(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-22
(45)【発行日】2024-01-05
(54)【発明の名称】ポリマーからなる前部層と複合材料からなる後部層を含む軽量かつフレキシブルな太陽電池モジュール
(51)【国際特許分類】
H01L 31/048 20140101AFI20231225BHJP
【FI】
H01L31/04 560
(21)【出願番号】P 2020564166
(86)(22)【出願日】2019-05-16
(86)【国際出願番号】 FR2019051114
(87)【国際公開番号】W WO2019224458
(87)【国際公開日】2019-11-28
【審査請求日】2022-04-22
(32)【優先日】2018-05-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】502124444
【氏名又は名称】コミッサリア ア レネルジー アトミーク エ オ ゼネルジ ザルタナテイヴ
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】ゴーム,ジュリアン
(72)【発明者】
【氏名】ゲラン,トマ
(72)【発明者】
【氏名】ヴェスケッティ,ヤニック
【審査官】吉岡 一也
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/091068(WO,A1)
【文献】特開2004-047499(JP,A)
【文献】国際公開第2011/158898(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第105322039(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/04-31/056
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下を含む太陽電池モジュール(1)であって:
- 光束を受け取るための、太陽電池モジュール(1)の前面を形成する透明な第1の層(2);
- 並べて配置され、互いに電気的に接続された複数の太陽電池(4);
- 複数の太陽電池(4)を封入する封入材アセンブリ(3);
- 第2の層(5)[第1の層(2)と第2の層(5)の間に封入材アセンブリ(3)と複数の太陽電池(4)が配置されている];
- 太陽電池モジュール(1)の背面を形成する追加の層(10);
第1の層(2)は、少なくとも1つのポリマー材料を含み、厚さ(e2)は50μm未満であり、
第2の層(5)は、追加の層(10)と封入材アセンブリ(3)の間に配置され、
さらに、第2の層(5)は、少なくとも1つのポリマー樹脂及び繊維ベースのプリプレグ型の複合材料を含み、単位面積当たりの重量は150g/m
2未満であり、
ポリマーがポリエステル、エポキシ及び/又はアクリルから選択され、繊維がガラス、炭素及び/又はアラミド繊維から選択され、
さらに、封入材アセンブリ(3)の最大厚さ(e3)は150μm未満であり、
さらに、追加の層(10)は、太陽電池モジュール(1)の前面を形成する第1の層(2)を形成するものと同じ材料からなっており、
さらに、追加の層(10)は、第1の層(2)の厚さ以下の厚さであることを特徴とする、太陽電池モジュール(1)。
【請求項2】
少なくとも1つのプリプレグ型の複合材料が、30~70質量%のポリマー樹脂含浸率を有することを特徴とする、請求項1に記載のモジュール。
【請求項3】
第2の層(5)が不連続であ
ることを特徴とする、請求項1又は2に記載のモジュール。
【請求項4】
第2の層(5)が、1つ以上の太陽電池(4)で形成された1つ以上の穴(9)を含むことを特徴とする、請求項3に記載のモジュール。
【請求項5】
第1の層(2)の少なくとも1つのポリマー材料が、以下から選択されることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載のモジュール:
ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド(PA)、
及び/又はフッ素化ポリマ
ー。
【請求項6】
単位面積当たりの重量が1kg/m
2未
満であることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載のモジュール。
【請求項7】
封入材アセンブリ(3)が、20μm~100μ
mの最大厚さ(e3)を有することを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載のモジュール。
【請求項8】
封入材アセンブリ(3)が、以下から選択される少なくとも1つのポリマー類の封入材料を含む少なくとも1つの層によって形成されることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載のモジュール:
酸共重合体、イオノマー、ポリ(エチレン-酢酸ビニル)(EVA)、ビニルアセタール
、ポリウレタン、塩化ポリビニル、ポリエチレン
、コポリマーエラストマーポリオレフィン、α-オレフィン及びα、β-エチレン性カルボン酸エステルコポリマー
、シリコーンエラストマー及び/又はエポキシ樹脂。
【請求項9】
太陽電池(4)が、以下から選択されることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載のモジュール:
単結晶(c-Si)及び/又は多結晶(mc-Si)ベースのホモ接合又はヘテロ接合太陽電池;及び/又はIBC型の太陽電池;及び/又はアモルファスシリコン(a-Si)、微結晶シリコン(μC-Si)、テルル化カドミウム(CdTe)、セレン化銅-インジウム(CIS)及び二セレン化銅-インジウム/ガリウム(CIGS)からの少なくとも1つの材料を含む太陽電池。
【請求項10】
太陽電池(4)が、1~300μ
mの厚さを有することを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載のモジュール。
【請求項11】
追加の層(10)が、太陽電池モジュール(1)の前面を形成する第1の層(2)と同じ材料からなり、当該材料がエチレンクロロトリフルオロエチレン(ECTFE)であることを特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載のモジュール。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載の太陽電池モジュール(1)の製造方法であって、少なくとも10分間
の積層サイクルの時間周期の間の130℃~170
℃の温度における太陽電池モジュール(1)の構成層(2、3、4、5)の熱積層工程を含むことを特徴とする、製造方法
。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、互いに電気的に接続された太陽電池のアセンブリ、及び優先的にはいわゆる「結晶」、すなわち単結晶又は多結晶シリコンベースの太陽電池を含む太陽電池モジュールの分野に関する。
【0002】
本発明は、多くの用途に実施することができる。例えば、独立型の及び/又は搭載型の用途、特にフレキシブルでガラスを含まない超軽量の太陽電池モジュール(特に単位面積当たりの重量が、1kg/m2未満、特に800g/m2未満、又は600g/m2未満であり、厚みが薄く、特に1mm未満である)の使用を必要とする用途に関係する。したがって、特に、住宅や産業施設(第3次、商業、・・・)などの建物、例えばそれらの屋根の作製、街路に設置される公共物の設計(例えば公共照明、道路標識、もしくは電気自動車の充電)のために、又はノマド用途、特に車、バス、ボートに組み込まれて、適用できる。
【0003】
したがって、本発明は、モジュールの前面を形成するポリマー材料の第1の層、及び複合材料の第2の層を含む超軽量でフレキシブルな太陽電池モジュール、並びにその太陽電池モジュールの製造方法を提供する。
【背景技術】
【0004】
太陽電池モジュールは、太陽電池モジュールの前面を形成する第1の透明層と太陽電池モジュールの背面を形成する第2の層の間に並べて配置された太陽電池のアセンブリである。
【0005】
太陽電池モジュールの前面を形成する第1の層は、有利には、太陽電池が光束を受け取ることを可能にするために透明である。それは慣習的に単一のガラス板でできており、厚さは一般に2~4mmであり、通常は3mm程度である。
【0006】
太陽電池モジュールの背面を形成する第2の層は、特に、ガラス、金属、又はプラスチックをベースに順番に作製することができる。多くの場合、電気絶縁ポリマー、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)又はポリアミド(PA)類をベースとするポリマー構造によって形成され、ポリフッ化ビニル(PVF)又はポリフッ化ビニリデン(PVDF)などのフッ素化ポリマーをベースとする1つ以上の層で保護することができる。厚さは400μm程度である。
【0007】
太陽電池は、接続ケーブルと呼ばれる前面及び背面の電気接触要素によって互いに電気的に接続することができる。例えば、各太陽電池の前面(光束を受け取るための太陽電池モジュールの前面に面する面)と背面(太陽電池モジュールの背面に面する面)に対して、又はIBC(交差指型背面接触)型の太陽電池の背面のみに、それぞれ配置されたスズめっき銅ストリップによって形成される。
【0008】
なお、IBC(交差指型背面接触)型の太陽電池は、電池の背面に交差指型櫛の形で接触する構造である。それらは、例えば、特許文献1に記載されている。
【0009】
さらに、それぞれ太陽電池モジュールの前面及び背面を形成する第1の層と第2の層の間に配置された太陽電池を封入することができる。従来、選択された封入材はエラストマー型のポリマー(又はゴム)に対応し、例えば、2つのポリ(エチレン-酢酸ビニル)(EVA)層(又はフィルム)を使用することで構成でき、その間に太陽電池と電池の接続ケーブルが配置される。各封入材層の厚さは少なくとも0.2mmで、ヤング率は通常、室温で2~400MPaであってもよい。
【0010】
結晶性太陽電池4を含む太陽電池モジュール1の従来の例は、
図1の断面図及び
図2の分解組立図にそれぞれ部分的に概略的に示される。
【0011】
前述のように、太陽電池モジュール1は、一般に厚さ約3mmの透明な強化ガラスでできている前面2と、例えば、室温で400MPaを超えるヤング率の不透明又は透明の単層又は多層ポリマーシートからなる背面5を含む。
【0012】
太陽電池4は、太陽電池モジュール1の前面2と背面5の間に配置され、ケーブル6を接続することによって互いに電気的に接続され、前部3aと後部3bの2つの封入材料層(両者は封入材アセンブリ3を形成する)の間に浸漬される。
【0013】
さらに
図1Aは、太陽電池4がIBC型であり、接続ケーブル6が太陽電池4の背面に対してのみ配置されている、
図1の例の別の実施形態を表す。
【0014】
さらに
図1及び2は、モジュールを操作するために必要な配線を中に入れるための、太陽電池モジュール1の接続箱7も表す。従来、この接続箱7はプラスチック又はゴムでできており、完全に不透過性である。
【0015】
通常、太陽電池モジュール1の製造方法は、いわゆる真空積層工程を含み、前述の様々な層を120℃以上、又は140℃以上、又は150℃以上、且つ、170℃以下の温度、通常は145~160℃で、少なくとも10分、又は15分の積層サイクルの時間周期で真空積層する。
【0016】
この積層工程の間、封入材料層3a及び3bが溶融し、太陽電池4を埋め込むと同時に、層間の全ての界面(すなわち、前面2と封入材料前面層3aの間、封入材料層3aと太陽電池4の前面4aの間、太陽電池4の背面4bと封入材料背面層3bの間、及び、封入材料背面層3bと太陽電池モジュール1の背面5の間)で接着が生成される。次に、得られた太陽電池モジュール1は、通常、アルミニウム形材によって組み立てられる。
【0017】
この構造は、厚いガラスの前面2とアルミニウム枠を使用することにより、特にほとんどの場合、IEC61215及びIEC61730標準に準拠できるようになり、大きい機械的強度を有する規格となった。
【0018】
それにもかかわらず、従来技術の従来の設計によるその太陽電池モジュール1は相当に重く、特に単位面積当たりの重量が約12kg/m2であるという欠点を有し、それにより、軽量が優先されるいくつかの用途には適合しない。
【0019】
太陽電池モジュール1のこの重い重量は、主に、前面2を形成するための約3mmの厚さの厚いガラスとアルミニウム枠の存在によるものであり、ガラスの密度は実際に高く、2.5kg/m2/mm程度である。製造時の圧力に耐えられるように、また安全上の理由から、例えば切断のリスクのために、ガラスは強化されている。しかし、熱焼戻しの産業インフラは、少なくとも3mmの厚さのガラスを処理するように設定されている。さらに、約3mmのガラス厚を選択することは、5.4kPaの標準圧力における機械的強度にも関係する。最後に、ガラス自体が太陽電池モジュール1の重量の約70%を占め、太陽電池モジュール1の周囲のアルミニウム枠と共に80%以上を占めている。
【0020】
すなわち、太陽電池モジュールの重量を大幅に減らして、軽量性及び成形性の観点から、新しくて要求の厳しい用途における使用を可能にするために、モジュールの前面に厚いガラスを使用することの代替解決策が必要である。したがって、課題の1つは、単位面積当たりの重量を大幅に減らすことを主な目的として、通常の構造と実施方法を維持しながら、ガラスの前面を新しいプラスチック材料に置き換えることである。
【0021】
結果として、ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、エチレンクロロトリフルオロエチレン(ECTFE)、又はフッ化エチレンプロピレン(FEP)などのポリマーシートをガラスの代替品にすることができる。しかしながら、ガラスをそのような薄いポリマーシートで置き換えることのみが意図される場合、太陽電池は、衝撃及び機械的負荷を非常に受けやすくなる。
【0022】
太陽電池モジュールの前面のガラスを交換することは、先行技術におけるいくつかの特許又は特許出願の対象であった。したがって、この点で、特許文献2、特許文献3、又は特許文献4、及び特許文献5に言及することができる。
【0023】
得られた軽量でフレキシブルな太陽電池モジュールは、単位面積当たりの重量が通常6kg/m2以下であり、前面に厚いガラスを使用して従来製造されていた太陽電池モジュールよりもはるかに軽量である。ただし、単位面積当たりの重量が1kg/m2未満になることはめったにない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0024】
【文献】米国特許第4478879号明細書
【文献】仏国特許出願公開第2955051号明細書
【文献】米国特許出願公開第2005/0178428号明細書
【文献】国際公開第2008/019229号
【文献】国際公開第2012/140585号
【発明の概要】
【0025】
このように、衝撃や機械的負荷に耐えることができる十分な機械的特性を有し、特にIEC61215及びIEC61730標準に準拠しながら、いくつかの用途に適応するために、フレキシブル性と超軽量を提供する太陽電池モジュールの代替解決策を設計する必要がある。
【0026】
したがって、本発明の目的は、先行技術の実施形態に関連する前述の必要性及び欠点を少なくとも部分的に克服することである。
【0027】
本発明の1つの目的は、その態様の1つによれば、以下を含む太陽電池モジュールである:
-光束を受け取るための、太陽電池モジュールの前面を形成する第1の透明層、
-並べて配置され、互いに電気的に接続された複数の太陽電池、
-複数の太陽電池を封入するアセンブリ、
-第2の層(第1の層と第2の層の間に封入材アセンブリと複数の太陽電池が配置されている)。
【0028】
第1の層は、少なくとも1つのポリマー材料を含み、50μmよりも薄く、有利には5μm~25μmの厚さを有する。それは、有利には、前記少なくとも1つのポリマー材料からなる。
【0029】
さらに、第2の層は、少なくとも1つのポリマー樹脂及び繊維ベースのプリプレグ型の複合材料を含み、単位面積当たりの重量が150g/m2未満であり、有利には50g/m2~115g/m2である。それは、例えば、前記少なくとも1つの複合材料からなることができる。
【0030】
さらに、封入材アセンブリの最大厚さは150μm未満である。
【0031】
太陽電池モジュールは、太陽電池モジュールの背面を形成する追加の層をさらに含むことができ、第2の層は、追加の層と封入材アセンブリの間に配置される。
【0032】
追加の層は、太陽電池モジュールの前面を形成する第1の層を形成するものと同じ材料からなっていてもよく、この材料は、優先的に、Halar(商標)としても知られるエチレンクロロトリフルオロエチレン(ECTFE)である。
【0033】
好ましくは、追加の層は、第1の層の厚さ以下の厚さであってもよい。
【0034】
追加の層は、有利には、モジュールを誘電的に絶縁することを可能にできる。
【0035】
したがって、有利には、本発明の本質は、特に、従来の太陽電池モジュールで通常使用される約3mmの厚さの標準的な厚いガラスを、ポリマー材料のより薄い第1の層で置き換えること、及び太陽電池モジュールの背面を修正し、ポリマー/繊維のプリプレグ型の複合材料の存在を提供することの両方にある。
【0036】
なお、太陽電池モジュールの第1の層及び/又は第2の層は、1つ以上の部分で形成することができる。すなわち、それらは、単層であっても、多層であってもよい。
【0037】
「透明」という用語は、太陽電池モジュールの前面を形成する第1の層の材料が、可視光に対して少なくとも部分的に透明であり、この光の少なくとも約80%が通過できることを意味する。
【0038】
さらに、「封入する(encapsulating)」又は「封入された(encapsulated)」によって、複数の太陽電池がひとつの塊に配置され、例えば、液体に対して密閉され、少なくとも部分的に少なくとも2つの封入材料層によって形成され、積層後に互いに結合して封入材アセンブリを形成することが理解されるべきである。
【0039】
実際、最初は、それはあらゆる積層工程の前にある。封入材アセンブリは、コア層と呼ばれる少なくとも2つの封入材料層からなり、それらの間に複数の太陽電池が封入される。しかしながら、層を積層する工程中に封入材料の層が溶融して、積層工程後に太陽電池が埋め込まれるただ1つの固化層(又はアセンブリ)を形成する。
【0040】
したがって、本発明によって、新しい型の超軽量でフレキシブルな太陽電池モジュールを得ることが可能となる。さらに、厚さが50μm未満のポリマーの前面を使用することにより、本発明の太陽電池モジュールは、電気的性能を標準モジュールと同じか、又はそれよりもさらに良好に保つ。さらに、ポリマー/繊維プリプレグ複合材料の背面を使用することにより、本発明による太陽電池モジュールは、優れた機械的及び熱機械的特性を有し、曲げ応力を受けた太陽電池を劣化させることなく柔軟性を維持する。特に、電池を劣化させることなく、約50cm、場合によっては20cmの曲率半径に対応できる。さらに、特にその構成要素の厚さを減少させることにより、本発明による太陽電池モジュールは、定義上、超軽量とされ、求められる単位面積当たりの重量である1kg/m2未満、特に800g/m2未満、より具体的には600g/m2未満を達成することを可能にできる。
【0041】
本発明による太陽電池モジュールは、単独で、又は任意の可能な技術的組み合わせによって、以下の特性の1つ以上をさらに含むことができる。
【0042】
第2の層は、太陽電池モジュールの背面を形成できる。しかしながら、それはまた、封入材アセンブリと少なくとも1つのさらなる層、例えば保護層との間に置くことができ、それによってモジュールの背面を形成する。
【0043】
特に第2の層の厚さは50μm~80μmであってもよい。
【0044】
太陽電池モジュールの機械的特性を維持しながら、この層に関する単位面積当たりの重量をさらに減少させるために、第2の層を不連続とすることができる。特に、第2の層は、特に1つ以上の太陽電池で形成された1つ以上のストック除去部分に特に対応する1つ以上の穴を含むことができる。不連続性の場合、第2の層の総表面被覆率は優先的に30%を超える。
【0045】
前記少なくとも1つのプリプレグ型の複合材料は、30~70質量%のポリマー樹脂含浸率を含むことができる。
【0046】
第2の層の前記少なくとも1つの複合材料は、ポリマー樹脂及び繊維ベースのプリプレグであってもよく、特にポリマーは、ポリエステル、エポキシ及び/又はアクリルから選択され、特に繊維は、ガラス、炭素及び/又はアラミド繊維から選択される。
【0047】
第1の層の前記少なくとも1つのポリマー材料は以下から選択できる:ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド(PA)、フッ素化ポリマー、特にポリフッ化ビニル(PVF)もしくはポリフッ化ビニリデン(PVDF)、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、エチレンクロロトリフルオロエチレン(ECTFE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、及び/又はフッ化エチレンプロピレン(FEP)。
【0048】
さらに、太陽電池モジュールは、有利には、単位面積当たりの重量が1kg/m2未満、特に800g/m2未満であり、また特に600g/m2未満である。
【0049】
さらに、封入材アセンブリは、最大厚さが20μm~100μm、好ましくは50μm~75μmであってもよい。
【0050】
封入材アセンブリは、特に以下から選択される少なくとも1つのポリマー類の封入材料を含む少なくとも1つの層によって形成することができる:酸共重合体、イオノマー、ポリ(エチレン-酢酸ビニル)(EVA)、ビニルアセタール(ポリビニルブチラール(PVB)など)、ポリウレタン、塩化ポリビニル、ポリエチレン(低密度線状ポリエチレンなど)、コポリマーエラストマーポリオレフィン、α-オレフィン及びα、β-エチレン性カルボン酸エステルコポリマー(エチレン-メチルアクリレートコポリマー及びエチレン-ブチルアクリレートコポリマーなど)、シリコーンエラストマー及び/又はエポキシ樹脂。
【0051】
好ましくは、封入材アセンブリは、2層のポリマー材料、特に2層のイオノマーから作製することができる。そのヤング率は、ポリ(エチレン-酢酸ビニル)(EVA)のヤング率よりもはるかに大きいが、常に室温で2~400MPaであり、より良い機械的特性を可能にする。それらの間に太陽電池が配置され、各層の厚さは75μm未満、好ましくは50μm未満である。
【0052】
特に、太陽電池は以下から選択できる:単結晶(c-Si)及び/又は多結晶(mc-Si)ベースのホモ接合又はヘテロ接合太陽電池;及び/又はIBC(交差指型背面接触)型の太陽電池;及び/又はアモルファスシリコン(a-Si)、微結晶シリコン(μC-Si)、テルル化カドミウム(CdTe)、セレン化銅-インジウム(CIS)及び二セレン化銅-インジウム/ガリウム(CIGS)からの少なくとも1つの材料を含む太陽電池。
【0053】
さらに、太陽電池は、1~300μm、特に1~200μm、また有利には70μm~160μmの厚さを有することができる。
【0054】
太陽電池モジュールは、太陽電池モジュールを操作するために必要な配線を中に入れるための接続箱をさらに含むことができる。
【0055】
さらに、2つの近接する又は連続する又は隣接する太陽電池間の間隔は、1mm以上、特に1~30mm、好ましくは2mmにすることができる。
【0056】
さらに、太陽電池の相互接続ストリップの厚さ、及び電池のストリングを相互接続するために使用されるものは、積層方法及び封入材の厚みの薄さに対応するように適合される。例えば、前面と背面が接触した電池の場合、その電池の相互接続ストリップの厚さは、標準モジュールで使用されるストリップの厚さと比較して、有利には、少なくとも50%減少する。その電池の相互接続ストリップは、100μm未満の厚さと3mm未満の幅とすることができる。ストリップを相互接続するストリングについては、有利には、厚さは200μm未満であり、幅は5mm未満である。
【0057】
さらに、太陽電池モジュールは、太陽電池の積層の内部にバイパスダイオードなどの電子部品を含むことができる。
【0058】
さらに、本発明の別の態様によると、本発明のさらなる1つの目的は、前述に定義された太陽電池モジュールの製造方法であって、少なくとも10分間の、特に10~20分間の積層サイクルの時間周期の間の130℃~170℃、特に150℃程度の温度における太陽電池モジュールの構成層の熱積層工程を含むことを特徴とする。
【0059】
さらに、この方法は、太陽電池モジュールの構成層を2つの付着防止減衰層の間に積層する工程を含むことができる。
【0060】
本発明による太陽電池モジュール及び製造方法は、単独で、又は他の特性との技術的に可能な任意の組み合わせによって、前述の特性のいずれかを含むことができる。
【0061】
本発明は、その非限定的な例の以下の詳細な説明を読むこと、並びに添付の図面の概略図及び部分図を検討することにより、よりよく理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【
図1】
図1は、結晶性太陽電池を含む太陽電池モジュールの従来の例を表す断面図である。
図1Aは、太陽電池がIBC型である
図1の例の別の実施形態を表す。
【
図2】
図2は、
図1の太陽電池モジュールを表す分解組立図である。
【
図3】
図3は、本発明による太陽電池モジュールの実施形態の例を示す断面分解組立図である。
【
図4】
図4は、モジュールを製造する工程中の本発明による太陽電池モジュールの構成を示す断面分解組立図である。
【
図5】
図5は、本発明による太陽電池モジュールの第2の層の別の実施形態を示す部分底面図である。
【
図6】
図6は、本発明による
図3の太陽電池モジュールの別の実施形態を示す断面分解組立図である。
【0063】
これらの図の全体を通して、同一の参照は同一又は類似の要素に言及できる。
【0064】
さらに、図に示されている様々な部分は、図を読みやすくするために、必ずしも均一な縮尺で描かれているわけではない。
【発明を実施するための形態】
【0065】
図1及び2は、背景技術に関連する箇所において、すでに説明されている。
【0066】
図3及び4は、本発明による太陽電池モジュール1の実施形態を断面図及び分解組立図で示す。
【0067】
ここでは、溶接されたスズめっき銅ストリップによって相互接続された太陽電池4は「結晶」電池である(すなわち、単結晶又は多結晶シリコンを含み、厚さは1~250μmである)と見なされる。
【0068】
さらに、封入材アセンブリ3は、その間に太陽電池4が配置された2層のイオノマーから作製されるように選択される。各層は、50μm未満の厚さである。
【0069】
有利には、本発明は、単位面積当たりの重量が1kg/m2未満であり、優先的には、0.8kg/m2、又は0.6kg/m2である超軽量の太陽電池モジュール1を得るために、太陽電池モジュール1の前面及び背面を形成する材料に特定の選択を提供する。
【0070】
当然に、これらの選択は決して制限するものではない。
【0071】
最初に、本発明による太陽電池モジュール1の実施形態の例を断面分解組立図に示す
図3を参照する。
【0072】
なお、
図3は本発明による方法の積層工程の前の太陽電池モジュール1の分解組立図に対応する。一旦、積層工程が実行され、高温真空プレスが確実に行われると、実際に、様々な層が互いに重ね合わされる。
【0073】
これにより太陽電池モジュール1は、太陽電池モジュール1の前面を形成し、光束を受け取るための、50μm未満の厚さe2を有する少なくとも1つのポリマー材料のフィルムの第1の層2と、互いに電気的に接続され、並べて配置される複数の太陽電池4と、複数の太陽電池4を封入するアセンブリ3を含む。
【0074】
第1の層2のポリマー材料は以下から選択することができる:ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド(PA)、フッ素化ポリマー、特にポリフッ化ビニル(PVF)又はポリフッ化ビニリデン(PVDF))、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、エチレンクロロトリフルオロエチレン(ECTFE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)及び/又はフッ化エチレンプロピレン(FEP)。
【0075】
また、従来の太陽電池モジュールの背面は、慣例的に、厚さ300μm程度のTedlar(商標)/ポリエチレンテレフタレート(PET)/Tedlar(又はTPT)型のポリマー多層スタックで構成されていたが、太陽電池モジュール1は、太陽電池モジュール1の背面を形成する第2の層5を含む。これは、ポリマー/連続繊維プリプレグ型の複合材料からなり、ベース重量の合計は150g/m2未満である。さらに、プリプレグの横糸の厚みは50μm未満であり、ポリマー樹脂の含浸率は30~70質量%である。
【0076】
第2の層5の複合材料は、ポリマー樹脂及び繊維ベースのプリプレグであってもよく、ポリマーは、ポリエステル、エポキシ及び/又はアクリルから選択され、繊維は、ガラス、炭素及び/又はアラミド繊維から選択される。
【0077】
第2の層5は、50μm~80μmの厚さe5を有することができる。
【0078】
さらに、封入材アセンブリ3は、150μm未満、優先的には20~100μmである全厚みe3を有する。
【0079】
封入材アセンブリ3は、以下から選択される少なくとも1つのポリマー材料から作製することができる:酸共重合体、イオノマー、ポリ(エチレン-酢酸ビニル)(EVA)、ビニルアセタール(ポリビニルブチラール(PVB)など)、ポリウレタン、塩化ポリビニル、ポリエチレン(低密度線状ポリエチレンなど)、コポリマーエラストマーポリオレフィン、α-オレフィン及びα、β-エチレン性カルボン酸エステルコポリマー(エチレン-メチルアクリレートコポリマー及びエチレン-ブチルアクリレートコポリマーなど)、シリコーンエラストマー及び/又はエポキシ樹脂。それは、特に2つのポリマー層3a及び3b、特に2つのポリ(エチレン-酢酸ビニル)(EVA)層から作製することができ、その間に太陽電池4が配置される。各層3a、3bは、50μm未満の厚さe3a、e3bを有することができる。
【0080】
さらに、太陽電池4は、以下から選択することができる:単結晶(c-Si)及び/又は多結晶(mc-Si)ベースのホモ接合又はヘテロ接合太陽電池;及び/又はIBC型の太陽電池;及び/又はアモルファスシリコン(a-Si)、微結晶シリコン(μC-Si)、テルル化カドミウム(CdTe)、セレン化銅-インジウム(CIS)及び二セレン化銅-インジウム/ガリウム(CIGS)からの少なくとも1つの材料を含む太陽電池。それらの厚さは1~300μm、特に1~200μmである。
【0081】
電池モジュール1の製造は、130℃~170℃の温度で、特に150℃程度で、少なくとも10分、特に10分~20分の積層サイクルの時間周期の間、熱積層の単一工程で実施される。構成層2、3、4、5は、太陽電池モジュール1のスタックを形成する。
【0082】
しかしながら、封入材アセンブリ3の厚みが薄いことを考慮すると、プレス工程中の太陽電池の破損(この破損は、太陽電池4上の銅ストリップの過度の厚さに関連する)を回避するために、このスタックを2枚の付着防止減衰シートの間に積層できること、熱積層法に適合することが望ましい。
【0083】
すなわち、
図4は、太陽電池モジュール1の
図3の構成に類似しているが、太陽電池4の破損を回避するために、スタックのいずれかの側に2つの付着防止減衰層8が存在する構成を表す。
【0084】
さらに、
図5は、部分底面図において、本発明による太陽電池モジュール1の第2の層5の別の実施形態を示している。
【0085】
この別の実施形態は、プリプレグとしての第2の層5が不連続であるため、太陽電池モジュール1の機械的特性を維持しながら、この層5に関連する単位面積当たりの重量をさらに減少できるという事実を示す。
【0086】
したがって、第2の層5は、太陽電池4に位置する穴9を形成するストック除去部分を含む。このストック除去は、点線で表される太陽電池4の下で行われ、これらの電池4によって機械的強度がすでに確保されているゾーンに対応する。換言すると、第2の層5によって形成されたプリプレグの材料は、電池4の下で除去されるが、電池4の間及び層5の端に保持される。
【実施例】
【0087】
次に、本発明による太陽電池モジュール1の特定の実施形態A及びBの2つの実施例を説明する。
【0088】
実施例AとBはどちらも同じ封入材料を用いて作られているが、太陽電池が異なる:
第1の実施例Aでは、太陽電池4は、115μm程度の厚さの24個のアモルファス単結晶シリコンベースのヘテロ接合電池を含む。
第2の実施例Bでは、太陽電池4は、160μm程度の厚さの30個のIBC型電池を含む。
【0089】
さらに、これら2つの実施例A及びBでは、構成層は以下の層である:
前面を形成する第1の層2は、Rayotec社のECT 025型のエチレンクロロトリフルオロエチレン(ECTFE)フィルムで、厚さは25μm程度である。
【0090】
封入材層3a及び3bは、Juraplast社が販売するJurasol(商品名)シリーズから得られたイオノマーのフィルムであり、厚さは50μm程度である。
【0091】
背面を形成する第2の層5は、Hexcel社のHexply M77(商品名)などのエポキシ樹脂含浸ガラス布型のプリプレグ複合フィルムである。
【0092】
実施例A及びBのそれぞれについて、太陽電池モジュールは単一の高温真空積層工程で実施される。この工程の間に、所望の機械的特性を得るために、第2の層5によって形成された背面を適切に硬化させることが望ましい。したがって、熱積層プログラムは、視覚的な欠陥や太陽電池の破損なしに複合材料の十分な硬化を得るために最適化されている(温度、圧力、時間周期など)。この架橋は、微分走査熱量測定(DSC)を使用したガラス転移の測定によって確認される。
【0093】
さらに、
図4を参照して前述したように、太陽電池4の破損を回避するために、太陽電池モジュール1は、0.50mm程度の厚さの2枚の付着防止減衰シート8の間に積層されている。
【0094】
実施形態A及びBの両方の実施例について、単位面積当たりの重量が800g/m2未満であり、光出力が180W/m2を超える太陽電池モジュール1が有利に得られる。
【0095】
さらに有利には、これらの2つの実施形態A及びBについて、実施後のエレクトロルミネセンス画像は、50cm未満の屈曲又は曲げの後でも、太陽電池4において劣化がないことを示す。このように太陽電池モジュール1の製造に従来の熱積層法を用いた新材料の適合性が確認された。太陽電池モジュール1の電気的性能は、使用される材料のより良い光学的透明性によって、標準的な構成の同等物と同一であるか、又はそれよりもさらに優れている。
【0096】
さらに、現在の標準IEC 61215に準拠した熱サイクルチャンバー内の加速劣化耐性は、600サイクルを超えて実証されている。
【0097】
さらに、
図6は、
図3の太陽電池モジュール1に対する本発明による別の実施形態を示す。
【0098】
図6のこのモジュールは、上記の全ての特性、特に
図3から5に関連する特性を含みうるので、再度説明はしていない。
【0099】
しかしながら、この実施例では、太陽電池モジュール1は、太陽電池モジュール1の裏側を形成する追加の層10を有し、第2の層5は、追加の層10と封入材アセンブリ3の間に配置される。
【0100】
この追加の層10は、太陽電池モジュール1の前面を形成する第1の層2と同じ材料でできている。有利には、この材料は、Halar(商標)としても知られるエチレンクロロトリフルオロエチレン(ECTFE)に相当する。
【0101】
また追加の層10は、
図6のこの実施例では、第1の層2の厚さe2以下の厚さである。追加の層10は、有利には、モジュール1に有利な誘電体絶縁を提供する。
【0102】
当然に、本発明は、ここに説明された例示的な実施形態に限定されない。当業者は、それに様々な変更を加えることができる。