-MMAEは、vcMMAEとも表される。vcMMAE薬物リンカー部分およびコンジュゲーション法は、WO2004010957、US7659241、US7829531およびUS7851437に開示されている。vcMMAEが本明細書に記載の抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントに結合する場合、得られる構造は、
であり、ここで、pは1~8の数(例えば、1、2、3、4、5、6、7、または8)を表し、例えばpは3~5であってよく、Sは抗TF抗体のスルフヒドリル残基を表し、Abは本明細書に記載の抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントを表す。一態様では、抗体-薬物コンジュゲートの集団におけるpの平均値は、約4である。いくつかの態様では、pは、疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)で、例えば、疎水性の漸増に基づいて薬物負荷種を分割することによって測定され、最も疎水性の低い非コンジュゲート形態が最初に溶出し、最も疎水性の高い8薬物形態が最後に溶出する;この場合、ピークの面積百分率が特定の薬物を負荷された抗体-薬物コンジュゲート種の相対分布を表す。Ouyang, J., 2013, Antibody-Drug Conjugates, Methods in Molecular Biology (Methods and Protocols)を参照のこと。いくつかの態様では、pは、逆相高速液体クロマトグラフィー(RP-HPLC)で、例えば、ADCの重鎖と軽鎖を完全に解離させるために最初に還元反応を実施し、次にRPカラムで軽鎖と重鎖およびそれらの対応する薬物負荷形態を分離することによって測定される;この場合、ピーク百分率は軽鎖と重鎖のピークの積分から得られ、各ピークに割り当てられた薬物負荷と組み合わせて、加重平均薬物対抗体比を算出するために使用する。Ouyang, J., 2013, Antibody-Drug Conjugates, Methods in Molecular Biology (Methods and Protocols)を参照のこと。
【0110】
一態様では、切断可能なペプチドリンカーは式:MC-vc-PAB-を有し、MMAFに結合する。結果として生じるリンカー-アウリスタチン、MC-vc-PAB-MMAFは、vcMMAFとも表される。別の態様では、切断不可能なリンカーMCがMMAFに結合する。結果として生じるリンカー-アウリスタチンMC-MMAFは、mcMMAFとも表される。vcMMAFおよびmcMMAF薬物リンカー部分の両方およびコンジュゲーション法は、WO2005081711およびUS7498298に開示されている。vcMMAFまたはmcMMAFが本明細書に記載の抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントに結合する場合、得られる構造は、
であり、ここで、pは1~8の数(例えば、1、2、3、4、5、6、7、または8)を表し、例えばpは3~5であってよく、Sは抗TF抗体のスルフヒドリル残基を表し、AbまたはmAbは本明細書に記載の抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントを表す。一態様では、抗体-薬物コンジュゲートの集団におけるpの平均値は、約4である。いくつかの態様では、pは、疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)で、例えば、疎水性の漸増に基づいて薬物負荷種を分割することによって測定され、最も疎水性の低い非コンジュゲート形態が最初に溶出し、最も疎水性の高い8薬物形態が最後に溶出する;この場合、ピークの面積百分率が特定の薬物を負荷された抗体-薬物コンジュゲート種の相対分布を表す。Ouyang, J., 2013, Antibody-Drug Conjugates, Methods in Molecular Biology (Methods and Protocols)を参照のこと。いくつかの態様では、pは、逆相高速液体クロマトグラフィー(RP-HPLC)で、例えば、ADCの重鎖と軽鎖を完全に解離させるために最初に還元反応を実施し、次にRPカラムで軽鎖と重鎖およびそれらの対応する薬物負荷形態を分離することによって測定される;この場合、ピーク百分率は軽鎖と重鎖のピークの積分から得られ、各ピークに割り当てられた薬物負荷と組み合わせて、加重平均薬物対抗体比を算出するために使用する。Ouyang, J., 2013, Antibody-Drug Conjugates, Methods in Molecular Biology (Methods and Protocols)を参照のこと。
【0111】
一態様では、抗体-薬物コンジュゲートはチソツマブベドチンである。
【0112】
C. プラチナベースの薬剤
一般に、本開示のプラチナベースの薬剤は、化学療法剤として有用な、化学元素白金を含む配位錯体を含有する分子または該分子を含む組成物を指す。いくつかの態様では、プラチナベースの薬剤は、DNAに共有結合し、鎖を架橋し、DNA合成を阻害し、かつ/または転写を阻害する。プラチナベースの薬剤は、化学療法レジメンの一部として現在使用されているもの、現在開発中のもの、および将来開発される可能性があるものを包含する。プラチナベースの薬剤としては、限定するものではないが、カルボプラチン、シスプラチン、オキサリプラチン、ネダプラチン、四硝酸トリプラチン、フェナントリプラチン、ピコプラチン、およびサトラプラチンが挙げられる。いくつかの態様では、プラチナベースの薬剤はカルボプラチン、シスプラチン、オキサリプラチン、またはネダプラチンである。いくつかの態様では、プラチナベースの薬剤はカルボプラチンである。いくつかの態様では、プラチナベースの薬剤はシスプラチンである。いくつかの態様では、プラチナベースの薬剤はオキサリプラチンである。いくつかの態様では、プラチナベースの薬剤はネダプラチンである。
【0113】
D. 核酸、宿主細胞および作製方法
いくつかの局面では、本明細書に記載の抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントをコードする核酸も本明細書で提供される。本明細書に記載の抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントをコードする核酸を含むベクターが本明細書でさらに提供される。本明細書に記載の抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントをコードする核酸を発現する宿主細胞が本明細書でさらに提供される。本明細書に記載の抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントをコードする核酸を含むベクターを保有する宿主細胞が本明細書でさらに提供される。抗TF抗体、リンカー、および抗TF抗体-薬物コンジュゲートを作製する方法は、米国特許第9,168,314号に記載されている。
【0114】
本明細書に記載の抗TF抗体は、周知の発現ベクター系および宿主細胞を使用して、周知の組換え技術により作製することができる。一態様では、該抗体は、De la Cruz Edmunds et al., 2006, Molecular Biotechnology 34; 179-190;EP216846;米国特許第5,981,216号;WO 87/04462;EP323997;米国特許第5,591,639号;米国特許第5,658,759号;EP338841;米国特許第5,879,936号;および米国特許第5,891,693号に開示されるように、GS発現ベクター系を用いてCHO細胞において作製される。
【0115】
当技術分野で周知の技術を用いて細胞培地から該抗TF抗体を単離および精製した後、それらは、米国特許第9,168,314号に記載されるように、リンカーを介してアウリスタチンとコンジュゲートされる。
【0116】
本明細書に記載のモノクローナル抗TF抗体は、例えば、Kohler et al., Nature, 256, 495 (1975)に最初に記載されたハイブリドーマ法によって作製されるか、または組換えDNA法によって作製され得る。モノクローナル抗体はまた、例えば、Clackson et al., Nature, 352, 624-628 (1991)およびMarks et al., JMol, Biol., 222(3):581-597 (1991)に記載される技術を用いて、ファージ抗体ライブラリーから単離することもできる。モノクローナル抗体は、任意の適切な供給源から得ることができる。したがって、例えば、モノクローナル抗体は、関心対象の抗原で免疫したマウス由来のマウス脾臓B細胞から調製されたハイブリドーマから、例えば、表面上に該抗原を発現する細胞の形で、または関心対象の抗原をコードする核酸の形で、得ることができる。モノクローナル抗体はまた、免疫されたヒトまたは非ヒト哺乳動物、例えばラット、イヌ、霊長類など、の抗体発現細胞から誘導されたハイブリドーマから得ることもできる。
【0117】
一態様では、本発明の抗体(例えば、抗TF抗体)はヒト抗体である。TFに対するヒトモノクローナル抗体は、マウス系ではなくヒト免疫系の一部を保有するトランスジェニックまたはトランスクロモソーマル(transchromosomal:染色体導入)マウスを使用して作製することができる。そのようなトランスジェニックおよびトランスクロモソミック(transchromosomic)マウスには、本明細書でそれぞれHuMAbマウスおよびKMマウスと呼ばれるマウスが含まれ、これらは本明細書ではまとめて「トランスジェニックマウス」と呼ばれる。
【0118】
HuMAbマウスは、再配列されていないヒト重鎖(μおよびγ)およびκ軽鎖免疫グロブリン配列をコードするヒト免疫グロブリン遺伝子ミニ座位(minilocus)を、内因性μおよびκ鎖座位を不活性化する標的突然変異と一緒に含む(Lonberg, N. et al., Nature, 368, 856-859 (1994))。その結果、このマウスはマウスIgMまたはκの発現低下を示し、免疫化に応答して、導入されたヒト重鎖および軽鎖トランスジーンがクラススイッチおよび体細胞変異を受けて高親和性ヒトIgG,κモノクローナル抗体を生成する(Lonberg, N. et al. (1994), 前出; Lonberg, N. Handbook of Experimental Pharmacology 113, 49-101 (1994)に掲載; Lonberg, N. and Huszar. D., Intern. Rev. Immunol, Vol. 13 65-93 (1995)およびHarding, F. and Lonberg, N. Ann, N.Y. Acad. Sci 764:536-546 (1995))。HuMAbマウスの作製は以下の文献に詳しく説明されている:Taylor, L. et al., Nucleic Acids Research. 20:6287-6295 (1992); Chen, J. et al., International Immunology. 5:647-656 (1993); Tuaillon at al., J. Immunol, 152:2912-2920 (1994); Taylor, L. et al., International Immunology, 6:579-591 (1994); Fishwild, D. et al., Nature Biotechnology, 14:845-851 (1996)。また、米国特許第5,545,806号、第5,569,825号、第5,625,126号、第5,633,425号、第5,789,650号、第5,877,397号、第5,661,016号、第5,814,318号、第5,874,299号、第5,770,429号、第5,545,807号、WO 98/24884、WO 94/25585、WO 93/1227、WO 92/22645、WO 92/03918およびWO 01/09187も参照されたい。
【0119】
HCo7マウスは、その内因性軽鎖(κ)遺伝子のJKD破壊(Chen et al, EMBO J. 12:821-830 (1993)に記載)、その内因性重鎖遺伝子のCMD破壊(WO 01/14424の実施例1に記載)、KCo5ヒトκ軽鎖トランスジーン(Fishwild et al., Nature Biotechnology, 14:845-851 (1996)に記載)、およびHCo7ヒト重鎖トランスジーン(米国特許第5,770,429号に記載)を有する。
【0120】
HCo12マウスは、その内因性軽鎖(κ)遺伝子のJKD破壊(Chen et al, EMBO J. 12:821-830 (1993)に記載)、その内因性重鎖遺伝子のCMD破壊(WO 01/14424の実施例1に記載)、KCo5ヒトκ軽鎖トランスジーン(Fishwild et al., Nature Biotechnology, 14:845-851 (1996)に記載)、およびHCo12ヒト重鎖トランスジーン(WO 01/14424の実施例2に記載)を有する。
【0121】
HCo17トランスジェニックマウス系統(US 2010/0077497をも参照)は、pHC2の80kbインサート(Taylor et al. (1994) Int. Immunol., 6:579-591)、pVX6のKbインサート、およびyIgH24染色体の~460kb酵母人工染色体断片の同時注入によって作出された。この系統を(HCo17) 25950と命名した。次に、(HCo17) 25950系統を、CMD変異(PCT公開WO 01109187の実施例1に記載)、JKD変異(Chen et al, (1993) EMBO J. 12:811-820)、および(KCo5) 9272トランスジーン(Fishwild et al. (1996) Nature Biotechnology, 14:845-851)を含むマウスと交配させた。得られたマウスは、内因性マウス重鎖およびκ軽鎖座位の破壊のためにホモ接合性のバックグラウンドで、ヒト免疫グロブリン重鎖およびκ軽鎖トランスジーンを発現する。
【0122】
HCo20トランスジェニックマウス系統は、ミニ座位30重鎖トランスジーンpHC2、生殖細胞系列可変領域(Vh)含有YAC yIgH10、およびミニ座位構築物pVx6(WO09097006に記載)を同時注入した結果である。次に、この(HCo20)系統を、CMD変異(PCT公開WO 01/09187の実施例1に記載)、JKD変異(Chen et al, (1993) EMBO J. 12:811-820)、および(KCo5) 9272トランスジーン(Fishwild et al. (1996) Nature Biotechnology, 14:845-851)を含むマウスと交配させた。得られたマウスは、内因性マウス重鎖およびκ軽鎖座位の破壊のためにホモ接合性のバックグラウンドで、ヒト10免疫グロブリン重鎖およびκ軽鎖トランスジーンを発現する。
【0123】
Balb/c系統の有益な特性を備えたHuMabマウスを作製するために、KCo5系統(Fishwild et al, (1996) Nature Biotechnology, 14:845-851に記載)を野生型Balb/cマウスに戻し交配することによって作製されたKco05 [MIK] (Balb)マウスとHuMabマウスとを交雑させて、WO09097006に記載されるマウスを作出した。この交雑を用いて、HCo12、HCo17、およびHCo20系統についてのBalb/cハイブリッドを作出した。
【0124】
KMマウス系統では、内因性マウスκ軽鎖遺伝子がChen et al., EMBO J. 12:811-820 (1993)に記載されるようにホモ接合的に破壊されており、また、内因性マウス重鎖遺伝子がWO 01/09187の実施例1に記載されるようにホモ接合的に破壊されている。このマウス系統は、Fishwild et al., Nature Biotechnology, 14:845-851 (1996)に記載されるように、ヒトκ軽鎖トランスジーンを保有する。このマウス系統はまた、WO 02/43478に記載されるように、第14染色体断片hCF(SC20)からなるヒト重鎖トランスクロモソームをも保有する。
【0125】
これらのトランスジェニックマウス由来の脾細胞を使用すると、周知の技法に従って、ヒトモノクローナル抗体を分泌するハイブリドーマを作製することができる。本発明のヒトモノクローナルもしくはポリクローナル抗体、または他の種に由来する本発明の抗体はまた、目的の免疫グロブリン重鎖および軽鎖配列がトランスジェニックである別の非ヒト哺乳動物または植物を作出し、それから回収可能な形態で抗体を産生させることによって、遺伝子組換え的に作製することもできる。哺乳動物でのトランスジェニック産生に関連して、抗体をヤギ、ウシ、または他の哺乳動物において産生させ、その乳汁から抗体を回収することができる。例えば、米国特許第5,827,690号、第5,756,687号、第5,750,172号、および第5,741,957号を参照されたい。
【0126】
さらに、本発明のヒト抗体または他の種に由来する本発明の抗体は、当技術分野で周知の方法を用いて、ディスプレイ型の技術、例えば、限定するものではないが、ファージディスプレイ、レトロウイルスディスプレイ、リボソームディスプレイ、およびその他の技術によって、作製することができる;得られる分子は親和性成熟などのさらなる成熟技術に供することができ、そうした技術は当技術分野で周知である(例えば、Hoogenboom et al., J. Mol, Biol. 227(2):381-388 (1992)(ファージディスプレイ);Vaughan et al., Nature Biotech, 14:309 (1996)(ファージディスプレイ);Hanes and Plucthau, PNAS USA 94:4937-4942 (1997)(リボソームディスプレイ);Parmley and Smith, Gene, 73:305-318 (1988)(ファージディスプレイ);Scott, TIBS. 17:241-245 (1992);Cwirla et al., PNAS USA, 87:6378-6382 (1990);Russel et al., Nucl. Acids Research, 21:1081-4085 (1993);Hogenboom et al., Immunol, Reviews, 130:43-68 (1992);Chiswell and McCafferty, TIBTECH, 10:80-84 (1992);および米国特許第5,733,743号を参照のこと)。ヒト抗体ではない抗体を作製するためにディスプレイ技術を利用した場合には、そのような抗体をヒト化してもよい。
【0127】
III. 治療方法
本発明は、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートおよび本明細書に記載のプラチナベースの薬剤を用いて対象のがんを治療する方法を提供する。一局面では、該抗体-薬物コンジュゲートはチソツマブベドチンである。一局面では、プラチナベースの薬剤はカルボプラチンである。一局面では、プラチナベースの薬剤はシスプラチンである。特定の態様では、対象はヒトである。
【0128】
別の局面では、本発明は、がんの治療に使用するための、TFに結合する抗体-薬物コンジュゲートを提供し、ここで、該抗体-薬物コンジュゲートは、プラチナベースの薬剤と組み合わせて投与するためのものまたは投与されるべきものであり;該抗体-薬物コンジュゲートは、モノメチルアウリスタチンまたはその機能的類似体もしくはその機能的誘導体にコンジュゲートされた、抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントを含む。
【0129】
別の局面では、本発明は、がんの治療に使用するためのプラチナベースの薬剤を提供し、ここで、該プラチナベースの薬剤は、TFに結合する抗体-薬物コンジュゲートと組み合わせて投与するためのものまたは投与されるべきものであり;該抗体-薬物コンジュゲートは、モノメチルアウリスタチンまたはその機能的類似体もしくはその機能的誘導体にコンジュゲートされた、抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントを含む。
【0130】
A. 膀胱癌
膀胱癌は米国では5番目に多いがん診断である。アメリカ癌協会(American Cancer Society:ACS)は、2009年には70,980人の膀胱癌の新規患者が発生し、毎年14,330人が膀胱癌で死亡すると推定した。ACSはまた、膀胱癌の罹患率は男性で1/27、女性で1/85であり、膀胱癌患者の90%が55歳以上であると推定した。浸潤性の膀胱癌は、リンパ節、骨盤内の他の臓器(腎臓および腸機能の問題を引き起こす)、または肝臓、肺などの体内の他の臓器に拡がることがある。膀胱癌の標準的な治療法は、手術、放射線療法、化学療法、および生物学的療法である。
【0131】
いくつかの局面では、本発明は、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートおよび本明細書に記載のプラチナベースの薬剤を用いて対象の膀胱癌を治療する方法を提供する。一局面では、該抗体-薬物コンジュゲートはチソツマブベドチンである。一局面では、プラチナベースの薬剤はカルボプラチンである。一局面では、プラチナベースの薬剤はシスプラチンである。特定の態様では、対象はヒトである。
【0132】
いくつかの態様では、対象由来の膀胱癌細胞の少なくとも約0.1%、少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約6%、少なくとも約7%、少なくとも約8%、少なくとも約9%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、または少なくとも約80%は、TFを発現する。いくつかの態様では、対象由来の膀胱癌細胞の少なくとも0.1%、少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも6%、少なくとも7%、少なくとも8%、少なくとも9%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、または少なくとも80%は、TFを発現する。いくつかの態様では、TFを発現する細胞の割合は免疫組織化学(IHC)を用いて決定される。いくつかの態様では、TFを発現する細胞の割合はフローサイトメトリーを用いて決定される。いくつかの態様では、TFを発現する細胞の割合は酵素免疫測定法(ELISA)を用いて決定される。
【0133】
B. 子宮頸癌
子宮頸癌は、スクリーニング、診断、予防、および治療の進歩にもかかわらず、依然として女性のがん関連死の主な原因の1つである。それは、新たに診断されたがん症例全体の約4%を占め、がんによる死亡者総数の4%を占める。Zhu et al., 2016, Drug Des. Devel. Ther. 10:1885-1895を参照のこと。子宮頸癌は、世界で7番目に多く見られる女性のがんであり、欧州連合では16番目に多いがんである。最初の発現時のステージに応じて、子宮頸癌は女性の25~61%で再発することがある。Tempfer et al., 2016, Oncol. Res. Treat. 39:525-533を参照のこと。ほとんどの場合、再発疾患は最初の治療から2年以内に診断され、様々な部位で観察され得る。こうした患者の標準的な治療は化学療法である。Zhu et al., 2016, Drug Des. Devel. Ther. 10:1885-1895を参照のこと。現在、全生存期間の中央値は1年を超えているが、ステージIVの子宮頸癌の5年相対生存率は15%にすぎず、子宮頸癌の改善された治療方法の必要性が高いことを示している。
【0134】
いくつかの局面において、本明細書では、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートおよび本明細書に記載のプラチナベースの薬剤を用いて対象の子宮頸癌を治療する方法が提供される。一局面では、該抗体-薬物コンジュゲートはチソツマブベドチンである。一局面では、プラチナベースの薬剤はカルボプラチンである。一局面では、プラチナベースの薬剤はシスプラチンである。いくつかの態様では、対象は、子宮頸癌に対する以前の全身療法を受けたことがない。いくつかの態様では、化学療法は、子宮頸癌に対する以前の全身療法とは見なされない。いくつかの態様では、放射線療法は、子宮頸癌に対する以前の全身療法とは見なされない。いくつかの態様では、化学療法と放射線療法の併用は、子宮頸癌に対する以前の全身療法とは見なされない。いくつかの態様では、対象は化学療法および/または放射線療法で以前に治療されたことがある。いくつかの態様では、対象は根治療法の候補ではない。いくつかの態様では、根治療法は放射線療法および/または内臓摘出療法である。いくつかの態様では、根治療法は放射線療法である。いくつかの態様では、根治療法は内臓摘出療法である。特定の態様では、対象はヒトである。
【0135】
本明細書で提供される方法または使用または使用のための製造物品のいくつかの態様では、子宮頸癌は、腺癌、腺扁平上皮癌、扁平上皮癌、小細胞癌、神経内分泌腫瘍、すりガラス細胞癌(glassy cell carcinoma)、または絨毛腺管状腺癌(villoglandular adenocarcinoma)である。いくつか態様では、子宮頸癌は、腺癌、腺扁平上皮癌、または扁平上皮癌である。いくつかの態様では、子宮頸癌は腺癌である。いくつかの態様では、子宮頸癌は腺扁平上皮癌である。いくつかの態様では、子宮頸癌は扁平上皮癌である。
【0136】
いくつかの態様では、対象由来の子宮頸癌細胞の少なくとも約0.1%、少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約6%、少なくとも約7%、少なくとも約8%、少なくとも約9%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、または少なくとも約80%は、TFを発現する。いくつかの態様では、対象由来の子宮頸癌細胞の少なくとも0.1%、少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも6%、少なくとも7%、少なくとも8%、少なくとも9%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、または少なくとも80%は、TFを発現する。いくつかの態様では、TFを発現する細胞の割合は、免疫組織化学(IHC)を用いて決定される。いくつかの態様では、TFを発現する細胞の割合は、フローサイトメトリーを用いて決定される。いくつかの態様では、TFを発現する細胞の割合は、酵素免疫測定法(ELISA)を用いて決定される。
【0137】
本明細書で提供される方法または使用または使用のための製造物品のいくつかの態様では、子宮頸癌はステージ0、1、2、3、または4の子宮頸癌である。いくつかの態様では、子宮頸癌はステージ0、1A、1B、2A、2B、3A、3B、4Aまたは4Bの子宮頸癌である。いくつかの態様では、子宮頸癌は、国際産婦人科連合(International Federation of Gynecology and Obstetrics:FIGO)の病期分類システムによってステージを分類される。いくつかの態様では、病期分類は臨床検査に基づいて行われる。いくつかの態様では、ステージ0の子宮頸癌では、がん腫は子宮頸部の表層(内部を覆っている細胞)に限局している。いくつかの態様では、ステージ1の子宮頸癌では、がん腫は子宮頸部のより深部にまで成長しているが、まだそれを越えて拡がっていない。いくつかの態様では、ステージ1Aの子宮頸癌では、浸潤性のがん腫は顕微鏡検査によってのみ診断することができ、最深の浸潤は5mm未満であり、最大の広がりは7mm未満である。いくつかの態様では、ステージ1Bの子宮頸癌では、病変部は臨床的に肉眼で見ることができ、子宮頸部に限られている。いくつかの態様では、ステージ2の子宮頸癌では、子宮頸部のがん腫は子宮を越えて浸潤しているが、骨盤壁または膣壁の下3分の1には達していない。いくつかの態様では、ステージ2Aの子宮頸癌では、子宮頸部の周囲への浸潤は見られない。いくつかの態様では、ステージ2Bの子宮頸癌では、子宮頸部の周囲への浸潤が見られる。いくつかの態様では、ステージ3の子宮頸癌では、腫瘍が骨盤壁に拡がっており、かつ/または膣壁の下3分の1に達しており、かつ/または水腎症もしくは無機能腎を引き起こす。いくつかの態様では、ステージ3Aの子宮頸癌では、腫瘍は膣壁の下3分の1に達しているが、骨盤壁には拡がっていない。いくつかの態様では、ステージ3Bの子宮頸癌では、骨盤壁に拡がっており、かつ/または水腎症もしくは無機能腎を引き起こす。いくつかの態様では、ステージ4の子宮頸癌では、がん腫は真骨盤を越えて拡がっているか、膀胱または直腸の粘膜に浸潤している。いくつかの態様では、ステージ4Aの子宮頸癌では、腫瘍は隣接臓器に転移している。いくつかの態様では、ステージ4Bの子宮頸癌では、腫瘍は遠隔臓器に転移している。いくつかの態様では、子宮頸癌は進行期の子宮頸癌である。いくつかの態様では、子宮頸癌はグレード3またはグレード4の子宮頸癌である。いくつかの態様では、進行期子宮頸癌は転移性子宮頸癌である。いくつかの態様では、子宮頸癌は転移性および再発性子宮頸癌である。いくつかの態様では、子宮頸癌は転移性子宮頸癌である。いくつかの態様では、子宮頸癌は再発子宮頸癌である。
【0138】
本明細書で提供される方法または使用または使用のための製造物品のいくつかの態様では、対象は、子宮頸癌に対する以前の全身療法を受けたことがない。いくつかの態様では、化学療法は、子宮頸癌に対する以前の全身療法とは見なされない。いくつかの態様では、放射線療法は、子宮頸癌に対する以前の全身療法とは見なされない。いくつかの態様では、化学療法と放射線療法の併用は、子宮頸癌に対する以前の全身療法とは見なされない。いくつかの態様では、対象は化学療法および/または放射線療法で以前に治療されたことがある。いくつかの態様では、対象は化学療法および放射線療法による治療に応答しなかった。いくつかの態様では、対象は化学療法による子宮頸癌の治療を受けて、該化学療法に応答しなかった。いくつかの態様では、対象は照射による子宮頸癌の治療を受けて、該照射に応答しなかった。いくつかの態様では、対象は化学療法および放射線療法による治療後に再発した。いくつかの態様では、対象は化学療法による子宮頸癌の治療を受けて、該化学療法による治療後に再発した。いくつかの態様では、対象は照射による子宮頸癌の治療を受けて、該照射による治療後に再発した。いくつかの態様では、対象は化学療法および/または放射線療法による治療後に病勢進行を経験した。いくつかの態様では、対象は化学療法による子宮頸癌の治療を受けて、該化学療法による治療後に病勢進行を経験した。いくつかの態様では、対象は照射による子宮頸癌の治療を受けて、該照射による治療後に病勢進行を経験した。いくつかの態様では、対象は1つまたは複数の治療剤で子宮頸癌について以前に治療されたことがある。いくつかの態様では、対象は1つまたは複数の治療剤で以前に治療されたことがあり、該治療に応答しなかった。いくつかの態様では、対象は1つまたは複数の治療剤で以前に治療されたことがあり、該治療後に再発した。いくつかの態様では、対象は1つまたは複数の治療剤で以前に治療されたことがあり、治療中に病勢進行を経験した。いくつかの態様では、該1つまたは複数の治療剤は、以下からなる群より選択される:化学療法剤、ペメトレキセド、nab-パクリタキセル、ビノレルビン、ベバシズマブ、シスプラチン、カルボプラチン、パクリタキセル、トポテカン、ベバシズマブとパクリタキセルの組み合わせ、ベバシズマブとシスプラチンの組み合わせ、ベバシズマブとカルボプラチンの組み合わせ、パクリタキセルとトポテカンの組み合わせ、ベバシズマブとトポテカンの組み合わせ、ベバシズマブとシスプラチンとパクリタキセルの組み合わせ、ベバシズマブとカルボプラチンとパクリタキセルの組み合わせ、およびベバシズマブとパクリタキセルとトポテカンの組み合わせ。いくつかの態様では、該1つまたは複数の治療剤は化学療法剤である。いくつかの態様では、該1つまたは複数の治療剤はベバシズマブである。いくつかの態様では、該1つまたは複数の治療剤はシスプラチンである。いくつかの態様では、該1つまたは複数の治療剤はカルボプラチンである。いくつかの態様では、該1つまたは複数の治療剤はパクリタキセルである。いくつかの態様では、該1つまたは複数の治療剤はトポテカンである。いくつかの態様では、該1つまたは複数の治療剤はベバシズマブとパクリタキセルの組み合わせである。いくつかの態様では、該1つまたは複数の治療剤はベバシズマブとシスプラチンの組み合わせである。いくつかの態様では、該1つまたは複数の治療剤はベバシズマブとカルボプラチンの組み合わせである。いくつかの態様では、該1つまたは複数の治療剤はパクリタキセルとトポテカンの組み合わせである。いくつかの態様では、該1つまたは複数の治療剤はベバシズマブとトポテカンの組み合わせである。いくつかの態様では、該1つまたは複数の治療剤はベバシズマブとシスプラチンとパクリタキセルの組み合わせである。いくつかの態様では、該1つまたは複数の治療剤はベバシズマブとカルボプラチンとパクリタキセルの組み合わせである。いくつかの態様では、該1つまたは複数の治療剤はベバシズマブとパクリタキセルとトポテカンの組み合わせである。いくつかの態様では、対象は根治療法の候補ではない。いくつかの態様では、根治療法は放射線療法および/または内臓摘出療法である。いくつかの態様では、根治療法は放射線療法である。いくつかの態様では、根治療法は内臓摘出療法である。特定の態様では、対象はヒトである。
【0139】
C. 投与経路
本明細書に記載のプラチナベースの薬剤および/または本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートまたはその抗原結合断片は、適切な経路および方法で投与することができる。本発明のプラチナベースの薬剤および/または抗体-薬物コンジュゲートを投与する適切な経路は、当技術分野で周知であり、当業者によって選択され得る。一態様では、プラチナベースの薬剤および/または抗TF抗体-薬物コンジュゲートは非経口的に投与される。非経口投与は、経腸投与および外用以外の、通常は注射による投与方法を指し、表皮、静脈内、筋肉内、動脈内、くも膜下腔内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、腱内、気管内、皮下、表皮下、関節内、被膜下、くも膜下、脊髄内、頭蓋内、胸腔内、硬膜外および胸骨内の注射および注入を含む。いくつかの態様では、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートまたはその抗原結合断片の投与経路は、静脈内注射または注入である。いくつかの態様では、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートまたはその抗原結合断片の投与経路は、静脈内注入である。いくつかの態様では、本明細書に記載のプラチナベースの薬剤の投与経路は、静脈内注射または注入である。いくつかの態様では、本明細書に記載のプラチナベースの薬剤の投与経路は、静脈内注入である。
【0140】
D. 投与量と投与頻度
一局面では、本発明は、本明細書に記載されるがんを有する対象を、特定の用量の本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートまたはその抗原結合断片および本明細書に記載のプラチナベースの薬剤で治療する方法を提供し、この場合、該対象は、本明細書に記載の抗体-薬物コンジュゲートまたはその抗原結合断片および本明細書に記載のプラチナベースの薬剤を特定の頻度で投与される。
【0141】
本明細書で提供される方法または使用または使用のための製造物品の一態様では、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートまたはその抗原結合断片は、対象の体重1kgあたり約0.9mg~約2.1mgの範囲の用量で該対象に投与される。特定の態様では、その用量は約0.9mg/kg、約1.0mg/kg、約1.1mg/kg、約1.2mg/kg、約1.3mg/kg、約1.4mg/kg、約1.5mg/kg、約1.6mg/kg、約1.7mg/kg、約1.8mg/kg、約1.9mg/kg、約2.0mg/kg、または約2.1mg/kgである。一態様では、その用量は約2.0mg/kgである。特定の態様では、その用量は0.9mg/kg、1.0mg/kg、1.1mg/kg、1.2mg/kg、1.3mg/kg、1.4mg/kg、1.5mg/kg、1.6mg/kg、1.7mg/kg、1.8mg/kg、1.9mg/kg、2.0mg/kg、または2.1mg/kgである。一態様では、その用量は2.0mg/kgである。いくつかの態様では、その用量は2.0mg/kgであり、抗TF抗体-薬物コンジュゲートはチソツマブベドチンである。一態様では、その用量は約1.3mg/kgである。いくつかの態様では、その用量は1.3mg/kgであり、抗TF抗体-薬物コンジュゲートはチソツマブベドチンである。いくつかの態様では、体重が100kgを超える対象の場合、投与される抗TF抗体-薬物コンジュゲートの用量は、対象が100kgである場合に投与されるであろう量である。いくつかの態様では、体重が100kgを超える対象の場合、投与される抗TF抗体-薬物コンジュゲートの用量は、65mg、90mg、130mg、または200mgである。
【0142】
本明細書で提供される方法または使用または使用のための製造物品の一態様では、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートまたはその抗原結合断片は、約1~4週間に1回対象に投与される。特定の態様では、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートまたはその抗原結合断片は、約1週間に1回、約2週間に1回、約3週間に1回、または約4週間に1回投与される。一態様では、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートまたはその抗原結合断片は、約3週間に1回投与される。一態様では、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートまたはその抗原結合断片は、3週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約0.9mg/kgであり、約1週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約0.9mg/kgであり、約2週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約0.9mg/kgであり、約3週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約0.9mg/kgであり、約4週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約1.0mg/kgであり、約1週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約1.0mg/kgであり、約2週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約1.0mg/kgであり、約3週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約1.0mg/kgであり、約4週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約1.1mg/kgであり、約1週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約1.1mg/kgであり、約2週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約1.1mg/kgであり、約3週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約1.1mg/kgであり、約4週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約1.2mg/kgであり、約1週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約1.2mg/kgであり、約2週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約1.2mg/kgであり、約3週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約1.2mg/kgであり、約4週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約1.3mg/kgであり、約1週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約1.3mg/kgであり、約2週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約1.3mg/kgであり、約3週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約1.3mg/kgであり、約4週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約1.4mg/kgであり、約1週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約1.4mg/kgであり、約2週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約1.4mg/kgであり、約3週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約1.4mg/kgであり、約4週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約1.5mg/kgであり、約1週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約1.5mg/kgであり、約2週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約1.5mg/kgであり、約3週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約1.5mg/kgであり、約4週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約1.6mg/kgであり、約1週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約1.6mg/kgであり、約2週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約1.6mg/kgであり、約3週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約1.6mg/kgであり、約4週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約1.7mg/kgであり、約1週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約1.7mg/kgであり、約2週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約1.7mg/kgであり、約3週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約1.7mg/kgであり、約4週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約1.8mg/kgであり、約1週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約1.8mg/kgであり、約2週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約1.8mg/kgであり、約3週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約1.8mg/kgであり、約4週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約1.9mg/kgであり、約1週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約1.9mg/kgであり、約2週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約1.9mg/kgであり、約3週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約1.9mg/kgであり、約4週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約2.0mg/kgであり、約1週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約2.0mg/kgであり、約2週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約2.0mg/kgであり、約3週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約2.0mg/kgであり、約4週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約2.1mg/kgであり、約1週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約2.1mg/kgであり、約2週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約2.1mg/kgであり、約3週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約2.1mg/kgであり、約4週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は0.9mg/kgであり、約1週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は0.9mg/kgであり、約2週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は0.9mg/kgであり、約3週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は0.9mg/kgであり、約4週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は1.0mg/kgであり、約1週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は1.0mg/kgであり、約2週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は1.0mg/kgであり、約3週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は1.0mg/kgであり、約4週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は1.1mg/kgであり、約1週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は1.1mg/kgであり、約2週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は1.1mg/kgであり、約3週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は1.1mg/kgであり、約4週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は1.2mg/kgであり、約1週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は1.2mg/kgであり、約2週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は1.2mg/kgであり、約3週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は1.2mg/kgであり、約4週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は1.3mg/kgであり、約1週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は1.3mg/kgであり、約2週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は1.3mg/kgであり、約3週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は1.3mg/kgであり、約4週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は1.4mg/kgであり、約1週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は1.4mg/kgであり、約2週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は1.4mg/kgであり、約3週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は1.4mg/kgであり、約4週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は1.5mg/kgであり、約1週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は1.5mg/kgであり、約2週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は1.5mg/kgであり、約3週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は1.5mg/kgであり、約4週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は1.6mg/kgであり、約1週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は1.6mg/kgであり、約2週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は1.6mg/kgであり、約3週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は1.6mg/kgであり、約4週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は1.7mg/kgであり、約1週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は1.7mg/kgであり、約2週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は1.7mg/kgであり、約3週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は1.7mg/kgであり、約4週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は1.8mg/kgであり、約1週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は1.8mg/kgであり、約2週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は1.8mg/kgであり、約3週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は1.8mg/kgであり、約4週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は1.9mg/kgであり、約1週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は1.9mg/kgであり、約2週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は1.9mg/kgであり、約3週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は1.9mg/kgであり、約4週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は2.0mg/kgであり、約1週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は2.0mg/kgであり、約2週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は2.0mg/kgであり、約3週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は2.0mg/kgであり、約4週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は2.1mg/kgであり、約1週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は2.1mg/kgであり、約2週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は2.1mg/kgであり、約3週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は2.1mg/kgであり、約4週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は2.0mg/kgであり、約3週間(例えば、±3日)に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は2.0mg/kgであり、3週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は2.0mg/kgであり、3週間に1回投与され、抗体-薬物コンジュゲートはチソツマブベドチンである。いくつかの態様では、その用量は2.0mg/kgであり、3週間に1回投与され、抗体-薬物コンジュゲートはチソツマブベドチンであり、1つ以上の有害事象が発生した場合には、その用量を1.3mg/kgに減量する。いくつかの態様では、その用量は1.3mg/kgであり、3週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は1.3mg/kgであり、3週間に1回投与され、抗体-薬物コンジュゲートはチソツマブベドチンである。いくつかの態様では、その用量は1.3mg/kgであり、3週間に1回投与され、抗体-薬物コンジュゲートはチソツマブベドチンであり、1つ以上の有害事象が発生した場合には、その用量を0.9mg/kgに減量する。
【0143】
本明細書で提供される方法または使用または使用のための製造物品の一態様では、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートまたはその抗原結合断片は、約50mg~約200mgの範囲の固定用量(flat dose)で対象に投与され、例えば、約50mgの固定用量、約60mgの固定用量、約70mgの固定用量、約80mgの固定用量、約90mgの固定用量、約100mgの固定用量、約110mgの固定用量、約120mgの固定用量、約130mgの固定用量、約140mgの固定用量、約150mgの固定用量、約160mgの固定用量、約170mgの固定用量、約180mgの固定用量、約190mgの固定用量、または約200mgの固定用量で投与される。いくつかの態様では、固定用量は対象に約1~4週間に1回投与される。特定の態様では、固定用量は対象に約1週間に1回、約2週間に1回、約3週間に1回、または約4週間に1回投与される。いくつかの態様では、固定用量は対象に約3週間(例えば、±3日)に1回投与される。いくつかの態様では、固定用量は対象に3週間に1回投与される。いくつかの態様では、固定用量は対象に3週間に1回投与され、抗体-薬物コンジュゲートはチソツマブベドチンである。
【0144】
本明細書で提供される方法または使用または使用のための製造物品の一態様では、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートまたはその抗原結合断片は、50mg~200mgの範囲の固定用量で対象に投与され、例えば、50mgの固定用量、60mgの固定用量、70mgの固定用量、80mgの固定用量、90mgの固定用量、100mgの固定用量、110mgの固定用量、120mgの固定用量、130mgの固定用量、140mgの固定用量、150mgの固定用量、160mgの固定用量、170mgの固定用量、180mgの固定用量、190mgの固定用量、または200mgの固定用量で投与される。いくつかの態様では、固定用量は対象に約1~4週間に1回投与される。特定の態様では、固定用量は対象に約1週間に1回、約2週間に1回、約3週間に1回、または約4週間に1回投与される。いくつかの態様では、固定用量は対象に約3週間(例えば、±3日)に1回投与される。いくつかの態様では、固定用量は対象に3週間に1回投与される。いくつかの態様では、固定用量は対象に3週間に1回投与され、抗体-薬物コンジュゲートはチソツマブベドチンである。
【0145】
本明細書で提供される方法または使用または使用のための製造物品の一態様では、本明細書に記載のプラチナベースの薬剤、例えばカルボプラチンは、次のCalvert式に基づく用量で対象に投与される:
プラチナベースの薬剤の用量(mg)=(標的AUC)×(GFR+25)
式中、AUCは「濃度-時間曲線下面積」を表し(AUCはmg/mL・minで表される)、GFRは「糸球体ろ過量」を表す(GFRはmL/minで表される)。いくつかの態様では、GFRは、計算されたクレアチニンクリアランスによって推定される。いくつかの態様では、血清クレアチンは、IDMS法によって測定される。いくつかの態様では、本明細書に記載される、カルボプラチンなどのプラチナベースの薬剤は、AUC=約4~約6の用量で投与される。いくつかの態様では、本明細書に記載される、カルボプラチンなどのプラチナベースの薬剤の用量は、AUC=約4、AUC=約4.5、AUC=約5、AUC=約5.5、またはAUC=約6のいずれかである。いくつかの態様では、本明細書に記載される、カルボプラチンなどのプラチナベースの薬剤の用量は、AUC=約5である。いくつかの態様では、本明細書に記載される、カルボプラチンなどのプラチナベースの薬剤の用量は、AUC=5である。いくつかの態様では、該用量はAUC=約4であり、約1週間に1回投与される。いくつかの態様では、該用量はAUC=約4であり、約2週間に1回投与される。いくつかの態様では、該用量はAUC=約4であり、約3週間に1回投与される。いくつかの態様では、該用量はAUC=約4であり、約4週間に1回投与される。いくつかの態様では、該用量はAUC=約4.5であり、約1週間に1回投与される。いくつかの態様では、該用量はAUC=約4.5であり、約2週間に1回投与される。いくつかの態様では、該用量はAUC=約4.5であり、約3週間に1回投与される。いくつかの態様では、該用量はAUC=約4.5であり、約4週間に1回投与される。いくつかの態様では、該用量はAUC=約5であり、約1週間に1回投与される。いくつかの態様では、該用量はAUC=約5であり、約2週間に1回投与される。いくつかの態様では、該用量はAUC=約5であり、約3週間に1回投与される。いくつかの態様では、該用量はAUC=約5であり、約4週間に1回投与される。いくつかの態様では、該用量はAUC=約5.5であり、約1週間に1回投与される。いくつかの態様では、該用量はAUC=約5.5であり、約2週間に1回投与される。いくつかの態様では、該用量はAUC=約5.5であり、約3週間に1回投与される。いくつかの態様では、該用量はAUC=約5.5であり、約4週間に1回投与される。いくつかの態様では、該用量はAUC=約6であり、約1週間に1回投与される。いくつかの態様では、該用量はAUC=約6であり、約2週間に1回投与される。いくつかの態様では、該用量はAUC=約6であり、約3週間に1回投与される。いくつかの態様では、該用量はAUC=約6であり、約4週間に1回投与される。いくつかの態様では、本明細書に記載される、カルボプラチンなどのプラチナベースの薬剤の用量は、AUC=4、AUC=4.5、AUC=5、AUC=5.5、またはAUC=6のいずれかである。いくつかの態様では、本明細書に記載される、カルボプラチンなどのプラチナベースの薬剤の用量は、AUC=5である。いくつかの態様では、本明細書に記載される、カルボプラチンなどのプラチナベースの薬剤の用量は、AUC=5である。いくつかの態様では、該用量はAUC=4であり、約1週間に1回投与される。いくつかの態様では、該用量はAUC=4であり、約2週間に1回投与される。いくつかの態様では、該用量はAUC=4であり、約3週間に1回投与される。いくつかの態様では、該用量はAUC=4であり、約4週間に1回投与される。いくつかの態様では、該用量はAUC=4.5であり、約1週間に1回投与される。いくつかの態様では、該用量はAUC=4.5であり、約2週間に1回投与される。いくつかの態様では、該用量はAUC=4.5であり、約3週間に1回投与される。いくつかの態様では、該用量はAUC=4.5であり、約4週間に1回投与される。いくつかの態様では、該用量はAUC=5であり、約1週間に1回投与される。いくつかの態様では、該用量はAUC=5であり、約2週間に1回投与される。いくつかの態様では、該用量はAUC=5であり、約3週間に1回投与される。いくつかの態様では、該用量はAUC=5であり、約4週間に1回投与される。いくつかの態様では、該用量はAUC=5.5であり、約1週間に1回投与される。いくつかの態様では、該用量はAUC=5.5であり、約2週間に1回投与される。いくつかの態様では、該用量はAUC=5.5であり、約3週間に1回投与される。いくつかの態様では、該用量はAUC=5.5であり、約4週間に1回投与される。いくつかの態様では、該用量はAUC=6であり、約1週間に1回投与される。いくつかの態様では、該用量はAUC=6であり、約2週間に1回投与される。いくつかの態様では、該用量はAUC=6であり、約3週間に1回投与される。いくつかの態様では、該用量はAUC=6であり、約4週間に1回投与される。いくつかの態様では、該用量はAUC=5であり、約3週間(例えば、±3日)に1回投与される。いくつかの態様では、該用量はAUC=5であり、3週間に1回投与される。いくつかの態様では、該用量はAUC=5であり、3週間に1回投与され、プラチナベースの薬剤はカルボプラチンである。
【0146】
本明細書で提供される方法または使用または使用のための製造物品の一態様では、本明細書に記載のプラチナベースの薬剤は、約50mg~約900mgの範囲の固定用量で対象に投与され、例えば、約50mgの固定用量、約60mgの固定用量、約70mgの固定用量、約80mgの固定用量、約90mgの固定用量、約100mgの固定用量、約120mgの固定用量、約140mgの固定用量、約160mgの固定用量、約180mgの固定用量、約200mgの固定用量、約220mgの固定用量、約240mgの固定用量、約260mgの固定用量、約280mgの固定用量、約300mgの固定用量、約320mgの固定用量、約340mgの固定用量、約360mgの固定用量、約380mgの固定用量、約400mgの固定用量、約420mgの固定用量、約440mgの固定用量、約460mgの固定用量、約480mgの固定用量、約500mgの固定用量、約520mgの固定用量、約540mgの固定用量、約560mgの固定用量、約580mgの固定用量、約600mgの固定用量、約620mgの固定用量、約640mgの固定用量、約660mgの固定用量、約680mgの固定用量、約700mgの固定用量、約720mgの固定用量、約740mgの固定用量、約750mgの固定用量、約760mgの固定用量、約780mgの固定用量、約800mgの固定用量、約820mgの固定用量、約840mgの固定用量、約860mgの固定用量、約880mgの固定用量、または約900mgの固定用量で投与される。本明細書で提供される方法または使用または使用のための製造物品の一態様では、本明細書に記載のプラチナベースの薬剤は、50mg~900mgの範囲の固定用量で対象に投与され、例えば、50mgの固定用量、60mgの固定用量、70mgの固定用量、80mgの固定用量、90mgの固定用量、100mgの固定用量、120mgの固定用量、140mgの固定用量、160mgの固定用量、180mgの固定用量、200mgの固定用量、220mgの固定用量、240mgの固定用量、260mgの固定用量、280mgの固定用量、300mgの固定用量、320mgの固定用量、340mgの固定用量、360mgの固定用量、380mgの固定用量、400mgの固定用量、420mgの固定用量、440mgの固定用量、460mgの固定用量、480mgの固定用量、500mgの固定用量、520mgの固定用量、540mgの固定用量、560mgの固定用量、580mgの固定用量、600mgの固定用量、620mgの固定用量、640mgの固定用量、660mgの固定用量、680mgの固定用量、700mgの固定用量、720mgの固定用量、740mgの固定用量、750mgの固定用量、760mgの固定用量、780mgの固定用量、800mgの固定用量、820mgの固定用量、840mgの固定用量、860mgの固定用量、880mgの固定用量、または900mgの固定用量で投与される。いくつかの態様では、固定用量は750mgである。いくつかの態様では、固定用量は750mgであり、プラチナベースの薬剤はカルボプラチンである。いくつかの態様では、固定用量は約600mgであり、約1週間に1回投与される。いくつかの態様では、固定用量は約600mgであり、約2週間に1回投与される。いくつかの態様では、固定用量は約600mgであり、約3週間に1回投与される。いくつかの態様では、固定用量は約600mgであり、約4週間に1回投与される。いくつかの態様では、固定用量は約750mgであり、約1週間に1回投与される。いくつかの態様では、固定用量は約750mgであり、約2週間に1回投与される。いくつかの態様では、固定用量は約750mgであり、約3週間に1回投与される。いくつかの態様では、固定用量は約750mgであり、約4週間に1回投与される。いくつかの態様では、固定用量は600mgであり、約1週間に1回投与される。いくつかの態様では、固定用量は600mgであり、約2週間に1回投与される。いくつかの態様では、固定用量は600mgであり、約3週間に1回投与される。いくつかの態様では、固定用量は600mgであり、約4週間に1回投与される。いくつかの態様では、固定用量は750mgであり、約1週間に1回投与される。いくつかの態様では、固定用量は750mgであり、約2週間に1回投与される。いくつかの態様では、固定用量は750mgであり、約3週間に1回投与される。いくつかの態様では、固定用量は750mgであり、約4週間に1回投与される。いくつかの態様では、固定用量は750mgであり、約3週間(例えば、±3日)に1回投与される。いくつかの態様では、固定用量は750mgであり、3週間に1回投与される。いくつかの態様では、固定用量は750mgであり、3週間に1回投与され、プラチナベースの薬剤はカルボプラチンである。
【0147】
本明細書で提供される方法または使用または使用のための製造物品の一態様では、本明細書に記載のプラチナベースの薬剤および本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートまたはその抗原結合断片は、固定用量で対象に投与される。いくつかの態様では、固定用量は、それらの薬剤の量(例えば、mg)に基づく。特定の態様では、固定用量は、それらの薬剤の濃度(例えば、mg/ml)に基づく。いくつかの態様では、プラチナベースの薬剤の量(例えば、mg)と抗TF抗体-薬物コンジュゲートまたはその抗原結合断片の量(例えば、mg)の比は、約1:1、約1:2、約1:3、約1:4、約1:5、約1:6、約1:7、約1:8、約1:9、約1:10、約1:15、約1:20、約1:30、約1:40、約1:50、約1:60、約1:70、約1:80、約1:90、約1:100、約1:120、約1:140、約1:160、約1:180、約1:200、約200:1、約180:1、約160:1、約140:1、約120:1、約100:1、約90:1、約80:1、約70:1、約60:1、約50:1、約40:1、約30:1、約20:1、約15:1、約10:1、約9:1、約8:1、約7:1、約6:1、約5:1、約4:1、約3:1、または約2:1である。いくつかの態様では、プラチナベースの薬剤の濃度(例えば、mg/ml)と抗TF抗体-薬物コンジュゲートまたはその抗原結合断片の濃度(例えば、mg/ml)の比は、約1:1、約1:2、約1:3、約1:4、約1:5、約1:6、約1:7、約1:8、約1:9、約1:10、約1:15、約1:20、約1:30、約1:40、約1:50、約1:60、約1:70、約1:80、約1:90、約1:100、約1:120、約1:140、約1:160、約1:180、約1:200、約200:1、約180:1、約160:1、約140:1、約120:1、約100:1、約90:1、約80:1、約70:1、約60:1、約50:1、約40:1、約30:1、約20:1、約15:1、約10:1、約9:1、約8:1、約7:1、約6:1、約5:1、約4:1、約3:1、または約2:1である。いくつかの態様では、プラチナベースの薬剤の量(例えば、mg)と抗TF抗体-薬物コンジュゲートまたはその抗原結合断片の量(例えば、mg)の比は、1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、1:10、1:15、1:20、1:30、1:40、1:50、1:60、1:70、1:80、1:90、1:100、1:120、1:140、1:160、1:180、1:200、200:1、180:1、160:1、140:1、120:1、100:1、90:1、80:1、70:1、60:1、50:1、40:1、30:1、20:1、15:1、10:1、9:1、8:1、7:1、6:1、5:1、4:1、3:1、または2:1である。いくつかの態様では、プラチナベースの薬剤の濃度(例えば、mg/ml)と抗TF抗体-薬物コンジュゲートまたはその抗原結合断片の濃度(例えば、mg/ml)の比は、1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、1:10、1:15、1:20、1:30、1:40、1:50、1:60、1:70、1:80、1:90、1:100、1:120、1:140、1:160、1:180、1:200、200:1、180:1、160:1、140:1、120:1、100:1、90:1、80:1、70:1、60:1、50:1、40:1、30:1、20:1、15:1、10:1、9:1、8:1、7:1、6:1、5:1、4:1、3:1、または2:1である。
【0148】
いくつかの態様では、抗TF抗体-薬物コンジュゲートの用量は2.0mg/kgで、約3週間(例えば、±3日)に1回投与され、かつプラチナベースの薬剤の用量はAUC=5で、約3週間(例えば、±3日)に1回投与される。いくつかの態様では、抗TF抗体-薬物コンジュゲートの用量は2.0mg/kgで、3週間に1回投与され、かつプラチナベースの薬剤の用量はAUC=5で、3週間に1回投与される。いくつかの態様では、抗TF抗体-薬物コンジュゲートの用量は2.0mg/kgで、3週間に1回投与され、該抗体-薬物コンジュゲートはチソツマブベドチンであり、かつプラチナベースの薬剤の用量はAUC=5で、3週間に1回投与され、プラチナベースの薬剤はカルボプラチンである。
【0149】
いくつかの態様では、抗TF抗体-薬物コンジュゲートの用量は1.3mg/kgで、約3週間(例えば、±3日)に1回投与され、かつプラチナベースの薬剤の用量はAUC=5で、約3週間(例えば、±3日)に1回投与される。いくつかの態様では、抗TF抗体-薬物コンジュゲートの用量は1.3mg/kgで、3週間に1回投与され、かつプラチナベースの薬剤の用量はAUC=5で、3週間に1回投与される。いくつかの態様では、抗TF抗体-薬物コンジュゲートの用量は1.3mg/kgで、3週間に1回投与され、該抗体-薬物コンジュゲートはチソツマブベドチンであり、かつプラチナベースの薬剤の用量はAUC=5で、3週間に1回投与され、プラチナベースの薬剤はカルボプラチンである。
【0150】
いくつかの態様では、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートまたはその抗原結合断片および本明細書に記載のプラチナベースの薬剤は共投与される。いくつかの態様では、共投与は同時または逐次的である。いくつかの態様では、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートは、本明細書に記載のプラチナベースの薬剤と同時に投与される。いくつかの態様では、同時とは、抗TF抗体-薬物コンジュゲートとプラチナベースの薬剤とが、1時間未満の間隔で、例えば、約30分未満の間隔、約15分未満の間隔、約10分未満の間隔、または約5分未満の間隔で、対象に投与されることを意味する。いくつかの態様では、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートは、本明細書に記載のプラチナベースの薬剤と逐次的に投与される。いくつかの態様では、逐次的投与とは、抗TF抗体-薬物コンジュゲートとプラチナベースの薬剤とが、少なくとも1時間の間隔で、少なくとも2時間の間隔、少なくとも3時間の間隔、少なくとも4時間の間隔、少なくとも5時間の間隔、少なくとも6時間の間隔、少なくとも7時間の間隔、少なくとも8時間の間隔、少なくとも9時間の間隔、少なくとも10時間の間隔、少なくとも11時間の間隔、少なくとも12時間の間隔、少なくとも13時間の間隔、少なくとも14時間の間隔、少なくとも15時間の間隔、少なくとも16時間の間隔、少なくとも17時間の間隔、少なくとも18時間の間隔、少なくとも19時間の間隔、少なくとも20時間の間隔、少なくとも21時間の間隔、少なくとも22時間の間隔、少なくとも23時間の間隔、少なくとも24時間の間隔、少なくとも2日の間隔、少なくとも3日の間隔、少なくとも4日の間隔、少なくとも5日の間隔、少なくとも5日の間隔、少なくとも7日の間隔、少なくとも2週間の間隔、少なくとも3週間の間隔、または少なくとも4週間の間隔で、対象に投与されることを意味する。
【0151】
いくつかの態様では、本明細書に記載される治療方法または使用または使用のための製造物品は、1つまたは複数の追加の治療剤の投与をさらに含む。いくつかの態様では、1つまたは複数の追加の治療剤は、本明細書に記載されるチソツマブベドチンなどの抗TF抗体-薬物コンジュゲートまたはその抗原結合断片および本明細書に記載されるカルボプラチンなどのプラチナベースの薬剤と同時に投与される。いくつかの態様では、1つまたは複数の追加の治療剤と、本明細書に記載されるチソツマブベドチンなどの抗TF抗体-薬物コンジュゲートまたはその抗原結合断片と、本明細書に記載されるカルボプラチンなどのプラチナベースの薬剤とは逐次的に投与される。
【0152】
E. 治療成果
一局面では、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートまたはその抗原結合断片(例えばチソツマブベドチン)および本明細書に記載のプラチナベースの薬剤(例えばカルボプラチン)を用いてがんを治療する方法は、ベースラインと比較して、抗体-薬物コンジュゲートおよび/またはプラチナベースの薬剤の投与後に対象における1つまたは複数の治療効果の改善をもたらす。いくつかの態様では、1つまたは複数の治療効果は、がん(例えば、膀胱癌または子宮頸癌)に由来する腫瘍のサイズ、客観的奏効率、奏効持続期間、奏効までの期間、無増悪生存期間、および全生存期間、またはそれらの任意の組み合わせである。一態様では、1つまたは複数の治療効果は、上記癌に由来する腫瘍のサイズである。一態様では、1つまたは複数の治療効果は腫瘍サイズの縮小である。一態様では、1つまたは複数の治療効果は病勢の安定である。一態様では、1つまたは複数の治療効果は部分奏効である。一態様では、1つまたは複数の治療効果は完全奏効である。一態様では、1つまたは複数の治療効果は客観的奏効率である。一態様では、1つまたは複数の治療効果は奏効持続期間である。一態様では、1つまたは複数の治療効果は奏効までの期間である。一態様では、1つまたは複数の治療効果は無増悪生存期間である。一態様では、1つまたは複数の治療効果は全生存期間である。一態様では、1つまたは複数の治療効果はがんの退縮である。
【0153】
本明細書で提供される方法または使用または使用のための製造物品の一態様では、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートまたはその抗原結合断片(例えばチソツマブベドチン)および本明細書に記載のプラチナベースの薬剤(例えばカルボプラチン)による治療への応答は、以下の基準(RECIST基準1.1)を含むことができる:
【0154】
本明細書で提供される方法または使用または使用のための製造物品の一態様では、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートまたはその抗原結合断片(例えばチソツマブベドチン)および本明細書に記載のプラチナベースの薬剤(例えばカルボプラチン)による治療の有効性は、客観的奏効率を測定することによって評価される。いくつかの態様では、客観的奏効率は、最短期間で腫瘍サイズの所定量の減少を示した患者の割合である。いくつかの態様では、客観的奏効率はRECIST v1.1に基づく。一態様では、客観的奏効率は、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、または少なくとも約80%である。一態様では、客観的奏効率は少なくとも約20%~80%である。一態様では、客観的奏効率は少なくとも約30%~80%である。一態様では、客観的奏効率は少なくとも約40%~80%である。一態様では、客観的奏効率は少なくとも約50%~80%である。一態様では、客観的奏効率は少なくとも約60%~80%である。一態様では、客観的奏効率は少なくとも約70%~80%である。一態様では、客観的奏効率は少なくとも約80%である。一態様では、客観的奏効率は少なくとも約85%である。一態様では、客観的奏効率は少なくとも約90%である。一態様では、客観的奏効率は少なくとも約95%である。一態様では、客観的奏効率は少なくとも約98%である。一態様では、客観的奏効率は少なくとも約99%である。一態様では、客観的奏効率は、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、または少なくとも80%である。一態様では、客観的奏効率は少なくとも20%~80%である。一態様では、客観的奏効率は少なくとも30%~80%である。一態様では、客観的奏効率は少なくとも40%~80%である。一態様では、客観的奏効率は少なくとも50%~80%である。一態様では、客観的奏効率は少なくとも60%~80%である。一態様では、客観的奏効率は少なくとも70%~80%である。一態様では、客観的奏効率は少なくとも80%である。一態様では、客観的奏効率は少なくとも85%である。一態様では、客観的奏効率は少なくとも90%である。一態様では、客観的奏効率は少なくとも95%である。一態様では、客観的奏効率は少なくとも98%である。一態様では、客観的奏効率は少なくとも99%である。一態様では、客観的奏効率は100%である。
【0155】
本明細書で提供される方法または使用または使用のための製造物品の一態様では、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートまたはその抗原結合断片(例えばチソツマブベドチン)および本明細書に記載のプラチナベースの薬剤(例えばカルボプラチン)による治療への応答は、がん(例えば、膀胱癌または子宮頸癌)に由来する腫瘍のサイズを測定することによって評価される。一態様では、がんに由来する腫瘍のサイズは、抗TF抗体-薬物コンジュゲートおよび/またはプラチナベースの薬剤の投与前のがんに由来する腫瘍のサイズと比較して、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、または少なくとも約80%減少する。一態様では、がんに由来する腫瘍のサイズは少なくとも約10%~80%減少する。一態様では、がんに由来する腫瘍のサイズは少なくとも約20%~80%減少する。一態様では、がんに由来する腫瘍のサイズは少なくとも約30%~80%減少する。一態様では、がんに由来する腫瘍のサイズは少なくとも約40%~80%減少する。一態様では、がんに由来する腫瘍のサイズは少なくとも約50%~80%減少する。一態様では、がんに由来する腫瘍のサイズは少なくとも約60%~80%減少する。一態様では、がんに由来する腫瘍のサイズは少なくとも約70%~80%減少する。一態様では、がんに由来する腫瘍のサイズは少なくとも約80%減少する。一態様では、がんに由来する腫瘍のサイズは少なくとも約85%減少する。一態様では、がんに由来する腫瘍のサイズは少なくとも約90%減少する。一態様では、がんに由来する腫瘍のサイズは少なくとも約95%減少する。一態様では、がんに由来する腫瘍のサイズは少なくとも約98%減少する。一態様では、がんに由来する腫瘍のサイズは少なくとも約99%減少する。一態様では、がんに由来する腫瘍のサイズは、抗TF抗体-薬物コンジュゲートおよび/またはプラチナベースの薬剤の投与前のがんに由来する腫瘍のサイズと比較して、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、または少なくとも80%減少する。一態様では、がんに由来する腫瘍のサイズは少なくとも10%~80%減少する。一態様では、がんに由来する腫瘍のサイズは少なくとも20%~80%減少する。一態様では、がんに由来する腫瘍のサイズは少なくとも30%~80%減少する。一態様では、がんに由来する腫瘍のサイズは少なくとも40%~80%減少する。一態様では、がんに由来する腫瘍のサイズは少なくとも50%~80%減少する。一態様では、がんに由来する腫瘍のサイズは少なくとも60%~80%減少する。一態様では、がんに由来する腫瘍のサイズは少なくとも70%~80%減少する。一態様では、がんに由来する腫瘍のサイズは少なくとも80%減少する。一態様では、がんに由来する腫瘍のサイズは少なくとも85%減少する。一態様では、がんに由来する腫瘍のサイズは少なくとも90%減少する。一態様では、がんに由来する腫瘍のサイズは少なくとも95%減少する。一態様では、がんに由来する腫瘍のサイズは少なくとも98%減少する。一態様では、がんに由来する腫瘍のサイズは少なくとも99%減少する。一態様では、がんに由来する腫瘍のサイズは100%減少する。一態様では、がんに由来する腫瘍のサイズは磁気共鳴イメージング(MRI)により測定される。一態様では、がんに由来する腫瘍のサイズはコンピュータ断層撮影(CT)により測定される。いくつかの態様では、子宮頸癌に由来する腫瘍のサイズは骨盤検査により測定される。Choi et al., 2008, J. Gynecol. Oncol. 19(3):205を参照のこと。いくつかの態様では、膀胱癌に由来する腫瘍のサイズは、膀胱鏡検査または細胞診により測定される。US 2017/0181988を参照のこと。いくつかの態様では、前記がんに由来する腫瘍のサイズは、抗TF抗体-薬物コンジュゲートおよびプラチナベースの薬剤の投与前の腫瘍のサイズと比較して減少する。いくつかの態様では、前記がんに由来する腫瘍のサイズは、抗TF抗体-薬物コンジュゲートの投与前の腫瘍のサイズと比較して減少する。いくつかの態様では、前記がんに由来する腫瘍のサイズは、プラチナベースの薬剤の投与前の腫瘍のサイズと比較して減少する。
【0156】
本明細書で提供および記載される方法または使用または使用のための製造物品の一態様では、本明細書に記載の抗体-薬物コンジュゲートまたはその抗原結合断片(例えばチソツマブベドチン)および本明細書に記載のプラチナベースの薬剤(例えばカルボプラチン)による治療への応答は、がん(例えば、膀胱癌または子宮頸癌)に由来する腫瘍の退縮を促進する。一態様では、がん由来の腫瘍は、抗TF抗体-薬物コンジュゲートおよび/またはプラチナベースの薬剤の投与前のがんに由来する腫瘍のサイズと比較して、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、または少なくとも約80%退縮する。一態様では、がん由来の腫瘍は少なくとも約10%~約80%退縮する。一態様では、がん由来の腫瘍は少なくとも約20%~約80%退縮する。一態様では、がん由来の腫瘍は少なくとも約30%~約80%退縮する。一態様では、がん由来の腫瘍は少なくとも約40%~約80%退縮する。一態様では、がん由来の腫瘍は少なくとも約50%~約80%退縮する。一態様では、がん由来の腫瘍は少なくとも約60%~約80%退縮する。一態様では、がん由来の腫瘍は少なくとも約70%~約80%退縮する。一態様では、がん由来の腫瘍は少なくとも約80%退縮する。一態様では、がん由来の腫瘍は少なくとも約85%退縮する。一態様では、がん由来の腫瘍は少なくとも約90%退縮する。一態様では、がん由来の腫瘍は少なくとも約95%退縮する。一態様では、がん由来の腫瘍は少なくとも約98%退縮する。一態様では、がん由来の腫瘍は少なくとも約99%退縮する。一態様では、がん由来の腫瘍は、抗TF抗体-薬物コンジュゲートおよび/またはプラチナベースの薬剤の投与前のがんに由来する腫瘍のサイズと比較して、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、または少なくとも80%退縮する。一態様では、がん由来の腫瘍は少なくとも10%~80%退縮する。一態様では、がん由来の腫瘍は少なくとも20%~80%退縮する。一態様では、がん由来の腫瘍は少なくとも30%~80%退縮する。一態様では、がん由来の腫瘍は少なくとも40%~80%退縮する。一態様では、がん由来の腫瘍は少なくとも50%~80%退縮する。一態様では、がん由来の腫瘍は少なくとも60%~80%退縮する。一態様では、がん由来の腫瘍は少なくとも70%~80%退縮する。一態様では、がん由来の腫瘍は少なくとも80%退縮する。一態様では、がん由来の腫瘍は少なくとも85%退縮する。一態様では、がん由来の腫瘍は少なくとも90%退縮する。一態様では、がん由来の腫瘍は少なくとも95%退縮する。一態様では、がん由来の腫瘍は少なくとも98%退縮する。一態様では、がん由来の腫瘍は少なくとも99%退縮する。一態様では、がん由来の腫瘍は100%退縮する。一態様では、腫瘍の退縮は、磁気共鳴イメージング(MRI)で腫瘍のサイズを測定することにより決定される。一態様では、腫瘍の退縮は、コンピュータ断層撮影(CT)で腫瘍のサイズを測定することにより決定される。いくつかの態様では、腫瘍の退縮は、骨盤検査で腫瘍のサイズを測定することにより決定される。Choi et al., 2008, J. Gynecol. Oncol. 19(3):205を参照のこと。いくつかの態様では、膀胱癌に由来する腫瘍のサイズは、膀胱鏡検査または細胞診により測定される。US 2017/0181988を参照のこと。いくつかの態様では、前記がんに由来する腫瘍は、抗TF抗体-薬物コンジュゲートおよびプラチナベースの薬剤の投与前の腫瘍のサイズと比較して退縮する。いくつかの態様では、前記がんに由来する腫瘍は、抗TF抗体-薬物コンジュゲートの投与前の腫瘍のサイズと比較して退縮する。いくつかの態様では、前記がんに由来する腫瘍は、プラチナベースの薬剤の投与前の腫瘍のサイズと比較して退縮する。
【0157】
本明細書に記載される方法または使用または使用のための製造物品の一態様では、本明細書に記載される抗TF抗体-薬物コンジュゲートまたはその抗原結合断片、例えばチソツマブベドチン、および本明細書に記載されるプラチナベースの薬剤、例えばカルボプラチン、による治療への応答は、抗TF抗体-薬物コンジュゲートおよび/またはプラチナベースの薬剤の投与後の無増悪生存期間を測定することにより評価される。いくつかの態様では、対象は、抗TF抗体-薬物コンジュゲートおよび/またはプラチナベースの薬剤の投与後に、少なくとも約1ヶ月、少なくとも約2ヶ月、少なくとも約3ヶ月、少なくとも約4ヶ月、少なくとも約5ヶ月、少なくとも約6ヶ月、少なくとも約7ヶ月、少なくとも約8ヶ月、少なくとも約9ヶ月、少なくとも約10ヶ月、少なくとも約11ヶ月、少なくとも約12ヶ月、少なくとも約18ヶ月、少なくとも約2年、少なくとも約3年、少なくとも約4年、または少なくとも約5年の無増悪生存期間を示す。いくつかの態様では、対象は、抗TF抗体-薬物コンジュゲートおよび/またはプラチナベースの薬剤の投与後に、少なくとも約6ヶ月の無増悪生存期間を示す。いくつかの態様では、対象は、抗TF抗体-薬物コンジュゲートおよび/またはプラチナベースの薬剤の投与後に、少なくとも約1年の無増悪生存期間を示す。いくつかの態様では、対象は、抗TF抗体-薬物コンジュゲートおよび/またはプラチナベースの薬剤の投与後に、少なくとも約2年の無増悪生存期間を示す。いくつかの態様では、対象は、抗TF抗体-薬物コンジュゲートおよび/またはプラチナベースの薬剤の投与後に、少なくとも約3年の無増悪生存期間を示す。いくつかの態様では、対象は、抗TF抗体-薬物コンジュゲートおよび/またはプラチナベースの薬剤の投与後に、少なくとも約4年の無増悪生存期間を示す。いくつかの態様では、対象は、抗TF抗体-薬物コンジュゲートおよび/またはプラチナベースの薬剤の投与後に、少なくとも約5年の無増悪生存期間を示す。いくつかの態様では、対象は、抗TF抗体-薬物コンジュゲートおよび/またはプラチナベースの薬剤の投与後に、少なくとも1ヶ月、少なくとも2ヶ月、少なくとも3ヶ月、少なくとも4ヶ月、少なくとも5ヶ月、少なくとも6ヶ月、少なくとも7ヶ月、少なくとも8ヶ月、少なくとも9ヶ月、少なくとも10ヶ月、少なくとも11ヶ月、少なくとも12ヶ月、少なくとも18ヶ月、少なくとも2年、少なくとも3年、少なくとも4年、または少なくとも5年の無増悪生存期間を示す。いくつかの態様では、対象は、抗TF抗体-薬物コンジュゲートおよび/またはプラチナベースの薬剤の投与後に、少なくとも6ヶ月の無増悪生存期間を示す。いくつかの態様では、対象は、抗TF抗体-薬物コンジュゲートおよび/またはプラチナベースの薬剤の投与後に、少なくとも1年の無増悪生存期間を示す。いくつかの態様では、対象は、抗TF抗体-薬物コンジュゲートおよび/またはプラチナベースの薬剤の投与後に、少なくとも2年の無増悪生存期間を示す。いくつかの態様では、対象は、抗TF抗体-薬物コンジュゲートおよび/またはプラチナベースの薬剤の投与後に、少なくとも3年の無増悪生存期間を示す。いくつかの態様では、対象は、抗TF抗体-薬物コンジュゲートおよび/またはプラチナベースの薬剤の投与後に、少なくとも4年の無増悪生存期間を示す。いくつかの態様では、対象は、抗TF抗体-薬物コンジュゲートおよび/またはプラチナベースの薬剤の投与後に、少なくとも5年の無増悪生存期間を示す。いくつかの態様では、治療への応答は、抗TF抗体-薬物コンジュゲートおよびプラチナベースの薬剤の投与後の無増悪生存期間を測定することにより評価される。いくつかの態様では、治療への応答は、抗TF抗体-薬物コンジュゲートの投与後の無増悪生存期間を測定することにより評価される。いくつかの態様では、治療への応答は、プラチナベースの薬剤の投与後の無増悪生存期間を測定することにより評価される。
【0158】
本明細書に記載される方法または使用または使用のための製造物品の一態様では、本明細書に記載される抗TF抗体-薬物コンジュゲートまたはその抗原結合断片、例えばチソツマブベドチン、および本明細書に記載されるプラチナベースの薬剤、例えばカルボプラチン、による治療への応答は、抗TF抗体-薬物コンジュゲートおよび/またはプラチナベースの薬剤の投与後の全生存期間を測定することにより評価される。いくつかの態様では、対象は、抗TF抗体-薬物コンジュゲートおよび/またはプラチナベースの薬剤の投与後に、少なくとも約1ヶ月、少なくとも約2ヶ月、少なくとも約3ヶ月、少なくとも約4ヶ月、少なくとも約5ヶ月、少なくとも約6ヶ月、少なくとも約7ヶ月、少なくとも約8ヶ月、少なくとも約9ヶ月、少なくとも約10ヶ月、少なくとも約11ヶ月、少なくとも約12ヶ月、少なくとも約18ヶ月、少なくとも約2年、少なくとも約3年、少なくとも約4年、または少なくとも約5年の全生存期間を示す。いくつかの態様では、対象は、抗TF抗体-薬物コンジュゲートおよび/またはプラチナベースの薬剤の投与後に、少なくとも約6ヶ月の全生存期間を示す。いくつかの態様では、対象は、抗TF抗体-薬物コンジュゲートおよび/またはプラチナベースの薬剤の投与後に、少なくとも約1年の全生存期間を示す。いくつかの態様では、対象は、抗TF抗体-薬物コンジュゲートおよび/またはプラチナベースの薬剤の投与後に、少なくとも約2年の全生存期間を示す。いくつかの態様では、対象は、抗TF抗体-薬物コンジュゲートおよび/またはプラチナベースの薬剤の投与後に、少なくとも約3年の全生存期間を示す。いくつかの態様では、対象は、抗TF抗体-薬物コンジュゲートおよび/またはプラチナベースの薬剤の投与後に、少なくとも約4年の全生存期間を示す。いくつかの態様では、対象は、抗TF抗体-薬物コンジュゲートおよび/またはプラチナベースの薬剤の投与後に、少なくとも約5年の全生存期間を示す。いくつかの態様では、対象は、抗TF抗体-薬物コンジュゲートおよび/またはプラチナベースの薬剤の投与後に、少なくとも1ヶ月、少なくとも2ヶ月、少なくとも3ヶ月、少なくとも4ヶ月、少なくとも5ヶ月、少なくとも6ヶ月、少なくとも7ヶ月、少なくとも8ヶ月、少なくとも9ヶ月、少なくとも10ヶ月、少なくとも11ヶ月、少なくとも12ヶ月、少なくとも18ヶ月、少なくとも2年、少なくとも3年、少なくとも4年、または少なくとも5年の全生存期間を示す。いくつかの態様では、対象は、抗TF抗体-薬物コンジュゲートおよび/またはプラチナベースの薬剤の投与後に、少なくとも6ヶ月の全生存期間を示す。いくつかの態様では、対象は、抗TF抗体-薬物コンジュゲートおよび/またはプラチナベースの薬剤の投与後に、少なくとも1年の全生存期間を示す。いくつかの態様では、対象は、抗TF抗体-薬物コンジュゲートおよび/またはプラチナベースの薬剤の投与後に、少なくとも2年の全生存期間を示す。いくつかの態様では、対象は、抗TF抗体-薬物コンジュゲートおよび/またはプラチナベースの薬剤の投与後に、少なくとも3年の全生存期間を示す。いくつかの態様では、対象は、抗TF抗体-薬物コンジュゲートおよび/またはプラチナベースの薬剤の投与後に、少なくとも4年の全生存期間を示す。いくつかの態様では、対象は、抗TF抗体-薬物コンジュゲートおよび/またはプラチナベースの薬剤の投与後に、少なくとも5年の全生存期間を示す。いくつかの態様では、治療への応答は、抗TF抗体-薬物コンジュゲートおよびプラチナベースの薬剤の投与後の全生存期間を測定することにより評価される。いくつかの態様では、治療への応答は、抗TF抗体-薬物コンジュゲートの投与後の全生存期間を測定することにより評価される。いくつかの態様では、治療への応答は、プラチナベースの薬剤の投与後の全生存期間を測定することにより評価される。
【0159】
本明細書に記載される方法または使用または使用のための製造物品の一態様では、本明細書に記載される抗TF抗体-薬物コンジュゲートまたはその抗原結合断片、例えばチソツマブベドチン、および本明細書に記載されるプラチナベースの薬剤、例えばカルボプラチン、による治療への応答は、抗TF抗体-薬物コンジュゲートおよび/またはプラチナベースの薬剤の投与後の抗TF抗体-薬物コンジュゲートとプラチナベースの薬剤の奏効持続期間を測定することにより評価される。いくつかの態様では、抗TF抗体-薬物コンジュゲートとプラチナベースの薬剤の奏効持続期間は、抗TF抗体-薬物コンジュゲートおよび/またはプラチナベースの薬剤の投与後、少なくとも約1ヶ月、少なくとも約2ヶ月、少なくとも約3ヶ月、少なくとも約4ヶ月、少なくとも約5ヶ月、少なくとも約6ヶ月、少なくとも約7ヶ月、少なくとも約8ヶ月、少なくとも約9ヶ月、少なくとも約10ヶ月、少なくとも約11ヶ月、少なくとも約12ヶ月、少なくとも約18ヶ月、少なくとも約2年、少なくとも約3年、少なくとも約4年、または少なくとも約5年である。いくつかの態様では、抗TF抗体-薬物コンジュゲートとプラチナベースの薬剤の奏効持続期間は、抗TF抗体-薬物コンジュゲートおよび/またはプラチナベースの薬剤の投与後、少なくとも約6ヶ月である。いくつかの態様では、抗TF抗体-薬物コンジュゲートとプラチナベースの薬剤の奏効持続期間は、該抗体-薬物コンジュゲートおよび/またはプラチナベースの薬剤の投与後、少なくとも約1年である。いくつかの態様では、抗TF抗体-薬物コンジュゲートとプラチナベースの薬剤の奏効持続期間は、該抗体-薬物コンジュゲートおよび/またはプラチナベースの薬剤の投与後、少なくとも約2年である。いくつかの態様では、抗TF抗体-薬物コンジュゲートとプラチナベースの薬剤の奏効持続期間は、該抗体-薬物コンジュゲートおよび/またはプラチナベースの薬剤の投与後、少なくとも約3年である。いくつかの態様では、抗TF抗体-薬物コンジュゲートとプラチナベースの薬剤の奏効持続期間は、該抗体-薬物コンジュゲートの投与後、少なくとも約4年である。いくつかの態様では、抗TF抗体-薬物コンジュゲートとプラチナベースの薬剤の奏効持続期間は、該抗体-薬物コンジュゲートおよび/またはプラチナベースの薬剤の投与後、少なくとも約5年である。いくつかの態様では、抗TF抗体-薬物コンジュゲートとプラチナベースの薬剤の奏効持続期間は、抗TF抗体-薬物コンジュゲートおよび/またはプラチナベースの薬剤の投与後、少なくとも1ヶ月、少なくとも2ヶ月、少なくとも3ヶ月、少なくとも4ヶ月、少なくとも5ヶ月、少なくとも6ヶ月、少なくとも7ヶ月、少なくとも8ヶ月、少なくとも9ヶ月、少なくとも10ヶ月、少なくとも11ヶ月、少なくとも12ヶ月、少なくとも18ヶ月、少なくとも2年、少なくとも3年、少なくとも4年、または少なくとも5年である。いくつかの態様では、抗TF抗体-薬物コンジュゲートとプラチナベースの薬剤の奏効持続期間は、該抗体-薬物コンジュゲートおよび/またはプラチナベースの薬剤の投与後、少なくとも6ヶ月である。いくつかの態様では、抗TF抗体-薬物コンジュゲートとプラチナベースの薬剤の奏効持続期間は、該抗体-薬物コンジュゲートおよび/またはプラチナベースの薬剤の投与後、少なくとも1年である。いくつかの態様では、抗TF抗体-薬物コンジュゲートとプラチナベースの薬剤の奏効持続期間は、該抗体-薬物コンジュゲートおよび/またはプラチナベースの薬剤の投与後、少なくとも2年である。いくつかの態様では、抗TF抗体-薬物コンジュゲートとプラチナベースの薬剤の奏効持続期間は、該抗体-薬物コンジュゲートおよび/またはプラチナベースの薬剤の投与後、少なくとも3年である。いくつかの態様では、抗TF抗体-薬物コンジュゲートとプラチナベースの薬剤の奏効持続期間は、該抗体-薬物コンジュゲートの投与後、少なくとも4年である。いくつかの態様では、抗TF抗体-薬物コンジュゲートとプラチナベースの薬剤の奏効持続期間は、該抗体-薬物コンジュゲートおよび/またはプラチナベースの薬剤の投与後、少なくとも5年である。いくつかの態様では、奏効持続期間は抗TF抗体-薬物コンジュゲートおよびプラチナベースの薬剤の投与後に測定される。いくつかの態様では、奏効持続期間は抗TF抗体-薬物コンジュゲートの投与後に測定される。いくつかの態様では、奏効持続期間はプラチナベースの薬剤の投与後に測定される。
【0160】
F. 有害事象
一局面では、本明細書に記載される抗TF抗体-薬物コンジュゲートまたはその抗原結合断片、例えばチソツマブベドチン、および本明細書に記載されるプラチナベースの薬剤、例えばカルボプラチン、を用いてがん(例えば、膀胱癌または子宮頸癌)を治療する方法は、対象が1つまたは複数の有害事象を発症することにつながる。いくつかの態様では、有害事象を排除するか、またはその重症度を軽減するために、対象に追加の治療剤が投与される。いくつかの態様では、対象が発症する1つまたは複数の有害事象は、出血の増加、出血、肝機能異常(例えば、肝酵素の上昇)、粘膜炎、好中球減少症、発熱性好中球減少症、末梢神経障害、血小板数の減少、嘔吐、神経障害、結膜炎、角膜炎、結膜潰瘍、眼瞼癒着、輸注関連反応、一般的な健康悪化、またはそれらの任意の組み合わせである。いくつかの態様では、対象が発症する1つまたは複数の有害事象は、貧血、腹痛、出血、低カリウム血症、低ナトリウム血症、鼻血、疲労、吐き気、脱毛症、結膜炎、角膜炎、結膜潰瘍、便秘、食欲低下、下痢、嘔吐、好中球減少症、血小板数の減少、末梢神経障害、一般的な身体の健康悪化、またはそれらの任意の組み合わせである。いくつかの態様では、1つまたは複数の有害事象はグレード1以上の有害事象である。いくつかの態様では、1つまたは複数の有害事象はグレード2以上の有害事象である。いくつかの態様では、1つまたは複数の有害事象はグレード3以上の有害事象である。いくつかの態様では、1つまたは複数の有害事象はグレード1の有害事象である。いくつかの態様では、1つまたは複数の有害事象はグレード2の有害事象である。いくつかの態様では、1つまたは複数の有害事象はグレード3の有害事象である。いくつかの態様では、1つまたは複数の有害事象はグレード4の有害事象である。いくつかの態様では、1つまたは複数の有害事象は重篤な有害事象である。いくつかの態様では、1つまたは複数の有害事象は結膜炎、結膜潰瘍、および/または角膜炎であり、追加の治療剤は防腐剤フリーの潤滑点眼薬、眼科用血管収縮薬、抗生物質、ステロイド点眼薬、またはそれらの任意の組み合わせである。いくつかの態様では、1つまたは複数の有害事象は結膜炎、結膜潰瘍、および角膜炎であり、追加の治療剤は防腐剤フリーの潤滑点眼薬、眼科用血管収縮薬、抗生物質、ステロイド点眼薬、またはそれらの任意の組み合わせである。いくつかの態様では、1つまたは複数の有害事象は結膜炎および角膜炎であり、追加の治療剤は防腐剤フリーの潤滑点眼薬、眼科用血管収縮薬、抗生物質、ステロイド点眼薬、またはそれらの任意の組み合わせである。いくつかの態様では、1つまたは複数の有害事象は結膜炎であり、追加の治療剤は防腐剤フリーの潤滑点眼薬、眼科用血管収縮薬、抗生物質、ステロイド点眼薬、またはそれらの任意の組み合わせである。いくつかの態様では、1つまたは複数の有害事象は角膜炎であり、追加の治療剤は防腐剤フリーの潤滑点眼薬、眼科用血管収縮薬、抗生物質、ステロイド点眼薬、またはそれらの任意の組み合わせである。本明細書中の任意のいくつかの態様では、有害事象(例えば、結膜炎、結膜潰瘍、および/または角膜炎)を排除するか、またはその重症度を軽減するために、対象には追加の治療剤による治療が施される。いくつかの態様では、該治療は、目用冷却パッド(例えば、THERA PEARLアイマスクまたは同様のもの)である。いくつかの態様では、1つまたは複数の有害事象は再発性の輸注関連反応であり、追加の治療剤は抗ヒスタミン薬、アセトアミノフェン、および/またはコルチコステロイドである。いくつかの態様では、1つまたは複数の有害事象は好中球減少症であり、追加の治療剤は増殖因子サポート(G-CSF)である。いくつかの態様では、1つまたは複数の有害事象は甲状腺機能亢進症であり、追加の薬剤は非選択性β遮断薬(例えば、プロプラノロール)またはチオナミド類である。いくつかの態様では、1つまたは複数の有害事象は甲状腺機能低下症であり、追加の薬剤は甲状腺補充ホルモン(例えば、レボチロキシンまたはリオチロニン)である。
【0161】
一局面では、本明細書に記載される抗TF抗体-薬物コンジュゲートまたはその抗原結合断片、例えばチソツマブベドチン、および本明細書に記載されるプラチナベースの薬剤、例えばカルボプラチン、で治療された対象は、1つまたは複数の有害事象を発症するリスクがある。いくつかの態様では、有害事象の発症を予防するか、または有害事象の重症度を軽減するために、対象は追加の治療剤を投与される。いくつかの態様では、対象が発症するリスクのある1つまたは複数の有害事象は、出血の増加、出血、肝機能異常(例えば、肝酵素の上昇)、粘膜炎、好中球減少症、発熱性好中球減少症、末梢神経障害、血小板数の減少、嘔吐、神経障害、結膜炎、角膜炎、結膜潰瘍、眼瞼癒着、輸注関連反応、一般的な健康悪化、またはそれらの任意の組み合わせである。いくつかの態様では、対象が発症するリスクのある1つまたは複数の有害事象は、貧血、腹痛、出血、低カリウム血症、低ナトリウム血症、鼻血、疲労、吐き気、脱毛症、結膜炎、角膜炎、結膜潰瘍、便秘、食欲低下、下痢、嘔吐、好中球減少症、血小板数の減少、末梢神経障害、一般的な身体の健康悪化、またはそれらの任意の組み合わせである。いくつかの態様では、1つまたは複数の有害事象はグレード1以上の有害事象である。いくつかの態様では、1つまたは複数の有害事象はグレード2以上の有害事象である。いくつかの態様では、1つまたは複数の有害事象はグレード3以上の有害事象である。いくつかの態様では、1つまたは複数の有害事象はグレード1の有害事象である。いくつかの態様では、1つまたは複数の有害事象はグレード2の有害事象である。いくつかの態様では、1つまたは複数の有害事象はグレード3の有害事象である。いくつかの態様では、1つまたは複数の有害事象はグレード4の有害事象である。いくつかの態様では、1つまたは複数の有害事象は重篤な有害事象である。いくつかの態様では、1つまたは複数の有害事象は結膜炎、結膜潰瘍、および/または角膜炎であり、追加の治療剤は防腐剤フリーの潤滑点眼薬、眼科用血管収縮薬、抗生物質、ステロイド点眼薬、またはそれらの任意の組み合わせである。いくつかの態様では、1つまたは複数の有害事象は結膜炎および角膜炎であり、追加の治療剤は防腐剤フリーの潤滑点眼薬、眼科用血管収縮薬、抗生物質、ステロイド点眼薬、またはそれらの任意の組み合わせである。いくつかの態様では、1つまたは複数の有害事象は結膜炎であり、追加の治療剤は防腐剤フリーの潤滑点眼薬、眼科用血管収縮薬、抗生物質、ステロイド点眼薬、またはそれらの任意の組み合わせである。いくつかの態様では、1つまたは複数の有害事象は角膜炎であり、追加の治療剤は防腐剤フリーの潤滑点眼薬、眼科用血管収縮薬、抗生物質、ステロイド点眼薬、またはそれらの任意の組み合わせである。本明細書中の任意のいくつかの態様では、有害事象(例えば、結膜炎、結膜潰瘍、および/または角膜炎)の発症を予防するか、または有害事象の重症度を軽減するために、対象には追加の治療剤による治療が施される。いくつかの態様では、該治療は、目用冷却パッド(例えば、THERA PEARLアイマスクまたは同様のもの)である。いくつかの態様では、1つまたは複数の有害事象は再発性の輸注関連反応であり、追加の治療剤は抗ヒスタミン薬、アセトアミノフェン、および/またはコルチコステロイドである。いくつかの態様では、1つまたは複数の有害事象は好中球減少症であり、追加の治療剤は増殖因子サポート(G-CSF)である。いくつかの態様では、1つまたは複数の有害事象は甲状腺機能亢進症であり、追加の薬剤は非選択性β遮断薬(例えば、プロプラノロール)またはチオナミド類である。いくつかの態様では、1つまたは複数の有害事象は甲状腺機能低下症であり、追加の薬剤は甲状腺補充ホルモン(例えば、レボチロキシンまたはリオチロニン)である。
【0162】
IV. 組成物
いくつかの局面では、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートまたはその抗原結合断片のいずれか(例えばチソツマブベドチン)および/または本明細書に記載のプラチナベースの薬剤(例えばカルボプラチン)を含む組成物(例えば、薬学的組成物)も本明細書で提供される。
【0163】
治療用製剤は、所望の純度を有する有効成分を、薬学的に許容される担体、賦形剤または安定剤と混合することにより、保存用に調製される(Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 第20版, Lippincott Williams & Wiklins発行, Gennaro編, フィラデルフィア, ペンシルバニア州, 2000年)。
【0164】
許容される担体、賦形剤または安定剤は、使用する投与量と濃度でレシピエントに無毒のものであり、以下が含まれる:緩衝剤;酸化防止剤、例えば、アスコルビン酸、メチオニン、ビタミンE、メタ重亜硫酸ナトリウム;防腐剤;等張化剤;安定剤;金属錯体(例:Zn-タンパク質錯体);キレート剤、例えばEDTA;および/または非イオン性界面活性剤。
【0165】
緩衝剤は、特に安定性がpH依存性である場合、治療効果を最適化する範囲にpHを調整するために使用され得る。緩衝剤は、約50mM~約250mMの範囲の濃度で存在し得る。本発明での使用に適した緩衝剤には、有機酸と無機酸の両方およびそれらの塩が含まれる。例えば、クエン酸、リン酸、コハク酸、酒石酸、フマル酸、グルコン酸、シュウ酸、乳酸、酢酸およびそれらの塩。さらに、緩衝剤は、ヒスチジンおよびトリス(Tris)などのトリメチルアミン塩で構成されてもよい。
【0166】
防腐剤は、微生物の増殖を防ぐために添加することができ、通常は約0.2%~1.0%(w/v)の範囲で存在する。本発明での使用に適した防腐剤には、以下が含まれる:オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド;塩化ヘキサメトニウム;ハロゲン化ベンザルコニウム(例:塩化物、臭化物、ヨウ化物)、塩化ベンゼトニウム;チメロサール、フェノール、ブチルまたはベンジルアルコール;アルキルパラベン類、例えばメチルまたはプロピルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール、3-ペンタノール、およびm-クレゾール。
【0167】
等張化剤は、時には「安定剤」としても知られており、組成物中の液体の浸透圧を調整または維持するために存在し得る。タンパク質および抗体などの大きな荷電生体分子と共に使用する場合、それらはアミノ酸側鎖の荷電基と相互作用し、それによって分子間および分子内相互作用の可能性を低下させるため、「安定剤」と呼ばれることが多い。等張化剤は、他の成分の相対量を考慮して、約0.1重量%~約25重量%または約1重量%~約5重量%の量で存在することができる。いくつかの態様では、等張化剤には、多価糖アルコール、三価以上の糖アルコール、例えば、グリセリン、エリスリトール、アラビトール、キシリトール、ソルビトールおよびマンニトールが含まれる。
【0168】
追加の賦形剤には、以下の1つ以上として機能し得る添加剤が含まれる:(1)増量剤、(2)溶解促進剤、(3)安定剤、および(4)変性または容器壁への付着を防止する添加剤。そのような賦形剤としては、以下が挙げられる:多価糖アルコール(上で列挙);アミノ酸、例えば、アラニン、グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、リジン、オルニチン、ロイシン、2-フェニルアラニン、グルタミン酸、スレオニンなど;有機糖または糖アルコール、例えば、スクロース、ラクトース、ラクチトール、トレハロース、スタキオース、マンノース、ソルボース、キシロース、リボース、リビトール、ミオイニシトース(myoinisitose)、ミオイノシトール、ガラクトース、ガラクチトール、グリセロール、シクリトール(例:イノシトール)、ポリエチレングリコール;硫黄含有還元剤、例えば、尿素、グルタチオン、チオクト酸、チオグリコール酸ナトリウム、チオグリセロール、α-モノチオグリセロール、チオ硫酸ナトリウム;低分子量タンパク質、例えば、ヒト血清アルブミン、ウシ血清アルブミン、ゼラチンまたは他の免疫グロブリン;親水性ポリマー、例えばポリビニルピロリドン;単糖類(例:キシロース、マンノース、フルクトース、グルコース);二糖類(例:ラクトース、マルトース、スクロース);三糖類、例えばラフィノース;多糖類、例えば、デキストリンまたはデキストラン。
【0169】
非イオン性界面活性剤またはデタージェント(「湿潤剤」としても知られる)は、治療剤の可溶化を助けるため、ならびに撹拌により誘発される凝集から治療用タンパク質を保護するために存在することができ、それはまた、活性治療用タンパク質または抗体の変性を引き起こすことなく製剤が剪断表面応力に曝されることを可能にする。非イオン性界面活性剤は、約0.05mg/ml~約1.0mg/mlまたは約0.07mg/ml~約0.2mg/mlの範囲で存在する。いくつかの態様では、非イオン性界面活性剤は、約0.001%~約0.1%w/vまたは約0.01%~約0.1%w/vまたは約0.01%~約0.025%w/vの範囲で存在する。
【0170】
適切な非イオン性界面活性剤としては、以下が挙げられる:ポリソルベート(20、40、60、65、80など)、ポリオキサマー(184、188など)、PLURONIC(登録商標)ポリオール、TRITON(登録商標)、ポリオキシエチレンソルビタンモノエーテル(TWEEN(登録商標)-20、TWEEN(登録商標)-80など)、ラウロマクロゴール400、ステアリン酸ポリオキシル40、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油10、50および60、モノステアリン酸グリセロール、ショ糖脂肪酸エステル、メチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロース。使用できるアニオン性デタージェントには、ラウリル硫酸ナトリウム、スルホコハク酸ジオクチルナトリウムおよびスルホン酸ジオクチルナトリウムが含まれる。カチオン性デタージェントには、塩化ベンザルコニウムまたは塩化ベンゼトニウムが含まれる。
【0171】
本明細書で提供される治療方法で使用するための、本明細書に記載の抗TF抗体コンジュゲートを含む製剤は、WO2015/075201に記載されている。いくつかの態様では、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートは、抗TF抗体-薬物コンジュゲート、ヒスチジン、スクロース、およびD-マンニトールを含む製剤として存在し、この製剤は約6.0のpHを有する。いくつかの態様では、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートは、約10mg/mlの濃度の抗TF抗体-薬物コンジュゲート、約30mMの濃度のヒスチジン、約88mMの濃度のスクロース、約165mMの濃度のD-マンニトールを含む製剤として存在し、この製剤は約6.0のpHを有する。いくつかの態様では、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートは、10mg/mlの濃度の抗TF抗体-薬物コンジュゲート、30mMの濃度のヒスチジン、88mMの濃度のスクロース、165mMの濃度のD-マンニトールを含む製剤として存在し、この製剤は6.0のpHを有する。いくつかの態様では、この製剤は、10mg/mlの濃度のチソツマブベドチン、30mMの濃度のヒスチジン、88mMの濃度のスクロース、165mMの濃度のD-マンニトールを含み、6.0のpHを有する。
【0172】
本明細書で提供されるいくつかの態様では、本明細書に記載の抗TF抗体コンジュゲートを含む製剤は、界面活性剤を含まない(すなわち、界面活性剤フリーである)。
【0173】
製剤をインビボ投与に使用するためには、それらは無菌でなければならない。製剤は、滅菌ろ過膜を通してろ過することによって無菌にすることができる。本明細書中の治療用組成物は、一般に、無菌アクセスポートを有する容器、例えば、皮下注射針によって貫通可能なストッパーを有する静脈内輸液バッグまたはバイアルに入れられる。
【0174】
投与経路は、公知の容認された方法に従い、例えば、単回もしくは複数回のボーラス投与、または適切な方法での長期間にわたる注入、例えば、皮下、静脈内、腹腔内、筋肉内、動脈内、病巣内または関節内経路による注射または注入、局所投与、吸入または持続放出もしくは徐放性手段による。
【0175】
本明細書に記載の製剤はまた、治療される特定の適応症のために必要に応じて複数の活性化合物、好ましくは互いに悪影響を及ぼさない相補的活性を有するもの、を含んでもよい。あるいは、またはさらに、該組成物は、細胞毒性薬、サイトカインまたは増殖抑制剤を含み得る。そのような分子は、意図した目的に有効な量で組み合わせて適切に存在する。
【0176】
本発明は、本明細書に記載の子宮頸癌を治療する方法で使用するための、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートまたはその抗原結合断片の集団を含む組成物を提供する。いくつかの局面では、抗体-薬物コンジュゲートの集団を含む組成物が本明細書で提供され、ここで、該抗体-薬物コンジュゲートはMMAEに結合したリンカーを含み、該抗体-薬物コンジュゲートは以下の構造を有する:
ここで、pは1~8の数(例えば、1、2、3、4、5、6、7、または8)を表し、Sは抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントのスルフヒドリル残基を表し、Abは本明細書に記載の抗TF抗体またはその抗原結合フラグメント、例えばチソツマブ、を表す。いくつかの態様では、pは3~5の数を表す。いくつかの態様では、該組成物中のpの平均値は約4である。いくつかの態様では、該集団は、各抗体-薬物コンジュゲートごとにpが1から8まで変化する、抗体-薬物コンジュゲートの混合集団である。いくつかの態様では、該集団は、各抗体-薬物コンジュゲートがpについて同じ値を有する、抗体-薬物コンジュゲートの均一集団である。
【0177】
いくつかの態様では、本明細書に記載される抗TF抗体-薬物コンジュゲートまたはその抗原結合断片、例えばチソツマブベドチン、を含む組成物は、本明細書に記載されるプラチナベースの薬剤、例えばチソツマブベドチン、を含む組成物と共投与される。いくつかの態様では、共投与は同時または逐次的である。いくつかの態様では、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートはプラチナベースの薬剤と同時に投与される。いくつかの態様では、同時とは、抗TF抗体-薬物コンジュゲートとプラチナベースの薬剤とが、約1時間未満の間隔で、例えば、約30分未満の間隔、約15分未満の間隔、約10分未満の間隔、または約5分未満の間隔で、対象に投与されることを意味する。いくつかの態様では、同時とは、抗TF抗体-薬物コンジュゲートとプラチナベースの薬剤とが、1時間未満の間隔で、例えば、30分未満の間隔、15分未満の間隔、10分未満の間隔、または5分未満の間隔で、対象に投与されることを意味する。いくつかの態様では、抗TF抗体-薬物コンジュゲートは、プラチナベースの薬剤と逐次的に投与される。いくつかの態様では、逐次的投与とは、抗TF抗体-薬物コンジュゲートとプラチナベースの薬剤とが、少なくとも1時間の間隔で、少なくとも2時間の間隔、少なくとも3時間の間隔、少なくとも4時間の間隔、少なくとも5時間の間隔、少なくとも6時間の間隔、少なくとも7時間の間隔、少なくとも8時間の間隔、少なくとも9時間の間隔、少なくとも10時間の間隔、少なくとも11時間の間隔、少なくとも12時間の間隔、少なくとも13時間の間隔、少なくとも14時間の間隔、少なくとも15時間の間隔、少なくとも16時間の間隔、少なくとも17時間の間隔、少なくとも18時間の間隔、少なくとも19時間の間隔、少なくとも20時間の間隔、少なくとも21時間の間隔、少なくとも22時間の間隔、少なくとも23時間の間隔、少なくとも24時間の間隔、少なくとも2日の間隔、少なくとも3日の間隔、少なくとも4日の間隔、少なくとも5日の間隔、少なくとも5日の間隔、少なくとも7日の間隔、少なくとも2週間の間隔、少なくとも3週間の間隔、または少なくとも4週間の間隔で、対象に投与されることを意味する。いくつかの態様では、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートおよび/または本明細書に記載のプラチナベースの薬剤を含む組成物は、1つまたは複数の有害事象を排除するかまたはその重症度を軽減するための1つまたは複数の治療剤と共投与される。いくつかの態様では、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートおよび/または本明細書に記載のプラチナベースの薬剤を含む組成物は、有害事象の発症を予防するかまたは有害事象の重症度を軽減するための1つまたは複数の治療剤と共投与される。
【0178】
いくつかの態様では、本明細書に記載される抗TF抗体-薬物コンジュゲート、例えばチソツマブベドチン、および/または本明細書に記載されるプラチナベースの薬剤、例えばカルボプラチン、を含む組成物は、1つまたは追加の治療剤と共投与される。いくつかの態様では、共投与は同時または逐次的である。いくつかの態様では、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートおよび/または本明細書に記載のプラチナベースの薬剤は、1つまたは複数の追加の治療剤と同時に投与される。いくつかの態様では、同時とは、抗TF抗体-薬物コンジュゲートおよび/またはプラチナベースの薬剤と1つまたは複数の治療剤とが、約1時間未満の間隔で、例えば、約30分未満の間隔、約15分未満の間隔、約10分未満の間隔、または約5分未満の間隔で、対象に投与されることを意味する。いくつかの態様では、抗TF抗体-薬物コンジュゲートおよび/またはプラチナベースの薬剤は、1つまたは複数の追加の治療剤と逐次的に投与される。いくつかの態様では、同時とは、抗TF抗体-薬物コンジュゲートおよび/またはプラチナベースの薬剤と1つまたは複数の治療剤とが、1時間未満の間隔で、例えば、30分未満の間隔、15分未満の間隔、10分未満の間隔、または5分未満の間隔で、対象に投与されることを意味する。いくつかの態様では、抗TF抗体-薬物コンジュゲートおよび/またはプラチナベースの薬剤は、1つまたは複数の追加の治療剤と逐次的に投与される。いくつかの態様では、逐次的投与とは、抗TF抗体-薬物コンジュゲートおよび/またはプラチナベースの薬剤と1つまたは複数の追加の治療剤とが、少なくとも1時間の間隔で、少なくとも2時間の間隔、少なくとも3時間の間隔、少なくとも4時間の間隔、少なくとも5時間の間隔、少なくとも6時間の間隔、少なくとも7時間の間隔、少なくとも8時間の間隔、少なくとも9時間の間隔、少なくとも10時間の間隔、少なくとも11時間の間隔、少なくとも12時間の間隔、少なくとも13時間の間隔、少なくとも14時間の間隔、少なくとも15時間の間隔、少なくとも16時間の間隔、少なくとも17時間の間隔、少なくとも18時間の間隔、少なくとも19時間の間隔、少なくとも20時間の間隔、少なくとも21時間の間隔、少なくとも22時間の間隔、少なくとも23時間の間隔、少なくとも24時間の間隔、少なくとも2日の間隔、少なくとも3日の間隔、少なくとも4日の間隔、少なくとも5日の間隔、少なくとも5日の間隔、少なくとも7日の間隔、少なくとも2週間の間隔、少なくとも3週間の間隔、または少なくとも4週間の間隔で、対象に投与されることを意味する。
【0179】
いくつかの態様では、本明細書に記載される抗TF抗体-薬物コンジュゲート、例えばチソツマブベドチン、および/または本明細書に記載されるプラチナベースの薬剤、例えばカルボプラチン、を含む組成物は、1つまたは複数の有害事象を排除するかまたはその重症度を軽減するための1つまたは複数の治療剤と共投与される。いくつかの態様では、共投与は同時または逐次的である。いくつかの態様では、抗TF抗体-薬物コンジュゲートおよび/またはプラチナベースの薬剤は、1つまたは複数の有害事象を排除するかまたはその重症度を軽減するための1つまたは複数の治療剤と同時に投与される。いくつかの態様では、同時とは、抗TF抗体-薬物コンジュゲートおよび/またはプラチナベースの薬剤と、1つまたは複数の有害事象を排除するかまたはその重症度を軽減するための1つまたは複数の治療剤とが、約1時間未満の間隔で、例えば、約30分未満の間隔、約15分未満の間隔、約10分未満の間隔、または約5分未満の間隔で、対象に投与されることを意味する。いくつかの態様では、同時とは、抗TF抗体-薬物コンジュゲートおよび/またはプラチナベースの薬剤と、1つまたは複数の有害事象を排除するかまたはその重症度を軽減するための1つまたは複数の治療剤とが、1時間未満の間隔で、例えば、30分未満の間隔、15分未満の間隔、10分未満の間隔、または5分未満の間隔で、対象に投与されることを意味する。いくつかの態様では、抗TF抗体-薬物コンジュゲートおよび/またはプラチナベースの薬剤は、1つまたは複数の有害事象を排除するかまたはその重症度を軽減するための1つまたは複数の治療剤と逐次的に投与される。いくつかの態様では、逐次的投与とは、抗TF抗体-薬物コンジュゲートおよび/またはプラチナベースの薬剤と1つまたは複数の追加の治療剤とが、少なくとも1時間の間隔で、少なくとも2時間の間隔、少なくとも3時間の間隔、少なくとも4時間の間隔、少なくとも5時間の間隔、少なくとも6時間の間隔、少なくとも7時間の間隔、少なくとも8時間の間隔、少なくとも9時間の間隔、少なくとも10時間の間隔、少なくとも11時間の間隔、少なくとも12時間の間隔、少なくとも13時間の間隔、少なくとも14時間の間隔、少なくとも15時間の間隔、少なくとも16時間の間隔、少なくとも17時間の間隔、少なくとも18時間の間隔、少なくとも19時間の間隔、少なくとも20時間の間隔、少なくとも21時間の間隔、少なくとも22時間の間隔、少なくとも23時間の間隔、少なくとも24時間の間隔、少なくとも2日の間隔、少なくとも3日の間隔、少なくとも4日の間隔、少なくとも5日の間隔、少なくとも5日の間隔、少なくとも7日の間隔、少なくとも2週間の間隔、少なくとも3週間の間隔、または少なくとも4週間の間隔で、対象に投与されることを意味する。いくつかの態様では、抗TF抗体-薬物コンジュゲートおよび/またはプラチナベースの薬剤は、1つまたは複数の有害事象を排除するかまたはその重症度を軽減するための1つまたは複数の治療剤の前に投与される。いくつかの態様では、1つまたは複数の有害事象を排除するかまたはその重症度を軽減するための1つまたは複数の治療剤は、抗TF抗体-薬物コンジュゲートおよび/またはプラチナベースの薬剤の前に投与される。
【0180】
V. 製造物品およびキット
別の局面では、本明細書に記載される抗TF抗体-薬物コンジュゲート、例えばチソツマブベドチン、および/または本明細書に記載されるプラチナベースの薬剤、例えばカルボプラチン、を含む製造物品またはキットが提供される。製造物品またはキットは、本発明の方法で抗TF抗体-薬物コンジュゲートおよび/またはプラチナベースの薬剤を使用するための説明書をさらに含み得る。かくして、特定の態様では、製造物品またはキットは、有効量の抗TF抗体-薬物コンジュゲートおよび/またはプラチナベースの薬剤を対象に投与することを含む、対象におけるがん(例えば、膀胱癌または子宮頸癌)の治療方法において、抗TF抗体-薬物コンジュゲートおよび/またはプラチナベースの薬剤を使用するための説明書を含む。いくつかの態様では、がんは膀胱癌である。いくつかの態様では、がんは子宮頸癌である。いくつかの態様では、子宮頸癌は進行期の子宮頸癌である。いくつかの態様では、進行期子宮頸癌は転移性子宮頸癌である。いくつかの態様では、進行期子宮頸癌はステージ3またはステージ4の子宮頸癌である。いくつかの態様では、子宮頸癌は転移性癌および再発癌である。いくつかの態様では、子宮頸癌は再発癌である。いくつかの態様では、対象は根治療法の候補ではない。いくつかの態様では、対象は子宮頸癌のための以前の全身療法を受けたことがない。いくつかの態様では、対象はヒトである。
【0181】
製造物品またはキットはさらに容器を含み得る。適切な容器には、例えば、ボトル、バイアル(例えば、デュアルチャンバーバイアル)、シリンジ(例えば、シングルまたはデュアルチャンバーシリンジ)および試験管が含まれる。いくつかの態様では、容器はバイアルである。容器は、ガラス、プラスチックなどの様々な材料から形成され得る。容器は製剤を保持する。
【0182】
製造物品またはキットはさらに、容器上にあるかまたは容器に付随するラベルまたは添付文書を含むことができ、製剤の再調製および/または使用に関する指示を示し得る。ラベルまたは添付文書は、製剤が皮下、静脈内(例えば、静注)、または本明細書に記載される膀胱癌または子宮頸癌(例えば、グレード3もしくはグレード4または転移性子宮頸癌などの進行した子宮頸癌)などの対象におけるがんを治療するための他の投与方法に有用であるか、またはそのような投与に向いていることをさらに示し得る。製剤を保持する容器は、単回使用バイアル、または再調製した製剤の反復投与を可能にする複数回使用バイアルであり得る。製造物品またはキットは、適切な希釈剤を含む第2の容器をさらに含んでもよい。製造物品またはキットは、他の緩衝剤、希釈剤、フィルター、針、シリンジ、および使用説明書付きの添付文書など、商業的、治療的、およびユーザーの観点から望ましい他の材料をさらに含んでもよい。
【0183】
本明細書中の製造物品またはキットは、任意で、第2の薬剤を含む容器をさらに含み、この場合、抗TF抗体-薬物コンジュゲートは第1の薬剤である;該製造物品またはキットは、有効量の第2の薬剤で対象を治療するための、ラベルまたは添付文書上の指示をさらに含む。いくつかの態様では、第2の薬剤は本明細書に記載されるプラチナベースの薬剤である。いくつかの態様では、ラベルまたは添付文書には、第1の薬剤と第2の薬剤を、本明細書に記載されるように、逐次的または同時に投与すべきであることが示される。
【0184】
本明細書中の製造物品またはキットは、任意で、第3の薬剤を含む容器をさらに含み、この場合、第3の薬剤は1つまたは複数の有害事象を排除するかまたはその重症度を軽減するためのものであり、ここで、抗TF抗体-薬物コンジュゲートは第1の薬剤であり、プラチナベースの薬剤は第2の薬剤である;該製造物品またはキットは、有効量の第3の薬剤で対象を治療するための、ラベルまたは添付文書上の指示をさらに含む。いくつかの態様では、ラベルまたは添付文書には、第1、第2、および第3の薬剤を、本明細書に記載されるように、逐次的または同時に投与すべきであることが示される;例えば、ラベルまたは添付文書には、抗TF抗体-薬物コンジュゲートを最初に投与し、続いてプラチナベースの薬剤を投与し、その後第3の薬剤を投与すべきであることが示される。
【0185】
いくつかの態様では、抗TF抗体-薬物コンジュゲートおよび/またはプラチナベースの薬剤は、凍結乾燥粉末として容器内に存在する。いくつかの態様では、凍結乾燥粉末は、活性薬剤の量を示す、バイアル、アンプル、小袋などの密閉容器内にある。薬剤が注射により投与される場合には、諸成分を投与前に混合することができるように、例えば、注射用の滅菌水または生理食塩水のアンプルを、任意でキットの一部として、提供することができる。そのようなキットは、当業者には容易に明らかであるように、例えば、1つまたは複数の薬学的に許容される担体を含む容器、追加の容器などの、1つまたは複数の様々な従来の薬学的コンポーネントを、必要に応じて、さらに含むことができる。投与される成分の量、投与に関するガイドライン、および/または諸成分を混合するためのガイドラインを示す、添付文書またはラベルとしての、印刷された説明書を、キットに含めることもできる。
【0186】
VII. 例示的な態様
本明細書で提供される態様には、以下が含まれる:
1. 対象におけるがんの治療方法であって、プラチナベースの薬剤と、組織因子(TF)に結合する抗体-薬物コンジュゲートとを対象に投与する工程を含み、該抗体-薬物コンジュゲートが、モノメチルアウリスタチンまたはその機能的類似体もしくはその機能的誘導体にコンジュゲートされた、抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントを含む、方法。
2. 前記抗体-薬物コンジュゲートが約0.9mg/kg~約2.1mg/kgの範囲の用量で投与される、態様1の方法。
3. 前記抗体-薬物コンジュゲートが約1.3mg/kgの用量で投与される、態様2の方法。
4. 前記抗体-薬物コンジュゲートが1.3mg/kgの用量で投与される、態様2の方法。
5. 前記抗体-薬物コンジュゲートが約2.0mg/kgの用量で投与される、態様2の方法。
6. 前記抗体-薬物コンジュゲートが2.0mg/kgの用量で投与される、態様2の方法。
7. 前記抗体-薬物コンジュゲートが、約1週間に1回、約2週間に1回、約3週間に1回、または約4週間に1回投与される、態様1~6のいずれかの方法。
8. 前記抗体-薬物コンジュゲートが約3週間に1回投与される、態様7の方法。
9. 前記抗体-薬物コンジュゲートが3週間に1回投与される、態様7の方法。
10. 前記プラチナベースの薬剤が、AUC=約4~約6の用量で投与される、態様1~9のいずれかの方法。
11. 前記プラチナベースの薬剤がAUC=約5の用量で投与される、態様10の方法。
12. 前記プラチナベースの薬剤がAUC=5の用量で投与される、態様10の方法。
13. 前記プラチナベースの薬剤が、約1週間に1回、約2週間に1回、約3週間に1回、または約4週間に1回投与される、態様1~12のいずれかの方法。
14. 前記プラチナベースの薬剤が約3週間に1回投与される、態様13の方法。
15. 前記プラチナベースの薬剤が3週間に1回投与される、態様13の方法。
16. 前記がんが膀胱癌である、態様1~15のいずれかの方法。
17. 前記がんが子宮頸癌である、態様1~15のいずれかの方法。
18. 前記対象が根治療法の候補ではない、態様17の方法。
19. 根治療法が、放射線療法および/または除臓術を含む、態様18の方法。
20. 前記対象が、子宮頸癌のための以前の全身療法を受けたことがない、態様17の方法。
21. 前記子宮頸癌が、腺癌、腺扁平上皮癌、または扁平上皮癌である、態様17~20のいずれかの方法。
22. 前記子宮頸癌が、進行期の子宮頸癌である、態様17~21のいずれかの方法。
23. 前記進行期の子宮頸癌が、ステージ3またはステージ4の子宮頸癌である、態様22の方法。
24. 前記進行期の子宮頸癌が転移性子宮頸癌である、態様22または23の方法。
25. 前記子宮頸癌が再発子宮頸癌である、態様17~24のいずれかの方法。
26. 前記モノメチルアウリスタチンがモノメチルアウリスタチンE(MMAE)である、態様1~25のいずれかの方法。
27. 前記抗体-薬物コンジュゲートの抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントが、モノクローナル抗体またはそのモノクローナル抗原結合フラグメントである、態様1~26のいずれかの方法。
28. 前記抗体-薬物コンジュゲートの抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントが重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、該重鎖可変領域が、
(i) SEQ ID NO:1のアミノ酸配列を含むCDR-H1;
(ii) SEQ ID NO:2のアミノ酸配列を含むCDR-H2;および
(iii)SEQ ID NO:3のアミノ酸配列を含むCDR-H3;
を含み、かつ該軽鎖可変領域が、
(i) SEQ ID NO:4のアミノ酸配列を含むCDR-L1;
(ii) SEQ ID NO:5のアミノ酸配列を含むCDR-L2;および
(iii)SEQ ID NO:6のアミノ酸配列を含むCDR-L3;
を含み、該抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントのCDRがIMGTナンバリングスキームによって定義される、態様1~27のいずれかの方法。
29. 前記抗体-薬物コンジュゲートの抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントが、SEQ ID NO:7のアミノ酸配列と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、およびSEQ ID NO:8のアミノ酸配列と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、態様1~28のいずれかの方法。
30. 前記抗体-薬物コンジュゲートの抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントが、SEQ ID NO:7のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、およびSEQ ID NO:8のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、態様1~29のいずれかの方法。
31. 前記抗体-薬物コンジュゲートの抗TF抗体がチソツマブ(tisotumab)である、態様1~30のいずれかの方法。
32. 前記抗体-薬物コンジュゲートが、前記抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントと前記モノメチルアウリスタチンとの間にリンカーをさらに含む、態様1~31のいずれかの方法。
33. 前記リンカーが、切断可能なペプチドリンカーである、態様32の方法。
34. 前記切断可能なペプチドリンカーが式:-MC-vc-PAB-を有し、式中、
a)MCは
であり、
b)vcはジペプチドであるバリン-シトルリンであり、
c)PABは
である、態様33の方法。
35. 前記リンカーが、前記抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントの部分還元または完全還元によって得られた抗TF抗体のスルフヒドリル残基に結合している、態様32~34のいずれかの方法。
36. 前記リンカーがMMAEに結合しており、その場合に、前記抗体-薬物コンジュゲートが以下の構造:
を有し、ここで、pは1~8の数を表し、Sは前記抗TF抗体のスルフヒドリル残基を表し、Abは該抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントを表す、態様35の方法。
37. 前記抗体-薬物コンジュゲートの集団におけるpの平均値が約4である、態様36の方法。
38. 前記抗体-薬物コンジュゲートがチソツマブベドチン(tisotumab vedotin)である、態様1~37のいずれかの方法。
39. 前記抗体-薬物コンジュゲートの投与経路が静脈内である、態様1~38のいずれかの方法。
40. 前記プラチナベースの薬剤が、カルボプラチン、シスプラチン、オキサリプラチン、およびネダプラチンからなる群より選択される、態様1~39のいずれかの方法。
41. 前記プラチナベースの薬剤がカルボプラチンである、態様1~39のいずれかの方法。
42. 前記プラチナベースの薬剤がシスプラチンである、態様1~39のいずれかの方法。
43. 前記プラチナベースの薬剤の投与経路が静脈内である、態様1~42のいずれかの方法。
44. 前記プラチナベースの薬剤と前記抗体-薬物コンジュゲートが逐次的に投与される、態様1~43のいずれかの方法。
45. 前記プラチナベースの薬剤と前記抗体-薬物コンジュゲートが同時に投与される、態様1~43のいずれかの方法。
46. 子宮頸癌細胞の少なくとも約0.1%、少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約6%、少なくとも約7%、少なくとも約8%、少なくとも約9%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、または少なくとも約80%が、TFを発現する、態様1~45のいずれかの方法。
47. 前記対象における1つまたは複数の治療効果が、ベースラインと比較して、前記抗体-薬物コンジュゲートと前記プラチナベースの薬剤の投与後に改善される、態様1~46のいずれかの方法。
48. 前記1つまたは複数の治療効果が、子宮頸癌に由来する腫瘍のサイズ、客観的奏効率、奏効持続期間、奏効までの期間、無増悪生存期間、および全生存期間からなる群より選択される、態様47の方法。
49. 子宮頸癌に由来する腫瘍のサイズが、前記抗体-薬物コンジュゲートと前記プラチナベースの薬剤の投与前の子宮頸癌に由来する腫瘍のサイズと比較して、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、または少なくとも約80%減少する、態様1~48のいずれかの方法。
50. 客観的奏効率が、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、または少なくとも約80%である、態様1~49のいずれかの方法。
51. 前記対象が、前記抗体-薬物コンジュゲートと前記プラチナベースの薬剤の投与後に、少なくとも約1ヶ月、少なくとも約2ヶ月、少なくとも約3ヶ月、少なくとも約4ヶ月、少なくとも約5ヶ月、少なくとも約6ヶ月、少なくとも約7ヶ月、少なくとも約8ヶ月、少なくとも約9ヶ月、少なくとも約10ヶ月、少なくとも約11ヶ月、少なくとも約12ヶ月、少なくとも約18ヶ月、少なくとも約2年、少なくとも約3年、少なくとも約4年、または少なくとも約5年の無増悪生存期間を示す、態様1~50のいずれかの方法。
52. 前記対象が、前記抗体-薬物コンジュゲートと前記プラチナベースの薬剤の投与後に、少なくとも約1ヶ月、少なくとも約2ヶ月、少なくとも約3ヶ月、少なくとも約4ヶ月、少なくとも約5ヶ月、少なくとも約6ヶ月、少なくとも約7ヶ月、少なくとも約8ヶ月、少なくとも約9ヶ月、少なくとも約10ヶ月、少なくとも約11ヶ月、少なくとも約12ヶ月、少なくとも約18ヶ月、少なくとも約2年、少なくとも約3年、少なくとも約4年、または少なくとも約5年の全生存期間を示す、態様1~51のいずれかの方法。
53. 前記抗体-薬物コンジュゲートの奏効持続期間が、該抗体-薬物コンジュゲートと前記プラチナベースの薬剤の投与後の少なくとも約1ヶ月、少なくとも約2ヶ月、少なくとも約3ヶ月、少なくとも約4ヶ月、少なくとも約5ヶ月、少なくとも約6ヶ月、少なくとも約7ヶ月、少なくとも約8ヶ月、少なくとも約9ヶ月、少なくとも約10ヶ月、少なくとも約11ヶ月、少なくとも約12ヶ月、少なくとも約18ヶ月、少なくとも約2年、少なくとも約3年、少なくとも約4年、または少なくとも約5年である、態様1~52のいずれかの方法。
54. 前記対象が、1つまたは複数の有害事象を有し、該1つまたは複数の有害事象を排除するかまたはその重症度を軽減するために追加の治療剤をさらに投与される、態様1~53のいずれかの方法。
55. 前記対象が、1つまたは複数の有害事象を発症するリスクを有し、該1つまたは複数の有害事象を予防するかまたはその重症度を軽減するために追加の治療剤をさらに投与される、態様1~54のいずれかの方法。
56. 前記1つまたは複数の有害事象が、出血、吐き気、脱毛症、結膜炎、角膜炎、結膜潰瘍、粘膜炎、便秘、食欲不振、下痢、嘔吐、好中球減少症、発熱性好中球減少症、血小板数の減少、または出血の増加である、態様54または55の方法。
57. 前記1つまたは複数の有害事象が、グレード3以上の有害事象である、態様54または55の方法。
58. 前記1つまたは複数の有害事象が重篤な有害事象である、態様54または55の方法。
59. 前記1つまたは複数の有害事象が結膜炎および/または角膜炎であり、前記追加の薬剤が、防腐剤フリーの潤滑点眼薬、眼科用血管収縮薬および/またはステロイド点眼薬である、態様54または55の方法。
60. 前記対象がヒトである、態様1~59のいずれかの方法。
61. 前記抗体-薬物コンジュゲートが、該抗体-薬物コンジュゲートと薬学的に許容される担体を含む薬学的組成物として存在する、態様1~60のいずれかの方法。
62. 前記プラチナベースの薬剤が、該プラチナベースの薬剤と薬学的に許容される担体を含む薬学的組成物として存在する、態様1~61のいずれかの方法。
63. (a)AUC=約4~約6の範囲の投与量のプラチナベースの薬剤;
(b)約0.9mg/kg~約2.1mg/kgの範囲の投与量の、組織因子(TF)に結合する抗体-薬物コンジュゲートであって、モノメチルアウリスタチンまたはその機能的類似体もしくはその機能的誘導体にコンジュゲートされた抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントを含む、抗体-薬物コンジュゲート;および
(c)態様1~62のいずれかの方法に従って該プラチナベースの薬剤と該抗体-薬物コンジュゲートを使用するための説明書
を含む、キット。
64. 前記プラチナベースの薬剤がカルボプラチンである、態様63のキット。
65. 前記抗体-薬物コンジュゲートがチソツマブベドチンである、態様63または64のキット。
66. 対象におけるがんの治療において使用するための、TFに結合する抗体-薬物コンジュゲートであって、プラチナベースの薬剤と組み合わせて投与するためのものまたは投与されるべきものであり、モノメチルアウリスタチンまたはその機能的類似体もしくはその機能的誘導体にコンジュゲートされた抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントを含む、抗体-薬物コンジュゲート。
67. 前記抗体-薬物コンジュゲートが約0.9mg/kg~約2.1mg/kgの範囲の用量で投与される、態様66の使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
68. 前記抗体-薬物コンジュゲートが約1.3mg/kgの用量で投与される、態様67の使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
69. 前記抗体-薬物コンジュゲートが1.3mg/kgの用量で投与される、態様67の使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
70. 前記抗体-薬物コンジュゲートが約2.0mg/kgの用量で投与される、態様67の使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
71. 前記抗体-薬物コンジュゲートが2.0mg/kgの用量で投与される、態様67の使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
72. 前記抗体-薬物コンジュゲートが、約1週間に1回、約2週間に1回、約3週間に1回、または約4週間に1回投与される、態様66~71のいずれか1つの使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
73. 前記抗体-薬物コンジュゲートが約3週間に1回投与される、態様72の使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
74. 前記抗体-薬物コンジュゲートが3週間に1回投与される、態様72の使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
75. 前記プラチナベースの薬剤が、AUC=約4~約6の用量で投与される、態様66~74のいずれか1つの使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
76. 前記プラチナベースの薬剤が、AUC=約5の用量で投与される、態様75の使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
77. 前記プラチナベースの薬剤が、AUC=5の用量で投与される、態様75の使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
78. 前記プラチナベースの薬剤が、約1週間に1回、約2週間に1回、約3週間に1回、または約4週間に1回投与される、態様66~77のいずれか1つの使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
79. 前記プラチナベースの薬剤が約3週間に1回投与される、態様78の使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
80. 前記プラチナベースの薬剤が3週間に1回投与される、態様78の使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
81. 前記がんが膀胱癌である、態様66~80のいずれか1つの使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
82. 前記がんが子宮頸癌である、態様66~80のいずれか1つの使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
83. 前記対象が根治療法の候補ではない、態様82の使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
84. 前記根治療法が放射線療法および/または除臓術を含む、態様83の使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
85. 前記対象が子宮頸癌のための以前の全身療法を受けたことがない、態様82の使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
86. 前記子宮頸癌が、腺癌、腺扁平上皮癌、または扁平上皮癌である、態様82~85のいずれか1つの使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
87. 前記子宮頸癌が進行期の子宮頸癌である、態様82~86のいずれか1つの使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
88. 前記進行期子宮頸癌が、ステージ3またはステージ4の子宮頸癌である、態様87の使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
89. 前記進行期子宮頸癌が転移性子宮頸癌である、態様87または88の使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
90. 前記子宮頸癌が再発子宮頸癌である、態様82~89のいずれか1つの使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
91. 前記モノメチルアウリスタチンがモノメチルアウリスタチンE(MMAE)である、態様66~90のいずれか1つの使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
92. 前記抗体-薬物コンジュゲートの抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントが、モノクローナル抗体またはそのモノクローナル抗原結合フラグメントである、態様66~91のいずれか1つの使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
93. 前記抗体-薬物コンジュゲートの抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントが重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、該重鎖可変領域が、
(i) SEQ ID NO:1のアミノ酸配列を含むCDR-H1;
(ii) SEQ ID NO:2のアミノ酸配列を含むCDR-H2;および
(iii)SEQ ID NO:3のアミノ酸配列を含むCDR-H3;
を含み、かつ該軽鎖可変領域が、
(i) SEQ ID NO:4のアミノ酸配列を含むCDR-L1;
(ii) SEQ ID NO:5のアミノ酸配列を含むCDR-L2;および
(iii)SEQ ID NO:6のアミノ酸配列を含むCDR-L3;
を含み、抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントのCDRはIMGTナンバリングスキームによって定義される、態様66~92のいずれか1つの使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
94. 前記抗体-薬物コンジュゲートの抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントが、SEQ ID NO:7のアミノ酸配列と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、およびSEQ ID NO:8のアミノ酸配列と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、態様66~93のいずれか1つの使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
95. 前記抗体-薬物コンジュゲートの抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントが、SEQ ID NO:7のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、およびSEQ ID NO:8のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、態様66~94のいずれか1つの使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
96. 前記抗体-薬物コンジュゲートの抗TF抗体がチソツマブである、態様66~95のいずれか1つの使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
97. 前記抗体-薬物コンジュゲートが、抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントとモノメチルアウリスタチンとの間にリンカーをさらに含む、態様66~96のいずれか1つの使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
98. 前記リンカーが、切断可能なペプチドリンカーである、態様97の使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
99. 前記切断可能なペプチドリンカーが式:-MC-vc-PAB-を有し、式中、
a)MCは
であり、
b)vcはジペプチドであるバリン-シトルリンであり、
c)PABは
である、態様98の使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
100. 前記リンカーが、抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントの部分還元または完全還元によって得られた抗TF抗体のスルフヒドリル残基に結合している、態様97~99のいずれか1つの使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
101. 前記リンカーがMMAEに結合しており、その場合に、抗体-薬物コンジュゲートは以下の構造:
を有し、ここで、pは1~8の数を表し、Sは抗TF抗体のスルフヒドリル残基を表し、Abは抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントを表す、態様100の使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
102. 前記抗体-薬物コンジュゲートの集団におけるpの平均値が約4である、態様101の使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
103. 前記抗体-薬物コンジュゲートがチソツマブベドチンである、態様66~102のいずれか1つの使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
104. 前記抗体-薬物コンジュゲートの投与経路が静脈内である、態様66~103のいずれか1つの使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
105. 前記プラチナベースの薬剤が、カルボプラチン、シスプラチン、オキサリプラチン、およびネダプラチンからなる群より選択される、態様66~104のいずれか1つの使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
106. 前記プラチナベースの薬剤がカルボプラチンである、態様66~104のいずれか1つの使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
107. 前記プラチナベースの薬剤がシスプラチンである、態様66~104のいずれか1つの使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
108. 前記プラチナベースの薬剤の投与経路が静脈内である、態様66~107のいずれか1つの使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
109. 前記プラチナベースの薬剤と抗体-薬物コンジュゲートが逐次的に投与される、態様66~108のいずれか1つの使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
110. 前記プラチナベースの薬剤と抗体-薬物コンジュゲートが同時に投与される、態様66~108のいずれか1つの使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
111. 前記子宮頸癌細胞の少なくとも約0.1%、少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約6%、少なくとも約7%、少なくとも約8%、少なくとも約9%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、または少なくとも約80%が、TFを発現する、態様66~110のいずれか1つの使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
112. 前記対象における1つまたは複数の治療効果が、ベースラインと比較して、抗体-薬物コンジュゲートとプラチナベースの薬剤の投与後に改善される、態様66~111のいずれか1つの使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
113. 前記1つまたは複数の治療効果が、子宮頸癌に由来する腫瘍のサイズ、客観的奏効率、奏効持続期間、奏効までの期間、無増悪生存期間、および全生存期間からなる群より選択される、態様112の使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
114. 前記子宮頸癌に由来する腫瘍のサイズが、抗体-薬物コンジュゲートとプラチナベースの薬剤の投与前の子宮頸癌に由来する腫瘍のサイズと比較して、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、または少なくとも約80%減少する、態様66~113のいずれか1つの使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
115. 客観的奏効率が、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、または少なくとも約80%である、態様66~114のいずれか1つの使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
116. 前記対象が、抗体-薬物コンジュゲートとプラチナベースの薬剤の投与後に、少なくとも約1ヶ月、少なくとも約2ヶ月、少なくとも約3ヶ月、少なくとも約4ヶ月、少なくとも約5ヶ月、少なくとも約6ヶ月、少なくとも約7ヶ月、少なくとも約8ヶ月、少なくとも約9ヶ月、少なくとも約10ヶ月、少なくとも約11ヶ月、少なくとも約12ヶ月、少なくとも約18ヶ月、少なくとも約2年、少なくとも約3年、少なくとも約4年、または少なくとも約5年の無増悪生存期間を示す、態様66~115のいずれか1つの使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
117. 前記対象が、抗体-薬物コンジュゲートとプラチナベースの薬剤の投与後に、少なくとも約1ヶ月、少なくとも約2ヶ月、少なくとも約3ヶ月、少なくとも約4ヶ月、少なくとも約5ヶ月、少なくとも約6ヶ月、少なくとも約7ヶ月、少なくとも約8ヶ月、少なくとも約9ヶ月、少なくとも約10ヶ月、少なくとも約11ヶ月、少なくとも約12ヶ月、少なくとも約18ヶ月、少なくとも約2年、少なくとも約3年、少なくとも約4年、または少なくとも約5年の全生存期間を示す、態様66~116のいずれか1つの使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
118. 前記抗体-薬物コンジュゲートの奏効持続期間が、抗体-薬物コンジュゲートとプラチナベースの薬剤の投与後の少なくとも約1ヶ月、少なくとも約2ヶ月、少なくとも約3ヶ月、少なくとも約4ヶ月、少なくとも約5ヶ月、少なくとも約6ヶ月、少なくとも約7ヶ月、少なくとも約8ヶ月、少なくとも約9ヶ月、少なくとも約10ヶ月、少なくとも約11ヶ月、少なくとも約12ヶ月、少なくとも約18ヶ月、少なくとも約2年、少なくとも約3年、少なくとも約4年、または少なくとも約5年である、態様66~117のいずれか1つの使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
119. 前記対象が1つまたは複数の有害事象を有し、該1つまたは複数の有害事象を排除するかまたはその重症度を軽減するために、追加の治療剤をさらに投与される、態様66~118のいずれか1つの使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
120. 前記対象が、1つまたは複数の有害事象を発症するリスクを有し、該1つまたは複数の有害事象を予防するかまたはその重症度を軽減するために、追加の治療剤をさらに投与される、態様66~119のいずれか1つの使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
121. 前記1つまたは複数の有害事象が、出血、吐き気、脱毛症、結膜炎、角膜炎、結膜潰瘍、粘膜炎、便秘、食欲不振、下痢、嘔吐、好中球減少症、発熱性好中球減少症、血小板数の減少、または出血の増加である、態様119または120の使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
122. 前記1つまたは複数の有害事象が、グレード3以上の有害事象である、態様119または120の使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
123. 前記1つまたは複数の有害事象が重篤な有害事象である、態様119または120の使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
124. 前記1つまたは複数の有害事象が結膜炎および/または角膜炎であり、追加の薬剤が、防腐剤フリーの潤滑点眼薬、眼科用血管収縮薬および/またはステロイド点眼薬である、態様119または120の使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
125. 前記対象がヒトである、態様66~124のいずれか1つの使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
126. 前記抗体-薬物コンジュゲートが、該抗体-薬物コンジュゲートと薬学的に許容される担体を含む薬学的組成物として存在する、態様66~125のいずれか1つの使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
127. 前記プラチナベースの薬剤が、該プラチナベースの薬剤と薬学的に許容される担体を含む薬学的組成物として存在する、態様66~126のいずれか1つの使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
128. 対象におけるがんを治療するための医薬を製造するための、TFに結合する抗体-薬物コンジュゲートの使用であって、該医薬がプラチナベースの薬剤と組み合わせて使用するためのものであり、該抗体-薬物コンジュゲートが、モノメチルアウリスタチンまたはその機能的類似体もしくはその機能的誘導体にコンジュゲートされた、抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントを含む、使用。
129. 前記抗体-薬物コンジュゲートが約0.9 mg/kg~約2.1 mg/kgの範囲の用量で投与される、態様128の使用。
130. 前記抗体-薬物コンジュゲートが約1.3 mg/kgの用量で投与される、態様129の使用。
131. 前記抗体-薬物コンジュゲートが1.3 mg/kgの用量で投与される、態様129の使用。
132. 前記抗体-薬物コンジュゲートが約2.0 mg/kgの用量で投与される、態様129の使用。
133. 前記抗体-薬物コンジュゲートが2.0 mg/kgの用量で投与される、態様129の使用。
134. 前記抗体-薬物コンジュゲートが、約1週間に1回、約2週間に1回、約3週間に1回、または約4週間に1回投与される、態様128~133のいずれか1つの使用。
135. 前記抗体-薬物コンジュゲートが約3週間に1回投与される、態様134の使用。
136. 前記抗体-薬物コンジュゲートが3週間に1回投与される、態様134の使用。
137. 前記プラチナベースの薬剤が、AUC=約4~約6の用量で投与される、態様128~136のいずれか1つの使用。
138. 前記プラチナベースの薬剤が、AUC=約5の用量で投与される、態様137の使用。
139. 前記プラチナベースの薬剤が、AUC=5の用量で投与される、態様137の使用。
140. 前記プラチナベースの薬剤が、約1週間に1回、約2週間に1回、約3週間に1回、または約4週間に1回投与される、態様128~139のいずれか1つの使用。
141. 前記プラチナベースの薬剤が約3週間に1回投与される、態様140の使用。
142. 前記プラチナベースの薬剤が3週間に1回投与される、態様140の使用。
143. 前記がんが膀胱癌である、態様128~142のいずれか1つの使用。
144. 前記がんが子宮頸癌である、態様128~142のいずれか1つの使用。
145. 前記対象が根治療法の候補ではない、態様144の使用。
146. 前記根治療法が放射線療法および/または除臓術を含む、態様145の使用。
147. 前記対象が子宮頸癌のための以前の全身療法を受けたことがない、態様144の使用。
148. 前記子宮頸癌が、腺癌、腺扁平上皮癌、または扁平上皮癌である、態様144~147のいずれか1つの使用。
149. 前記子宮頸癌が進行期の子宮頸癌である、態様144~148のいずれか1つの使用。
150. 前記進行期子宮頸癌が、ステージ3またはステージ4の子宮頸癌である、態様149の使用。
151. 前記進行期子宮頸癌が転移性子宮頸癌である、態様149または150の使用。
152. 前記子宮頸癌が再発子宮頸癌である、態様144~151のいずれか1つの使用。
153. 前記モノメチルアウリスタチンがモノメチルアウリスタチンE(MMAE)である、態様128~152のいずれか1つの使用。
154. 前記抗体-薬物コンジュゲートの抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントが、モノクローナル抗体またはそのモノクローナル抗原結合フラグメントである、態様128~153のいずれか1つの使用。
155. 前記抗体-薬物コンジュゲートの抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントが重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、該重鎖可変領域が、
(i) SEQ ID NO:1のアミノ酸配列を含むCDR-H1;
(ii) SEQ ID NO:2のアミノ酸配列を含むCDR-H2;および
(iii)SEQ ID NO:3のアミノ酸配列を含むCDR-H3;
を含み、かつ該軽鎖可変領域が、
(i) SEQ ID NO:4のアミノ酸配列を含むCDR-L1;
(ii) SEQ ID NO:5のアミノ酸配列を含むCDR-L2;および
(iii)SEQ ID NO:6のアミノ酸配列を含むCDR-L3;
を含み、抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントのCDRはIMGTナンバリングスキームによって定義される、態様128~154のいずれか1つの使用。
156. 前記抗体-薬物コンジュゲートの抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントが、SEQ ID NO:7のアミノ酸配列と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、およびSEQ ID NO:8のアミノ酸配列と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、態様128~155のいずれか1つの使用。
157. 前記抗体-薬物コンジュゲートの抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントが、SEQ ID NO:7のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、およびSEQ ID NO:8のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、態様128~156のいずれか1つの使用。
158. 前記抗体-薬物コンジュゲートの抗TF抗体がチソツマブである、態様128~157のいずれか1つの使用。
159. 前記抗体-薬物コンジュゲートが、抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントとモノメチルアウリスタチンとの間にリンカーをさらに含む、態様128~158のいずれか1つの使用。
160. 前記リンカーが、切断可能なペプチドリンカーである、態様159の使用。
161. 前記切断可能なペプチドリンカーが式:-MC-vc-PAB-を有し、式中、
a)MCは
であり、
b)vcはジペプチドであるバリン-シトルリンであり、
c)PABは
である、態様160の使用。
162. 前記リンカーが、抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントの部分還元または完全還元によって得られた抗TF抗体のスルフヒドリル残基に結合している、態様159~161のいずれか1つの使用。
163. 前記リンカーがMMAEに結合しており、その場合に、抗体-薬物コンジュゲートは以下の構造:
を有し、ここで、pは1~8の数を表し、Sは抗TF抗体のスルフヒドリル残基を表し、Abは抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントを表す、態様162の使用。
164. 前記抗体-薬物コンジュゲートの集団におけるpの平均値が約4である、態様163の使用。
165. 前記抗体-薬物コンジュゲートがチソツマブベドチンである、態様128~164のいずれか1つの使用。
166. 前記抗体-薬物コンジュゲートの投与経路が静脈内である、態様128~165のいずれか1つの使用。
167. 前記プラチナベースの薬剤が、カルボプラチン、シスプラチン、オキサリプラチン、およびネダプラチンからなる群より選択される、態様128~166のいずれか1つの使用。
168. 前記プラチナベースの薬剤がカルボプラチンである、態様128~166のいずれか1つの使用。
169. 前記プラチナベースの薬剤がシスプラチンである、態様128~166のいずれか1つの使用。
170. 前記プラチナベースの薬剤の投与経路が静脈内である、態様128~169のいずれか1つの使用。
171. 前記プラチナベースの薬剤と抗体-薬物コンジュゲートが逐次的に投与される、態様128~170のいずれか1つの使用。
172. 前記プラチナベースの薬剤と抗体-薬物コンジュゲートが同時に投与される、態様128~170のいずれか1つの使用。
173. 前記子宮頸癌細胞の少なくとも約0.1%、少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約6%、少なくとも約7%、少なくとも約8%、少なくとも約9%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、または少なくとも約80%が、TFを発現する、態様128~172のいずれか1つの使用。
174. 前記対象における1つまたは複数の治療効果が、ベースラインと比較して、抗体-薬物コンジュゲートとプラチナベースの薬剤の投与後に改善される、態様128~173のいずれか1つの使用。
175. 前記1つまたは複数の治療効果が、子宮頸癌に由来する腫瘍のサイズ、客観的奏効率、奏効持続期間、奏効までの期間、無増悪生存期間、および全生存期間からなる群より選択される、態様174の使用。
176. 前記子宮頸癌に由来する腫瘍のサイズが、抗体-薬物コンジュゲートとプラチナベースの薬剤の投与前の子宮頸癌に由来する腫瘍のサイズと比較して、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、または少なくとも約80%減少する、態様128~175のいずれか1つの使用。
177. 客観的奏効率が、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、または少なくとも約80%である、態様128~176のいずれか1つの使用。
178. 前記対象が、抗体-薬物コンジュゲートとプラチナベースの薬剤の投与後に、少なくとも約1ヶ月、少なくとも約2ヶ月、少なくとも約3ヶ月、少なくとも約4ヶ月、少なくとも約5ヶ月、少なくとも約6ヶ月、少なくとも約7ヶ月、少なくとも約8ヶ月、少なくとも約9ヶ月、少なくとも約10ヶ月、少なくとも約11ヶ月、少なくとも約12ヶ月、少なくとも約18ヶ月、少なくとも約2年、少なくとも約3年、少なくとも約4年、または少なくとも約5年の無増悪生存期間を示す、態様128~177のいずれか1つの使用。
179. 前記対象が、抗体-薬物コンジュゲートとプラチナベースの薬剤の投与後に、少なくとも約1ヶ月、少なくとも約2ヶ月、少なくとも約3ヶ月、少なくとも約4ヶ月、少なくとも約5ヶ月、少なくとも約6ヶ月、少なくとも約7ヶ月、少なくとも約8ヶ月、少なくとも約9ヶ月、少なくとも約10ヶ月、少なくとも約11ヶ月、少なくとも約12ヶ月、少なくとも約18ヶ月、少なくとも約2年、少なくとも約3年、少なくとも約4年、または少なくとも約5年の全生存期間を示す、態様128~178のいずれか1つの使用。
180. 前記抗体-薬物コンジュゲートの奏効持続期間が、抗体-薬物コンジュゲートとプラチナベースの薬剤の投与後の少なくとも約1ヶ月、少なくとも約2ヶ月、少なくとも約3ヶ月、少なくとも約4ヶ月、少なくとも約5ヶ月、少なくとも約6ヶ月、少なくとも約7ヶ月、少なくとも約8ヶ月、少なくとも約9ヶ月、少なくとも約10ヶ月、少なくとも約11ヶ月、少なくとも約12ヶ月、少なくとも約18ヶ月、少なくとも約2年、少なくとも約3年、少なくとも約4年、または少なくとも約5年である、態様128~179のいずれか1つの使用。
181. 前記対象が、1つまたは複数の有害事象を有し、該1つまたは複数の有害事象を排除するかまたはその重症度を軽減するために、追加の治療剤をさらに投与される、態様128~180のいずれか1つの使用。
182. 前記対象が、1つまたは複数の有害事象を発症するリスクを有し、該1つまたは複数の有害事象を予防するかまたはその重症度を軽減するために、追加の治療剤をさらに投与される、態様128~181のいずれか1つの使用。
183. 前記1つまたは複数の有害事象が、出血、吐き気、脱毛症、結膜炎、角膜炎、結膜潰瘍、粘膜炎、便秘、食欲不振、下痢、嘔吐、好中球減少症、発熱性好中球減少症、血小板数の減少、または出血の増加である、態様181または182の使用。
184. 前記1つまたは複数の有害事象が、グレード3以上の有害事象である、態様181または182の使用。
185. 前記1つまたは複数の有害事象が重篤な有害事象である、態様181または182の使用。
186. 前記1つまたは複数の有害事象が結膜炎および/または角膜炎であり、追加の薬剤が、防腐剤フリーの潤滑点眼薬、眼科用血管収縮薬および/またはステロイド点眼薬である、態様181または182の使用。
187. 前記対象がヒトである、態様128~186のいずれか1つの使用。
188. 前記抗体-薬物コンジュゲートが、該抗体-薬物コンジュゲートと薬学的に許容される担体を含む薬学的組成物として存在する、態様128~187のいずれか1つの使用。
189. 前記プラチナベースの薬剤が、該プラチナベースの薬剤と薬学的に許容される担体を含む薬学的組成物として存在する、態様128~188のいずれか1つの使用。
190. 対象におけるがんの治療において使用するためのプラチナベースの薬剤であって、該プラチナベースの薬剤が、TFに結合する抗体-薬物コンジュゲートと組み合わせて投与するためのものまたは投与されるべきものであり、該抗体-薬物コンジュゲートが、モノメチルアウリスタチンまたはその機能的類似体もしくはその機能的誘導体にコンジュゲートされた、抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントを含む、プラチナベースの薬剤。
191. 前記抗体-薬物コンジュゲートが約0.9 mg/kg~約2.1 mg/kgの範囲の用量で投与される、態様190の使用のためのプラチナベースの薬剤。
192. 前記抗体-薬物コンジュゲートが約1.3 mg/kgの用量で投与される、態様191の使用のためのプラチナベースの薬剤。
193. 前記抗体-薬物コンジュゲートが1.3 mg/kgの用量で投与される、態様191の使用のためのプラチナベースの薬剤。
194. 前記抗体-薬物コンジュゲートが約2.0 mg/kgの用量で投与される、態様191の使用のためのプラチナベースの薬剤。
195. 前記抗体-薬物コンジュゲートが2.0 mg/kgの用量で投与される、態様191の使用のためのプラチナベースの薬剤。
196. 前記抗体-薬物コンジュゲートが、約1週間に1回、約2週間に1回、約3週間に1回、または約4週間に1回投与される、態様190~195のいずれか1つの使用のためのプラチナベースの薬剤。
197. 前記抗体-薬物コンジュゲートが約3週間に1回投与される、態様196の使用のためのプラチナベースの薬剤。
198. 前記抗体-薬物コンジュゲートが3週間に1回投与される、態様196の使用のためのプラチナベースの薬剤。
199. 前記プラチナベースの薬剤が、AUC=約4~約6の用量で投与される、態様190~198のいずれか1つの使用のためのプラチナベースの薬剤。
200. 前記プラチナベースの薬剤が、AUC=約5の用量で投与される、態様199の使用のためのプラチナベースの薬剤。
201. 前記プラチナベースの薬剤が、AUC=5の用量で投与される、態様199の使用のためのプラチナベースの薬剤。
202. 前記プラチナベースの薬剤が、約1週間に1回、約2週間に1回、約3週間に1回、または約4週間に1回投与される、態様190~201のいずれか1つの使用のためのプラチナベースの薬剤。
203. 前記プラチナベースの薬剤が約3週間に1回投与される、態様202の使用のためのプラチナベースの薬剤。
204. 前記プラチナベースの薬剤が3週間に1回投与される、態様202の使用のためのプラチナベースの薬剤。
205. 前記がんが膀胱癌である、態様190~204のいずれか1つの使用のためのプラチナベースの薬剤。
206. 前記がんが子宮頸癌である、態様190~204のいずれか1つの使用のためのプラチナベースの薬剤。
207. 前記対象が根治療法の候補ではない、態様206の使用のためのプラチナベースの薬剤。
208. 前記根治療法が放射線療法および/または除臓術を含む、態様207の使用のためのプラチナベースの薬剤。
209. 前記対象が子宮頸癌のための以前の全身療法を受けたことがない、態様206の使用のためのプラチナベースの薬剤。
210. 前記子宮頸癌が、腺癌、腺扁平上皮癌、または扁平上皮癌である、態様206~209のいずれか1つの使用のためのプラチナベースの薬剤。
211. 前記子宮頸癌が進行期の子宮頸癌である、態様206~210のいずれか1つの使用のためのプラチナベースの薬剤。
212. 前記進行期子宮頸癌が、ステージ3またはステージ4の子宮頸癌である、態様211の使用のためのプラチナベースの薬剤。
213. 前記進行期子宮頸癌が転移性子宮頸癌である、態様211または212の使用のためのプラチナベースの薬剤。
214. 前記子宮頸癌が再発子宮頸癌である、態様206~213のいずれか1つの使用のためのプラチナベースの薬剤。
215. 前記モノメチルアウリスタチンがモノメチルアウリスタチンE(MMAE)である、態様190~214のいずれか1つの使用のためのプラチナベースの薬剤。
216. 前記抗体-薬物コンジュゲートの抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントが、モノクローナル抗体またはそのモノクローナル抗原結合フラグメントである、態様190~215のいずれか1つの使用のためのプラチナベースの薬剤。
217. 前記抗体-薬物コンジュゲートの抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントが重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、該重鎖可変領域が、
(i) SEQ ID NO:1のアミノ酸配列を含むCDR-H1;
(ii) SEQ ID NO:2のアミノ酸配列を含むCDR-H2;および
(iii)SEQ ID NO:3のアミノ酸配列を含むCDR-H3;
を含み、かつ該軽鎖可変領域が、
(i) SEQ ID NO:4のアミノ酸配列を含むCDR-L1;
(ii) SEQ ID NO:5のアミノ酸配列を含むCDR-L2;および
(iii)SEQ ID NO:6のアミノ酸配列を含むCDR-L3;
を含み、抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントのCDRはIMGTナンバリングスキームによって定義される、態様190~216のいずれか1つの使用のためのプラチナベースの薬剤。
218. 前記抗体-薬物コンジュゲートの抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントが、SEQ ID NO:7のアミノ酸配列と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、およびSEQ ID NO:8のアミノ酸配列と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、態様190~217のいずれか1つの使用のためのプラチナベースの薬剤。
219. 前記抗体-薬物コンジュゲートの抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントが、SEQ ID NO:7のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、およびSEQ ID NO:8のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、態様190~218のいずれか1つの使用のためのプラチナベースの薬剤。
220. 前記抗体-薬物コンジュゲートの抗TF抗体がチソツマブである、態様190~219のいずれか1つの使用のためのプラチナベースの薬剤。
221. 前記抗体-薬物コンジュゲートが、抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントとモノメチルアウリスタチンとの間にリンカーをさらに含む、態様190~220のいずれか1つの使用のためのプラチナベースの薬剤。
222. 前記リンカーが、切断可能なペプチドリンカーである、態様221の使用のためのプラチナベースの薬剤。
223. 前記切断可能なペプチドリンカーが式:-MC-vc-PAB-を有し、式中、
a)MCは
であり、
b)vcはジペプチドであるバリン-シトルリンであり、
c)PABは
である、態様222の使用のためのプラチナベースの薬剤。
224. 前記リンカーが、抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントの部分還元または完全還元によって得られた抗TF抗体のスルフヒドリル残基に結合している、態様221~223のいずれか1つの使用のためのプラチナベースの薬剤。
225. 前記リンカーがMMAEに結合しており、その場合に、抗体-薬物コンジュゲートは以下の構造:
を有し、ここで、pは1~8の数を表し、Sは抗TF抗体のスルフヒドリル残基を表し、Abは抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントを表す、態様224の使用のためのプラチナベースの薬剤。
226. 前記抗体-薬物コンジュゲートの集団におけるpの平均値が約4である、態様225の使用のためのプラチナベースの薬剤。
227. 前記抗体-薬物コンジュゲートがチソツマブベドチンである、態様190~226のいずれか1つの使用のためのプラチナベースの薬剤。
228. 前記抗体-薬物コンジュゲートの投与経路が静脈内である、態様190~227のいずれか1つの使用のためのプラチナベースの薬剤。
229. 前記プラチナベースの薬剤が、カルボプラチン、シスプラチン、オキサリプラチン、およびネダプラチンからなる群より選択される、態様190~228のいずれか1つの使用のためのプラチナベースの薬剤。
230. 前記プラチナベースの薬剤がカルボプラチンである、態様190~228のいずれか1つの使用のためのプラチナベースの薬剤。
231. 前記プラチナベースの薬剤がシスプラチンである、態様190~228のいずれか1つの使用のためのプラチナベースの薬剤。
232. 前記プラチナベースの薬剤の投与経路が静脈内である、態様190~231のいずれか1つの使用のためのプラチナベースの薬剤。
233. 前記プラチナベースの薬剤と抗体-薬物コンジュゲートが逐次的に投与される、態様190~232のいずれか1つの使用のためのプラチナベースの薬剤。
234. 前記プラチナベースの薬剤と抗体-薬物コンジュゲートが同時に投与される、態様190~232のいずれか1つの使用のためのプラチナベースの薬剤。
235. 前記子宮頸癌細胞の少なくとも約0.1%、少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約6%、少なくとも約7%、少なくとも約8%、少なくとも約9%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、または少なくとも約80%が、TFを発現する、態様190~234のいずれか1つの使用のためのプラチナベースの薬剤。
236. 前記対象における1つまたは複数の治療効果が、ベースラインと比較して、抗体-薬物コンジュゲートとプラチナベースの薬剤の投与後に改善される、態様190~235のいずれか1つの使用のためのプラチナベースの薬剤。
237. 前記1つまたは複数の治療効果が、子宮頸癌に由来する腫瘍のサイズ、客観的奏効率、奏効持続期間、奏効までの期間、無増悪生存期間、および全生存期間からなる群より選択される、態様236の使用のためのプラチナベースの薬剤。
238. 前記子宮頸癌に由来する腫瘍のサイズが、抗体-薬物コンジュゲートとプラチナベースの薬剤の投与前の子宮頸癌に由来する腫瘍のサイズと比較して、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、または少なくとも約80%減少する、態様190~237のいずれか1つの使用のためのプラチナベースの薬剤。
239. 客観的奏効率が、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、または少なくとも約80%である、態様190~238のいずれか1つの使用のためのプラチナベースの薬剤。
240. 前記対象が、抗体-薬物コンジュゲートとプラチナベースの薬剤の投与後に、少なくとも約1ヶ月、少なくとも約2ヶ月、少なくとも約3ヶ月、少なくとも約4ヶ月、少なくとも約5ヶ月、少なくとも約6ヶ月、少なくとも約7ヶ月、少なくとも約8ヶ月、少なくとも約9ヶ月、少なくとも約10ヶ月、少なくとも約11ヶ月、少なくとも約12ヶ月、少なくとも約18ヶ月、少なくとも約2年、少なくとも約3年、少なくとも約4年、または少なくとも約5年の無増悪生存期間を示す、態様190~239のいずれか1つの使用のためのプラチナベースの薬剤。
241. 前記対象が、抗体-薬物コンジュゲートとプラチナベースの薬剤の投与後に、少なくとも約1ヶ月、少なくとも約2ヶ月、少なくとも約3ヶ月、少なくとも約4ヶ月、少なくとも約5ヶ月、少なくとも約6ヶ月、少なくとも約7ヶ月、少なくとも約8ヶ月、少なくとも約9ヶ月、少なくとも約10ヶ月、少なくとも約11ヶ月、少なくとも約12ヶ月、少なくとも約18ヶ月、少なくとも約2年、少なくとも約3年、少なくとも約4年、または少なくとも約5年の全生存期間を示す、態様190~240のいずれか1つの使用のためのプラチナベースの薬剤。
242. 前記抗体-薬物コンジュゲートの奏効持続期間が、抗体-薬物コンジュゲートとプラチナベースの薬剤の投与後の少なくとも約1ヶ月、少なくとも約2ヶ月、少なくとも約3ヶ月、少なくとも約4ヶ月、少なくとも約5ヶ月、少なくとも約6ヶ月、少なくとも約7ヶ月、少なくとも約8ヶ月、少なくとも約9ヶ月、少なくとも約10ヶ月、少なくとも約11ヶ月、少なくとも約12ヶ月、少なくとも約18ヶ月、少なくとも約2年、少なくとも約3年、少なくとも約4年、または少なくとも約5年である、態様190~241のいずれか1つの使用のためのプラチナベースの薬剤。
243. 前記対象が、1つまたは複数の有害事象を有し、該1つまたは複数の有害事象を排除するかまたはその重症度を軽減するために、追加の治療剤をさらに投与される、態様190~242のいずれか1つの使用のためのプラチナベースの薬剤。
244. 前記対象が、1つまたは複数の有害事象を発症するリスクを有し、該1つまたは複数の有害事象を予防するかまたはその重症度を軽減するために、追加の治療剤をさらに投与される、態様190~243のいずれか1つの使用のためのプラチナベースの薬剤。
245. 前記1つまたは複数の有害事象が、出血、吐き気、脱毛症、結膜炎、角膜炎、結膜潰瘍、粘膜炎、便秘、食欲不振、下痢、嘔吐、好中球減少症、発熱性好中球減少症、血小板数の減少、または出血の増加である、態様243または244の使用のためのプラチナベースの薬剤。
246. 前記1つまたは複数の有害事象が、グレード3以上の有害事象である、態様243または244の使用のためのプラチナベースの薬剤。
247. 前記1つまたは複数の有害事象が重篤な有害事象である、態様243または244の使用のためのプラチナベースの薬剤。
248. 前記1つまたは複数の有害事象が結膜炎および/または角膜炎であり、追加の薬剤が、防腐剤フリーの潤滑点眼薬、眼科用血管収縮薬および/またはステロイド点眼薬である、態様243または244の使用のためのプラチナベースの薬剤。
249. 前記対象がヒトである、態様190~248のいずれか1つの使用のためのプラチナベースの薬剤。
250. 前記抗体-薬物コンジュゲートが、該抗体-薬物コンジュゲートと薬学的に許容される担体を含む薬学的組成物として存在する、態様190~249のいずれか1つの使用のためのプラチナベースの薬剤。
251. 前記プラチナベースの薬剤が、該プラチナベースの薬剤と薬学的に許容される担体を含む薬学的組成物として存在する、態様190~250のいずれか1つの使用のためのプラチナベースの薬剤。
252. 対象におけるがんを治療するための医薬を製造するための、プラチナベースの薬剤の使用であって、該医薬が、TFに結合する抗体-薬物コンジュゲートと組み合わせて使用するためのものであり、該抗体-薬物コンジュゲートが、モノメチルアウリスタチンまたはその機能的類似体もしくはその機能的誘導体にコンジュゲートされた、抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントを含む、使用。
253. 前記抗体-薬物コンジュゲートが約0.9 mg/kg~約2.1 mg/kgの範囲の用量で投与される、態様252の使用。
254. 前記抗体-薬物コンジュゲートが約1.3 mg/kgの用量で投与される、態様253の使用。
255. 前記抗体-薬物コンジュゲートが1.3 mg/kgの用量で投与される、態様253の使用。
256. 前記抗体-薬物コンジュゲートが約2.0 mg/kgの用量で投与される、態様253の使用。
257. 前記抗体-薬物コンジュゲートが2.0 mg/kgの用量で投与される、態様253の使用。
258. 前記抗体-薬物コンジュゲートが、約1週間に1回、約2週間に1回、約3週間に1回、または約4週間に1回投与される、態様252~257のいずれか1つの使用。
259. 前記抗体-薬物コンジュゲートが約3週間に1回投与される、態様258の使用。
260. 前記抗体-薬物コンジュゲートが3週間に1回投与される、態様258の使用。
261. 前記プラチナベースの薬剤が、AUC=約4~約6の用量で投与される、態様252~260のいずれか1つの使用。
262. 前記プラチナベースの薬剤が、AUC=約5の用量で投与される、態様261の使用。
263. 前記プラチナベースの薬剤が、AUC=5の用量で投与される、態様261の使用。
264. 前記プラチナベースの薬剤が、約1週間に1回、約2週間に1回、約3週間に1回、または約4週間に1回投与される、態様252~263のいずれか1つの使用。
265. 前記プラチナベースの薬剤が約3週間に1回投与される、態様264の使用。
266. 前記プラチナベースの薬剤が3週間に1回投与される、態様264の使用。
267. 前記がんが膀胱癌である、態様252~266のいずれか1つの使用。
268. 前記がんが子宮頸癌である、態様252~266のいずれか1つの使用。
269. 前記対象が根治療法の候補ではない、態様268の使用。
270. 前記根治療法が放射線療法および/または除臓術を含む、態様269の使用。
271. 前記対象が子宮頸癌のための以前の全身療法を受けたことがない、態様268の使用。
272. 前記子宮頸癌が、腺癌、腺扁平上皮癌、または扁平上皮癌である、態様268~271のいずれか1つの使用。
273. 前記子宮頸癌が進行期の子宮頸癌である、態様268~272のいずれか1つの使用。
274. 前記進行期子宮頸癌が、ステージ3またはステージ4の子宮頸癌である、態様273の使用。
275. 前記進行期子宮頸癌が転移性子宮頸癌である、態様273または274の使用。
276. 前記子宮頸癌が再発子宮頸癌である、態様268~275のいずれか1つの使用。
277. 前記モノメチルアウリスタチンがモノメチルアウリスタチンE(MMAE)である、態様252~276のいずれか1つの使用。
278. 前記抗体-薬物コンジュゲートの抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントが、モノクローナル抗体またはそのモノクローナル抗原結合フラグメントである、態様252~277のいずれか1つの使用。
279. 前記抗体-薬物コンジュゲートの抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントが重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、該重鎖可変領域が、
(i) SEQ ID NO:1のアミノ酸配列を含むCDR-H1;
(ii) SEQ ID NO:2のアミノ酸配列を含むCDR-H2;および
(iii)SEQ ID NO:3のアミノ酸配列を含むCDR-H3;
を含み、かつ該軽鎖可変領域が、
(i) SEQ ID NO:4のアミノ酸配列を含むCDR-L1;
(ii) SEQ ID NO:5のアミノ酸配列を含むCDR-L2;および
(iii)SEQ ID NO:6のアミノ酸配列を含むCDR-L3;
を含み、抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントのCDRはIMGTナンバリングスキームによって定義される、態様252~278のいずれか1つの使用。
280. 前記抗体-薬物コンジュゲートの抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントが、SEQ ID NO:7のアミノ酸配列と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、およびSEQ ID NO:8のアミノ酸配列と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、態様252~279のいずれか1つの使用。
281. 前記抗体-薬物コンジュゲートの抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントが、SEQ ID NO:7のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、およびSEQ ID NO:8のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、態様252~280のいずれか1つの使用。
282. 前記抗体-薬物コンジュゲートの抗TF抗体がチソツマブである、態様252~281のいずれか1つの使用。
283. 前記抗体-薬物コンジュゲートが、抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントとモノメチルアウリスタチンとの間にリンカーをさらに含む、態様252~282のいずれか1つの使用。
284. 前記リンカーが、切断可能なペプチドリンカーである、態様283の使用。
285. 前記切断可能なペプチドリンカーが式:-MC-vc-PAB-を有し、式中、
a)MCは
であり、
b)vcはジペプチドであるバリン-シトルリンであり、
c)PABは
である、態様284の使用。
286. 前記リンカーが、抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントの部分還元または完全還元によって得られた抗TF抗体のスルフヒドリル残基に結合している、態様283~285のいずれか1つの使用。
287. 前記リンカーがMMAEに結合しており、その場合に、抗体-薬物コンジュゲートは以下の構造:
を有し、ここで、pは1~8の数を表し、Sは抗TF抗体のスルフヒドリル残基を表し、Abは抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントを表す、態様286の使用。
288. 前記抗体-薬物コンジュゲートの集団におけるpの平均値が約4である、態様287の使用。
289. 前記抗体-薬物コンジュゲートがチソツマブベドチンである、態様252~288のいずれか1つの使用。
290. 前記抗体-薬物コンジュゲートの投与経路が静脈内である、態様252~289のいずれか1つの使用。
291. 前記プラチナベースの薬剤が、カルボプラチン、シスプラチン、オキサリプラチン、およびネダプラチンからなる群より選択される、態様252~290のいずれか1つの使用。
292. 前記プラチナベースの薬剤がカルボプラチンである、態様252~290のいずれか1つの使用。
293. 前記プラチナベースの薬剤がシスプラチンである、態様252~290のいずれか1つの使用。
294. 前記プラチナベースの薬剤の投与経路が静脈内である、態様252~293のいずれか1つの使用。
295. 前記プラチナベースの薬剤と抗体-薬物コンジュゲートが逐次的に投与される、態様252~294のいずれか1つの使用。
296. 前記プラチナベースの薬剤と抗体-薬物コンジュゲートが同時に投与される、態様252~294のいずれか1つの使用。
297. 前記子宮頸癌細胞の少なくとも約0.1%、少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約6%、少なくとも約7%、少なくとも約8%、少なくとも約9%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、または少なくとも約80%が、TFを発現する、態様252~296のいずれか1つの使用。
298. 前記対象における1つまたは複数の治療効果が、ベースラインと比較して、抗体-薬物コンジュゲートとプラチナベースの薬剤の投与後に改善される、態様252~297のいずれか1つの使用。
299. 前記1つまたは複数の治療効果が、子宮頸癌に由来する腫瘍のサイズ、客観的奏効率、奏効持続期間、奏効までの期間、無増悪生存期間、および全生存期間からなる群より選択される、態様298の使用。
300. 前記子宮頸癌に由来する腫瘍のサイズが、抗体-薬物コンジュゲートとプラチナベースの薬剤の投与前の子宮頸癌に由来する腫瘍のサイズと比較して、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、または少なくとも約80%減少する、態様252~299のいずれか1つの使用。
301. 客観的奏効率が、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、または少なくとも約80%である、態様252~300のいずれか1つの使用。
302. 前記対象が、抗体-薬物コンジュゲートとプラチナベースの薬剤の投与後に、少なくとも約1ヶ月、少なくとも約2ヶ月、少なくとも約3ヶ月、少なくとも約4ヶ月、少なくとも約5ヶ月、少なくとも約6ヶ月、少なくとも約7ヶ月、少なくとも約8ヶ月、少なくとも約9ヶ月、少なくとも約10ヶ月、少なくとも約11ヶ月、少なくとも約12ヶ月、少なくとも約18ヶ月、少なくとも約2年、少なくとも約3年、少なくとも約4年、または少なくとも約5年の無増悪生存期間を示す、態様252~301のいずれか1つの使用。
303. 前記対象が、抗体-薬物コンジュゲートとプラチナベースの薬剤の投与後に、少なくとも約1ヶ月、少なくとも約2ヶ月、少なくとも約3ヶ月、少なくとも約4ヶ月、少なくとも約5ヶ月、少なくとも約6ヶ月、少なくとも約7ヶ月、少なくとも約8ヶ月、少なくとも約9ヶ月、少なくとも約10ヶ月、少なくとも約11ヶ月、少なくとも約12ヶ月、少なくとも約18ヶ月、少なくとも約2年、少なくとも約3年、少なくとも約4年、または少なくとも約5年の全生存期間を示す、態様252~302のいずれか1つの使用。
304. 前記抗体-薬物コンジュゲートの奏効持続期間が、抗体-薬物コンジュゲートとプラチナベースの薬剤の投与後の少なくとも約1ヶ月、少なくとも約2ヶ月、少なくとも約3ヶ月、少なくとも約4ヶ月、少なくとも約5ヶ月、少なくとも約6ヶ月、少なくとも約7ヶ月、少なくとも約8ヶ月、少なくとも約9ヶ月、少なくとも約10ヶ月、少なくとも約11ヶ月、少なくとも約12ヶ月、少なくとも約18ヶ月、少なくとも約2年、少なくとも約3年、少なくとも約4年、または少なくとも約5年である、態様252~303のいずれか1つの使用。
305. 前記対象が、1つまたは複数の有害事象を有し、該1つまたは複数の有害事象を排除するかまたはその重症度を軽減するために、追加の治療剤をさらに投与される、態様252~304のいずれか1つの使用。
306. 前記対象が、1つまたは複数の有害事象を発症するリスクを有し、該1つまたは複数の有害事象を予防するかまたはその重症度を軽減するために、追加の治療剤をさらに投与される、態様252~305のいずれか1つの使用。
307. 前記1つまたは複数の有害事象が、出血、吐き気、脱毛症、結膜炎、角膜炎、結膜潰瘍、粘膜炎、便秘、食欲不振、下痢、嘔吐、好中球減少症、発熱性好中球減少症、血小板数の減少、または出血の増加である、態様305または306の使用。
308. 前記1つまたは複数の有害事象が、グレード3以上の有害事象である、態様305または306の使用。
309. 前記1つまたは複数の有害事象が重篤な有害事象である、態様305または306の使用。
310. 前記1つまたは複数の有害事象が結膜炎および/または角膜炎であり、追加の薬剤が、防腐剤フリーの潤滑点眼薬、眼科用血管収縮薬および/またはステロイド点眼薬である、態様305または306の使用。
311. 前記対象がヒトである、態様252~310のいずれか1つの使用。
312. 前記抗体-薬物コンジュゲートが、該抗体-薬物コンジュゲートと薬学的に許容される担体を含む薬学的組成物として存在する、態様252~311のいずれか1つの使用。
313. 前記プラチナベースの薬剤が、該プラチナベースの薬剤と薬学的に許容される担体を含む薬学的組成物として存在する、態様252~311のいずれか1つの使用。
【0187】
本発明は、以下の実施例を参照することによって、より完全に理解されるであろう。しかしながら、それらは本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。本明細書に記載の実施例および態様は例示のみを目的としており、それらを踏まえると様々な修正または変更が当業者に示唆され、そうした修正または変更も本出願の精神および範囲ならびに添付の特許請求の範囲に含まれるべきであることが理解されよう。
【実施例】
【0188】
実施例1:子宮頸癌マウスモデルにおけるプラチナベースの薬剤と組み合わせたチソツマブベドチンの抗腫瘍活性
チソツマブベドチンは、組織因子(TF)に結合する抗体、プロテアーゼ切断可能なリンカー、および微小管破壊薬MMAEを含む抗体-薬物コンジュゲートである。TFは子宮頸癌を含む多くの腫瘍で異常に発現するタンパク質であり、予後不良と関連している。Foerster Y et al. Clin Chim Acta. 364(1-2):12-21, 2006およびCocco E et al. BMC Cancer. 11:263, 2011を参照のこと。チソツマブベドチンは、TFを選択的に標的とし、臨床的に検証された毒性ペイロードを腫瘍細胞に送達する。Breij EC et al. Cancer Res. 74(4):1214-1226, 2014およびChu AJ. Int J Inflam. 2011; 2011. doi: 10.4061/2011/367284を参照のこと。
【0189】
プラチナベースの薬剤であるシスプラチンは、微小管阻害剤であるパクリタキセルと併用して、ステージIVBの再発性または持続性子宮頸癌の治療のための標準治療選択肢として使用される。Kitagawa R et al., J Clin Oncol., 33:2129-2135, 2015を参照のこと。ここでは、チソツマブベドチンと、シスプラチンなどのプラチナベースの薬剤との組み合わせを、子宮頸癌の治療に関して評価した。
【0190】
材料および方法
シスプラチンと組み合わせたチソツマブベドチンのインビボ抗腫瘍効果は、BALB/cヌードマウス(Crown Bioscience Inc.)での患者由来異種移植(PDX)マウスモデルで評価した。異種移植片はがん患者からの腫瘍標本に由来した。ヌードマウスへの一次移植の後で、PDXモデルの樹立と特性評価を行った。安定した成長パターンが確立されるまで腫瘍異種移植片を約3~5回継代した。ヌードマウスで連続継代した異種移植片から腫瘍断片を得た。腫瘍を直径2~3mmの断片に切り分け、皮下移植までリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中に入れた。この実験では子宮頸癌PDXモデル(HuPrime(登録商標)子宮頸癌異種移植モデルCV1248 [R4P5];Crown Bioscience Inc.)を使用した。腫瘍サイズをキャリパー測定で週に少なくとも2回測定し、腫瘍体積を0.5×長さ×幅2として計算した。腫瘍が200mm3の体積に達したとき、マウスを11のグループ(7~8匹/治療グループ)に無作為に分けた。マウスに静脈内注射によって以下の治療を施した:1)治療の0日目と7日目に提供される0.5mg/kg、1mg/kg、2mg/kgまたは4mg/kgの用量レベルのチソツマブベドチン単独;2)治療の0日目、7日目および14日目に提供される4mg/kgの用量のシスプラチン単独;3)治療の0日目と7日目に提供される0.5mg/kg、1mg/kg、2mg/kgまたは4mg/kgの用量レベルのチソツマブベドチンと、治療の0日目、7日目および14日目に提供される4mg/kgの用量のシスプラチンとの併用;4)治療の0日目と7日目に提供される4mg/kgの用量のIgG1アイソタイプ対照;または5)治療の0日目と7日目に提供される4mg/kgの用量のIgG1-MMAE対照。疾患の臨床症状についてマウスを観察した。個別換気(IVC)ケージに、ケージあたり4匹または5匹のマウスを収容し、耳タグで識別した。
【0191】
対照グループと治療グループの腫瘍体積の間に統計的有意差があるかどうかを調べるために、全てのグループが無傷(intact)であった最終日、つまり38日目に、Mann-Whitney解析を使用して、治療グループの腫瘍体積を対照グループの腫瘍体積と比較した(例えば、治療グループ対IgG1-MMAE対照)。生存期間分析(腫瘍体積カットオフを1,000mm3とした)では、腫瘍体積>1,000mm3にカットオフを設定して、Kaplan-Meierプロットに対してMantel-Cox解析を行った。
【0192】
結果
チソツマブベドチン単独による治療は、子宮頸癌のマウスモデルにおいて、2mg/kgと4mg/kgの両方の用量で、効果的に腫瘍の成長を抑制し(
図1A~C)、かつ生存期間を延長した(
図1Dおよび1E)。シスプラチン単独による治療もまた、腫瘍の成長を抑制し(
図1A~C)、かつ生存期間を延長した(
図1Dおよび1E)。2mg/kgまたは4mg/kgのチソツマブベドチンとシスプラチンとの併用による治療は、チソツマブベドチン単独またはシスプラチン単独と比較して抗腫瘍活性を高めた(
図1A~E)。
【0193】
【0194】
実施例2:膀胱癌マウスモデルにおけるプラチナベースの薬剤と組み合わせたチソツマブベドチンの抗腫瘍活性
ここでは、チソツマブベドチンと、シスプラチンなどのプラチナベースの薬剤との組み合わせを、膀胱癌の治療に関して評価した。
【0195】
材料および方法
シスプラチンと組み合わせたチソツマブベドチンのインビボ抗腫瘍効果は、雌Crl:NMRI-Foxn1nu(Envigo RMS SARL, フランス)ヌードマウスでのPDXマウスモデル(Charles River Discovery Research Services)で評価した。異種移植片はがん患者からの腫瘍標本に由来した。ヌードマウスへの一次移植の後で、PDXモデルの樹立と特性評価を行った。安定した成長パターンが確立されるまで腫瘍異種移植片を約3~5回継代した。ヌードマウスで連続継代した異種移植片から腫瘍断片を得た。腫瘍を直径3~4mmの断片に切り分け、皮下移植までリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中に入れた。この実験では膀胱癌PDXモデル(膀胱癌異種移植モデルBXF1036;Charles River Discovery Research Services)を使用した。腫瘍サイズをキャリパー測定で週に少なくとも2回測定し、腫瘍体積を0.52×長さ×幅2として計算した。腫瘍が50~250mm3の体積に達したとき、マウスを5つのグループ(10匹/治療グループ)に無作為に分けた。マウスに以下の治療を施した:1)治療の1日目に提供される0.5mg/kgの用量レベルのチソツマブベドチン単独;2)治療の1日目および8日目に提供される2mg/kgの用量のシスプラチン;3)治療の1日目に提供される0.5mg/kgの用量レベルのチソツマブベドチンと、治療の1日目および8日目に提供される2mg/kgの用量のシスプラチンとの併用;4)治療の1日目に提供される0.5mg/kgの用量のIgG1アイソタイプ対照;または5)治療の1日目に提供される0.5mg/kgの用量のIgG1-MMAE対照。IgG1アイソタイプ対照、IgG1-MMAE対照、およびチソツマブベドチンはそれぞれPBSで希釈して、静脈内注射した。シスプラチンは0.9%NaClで希釈して、皮下注射した。疾患の臨床症状についてマウスを観察した。個別換気(IVC)ケージに、ケージあたり最大5匹のマウスを収容し、耳タグで識別した。
【0196】
対照グループと治療グループの腫瘍体積の間に統計的有意差があるかどうかを調べるために、全てのグループが無傷であった最終日、つまり25日目に、Mann-Whitney解析を使用して、治療グループの腫瘍体積を対照グループ(例えば、IgG1-MMAE対照、チソツマブベドチン単独、またはシスプラチン単独)の腫瘍体積と比較した。チソツマブベドチンとシスプラチンとの併用により治療したグループと、チソツマブベドチン単独またはシスプラチン単独で治療したグループとの差の統計分析を32日目に行った。
【0197】
腫瘍の進行は、腫瘍体積>500mm3にカットオフを設定して、Kaplan-Meier法でプロットした。Kaplan-Meierプロットに対してMantel-Cox解析を使用して、チソツマブベドチンとシスプラチンとの併用で治療したマウスのKaplan-Meier曲線を、IgG1-MMAE対照、チソツマブベドチン単独またはシスプラチン単独で治療したマウスと比較した。
【0198】
結果
チソツマブベドチン単独による治療は、膀胱癌のPDXモデルにおいて効果的に腫瘍の成長を抑制し(
図2A~C)、かつ生存期間を延長した(
図2D)。シスプラチン単独による治療もまた、腫瘍の成長を抑制し(
図2A~C)、かつ生存期間を延長した(
図2D)。チソツマブベドチンとシスプラチンとの併用による治療は、膀胱癌のPDXモデルにおいて、チソツマブベドチン単独またはシスプラチン単独と比較して抗腫瘍活性を高めた(
図2A~D)。統計分析の結果を表Bに示す。
【0199】
【0200】
実施例3:子宮頸癌マウスモデルにおけるプラチナベースの薬剤と組み合わせたチソツマブベドチンの抗腫瘍活性
ここでは、チソツマブベドチンと、カルボプラチンなどのプラチナベースの薬剤との組み合わせを、子宮頸癌の治療に関して評価した。
【0201】
材料および方法
カルボプラチンと組み合わせたチソツマブベドチンのインビボ抗腫瘍効果は、雌BALB/cヌードマウス(Crown Bioscience [Taicang] Inc.)での患者由来異種移植(PDX)マウスモデルで評価した。異種移植片はがん患者からの腫瘍標本に由来した。ヌードマウスで連続継代した異種移植片から腫瘍断片を得た。腫瘍を直径2~4mmの断片に切り分け、皮下移植までリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中に入れた。この実験では子宮頸癌PDXモデル(HuPrime(登録商標)子宮頸癌異種移植モデルCV1248 [P3];Crown Bioscience Inc.)を使用した。腫瘍サイズをキャリパー測定で週に少なくとも2回測定し、腫瘍体積を0.5×長さ×幅2として計算した。腫瘍が150mm3の平均体積に達したとき、マウスを7つのグループ(10匹/治療グループ)に無作為に分けた。無作為化の日を0日目と指定した。マウスに静脈内注射によって以下の治療を施した:1)0日目、7日目および14日目に提供される2mg/kgの用量レベルのチソツマブベドチン単独;2)0日目、7日目および14日目に提供される40mg/kgまたは80mg/kgの用量のカルボプラチン(Selleck Chemicals社,カタログ番号S121511)単独;3)0日目、7日目および14日目に提供される2mg/kgの用量レベルのチソツマブベドチンと、0日目、7日目および14日目に提供される40mg/kgまたは80mg/kgの用量のカルボプラチンとの併用;4)0日目、7日目および14日目に提供される2mg/kgの用量のIgG1アイソタイプ対照;または5)0日目、7日目および14日目に提供される2mg/kgの用量のIgG1-MMAE対照。疾患の臨床症状についてマウスを観察した。個別換気(IVC)ケージに、ケージあたり最大5匹のマウスを収容し、耳タグで識別した。対照グループと治療グループの腫瘍体積の間に統計的有意差があるかどうかを調べるために、全てのグループが無傷であった最終日、つまり20日目に、Mann-Whitney解析を使用して、治療グループの腫瘍体積を対照グループの腫瘍体積と比較し(例えば、治療グループ対IgG1-MMAE対照)、さらに併用治療グループを化合物単独のどちらかで治療したグループと比較した。無増悪生存期間(腫瘍サイズカットオフ750mm3)の分析では、Kaplan-Meierプロットに対してMantel-Cox解析を行った。
【0202】
2mg/kgのチソツマブベドチン単独による治療は、子宮頸癌のマウスPDXモデルにおいて効果的に腫瘍の成長を抑制した(
図3Aおよび3B)。40または80mg/kgの用量のカルボプラチン単独による治療は、腫瘍の成長を抑制しなかった(
図3Aおよび3B)。2mg/kgのチソツマブベドチンと40mg/kgのカルボプラチンとの併用による治療は、カルボプラチン単独と比較して抗腫瘍活性を効果的に高めた(
図3Aおよび3B)。2mg/kgのチソツマブベドチンと80mg/kgのカルボプラチンとの併用は、カルボプラチン単独またはチソツマブベドチン単独と比較して抗腫瘍活性を効果的に高めた。全ての2剤併用は、単剤と比較して無増悪生存期間(腫瘍サイズカットオフ750mm
3)を延長した(
図3C)。統計分析の結果を表Cに示す。
【0203】
【0204】
実施例4:子宮頸癌マウス異種移植モデルにおけるカルボプラチンと組み合わせたチソツマブベドチンの抗腫瘍活性
ここでは、チソツマブベドチンと、プラチナベースの薬剤カルボプラチンとの組み合わせを、子宮頸癌の治療に関して評価した。
【0205】
材料および方法
カルボプラチンと組み合わせたチソツマブベドチンのインビボ抗腫瘍効果は、NMRI nu/nuマウスでの患者由来異種移植(PDX)子宮頸癌マウスモデル(モデルCEXF663)で評価した。異種移植片はがん患者からの腫瘍標本に由来した。ヌードマウスへの一次移植の後で、PDXモデルの樹立と特性評価を行った。安定した成長パターンが確立されるまで腫瘍異種移植片を約3~5回継代した。ヌードマウスで連続継代した異種移植片から腫瘍断片を得た。腫瘍を直径3~4mmの断片に切り分け、皮下移植までPBS中に入れた。腫瘍サイズをキャリパー測定で週に2回測定し、腫瘍体積を0.5×長さ×幅2として計算した。腫瘍が約50~250mm3の体積に達したとき、マウスを治療グループあたり10匹の7つのグループに無作為に分けた。マウスに以下の治療を施した(全てを週1回4週間(QWx4)提供した):1)2mg/kg(静脈内)のチソツマブベドチン単独;2)40mg/kg(腹腔内)のカルボプラチン単独;3)2mg/kg(静脈内)のチソツマブベドチンと40mg/kg(腹腔内)のカルボプラチンとの併用;4)2mg/kg(静脈内)のIgG1アイソタイプ対照;または5)2mg/kg(静脈内)のIgG1-MMAE対照。
【0206】
平均腫瘍体積を治療グループごとにプロットした(
図4A)。対照グループと治療グループの腫瘍体積の間に統計的有意差があるかどうかを調べるために、全てのグループが無傷であった最終日にMann-Whitney解析を使用して、治療グループの腫瘍体積を比較した(表D)。チソツマブベドチンとカルボプラチンとの併用治療は、併用治療を受けていたマウスの腫瘍サイズの大幅な減少によって示されるように、両方のモデルにおいて単剤治療グループよりもかなり効果があった。無増悪生存期間分析(750mm
3の腫瘍体積カットオフを使用)は、単剤治療と比較して、併用治療グループの長期の無増悪生存期間を実証した(Mantel-Cox解析;
図4B;表D)。
【0207】
【0208】
実施例5:ファーストライン再発性またはステージIVBの子宮頸癌におけるチソツマブベドチン単独またはプラチナベースの薬剤との併用の第II相試験
第I/II相試験では、再発した、再発性、および/または転移性の子宮頸癌(NCT02001623)の対象者に投与された2.0mg/kgのチソツマブベドチンについて、極めて高い有効性と管理可能な安全性のプロファイルが示された。その予備データは、いまだ満たされない医療ニーズ(unmet need)の高い集団に対してプラスのベネフィット・リスクプロファイルを示唆している。子宮頸癌患者のより大きなコホートにおける、単剤療法としての、および治療剤(例えば、プラチナベースの薬剤)との併用での、チソツマブベドチンのさらなる検証が必要である。
【0209】
ここでは、再発性またはステージIVBの子宮頸癌の対象者におけるファーストライン療法としての、1.3mg/kgまたは2.0mg/kgのチソツマブベドチン単独、またはプラチナベースの薬剤であるカルボプラチンと併用したチソツマブベドチンの有効性、安全性および忍容性を評価する。
【0210】
方法
この第II相非盲検多施設試験では、子宮頸部のファーストライン再発性またはステージIVBの扁平上皮癌、腺扁平上皮癌、または腺癌の対象者において、チソツマブベドチン単独またはチソツマブベドチンとカルボプラチンとの併用の有効性、安全性および忍容性を評価する;該対象者は、手術および/または放射線療法による治癒的治療に適しておらず、かつ再発性またはステージIVBの疾患に対する全身療法を以前に受けたことがない。骨盤内臓除去による根治療法の候補である再発性疾患の対象者は、この試験に参加適格性がない。
【0211】
対象者を4つの治療グループの1つに対称的に割り振る。その割り振りは、病態(転移性/再発性)と組織像(扁平上皮/非扁平上皮)のアンバランスを最小限に抑えるように行われる。適格な対象者を、チソツマブベドチン1.3mg/kg Q3W、チソツマブベドチン2.0mg/kg Q3W、チソツマブベドチン1.3mg/kg Q3W+カルボプラチンAUC 5 Q3W、またはチソツマブベドチン2.0mg/kg Q3W+カルボプラチンAUC 5 Q3Wで治療する。各治療サイクルは21日(±3日)である。全ての治療成分は静脈内投与(IV)される。18歳以上の約60人の対象者がこの試験に登録される。試験期間は約7年である。試験に登録された対象者の適格基準と除外基準を表1に示す。
【0212】
【0213】
カルボプラチンを静脈内注入用の溶液として提供する。それを1分あたりAUC 5mg/mLの投与量で1時間の注入として送達する。カルボプラチンの投与量は、対象者の糸球体ろ過量(GFR,mL/min)とCalvertによる目標の濃度対時間曲線下面積(AUC,mg/mL min)に基づいて計算される。GFRは、計算されたクレアチニンクリアランスによって、または地域の施設基準に基づいて推定され得る。ベースラインからの体重変化が10%以上であるか、またはCTCAEグレード2以上の腎毒性(血清クレアチニン>1.5×ULN)を経験する対象者は、後続のサイクルのためのカルボプラチン用量の再計算が必要である。対象者は、治療の施設基準に従って、カルボプラチンの前投薬を受けるべきである。チソツマブベドチンの静脈内注入による投与は、カルボプラチン投与の少なくとも30分後に開始する。40mgのチソツマブベドチンを含む凍結乾燥バイアルは、2℃~8℃の冷蔵庫に保管する。チソツマブベドチンを4mlの水で再調製すると、10mg/mLのチソツマブベドチン、30mMヒスチジン、88mMスクロース、および165mM D-マンニトールを含む再調製溶液が得られる。その再調製された抗体-薬物コンジュゲート溶液は6.0のpHを有する。再調製されたチソツマブベドチンを、対象者について計算された用量に従って、0.9%NaCl 100mL輸液バッグに入れて希釈する。チソツマブベドチンバイアルを再調製した後24時間以内に静脈内注入を完了する。静脈内注入には0.2μmのインラインフィルターを使用する。準備した輸液バッグから全100mL量を投与する。デッドボリュームを生じさせない。
【0214】
目的および評価項目を表2に記載する。対象者は、病勢進行、毒性、または同意の取り下げまで治療される。初回投与日から計算して、6週ごとに32週間、その後12週ごとにイメージングを行う。試験中のイメージングは、対象者が放射線診断上で病勢進行を経験するか、新しい抗がん療法を開始するか、同意を取り下げるか、または死亡するまで継続する。腫瘍応答は3つの時点で分析される;それぞれ、無益性(futility)評価、初期の有効性評価、および主要な有効性評価。
【0215】
【0216】
プロトコルで指定された投与スケジュールに耐えられない対象者の場合には、該対象者がチソツマブベドチン単独またはカルボプラチンとの併用による治療を継続できるようにするために、チソツマブベドチンの減量が許可される(表3)。カルボプラチンの用量も減らすことができる(表4)。
【0217】
(表3)チソツマブベドチンの減量スケジュール
* チソツマブベドチンの2回以下の減量が許可される。チソツマブベドチンの2回目の減量後にAEが再発する場合、該対象者は試験治療を永久に中止しなければならない。
【0218】
(表4)カルボプラチンの減量スケジュール
* カルボプラチンに関連する(S)AEが再発し、治療を12週間以上続けた後でグレード1以下に回復しない場合、該対象者はカルボプラチンを中止しなければならない。AUC 4未満の減量は許可されない。
【0219】
以前の試験で、チソツマブベドチン単独による治療中に、特に関心のある3つの有害事象が確認された:1)眼の有害事象;2)末梢神経障害の有害事象;および3)出血の有害事象。
【0220】
眼のAEの場合:チソツマブベドチンによる治療に関連して、グレード1~2の結膜炎のAEが頻繁に報告された。包括的な緩和プランと予防対策の実施により、眼の有害事象の頻度と重症度がいずれも大幅に減少した。本試験では、眼のAEを予防するために、両方の治療グループ(すなわち、チソツマブベドチン単独またはカルボプラチンとの併用)の全ての対象者は、以下の眼の前投薬ガイドラインに従う必要がある:1)試験の全治療期間(すなわち、チソツマブベドチンの初回投与から安全性追跡調査の来院まで)の間、防腐剤フリーの潤滑点眼薬を使用する。製造物品処方情報に従って潤滑点眼薬を投与すべきである;2)チソツマブベドチンで治療している間は、初回投与から安全性追跡調査の来院まで、コンタクトレンズを着用しないことが推奨される;3)冷蔵庫で冷やして使う目用冷却パッド、例えばTHERA PEARLアイマスクまたは同様のもの、を注入中に使用する。目用冷却パッドに付属する説明書に従って注入直前に目に当てる;4)注入前に局所眼科用血管収縮薬を投与する(ブリモニジン酒石酸塩0.2%点眼薬または同様のもの、注入開始直前に各眼に3滴;その他の点では、製造物品処方情報に従って使用する)。対象者が有害反応のために眼科用血管収縮薬に耐えられない場合、これらによる治療の継続を中止することができる;および5)各治療サイクルの最初の3日間、ステロイド点眼薬(デキサメタゾン0.1%点眼薬または同等のもの)を適用する(すなわち、チソツマブベドチンの注入開始前に最初の点眼を行う;その後72時間治療を続ける)。ステロイド点眼薬は、各目に1滴を1日3回3日間投与するか、製造物品処方情報に従って使用すべきである。眼のAEのガイドラインを表5に示す。
【0221】
(表5)眼の有害事象に対する用量変更および毒性管理ガイドライン
【0222】
末梢神経障害(末梢性ニューロパチー、末梢性感覚ニューロパチー、末梢性運動ニューロパチー、多発ニューロパチーを含む)のAEの場合:末梢神経障害は、プラチナおよびタキサンベースの化学療法ならびにMMAEベースのADCによる治療に対するよく知られた有害反応であり、チソツマブベドチンによる治療を受けた対象者の約35%で報告されている。報告された症例の大部分はグレード1~2である;しかし、末梢神経障害は、チソツマブベドチン治療を永久に中止することの主な原因である。AEまたは末梢神経障害についてのガイドラインを表6に示す。
【0223】
出血のAEの場合:チソツマブベドチンの作用機序により、出血事象は特に興味深いと考えられる。鼻血は最もよく報告されたAEであるが、ほぼ全ての症例がグレード1である。さらに、活性化部分トロンボプラスチン時間(aPTT)またはプロトロンビン時間(PT)の臨床的に重要な摂動(perturbation)は観察されていない。用量変更および毒性管理ガイドラインが実施される(表6)。
【0224】
出血の増加、出血、肝酵素の上昇、粘膜炎、好中球減少症、および末梢神経障害などの有害事象(AE)は、チソツマブベドチン投与に関連している可能性がある。血小板数の減少、好中球減少症、嘔吐、および神経障害は、カルボプラチン投与に関連している可能性がある。チソツマブベドチンとカルボプラチンの併用治療に関連するAE、例えば、出血、肝機能異常、粘膜炎、神経障害(表6)、ならびに血小板減少症、好中球減少症、嘔吐(表7)に関する用量変更および毒性管理ガイドラインが提供される。
【0225】
(表6)チソツマブベドチンとカルボプラチンの併用治療グループに関連するAE(出血、肝機能異常、粘膜炎、および神経障害)に関する用量変更および毒性管理ガイドライン
INR=国際標準比
1管腔内出血またはCNS出血を除いたその他の出血。
【0226】
(表7)チソツマブベドチンとカルボプラチンの併用治療グループに関連するAE(血小板減少症、好中球減少症、嘔吐)に関する用量変更および毒性管理ガイドライン
DL=用量レベル;gr=グレード
1グレード3以上の有害事象が再発した場合は、カルボプラチンを中止する。チソツマブベドチンの減量または中止について話し合うために、スポンサーと連絡を取る。
【配列表】