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特許7408613調達管理システム、調達管理システムのコンピュータプログラム、及び調達管理システムの制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-22
(45)【発行日】2024-01-05
(54)【発明の名称】調達管理システム、調達管理システムのコンピュータプログラム、及び調達管理システムの制御方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/087 20230101AFI20231225BHJP
【FI】
G06Q10/087
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021177837
(22)【出願日】2021-10-29
(65)【公開番号】P2023066948
(43)【公開日】2023-05-16
【審査請求日】2021-11-09
【審判番号】
【審判請求日】2023-02-07
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】592239763
【氏名又は名称】株式会社ミスミグループ本社
(74)【代理人】
【識別番号】100099645
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 晃司
(72)【発明者】
【氏名】木戸 雄介
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼嶌 義典
(72)【発明者】
【氏名】河合 裕一
【合議体】
【審判長】渡邊 聡
【審判官】松田 直也
【審判官】相崎 裕恒
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2021/038813(WO,A1)
【文献】特開2001-117997(JP,A)
【文献】”SCM 鵜の目 鷹の目”,月刊ソリューションIT,日本,株式会社リックテレコム,2002年03月01日,第14巻, 第3号,pp.64-65
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが要求する物品毎の要求数量及び希望納期を含む要求条件を取得するとともに、複数のサプライヤのそれぞれの供給情報が記憶されている記憶手段から前記物品を供給可能な前記複数のサプライヤのそれぞれによる前記物品毎の供給量及び供給時間を含む供給条件を取得する取得手段と、
前記要求条件の取得に応じて、前記要求条件と、前記記憶手段から取得された前記供給条件とに基づいて、前記物品毎に前記要求数量を前記複数のサプライヤのうち二以上のサプライヤに振り分けるべき振分条件が満たされるか否かを判定する判定手段と、
前記振分条件が満たされる場合において、前記要求条件の前記希望納期及び前記記憶手段から取得された前記供給条件の前記供給時間を参照して、前記複数のサプライヤから前記希望納期までに前記要求条件に対応する対象物品を供給可能な二以上のサプライヤを供給サプライヤ群として選択する選択手段と、
前記供給サプライヤ群の各サプライヤに前記要求数量を振り分ける振分手段と、
前記振分条件が満たされる場合に、前記対象物品の出荷方法として、前記振分手段が振り分けた数量の前記対象物品が分けて出荷される分割出荷と、前記要求数量の前記対象物品が一括して出荷される一括出荷とのいずれかを選択可能に、前記ユーザへ提示する提示手段と、
前記ユーザによる前記分割出荷及び前記一括出荷のいずれかの選択に応じて、前記振分手段が振り分けた数量の前記対象物品を前記供給サプライヤ群の各サプライヤに発注する発注手段と、を備え、
前記提示手段は、前記振分条件が満たされる場合、前記振分手段が振り分けた数量の前記対象物品が分けて出荷されることを示す分割出荷情報であって、出荷ごとに区分された前記対象物品の数量と当該対象物品を前記希望納期までに供給可能であることを示す第1時間とを含む分割出荷情報を前記ユーザに提示することによって、前記分割出荷を選択可能に提示すると共に、前記要求数量の前記対象物品が一括して出荷されることを示す一括出荷情報であって、前記要求数量の前記対象物品を一括で前記希望納期までに供給可能であることを示す第2時間を含む一括出荷情報を前記ユーザに提示することによって、前記一括出荷を選択可能に提示する、調達管理システム。
【請求項2】
前記取得手段は、前記分割出荷情報が提示されている場合において、出荷ごとに区分された前記対象物品の前記第1時間の変更を前記ユーザから受け付ける、請求項1に記載の調達管理システム。
【請求項3】
前記取得手段は、前記一括出荷情報が提示されている場合において、前記要求数量の前記対象物品の前記第2時間の変更を前記ユーザから受け付ける、請求項1又は2に記載の調達管理システム。
【請求項4】
前記発注手段は、
前記ユーザから受け付けた購入注文に基づいて、前記供給サプライヤ群の二以上のサプライヤにそれぞれ対応する複数の分割販売注文を作成し、
前記ユーザによる前記分割出荷及び前記一括出荷のいずれかの選択に応じて、前記複数の分割販売注文にそれぞれ対応する複数の購買注文を作成し、当該購買注文を対応するサプライヤに送信する、請求項1から3のいずれか一項に記載の調達管理システム。
【請求項5】
前記購買注文には、前記対象物品を特定する情報、対応する前記サプライヤが供給する前記対象物品の数量、前記対象物品の納期及び前記対象物品の輸送先が含まれる、請求項4に記載の調達管理システム。
【請求項6】
コンピュータを備える調達管理システムのコンピュータプログラムであって、
前記コンピュータを、
ユーザが要求する物品毎の要求数量及び希望納期を含む要求条件を取得するとともに、複数のサプライヤのそれぞれの供給情報が記憶されている記憶手段から前記物品を供給可能な前記複数のサプライヤのそれぞれによる前記物品毎の供給量及び供給時間を含む供給条件を取得する取得手段と、
前記要求条件の取得に応じて、前記要求条件と、前記記憶手段から取得された前記供給条件とに基づいて、前記物品毎に前記要求数量を前記複数のサプライヤのうち二以上のサプライヤに振り分けるべき振分条件が満たされるか否かを判定する判定手段と、
前記振分条件が満たされる場合において、前記要求条件の前記希望納期及び前記記憶手段から取得された前記供給条件の前記供給時間を参照して、前記複数のサプライヤから前記希望納期までに前記要求条件に対応する対象物品を供給可能な二以上のサプライヤを供給サプライヤ群として選択する選択手段と、
前記供給サプライヤ群の各サプライヤに前記要求数量を振り分ける振分手段と、
前記振分条件が満たされる場合に、前記対象物品の出荷方法として、前記振分手段が振り分けた数量の前記対象物品が分けて出荷される分割出荷と、前記要求数量の前記対象物品が一括して出荷される一括出荷とのいずれかを選択可能に、前記ユーザへ提示する提示手段と、
前記ユーザによる前記分割出荷及び前記一括出荷のいずれかの選択に応じて、前記振分手段が振り分けた数量の前記対象物品を前記供給サプライヤ群の各サプライヤに発注する発注手段として機能させ、
前記提示手段は、前記振分条件が満たされる場合、前記振分手段が振り分けた数量の前記対象物品が分けて出荷されることを示す分割出荷情報であって、出荷ごとに区分された前記対象物品の数量と当該対象物品を前記希望納期までに供給可能であることを示す第1時間とを含む分割出荷情報を前記ユーザに提示することによって、前記分割出荷を選択可能に提示すると共に、前記要求数量の前記対象物品が一括して出荷されることを示す一括出荷情報であって、前記要求数量の前記対象物品を一括で前記希望納期までに供給可能であることを示す第2時間を含む一括出荷情報を前記ユーザに提示することによって、前記一括出荷を選択可能に提示する、調達管理システムのコンピュータプログラム。
【請求項7】
前記発注手段は、
前記ユーザから受け付けた購入注文に基づいて、前記供給サプライヤ群の二以上のサプライヤにそれぞれ対応する複数の分割販売注文を作成し、
前記ユーザによる前記分割出荷及び前記一括出荷のいずれかの選択に応じて、前記複数の分割販売注文にそれぞれ対応する複数の購買注文を作成し、当該購買注文を対応するサプライヤに送信する、請求項6に記載の調達管理システムのコンピュータプログラム。
【請求項8】
コンピュータを備える調達管理システムの制御方法であって、
前記コンピュータは、
ユーザが要求する物品毎の要求数量及び希望納期を含む要求条件を取得するとともに、複数のサプライヤのそれぞれの供給情報が記憶されている記憶手段から前記物品を供給可能な前記複数のサプライヤのそれぞれによる前記物品毎の供給量及び供給時間を含む供給条件を取得し、
前記要求条件の取得に応じて、前記要求条件と、前記記憶手段から取得された前記供給条件とに基づいて、前記物品毎に前記要求数量を前記複数のサプライヤのうち二以上のサプライヤに振り分けるべき振分条件が満たされるか否かを判定し、
前記振分条件が満たされる場合において、前記要求条件の前記希望納期及び前記記憶手段から取得された前記供給条件の前記供給時間を参照して、前記複数のサプライヤから前記希望納期までに前記要求条件に対応する対象物品を供給可能な二以上のサプライヤを供給サプライヤ群として選択し、
前記供給サプライヤ群の各サプライヤに前記要求数量を振り分け、
前記振分条件が満たされる場合に、前記対象物品の出荷方法として、前記供給サプライヤ群に振り分けた数量の前記対象物品が分けて出荷される分割出荷と、前記要求数量の前記対象物品が一括して出荷される一括出荷とのいずれかを選択可能に、前記ユーザへ提示し、
前記ユーザによる前記分割出荷及び前記一括出荷のいずれかの選択に応じて、前記振り分けた数量の前記対象物品を前記供給サプライヤ群の各サプライヤに発注し、
前記振分条件が満たされる場合、前記振り分けた数量の前記対象物品が分けて出荷されることを示す分割出荷情報であって、出荷ごとに区分された前記対象物品の数量と当該対象物品を前記希望納期までに供給可能であることを示す第1時間とを含む分割出荷情報を前記ユーザに提示することによって、前記分割出荷を選択可能に提示すると共に、前記要求数量の前記対象物品が一括して出荷されることを示す一括出荷情報であって、前記要求数量の前記対象物品を一括で前記希望納期までに供給可能であることを示す第2時間を含む一括出荷情報を前記ユーザに提示することによって、前記一括出荷を選択可能に提示する、調達管理システムの制御方法。
【請求項9】
前記物品を発注する際に、
前記ユーザから受け付けた購入注文に基づいて、前記供給サプライヤ群の二以上のサプライヤにそれぞれ対応する複数の分割販売注文を作成し、
前記ユーザによる前記分割出荷及び前記一括出荷のいずれかの選択に応じて、前記複数の分割販売注文にそれぞれ対応する複数の購買注文を作成し、当該購買注文を対応するサプライヤに送信する、請求項8に記載の調達管理システムの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のサプライヤから二以上のサプライヤを供給サプライヤ群として選択する調達管理システム、調達管理システムのコンピュータプログラム、及び調達管理システムの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
調達に関連する技術として、例えば、特許文献1には、同じ調達ネットワークを使用する他の販売業者とともに、販売業者がその在庫をプールする調達ネットワークが開示されている。具体的に、販売業者は、物品の在庫の少なくとも一部を共通の在庫プールへプールさせることをリクエストする。そして、物品が、他の販売業者によってプールされた同じ物品と同じ種類又は品質であると判定されると、販売業者の在庫が、共通の在庫プールにプールされる。その後、プールされた在庫の販売業者には、在庫クレジットが提供される。
【0003】
また、特許文献2には、所定の品目のサプライチェーンの設計案を生成するサプライチェーン設計案生成部が開示されている。具体的に、サプライチェーン設計案生成部は、生産又は調達する品目と一致するレコードを抽出する。そして、サプライチェーン設計案生成部は、レコードに対応する複数の工場と複数の調達先とを抽出する。その後、サプライチェーン設計案生成部は、注出した工場を含む複数パターンのサプライチェーンの設計案と、注出した調達先を含む複数パターンのサプライチェーンの設計案とを生成する。さらに、サプライチェーン設計案生成部は、生成したサプライチェーン設計案に対して、納期を満たせるか否かを評価し、満たせない設計案を、サプライチェーン設計案から除外する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特表2014-503924号公報
【文献】特開2021-5186号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ユーザは、一のサプライヤが供給可能な物品の供給量を超える数量の物品の購入を望むことがある。この場合、ユーザが、供給量を超える数量の物品を注文すると、注文から物品の納品までの期間が長くなってしまう。すなわち、サプライヤは、供給量を超える数量の物品を供給するために、通常の納期を超える時間を必要とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る調達管理システムは、ユーザが要求する物品の要求数量を含む要求条件と、前記物品を供給可能な複数のサプライヤのそれぞれによる前記物品の供給量を含む供給条件とを取得する取得手段と、前記要求条件と前記供給条件とに基づいて、前記物品の前記要求数量を前記複数のサプライヤのうち二以上のサプライヤに振り分けるべき振分条件が満たされるか否かを判定する判定手段と、前記振分条件が満たされる場合に、前記複数のサプライヤから二以上のサプライヤを供給サプライヤ群として選択する選択手段と、前記供給サプライヤ群に前記要求数量を振り分ける振分手段と、を備える。
【0007】
また、本発明の他の一態様に係る調達管理システムのコンピュータプログラムは、コンピュータを備える調達管理システムのコンピュータプログラムであって、前記コンピュータを、ユーザが要求する物品の要求数量を含む要求条件と、前記物品を供給可能な複数のサプライヤのそれぞれによる前記物品の供給量を含む供給条件とを取得する取得手段と、前記要求条件と前記供給条件とに基づいて、前記物品の前記要求数量を前記複数のサプライヤのうち二以上のサプライヤに振り分けるべき振分条件が満たされるか否かを判定する判定手段と、前記振分条件が満たされる場合に、前記複数のサプライヤから二以上のサプライヤを供給サプライヤ群として選択する選択手段と、前記供給サプライヤ群に前記要求数量を振り分ける振分手段として機能させる。
【0008】
さらに、本発明の他の一態様に係る調達管理システムの制御方法は、ユーザが要求する物品の要求数量を含む要求条件と、前記物品を供給可能な複数のサプライヤのそれぞれによる前記物品の供給量を含む供給条件とを取得し、前記要求条件と前記供給条件とに基づいて、前記物品の前記要求数量を前記複数のサプライヤのうち二以上のサプライヤに振り分けるべき振分条件が満たされるか否かを判定し、前記振分条件が満たされる場合に、前記複数のサプライヤから二以上のサプライヤを供給サプライヤ群として選択し、前記供給サプライヤ群に前記要求数量を振り分ける。
【発明の効果】
【0009】
これにより、ユーザが要求する物品の数量を、複数のサブサプライヤへ振り分けることによって、購入注文から物品の納品までの期間を短くできる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】販売管理システム全体の概略構成図。
図2】第1実施形態に係る調達管理の概要の説明図。
図3】販売管理システムの概略ブロック図。
図4】物品画面の一例を示す概略図。
図5】詳細画面の一例を示す概略図。
図6】注文確認画面の一例を示す概略図。
図7】一括出荷画面の一例を示す概略図。
図8】振分処理のフローチャート。
図9】第2実施形態に係る調達管理の概要の説明図。
図10】物品画面の他の例を示す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための例示的な実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。ただし、以下の実施形態において説明する寸法、材料、形状及び構成要素の相対的な位置は任意に設定でき、本発明が適用される装置の構成又は様々な条件に応じて変更できる。また、特別な記載がない限り、本発明の範囲は、以下に具体的に記載された実施形態に限定されない。
【0012】
[第1実施形態]
図1は、複数のサプライヤから二以上のサプライヤを供給サプライヤ群として選択する調達管理システムを備える販売管理システム100を示している。一例として、サプライヤは、物品を供給するために、物品の生産、加工、販売、輸送、又は保管を行う供給業者である。また、一の供給業者が、複数のサプライヤとして、物品の保管倉庫又は生産拠点等を複数所有している場合がある。販売管理システム100においては、ユーザが管理するユーザ端末40と、販売業者等の管理業者が管理する在庫管理サーバ10及び調達管理サーバ20と、サプライヤが管理するサプライヤ端末60とが存在している。例えば、ユーザは、販売業者から商品としての物品を購入する。そして、販売業者は、サプライヤから商品を調達してユーザへ販売する。また、サプライヤは、販売業者へ商品を供給する。
【0013】
販売管理システム100は、調達管理サーバ20及び在庫管理サーバ10を含む調達管理システムを備えたネットワークシステム、又はクライアントサーバシステムとして構成されている。例えば、販売業者は、在庫管理サーバ10及び調達管理サーバ20を管理しており、ユーザからの求めに応じて商品を販売する。調達管理サーバ20は、サーバ装置として機能し、例えば複数のコンピュータ装置としてのサーバユニット21が組み合わされることにより一台の論理的なサーバ装置として構成されている。また、在庫管理サーバ10も、サーバ装置として機能し、例えば複数のコンピュータ装置としてのサーバユニット11が組み合わされることにより一台の論理的なサーバ装置として構成されている。ただし、単一のサーバユニット21により調達管理サーバ20が構成されてもよく、単一のサーバユニット11により在庫管理サーバ10が構成されてもよい。あるいは、クラウドコンピューティングを利用して論理的に調達管理サーバ20及び在庫管理サーバ10が構成されてもよい。
【0014】
調達管理サーバ20は、ユーザ端末40に対して、又はユーザ端末40のユーザに対して、物品の発注サービスを含む各種サービスを提供する。この発注サービスは、ネットワーク50を介してユーザ端末40に対してプログラム或いはデータを配信する配信サービスと、ユーザ端末40から受信したデータを保管する保管サービスとを含んでいる。配信サービスは、例えば、アップデート用のデータを配信するサービスである。
【0015】
供給量管理サーバの一例である在庫管理サーバ10は、物品の供給量を含む供給条件を記憶して管理する。例えば、在庫管理サーバ10は、供給条件の一例である供給量として、複数のサプライヤのそれぞれの物品毎の在庫量をサプライヤ端末60から受信する。また、在庫管理サーバ10は、供給条件の他の例として、複数のサプライヤのそれぞれが物品を供給する供給時間をサプライヤ端末60から受信する。そして、在庫管理サーバ10は、それぞれのサプライヤを識別するサプライヤ識別情報と紐づけて物品毎の在庫量を記憶する。また、在庫管理サーバ10は、販売業者が保管している物品の供給量を含む供給条件を記憶して管理してもよい。なお、物品は、物品自体が一つのまとまった機能を有する完成品であってもよいし、完成品に組み込まれる一つの物品、又は複数の部品からなる組立体であってもよい。さらに、物品は、複数の部品が組み合わさったユニット、治具、装置、及び設備を含む。
【0016】
例えば、供給時間は、物品の出荷日、物品がユーザに到達する到達日、物品の生産完了日、物品の加工完了日、及び物流拠点に物品が到達する到達日等である。これらの供給時間は特定の日にち又は時刻であるが、供給時間は、物品の供給タイミングを特定できる情報であればよく、出荷、到達若しくは完了までに要する時間の長さ、又は輸送に要する時間の長さであってもよい。また、供給量は、ユーザに供給できる物品の量であり、所定の供給時間におけるサプライヤの生産量、加工量、又は出荷量であってもよい。さらに、供給時間及び供給量は、いずれも在庫管理サーバ10が算出又は予測してもよい。
【0017】
サプライヤ端末60の使用者は、任意のタイミング(例えば、所定の時間、一日に一回、一週間に一回、又は一日に四回等)に電子メール等の手段を用いて供給条件を在庫管理サーバ10へ送信する。代替的に、サプライヤ端末60は、所定のタイミングで自動的に供給条件を送信してもよい。また、サプライヤ端末60は、在庫管理サーバ10からの要求に応じて供給条件を送信してもよい。例えば、在庫管理サーバ10は、ユーザが物品の要求数量を入力すると、当該入力に応じてサプライヤ端末60に供給条件の送信を要求する。さらに、在庫管理サーバ10の管理者が、それぞれのサプライヤから電話又はファクシミリ等の手段を用いて供給条件を入手してもよい。この場合、管理者は、入手した供給条件を手動で在庫管理サーバ10へ入力してもよい。さらに、在庫管理サーバ10は、外部のデータベース、例えば在庫量データベースから供給条件を取得してもよい。また、在庫管理サーバ10は、供給条件を算出若しくは予測してもよい。
【0018】
供給条件は、在庫量等の所定の期間内に供給できる物品の数量を含んでいればよく、当該数量はゼロであってもよく、所定の期間内に生産可能な物品の数量であってもよい。また、供給条件は、物品に関連する情報として、名称、型番、輸送元の場所、供給可能時期、単価、輸送費用、仕様、製造条件、又は加工条件等の情報を含んでいてもよい。さらに、供給条件は、サプライヤの名称、サプライヤ識別情報、又は所在地等の情報を含んでいてもよい。以下では、供給条件が在庫量である場合について主に説明する。
【0019】
ユーザ端末40及びサプライヤ端末60は、ネットワーク接続が可能であるコンピュータ装置である。例えば、ユーザ端末40は、据置型又はブック型のパーソナルコンピュータ41、及び携帯型タブレット端末装置42等を含む。また、サプライヤ端末60も据置型又はブック型のパーソナルコンピュータ61、及び携帯型タブレット端末装置62等を含む。その他に、携帯電話(スマートフォンを含む)のようなモバイル端末装置が、ユーザ端末40及びサプライヤ端末60に含まれる。ユーザ端末40及びサプライヤ端末60は、各種のコンピュータプログラムを実装することにより、調達管理サーバ20が提供する種々のサービスをユーザに享受させることが可能である。また、サプライヤ端末60は、各種のコンピュータプログラムを実装することにより、在庫管理サーバ10が提供する種々のサービスをサプライヤに享受させることが可能であってもよい。
【0020】
また、ユーザ端末40及びサプライヤ端末60は、調達管理サーバ20に所定のネットワーク50を介して接続可能である。さらに、サプライヤ端末60は、調達管理サーバ20及び在庫管理サーバ10に所定のネットワーク50を介して接続可能である。以下では、ユーザ端末40がパーソナルコンピュータ41でありサプライヤ端末60が、パーソナルコンピュータ61である場合について説明する。
【0021】
ネットワーク50は、調達管理サーバ20に対してユーザ端末40及びサプライヤ端末60をそれぞれ接続し、且つ在庫管理サーバ10に対してサプライヤ端末60を接続できるように構成されている。ネットワーク50は、TCP/IPプロトコルを利用してネットワーク通信を実現するように構成されている。具体的には、LAN(Local Area Network)52が、調達管理サーバ20及び在庫管理サーバ10とインターネット51とを接続している。そして、WAN(Wide Area Network)としてのインターネット51と、LAN52とが、ルータ53を介して接続されている。また、ネットワーク50は、専用線、電話回線、企業内ネットワーク、移動体通信網、その他の通信回線、及びそれらの組み合わせ等のいずれであってもよく、有線であるか無線であるかを問わない。ユーザ端末40及びサプライヤ端末60も、インターネット51に接続されるように構成されている。代替的に、調達管理サーバ20のサーバユニット21と、在庫管理サーバ10のサーバユニット11とは、LAN52に代えて又は加えてインターネット51により、相互に接続されていてもよい。
【0022】
調達管理サーバ20は、ユーザ端末40からのアクセスに応じて各種のウェブページをユーザ端末40の表示部に表示させるウェブサーバとして機能する。また、調達管理サーバ20は、ユーザによる発注に対応して、発注された物品の手配、輸送指示、及び購入代金の請求といった処理を実行する。
【0023】
具体的に、図2を参照して、販売管理システム100における調達管理について説明する。サプライヤ端末60は、複数のサプライヤのそれぞれの端末を含んでおり、図2の例では、サプライヤAの端末と、サプライヤBの端末とを含んでいる。サプライヤ端末60のそれぞれは、任意のタイミングで在庫量を含む供給条件を在庫管理サーバ10へ送信する。そして、在庫管理制御部13は、受信した在庫量を物品毎にそれぞれのサプライヤ識別情報と紐づけて在庫管理メモリ12に記憶させる。
【0024】
物品の購入を望むユーザは、ユーザ端末40から調達管理サーバ20が提供するウェブサイトにアクセスする。そして、ユーザは、要求条件の一例としての物品の要求数量を、ウェブサイトを介して入力する。また、ユーザは、要求条件の他の例として、ユーザが要求する物品の納期をさらに入力する。なお、要求条件は、物品に関連する情報として、名称、型番、輸送先の場所、希望価格、仕様、製造条件、加工条件、又は図面等の情報を含んでいてもよい。代替的に、要求条件は、物品の購入を要求する購入注文に含められていてもよい。この場合、ユーザが購入注文をする操作を行うと、要求条件がユーザ端末40から調達管理サーバ20へ送信される。また、要求条件は、物品の価格及び納期の少なくとも一方の見積を要求する見積依頼に含められていてもよい。この場合、ユーザが見積依頼をする操作を行うと、要求条件がユーザ端末40から調達管理サーバ20へ送信される。一例として、納期は、物品の出荷時期、到着時期、又は生産完了時期等の、物品の受け取り時期の基準となる時期を示す情報である。
【0025】
調達管理サーバ20のサーバ制御部23は、入力された要求条件を取得して、調達管理サーバ20のサーバメモリ22に記憶させる。さらに、サーバ制御部23は、在庫管理サーバ10から在庫量を取得して、要求された物品を供給できるサプライヤを選択する。ここで、サーバ制御部23は、一つの特定サプライヤの在庫量が要求数量に足りる場合、当該特定サプライヤを選択する。そして、サーバ制御部23は、ユーザが購入する数量を通知することによって、購入注文が可能であることをユーザに通知する。ユーザは、数量を確認して、購入注文をする操作を行う。代替的に、サーバ制御部23は、所定のボタンを表示させる等の購入注文をする操作を可能にすることによって、購入注文が可能であることをユーザに通知してもよい。例えば、購入注文は、物品を識別する型番、物品の希望納期、物品の数量、及び物品の輸送先を示す情報を含んでいる。また、特定サプライヤから調達した物品を購入業者が保管しており在庫量が要求数量に足りる場合に、サーバ制御部23は、購入注文が可能であることをユーザに通知してもよい。例えば、販売業者は、サプライヤから調達して自らが保管している物品を、ユーザへ販売してもよい。
【0026】
続いて、サーバ制御部23は、購入注文を受け付けて、受け付けた購入注文に対応する販売注文を作成する。さらに、サーバ制御部23は、販売注文を識別する販売識別情報(例えば、販売注文番号等)と紐付けた購買注文を作成する。そして、サーバ制御部23は、特定サプライヤのサプライヤ端末60へ購買注文を送信する。例えば、購買注文は、物品を識別する型番、物品の出荷時期、物品の数量、及び物品の輸送先を示す情報を含んでいる。その後、特定サプライヤは、購買注文に応じた数量の物品を供給する。
【0027】
一方、一つのサプライヤの在庫量が要求数量に足りない場合、サーバ制御部23は、複数のサプライヤから物品を供給可能な二以上のサプライヤを供給サプライヤ群として選択する。このとき、サーバ制御部23は、供給サプライヤ群の合計在庫量が要求数量に足りるように、供給サプライヤ群を選択する。そして、サーバ制御部23は、供給サプライヤ群に物品の要求数量を振り分ける。例えば、要求数量が50個の場合に、サーバ制御部23は、サプライヤAに24個を振り分けて、サプライヤBに26個を振り分ける。
【0028】
図2の例では、サプライヤAとサプライヤBとによって、供給サプライヤ群が構成されている。ただし、三つ以上のサプライヤによって供給サプライヤ群が構成されていてもよい。さらに、サーバ制御部23は、ユーザが購入する数量を通知することによって、購入注文が可能であることをユーザに通知する。ユーザは、数量を確認して、購入注文をする操作を行う。続いて、サーバ制御部23は、購入注文を受け付けて、受け付けた購入注文に対応する販売注文を作成する。さらに、サーバ制御部23は、販売注文を識別する基礎販売識別情報(例えば、販売注文番号等)と紐付けた複数の販売注文として分割販売注文を作成する。この複数の分割販売注文は、それぞれを識別する分割販売注文識別情報(例えば、販売注文番号と枝番号等)と紐付けられている。
【0029】
図2の例では、複数の販売注文として、サーバ制御部23は、分割販売注文A及び分割販売注文Bを作成している。分割販売注文AはサプライヤAに対する販売注文であり、分割販売注文BはサプライヤBに対する販売注文である。例えば、要求数量が50個の場合、分割販売注文AはサプライヤAに注文する物品の数として24個の数量を含み、分割販売注文BはサプライヤBに注文する物品の数として26個の数量を含む。そして、サーバ制御部23は、複数の分割販売注文に対応する複数の購買注文を作成し、それぞれのサプライヤのサプライヤ端末60へ送信する。図2の例では、複数の購買注文として、サーバ制御部23は、購買注文A及び購買注文Bを作成している。
【0030】
その後、購買注文を受信したサプライヤは、購買注文に応じた物品を供給する。例えば、サプライヤは、型番によって特定される物品を、購買注文によって特定される数量及び出荷時期で、購買注文によって特定される輸送先へ出荷する。なお、複数のサプライヤの合計在庫量が要求数量に足りない場合、サーバ制御部23は、その旨をユーザへ通知してもよい。また、当該通知には、希望納期又は要求数量の変更の提案が含まれていてもよい。
【0031】
[制御系]
次に、図3を参照して、販売管理システム100の制御系の概略構成について説明する。調達管理手段の一例である調達管理サーバ20は、調達管理サーバ20の制御手段としてのサーバ制御部23と、コンピュータ読み取り可能な非一時的記憶媒体としてのサーバメモリ22とを備えている。また、在庫管理手段の一例である在庫管理サーバ10は、在庫管理サーバ10の制御手段としての在庫管理制御部13と、コンピュータ読み取り可能な非一時的記憶媒体としての在庫管理メモリ12とを備えている。
【0032】
サーバ制御部23及び在庫管理制御部13は、所定のプログラムに従って各種の演算処理及び動作制御を実行するプロセッサと、プロセッサの動作に必要な内部メモリと、その他の周辺装置とを組み合わせたコンピュータとして構成されている。プロセッサは、例えばCPU(Central Processing Unit)、又はMPU(Micro-Processing Unit)であり、サーバメモリ22又は在庫管理メモリ12に記憶されたプログラムに基づいて、サーバ装置全体を制御すると共に、各種処理についても統括的に制御する。なお、サーバ制御部23及び在庫管理制御部13は、CD、DVD、CFカード、及びUSBメモリ等の可搬記録媒体、又はインターネット上のクラウドサーバ等の外部記憶媒体に記憶されたプログラムに従って制御を行うこともできる。
【0033】
サーバメモリ22及び在庫管理メモリ12は、プロセッサが動作するためのシステムワークメモリであるRAM(Random Access Memory)、並びにプログラム及びシステムソフトウェアを格納するROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disc Drive)及びSSD(Solid State Drive)等の記憶装置を含む。ただし、サーバメモリ22は、調達管理サーバ20の一部として設けられる例に限らず、調達管理サーバ20と協働するデータベースサーバとして設けられてもよい。同様に、在庫管理メモリ12は、在庫管理サーバ10の一部として設けられる例に限らず、在庫管理サーバ10と協働するデータベースサーバとして設けられてもよい。以下の説明では、CPUが、ROM又はHDDに記憶された制御プログラムに従って、種々の演算、制御、及び判別等の処理動作を実行する。
【0034】
[在庫管理手段]
供給条件を記憶する記憶手段の一例としての在庫管理メモリ12は、各サプライヤの供給条件を示す供給情報12Aを記憶している。一例として、供給情報12Aは、サプライヤが提供できる物品を特定する情報(例えば、物品の型番)と、当該物品の数量(例えば在庫量)を含んでいる。そして、在庫管理メモリ12は、当該数量を、物品毎にサプライヤ識別情報と紐づけて記憶している。供給条件は、各サプライヤが直接送信してもよく、在庫管理サーバ10の管理者が入力してもよい。また、在庫管理メモリ12は、不図示の在庫管理プログラムを記憶している。
【0035】
在庫管理制御部13は、在庫管理プログラムに基づいて、供給条件を取得してサプライヤ識別情報と紐づけて在庫管理メモリ12に記憶させる。そのために、在庫管理制御部13は、複数のサプライヤから情報を取得して、在庫管理メモリ12が記憶している供給条件を更新する更新手段の一例として、更新部13Aを備えている。
【0036】
更新部13Aは、コンピュータハードウェアとソフトウェアとの組み合わせによって実現される論理的装置である。そして、在庫管理メモリ12が記憶している在庫管理プログラムは、コンピュータである在庫管理制御部13を、更新部13Aとして機能させる。なお、更新部13Aは、受信した在庫量よりも少ない数量を、サプライヤの在庫量として在庫管理メモリ12に記憶させてもよい。これにより、ユーザから購入注文を受け付けた後に、在庫量が不足して物品の納品が遅延することを抑制できる。さらに、更新部13Aは、受信した在庫量よりも多い数量を、サプライヤの在庫量として在庫管理メモリ12に記憶させてもよい。例えば、更新部13Aは、予測部23Eが予測した在庫量の予測増加量を加算した物品の数量を、サプライヤの在庫量として在庫管理メモリ12に記憶させてもよい。
【0037】
一例として、更新部13Aは、サプライヤが送信する供給条件を、定期的又はリアルタイムに受信して取得する。そして、更新部13Aは、取得した供給条件に基づいて、在庫管理メモリ12が記憶している供給条件を、最新の供給条件に更新する。代替的に、更新部13Aは、不定期(例えば、サプライヤが供給条件を送信する任意のタイミング)に情報を取得して、供給条件を更新してもよい。さらに、更新部13Aは、任意の記憶手段が記憶している最新の供給条件を取得して、在庫管理メモリ12が記憶している供給条件を更新してもよい。この場合、更新部13Aは、情報の取得と供給条件の更新を、定期的(例えば、一日の中の所定の時刻)に行ってもよい。さらに、更新部13Aは自動的に供給条件を取得してもよく、例えば、更新部13Aがサプライヤ端末60に供給条件の送信を要求してもよい。
【0038】
また、更新部13Aは、ユーザが入力する要求数量と単位を合わせた態様で供給量を更新してもよい。例えば、ユーザが入力する要求数量が個数であり、サプライヤから送信される供給量が12個を一組とするダースの単位で表されているとする。この場合、更新部13Aは、供給量の単位を個数に変換して、記憶されている供給量と置き換える。その他に、6個を一組とするパックの単位、2個を一組とするペアの単位、大きさ、又は重量等の単位で供給量が示されている場合も、更新部13Aは、供給量の単位を要求数量と同じ単位に変換する。さらに、ユーザが12個を一組とするダース等の単位で要求数量を入力する場合、更新部13Aは供給量の個数をダース等の単位に変換してもよい。
【0039】
[調達管理手段]
サーバ制御部23は、コンピュータハードウェアとソフトウェアとの組み合わせによって実現される論理的装置として、取得部23A、選択部23B、振分部23C、発注部23D、予測部23E、見積部23F、判定部23G、及び提示部23Hを有している。そして、サーバメモリ22が記憶している調達管理プログラムPGは、コンピュータであるサーバ制御部23を、取得手段の一例である取得部23A、選択手段の一例である選択部23B、振分手段の一例である振分部23C、発注手段の一例である発注部23D、予測手段の一例である予測部23E、見積手段の一例である見積部23F、判定手段の一例である判定部23G、及び提示手段の一例である提示部23Hとして機能させる。なお、サーバ制御部23は、上記論理的装置以外にも、ユーザ端末40の操作に応じてウェブページの表示の切り替え等を制御する不図示の論理的装置等を有している。
【0040】
サーバメモリ22は、供給サプライヤ群の選択と物品の要求数量の割り振りとに伴う各種処理をサーバ制御部23に実行させるための調達管理プログラムPGを記憶している。なお、調達管理プログラムPGは、在庫管理プログラムと協働して一のプログラムとして機能してもよい。また、サーバメモリ22は、ユーザが要求する物品の要求条件を示す要求情報22Aを記憶している。一例として、要求情報22Aは、ユーザが要求する物品を特定する情報(例えば、物品の型番)と、当該物品の要求条件(例えば要求数量及び納期)とを含んでいる。そして、要求情報22Aにおいては、要求条件が、各ユーザを識別するユーザ識別情報と紐づけられている。
【0041】
ユーザは、ユーザ端末40を介して要求条件を送信して、取得部23Aが要求条件を取得し、サーバメモリ22に記憶させる。代替的に、調達管理サーバ20の管理者が、ユーザから取得した要求条件をサーバメモリ22に記憶させてもよい。この場合、取得部23Aは、サーバメモリ22から要求条件を取得する。さらに、取得部23Aは、任意の記憶手段が記憶している要求条件を取得して、サーバメモリ22が記憶している要求条件を更新してもよい。
【0042】
さらに、サーバメモリ22は、ユーザからの購入注文の内容を示す注文情報22Bを記憶している。一例として、注文情報22Bは、ユーザが購入注文した物品を特定する情報(例えば、物品の型番)と、購入注文に対応する販売注文を特定する情報(例えば販売注文番号)と、当該物品の要求数量を含んでいる。そして、サーバメモリ22は、各ユーザのユーザ識別情報と紐づけて要求数量を記憶している。また、注文情報22Bには、販売注文及び購買注文の内容を示す情報と、振分部23Cによる割り振り結果を示す情報とが含まれている。また、サーバメモリ22は、ユーザの情報、過去の見積結果、ウェブページを表示するために用いられる画像データ、及び物品の型番、名称若しくは特徴等の情報を含むデータ等の不図示の各種のデータを記憶している。
【0043】
[取得手段]
取得部23Aは、ユーザが要求する物品の要求数量を含む要求条件を取得する。一例として、ユーザは、サーバ制御部23が提供するウェブページを介して、購入を望む物品の要求数量を入力する。具体的に、サーバ制御部23は、ユーザ認証等を経てユーザを認証する。そして、サーバ制御部23は、ユーザ端末40の表示装置(不図示)にウェブページを表示させる。当該ウェブページにおいて、ユーザは、表示されている画像リンクを選択する、又は物品型番若しくは物品名を入力する等の、所望の物品を特定する操作を行う。これにより、サーバ制御部23は、認証したユーザのユーザ端末40の表示装置に、図4に示す物品画面91を表示させる。なお、物品画面91の画面構成は適宜変更可能であり、例えば、納期入力欄91Bと数量入力欄91Cとが一つにまとめられていてもよい。
【0044】
また、取得部23Aは、物品を供給可能な複数のサプライヤのそれぞれによる物品の供給量を含む供給条件を取得する。具体的に、取得部23Aは、在庫管理メモリ12から供給条件を取得する。また、供給条件が更新された場合、取得部23Aは、在庫管理メモリ12から更新後の供給条件を取得する。例えば、取得部23Aは、要求された物品の在庫量の検索を在庫管理制御部13に要求する。そして、在庫管理制御部13は、各サプライヤの在庫量を検索して、検索結果としての在庫量を取得部23Aに送信する。なお、在庫管理メモリ12に代えて、サーバメモリ22に供給条件が記憶されていてもよい。この場合、取得部23Aは、サーバメモリ22から供給条件を読み出して取得する。
【0045】
図4に示す物品画面91には物品欄91Aが設けられており、物品欄91Aには、物品名、物品型番、及び物品画像が表示されている。図4の例では、物品名として「シャフトホルダ」が表示されており、物品型番として「ATHC3」が表示されている。また、物品画像として、シャフトホルダを斜め情報から撮影して得られた画像が表示されている。なお、物品画像は、物品の3Dモデルであってもよい。
【0046】
また、物品画面91には納期入力欄91Bが設けられており、納期入力欄91Bには、購入注文を特定するために任意の記号を入力するためのユーザ注文番号欄が設けられている。さらに、納期入力欄91Bには、ユーザが希望する物品の納期を入力するための納期欄が設けられている。ユーザが納期欄に納期を入力すると、取得部23Aは、ユーザが入力した納期を取得し、要求情報22Aに含めてサーバメモリ22に記憶させる。なお、図4は、出荷日を基準とする納期「2021/11/11」が入力され、且つユーザ注文番号として「123456789」が入力された例を示している。
【0047】
さらに、物品画面91には数量入力欄91Cが設けられており、数量入力欄91Cには、物品の要求数量を入力するための数量欄91Dが設けられている。ユーザが数量欄91Dに要求数量を入力すると、取得部23Aは、ユーザが入力した要求数量を取得し、要求情報22Aに含めてサーバメモリ22に記憶させる。また、ユーザは、購入可能数量を超える数量(図4の例では51個以上)の物品の購入を望む場合、納期確認ボタン91Eを選択して、サーバ制御部23へ納期の確認を要求する。サーバ制御部23は、当該要求を受けると、購入可能数量を超える数量の物品の出荷可能日と、当該出荷可能日までに出荷可能な物品の数量とを、ユーザ端末40へ通知する。代替的に、サーバ制御部23は、納期の確認の要求を受けると、サプライヤに購入可能数量を超える数量の物品の出荷可能日を問い合わせて、その回答をユーザ端末40へ通知してもよい。
【0048】
代替的に、ユーザは、ユーザ端末40にアプリケーションソフトを予めインストールして、このアプリケーションソフトを用いて希望納期及び要求数量等の要求条件を入力してもよい。さらに、ユーザは、電話又は電子メール等の他の手段を用いて、調達管理サーバ20を管理する管理者へ要求条件を通知してもよい。この場合、調達管理サーバ20の管理者が要求条件を入力して、サーバメモリ22に記憶させる。また、ユーザは、他のサーバが提供するウェブページにおいて、要求条件を入力してもよい。この場合、取得部23Aは、当該他のサーバから要求条件を取得する。また、要求条件は、見積依頼、購入注文、又は問い合わせ等に含まれる態様であってもよい。
【0049】
また、数量入力欄91Cには、物品の一個当たりの単価、要求数量の物品の価格である合計金額、及び購入可能数量が表示されている。図4の例では、単価として「1090円」が表示されており、合計金額として「54500円」が表示されており、購入可能数量として「50個」が表示されている。また、購入可能数量の下方には、注文当日に出荷可能な数量として「24個」が表示されている。この数量は、ユーザが入力した希望納期までに納品可能な物品の要求数量のうち、注文当日に出荷可能な数量である。
【0050】
図2を例に説明したように要求数量を供給サプライヤ群に振り分ける場合、各サプライヤの供給時期が異なることがある。例えば、図4においては、供給サプライヤ群が希望納期までに供給可能な数量が50個であり、そのうち注文から即時に供給できるサプライヤによる供給数量が24個であることを示している。一例として、注文当日に出荷可能な物品の数量は、既にサプライヤによって販売業者に輸送され、販売業者の物流拠点に保管されている物品の数量である。
【0051】
さらに、数量入力欄91Cには、詳細画面ボタン91Fと、注文ボタン91Gとが設けられている。ユーザが詳細画面ボタン91Fを選択する操作を行うと、サーバ制御部23は、図5に示す詳細画面92をユーザ端末40の表示装置に表示させる。また、ユーザが注文ボタン91Gを選択する操作を行うと、サーバ制御部23は、図6に示す注文確認画面93をユーザ端末40の表示装置に表示させる。
【0052】
[提示手段]
提示部23Hは、振分部23Cが振り分けた数量の物品が分けて出荷されることを示す分割出荷情報をユーザへ提示する。例えば、提示部23Hは、振分部23Cによる割り振り結果に基づいて、振分部23Cが振り分けた物品の数量と、当該物品の供給時間としての出荷日とを、分割出荷情報としてユーザに提示する。具体的に、提示部23Hは、振分部23Cから割り振り結果として振り分けた数量及び出荷日等の情報を取得して、分割出荷情報としてユーザへ提示する。具体的に、図5に示す詳細画面92には、分割出荷欄92Cに、分割して出荷される物品の数量と、その出荷日とが分割出荷情報として表示されている。代替的に、提示部23Hは、電子メール等の他の手段によって分割出荷情報を通知することによりユーザに提示してもよい。なお、分割出荷情報は、分けて出荷されることを示す文字列(例えば、「分けて出荷されます」)、又は記号等であってもよい。
【0053】
また、分割出荷欄92Cには、注文期限が表示されている。注文期限は、振分部23Cによる割り振り結果に基づく出荷日と、見積部23Fによる見積結果としての単価及び合計金額とが有効な期限である。ユーザが注文期限までに購入注文を確定させると、ユーザは、表示されている出荷日、単価、及び合計金額が示す内容で物品を購入できる。そして、発注部23Dは、ユーザによる購入注文の確定後に、振分部23Cが振り分けた物品の数量の物品を、供給サプライヤ群の各サプライヤに発注する。そのために、発注部23Dは、ユーザからの購入注文を受け付けて、当該購入注文に基づいて、供給サプライヤ群に含まれるサプライヤの数と同じ数の分割販売注文を作成する。
【0054】
図5の例では、注文期限として「2021/11/01」が表示されている。また、一回目に出荷される物品の個数である「24個」と、その出荷日である「注文の当日」とが表示されている。さらに、二回目に出荷される物品の個数である「26個」と、その出荷日である「2021/11/11」とが表示されている。なお、注文の当日に出荷する条件として、所定の時刻(例えば、12時)までに購入注文を確定すること等が設定されていてもよい。さらに、分割出荷欄92Cには、注文ボタン92Gが設けられている。ユーザが注文ボタン92Gを選択する操作を行うと、サーバ制御部23は、図6に示す注文確認画面93をユーザ端末40の表示装置に表示させる。
【0055】
また、詳細画面92には、物品欄91Aと、要求条件欄92Bとが設けられている。そして、物品欄91Aには、物品名、物品型番、及び物品画像が表示されている。また、要求条件欄92Bには、ユーザが入力した物品の要求条件として、希望納期及び要求数量等が表示されている。さらに、要求条件欄92Bには、ユーザ注文番号、単価、及び合計金額が表示されている。なお、詳細画面92の画面構成は適宜変更可能である。
【0056】
図6に示すように、注文確認画面93には、物品欄91Aと、要求条件欄92Bと、注文欄93Cとが設けられている。そして、物品欄91Aには、物品名、物品型番、及び物品画像が表示されている。また、要求条件欄92Bには、希望納期及び要求数量等が表示されている。また、注文欄93Cには、注文期限と、分割して出荷される物品の個数と、その出荷日とが表示されている。
【0057】
さらに、注文欄93Cには、出荷日を指定する指定欄93Dが設けられている。ユーザは、一回目の出荷と、二回目の出荷とのそれぞれについて、指定欄93Dに希望の出荷日を入力できる。ただし、ユーザが入力できる出荷日は、出荷可能日よりも後の日にちである。例えば、図6における一回目の出荷については、注文の当日に出荷できるので、ユーザは注文の翌日以降の日にちを入力できる。また、図6における二回目の出荷については、2021年11月11日に出荷できるので、ユーザは注2021年11月11日の翌日以降の日にちを入力できる。また、注文欄93Cには、注文確定ボタン93Eが設けられている。ユーザが注文確定ボタン93Eを選択する操作を行うと、サーバ制御部23の発注部23Dが購入注文を受け付けて、サプライヤへ購買注文を送信する。
【0058】
また、提示部23Hは、要求数量の物品が一括して出荷されることを示す一括出荷情報をユーザへ提示する。例えば、提示部23Hは、一括で出荷される物品の数量と、当該物品の供給時間としての出荷日とを、一括出荷情報としてユーザに提示する。ここで、一括で出荷される物品の数量は、要求数量と一致する。具体的に、注文確認画面93の注文欄93Cには、一括出荷ボタン93Fが設けられている。そして、ユーザが一括出荷ボタン93Fを選択する操作を行うと、サーバ制御部23は、図7に示す一括出荷画面94をユーザ端末40の表示装置に表示させる。この一括出荷画面94には、一括出荷欄94Cが設けられている。そして、一括出荷欄94Cには、一括で出荷される物品の個数と、その出荷日とが一括出荷情報として表示されている。代替的に、提示部23Hは、電子メール等の他の手段によって一括出荷情報を通知することによりユーザに提示してもよい。
【0059】
また、一括出荷欄94Cには注文期限が表示されており、ユーザが注文期限までに購入注文を確定させると、ユーザは、表示されている出荷日、単価、及び合計金額が示す内容で物品を購入できる。そして、発注部23Dは、ユーザによる購入注文の確定後に、振分部23Cが振り分けた物品の数量の物品を、供給サプライヤ群の各サプライヤに発注する。そのために、発注部23Dは、ユーザからの購入注文を受け付けて、当該購入注文に基づいて、供給サプライヤ群に含まれるサプライヤの数と同じ数の分割販売注文を作成する。
【0060】
さらに、一括出荷欄94Cには、出荷日を指定する指定欄94Dが設けられている。ユーザは、一括で出荷される物品について、指定欄94Dに希望の出荷日を入力できる。ただし、ユーザが入力できる出荷日は、出荷可能日よりも後の日にちである。例えば、一括で出荷される50個の物品のうち24個の物品が注文の当時に出荷でき 残りの26個の物品が2021年11月11日に出荷できる場合、ユーザは2021年11月11日の翌日以降の日にちを入力できる。また、一括出荷欄94Cには、注文確定ボタン94Eが設けられている。ユーザが注文確定ボタン94Eを選択する操作を行うと、発注部23Dが購入注文を受け付けて、サプライヤへ購買注文を送信する。
【0061】
物品の一括出荷の例として、複数のサプライヤは、それぞれが受信した購買注文に基づく数量の物品を、購買注文によって指定される共通の集積拠点(例えば、販売業者の物流拠点)へと輸送する。例えば、要求数量が50個であり、サプライヤAが受けた購買注文Aにある数量が24個であり、サプライヤBが受けた購買注文Bにある数量が26個であるとする。この場合は、サプライヤAは24個の物品を集積拠点へと輸送し、サプライヤBは26個の物品を同じ集積拠点へと輸送する。その後、集積拠点を管理する業者(例えば販売業者)は、50個の物品をまとめてユーザが指定する輸送先へと輸送する。なお、集積拠点は、輸送業者の物流拠点であってもよい。
【0062】
また、一括出荷画面94には、物品欄91Aと、要求条件欄92Bとが設けられている。そして、物品欄91Aには、物品名、物品型番、及び物品画像が表示されている。また、要求条件欄92Bには、ユーザが入力した物品の要求条件として、希望納期及び要求数量等が表示されている。
【0063】
[判定手段及び選択手段]
判定部23Gは、取得部23Aが取得した要求条件と供給条件とに基づいて、物品の要求数量を複数のサプライヤのうち二以上のサプライヤに振り分けるべき振分条件が満たされるか否かを判定する。一例として、判定部23Gは、ユーザが要求条件の要求数量を入力したタイミングで振分条件が満たされるか否かを判定する。代替的に、判定部23Gは、物品毎に予め設定されている基準数量を超える要求数量をユーザが入力したタイミングで振分条件が満たされるか否かを判定してもよい。そして、選択部23Bは、振分条件が満たされる場合に、複数のサプライヤから二以上のサプライヤを供給サプライヤ群として選択する。具体的に、選択部23Bは、振分条件が満たされる場合に、複数のサプライヤの中から、特定サプライヤと、特定サプライヤとは異なる少なくとも一つの他のサプライヤとを、供給サプライヤ群として選択する。
【0064】
一例として、選択部23Bは、複数のサプライヤのうち一の特定サプライヤを選択する。そして、判定部23Gは、当該特定サプライヤの供給量よりも要求数量が多い場合に、振分条件が満たされると判定する。例えば、特定サプライヤは物品毎に予め設定されており、選択部23Bは、要求条件に含まれる物品に対して設定されている特定サプライヤを選択する。そして、振分条件が満たされると判定部23Gが判断した場合、選択部23Bは、特定サプライヤとは異なる少なくとも一つの他のサプライヤをさらに選択する。例えば、選択部23Bは、供給条件の供給時間に基づいて、複数のサプライヤのうち、要求条件の納期までに物品を供給できる二以上のサプライヤを、供給サプライヤ群として選択する。このようにして、選択部23Bは、特定サプライヤと他のサプライヤとからなる供給サプライヤ群を選択する。これにより、物品の要求数量のうち特定サプライヤの供給量を超える量を、他のサプライヤに振り分けることができる。
【0065】
また、選択部23Bは、要求条件の納期と供給条件の供給時間とを参照して、納期までの物品を供給できる(例えば出荷できる)サプライヤを検索する。例えば、11月3日が納期で要求数量が50個である場合に、サプライヤAの出荷日が11月2日で供給量が24個、サプライヤBの出荷日が11月3日で供給量が26個であり、サプライヤCの出荷日が11月4日で供給量が50個であるとする。このとき、サプライヤCの出荷日は納期よりも後であるので、選択部23Bは、サプライヤAとサプライヤBを供給サプライヤ群として選択する。なお、選択部23Bが納期までに物品を供給できるサプライヤを発見できない場合、サーバ制御部23は、ユーザが購入可能数量を超える数量を注文するときと同様に、物品の出荷可能日と、当該出荷可能日までに出荷可能な物品の数量とを、ユーザ端末40へ通知する。ユーザは、納期を確認及び修正して、上述した購入注文の操作を行う。
【0066】
例えば、選択部23Bは、要求条件の納期までに供給できる物品の供給量が最も多いサプライヤを検索して、他のサプライヤとして選択する。また、選択部23Bは、供給条件の供給時間に基づいて、要求条件の納期までに供給できる物品の供給時間が最も短いサプライヤを検索して、他のサプライヤとして選択してもよい。代替的に、選択部23Bは、後述する予測部23Eの予測結果が示す物品の供給量が最も多いサプライヤを、他のサプライヤとして選択してもよい。また、選択部23Bは、予測部23Eの予測結果が示す物品の供給時間が最も短いサプライヤを、他のサプライヤとして選択してもよい。
【0067】
また、選択部23Bは、供給時間に基づいて、複数のサプライヤのうち納期までに物品を供給でき、且つ供給量が最も多いサプライヤを、特定サプライヤとして選択してもよい。この場合、選択部23Bは、供給条件を参照して、最も多く物品を供給できるサプライヤを検索し、特定サプライヤとして選択する。例えば、供給量としての在庫量が多いサプライヤが優先的に物品を供給するように、選択部23Bは、在庫量が多いサプライヤを特定サプライヤとして選択する。さらに、選択部23Bは、特定サプライヤの次に供給量が多いサプライヤを、他のサプライヤとして選択する。
【0068】
さらに、選択部23Bは、供給時間に基づいて、複数のサプライヤのうち納期までに物品を供給でき且つ供給時間が最も早い又は短いサプライヤを、特定サプライヤとして選択してもよい。この場合、選択部23Bは、供給条件を参照して、供給時間が最も早い又は短いサプライヤを検索し、特定サプライヤとして選択する。さらに、選択部23Bは、特定サプライヤの次に供給時間が早い又は短いサプライヤを、他のサプライヤとして選択する。これにより、より早くユーザに物品を供給できるサプライヤが供給サプライヤ群に含まれる。なお、選択部23Bは、供給条件の単価又は輸送費用等のコストに基づいて、供給サプライヤ群を選択してもよい。なお、コストには、原料費、加工費、生産費、関税等の税金、保管費用、輸出費用、及び輸入費用等のその他の費用が含まれていてもよい。
【0069】
他の例として、判定部23Gは、特定サプライヤの供給量に予測部23Eが予測する予測結果としての予測購入量を減算して得られる予測供給量よりも要求数量が多い場合に、振分条件が満たされると判定する。例えば、希望納期に近い時期に、他のユーザによる特定サプライヤに対する購入注文が予測される場合がある。この場合に、他のユーザによる予測購入量を減算して、特定サプライヤの在庫量がゼロになることを抑制する。これにより、特定サプライヤの在庫量がゼロになってしまうと、他のユーザによる購入注文に対する納品に遅延が生じてしまうが、予測購入量を減算して当該遅延を防止できる。代替的に、判定部23Gは、物品毎に予め設定されている基準数量よりも要求数量が多い場合に、振分条件が満たされると判定してもよい。
【0070】
さらに他の例として、判定部23Gは、特定サプライヤの供給量に後述する予測部23Eが予測する予測結果としての予測増加量を加算して得られる予測供給量よりも要求数量が多い場合に、振分条件が満たされると判定する。例えば、供給条件が更新される前に、供給量の増加が予測される場合がある。この場合に、判定部23Gは、選択時の特定サプライヤの供給量が要求数量よりも少ないときであっても、特定サプライヤの在庫量が増えることを見越して予測増加量を加算する。これにより、予測増加量を加味して、要求数量のうち特定サプライヤの予測供給量を超える量を、他のサプライヤに振り分けることができる。
【0071】
[振分手段]
振分部23Cは、選択部23Bが選択した供給サプライヤ群に、要求条件の要求数量を振り分ける。一例として、振分部23Cは、特定サプライヤの供給量に応じた量を、要求数量の中から特定サプライヤに振り分ける。そして、振分部23Cは、要求数量の中から残りの量を供給サプライヤ群の他のサプライヤに振り分ける。例えば、要求数量が50個であり、特定サプライヤAの供給量が24個である場合、振分部23Cは、残りの26個を他のサプライヤBに振り分ける。これにより、物品の要求数量が特定サプライヤの供給量より多い場合であっても、選択した供給サプライヤ群によってユーザへ物品を供給できる。また、ユーザが電子商取引によって、多量の物品を購入注文する場合に、供給サプライヤ群を構成する複数のサプライヤのそれぞれに動的に要求数量を振り分けることができる。そのため、サプライヤの在庫量を減らすと共に、短期間に物品を出荷できる。
【0072】
他の例として、振分部23Cは、供給サプライヤ群に選択されたサプライヤに同じ数ずつ要求数量を割り振ってもよい。例えば、要求数量が50個である場合は、振分部23Cが、特定サプライヤAに25個を振り分け、他のサプライヤBに25個を振り分ける。また、振分部23Cは、特定サプライヤに最も多くの要求数量を割り振ってもよい。例えば、要求数量が50個である場合は、振分部23Cが、特定サプライヤAに26個を振り分け、他のサプライヤBに24個を振り分ける。
【0073】
さらに、振分部23Cは、在庫量を平均化するため、在庫量の分散の値がより小さくなるように要求数量を割り振ってもよい。例えば、特定サプライヤAの在庫量が30個であり、他のサプライヤBの在庫量が20個であり、他のサプライヤCの在庫量が15個であり、且つ要求数量が50個であるとする。この場合は、振分部23Cが、特定サプライヤAに25個を振り分け、他のサプライヤBに15個を振り分け、他のサプライヤCに10個を振り分ける。これにより、特定サプライヤA、他のサプライヤB、及び他のサプライヤCの在庫量は、それぞれ5個となり、在庫量にばらつきが生じない。
【0074】
さらに、振分部23Cは、複数の条件に基づいて要求数量を割り振ってもよい。一例として、振分部23Cは、特定サプライヤが供給可能な供給量を超える量を、他のサプライヤに同じ数ずつ振り分ける。例えば、要求数量が50個であり、特定サプライヤAの供給量が24個である場合、振分部23Cは、残りの26個のうち13個を他のサプライヤBに振り分け、残りの13個を他のサプライヤCに振り分ける。
【0075】
[発注手段]
発注部23Dは、振分部23Cが振り分けた数量の物品を、供給サプライヤ群に発注する。例えば、ユーザは、見積もりの内容を確認して購入注文を確定させる(図6の注文確定ボタン93Eを選択する)。そして、購入注文の確定を受け付けた発注部23Dは、供給サプライヤ群に含まれるサプライヤへ物品を発注する。そのために、提示部23Hは、振分部23Cが振り分けた物品の数量と、当該物品の供給時間としての出荷日とをユーザに提示する。一例として、提示部23Hは、図5の詳細画面92に出荷日と物品の数量を表示することによって、分割出荷情報をユーザに提示している。
【0076】
図2の例では、購入注文の確定を受け付けた発注部23Dが、ユーザからの購入注文に基づいて、供給サプライヤ群に含まれるサプライヤの数と同じ数の分割販売注文を作成する。具体的に、発注部23Dは、サプライヤA及びサプライヤBに対応する分割販売注文Aと分割販売注文Bとを作成する。また、発注部23Dは、物品を特定する情報及び振り分けられた物品の数量を示す情報等を分割販売注文に含める。なお、これらの情報は、分割販売注文識別情報と紐づけられており、サーバメモリ22が注文情報22Bに含めて記憶する。
【0077】
さらに、発注部23Dは、分割販売注文に対応する購買注文をそれぞれのサプライヤに送信して、物品の発注を行う。図2の例では、発注部23Dが、分割販売注文Aに対応する購買注文AをサプライヤAに送信し、分割販売注文Bに対応する購買注文BをサプライヤBに送信する。また、発注部23Dは、物品を特定する情報、供給する物品の数量を示す情報、物品の納期、及び物品の輸送先を示す情報等を購買注文に含める。なお、これらの情報は、購買注文を識別する購買注文識別情報と紐づけられ、サーバメモリ22が注文情報22Bに含めて記憶する。
【0078】
そして、購買注文を受信したサプライヤは、納期又は納期前に物品を出荷して、ユーザへ物品を輸送する。物品の出荷の例として、複数のサプライヤは、それぞれが受信した購買注文に基づく数量の物品を、ユーザが指定する輸送先へと輸送する。例えば、要求数量が50個であり、サプライヤAが受けた購買注文Aにある数量が24個であり、サプライヤBが受けた購買注文Bにある数量が26個であるとする。この場合は、サプライヤAは24個の物品を輸送先へと輸送し、サプライヤBは26個の物品を輸送先へと輸送する。このように、発注部23Dが、分割販売注文を作成するため、ユーザが複数のサプライヤに購入注文をする操作を省略できる。なお、発注部23Dは、見積部23Fによる見積結果の作成と同時に分割販売注文を作成してもよい。
【0079】
さらに、発注部23Dは、供給サプライヤ群の少なくとも一つのサプライヤに、物品の供給を阻害する阻害条件が生じた場合、複数のサプライヤのうち物品を供給できるサプライヤへ、阻害条件が生じたサプライヤに振り分けられた数量の物品を発注してもよい。例えば、購買注文の送信から出荷日までの間に、サプライヤに不測の納品遅延が生じることがある。この場合、発注部23Dは、在庫管理メモリ12が記憶している供給条件を参照して、複数のサプライヤのうち納期までに物品を供給できるサプライヤを検索する。または、発注部23Dは、複数のサプライヤのうち最も早く物品を供給できるサプライヤを検索する。そして、当該サプライヤに購買注文を送信して、阻害条件が生じたサプライヤに振り分けられた数量の物品を発注する。
【0080】
一例として、発注部23Dは、サプライヤから納品遅延又は納品不能の通知を受けたときに、阻害条件が生じたと判断する。代替的に、発注部23Dは、納期までに物品の供給が無い場合、例えば、納期までにサプライヤから物品の出荷通知が無いときに、阻害条件が生じたと判断する。また、発注部23Dは、天災、災害、又は輸送障害等の発生を検出したときに、阻害条件が生じたと判断してもよい。
【0081】
[予測手段]
予測部23Eは、所定期間における物品の需要を予測する。この場合に、選択部23Bは、予測部23Eによる予測結果に基づいて、所定期間における複数のサプライヤの在庫量のばらつきがより少なくなるように供給サプライヤ群を選択する。一例として、予測部23Eは、所定期間(例えば一週間)における物品の購入量を予測して、予測結果として予測購入量を選択部23Bへ出力する。選択部23Bは、予測購入量と、取得部23Aが取得した在庫量とに基づいて、在庫量のばらつきがより少なくなるように供給サプライヤ群を選択する。これにより、需要が予測される所定期間の間の在庫量のばらつきを最小化するようにサプライヤを選択でき、サプライヤの在庫量を平均化する。
【0082】
例えば、特定サプライヤAの在庫量が30個であり、他のサプライヤBの在庫量が20個であり、要求数量が25個であり、且つ一週間の予測購入量が30個であるとする。この場合は、特定サプライヤAの在庫量は要求数量よりも多いが、特定サプライヤAのみを選択すると、一週間の間に特定サプライヤAと他のサプライヤBの在庫量の差が15個となってばらつきが生じる。そこで、選択部23Bは、他のサプライヤBにも振り分けられるように、特定サプライヤAと他のサプライヤBを供給サプライヤ群として選択する。この場合、振分部23Cは、所定期間における複数のサプライヤの在庫量のばらつきがより少なくなるように、特定サプライヤAに17個を振り分け、他のサプライヤBに8個を振り分けてもよい。
【0083】
一例として、予測部23Eは、物品の需要として、供給量の予測増加量、予測供給量、予測供給時間、及び予測購入量等を予測する。例えば、予測部23Eは、過去の供給量又は購入数量に基づいて、現在の同時期の物品の需要を予測する。具体的に、予測部23Eは、過去の供給量又は購入数量を、現在の同時期の供給量又は購入数量とする予測結果を出力する。代替的に、予測部23Eは、過去の供給量又は購入数量等の実績データを含む学習データに基づいて構築された学習モデルを用いて、物品の需要を予測してもよい。なお、学習モデルは、在庫管理サーバ10又は調達管理サーバ20が構築してもよく、予め構築された学習モデルであってもよい。
【0084】
[見積手段]
見積部23Fは、物品の単価と、要求数量の物品の合計金額とを、見積結果としてユーザに通知する。具体的に、見積部23Fは、図5に示す詳細画面92に、単価と、合計金額とを表示することによって、ユーザに通知している。例えば、見積部23Fは、取得部23Aが取得した供給条件(例えば、物品の単価)を参照して見積結果を作成する。なお、見積結果は、出荷日、及び出荷までに要する実働日の日数等を含んでいてもよい。
【0085】
[端末]
ユーザ端末40は、ユーザ端末40を制御するユーザ端末制御部45と、制御プログラムを記憶したユーザ端末メモリ44とを備えている。当該ユーザ端末制御部45は、所定のプログラムに従って各種の演算処理及び動作制御を実行するプロセッサと、その他の周辺装置とを組み合わせたコンピュータである。また、ユーザ端末40は、不図示の表示装置及び入力装置を備えている。なお、不図示の入力装置は、キーボード、テンキー及びタッチパネル等であり、ユーザは入力装置を用いて要求数量等を入力する。また、不図示の表示装置は、各画面等のウェブページを表示し、ユーザは、表示されたウェブページに従って物品を購入注文する。
【0086】
また、サプライヤ端末60は、サプライヤ端末60を制御するサプライヤ端末制御部65と、制御プログラムを記憶したサプライヤ端末メモリ64とを備えている。当該サプライヤ端末制御部65は、所定のプログラムに従って各種の演算処理及び動作制御を実行するプロセッサと、その他の周辺装置とを組み合わせたコンピュータである。また、サプライヤ端末60は、不図示の表示装置及び入力装置を備えている。サプライヤは、入力装置を用いて供給量等を入力する。
【0087】
一例として、ユーザ端末制御部45及びサプライヤ端末制御部65のプロセッサは、例えばCPU、又はMPUであり、ユーザ端末メモリ44及びサプライヤ端末メモリ64に記憶された制御プログラムに基づいて、端末全体を制御すると共に、各種処理についても統括的に制御する。また、ユーザ端末メモリ44及びサプライヤ端末メモリ64は、プロセッサが動作するためのシステムワークメモリであるRAM、並びにプログラム及びシステムソフトウェアを格納するROM、HDD及びSSD等の記憶装置を含む。なお、ユーザ端末制御部45及びサプライヤ端末制御部65は、CD、DVD、CFカード、及びUSBメモリ等の可搬記録媒体、又はインターネット上のクラウドサーバ等の外部記憶媒体に記憶されたプログラムに従って制御を行うこともできる。また、ユーザ端末メモリ44及びサプライヤ端末メモリ64は、ハードディスク及び半導体記憶装置等の不揮発性記憶媒体(コンピュータ読み取り可能な非一時的記憶媒体)を含んだ外部記憶装置である。
【0088】
[振分処理]
図8を参照して、調達管理システムにおける振分処理について説明する。サプライヤが供給量を含む供給条件を在庫管理サーバ10へ送信すると、更新部13Aは、供給条件を取得する(S101)。そして、更新部13Aは、取得した供給条件に基づいて、在庫管理メモリ12が記憶している供給条件を最新の供給条件に更新する(S102)。または、最初の供給条件の送信である場合、更新部13Aは、取得した供給条件を在庫管理メモリ12に記憶させる。また、ユーザは、サーバ制御部23が提供するウェブページを介して、購入を望む物品の要求数量を含む要求条件を入力する。そして、取得部23Aは、ユーザが入力した要求条件を取得する(S103)。また、取得部23Aは、在庫管理サーバ10から供給量を取得する。
【0089】
判定部23Gは、取得部23Aが取得した要求数量と供給量とを比較して(S104)、振分条件が満たされるか否かを判定する(S105)。この時、判定部23Gは、特定サプライヤの供給量よりも要求数量が少ない場合に、振分条件が満たされないと判定する(S105でNO)。つまり、判定部23Gは、特定サプライヤが単独で物品を供給可能であると判定する。この場合、要求数量は振り分けないので、見積部23Fは、購入可能な数量として要求数量と同じ量をユーザに通知する(S106)。例えば、見積部23Fは、物品の数量と出荷日をユーザ端末40の表示装置に表示させる。そして、ユーザは、数量を確認して、購入注文を確定させる操作を行い、発注部23Dが購入注文を受け付ける(S107)。続いて、発注部23Dは、特定サプライヤへ購買注文を送信して、物品を発注する(S108)。
【0090】
一方、特定サプライヤの供給量よりも要求数量が多い場合、判定部23Gは、振分条件が満たされると判定する(S105でYES)。そして、選択部23Bは、特定サプライヤと、要求条件の納期までに物品を供給できる他のサプライヤとを供給サプライヤ群として選択する(S109)。また、振分部23Cは、選択部23Bが選択した供給サプライヤ群に、要求条件の要求数量を振り分ける(S110)。続いて、見積部23Fは、振り分けられた数量をユーザに通知する(S106)。例えば、見積部23Fは、振り分けられた数量と物品の出荷日を、ユーザ端末40の表示装置に表示させる。そして、ユーザは、数量を確認して、購入注文を確定させる操作を行い、発注部23Dが購入注文を受け付ける(S107)。続いて、発注部23Dは、供給サプライヤ群の各サプライヤへ購買注文を送信して、物品を発注する(S108)。これにより、振分処理が終了する。
【0091】
以上説明した、第1実施形態に係る調達管理システムによれば、ユーザが要求する物品の数量を、複数のサブサプライヤへ振り分けることによって、購入注文から物品の納品までの期間を短くできる。すなわち、要求数量のうち供給量を超える量を他のサプライヤに発注して、より早く物品を納品できる。また、ユーザは、多量の物品を購入注文する場合に、複数のサプライヤのそれぞれに購入注文する数量を計算する必要がない。また、ユーザは、複数のサプライヤのそれぞれに購入注文する必要もない。そのため、購入注文する際の計算及び操作を省略して、購入注文に要する時間を短縮できる。さらに、各サプライヤの供給量が動的に更新されるため、要求数量の振分の要否が、より新しい供給量に基づいて判断される。
【0092】
なお、上述した調達管理システムの制御方法は、コンピュータとしての在庫管理制御部13とサーバ制御部23とが協働して実行する。具体的に、当該制御方法は、取得工程と、判定工程と、選択工程と、振分工程とを含む。取得工程では、ユーザが要求する物品の要求数量を含む要求条件と、物品を供給可能な複数のサプライヤのそれぞれによる物品の供給量を含む供給条件とを取得する。また、判定工程では、要求条件と供給条件とに基づいて、物品の要求数量を複数のサプライヤのうち二以上のサプライヤに振り分けるべき振分条件が満たされるか否かを判定する。さらに、選択工程では、振分条件が満たされる場合に、複数のサプライヤから二以上のサプライヤを供給サプライヤ群として選択する。そして、振分工程では、供給サプライヤ群に要求数量を振り分ける。代替的に、在庫管理制御部13及びサーバ制御部23の一方が、取得工程と、判定工程と、選択工程と、振分工程とを実行してもよい。
【0093】
[第2実施形態]
図9及び図10を参照して第2実施形態について説明する。第2実施形態の販売管理システム200が備える調達管理システムは、複数の販売注文を作成せずに複数の購買注文を作成する点において、第1実施形態と異なる。なお、第2実施形態の説明においては、第1実施形態との相違点について説明し、既に説明した構成要素については同じ参照番号を付し、その説明を省略する。特に説明した場合を除き、同じ参照符号を付した構成要素は略同一の動作及び機能を奏し、その作用効果も略同一である。
【0094】
図9を参照して、第2実施形態の調達管理システムによる調達管理について説明する。サプライヤ端末60は、サプライヤAの端末と、サプライヤBの端末とを含んでいる。サプライヤ端末60のそれぞれは、任意のタイミングで在庫量を含む供給条件を在庫管理サーバ10へ送信する。そして、在庫管理サーバ10の在庫管理制御部13は、受信した供給条件を物品毎にそれぞれのサプライヤ識別情報と紐づけて在庫管理メモリ12に記憶させる。
【0095】
物品の購入を望むユーザは、ユーザ端末40から調達管理サーバ20が提供するウェブサイトにアクセスする。具体的に、調達管理サーバ20のサーバ制御部23は、図10に示すような物品画面95をユーザ端末40の表示装置に表示させる。物品画面95には、物品欄91Aと納期入力欄91Bが設けられている。また、物品画面95には、数量入力欄95Cが設けられており、数量入力欄95Cには、物品の要求数量を入力するための数量欄95Dが設けられている。ユーザが数量欄95Dに要求数量を入力すると、サーバ制御部23は、ユーザが入力した要求数量を取得し、要求情報22Aに含めてサーバメモリ22に記憶させる。また、ユーザは、購入可能数量を超える数量の物品の購入を望む場合、納期確認ボタン95Eを選択して納期の確認を要求する。
【0096】
ユーザは、物品の要求数量と納期を、物品画面95を介して入力する。調達管理サーバ20のサーバ制御部23は、入力された要求条件を取得して、調達管理サーバ20のサーバメモリ22に記憶させる。そして、サーバ制御部23は、在庫管理サーバ10から在庫量を取得して、要求された物品を供給できる特定サプライヤを選択する。ここで、サーバ制御部23は、特定サプライヤの在庫量が要求数量に足りる場合、当該特定サプライヤを選択する。そして、サーバ制御部23は、購入注文が可能であることをユーザに通知して、ユーザは購入注文を送信する操作を行う。そのために、図10に示す物品画面95には、注文ボタン95Gが設けられている。ユーザが注文ボタン95Gを選択する操作を行うと、サーバ制御部23は、不図示の注文確認画面をユーザ端末40の表示装置に表示させる。そして、ユーザは注文確認画面において購入注文の内容を確認して、注文確定ボタンを選択して購入注文をする。なお、物品画面95は一括納品に対応しているため、詳細画面ボタン91Fが設けられていない。
【0097】
他方、特定サプライヤの在庫量が要求数量に足りない場合、サーバ制御部23は、特定サプライヤと、複数のサプライヤから物品を供給可能な他のサプライヤとを、供給サプライヤ群として選択する。このとき、サーバ制御部23は、供給サプライヤ群の合計在庫量が要求数量に足りるように、供給サプライヤ群を選択する。そして、サーバ制御部23は、供給サプライヤ群に物品の要求数量を振り分ける。
【0098】
さらに、サーバ制御部23は、購入できる物品の数量を一括出荷情報としてユーザに提示することにより、購入注文が可能であることをユーザに通知する。また、サーバ制御部23は、ユーザが注文ボタン95G(図10)を選択する操作を行うと、不図示の注文確認画面をユーザ端末40の表示装置に表示させる。そして、ユーザは注文確認画面において購入注文の内容を確認して、注文確定ボタンを選択して購入注文をする。続いて、サーバ制御部23は、購入注文を受け付けて、受け付けた購入注文に対応する販売注文を識別する基礎販売識別情報と紐付けた複数の購買注文を作成する。この複数の購買注文は、それぞれを識別する基礎販売識別情報と紐付けられている。
【0099】
図9の例では、複数の購買注文として、サーバ制御部23は、一つの販売注文に対応する購買注文A及び購買注文Bを作成する。購買注文AはサプライヤAに対する注文であり、購買注文BはサプライヤBに対する注文である。そして、サーバ制御部23は、複数の購買注文をそれぞれのサプライヤのサプライヤ端末60へ送信する。その後、それぞれのサプライヤは、購買注文に応じた物品を供給する。例えば、サプライヤは、型番によって特定される物品を、購買注文によって特定される数量及び出荷時期で、購買注文によって特定される共通の集積拠点へ出荷する。この場合は、サプライヤA及びサプライヤBは、それぞれ割り振られた数量の物品を集積拠点へと輸送する。その後、集積拠点を管理する業者(例えば販売業者)は、集積された物品をまとめてユーザが指定する輸送先へと輸送する。
【0100】
第2実施形態に係る調達管理システムによれば、ユーザが要求する物品の数量を、複数のサブサプライヤへ振り分けることによって、購入注文から物品の納品までの期間を短くできる。また、ユーザは、多量の物品を購入注文する場合に、複数のサプライヤのそれぞれに購入注文する数量を計算する必要がない。また、ユーザは、複数のサプライヤのそれぞれに購入注文する必要もない。そのため、購入注文する際の計算及び操作を省略して、購入注文に要する時間を短縮できる。さらに、各サプライヤの供給量が動的に更新されるため、要求数量の振分の要否が、より新しい供給量に基づいて判断される。
【0101】
以上、各実施形態を参照して本発明について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明に反しない範囲で変更された発明、及び本発明と均等な発明も本発明に含まれる。また、各実施形態及び各変形形態は、本発明に反しない範囲で適宜組み合わせることができる。
【0102】
例えば、在庫管理サーバ10と調達管理サーバ20は、一つのサーバであってもよい。また、在庫管理サーバ10に設けられる各論理的装置は、調達管理サーバ20に設けられていてもよい。さらに、調達管理サーバ20に設けられる各論理的装置は、在庫管理サーバ10に設けられていてもよい。また、在庫管理サーバ10及び調達管理サーバ20に設けられる各論理的装置は、それぞれ別のサーバに設けられていてもよい。この場合、当該別のサーバと、在庫管理サーバ10及び調達管理サーバ20とが協働して調達管理システムを構成する。
【符号の説明】
【0103】
10 :調達管理システム(在庫管理サーバ)
12 :在庫管理メモリ(記憶手段)
13A :更新部(更新手段)
20 :調達管理システム(調達管理サーバ)
23 :サーバ制御部(コンピュータ)
23A :取得部(取得手段)
23B :選択部(選択手段)
23C :振分部(振分手段)
23D :発注部(発注手段)
23E :予測部(予測手段)
23G :判定部(判定手段)
23H :提示部(提示手段)
PG :調達管理プログラム(コンピュータプログラム)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10