(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-22
(45)【発行日】2024-01-05
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 13/42 20060101AFI20231225BHJP
H01R 13/631 20060101ALI20231225BHJP
【FI】
H01R13/42 E
H01R13/631
(21)【出願番号】P 2021171271
(22)【出願日】2021-10-20
【審査請求日】2023-02-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】中野 克哉
(72)【発明者】
【氏名】曽根 隆
【審査官】高橋 学
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/207651(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/40-13/533
H01R 13/631
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
相手方端子金具に対して物理的且つ電気的に接続させる端子接続部を有する端子金具と、
前記端子金具を内方の端子収容室に端子挿入方向に沿って挿入させ且つ収容させる端子収容部が設けられたハウジングと、
前記端子収容部に対する組付け完了位置で前記端子収容部に保持させ、かつ、前記組付け完了位置で前記端子挿入方向とは逆向きの端子抜去方向に向けた前記端子収容部に対する前記端子金具の動きを係止する抜け止め部材と、
を備え、
前記端子収容室は、前記端子挿入方向に対して直交する調芯方向へと前記端子金具を相対移動させ得る室内空間に形成され、
前記抜け止め部材は、前記組付け完了位置で前記端子金具の被係止部に対して前記端子抜去方向側に対向配置させ、前記被係止部の前記端子抜去方向への動きを係止する端子係止部を有し、
前記端子金具は、前記組付け完了位置の前記抜け止め部材の前記端子係止部を収容させ、かつ、自身を前記端子係止部に対して前記調芯方向に相対移動させ得る抜け止め収容部を
有し、
前記端子接続部は、前記端子挿入方向に沿う嵌合接続方向で前記相手方端子金具の相手方端子接続部に対して嵌合接続させるものとして形成され、かつ、前記相手方端子接続部を前記端子抜去方向に差し込ませる筒状の雌端子形状に形成され、
前記抜け止め収容部は、前記端子接続部における前記端子挿入方向と前記調芯方向とに対する直交方向のそれぞれの側壁に当該側壁を切り欠いて形成され、
前記端子金具の前記被係止部としては、前記抜け止め収容部の前記端子挿入方向側の周壁を利用し、
前記抜け止め部材は、前記端子係止部を前記抜け止め収容部毎に有することを特徴としたコネクタ。
【請求項2】
前記抜け止め部材は、前記端子収容部に保持させる被保持部と、前記端子収容部に対する前記端子抜去方向への動きを前記端子収容部に係止させる被係止部と、を有し、
前記端子収容部は、前記抜け止め部材を一方の前記調芯方向に向けた抜け止め挿入方向で前記端子収容室に挿入させる抜け止め挿入孔と、前記組付け完了位置の前記抜け止め部材の前記被保持部に対して前記抜け止め挿入方向とは逆向きの抜け止め抜去方向に対向配置させ、前記被保持部の前記抜け止め抜去方向への動きを係止する抜け止め保持部と、前記組付け完了位置の前記抜け止め部材の前記被係止部に対して前記端子抜去方向側に対向配置させ、前記抜け止め部材の前記被係止部の前記端子抜去方向への動きを係止する抜け止め係止部と、を有することを特徴とした請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
相手方端子金具に対して物理的且つ電気的に接続させる端子接続部を有する端子金具と、
前記端子金具を内方の端子収容室に端子挿入方向に沿って挿入させ且つ収容させる端子収容部が設けられたハウジングと、
前記端子収容部に対する組付け完了位置で前記端子収容部に保持させ、かつ、前記組付け完了位置で前記端子挿入方向とは逆向きの端子抜去方向に向けた前記端子収容部に対する前記端子金具の動きを係止する抜け止め部材と、
を備え、
前記端子収容室は、前記端子挿入方向に対して直交する調芯方向へと前記端子金具を相対移動させ得る室内空間に形成され、
前記抜け止め部材は、前記組付け完了位置で前記端子金具の被係止部に対して前記端子抜去方向側に対向配置させ、前記被係止部の前記端子抜去方向への動きを係止する端子係止部と、前記端子収容部に保持させる被保持部と、前記端子収容部に対する前記端子抜去方向への動きを前記端子収容部に係止させる被係止部と、を有し、
前記端子金具は、前記組付け完了位置の前記抜け止め部材の前記端子係止部を収容させ、かつ、自身を前記端子係止部に対して前記調芯方向に相対移動させ得る抜け止め収容部を有し、
前記端子収容部は、
前記抜け止め部材を一方の前記調芯方向に向けた抜け止め挿入方向で前記端子収容室に挿入させる抜け止め挿入孔と、前記組付け完了位置の前記抜け止め部材の前記被保持部に対して前記抜け止め挿入方向とは逆向きの抜け止め抜去方向に対向配置させ、前記被保持部の前記抜け止め抜去方向への動きを係止する抜け止め保持部と、前記組付け完了位置の前記抜け止め部材の前記被係止部に対して前記端子抜去方向側に対向配置させ、前記抜け止め部材の前記被係止部の前記端子抜去方向への動きを係止する抜け止め係止部と、前記端子収容室を成す壁体であり、前記調芯方向で互いに間隔を空けて対向配置された
第1壁体及び第2壁体と、を有し、
前記第1壁体は、前記抜け止め挿入孔を有すると共に、前記抜け止め係止部として前記抜け止め挿入孔の前記端子抜去方向側の周壁を利用し、
前記第2壁体は、前記被保持部を前記端子収容室から室外に挿通させる抜け止め挿通孔を有すると共に、前記抜け止め保持部として前記抜け止め挿通孔の周壁を利用することを特徴とし
たコネクタ。
【請求項4】
前記抜け止め部材は、前記第2壁体の前記抜け止め保持部に係止させる一方の前記被保持部とは別に設けて、前記端子収容部に保持させる他方の被保持部を有し、
前記端子収容部は、前記第2壁体に設けた一方の前記抜け止め保持部の他に、前記組付け完了位置の前記抜け止め部材の他方の前記被保持部に対して前記抜け止め抜去方向に対向配置させ、他方の前記被保持部の前記抜け止め抜去方向への動きを係止する他方の抜け止め保持部を前記第1壁体に有することを特徴とした請求項3に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記端子接続部は、前記端子挿入方向に沿う嵌合接続方向で前記相手方端子金具の相手方端子接続部に対して嵌合接続させるものとして形成されることを特徴とした
請求項3又は4に記載のコネクタ。
【請求項6】
前記端子接続部は、前記相手方端子接続部を前記端子抜去方向に差し込ませる筒状の雌端子形状に形成され、
前記抜け止め収容部は、前記端子接続部における前記端子挿入方向と前記調芯方向とに対する直交方向のそれぞれの側壁に当該側壁を切り欠いて形成され、
前記端子金具の前記被係止部としては、前記抜け止め収容部の前記端子挿入方向側の周壁を利用し、
前記抜け止め部材は、前記端子係止部を前記抜け止め収容部毎に有することを特徴とした請求項5に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
コネクタは、端子金具が相手方端子金具に対して設計上の所定の位置に置かれなければ、端子金具と相手方端子金具との間の電気的な接続品質が得られなかったり、相手方との部品間で過負荷を生じさせたりしてしまう可能性がある。よって、従来のコネクタにおいては、ハウジングに対して端子金具を相対移動可能な状態で収容し、その端子金具の相手方端子金具に対する物理的な位置関係を調整できるように構成しておくことがある。例えば、下記の特許文献1には、そのような端子金具の調芯機能を持ったコネクタについて開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、コネクタにおいては、調芯機能を端子金具に設けるために、この端子金具をハウジングに如何にして調芯方向への相対移動が可能な状態で保持させるのかが課題として現れる。
【0005】
そこで、本発明は、端子金具の調芯機能と保持機能とが併設されたコネクタを提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成する為、本発明は、相手方端子金具に対して物理的且つ電気的に接続させる端子接続部を有する端子金具と、前記端子金具を内方の端子収容室に端子挿入方向に沿って挿入させ且つ収容させる端子収容部が設けられたハウジングと、前記端子収容部に対する組付け完了位置で前記端子収容部に保持させ、かつ、前記組付け完了位置で前記端子挿入方向とは逆向きの端子抜去方向に向けた前記端子収容部に対する前記端子金具の動きを係止する抜け止め部材と、を備え、前記端子収容室は、前記端子挿入方向に対して直交する調芯方向へと前記端子金具を相対移動させ得る室内空間に形成され、前記抜け止め部材は、前記組付け完了位置で前記端子金具の被係止部に対して前記端子抜去方向側に対向配置させ、前記被係止部の前記端子抜去方向への動きを係止する端子係止部を有し、前記端子金具は、前記組付け完了位置の前記抜け止め部材の前記端子係止部を収容させ、かつ、自身を前記端子係止部に対して前記調芯方向に相対移動させ得る抜け止め収容部を有し、前記端子接続部は、前記端子挿入方向に沿う嵌合接続方向で前記相手方端子金具の相手方端子接続部に対して嵌合接続させるものとして形成され、かつ、前記相手方端子接続部を前記端子抜去方向に差し込ませる筒状の雌端子形状に形成され、前記抜け止め収容部は、前記端子接続部における前記端子挿入方向と前記調芯方向とに対する直交方向のそれぞれの側壁に当該側壁を切り欠いて形成され、前記端子金具の前記被係止部としては、前記抜け止め収容部の前記端子挿入方向側の周壁を利用し、前記抜け止め部材は、前記端子係止部を前記抜け止め収容部毎に有することを特徴としている。また、本発明は、相手方端子金具に対して物理的且つ電気的に接続させる端子接続部を有する端子金具と、前記端子金具を内方の端子収容室に端子挿入方向に沿って挿入させ且つ収容させる端子収容部が設けられたハウジングと、前記端子収容部に対する組付け完了位置で前記端子収容部に保持させ、かつ、前記組付け完了位置で前記端子挿入方向とは逆向きの端子抜去方向に向けた前記端子収容部に対する前記端子金具の動きを係止する抜け止め部材と、を備え、前記端子収容室は、前記端子挿入方向に対して直交する調芯方向へと前記端子金具を相対移動させ得る室内空間に形成され、前記抜け止め部材は、前記組付け完了位置で前記端子金具の被係止部に対して前記端子抜去方向側に対向配置させ、前記被係止部の前記端子抜去方向への動きを係止する端子係止部と、前記端子収容部に保持させる被保持部と、前記端子収容部に対する前記端子抜去方向への動きを前記端子収容部に係止させる被係止部と、を有し、前記端子金具は、前記組付け完了位置の前記抜け止め部材の前記端子係止部を収容させ、かつ、自身を前記端子係止部に対して前記調芯方向に相対移動させ得る抜け止め収容部を有し、前記端子収容部は、前記抜け止め部材を一方の前記調芯方向に向けた抜け止め挿入方向で前記端子収容室に挿入させる抜け止め挿入孔と、前記組付け完了位置の前記抜け止め部材の前記被保持部に対して前記抜け止め挿入方向とは逆向きの抜け止め抜去方向に対向配置させ、前記被保持部の前記抜け止め抜去方向への動きを係止する抜け止め保持部と、前記組付け完了位置の前記抜け止め部材の前記被係止部に対して前記端子抜去方向側に対向配置させ、前記抜け止め部材の前記被係止部の前記端子抜去方向への動きを係止する抜け止め係止部と、前記端子収容室を成す壁体であり、前記調芯方向で互いに間隔を空けて対向配置された第1壁体及び第2壁体と、を有し、前記第1壁体は、前記抜け止め挿入孔を有すると共に、前記抜け止め係止部として前記抜け止め挿入孔の前記端子抜去方向側の周壁を利用し、前記第2壁体は、前記被保持部を前記端子収容室から室外に挿通させる抜け止め挿通孔を有すると共に、前記抜け止め保持部として前記抜け止め挿通孔の周壁を利用することを特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係るコネクタは、端子挿入方向に対して直交する調芯方向へと端子金具を相対移動させ得る室内空間となるようハウジングの端子接続部の端子収容室が形成され、かつ、その端子接続部に対して抜け止め部材が組付け完了位置で保持されている。そして、このコネクタにおいて、その抜け止め部材には、組付け完了位置で端子金具の被係止部の端子抜去方向への動きを係止する端子係止部が設けられている。更に、このコネクタにおいて、端子金具は、組付け完了位置の抜け止め部材の端子係止部を収容させ、かつ、自身を端子係止部に対して調芯方向に相対移動させ得る抜け止め収容部を有している。従って、本発明に係るコネクタは、端子金具を調芯方向へと相対移動が可能な状態でハウジングに保持させることができる。つまり、本発明に係るコネクタは、端子金具に調芯機能を持たせつつ、この端子金具をハウジングに保持しておくことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態のコネクタを示す斜視図である。
【
図2】
図2は、実施形態のコネクタを相手方コネクタと共に別角度から見た斜視図である。
【
図3】
図3は、実施形態のコネクタを示す平面図である。
【
図5】
図5は、
図3のY-Y線断面を90度回転させた部分拡大図である。
【
図7】
図7は、実施形態のコネクタを示す分解斜視図である。
【
図8】
図8は、端子金具と抜け止め部材の分解斜視図である。
【
図9】
図9は、係止状態の端子金具と抜け止め部材を示す斜視図である。
【
図10】
図10は、端子収容部と抜け止め部材の分解斜視図である。
【
図11】
図11は、ハウジングの一部を切り欠いて内方の係止状態の端子収容部と抜け止め部材を示す斜視図である。
【
図12】
図12は、ハウジングの一部を切り欠いて内方の係止状態の端子収容部と抜け止め部材を別角度から見た斜視図である。
【
図13】
図13は、
図3のX1-X1線断面に相当する部分拡大図であり、抜け止め部材の組付け工程を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明に係るコネクタは、少なくとも端子金具とハウジングと抜け止め部材とを備える。端子金具は、相手方端子金具に対して物理的且つ電気的に接続させる端子接続部を有するものである。また、ハウジングは、端子金具を内方の端子収容室に端子挿入方向に沿って挿入させ且つ収容させる端子収容部が設けられたものである。また、抜け止め部材は、端子収容部に対する組付け完了位置で当該端子収容部に保持させ、かつ、その組付け完了位置で端子挿入方向とは逆向きの端子抜去方向に向けた端子収容部に対する端子金具の動きを係止するものである。つまり、この抜け止め部材は、ハウジングに組み付けて端子金具の端子収容室からの抜け止めを図るための部材であり、その端子金具の抜け止めによって当該端子金具をハウジングに保持させる。
【0010】
本発明に係るコネクタにおいて、端子収容室は、端子挿入方向に対して直交する調芯方向へと端子金具を相対移動させ得る室内空間に形成される。更に、抜け止め部材には、端子収容部に対する組付け完了位置で端子金具の被係止部に対して端子抜去方向側に対向配置させ、その被係止部の端子抜去方向への動きを係止する端子係止部が設けられる。そして、端子金具には、組付け完了位置の抜け止め部材の端子係止部を収容させ、かつ、自身を端子係止部に対して調芯方向に相対移動させ得る抜け止め収容部が設けられる。本発明に係るコネクタは、このように端子金具とハウジングと抜け止め部材を構成することによって、その端子金具の調芯機能と保持機能とを併設させる。
【0011】
以下に、本発明に係るコネクタの実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0012】
[実施形態]
本発明に係るコネクタの実施形態の1つを
図1から
図13に基づいて説明する。
【0013】
図1から
図7の符号1は、本実施形態のコネクタを示す。このコネクタ1は、電線Weの端末に取り付けられ、この電線Weの先の機器(図示略)に対して電気接続される。そして、このコネクタ1は、相手方機器500の相手方端子金具510(
図2)に電気接続させることによって、この相手方機器500と電線Weの先の機器との間を電気接続させる。例えば、ここでは、電線Weの先の機器が車両のインバータであり、相手方機器500が車両の回転機である。
【0014】
このコネクタ1は、端子金具10とハウジング20とシールドシェル30と抜け止め部材40とを備える(
図3及び
図7)。
【0015】
端子金具10は、金属等の導電性材料で成形される。例えば、この端子金具10は、母材となる金属板に対する折曲げ加工や切断加工等のプレス成形によって所定形状に成形される。この端子金具10は、電線Weに対して電気接続させるべく、この電線Weの端末に取り付けられる。また、この端子金具10は、相手方端子金具510に電気接続させる。よって、この端子金具10は、相手方端子金具510に対して物理的且つ電気的に接続させる端子接続部11と、電線Weの端末に対して物理的且つ電気的に接続させる電線接続部12と、を有する(
図7)。
【0016】
端子接続部11は、例えば、相手方端子金具510の相手方端子接続部511との間で嵌合接続させるものであってもよく、その相手方端子接続部511との間で螺子止め固定させるものであってもよい。本実施形態の端子接続部11は、ハウジング20への端子挿入方向に沿う嵌合接続方向で相手方端子接続部511に対して嵌合接続させるものとして形成される。よって、端子接続部11と相手方端子接続部511は、その内の一方が雌端子形状に形成され、その内の他方が雄端子形状に形成される。
【0017】
ここで示す端子接続部11は、相手方端子接続部511をハウジング20からの端子抜去方向に差し込ませる筒状の雌端子形状に形成されている。この端子接続部11は、例えば、角筒状又は円筒状に形成される。ここでは、端子接続部11が角筒状に形成されている。よって、ここで示す相手方端子接続部511は、片体状(所謂雄タブ状)の雄端子形状に形成されている(
図2)。
【0018】
また、ここで示す端子接続部11には、その内方に一体又は別体の弾性接点部13aが設けられている(
図6)。その弾性接点部13aは、弾性変形に伴う弾発力で接点と相手方端子接続部511との間の接触圧力を確保させる部位である。ここでは、端子金具10とは別体の接点部材13が弾性接点部13aを有している。このコネクタ1においては、その接点部材13を端子接続部11の内方に組み付けることによって、その端子接続部11の内方に弾性接点部13aを配置している。その弾性接点部13aは、片体状の相手方端子接続部511の一方の平面に接触し、その平面に例えば直交方向の弾発力を作用させる。
【0019】
電線接続部12は、電線Weの端末の芯線に対して、例えば、圧着又は溶着させることによって、この電線Weに対して物理的且つ電気的に接続させる。ここで示す電線接続部12は、2枚のバレル片を剥き出しの芯線に加締め接続させることによって、その芯線に圧着させている。
【0020】
この例示の端子金具10は、その端子接続部11と電線接続部12を直線上に配置したストレート形状のものとして成形されている。よって、電線Weは、その直線に沿う端子金具10の延在方向に電線接続部12から引き出される。但し、この端子金具10は、端子接続部11と電線接続部12を直交配置させるなど、これらを交差させて配置したものであってもよい。
【0021】
ここで示すコネクタ1は、その対になる端子金具10と電線Weの組み合わせを3組備えている。
【0022】
ハウジング20は、合成樹脂等の絶縁性材料で成形される。このハウジング20は、端子金具10と電線Weを内方に収容させる。そして、このハウジング20においては、その端子金具10が収容状態のまま保持され、かつ、その電線Weが内方から外方に引き出される。
【0023】
このハウジング20は、端子金具10を内方の端子収容室20aに端子挿入方向に沿って挿入させ且つ収容させる端子収容部21を有する(
図1、
図3から
図6及び
図11から
図13)。
【0024】
このコネクタ1においては、弾性接点部13aの弾性変形に伴う接点と相手方端子接続部511との間の接触圧力を過不足なく発生させるべく、その接触圧力の作用方向へと端子金具10を相手方端子接続部511に対して相対移動し得るものとして端子収容室20aに収容させる。つまり、このコネクタ1には、その接触圧力の作用方向に沿う端子金具10の調芯機能を持たせている。よって、端子収容室20aは、端子挿入方向に対して直交する調芯方向へと端子金具10を相対移動させ得る室内空間に形成される。このため、この端子収容室20aは、端子収容部21の第1壁体21aと第2壁体21bに対してそれぞれに隙間を空けて端子金具10を配置できるように形成されている(
図4及び
図6)。
【0025】
第1壁体21aと第2壁体21bは、端子収容部21において端子収容室20aを成す壁体であり、調芯方向で互いに間隔を空けて対向配置されている。また、端子収容室20aにおいては、弾性接点部13aの接点と相手方端子接続部511との間の接触圧力を過不足なく発生させ得るだけの相手方端子接続部511に対する端子金具10の相対移動量が確保できるように、第1壁体21aと端子金具10との間の隙間の大きさ及び第2壁体21bと端子金具10との間の隙間の大きさが設定される。
【0026】
ここで示す端子収容部21は、角筒状に形成されており、その内方の端子収容室20aに角筒状の端子接続部11が収容される。そして、ここで示す端子収容部21においては、互いに間隔を空けて対向配置される2組の一対の壁体の内の一方が第1壁体21aと第2壁体21bになる。その端子収容室20aの中では、端子接続部11の1つの壁体を第1壁体21aに対向配置させ、端子接続部11のその壁体に間隔を空けて対向配置させた端子接続部11の別の壁体を第2壁体21bに対向配置させる。また、ここで示す端子収容部21においては、筒軸方向における一方の開口から相手方端子接続部511が端子収容室20aに挿入され、その端子収容室20aの中で相手方端子接続部511が端子接続部11に差し込まれる。
【0027】
このハウジング20は、その端子収容部21を端子金具10毎に有している。そして、このハウジング20においては、それぞれの端子収容部21が端子挿入方向と調芯方向とに対する直交方向に間隔を空けて並べられている。このハウジング20は、そのそれぞれの端子収容部21を外方から間隔を空けて覆う筒状のフード部22を有する(
図1から
図7)。ここで示すフード部22は、端子挿入方向を筒軸方向とする長円筒状に形成されている。ハウジング20においては、そのフード部22とそれぞれの端子収容部21との間の長円環状の隙間に相手方ハウジング520の長円筒状の相手方端子収容部521(
図2)が嵌入され、これと共に、その相手方端子収容部521の内方のそれぞれの相手方端子接続部511が各々の端子収容室20aに挿入される。
【0028】
その相手方ハウジング520は、相手方機器500の筐体500aに固定され、この筐体500aの長円形の貫通孔500bの中に配置される(
図2)。ハウジング20には、長円形の外周面に長円筒状のシール部材51が組み付けられている(
図1から
図4、
図6及び
図7)。このシール部材51は、そのハウジング20の長円形の外周面と筐体500aの貫通孔500bの内周面との間の長円筒状の隙間の一部を埋める防水部材である。
【0029】
また、このハウジング20には、電線Weを内方に収容させ且つ外方に引き出させる円筒状の電線収容部23が電線We毎に設けられている(
図7)。この電線収容部23の内方には、その内周面と電線Weの外周面との間の円筒状の隙間の一部を埋める円筒状のシール部材52が組み付けられている(
図7)。電線Weの端末に取り付けられた端子金具10は、その電線収容部23の電線引出口23a(
図7)から端子収容室20aまで挿入されていく。このコネクタ1は、そのそれぞれの電線収容部23の電線引出口23aと電線Weとの間の隙間に嵌め込ませるリヤホルダ60を備えている(
図1、
図2及び
図7)。
【0030】
シールドシェル30は、そのそれぞれの電線収容部23を外方から覆うことによって、内方の電線Weに対する外部からのノイズの侵入を抑える。よって、このシールドシェル30は、金属材料(例えば、アルミニウム又はアルミニウム合金)で成形されている。
【0031】
このシールドシェル30は、それぞれの電線収容部23を外方から覆う長円筒状の筒部31を有する(
図1、
図2及び
図7)。ハウジング20には、長円形の外周面に長円環状のシール部材53が組み付けられている(
図7)。このシール部材53は、そのハウジング20の長円形の外周面とシールドシェル30の筒部31の内周面との間の長円筒状の隙間の一部を埋める防水部材である。
【0032】
その筒部31には、長円環状のフランジ部32が連結されている(
図1から
図3及び
図7)。シールドシェル30は、そのフランジ部32から突出させた固定部33を雄螺子部材Bで相手方機器500の筐体500aに螺子止め固定している(
図2)。
【0033】
抜け止め部材40は、合成樹脂等の絶縁性材料で成形される。この抜け止め部材40は、端子収容部21に組み付けて、その組付け完了位置で端子金具10の電線引出口23a側への位置ズレの抑止と端子金具10の電線引出口23aからの抜け止めとを図るものである。この抜け止め部材40は、端子金具10毎に設けられたものであってもよく、複数の端子金具10毎に設けられたものであってもよく、全ての端子金具10を抜け止めの対象とするものであってもよい。ここで示す抜け止め部材40は、端子金具10毎に1つずつ設けられている。
【0034】
この抜け止め部材40は、端子収容部21に対する組付け完了位置で当該端子収容部21に保持させる。そこで、この抜け止め部材40には、端子収容部21に保持させる被保持部41Aを設ける(
図3、
図4、
図6、
図8から
図11及び
図13)。更に、この抜け止め部材40には、端子収容部21に対する端子抜去方向への動きを当該端子収容部21に係止させる被係止部(以下、「第1被係止部」という。)42Aを設ける(
図4、
図6、
図8から
図10及び
図13)。一方、端子収容部21には、抜け止め部材40を一方の調芯方向に向けた抜け止め挿入方向で端子収容室20aに挿入させる抜け止め挿入孔21cと、組付け完了位置の抜け止め部材40の被保持部41Aに対して抜け止め挿入方向とは逆向きの抜け止め抜去方向に対向配置させ、その被保持部41Aの抜け止め抜去方向への動きを係止する抜け止め保持部21dと、を設ける(
図4、
図6及び
図11から
図13)。更に、この端子収容部21には、組付け完了位置の抜け止め部材40の第1被係止部42Aに対して端子抜去方向側に対向配置させ、その抜け止め部材40の第1被係止部42Aの端子抜去方向への動きを係止する抜け止め係止部21eを設ける(
図4、
図6及び
図13)。
【0035】
ここで示す端子収容部21においては、第1壁体21aが抜け止め挿入孔21cを有している(
図4、
図6、
図10、
図12及び
図13)。この抜け止め挿入孔21cは、抜け止め部材40を第1壁体21a側から第2壁体21b側に向けて挿入させる貫通孔である。更に、その第1壁体21aにおいては、抜け止め係止部21eとして抜け止め挿入孔21cの端子抜去方向側の周壁を利用する(
図4、
図6及び
図13)。
【0036】
ところで、その抜け止め挿入孔21cは、フード部22で外方から覆われている。このため、ハウジング20においては、そのフード部22における抜け止め挿入孔21cに対向配置されている箇所に貫通孔22aを設け、この貫通孔22aを介して抜け止め部材40を抜け止め挿入孔21cに挿入させる(
図4、
図6、
図10及び
図13)。
【0037】
また、ここで示す端子収容部21においては、抜け止め部材40の被保持部41Aを端子収容室20aから室外に挿通させる抜け止め挿通孔21fを第2壁体21bが有している(
図4、
図11及び
図13)。この抜け止め挿通孔21fは、抜け止め挿入孔21cから端子収容室20aに挿入された被保持部41Aを抜け止め挿入方向に沿って端子収容室20aから室外に抜け出させる貫通孔である。更に、第2壁体21bにおいては、抜け止め保持部21dとして抜け止め挿通孔21fの周壁を利用する(
図4、
図11及び
図13)。ここで示す第2壁体21bの抜け止め保持部21dについては、この第2壁体21bにおける抜け止め挿通孔21fの端子挿入方向側の周壁を利用している。そして、ここで示す被保持部41Aについては、抜け止め部材40が組付け完了位置のときに、端子挿入方向に突出させ且つ抜け止め抜去方向に抜け止め挿通孔21fの端子挿入方向側の周壁を対向配置させる突起部として形成される(
図4、
図8、
図9から
図11及び
図13)。ここでは、被保持部41Aが爪状に形成されている。
【0038】
更に、ここで示すコネクタ1には、被保持部41Aと抜け止め保持部21dの組み合わせの他に、別の被保持部41Bと抜け止め保持部21gの組み合わせを設けている(
図6)。つまり、抜け止め部材40は、第2壁体21bの抜け止め保持部21dに係止させる一方の被保持部41Aとは別に設けて、端子収容部21に保持させる他方の被保持部41Bを有している。そして、端子収容部21は、第2壁体21bに設けた一方の抜け止め保持部21dの他に、組付け完了位置の抜け止め部材40の他方の被保持部41Bに対して抜け止め抜去方向に対向配置させ、その他方の被保持部41Bの抜け止め抜去方向への動きを係止する他方の抜け止め保持部21gを有している。この他方の抜け止め保持部21gは、第1壁体21aに設けている。例えば、ここで示す第1壁体21aの他方の抜け止め保持部21gについては、この第1壁体21aにおける抜け止め挿入孔21cの端子抜去方向側の周壁を利用している。そして、ここで示す他方の被保持部41Bについては、抜け止め部材40が組付け完了位置のときに、端子抜去方向に突出させ且つ抜け止め抜去方向に抜け止め挿入孔21cの端子抜去方向側の周壁を対向配置させる突起部として形成される。ここでは、他方の被保持部41Bが爪状に形成されている。
【0039】
また更に、ここで示すコネクタ1には、一方の被保持部41Aと抜け止め保持部21dの組み合わせを2組設け(
図3、
図8、
図9、
図11及び
図13)、他方の被保持部41Bと抜け止め保持部21gの組み合わせを1組設けている(
図6)。そして、ここで示すコネクタ1には、第1被係止部42Aと抜け止め係止部21eの組み合わせを2組設けている(
図8)。ここで示すコネクタ1においては、その2組の一方の被保持部41Aと抜け止め保持部21dの組み合わせ、1組の他方の被保持部41Bと抜け止め保持部21gの組み合わせ、及び、2組の第1被係止部42Aと抜け止め係止部21eの組み合わせによって、抜け止め部材40を端子収容部21に対する組付け完了位置で当該端子収容部21に保持させる。
【0040】
また、抜け止め部材40は、端子収容部21に対する組付け完了位置で端子抜去方向に向けた当該端子収容部21に対する端子金具10の動きを係止する。そこで、この抜け止め部材40には、端子収容部21に対する組付け完了位置で端子金具10に対して端子抜去方向側に対向配置させ、その端子金具10の端子抜去方向への動きを係止する端子係止部43を設ける(
図4、
図5、
図8から
図10及び
図13)。一方、端子金具10には、組付け完了位置の抜け止め部材40の端子係止部43に対して端子挿入方向側に対向配置させ、その端子係止部43に端子抜去方向への動きを係止させる被係止部14を設ける(
図4、
図5、
図8、
図9及び
図13)。更に、この端子金具10には、組付け完了位置の抜け止め部材40の端子係止部43を収容させ、かつ、自身を端子係止部43に対して調芯方向に相対移動させ得る抜け止め収容部15を設ける(
図4から
図6、
図8、
図9及び
図13)。
【0041】
ここで示す抜け止め収容部15は、端子接続部11における端子挿入方向と調芯方向とに対する直交方向のそれぞれの側壁11a,11bに当該側壁11a,11bを切り欠いて形成される(
図4から
図6、
図8、
図9及び
図13)。それぞれの抜け止め収容部15は、それぞれの側壁11a,11bの一部を調芯方向に切り欠いた空間である。よって、抜け止め部材40は、それぞれの抜け止め収容部15毎に端子係止部43を設けている。それぞれの抜け止め収容部15は、抜け止め部材40が組付け完了位置のときに、それぞれに端子係止部43を収容させるので、その端子係止部43よりも端子挿入方向側に端子収容部21の壁が存在することになる。そこで、ここで示す端子金具10の被係止部14としては、それぞれの抜け止め収容部15の端子挿入方向側の周壁を利用している。
【0042】
具体的に、ここで示す抜け止め部材40は、端子挿入方向に間隔を空けて対向配置させ、かつ、端子挿入方向と調芯方向とに対する直交方向に延在させた軸状の第1軸部44Aと第2軸部44Bを有する(
図8、
図10及び
図12)。そして、ここで示す抜け止め部材40は、その第1軸部44Aと第2軸部44Bの一方の端部同士を連結させ、かつ、その端部側から抜け止め挿入方向に延在させた片体状の第1片部45Aと、その第1軸部44Aと第2軸部44Bの他方の端部同士を連結させ、かつ、その端部側から抜け止め挿入方向に延在させた片体状の第2片部45Bと、を有する(
図4から
図6、
図8から
図10及び
図13)。
【0043】
ここでは、第1軸部44Aを端子挿入方向側に配置し、かつ、第2軸部44Bを端子抜去方向側に配置している。そして、この抜け止め部材40においては、第1片部45Aと第2片部45Bとにより両持ちとなっている第2軸部44Bに、例えば、端子挿入方向及び端子抜去方向への撓みが可能な可撓性を持たせている。この抜け止め部材40においては、端子収容部21に対する組付け完了位置で第1軸部44Aと第2軸部44Bを抜け止め挿入孔21cに配置させる。よって、その抜け止め挿入孔21cは、その第1軸部44Aと第2軸部44Bとを配置し得る形状と大きさに形成される。
【0044】
また、この抜け止め部材40においては、第1片部45Aと第2片部45Bのそれぞれの端子挿入方向側の端部を端子係止部43として利用する(
図4、
図5、
図8から
図10及び
図13)。よって、この抜け止め部材40においては、端子収容部21に対する組付け完了位置のときに、第1片部45Aが一方の抜け止め収容部15に収容され、第2片部45Bが他方の抜け止め収容部15に収容される。更に、この抜け止め部材40においては、第1片部45Aと第2片部45Bのそれぞれの端子抜去方向側の端部を第1被係止部42Aとして利用する(
図4、
図6、
図8から
図10及び
図13)。
【0045】
また、ここで示す抜け止め部材40は、第1片部45Aから抜け止め挿入方向に延在させた軸状で可撓性を持つ片持ちの第1可撓部46Aと、第2片部45Bから抜け止め挿入方向に延在させた軸状で可撓性を持つ片持ちの第2可撓部46Bと、を有する(
図4、
図6、
図8から
図10及び
図13)。その第1可撓部46Aと第2可撓部46Bは、端子挿入方向及び端子抜去方向への撓みが可能な可撓性を持っている。そして、この第1可撓部46Aと第2可撓部46Bのそれぞれの自由端には、一方の被保持部41Aが設けられている。
【0046】
また、ここで示す抜け止め部材40は、第2軸部44Bにおける延在方向の中央から抜け止め抜去方向に突出させた突出部47を有する(
図4、
図6、
図10及び
図12)。ここで示す突出部47は、方体状に形成され、その端子抜去方向側の壁面から他方の被保持部41Bを突出させている(
図6、
図10及び
図12)。
【0047】
また、ここで示す抜け止め部材40は、端子収容部21に対する組付け完了位置を越えて抜け止め挿入方向に押し込まれぬよう当該端子収容部21に係止される被係止部(以下、「第2被係止部」という。)42Bを有する(
図3、
図4、
図6、
図8から
図10、
図12及び
図13)。この第2被係止部42Bは、第1軸部44Aにおける延在方向の中央から抜け止め抜去方向で且つ端子挿入方向に突出させ、端子収容部21の第2壁体21bに係止させる。
【0048】
ここで示す抜け止め部材40は、例えば、第1軸部44Aと第2軸部44Bを抜け止め挿入方向に押し動かす治具Tp(
図13)を用いて、この治具Tpで押し込まれながら端子収容部21に組み付けられていく。その際、この抜け止め部材40は、一方の被保持部41Aが端子金具10の抜け止め収容部15を通過する際に、例えば、その端子金具10の被係止部14に一方の被保持部41Aが押動されて傾倒する。そして、この抜け止め部材40においては、その一方の被保持部41Aが端子収容部21の抜け止め挿通孔21fを通過する際に、その端子収容部21の第2壁体21bにおける抜け止め挿通孔21fの周縁に一方の被保持部41Aが押動され、第1可撓部46Aと第2可撓部46Bが端子抜去方向側に撓む。更に、この抜け止め部材40においては、他方の被保持部41Bが端子収容部21の抜け止め挿入孔21cを通過する際に、その端子収容部21の第1壁体21aにおける抜け止め挿入孔21cの周縁に他方の被保持部41Bが押動され、第2軸部44Bが端子挿入方向側に撓む。この抜け止め部材40においては、一方の被保持部41Aが抜け止め挿通孔21fを通過した際に、第1可撓部46Aと第2可撓部46Bの撓みが解消され、一方の被保持部41Aが一方の抜け止め保持部21dに係止可能な状態で配置される。更に、この抜け止め部材40においては、他方の被保持部41Bが抜け止め挿入孔21cを通過した際に、第2軸部44Bの撓みが解消され、他方の被保持部41Bが他方の抜け止め保持部21gに係止可能な状態で配置される。
【0049】
以上示したように、本実施形態のコネクタ1は、端子挿入方向に対して直交する調芯方向へと端子金具10を相対移動させ得る室内空間となるようハウジング20の端子収容部21の端子収容室20aが形成され、かつ、その端子収容部21に対して抜け止め部材40が組付け完了位置で保持されている。そして、このコネクタ1において、その抜け止め部材40には、組付け完了位置で端子金具10の被係止部14の端子抜去方向への動きを係止する端子係止部43が設けられている。更に、このコネクタ1において、端子金具10は、組付け完了位置の抜け止め部材40の端子係止部43を収容させ、かつ、自身を端子係止部43に対して調芯方向に相対移動させ得る抜け止め収容部15を有している。従って、本実施形態のコネクタ1は、端子金具10を調芯方向へと相対移動が可能な状態でハウジング20に保持させることができる。つまり、本実施形態のコネクタ1は、端子金具10に調芯機能を持たせつつ、この端子金具10をハウジング20に保持しておくことができる。このように、このコネクタ1は、端子金具10が端子挿入方向に対して直交する調芯方向の調芯機能を持っているので、相手方端子金具510との間での適切な接触圧力を得ることができる。故に、このコネクタ1は、端子金具10と相手方端子金具510との間での電気的な接続品質が高品質になり、また、相手方との部品間での過負荷の発生を抑えることができる。
【符号の説明】
【0050】
1 コネクタ
10 端子金具
11 端子接続部
11a,11b 側壁
14 被係止部
15 抜け止め収容部
20 ハウジング
20a 端子収容室
21 端子収容部
21a 第1壁体
21b 第2壁体
21c 抜け止め挿入孔
21d,21g 抜け止め保持部
21e 抜け止め係止部
21f 抜け止め挿通孔
40 抜け止め部材
41A,41B 被保持部
42A 被係止部
43 端子係止部
510 相手方端子金具
511 相手方端子接続部