(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-22
(45)【発行日】2024-01-05
(54)【発明の名称】車両用のドア開装置
(51)【国際特許分類】
E05B 77/32 20140101AFI20231225BHJP
E05B 49/00 20060101ALI20231225BHJP
E05B 81/78 20140101ALI20231225BHJP
【FI】
E05B77/32
E05B49/00 J
E05B81/78
(21)【出願番号】P 2021140686
(22)【出願日】2021-08-31
【審査請求日】2022-11-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000213
【氏名又は名称】弁理士法人プロスペック特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石田 直也
(72)【発明者】
【氏名】伊丹 栄二
(72)【発明者】
【氏名】蟹江 英之
(72)【発明者】
【氏名】石川 泰広
【審査官】家田 政明
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-214004(JP,A)
【文献】特開2002-327566(JP,A)
【文献】特開2008-208593(JP,A)
【文献】米国特許第07375299(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 1/00-85/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両ドアの車体に対する開放が許容されないラッチ状態と、前記車両ドアの車体に対する開放が許容されるアンラッチ状態と、に切替え可能なラッチ機構を備え、前記ラッチ機構の前記ラッチ状態から前記アンラッチ状態への切替えが許容されないロック状態と、前記ラッチ機構の前記ラッチ状態から前記アンラッチ状態への切替えが許容されるアンロック状態と、に切替え可能に構成されているドアロック装置を制御する車両用のドア開装置であって、
使用者により車両の外部から操作可能な第一操作部材および第二操作部材と、
前記ドアロック装置が前記ロック状態であるときに前記第一操作部材への操作を検出すると前記ドアロック装置を前記ロック状態から前記アンロック状態に切替えるように構成されるロック制御装置と、
前記ドアロック装置が前記アンロック状態にあるときに前記第二操作部材への操作を検出した場合、前記ラッチ機構を前記ラッチ状態から前記アンラッチ状態に切替え、前記ドアロック装置が前記ロック状態であるときに前記第二操作部材への操作を検出し、かつ、前記第二操作部材への操作を検出してから所定時間が経過するまでに前記第一操作部材への操作を検出した場合、前記ラッチ機構を前記ラッチ状態から前記アンラッチ状態に切替え、前記ドアロック装置が前記ロック状態であるときに前記第二操作部材への操作を検出し、かつ、前記第二操作部材への操作を検出してから前記所定時間が経過するまでに前記第一操作部材への操作を検出しない場合、前記ラッチ機構を前記ラッチ状態に維持するように構成されるラッチ制御装置と、
を備える、車両用のドア開装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用のドア開装置であって、
前記第一操作部材及び前記第二操作部材は、前記車両ドアに設けられるアウトサイドハンドル装置のアウトサイドハンドルグリップに設けられており、
前記第一操作部材は、前記アウトサイドハンドルグリップに触れることにより操作されるように構成され、
前記第二操作部材は、前記アウトサイドハンドルグリップを握ることにより操作されるように構成される、
車両
用のドア開装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の車両用のドア開装置であって、
前記車両から所定の範囲内に存在する可搬型制御装置と無線通信可能な無線通信装置と、
前記無線通信装置を介して前記可搬型制御装置から受信した信号に基づいて前記車両に対応付けられている前記可搬型制御装置が前記車両から所定の範囲内に存在するか否か判定する照合装置と、
を備え、
前記照合装置は、前記車両に対応付けられている前記可搬型制御装置が前記車両から所定の範囲内に存在すると判定し、かつ、前記第一操作部材への操作を検出した場合、前記第一操作部材が操作されたことを示す第一アンロック要求信号を前記ロック制御装置に送信し、
前記ラッチ制御装置は、前記第二操作部材への操作を検出してから所定時間が経過するまでに前記ロック制御装置が前記第一アンロック要求信号を受信した場合、前記ラッチ機構を前記ラッチ状態から前記アンラッチ状態に切替えるように構成される、
車両用のドア開装置。
【請求項4】
請求項3に記載の車両用のドア開装置であって、
前記照合装置は、前記可搬型制御装置から前記ドアロック装置を前記ロック状態から前記アンロック状態に切替えることを要求する信号が送信された場合に、第二アンロック要求信号を前記ロック
制御装置に送信し、
前記ラッチ制御装置が前記第二操作部材への操作を検出してから前記所定時間が経過するまでに、前記ロック制御
装置が前記第二アンロック要求信号を受信した場合、
前記ラッチ制御装置は、前記ラッチ機構を前記ラッチ状態に維持し、
前記ロック制御装置は、前記ドアロック装置を前記ロック状態から前記アンロック状態に切替える、
車両用のドア開装置。
【請求項5】
請求項4に記載の車両用のドア開装置であって、
前記ラッチ制御装置は、前記所定時間が経過するまでに前記ロック制御装置が前記第二アンロック要求信号を受信した後、前記第二操作部材への操作を検出した場合、前記ラッチ機構を前記ラッチ状態から前記アンラッチ状態に切替える、
車両用のドア開装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の車両用のドア開装置であって、
前記ドアロック装置が前記ロック状態であるか前記アンロック状態であるかを使用者に対して報知する報知装置を備える、
車両用のドア開装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の車両用のドア開装置であって、
前記所定時間は、2秒以上、4秒以下である、
車両用のドア開装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用のドア開装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ロック状態とアンロック状態の切替えおよびラッチ状態からアンラッチ状態への切替えをアクチュエータの駆動力によって実行できるドアロック装置が知られている。このようなドアロック装置を制御する車両用のドア開装置は、センサおよび/またはスイッチへの操作を検出すると、検出した操作に応じてアクチュエータを駆動する。
【0003】
特許文献1には、前記のようなドア開装置に適用できるドアハンドルが開示されている。具体的には、特許文献1に開示されているドアハンドルは、ハンドルグリップと、このハンドルグリップに対して揺動可能なアンラッチレバーと、このアンラッチレバーに設けられているロックセンサプレートと、このアンラッチレバーのハンドルグリップに対する揺動によりONとOFFが切替わる開閉スイッチと、を備える。特許文献1に開示されているドアハンドルが適用されたドア開装置は、ロックセンサプレートへのタッチ操作を検出するとドアロック装置をロック状態からアンロック状態に切替え、開閉スイッチのONとOFFの切替わりを検出するとラッチ機構をラッチ状態からアンラッチ状態に切替えるように構成することができる。
【0004】
使用者は、特許文献1に記載のドアハンドルを操作する場合、まず、アンラッチレバーに指を掛け、その後、アンラッチレバーとともにハンドルグリップを引く。このため、まず、アンラッチレバーに設けられているロックセンサプレートに使用者の指が接触し、その後、アンラッチレバーの揺動によって開閉スイッチのONとOFFとが切替わる。したがって、使用者の前記操作により、ドアロック装置はロック状態からアンラッチ状態に切替わり、次いで、ドアロック装置のラッチ機構がラッチ状態からアンラッチ状態に切替わる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【0006】
(発明が解決しようとする課題)
しかしながら、使用者がアンラッチレバーに設けられているロックセンサプレートに触れてからアンラッチレバーを揺動させる(ハンドルグリップを引く)までの時間が短いと、ドア開装置は、ロックセンサプレートへの使用者の指等の接触を検出してドアロック装置をロック状態からアンロック状態に切替えるよりも前の時点で、アンラッチスイッチのONとOFFが切替わったことを検出することがある。この場合、アンラッチスイッチのONとOFFが切替わった時点ではドアロック装置はアンロック状態に切替わっていないから、ドアロック装置のラッチ機構はラッチ状態からアンラッチ状態に切替わらない。
【0007】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものである。すなわち、本発明の目的の一つは、ドアロック装置をロック状態からアンロック状態に切替えるための操作部材と、ドアロック装置のラッチ機構をラッチ状態からアンラッチ状態に切替えるための操作部材とを有する車両用のドア開装置において、これらの操作部材が正規の順序で操作された場合に、確実にドアロック装置のラッチ機構をアンラッチ状態に切替えることができる車両用のドア開装置を提供することである。
【0008】
(課題を解決するための手段)
本発明に係る車両用のドア開装置は、
車両ドアの車体に対する開放が許容されないラッチ状態と、前記車両ドアの車体に対する開放が許容されるアンラッチ状態と、に切替え可能なラッチ機構を備え、前記ラッチ機構の前記ラッチ状態から前記アンラッチ状態への切替えが許容されないロック状態と、前記ラッチ機構の前記ラッチ状態から前記アンラッチ状態への切替えが許容されるアンロック状態と、に切替え可能に構成されているドアロック装置を制御する車両用のドア開装置であって、
使用者により車両の外部から操作可能な第一操作部材および第二操作部材と、
前記ドアロック装置が前記ロック状態であるときに前記第一操作部材への操作を検出すると前記ドアロック装置を前記ロック状態から前記アンロック状態に切替えるように構成されるロック制御装置と、
前記ドアロック装置が前記アンロック状態にあるときに前記第二操作部材への操作を検出した場合、前記ラッチ機構を前記ラッチ状態から前記アンラッチ状態に切替え、前記ドアロック装置が前記ロック状態であるときに前記第二操作部材への操作を検出し、かつ、前記第二操作部材への操作を検出してから所定時間が経過するまでに前記第一操作部材への操作を検出した場合、前記ラッチ機構を前記ラッチ状態から前記アンラッチ状態に切替え、前記ドアロック装置が前記ロック状態であるときに前記第二操作部材への操作を検出し、かつ、前記第二操作部材への操作を検出してから前記所定時間が経過するまでに前記第一操作部材への操作を検出しない場合、前記ラッチ機構を前記ラッチ状態に維持するように構成されるラッチ制御装置と、
を備える。
【0009】
本発明の車両用のドア開装置によれば、ラッチ制御装置が第二操作部材の操作を検出してから所定時間内にロック制御装置が第一操作部材の操作を検出した場合、ラッチ制御装置は、ラッチ機構をラッチ状態からアンラッチ状態に切替える。このような構成によれば、ロック制御装置が第一操作部材の操作を検出するよりも前に、ラッチ制御装置が第二操作部材の操作を検出した場合であっても、ドアロック装置のラッチ機構をラッチ状態からアンラッチ状態に切替えること(すなわち、車両ドアを開けること)ができる。
【0010】
前記第一操作部材及び前記第二操作部材は、前記車両ドアに設けられるアウトサイドハンドル装置のアウトサイドハンドルグリップに設けられており、
前記第一操作部材は、前記アウトサイドハンドルグリップに触れることにより操作されるように構成され、
前記第二操作部材は、前記アウトサイドハンドルグリップを握ることにより操作されるように構成されてもよい。
【0011】
このような構成であれば、使用者がアウトサイドハンドルグリップを操作すると、まず、第一部材が操作され、次いで第二部材が操作される。このため、使用者によるアウトサイドハンドルグリップの操作速度によっては、ラッチ制御装置が第二操作部材への操作を検出するよりも前に、ロック制御装置が第一操作部材への操作を検出できる。したがって、ドアロック装置のラッチ機構をラッチ状態からアンラッチ状態に切り替えることができる。
【0012】
本発明のドア開装置は、
前記車両から所定の範囲内に存在する可搬型制御装置と無線通信可能な無線通信装置と、
前記無線通信装置を介して前記可搬型制御装置から受信した信号に基づいて前記車両に対応付けられている前記可搬型制御装置が前記車両から所定の範囲内に存在するか否か判定する照合装置と、
を備え、
前記照合装置は、前記車両に対応付けられている前記可搬型制御装置が前記車両から所定の範囲内に存在すると判定し、かつ、前記第一操作部材への操作を検出した場合、前記第一操作部材が操作されたことを示す第一アンロック要求信号を前記ロック制御装置に送信し、
前記ラッチ制御装置は、前記第二操作部材への操作を検出してから所定時間が経過するまでに前記ロック制御装置が前記第一アンロック要求信号を受信した場合、前記ラッチ機構を前記ラッチ状態から前記アンラッチ状態に切替えるように構成されてもよい。
【0013】
照合装置が第一操作部材への操作があったことを示す信号をロック制御装置に送信するよりも前に、ラッチ制御装置が第二操作部材への操作を検出することがある。しかしながら、このような構成によれば、ロック制御装置が第一操作部材の操作を検出するよりも前に、ラッチ制御装置が第二操作部材の操作を検出した場合であっても、ドアロック装置のラッチ機構をラッチ状態からアンラッチ状態に切替えることができる。
【0014】
前記照合装置は、前記可搬型制御装置から前記ドアロック装置を前記ロック状態から前記アンロック状態に切替えることを要求する信号が送信された場合に、第二アンロック要求信号を前記ロック制御装置に送信し、
前記ラッチ制御装置が前記第二操作部材への操作を検出してから前記所定時間が経過するまでに、前記ロック制御装置が前記第二アンロック要求信号を受信した場合、
前記ラッチ制御装置は、前記ラッチ機構を前記ラッチ状態に維持し、
前記ロック制御装置は、前記ドアロック装置を前記ロック状態から前記アンロック状態に切替える、
という構成が適用できる。
【0015】
このような構成によれば、使用者の意図しない時点でドアロック装置のラッチ機構がアンラッチ状態に切替わることを防止または抑制できる。例えば、使用者Aが可搬型制御装置を携帯しないで第一操作部材および第二操作部材を操作した場合、ラッチ制御装置はドアロック装置のラッチ機構をアンラッチ状態に切替えない。その後、第二操作部材の操作を検出してから所定時間が経過するまでにラッチ制御装置が他の使用者Bによる可搬型制御装置の操作に応じてドアロック装置のラッチ機構をアンラッチ状態に切替えると、使用者Aの意図しない時点でドアロック装置のラッチ機構がアンラッチ状態に切替わることがある。これに対し、前記構成によれば、ラッチ制御装置は、可搬型制御装置への操作によってはドアロック装置のラッチ機構をアンラッチ状態に切替えないから、使用者Aの意図しない時点でドアロック装置のラッチ機構がアンラッチ状態に切替わることを防止できる。
【0016】
前記ラッチ制御装置は、前記所定時間が経過するまでに前記ロック制御装置が前記第二アンロック要求信号を受信した後、前記第二操作部材への操作を検出した場合、前記ラッチ機構を前記ラッチ状態から前記アンラッチ状態に切替える、
という構成が適用できる。
【0017】
ロック制御装置がドアロック装置をロック状態からアンロック状態に切替えた後に、再度、第二操作部材への操作を検出した場合には、使用者がドアを開ける意図を有しているとみなせる。したがって、このような場合にラッチ制御装置がドアロック装置をロック状態からアンロック状態に切替えることにより、使用者の意図に応じてドアロック装置をロック状態からアンロック状態に切替えることができる。
【0018】
前記ドアロック装置が前記ロック状態であるか前記アンロック状態であるかを使用者に対して報知する報知装置を備える、
という構成が適用できる。
【0019】
このような構成によれば、使用者は、ドアロック装置がロック状態であるかアンロック状態であるかを認識できる。換言すると、使用者は、自身の第一操作部材への操作によってドアロック装置がロック状態からアンロック状態に切替わったか否かを認識できる。
【0020】
前記所定時間は、2秒以上4秒以下である、
という構成が適用できる。
【0021】
この所定時間が短すぎると、ラッチ制御装置は、第一操作部材が操作されたことを検出できないおそれがある。この所定時間は2秒以上4秒以下であると、第一操作部材の操作の検出の確実性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1は、車両および車両用のドア開装置の構成を示す図である。
【
図2】
図2は、車両用のドア開装置の制御を示すタイムチャートである。
【
図3】
図3は、車両用のドア開装置の制御を示すタイムチャートである。
【
図4】
図4は、車両用のドア開装置の制御を示すタイムチャートである。
【
図5】
図5は、EラッチECUが実行するアンラッチルーチンを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。以下の説明では、本発明の実施形態に係る車両用のドア開装置を、「ドア開装置」と略して記すことがある。
【0024】
(車両)
図1は、車両10と、車両10に搭載されるドア開装置20の構成例を示す模式図である。
図1に示すように、車両10は、使用者(乗員)が乗降するための所定の数の車両ドア102,103,104,105を備える。
図1では、車両10が、D席ドア102(右前車両ドア)とP席ドア103(左前車両ドア)とRrR席ドア104(右後車両ドア)とRrL席ドア105(左後車両ドア)との4つの車両ドアを備える例を示す。各車両ドア102,103,104,105は、車体101に対して開閉可能に設けられており、車体101に対して移動することにより閉位置と開位置とに移動可能である。各車両ドア102,103,104,105の閉位置は、車体101に設けられている使用者が乗降するための開口部を塞ぐ位置であり、開位置は、前記開口部を塞がない位置である。
【0025】
(ドア開装置)
ドア開装置20は、ドアロック装置11と、ポップアップ装置12と、アウトサイドドアハンドル装置13と、インサイドドアハンドル装置14と、アウトサイドドアハンドルイルミネーション15と、車室内ロックインジケータ16と、インジケータ17と、車室外無線通信装置18と、ボディECU21と、照合ECU22と、ドアロックECU23と、EラッチECU24とを備える。なお、
図1においては、簡略化のため、ドアロック装置11、ポップアップ装置12、アウトサイドドアハンドル装置13、インサイドドアハンドル装置14、アウトサイドドアハンドルイルミネーション15、車室内ロックインジケータ16、車室外無線通信装置18、およびEラッチECU24を1つずつ記載してある。実際には、これらの装置は、車両ドア102,103,104,105ごとに設けられている。すなわち、ドア開装置20は、これらの装置を車両ドア102,103,014,105と同数ずつ備える。なお、車室外無線通信装置18は、一部の車両ドア102,103,104,105に設けられる構成であってもよい。例えば、車室外無線通信装置18は、D席ドア102とP席ドア103に設けられればよく、RrR席ドア104とRrL席ドア105には設けられなくてもよい。
【0026】
各ドアロック装置11は、図略のラッチ機構とアクチュエータ(以下、「ロックアクチュエータ111」と記す)とポジションスイッチ112とを備える。ラッチ機構は、ラッチ状態とアンラッチ状態とに切替え可能に構成される。ラッチ状態は、ラッチ機構が備えるラッチが車体101に設けられているストライカと係合することにより、対応する車両ドア102,103,104,105の閉位置から開位置への移動を許容しない(換言すると、対応する車両ドア102,103,104,105を閉位置に保持する)状態である。アンラッチ状態は、ラッチがストライカと係合しないことにより、対応する車両ドア102,103,104,105の閉位置から開位置への移動を許容する状態である。
【0027】
各ドアロック装置11は、ロック状態とアンロック状態とに切替え可能に構成される。ロック状態は、ラッチ機構がラッチ状態である場合に、ラッチ機構がラッチ状態からアンラッチ状態へ切替わることを許容しない状態である。アンロック状態は、ラッチ機構がラッチ状態である場合に、ラッチ機構がラッチ状態からアンラッチ状態へ切替わることを許容する状態である。各ドアロック装置11は、ロックアクチュエータ111の駆動力によって、ラッチ機構のラッチ状態からアンラッチ状態への切替え、ロック状態からアンロック状態への切替え、およびアンロック状態からロック状態への切替えができるように構成されている。
【0028】
このようなドアロック装置11の具体的な構成は特に限定されるものではなく、従来公知のドアロック装置が適用できる。例えば、このようなドアロック装置11には、特開2021-85292号公報に開示されている車両用ドアロック装置が適用できる。この場合、特開2021-85292号公報における電動モータが、本実施形態におけるロックアクチュエータ111に対応する。
【0029】
各ドアロック装置11のポジションスイッチ112は、当該ドアロック装置11がロック状態にあるかアンロック状態にあるかを検出できるように構成される。例えば、ポジションスイッチ112は、特開2020-94410号公報におけるコントロールレバーまたはアクティブレバーの位置に応じてONとOFFが切替わるように構成される。このため、後述するドアロックECU23は、ポジションスイッチ112がONであるかOFFであるかを検出することにより、各ドアロック装置11がロック状態であるかアンロック状態であるかを検出できる。
【0030】
各ポップアップ装置12は、アクチュエータ(以下、「ポップアップアクチュエータ121」と記す)を備える。そして、各ポップアップ装置12は、ポップアップアクチュエータ121の駆動力によって、対応する車両ドア102,103,104,105を閉位置からわずかに開位置に移動させることができる。このような動作をポップアップ動作と記す。各ポップアップ装置12の具体的な構成は特に限定されるものではなく、従来公知のポップアップ装置が適用できる。例えば、各ポップアップ装置12には、特開2015-190115号公報に開示されている車両ドアポップアップ装置が適用できる。
【0031】
各アウトサイドドアハンドル装置13は、図略のアウトサイドハンドルグリップと、車室外ロックセンサ131と、車室外アンラッチスイッチ132とを備えている。アウトサイドハンドルグリップは、対応する車両ドア102,103,104,105の車外側に設けられた操作部材であり、車両10の外側から操作可能な操作部材である。
【0032】
車室外ロックセンサ131は、本発明の第一操作部材の例であり、使用者が車両10の外側から操作可能な操作部材である。車室外ロックセンサ131には、使用者の指等が接近および接触したことを検出できるタッチセンサが適用される。車室外アンラッチスイッチ132は、本発明の第二操作部材の例であり、使用者が車両10の外側から操作可能な操作部材である。車室外アンラッチスイッチ132には、ボタンなどの可動部材が押されることによってONとOFFとが切替わる押しボタンスイッチが適用される。なお、本実施形態では、車室外アンラッチスイッチ132が常開型のスイッチである例を示す。
【0033】
車室外ロックセンサ131と車室外アンラッチスイッチ132とは、アウトサイドハンドルグリップの使用者が握る部分(指を掛ける部分)に設けられている。このため、使用者がアウトサイドハンドルグリップに指を掛ける動作により、使用者の指が車室外ロックセンサ131に接触(タッチ)し、その後、使用者によるアウトサイドハンドルグリップを握る動作により、車室外アンラッチスイッチ132がOFFからONに切替わる。さらにその後、使用者がアウトサイドハンドルグリップから手を離すと、車室外アンラッチスイッチ132はONからOFFに切替わる。
【0034】
このようなアウトサイドドアハンドル装置13の具体的な構成は特に限定されるものではなく、従来公知のアウトサイドドアハンドル装置が適用できる。例えば、このようなアウトサイドドアハンドル装置13には、特開2020-94410号公報に記載のドアハンドルが適用できる。この場合、特開2020-94410号公報の車室外ロックセンサプレートが、本実施形態における車室外ロックセンサ131に対応する。また、特開2020-94410号公報のアンラッチレバーおよび開閉スイッチが、本実施形態における車室外アンラッチスイッチ132に対応する。
【0035】
各インサイドドアハンドル装置14は、車室内ロックスイッチ141と、車室内アンラッチスイッチ142とを備えている。車室内ロックスイッチ141は、車内の乗員が、対応する車両ドア102,103,104,105のドアロック装置11をロック状態からアンロック状態へ、およびアンロック状態からロック状態へ切替えるために操作する操作部材である。車室内アンラッチスイッチ142は、車内の使用者(乗員)が、対応する車両ドア102,103,104,105のドアロック装置11のラッチ機構をラッチ状態からアンラッチ状態に切替えるために操作する操作部材である。
【0036】
ボディECU21、照合ECU22、ドアロックECU23、および各車両ドア102,103,104,105に対応するEラッチECU24は、CPU、ROM、RAM、読み書き可能な不揮発性メモリおよびインターフェース等を含むコンピュータを有している。CPUは、所定のプログラム(ルーチン)を逐次実行することによって、データの読み込み、数値演算、および演算結果の出力等を行う。ROMには、CPUが実行するプログラムおよびルックアップテーブル(マップ)等があらかじめ格納されている。RAMは、データを一時的に記憶することができる。ボディECU21と照合ECU22とドアロックECU23とは、CAN(Controller Area Network)を介して接続されている。また、ボディECU21と各EラッチECU24とは、CXPI(Clock Extension Peripheral Interface)規格で通信可能に接続されている。そして、ボディECU21、照合ECU22、ドアロックECU23、および各EラッチECU24は、互いにデータおよび信号の送受信が可能である。
【0037】
ボディECU21は、車両10に搭載されている機器を統合的に制御するECUである。
【0038】
照合ECU22は、本発明の照合装置の例である。照合ECU22は、各アウトサイドドアハンドル装置13の車室外ロックセンサ131と接続されており、各アウトサイドドアハンドル装置13の車室外ロックセンサ131へのタッチ操作があったか否かを検出できる。また、照合ECU22は、各車両ドア102,103,104,105の車室外無線通信装置18と接続されている。車室外無線通信装置18は、車外に存在する電子キー50の無線通信装置52と無線通信可能に構成される。
【0039】
電子キー50は、本発明の可搬型制御装置の例であり、使用者が携帯可能な装置である。電子キー50は、アンロックスイッチ51、無線通信装置52、および電子キー制御装置53を有している。アンロックスイッチ51は、ドアロック装置11をロック状態からアンロック状態に切替えるために使用者が操作するスイッチである。無線通信装置52は、車室外無線通信装置18と無線通信可能に構成される。電子キー制御装置53は、無線通信装置52を制御する。電子キー制御装置53は、CPUとROMとRAMとを有するコンピュータである。電子キー制御装置53には、当該電子キー50に固有のIDコードが登録されている(例えば、IDコードを示すデータがROMに格納されている)。
【0040】
ドアロックECU23は、本発明のロック制御装置の例である。ドアロックECU23は、各ドアロック装置11に接続されている。そして、ドアロックECU23は、各ドアロック装置11のロックアクチュエータ111を駆動することにより、各ドアロック装置11をロック状態からアンロック状態に切替えること、およびアンロック状態からロック状態に切替えることができる。また、ドアロックECU23は、各ドアロック装置11のポジションスイッチ112に接続されている。そして、ドアロックECU23は、各ドアロック装置11のポジションスイッチ112の状態(ONであるかOFFであるか)を検出し、検出結果に基づいて各ドアロック装置11がロック状態であるかアンロック状態であるかを判定する。さらに、ドアロックECU23は、各ドアロック装置11がロック状態であるかアンロック状態であるかの判定結果を、ボディECU21を介して各EラッチECU24に送信する。
【0041】
ドアロックECU23は、インジケータ17と接続されており、このインジケータ17を駆動する(作動させる)ことができる。インジケータ17は、本発明の報知装置の例である。ドアロックECU23は、各ドアロック装置11のロックアクチュエータ111を駆動することにより各ドアロック装置11をロック状態からアンロック状態に切替えると、各ドアロック装置11をロック状態からアンロック状態に切替えたことを使用者に報知するため、インジケータ17を駆動する。このようなインジケータ17には、例えば車両10が備える方向指示器が適用できる。この場合、ドアロックECU23は、インジケータ17である方向指示器を所定の回数点滅させることにより、各ドアロック装置11をロック状態からアンロック状態に切替えたことを使用者に報知する。
【0042】
各EラッチECU24は、本発明のラッチ制御装置の例である。各EラッチECU24は、それぞれ、対応する車両ドア102,103,104,105のアウトサイドドアハンドル装置13の車室外アンラッチスイッチ132と、インサイドドアハンドル装置14の車室内アンラッチスイッチ142に接続されている。そして、各EラッチECU24は、車室外アンラッチスイッチ132と車室内アンラッチスイッチ142とのそれぞれが操作されたか否か(ONであるかOFFであるか)を検出できる。また、各EラッチECU24は、対応する車両ドア102,103,104,105のドアロック装置11に接続されている。そして、各EラッチECU24は、対応する車両ドア102,103,104,105のドアロック装置11のロックアクチュエータ111を駆動することにより、対応する車両ドア102,103,104,105のドアロック装置11のラッチ機構をラッチ状態からアンラッチ状態に切替えることができる。また、各EラッチECU24は、ボディECU21を介して、ドアロックECU23による「対応する車両ドア102,103,104,105のドアロック装置11がロック状態であるかアンロック状態であるか」の判定結果を取得できる。このため、各EラッチECU24は、対応する車両ドア102,103,104,105のドアロック装置11がロック状態であるかアンロック状態であるかを検出できるとともに、ロック状態からアンロック状態に切替わったこと、およびアンロック状態からロック状態に切替わったことを検出できる。
【0043】
さらに、各EラッチECU24は、対応する車両ドア102,103,104,105のアウトサイドドアハンドルイルミネーション15と車室内ロックインジケータ16とに接続されており、これらを作動させることができる。
【0044】
アウトサイドドアハンドルイルミネーション15および車室内ロックインジケータ16は、それぞれ光源を有する発光装置である。アウトサイドドアハンドルイルミネーション15は、対応する車両ドア102,103,104,105の車外側の面のアウトサイドハンドルグリップの近傍に設けられており、発光することによってアウトサイドハンドルグリップの位置を使用者に報知する。各EラッチECU24は、例えば、車両10の周辺の明るさが所定の閾値以下であり、かつ、後述する照合成立期間中にアウトサイドドアハンドルイルミネーション15を発光させることにより、使用者にアウトサイドハンドルグリップが見えやすくなるようにする。
【0045】
車室内ロックインジケータ16は、本発明の報知装置の例である。各EラッチECU24は、対応する車両ドア102,103,104,105のドアロック装置11がロック状態であるかアンロック状態であるかに応じて、車室内ロックインジケータ16の発光(点灯)と消灯とを切替える。例えば、各EラッチECU24は、対応する車両ドア102,103,104,105のドアロック装置11がロック状態である間に車室内ロックインジケータ16を発光させ、アンロック状態である間に車室内ロックインジケータ16を消灯させることにより、当該ドアロック装置11がロック状態であるかアンロック状態であるかを使用者に報知できる。
【0046】
(ドア開制御)
次に、ドア開装置20が実行するドア開制御について説明する。本実施形態に係るドア開制御は、「各ドアロック装置11がロック状態である間に、使用者により車外から各ドアロック装置11をロック状態からアンロック状態に切替える操作および各ドアロック装置11のラッチ機構をアンラッチ状態に切替えるための操作が実行されると、それらの操作に応じて各ドアロック装置11のラッチ機構をアンラッチ状態に切替える、またはアンラッチ状態に切替えない」という制御である。本実施形態では、車室外ロックセンサ131へのタッチ操作が「車外から各ドアロック装置11をロック状態からアンロック状態に切替える操作」であり、車室外アンラッチスイッチ132をOFFからONに切替える操作(車室外アンラッチスイッチ132のボタンを押す操作)が「各ドアロック装置11のラッチ機構をアンラッチ状態に切替えるための操作」である。
【0047】
照合ECU22は、車外照合条件が成立している間、「各車両ドア102,103,104,105の車室外無線通信装置18に、リクエスト信号が担持された電波を車外の所定の範囲に出射させる」という制御を、所定の周期で繰り返し実行する。リクエスト信号は、電子キー50に対して応答を要求するための信号である。車外照合条件は、車外の所定の範囲内に存在する電子キー50との間で照合を実行する条件であり、例えば、車両10の主電源がOFFであり、かつ、各ドアロック装置11がロック状態である間に成立する条件である。この「車外の所定の範囲」の具体的な広さは限定されないが、例えば、「車室外無線通信装置18からの距離が約1m以内の範囲」が適用できる。併せて照合ECU22は、「各車両ドア102,103,104,105の車室外無線通信装置18が、電子キー50の無線通信装置52から出射された信号を受信したか否かを解析(判定)する(換言すると、各車両ドア102,103,104,105の車室外無線通信装置18が受信した電波に電子キー50により生成された信号が含まれるか否かを解析する)」という処理を、車外照合条件が成立している間、所定の周期で繰り返し実行する。
【0048】
電子キー50の電子キー制御装置53は、「リクエスト信号が担持された電波を受信したか否か(換言すると、受信した電波にリクエスト信号が担持されているか否か)を解析する」という処理を、所定の周期で繰り返し実行する。そして、電子キー制御装置53は、照合ECU22により生成されたリクエスト信号が担持された電波を無線通信装置52が受信すると、当該電子キー50のIDコードを含んだ信号を生成し、生成した信号が担持された電波を無線通信装置52に出射させる。また、電子キー制御装置53は、アンロックスイッチ51への操作を検出すると、リクエスト信号が担持された電波を無線通信装置52が受信したか否かにかかわらず、IDコードと「ドアロック装置11をロック状態からアンロック状態に切り替えることを要求する信号」を含む信号を生成し、生成した信号を担持した電波を無線通信装置52に出射させる。
【0049】
照合ECU22は、IDコードを含む信号が担持されている電波を受信した場合、この信号に含まれているIDコードが登録されている正規のIDコードと一致するか否か(換言すると、電子キー50がこの車両10に対応付けられた電子キー50であるか否か)を判定する。そして、照合ECU22は、この信号に含まれているIDコードが登録されている正規のIDコードと一致すると判定した場合、照合が成立したと判定する。すなわち、照合ECU22は、この車両10に対応付けられた電子キー50が、車両10から所定の範囲内に存在すると判定する。一方、照合ECU22は、IDコードを含む信号が担持された電波を受信しない場合と、IDコードを含む信号が担持された電波を受信したが当該信号に含まれているIDコードが正規のIDコードと一致しない場合(換言すると、電子キー50がこの車両10に対応付けられた電子キー50ではないと判定した場合)と、のいずれかの場合、照合が成立しないと判定する。すなわち、照合ECU22は、この車両10に対応付けられた電子キー50が、車両10から所定の範囲内に存在しないと判定する。
【0050】
照合ECU22によって照合が成立したと判定され、その後、照合が成立しないと判定されるまでの期間は、照合が成立している期間である。本実施形態では、この期間を、「照合成立期間」と記す。「照合成立期間」は、車両10に対応付けられている電子キー50が、車両10から所定の範囲内に存在する期間である、ということもできる。このような制御によれば、例えば、電子キー50を携帯している使用者が車両10に所定の距離以下に接近すると(車両10の近傍の所定の範囲内に入り込むと)照合が成立し、当該使用者が車両10から所定の距離超に離れると(前記所定の範囲の外側に移動すると)照合が不成立になる。
【0051】
照合ECU22は、照合成立期間内に各車室外ロックセンサ131へのタッチ操作を検出すると、アンロック要求信号を生成する。各車室外ロックセンサ131が静電容量式センサである場合、各車室外ロックセンサ131は、使用者の指等が接近したことを検出できる。このため、この場合には、「タッチ操作」には、使用者が指等を接触させたことのみならず、使用者が指等を接近させたことも含まれる。照合ECU22が生成するアンロック要求信号は、本発明の「第一操作部材が操作されたことを示す信号」の例である。また、各車室外ロックセンサ131へのタッチ操作によるアンロック要求信号は、本発明の第一アンロック要求信号の例である。照合ECU22は、生成したアンロック要求信号を、ボディECU21を介してドアロックECU23と各EラッチECU24に送信する。なお、この場合、照合ECU22は、アンロック要求信号に、車室外ロックセンサ131がタッチ操作されたことに応じて生成したことを示す情報を含ませる。このため、ドアロックECU23および各EラッチECU24は、このアンロック要求信号を受信することにより、各車室外ロックセンサ131へのタッチ操作があったことを検出できる。ドアロックECU23は、ボディECU21を経由して照合ECU22からアンロック要求信号を受信すると、各ドアロック装置11のロックアクチュエータ111を駆動することにより、各ドアロック装置11をロック状態からアンロック状態に切替える。
【0052】
なお、照合ECU22は、車室外無線通信装置18によりIDコードとドアロック装置11をロック状態からアンロック状態に切り替えることを要求する信号を含む信号が担持された電波を受信した場合にも、前記のように照合が成立したか否かを判定する。そして、照合ECU22は、照合が成立したと判定した場合、アンロック要求信号を生成し、生成したアンロック要求信号を、ボディECU21を介してドアロックECU23と各EラッチECU24に送信する。この場合のアンロック要求信号は、本発明の第二アンロック要求信号の例である。なお、この場合、照合ECU22は、アンロック要求信号(第二アンロック要求信号)に、電子キー50からドアロック装置11をロック状態からアンロック状態に切り替えることを要求する信号を受信したこと(換言すると、電子キー50のアンロックスイッチ51の操作)に応じて当該アンロック要求信号を生成したことを示す情報を含ませる。
【0053】
各EラッチECU24が実行する制御は、ドアロック装置11がアンロック状態であるか否かに応じて異なる。
【0054】
(1)各ドアロック装置がアンロック状態である場合
各EラッチECU24は、対応する車両ドア102,103,104,105のドアロック装置11がアンロック状態である間に車室外アンラッチスイッチ132がOFFからONに切替わったことを検出すると、対応する車両ドア102,103,104,105のドアロック装置11のロックアクチュエータ111を駆動することにより、当該ドアロック装置11のラッチ機構をラッチ状態からアンラッチ状態に切替える。その後、ボディECU21は、ラッチ機構がラッチ状態からアンラッチ状態に切替わったドアロック装置11の車両ドア102,103,104,105に対応するポップアップ装置12のポップアップアクチュエータ121を駆動することにより、当該車両ドア102,103,104,105のポップアップ動作を実行する。
【0055】
(2)各ドアロック装置がロック状態である場合
各EラッチECU24は、対応する車両ドア102,103,104,105のドアロック装置11がロック状態である間に車室外アンラッチスイッチ132がOFFからONに切替わったことを検出すると、車室外アンラッチスイッチ132がOFFからONに切替わった時点からの経過時間の計測を開始する。そして、その後の各EラッチECU24の制御は、以下のように場合に応じて異なる。以下、「車室外アンラッチスイッチ132がOFFからONに切替わった時点からの所定時間が経過するまでの間」を「アンロック操作待機期間」と称する。このアンロック操作待機期間は、車室外アンラッチスイッチ132のON状態が保持されている保持時間と言うこともできる。
【0056】
(2-1)アンロック操作待機期間中に、ドアロックECUが車室外ロックセンサ131へのタッチ操作によるアンロック要求信号を受信した場合
この場合、各EラッチECU24は、タッチ操作が検出された車室外ロックセンサ131に対応する車両ドア102,103,104,105のドアロック装置11のラッチ機構を、ラッチ状態からアンラッチ状態に切替える。なお、前記のとおり、照合ECU22は、車室外ロックセンサ131がタッチ操作されたことに応じてアンロック要求信号を生成した場合、当該アンロック要求信号に、車室外ロックセンサ131がタッチ操作されたことにことより生成したことを示す情報を含ませる。したがって、各EラッチECU24は、この情報の有無に基づいて、受信したアンロック要求信号が車室外ロックセンサ131へのタッチ操作によるアンロック要求信号であるか否かを判定できる。
【0057】
(2-2)アンロック操作待機期間中に車室外ロックセンサ131へのタッチ操作によらないアンロック要求信号を受信した場合
「車室外ロックセンサ131へのタッチ操作によらないアンロック要求信号」は、「電子キー50のアンロックスイッチ51が操作されたことによるアンロック要求信号」と「車室内ロックスイッチ141が操作されたことによるアンロック要求信号」とのいずれかである。各EラッチECU24は、これらのアンロック要求信号を受信した場合、ラッチ機構をラッチ状態からアンラッチ状態に切替えない。ただし、ドアロックECU23は、これらのアンロック要求信号を受信すると各ドアロック装置11をロック状態からアンロック状態に切替える。このため、各EラッチECU24は、その後に車室外アンラッチスイッチ132がOFFからONに切替わったことを検出した場合、対応する車両ドア102,103,104,105のドアロック装置11のラッチ機構をラッチ状態からアンラッチ状態に切替える。
【0058】
(2-3)アンロック操作待機期間中にアンロック要求信号を受信しなかった場合
この場合、各EラッチECU24は、車室外アンラッチスイッチ132がOFFからONに切替わったことを検出したにもかかわらず、対応する車両ドア102,103,104,105のドアロック装置11のラッチ機構をラッチ状態からアンラッチ状態に切替えない。
【0059】
次に、照合成立期間内に使用者が1つの車両ドアのアウトサイドドアハンドル装置13のアウトサイドハンドルグリップを操作した(握った)場合のドア開装置20の動作について説明する。
図2は、この場合のドア開装置20の動作を示すタイムチャートである。
【0060】
図2の時点t
101は、照合ECU22が車室外ロックセンサ131へのタッチ操作を検出した時点である。時点t
103は、EラッチECU24が車室外アンラッチスイッチ132のOFFからONへの切替わりを検出した時点である。時点t
104は、照合ECU22が車室外ロックセンサ131へのタッチ操作が無くなったこと検出した時点、およびEラッチECU24が車室外アンラッチスイッチ132のONからOFFへの切替わりを検出した時点である。例えば時点t
104は、使用者がアウトサイドハンドルグリップから手を離した時点またはその直後の時点である。
【0061】
前述のとおり、使用者がアウトサイドハンドルグリップに指を掛ける動作により、使用者の指が車室外ロックセンサ131に接触し、その後、使用者によるアウトサイドハンドルグリップを握る動作により、車室外アンラッチスイッチ132がOFFからONに切替わる。このため、
図2に示すように、EラッチECU24が車室外アンラッチスイッチ132のOFFからONへの切替わりを検出した時点t
103は、照合ECU22が車室外ロックセンサ131へのタッチ操作を検出した時点t
101よりも遅い時点になる。
【0062】
照合ECU22は、車室外ロックセンサ131へのタッチ操作を検出すると、アンロック要求信号を生成する。そして、照合ECU22は、生成したアンロック要求信号を、ボディECU21を介してドアロックECU23および各EラッチECU24に送信する。ドアロックECU23は、アンロック要求信号を受信すると、ドアロック装置11のロックアクチュエータ111を駆動することにより、ドアロック装置11をロック状態からアンロック状態に切替える。時点t
102は、ドアロックECU23がアンロック要求信号を受信し、ドアロック装置11をロック状態からアンロック状態に切替えた時点である。この時点t
102は、「ドアロックECU23および各EラッチECU24が車室外ロックセンサ131へのタッチ操作を検出した時点」ということもできる。本実施形態では、アンロック要求信号は、照合ECU22によって生成され、ボディECU21を介してドアロックECU23および各EラッチECU24に送信される。このため、
図2に示すように、ドアロックECU23および各EラッチECU24がドアロック要求信号を受信した時点t
102(ドアロックECU23および各EラッチECU24が車室外ロックセンサ131へのタッチ操作を検出した時点)は、照合ECU22が車室外ロックセンサ131へのタッチ操作を検出した時点t
101よりも遅くなる。
【0063】
各EラッチECU24は、車室外アンラッチスイッチ132がOFFからONに切替わったことを検出すると(時点t103)、対応する車両ドア102,103,104,105のドアロック装置11のロックアクチュエータ111を駆動することにより、当該ドアロック装置11のラッチ機構をラッチ状態からアンラッチ状態に切替える。なお、車室外アンラッチスイッチ132は各EラッチECU24に接続されている。このため、各EラッチECU24は、車室外アンラッチスイッチ132がOFFからONに切替わったことを短時間で(またはほぼ瞬間的)に検出できる。その後、ボディECU21は、ポップアップ装置12のポップアップアクチュエータ121を駆動することにより、対応する車両ドア102,103,104,105のポップアップ動作を実行する。このように、使用者がアウトサイドハンドルグリップを操作した場合、車室外アンラッチスイッチ132がOFFからONに切替わった時点t103においてドアロック装置11がアンロック状態であると、ドアロック装置11のラッチ機構はラッチ状態からアンラッチ状態に切替わる。
【0064】
ところで、使用者のアウトサイドハンドルグリップの操作速度が速くなると、「使用者の指が車室外ロックセンサ131に接触してから車室外アンラッチスイッチ132がOFFからONに切替わるまでの時間」が短くなる。そして、この時間が「使用者の指が車室外ロックセンサ131に接触してからドアロックECU23および各EラッチECU24がアンロック要求信号を受信するまでの時間(または、ドアロック装置11がアンロック状態に切替わるまでの時間)」よりも短くなると、
図2の時点t
103が時点t
102よりも前になることがある。すなわち、各EラッチECU24が車室外アンラッチスイッチ132のOFFからONへの切替わりを検出した時点(時点t
103)では、ドアロックECU23および各EラッチECU24は、まだ車室外ロックセンサ131に対するタッチ操作を検出していない。このため、この場合、各EラッチECU24が車室外アンラッチスイッチ132のOFFからONへの切替わりを検出した時点(時点t
103)では、ドアロック装置11はロック状態であり、まだアンロック状態に切替わっていない。したがって、単に「ドアロック装置11がロック状態である間に車室外アンラッチスイッチ132がONになった場合、ラッチ機構をアンラッチ状態に切替えない」という制御では、このような場合に車両ドア102,103,104,105が開かない。すなわち、使用者は、車室外ロックセンサ131と車室外アンラッチスイッチ132とを正規の順序で操作しているにもかかわらず、車両ドア102,103,104,105を開けることができない。
【0065】
そこで、本実施形態に係るドア開装置20は、このような場合であっても車両ドア102,103,104,105が開くように、
図3に示す制御を実行する。
図3において、時点t
201は、照合ECU22が車室外ロックセンサ131へのタッチ操作を検出した時点であり、時点t
202は、EラッチECU24が車室外アンラッチスイッチ132のOFFからONへの切替わりを検出した時点である。なお、時点t
204は、照合ECU22が車室外ロックセンサ131へのタッチ操作が無くなったことを検出した時点、および車室外アンラッチスイッチ132がONからOFFに切替わったことを検出した時点である。これらの時点t
201、時点t
202およびt
204は、それぞれ
図2の時点t
101、t
103およびt
104に対応する。ただし、使用者の操作速度が
図2に示す場合よりも速いため、時点t
201から時点t
202までの時間は、
図2に示す時点t
101から時点t
103までの時間よりも短い。このため、ドアロックECU23および各EラッチECU24がアンロック要求信号を受信した時点t
203は、車室外アンラッチスイッチ132がONになったことが検出された時点t
202よりも後である。すなわち、EラッチECU24が車室外アンラッチスイッチ132のOFFからONへの切替わりを検出した時点t
202では、ドアロック装置11はロック状態である。
【0066】
各EラッチECU24は、時点t202において(すなわち、ドアロック装置11はがロック状態である間に)車室外アンラッチスイッチ132のOFFからONへの切替わりを検出すると、この時点t202からの経過時間の計測を開始する。時点t205は、この時点から所定の時間が経過した時点を示す。この時点t202から時点t205までの間が「アンロック操作待機期間」である。
【0067】
各EラッチECU24は、アンロック操作待機期間中にアウトサイドドアハンドル装置13の車室外ロックセンサ131へのタッチ操作によるアンロック要求信号を受信した場合、タッチ操作された車室外ロックセンサ131に対応する車両ドア102.103,104,105のドアロック装置11のラッチ機構を、ラッチ状態からアンラッチ状態に切替える。この制御が、上記(2-1)の制御に対応する。
【0068】
なお、特開2021-85292号公報に開示されている車両用ドアロック装置は、ロック状態であっても、アクチュエータを駆動することによりラッチ機構をラッチ状態からアンラッチ状態に切替えることができるように構成される。このため、各ドアロック装置11がこのような構成を備える場合、時点t203において、ドアロックECU23が前記の対応する車両ドア102,103,104,105のドアロック装置11をロック状態からアンロック状態に切替えることなく、各EラッチECU24がラッチ機構をラッチ状態からアンラッチ状態に切替える。ただし、ドアロック装置11が、ロック状態からアンロック状態に切替わった後でなければラッチ機構をラッチ状態からアンラッチ状態に切替えることができないように構成される場合、ドアロックECU23は、時点t203においてドアロック装置11をロック状態からアンロック状態に切替え、引き続いて各EラッチECU24はドアロック装置11をラッチ状態からアンラッチ状態に切替える。
【0069】
一方、各EラッチECU24は、アンロック操作待機期間中に、アウトサイドドアハンドル装置13の車室外ロックセンサ131へのタッチ操作によらないアンロック要求信号を受信した場合、ラッチ機構をラッチ状態からアンラッチ状態に切替えない。「アウトサイドドアハンドル装置13の車室外ロックセンサ131へのタッチ操作によらないアンロック要求信号」は、電子キー50のアンロックスイッチ51の操作によるアンロック要求信号と、車室内ロックスイッチ141の操作によるアンロック要求信号である。この制御が、上記(2-2)の制御に対応する。また、各EラッチECU24は、アンロック操作待機期間中にアンロック要求信号を受信しなかった場合、ドアロック装置11をラッチ状態に維持する。この制御が、上記(2-3)に対応する。
【0070】
このような制御によれば、「使用者の指が車室外ロックセンサ131に接触してからドアロックECU23および各EラッチECU24が車室外アンラッチスイッチ132のOFFからONへの切替わりを検出するまでの時間」が「使用者の指が車室外ロックセンサ131に接触してからドアロックECU23および各EラッチECU24がアンロック要求信号を受信するまでの時間(ドアロックECU23および各EラッチECU24が車室外ロックセンサ131へのタッチ操作を検出するまでの時間)」よりも短い場合であっても、使用者は車両ドア102,103,104,105を開けることができる。すなわち、使用者は、車室外ロックセンサ131と車室外アンラッチスイッチ132とを正規の順序で操作することにより、操作速度にかかわらず(特に操作速度が速い場合であっても)、車両ドア102,103,104,105を開けることができる。
【0071】
なお、各EラッチECU24は、アンロック操作待機期間中にアンロック要求信号を受信せずにアンロック操作待機期間の終了後(換言すると、アンロック操作待機期間の期間外)にアンロック要求信号を受信した場合、アンラッチ状態に切替えない。
【0072】
次に、電子キー50を携帯していない車外の使用者Aがアウトサイドハンドルグリップを操作し、その後、車室外無線通信装置18の出射する電波の届かない位置に存在する使用者Bが電子キー50のアンロックスイッチ51を操作した場合を想定する。この場合、単に、「各EラッチECU24は、アンロック操作待機期間中にアンロック要求信号を受信した場合、ドアロック装置11のラッチ機構をラッチ状態からアンラッチへ切替える」という制御では、使用者の意図しない時点でドアロック装置11がアンラッチ状態に切替わることがある。例えば、使用者Aが、電子キー50を携帯していないにもかかわらず、携帯していると思い込み、アウトサイドハンドルグリップを操作したとする。そして、使用者Aは、アウトサイドハンドルグリップの操作によって車両ドアが開かないため、自身が電子キー50を携帯していないことに気が付き、電子キー50を取りに行くため車両10から離れたとする。このとき、電子キー50を携帯している使用者Bが、電子キー50のアンロックスイッチ51を操作すると、ドアロック装置11がラッチ状態からアンラッチ状態に切替わることがある。この場合、使用者Aの意図しない時点でドアロック装置11のラッチ機構がラッチ状態からアンラッチ状態に切替わる。そこで、本実施形態では、各EラッチECU24がアンロック操作待機期間中に受信したアンロック要求信号が、車室外ロックセンサ131の操作によるアンロック要求信号ではない場合、EラッチECU24は、ドアロック装置11をロック状態からアンロック状態に切替えない。ただし、ドアロックECU23は、アンロック要求信号を受信すると、ドアロック装置11をロック状態からアンロック状態に切替える。
【0073】
図4は、このような場合におけるドア開装置20の動作を示すタイムチャートである。時点t
301は、ドアロックECU23および各EラッチECU24が、使用者Aのアウトサイドハンドルグリップの操作による車室外ロックセンサ131へのタッチ操作を検出した時点である。時点t
302は、ドアロックECU23およびEラッチECU24が使用者Aのアウトサイドハンドルグリップの操作による車室外アンラッチスイッチ132のOFFからONへの切替わりを検出した時点である。時点t
303は、照合ECU22が車室外ロックセンサ131へのタッチ操作が無くなったことを検出した時点、および、EラッチECU24が車室外アンラッチスイッチ132のONからOFFに切替わりを検出した時点である。
【0074】
電子キー50を携帯している使用者Bが車室外無線通信装置18の出射する電波の届かない位置に存在すると、使用者Aが車室外ロックセンサ131をタッチ操作した時点t301においては、照合ECU22は照合を成立させない。このため、照合ECU22は、使用者Aの車室外ロックセンサ131へのタッチ操作によってはアンロック要求信号を生成しない。したがって、各ドアロック装置11はロック状態に維持される。そして、各EラッチECU24は、時点t302においては各ドアロック装置11がロック状態であるため、この時点において車室外アンラッチスイッチ132がOFFからONに切替わったことを検出すると、アンロック操作待機期間を開始する。時点t305は、アンロック操作待機期間の終了の時点である。
【0075】
時点t304は、EラッチECU24が使用者Bの電子キー50のアンロックスイッチ51の操作によるアンロック要求信号を受信した時点である。この時点t304は、アンロック操作待機期間中である。しかしながら、EラッチECU24は、受信したアンロック要求信号が車室外ロックセンサ131への操作によるアンロック要求信号ではないため、ドアロック装置11はラッチ状態に維持される。
【0076】
ただし、ドアロックECU23は、使用者Bの電子キー50のアンロックスイッチ51の操作によるアンロック要求信号を受信すると、ドアロック装置11をロック状態からアンロック状態に切替える。このため、EラッチECU24は、時点t304の後に車室外アンラッチスイッチ132のOFFからONへの切替わりを検出すると、この車室外アンラッチスイッチ132に対応する車両ドア102,103,104,105のドアロック装置11のラッチ機構を、ラッチ状態からアンラッチ状態に切替える。すなわち、時点t304の後に、再度、車室外アンラッチスイッチ132がOFFからONに切替わった場合、使用者は再度OFFからONに切替わった車室外アンラッチスイッチ132に対応する車両ドア102,103,104,105を開けたいという意図を有しているとみなせる。このため、この場合には、EラッチECU24は、再度OFFからONに切替わった車室外アンラッチスイッチ132に対応する車両ドア102,103,104,105のドアロック装置11のラッチ機構を、ラッチ状態からアンラッチ状態に切替える。これにより、使用者の意図に応じてドアロック装置11をロック状態からアンロック状態に切替えることができる。
【0077】
なお、アンロック操作待機期間の長さは2秒以上、4秒以下であることが好ましく、約3秒であることがより好ましい。この理由は次のとおりである。照合ECU22は、車室外ロックセンサ131へのタッチ操作を検出している間、所定の周期(例えば250ms周期)でアンロック要求信号の送信を繰り替えす。このため、アンロック操作待機期間の長さが短すぎると、CANの状況によっては、ドアロックECU23および各EラッチECU24がアンロック要求信号を取りこぼすおそれがある。そこで、ドアロックECU23および各EラッチECU24によるアンロック要求信号の受信の確実性を高めるため、アンロック操作待機期間の長さをある程度長くすることが好ましい。そして、アンロック操作待機期間の長さが2秒以上であると、ドアロックECU23および各EラッチECU24によるアンロック要求信号の受信の確実性を高めることができる。一方、アンロック操作待機期間の長さが長すぎても、ドアロックECU23および各EラッチECU24によるアンロック要求信号の受信の確実性を高める効果は変わらない。このため、アンロック操作待機期間の長さは4秒以下であることが好ましい。
【0078】
(アンラッチルーチン)
次に、各EラッチECU24が実行するアンラッチルーチンについて説明する。
図5は、各EラッチECU24が実行するアンラッチルーチンの例を示すフローチャートである。各EラッチECU24は、ドアロック装置11がラッチ状態である間、
図6に示すアンラッチルーチンを、所定の周期で繰り返し継続して実行する。
【0079】
ステップS101において、各EラッチECU24は、対応する車両ドア102,103,104,105のドアロック装置11のラッチ機構をラッチ状態からアンラッチ状態に切替えるための操作(以下、アンラッチ操作と記す)があったか否かを判定する。具体的には、各EラッチECU24は、対応する車両ドア102,103,104,105の車室外アンラッチスイッチ132と車室内アンラッチスイッチ142の何れかがOFFからONに切替わったか(操作されたか)否かを判定する。そして、各EラッチECU24は、車室外アンラッチスイッチ132と車室内アンラッチスイッチ142の何れもOFFのままである場合、アンラッチ操作はないと判定する。この場合、各EラッチECU24は、このアンラッチルーチンをいったん終了する。一方、各EラッチECU24は、車室外アンラッチスイッチ132と車室内アンラッチスイッチ142の少なくとも一方がONになったことを検出した場合、アンラッチ操作があったと判定する。この場合、各EラッチECU24は、処理をステップS102に進める。
【0080】
ステップS102において、各EラッチECU24は、対応する車両ドア102,103,104,105のドアロック装置11がロック状態であるか否かを判定する。例えば、各EラッチECU24は、ドアロックECU23から対応する車両ドア102,103,104,105のドアロック装置11のポジションスイッチ112の検出結果に基づいた判定結果を取得する。各EラッチECU24は、対応する車両ドア102,103,104,105のドアロック装置11がアンロック状態である場合、処理をステップS103に進める。一方、各EラッチECU24は、対応する車両ドア102,103,104,105のドアロック装置11がロック状態である場合、処理をステップS104に進める。
【0081】
ステップS103において、各EラッチECU24は、対応する車両ドア102,103,104,105のドアロック装置11のロックアクチュエータ111を駆動し、対応する車両ドア102,103,104,105のドアロック装置11のラッチ機構をラッチ状態からアンラッチ状態に切替える。そして、このアンラッチルーチンを終了する。なお、この後、ボディECU21が、ステップS101においてアンラッチ操作が検出された車両ドア102,103,104,105に対応するポップアップ装置12のポップアップアクチュエータ121を駆動することにより、当該車両ドア102,103,104,105のポップアップ動作を実行する。
【0082】
ステップS104において、各EラッチECU24は、ステップS101で検出されたアンラッチ操作が車室外アンラッチスイッチ132への操作であるか否かを判定する。そして、各EラッチECU24は、アンラッチ操作が車室外アンラッチスイッチ132への操作ではない場合(車室内アンラッチスイッチ142への操作である場合)、このアンラッチルーチンをいったん終了する。一方、各EラッチECU24は、アンラッチ操作が車室外アンラッチスイッチ132への操作である場合、処理をステップS105に進める。
【0083】
ステップS105において、各EラッチECU24は、アンロック操作待機期間を開始する。具体的には、各EラッチECU24は、ステップS101においてアンラッチ操作があったと判定した時点からの経過時間の計測を開始する。そして、各EラッチECU24は、処理をステップS106に進める。
【0084】
ステップS106において、各EラッチECU24は、照合ECU22からボディECU21を介してアンロック要求信号を受信したか否かを判定する。そして、各EラッチECU24は、照合ECU22からボディECU21を介してアンロック要求信号を受信していないと判定した場合、処理をステップS107に進める。一方、各EラッチECU24は、照合ECU22からボディECU21を介してアンロック要求信号を受信したと判定した場合、処理をステップS108に進める。
【0085】
ステップS107において、各EラッチECU24は、アンロック操作待機期間を終了する条件である終了条件が成立したか否かを判定する。具体的には、各EラッチECU24は、ステップS101においてアンラッチ操作を検出した時点から所定時間が経過していない場合、終了条件が成立していないと判定する。一方、各EラッチECU24は、ステップS101においてアンラッチ操作を検出した時点から所定時間が経過した場合、終了条件が成立したと判定する。そして、各EラッチECU24は、終了条件が成立していないと判定した場合、処理をステップS106に戻し、終了条件が成立したと判定した場合、このアンラッチルーチンをいったん終了する。このように、各EラッチECU24は、アンロック操作待機期間中は、照合ECU22からボディECU21を介してアンロック要求信号を受信したか否かの判定を継続的に実行する。
【0086】
ステップS108において、各EラッチECU24は、ステップS106において受信したアンロック要求信号が車室外ロックセンサ131への操作よるものであるか否かを判定する。このアンロック要求信号が車室外ロックセンサ131へのタッチ操作よるものではない場合、各EラッチECU24は、このアンラッチルーチンをいったん終了する。一方、このアンロック要求信号が車室外ロックセンサ131へのタッチ操作によるものである場合、EラッチECU24は、処理をステップS103に進めて、対応する車両ドア102,103,104,105のドアロック装置11のロックアクチュエータ111を駆動し、対応する車両ドア102,103,104,105のドアロック装置11のラッチ機構をラッチ状態からアンラッチ状態に切替える。そして、このアンラッチルーチンを終了する。
【0087】
なお、ステップS106からステップS108に進んだ場合、ドアロックECU23もアンロック要求信号を受信する。このアンロック要求信号が車室外ロックセンサ131への操作よるアンロック要求信号でなかった場合であっても、ドアロックECU23は、ドアロック装置11をロック状態からアンロック状態に切替える。
【0088】
このようなアンラッチルーチンによれば、上記ドア開制御が実現する。
【0089】
具体的には、使用者があるアウトサイドハンドルグリップを操作した場合、前記のとおり、まず使用者の指が車室外ロックセンサ131に接触し、次いで、車室外アンラッチスイッチ132がOFFからONに切替わる。そして、使用者による当該アウトサイドハンドルグリップの操作速度が遅く、当該アウトサイドハンドルグリップが設けられている車両ドア102,103,104,105に対応するEラッチECU24が車室外アンラッチスイッチ132のOFFからONへの切替わりを検出した時点でドアロック装置11がロック状態からアンロック状態に切替わっていた場合(ステップS101において「Yes」、かつ、ステップS102において「Yes」)、当該EラッチECU24はドアロック装置11のラッチ機構をラッチ状態からアンラッチ状態に切替える(ステップS103)。
【0090】
また、使用者によるアウトサイドハンドルグリップの操作速度が速い場合、当該アウトサイドハンドルグリップが設けられている車両ドア102,103,104,105に対応するEラッチECU24が車室外アンラッチスイッチ132のOFFからONへの切替わりを検出した時点で、ドアロック装置11がロック状態からアンロック状態に切替わっていない(ステップS101において「Yes」、ステップS102において「No」、かつ、ステップS104において「Yes」)。このため、当該EラッチECU24はアンロック操作待機期間を開始する(ステップS105)。そして、当該EラッチECU24は、アンロック操作待機期間中にアンロック要求信号を受信し(ステップS106において「Yes」)、かつ、受信したアンロック要求信号が車室外ロックセンサ131の操作によるものである場合(ステップS108において「Yes」)、EラッチECU24はドアロック装置11をアンラッチ状態に切替える(ステップS103)。
【0091】
一方、EラッチECU24は、アンロック操作待機期間中に受信したアンロック要求信号が車室外ロックセンサ131の操作によるものでない場合(ステップS108において「No」)、EラッチECU24はドアロック装置11をアンラッチ状態に切替えない。ただしこの場合、ドアロックECU23は、ドアロック装置11をロック状態からアンロック状態に切替える。
【0092】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されない。本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲において改変が可能であり、それらも本発明の技術的範囲に含まれる。
【0093】
例えば、前記実施形態では、各車両ドア102,103,104,105にポップアップ装置12が設けられる構成を示したが、ポップアップ装置12が設けられていなくてもよい。この場合、例えば、アンラッチ状態の車両ドアが、その車両ドアに設けられているウェザーストリップの弾性反力などによって、自動的にポップアップするように構成することもできる。
【0094】
また、前記実施形態では、報知装置がインジケータ17(方向指示器)および車室内ロックインジケータ16である例を示したが、報知装置はこれらの装置に限定されない。報知装置として、インジケータ17(方向指示器)および車室内ロックインジケータ16以外の装置が適用されてもよい。また、報知装置の動作も、前記実施形態に記載の動作に限定されない。例えば、報知装置にアウトサイドドアハンドルイルミネーション15が含まれてもよい。この場合、各EラッチECU24は、対応する車両ドア102,103,104,105のドアロック装置がロック状態からアンロック状態に切り替わったことを検出すると、アウトサイドドアハンドルイルミネーション15の光源を点滅させる、発光色を変化させる、などの制御を実行する。
【符号の説明】
【0095】
10…車両、11…ドアロック装置、13…アウトサイドドアハンドル装置、20…ドア開装置、21…ボディECU、22…照合ECU、23…ドアロックECU、24…EラッチECU、101…車体、102,103,104,105…車両ドア、131…車室外ロックセンサ、132…車室外アンラッチスイッチ