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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-22
(45)【発行日】2024-01-05
(54)【発明の名称】電子ペン
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/03 20060101AFI20231225BHJP
   G06F 3/044 20060101ALI20231225BHJP
【FI】
G06F3/03 400F
G06F3/044 B
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021515795
(86)(22)【出願日】2020-01-27
(86)【国際出願番号】 JP2020002667
(87)【国際公開番号】W WO2020217615
(87)【国際公開日】2020-10-29
【審査請求日】2023-01-23
(31)【優先権主張番号】P 2019080767
(32)【優先日】2019-04-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000139403
【氏名又は名称】株式会社ワコム
(74)【代理人】
【識別番号】100091546
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 正美
(74)【代理人】
【識別番号】100206379
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 正
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 雄太
【審査官】▲高▼瀬 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/001859(WO,A1)
【文献】特開2018-097458(JP,A)
【文献】特開2018-321128(JP,A)
【文献】特開2005-099955(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/03
G06F 3/044
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状筐体と、
前記筒状筐体に収納される第1の回路部と、
前記第1の回路部と共に前記筒状筐体に収納され、前記第1の回路部に対して直列に配列される第2の回路部と、
前記第1の回路部に接続されると共に、前記第2の回路部側に延伸され、当該第2の回路部上で折り返されて当該第2の回路部に接続されるケーブルと
を備え、
前記第1の回路部と前記第2の回路部とが前記筒状筐体の定位置に収納された場合に、前記ケーブルが屈曲収納可能な収納空間を前記第2の回路部に有する
ことを特徴とする電子ペン。
【請求項2】
請求項1に記載の電子ペンであって、
前記第2の回路部に設けられているコネクタ部の差込口は、前記第1の回路部に設けられているコネクタ部の差込口と同じ方向を向いていることを特徴とする電子ペン。
【請求項3】
請求項2に記載の電子ペンであって、
前記第2の回路部に設けられている前記コネクタ部は、軸心方向に沿う前記第2の回路部の側面上であって、前記第1の回路部に設けられている前記コネクタ部が設けられた位置に対して所定角度分回転した位置に設けられ、
前記ケーブルは、前記第1の回路部と前記第2の回路部との間において、異なる方向に2回折り曲げられて前記第2の回路部の前記コネクタ部に向かうようにされている
ことを特徴とする電子ペン。
【請求項4】
請求項1、請求項2または請求項3のいいずれかに記載の電子ペンであって、
前記ケーブルは、フレキシブルケーブルで構成されている
ことを特徴とする電子ペン。
【請求項5】
請求項1、請求項2、請求項3または請求項4のいずれかに記載の電子ペンであって、
前記第1の回路部は、電子ペンとして位置を指し示す芯体と、芯体から信号を送信するための発信部と電源を有し、前記第2の回路部は、付加的機能を動作させるための回路を有する
ことを特徴とする電子ペン。
【請求項6】
請求項1、請求項2、請求項3、請求項4または請求項5のいずれかに記載の電子ペンであって、
前記第2の回路部には外部コネクタが配置されており、前記ケーブルを通して、前記第1の回路部が有する充電池を充電する
ことを特徴とする電子ペン。
【請求項7】
請求項1、請求項2、請求項3、請求項4、請求項5または請求項6のいずれかに記載の電子ペンであって、
前記第2の回路部は、近距離無線通信可能とする通信部を有する
ことを特徴とする電子ペン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、タブレットPC(Personal Computer)などの電子機器に搭載されている位置検出装置に対する位置指示器としての機能を実現する電子ペンに関する。
【背景技術】
【0002】
後に記す特許文献1には、アクティブ型静電容量方式の電子ペンに関する発明が開示されている。当該電子ペンには回路基板(プリント基板)が搭載される。当該回路基板上には、芯体から送出する信号を発生する信号発生回路および当該信号発生回路からの信号の芯体への送信を制御する制御回路を構成するIC(Integrate Circuit)及びその周辺回路部品からなる回路部が設けられている。周辺回路部には、プッシュスイッチ(サイドスイッチ)が含まれる場合もある。
【0003】
また、回路基板には、芯体と信号発生回路などとを接続する導体端子部材と感圧用部品から筆圧の検出出力を伝達する導体端子部材とが接続される。更に、当該電子ペンには、回路基板上に形成された回路部に対して駆動電源を供給するバッテリが搭載される。このように、アクティブ型静電容量方式の電子ペンには、電子ペン機能を実現するための回路基板(電子ペンユニット)やバッテリなどの種々の部品が搭載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2017/110338号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年においては、電子ペンに対してさらに機能を追加することが考えられている。例えば、Bluetooth(登録商標)規格の近距離無線通信機能を電子ペンに搭載することが考えられる。これにより、例えば、電子ペンの識別IDなどを位置検出装置側に送信したり、位置検出装置側からの認証情報や種々のパラメータを受信したりすることができるようになる。
【0006】
電子ペンへの近距離無線通信機能を搭載する場合には、電子ペン機能を実現する既存の回路基板への影響を少なくしたり、組み立てやメンテナンスのし易さを実現したりするなどの種々の条件を満足する必要がある。このため、近距離無線通信回路を既存の回路基板にインプリメントするのではなく、既存の回路基板(電子ペンユニット)とは別に近距離無線通信ユニットを設けて、これを電子ペンに搭載することが考えられる。
【0007】
この場合、近距離無線通信ユニットに対しては、駆動電源を供給したり、既存の回路基板の制御ICなどから必要情報を提供したりする必要が生じるため、近距離無線通信ユニットと既存の回路基板とをケーブルにより接続する必要が生じる。そして、接続作業を簡単かつ確実に行うためには、ケーブルの長さをある程度余裕を持った長さとする必要がある。しかし、ケーブルが長いとこれを電子ペンの筐体に収納する場合に不都合が生じる。
【0008】
既存の回路基板と近距離無線通信ユニットとを接続するケーブルは、複数の信号線や電源線などからなる幅広のものである。このため、折り畳んで電子ペンの筐体内に収納しようとすると、電子ペンの全長を長くする必要が生じたり、ケーブル自体の損傷に繋がったり、ケーブルの伸びようとする力が働いて、ケーブルが接続部から外れたりするといった不都合が発生する可能性がある。
【0009】
以上のことに鑑み、発明は、例えば、既存の回路部と追加の回路部とをケーブルで接続する場合にも問題を生じさせない電子ペンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、
筒状筐体と、
前記筒状筐体に収納される第1の回路部と、
前記第1の回路部と共に前記筒状筐体に収納され、前記第1の回路部に対して直列に配列される第2の回路部と、
前記第1の回路部に接続されると共に、前記第2の回路部側に延伸され、当該第2の回路部上で折り返されて当該第2の回路部に接続されるケーブルと
を備え、
前記第1の回路部と前記第2の回路部とが前記筒状筐体の定位置に収納された場合に前記ケーブルが屈曲収納可能な収納空間を前記第2の回路部に有する
ことを特徴とする電子ペン。
【0011】
この電子ペンによれば、第1の回路部と第2の回路部とは直列に配列されて、筒状筐体内に収納されるが、この場合に、第1の回路部に接続されたケーブルが、第2の回路部側に延伸され、当該第2の回路部上で折り返されて当該第2の回路部に接続される。従って、第1の回路部から延伸されたケーブルを第2の回路部に接続することができるので、簡単に第1の回路部と第2の回路部とをケーブルによって接続できる。
【0012】
第1の回路部と第2の回路部とが筒状筐体の定位置に収納されると、ケーブルが第2の回路部に設けられている屈曲収納可能な収納空間に収納される。これにより、筒状筐体内において、ケーブルが第1の回路部と第2の回路部の収納に邪魔になることなく、また、ケーブルに過度の負荷(ストレス)がかかるといった不都合を生じさせないようにできる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施の形態の電子ペンを説明するための図である。
図2】筒状筐体に収納されている第1の回路部に対して第2の回路部を接続する前の状態について説明するための図である。
図3】筒状筐体に収納されている第1の回路部に対して第2の回路部を接続した後の状態について説明するための図である。
図4】実施の形態の電子ペンにおいて、第1の回路部と第2の回路部とを接続するケーブルの変化の状態を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、実施の形態の電子ペンを説明するための図である。具体的に、図1(A)は当該電子ペンの外観図であり、図1(B)は当該電子ペンの内部構成を説明するための図である。図1(A)に示すように、この実施の形態の電子ペンは、フロントキャップ1と、筒状筐体2と、リアキャップ3とを備え、テーパー形状のフロントキャップ1の先端の開口部からは、筒状筐体2内からペン先を構成する芯体11が突出した外観を有する。
【0015】
フロントキャップ1とリアキャップ3とは、共に筒状筐体2に対して着脱可能にされている。例えば、フロントキャップ1とリアキャップ3とのそれぞれの筒状筐体との接合部分の外面と、筒状筐体2の前端側内面と後端側内面とにネジ山を設けることによりネジ式で着脱可能にできる。また、筒状筐体2の内径に対して、フロントキャップ1やリアキャップ3の嵌合部分の外径をやや大きくすることにより、嵌め込み式により着脱可能にすることができる。もちろんこの他の種々の方式により、フロントキャップ1とリアキャップ3とを、筒状筐体2に対して着脱可能に構成することができる。
【0016】
筒状筐体2内には、電子ペン機能部が搭載される。電子ペン機能部は、芯体11と、芯体11が装着される筆圧検出部12と、第1の回路部14と、バッテリ15と、第2の回路部16とからなる。筆圧検出部12は、載置部材13のペン先側に設けられており、これに装着される芯体11にかけられる筆圧を検出し、検出した筆圧を示す情報を第1の回路部14に通知するようになっている。なお、載置部材13には、第1の回路部14とバッテリ15とが載置される。この載置部材13により、芯体11が装着された筆圧検出部12と、第1の回路部14と、バッテリ15とを一体的に取り扱うことが可能になる。
【0017】
第1の回路部14は、制御用IC14cや図示しない発信回路やコンデンサなどの種々の回路部品が搭載される他、後述する第2の回路部との電気的な接続を可能にするためのコネクタ部14aを備えたものである。また、第1の回路部14には、図示しないが、ポインティングデバイスであるいわゆるマウスのクリックボタンと同様の機能を実現するためのサイドスイッチを構成する部品を搭載することもできる。
【0018】
バッテリ15は、電子ペン機能部を構成する第1の回路部14と第2の回路部16とに駆動電源を供給する。この実施の形態の電子ペンにおいて、バッテリ15は、後述する第2の回路部16に搭載されたUSBコネクタ(図示せず)を介して、外部から給電を受けるようにして充電が可能なものである。
【0019】
第2の回路部16は、この実施の形態では、Bluetooth(登録商標)規格の近距離無線通信機能を実現するための近距離無線通信回路が搭載されたものである。第2の回路部16は、第1の回路部14を経由して、バッテリ15からの駆動電源の供給を受ける。第2の回路部16は、制御用IC14cのメモリに格納されている自機の識別IDを取得し、これを例えばスマートフォンなどの外部機器に向けて送信して、当該スマートフォンと当該電子ペンとの間で認証処理を行うようにすることができる。なお、第2の回路部には、図示しないが、USBコネクタ(図示せず)が搭載されており、このUSBコネクタを通じて、電源の供給を受けたり、情報の送受信を行ったりすることもできるようにされている。
【0020】
また、電子ペンにサイドスイッチや後端部にプッシュスイッチを設けて使用者からの指示入力を受け付け可能にすることにより、使用者からの指示入力に応じて、Bluetooth(登録商標)規格の近距離無線通信回路を通じて制御信号を送信して外部機器を制御することもできる。例えば、カメラ機能が動作するようにされたスマートフォンのシャッタースイッチとして、当該電子ペンを利用できる。また、第2の回路部16は、外部機器からの情報を受け付けて、自機の処理モードを変えるなどのことも可能である。
【0021】
このように、この実施の形態の電子ペンにおいて、芯体11と、筆圧検出部12と、第1の回路部14とが、検出した筆圧情報を含む位置指示信号を送出するアクティブ静電ペンとしての機能を実現する。第2の回路部16は、外部機器との間で情報の送受信を可能にする近距離無線通信機能を実現する。なお、筆圧検出部12で検出した筆圧情報を、第2の回路部16を通じて、外部装置に送信するといったことも可能である。
【0022】
第2の回路部16は、第1の回路部14と電気的に接続するためのコネクタ部16aを備える。第2の回路部16のコネクタ部16aと第1の回路部14のコネクタ部14aとの間が、フレキシブルケーブル17により接続される。フレキシブルケーブルは、いわゆるテープ状(帯状)のものであり、柔軟性があり、折り返すことができるなど、大きく変形させることが可能な配線である。この実施の形態のフレキシブルケーブル17は、電源の供給線、信号線など、複数の線路を有する。
【0023】
この実施の形態の電子ペンにおいては、コネクタ部14aは、図1(B)に示すように、フレキシブルケーブル17が差し込まれる差し込み口を第2の回路部16側に向けて、第1の回路部14の上面に設けられる。コネクタ部16aは、図1(B)に示すように、矢印Arが示す電子ペンの軸心方向(中心軸方向)に沿う第2の回路部16の側面上であって、第1の回路部14のコネクタ部14aが設けられた面(上面)に対して90度回転した位置に設けられている。また、第2の回路部16に設けられているコネクタ部16aの差し込み口は、第1の回路部14が位置する方向とは逆方向である、電子ペンの後端側を向いている。
【0024】
このため、図1(B)に示すように、第1の回路部14のコネクタ部14aに接続されたフレキシブルケーブル17は、バッテリ15上で異なる方向に2回折り曲げることにより、第2の回路部16のコネクタ部16aに向かうようにされている。すなわち、フレキシブルケーブル17を矢印F1が示すように下側に折り曲げて、次に矢印F2が示すように第2の回路部16側に折り曲げることにより、フレキシブルケーブル17の他端がコネクタ部16aに向かうようにされる。なお、折り曲げた部分は、例えば圧力を掛けることにより、元に戻ることがないように加工されている。これにより、第1の回路部14のコネクタ部14aが位置する面、または、コネクタ部14aが位置する面に平行な面に第2の回路部16のコネクタ部16aが存在しなくても、両コネクタ間を無理なくフレキシブルケーブル17で接続できる。
【0025】
図2は、筒状筐体2に収納されている第1の回路部14に対して第2の回路部16を、フレキシブルケーブル17を通じて接続する前の状態について説明するための図である。図2において、筒状筐体2内には、図1(B)に示したように、載置部材13に対して搭載された、筆圧検出部12、第1の回路部14、バッテリ15からなる部分が既に収納されている。当該部分は載置部材13により一体的に取り扱うことが可能になっており、フロントキャップ1を取り外した前端側開口部より、あるいは、リアキャップ3を取り外した後端側開口部より、筒状筐体2内に収納されている。なお、図2においては、フロントキャップ1は、既に筒状筐体2に取り付けられているが、芯体11は、まだ筆圧検出部12に対して装着されていない状態を示している。
【0026】
この場合、図2に示すように、筒状筐体2からは第1の回路部14のコネクタ部14aに接続されているフレキシブルケーブル17のもう一方の端部部分が突出している。この端部部分を第2の回路部16のコネクタ部16aに対して接続することにより、簡単に、第1の回路部14と第2の回路部16とを電気的に接続できる。なお、図2に示すように、第2の回路部16のコネクタ部16aの後端側は、フレキシブルケーブル17の収納スペース16bになっている。
【0027】
図3は、筒状筐体2に収納されている第1の回路部14に対して第2の回路部16を接続した後の状態について説明するための図である。図3に示すように、第2の回路部16を、筒状筐体2の後端側開口部より筒状筐体2内に押し込むようにしながら、フレキシブルケーブル17の端部を第2の回路部16のコネクタ部16aに近づけて行く。フレキシブルケーブル17の端部がコネクタ部16aに充分に近づいたら、フレキシブルケーブル17を折り返して端部をコネクタ部16aに差し込む。これにより、第1の回路部14と第2の回路部16が電気的に接続される。
【0028】
この後、第2の回路部16を筒状筐体2内に押し込んで行くことにより、第2の回路部16を筒状筐体2内の所定の位置に収納することができる。この場合、フレキシブルケーブル17は、第2の回路部16の収納スペース16b内において、フレキシブルケーブル17が折り返されていることにより、フレキシブルケーブル17の対向する部分が長くなる。これにより、フレキシブルケーブル17に負荷をかけることなく、フレキシブルケーブル17の全体を第1の回路部14、バッテリ15、第2の回路部16と共に、筒状筐体2内に収納できる。この後、リアキャップ3を筒状筐体2に装着すれば、図1(A)に示した外観を有するこの実施の形態の電子ペンが構成できる。
【0029】
図4は、実施の形態の電子ペンにおいて、第1の回路部14と第2の回路部16とを接続するケーブルの変化の状態を説明するための図である。なお、図4においては、説明を簡単にするため、第1の回路部14のコネクタ部14aと、第2の回路部16のコネクタ部16aとは、互いに平行となる面に設けられている場合の例である。また、コネクタ部14a、16aの差し込み口は、いずれも電子ペンの後端側を向いている場合の例である。
【0030】
図4(A)に示すように、第1の回路部14のコネクタ部14aに接続されたフレキシブルケーブル17は、第2の回路部16のコネクタ部16aに向かって延伸される。フレキシブルケーブル17の端部が第2の回路部16のコネクタ部16aに到達すると、図4(B)に示すように、折り返されてコネクタ部16aに接続される。これにより、第1の回路部14と第2の回路部16とが電気的に接続される。また、フレキシブルケーブル17は、折り返されることにより、U字状に折り返されて対向する対向部分が形成された状態になり、この対向部分が第2の回路部16の収納スペース16b内に位置する。
【0031】
図4(B)に示した状態から第2の回路部16を筒状筐体2に押し込むようにすることにより、第2の回路部16を第1の回路部14に近づけると、フレキシブルケーブル17の第1の回路部のコネクタ部14aから延伸した部分は、収納スペース16b内において屈曲しながら収納される。つまり、屈曲した対向部分が長くなっても収納スペース16bに収納されるので、フレキシブルケーブルにストレスをかけることなく、第1の回路部14と第2の回路部16との距離を近づけることができる。
【0032】
この場合、フレキシブルケーブル17は、第2の回路部16上においてU字型の折り返し部分は存在するが、第1の回路部14と第2の回路部16との間で何回も折り畳む必要がない。このため、ケーブルを折り畳み収納するスペースを設ける必要がないため、電子ペンの全長を長くしてしまうことを防げる。従って、余計な負荷がフレキシブルケーブル17やコネクタ部14a、16aに掛かつて、フレキシブルケーブル17やコネクタ部14a、16aを破損させることもない。また、フレキシブルケーブル17が、コネクタ部14a、16aから外れてしまうといった不都合も生じさせない。
【0033】
[実施の形態の効果]
実施の形態の電子ペンによれば、筒状筐体2に収納される第1の回路部14と第2の回路部16とを簡単に電気的に接続できる。そして、筒状筐体2に収納される第1の回路部14と第2の回路部16とを電気的に接続した場合であっても、電子ペン自体の長さを長くしたり、2つの回路部をつなげるためにケーブルにストレスをかけたりすることもないため、接触不良や断線等の障害を生じさせたりすることもない。すなわち、第1の回路部14と第2の回路部16とをケーブルで接続する場合にも問題を生じさせない電子ペンを提供することができる。
【0034】
[変形例]
上述した実施の形態では、フレキシブルケーブル17を用いたが、これに限るものではなく、複数の電線は横に並べて平板(フラット)に形成した種々のケーブルを用いることができる。
【0035】
なお、上述した実施の形態では、第2の回路部16のコネクタ部16aは、第1の回路部14のコネクタ部14aに対して、90度回転した位置に設けるようにしたが、これに限るものではない。例えば、60度、120度、180度など所定の角度分回転した位置にコネクタ部16aを設けることができる。
【0036】
また、上述した実施の形態では、第1の回路部14のコネクタ部14aに接続されているフレキシブルケーブル17を第2の回路部16のコネクタ部16aに接続するものとして説明したが、これに限るものではない。電子ペンの構成によっては、先に筐体に収納される第2の回路部16のコネクタ部16aに接続されたフレキシブルケーブル17を、後から筐体に収納される第1の回路部14のコネクタ部14aに接続することも可能である。すなわち、第1の回路部は、ペン先側の位置する場合もあるし、ペン先側とは反対側に位置する場合もある。同様に、第2の回路部は、ペン先側の位置する場合もあるし、ペン先側とは反対側に位置する場合もある。
【0037】
また、上述した実施の形態では、第2の回路部16は、Bluetooth(登録商標)規格の近距離無線通信機能を実現するものとして説明したが、これに限るものではない。他の種々の規格の近距離無線通信機能を搭載することが可能である。
【0038】
また、上述した実施の形態では、第2の回路部16は、近距離無線通信機能を実現するものであるとして説明したが、これに限るものではない。例えば、第2の回路部として、高性能の制御ICを搭載したり、容量の大きなメモリ部を搭載したりするなど、種々機能を実現するための回路部を第2の回路部として電子ペンに搭載することができる。
【0039】
また、コネクタの形状は、フレキシブルケーブル17の両端に凸部のコネクタ部を設け、第1の回路部14や第2の回路部16に設けるコネクタ部を凹部のコネクタ部としてもよい。逆に、フレキシブルケーブル17の両端に凹部のコネクタ部を設け、第1の回路部14や第2の回路部16に設けるコネクタ部を凸部のコネクタ部としてもよい。
【符号の説明】
【0040】
1…フロントキャップ、2…筒状筐体、3…リアキャップ、11…芯体、12…筆圧検出部、13…載置部材、14…第1の回路部、14a…コネクタ部、14c…制御IC、15…バッテリ、16…第2の回路部、16a…コネクタ部、16b…収納スペース、17…フレキシブルケーブル
図1
図2
図3
図4