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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-22
(45)【発行日】2024-01-05
(54)【発明の名称】管状ねじ接続部
(51)【国際特許分類】
   F16L 15/06 20060101AFI20231225BHJP
   F16L 15/04 20060101ALI20231225BHJP
   E21B 17/042 20060101ALI20231225BHJP
【FI】
F16L15/06
F16L15/04 A
E21B17/042
【請求項の数】 23
(21)【出願番号】P 2020565788
(86)(22)【出願日】2019-05-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-09-24
(86)【国際出願番号】 EP2019063436
(87)【国際公開番号】W WO2019224344
(87)【国際公開日】2019-11-28
【審査請求日】2022-05-13
(31)【優先権主張番号】18305639.9
(32)【優先日】2018-05-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】504255249
【氏名又は名称】ヴァルレック オイル アンド ガス フランス
(73)【特許権者】
【識別番号】000006655
【氏名又は名称】日本製鉄株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン,ブノワ
(72)【発明者】
【氏名】フォザーギル,アラン
(72)【発明者】
【氏名】フローニュ,アントニー
(72)【発明者】
【氏名】マルタン,ピエール
【審査官】小川 悟史
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/061767(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/034614(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/130234(WO,A1)
【文献】特開平10-089554(JP,A)
【文献】特表2006-509167(JP,A)
【文献】特表2013-519854(JP,A)
【文献】特開2000-240862(JP,A)
【文献】特表2015-534614(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 15/06
F16L 15/04
E21B 17/042
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
管状ねじ接続部(10)であって、
第1の管状部材(22)の本体(21)から延在する管状雌端部(20)であって、
・ 雌ショルダ(18,24)と雌自由端部(25)との間の外側雌ねじ(26)、および
・ 内側雌ねじ(28)であって、前記雌ショルダ(24)が前記外側雌ねじ(26)と前記内側雌ねじ(28)との間に位置する中間雌ショルダであるように構成される、内側雌ねじ(28)、
を含む管状雌端部(20)と、
第2の管状部材(32)の雄型本体(31)から延在する管状雄端部(30)であって、
・ 外側雄ねじ(36)、内側雄ねじ(38)および雄ショルダ(34)であって、前記外側雄ねじ(36)は、ねじ係合によって前記外側雌ねじ(26)と噛み合うように構成され、前記内側雄ねじ(38)は、ねじ係合によって前記内側雌ねじ(28)と噛み合うように構成される、外側雄ねじ(36)、内側雄ねじ(38)および雄ショルダ(34)、
を含む管状雄端部(30)と、
を備え、
前記管状雌端部(20)は、前記雌自由端部(25)に近い前記管状雌端部(20)の機械加工された第1の外面(58)と、前記内側雌ねじ(28)の少なくとも1つのねじ谷の上方にある第2の外径(JOB2)と、を含み、前記第2の外径(JOB2)は、前記機械加工された第1の外面(58)の第1の外径(JOB)よりも大きく、前記雌自由端部は、前記管状雄端部に軸方向に当接しない、
管状ねじ接続部。
【請求項2】
前記第1の外径(JOB)と前記雄型本体(31)の公称外径(OD)との比率(JOB/OD)は、100.5%~103.5%である、
請求項1に記載の管状ねじ接続部。
【請求項3】
前記機械加工された第1の外面(58)は、前記外側雌ねじ(26)の少なくとも1つのねじ谷の上方で延在する、
請求項1または2に記載の管状ねじ接続部。
【請求項4】
前記管状雌端部(20)の第2の外径(JOB2)は、前記中間雌ショルダ(24)の上方に位置する、
請求項1~3のいずれか1項に記載の管状ねじ接続部。
【請求項5】
前記第1の外径(JOB)よりも大きい外径を有する前記管状雌端部の外面は、少なくとも、前記管状雌端部の第1のボックス臨界断面(BCCS1)から第2のボックス臨界断面(BCCS2,BCCS3)の部分まで延在する、
請求項1~4のいずれか1項に記載の管状ねじ接続部。
【請求項6】
前記第2の外径(JOB2)は、第2の円筒面(60)上で一定であり、前記機械加工された第1の外面(58)は、前記第1の外径によって画定される円筒面を備える、
請求項1~5のいずれか1項に記載の管状ねじ接続部。
【請求項7】
前記第2の円筒面(60)は、前記中間雌ショルダの上方で延在する、
請求項6に記載の管状ねじ接続部。
【請求項8】
前記第2の円筒面(60)は、内側ショルダ(18)に近い前記内側雌ねじ(28)の第1の係合ねじ谷に位置する第2のボックス臨界断面(BCCS2)の上方で延在する、
請求項6または7に記載の管状ねじ接続部。
【請求項9】
前記第2の円筒面(60)は、前記内側雌ねじの一部の上方で延在し、前記機械加工された第1の外面(58)は、前記外側雌ねじの一部の上方で延在する、
請求項6~8のいずれか1項に記載の管状ねじ接続部。
【請求項10】
前記管状雌端部(20)は、外側雌シール面(27,27’)を備え、前記管状雄端部(30)は、外側雄シール面(37,37’)を備え、前記外側雄シール面(37,37’)および前記外側雌シール面(27,27’)は、前記管状ねじ接続部がねじ込まれたときに、外側金属間シールを形成し、前記外側雌シール面(27,27’)の上方にある前記管状雌端部の外径は、前記第1の外径(JOB)に等しい、
請求項1~9のいずれか1項に記載の管状ねじ接続部。
【請求項11】
前記外側雌シール面(27)は、前記外側雌ねじと前記雌自由端部との間に位置する、
請求項10に記載の管状ねじ接続部。
【請求項12】
前記外側雌シール面(27’)は、前記外側雌ねじと前記中間雌ショルダとの間に位置する、
請求項10に記載の管状ねじ接続部。
【請求項13】
雄自由端部(35)は、前記管状ねじ接続部がねじ込まれたときに、前記内側ショルダ(18)から長手方向に離れている、
請求項に記載の管状ねじ接続部。
【請求項14】
前記雌自由端部(25)は、前記管状ねじ接続部がねじ込まれたときに、前記管状雄端部のどの部分からも長手方向に離れている、
請求項1~13のいずれか1項に記載の管状ねじ接続部。
【請求項15】
前記中間雌ショルダおよび中間雄ショルダは、前記管状ねじ接続部がねじ込まれたときに、当接する、
請求項1~14のいずれか1項に記載の管状ねじ接続部。
【請求項16】
外側雄ねじおよび内側雄ねじならびに外側雌ねじおよび内側雌ねじは、前記管状ねじ接続部の長手方向軸に対して半径方向にずれている、
請求項1~15のいずれか1項に記載の管状ねじ接続部。
【請求項17】
前記雌自由端部(25)の機械加工された前記第1の外面(58)および前記第2の外径(JOB2)を有する円筒面(60)は、1°~10°の嵌合角度(α2)を形成するテーパ面(82)で接続される、
請求項1~16のいずれか1項に記載の管状ねじ接続部。
【請求項18】
前記第2の外径(JOB2)を有する円筒面(60)は、2°~5°の拡大角度(α1)を形成するテーパ面(80)を含む公称外径(OD)を有する前記第1の管状部材の本体に接続される、
請求項1~17のいずれか1項に記載の管状ねじ接続部。
【請求項19】
前記管状雌端部(20)は、内側雌シール面(29)を備え、前記管状雄端部(30)は、内側雄シール面(39)を備え、前記内側雌シール面(29)は、前記内側雌ねじ(28)と内側ショルダ(18)との間に位置し、前記内側雄シール面(39)は、前記内側雄ねじ(38)と雄自由端部(35)との間に位置し、前記内側雄シール面(39)および前記内側雌シール面(29)は、前記管状ねじ接続部がねじ込まれたときに、内側金属間シールを形成する、
請求項1~18のいずれか1項に記載の管状ねじ接続部。
【請求項20】
前記第2の外径(JOB2)と前記第1の外径(JOB)との間のデルタ(JOB2-JOB)は、前記外側金属間シールの直径方向の干渉値の30%~130%である、
請求項10~12のいずれか1項に記載の管状ねじ接続部。
【請求項21】
前記第2の外径(JOB2)と前記第1の外径(JOB)との間のデルタ(JOB2-JOB)は、直径方向の最大干渉値の25%~115%であり、前記直径方向の最大干渉値は、前記外側ねじおよび外側雌ねじ、内側金属間シールおよび外側金属間シールの直径方向の干渉値に沿った最も高い値である、
請求項1~20のいずれか1項に記載の管状ねじ接続部。
【請求項22】
前記第2の外径(JOB2)と前記第1の管状部材の本体の公称外径との比率(JOB2/OD)は、同一平面で100.5%~104%である、
請求項1~21のいずれか1項に記載の管状ねじ接続部。
【請求項23】
前記管状雌端部(20)と前記管状雄端部(30)とのねじ係合の後、且つ前記管状ねじ接続部のねじ込み終了時に、前記外側雄ねじおよび外側雌ねじならびに内側雄ねじおよび内側雌ねじの上方の位置における前記管状雌端部の外径は、前記本体(21)の公称外径の105%の閾値を下回る
請求項1~22のいずれか1項に記載の管状ねじ接続部。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管状ねじ接続部の分野に関し、ねじによって接続される管の接合部または組立体に関する。
【0002】
より詳細には、本発明は、工業用に使用される管に関し、特に管用のストリングラインや管生産用付属品のためのライン、または油井やガス井の操業、試掘または開発のためのケーシング、ライナーまたはライザーに使用される組立体やねじ接合体に関する。
【背景技術】
【0003】
本明細書に記載するねじ組立体は、油井やガス井におけるケーシングに使用される金属管の組み立てに特に有用である。ケーシングは、掘削孔の安定性を維持するため、および水砂による汚染を防止するため、および掘削、生産または改修作業中の坑井圧力を制御するために必要である。
【0004】
これらのケーシング管は、ケーシングおよび管に関するAPI規格5CT仕様に従って鋼から形成される。例えば、鋼種は、L80規格、P110規格またはQ125規格のものである。
【0005】
このような管状ねじ接続部は、例えば、軸方向の引張力、軸方向の圧縮力、内圧曲げ力、ねじり力などの、強度が変化したり方向が変化したりする様々な組み合わせの応力を受ける。このようにして、管状ねじ接続部は、これらの応力を支持し、破断に耐え、気密性の高いシールを提供するように設計される。
【0006】
過酷な使用条件であっても機械的特性や気密性の観点から満足のいく結果が得られる石油やガスの運搬用管として、数多くのタイプの組立体が知られている。
【0007】
油井やガス井のケーシングについて1つ目の課題は、内面および外面を損傷することなく、それらを坑井内に設置することである。ケーシングストリングは、一連のパイプである。第1のケーシング管群は、第1のケーシング管群に接合するように意図された第2のケーシング管群よりも大きい外径を有し、坑井の奥深くに設置される。ケーシングストリングは、坑井の深部にいくにつれて直径が徐々に小さくなるように構成される。ただし、その移行は滑らかである。
【0008】
このように、より大きな直径と特定の内径を有する事前に設置されたケーシング群内に、特定の外径を有する新しいケーシング群を挿入する必要がある。既に坑井内に設置されているケーシングの内面を損傷しないようにするために、新しいケーシング群の外径を管理する必要がある。API規格は、この項目に関する規定を提供する。無論、すべてのケーシング群は、隣接する2つのケーシング管の間の各接続部の位置において効率要件に準拠する必要もある。接続効率または接合効率は、パイプ本体の引張強さに対する接合部の引張強さの比率として画定される。この比率は、高外圧、高内圧、高圧縮力または高張力など、より過酷な坑井条件下で評価される。
【0009】
既知の組立体は、両方の端部において雄ねじを具備する管を備え、2つの対応する雌ねじを有するカップリングによって組み立てられる。このタイプの組立体は、雄ねじと雌ねじとの間に生成された正のねじ干渉によって、組立体の2つの構成要素が剛直になるという利点を提供する。
【0010】
しかしながら、これらのカップリングの外径は、対応する管の外径よりも大きい。このような組立体をケーシング管と共に使用する場合、カップリングの外径に対応するために、直径を大きくした掘削孔を掘削する必要がある。
【0011】
この欠点を克服するために、部分的に同一平面(semi-flush)、同一平面(flush)または一体型の組立体または接合体または接続部と呼ばれる、カップリングまたはスリーブを有さない組立体を使用するのが一般的である。これらの一体型の組立体の管状要素は、1つの雄ねじ端部と1つの雌ねじ端部とをそれぞれ備える。
【0012】
一般的に、一体型の組立体は、接続部の機械的強度を確保するのに十分な接続部の厚さを提供するために、雌ねじ端部において拡大外径および雄ねじ端部において加締め外径をそれぞれ持つ管から構成される。拡大および加締めによって、接続部に高い効率を提供することができる。共に、接続部の位置における最大外径および最小内径を最小化するのに役立つ。したがって、接続部によって、一定レベルのドリフト操作性を維持して、既存のケーシングに損傷を与えることなく掘削孔内への設置を容易にし、且つ同一平面または部分的に同一平面の一体型の接続部の標準に耐えることができる。同一平面の接続部は、接続部の外径と管の公称外径との比率が約1%になるようになされており、部分的に同一平面の場合の比率が約2%~3%になるようになされている。
【0013】
国際公開第WO2014/044773号を参照すると、一体型の部分的に同一平面の管状ねじ接続部が記載されている。該接続部は、管状雄端部が設けられた第1の管状部材と、管状雌端部が設けられた第2の管状部材と、を備える。雌端部および雄端部の各々は、軸方向に2段のテーパねじと、中心から外れたシールと、を備える。この文献の目的は、臨界断面領域の間の特定の関係を提供することにより、接続部の引張効率を高めることである。
【0014】
しかしながら、目標とする公称径の寸法、加締めおよび拡大プロセス、ならびに楕円公差に関する当該業界の公差は、場合によっては、接続部のねじ込み(make-up)中に雌端部の自由端部(末端部)のたわみにより、雌自由端部の外径が局所的に外側の鋭利な環状エッジを形成する可能性がある。同様に、接続部のねじ込み中に雄端部の自由端部(末端部)のたわみにより、雄自由端部の内径が局所的に内側の鋭利な環状エッジを形成する可能性がある。したがって、ケーシングへのチューブの設置中、またはケーシングへのケーシングの設置中に、それらの鋭利な環状エッジと追加のチューブまたはケーシングとの間で摩擦が生じる可能性がある。摩擦は、生産上の摩耗に先立って、ケーシングやチューブの早期故障を生じさせる可能性がある。また、摩擦によって、シール効率が低下する可能性がある。
【0015】
したがって、チューブおよびケーシングの摩耗堅牢性を高めながら、接続部のシール効率および引張効率の両方を向上させるために、一体型の管状ねじ接続部を改善する必要ある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明の目的の1つは、上述した欠点を克服することである。
【0017】
詳細には、本発明の目的は、特に半径方向にコンパクトでありながら、軸方向および半径方向の負荷を吸収することができ、且つ半径方向の高負荷の下で起こり得る半径方向の変形を支持することができる管状ねじ接続部を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明による管状ねじ接続部は、
第1の管状部材の本体から延在する管状雌端部であって、
・ 雌ショルダと雌自由端部との間の外側雌ねじ、および
・ 内側雌ねじであって、雌ショルダが外側雌ねじと内側雌ねじとの間に位置する中間雌ショルダであるように構成される、内側雌ねじ、
を含む管状雌端部と、
第2の管状部材の本体から延在する管状雄端部であって、
・ 外側雄ねじ、内側雄ねじおよび雄ショルダであって、外側雄ねじは、ねじ係合によって外側雌ねじと噛み合うように構成され、内側雄ねじは、ねじ係合によって内側雌ねじと噛み合うように構成される、外側雄ねじ、内側雄ねじおよび雄ショルダ、
を含む管状雄端部と、
を備え、
管状雌端部は、雌自由端部に近い雌端部の機械加工された第1の外面と、内側雌ねじの少なくとも1つのねじ谷の上方の第2の外径(JOB2)と、を含み、第2の外径(JOB2)は、機械加工された第1の外面の第1の外径(JOB)よりも大きく、雌自由端部は、管状雄端部との軸方向の当接がない。
【0019】
本発明によれば、ねじ込み中に管状雄端部との軸方向の当接がないため、ねじ込み中に雌自由端部がわずかにたわむ可能性がある。雌自由端部は、接続部がねじ込まれたときに、管状雄端部のどの部分からも長手方向に離間している。
【0020】
好ましくは、機械加工された第1の外面は、外側雌ねじの少なくとも1つのねじ谷の上方で延在してもよい。管状雌端部の第2の外径(JOB2)は、中間ショルダの上方に位置してもよい。
【0021】
例えば、第1の外径(JOB)よりも大きい外形を有する管状雌端部の外面は、少なくとも、管状雌端部の第1のボックス臨界断面(BCCS1)から第2のボックス臨界断面(BCCS2,BCCS3)の部分まで延在してもよい。
【0022】
有利には、第2の外径(JOB2)は、第2の円筒面上で一定であってもよい。機械加工された第1の外面は、第1の外径によって画定される円筒面を備える。第1の外径(JOB)よりも大きい外形を有する管状雌端部の外面は、必ずしも円筒形状を有する必要はなく、外向きの円錐台形部、円筒形部分および/または内向きの円錐台形部も包含し得る。
【0023】
例えば、第2の円筒面は、機械加工された第1の外面が外側雌ねじの一部の上方で延在するように、中間ショルダの上方、および/または内側ショルダに近い内側雌ねじの第1の係合ねじ谷に位置する第2のボックス臨界断面(BCCS2)の上方、および/または内側雌ねじの一部の上方で延在してもよい。
【0024】
また、管状雌端部は、外側雌シール面を備えてもよく、それに対応するように、管状雄端部は、外側雄シール面を備えてもよい。外側雄シール面および外側雌シール面は、管状ねじ接続部がねじ込まれたときに、外側金属間シールを形成する。その外側雌シール面の上方にある管状雌端部の外径は、第1の外径(JOB)に等しい。外側雌シール面は、外側雌ねじと雌自由端部との間に位置してもよい。代替的に、外側雌シール面は、外側雌ねじと中間ショルダとの間に位置することができる。
【0025】
本発明の一実施形態によれば、雄自由端部は、接続部がねじ込まれたときに、内側ショルダから長手方向に離れていてもよい。好ましくは、中間雌ショルダおよび中間雄ショルダは、接続部がねじ込まれたときに、当接してもよい。
【0026】
好ましくは、外側および内側のそれぞれの雄ねじおよび雌ねじは、ねじ接続部の長手方向軸に対して半径方向にずれていてもよい。したがって、外側ねじおよび内側ねじの両方のテーパ角度が同じであっても、外側雌ねじの円錐状エンベロープは、内側雌ねじの円錐状エンベロープと整列しない。
【0027】
有利には、雌端部の機械加工された外面および第2の外径(JOB2)を有する円筒面は、例えば6°に等しい、1°~10°、好ましくは5°~7°の嵌合角度α2を形成するテーパ面で接続されてもよい。
【0028】
第2の外径(JOB2)を有する円筒面は、例えば3°に等しい2°~5°の拡大角度α1を形成するテーパ面を含む公称外径(OD)を有する第1の管状部材の本体に接続されてもよい。
【0029】
また、管状雌端部は、内側雌シール面を備えてもよく、それに対応するように、管状雄端部は、内側雄シール面を備えてもよい。内側雌シール面は、内側雌ねじと内側ショルダとの間に位置し、内側雄シール面は、内側雄ねじと雄自由端部との間に位置する。これにより、内側雄シール面および内側雌シール面は、管状ねじ接続部がねじ込まれたときに、内側金属間シールを形成する。
【0030】
本発明の一実施形態によれば、拡大角度α1を有するテーパ面は、内側雌ねじと内側雌シール面との間に位置する溝の上方で延在してもよい。
【0031】
好ましくは、第2の外径(JOB2)と第1の外径(JOB)との間のデルタ(JOB2-JOB)は、外側金属間シールの直径方向の干渉の30%~130%に設定されてもよく、好ましくは直径方向の最大干渉値の25%~115%に設定されてもよい。この直径方向の最大干渉値は、外側ねじ、内側金属間シールおよび外側金属間シールの直径方向の干渉値に沿った最も高い値である。
【0032】
第2の外径(JOB2)と第1の管状部材の本体の公称外径との比率(JOB2/OD)は、同一平面で100.5%~104%であってもよく、好ましくは101.0%~103.5%であってもよく、より好ましくは101.5%~102.5%であってもよく、例えば102.3%に等しい。
【0033】
本発明の特定の構造の利点により、管状雌端部と管状雄端部とのねじ係合の後、且つ管状ねじ接続部のねじ込み終了時に、外側ねじおよび内側ねじの上方の位置における管状雌端部の外径は、本体の公称外径の105%の閾値を下回ってもよく、好ましくは103%の閾値を下回ってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0034】
本発明およびその利点は、非限定的に以下に例示する特定の実施形態の詳細な説明および添付の図面から明らかになるであろう。
図1】接続された状態にある、本発明の一実施形態によるねじ接続部の部分断面図である。
図2図1の雌型管状部材の部分断面図である。
図3図1の雄型管状部材の部分断面図である。
図4】接続された状態にある、本発明の第2の実施形態によるねじ接続部の部分断面図である。
図5】接続された状態にある、本発明の別の実施形態の代替例によるねじ接続部の部分断面図である。
図6】接続された状態にある、本発明の別の実施形態の代替例によるねじ接続部の部分断面図である。
図7図3に示す雄型管状部材がねじ込まれた後の、図2に示す雌型管状部材のたわみを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図を明確にするために、断面図は、管状部材の長手方向軸X-X’を横切る平面に沿った断面図であるという意味で部分的なものであり、管状部材の2つの断面のうちの一方のみを示している。
【0036】
図1には、長手方向軸X-X’を有する管状ねじ接続部10の一実施形態が示されている。管状ねじ接続部10は、接続されたときに同じ長手方向軸X-X’を有する第1の管状部材22と、第2の管状部材32と、を備える。
【0037】
第1の管状部材22には、「雌型本体」とも呼ぶ本体21と、「ボックス部材」とも呼ぶ管状雌端部20と、が設けられる。ボックス部材20は、雌型本体21から延在する。ボックス部材20は、第1の管状部材22の末端部25を画定する。末端部25は、ボックス部材20の雌自由端部である。雌型本体21は、XX’軸に沿った本体21の長さにわたって実質的に一定である公称外径を示す。好ましくは、雌型本体21の公称内径IDは、XX’軸に沿った本体21の長さにわたって実質的に一定である。
【0038】
第2の管状部材32には、「雄型本体」とも呼ぶ本体31と、「ピン部材」とも呼ぶ管状雄端部30と、が設けられる。ピン部材30は、雄型本体31から延在する。ピン部材30は、第2の管状部材32の末端部35を画定する。末端部35は、ピン部材30の雄自由端部である。雄型本体31は、XX’軸に沿った本体31の長さにわたって実質的に一定である公称外径を示す。好ましくは、雄型本体31の公称内径は、XX’軸に沿った本体31の長さにわたって実質的に一定である。
【0039】
本体21および31は、同じ公称内径IDおよび公称外径ODを有する。すなわち、同じパイプ幅を有する。好ましくは、本体21および31の公称外径ODおよび公称内径IDは、XX’軸に沿った本体21および31の長さにわたって実質的に一定である。
【0040】
カップリングまたはスリーブを使用する組立体や接合体とは異なり、図示する管状ねじ接続部10は、一体型の接続部である。本体21および31の公称外径よりも大きい外径を有する第1の管状部材22の拡大領域は、ボックス部材20を構成する。雄型本体24の公称内径と比較して減少した内径を有する第2の管状部材32の加締め領域は、ピン部材30を構成する。
【0041】
上記のような雌端部を製造するために、まず、例えば冷間成形技術を用いて、第1の管状要素を膨張させてボックス部材全体の外径を拡大し、雌型本体21の円筒外面との間に、例えば3°に等しい3°~4°の角度α1を形成する円錐状テーパ外面80を提供する。
【0042】
上記のような雄端部を製造するために、まず、例えば冷間成形技術を用いて、第2の管状要素を加締めてピン部材全体の内径を減少させ、雄型本体31の円筒内面との間に、例えば3°に等しい3°~4°の角度α3を形成する円錐状内面90を提供する。
【0043】
管状ねじ接続部10は、ねじ付きの同一平面または部分的に同一平面の一体型の接続部であってもよい。
【0044】
図2に詳細に示すように、自由端部25は、好ましくはXX’軸に垂直な方向で画定される環状面である。ボックス部材20は、その内側輪郭において、外側雌シール面27と、外側雌ねじ26と、を備え、外側雌シール面27は、雌自由端部25と外側雌ねじ26との間に位置する。さらに、ボックス部材30は、外側雌ねじ26に対して最も内側に位置する雌ショルダ24を連続して備える。
【0045】
雌ねじ部分23が、雌ショルダ24と雌自由端部25との間で延在する。
【0046】
さらに、図1図2および図4によれば、ボックス部材30は、内側雌ねじ28と、内側雌シール面29と、追加の内側ショルダ18と、を連続して備える。雌ショルダ24は、内側雌シール面29が内側雌ねじ28と内側ショルダ18との間に位置するように、外側雌ねじ26と内側雌ねじ28との間に位置する。内側ショルダ18は、内側ショルダ18と雌型本体21との間で画定される接合面81に接続される。これらの実施形態によれば、雌ねじ部分23は外側雌ねじ部分23であり、内側雌ねじ28は雌ショルダ24と内側ショルダ18との間で画定される内側雌ねじ部分43に属する。
【0047】
ボックス部材20の内側輪郭は、拡大された後にその内面が機械加工される。ピン部材30の外側輪郭は、加締められた後に外面上で機械加工される。
【0048】
外側雌ねじ26および内側雌ねじ28は、半径方向にずらされており、雌ショルダ24によって軸方向に離間している。好ましくは、雌ショルダ24は、XX’軸に垂直な環状面として延在する。
【0049】
外側雌ねじ26および内側雌ねじ28は、例えば1/19~1/8、好ましくは1/18~1/16のテーパ値を有するテーパ面に設けられる。より詳細には、雌ねじのテーパ軸と接続部の長手方向軸XX’との間のテーパ角度は約10°であり、これにより、ボックス部材20の内径は、自由端部25から雌型本体21に向けて減少する。
【0050】
外側雌ねじ26および内側雌ねじ28は、以下の特徴を有してもよい:
・ 同じピッチ、
・ 負の角度値を持つ同じロードフランク角度、
・ 同じ台形状の歯部の輪郭、および
・ 同じ長手方向長さ。
【0051】
各ねじ部分のねじ山の形態については、詳細に説明しない。ねじ山の各歯部は、従来どおりにスタブフランクと、ロードフランクと、頂面と、谷面と、を含んでもよい。両方のねじ部分の歯部は、スタブフランクが負の角度を有し、スタブフランクが正の角度を有するように、またはスタブフランクが正の角度を有し、スタブフランクが負の角度を有するように傾斜していてもよい。代替的に、両方のねじ部分の歯部は、台形状の歯部であってもよい。
【0052】
好ましくは、両方のねじ部分のねじ山は、くさび型ではない。くさび型のねじ山は、特定のねじ山の形状に関係なく、一方向に沿って幅が広がるねじ山によって特徴付けられる。
【0053】
好ましくは、本発明によるねじは、正確に同じピッチおよびリードを有するロードフランクおよびスタブフランクを示す。
【0054】
好ましくは、本発明によるねじは、直径方向の干渉を示す。
【0055】
外側雌ねじ26および内側雌ねじ28は、ピン部材30の対応する特徴を有するねじ係合によって噛み合うように構成される。ねじ係合によって噛み合うとは、雌ねじの少なくとも2ターン、好ましくは少なくとも3ターンが、対応する雄ねじの2~3ターンの間で画定されるらせん状の溝内で噛み合うことを包含する。XX’軸に沿って長手方向の断面で見ると、雄ねじの各歯部は、雌ねじの2つの隣接する歯部の間に位置している。これは、ねじ部分の少なくとも3ターンについて観察することができる。
【0056】
したがって、図3に詳細に示すように、ピン部材30は、その外側輪郭上で、雄自由端部35から雄型本体31まで、内側雄シール面39と、内側雄ねじ38と、雄ショルダ34と、外側雄ねじ36と、外側雄シール面37と、接合面91と、を連続して備える。雄ねじ部分33は、接合面91と雄ショルダ34との間で延在する。図1図4に示す実施形態によれば、雄ねじ部分33は外側雄ねじ部分33であり、内側雄ねじ38は雄ショルダ34と雄自由端部35との間で画定される内側雄ねじ部分53に属する。
【0057】
本発明によれば、雄自由端部35は、接続部がねじ込まれたときに、管状雌端部に当接しない。
【0058】
外側雄ねじ36および内側雄ねじ38は、半径方向にずらされており、雄ショルダ34によって軸方向に離間している。好ましくは、雄ショルダ34は、XX’軸に垂直な環状面として延在する。
【0059】
外側雌ねじ26および内側雌ねじ28は、ねじ係合によって外側雄ねじ36および内側雄ねじ38にそれぞれ噛み合うように構成されており、同じテーパ角度に沿ってそれぞれテーパされている。外側雄ねじ36および内側雄ねじ38は、外側雌ねじ26および内側雌ねじ28と同じピッチおよびリードをそれぞれ有する。
【0060】
本発明の第1の実施形態によれば、外側雌ねじ26および内側雌ねじ28の各々は、雌型本体21に最も近い側にランイン部26aおよび28aと、その反対側にランアウト部26bおよび28bと、を備える。
【0061】
外側雄ねじ36および内側雄ねじ38の各々は、雄型本体31に最も近い側にランイン部36aおよび38aと、その反対側にランアウト部36bおよび38bと、を備える。ボックス部材20のランイン部26aおよび28aの各々は、ピン部材30のランアウト部36bおよび38bとそれぞれ係合し、ピン部材30のランイン部36aおよび38aの各々は、ボックス部材20のランアウト部26bおよび28bとそれぞれ係合する。ランイン部およびランアウト部は、それぞれのランイン部とランアウト部との間のねじ部で観察されるねじ山の全高を有さないという意味で、不完全なねじである。
【0062】
図1図4を参照すると、雌ねじおよび雄ねじは、上記ランイン部およびランアウト部を備える。図示しない代替例によれば、接続部は、全高を有するねじ山のみを含んでもよい。
【0063】
接続部10がねじ込まれた状態において、雄ねじ36または38の対応するねじが係合している、外側雌ねじおよび内側雌ねじのランイン部26aまたは28aから開始する連続するねじ谷を考慮すると、雌ねじの第1の係合ねじ谷は、第1のねじ谷の位置である。係合しているねじとは、雌ねじのロードフランクの少なくとも一部が、ねじ込まれた状態で、雄ねじの対応するロードフランクに接触していることを意味する。ランイン部26aおよび28aから開始する連続するねじ谷を考慮すると、接触する雌ねじのロードフランクの第1の位置は、外側雌ねじおよび内側雌ねじの第1の係合ねじ谷に隣接する。
【0064】
接続部10がねじ込まれた状態において、雌ねじ26または28の対応するねじが係合している、外側雄ねじおよび内側雄ねじのランイン部36aまたは38aから開始する連続するねじ谷を考慮すると、雄ねじの第1の係合ねじ谷は、第1のねじ谷の位置である。係合しているねじとは、雄ねじのロードフランクの少なくとも一部が、ねじ込まれた状態で、雌ねじの対応するロードフランクに接触していることを意味する。ランイン部36aおよび38aから開始する連続するねじ谷を考慮すると、接触する雄ねじのロードフランクの第1の位置は、外側雄ねじおよび内側雄ねじの第1の係合ねじ谷に隣接する。
【0065】
図1および図4によれば、外側雌ねじの第1の係合ねじ谷は、ランイン部26a内にあり、内側雌ねじの第1の係合ねじ谷は、ランイン部28a内にある。また、外側雄ねじの第1の係合ねじ谷は、ランイン部36a内にあり、内側雄ねじの第1の係合ねじ谷は、ランイン部38a内にある。
【0066】
続く断面は、XX’軸に対して横方向にそれぞれ画定される、ボックス部材およびピン部材の断面部である。それらの名称は以下のとおりである:
・ BCCS1:外側雌ねじの第1の係合ねじ谷におけるボックス部材の断面部、
・ BCCS2:内側雌ねじの第1の係合ねじ谷におけるボックス部材の断面部、
・ PCCS1:内側雄ねじの第1の係合ねじ谷におけるピン部材の断面部、および
・ PCCS2:外側雄ねじの第1の係合ねじ谷におけるピン部材の断面部。
【0067】
図1図4によれば、BCCS1はランイン部26a内に位置し、BCCS2はランイン部28a内に位置し、PCCS1はランイン部38a内に位置し、PCCS2はランイン部36a内に位置する。したがって、BCCS1は、雌自由端部25よりも雌ショルダ24に近い。BCCS2は、雌ショルダ24よりも内側雌シール面29に近い。PCCS1は、雄自由端部35よりも雄ショルダ34に近く、PCCS2は、雄ショルダ34よりも外側雄シール面35に近い。
【0068】
ボックス臨界断面は、すべてのねじに伝達される最大引張力を受け、接続の効率を画定するボックス部材20の断面領域である。ピン臨界断面は、すべてのねじに伝達される完全な引張力を受け、接続の効率を画定するピン部材30の断面領域である。通常、接続部は、ボックス臨界断面が全体としてピン臨界断面の95%~105%になるように構成される。
【0069】
図1図4に示す実施形態によれば、2つのねじ部分23,43および33,53を設けることで、BCCS1およびBCCS2の両方によってボックス臨界断面を評価することができ、同様に、PCCS1およびPCCS2によってピン臨界断面を評価することができる。代替的に、ボックス臨界断面およびピン臨界断面は、異なる位置で画定されてもよい。
【0070】
例えば、図2に示すように、ボックス臨界断面は、BCCS1の位置において画定されてもよく、内側ねじ28と雌シール面29との間で画定される溝50内で、XX’軸に垂直な別の断面BCCS3において画定されてもよい。例えば、図3に示すように、ピン臨界断面は、PCCS1の位置において画定されてもよく、外側雄ねじ36と接合面91との間で画定される溝52内で、XX’軸に垂直な別の断面PCCS3において画定されてもよい。
【0071】
図示するように、外側雌シール面27は円錐形であり、外側雄シール面37も円錐形である。円錐面27および37のテーパは、[10%;60%]の範囲であってもよく、例えば20%または50%に等しい。代替的に、円錐面27および37のテーパは、一致しなくてもよい。外側雌シール面27および外側雄シール面37は、接続部10のねじ込み位置に金属間シールを形成する。
【0072】
内側雌シール面29は、凸状に膨らんだ面であり、例えば60mmに等しい10mm~100mmのトーラス半径によって画定されるトーラス面である。内側雄シール面39は、円錐状であり、例えば20%または50%に等しい10%~60%のテーパを有する。内側雌シール面29の凸状に膨らんだ面の両方の端部は、XX’軸との角度を形成する線上にあってもよい。ここで、その角度は、XX’軸との円錐状内側雄シール面39の角度に等しい。内側雌シール面29および内側雄シール面39は、接続部10のねじ込み位置に金属間シールを形成する。代替的に、外側および内側金属間シールは、実質的に同じテーパを有する円錐対円錐型であってもよい。代替的に、外側雌シール面27および外側雄シール面37は、トーレ(tore)対円錐型の金属間シールを画定してもよい。
【0073】
金属間シールを実現するには、雌シール面と雄シール面との間に直径方向の干渉が必要である。直径方向の干渉値は、雄シール面の外径から雌シール面の内径を引いた最大差である。ここで、直径は、接続部がねじ込まれたときにXX’軸に沿って同じ位置にあると考えられるが、直径は、ねじ込み前のものである。直径方向の干渉は、FEA解析と、ねじ込み終了時のボックス部材内へのピン部材の予測可能な最終位置とに基づいて、ねじ込み前に画定される。
【0074】
例えば、外側金属間シールの直径方向の干渉は、0.5mm~1.7mmであり、好ましくは0.7mm~1.45mmであり、より好ましくは0.81mm~1.33mmである。例えば、内側金属間シールの直径方向の干渉は、0.5mm~1.7mmであり、好ましくは0.7mm~1.45mmであり、より好ましくは0.81mm~1.22mmである。例えば、内側金属間シールの直径方向の干渉は、外側金属間シールの直径方向の干渉を下回るように設定される。ただし、代替的に、内側金属間シールの直径方向の干渉は、外側金属間シールの直径方向の干渉と等しいように設定されてもよい。
【0075】
外側金属間シールによる接続部の外側のボックス側自由端部25のたわみ、および内側金属間シールによる接続部の内側のピン側自由端部35のたわみは、本発明の特定の特徴によって制限される。
【0076】
本明細書において、特に明記されない限り、すべての外径および内径の寸法は、機械加工後の状態で、ねじ込み前で画定される。製造公差によれば、すべての寸法は、目標値と比較して±0.2mmの公差で指定される。
【0077】
有利には、ボックス部材20の外面は、部分的に機械加工される。外側雌シール面27の上方で、ボックス部材は、第1の外径JOBを有する円筒面58を局所的に設けるために機械加工される。円筒面58は、金属部品の機械加工の公差内で円筒状である。
【0078】
機械加工された円筒面58は、外側雌シール面27の両側の上方で延在する。すべての実施形態によれば、円筒面58は、雌自由端部25から外側雌ねじ26の一部まで延在する。円筒面58は、第1の外径JOBを有する。
【0079】
本発明によれば、第2の外径JOB2は、内側雌ねじ28の少なくとも1つのねじ谷の上方の位置で画定される。
【0080】
以下に示すすべてのさらなる比率またはデルタは、外径または内径の各々の目的値に基づいて考慮される。
【0081】
例えば、第1の外径JOBと公称外径ODとの比率(JOB/OD)は、100.5%~103.5%であり、好ましくは100.8%~103.2%であり、例えば101.97%に等しい。
【0082】
円筒形部分58は、XX’軸に対して角度α2を形成する外向きのテーパ面82を接続する。角度α2は、5°~7°であり、例えば6°に等しい。外向きのテーパ面82は、第2の外径JOB2に等しい外径を有する別の円筒面60を接続する。角度α1を有する円錐状テーパ外面80は、第2の外径JOB2を有する第2の円筒面60に直接隣接する。第2の円筒面60は、XX’軸に沿った長さが少なくとも半分の長さであり、好ましくは機械加工された第1の円筒面58の150%未満であり、好ましくは機械加工された第1の円筒面58の長さの70%~100%である。
【0083】
第2の外径JOB2と公称外径ODとの比率(JOB2/OD)は、100.5%~104%であり、好ましくは101.0%~103.5%であり、より好ましくは101.5%~102.5%であり、例えば102.3%に等しい。
【0084】
第2の外径JOB2と第1の外径JOBとの比率(JOB2/JOB)は、100.05%~101%であり、好ましくは100.1%~100.4%であり、例えば100.32%に等しい。
【0085】
図1および図2を参照すると、円筒形部分58は、自由端部25から、BCCS1の位置から離れた外側ねじ26の上方の位置まで延在する。第2の外径JOB2に等しい一定の直径を有する円筒形部分60は、中間ショルダ24の上方で、BCCS2の位置まで延在する。本実施形態によれば、外向きのテーパ面82は、BCCS1の位置の上方で延在する。円錐状テーパ外面80は、溝50、内側雌シール面29および内側ショルダ18の上方で拡大するように、BCCS2から本体21まで延在する。
【0086】
図4は、本発明の別の実施形態を示す。ここでは、円錐状テーパ外面80が、BCCS2から、XX’軸に対して内側雌シール面29と内側ショルダ18との間の位置まで延在するという点で、図1図3に示す実施形態とはわずかに異なる。
【0087】
図5は、外側金属間シールが外側雌ねじ26と中間ショルダ24との間に位置するという点で、図1図4に示す実施形態とは異なる。図5および図6に示す特定の実施形態によれば、外側雌シール面27’および外側雄シール面37’は、中間雌シール面27’および中間雄シール面37’とも呼ばれる。外側雌シール面27’は、外側雌ねじ26と内側雌ねじ28との間に位置し、好ましくは外側雌ねじ26と中間ショルダ24との間に位置する。また、外側雄シール面37’は、外側雄ねじ36と内側雄ねじ38との間に位置し、好ましくは外側雄ねじ36と中間ショルダ34との間に位置する。
【0088】
図5を参照すると、円筒形部分58は、自由端部25から外側金属間シール27’の上方の位置まで延在し、テーパ部82は、中間ショルダ24の少なくとも上方で拡大する。第2の外径JOB2に等しい一定の直径を有する円筒形部分60は、内側雌ねじ28のランアウト部28bの少なくとも上方に位置する。図5によれば、円筒形部分60は、内側雌ねじ28の一部の上で延在し、テーパ部80は、内側金属シール面29の上方の位置の前で拡大して終了するため、内側金属シール面29は、外径が公称外径に等しい位置において画定される。
【0089】
図6に示す図5の代替例によれば、円筒形部分58は、自由端部25から、BCCS1の位置から離れた外側ねじ26の上方の位置まで延在する。ここで、BCCS1の位置および外側金属シール面27’は、テーパ部82の下方にある。図6によれば、円筒形部分60は、内側雌ねじ28の一部の上で延在し、テーパ部80は、内側金属シール面29の少なくとも上方で拡大する。
【0090】
雌自由端部25は、ねじ込まれた状態で、管状雄端部のどの部分にも接触しない。図1および図4を参照すると、雌自由端部25は、雄端部と雄型本体31との間に保持される接合面91に対向しているが、ねじ込まれた状態で、自由端部25は、その接合面91から非ゼロの距離に留まる。図5および図6を参照すると、接合面91は図示されておらず、雌自由端部は、ねじ込まれた状態で、管状雄端部のどの部分にも接触しない。本発明によれば、雌自由端部25は、接続部がねじ込まれたときに、管状雄端部に当接しない。
【0091】
また、本発明は、ボックス部材の特定の外側設計と共に、ビン部材の特定の設計を提供してもよい。
【0092】
有利には、ピン部材30の内面は、部分的に機械加工される。内側雄シール面39の下方で、ピン部材は、機械加工された第1の円筒内面68を局所的に設けるために機械加工される。円筒内面68は、金属部品の機械加工の公差内で円筒状である。
【0093】
機械加工された円筒内面68は、内側雄シール面39の両側で延在する。図1図4に示す実施形態によれば、円筒内面68は、雄自由端部35から内側雄ねじ38の一部まで延在する。円筒内面68は、第1の内径JIPを有する。本発明によれば、第2の内径JIP2は、外側雄ねじ36の少なくとも1つのねじ谷の上方の位置で画定される。ここで、第2の内径JIP2は、機械加工された第1の内面68の第1の内径JIPよりも小さい。
【0094】
円筒内側68は、XX’軸に対して角度α4を形成する内向きのテーパ面92を接続する。角度α4は、5°~7°であり、例えば6°に等しい。内向きのテーパ面92は、第2の内径JIP2に等しい一定の直径を有する別の円筒内面70を接続する。加締めプロセスを介して得られた角度α3を有する円錐状テーパ内面90は、第2の内径JIP2を有する第2の円筒内面70に直接隣接する。第2の円筒内面70は、XX’軸に沿った長さが少なくとも半分の長さであり、好ましくは機械加工された第1の円筒内面68の150%未満であり、好ましくは機械加工された第1の円筒内面68の70%~100%である。
【0095】
例えば、第1の内径(JIP)と第2の管状部材31の公称内径(ID)との比率(JIP/ID)は、98%~101.5%であり、好ましくは98.5%~100.5%であり、より好ましくは99.2%~100.3%であり、例えば99.73%に等しい。
【0096】
第2の内径(JIP2)と第1の管状部材の本体の公称内径との比率(JIP2/ID)は、98.5%~100%であり、好ましくは98.9%~99.9%であり、例えば99.3%に等しい。
【0097】
第2の内径(JIP2)と第1の内径(JIP)との比率(JIP2/JIP)は、99%~99.9%であり、例えば99.5%に等しい。
【0098】
図1図3および図4を参照すると、円筒内側68は、雄自由端部35から、PCCS1の位置から離れた内側ねじ38の上方の位置まで延在する。第2の内径JIP2に等しい一定の直径を有する第2の円筒内側70は、PCCS1の位置から、PCCS2の位置とXX’軸に沿った外側雄ねじの中間部との間の外側雄ねじ36の上方の位置まで延在する。本実施形態によれば、内向きのテーパ面92は、例えば内側ねじ38の数個、すなわち1つ~4つのねじ山のターンの上方で延在する。円錐状のテーパ内面90は、第2の円筒内面70に直接接続し、外側雄ねじ36の下方で終了する。公称内径IDは、雄端部と雄型本体31との間の接合面91、外側雄シール面27、および外側雄シール面37と外側ねじ36との間で画定される溝52の下方で画定される。
【0099】
図1図4によれば、公称外径ODが355.6mmであり、公称内径IDが313.94mmに等しい場合、
・ 第1の円筒外面58の長さは、98mm~109mmであり、
・ 第2の円筒外面60の長さは、83mm~87mmであり、
・ 第1の外径JOB2は、363.52mm~364.02mmであり、
・ 第1の外径JOBは、362mm~363mmであり、好ましくは362.36mm~362.86mmであり、
・ 第1の内径JIPは、313mm~313.8mmであり、好ましくは313.12mm~313.37mmであり、
・ 第2の内径JIP2は、311mm~312.5mmであり、好ましくは312mm~312.25mmであり、
・ 第1の円筒内面68の長さは、88mm~100mmであり、好ましくは89.75mm~99.75mmであり、
・ 第2の円筒内面70の長さは、77mm~80mmであり、
・ 外側金属間シールの直径方向の干渉は、1.12mm~1.32mmであり、ここで、第2の外径JOB2と第1の外径JOBとの間のデルタ(JOB2-JOB)は、外側金属間シールの直径方向の干渉の85%~90%であり、
・ 内側金属間シールの直径方向の干渉は、1.23mm~1.33mmであり、ここで、第1の内径JIPと第2の内径JIP2との間のデルタ(JIP-JIP2)は、内側金属間シールの直径方向の干渉の91%~116%であり、
・ 存在する場合、外側ねじの直径方向の干渉は、0~0.18mmであり、
・ 存在する場合、外側ねじの直径方向の干渉は、0~0.18mmである。
【0100】
図1図4に示す実施形態によれば、第2の円筒内面70のXX’軸に沿った長さは、第2の円筒外面60の長さよりも短い。
【0101】
接続部がねじ込まれたときに、ボックス部材およびピン部材のそれぞれの雌シール面および雄シール面の干渉嵌合と、ねじの係合とに起因する力によって、ピン部材の内径輪郭およびボックス部材の外径輪郭が変形する。
【0102】
図7は、ねじ込み後のボックス部材の先端の外径を示す図である。ねじ込み力によって、第1の円筒外面58はもはや円筒状ではないが、わずかに円錐形状を呈する傾向がある。これは、自由端部25の近くで最大外径を有し、外向きのテーパ面82との接合部ではより小さい直径を有する。円筒面58および第2の円筒外面60に沿ったすべての位置において、接続部10の外径は、閾値を下回る。第1の円筒外面58および第2の円筒外面60の両方を有するという特定の特徴のおかげで、設置中に、既に所定の位置にあるボックスの先端およびケーシングと半径方向に直接接触することがない。実際、第2の臨界断面BCCS2におけるボックス部材20の厚さによって、ボックス部材が優れたケーシングの摩耗堅牢性を有することができ、同時に、接続部が良好な効率を有することができる。
【0103】
対称的に、ねじ込み力によって、第1の円筒内面68はもはや円筒状ではないがわずかに円錐形状を呈する傾向がある。これは、雄自由端部35の近くで最小内径を有し、内向きのテーパ面92との接合部ではより大きい直径を有する。円筒内面68および第2の円筒内面70に沿ったすべての位置において、接続部10の内径は、例えばドリフト直径などの閾値を上回る。第1の円筒内面68および第2の円筒内面70の両方を有するという特定の特徴のおかげで、坑井内に設置されるピンの先端および別のケーシングと半径方向に直接接触することがない。実際、第1の臨界断面PCCS1におけるピン部材30の厚さによって、ピン部材が優れたケーシングの摩耗堅牢性を有することができ、同時に、接続部が良好な効率を有することができる。
【0104】
ボックスおよびピンの臨界断面における追加の厚さのおかげで、接続部は、軸方向の引張力を受けたときに、優れたケーシングの摩耗堅牢性を有することができ、同時に、優れた効率および良好な性能を有することができる。
【0105】
また、ボックス部材の自由端部が半径方向に直接接触しないため、接続部の寿命も向上する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7