(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-22
(45)【発行日】2024-01-05
(54)【発明の名称】熱インジケータを有するエアロゾル発生物品
(51)【国際特許分類】
A24D 1/20 20200101AFI20231225BHJP
A24D 1/02 20060101ALI20231225BHJP
A24F 40/57 20200101ALI20231225BHJP
【FI】
A24D1/20
A24D1/02
A24F40/57
(21)【出願番号】P 2020555160
(86)(22)【出願日】2019-04-09
(86)【国際出願番号】 EP2019058977
(87)【国際公開番号】W WO2019197413
(87)【国際公開日】2019-10-17
【審査請求日】2022-04-08
(32)【優先日】2018-04-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】リーベル トニー
【審査官】根本 徳子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/098405(WO,A2)
【文献】中国特許出願公開第1198309(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0340008(US,A1)
【文献】特表2012-513750(JP,A)
【文献】中国実用新案第203120966(CN,U)
【文献】国際公開第2019/129378(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24D 1/20
A24D 1/02
A24F 40/00-47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発熱体を有するエアロゾル発生装置で使用するための加熱式エアロゾル発生物品であって、前記加熱式エアロゾル発生物品が、
エアロゾル発生基体のロッドであって、乾燥質量基準で5パーセント~30パーセントのエアロゾル形成体を有するエアロゾル形成材料からなる、エアロゾル発生基体のロッドと、
外側ラッパーであって、前記外側ラッパーが前記エアロゾル発生基体のロッドの少なくとも一部分の周りに巻かれ、前記ラッパーの外表面の少なくとも一部分が熱インジケータを含み、前記熱インジケータが、
サーモクロミック材料を含み、それによって、前記サーモクロミック材料の少なくとも一部分が、前記外側ラッパーが前記熱インジケータにおける温度が閾値温度を超えたとの視覚的表示を提供するように、前記サーモクロミック材料の前記一部分における温度が前記閾値温度を超えた時に視覚的変化を経るように適合されており、前記閾値温度が少なくとも約摂氏175度である、外側ラッパーと、を備える、加熱式エアロゾル発生物品。
【請求項2】
発熱体を有するエアロゾル発生装置で使用するための加熱式エアロゾル発生物品であって、前記加熱式エアロゾル発生物品が、
エアロゾル発生基体のロッドと、
外側ラッパーであって、前記外側ラッパーが前記エアロゾル発生基体のロッドの少なくとも一部分の周りに巻かれ、前記ラッパーの外表面の少なくとも一部分が熱インジケータを含み、前記熱インジケータが、
サーモクロミック材料を含み、それによって、前記サーモクロミック材料の少なくとも一部分が、前記外側ラッパーが前記熱インジケータにおける温度が閾値温度を超えたとの視覚的表示を提供するように、前記サーモクロミック材料の前記一部分における温度が前記閾値温度を超えた時に視覚的変化を経るように適合されており、前記閾値温度が少なくとも約摂氏175度である、外側ラッパーと、を備え、
前記熱インジケータが、前記エアロゾル発生基体のロッドの外表面積の少なくとも5mm
2の上にある、加熱式エアロゾル発生物品。
【請求項3】
発熱体を有するエアロゾル発生装置で使用するための加熱式エアロゾル発生物品であって、前記加熱式エアロゾル発生物品が、
エアロゾル発生基体のロッドと、
外側ラッパーであって、前記外側ラッパーが前記エアロゾル発生基体のロッドの少なくとも一部分の周りに巻かれ、前記ラッパーの外表面の少なくとも一部分が熱インジケータを含み、前記熱インジケータが、
サーモクロミック材料を含み、それによって、前記サーモクロミック材料の少なくとも一部分が、前記外側ラッパーが前記熱インジケータにおける温度が閾値温度を超えたとの視覚的表示を提供するように、前記サーモクロミック材料の前記一部分における温度が前記閾値温度を超えた時に視覚的変化を経るように適合されており、前記閾値温度が少なくとも約摂氏220度である、外側ラッパーと、を備える、加熱式エアロゾル発生物品。
【請求項4】
前記閾値温度が、少なくとも約摂氏220度である、請求項1または2に記載の加熱式エアロゾル発生物品。
【請求項5】
前記熱インジケータが、前記エアロゾル発生基体のロッドの外表面積の少なくとも5mm
2の上にある、請求項1または3に記載の加熱式エアロゾル発生物品。
【請求項6】
前記熱インジケータが、前記エアロゾル発生基体のロッドの合計長さの少なくとも50パーセントに沿って長軸方向に延びる、請求項1~5のいずれかに記載の加熱式エアロゾル発生物品。
【請求項7】
前記サーモクロミック材料が、前記視覚的変化が前記外側ラッパーの外周部分内にのみ生じるように配設され、前記外周部分が前記エアロゾル発生物品の周囲の周りに部分的にのみ延びる、請求項1~6のいずれかに記載の加熱式エアロゾル発生物品。
【請求項8】
発熱体を有するエアロゾル発生装置で使用するための加熱式エアロゾル発生物品であって、前記加熱式エアロゾル発生物品が、
エアロゾル発生基体のロッドであって、乾燥質量基準で5パーセント~30パーセントのエアロゾル形成体を有するエアロゾル形成材料からなる、エアロゾル発生基体のロッドと、
外側ラッパーであって、前記ラッパーの外表面の少なくとも一部分が熱インジケータを含み、前記熱インジケータが前記エアロゾル発生基体のロッドの下流に位置し、前記熱インジケータが、
サーモクロミック材料を含み、それによって、前記サーモクロミック材料の少なくとも一部分が、前記外側ラッパーが前記熱インジケータにおける温度が閾値温度を超えたとの視覚的表示を提供するように、前記サーモクロミック材料の前記一部分における温度が前記閾値温度を超えた時に視覚的変化を経るように適合されており、前記閾値温度が少なくとも約摂氏115度である、外側ラッパーと、を備える、加熱式エアロゾル発生物品。
【請求項9】
前記視覚的変化が不可逆的である、請求項1~8のいずれかに記載の加熱式エアロゾル発生物品。
【請求項10】
前記熱インジケータが、前記加熱式エアロゾル発生物品の合計長さの少なくとも20パーセントに沿って長軸方向に延びる、請求項1~9のいずれかに記載の加熱式エアロゾル発生物品。
【請求項11】
前記視覚的変化が色変化を含む、請求項1~10のいずれかに記載の加熱式エアロゾル発生物品。
【請求項12】
前記視覚的変化が、グラフィカル表現および/または警告のしるしまたはメッセージを表示することを含む、請求項1~11のいずれかに記載の加熱式エアロゾル発生物品。
【請求項13】
前記外側ラッパーが温度表示センサー用紙を含み、それによって前記サーモクロミック材料が前記温度表示センサー用紙に一体化される、請求項1~12のいずれかに記載の加熱式エアロゾル発生物品。
【請求項14】
前記サーモクロミック材料が、前記ラッパーの前記外表面の前記少なくとも一部分に塗布されたサーモクロミック塗料、インクまたは染料を含む、請求項1~13のいずれかに記載の加熱式エアロゾル発生物品。
【請求項15】
前記エアロゾル発生基体のロッドの下流に位置するマウスピースと、
前記エアロゾル発生基体のロッドのすぐ下流に位置する支持要素と、
前記支持要素と前記マウスピースとの間に位置するエアロゾル冷却要素と、をさらに備える、請求項1~14のいずれかに記載の加熱式エアロゾル発生物品。
【請求項16】
加熱式エアロゾル発生物品のエアロゾル発生基体のロッドの外側ラッパー上に位置する熱インジケータにおけるサーモクロミック材料の使用であって、前記エアロゾル発生基体のロッドが、乾燥質量基準で5パーセント~30パーセントのエアロゾル形成体を有するエアロゾル形成体材料からなり、前記加熱式エアロゾル発生物品が、発熱体を有するエアロゾル発生装置で使用するように構成されており、前記外側ラッパーが、前記エアロゾル発生基体のロッドの少なくとも一部分の周りに巻かれ、それによって、前記サーモクロミック材料の少なくとも一部分が、前記外側ラッパーが前記熱インジケータにおける温度が閾値温度を超えたとの視覚的表示を提供するように、前記サーモクロミック材料の前記一部分における温度が前記閾値温度を超えた時に視覚的変化を経るように適合されており、前記閾値温度が少なくとも約摂氏175度である、使用。
【請求項17】
加熱式エアロゾル発生物品の外側ラッパー上に位置する熱インジケータにおけるサーモクロミック材料の使用であって、エアロゾル発生基体のロッドが、乾燥質量基準で5パーセント~30パーセントのエアロゾル形成体を有するエアロゾル形成体材料からなり、前記加熱式エアロゾル発生物品が、発熱体を有するエアロゾル発生装置で使用するように構成されており、前記加熱式エアロゾル発生物品が、
前記エアロゾル発生基体のロッドを含んでおり、それによって、前記熱インジケータが、前記エアロゾル発生基体のロッドの下流に位置し、前記サーモクロミック材料の少なくとも一部分が、前記外側ラッパーが前記熱インジケータにおける温度が閾値温度を超えたとの視覚的表示を提供するように、前記サーモクロミック材料の前記一部分における温度が前記閾値温度を超えた時に視覚的変化を経るように適合されており、前記閾値温度が少なくとも約摂氏115度である、使用。
【請求項18】
エアロゾル発生システムであって、
請求項1~17のいずれかに記載の加熱式エアロゾル発生物品と、
前記加熱式エアロゾル発生物品を受容するように適合されたエアロゾル発生装置であって、前記エアロゾル発生装置が、使用中に前記エアロゾル発生
基体のロッドを加熱するように構成されたヒーター要素を含み、前記ヒーター要素が使用中に最大動作温度未満で動作するように制御される、エアロゾル発生装置と、を備え、
前記加熱式エアロゾル発生物品の前記熱インジケータが、前記ヒーター要素が前記最大動作温度未満で動作する前記エアロゾル発生システムの使用中に前記閾値温度を超えないように適合される、エアロゾル発生システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーモクロミック材料を含む熱インジケータを組み込む加熱式エアロゾル発生物品、こうした加熱式エアロゾル発生物品におけるこうしたサーモクロミック材料の使用、および熱インジケータを有するこうした加熱式エアロゾル発生物品を備えるエアロゾル発生システムに関する。
【背景技術】
【0002】
たばこ含有基体などのエアロゾル発生基体が燃焼されるのではなく加熱されるエアロゾル発生物品は、当業界で周知である。典型的に、こうした加熱式喫煙物品においてエアロゾルは、熱源からの熱を物理的に分離されたエアロゾル発生基体または材料に伝達することによって生成され、このエアロゾル発生基体または材料は熱源に接触して、または熱源の中に、または熱源の周囲に、または熱源の下流に位置していてもよい。エアロゾル発生物品の使用中、揮発性化合物は、熱源からの熱伝達によってエアロゾル発生基体から放出され、エアロゾル発生物品を通して引き出された空気中に混入される。放出された化合物は冷えるにつれて、凝縮してエアロゾルを形成する。
【0003】
多数の従来の技術の文書で、加熱式エアロゾル発生物品を消費または喫煙するためのエアロゾル発生装置が開示されている。こうした装置は、例えば、エアロゾル発生装置の一つ以上の電気発熱体から加熱式エアロゾル発生物品のエアロゾル発生基体への熱伝達によってエアロゾルが発生される、電気加熱式のエアロゾル発生装置を含む。こうした電気加熱式のエアロゾル発生装置の一つの利点は、副流煙を著しく減少させることである。
【0004】
こうしたエアロゾル発生装置では、発熱体は典型的に、エアロゾル発生物品から最適なエアロゾル放出プロファイルを提供するために、製造者によって選択された所定の温度範囲内でエアロゾル発生基体を加熱するように構成される。したがって、エアロゾル発生物品およびエアロゾル発生装置は、相互に併せて使用するために特に適合される。
【0005】
しかしながら、エアロゾル発生物品が適合性のないエアロゾル発生装置で不注意または意図的に使用される場合、最適なエアロゾル放出プロファイルが消費者に提供される可能性は非常に低い。適合性のない装置内の発熱体の構造は通常、適合性のある装置の構造とは異なり、したがって、エアロゾル発生基体の加熱の形態が異なる可能性が高い。さらに、ヒーターが、同一の温度範囲内で同様に動作しない場合があり、そのため、エアロゾル発生基体が適合性のある装置と同一の温度プロファイル下で加熱されない。結果として、基体から放出されるエアロゾルの特性は、製造者によって意図される通りとならない。したがって、消費者の体験は、エアロゾル発生物品を適合性のない装置で使用する結果として悪影響を受ける可能性が高い。
【0006】
特定の問題は、エアロゾル発生物品が、意図されるよりも高い温度までエアロゾル発生基体を加熱する装置で使用され、これにより基体の少なくとも一部が過熱状態になると生じうる。これは、例えば、内部発熱体によって加熱されるように適合されたエアロゾル発生物品が、その代わりにエアロゾル発生物品を外部的に加熱するエアロゾル発生装置で使用された時に生じうる。使用中に基体を外側から加熱するこうした装置は典型的に、ずっと高い動作温度を必要とし、したがって、少なくとも基体の外側部品は、内部発熱体を使用して提供されうるよりもずっと高い温度まで加熱される可能性が高い。さらに、基体の過熱は、エアロゾル発生物品を内部的に加熱する適合性のある、または適合性のないエアロゾル発生装置による、ずっと高い動作温度へのエアロゾル発生物品の内部加熱からも生じうる。
【0007】
適合性のないエアロゾル発生装置での、特に、基体に対して意図されるよりも高い温度までエアロゾル発生基体を加熱する任意のエアロゾル発生装置でのエアロゾル発生物品の使用の視覚的表示または警告をユーザーに提供する、エアロゾル発生物品の新規な配設を提供することが望ましい。適合性のある装置における通常の加熱条件下でエアロゾル発生物品の使用に悪影響を与えない、エアロゾル発生物品のこうした新規な配設を提供することがさらに望ましい。エアロゾル発生物品の構造、またはエアロゾル発生物品の製造のために使用される方法および装置に著しい影響を与えることなく、エアロゾル発生物品のこうした新規な配設を容易に提供しうることが、特に望ましい。
【発明の概要】
【0008】
本発明の第一の態様によると、発熱体を有するエアロゾル発生装置で使用するための加熱式エアロゾル発生物品が提供されており、加熱式エアロゾル発生物品は、エアロゾル発生基体のロッドと、外側ラッパーとを備え、外側ラッパーは、エアロゾル発生基体のロッドの少なくとも一部分の周りに巻かれ、ラッパーの外表面の少なくとも一部分は熱インジケータを含む。熱インジケータはサーモクロミック材料を含み、それによって、サーモクロミック材料の少なくとも一部分は、外側ラッパーが熱インジケータにおける温度が閾値温度を超えたとの視覚的表示を提供するように、サーモクロミック材料の該一部分における温度が閾値温度を超えた時に視覚的変化を経るように適合されており、閾値温度は少なくとも約175℃である。
【0009】
本発明の第二の態様によると、発熱体を有するエアロゾル発生装置で使用するための加熱式エアロゾル発生物品が提供されており、加熱式エアロゾル発生物品は、エアロゾル発生基体のロッドと、外側ラッパーとを備え、ラッパーの外表面の少なくとも一部分は熱インジケータを含み、熱インジケータはエアロゾル発生基体のロッドの下流に位置する。熱インジケータはサーモクロミック材料を含み、それによって、サーモクロミック材料の少なくとも一部分は、外側ラッパーが熱インジケータにおける温度が閾値温度を超えたとの視覚的表示を提供するように、サーモクロミック材料の該一部分における温度が閾値温度を超えた時に視覚的変化を経るように適合されており、閾値温度は少なくとも約115℃である。
【0010】
本発明の第三の態様によると、加熱式エアロゾル発生物品のエアロゾル発生基体のロッドの外側ラッパー上に位置する熱インジケータにおけるサーモクロミック材料の使用が提供されており、加熱式エアロゾル発生物品は、発熱体を有するエアロゾル発生装置で使用するように構成されており、外側ラッパーは、エアロゾル発生基体のロッドの少なくとも一部分の周りに巻かれ、それによって、サーモクロミック材料の少なくとも一部分は、外側ラッパーが熱インジケータにおける温度が閾値温度を超えたとの視覚的表示を提供するように、サーモクロミック材料の該一部分における温度が閾値温度を超えた時に視覚的変化を経るように適合されており、閾値温度は少なくとも約175℃である。
【0011】
本発明の第四の態様によると、加熱式エアロゾル発生物品の外側ラッパー上に位置する熱インジケータにおけるサーモクロミック材料の使用が提供されており、加熱式エアロゾル発生物品は、発熱体を有するエアロゾル発生装置で使用するように構成されており、加熱式エアロゾル発生物品は、エアロゾル発生基体のロッドを含んでおり、それによって、熱インジケータは、エアロゾル発生基体のロッドの下流に位置し、サーモクロミック材料の少なくとも一部分は、外側ラッパーが熱インジケータにおける温度が閾値温度を超えたとの視覚的表示を提供するように、サーモクロミック材料の該一部分における温度が閾値温度を超えた時に視覚的変化を経るように適合されており、閾値温度は少なくとも約115℃である。
【0012】
本発明の第五の態様によると、上述の本発明の第一または第二の態様による加熱式エアロゾル発生物品と、加熱式エアロゾル発生物品を受容するように適合されたエアロゾル発生装置とを備えるエアロゾル発生システムが提供されている。エアロゾル発生装置は、使用中にエアロゾル発生材料のロッドを加熱するように構成されたヒーター要素を含み、ヒーター要素は、使用中に最大動作温度未満で動作するように制御される。加熱式エアロゾル発生物品の熱インジケータは、ヒーター要素が最大動作温度未満で動作するエアロゾル発生システムの使用中に閾値温度を超えないように適合される。
【0013】
本明細書で使用される「加熱式エアロゾル発生物品」という用語は、エアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出するために、燃焼ではなく加熱されることが意図されるエアロゾル発生基体を含む、エアロゾル生成のためのエアロゾル発生物品を意味する。こうした物品は、一般的に「非燃焼・加熱型」製品と称される。
【0014】
本明細書で使用される「エアロゾル発生基体」という用語は、エアロゾルを形成することができる揮発性化合物を加熱時に放出する能力を有する基体を意味する。本明細書に記載のエアロゾル発生物品のエアロゾル発生基体から発生されるエアロゾルは、可視または不可視であってもよく、またベイパー(例えば、室温で通常は液体または固体である物質の、気体状態にある物質の微粒子)ならびに気体および凝縮されたベイパーの液体の液滴を含んでもよい。
【0015】
本明細書で使用される「ロッド」という用語は、実質的に多角形の断面、および好ましくは円形、長円形または楕円形の概して円筒状の要素を指す。本明細書で使用される「物品」という用語は、特に明記しない限り、エアロゾル発生物品を指す。
【0016】
本明細書で使用される「長軸方向」という用語は、エアロゾル発生物品の上流端と下流端の間に延びる、エアロゾル発生物品の主要な長軸方向軸に対応する方向を指す。使用中、空気はエアロゾル発生物品を通して長軸方向に引き出される。「横断方向」という用語は、長軸方向軸に対して直角を成す方向を指す。
【0017】
本明細書で使用される「上流」および「下流」という用語は、使用中にエアロゾル発生物品を通してエアロゾルが搬送される方向に対する、エアロゾル発生物品の要素(または要素の部分)の相対的な位置を説明する。
【0018】
本発明によるエアロゾル発生物品は、エアロゾル発生基体を加熱するための内部発熱体を有する電気加熱式のエアロゾル発生装置を備えるエアロゾル発生システムでの使用に適している。例えば、本発明によるエアロゾル発生物品は、エアロゾル発生基体のロッドの中に挿入されるように適合されている内部ヒーターブレードを有する電気加熱式エアロゾル発生装置を備えるエアロゾル発生システムにおいて特定の用途がある。このタイプのエアロゾル発生物品は、先行技術、例えば欧州特許第EP-A-0822670号に記載されている。
【0019】
本明細書で使用される「エアロゾル発生装置」という用語は、エアロゾル発生物品のエアロゾル発生基体と相互作用してエアロゾルを発生する発熱体を備える装置を指す。
【0020】
上述の通り、本発明によるエアロゾル発生物品は、熱インジケータを含む外側ラッパーを組み込む。熱インジケータは、所望の動作温度を過度に超えてエアロゾル発生物品を加熱する適合性のない装置における、本発明によるエアロゾル発生物品の使用を警告および防止するための効果的な手段を提供する。エアロゾル発生基体のロッドの過熱に伴い、熱インジケータは、不正確なおよび/または潜在的に有害な使用をユーザーに警告するための、エアロゾル発生物品の使用中または使用後にユーザーが見うる視覚的変化を生成する。このようにして、ユーザーは、使用中に、ユーザーが適合性のない装置で、またはエアロゾル発生物品を誤作動および過熱する適合性のある装置でエアロゾル発生物品を使用した、または使用しているとの事実を警告される。したがって、熱インジケータは、エアロゾル発生物品の過熱を防止するための手段を提供する。
【0021】
本発明に関連して本明細書で使用される場合、「サーモクロミック材料」という用語は、所定の閾値温度または温度範囲で視覚的変化を経る任意の材料を記述するために使用される。
【0022】
サーモクロミック材料は、閾値温度を超えて温度が上昇、または閾値温度未満に温度が下がるのにつれて視覚的変化を経うる。本発明に関連して本明細書で使用される場合、「閾値温度」という用語は、その後にサーモクロミック材料の視覚的変化が実質的に完了する温度を記述するために使用される。
【0023】
有利なことに、熱インジケータは、過度の動作温度において視覚的変化を経るように適合される。したがって、本発明によるエアロゾル発生物品が、適合性のあるエアロゾル発生装置内で正常に加熱される場合、熱インジケータの存在は、消費者体験に知覚可能な影響を与えない。特に、熱インジケータの存在は、エアロゾル発生物品の引き出し抵抗(RTD)に悪影響を与えない。
【0024】
熱インジケータを含む外側ラッパーは、物品のその他の構成要素の配設に著しい影響を与えることなく、エアロゾル発生物品に都合よく組み込むことができる。したがって、熱インジケータの包含は、エアロゾル発生物品の製造に著しい影響を与えない。したがって、有利なことに、本発明によるエアロゾル発生物品は、若干の修正のみで、既存の高速の方法および装置を使用して作製することできる。
【0025】
エアロゾル発生物品の外側を囲む、外側ラッパー上の熱インジケータの配置、および熱インジケータに対して選択される材料は、例えば、エアロゾル発生基体を外部的に加熱する周辺ヒーターを有する、適合性のない装置における使用に起因したエアロゾル発生物品の過熱に対する熱インジケータの反応性を決定する。
【0026】
エアロゾル発生物品が、例えば、適合性のない装置において過熱され、そのため熱インジケータがその閾値温度に到達する場合、熱インジケータが「起動」されて視覚的変化を経る。したがって、熱インジケータの起動は、エアロゾル発生物品を一組の所望の動作温度を過度に超えて、かつ閾値温度を超えて加熱する適合性のない装置における、本発明によるエアロゾル発生物品の使用を警告および防止するための効果的な手段を提供する。
【0027】
熱インジケータの「閾値温度」は、上述の通り、熱インジケータが視覚的変化を経る温度に対応する。これは通常、熱インジケータを形成するために使用される材料の閾値温度に対応する。下記により詳細に考察するように、熱インジケータの、および熱インジケータにおける閾値温度は、エアロゾル発生物品が過熱される、すなわち、意図される動作温度範囲を超えて加熱される時にのみ到達または超えるように選択される。したがって、閾値温度は、エアロゾル発生基体が、製造者によって決定される、最大所望温度を超えて加熱された時に熱インジケータにおいて到達される温度に対応する。
【0028】
起動が所望の閾値温度において生じるように、かつ視覚的変化が熱インジケータにおいて生成されて、エアロゾル発生物品のさらなる使用が防止されるように熱インジケータが適合されうる、いくつかの潜在的な方法がある。
【0029】
熱インジケータを形成するために適切な材料が選択されるべきであり、材料は、エアロゾル発生物品が通常の動作温度範囲内まで加熱された時には熱インジケータが視覚的変化を経るリスクがないことを確実にするが、エアロゾル発生物品がこの範囲を超える温度まで過熱された時には視覚的変化を効果的に経るように、適切な起動ポイントまたは閾値温度を有する。これにより、エアロゾル発生インジケータが通常の動作温度範囲内で動作する時の過熱の誤表示が回避され、エアロゾル発生インジケータが通常の動作温度範囲外またはこれを超えて動作した時に、信頼性のある過熱インジケータが提供される。
【0030】
また、エアロゾル発生物品上の熱インジケータの適切な位置が選択される必要がある。熱インジケータの適切な位置は、閾値温度を適切に定義できるように選択された材料の範囲に依存する。これにより、エアロゾル発生物品の通常の使用中の熱インジケータの意図しない起動が回避される。
【0031】
典型的には、エアロゾル発生物品は使用中に、エアロゾル発生基体が、装置内の発熱体によって直接的または間接的のいずれかで加熱されるように、エアロゾル発生装置内に挿入される。エアロゾル発生物品内の温度は、発熱体に隣接して最も高く、発熱体からの距離が増大するにつれてエアロゾル発生物品に沿って長軸方向に減少する。したがって、熱インジケータの適切な閾値温度は、熱インジケータがエアロゾル発生基体からどの程度下流に配置されるかに応じて変化しうる。特に、熱インジケータがエアロゾル発生基体から下流に配置されるほど、熱インジケータが起動するための閾値温度を低くする必要がある。
【0032】
エアロゾル発生物品内およびこれを囲む温度プロファイルは熱電対を使用して容易に測定することができ、これにより、適切な閾値温度が決定されて、基体が所定の最大温度を超えて過熱されているとみなされた時にのみ熱インジケータが起動することを確実にしうる。
【0033】
熱インジケータは、外側ラッパーの外表面の任意の場所に適切に位置しうる。熱インジケータは、少なくともエアロゾル発生基体のロッドに隣接して、および/またはその周りにあってもよい。
【0034】
上述のように、本発明による熱インジケータの閾値温度は、エアロゾル発生物品に沿ったその位置に応じて選択され、これは好ましい動作温度の範囲を有する。
【0035】
有利なことに、閾値温度は約300℃未満であってもよい。
【0036】
有利なことに、閾値温度は、約115℃~約300℃であってもよい。例えば、閾値温度は、約120℃~約300℃であってもよい。例えば、閾値温度は、約155℃~約300℃であってもよい。例えば、閾値温度は、約160℃~約300℃であってもよい。例えば、閾値温度は、約170℃~約300℃であってもよい。例えば、閾値温度は、約175℃~約300℃であってもよい。
【0037】
有利なことに、閾値温度は約275℃未満であってもよい。
【0038】
有利なことに、閾値温度は、約115℃~約275℃であってもよい。例えば、閾値温度は、約120℃~約275℃であってもよい。例えば、閾値温度は、約155℃~約275℃であってもよい。例えば、閾値温度は、約160℃~約275℃であってもよい。例えば、閾値温度は、約170℃~約275℃であってもよい。例えば、閾値温度は、約175℃~約275℃であってもよい。
【0039】
有利なことに、閾値温度は約250℃未満であってもよい。
【0040】
有利なことに、閾値温度は、約115℃~約250℃であってもよい。例えば、閾値温度は、約120℃~約250℃であってもよい。例えば、閾値温度は、約155℃~約250℃であってもよい。例えば、閾値温度は、約160℃~約250℃であってもよい。例えば、閾値温度は、約170℃~約250℃であってもよい。例えば、閾値温度は、約175℃~約250℃であってもよい。
【0041】
本発明の第一の態様によると、熱インジケータは、エアロゾル発生基体のロッドの少なくとも一部分の周りに位置しうる。熱インジケータは、エアロゾル発生基体のロッドの表面積全体を囲んでこれを覆ってもよい。別の方法として、または追加的に、熱インジケータは、エアロゾル発生基体のロッドの少なくとも一部分と、少なくとも、エアロゾル発生物品の別の下流部分とを囲んでもよい。別の方法として、熱インジケータは、エアロゾル発生物品の周囲または周辺全体の一部分のみを囲んでもよく、エアロゾル発生基体のロッドの周りを囲むことが好ましい。
【0042】
本発明の第一の態様によると、熱インジケータは、エアロゾル発生基体のロッド上に提供され、閾値温度は、少なくとも約175℃であることが好ましく、約180℃であることがより好ましく、約185℃であることが最も好ましい。閾値温度は、少なくとも約220℃であることが好ましい。閾値温度は、約300℃以下であってもよい。これにより、熱インジケータが、最大所望温度を超えるエアロゾル発生基体の加熱を十分に感知することが確実になる。こうした実施形態では、熱インジケータの閾値温度は、使用中にエアロゾル発生装置の発熱体に近接する可能性が高いため、比較的高くする必要がある。
【0043】
本発明の第二の態様によると、熱インジケータは、エアロゾル発生基体のロッド、またはエアロゾル発生物品の「基体/遠位端」の下流に位置しうる。本発明に関連して本明細書で使用される場合、「基体/遠位端」という用語は、加熱されるように構成されたエアロゾル発生基体の端部でもある、エアロゾル発生物品の上流端を指す。エアロゾル発生物品の「マウスピース端」は、「基体/遠位端」の反対側にある、エアロゾル発生物品の下流端である。
【0044】
本発明の第二の態様によると、熱インジケータ、またはその一部分は、エアロゾル発生基体のロッドの下流に提供され、閾値温度は、少なくとも約115℃であることが好ましく、約120℃であることがより好ましく、約125℃であることが最も好ましい。閾値温度は、200℃以下であってもよい。これにより、熱インジケータが、最大所望温度を超えるエアロゾル発生基体の加熱を十分に感知することが確実になる。こうした実施形態では、熱インジケータの閾値温度は、使用中にエアロゾル発生装置の発熱体までの距離が大きくなる可能性が高いために、比較的低くする必要がある。
【0045】
本発明のすべての態様によると、熱インジケータは、エアロゾル発生物品の長さの少なくとも一部に沿って長軸方向に延びる。例えば、熱インジケータの長さは、約1mm~20mmであってもよい。さらに、熱インジケータの長さは、約1mm~15mmであってもよい。
【0046】
熱インジケータは、エアロゾル発生物品の長さの少なくとも20%に沿って長軸方向に延びてもよく、エアロゾル発生物品の長さの少なくとも25%に延びることがより好ましい。熱インジケータは、エアロゾル発生物品の長さの少なくとも50%に沿って長軸方向に延びうることが好ましい。
【0047】
熱インジケータの長さは、エアロゾル発生物品と同じ長さであってもよく、またはエアロゾル発生基体のロッドと同じ長さであってもよい。熱インジケータの長さは、エアロゾル発生基体のロッドの長さの少なくとも75%であることが好ましく、エアロゾル発生基体のロッドの長さの少なくとも50%であることがより好ましい。
【0048】
熱インジケータは、エアロゾル発生物品の周りに少なくとも部分的に円周方向に延びうる。熱インジケータは、エアロゾル発生物品の周囲全体の周りに延びることが好ましい。
【0049】
本発明の第一の態様によると、熱インジケータは、エアロゾル発生基体のロッドの外表面積の少なくとも1mm2の上にあってもよい。熱インジケータは、エアロゾル発生基体のロッドの外表面積の少なくとも5mm2の上にあってもよい。
【0050】
本発明の第一の態様によると、熱インジケータは、エアロゾル発生基体のロッドの外表面積の少なくとも20%の上にあってもよい。熱インジケータは、エアロゾル発生基体のロッドの外表面積の少なくとも25%の上にあることが好ましい。熱インジケータは、エアロゾル発生基体のロッドの外表面積の少なくとも50%の上にあることが好ましい。
【0051】
本発明の第一の態様による特定の実施形態では、サーモクロミック材料は、視覚的変化が、外側ラッパーの外周部分内にのみ生じるように配設されてもよく、外周部分は、エアロゾル発生物品の周囲の周りを少なくとも部分的にのみ延びうる。こうした実施形態では、熱インジケータは、エアロゾル発生物品の周りの特定の外周位置に、好ましくは、エアロゾル発生基体のロッドの周りの特定の外周位置に、局所的な視覚的変化を提供するように適合されうる。例えば、ラッパーの外表面の外周部分が熱インジケータを含んでもよく、または、熱インジケータの外周部分が、視覚的変化を経るように構成されてもよく、あるいはその両方であってもよい。外周部分は、物品の周囲の少なくとも5%に延びることが好ましく、物品の周囲の少なくとも10%に延びることがより好ましく、物品の周囲の少なくとも20%に延びることが最も好ましい。このような実施形態では、閾値温度は、少なくとも約175°Cであることが好ましく、約180°Cであることがより好ましく、約185℃であることが最も好ましい。閾値温度は少なくとも約220℃であることが好ましい。閾値温度は、約300℃以下であってもよい。これにより、熱インジケータが、最大所望温度を超えるエアロゾル発生基体の過熱を十分に感知することが確実になる。加熱された時の基体のロッドに沿ったおよび/またはこれにわたる温度分布は均一でない場合があり、故に、エアロゾル発生基体のロッドの外表面の局所的な部分が過熱され、その他の部分は過熱されない場合がある。こうした実施形態では、熱インジケータの閾値温度はまた、使用中に熱インジケータがエアロゾル発生装置の発熱体に近接する可能性が高いため、比較的高くする必要がある。局所的な視覚的変化はまた、基体の局所的な過熱の表示に加えて、外側ラッパーおよびエアロゾル発生基体のロッドに対するエアロゾル発生装置の発熱体の整列の表示を提供しうる。発熱体が基体を内部的に加熱するように構成される場合、閾値温度は、局所的な視覚的変化が、局所的な視覚的変化が生じた外側ラッパーの領域が発熱体に最も近い可能性があることを示すようなものでありうる。
【0052】
上述のように、本発明のすべての態様について、熱インジケータは、閾値温度を超えた時に視覚的変化を経るように構成される。上述のように、視覚的変化は、熱インジケータのどの部分がそのそれぞれの閾値温度を超えたかに応じて、熱インジケータの一部分または全体の上に生じうる。視覚的変化は、第一の色から第二の色への、または実質的に無色から第一の色への、または第一の色から実質的に無色への変化を伴いうる。視覚的変化は、第一の色から第二の色へ、そして第三の色への変化を伴いうる。視覚的変化は、実質的に無色から複数の異なる色を経て最終色に移行することを伴いうる。視覚的変化は、最初の色から複数の異なる色を経て最終色に移行することを伴いうる。各色は、基体内の過熱の程度の特定の表示を提供しうる。視覚的変化は、熱インジケータが、警告のしるしまたはメッセージを表示しないことから警告のしるしまたはメッセージを表示することを含みうる。警告のしるしまたはメッセージは、ロゴまたは任意の形態のグラフィカル表現を含みうる。
【0053】
視覚的変化は、色の広い遷移範囲にわたる瞬間的または段階的なものでありうる。
【0054】
有利なことに、視覚的変化は不可逆的または可逆的であってもよく、不可逆的であることがより好ましい。熱インジケータの視覚的変化が不可逆的または実質的に永久的であることにより、視覚的変化が生じた後の時点で、熱インジケータがエアロゾル発生物品の誤用のメッセージをユーザーに適切に伝達することが可能になる。熱インジケータの温度は、ユーザーまたは消費者が物品の使用を終える前に閾値温度を超えうる。したがって、不可逆的な視覚的変化は、ユーザーが物品の使用を終えた後に、ユーザーが確実に誤用を知るのに有利である。
【0055】
視覚的変化は、上述の特性の任意の組み合わせを包含しうる。
【0056】
熱インジケータは、特定の閾値温度および視覚的変化を有する単一のサーモクロミック材料を含みうる。別の方法として、熱インジケータは、複数の異なるサーモクロミック材料を含んでもよく、異なるサーモクロミック材料のそれぞれは、相互に異なる閾値温度および/または視覚的変化を含みうる。
【0057】
熱インジケータは、単一のサーモクロミック材料を含んでもよく、閾値温度は、熱インジケータにわたって、およびこれに沿って均一である。別の方法として、熱インジケータは、単一のサーモクロミック材料を含んでもよく、閾値温度は、熱インジケータの長軸方向および/または熱インジケータに沿ってのいずれかで変化する。例えば、閾値温度は、熱インジケータに沿って下流方向または上流方向に減少または増大しうる。
【0058】
本発明のすべての実施形態では、熱インジケータはサーモクロミック材料で形成される。サーモクロミック材料は、塗料、インク、染料またはその上に塗布されたサーモクロミック材料を有する材料のその他の層の形態で、外側ラッパーの表面上に塗布または貼り付けられうる。別の方法として、外側ラッパーは温度表示センサー用紙を含み、それによってサーモクロミック材料が温度表示センサー用紙と一体化されてもよい。サーモクロミック材料はさらに、外側ラッパーの少なくとも任意のその他の構成要素、層または部分と一体化されてもよい。
【0059】
Sensor Products Inc.(http://www.sensorprod.com/thermex.php)のTHERMEX(登録商標)は、本発明の熱インジケータを提供する際の使用に適した不可逆性サーモクロミック材料の一例である。THERMEX(登録商標)は、シート材料として提供され、二つの接触面間に配置されるように構成された触覚表面温度表示材料であり、特定の閾値温度または閾値温度範囲に晒されると、THERMEX(登録商標)シートは瞬間的かつ永久的に色が変化する。色変化は、永久的または不可逆的であり、閾値温度の動作範囲は90~149℃である。その他の当業者に一般的に公知の適切な不可逆性サーモクロミック材料が使用されうる。
【0060】
熱インジケータは、可逆性サーモクロミック材料と不可逆性サーモクロミック材料の組み合わせを含みうる。こうした事例では、熱インジケータは、可逆的視覚的変化および不可逆的な視覚的変化の両方を経うる。当業者に一般的に公知の適切な可逆性サーモクロミック材料が使用されうる。
【0061】
前述のように、熱インジケータは、エアロゾル発生物品の構造、またはエアロゾル発生物品の製造に使用される方法および装置に著しい影響を与えることなく容易に提供されうる。したがって、熱インジケータは、外側ラッパーの内表面および/または外表面に、好ましくは外側ラッパーの外表面に、またはその外表面上に容易に配置または適用されうる。熱インジケータは、外側ラッパーを形成しうる包装材料の二層の間に配置されてもよい。熱インジケータは、物品の周りに外側ラッパーを組み立てるプロセスが影響を受けないように、別個のプロセスにおいて外側ラッパーに組み込まれてもよい。
【0062】
本発明によるエアロゾル発生物品は、エアロゾル発生基体のロッドおよび物品の外側ラッパー上に位置する熱インジケータを含む、複数の要素を含みうる。外側ラッパーは紙巻たばこ用紙を含みうる。
【0063】
エアロゾル発生物品は一般的に、エアロゾル発生基体に直接隣接する中空のアセテート管を含む。
【0064】
エアロゾル発生基体のロッドは、エアロゾル形成材料で形成され、これは特に均質化したたばこ材料であることが好ましい。
【0065】
本明細書で使用される「均質化したたばこ材料」という用語は、たばこ材料の粒子の凝集によって形成された任意のたばこ材料を包含する。均質化したたばこ材料のシートまたはウェブは、たばこ葉ラミナおよびたばこ葉茎の一方または両方を粉砕することによって、またはその他の方法で粉末化することによって得られた粒子状たばこを凝集することによって形成されている。さらに、均質化したたばこ材料は、たばこの処理、取り扱い、および発送の間に形成された少量のたばこダスト、たばこ微粉、およびその他の粒子状たばこ副産物のうちの一つ以上を含んでもよい。均質化したたばこ材料のシートは、キャスティング、押出成形、製紙プロセス、または当業界で周知の他の任意の適切なプロセスによって生産されてもよい。
【0066】
好ましい実施形態では、ロッドは、集められてプラグを形成し、外側ラッパーによって囲まれた均質化したたばこ材料の一つ以上のシートを含む。本発明に関連して本明細書で使用される「シート」という用語は、その厚さよりもかなり大きい幅および長さを有する薄層状の要素を説明する。本発明に関連して本明細書で使用される「集合体」という用語は、巻き込まれ、折り畳まれ、またはその他の方法でエアロゾル発生物品の長軸方向軸に対して実質的に横断方向に圧縮され、または収縮したシートを説明する。
【0067】
エアロゾル発生基体は、均質化したたばこ材料のきめのあるシートの集合体を含むことが有利である。本発明に関連して本明細書で使用される「きめのあるシート」という用語は、捲縮された、型押しされた、デボス加工された、穿孔された、またはその他の方法で変形されたシートを説明する。
【0068】
均質化したたばこ材料のきめのあるシートの使用は有利なことに、均質化したたばこ材料シートの集合を容易にしてエアロゾル発生基体を形成してもよい。
【0069】
エアロゾル発生基体は、複数の間隔を置いたへこみ、突起、穿孔またはそれらの任意の組み合わせを含む均質化したたばこ材料のきめのあるシートの集合体を含んでもよい。
【0070】
特定の好ましい実施形態において、エアロゾル発生基体は、均質化したたばこ材料の捲縮したシートの集合体を含む。本発明に関連して本明細書で使用される「捲縮したシート」という用語は、複数の実質的に平行な隆起またはコルゲーションを有するシートを説明する。エアロゾル発生物品が組み立てられた時に、実質的に平行な隆起またはコルゲーションは、エアロゾル発生物品の長軸方向軸に沿って、またはそれと平行に延びることが有利である。これは均質化したたばこ材料の捲縮したシートの集合を容易にしてエアロゾル発生基体を形成する。
【0071】
しかし、本発明によるエアロゾル発生物品のエアロゾル発生基体に含めるための均質化したたばこ材料の捲縮したシートは別の方法として、または追加的に、エアロゾル発生物品が組み立てられた時に、エアロゾル発生物品の長軸方向軸に鋭角または鈍角で配置されている複数の実質的に平行な隆起またはコルゲーションを有してもよいことが認識される。
【0072】
本発明で使用する均質化したたばこ材料のシートは、乾燥質量基準で少なくとも約40重量パーセントのたばこ含有量を有してもよく、乾燥質量基準で少なくとも約50重量パーセントのたばこ含有量を有することがより好ましく、乾燥質量基準で少なくとも約70重量パーセントのたばこ含有量を有することがより好ましく、乾燥質量基準で少なくとも約90重量パーセントのたばこ含有量を有することが最も好ましい。
【0073】
均質化したたばこ材料のシートは、エアロゾル形成体を含むことが好ましい。均質化したたばこ材料のシートは、単一のエアロゾル形成体を含みうる。別の方法として、均質化したたばこ材料のシートは、二つ以上のエアロゾル形成体の組み合わせを含みうる。
【0074】
適切なエアロゾル形成体が当業界で公知であり、それらには例えば、一価アルコール(メントールなど)、多価アルコール(トリエチレングリコール、1,3-ブタンジオール、およびグリセリンなど)、多価アルコールのエステル(グリセロールモノアセテート、グリセロールジアセテート、またはグリセロールトリアセテートなど)、およびモノカルボン酸、ジカルボン酸、またはポリカルボン酸の脂肪族エステル(ドデカン二酸ジメチル、テトラデカン二酸ジメチル、エリスリトール、1,3-ブチレングリコール、テトラエチレングリコール、クエン酸トリエチル、プロピレンカーボネート、ラウリン酸エチル、トリアクチン(Triactin)、メソ-エリスリトール、ジアセチン混合物、スベリン酸ジエチル、クエン酸トリエチル、安息香酸ベンジル、フェニル酢酸ベンジル、バニリン酸エチル、トリブチリン、酢酸ラウリル、ラウリン酸、ミリスチン酸、およびプロピレングリコールなど)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0075】
均質化したたばこ材料のシートは、乾燥質量基準で5パーセントを超えるエアロゾル形成体含有量を有することが好ましい。
【0076】
均質化したたばこ材料シートは、乾燥質量基準でおよそ5パーセント~およそ30パーセントのエアロゾル形成体含有量を有してもよい。
【0077】
一つの好ましい実施形態において、均質化したたばこ材料シートは、乾燥質量基準でおよそ20パーセントのエアロゾル形成体含有量を有する。
【0078】
本発明で使用する均質化したたばこ材料のシートは、粒子状たばこの凝集を補助するために、たばこ内因性結合剤である一つ以上の内因性結合剤、たばこ外来性結合剤である一つ以上の外因性結合剤、またはそれらの組み合わせを含んでもよい。別の方法として、または追加的に、エアロゾル発生基体で使用する均質化したたばこ材料シートは、たばこ繊維および非たばこ繊維、エアロゾル形成剤、湿潤剤、可塑剤、風味剤、充填剤、水性および非水性の溶媒、およびこれらの組み合わせを含むがこれらに限定されないその他の添加剤を含んでもよい。
【0079】
本発明で使用する均質化したたばこ材料のシートに含める適切な外因性結合剤は当業界で周知であり、例えばグアーガム、キサンタンガム、アラビアガム、ローカストビーンガムなどのゴム、例えばヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロースなどのセルロース結合剤、例えばデンプン、有機酸(アルギン酸など)、有機酸の共役塩基塩(アルギン酸ナトリウムなど)、寒天、ペクチンなどの多糖類、およびこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0080】
エアロゾル発生基体で使用する均質化したたばこ材料のシートに含める適切な非たばこ繊維は当業界で周知であり、セルロース繊維、柔らかい木材繊維、堅い木材繊維、ジュート繊維およびそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。エアロゾル発生基体で使用するための均質化したたばこ材料シートに含める前に、非たばこ繊維は、当業界で公知の適切なプロセスによって処理されてもよく、機械式パルプ化;精製;化学的パルプ化;脱色;硫酸塩パルプ化;およびこれらの組み合わせを含むが、限定されない。
【0081】
本発明で使用する均質化したたばこのシートは、約70mm~約250mmの幅、例えば約120mm~約160mmの幅を有することが好ましい。均質化したたばこ材料のシートの厚さは、約50マイクロメートル~300マイクロメートルであることが好ましく、約150マイクロメートル~約250マイクロメートルであることがより好ましい。
【0082】
本発明のエアロゾル発生物品で使用する均質化したたばこのシートは、当業界で周知の方法(例えば国際特許出願第WO2012/164009A2号で開示された方法)によって作られてもよい。
【0083】
一つの好ましい実施形態において、エアロゾル発生物品で使用する均質化したたばこ材料シートはキャスティングプロセスによって、粒子状たばこ、グアーガム、セルロース繊維およびグリセリンを含むスラリーから形成されている。
【0084】
上述の通り、均質化したたばこ材料シートの集合体の使用の代替として、エアロゾル発生基体は均質化したたばこ材料シートの複数の細片または断片で形成されうる。例えば、エアロゾル発生基体は、長軸方向に整列され、一緒にまとめて包まれてエアロゾル発生基体のロッドを形成する均質化したたばこ材料の複数の断片で形成されてもよい。
【0085】
均質化したたばこ材料の断片は、約10ミリメートル~約20ミリメートルの長さを有することが好ましく、約12ミリメートル~約18ミリメートルの長さを有することがより好ましく、約14ミリメートル~約16ミリメートルの長さを有することがより好ましく、約15ミリメートルの長さを有することがより好ましい。別の方法として、または追加的に、均質化したたばこ材料の断片は、約0.4ミリメートル~約0.8ミリメートルの幅を有することが好ましい。
【0086】
それから断片が形成される均質化したたばこ材料シートの密度は、約500~約1500ミリグラム/立方センチメートルであることが好ましく、約800~約1200ミリグラム/立方センチメートルであることがより好ましく、約900~約1100ミリグラム/立方センチメートルであることがより好ましく、約900~約970ミリグラム毎立方センチメートルであることが最も好ましい。
【0087】
エアロゾル発生基体内の均質化したたばこ材料の断片のかさ密度は、約0.4グラム/立方センチメートル~約0.8グラム/立方センチメートルであることが好ましく、約0.5グラム/立方センチメートル~約0.7グラム/立方センチメートルであることが好ましく、約0.65グラム/立方センチメートル~約0.67グラム/立方センチメートルであることが最も好ましい。
【0088】
上述のように、均質化したたばこ材料は、スラリーのキャストによって形成されうる。別の方法として、均質化したたばこ材料は、例えば、押出方法などの別の適切な方法によって形成されてもよい。
【0089】
エアロゾル発生基体は、ラッパーによって囲まれた均質化したたばこ材料のロッドを含むことが好ましく、ここでラッパーは均質化したたばこ材料の周りに、それと接触して提供される。ラッパーは、均質化したたばこ材料の周りに巻かれて、エアロゾル発生基体を形成する能力を有する任意の適切なシート材料から形成されうる。ラッパーは、多孔性であってもよく、非多孔性であってもよい。ラッパーは紙ラッパーであることが好ましいが、別の方法として、ラッパーは紙以外であってもよい。
【0090】
エアロゾル発生基体のロッドは、エアロゾル発生物品の外径にほぼ等しい外径を有することが好ましい。
【0091】
エアロゾル発生基体のロッドは、少なくとも5ミリメートルの外径を有することが好ましい。エアロゾル発生基体のロッドは、約5ミリメートル~およそ12ミリメートル、例えば約5ミリメートル~約10ミリメートル、または約6ミリメートル~約8ミリメートルの外径を有しうる。一つの好ましい実施形態において、エアロゾル発生基体のロッドは7.2ミリメートル±10パーセントの外径を有する。
【0092】
エアロゾル発生基体のロッドは、約7ミリメートル~約15ミリメートルの長さを有しうる。一つの実施形態において、エアロゾル発生基体のロッドは、約10ミリメートルの長さを有してもよい。一つの好ましい実施形態において、エアロゾル発生基体のロッドは、約12ミリメートルの長さを有する。
【0093】
エアロゾル発生基体のロッドは、ロッドの長さに沿って実質的に均一な断面を有することが好ましい。エアロゾル発生基体のロッドは、実質的に円形の断面を有することが特に好ましい。
【0094】
本発明によるエアロゾル発生物品は、エアロゾル発生基体のロッドおよび熱インジケータに加えて一つ以上の要素を含むことが好ましい。例えば、本発明によるエアロゾル発生物品は、マウスピース、エアロゾル冷却要素、および中空のアセテート管などの支持要素のうちの少なくとも一つをさらに備えうる。例えば、一つの好ましい実施形態において、エアロゾル発生物品は直線の連続的な配設で、上述の通りのエアロゾル発生基体のロッドと、エアロゾル形成基体のすぐ下流に位置する支持要素と、支持要素の下流に位置するエアロゾル冷却要素と、ロッド、支持要素およびエアロゾル冷却要素を囲む外側ラッパーとを備える。熱インジケータは、上述の通り、エアロゾル発生基体のロッドの周りの所定の位置および/または物品の周りの任意のその他の位置に提供されうる。
【0095】
本発明によるエアロゾル発生システムは、上記に詳細に記述される通り、喫煙中にエアロゾル発生物品の上流端を受け入れるように適合されたエアロゾル発生装置と組み合わせたエアロゾル発生物品を含む。エアロゾル発生装置は、使用中にエアロゾルを生成するためにエアロゾル発生基体を加熱するように構成された発熱体を含む。エアロゾル発生物品がエアロゾル発生装置の中へと挿入された時に、発熱体はエアロゾル発生基体を貫通するように適合されることが好ましい。例えば、発熱体はヒーターブレードの形態であることが好ましい。
【0096】
発熱体は使用中に、最大動作温度未満の、所定の動作温度範囲内で動作するように制御される。エアロゾル発生物品の熱インジケータは、発熱体が最大動作温度未満で動作するエアロゾル発生装置におけるエアロゾル発生物品の通常の使用中に閾値温度に到達しないように適合される。これにより、エアロゾル発生物品およびエアロゾル発生装置が一緒に使用された時に、熱インジケータが通常の使用中に起動されないことが確実になる。
【0097】
エアロゾル発生装置は、ハウジングと、発熱体に接続された電力供給源と、電源から発熱体への電力の供給を制御するように構成された制御要素とを追加的に含むことが好ましい。
【0098】
本発明のエアロゾル発生システムで使用する適切なエアロゾル発生装置は、国際特許公開公報第2013/098405号に記述されている。
【0099】
ここで、図を参照しながら本発明をさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【
図1】
図1は、本発明によるエアロゾル発生物品の斜視図を示す。
【
図2】
図2は、本発明の第一の実施形態による「起動された」熱インジケータを有するエアロゾル発生物品の斜視図を示す。
【
図3】
図3は、本発明の第二の実施形態による「起動された」熱インジケータを有するエアロゾル発生物品の斜視図を示す。
【
図4】
図4は、本発明の第三の実施形態による「起動された」熱インジケータを有するエアロゾル発生物品の斜視図を示す。
【
図5】
図5aおよび5bは、本発明による、エアロゾル発生装置およびエアロゾル発生物品を備えるエアロゾル発生システムの概略断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0101】
図面に示すエアロゾル発生物品10は、同軸に整列して配設された四つの要素、すなわちエアロゾル発生基体20のロッド、支持要素30、エアロゾル冷却要素40、およびマウスピース50を含む(
図5aおよび5bに示す)。四つの要素の各々は対応するプラグラップ(図示せず)によって囲まれている。これらの四つの要素は連続的に配置され、また外側ラッパー60によって囲まれて、エアロゾル発生物品10を形成する。エアロゾル発生10は、使用者が使用中に自分の口の中に挿入する近位端または口側端70と、口側端70に対してエアロゾル発生物品10の反対側の端に位置する遠位端80とを有する。
【0102】
使用においては、空気は、使用者によってエアロゾル発生物品を介して遠位端80から口側端70に吸い込まれる。エアロゾル発生物品の遠位端80はまた、エアロゾル発生物品10の上流端として記述されてもよく、エアロゾル発生物品10の口側端70はまた、エアロゾル発生物品10の下流端として記述されてもよい。口側端70と遠位端80の間に位置するエアロゾル発生物品10の要素を、口側端70の上流にあると記述することができ、または別の方法として、遠位端80の下流にあると記述することができる。
【0103】
支持要素30は定位置にあり、エアロゾル発生装置の発熱体がエアロゾル発生基体20の中へと挿入される時に、エアロゾル発生基体20がエアロゾル冷却要素40に向かってエアロゾル発生物品10内で下流に押し込まれるのを防止する。支持要素30はまた、エアロゾル発生物品10のエアロゾル冷却要素40がエアロゾル発生基体20から間隙を介するためのスペーサーとして作用する。
【0104】
エアロゾル冷却要素40は支持要素30のすぐ下流に位置する。使用時に、エアロゾル発生基体20から放出される揮発性物質は、エアロゾル発生物品10の口側端70に向かって、エアロゾル冷却要素40に沿って通過する。揮発性物質は、エアロゾル冷却要素40内で冷却されて、ユーザーが吸入するエアロゾルを形成してもよい。エアロゾル冷却要素は、ラッパー60によって囲まれたポリ乳酸の捲縮したシートの集合体を含む。ポリ乳酸の捲縮したシートの集合体は、エアロゾル冷却要素40の長さに沿って延びる複数の長軸方向経路を画定する。
【0105】
マウスピース50はエアロゾル冷却要素40のすぐ下流に位置し、エアロゾル冷却要素40に隣接する。マウスピース50は、低濾過効率の従来のセルロースアセテートトウフィルターを含む。
【0106】
エアロゾル発生物品10を組み立てるために、上述の四つの要素は外側ラッパー60内で整列され、しっかりと巻かれる。図面に図示した実施形態において、外側ラッパー60は従来の紙巻たばこ用紙を含む。エアロゾル発生物品10の外側ラッパー60の遠位端部分は、チッピングペーパーの帯によって取り囲まれる(図示せず)。
【0107】
エアロゾル発生基体20は、エアロゾル発生物品10の最遠の遠位端または上流端に位置する。
図5aおよび5bに図示した通り、エアロゾル発生基体20は、ラッパーによって囲まれた、捲縮した均質化したたばこ材料シートの集合体を含む。均質化したたばこ材料の捲縮したシートはエアロゾル形成体としてグリセリンを含む。
【0108】
熱インジケータ100は、外側ラッパー60の外表面上の位置に提供される。熱インジケータ100は、熱インジケータ100の温度が閾値温度を超えた時に視覚的変化を経るように構成されたサーモクロミック材料を含む。
【0109】
図1は、熱インジケータ100の起動前のエアロゾル発生物品の外側ラッパー60を示す。本明細書に記載の以下の実施形態では、熱インジケータ100は、「起動する」、または温度が閾値温度を超えた時に視覚的変化を経始めるまで見えない。
【0110】
図2は、熱インジケータ101の温度がサーモクロミック材料の閾値温度を超えた時の、第一の実施形態による熱インジケータ101の起動後の物品10を示す。この第一の実施形態では、熱インジケータは、エアロゾル発生基体20のロッドの周りに位置し、閾値温度は少なくとも約175℃である。第一の実施形態の物品10では、熱インジケータ101はエアロゾル発生基体20のロッドの全長に沿って長軸方向に延びる。しかしながら、第一の実施形態によるその他の配設では、熱インジケータ101は、エアロゾル発生基体のロッドに沿って長軸方向に部分的に延びてもよい。例えば、熱インジケータ101は、エアロゾル発生基体20のロッドの合計長さの少なくとも50%に延びてもよい。
【0111】
図3は、熱インジケータ102の温度が閾値温度を超えた時の、第二の実施形態による熱インジケータ102の起動後の物品10を示す。この第二の実施形態では、熱インジケータは、エアロゾル発生基体20のロッドの周りに部分的に位置する、または熱インジケータ102は、エアロゾル発生物品の外表面を完全には囲まない。熱インジケータ102の閾値温度は、少なくとも約175℃である。しかしながら、第二の実施形態による熱インジケータ102の閾値温度は、第一の実施形態による熱インジケータ101の閾値温度よりも高い可能性が高い。
【0112】
図4は、熱インジケータ103の温度が閾値温度を超えた時の、第三の実施形態による熱インジケータ103の起動後の物品10を示す。この第三の実施形態では、熱インジケータ103は、物品10の遠位端80から離れた、エアロゾル発生基体のロッドの下流の位置において物品10の周りに位置する。熱インジケータ103は、エアロゾル発生物品の外表面を部分的に囲んでもよく、またエアロゾル発生基体のロッドの一部分を囲んでもよい。熱インジケータ103の閾値温度は、少なくとも約115℃である。第三の実施形態の閾値温度は、エアロゾル発生基体20からの熱インジケータ103の相対距離に起因して、第一および第二の実施形態の閾値温度よりも低い場合がある。
【0113】
上記で詳細に説明するように、熱インジケータの視覚的変化は、物品10のユーザーに、物品10のエアロゾル発生基体20が、物品10が適合性のないエアロゾル発生装置で誤用されたため、または物品がエアロゾル発生基体20を過熱するよう誤作動している可能性のあるエアロゾル発生装置で使用されたため、のいずれかで過熱されていることを通知するよう構成されている。結果として、こうした物品10の誤用情報を伝達するために、熱インジケータ101、102、103の視覚的変化は、エアロゾル発生装置からの物品10の取り外しに伴い「消失」せず、基体20が冷却された時にユーザーに見えるままであるように、不可逆的であることが好ましい。
図2、3および4に示すように、不可逆的な視覚的変化は、無色から赤色への色変化、および警告メッセージまたはグラフィカル表現の出現を含む。
【0114】
上記図面中のエアロゾル発生物品は、ユーザーによって消費されるための発熱体を含むエアロゾル発生装置と係合するように設計されている。使用時に、エアロゾル発生装置の発熱体は、エアロゾルを形成するのに十分な温度までエアロゾル発生物品のエアロゾル発生基体を加熱し、このエアロゾルがエアロゾル発生物品を介して下流に引き出され、ユーザーによって吸入される。
【0115】
図5aおよび5bは、上述し、上述図面に示す実施形態のいずれかによる、エアロゾル発生装置510およびエアロゾル発生物品10を備えるエアロゾル発生システム500を図示する。当然のことながら、エアロゾル発生装置510は、本発明による代替的なエアロゾル発生物品と組み合わせて使用されうる。
【0116】
エアロゾル発生装置510は発熱体520を含む。
図5aおよび5bに示す通り、発熱体520は、エアロゾル発生装置510のエアロゾル発生物品受け入れチャンバー515内に取り付けられている。使用時、ユーザーは、
図5bに示す通り発熱体520がエアロゾル発生物品10のエアロゾル発生基体20の中に直接挿入されるように、エアロゾル発生装置510のエアロゾル発生物品受け入れチャンバー515の中にエアロゾル発生物品10を挿入する。
図5aおよび5bに示した実施形態において、エアロゾル発生装置510の発熱体520は、ヒーターブレードである。
【0117】
エアロゾル発生装置510は、発熱体520を作動させることができる電源および電子機器(図示せず)を含む。このような起動は手動で行われてもよく、またはエアロゾル発生装置510のエアロゾル発生物品受け入れチャンバーの中に挿入されるエアロゾル発生物品10でのユーザーの吸い込みに応答して自動的に起こりうる。複数の開口部(図示せず)は、エアロゾル発生装置510に提供されて空気がエアロゾル発生物品10に流れるのを可能にしうる。
【0118】
内部発熱体520がエアロゾル発生物品10のエアロゾル発生基体20の中に挿入され、発熱体520が作動すると、エアロゾル発生物品10のエアロゾル発生基体20は、エアロゾル発生装置510の発熱体520によっておよそ350℃の温度に加熱される。この温度で揮発性化合物は、エアロゾル発生物品10のエアロゾル発生基体20から発生される。使用者がエアロゾル発生物品10の口側端70で吸い込むにつれ、エアロゾル発生基体20から発生された揮発性化合物は、エアロゾル発生物品10を介して下流に引き出されて凝縮し、エアロゾル発生物品10のマウスピース50を通って使用者の口の中に引き出されたエアロゾルを形成する。
【0119】
エアロゾルがエアロゾル冷却要素40を下流へと通過するにつれ、エアロゾルの温度は、エアロゾルからエアロゾル冷却要素40への熱エネルギーの伝達のため低下する。エアロゾルがエアロゾル冷却要素40に入る時、その温度はおよそ60℃である。エアロゾル冷却要素40内の冷却により、エアロゾル冷却要素を出る際のエアロゾルの温度はおよそ40℃である。
【0120】
図5aおよび5bにおいて、エアロゾル発生装置510の発熱体520は、簡略化された方法で示されている。特に、エアロゾル発生装置510の発熱体520は、
図5aおよび5bでは等尺度では表示されていない。実施形態の理解に関連しない構成要素は省略して
図5aおよび5bを簡略化した。
【0121】
図5aおよび5bに示す通り、エアロゾル発生装置510はハウジング530を含む。発熱体520は、ハウジング530内のエアロゾル発生物品受け入れチャンバー内に取り付けられている。発熱体520がエアロゾル発生物品10のエアロゾル発生基体20の中に直接挿入されるように、エアロゾル発生装置510のハウジング530内のエアロゾル発生物品受け入れチャンバー515の中にエアロゾル発生物品10を挿入する。
【0122】
ハウジング530内には、電気エネルギー供給源(図示せず)、例えば再充電可能リチウムイオン電池がある。コントローラ(図示せず)は、発熱体520、電気エネルギー供給源、およびユーザーインタフェース(図示せず)、例えばボタンまたはディスプレイに接続される。エアロゾル発生装置のコントローラは、その温度を調節するために発熱体520に供給される電力を制御する。
【0123】
図5aおよび5bに示した適合性のあるエアロゾル発生装置510を有する本発明によるエアロゾル発生物品の通常の使用の間、エアロゾル発生物品の熱インジケータは、適合性のあるエアロゾル発生装置での物品の使用、そのためエアロゾル発生基体において過熱が生じていないことに起因して、「起動していない」ままである。
【0124】
本発明によるエアロゾル発生物品が適合性のない装置で使用され、好ましい最大動作温度を超えて過熱された場合、熱インジケータが「起動」し、熱インジケータの所定の閾値温度に到達するのに伴い、視覚的変化を経る。エアロゾル発生装置から物品が取り外されるのに伴い、ユーザーは、物品の熱インジケータが「起動している」ことを見たときに、物品の誤用を知る。
【0125】
このように、本発明のエアロゾル発生物品の中へと熱インジケータを組み込むことは、適合性のない装置での意図しない様式でのエアロゾル発生物品の使用および/または不良または誤作動している適合性のある装置での使用から消費者を保護する効果的な手段を提供する。