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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-22
(45)【発行日】2024-01-05
(54)【発明の名称】光電変換装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 25/40 20230101AFI20231225BHJP
   H04N 25/76 20230101ALI20231225BHJP
   H04N 25/78 20230101ALI20231225BHJP
【FI】
H04N25/40
H04N25/76
H04N25/78
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021211290
(22)【出願日】2021-12-24
(65)【公開番号】P2023095414
(43)【公開日】2023-07-06
【審査請求日】2022-09-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】島田 淳史
(72)【発明者】
【氏名】識名 紀之
(72)【発明者】
【氏名】鴫谷 美子
【審査官】三沢 岳志
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-139859(JP,A)
【文献】特開2018-191176(JP,A)
【文献】特開2012-084645(JP,A)
【文献】特開2019-068269(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 25/40
H04N 25/76
H04N 25/78
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
行方向および列方向に2次元的に配置された画素と、
各画素列に設けられたL本(Lは3以上の整数)の垂直信号線と、
各画素に設けられたM個(Mは2以上の整数)選択回路であって、各々が前記画素を異なる垂直信号線に接続する選択回路と、
前記選択回路を走査する垂直走査回路と、
制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記垂直走査回路が同時期に単一の読み出し走査を行う第1の動作モードと、
前記垂直走査回路が同時期に複数の読み出し走査を行う第2の動作モードと、
を設定可能であり、
前記第1の動作モードでは、前記M個の選択回路のうち第1の選択回路を使用して読み出し走査を行い、
前記第2の動作モードでは、前記M個の選択回路のうち前記第1の選択回路とは別の第2の選択回路を使用して読み出し走査を行う、
ことを特徴とする光電変換装置。
【請求項2】
前記第2の動作モードにおける複数の読み出し走査は、第1の読み出し走査と第2の読み出し走査を含み、
前記第1の読み出し走査の周期は、前記第2の読み出し走査の周期よりも長い、
ことを特徴とする請求項1に記載の光電変換装置。
【請求項3】
前記第2の動作モードにおける複数の読み出し走査は、第1の読み出し走査と第2の読み出し走査を含み、
前記第1の読み出し走査が1回行われる間に、前記第2の読み出し走査が複数回行われる、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の光電変換装置。
【請求項4】
前記第2の動作モードにおける複数の読み出し走査は、第1の読み出し走査と第2の読み出し走査を含み、
前記第1の読み出し走査と前記第2の読み出し走査において読み出される画素行が異なる、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の光電変換装置。
【請求項5】
前記第1の読み出し走査において読み出される画素行の数は、前記第2の読み出し走査において読み出される画素行の数よりも多い、
ことを特徴とする請求項4に記載の光電変換装置。
【請求項6】
前記第1の動作モードは、前記垂直信号線上でのアナログ加算を行わずに読み出す第1サブモードと、複数の画素行を前記垂直信号線上でアナログ加算して読み出す第2サブモードを有し、
1つの画素に設けられる前記選択回路は3個以上であり、
前記第1サブモードでは、各垂直信号線について、前記選択回路のいずれか1つを使用して読み出し走査を行い、
前記第2サブモードでは、各垂直信号線について、前記第1サブモードで使用する選択回路を含む複数の選択回路を使用して読み出し走査を行い、
前記第2の動作モードでは、前記第2サブモードで使用する選択回路以外の選択回路を使用して読み出し走査を行う、
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の光電変換装置。
【請求項7】
行方向および列方向に2次元的に配置された画素と、
各画素列に設けられたL本(Lは3以上の整数)の垂直信号線と、
各画素に設けられたM個(Mは2以上の整数)選択回路と、
前記選択回路を走査する垂直走査回路と、
を備え、
前記垂直信号線のそれぞれは、L行あたり少なくとも一つの前記選択回路に接続されており、
さらに、
前記L本のうちP本(Pは1以上L-1以下の整数)の垂直信号線は、S×P(Sは2以上の整数)行あたり少なくとも1つの選択回路に接続されており、
前記L本のうち前記P本以外のL-P本の垂直信号線は、S×(L-P)行あたり少なくとも1つの選択回路に接続されている、
ことを特徴とする光電変換装置。
【請求項8】
前記画素のそれぞれは、2つのフォトダイオードと、前記2つのフォトダイオードに接続されたフローティングディフュージョンを有し、
前記選択回路は、前記フローティングディフュージョンと前記垂直信号線を接続する、
ことを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の光電変換装置。
【請求項9】
前記画素が設けられた第1基板と、
前記画素から読み出された信号を処理する信号処理部が設けられた第2基板と、
が積層されている、ことを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の光電変換装置。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1項に記載の光電変換装置と、
前記光電変換装置から出力される信号を処理する信号処理部と、
を有することを特徴とする光電変換システム。
【請求項11】
移動体であって、
請求項1から9のいずれか1項に記載の光電変換装置と、
移動装置と、
前記光電変換装置から出力される信号から情報を取得する処理装置と、
前記情報に基づいて前記移動装置を制御する制御装置と、
を有することを特徴とする移動体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光電変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
XYアドレス型の撮像素子であるCMOSイメージセンサを備えたデジタルカメラ等の撮像装置において、複数の垂直読み出し走査を同時並行で行うことにより、目的の異なる画像を同時並行して撮影することができる。例えば、ライブビュー画像表示をしつつ、並行してフリッカ検知を行うことが可能となる。
【0003】
特許文献1では、画素の信号情報を垂直信号線に接続して読み出すために各画素が備える選択トランジスタを、各画素に一つだけ備える構成で、複数の垂直読み出し走査を同時並行して行う固体撮像装置(光電変換装置)開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2015/133323号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された光電変換装置は、各画素に設けられる選択トランジスタが一つのみであるので、垂直信号線と画素行の接続は一つのパターンしか実現できない。そのため、異なる2つの垂直読み出し走査を同時並行で行う場合に、それぞれの垂直走査の設定に制約がかかる。また、所望の垂直読み出し走査をしようとしたときには、使用できない垂直信号線が発生する場合がある。使用できない垂直信号線の数は、各列の垂直信号線数が多くなればなるほど多くなってしまう。
【0006】
本発明は、複数の異なる垂直走査を同時並行に行うモードにおいても、垂直走査の設定に制約が少なく、また、垂直信号線の数が増えても使用できない垂直信号線を抑制できる光電変換装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第一の態様は、行方向および列方向に2次元的に配置された画素と、
各画素列に設けられたL本(Lは3以上の整数)の垂直信号線と、
各画素に設けられたM個(Mは2以上の整数)選択回路であって、各々が前記画素を異なる垂直信号線に接続する選択回路と、
前記選択回路を走査する垂直走査回路と、
制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記垂直走査回路が同時期に単一の読み出し走査を行う第1の動作モードと、
前記垂直走査回路が同時期に複数の読み出し走査を行う第2の動作モードと、
を設定可能であり、
前記第1の動作モードでは、前記M個の選択回路のうち第1の選択回路を使用して読み出し走査を行い、
前記第2の動作モードでは、前記M個の選択回路のうち前記第1の選択回路とは別の第2の選択回路を使用して読み出し走査を行う、
ことを特徴とする光電変換装置である。
【0008】
本発明の第二の態様は、行方向および列方向に2次元的に配置された画素と、
各画素列に設けられたL本(Lは3以上の整数)の垂直信号線と、
各画素に設けられたM個(Mは2以上の整数)選択回路と、
前記選択回路を走査する垂直走査回路と、
を備え、
前記垂直信号線のそれぞれは、L行あたり少なくとも一つの前記選択回路に接続されており、
さらに、
前記L本のうちP本(Pは1以上L-1以下の整数)の垂直信号線は、S×P(Sは2以上の整数)行あたり少なくとも1つの選択回路に接続されており、
前記L本のうち前記P本以外のL-P本の垂直信号線は、S×(L-P)行あたり少なくとも1つの選択回路に接続されている、
ことを特徴とする光電変換装置である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、複数の異なる垂直走査を同時並行に行うモードにおいても、垂直走査の設定に制約が少なく、また、垂直信号線の数が増えても使用できない垂直信号線を抑制できる光電変換装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施例1に係る固体撮像装置の構成例を示すブロック図
図2】実施例1に係る画素の等価回路図
図3】実施例1に係る垂直走査部103と画素部104の構成を示した概略図
図4A】実施例1に係る画素部104と周辺回路構成を示した概略図
図4B】実施例1に係る選択トランジスタと垂直信号線の接続関係を示した概略図
図5】実施例1に係る概要タイミングチャート1
図6】実施例1に係る概要タイミングチャート2
図7】実施例2に係る画素の等価回路図
図8】実施例2に係る垂直走査部103と画素部104の構成を示した概略図
図9】実施例2に係る概要タイミングチャート1
図10】実施例2に係る概要タイミングチャート2
図11】実施例3に係る画素の等価回路図
図12】実施例3に係る垂直走査部103と画素部104の構成を示した概略図
図13A】実施例3に係る画素部104と周辺回路構成を示した概略図
図13B】実施例3に係る選択トランジスタと垂直信号線の接続関係を示した概略図
図14】実施例3に係る読み出し走査時における画素と垂直信号線の接続の関係図1
図15】実施例3に係る読み出し走査時における画素と垂直信号線の接続の関係図2
図16】実施例3に係る読み出し走査時における画素と垂直信号線の接続の関係図3
図17】実施例4に係る光電変換システムの構成を示した概略図
図18】実施例5に係る移動体システムの構成を示した概略図
【発明を実施するための形態】
【0011】
<実施例1>
以下、本発明にかかる固体撮像装置(光電変換装置)の実施形態について、図面を参照して具体的に説明する。なお、以下の説明は本発明を説明するための例示に過ぎず、本発
明は以下の実施形態に限定されるわけではない。本発明はその技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。
【0012】
(全体ブロック図)
図1は、本実施例に係る固体撮像装置の構成例を示すブロック図である。固体撮像装置1は、制御部102、垂直走査部103、画素部104、列回路部105、水平転送部106、信号出力部107を有する。固体撮像装置1は、CPU101によって制御される。なお、CPU101は、撮像装置が搭載される撮像システム内、すなわち撮像装置の外部に設けられていてもよい。
【0013】
制御部102は、CPU101からの同期信号などの制御信号および動作モードなどの設定信号を受けて動作する。
【0014】
垂直走査部103は、制御部102からの制御信号を受けて、画素部104の電子シャッタ走査と読み出し走査とを行う。なお、電子シャッタ走査とは、画素部104の一部または全部の行の画素に対して、順次光電変換素子のリセット状態を解除して電荷蓄積状態とすることで、露光を開始する動作をいう。また、読み出し走査とは、画素部104の一部または全部の行の画素に対して光電変換素子に蓄積された電荷に基づく信号を順次出力させる動作をいう。
【0015】
画素部104は、行方向および列方向に2次元的に配置された複数の画素を含む。画素はn行m列であり、それぞれを画素P(1,1)~P(m,n)と称する。ここで、行方向とは図面における水平方向を示し、列方向とは図面における垂直方向を示すものとする。また、画素P(m,n)の括弧内の添字は、順に列番号、行番号を示している。また、先頭行の行番号は1行目であり、先頭列の列番号は1列目であるものとする。
【0016】
列回路部105は、増幅回路、アナログデジタル変換(以下、「AD変換」と記す)回路、メモリを備える。列回路部105は、画素部104から読み出された信号を増幅し、AD変換を行い、デジタル信号としてメモリに保持する。
【0017】
水平転送部106は、制御部102からの制御信号を受けて、列回路部105のメモリに保持された信号を順次走査し出力する。
【0018】
信号出力部107は、デジタル処理部とパラレル・シリアル変換回路とLVDS(Low Voltage Differential Signaling)などの出力回路とを備える。信号出力部107は、水平走査部106から出力された信号をデジタル処理し、シリアルデータとして撮像装置の外部に出力する。
【0019】
なお、列回路部105がAD変換の機能を有することは必須ではなく、例えば、撮像装置の外部でAD変換を行うように構成を変形してもよい。この場合、水平走査部106及び信号出力部107の構成もアナログ信号の処理に適合するように適宜変形される。
【0020】
(画素P)
図2は、画素部104に含まれる画素Pの構成例を示す図である。図2において、画素P(m,n)は、画素部104のn行m列に配される画素を表している。
【0021】
画素Pはフォトダイオード(以下、「PD」と記す)、フローティングディフュージョン(以下、「FD」と記す)、転送トランジスタM1、リセットトランジスタM2、増幅トランジスタM3、選択トランジスタM4、選択トランジスタM5を備える。
【0022】
PDは、光電変換を行い、入射光に応じた電荷を生成して蓄積する光電変換素子である。転送トランジスタM1はPDからの電荷を増幅トランジスタM3の入力ノードであるFDに転送する。FDは、転送トランジスタM1を介して転送された電荷を保持する。リセットトランジスタM2は、FDの電圧を所定の電圧にリセットする。増幅トランジスタM3は、転送された電荷に応じて変動するFDの電位に基づく信号を、選択トランジスタM4または選択トランジスタM5を介してm列目の垂直信号線Vline1(m)、Vline2(m)に出力する。本実施例では、一つの画素Pに2つの垂直信号線Vline1(m)、Vline2(m)がそれぞれ選択トランジスタM4,M5を介して接続されており、2つの垂直信号線から画素信号を出力可能である。選択トランジスタM4,M5は、画素を垂直信号線に接続する接続回路に相当する。
【0023】
リセットトランジスタM2及び増幅トランジスタM3のドレインは、画素電源VCCに電気的に接続される。増幅トランジスタM3のソースは、選択トランジスタM4、M5、垂直信号線Vline1(m)、Vline2(m)を介して不図示の電流源に電気的に接続されており、ソースフォロワ回路として動作する。すなわち、増幅トランジスタM3は、ゲート端子に接続されたFDの電位に応じた信号を出力することができる。
【0024】
なお、各トランジスタは、Nチャネルトランジスタにより構成されるが、Pチャネルトランジスタにより構成されてもよい。
【0025】
(画素Pの動作説明)
信号PTX(n)は、n行目の転送トランジスタM1を制御する信号であり、転送トランジスタのゲートに入力される。信号PRES(n)は、n行目のリセットトランジスタM2を制御する信号であり、リセットトランジスタのゲートに入力される。信号PSEL1(n)は、n行目の選択トランジスタM4を制御する信号であり、選択トランジスタのゲートに入力される。信号PSEL2(n)は、n行目の選択トランジスタM5を制御する信号であり、選択トランジスタのゲートに入力される。各トランジスタはゲートに入力される信号がハイレベルのときに導通状態となり、ローレベルのときに非導通状態になるものとする。これらの制御信号は、制御部102からの指示に基づいて垂直走査部103から画素部104に供給される。
【0026】
画素Pの読み出しの際には、N(ノイズ)データを読み出した後、S(シグナル)データを読み出す。
【0027】
Nデータは、FDのリセットを解除した後に、FDの電荷を、選択トランジスタM4またはM5のゲート電圧を制御することで、増幅トランジスタM3を介して読み出す。その際、選択トランジスタM4から読み出す場合には選択トランジスタM4のゲート電圧をハイレベルにし、選択トランジスタM5から読み出す場合には選択トランジスタM5のゲート電圧をハイレベルにすることで読み出す。
【0028】
Sデータは、Nデータを読み出した後に、転送トランジスタM1でPDの電荷をFDに転送し、その時のFDの電荷を、選択トランジスタM4またはM5のゲート電圧を制御することで、増幅トランジスタM3を介して読み出す。その際、選択トランジスタM4から読み出す場合には選択トランジスタM4のゲート電圧をハイレベルにし、選択トランジスタM5から読み出す場合には選択トランジスタM5のゲート電圧をハイレベルにすることで読み出す。
【0029】
SデータからNデータを減算する相関2重サンプリング処理(S-N)によって、画素PのデータからFDのリセットノイズを除去することができる。以下、本実施例では、相関2重サンプリング処理によって画素Pのデータを読み出す動作を読み出し動作と称する
。ただし、相関2重サンプリング処理を行わずに画素Pのデータを読み出す構成としてもよい。
【0030】
画素Pのシャッタの際には、PDのリセット解除を行う。PDの電荷を転送トランジスタM1の入力ゲートをハイレベルからローレベルにすることでPDリセットの解除を行う。以下、本実施例ではこの動作をシャッタ動作と称する。
【0031】
(垂直走査回路)
図3は、本実施例に係る垂直走査部103及び画素部104の構成例を示した概略図である。垂直走査部は、信号PTX(k)、PRES(k)、PSEL1(k)、PSEL2(k)(k:1~n)を出力する。垂直走査部から出力した信号PTX(k)、PRES(k)、PSEL1、PSEL2(k)は、k行目に配列された画素P(m,k)(k:1~n)に接続される。垂直走査部103は信号PTX(k)、PRES(k)、PSEL1(k)、PSEL2(k)を制御することでk行目の画素にシャッタ動作、読み出し動作させることができる。
【0032】
(列構成)
図4Aは、本実施例に係る画素部104及び列回路部105の構成例を示した概略図である。画素部104は、各列に画素Pを有する。また、各列の画素に接続された垂直信号線202を有する。
【0033】
m列・n行目の画素P(m,n)に備わった選択トランジスタM4と垂直信号線202とは信号線sel1(n)_cmで接続され、画素P(m,n)に備わった選択トランジスタM5と垂直信号線402とは信号線はsel2(n)_cmで接続される。
【0034】
垂直信号線402は、定電流源(不図示)に接続される。また、垂直信号線402は、列回路部105に接続される。本実施例においては、垂直信号線402は、各列に対して6本ずつ配置される。また本実施例では、1列目の画素に接続する6本の垂直信号線はc1_vl#(#:1~6)、m列目の画素に接続する6本の垂直信号線はcm_vl#と表現している。
【0035】
図4Bは、各画素の選択トランジスタ(出力信号線)と垂直信号線の接続関係を簡略化して説明した図である。
【0036】
<画素Pの選択トランジスタM4と垂直信号線との接続>
選択トランジスタM4を介した画素P(m,n)と垂直信号線202との接続について説明する。画素P(m,n)の選択トランジスタM4の出力信号線sel1(n)_cmと垂直信号線cm_vl#(#:1~6)は、以下のように接続される。
【0037】
1行目の画素P(k,1)の信号線sel1(1)_ckは、垂直信号線ck_vl1(k:1~m)と接続される。
【0038】
2行目の画素P(k,2)の信号線sel1(2)_ckは、垂直信号線ck_vl2(k:1~m)と接続される。
【0039】
3行目の画素P(k,3)の信号線sel1(3)_ckは、垂直信号線ck_vl3(k:1~m)と接続される。
【0040】
このように各行の信号線の6本の垂直信号線に順次接続され、このような接続が6行周期で繰り返される。
【0041】
なお、必ずしも行の順番に垂直信号線ck_vl1、ck_vl2、ck_vl3、ck_vl4、ck_vl5、ck_vl6(k:1~m)と接続する必要はない。連続した6行の中でck_vl1~ck_vl6がそれぞれ1回ずつ画素Pの選択トランジスタM4に接続されていればよい。別の表現をすると、垂直信号線のそれぞれは、6行あたりに1回選択トランジスタM4を介して画素Pに接続されていればよい。
【0042】
<画素Pの選択トランジスタM5と垂直信号線との接続>
選択トランジスタM5を介した画素P(m,n)と垂直信号線202との接続について説明する。画素P(m,n)の選択トランジスタM5の出力信号線sel2(n)_mと垂直信号線cm_vl#(#:1~6)は、以下のように接続される。ここで、垂直信号線cm_vl#(#:1~4)と垂直信号線cm_vl#(#:5~6)に分けて説明する。
【0043】
なお、ここでは6本の垂直信号線は4本と2本に分けているが、各画素列にL本(Lは3以上の整数)の垂直信号線が設けられる場合に、P本(Pは1以上L-1以下の整数)とL-P本の2グループに分けてかまわない。
【0044】
垂直信号線cm_vl#(#:1~4)は、以下のように接続される。
【0045】
1行目の画素P(k,1)の信号線sel2(1)_kは、垂直信号線ck_vl1(k:1~m)と接続される。
【0046】
4行目の画素P(k,4)の信号線sel2(4)_kは、垂直信号線ck_vl2(k:1~m)と接続される。
【0047】
7行目の画素P(k,7)の信号線sel2(7)_kは、垂直信号線ck_vl3(k:1~m)と接続される。
【0048】
10行目の画素P(k,10)の信号線sel2(10)_kは、垂直信号線ck_vl4(k:1~m)と接続される。
【0049】
すなわち、3行おきに垂直信号線cm_vl#(#:1~4)が順次、画素Pの選択トランジスタM5の出力信号線と接続される。このような12行を1周期とする接続が、周期的に繰り返される。
【0050】
なお、本実施例では3行おきの接続としているが、必ずしも3行おきとする必要はなく、要求に応じてS行(Sは2以上の整数)おきに接続してもよい。上記の実施例はS=3とした例である。また、3行おきにck_vl1、ck_vl2、ck_vl3、ck_vl4と順番に接続したが、この順序で接続する必要はない。S×4行(Sは2以上の自然数)中で垂直信号線ck_vl1~ck_vl4がそれぞれ1回ずつ画素Pの選択トランジスタM5に接続されていればよい。別の表現をすると、垂直信号線ck_vl#(#:1~4)のそれぞれは、S×4行あたり1回画素Pの選択トランジスタM5に接続されていればよい。なお、ここでは垂直信号線cm_vl#(#:1~4)の4本を1グループとしている(P=4)ためS×4行ごとの接続として説明しているが、一般には各垂直信号線はS×P行ごとに接続される。
【0051】
垂直信号線cm_vl#(#:5~6)の接続は、以下のように接続される。
【0052】
2行目の画素P(k,2)の信号sel2(2)_kは、垂直信号線ck_vl5(k
:1~m)と接続する。
【0053】
5行目の画素P(k,5)の信号sel2(5)_kは、垂直信号線ck_vl6(k:1~m)と接続する。
【0054】
すなわち、3行おきに垂直信号線cm_vl#(#:5~6)は交互に、画素Pの選択トランジスタM5の出力信号線と接続される。このような6行を1周期とする接続が、周期的に繰り返される。
【0055】
なお、本実施例では3行おきの接続としているが、必ずしも3行おきとする必要はなく、要求に応じてS行(Sは2以上の整数)おきに接続してもよい。上記の実施例はS=3とした例である。また、3行おきにck_vl5、ck_vl6を順番に接続したが、順番に接続するのは必ずしもこの順序で接続する必要はない。S×2行(Sは2以上の自然数)中で垂直信号線ck_vl5~ck_vl6がそれぞれ1回ずつ画素Pの選択トランジスタM5に接続されていればよい。別の表現をすると、垂直信号線ck_vl#(#:5~6)のそれぞれは、S×2行あたり1回画素Pの選択トランジスタM5に接続されていればよい。なお、垂直信号線cm_vl#(#:5~6)の2本(6-4本)を1グループとしているためS×2行ごとの接続として説明しているが、一般には各垂直信号線はS×(L-P)行ごとに接続される(本例では、L=6,P=4)。
【0056】
また、上記記載以外の行(3n+3(nは0以上の整数)行目)に関しては、どの垂直信号線に接続してもよいし、あるいは垂直信号線に接続しなくてもよい。
【0057】
例えば、6n+3(nは0以上の整数)行目にはck_vl5を接続し、6n+6(nは0以上の整数)行目にはck_vl6を接続してもよい。図4はこの接続方法を示している。このようにすれば、6本の垂直信号線のそれぞれに接続される画素の選択トランジスタM4、M5の個数が同じとなる。そのため、垂直信号線につながるトランジスタ容量を揃えることができる。
【0058】
また、この接続によれば、複数の行の画素信号をアナログ加算して読み出すことができる。すなわち、垂直信号線ck_vl5は、6n+2行目(nは0以上の整数)と6n+3行目の画素信号がアナログ加算された信号を出力できる。同様に、垂直信号線ck_vl6は、6n+5行目(nは0以上の整数)と6n+5行目の画素信号アナログ加算された信号を出力できる。
【0059】
別の例として、3n+3行目の画素と垂直信号線の接続を次のようにしてもよい。
12n+3(nは0以上の整数)行目:ck_vl1を接続、
12n+6(nは0以上の整数)行目:ck_vl2を接続、
12n+9(nは0以上の整数)行目:ck_vl3を接続、
12n+12(nは0以上の整数)行目:ck_vl4を接続。
【0060】
この接続によれば、垂直信号線ck_vl1~vl4上で、画素信号をアナログ加算できる。この場合、ck_vl1は12n+1行目と12n+3行目の画素信号をアナログ加算した信号を出力できる。同様に、ck_vl2は12n+4行目と12n+6行目、ck_vl3は12n+7行目と12n+9行目、ck_vl4は12n+10行目と12n+12行目の画素信号をアナログ加算した信号を出力できる。
【0061】
(動作シーケンス1)
図5は、本実施例における第1の動作モードでの垂直走査の動作例を示すタイミングチャートである。第1の動作モードでは、垂直走査部103は選択トランジスタM4を使用
して同時期に単一の垂直走査(読み出し走査)のみを行う。
【0062】
本実施例では、第1垂直走査で1行目からN行目(N:1以上の自然数)までの画像データを取得する。読み出し走査によって画像データを取得する際には、画素Pの選択トランジスタM4のみを使用し、各列に配した6本の垂直信号線から画素信号を読み出す。
【0063】
1フレーム目(時刻T1~時刻T2)は、第1垂直走査のみ実行している。時刻T1に、第1垂直走査の読み出し動作を開始する。時刻T1から時刻T1m1においては、1行目から6行目の画素PのPDの電荷を読み出す。その際、垂直走査部103がPTX(k)、PRES(k)、PSEL1(k)、PSEL2(k)(k:1~6)を制御することで、画素Pの選択トランジスタM4からの読み出し動作を行う。各画素からの読み出し信号はsel1(k)_p(k:1~6、p:1~m)を介して読み出される。具体的には、1行目の画素信号は垂直信号線cp_vl1、2行目の画素信号は垂直信号線cp_vl2から読み出される。3行目の画素信号は垂直信号線cp_vl3、4行目の画素信号は垂直信号線cp_vl4から読み出される。5行目の画素信号は垂直信号線cp_vl5、6行目の画素信号は垂直信号線cp_vl6から読み出される。
【0064】
次に、時刻T1m1から時刻T1m2においては、7行目から12行目の画素PのPDの電荷を各列に配した6本の垂直信号線から画素信号をそれぞれ読み出す。その際、垂直走査部103がPTX(k)、PRES(k)、PSEL1(k)、PSEL2(k)(k:7~12)を制御することで、画素Pの選択トランジスタM4からの読み出し動作を行う。各画素からの読み出し信号はsel1(k)_p(k:1~6、p:1~m)を介して読み出される。具体的には、7行目の画素信号は垂直信号線cp_vl1、8行目の画素信号は垂直信号線cp_vl2から読み出される。9行目の画素信号は垂直信号線cp_vl3、10行目の画素信号は垂直信号線cp_vl4から読み出される。11行目の画素信号は垂直信号線cp_vl5、11行目の画素信号は垂直信号線cp_vl6から読み出される。
【0065】
それ以降、水平同期信号HDに同期して、6行ずつ順次読み出し走査を行う。
【0066】
また1フレーム目では、2フレーム目の第1垂直走査の読み出しに対応した、シャッタ(PDのリセット解除)動作を行う。時刻T1ms1に、第1垂直走査のシャッタ動作を開始する。時刻T1ms1から時刻T1ms2においては、1行目から6行目の画素PのPDのリセットを解除する。それ以降、水平同期信号HDに同期して、6行ずつ順次シャッタ走査を行う。
【0067】
同様にして、2フレーム目(時刻T2~時刻T3)も第1垂直走査のみを実行する例を示している。
【0068】
(動作シーケンス2)
図6は、本実施例における第2の動作モードでの垂直走査の動作例を示すタイミングチャートである。第2の動作モードでは、垂直走査部103は選択トランジスタM5を使用して同時期に複数の垂直走査(読み出し走査)を行う。本実施例では、第1垂直走査で1行目から3N+1行目(N:1以上の自然数)までの画像データを取得しながら、第2垂直走査で2行目から3L+2行目(L:1以上の自然数)までの画像データを取得する。第1垂直走査による画像は、例えば、ライブビュー用に撮影した画像として使用し、第2垂直走査による画像は、例えば、フリッカ検知用の画像として使用する。
【0069】
第2の動作モードにおける第1垂直走査(第1の読み出し走査)と第2垂直走査(再2の読み出し走査)を比較すると、以下の相違がある。第1の垂直走査の走査周期は、第2
の垂直走査の走査周期よりも長い。また、第1の垂直走査が1回行われる間に、第2の垂直走査が複数回行われる。さらに、1回の走査により読み出される画素行の数は異なっており、第1垂直走査において読み出される画素行の数が、第2垂直走査において読み出される画素行の数よりも多い。また、第1垂直走査は周期的に実行されるのに対して、第2垂直走査は間欠的あるいは非周期的に実行される。また、本実施例では同一であるが、第1垂直走査と第2垂直走査において読み出し行のスキップ数が異なっていてもよい。なお、第1垂直走査と第2垂直走査は、これら全ての点で異なっている必要はなく、いずれかの条件が同じであっても構わない。本開示では、これらの条件のいずれかが異なる垂直走査を異なる垂直走査であるとみなし、全ての条件が同一または同様である垂直走査を同一の垂直走査であるとみなす。
【0070】
読み出し走査によって画像データを取得する際には、画素Pの選択トランジスタM5のみを使用し、各列に配した6本の垂直信号線から画素信号を読み出す。その際、第1垂直走査による読み出しでは、各列に配した6本の垂直信号線のうち4本(cp_vl1、cp_vl2、cp_vl3、cp_vl4)を使用する。第2垂直走査による読み出しでは、各列に配した6本の垂直信号線のうち2本(cp_vl5、cp_vl6)(p:1~m)を使用する。
【0071】
1フレーム目(時刻T1~時刻T2)は、第1垂直走査(1回)と第2垂直走査(シャッタ走査3回、読み出し走査2回)を実行する例である。
【0072】
時刻T1に、第1垂直走査の読み出し動作を開始する。時刻T1から時刻T1m1においては、1行目、4行目、7行目、10行目の4行の画素PのPDの電荷を読み出す。その際、垂直走査部がPTX(k)、PRES(k)、PSEL1(k)、PSEL2(k)(k:1,4,7,10)を制御することで、画素Pの選択トランジスタM5からの読み
出し動作を行う。各画素からの読み出し信号はsel2(k)_p(k:1,4,7,10
、p:1~m)を介して読み出される。具体的には、1行目の画素信号は垂直信号線cp_vl1、4行目の画素信号は垂直信号線cp_vl2から読み出される。7行目の画素信号は垂直信号線cp_vl3、10行目の画素信号は垂直信号線cp_vl4から読み出される。
【0073】
次に、時刻T1m1から時刻T1m2においては、13行目、16行目、19行目、22行目の4行を画素PのPDの電荷を読み出す。その際、垂直走査部がPTX(k)、PRES(k)、PSEL1(k)、PSEL2(k)(k:13,16,19,22)を制
御することで、画素Pの選択トランジスタM5からの読み出し動作を行う。具体的には、各画素からの読み出し信号はsel2(k)_p(k:13,16,19,22、p:1~
m)を介してから読み出される。13行目の画素信号は垂直信号線cp_vl1、16行目の画素信号は垂直信号線cp_vl2から読み出される。19行目の画素信号は垂直信号線cp_vl3、22行目の画素信号は垂直信号線cp_vl4から読み出される。
【0074】
それ以降、水平同期信号HDに同期して、3行おきに1行の間隔で計4行ずつ順次読み出し走査を行う。
【0075】
また1フレーム目では、2フレーム目の第1垂直走査の読み出しに対応した、シャッタ(PDのリセット解除)動作を行う。
【0076】
時刻T1ms1に、第1垂直走査のシャッタ動作を開始する。時刻T1ms1から時刻T1ms2においては、1行目、4行目、7行目、10行目の4行の画素PのPDのリセットを解除する。それ以降、水平同期信号HDに同期して、3行おきに1行の間隔で計4行ずつ順次シャッタ走査を行う。
【0077】
次に、第1垂直走査と並行して、第2垂直走査(1回目)のシャッタ動作を行う。時刻T1bs1に、第2垂直走査のシャッタ動作を開始する。時刻T1bs1から時刻T1bs2においては、2行目、5行目の2行の画素PのPDのリセットを解除する。それ以降、水平同期信号HDに同期して、3行おきに1行の間隔で計2行ずつ順次シャッタ走査を行う。
【0078】
次に、第2垂直走査(1回目)の読み出し動作を行う。
【0079】
時刻T1b1に、第2垂直走査の読み出し動作を開始する。時刻T1b1から時刻T1b2においては、2行目、5行目の2行の画素PのPDの電荷を読み出す。その際、垂直走査部がPTX(k)、PRES(k)、PSEL1(k)、PSEL2(k)(k:2,5)を制御することで、画素Pの選択トランジスタM5からの読み出し動作を行う。各
画素からの読み出し信号は、sel2(k)_p(k:2,5、p:1~m)を介して読
み出される。具体的には、2行目の画素信号は垂直信号線cp_vl5、5行目の画素信号は、垂直信号線cp_vl6から読み出される。
【0080】
次に、時刻T1b2から時刻T1b3においては、8行目、11行目の2行を画素PのPDの電荷を読み出す。その際、垂直走査部がPTX(k)、PRES(k)、PSEL1(k)、PSEL2(k)(k:8,11)を制御することで、画素Pの選択トランジ
スタM5からの読み出し動作を行う。各画素からの読み出し信号は、sel2(k)_p(k:8,11、p:1~m)を介して読み出される。具体的には、8行目の画素信号は
、垂直信号線cp_vl5、11行目の画素信号は、垂直信号線cp_vl6から読み出される。
【0081】
それ以降、水平同期信号HDに同期して、3行おきに1行の間隔で計2行ずつ順次読み出し走査を行う。
【0082】
また、時刻T1b4に第2垂直走査(2回目)の読み出し動作を開始する。読み出し走査の内容は、1回目と同様であるため説明を省略する。
【0083】
同様にして、2フレーム目(時刻T2~時刻T3)では、第1垂直走査(1回)と第2垂直走査(シャッタ走査1回、読み出し走査2回)を実行する。時刻T2に、第1垂直走査の読み出し動作を開始する。以降の読み出しの動作は1フレーム目と同様である。
【0084】
また、第1の垂直走査の読み出し動作と並行して、第2垂直走査の読み出し(1フレーム目と合わせて3回目)が、時刻T2b1で開始する。
【0085】
次に、第2垂直走査のシャッタ(1フレーム目と合わせて4回目)が時刻T2b1で開始する。以降のシャッタ動作は、1フレーム目と同様である。
【0086】
さらに、第2垂直走査の読み出し(1フレーム目と合わせて4回目)が時刻T2b1で開始する。以降の読み出し動作は、1フレーム目と同様である。
【0087】
ここで示した第1垂直走査と第2垂直走査の回数は例示に過ぎず、任意の組み合わせを採用してかまわない。また、フレームごとに第1垂直走査と第2垂直走査のいずれか一方または両方の回数を変えてもよいし、いずれかの垂直走査は行わなくてもよい。
【0088】
(本実施例の有利な効果)
本実施例の構成によれば、第1垂直走査の読み出しのみを行うモードと、第1垂直走査
の読み出しと第2垂直走査の読み出しを同時並行に行うモードを両立可能である。この際、固体撮像装置のハードに大きな制約をかけることなく多様な読み出し方法を実現できる。また、使用する垂直信号線の数が増えても、すべての垂直信号線を使った垂直読み出し走査が可能である。
【0089】
<実施例2>
実施例1では1つのフローティングディフュージョンFDに1つのフォトダイオードPDが接続されていたが、本実施例では、1つのFDに複数のPDが接続される。本実施例では、1つのFDに2つのPDが接続される例を示すが、より多くのPDが1つのFDに接続されてもよい。固体撮像装置1の全体構成(図1)は、実施例1と同様である。
【0090】
(画素P)
図7は、実施例2の画素部104に含まれる画素Pの構成例を示す図である。図7において、画素P(m,n)は、画素部104のn行m列に配される画素を表している。
【0091】
画素Pは、フォトダイオードPD1、PD2、FD、転送トランジスタM6、M7、リセットトランジスタM8、増幅トランジスタM9、選択トランジスタM10、選択トランジスタM11を備える。
【0092】
フォトダイオードPD1、PD2は、光電変換を行い、入射光に応じた電荷を生成して蓄積する光電変換素子である。転送トランジスタM6は、PD1からの電荷を増幅トランジスタM9の入力ノードであるFDに転送する。転送トランジスタM7は、PD2からの電荷を増幅トランジスタM9の入力ノードであるFDに転送する。FDは、転送トランジスタM6を介して転送されたPD1の電荷、あるいは転送トランジスタM7を介して転送されたPD2の電荷を保持する。リセットトランジスタM8は、FDの電圧を所定の電圧にリセットする。増幅トランジスタM9は、転送された電荷に応じて変動するFDの電位に基づく信号を、選択トランジスタM10または選択トランジスタM11を介してm列目の垂直信号線Vline3(m)、Vline4(m)に出力する。選択トランジスタM10,M11は、増幅トランジスタM9を介してFDを垂直信号線に接続するとも捉えられる。
【0093】
リセットトランジスタM8及び増幅トランジスタM9のドレインは、画素電源VCCに電気的に接続される。増幅トランジスタM9のソースは、選択トランジスタM10、M11、垂直信号線Vline3(m)、Vline4(m)を介して不図示の電流源に電気的に接続されており、ソースフォロワ回路として動作する。すなわち、増幅トランジスタM9は、ゲート端子に接続されたFDの電位に応じた信号を出力することができる。
【0094】
なお、各トランジスタは、Nチャネルトランジスタにより構成されるが、Pチャネルトランジスタにより構成されてもよい。
【0095】
(画素Pの動作説明)
信号PTX1(n)は、n行目の転送トランジスタM6を制御する信号であり、転送トランジスタのゲートに入力される。信号PTX2(n)は、n行目の転送トランジスタM7を制御する信号であり、転送トランジスタのゲートに入力される。信号PRES(n)は、n行目のリセットトランジスタM8を制御する信号であり、リセットトランジスタのゲートに入力される。信号PSEL1(n)は、n行目の選択トランジスタM10を制御する信号であり、選択トランジスタのゲートに入力される。信号PSEL2(n)は、n行目の選択トランジスタM11を制御する信号であり、選択トランジスタのゲートに入力される。各トランジスタはゲートに入力される信号がハイレベルのときに導通状態となり、ローレベルのときに非導通状態になるものとする。
【0096】
画素Pの読み出しの際には、N(ノイズ)データを読み出した後、S(シグナル)データを読み出す。
【0097】
Nデータは、FDのリセットを解除した後に、FDの電荷を、選択トランジスタM10またはM11のゲート電圧を制御することで、増幅トランジスタM9を介し、読み出す。その際、選択トランジスタM10から読み出す場合には選択トランジスタM10のゲート電圧をハイレベルにし、選択トランジスタM11から読み出す場合には選択トランジスタM11のゲート電圧をハイレベルにすることで読み出す。
【0098】
Sデータは、Nデータを読み出した後に、PD1の電荷を読み出す場合には転送トランジスタM6でPD1の電荷をFDに転送し、PD2の電荷を読み出す場合には転送トランジスタM7でPD2の電荷をFDに転送する。その時のFDの電荷を、選択トランジスタM10またはM11のゲート電圧を制御することで、増幅トランジスタM9を介して読み出す。その際、選択トランジスタM10から読み出す場合には選択トランジスタM10のゲート電圧をハイレベルにし、選択トランジスタM11から読み出す場合には選択トランジスタM11のゲート電圧をハイレベルにすることで読み出す。
【0099】
SデータからNデータを減算する相関2重サンプリング処理(S-N)によって、画素PのデータからFDのリセットノイズを除去することができる。以下、本実施例では、相関2重サンプリング処理によって画素Pのデータを読み出す動作を読み出し動作と称する。ただし、相関2重サンプリング処理を行わずに画素Pのデータを読み出す構成としてもよい。
【0100】
画素Pのシャッタの際には、PD1、PD2のリセット解除を行う。PD1の電荷を転送トランジスタM6の入力ゲートをハイレベルからローレベルにすることでPD1リセットの解除を行い、PD2の電荷を転送トランジスタM7の入力ゲートをハイレベルからローレベルにすることでPD2リセットの解除を行う。以下、これをシャッタ動作と称する。
【0101】
(垂直走査回路)
図8は、本実施例に係る垂直走査部103及び画素部104の構成例を示した概略図である。実施例1との違いは、画素の転送トランジスタに接続する信号が1つだけでなく、二つの信号(PTX1(k)(k:1~n)、PTX2(k)(k:1~n))である点である。
【0102】
垂直走査部103は、信号PTX1(k)、PTX2(k)、PRES(k)、PSEL1(k)、PSEL2(k)(k:1~n)を出力する。垂直走査部103から出力した信号PTX1(k)、PTX2(k)、PRES(k)、PSEL1(k)、PSEL2(k)は、k行目に配列された画素P(m,k)(k:1~n)に接続される。
【0103】
垂直走査部103は信号PTX1(k)、PTX2(k)、PRES(k)、PSEL1(k)、PSEL2(k)(kは1以上の自然数)を制御することでk行目の画素をシャッタ動作、読み出し動作させることができる。
【0104】
(列構成)
列の構成すなわち、各画素と垂直信号線と列回路部の接続関係は実施例1(図4)と同様である。ただし、画素P(m,n)に備わった選択トランジスタM10と垂直信号線402とは信号線sel1(n)_mで接続され、画素P(m,n)に備わった選択トランジスタM11と垂直信号線402とは信号線はsel2(n)_mで接続される点が異な
る。
【0105】
(動作シーケンス1)
図9は、本実施例における第1の動作モードでの垂直走査の動作例を示すタイミングチャートである。第1の動作モードでは、垂直走査部103は選択トランジスタM4を使用して同時期に単一の垂直走査(読み出し走査)のみを行う。
【0106】
本実施例では、第1垂直走査で1行目からN行目(N:1以上の自然数)までの画像データを取得する。読み出し走査によって画像データを取得する際には、画素Pの選択トランジスタM10のみを使用し、各列に配した6本の垂直信号線から画素信号を読み出す。
【0107】
1フレーム目(時刻T1~時刻T2)は、第1垂直走査のみ実行している。時刻T1に、第1垂直走査の読み出し動作を開始する。時刻T1から時刻T1m1においては、1行目から6行目の画素PのPD1の電荷を読み出す。その際、垂直走査部がPTX1(k)、PTX2(k)、PRES(k)、PSEL1(k)、PSEL2(k)(k:1~6)を制御することで、画素Pの選択トランジスタM10からの読み出し動作を行う。各画素からの読み出し信号はsel1(k)_p(k:1~6、p:1~m)を介して読み出される。具体的には、1行目の画素信号は垂直信号線cp_vl1、2行目の画素信号は垂直信号線cp_vl2から読み出される。3行目の画素信号は垂直信号線cp_vl3、4行目の画素信号は垂直信号線cp_vl4から読み出される。5行目の画素信号は垂直信号線cp_vl5、6行目の画素信号は垂直信号線cp_vl6から読み出される。
【0108】
次に、時刻T1m1から時刻T1m2においては、1行目から6行目の画素PのPD2の電荷を読み出す。その際、垂直走査部がPTX1(k)、PTX2(k)、PRES(k)、PSEL1(k)、PSEL2(k)(k:1~6)を制御することで、画素Pの選択トランジスタM10からの読み出し動作を行う。各画素からの読み出し信号はsel1(k)_p(k:1~6、p:1~m)を介して読み出される。具体的には、1行目の画素信号は垂直信号線cp_vl1、2行目の画素信号は垂直信号線cp_vl2から読み出される。3行目の画素信号は垂直信号線cp_vl3、4行目の画素信号は垂直信号線cp_vl4から読み出される。5行目の画素信号は垂直信号線cp_vl5、6行目の画素信号は垂直信号線cp_vl6から読み出される。
【0109】
それ以降、水平同期信号HDに同期して、2HD毎に6行分の画素のPD1、PD2の信号を順次読み出す。その際、水平同期信号2HD期間のうち、1HD目では6行分の画素PのPD1の電荷を読み出し、2HD目では同一の6行分の画素PのPD2の電荷を読み出す。
【0110】
また1フレーム目では、2フレーム目の第1垂直走査の読み出しに対応した、シャッタ(PDのリセット解除)動作を行う。時刻T1ms1に、第1垂直走査のシャッタ動作を開始する。時刻T1ms1から時刻T1ms2においては、1行目から6行目の画素PのPD1のリセットを解除する。次に、時刻T1ms2から時刻T1ms3においては、1行目から6行目の画素PのPD2のリセットを解除する。それ以降、水平同期信号HDに同期して、2HD毎に6行分の画素のPD1、PD2の信号を順次シャッタする。その際、水平同期信号2HD期間のうち、1HD目では6行分の画素PのPD1のリセットを解除し、2HD目では同一の6行分の画素PのPD2のリセットを解除する。
【0111】
同様にして、2フレーム目(時刻T2~時刻T3)も第1垂直走査のみを実行する例を示している。
【0112】
(動作シーケンス2)
図10は、本実施例における第2の動作モードでの動作例を示すタイミングチャートである。第2の動作モードでは、垂直走査部103は選択トランジスタM5を使用して同時期に複数の垂直走査(読み出し走査)を行う。本実施例では、第1垂直走査で1行目から3N+1行目(N:1以上の自然数)までの画像データを取得しながら、第2垂直走査で2行目から3L+1行目(L:1以上の自然数)までの画像データを取得する。第1垂直走査による画像は例えば、ライブビュー用に撮影した画像として使用し、第2垂直走査による画像は例えば、フリッカ検知用の画像として使用する。
【0113】
読み出し走査によって画像データを取得する際には、画素Pの選択トランジスタM11のみを使用し、各列に配した6本の垂直信号線から画素信号を読み出す。その際、第1垂直走査による読み出しでは各列に配した6本の垂直信号線のうち4本(cp_vl1、cp_vl2、cp_vl3、cp_vl4)を使用して読み出す。第2垂直走査による読み出しでは各列に配した6本の垂直信号線のうち2本(cp_vl5、cp_vl6)(p:1~m)を使用して読み出す。
【0114】
1フレーム目(時刻T1~時刻T2)は、第1垂直走査(1回)と第2垂直走査(シャッタ走査3回、読み出し走査2回)を実行する例である。
【0115】
時刻T1に、第1垂直走査の読み出し動作を開始する。時刻T1から時刻T1m1においては、1行目、4行目、7行目、10行目の4行の画素PのPD1の電荷を読み出す。その際、垂直走査部がPTX1(k)、PTX2(k)、PRES(k)、PSEL1(k)、PSEL2(k)(k:1,4,7,10)を制御することで、画素Pの選択トラン
ジスタM11からの読み出し動作を行う。各画素からの読み出し信号はsel2(k)_p(k:1,4,7,10、p:1~m)を介して読み出される。具体的には、1行目の画
素信号は垂直信号線cp_vl1、4行目の画素信号は垂直信号線cp_vl2から読み出される。7行目の画素信号は垂直信号線cp_vl3、10行目の画素信号は垂直信号線cp_vl4から読み出される。
【0116】
次に、時刻T1m1から時刻T1m2においては、1行目、4行目、7行目、10行目の4行の画素PのPD2の電荷を読み出す。その際、垂直走査部がPTX1(k)、PTX2(k)、PRES(k)、PSEL1(k)、PSEL2(k)(k:1,4,7,10
)を制御することで、画素Pの選択トランジスタM11からの読み出し動作を行う。各画素からの読み出し信号はsel2(k)_p(k:1,4,7,10、p:1~m)を介し
て、読み出される。具体的には、1行目の画素信号は垂直信号線cp_vl1、4行目の画素信号は垂直信号線cp_vl2から読み出される。7行目の画素信号は垂直信号線cp_vl3、10行目の画素信号は垂直信号線cp_vl4から読み出される。
【0117】
次に、時刻T1m2から時刻T1m3においては、13行目、16行目、19行目、22行目の4行の画素PのPD1の電荷を読み出す。その際、垂直走査部がPTX1(k)、PTX2(k)、PRES(k)、PSEL1(k)、PSEL2(k)(k:13,
16,19,22)を制御することで、画素Pの選択トランジスタM11からの読み出し動作を行う。各画素からの読み出し信号はsel2(k)_p(k:13,16,19,22
、p:1~m)を介して読み出される。具体的には、13行目の画素信号は垂直信号線cp_vl1、16行目の画素信号は垂直信号線cp_vl2から読み出される。19行目の画素信号は垂直信号線cp_vl3、22行目の画素信号は垂直信号線cp_vl4から読み出される。
【0118】
次に、時刻T1m3から時刻T1m4においては、13行目、16行目、19行目、22行目の4行の画素PのPD2の電荷を読み出す。その際、垂直走査部がPTX1(k)、PTX2(k)、PRES(k)、PSEL1(k)、PSEL2(k)(k:13,
16,19,22)を制御することで、画素Pの選択トランジスタM11からの読み出し動作を行う。各画素からの読み出し信号はsel2(k)_p(k:13,16,19,22
、p:1~m)を介して読み出される。具体的には、13行目の画素信号は垂直信号線cp_vl1、16行目の画素信号は垂直信号線cp_vl2から読み出される。19行目の画素信号は垂直信号線cp_vl3、22行目の画素信号は垂直信号線cp_vl4から読み出される。
【0119】
それ以降、水平同期信号HDに同期して、3行おきに1行の間隔で計4行分の画素のPD1、PD2の信号を2HD単位で順次読み出す。その際、水平同期信号2HD期間のうち、1HD目では4行分の画素PのPD1の電荷を読み出し、2HD目では同一の4行分の画素PのPD2の電荷を読み出す。
【0120】
また1フレーム目では、2フレーム目の第1垂直走査の読み出しに対応した、シャッタ(PDのリセット解除)動作を行う。時刻T1ms1に、第1垂直走査のシャッタ動作を開始する。時刻T1ms1から時刻T1ms2においては、1行目、4行目、7行目、10行目の4行の画素PのPD1のリセットを解除する。次に、時刻T1ms2から時刻T1ms3においては、1行目、4行目、7行目、10行目の4行の画素PのPD2のリセットを解除する。それ以降、水平同期信号HDに同期して、2HD毎に4行分の画素のPD1、PD2の信号を順次シャッタする。その際、水平同期信号2HD期間のうち、1HD目では4行分の画素PのPD1のリセットを解除し、2HD目では同一の4行分の画素PのPD2のリセットを解除する。
【0121】
次に、第1垂直走査と並行して、第2垂直走査(1回目)のシャッタ動作を行う。時刻T1bs1に、第2垂直走査のシャッタ動作を開始する。時刻T1bs1から時刻T1bs2においては、2行目、5行目の2行の画素PのPD1のリセットを解除する。次に、時刻T1bs2から時刻T1bs3においては、2行目、5行目の2行の画素PのPD2のリセットを解除する。
【0122】
それ以降、水平同期信号HDに同期して、2HD毎に2行分の画素のPD1、PD2の信号を順次シャッタする。その際、水平同期信号2HD期間のうち、1HD目では2行分の画素PのPD1のリセットを解除し、2HD目では同一の2行分の画素PのPD2のリセットを解除する。
【0123】
次に、第2垂直走査(1回目)の読み出し動作を行う。
【0124】
時刻T1b1に、第2垂直走査の読み出し動作を開始する。時刻T1b1から時刻T1b2においては、2行目、5行目の2行の画素PのPD1の電荷を読み出す。その際、垂直走査部がPTX1(k)、PTX2(k)、PRES(k)、PSEL1(k)、PSEL2(k)(k:2,5)を制御することで、画素Pの選択トランジスタM11からの
読み出し動作を行う。各画素からの読み出し信号はsel2(k)_p(k:2,5、p
:1~m)を介して読み出される。具体的には、2行目の画素信号は垂直信号線cp_vl5、5行目の画素信号は垂直信号線cp_vl6から読み出される。
【0125】
次に、時刻T1b2から時刻T1b3においては、2行目、5行目の2行の画素PのPD2の電荷を読み出す。その際、垂直走査部がPTX1(k)、PTX2(k)、PRES(k)、PSEL1(k)、PSEL2(k)(k:2,5)を制御することで、画素
Pの選択トランジスタM11からの読み出し動作を行う。各画素からの読み出し信号はsel2(k)_p(k:2,5、p:1~m)を介して読み出される。具体的には、2行
目の画素信号は垂直信号線cp_vl5、5行目の画素信号は垂直信号線cp_vl6から読み出される。
【0126】
それ以降、第1垂直走査(読み出し)と同様にして、水平同期信号HDに同期して、3行おきに1行の間隔で計2行分の画素のPD1、PD2の信号を2HD単位で順次読み出す。その際、水平同期信号2HD期間のうち、1HD目では2行分の画素PのPD1の電荷を読み出し、2HD目では同一の2行分の画素PのPD2の電荷を読み出す。
【0127】
また、時刻T1b4に第2垂直走査(2回目)の読み出し動作を開始する。
【0128】
同様にして、2フレーム目(時刻T2~時刻T3)では、第1垂直走査(1回)と第2垂直走査(シャッタ走査1回、読み出し走査2回)を実行する。時刻T2に、第1垂直走査の読み出し動作を開始する。以降の読み出しの動作は1フレーム目と同様である。
【0129】
また、第1の垂直走査の読み出し動作と並行して、第2垂直走査の読み出し(1フレーム目と合わせて3回目)が時刻T2b1で開始する。以降の読み出し動作は1フレーム目と同様である。
【0130】
次に、第2垂直走査のシャッタ(1フレーム目と合わせて4回目)が時刻T2b1で開始する。以降のシャッタ動作は1フレーム目と同様である。
【0131】
さらに、第2垂直走査の読み出し(1フレーム目と合わせて4回目)が時刻T2b1で開始する。以降の読み出し動作は1フレーム目と同様である。
【0132】
(本実施例の有利な効果)
本実施例によれば、1画素が2つのPDを有する固体撮像装置においても、実施例1と同様の効果を得ることができる。
【0133】
<実施例3>
本実施例では、各列に対して垂直信号線が10本ずつ配置されている。本実施例では、二つの読み出し走査(第1垂直走査と第2垂直走査)を同時並行して行う走査モードの際には、第1垂直走査に垂直信号線8本、第2垂直走査に垂直信号線2本を割り当てて走査を行う。
【0134】
また、画素と垂直信号線とを接続する選択トランジスタを3つ設けている点が実施例1と異なる。単一の垂直走査(第1垂直走査)を行う際には、3つの選択トランジスタのうち2つを使用して画素の駆動を行う。二つの読み出し走査(第1垂直走査と第2垂直走査)を同時並行して行う走査モードの際には、上記二つの選択トランジスタとは別の残りの1つの選択トランジスタを使用して画素の駆動を行う。
【0135】
固体撮像装置1の全体構成(図1)は、実施例1と同様である。
【0136】
(画素P)
図11は、前記画素部104の画素Pの構成例を示す図である。実施例1との主な違いは、1つの画素に選択トランジスタが2つではなく3つ設けられている点である。
【0137】
図11において、画素P(m,n)は、画素部104のn行m列に配される画素を表している。
【0138】
画素Pは、PD、FD、転送トランジスタM12、リセットトランジスタM13、増幅トランジスタM14、選択トランジスタM15、選択トランジスタM16、選択トランジスタM17を備える。
【0139】
PDは、光電変換を行い、入射光に応じた電荷を生成して蓄積する光電変換素子である。転送トランジスタM12は、PDからの電荷を増幅トランジスタM14の入力ノードであるFDに転送する。FDは、転送トランジスタM12を介して転送された電荷を保持する。リセットトランジスタM13は、FDの電圧を所定の電圧にリセットする。増幅トランジスタM14は、転送された電荷に応じて変動するFDの電位に基づく信号を出力する。信号の出力は、選択トランジスタM15、選択トランジスタM16、または選択トランジスタM17のいずれかを介して、m列目の垂直信号線Vline5(m)、Vline6(m)、Vline7(m)それぞれから行われる。
【0140】
リセットトランジスタM13及び増幅トランジスタM14のドレインは、画素電源VCCに電気的に接続される。増幅トランジスタM14のソースは、選択トランジスタM15、M16、M17、垂直信号線Vline5(m)、Vline6(m)、Vline7(m)を介して不図示の電流源に電気的に接続されており、ソースフォロワ回路として動作する。すなわち、増幅トランジスタM14は、ゲート端子に接続されたFDの電位に応じた信号を出力することができる。
【0141】
なお、各トランジスタは、Nチャネルトランジスタにより構成されるが、Pチャネルトランジスタにより構成されてもよい。
【0142】
(画素Pの動作説明)
信号PSEL1(n)は、n行目の選択トランジスタM15を制御する信号であり、選択トランジスタのゲートに入力される。信号PSEL2(n)は、n行目の選択トランジスタM16を制御する信号であり、選択トランジスタのゲートに入力される。信号PSEL3(n)は、n行目の選択トランジスタM17を制御する信号であり、選択トランジスタのゲートに入力される。
【0143】
実施例1とは異なり、本実施例では3つの信号PSEL1(n)、PSEL2(n)、PSEL3(n)を制御することで、3つの垂直信号線に接続することが可能である。それ以外の動作は、実施例1と同様である。
【0144】
(垂直走査回路)
図12は、本実施系に係る垂直走査部103及び画素部104の構成例を示した概略図である。実施例1との違いは、画素の選択トランジスタに接続する信号PSEL1(k)、PSEL2(k)だけでなく、PSEL3(k)(k:1~n)が追加されている点である。
【0145】
垂直走査部103は、信号PTX(k)、PRES(k)、PSEL1(k)、PSEL2(k)、PSEL3(k)(k:1~n)を出力する。垂直走査部103から出力した信号PTX(k)、PRES(k)、PSEL1(k)、PSEL2(k)、PSEL3(k)は、k行目に配列された画素P(m,k)(k:1~n)に接続される。垂直走査部103は信号PTX(k)、PRES(k)、PSEL1(k)、PSEL2(k)、PSEL3(k)を制御することでk行目の画素にシャッタ動作、読み出し動作させることができる。
【0146】
(列構成)
図13Aは、本実施例に係る画素部104及び列回路部105の構成例を示した概略図である。実施例1との違いは、各列に配した垂直信号線が6本ではなく10本である点と、各列10本の垂直信号線と各行毎の画素との接続を選択トランジスタ2つではなく、3つを使用して接続している点である。
【0147】
画素部104は、各列に画素P(m,n)を有する。また、各列の画素に接続された垂直信号線1202を有する。
【0148】
m列n行目の画素P(m,n)に備わった選択トランジスタM15と垂直信号線1202とは信号線sel1(n)_cmで接続される。画素P(m,n)に備わった選択トランジスタM16と垂直信号線1202とは信号線はsel2(n)_cmで接続される。画素P(m,n)に備わった選択トランジスタM17と垂直信号線1202とは、信号線sel3(n)_cmで接続される。
【0149】
垂直信号線1202は、定電流源(不図示)に接続される。また、垂直信号線1202は、列回路部105に接続される。
【0150】
本実施例においては、各列に対して、垂直信号線1202は10本ずつ配置される。また本実施例では、1列目の画素に接続する10本の垂直信号線をc1_vl#(#:1~10)、m列目の画素に接続する10本の垂直信号線をcm_vl#と表現している。
【0151】
図13Bは、各画素の選択トランジスタ(出力信号線)と垂直信号線の接続関係を簡略化して説明した図である。
【0152】
<画素Pの選択トランジスタM15と垂直信号線との接続>
各行の信号線sel1(n)_mと垂直信号線cm_vl#(#:1~10)は以下のように接続される。
【0153】
1行目の画素P(k,1)の信号線sel1(1)_ckは、垂直信号線ck_vl1(k:1~m)と接続される。
【0154】
2行目の画素P(k,2)の信号線sel1(2)_ckは、垂直信号線ck_vl2(k:1~m)と接続される。
【0155】
3行目の画素P(k,3)の信号線sel1(3)_ckは、垂直信号線ck_vl3(k:1~m)と接続される。
【0156】
4行目の画素P(k,4)の信号線sel1(4)_ckは、垂直信号線ck_vl4(k:1~m)と接続される。
【0157】
このように各行の出力信号線は10本の垂直信号線に順次接続され、このような接続が10行周期で繰り返される。
【0158】
なお、必ずしも行の順番に垂直信号線ck_vl#(#:1~10)に接続する必要はなく、連続した10行の中でck_vl#がそれぞれ1回ずつ画素Pの選択トランジスタM15と接続されていればよい。別の表現をすると、垂直信号線のそれぞれは、10行あたりに1回画素Pの選択トランジスタM15に接続されていればよい。
【0159】
<画素Pの選択トランジスタM16と垂直信号線との接続>
各行の信号線sel2(n)_cmと垂直信号線cm_vl#(#:1~10)は、3行目から1行毎に順番にck_vl1~ck_vl10と接続される。具体的には以下に示すとおりである。
【0160】
3行目の画素P(k,3)の信号線sel2(3)_ckは、垂直信号線ck_vl1
(k:1~m)と接続される。
【0161】
4行目の画素P(k,4)の信号線sel2(4)_ckは、垂直信号線ck_vl2(k:1~m)と接続される。
【0162】
5行目の画素P(k,5)の信号線sel2(5)_ckは、垂直信号線ck_vl3(k:1~m)と接続すされる。
【0163】
6行目の画素P(k,6)の信号線sel2(6)_ckは、垂直信号線ck_vl4(k:1~m)と接続される。
【0164】
このように各行の信号線の10本の垂直信号線に順次接続され、このような接続が10行周期で繰り返される。
【0165】
なお、必ずしも行の順番に垂直信号線ck_vl#(#:1~10)に接続する必要はなく、連続した10行の中でck_vl#がそれぞれ1回ずつ画素Pの選択トランジスタM16と接続されていればよい。別の表現をすると、垂直信号線のそれぞれは、10行あたりに1回画素Pの選択トランジスタM15に接続されていればよい。
【0166】
<画素Pの選択トランジスタM17と垂直信号線との接続>
各行の信号線sel3(n)_mと垂直信号線cm_vl#(#:1~10)の接続について、垂直信号線cm_vl#(#:1~8)と垂直信号線cm_vl#(#:9~10)の2グループに分けて説明する。
【0167】
垂直信号線cm_vl#(#:1~8)は、以下のように接続される。
【0168】
1行目の画素P(k,1)の信号線sel3(1)_ckは、垂直信号線ck_vl1(k:1~m)と接続される。
【0169】
4行目の画素P(k,4)の信号線sel3(4)_ckは、垂直信号線ck_vl2(k:1~m)と接続される。
【0170】
7行目の画素P(k,7)の信号線sel3(7)_ckは、垂直信号線ck_vl3(k:1~m)と接続される。
【0171】
このように」、3行おきに垂直信号線cm_vl#(#:1~8)が順次、画素Pの選択トランジスタM17と接続される。このような24行を1周期とする接続が、周期的に繰り返される。
【0172】
なお、本実施例では3行おきの接続としているが、必ずしも3行おきとする必要はなく、要求に応じてS行(Sは2以上の整数)おきに接続してもよい。上記の実施例はS=3とした例である。また、3行おきにcm_vl#(#:1~8)を順番に接続したが、順番に接続するのは必ずしもこの順序で接続する必要はない。S×8行中で垂直信号線cm_vl#(#:1~8)がそれぞれ1回ずつ画素Pの選択トランジスタM17に接続されていればよい。別の表現をすると、垂直信号線cm_vl#(#:1~8)のそれぞれは、S×8行あたり1回画素Pの選択トランジスタM17に接続されていればよい。
【0173】
垂直信号線cm_vl#(#:9~10)は、以下のように接続される。
【0174】
2行目の画素P(k,2)の信号線sel3(2)_ckは、垂直信号線ck_vl5
(k:1~m)と接続される。
【0175】
5行目の画素P(k,5)の信号線sel3(5)_ckは、垂直信号線ck_vl6(k:1~m)と接続される。
【0176】
このように、3行おきに垂直信号線cm_vl9、cm_vl10が順次(交互に)、画素Pの選択トランジスタM17と接続される。このような6行を1周期とする接続が、周期的に繰り返される。
【0177】
なお、本実施例では3行おきの接続としているが、必ずしも3行おきとする必要はなく、要求に応じてS行(Sは2以上の整数)おきに接続してもよい。上記の実施例はS=3とした例である。また、3行おきにcm_vl#(#:9~10)を順番に接続したが、順番に接続するのは必ずしもこの順序で接続する必要はない。S×2行中で垂直信号線cm_vl#(#:9~10)がそれぞれ1回ずつ画素Pの選択トランジスタM17に接続されていればよい。別の表現をすると、垂直信号線cm_vl#(#:9~10)のそれぞれは、S×2(=S×(10-8))行あたり1回画素Pの選択トランジスタM17に接続されていればよい。
【0178】
また、上記記載以外の行(3n+3(nは0以上の整数)行目)の画素と垂直信号線の接続に関しては、どの垂直信号線に接続しても構わない。
【0179】
例えば、6n+3行目にはck_vl9を接続し、6n+6行目にはck_vl10を接続してもよい。図13Aはこの接続方法を示している。このようにすれば、各列に配した10本の垂直信号線のうちの1本ごとの垂直信号線に接続される画素の選択トランジスタM15、M16、M17の個数を近づけることができ、各垂直信号線につながるトランジスタ容量が揃う方向に近づけることができる。
【0180】
またこの接続によれば、6n+2行目と6n+3行目の画素信号を垂直信号線ck_vl9上でアナログ加算し、6n+5行目と6n+6行目の画素信号を垂直信号線ck_vl10上でアナログ加算して読み出すこともできる。
【0181】
別の例として、3n+3行目の画素と垂直信号線の接続を次のようにしてもよい。
24n+3行目:ck_vl1を接続、
24n+6行目:ck_vl2を接続、
24n+9行目:ck_vl3を接続、
24n+12行目:ck_vl4を接続、
24n+15行目:ck_vl5を接続、
24n+18行目:ck_vl6を接続、
24n+21行目:ck_vl7を接続、
24n+24行目:ck_vl8を接続。
【0182】
この接続によれば、垂直信号線ck_vl1~vl8上で画素信号のアナログ加算できる。この場合、24n+1行目と24n+3行目の画素信号をck_vl1上でアナログ加算することができる。他行も同様にして、2つの画素信号を垂直信号線上でアナログ加算することができる。
【0183】
(動作シーケンス1)
本実施例における第1の動作モードでの垂直走査の動作例を説明する。第1の動作モードでは、垂直走査部103は選択トランジスタM15,M16を使用して同時期に単一の垂直走査(第1垂直走査)のみを行う。またここでは、第1垂直走査の「読み出し動作」
について説明するが、「シャッタ動作」についても「読み出し動作」と同様の考え方で実施可能である。
【0184】
単一の垂直走査(第1垂直走査のみ)を行う場合には、画素に備えた3つの選択トランジスタM15~17のうち、M15とM16のいずれか一方または両方を使用して走査を行う。本実施例では、選択トランジスタM15のみを使用する第1サブモードと、選択トランジスタM15とM16を使用する第2サブモードで動作可能である。
【0185】
第1動作モードの第1サブモードについて説明する。このモードにおいて、水平同期信号HDに同期して、10行ずつ順次読み出し走査を行う場合を、図14を参照して説明する。この場合、HD毎に、垂直走査部103は連続した10行分の画素信号を画素の選択トランジスタM15を使って読み出し動作させる。すなわち、垂直走査部103は、連続した10行分のPTX(k)、PRES(k)、PSEL1(k)、PSEL2(k)を制御する。それによって、HD単位で連続した10行分の画素Pの信号を垂直信号線ck_vl1~10を使って一度に読み出すことができる。それ以降、水平同期信号HDに同期して、10行ずつ順次読み出し走査を行うことができる。
【0186】
第1動作モードの第2サブモードについて説明する。このモードでは、例えば、水平同期信号HDに同期して、3行おきに2行の画素信号を垂直信号線上でアナログ加算し、それを計20行ずつ順次読み出し走査を行うことができる。この例を、図15を参照して説明する。この場合、HD毎に垂直走査部103は3行おきに10行分の画素信号を画素の選択トランジスタM15を使って読み出す。また同一HDで、選択トランジスタM15を使って読み出す開始画素行から2行分ずらした位置から、3行おきに10行分の画素信号を画素の選択トランジスタM16を使って読み出す。
【0187】
このような手法により、HD毎に、連続した20行分の画素Pの信号を2行ごとに垂直信号線上でアナログ加算しつつ、垂直信号線ck_vl1~10を使って一度に読み出すことができる。
【0188】
(動作シーケンス2)
次に、複数の走査(第1垂直走査と第2の垂直走査)を同時並行して走査する場合の動作について説明する。またここでは、第1垂直走査および第2垂直走査の「読み出し動作」について説明するが、「シャッタ動作」についても「読み出し動作」と同様の考え方で実施可能である。
【0189】
実施例1との違いは、読み出し走査において使用する各列10本の垂直信号線のうち、第1垂直走査は垂直信号線ck_vl1~ck_vl8の8本を使用して読み出し動作し、第2垂直走査は垂直信号線ck_vl9~ck_vl10の2本を使用して読み出し動作している点である。実施例1では、読み出し走査において、第1垂直走査で使用する垂直信号線と第2垂直走査で使用する垂直信号線の比率が2:1であるが、本実施例では、4:1の割合で使用する。
【0190】
本動作例での走査を、図16を参照して説明する。第1垂直走査による読み出しでは各列に配した10本の垂直信号線のうち8本(cp_vl1~8)を使用して読み出す。第2垂直走査による読み出しでは各列に配した6本の垂直信号線のうち2本(cp_vl9、cp_vl10)(p:1~m)を使用して読み出す。その際、水平同期信号HDに同期して、第1垂直走査による読み出しは、3行おきに1行の間隔で計8行ずつ順次読み出し走査を行い、第2垂直走査による読み出しは、3行おきに1行の間隔で計2行ずつ順次読み出し走査を行う。
【0191】
本実施例では、垂直信号線が10本の場合を示したが、垂直信号線が増えても同様の考え方で、第1垂直走査の読み出しのみを行うモードと、第1垂直走査の読み出しと第2垂直走査による読み出しを同時並行するモードを両立させた構成をとることができる。第1垂直走査のみの読み出しを行うモードでは、画素に設けられた複数の選択トランジスタのうち一部(1つまたは複数)の選択トランジスタを介して読み出しを行う。第1垂直走査と第2垂直走査を同時並行するモードでは、単一の読み出しをする場合には使用しない選択トランジスタを介して読み出しを行う。
【0192】
また、第1垂直走査と第2垂直走査を同時並行して走査する場合、第1垂直走査と第2垂直走査とで使用する垂直信号線の本数の割合は用途に応じて変えて構成することもできる。
【0193】
以上の構成によれば、第1垂直走査の読み出しのみを行うモードと、第1垂直走査の読み出しと第2垂直走査による読み出しを同時並行するモードを両立しつつ、ハードとして大きな制約をかけることなく多様な読み出し方法を実現できる。また、使用する垂直信号線の数が増えても、すべての垂直信号線を使った垂直読み出し走査が可能である。
【0194】
<実施例4>
固体撮像装置1の構成をより一般的に説明する。本実施例は、上記の実施例1~3を包含するものである。
【0195】
固体撮像装置は、複数の画素と、垂直信号線と、選択回路と、垂直走査回路と、制御部を備える。画素は、行方向および列方向に2次元的に配置される。垂直信号線は、各画素列についてL本(Lは3以上の整数)設けられる。選択回路は、各画素にM個(Mは2以上の整数)ずつ設けられ、各々が画素の出力信号線を異なる垂直信号線に接続する。垂直走査回路は、選択回路を走査する。
【0196】
ここで、制御部は、垂直走査回路が同時期に単一の読み出し走査を行う第1の動作モードと、垂直走査回路が同時期に複数の読み出し走査を行う第2の動作モードと、を設定可能である。第1の動作モードでは、M個の選択回路のうち第1の選択回路を使用して読み出し走査を行い、第2の動作モードでは、M個の選択回路のうち第1の選択回路以外の第2の選択回路を使用して読み出し走査を行う。
【0197】
実施例1,2では、垂直信号線の数は6であり(L=6)、各画素は選択トランジスタM4とM5またはM10とM11の2つの選択回路を有する(M=2)。実施例1では、第1の動作モードでは選択トランジスタM4のみを使用して単一の読み出し走査を行い、第2の動作モードでは選択トランジスタM5のみを使用して複数の読み出し走査を同時並行で行う。実施例2では、第1の動作モードでは選択トランジスタM10のみを使用して単一の読み出し走査を行い、第2の動作モードでは選択トランジスタM11のみを使用して複数の読み出し走査を同時並行で行う。
【0198】
実施例3では、垂直信号線の数は10であり(L=10)、各画素は選択トランジスタM15~M17の3つの選択回路を有する(M=3)。そして第1の動作モードでは、選択トランジスタM15のみ、または選択トランジスタM15とM16を使用して単一の読み出し走査を行い、第2の動作モードでは選択トランジスタM17のみを使用して複数の読み出し走査を同時並行で行う。
【0199】
実施例1~3のいずれにおいて、第2の動作モードでは1つの選択トランジスタのみを使用した読み出し走査が行われているが、これは必須ではない。例えば、第2の動作モードにおいても実施例3における第1の動作モードの第2サブモードと同様に、複数の選択
トランジスタを使用して垂直信号線上でのアナログ加算を伴う読み出し走査を行ってもよい。この場合も、1つの画素に設けられる選択トランジスタの数は3個以上とする。
【0200】
また、本実施例において、L本の垂直信号線のそれぞれは、L行あたり少なくとも一つの選択回路に接続されている。そして、さらに追加して、L本の垂直信号線のうちP本(Pは1以上L-1以下の整数)は、S×P(Sは2以上の整数)行あたり少なくとも1つの選択回路に接続されてる。また、L本の垂直信号線のうちP本以外のL-P本は、S×(L-P)行あたり少なくとも1つの選択回路に接続されている。
【0201】
実施例1,2は、L=6、P=4、S=3とした実施例である。6本の垂直信号線ck_vl1~ck_vl6のそれぞれには、選択トランジスタM4またはM10が、6行あたり1つ(6行おきに1回)接続されている。それに加えて、4本の垂直信号線ck_vl1~ck_vl4のそれぞれには、選択トランジスタM5またはM11が、少なくとも12(=4×3)行あたり1つ(12行おきに1回)が接続されている。また、2本の垂直信号線ck_vl5~ck_vl6のそれぞれには、選択トランジスタM5またはM11が少なくとも6(=(6-4)×3)行あたり1つ(6行おきに1回)接続されている。なお、3n+3行目の画素をいずれかの垂直信号線に接続する場合には、接続の頻度は上記よりも増加する。
【0202】
実施例3は、L=10、P=8、S=3とした実施例である。10本の垂直信号線ck_vl1~ck_vl10のそれぞれには、選択トランジスタM15が、10行あたり1つ(6行おきに1回)接続されている。それに加えて、8本の垂直信号線ck_vl1~ck_vl8のそれぞれには、選択トランジスタM17が、少なくとも24(=8×3)行あたり1つ(24行おきに1回)が接続されている。また、2本の垂直信号線ck_vl9~ck_vl10のそれぞれには、選択トランジスタM17が少なくとも6(=(10-8)×3)行あたり1つ(6行おきに1回)接続されている。なお、3n+3行目の画素をいずれかの垂直信号線に接続する場合には、接続の頻度は上記よりも増加する。
【0203】
なお、L、P、Sの値は上記の実施例1~3で示した値に限定されず、適宜変更可能であることは当業者であれば容易に理解できるであろう。
【0204】
(実施例5)
本発明の実施例5による光電変換システムについて、図17を用いて説明する。図17は、本実施形態による光電変換システムの概略構成を示すブロック図である。
【0205】
上記実施例1~4で述べた光電変換装置(CMOSイメージセンサ)は、種々の光電変換システムに適用可能である。適用可能な光電変換システムとしては、特に限定されるものではないが、例えば、デジタルスチルカメラ、デジタルカムコーダ、監視カメラ、複写機、ファックス、携帯電話、車載カメラ、観測衛星、医療用カメラなどの各種の機器が挙げられる。また、レンズなどの光学系と光電変換装置(光電変換装置)とを備えるカメラモジュールも、光電変換システムに含まれる。図17にはこれらのうちの一例として、デジタルスチルカメラのブロック図を例示している。
【0206】
光電変換システム2000は、図17に示すように、撮像装置2001、撮像光学系2002、CPU2010、レンズ制御部2012、撮像装置制御部2014、画像処理部2016、絞りシャッター制御部2018を備える。光電変換システム2000は、また、表示部2020、操作スイッチ2022、記録媒体2024を備える。
【0207】
撮像光学系2002は、被写体の光学像を形成するための光学系であり、レンズ群、絞り2004等を含む。絞り2004は、その開口径を調節することで撮影時の光量調節を
行なう機能を備えるほか、静止画撮影時には露光秒時調節用シャッターとしての機能も備える。レンズ群及び絞り2004は、光軸方向に沿って進退可能に保持されており、これらの連動した動作によって変倍機能(ズーム機能)や焦点調節機能を実現する。撮像光学系2002は、光電変換システムに一体化されていてもよいし、光電変換システムへの装着が可能な撮像レンズでもよい。
【0208】
撮像光学系2002の像空間には、その撮像面が位置するように撮像装置2001が配置されている。撮像装置2001は、実施例1~4で説明した固体撮像装置(光電変換装置)であり、CMOSセンサ(画素部)とその周辺回路(周辺回路領域)とを含んで構成される。撮像装置2001は、複数の光電変換部を有する画素が2次元配置され、これらの画素に対してカラーフィルタが配置されることで、2次元単板カラーセンサを構成している。撮像装置2001は、撮像光学系2002により結像された被写体像を光電変換し、画像信号や焦点検出信号として出力する。
【0209】
レンズ制御部2012は、撮像光学系2002のレンズ群の進退駆動を制御して変倍操作や焦点調節を行うためのものであり、その機能を実現するように構成された回路や処理装置により構成されている。絞りシャッター制御部2018は、絞り2004の開口径を変化して(絞り値を可変として)撮影光量を調節するためのものであり、その機能を実現するように構成された回路や処理装置により構成される。
【0210】
CPU2010は、カメラ本体の種々の制御を司るカメラ内の制御装置であり、演算部、ROM、RAM、A/Dコンバータ、D/Aコンバータ、通信インターフェイス回路等を含む。CPU2010は、ROM等に記憶されたコンピュータプログラムに従ってカメラ内の各部の動作を制御し、撮像光学系2002の焦点状態の検出(焦点検出)を含むAF、撮像、画像処理、記録等の一連の撮影動作を実行する。CPU2010は、信号処理部でもある。
【0211】
撮像装置制御部2014は、撮像装置2001の動作を制御するとともに、撮像装置2001から出力された信号をA/D変換してCPU2010に送信するためのものであり、それら機能を実現するように構成された回路や制御装置により構成される。A/D変換機能は、撮像装置2001が備えていてもかまわない。画像処理部2016は、A/D変換された信号に対してγ変換やカラー補間等の画像処理を行って画像信号を生成する処理装置であり、その機能を実現するように構成された回路や制御装置により構成される。表示部2020は、液晶表示装置(LCD)等の表示装置であり、カメラの撮影モードに関する情報、撮影前のプレビュー画像、撮影後の確認用画像、焦点検出時の合焦状態等を表示する。操作スイッチ2022は、電源スイッチ、レリーズ(撮影トリガ)スイッチ、ズーム操作スイッチ、撮影モード選択スイッチ等で構成される。記録媒体2024は、撮影済み画像等を記録するためのものであり、光電変換システムに内蔵されたものでもよいし、メモリカード等の着脱可能なものでもよい。
【0212】
このようにして、実施例1~4による撮像装置2001を適用した光電変換システム2000を構成することにより、高性能の光電変換システムを実現することができる。
【0213】
(実施例6)
本発明の実施例6による光電変換システム及び移動体について、図18A及び図18Bを用いて説明する。図18A及び図18Bは、本実施例による光電変換システム及び移動体の構成を示す図である。
【0214】
図18Aは、車載カメラに関する光電変換システム2100の一例を示したものである。光電変換システム2100は、撮像装置2110を有する。撮像装置2110は、上述
の実施例1~4に記載の光電変換装置(固体撮像装置)のいずれかである。光電変換システム2100は、画像処理部2112と視差取得部2114を有する。画像処理部2112は、撮像装置2110により取得された複数の画像データに対し、画像処理を行う処理装置である。視差取得部2114は、撮像装置2110により取得された複数の画像データから視差(視差画像の位相差)の算出を行う処理装置である。また、光電変換システム2100は、算出された視差に基づいて対象物までの距離を算出する処理装置である距離取得部2116と、算出された距離に基づいて衝突可能性があるか否かを判定する処理装置である衝突判定部2118と、を有する。ここで、視差取得部2114や距離取得部2116は、対象物までの距離情報等の情報を取得する情報取得手段の一例である。すなわち、距離情報とは、視差、デフォーカス量、対象物までの距離等に関する情報である。衝突判定部2118はこれらの距離情報のいずれかを用いて、衝突可能性を判定してもよい。上述の処理装置は、専用に設計されたハードウェアによって実現されてもよいし、ソフトウェアモジュールに基づいて演算を行う汎用のハードウェアによって実現されてもよい。また、処理装置はFPGA(Field Programmable Gate Array)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等によって実現されてもよいし、これらの組合せによって実現されてもよい。
【0215】
光電変換システム2100は、車両情報取得装置2120と接続されており、車速、ヨーレート、舵角などの車両情報を取得することができる。また、光電変換システム2100は、衝突判定部2118での判定結果に基づいて、車両に対して制動力を発生させる制御信号を出力する制御装置である制御ECU2130が接続されている。すなわち、制御ECU2130は、距離情報に基づいて移動体を制御する移動体制御手段の一例である。また、光電変換システム2100は、衝突判定部2118での判定結果に基づいて、ドライバーへ警報を発する警報装置2140とも接続されている。例えば、衝突判定部2118の判定結果として衝突可能性が高い場合、制御ECU2130はブレーキをかける、アクセルを戻す、エンジン出力を抑制するなどして衝突を回避、被害を軽減する車両制御を行う。警報装置2140は音等の警報を鳴らす、カーナビゲーションシステムなどの画面に警報情報を表示する、シートベルトやステアリングに振動を与えるなどしてユーザに警告を行う。
【0216】
本実施例では、車両の周囲、例えば前方又は後方を光電変換システム2100で撮像する。図18Bに、車両前方(撮像範囲2150)を撮像する場合の光電変換システム2100を示した。車両情報取得装置2120は、光電変換システム2100を動作させ撮像を実行させるように指示を送る。上述の実施形態1~3の撮像装置を撮像装置2110として用いることにより、本実施形態の光電変換システム2100は、測距の精度をより向上させることができる。
【0217】
以上の説明では、他の車両と衝突しないように制御する例を述べたが、他の車両に追従して自動運転する制御、車線からはみ出さないように自動運転する制御等にも適用可能である。更に、光電変換システムは、自動車等の車両に限らず、例えば、船舶、航空機あるいは産業用ロボットなどの移動体(輸送機器)に適用することができる。移動体(輸送機器)における移動装置はエンジン、モーター、車輪、プロペラなどの各種の駆動源である。加えて、移動体に限らず、高度道路交通システム(ITS)等、広く物体認識を利用する機器に適用することができる。
【0218】
(その他の実施例)
光電変換装置は、画素が設けられた第1半導体チップ(第1基板)と、読み出し回路(増幅器)または信号処理回路が設けられた第2半導体チップ(第2基板)とを積層した構造(チップ積層構造)を有していてもよい。第2半導体チップにおける読み出し回路(増幅器)は、それぞれ、第1半導体チップの画素列に対応した列回路とすることができる。
読み出し回路(増幅器)は信号処理回路の一例であり、その他の信号処理を行う回路が第2半導体チップに設けられてもよい。また、第2半導体チップにおける読み出し回路(増幅器)は、それぞれ、第1半導体チップの画素あるいは画素ブロックに対応したマトリックス回路とすることもできる。第1半導体チップと第2半導体チップとの接続は貫通電極(TSV)、銅(Cu)等の金属の直接接合によるチップ間配線、チップ間のマイクロバンプによる接続などを採用することができる。
【符号の説明】
【0219】
P:画素、 402:垂直信号線、M4、M5:選択トランジスタ
102:制御部、 103:垂直走査部、
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
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図13B
図14
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図17
図18