(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-22
(45)【発行日】2024-01-05
(54)【発明の名称】空間的に変化するリターダ光学系を備えるヘッドマウントディスプレイ(HMD)
(51)【国際特許分類】
G02B 27/02 20060101AFI20231225BHJP
H04N 5/64 20060101ALI20231225BHJP
【FI】
G02B27/02 Z
H04N5/64 511A
(21)【出願番号】P 2021506924
(86)(22)【出願日】2019-08-09
(86)【国際出願番号】 US2019045988
(87)【国際公開番号】W WO2020033882
(87)【国際公開日】2020-02-13
【審査請求日】2022-07-21
(32)【優先日】2018-08-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517160525
【氏名又は名称】バルブ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハドマン、ジョシュア・マーク
【審査官】岩村 貴
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0101020(US,A1)
【文献】国際公開第2018/178817(WO,A2)
【文献】国際公開第2018/026633(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/151809(WO,A1)
【文献】特表2008-520084(JP,A)
【文献】国際公開第2005/059653(WO,A2)
【文献】特表2016-519327(JP,A)
【文献】特表2008-508543(JP,A)
【文献】特表2019-526075(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 27/01-27/02
H04N 5/64
G02B 5/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
システムであって、
情報ディスプレイと、
前記情報ディスプレイからの光をユーザの目に向けて指向するためのレンズアセンブリと、を備え、
前記光が、前記レンズアセンブリの入射側に対する入射角が小さく且つ楕円偏光されていない光と、前記入射角が大きく且つ楕円偏光された光と、を含み、
前記レンズアセンブリが、
前記光が前記レンズアセンブリに入射する入射側と、
前記光が前記レンズアセンブリを出射する出射側と、
空間的に変化するリターダ
、SVR、であって、前記SVR
の中心を通過する前記光の位相を、前記SVR
から出てくる前記光が水平偏光されるように、前記SVRの周辺を通過する光と異なる量だけ変更する
ように構成されている、空間的に変化するリターダと、
前記SVRと、前記レンズアセンブリの前記出射側との間に配設された偏光ビームスプリッタ、
部分反射ミラー、
または直線偏光子のうちの少なくとも1つと、を含
み、
前記SVRは、液晶素子の複数のねじれ複屈折層を備える、複屈折材料の1つまたは複数の層を備える、
システム。
【請求項2】
前記システムが、ヘッドマウント可能デバイス内に組み込まれている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記SVR
の一部が、4分の1波長
板である、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記レンズアセンブリが、
第1の4分の1波長板と、
第2の4分の1波長板と、
前記第1の4分の1波長板と、前記第2の4分の1波長板との間に介在するレンズと、をさらに含み、
前記SVR
の一部が、前記第1の4分の1波長板または前記第2の4分の1波長板のうちの少なくとも1
つである、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記第1の4分の1波長板が、前記情報ディスプレイ上に配設されており、
前記第2の4分の1波長板が、前記偏光ビームスプリッタまたは前記部分反射ミラー上に配設されており、
前記SVR
の一部が、前記第2の4分の1波長
板である、請求項
4に記載のシステム。
【請求項6】
前記SVRが、第1のSVRであり、前記レンズアセンブリが、前記第1の4分の1波長
板である第2のSVR
の一部をさらに含む、請求項
5に記載のシステム。
【請求項7】
ピクセル化されたディスプレイデバイスを使用して画像を生成することと、
レンズアセンブリによって前記画像の焦点距離を変更焦点距離に変更するために、前記画像の光を
前記レンズアセンブリに指向することであって、
前記画像の光が、前記レンズアセンブリの入射側に対する入射角が小さく、且つ楕円偏光されていない光と、前記入射角が大きく、且つ楕円偏光された光と、を含み、
前記レンズアセンブリが、
空間的に変化するリターダ
、SVR、であって、前記SVR
の中心を通過する前記光の位相を、前記SVR
から出てくる前記光が水平偏光されるように、前記SVR
の周辺を通過する光と異なる量だけ変更するように構成されている、空間的に変化するリターダと、
前記SVRは、液晶素子の複数のねじれ複屈折層を備える、複屈折材料の1つまたは複数の層を備え、
前記SVRと、前記レンズアセンブリの出射側との間に配設された、偏光ビームスプリッタ、部分反射ミラー、また
は直線偏光子のうちの少なくとも1つと、を含む、指向することと、
前記変更された焦点距離を有する前記画像をユーザの目の上に投影することと、を含む方法。
【請求項8】
前記SVRが、重合性液晶の複数の複屈折層を備える、請求項
7に記載の方法。
【請求項9】
前記SVR
の一部が、4分の1波長
板である、請求項
7に記載の方法。
【請求項10】
前記レンズアセンブリが、
第1の4分の1波長板と、
第2の4分の1波長板と、
前記第1の4分の1波長板と、前記第2の4分の1波長板との間に介在するビームスプリッタと、をさらに含み、
前記SVR
の一部が、前記第1の4分の1波長板または前記第2の4分の1波長板の少なくとも1
つである、請求項
7に記載の方法。
【請求項11】
前記SVRが、第1のSVRであり、前記4分の1波長板が、第1の4分の1波長板を備え、前記レンズアセンブリが、第2の4分の1波長板である第2のSVR
の一部をさらに含む、請求項
9に記載の方法。
【請求項12】
前記ピクセル化されたディスプレイデバイスおよび前記レンズアセンブリが、ヘッドマウントディスプレイ内にある、請求項7に記載の方法。
【請求項13】
前記レンズアセンブリが、前記光の偏光に少なくとも部分的に基づいた軸上光学屈曲を使用して、前記ピクセル化されたディスプレイデバイスからの光を前記ユーザの目に向けて指向するように構成されている、請求項7に記載の方法。
【請求項14】
システムであって、
集合的に画像を形成するように構成されているピクセルを含む情報ディスプレイと、
前記情報ディスプレイの前記ピクセルを照射するバックライトアセンブリと、
前記画像の光を前記情報ディスプレイからユーザの目に向けて指向するための光学サブシステムと、を備え、
前記画像の光が、前記光学サブシステムの入射側に対する入射角が小さく、且つ楕円偏光されていない光と、前記入射角が大きく、且つ楕円偏光された光と、を含み、
前記光学サブシステムが、
空間的に変化するリターダ
、SVR、であって、前記光が前記SVRを通過するときに、前記光の位相を変更位相に変更するように構成されており、
前記SVRの中心を通過する前記光の前記位相が、
前記SVRから出てくる前記光が水平偏光されるように、前記SVRの周辺を通過する光と異なる量だけ変更される、空間的に変化するリターダと、
前記SVRは、液晶素子の複数のねじれ複屈折層を備える、複屈折材料の1つまたは複数の層を備え、
前記光が前記SVRを通過した後に、前記変更された位相を有する前記光を受容し、前記光が、前記光学サブシステムの出射面を通過して、出射面からユーザの目に向かって出射することを選択的に可能にするように位置付けられた偏光ビームスプリッタ、部分反射ミラー、または直線偏光子のうちの少なくとも1つと、を含む、システム。
【請求項15】
前記SVRが、複屈折材料の1つまたは複数の層を備え、前記複屈折材料の1つまたは複数の層が、重合性液晶を含む、請求項
14に記載のシステム。
【請求項16】
前記SVR
の一部が、4分の1波長
板である、請求項
14に記載のシステム。
【請求項17】
前記光学サブシステムが、
第1の4分の1波長板と、
第2の4分の1波長板と、
前記第1の4分の1波長板と、前記第2の4分の1波長板との間に介在するレンズと、をさらに含み、
前記SVR
の一部が、前記第1の4分の1波長板または前記第2の4分の1波長板のうちの少なくとも1
つである、請求項
14に記載のシステム。
【請求項18】
前記光学サブシステムが、前記偏光ビームスプリッタを含み、
前記第1の4分の1波長板が、前記情報ディスプレイ上に配設されており、
前記第2の4分の1波長板が、前記偏光ビームスプリッタ上に配設されており、
前記SVR
の一部が、前記第1の4分の1波長
板である、請求項17に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本書は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2018年8月10日に出願された「HEAD-MOUNTED DISPLAY(HMD) WITH SPATIALLY-VARYING RETARDER OPTICS」と題する米国特許出願第16/101,333号の優先権を主張するPCT出願である。
【背景技術】
【0002】
ニアアイディスプレイ技術は、仮想現実(「VR」)または拡張現実(「AR」)システムの一部として、ユーザに情報および画像を提示するために使用され得る。そのようなニアアイディスプレイは、ヘッドマウントディスプレイ(「HMD」)デバイスまたはヘッドセットに組み込まれ得る。これらのニアアイ情報ディスプレイが直視型として指向され得る一方、多くの場合、情報ディスプレイは、HMD内の1つ以上のレンズと連結される。レンズシステムは、レンズ、様々な光学素子、開口絞り、および互いに光学的に整列した様々な構成要素を収容するためのレンズハウジングを備え得る。このようなレンズは、VRまたはARの体験を向上し得るが、レンズシステムの性能は、システムの要素の各々の設計、ならびに要素間の光学的相互作用を規定するシステムの全体的な設計に部分的に依存する。
【0003】
液晶ディスプレイなどの従来の情報ディスプレイは、通常、広い角錐または視野にわたって光を放出する。これらの従来のディスプレイの角度発散は、160度を超える範囲にわたり、180度に近づくことさえあり得る。直接見た場合、この角度的に広い光は、望ましくない効果を引き起こすことはない。しかしながら、従来の情報ディスプレイが、VRまたはARシステム内などのHMD内に用いられる場合、角度的に広い放出は、望ましくない結果につながる可能性がある。これは、情報ディスプレイによって放出された光が、レンズの結像能力を超える入射角でHMDのレンズに当たる場合に当てはまる。そのような光は、少なくとも部分的には、軸外光が、いくぶん楕円形である偏光を示すという事実のために、ユーザの目(複数可)に適切に画像化されない。つまり、軸上光は、直線的に偏光される一方、軸外光は、ある程度の楕円偏光を示す。したがって、HMDのレンズ(複数可)の合焦能力を超える角度の光は、フラッド照明、ゴースト、グレア、散乱、および他の迷光効果などの望ましくない視覚効果をもたらす可能性がある。この画像化されない迷光により、VRまたはARヘッドセットのユーザは、望ましくない視覚的アーティファクトを体験する結果になる可能性がある。
【図面の簡単な説明】
【0004】
添付の図面を参照しながら、詳細な説明を記載する。図中で参照番号の最も左の桁(複数可)は、その参照番号が最初に現れる図を特定する。異なる図における同じ参照番号は、類似または同一の項目を示す。
【0005】
【
図1】ユーザ、および本明細書に記載の技術および構成が実装され得るウェアラブルデバイスを示す概略図である。
【0006】
【
図2】ユーザの目に対して位置付けられた例示的なウェアラブルデバイスの一部の概略断面図である。
【0007】
【
図3】いくつかの実施形態による、ディスプレイと、空間的に変化するリターダ(SVR)を含む光学サブシステムと、を含むシステムの概略断面図である。
【0008】
【
図4】いくつかの実施形態による、ディスプレイと、空間的に変化するリターダ(SVR)を含む光学サブシステムと、を含むシステムの概略断面図である。
【0009】
【
図5】いくつかの実施形態による、ディスプレイと、空間的に変化するリターダ(SVR)を含む光学サブシステムと、を含むシステムの概略断面図である。
【0010】
【
図6】いくつかの実施形態による、例示的な空間的に変化するリターダ(SVR)の概略図である。
【0011】
【
図7】いくつかの実施形態による、ディスプレイと、空間的に変化するリターダ(SVR)を含む光学サブシステムと、を含むシステムの概略断面図である。
【0012】
【
図8】いくつかの例示的な実施形態による、合焦された像を、ディスプレイデバイスのユーザの目に提供するためのプロセスを示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書に記載の様々な実施例では、技術およびアーキテクチャを使用して、ウェアラブルデバイスのユーザの目(片方または両方)に合焦された画像を生成することができる。ウェアラブルデバイスの例としては、ヘッドマウントディスプレイ(「HMD」)デバイスまたはヘッドセットなど、ユーザの頭の上に着用される、またはヘルメットの一部としてのディスプレイデバイスが挙げられ、ウェアラブルデバイスの慣性位置または慣性方向を測定するための位置センサーおよび/または動きセンサーが含まれ得る。ディスプレイデバイスは、片方の目、各目、または両方の目の前のディスプレイを備え得る。ディスプレイデバイスとしては、ほんの数例を挙げると、液晶ディスプレイ(LCD)、有機発光ダイオード(OLED)、リキッドクリスタルオンシリコン(LCOS)、またはブラウン管(CRT)が挙げられ得る。ウェアラブルデバイスは、仮想画像と呼ばれるコンピュータ生成画像を表示し得る。例えば、ウェアラブルデバイスのプロセッサは、以下に説明するように、視聴者(ウェアラブルデバイスの着用者)がシーンを現実(または拡張現実)として知覚するように、合成(仮想)シーンをレンダリングして、表示し得る。
【0014】
いくつかの実施例では、LCDディスプレイデバイスは、いくつかの構成要素を備える。構成要素のうちの2つは、粒状またはピクセル化された様式で光を遮って画像を作成するディスプレイマトリックス、および光源またはバックライトである。光源は通常、ディスプレイマトリックスの後ろに位置付けられ、画像を照射する。カラーディスプレイの場合、バックライトは通常、例えば、白色光などの広いスペクトル光を放出する。
【0015】
ニアアイディスプレイ技術は、上記で紹介したものなどのウェアラブルデバイスの形態であり得る仮想現実(「VR」)または拡張現実(「AR」)システムの一部として、ユーザに情報および画像を提示するために使用され得る。VRまたはARのHMDは、1つ以上のレンズを使用して、1つ以上の情報ディスプレイ(例えば、ピクセル化されたLCDディスプレイデバイス)上に表示された画像に関連付けられた光をユーザの目(複数可)に指向する。特に、レンズは、情報ディスプレイが、実際よりも遠くにあるようにユーザに見えるようにするために、情報ディスプレイ(複数可)からの光を曲げるために使用される。これにより、仮想環境でより深い被写界深度がユーザに提供され、ユーザは、表示された画像により容易に焦点を合わせることが可能になる。レンズはまた、ユーザの情報ディスプレイの視野を広げるために、VRまたはARヘッドセット内で使用され得る。より広い視野は、VRまたはARシステムの没入効果を向上し得る。レンズはさらに、ユーザによって受容される光が、ユーザの左目および右目用に別々に調整されるように、単一のディスプレイからの光を成形するために、VRまたはARヘッドセット内で使用され得る。各目のために個別に調整された画像の使用は、ユーザに、例えば、立体画像または3次元画像を知覚させることができる。レンズはさらに、目の近くの環境で、ユーザの目が情報ディスプレイに比較的近いという制約で設計される。
【0016】
様々な実施例において、ウェアラブルデバイスの光学システムは、空間的に変化するリターダ(SVR)を内蔵している。特に、情報ディスプレイも含むシステムは、情報ディスプレイに比較的近いユーザの目の上に画像を合焦させることを伴うニアツーアイアプリケーションを可能にする。SVRは、(情報ディスプレイによって生成された画像の)光の位相を、SVRの異なる部分ごとに異なる量だけ変更するために使用される。したがって、SVRは、様々な入射角に対して適切なレベルの位相差を提供し、これにより、従来の光学システム設計に存在するフラッド照明、ゴースト、グレア、散乱、および他の迷光効果などの望ましくない視覚効果が軽減される。SVRによるそのような位相変更は、以下に説明するように、光学システム内の様々な光学素子と協調して機能する。
【0017】
当業者は、以下の説明が例示にすぎず、決して限定するものではないことに気付くであろう。本開示の利益を享受する当業者には、他の実施形態もおのずから容易に示唆されるであろう。添付された図面に示されるような特定の実装例が、以降詳細に言及される。図面および以下の説明全体にわたって、同じまたは類似の部品を示すために同じ参照番号が使用される。
【0018】
図1は、いくつかの実施形態による、ユーザ102およびウェアラブルデバイス104を示す概略図である。ウェアラブルデバイス104に関連付けられたコンピューティングデバイスは、個々の仮想コンテンツアイテムに関連付けられたレンダリングデータをウェアラブルデバイス104に提供し、個々の仮想コンテンツアイテムを、ウェアラブルデバイス104に関連付けられたディスプレイ上に提示させることができる。レンダリングデータは、デバイスのディスプレイを介して、仮想コンテンツアイテムのグラフィック表現をレンダリングするための命令を含み得る。例えば、レンダリングデータは、仮想コンテンツアイテムに関連付けられた幾何形状、視点、テクスチャ、照明、陰影などを示す命令を含み得る。例示の実施例では、仮想コンテンツアイテムは、ユーザ102が、ウェアラブルデバイス104を使用してプレイすることができるゲームの一部として、ウェアラブルデバイス104のディスプレイ上に提示され得る。
【0019】
いくつかの実施例では、コンピューティングデバイスは、インターネットなどのネットワーク内にウェアラブルデバイス104から遠く離れて位置し得る。他の実施形態では、コンピューティングデバイスは、ウェアラブルデバイス104と併置され得る(例えば、ウェアラブルデバイス104内に埋め込まれる)。さらに、ウェアラブルデバイス104は、グローバルまたはローカルの有線または無線接続(例えば、ローカルエリアネットワーク(LAN)、イントラネット、ブルートゥース(登録商標)など)などによって、任意の方法でネットワークに通信可能に結合され得る。ネットワーク(複数可)は、コンピューティングデバイス(複数可)と、ユーザ102などの1人以上のユーザに関連付けられたウェアラブルデバイス(複数可)104との間の通信を容易にし得る。
【0020】
図2は、ユーザの目206に対して位置付けられたウェアラブルデバイス204の一部202の概略断面図である。例えば、ウェアラブルデバイス204は、ウェアラブルデバイス104と同じまたは類似であり得る。特定の実施形態では、ウェアラブルデバイス204は、ユーザの左目および右目の両方によって見られる画像を表示するように構成され得る。これは、左および右のLCDディスプレイを別々に使用して達成され得るか、または単一のLCDディスプレイを使用して達成され得る。同様に、(例えば、VRまたはARヘッドセットの形態の)ウェアラブルデバイス204は、単一のレンズアセンブリを備えてもよく、または個々の左および右のレンズアセンブリを使用してもよい。
【0021】
例示的な光線208および210は、ウェアラブルデバイス204から目206の角膜212までの可能性のある光の経路を示している。角膜212は、実質的に球形を有するものとして扱われ得る。ウェアラブルデバイス204は、例えば、約20ミリメートルのアイレリーフを提供するために、光線208および210の経路が比較的短くなるようにニアツーアイディスプレイを含み得る。この場合、ウェアラブルデバイス204の光学系は、ウェアラブルデバイスに比較的近い表面(例えば、角膜212)上に光を合焦させるように構成される。そのような構成は、ユーザの目206からの物理的クリアランスを可能にしながら、パンケーキ光学システムがウェアラブルデバイス204内に嵌まることを可能にする、比較的薄いプロファイルを有するパンケーキ光学システムを伴い得る。
【0022】
図3は、いくつかの実施形態による、ディスプレイと、空間的に変化するリターダ(SVR)を含む光学サブシステムと、を含むシステム300の概略断面図である。システム300は、例えば、ウェアラブルデバイス104/204などのヘッドマウント可能デバイス内に組み込まれ得る。しかしながら、システム300は、カメラ、双眼鏡、事務機器、科学機器などを含むがこれらに限定されない他のタイプのデバイス内に組み込まれ得ることが理解されるべきである。システム300は、情報ディスプレイ302と呼ばれることもあるピクセル化されたディスプレイデバイス302と、バックライトアセンブリ304と、光学サブシステム306と、を含み得る。ユーザの目308の概略図も示されている。そのような要素が、光軸310に沿って整列されている。
【0023】
光を放出するバックライトアセンブリ304は、1つ以上の発光ダイオード(LED)、1つ以上のOLED、1つ以上の冷陰極蛍光灯(CCFL)、1つ以上のレーザー、1つ以上の量子ドット、またはこれらの例示的な光源の任意の組み合わせなどの光源を含み得る。バックライトアセンブリ304内の光源は、情報ディスプレイ302が、可視スペクトルにわたってカラー画像を生成し得るように、広域スペクトル(例えば、白色光)にわたって光を放出し得る。バックライトアセンブリ304は、例えば、約160~180度の範囲にわたり、その前面全体にわたって均一に光を放出し得る。
【0024】
情報ディスプレイ302は、バックライトアセンブリ304と連携して、最大約180度の範囲の角度にわたって光(バックライトアセンブリ304の面とほぼ平行な光)を放出することができる。この範囲の放出角度は、バックライトアセンブリ304の視野、またはバックライトアセンブリ304の光錐と呼ばれることもある。いくつかの実施形態では、情報ディスプレイ302は、1つ以上の偏光層、液晶層、および薄膜トランジスタ層を含むLCDマトリックスであり得る。LCDマトリックスは、バックライトの一部をピクセル化された様式で覆い隠すことによって画像を作成する。光312がバックライトアセンブリ304から放出され、情報ディスプレイ302(例えば、LCDマトリックス)を通過するときに、画像が表示される。明確にするために、
図3は、バックライトアセンブリ304と、情報ディスプレイ302との間の分離を示している。しかしながら、これら2つの構成要素は、それらの間に、あったとしてもごくわずかのスペースを有して、一緒に重ね合わされ得る。
【0025】
光学サブシステム306は、情報ディスプレイ302からの光をユーザの目308に向けて指向するためのレンズアセンブリを含み得る。光学サブシステム306は、例えば、パンケーキ構成を有し得る。この場合、光学サブシステム306は、以下に説明するように、光の偏光に少なくとも部分的に基づく軸上光学屈曲を使用して、情報ディスプレイ302からの光をユーザの目308に向けて指向するように構成された光学素子のアセンブリを含み得る。いくつかの実施形態では、光学サブシステム306のレンズアセンブリは、レンズ以外の様々な光学素子を含む。例えば、光学サブシステム306は、少なくとも1つの偏光ビームスプリッタ338と、空間的に変化するリターダ(SVR)316と、を含み得る。偏光ビームスプリッタ338は、SVR316と、光学サブシステム306の出射面(または側)314との間に位置され得る。SVR316は、SVR316を通過する光の位相を、SVR316の異なる部分ごとに異なる量だけ変更するように構成される。例えば、ディスプレイの周辺からユーザの目に向けて放出された光は、比較的大きな入射角で光学サブシステム306に入射し得る。SVR316は、SVR316全体にわたって位相変更の程度を変化させるように構成された場合、望ましくない視覚効果を軽減するために(例えば、望ましくない迷光がユーザの目308に到達するのを排除する)、あらゆる角度からの光に対して適切なレベルの位相差を提供し得る。
【0026】
偏光ビームスプリッタ338は、直線偏光された光のみを通過させ、それによって、直線偏光されていないすべての他の光を反射するビームスプリッタを表し得る。偏光ビームスプリッタ338は、直線偏光子反射器、または反射直線偏光子と見なされ得る。すなわち、偏光ビームスプリッタ338は、直線偏光子およびビームスプリッタの機能を単一の要素に組み合わせ得る。
【0027】
いくつかの実施形態では、偏光ビームスプリッタ338は、部分反射ミラー(例えば、50/50ミラー)で置き換えられ得る。すなわち、いくつかの実施形態によれば、光学サブシステム306は、SVR316と、光学サブシステム306の出射面(または側)314との間に位置する少なくとも1つの部分反射ミラーを含み得る(例えば、部分反射ミラーは、
図3の参照番号338の位置にあり得る)。
【0028】
図3は、情報ディスプレイ302によって生成された画像の光の例示的な光経路318を示す。簡単にするために、光学サブシステム306は、少なくとも1つのレンズ形状の要素を含むものとして概略的に示されている。しかしながら、光学サブシステム306は、レンズである必要のないいくつかのタイプの光学素子のいずれかを含み得る。次に、光学サブシステム306の特定の実施例について説明する。
【0029】
光学サブシステム306は、前面322と、裏面324と、を有する第1の4分の1波長板326を含み得る。前面322は、光が光学サブシステム306に入射する、光学サブシステム306(例えば、レンズアセンブリ)の入射側と見なされ得る。第1の4分の1波長板326の前面322は、情報ディスプレイ302上に配設され得る。本明細書で使用される「上に配設される」は、「接触している」か、または別の層上に配設された層との間にスペースがあり得るように「隣接している」ことを意味し得る。したがって、第1の4分の1波長板326は、情報ディスプレイ302と接触していてもよく、または情報ディスプレイ302から距離を置いて離間していてもよいが、情報ディスプレイとレンズ330との間に介在している。「上に配設される」は、上に直接配設されるか、または(例えば、1つ以上の中間層を伴って)上に間接的に配設されることを意味し得ることも理解されるべきである。レンズ330は、第1の4分の1波長板326と、SVR316との間に介在し得る。SVR316は、偏光ビームスプリッタ338上に配設され得る(または、代替的に、SVR316は、
図3の参照番号338の位置にある部分反射ミラー上に配設され得る)。
【0030】
一例では、SVR316は、第2の4分の1波長板の一部であり得る。このように、(レンズ330と、偏光ビームスプリッタ338(または部分反射ミラー)との間に介在する)第2の4分の1波長板は、SVR316を通過する光の位相を、SVR316の異なる部分ごとに異なる量だけ変更する材料、特徴、または別の適切な機構を含み得る。SVR316は、レンズ330と、偏光ビームスプリッタ338(または部分反射ミラー)との間に介在するものとして
図3に示され、説明されているが、代替的に、SVR316は、そうしないで、第1の4分の1波長板326の一部になり得ることが理解されるべきである。この代替の実施形態では、
図3に示されるSVR316は、標準的な4分の1波長板(すなわち、SVRを有さない4分の1波長板)で置き換えられ得る。すなわち、光学サブシステム306は、2つの4分の1波長板を(1つは326の位置に、今1つは316の位置に)含み得、SVRは、2つの4分の1波長板のいずれかの一部であり得る。いくつかの実施形態では、光学サブシステム306が、2つの4分の1波長板を(1つは326の位置に、今1つは316の位置に)含む場合、SVRは、両方の4分の1波長板の一部であり得る。
【0031】
光学サブシステム306の動作原理を例示するために、光経路318は、第1の4分の1波長板326の前面322で偏光された(例えば、1つの配向pに直線偏光された)第1の4分の1波長板326に入射する。第1の4分の1波長板326の裏面324を出射する光は、円偏光され得る。この光は、レンズ330を通過する。次に、レンズ330から出射する光は、SVR316を通過し、偏光ビームスプリッタ338から反射される(または、代替的に、SVR316を通過する光は、
図3の参照番号338の位置にある部分反射ミラーから反射される)。この反射光は、SVR316を逆方向に通過し、光は、円偏光されて45度に配向されたまま、その利き手を変えることになる。SVR316を逆方向に通過した光は、再びレンズ330によって反射され、光は、SVR316を順方向に(すなわち、ユーザの目308に向かって)3回目の通過をすることになる。この反射光は、偏光ビームスプリッタ338を通過し(または、代替的に、光は、
図3の参照番号338の位置にある部分反射ミラーを通過する)、光学サブシステム306の出射側(または面)314から出射する。
【0032】
SVR316は、SVR316を通過する光の位相を、入射光がSVR316に入射するSVR316上の位置の関数としての適切なレベルの位相差で変更する。このように、SVR316から出射する光は、水平偏光される。偏光ビームスプリッタ338が、水平偏光された光がユーザの目308に向かって通過することを可能にし、さもなければ垂直偏光された光を遮断するので、SVR316は、後期段階の位相変更を行って、光が、偏光ビームスプリッタ338を通過することを可能にする。
図3の実施例では、例示的な光経路318が軸外れであるため、SVR316に入射する光経路318は楕円偏光され、光経路318がSVR316に入射するSVR316上の位置は、光の位相を適切な量だけ変更して、入射する楕円偏光された光を水平偏光された光として出射させる材料(例えば、複屈折材料)および/または特徴(複数可)を含む。これは、ゼロに等しい入射角で光学サブシステム306に入射する軸上光経路(図示せず)と対照的であり得る。位相が変更される量は、SVR316の中心では位相変更がほとんどないか全くない状態で、SVR316の領域全体で変化するので、このような軸上光経路は、SVR316によってその偏光状態が変えられることはないであろう。しかしながら、さらに軸外れである入射光については、SVR316は、その軸外入射光の位相を入射角、したがってSVR316上の位置の関数としての適切な量に変更するように構成される。偏光ビームスプリッタ338が、水平偏光された光がユーザの目308に向かって通過することを可能にし、さもなければ、水平偏光されていないすべての他の光を反射し得ることを、実施例は説明しているが、偏光ビームスプリッタ338は、垂直偏光された光がユーザの目308に向かって通過することを可能にし、さもなければ、垂直偏光されていないすべての他の光を反射し得ることが理解されるべきである。
【0033】
図4は、いくつかの実施形態による、ディスプレイと、空間的に変化するリターダ(SVR)を含む光学サブシステムと、を含むシステム400の概略断面図である。システム400は、例えば、ウェアラブルデバイス104/204などのヘッドマウント可能デバイス内に組み込まれ得る。しかしながら、システム400は、カメラ、双眼鏡、事務機器、科学機器などを含むがこれらに限定されない他のタイプのデバイス内に組み込まれ得ることが理解されるべきである。システム400は、情報ディスプレイ402と呼ばれることもあるピクセル化されたディスプレイデバイス402と、バックライトアセンブリ404と、光学サブシステム406と、を含み得る。ユーザの目408の概略図も示されている。そのような要素が、光軸410に沿って整列されている。
【0034】
光を放出するバックライトアセンブリ404は、1つ以上の発光ダイオード(LED)、1つ以上のOLED、1つ以上の冷陰極蛍光灯(CCFL)、1つ以上のレーザー、1つ以上の量子ドット、またはこれらの例示的な光源の任意の組み合わせなどの光源を含み得る。バックライトアセンブリ404内の光源は、情報ディスプレイ402が、可視スペクトルにわたってカラー画像を生成し得るように、広域スペクトル(例えば、白色光)にわたって光を放出し得る。バックライトアセンブリ404は、例えば、約160~180度の範囲にわたり、その前面全体にわたって均一に光を放出し得る。
【0035】
情報ディスプレイ402は、バックライトアセンブリ404と連携して、最大約180度の範囲の角度にわたって光(バックライトアセンブリ404の面とほぼ平行な光)を放出することができる。この範囲の放出角度は、バックライトアセンブリ404の視野、またはバックライトアセンブリ404の光錐と呼ばれることもある。いくつかの実施形態では、情報ディスプレイ402は、1つ以上の偏光層、液晶層、および薄膜トランジスタ層を含むLCDマトリックスであり得る。LCDマトリックスは、バックライトの一部をピクセル化された様式で覆い隠すことによって画像を作成する。光412がバックライトアセンブリ404から放出され、情報ディスプレイ402(例えば、LCDマトリックス)を通過するときに、画像が表示される。明確にするために、
図4は、バックライトアセンブリ404と、情報ディスプレイ402との間の分離を示している。しかしながら、これら2つの構成要素は、それらの間に、あったとしてもごくわずかのスペースを有して、一緒に重ね合わされ得る。
【0036】
光学サブシステム406は、情報ディスプレイ402からの光をユーザの目408に向けて指向するためのレンズアセンブリを含み得る。光学サブシステム406は、例えば、パンケーキ構成を有し得る。この場合、光学サブシステム406は、以下に説明するように、光の偏光に少なくとも部分的に基づく軸上光学屈曲を使用して、情報ディスプレイ402からの光をユーザの目408に向けて指向するように構成された光学素子のアセンブリを含み得る。いくつかの実施形態では、光学サブシステム406のレンズアセンブリは、レンズ以外の様々な光学素子を含む。例えば、光学サブシステム406は、少なくとも1つの直線偏光子438と、空間的に変化するリターダ(SVR)416と、を含み得る。直線偏光子438は、SVR416と、光学サブシステム406の出射面414との間に位置し得る。SVR416は、SVR416を通過する光の位相を、SVR416の異なる部分ごとに異なる量だけ変更するように構成される。例えば、ディスプレイの周辺からユーザの目に向けて放出された光は、比較的大きな入射角で光学サブシステム406に入射し得る。SVR416は、SVR416全体にわたって位相変更の程度を変化させるように構成された場合、望ましくない視覚効果を軽減するために(例えば、望ましくない迷光がユーザの目408に到達するのを排除する)、あらゆる角度からの光に対して適切なレベルの位相差を提供し得る。
【0037】
図4は、情報ディスプレイ402によって生成された画像の光の例示的な光経路418を示す。簡単にするために、光学サブシステム406は、少なくとも1つのレンズ形状の要素を含むものとして概略的に示されている。しかしながら、光学サブシステム406は、レンズである必要のないいくつかのタイプの光学素子のいずれかを含み得る。次に、光学サブシステム406の特定の実施例について説明する。
【0038】
光学サブシステム406は、反射および屈折要素430(「要素430」と呼ばれることもある)を含み得る。反射および屈折要素430は、入射光の約50パーセントが要素430を通過することを可能にする一方、入射光の約50パーセントが要素430によって反射されて離れる、50/50ミラーを含み得る。光学サブシステム406は、前面422と、裏面424と、を有する第1の4分の1波長板426をさらに含み得る。第1の4分の1波長板426は、第1の4分の1波長板426の裏面424に隣接する前面と、裏面428と、を有するビームスプリッタ436上に配設され得る。ビームスプリッタ436は、SVR416上に配設され得る。SVR416は、直線偏光子438上に配設され得る。「上に配設される」は、上に直接配設されるか、または(例えば、1つ以上の中間層を伴って)上に間接的に配設されることを意味し得ることが理解されよう。さらに、「上に配設される」は、「接触している」か、または別の層上に配設された層との間にスペースがあり得るように「隣接している」ことを意味し得ることが理解されるべきである。
【0039】
一例では、SVR416は、第2の4分の1波長板の一部であり得る。このように、(偏光ビームスプリッタ436と、直線偏光子438との間に介在する)第2の4分の1波長板は、SVR416を通過する光の位相を、SVR416の異なる部分ごとに異なる量だけ変更する材料、特徴、または別の適切な機構を含み得る。SVR416は、ビームスプリッタ436と、直線偏光子438との間に介在するものとして
図4に示され、説明されているが、代替的に、SVR416は、そうしないで、第1の4分の1波長板426の一部であり得ることが理解されるべきである。この代替の実施形態では、
図4に示されるSVR416は、標準的な4分の1波長板と置き換えられ得る。すなわち、光学サブシステム406は、2つの4分の1波長板を(1つは426の位置に、今1つは416の位置に)含み得、SVRは、2つの4分の1波長板のいずれかの一部であり得る。いくつかの実施形態では、光学サブシステム406が、2つの4分の1波長板を(1つは426の位置に、今1つは416の位置に)含む場合、SVRは、両方の4分の1波長板の一部であり得る。
【0040】
光学サブシステム406の動作原理を例示するために、光経路418は、光学サブシステム406の入射側(または面)(例えば、要素430の入射側)で偏光された(例えば、1つの配向pに直線偏光された)光学サブシステム406に入射する。光の一部は、反射および屈折要素430を通過する一方、光の残りは、要素430によって反射されて離れる。要素430の出射側から出射する光経路418は、要素430を通過する光の部分を表す。次に、要素430から出射する光は、第1の4分の1波長板426を通過して円偏光される。この円偏光された光は、ビームスプリッタ436から反射し、第1の4分の1波長板426を逆方向に通過し、光は、円偏光されて45度に配向されたまま、その利き手を変えることになる。いくつかの実施形態では、ビームスプリッタ436は、別の50/50ミラーを含む。第1の4分の1波長板426を逆方向に通過した光は、再び反射され、光は、第1の4分の1波長板426を順方向に(すなわち、ユーザの目408に向かって)3回目の通過をすることになる。この反射光は、ビームスプリッタ436を通過し、次に、SVR416(例えば、SVR416を含む第2の4分の1波長板)を通過し、その後、直線偏光子438を通過して、光学サブシステム406の出射側(または面)414から出射する。
【0041】
SVR416は、SVR416を通過する光の位相を、入射光がSVR416に入射するSVR416上の位置の関数としての適切なレベルの位相差で変更する。このように、SVR416から出射する光は、水平偏光される。直線偏光子438は、水平偏光された光がユーザの目408に向かって通過することを可能にし、さもなければ垂直偏光された光を遮断するので、SVR416は、後期段階の位相変更を行って、光が、直線偏光子438を通過することを可能にする。
図4の実施例では、例示的な光経路418が軸外れであるため、SVR416に入射する光経路418は楕円偏光され、光経路418がSVR416に入射するSVR416上の位置は、光の位相を適切な量だけ変更して、入射する楕円偏光された光を水平偏光された光として出射させる材料(例えば、複屈折材料)および/または特徴(複数可)を含む。これは、ゼロに等しい入射角で光学サブシステム406に入射する軸上光経路(図示せず)と対照的であり得る。位相が変更される量は、SVR416の中心では位相変更がほとんどないか全くない状態で、SVR416の領域全体で変化するので、このような軸上光経路は、SVR416によってその偏光状態が変えられることはないであろう。しかしながら、さらに軸外れである入射光については、SVR416は、その軸外入射光の位相を入射角、したがってSVR416上の位置の関数としての適切な量に変更するように構成される。
【0042】
図5は、いくつかの実施形態による、ディスプレイと、光学サブシステムと、を含むシステム500の概略断面図である。システム500は、例えば、ウェアラブルデバイス104/204などのヘッドマウント可能デバイス内に組み込まれ得る。しかしながら、システム500は、カメラ、双眼鏡、事務機器、科学機器などを含むがこれらに限定されない他のタイプのデバイス内に組み込まれ得ることが理解されるべきである。システム500は、情報ディスプレイ502と呼ばれることもあるピクセル化されたディスプレイデバイス502と、バックライトアセンブリ504と、光学サブシステム506と、を含み得る。ユーザの目508の概略図も示されている。そのような要素が、光軸510に沿って整列されている。
【0043】
光を放出するバックライトアセンブリ504は、1つ以上の発光ダイオード(LED)、1つ以上のOLED、1つ以上の冷陰極蛍光灯(CCFL)、1つ以上のレーザー、1つ以上の量子ドット、またはこれらの例示的な光源の任意の組み合わせなどの光源を含み得る。バックライトアセンブリ504内の光源は、情報ディスプレイ502が、可視スペクトルにわたってカラー画像を生成し得るように、広域スペクトル(例えば、白色光)にわたって光を放出し得る。バックライトアセンブリ504は、例えば、約160~180度の範囲にわたり、その前面全体にわたって均一に光を放出し得る。
【0044】
情報ディスプレイ502は、バックライトアセンブリ504と連携して、最大約180度の範囲の角度にわたって光(バックライトアセンブリ504の面とほぼ平行な光)を放出することができる。この範囲の放出角度は、バックライトアセンブリ504の視野、またはバックライトアセンブリ504の光錐と呼ばれることもある。いくつかの実施形態では、情報ディスプレイ502は、1つ以上の偏光層、液晶層、および薄膜トランジスタ層を含むLCDマトリックスであり得る。LCDマトリックスは、バックライトの一部をピクセル化された様式で覆い隠すことによって画像を作成する。光512がバックライトアセンブリ504から放出され、情報ディスプレイ502(例えば、LCDマトリックス)を通過するときに、画像が表示される。明確にするために、
図5は、バックライトアセンブリ504と情報ディスプレイ502との間の分離を示している。しかしながら、これら2つの構成要素は、それらの間に、あったとしてもごくわずかのスペースを有して、一緒に重ね合わされ得る。
【0045】
光学サブシステム506は、情報ディスプレイ502からの光をユーザの目508に向けて指向するためのレンズアセンブリを含み得る。光学サブシステム506は、例えば、パンケーキ構成を有し得る。この場合、光学サブシステム506は、以下に説明するように、光の偏光に少なくとも部分的に基づく軸上光学屈曲を使用して、情報ディスプレイ502からの光をユーザの目508に向けて指向するように構成された光学素子のアセンブリを含み得る。いくつかの実施形態では、光学サブシステム506のレンズアセンブリは、レンズ以外の様々な光学素子を含む。例えば、光学サブシステム506は、少なくとも1つの直線偏光子538と、空間的に変化するリターダ(SVR)516と、を含み得る。直線偏光子538は、SVR516と、光学サブシステム506の出射面514との間に位置し得る。SVR516は、SVR516を通過する光の位相を、SVR516の異なる部分ごとに異なる量だけ変更するように構成される。例えば、バックライト/ディスプレイが様々な角度で光を放出する場合、ディスプレイの周辺からユーザの目に向けて放出された光は、比較的大きな入射角で光学サブシステム506に入射し得る。SVR516は、SVR516全体にわたって位相変更の程度を変化させるように構成された場合、望ましくない視覚効果を軽減するために(例えば、望ましくない迷光がユーザの目508に到達するのを排除する)、あらゆる角度からの光に対して適切なレベルの位相差を提供し得る。
【0046】
図5は、情報ディスプレイ502によって生成された画像の光の例示的な光経路518を示す。簡単にするために、光学サブシステム506は、少なくとも1つのレンズ形状の要素を含むブロックとして概略的に示されている。しかしながら、光学サブシステム506は、レンズである必要のないいくつかのタイプの光学素子のいずれかを含み得る。次に、光学サブシステム506の特定の実施例について説明する。
【0047】
光学サブシステム506は、前面522と、裏面524と、を有する直線偏光子520を含み得る。直線偏光子520は、直線偏光子520の裏面524に隣接する前面と、裏面528と、を有する4分の1波長板526上に配設され得る。4分の1波長板526は、レンズダブレット530上に配設され得る。一実施例では、レンズダブレット530は、平面532と、凹面534と、を有する平凹シングレットを含み得る。凹面534の曲率は、光学サブシステム506の焦点距離を確立し得る。光学コーティング(例えば、金属薄膜または多層誘電体膜)を備え得る第1の反射偏光ビームスプリッタは、レンズダブレット530の凹面534に位置(例えば、上に配設)し得る。レンズダブレット530は、SVR516上に配設され得る。SVR516は、第2の反射偏光ビームスプリッタ536上に配設され得る。第2の反射偏光ビームスプリッタ536は、任意の第2の直線偏光子538上に配設され得る。「上に配設される」は、上に直接配設されるか、または(例えば、1つ以上の中間層を伴って)上に間接的に配設されることを意味し得ることが理解されるべきである。さらに、「上に配設される」は、「接触している」か、または別の層上に配設された層との間にスペースがあり得るように「隣接している」ことを意味し得ることが理解されるべきである。
【0048】
光学サブシステム506の動作原理を例示するために、光経路518は、光学サブシステム506の入射側(または面)で偏光されない光学サブシステム506に入射し、光経路518は、直線偏光子520によって、例えば、1つの配向p、に偏光される。4分の1波長板526を通過した後、光は、右旋円偏光される。レンズダブレット530を通過し、続いてSVR516を通過した後、結果として得られるs偏光された光は、第2の反射偏光ビームスプリッタ536から反射し、SVR516を逆方向に通過し、レンズダブレット530の凹面534における第1の反射偏光ビームスプリッタから再び反射し、SVR516の3回目の通過をし、p偏光された光として光学サブシステム506の出射側(または面)514から出射する。任意のs偏光された迷光は、任意選択の第2の直線偏光子538によって除去され得、その結果、純粋なp偏光された光が、目508に到達する。
【0049】
図6は、いくつかの実施形態による、例示的な空間的に変化するリターダ(SVR)600の概略図である。SVR600は、例えば、
図3/
図4/
図5に示されるSVR316/416/516と同じか、または類似であり得る。
【0050】
いくつかの実施例では、SVR600は、基板602と、配向層604と、液晶素子のM個のねじれ複屈折層606A、606B、…、606Mと、を備えたモノリシック構造であり得、ここで、Mは2以上の整数である。そのような層は、重合性液晶を含み得る。
図6の円筒は、光軸(およびネマチックダイレクタフィールド)に対応する。後続のねじれ複屈折層606は、先行するねじれ複屈折層606によって整列される。楕円608および610は、それぞれ、入射光612および出射光614の偏光を概略的に示す。
【0051】
SVR600は、広帯域偏光変換の効果的な制御などの多くの便益を提供する。SVR600は、前の層によって直接整列される後続の液晶層を含むので、SVR600の製造は比較的簡単であり、自動的な層間位置合わせを達成し、連続的に変化する光軸を有するモノリシックフィルムをもたらす。SVR600は、一般に、パターン化されたアクロマティックリターダに最適であり、可視光から赤外線までの波長内で、広帯域および/または低変動の位相差を実現し得る。例えば、SVR600は、450~650ナノメートル(nm)および400~800nmの帯域幅にわたって比較的高い収色性で動作し得る。
【0052】
図6に示される例示的なSVR600は、本明細書に記載の技術およびシステムでの実装に好適であるSVR416/516の一例にすぎないことを理解されたい。いくつかの実施形態では、例示的なSVR416/516は、SVRを通過する光の偏光状態を、SVRの異なる部分ごとに異なる量だけ変更するメカニズムとして機能する、ポリマーなどの複屈折材料の1つ以上の層を備え得る。いくつかの実施形態では、例示的なSVR416/516は、SVRを通過する光の偏光状態を、SVRの異なる部分ごとに異なる量だけ変更するメカニズムとして機能する薄膜ダイクロイック材料(例えば、スタック)を備え得る。いくつかの実施形態では、例示的なSVR416/516は、SVRを通過する光の偏光状態を、SVRの異なる部分ごとに異なる量だけ変更するメカニズムとして機能するナノ特徴を有する基板を備え得る。これらの例示的な構成のいずれにおいても、SVR416/516は、SVR416/516上の位置の関数としての異なる程度/量で偏光を変更する(例えば、SVR416/516の周辺に向かってより大きな量だけ偏光状態を変更する、およびSVR416/516の中心に向かってより少ない量だけ偏光状態を変更する)。
【0053】
図7は、いくつかの実施形態による、ディスプレイと、光学サブシステムと、を含むシステム700の概略断面図である。システム700は、例えば、ウェアラブルデバイス104/204などのヘッドマウント可能デバイスに組み込まれ得る。システム700は、情報ディスプレイ702と、バックライトアセンブリ704と、光学サブシステム706と、を含み得る。ユーザの目708の概略図も示されている。そのような要素が、光軸710に沿って整列されている。
【0054】
システム700は、
図5に示されたシステム500と同様であり得、光学サブシステム706の入射側(または面)714に配設されたフレネルレンズ712、または光学サブシステム706の出射側(または面)718上のフレネルレンズ716が追加されている。例えば、フレネルレンズ712は、
図4を参照して説明したように、第1の4分の1波長板426の前面422上に、または
図5を参照して説明したように、直線偏光子520の前面522上に配設され得る。代替的に、(
図3/
図4/
図5を参照して説明したように)偏光ビームスプリッタ338、第2の反射偏光ビームスプリッタ536、または直線偏光子438/538が、フレネルレンズ716上に配設されてもよい。
図7は、光学サブシステム706の一部としてフレネルレンズ716および718の両方を示しているが、光学サブシステム706は、フレネルレンズ716なしで、フレネルレンズ712を含み得るか、または光学サブシステム706は、フレネルレンズ712なしで、フレネルレンズ716を含み得ることが理解されるべきである。光学サブシステム706へのフレネルレンズ(712または716)のそのような追加は、光学サブシステム706を出射する光の焦点距離を変更するために使用され得る。追加的または代替的に、他のタイプのレンズが、光学サブシステム706の714側、および/または718側に使用されてもよい。
【0055】
図8は、いくつかの例示的な実施形態による、合焦された画像を、ディスプレイデバイスのユーザの目に提供するためのプロセス800を示す流れ図である。例えば、そのようなディスプレイデバイスは、ウェアラブルデバイス104と同じか、または類似であるHMD内に含まれ得る。ブロック802において、ディスプレイデバイスは、例えば、LCDディスプレイなどのピクセル化されたディスプレイデバイスを使用して画像を生成し得る。そのような生成は、例えば、照明バックライトと連携し得る。ブロック804において、ディスプレイデバイスは、画像の光を、光学サブシステム506などのレンズアセンブリに指向して、画像の焦点距離を変更焦点距離に変更し得る。例えば、レンズアセンブリは、空間的に変化するリターダ(SVR)316/416/516/600を通過する光の位相を、SVR316/416/516/600の異なる部分ごとに異なる量だけ変更するように構成されたSVR316/416/516/600を含み得る。ブロック806において、ディスプレイデバイスは、変更された焦点距離を有する画像をユーザの目に投影し得る。
【0056】
上記の実施例に対して多くの変形および修正が行われてよく、その要素は、他の許容可能な実施例に含まれるものとして理解されるべきである。そのようなすべての修正および変形は、本開示の範囲内で本明細書に含まれることを意図している。
以下に、本出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1]
システムであって、
情報ディスプレイと、
前記情報ディスプレイからの光をユーザの目に向けて指向するためのレンズアセンブリと、を備え、前記レンズアセンブリが、
前記光が前記レンズアセンブリに入射する入射側と、
前記光が前記レンズアセンブリを出射する出射側と、
空間的に変化するリターダ(SVR)であって、前記SVRを通過する前記光の位相を、前記SVRの異なる部分ごとに異なる量だけ変更する、空間的に変化するリターダと、
前記SVRと、前記レンズアセンブリの前記出射側との間に配設された偏光ビームスプリッタまたは部分反射ミラーのうちの少なくとも1つと、を含む、システム。
[2]
前記SVRが、複屈折材料の1つまたは複数の層を備える、[1]に記載のシステム。
[3]
前記複屈折材料の1つまたは複数の層が、液晶素子の複数のねじれ複屈折層を備える、[2]に記載のシステム。
[4]
前記システムが、ヘッドマウント可能デバイス内に組み込まれている、[1]に記載のシステム。
[5]
前記SVRが、4分の1波長板の一部である、[1]に記載のシステム。
[6]
前記レンズアセンブリが、
第1の4分の1波長板と、
第2の4分の1波長板と、
前記第1の4分の1波長板と、前記第2の4分の1波長板との間に介在するレンズと、をさらに含み、
前記SVRが、前記第1の4分の1波長板または前記第2の4分の1波長板のうちの少なくとも1つの一部である、[1]に記載のシステム。
[7]
前記第1の4分の1波長板が、前記情報ディスプレイ上に配設されており、
前記第2の4分の1波長板が、前記偏光ビームスプリッタまたは前記部分反射ミラー上に配設されており、
前記SVRが、前記第2の4分の1波長板の一部である、[6]に記載のシステム。
[8]
前記SVRが、第1のSVRであり、前記レンズアセンブリが、前記第1の4分の1波長板の一部である第2のSVRをさらに含む、[7]に記載のシステム。
[9]
ピクセル化されたディスプレイデバイスを使用して画像を生成することと、
前記画像の焦点距離を変更焦点距離に変更するために、前記画像の光をレンズアセンブリに指向することであって、前記レンズアセンブリが、
空間的に変化するリターダ(SVR)であって、前記SVRを通過する前記光の位相を、前記SVRの異なる部分ごとに異なる量だけ変更するように構成されている、空間的に変化するリターダと、
偏光ビームスプリッタ、部分反射ミラー、または前記SVRと、前記レンズアセンブリの出射側との間に配設された直線偏光子のうちの少なくとも1つと、を含む、指向することと、
前記変更された焦点距離を有する前記画像をユーザの目の上に投影することと、を含む方法。
[10]
前記SVRが、重合性液晶の複数の複屈折層を備える、[9]に記載の方法。
[11]
前記SVRが、4分の1波長板の一部である、[9]に記載の方法。
[12]
前記4分の1波長板が、第1の4分の1波長板を備え、前記レンズアセンブリが、
第2の4分の1波長板と、
前記第1の4分の1波長板と、前記第2の4分の1波長板との間に介在するビームスプリッタと、をさらに含む、[11]に記載の方法。
[13]
前記SVRが、第1のSVRであり、前記4分の1波長板が、第1の4分の1波長板を備え、前記レンズアセンブリが、前記第2の4分の1波長板の一部である第2のSVRをさらに含む、[11]に記載の方法。
[14]
前記ピクセル化されたディスプレイデバイスおよび前記レンズアセンブリが、ヘッドマウントディスプレイ内にある、[9]に記載の方法。
[15]
前記レンズアセンブリが、前記光の偏光に少なくとも部分的に基づいた軸上光学屈曲を使用して、前記ピクセル化されたディスプレイデバイスからの光を前記ユーザの目に向けて指向するように構成されている、[9]に記載の方法。
[16]
システムであって、
集合的に画像を形成するように構成されているピクセルを含む情報ディスプレイと、
前記情報ディスプレイの前記ピクセルを照射するバックライトアセンブリと、
前記画像の光を前記情報ディスプレイからユーザの目に向けて指向するための光学サブシステムと、を備え、前記光学サブシステムが、
空間的に変化するリターダ(SVR)であって、前記光が前記SVRを通過するときに、前記光の位相を変更位相に変更するように構成されており、前記光の前記位相が、前記SVRの異なる部分ごとに異なる量だけ変更される、空間的に変化するリターダと、
前記光が前記SVRを通過した後に、前記変更された位相を有する前記光を受容し、前記光が、前記光学サブシステムの出射面を通過して、出射面からユーザの目に向かって出射することを選択的に可能にするように位置付けられた偏光ビームスプリッタ、部分反射ミラー、または直線偏光子のうちの少なくとも1つと、を含む、システム。
[17]
前記SVRが、複屈折材料の1つまたは複数の層を備え、前記複屈折材料の1つまたは複数の層が、重合性液晶を含む、[16]に記載のシステム。
[18]
前記SVRが、4分の1波長板の一部である、[16]に記載のシステム。
[19]
前記光学サブシステムが、
第1の4分の1波長板と、
第2の4分の1波長板と、
前記第1の4分の1波長板と、前記第2の4分の1波長板との間に介在するレンズと、をさらに含み、
前記SVRが、前記第1の4分の1波長板または前記第2の4分の1波長板のうちの少なくとも1つの一部である、[16]に記載のシステム。
[20]
前記光学サブシステムが、前記偏光ビームスプリッタを含み、
前記第1の4分の1波長板が、前記情報ディスプレイ上に配設されており、
前記第2の4分の1波長板が、前記偏光ビームスプリッタ上に配設されており、
前記SVRが、前記第1の4分の1波長板の一部である、[19]に記載のシステム。