(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-22
(45)【発行日】2024-01-05
(54)【発明の名称】カルバメート化合物及びそれを含む製剤の急性ストレス障害又は心的外傷後ストレス障害の予防、軽減又は治療のための使用
(51)【国際特許分類】
A61K 31/41 20060101AFI20231225BHJP
A61P 25/24 20060101ALI20231225BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20231225BHJP
A61P 25/22 20060101ALI20231225BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20231225BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20231225BHJP
A61K 31/138 20060101ALI20231225BHJP
A61K 31/4525 20060101ALI20231225BHJP
A61K 31/135 20060101ALI20231225BHJP
【FI】
A61K31/41
A61P25/24
A61P25/00
A61P25/22
A61P43/00 121
A61K45/00
A61K31/138
A61K31/4525
A61K31/135
(21)【出願番号】P 2021516362
(86)(22)【出願日】2019-09-20
(86)【国際出願番号】 KR2019012183
(87)【国際公開番号】W WO2020060251
(87)【国際公開日】2020-03-26
【審査請求日】2022-09-06
(32)【優先日】2018-09-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511206696
【氏名又は名称】エスケー バイオファーマスティカルズ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100126778
【氏名又は名称】品川 永敏
(74)【代理人】
【識別番号】100162684
【氏名又は名称】呉 英燦
(72)【発明者】
【氏名】リュ・ウンジュ
(72)【発明者】
【氏名】メン・チョルヨン
(72)【発明者】
【氏名】シン・ヘウォン
【審査官】高橋 樹理
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-538557(JP,A)
【文献】Current Psychiatry Reports,2007年,Vol.9,p.291-300
【文献】Epilepsy Research,2013年,Vol.103,p.2-30
【文献】Neurobiology of Learning and Memory,2017年,Vol.139,p.165-178
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療有効量の下記式(1)
【化1】
(1)
(式中、R
1及びR
2は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、C
1-C
8アルキル、C
1-C
8ハロアルキル、C
1-C
8チオアルコキシ及びC
1-C
8アルコキシからなる群から選ばれ、A
1及びA
2の一つは、CHであり、他の一つはNである)
で示されるカルバメート化合物、又はその薬学的に許容可能な塩、溶媒和物又は水和物を含む、急性ストレス障害又は心的外傷後ストレス障害の予防、軽減又は治療用薬剤。
【請求項2】
R
1及びR
2が、それぞれ独立して、水素、ハロゲン及びC
1-C
8アルキルからなる群から選ばれる、請求項1に記載の薬剤。
【請求項3】
前記式(1)のカルバメート化合物が、下記式(2)
【化2】
(2)
で示されるカルバミン酸(R)-1-(2-クロロフェニル)-2-テトラゾール-2-イル
-エチルエステルである、請求項1に記載の薬剤。
【請求項4】
(a)治療有効量の下記式(1)
【化3】
(1)
(式中、R
1及びR
2は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、C
1-C
8アルキル、C
1-C
8ハロアルキル、C
1-C
8チオアルコキシ及びC
1-C
8アルコキシからなる群から選ばれ、A
1及びA
2の一つは、CHであり、他の一つはNである)
で示されるカルバメート化合物、又はその薬学的に許容可能な塩、溶媒和物又は水和物;及び
(b)選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI);
を含む、急性ストレス障害又は心的外傷後ストレス障害の予防、軽減又は治療用組み合わせ剤。
【請求項5】
選択的セロトニン再取り込み阻害剤が、フルオキセチン(fluoxetine)、セルトラリン(sertraline)、パロキセチン(paroxetine)及びそれらの薬学的に許容される塩からなる群から1種以上選ばれることを特徴とする、請求項4に記載の組み合わせ剤。
【請求項6】
(a):(b)の重量比が、1000:1~1:1000の範囲内であることを特徴とする、請求項4に記載の組み合わせ剤。
【請求項7】
(a):(b)の重量比が、100:1~1:100の範囲内であることを特徴とする、請求項6に記載の組み合わせ剤。
【請求項8】
式(1)の化合物を遊離形態に基づいて、12.5mg~500mgの量で含むことを特徴とする、請求項4に記載の組み合わせ剤。
【請求項9】
選択的セロトニン再取り込み阻害剤が、フルオキセチン又はその薬学的に許容される塩であることを特徴とする、請求項5に記載の組み合わせ剤。
【請求項10】
選択的セロトニン再取り込み阻害剤が、フルオキセチン塩酸塩であることを特徴とする、請求項9に記載の組み合わせ剤。
【請求項11】
フルオキセチンを遊離形態に基づいて、10mg~60mgの量で含むことを特徴とする、請求項9に記載の組み合わせ剤。
【請求項12】
治療有効量の下記式(1)
【化4】
(1)
(式中、R
1及びR
2は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、C
1-C
8アルキル、C
1-C
8ハロアルキル、C
1-C
8チオアルコキシ及びC
1-C
8アルコキシからなる群から選ばれ、A
1及びA
2の一つは、CHであり、他の一つはNである)
で示されるカルバメート化合物、又はその薬学的に許容可能な塩、溶媒和物又は水和物を含む、心的外傷後ストレス障害の症状の予防、軽減又は治療用薬剤。
【請求項13】
心的外傷後ストレス障害の症状が、外傷的出来事の全部又は部分的記憶喪失(amnesia)、外傷的出来事を再経験する患者におけるフラッシュバック(flashback)又は外傷的出来事に関連する刺激の回避(avoidance)、悪夢(nightmare)、過敏性(irritability)、過覚醒(hyperarousal)、過度の用心深さ(hypervigilance)、怒り、集中力低下及び感情的引きこもり(emotional withdrawal)からなる群から選ばれる1種以上であることを特徴とする、請求項12に記載の薬剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下記式(1)
【化1】
(1)
(式中、R
1、R
2、A
1及びA
2は、本明細書で定義されたものと同義である)
で示されるカルバメート化合物を含む薬学的組成物を投与することによって急性ストレス障害又は心的外傷後ストレス障害の予防、軽減又は治療する目的での使用に関する。
【背景技術】
【0002】
「急性ストレス障害」は、2000年にワシントンD.C.のアメリカ精神医学会によって発売された精神障害の診断及び統計マニュアル、第4版、テキスト改訂で定義された心理的状である(「DSM-IV-TR」)。DSM-IV-TRは、「急性ストレス障害」を、極度の外傷性ストレス要因に対すさらされてから1カ月以内に起こる症状を特徴とするものとして定義している。DSM-IV-TRは、急性ストレス障害を診断及び分類するための一般的に認識されている基準を示している。
【0003】
「心的外傷後ストレス障害(PTSD)」は、DSM-IV-TRで定義されている精神的状態である。DSM-IV-TRは、「心的外傷後ストレス障害」を極端な外傷性イベントの持続的な再経験を特徴とするものとして定義している。DSM-IV-TRは、心的外傷後ストレス障害を診断及び分類するための一般的に認識されている基準を示している。極度の外傷性イベントは、身体的虐待、暴力、戦争、生命を脅かす重大な事故及び自然災害などの深刻なストレスである精神的外傷を誘発するイベントである。そのような精神的外傷のほとんどは、突然起こり、それを経験するヒトに激しい痛みを引き起こし、ストレスに対処する能力を低下させる。一般に、人口の5~10%が発生し、女性の有病率は男性の2倍である。
【0004】
心的外傷後ストレス障害の症状には、精神的外傷又は状況(外傷的出来事)の全部又は部分的記憶喪失(amnesia)、外傷的出来事を経験したにもかかわらず、当時の侵入的記憶による外傷性イベントのフラッシュバック再体験、外傷的出来事に関連する刺激、例えば、それと関連する活動や場所を避ける回避(avoidance)、外傷的出来事に関連する悪夢(nightmare)、過敏性(irritability)、潜在的な危険に警戒状態を維持する過覚醒(hyperarousal)、過度の用心深さ(hypervigilance)、怒り、集中力低下及び感情的引きこもり(emotional withdrawal)などがある(非特許文献1)。
【0005】
心的外傷後ストレス障害には、薬物的治療と非薬物的治療が挙げられる。選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)としての作用機序を有する抗うつ薬であるセルトラリン(sertraline)とパロキセチン(paroxetine)の2つの薬だけが心的外傷後ストレス障害の治療に対してFDAから承認されている。これらの薬を含む抗うつ薬は、心的外傷後ストレス障害の第1選択治療として使用される。しかし、PTSDのすべての患者がSSRIに反応するわけではなく、不眠症などの副作用のためにSSRIの使用も制限されている。これらの薬に加えて、これら薬物の他にも、FDAの認可外の様々な薬が心的外傷後ストレス障害の治療のために使用されている。ノルアドレナリン作動性調節の機序を有するプロプラノロール(propranolol)とプラゾシン(prazosin)は、それぞれ不安によって引き起こされる身体的症状を軽減し、悪夢を緩和するのに部分的に有効性を示している。脳の大脳辺縁系に作用するキンドリングモデルに有効性を示す抗てんかん薬は、ストレス要因への誇張された反応を減らすことにより、不安、恐怖、心的外傷後ストレス障害の症状を緩和するために使用されてきた。また、症状ごとに非定型抗精神薬などの様々な薬が処方されている(非特許文献2)。
【0006】
一方、非薬物的治療としては、認知行動療法(CBT)や長期暴露療法(PET)などの行動心理治療も心的外傷後ストレス障害の治療のために使用されている(非特許文献3)。
【0007】
前記のように、心的外傷後ストレス障害の症状を緩和するために、様々な薬物的治療及び非薬物的治療が使用されている。しかし、選択的セロトニン再取り込み阻害剤は、第1選択治療薬としてみなされているが、すべてのPTSD患者には効果がなく、不眠症、性機能障害、胃腸障害、めまい、頭痛などの副作用のために許容されていない。そのため、有効性と安全性が改善された新薬が必要とされている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【文献】Nature Reviews Disease Primers volume 1, Article number: 15057 (2015)
【文献】Journal of Psychiatric Research 36 (2002) 355-367, Curr Psychiatry Rep. 2007 Aug; 9(4): 291-300
【文献】Front Behav Neurosci. 2018; 12: 258
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、急性ストレス障害又は心的外傷後ストレス障害を予防、軽減又は治療するための方法を提供することを目的とする。
【0010】
また、本発明は、急性ストレス障害または心的外傷後ストレス障害の予防、緩和または治療のために、下記式(1)
【化2】
(1)
(式中、R
1、R
2、A
1及びA
2は、本明細書で定義されたものと同義である)
で示されるカルバメート化合物、又はその薬学的に許容可能な塩、溶媒和物又は水和物の使用を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、治療有効量の下記式(1)
【化3】
(1)
(式中、R
1及びR
2は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、C
1-C
8アルキル、C
1-C
8ハロアルキル、C
1-C
8チオアルコキシ及びC
1-C
8アルコキシからなる群から選ばれ、A
1及びA
2の一つは、CHであり、他の一つはNである)
で示されるカルバメート化合物、又はその薬学的に許容可能な塩、溶媒和物又は水和物を含む、急性ストレス障害又は心的外傷後ストレス障害の予防、軽減又は治療用薬剤を提供する。
【0012】
また、本発明は、治療有効量の前記式(1)のカルバメート化合物、又はその薬学的に許容可能な塩、溶媒和物又は水和物を含み、さらに薬学的に許容される担体を1種以上含む、急性ストレス障害又は心的外傷後ストレス障害の予防、軽減又は治療用医薬組成物を提供する。
【0013】
さらに、本発明は、治療有効量の前記式(1)のカルバメート化合物、又はその薬学的に許容可能な塩、溶媒和物又は水和物を治療対象に投与することを含む、対象における急性ストレス障害又は心的外傷後ストレス障害を予防、軽減又は治療する方法を提供する。
【0014】
また、本発明は、前記式(1)のカルバメート化合物、又はその薬学的に許容可能な塩、溶媒和物又は水和物の、急性ストレス障害又は心的外傷後ストレス障害を予防又は治療のための、それに関連する症状を改善するための使用を提供する。
【0015】
本発明の一実施形態によれば、前記式(1)において、R1及びR2は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン及びC1-C8アルキルからなる群から選ばれる。
【0016】
一実施形態において、C1-C8ハロアルキルはペルフルオロアルキルである。
【0017】
本発明の別の実施形態によれば、前記式(1)のカルバメート化合物は、下記式(2)
【化4】
(2)
で示されるカルバミン酸(R)-1-(2-クロロフェニル)-2-テトラゾール-2-イル)エチルエステルである。
【0018】
前記式(1)及び(2)のカルバメート化合物の製造は、当業界で化合物合成に関する通常の知識を有した者であれば、公知の化合物又はそれから容易に製造できる化合物を用いて製造することができる。特に、前記式(1)化合物の製造方法は、国際公開特許WO2006/112685A1、WO2010/150946A1及びWO2011/046380A2に詳細に記載されており、前記文献は、本明細書に参考として援用される。前記式(1)化合物は、前記文献に記載された方法のいずれかにより化学合成することができるが、その方法は単なる例示であり、必要に応じて単位操作等の順序を選択的に変更することができる。従って、前記方法は、発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【0019】
前記式(1)のカルバメート化合物は、急性ストレス障害又は心的外傷後ストレス障害の予防、軽減又は治療に使用することができる。
【0020】
前記疾患の予防、軽減又は治療のための式(1)のカルバメート化合物の投与量は、通常、疾患の重症度、治療対象の体重及び代謝状態に応じて変わる。個々の患者に対する「治療有効量」とは、前記した薬理学的効果、すなわち、前記治療効果を達成するのに十分な量を意味する。式(1)化合物の治療有効量は、ヒトに投与時、遊離形態に基づいて、1日1回投与基準50~500mg、50~400mg、50~300mg、100~400mg、100~300mg、50~200mg、又は100~200mgである。好ましくは5、0~300mg、より好ましくは50~200mgである。
【0021】
本発明の化合物は、経口、非経口、静脈内、筋肉内、皮下又は直腸投与などの治療剤の投与に使用される任意の方法によって投与することができる。
【0022】
本発明の一実施形態による薬剤又は医薬組成物は、治療有効量の本発明のカルバメート化合物、その薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、水和物及びそれらの組み合わせからなる群から選ばれる化合物を含むことができる。
【0023】
前記式(1)のカルバメート化合物の薬学的に許容可能な塩には、例えば、独立して、アセテート、ベンゼンスルホネート、ベンゾエート、ビタルトラート、酢酸カルシウム、カンシラート、カーボネート、シトラート、エデタート、エジシラート、エストレート、エシレート、フマレート、グルセプテート、グルコネート、グルタメート、グリコロイルアルサニレート、ヘキシルレゾルシネート、ヒドラバミン、ヒドロブロミド、ヒドロクロリド、ヒドロゲンカーボネート、ヒドロキシナフトアート、ヨージド、イセチオナート、ラクテート、ラクトビオナート、マラート(malate)、マレエート(maleate)、マンデラート、シレート、メチルニトラート、メチルスルフェート、ムカート、ナプシラート、ニトラート、パモアート(エンボナート)、パントテナート、ホスフェート/ジホスフェート、ポリガラクツロナート、サリチル酸塩、ステアレート、サブアセテート、スクシナート又はヘミ-スクシナート、スルフェート又はヘミ-スルフェート、タンネート、タルトラート、オキサレート(oxalate)又はヘミ-タルトラート、テオクレート、トリエチオジド、ベンザチン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、メグルミン、プロカイン、アルミニウム、アンモニウム、テトラメチルアンモニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム及び亜鉛などが含まれる。
【0024】
本発明の一実施形態による薬剤又は医薬組成物は、経口又は非経口的に投与することができる。非経口投与は、静脈内注射、皮下注射、筋肉内注射、腹腔内注射、内皮投与、局所投与、鼻腔内投与、膣内投与、肺内投与及び直腸内投与などを含む。経口投与時、本発明の一実施形態による医薬組成物は、素錠として、又は活性薬剤をコーティングされているか、又は胃での分解から保護されるように製剤化することができる。さらに、前記組成物は、活性物質が標的細胞に移動できる任意の装置によって投与することができる。投与経路は、治療対象の一般的な状態及び年齢、治療状態の性質、及び選択された有効成分に応じて変わる。
【0025】
本発明の一実施形態による薬剤又は医薬組成物の適合した投与量は、製剤化方法、投与方法、患者の年齢、体重及び性別、病状、食餌、投与時間、投与経路、排せつ速度及び反応感受性などの要因に応じて変えることができ、通常の技術を有する医師は、所望の治療又は予防に効果的な投与量を容易に決定及び処方することができる。一実施形態による前記医薬組成物は、1回又は数回の投与量で、例えば、1日1回~4回投与することができる。一実施形態による前記医薬組成物は式(1)の化合物は、遊離形態に基づいて、50~500mg、50~400mg、50~300mg、100~400mg、100~300mg、50~200mg、又は100~200mgを含んでもよく、好ましくは、50~300mg、より好ましくは50~200mgを含むことができる。
【0026】
本発明の一実施形態による薬剤又は医薬組成物は、当業者が容易に実施することができる方法に従って、薬学的に許容される担体及び/又は賦形剤を使用して製剤化することができ、それにより、単位剤形で製造されるか、又は複数回投与容器に含まれる。このとき、製剤は、油性又は水性溶媒中の溶液、懸濁液又は乳化液形態、抽出剤、粉末剤、顆粒剤、錠剤又はカプセル剤の形態であってもよく、分散剤又は安定化剤をさらに含むことができる。さらに、前記医薬組成物は、座薬、スプレー、軟膏、クリーム、ゲル、吸入剤又は皮膚パッチの形態で投与することができる。また、前記医薬組成物は、哺乳動物投与用に、より好ましくはヒト投与用に製造することができる。
【0027】
薬学的に許容される担体は、固体又は液体であってもよく、賦形剤、抗酸化剤、緩衝液、静菌剤、分散剤、吸着剤、界面活性剤、結合剤、防腐剤、崩壊剤、甘味剤、香味剤、流動促進剤、放出調節剤、湿潤剤、安定化剤、懸濁化剤及び潤滑剤から選ばれる1種以上であってもよい。また、薬学的に許容される担体は、生理食塩水、滅菌水、リンガー液、緩衝食塩水、デキストロース溶液、マルトデキストリン溶液、グリセロール、エタノール及びそれらの混合物から選ぶことができる。
【0028】
一実施形態において、適切な賦形剤(filler)としては、糖(例えば、デキストロース、スクロース、マルトース及びラクトース)、デンプン(例えば、トウモロコシデンプン)、糖アルコール(例えば、マンニトール、ソルビトール、マルチトール、エリトリトール及びキシリトール)、デンプン加水分解物(例えば、デキストリン及びマルトデキストリン)、セルロース又はセルロース誘導体(例えば、微晶質セルロース)又はそれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。
【0029】
一実施形態において、適切な結合剤(binder)としては、ポビドン、コポビドン、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ゼラチン、ガム類、スクロース、デンプン又はそれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。
【0030】
一実施形態において、適切な防腐剤(preservative)としては、安息香酸、ナトリウムベンゾエート、ベンジルアルコール、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、クロルブトール、ガレート(gallate)、ヒドロキシベンゾエート、EDTA又はそれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。
【0031】
一実施形態において、適切な崩壊剤(disintegrant)としては、デンプングリコール酸ナトリウム、架橋ポリビニルピロリドン、架橋カルボキシメチルセルロース、デンプン、微晶質セルロース又はそれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。
【0032】
一実施形態において、適切な甘味剤としては、スクラロース、サッカリン、ナトリウム又はカリウム又はカルシウムサッカリン、アセスルファムカリウム又はナトリウムシクラメート、マンニトール、フルクトース、スクロース、マルトース又はそれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。
【0033】
一実施形態において、適切な流動促進剤(glidant)としては、シリカ、コロイド状シリコーンジオキシド、タルクなど含まれるが、これらに限定されない。
【0034】
一実施形態において、適切な潤滑剤(lubricant)としては、長鎖脂肪酸及びその塩、例えば、ステアリン酸マグネシウム及びステアリン酸、タルク、グリセリドワックス又はそれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。
【0035】
本発明のさらに別の実施形態によれば、(a)治療有効量の下記式(1)
【化5】
(1)
(式中、R
1及びR
2は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、C
1-C
8アルキル、C
1-C
8ハロアルキル、C
1-C
8チオアルコキシ及びC
1-C
8アルコキシからなる群から選ばれ、A
1及びA
2の一つは、CHであり、他の一つはNである)
で示されるカルバメート化合物、又はその薬学的に許容可能な塩、溶媒和物又は水和物;及び
(b)選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI);
を含む、急性ストレス障害又は心的外傷後ストレス障害の予防、軽減又は治療用組み合わせ剤が提供される。
【0036】
本発明のさらに別の実施形態によれば、選択的セロトニン再取り込み阻害剤はフルオキセチン(fluoxetine)、セルトラリン(sertraline)、パロキセチン(paroxetine)及びこれらの薬学的に許容される塩からなる群から選ばれる1種以上であってもよいが、これらに限定されない。
【0037】
本発明のさらに別の実施形態によれば、前記組み合わせ剤において、成分(a)及び成分(b)の重量比(a:b)は、1,000:1~1:1,000の範囲内にあってもよい。本発明のさらに別の実施形態によれば、前記組み合わせ剤において、成分(a)及び成分(b)の重量比(a:b)は、100:1~1:100の範囲内にあってもよい。
【0038】
本発明のさらに別の実施形態によれば、前記組み合わせ剤が、式(1)の化合物を遊離形態に基づいて、12.5mg~500mgの量で含んでもよい。
【0039】
本発明のさらに別の実施形態によれば、選択的セロトニン再取り込み阻害剤が、フルオキセチン又はその薬学的に許容される塩であってもよい。本発明のさらに別の実施形態によれば、選択的セロトニン再取り込み阻害剤がフルオキセチン塩酸塩であってもよい。
【0040】
本発明のさらに別の実施形態によれば、前記組み合わせ剤がフルオキセチンを遊離形態に基づいて、10mg~60mgの量で含むことができる。
【0041】
本発明のさらに別の実施形態によれば、治療有効量の下記式(1)
【化6】
(1)
(式中、R
1及びR
2は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、C
1-C
8アルキル、C
1-C
8ハロアルキル、C
1-C
8チオアルコキシ及びC
1-C
8アルコキシからなる群から選ばれ、A
1及びA
2の一つは、CHであり、他の一つはNである)
で示されるカルバメート化合物、又はその薬学的に許容可能な塩、溶媒和物又は水和物を含む、心的外傷後ストレス障害の症状の予防、軽減又は治療用薬剤が提供される。
【0042】
本発明のさらに別の実施形態によれば、心的外傷後ストレス障害の症状は、外傷的出来事の全部又は部分的記憶喪失(amnesia)、外傷的出来事を再経験する患者におけるフラッシュバック(flashback)又は外傷的出来事に関連する刺激の回避(avoidance)、悪夢(nightmare)、過敏性(irritability)、過覚醒(hyperarousal)、過度の用心深さ(hypervigilance)、怒り、集中力低下及び感情的引きこもり(emotional withdrawal)からなる群から選ばれる1種以上である。
【0043】
本明細書に使用される場合、用語「予防する」、「予防すること」及び「予防」は、疾患の可能性を低減又は排除することを指す。
【0044】
本明細書に使用された場合、用語「軽減する」、「軽減すること」及び「軽減」は、疾患及び/又はそれに付随する症状を全部又は一部緩和すること指す。
【0045】
本明細書に使用され場合、用語「治療する」、「治療すること」及び「治療」は、疾患及び/又はそれに付随する症状を全部又は一部除去することを指す。
【0046】
本明細書に使用される場合、用語「対象」は、治療、観察又は実験の対象である動物、好ましくは、哺乳動物(例えば、霊長類(primates)(例えば、ヒト))、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、イヌ、ネコ、ウサギ、ラット、マウスなど)、最も好ましくは、ヒトを意味する。
【0047】
本明細書に使用される場合、用語「治療有効量」は、研究員、獣医師、擬似又は他の臨床医によって求められており、治療される疾患又は障害の症状の軽減を含む、システム、動物又はヒトにおいて生物学的又は医学的反応を誘導する活性化合物又は医薬製剤の量を意味する。
【0048】
本明細書に使用される場合、用語「組成物」は、特定の量の特定の成分を含む生成物、及び特定の量の特定成分の組み合わせから直接又は間接的に生成される任意の生成物を含む。
【発明の効果】
【0049】
本発明による治療剤及び組み合わせ剤は、急性ストレス障害又は心的外傷後ストレス障害を効果的に予防、軽減及び治療することができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【
図1】心的外傷後ストレス障害が誘発されなかったラット、心的外傷後ストレス障害が単一長期ストレス(SPS)によって誘発されたラット、及びSPSによって心的外傷後ストレス障害を誘発した後、製造例によるカルバミン酸(R)-1-(2-クロロフェニル)-2-テトラゾール-2-イル)エチルエステル(試験化合物)を投与したラットに対して、強制水泳試験(FST)を行った結果であり、よじ登り行動(climbing behavior)を比較した結果(それぞれ、左側、中央、右側)である。
【
図2】心的外傷後ストレス障害を誘発しなかったラット、SPSによって心的外傷後ストレス障害が誘発されたラット、及びSPSによって心的外傷後ストレス障害を誘発した後、製造例によるカルバミン酸(R)-1-(2-クロロフェニル)-2-テトラゾール-2-イル)エチルエステル(試験化合物)を投与したラットに対して、強制水泳試験を行った結果であり、不動時間(immobility time)を比較した結果(それぞれ左、側、中央、右側)である。
【
図3】心的外傷後ストレス障害を誘発しなかったラット、SPSによって心的外傷後ストレス障害を誘発したラット、及びSPSによって心的外傷後ストレス障害を誘発した後、製造例によるカルバミン酸(R)-1-(2-クロロフェニル)-2-テトラゾール-2-イル)エチルエステル(試験化合物)を投与したラットに対して、強制水泳試験を行った結果であり、水泳時間(swimming time)を比較した結果(それぞれ、左側、中央、右側)。
【
図4】心的外傷後ストレス障害を誘発しなかったラット、SPSによって心的外傷後ストレス障害を誘発したラット、及びSPSによって心的外傷後ストレス障害を誘発した後、製造例によるカルバミン酸(R)-1-(2-クロロフェニル)-2-テトラゾール-2-イル)エチルエステル(試験化合物)を投与したラットの血液内コルチコイドの濃度を測定し、比較した結果である。
【
図5】製造例によるカルバミン酸(R)-1-(2-クロロフェニル)-2-テトラゾール-2-イル)エチルエステル(試験化合物)及びフルオキセチン塩酸塩を一緒に投与したマウスの不動時間に対する相乗効果を示した結果である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
(発明を実施するための具体的な実施態様)
以下で、本願発明について、実施例を通じてより詳細に説明する。しかし、以下の実施例は、一つ以上の実施形態を例示的に説明することのみを意図しており、本発明の範囲を限定することを意図していない。
【0052】
製造例:カルバミン酸(R)-1-(2-クロロフェニル)-2-テトラゾール-2-イル)エチルエステルの製造
カルバミン酸(R)-1-(2-クロロフェニル)-2-テトラゾール-2-イル)エチルエステル(以下、「試験化合物」という)を国際公開番号WO2010/150946号の製造例50に記載された方法に従って製造した。
【0053】
実施例1:強制水泳試験
実験動物
成体雄性ラット(Sprague-Dawley、200-230g)を使用した。実験動物は、12時間の明暗周期(午後7時から午前7時まで照明)、22~25℃の温度、40~60%の相対湿度に維持され、水と餌は自由にアクセスできるようにした。動物は、以下のようにランダムに3つの群に分けられた:
-対照群として、投与ビヒクル(vehicle)としての食塩水(saline)を3mL/kg用量で経口投与した14匹のラット(第1群)
-心的外傷後ストレス障害誘発後に、投与ビヒクル(vehicle)としての食塩水(saline)を3mL/kg用量で経口投与した12匹のラット(第2群)
-心的外傷後ストレス障害誘発後に、試験化合物を30mg/kg(3mL/kg)用量で経口投与した12匹のラット(第3群)。
【0054】
心的外傷後ストレス障害の誘発
最適な心的外傷後ストレス障害を確立するために、単一長期ストレス(SPS)によって誘発した。様々な条件の(拘束ストレス2時間、強制水泳20分、休息15分、エーテル露出)ストレスに暴露させて、心的外傷後ストレス障害が発現した動物モデルを樹立した。
【0055】
前記第2群及び第3群で、前記のように心的外傷後ストレス障害を誘発し。SPSストレッサーに続いて、ラットを各ケージに入れた後、外傷後ストレスを誘発するために7日間静置した。心的外傷後ストレス障害が十分に誘発されたかどうかを判断するために、すべての事件動物の致死率及び体重の変化を毎日測定した。
【0056】
投薬
単一長期ストレスへの暴露の翌日から15日間、第2群にビヒクルとして食塩水を、第3群に製造礼の化合物30mg/kg(3mL/kg)を経口投与した。
一方、心的外傷後ストレス障害が誘発されなかった第1群は、第2群及び第3群で経口投与開始日と同時に、食塩水を経口投与した。
【0057】
強制水泳試験
前記第1群~第3群のラットに対する強制水泳試験のために、25℃の水を透明なシリンダー(直径20cm×高さ50cm)に高さ30cmまで満たした。強制水泳試験は、2つのセッションで構成される。初日、ラットを水で満たされたシリンダー内で15分間順応させた。24時間後、ラットを5分間シリンダーに入れ、ラットの逃避行動脱出しようとする行動(escape behavior)を、ビデオカメラを使用して記録し、測定した。ラットの行動は、よじ登り、不動、水泳の行動に区分して分析した。よじ登り行動は上に上る時間を測定し、不動の行動は逃避行動を示さない時間を測定し、水泳の行動はシリンダー内で水平に移動する時間を測定した。その結果をそれぞれ
図1~
図3に示した。
【0058】
統計
化合物の有効性は、平均±標準誤差(SEM)として表され、データにP<0.05の差がある場合に統計学的有効性が認識された。統計学的解析は、プリズム7.04の一元配置分散分析を使用して行った。
【0059】
前記の結果から、試験化合物は、心的外傷後ストレス障害に伴う症状を緩和する有効性を示すことにより、心的外傷後ストレス障害の軽減、予防及び治療薬として使用できることが確認された。
【0060】
実施例2:コルチコイド変化の確認
実験動物
成体雄性ラット(Sprague-Dawley、200-230g)を使用した。実験動物は、12時間の明暗周期(午後7時から午前7時まで照明)、22~25℃の温度、40~60%の相対湿度に維持され、水と餌は自由にアクセスできるようにした。動物は、以下のようにランダムに3つの群に分けられた:
-対照群として、投与ビヒクルとしての食塩水を3mL/kg用量で経口投与した8匹のラット
-心的外傷後ストレス障害誘発後に、投与ビヒクルとしての食塩水を3mL/kg用量で経口投与した7匹のラット
-心的外傷後ストレス障害誘発後に、試験化合物を30mg/kg(3mL/kg)用量で経口投与した7匹のラット。
【0061】
心的外傷後ストレス障害の誘発
最適な心的外傷後ストレス障害を確立するために、単一長期ストレス(SPS)によって誘発した。様々な条件の(拘束ストレス2時間、強制水泳20分、休息15分、エーテル露出)ストレスに暴露させて、心的外傷後ストレス障害が発現した動物モデルを樹立した。
【0062】
前記第2群及び第3群で、前記のように心的外傷後ストレス障害を誘発し。SPSストレッサーに続いて、ラットを各ケージに入れた後、外傷後ストレスを誘発するために7日間静置した。心的外傷後ストレス障害が十分に誘発されたかどうかを判断するために、全ての事件動物の致死率及び体重の変化を毎日測定した。
【0063】
投薬
単一長期ストレスへの暴露の翌日から15日間、第2群にビヒクルとして食塩水を、第3群に製造礼の化合物30mg/kg(3mL/kg)を経口投与した。
【0064】
一方、心的外傷後ストレス障害が誘発されなかった第1群は、第2群及び第3群で経口投与開始日と同時に、食塩水を経口投与した。
【0065】
血中コルチコイドの測定
強制水泳試験の翌日に断頭によりラットを急速に犠牲にし、腹部大動脈から血液を迅速に採取した。血液サンプルを4000gで10分間遠心分離し、血清を採取して-20℃で保存した。コルチコイド濃度は、Novus Biologicals Corticosterone kitを使用した酵素結合免疫分析法(ELISA)によって測定された。コルチコイド濃度を計算するために、ELISAリーダー(MultiRead 400)を使用して測定した。
【0066】
統計
化合物の有効性は、平均±標準誤差(SEM)として表され、データにP<0.05の差がある場合に統計学的有効性が認識された。統計学的解析は、プリズム7.04の一元配置分散分析を使用して行った。
【0067】
図4から分かるように、試験化合物を30mg/kgの用量で経口投与した場合、心的外傷後ストレス障害誘発ラットにビヒクルとして生理食塩水を経口投与した対照群と比較して、血中コルチコイド濃度が統計学的に有意に減少した。心的外傷後ストレス障害を示す個体は、血中コルチコイド濃度が上昇している状態であるため、試験化合物は、血中コルチコイド濃度の上昇を低下させる効果があることから、心的外傷後ストレス障害の軽減、予防及び治療薬として使用できることが確認された。
【0068】
実施例3:試験化合物及び選択的セロトニン再取り込み阻害剤の組み合わせを用いた強制水泳試験
実験動物
成体マウス(CD-1)を使用した。実験動物は、12時間の明暗周期(午後7時から午前7時まで照明)、22~25℃の温度、40~60%の相対湿度に維持され、水と餌は自由にアクセスできるようにした。動物は、以下のようにランダムに4つの群に分けられた:
-対照群として、投与ビヒクルとしての食塩水を10mL/kg用量で腹腔内注射投与した8匹のマウス
-実験群として、試験化合物を5mg/kg(10mL/kg)用量で腹腔内注射投与した8匹のマウス
-実験群として、フルオキセチン塩酸塩を10mg/kg(10mL/kg)用量で腹腔内注射投与した8匹のマウス
-実験群として、試験化合物を5mg/kg(10mL/kg)用量とフルオキセチン塩酸塩を10mg/kg(10mL/kg)用量を一緒に腹腔内注射で投与した8匹のマウス。
【0069】
強制水泳試験
前記第1群~第4群のマウスで強制水泳試験を行うために、25℃の水を透明なシリンダーに高さ20cmまで満たした。投薬30分後、マウスを水中で2分間順応させ、動かなかった絶望行動(despair behavior)の持続時間をタイマーを利用して4分間測定した。その結果を
図5に示した。
【0070】
統計
化合物の有効性は、平均±標準誤差(SEM)として表され、データにP<0.05の差がある場合に統計学的な有効性が認識された。統計学的解析は、プリズム7.04の一元配置分散分析を使用して行った。
【0071】
前記結果から、それぞれ無効な用量である試験化合物と選択的セロトニン再取り込み阻害剤であるフルオキセチン(fluoxetine)を併用投与した場合、強制水泳試験において相乗的であることが示された。これにより、心的外傷後ストレス障害の第1選択治療薬として使用されてきた選択的セロトニン再取り込み阻害剤と試験化合物の併用が、相乗効果を発揮する可能性があることが確認された。