(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-22
(45)【発行日】2024-01-05
(54)【発明の名称】ガス発生器、モジュール、および車両安全システム
(51)【国際特許分類】
B60R 21/272 20060101AFI20231225BHJP
F23L 7/00 20060101ALI20231225BHJP
C06D 5/00 20060101ALI20231225BHJP
C06D 5/02 20060101ALI20231225BHJP
C06B 45/00 20060101ALI20231225BHJP
B01J 7/00 20060101ALI20231225BHJP
【FI】
B60R21/272
F23L7/00 B
C06D5/00 Z
C06D5/02
C06B45/00
B01J7/00 A
(21)【出願番号】P 2021540243
(86)(22)【出願日】2019-10-24
(86)【国際出願番号】 EP2019079031
(87)【国際公開番号】W WO2020143939
(87)【国際公開日】2020-07-16
【審査請求日】2022-10-21
(31)【優先権主張番号】102019100623.6
(32)【優先日】2019-01-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】520137095
【氏名又は名称】ツェット・エフ・エアーバッグ・ジャーマニー・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100117640
【氏名又は名称】小野 達己
(72)【発明者】
【氏名】ラスト,デトレフ
(72)【発明者】
【氏名】ルックデシェル,ロルフ
(72)【発明者】
【氏名】ランプ,マンフレド
【審査官】飯島 尚郎
(56)【参考文献】
【文献】独国特許出願公開第102016122192(DE,A1)
【文献】特表2002-536230(JP,A)
【文献】特開平09-058395(JP,A)
【文献】特開2007-308352(JP,A)
【文献】特開平09-076870(JP,A)
【文献】特表2001-524417(JP,A)
【文献】特表2001-526148(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0187667(US,A1)
【文献】米国特許第05725243(US,A)
【文献】米国特許第06238500(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 21/16-21/33
F23L 7/00
C06D 5/00
C06D 5/02
C06B 45/00
B01J 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の中の安全デバイスのための、ガス発生器であって、前記ガス発生器が、
圧縮ガス(24)を充填されており、前記ガス発生器(10)の環境から閉鎖されている圧力チャンバ(22)であって、前記圧縮ガス(24)が主として酸素から構成される気体の酸化性物質を含有する、圧力チャンバ(22)と、
前記圧力チャンバ(22)の中で受けられる固体燃料(31)であって、前記ガス発生器(10)が活性化される前、前記圧縮ガス(24)が前記燃料(31)に直接接触している、固体燃料(31)と、
前記圧力チャンバ(22)から耐圧的に分離される点火装置(14)であって、前記点火装置(14)により、前記ガス発生器(10)が活性化されるとき、前記
固体燃料(31)を用いての前記気体の酸化性物質の変換が始動して熱を発生させる、点火装置(14)と
を備え、
前記燃料(31)が、1つまたは複数の繊維で作られるガス透過性の燃料ボディ(32)の形態で提供され、
前記1つまたは複数の繊維の出発材料の厚さは0.01から1mmであり、前記圧縮ガス(24)中の前記気体の酸化性物質のモル分率が、前記ガス透過性の燃料ボディ(32)の化学量論的変換のために必要となる酸化性物質の量の少なくとも1.1倍である、
ガス発生器。
【請求項2】
車両の中の安全デバイスのための、ガス発生器であって、前記ガス発生器が、
圧縮ガス(24)を充填されており、前記ガス発生器(10)の環境から閉鎖されている圧力チャンバ(22)であって、前記圧縮ガス(24)が主として酸素から構成される気体の酸化性物質を含有する、圧力チャンバ(22)と、
前記圧力チャンバ(22)の中で受けられる固体燃料(31)であって、前記ガス発生器(10)が活性化される前、前記圧縮ガス(24)が前記燃料(31)に直接接触している、固体燃料(31)と、
前記圧力チャンバ(22)から耐圧的に分離される点火装置(14)であって、前記点火装置(14)により、前記ガス発生器(10)が活性化されるとき、前記
固体燃料(31)を用いての前記気体の酸化性物質の変換が始動して熱を発生させる、点火装置(14)と
を備え、
前記燃料(31)が、1つまたは複数の繊維で作られるガス透過性の燃料ボディ(32)の形態で提供され、前記圧縮ガス(24)中の前記気体の酸化性物質のモル分率が、前記ガス透過性の燃料ボディ(32)の化学量論的変換のために必要となる酸化性物質の量の少なくとも1.1倍で
あり、
前記燃料(31)が1つまたは複数のスレッドの形態であること、および前記ガス透過性の燃料ボディ(32)が、リールであるキャリア(58)を備え、前記キャリア(58)の上に前記スレッドが巻き付けられることを特徴とする、
ガス発生器。
【請求項3】
請求項1
または2に記載のガス発生器において、前記気体の酸化性物質が酸素および別の気体の酸化性物質を含み
、少なくとも60%の酸素のモル分率を有することを特徴とする、ガス発生器。
【請求項4】
請求項1
から3のいずれか一項に記載のガス発生器において、前記ガス透過性の燃料ボディ(32)が
、中に前記1つまたは複数の繊維が含まれる、ファブリック、ニットファブリック、ニット、不織物、フェルト、レイドファブリック、またはパッド
である繊維材料から作られることを特徴とする、ガス発生器。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載のガス発生器において、前記1つまたは複数の繊維が天然繊維であり
、セルロース繊維またはでんぷん繊維であることを特徴とする、ガス発生器。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載のガス発生器において、前記1つまたは複数の繊維が合成繊維であることを特徴とする、ガス発生器。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載のガス発生器において、前記1つまたは複数の繊維がスレッドとなるように紡がれ、ならびに/あるいは紡ぎ糸および/または撚り糸となるように撚り合わされ
、繊維ファブリックおよび/または3次元繊維ボディとなるようにさらに処理されることを特徴とする、ガス発生器。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載のガス発生器において、前記ガス透過性の燃料ボディ(32)が、円筒形ボディ、ラップ、またはコイルの形態であることを特徴とする、ガス発生器。
【請求項9】
請求項1、又は請求項2を引用先に含まない請求項3から8のいずれかに記載のガス発生器において、前記燃料(31)が1つまたは複数のスレッドの形態であること、および前記ガス透過性の燃料ボディ(32)が
、リールであ
るキャリア(58)を備え、前記キャリア(58)の上に前記スレッドが巻き付けられることを特徴とする、ガス発生器。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載のガス発生器において、前記ガス透過性の燃料ボディ(32)が前記圧力チャンバ(22)の容積の少なくとも3%を充填
することを特徴とする、ガス発生器。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載のガス発生器において、前記圧力チャンバ(22)が、前記ガス透過性の燃料ボディ(32)に加えて、前記圧力チャンバ(22)の中で受けられる火工式の固体推進剤を収容することを特徴とする、ガス発生器。
【請求項12】
請求項11に記載のガス発生器において、前記ガス透過性の燃料ボディが少なくとも中空シリンダの形態で存在し、前記中空シリンダの中に前記火工式の固体推進剤が導入されることを特徴とする、ガス発生器。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか一項に記載のガス発生器において、前記ガス透過性の燃料ボディ(32)が前記圧力チャンバ(22)の内部で前記点火装置(14)から離間されて存在し、前記燃料ボディ(32)が、前記
燃料ボディ(32)を収容するハウジング(12)の内径の最大2倍の距離のところに配置され
ることを特徴とする、ガス発生器。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか一項に記載のガス発生器において、前記点火装置(14)に隣接して燃焼チャンバ(40)を形成しながら前記圧力チャンバ(22)を仕切る構成要素が提供され、前記ガス透過性の燃料ボディ(32)およ
び前記火工式の固体推進剤が前記燃焼チャンバ(40)の中で受けられることを特徴とする、ガス発生器。
【請求項15】
請求項14に記載のガス発生器において、前記燃焼チャンバ(40)が、前記圧力チャンバ(22)の容積の約2%から50
%を占有することを特徴とする、ガス発生器。
【請求項16】
請求項1から15のいずれか一項に記載のガス発生器において、前記ガス発生器(10)が活性化されると、少なくとも1つの衝撃波が発生し、前記少なくとも1つの衝撃波が前記圧力チャンバ(22)を少なくとも部分的に伝播することができ、それにより膜(16)を破壊することを特徴とする、ガス発生器。
【請求項17】
モジュールであって、ガス発生器(10)と、前記ガス発生器(10)によって膨らむことができるエアバッグと、モジュールを車両に取り付けるための設置デバイスと、を備えるモジュールにおいて、
前記ガス発生器が請求項1から
16のいずれか一項に従って構成されることを特徴とする、モジュール。
【請求項18】
ガス発生器(10)と、モジュールの一部として、前記ガス発生器(10)によって膨らむことができるエアバッグと、電子制御ユニットであって、始動状況時に前記電子制御ユニットにより前記ガス発生器(10)が活性化され得る、電子制御ユニットとを備える
、車両乗員または歩行
者を保護するための、車両安全システムであって、
前記ガス発生器(10)が請求項1から
16のいずれか一項に従って構成されることを特徴とする、車両安全システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に車両の中の安全デバイスのための、ガス発生器、ガス発生器を備えるモジュール、および車両安全システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ガス発生器は、例えば、エアバッグを充填するための、またはベルトテンショナを駆動するための、ガスを提供する。既知のハイブリッド型のガス発生器では、ガスの大部分がガス発生器のハウジングの中に保管される加圧ガスから発生する。ハウジングは、ガスを加熱して外部に対してハウジングを閉鎖している膜を破壊する火工式の推進剤を点火する火工式(pyrotechnical)の点火装置によって開けられ、その結果、ガスが外に流れることができるようになる。
【0003】
このようなハイブリッド型のガス発生器がDE102011009309A1で説明されている。火工式の固体推進剤を収容する燃焼チャンバが、燃焼チャンバから分離されて加圧ガスを充填されている圧力チャンバに流体連通される。圧力チャンバには、例えば、最大500バールの圧力で、アルゴン、ヘリウム、またはガス混合物が充填されている。このガス発生器では、さらに、加圧ガスが火工式の固体推進剤を囲んでいる。したがって、燃焼チャンバから圧力チャンバを閉鎖している構成要素が機械的にわずかに荷重を受けるのみである。
【0004】
火工式の固体推進剤は、固体の有機燃料および無機燃料と、窒素および炭素を通常は含有する酸化性物質とのバランスのとれた混合物である。燃焼特性を制御するために、固体推進剤を、非常に多様な幾何形状のペレット、押出成形品、および顆粒などの、適切な形状にしなければならない。これにより火工式の固体推進剤の製造および物流が複雑になり、ここでは、推進剤の取り扱いおよび保管のために厳格な安全規制を順守しなければならない。
【0005】
例えば車両火災の事例におけるガス発生器の非機能的な始動をシミュレートする、いわゆる「かがり火」または「緩加熱(slow heat)」の試験では、ガス発生器が外部からの過熱によって始動させられて結果として熱的に活性化され、つまり点火される。しかし、上昇した温度では、火工式の固体推進剤の変換速度が上がる傾向にある。したがって、ガス発生器ハウジングが十分に堅固なデザインを有さなければならない。任意選択で、始動温度を技術的に制御可能な程度に制限するために、追加のイグニションアドバンスデバイスを使用することが必要となる。他方で、例えば-40℃の低い温度では、火工式の固体推進剤が低い変換速度を有する。
【0006】
他のガス発生器では、水素または液体ガスなどの、気体燃料または液体燃料の、酸素などの同様に気体である酸化性物質との反応がエネルギー生成のために採用される。このようなガス発生器は、開放・点火の制御が複雑であるような互いに分離される2つの圧力タンク、または燃焼性ガスの混合物のための十分な寸法のガスタンクのいずれかを必要とする。いずれの事例でも、火工式の固体推進剤あるいはガス燃料および/または液体燃料の反応によってガスが発生する。
【0007】
WO99/032334Aが、燃料を中に導入する第1のチャンバと、燃料の反応を活性化して気体の燃焼生成物を生成するための点火装置とを有するガス発生器を説明している。燃料が固体で提供され、好適には連続気泡発泡体である。使用される酸化性物質は固体燃料に接触した状態の窒素酸化物である。第1のチャンバの内部の圧力が4.1MPaから10.3MPaの範囲であってよい。
【0008】
米国特許第6,238,500(A1)号から、圧力下で保管されるガス生成物質を有する圧力タンクと、ガス生成物質を活性化するための点火装置とを備えるガス発生器が知られている。ガス生成物質が酸化性物質および燃料を含み、酸化性物質が主として液体-気体状態の亜酸化窒素から構成される。燃料の大部分が多孔性の固体形態のポリビニルアルコールであり、亜酸化窒素の一部がポリビニルアルコールの孔の中に吸収される。ガス生成物質が燃焼すると、二酸化炭素、窒素、および水から実質的に構成される燃焼生成物が生成される。ガス生成物質と共に、1つまたは複数の反応性ガスおよび/または不活性ガスの混合物が圧力タンク内で保管され得る。反応性ガスの例として、酸素、ブタン、または水素がある。一実施形態によると、圧力タンクの内部の圧力が約13.8MPaである。
【0009】
主要な酸化性物質として亜酸化窒素を使用する場合、ガス発生器の燃焼挙動は特に低い温度において制御したりまたは再現したりすることが困難である。その理由は、亜酸化窒素が凝縮する可能性があり、したがって固体燃料を用いての変換のために完全には利用可能とならないからである。さらに、圧力チャンバの全体が低圧力状態であることを理由として、安全デバイスを活性化するのに必要となる量のガスを提供するのにより多くの固体燃料を使用しなければならない。
【0010】
DE102016122192A1が圧縮ガスを充填された圧力チャンバを有するガス発生器を示しており、ここでは、圧縮ガスは、主として酸素から構成される気体の酸化性物質を含有する。圧力チャンバ内には、圧縮ガスに直接接触する連続多孔性である固体燃料が含まれる。言及するこの多孔性の燃料は、好適にはプラスチックから作られる、多様な幾何形状の発泡体ボディである。
【0011】
しかし、工業的に利用可能であるプラスチック発泡体のうちのいくつかのプラスチック発泡体が十分に高い多孔率を有さず、したがって圧縮ガス中に存在する酸化性物質が最適に燃料を通過して燃料を燃焼させることが防止される、ことが分かっている。さらに、特に有利は燃焼物質のうちのいくつかの燃焼物質が発泡体として一切利用可能ではないかまたは独立気泡発泡体としてのみ利用可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の根底にある目的は、確実にガスを発生させることができて低コストで製造され得るように、既知のガス発生器をさらに発展させることである。さらに、本発明の根底にある目的は、コスト効率の高いモジュールおよび車両安全システムを提示することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
ガス発生器に関しては、この目的が請求項1に記載のガス発生器によって達成され、モジュールに関しては、この目的が請求項16に記載のモジュールによって達成され、車両安全システムに関しては、この目的が請求項17に記載の車両安全システムによって達成される。別の実施形態が従属請求項に記載され、これらの実施形態の特徴が、技術的に合理的である手法において、任意で、別の特徴と組み合わされ得る。
【0014】
本発明によるガス発生器が、圧縮ガスを充填されており、膜によりガス発生器の環境から閉鎖される圧力チャンバを備える。圧縮ガスが、主として酸素から構成される気体の酸化性物質を含有する。圧力チャンバが固体燃料を受けており、ここでは、ガス発生器が活性化される前、圧縮ガスが燃料に直接接触している。
【0015】
ガス発生器を活性化させると、圧力チャンバから耐圧的に分離される点火装置が固体燃料を用いての気体の酸化性物質の変換を始動させて熱を発生させ、各々の事例においてガス発生器を活性化させると、固体燃料を用いての気体の酸化性物質の変換が点火装置によって始動され、熱を発生させる。
【0016】
本発明によると、固体燃料が1つまたは複数の繊維で作られるガス透過性の燃料ボディの形態である。したがって、驚くべきことに、1つまたは複数の繊維から作られる燃料ボディが十分に大きい表面を有し、特にプラスチック発泡体より優れた燃焼特性を有することになる。
【0017】
圧縮ガス中の気体の酸化性物質のモル分率が、ガス透過性の燃料ボディの化学量論的変換のために必要となる酸化性物質の量の少なくとも1.1倍である。
【0018】
本発明によるガス発生器では、気体の酸化性物質が1つまたは複数の繊維で作られるガス透過性の燃料ボディに直接接触する。燃料が最初から、圧力チャンバの内部に明確な構成の微細に分離している形態として提供され、例えば、ファブリック(fabric)の形態、パッド(詰め物、Wadding)の形態、または任意の他の繊維材料(textile material)の形態で提供される。したがって、燃料ボディのクリアランスまたは孔が気体の酸化性物質を含有する圧縮ガスと適切に混合され得、それにより燃料が常に酸化性物質に直接密接した状態となる。したがって、活性化する場合、点火装置を始動させることにより、酸化性物質を用いての燃料の非常に迅速な変換が達成される。具体的には、本発明によるガス発生器が0.1秒未満の非常に短い燃焼時間さえも達成するのを補助する。
【0019】
圧縮ガスおよび燃料ボディを充填された圧力チャンバに対しての点火装置の耐圧的な境界部分より、点火装置のためにおよび構成要素の固定のために、任意選択で点火装置チャンバ内において、コスト効率の高い構成要素を使用することが可能となる。点火装置によって解放されるエネルギーは単に、点火装置チャンバの境界を画定する点火装置膜を開けることおよび気体の酸化性物質を用いての燃料の変換を活性化するのを満たせばよい。
【0020】
1つまたは複数の繊維で作られるガス透過性の燃料ボディとして固体形態で存在する燃料のエネルギー密度が高いことにより、低密度でありしたがって低重量である燃料ボディが使用され得る。化学量論的過剰に提供される気体の酸化性物質が、点火装置の活性化後に燃料ボディが完全に燃焼するのを保証する。
【0021】
さらに、強く加圧された圧縮ガスが安全デバイスを活性化するのに必要となる量のガスのうちの大部分を提供する。燃焼特性およびひいてはガス発生器の出力が、固体燃料ボディの成形および寸法決定を介してさらに制御され得る。
【0022】
さらに、ガス透過性の燃料ボディは、圧力チャンバの内部で点火装置を基準として容易に位置決めされ得る。例えば、圧力チャンバの内部の2つのポイントの間に燃料ボディをクランプすることまたは燃料ボディを圧力チャンバの内壁に接着することが可能である。
【0023】
燃料ボディを製造するのに適する繊維は大きい産業スケールで製造され、世界中で入手可能であり、したがって非常にコスト効率が高い。加えて、これらの繊維は、燃焼特性を設定することを目的として複数の異なる3次元構造としてさらに処理され得る。さらに、ガス透過性の燃料ボディのための適切な材料を選択する場合、ダスト残留物を一切出さずに気体の燃焼生成物のみを生成しながら完全な低排出燃焼が達成され得る。
【0024】
活性化の場合において始動させられる点火装置が点火装置と圧力チャンバとの間の耐圧的な境界部分を開けて同時に燃料ボディおよび酸化性物質を加熱して気体の酸化性物質を用いての燃料の変換を開始するのに十分な温度にする。酸化性物質を用いての燃料の変換によって放出される反応熱が圧縮ガスをさらに加熱する。したがって、圧力チャンバ内に発生する過剰圧力つまり点火装置の活性化後に発生する衝撃波が、ガス発生器の環境から圧力チャンバを分離する膜を開ける。加熱された圧縮ガスが外に流れて、エアバッグ、ベルトテンショナ、または歩行者衝撃保護装置(pedestrian impact protection)などの安全デバイスを作動させる。
【0025】
ガス発生器内での気体の酸化性物質を用いての固体燃料の変換が、例えば、燃料ボディの中の孔径、1つまたは複数の繊維の厚さ、燃料の化学組成、および圧縮ガス中の酸素のフラクションによって制御され得る。酸素がガス発生器の全体にわたってあらゆる圧力状態で気体形態で存在することから、1つまたは複数の繊維で作られるガス透過性の燃料ボディの適切な酸化性物質の調製が保証される。逆に、燃料は圧縮ガスの中で非常に微細に分離した状態となるように提供される。さらに、化学量論的過剰である気体の酸化性物質を使用することにより、固体燃料の迅速で完全な変換が保護される。
【0026】
燃料の変換中に発生する反応熱が圧縮ガスを加熱するのに使用され得る。例えば、1つまたは複数の繊維で作られる典型的なガス透過性の燃料ボディの酸素を用いての変換が、火工式の典型的な固体推進剤の変換の反応熱の少なくとも約8倍の反応熱を供給する。したがって、酸素を用いてのガス透過性の燃料ボディの変換中に発生する反応ガスは、安全デバイスを活性化するのに必要となる量のガスに対してわずかな程度でのみ寄与すればよい。
【0027】
「かがり火」または「緩加熱」の場合、過剰圧力が発生することにより圧力チャンバが開けられる。このようにして、酸化性物質の大部分がシステムから取り除かれ、燃料が低速でのみ崩壊することができる。燃料のデフラグレーションにより燃焼が加速することは見込まれない。その理由は、この反応は少量のガスしか発生させず、この変換に必要となる酸化性物質の大部分が失われるからである。
【0028】
本発明によるガス発生器の第1の実施形態によると、圧縮ガスが好適には少なくとも1つの不活性ガスおよび少なくとも1つの気体の酸化性物質で作られる。不活性ガスが、ヘリウム、アルゴン、および窒素、さらにはその混合物、からなる群から選択され得る。
【0029】
本発明によると、気体の酸化性物質が、主として、酸素、および任意選択の別の気体の酸化性物質から構成される。「気体」は、酸化性物質が標準状態(0℃(273.15K)、1.0バール)において気体として提供されることを意味する。「主として」は、本発明によると、気体の酸化性物質の酸素(O2)のモル分率が、50%以上、好適には少なくとも60%、さらに好適には少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%であることを意味する。
【0030】
特に好適には、気体の酸化性物質が酸素から構成される。
【0031】
任意選択で、別の酸化性物質に亜酸化窒素が含まれてよい。気体の酸化性物質として酸素を使用することにより、容易に利用可能となるという、および圧力チャンバ内に存在するガス透過性の燃料ボディを安全に通過するという利点が得られる。したがって、ガス発生器が活性化されるときの、気体の酸化性物質を用いての固体燃料の高速の変換が保証される。
【0032】
好適には、圧縮ガス中の気体の酸化性物質のフラクションが、気体の酸化性物質を用いての燃料の化学量論的変換のために必要となる量の最低でも200%に達し、最大で1000%に達する。十分に過剰である気体の酸化性物質を使用することにより、気体の酸化性物質を用いての固体燃料の完全な変換を保証することができ、ひいては残留圧縮ガスを加熱するための最大限の量の熱を放出するのを保証することができる。
【0033】
少なくとも1つの気体の酸化性物質が、圧縮ガス中で、10vol-%から40vol-%、好適には10vol-%から30vol-%、さらに好適には15vol-%から30vol-%のフラクションで提供され得る。
【0034】
圧縮ガスの平均モル質量は好適には7g/molから39g/molの範囲である。この平均モル質量は、物質のそれぞれの比率によって重み付けられた圧縮ガスの個別の成分のモル質量の平均値に一致する。
【0035】
特に好適には、圧縮ガスが、アルゴン、ヘリウム、および酸素の混合物である。
【0036】
特に好適な実施形態によると、閉じた圧縮チャンバ内の圧縮ガスが、少なくとも350バール、好適には350から750バールの圧力で、加圧される。これにより、ここでは、エアバッグを完全に膨らませることなどを目的として、ガス発生器に接続される安全デバイスを活性化するのにこの量の圧縮ガス自体で十分であることが保証される。気体の酸化性物質を用いての固体燃料の変換は追加のガスを提供する必要が一切なく、単に、十分な膨張圧力を維持することを目的として圧縮ガスを加熱するのに必要となる量の熱を放出すればよい。しかし、気体の酸化性物質を用いてのガス透過性の燃料ボディの変換が実質的に残留物を出さずに行われて気体の変換生成物が生成されることは不利益ではなく、むしろこれは多くの事例において所望されることである。
【0037】
燃料として機能する、1つまたは複数の繊維で作られるガス透過性の燃料ボディが、複数の異なるテクノロジーにより、エンドレスファイバー(モノフィルとも称される)から構成され得るか、または複数の繊維で作られるスレッドから構成され得る。
【0038】
好適な実施形態によると、燃料ボディが繊維材料で作られ、この繊維材料の中に1つまたは複数の繊維が含まれる。繊維材料は、好適には、ファブリック、ニットファブリック、不織物、結合されたファブリック、フェルト、またはパッド、およびこれらの組合せ、からなる群から選択される。こうすることで、各々の繊維材料において、最も適する構造の織物の燃料ボディが選択され得るようになり、所望の燃料特性に合うように適合され得るようになる。一般に、このような2次元または3次元の繊維構造が、酸化性物質を用いての高速の変換を保証するような大きい表面を有する。
【0039】
個別の繊維が異なる構造を有することができ、例えば、マルチコンポーネントのファイバー、積層ファイバー、ラウンドファイバー、または中空ファイバーとして、およびモノフィラメントとして、提供され得る。繊維自体が微孔性を有することができ、それにより表面をさらに増大させる。一般に、使用される出発原料の繊維またはスレッドは0.01mmから1mmの範囲の所定の材料厚さを有する。
【0040】
使用される繊維は天然繊維であってよく、具体的には、天然植物繊維であってよく、好適には、セルロースまたはでんぷんから得られる繊維であってよく、ここでは、繊維がさらに化学的に再処理され得る。これらの繊維は、特に、セルロースエーテル、セルロースエステル、酢酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、セルロースプロピオネート、ニトロセルロース、フェノール類、多糖質、およびポリアセタールを含む。基本的に、羊毛繊維などの動物の天然繊維も適する。
【0041】
さらに、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブタジエン、および/またはポリスチレンなどの、ポリオレフィン、さらには、ポリアミド、特にポリ酢酸ビニルなどのビニルポリマー、ポリウレタン、ポリエーテル、特にポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタラート、およびポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル、ポリイミド、ポリアミドイミド、アラミド、ポリアクリレート、ポリアクリルロニトリル、ポリベンゾイミダゾール、ポリ尿素、メラミン樹脂、ポリビニルアルコール、および/またはポリメタクリレートなどの紡糸可能な合成物質の合成繊維も繊維材料として使用され得る。
【0042】
さらに、繊維は、ピロール、ナフタレン、ならびにアミン、ニトラミン、およびニトロ化合物の硝酸塩などからの、ワックスまたは酸素含有物質からも得られ得る。
【0043】
燃料ボディ内で、異なる繊維が隣り合わせで存在してもよく、および/または3次元構造を形成するために互いに接続されていてもよい。
【0044】
有利には、繊維がスレッドを形成するように紡がれ得、ならびに/あるいは紡ぎ糸および/または撚り糸を形成するために撚り合わされ得る。ここから、さらなる処理のためのより安定した繊維材料が得られる。この場合、個別のスレッド、紡ぎ糸、および/または撚り糸が、繊維ファブリックおよび/または3次元繊維ボディを形成するのに使用され得る。
【0045】
ガス透過性の繊維の燃料ボディが、円筒形ボディ、ラップ、コイル、またはストリップバンドの形態であってよく、任意選択でスペーサを装備することができる。一般に、繊維ファブリックおよび/または3次元繊維ボディが、ローリング、絡み合い、プラギング、切断、および/またはスタンピングなどにより、さらに処理され得る。さらに、複数の繊維ボディが互いの上に積み重ねられ得、および/または互いに固定され得る。
【0046】
ガス透過性の燃料ボディの幾何学的形状が、好適には、燃料ボディを受けるための圧力チャンバの部分の形状に合うように適合される。ガス透過性の燃料ボディが単一部片としてつまりモノリスとして圧力チャンバの中に挿入され得、その結果、燃料全体が単一の燃料ボディとして提供される。この実施形態の代替形態として、ガス透過性の燃料ボディが圧力チャンバ内で複数の部品として提供されてもよい。
【0047】
一実施形態によると、ガス透過性の燃料ボディが、好適にはウインチである、キャリアを備え、キャリアの上に単一のまたは複数の繊維が巻き付けられる。ウインチにより、特に、スレッド、紡ぎ糸、または撚り糸である、繊維材料が所定の長さになるように特に容易に切断され得、ガス発生器の内部にスレッドラップとして設置され得る。
【0048】
繊維材料が追加のコーティングをさらに有することができ、したがって、可燃性繊維と可燃性繊維の中に分散するフィラーとのマトリックスを有する複合材料の形態であってよく、好適には、熱を発生させながら酸素を用いて変換され得る。
【0049】
フィラーとして、好適には、アルミニウム、マグネシウム、チタン、さらには、その合金および混合物、から選択される、金属発泡体および/または金属フィラーの形態の金属が使用されてもよい。上記金属は低コストで利用可能であり、酸素を用いての変換時に大量の反応熱を発生させる。これらの金属、さらには複合物は車両の使用条件下でほぼ制限されない形の保管安定性を有する。さらに、上記燃料の取り扱いは火工式の固体推進剤と比較して非常に安全であり、その結果、複雑で費用のかかる安全措置を講じる必要がなくなる。
【0050】
熱を発生させながら気体の酸化性物質を用いて変換可能である繊維として、好適には、その燃焼中に二酸化炭素および水などの気体の燃焼生成物のみを生成して粒子を放出しないような物質がガス透過性の燃料ボディ内で使用される。
【0051】
特に好適な実施形態によると、ガス透過性の燃料ボディが、気体の酸化性物質を用いての変換中にのみ気体の燃焼生成物を発生させるようなプラスチック材料のみから構成される。
【0052】
ガス透過性の燃料ボディの密度は好適には10kg/m3から90kg/m3の範囲であり、より好適には10kg/m3から60kg/m3である。燃焼特性がガス透過性の燃料ボディの密度を介して制御され得る。燃料ボディの密度が高いと、特に酸素である気体の酸化性物質を用いての変換の速度が低下する。しかし、ガス透過性の燃料ボディの密度が高いと、より多くの量のエネルギーを発生させるのを補助することもできる。ガス透過性の燃料ボディの密度が低いことから、0.1m/sを超える、また特に3m/sを超える燃焼速度に達することが可能となる。
【0053】
ガス透過性の燃料ボディの圧縮硬さが好適には2.0kPaから10kPaの範囲である。圧縮硬さは、試験片を2つのプレートの間でその元の高さの40%まで圧縮するのに必要となる力を示す。100×100mm2の寸法および50mmの高さを有する正方形の試験片が使用される。
【0054】
ガス透過性の燃料ボディが着色され得るかまたは任意の他の手法で色のマークを付され得る。これにより、異なる組成および異なる燃焼特性を有する燃料ボディを識別することが可能となる。
【0055】
燃焼特性をさらに制御するために、等しいまたは異なる組成、幾何形状、および/または密度を有する2つ以上の異なる繊維ファブリックおよび/または繊維ボディを備えるガス透過性の燃料ボディを使用することも可能である。こうすることで、燃料の燃焼特性にさらに影響を与えることができる。例えば、点火装置から離れたところに配設されるガス透過性の低密度燃料の1つまたは複数の繊維ボディとは異なり、圧力チャンバの内部の点火装置の近くに高密度のガス透過性の燃料の1つまたは複数の繊維ボディを配設することが可能である。点火装置が活性化されて点火装置の近くある繊維ボディが変換されると、最初に大量のエネルギーが発生し、対して、燃料燃焼がさらなる進行すると、点火装置から離れたところに配設される燃料繊維ボディが低密度であることにより、より高い燃焼速度を達成することが可能である。
【0056】
ガス透過性の燃料ボディが特に点火装置の側において点火装置の反対側の圧力チャンバの側よりも高い密度を有することができ、ここでは、ガス透過性の燃料ボディが好適には密度勾配を有し、点火装置から膜に向かうにつれて密度が低下する。燃焼特性を制御するために、上で説明した密度方向(course of density)とは逆の密度方向がより好適である可能性もある。このような事例では、ガス透過性の燃料ボディが点火装置側において点火装置と反対の圧力チャンバの側より低い密度を有する。この場合、ガス透過性の燃料ボディが好適には、点火装置から膜の方に向かって増大するような密度勾配を有する。ガス透過性の燃料で作られる異なる成形ボディを使用する代わりに、密度勾配を有するモノリシックのガス透過性の燃料ボディを使用することも可能である。
【0057】
ガス透過性の燃料ボディが圧力チャンバを完全にまたは部分的に充填することができる。好適には、ガス透過性の燃料ボディが、圧力チャンバの容積の少なくとも約3%、好適には3%から95%、特に好適には5%から50%を充填する。ガス発生器の活性化時に衝撃波が発生してそれによりガス発生器の環境から圧力チャンバを分離する膜を非常に迅速に開けることが補助されるような場合、ガス透過性の燃料ボディにより圧力チャンバの容積をより大きく充填するような実施形態が特に有利である。この事例では、ガス透過性の燃料ボディを通過する衝撃波がガス透過性の燃料ボディにより長い距離にわたって機械的に高速で伝達され得、その結果、ガス発生器の機能を実質的に損なわせることなくガス発生器を特定の設計にすることが可能となる。
【0058】
好適な実施形態によると、ガス透過性の燃料ボディが圧力チャンバの中にある唯一燃料である。この場合、気体の酸化性物質と共に、ガス透過性の燃料ボディが圧力チャンバ内において唯一の推進剤を構成する。このような実施形態は低コストで製造され得、安全に取り扱われ得る。その理由は、火工式の固体推進剤とは異なり特別な安全措置を一切用いることなく、ガス透過性の燃料ボディが移送、保管、および処理され得るからである。
【0059】
本発明の別の実施形態によると、ガス透過性の燃料ボディが火工式の固体推進剤と共に圧力チャンバの中に提供され得る。他方で、火工式の固体推進剤を追加することにより、ガス生成物質の燃焼特性およびひいてはガス発生器の出力が修正され得る。さらに、この実施形態により、単に、気体の酸化性物質と共にガス透過性の燃料ボディを火工式の固体推進剤を活性化させるためのブースターチャージとして機能させるのに十分であるような比率においてガス透過性の燃料ボディを使用するのを可能にする。加えて、ガス透過性の燃料ボディが、騒音を出すのを回避するように火工式の推進剤を支持するための機能および/または容積補償手段の機能などの別の機能をこの燃焼チャンバの部分において有することができる。したがって、本発明が、さらに、ガスを発生させることおよび/または熱エネルギーを発生させることのために、ここでは従来のガス発生器の中に設けられている機能要素を使用するのを可能にする。
【0060】
本発明によると、火工式の固体推進剤が、少なくとも1つの固体燃料および1つの固体の酸化性物質を含有し、活性化時に自己保持の形で熱を発生させながら反応する物質または物質の混合物である。
【0061】
火工式の固体推進剤が、顆粒の形態またはペレットの形態、あるいは1つまたは複数の繊維で作られるガス透過性の燃料ボディに統合される任意の他の幾何学的な成形ボディの形態で、提供され得る。したがって、ガス透過性の燃料ボディがマトリックスを形成し、火工式の固体推進剤がこのマトリックス内で受けられ、任意選択で所定の幾何形状を有する成形ボディの形態で、個別に、このマトリックスに統合される。この実施形態では、ガス透過性の燃料ボディおよび火工式の固体推進剤が互いに特に密に接触している。したがって、圧力チャンバ内のガス生成混合物の燃焼特性が、特にガス透過性の燃料ボディに対しての火工式の固体推進剤の比により、任意選択で再現可能となるように調整され得る。
【0062】
当業者であれば、DE102016122912A1において、ガス透過性の燃料ボディおよび火工式の固体推進剤を構成するための別の選択肢を見つけることができる。
【0063】
燃焼チャンバの中の火工式の固体推進剤に対してのガス透過性の燃料ボディの重量比がほぼ自由に選択され得る。ガス透過性の燃料ボディに対して火工式の固体推進剤を追加することが任意選択であることから、ガス透過性の燃料ボディおよび火工式の固体推進剤の合計の質量に各々基づいて、ガス透過性の燃料ボディの好適な重量パーセントが約0.5%から100%、より好適には1%から95%の範囲となる。
【0064】
好適な実施形態によると、特に気体の酸化性物質と併せて、ガス透過性の燃料ボディが火工式の固体推進剤のためのブースターチャージを形成する。この事例では、ガス透過性の燃料ボディおよび火工式の固体推進剤の合計の質量の各々に応じて、ガス透過性の燃料ボディの重量パーセントが好適には約0.25wt-%から15wt-%の範囲、より好適には0.5wt-%から10wt-%の範囲である。ガス発生器が活性化されると、最初にガス透過性の燃料ボディの迅速な燃焼が行われ、ここでは、上記燃焼によって放出される反応エネルギーが火工式の固体推進剤の燃焼を活性化する。火工式の固体推進剤に入力されるエネルギーを増大させるために、この事例では、ガス透過性の燃料ボディが、好適には、一定の割合の金属を含有することができ、好適には粉末金属を含有することができる。
【0065】
以下で、本発明によるガス発生器の構造を詳細に説明する。以下で説明される実施形態は、1つまたは複数の繊維から構成される上で説明したガス透過性の燃料ボディの、および任意選択の火工式の固体推進剤の、あらゆる変形形態と共に使用され得る。
【0066】
本発明によるガス発生器の好適な実施形態によると、圧力チャンバの境界を画定する本発明によるガス発生器のハウジングが中空シリンダである。ハウジングが、好適には、環状溝の形態の窪みを備える。環状溝が、好適には、圧力チャンバの内部でガス透過性の燃料ボディを固定するのに使用され得る。したがって、さらに、この環状溝の構成は、ガス透過性の燃料ボディおよび任意選択の火工式の固体推進剤を中で受けるための圧力チャンバ内での部分の寸法を画定する。したがって、ハウジングのところにあるこの構成の環状溝がさらに、とりわけ圧力チャンバの中に導入されるガス透過性の燃料ボディの量によって画定されるガス発生器の出力を示すことができる。
【0067】
さらに、ガス透過性の燃料ボディが、圧力嵌め、フォームフィット、および/またはハウジングの内面上の側壁に対しての接着結合により、圧力チャンバの内部で固定されるように提供され得る。さらに、ガス透過性の燃料ボディをハウジングの中にプレス嵌めすることおよびガス透過性の燃料ボディを径方向において圧縮して好適には最大10%で圧縮することが可能であり、その結果、ガス透過性の燃料ボディが圧力嵌めにより圧力チャンバの内部で保持される。
【0068】
別の実施形態として、ガス透過性の燃料ボディを定位置で保持する摩擦面がハウジングの内壁に設けられ得る。最後に、ガス透過性の燃料ボディの中にばね要素などの別個の固定要素を導入することも可能であり、ここでは、上記固定要素がハウジングの内壁に押し付けられてガス透過性の燃料ボディを所望の位置で固定する。
【0069】
別法として、ガス透過性の燃料ボディが、ハウジングおよび/または点火装置ハウジングに押し付けられるウインチなどのキャリアに付けられ得る。燃料ボディ自体がさらに、ハウジングおよび/または点火装置ハウジングに押し付けられる安定した構造を形成することができる。
【0070】
したがって、ガス透過性の燃料ボディが、圧力チャンバ内での燃料のための保持空間の境界を画定することになるような別個のパーティション要素を用いることなく、圧力チャンバの中で位置決めされ得る。
【0071】
有利には、ガス透過性の燃料ボディが圧力チャンバの内部で点火装置から離間されるように提供され得、ここでは、燃料ボディが、ハウジングの内径の最大2倍の距離のところに、好適には0.5倍から1.5倍の距離のところに、また特に好適には1倍の距離のところに配置される。
【0072】
好適な実施形態によると、点火装置に隣接して燃焼チャンバを形成しながら圧力チャンバを仕切るための、また好適には圧力チャンバを、隣接する燃焼チャンバおよび圧縮ガスのみを収容する圧力チャンバの部分へと分割するための、少なくとも1つの構成要素が提供され、ここでは、ガス透過性の燃料ボディおよび任意選択の火工式の固体推進剤が燃焼チャンバ内で受けられる。
【0073】
しかし、この構成要素による、残りの圧力チャンバの部分と燃焼チャンバとの間のパーティションは耐圧的ではなく、その結果、燃焼チャンバと残りの圧力チャンバの部分との間で圧力補償が行われ得るようになり、気体の酸化性物質を有する圧縮ガスが燃焼チャンバの内部のガス透過性の燃料ボディに直接接触し続けるようになる。
【0074】
好適には、この構成要素がスクリーンであり、このスクリーンにより、ガス透過性の燃料ボディの燃焼からの燃焼残留物が保持され得る。圧力チャンバの中にあるスクリーンのこの構成は、特に、火工式の固体推進剤と共にガス透過性の燃料を使用する場合に有利である。この事例では、スクリーンがさらにフィルター要素として機能することができ、フィルター要素により火工式の固体推進剤の燃焼からの残留物が保持され得る。
【0075】
さらに、この構成要素が、ガス発生器の活性化時に破壊され得るように構成される脆化ゾーンを有するバースト部材の形態であってよい。この構成は、ガス発生器の活性化時に衝撃波を発生させるのを補助し、衝撃波が圧力チャンバに跨って非常に迅速に伝播して膜を開ける。この構成要素の可能性のある構成が、参照したDE102011009309A1で詳細に説明されている。
【0076】
特に好適には、この構成要素が少なくとも1つのオーバーフロー開口部を有し、および/または、燃焼チャンバと、この構成要素によって仕切られる残りの圧力チャンバの部分との間で圧力補償を行うように配設され、その結果、圧縮ガスも燃焼チャンバの中に存在することになる。
【0077】
好適には、燃焼チャンバが、圧力チャンバ全体の容積の約2%から50%を占有し、特に好適には5%から30%を占有する。
【0078】
燃焼チャンバに、ガス透過性の燃料ボディが完全に、または部分的に充填され得、任意選択で、火工式の固体推進剤が充填される。好適には、ガス透過性の燃料ボディおよび任意選択の火工式の固体推進剤が、燃焼チャンバの容積の少なくとも50%を充填し、好適には50%から100%を充填する。
【0079】
別の実施形態によると、ガス発生器が、ここでは、点火装置の活性化によりおよび/または圧力チャンバから点火装置を分離している点火装置膜の開放により衝撃波を発生させるように、構成される。これらの実施形態を組み合わせることも可能であり、その結果、衝撃波が、点火装置から、点火装置膜から、および/またはこの構成要素から形成されるバーストするディスクから放出され得る。
【0080】
好適には、頑丈な点火装置が衝撃波を発生させるのに使用される。このような頑丈な点火装置は従来技術から知られており、通常、ジルコニウム/過塩素酸カリウムの主装薬および水素化チタン/過塩素酸カリウムの副装薬を利用する。
【0081】
別の実施形態によると、ガス発生器の中に、少なくとも2つの圧力チャンバの部分が形成され、これらの少なくとも2つのチャンバ部分が耐圧的に互いから分離される。第1の圧力チャンバの部分が点火装置の近くに配設され、気体の酸化性物質を有する圧縮ガスおよび上で言及したガス透過性の燃料ボディを収容する。さらに、第1の圧力チャンバの部分が膜によって閉じられ、第2の圧力チャンバの部分およびひいてはガス発生器の環境から耐圧的に閉鎖される。第1の圧力チャンバの部分に隣接する第2の圧力チャンバの部分が圧縮ガスのみを収容し、第2の膜によりガス発生器の環境から耐圧的に閉鎖される。
【0082】
第1のおよび第2の圧力チャンバの部分の中の圧縮ガスが等しい組成または異なる組成を有することができる。さらに、第1のおよび第2の圧力チャンバの部分の中で、等しいまたは異なるガス圧力が利用され得る。第1の圧力チャンバの部分の中のガス圧力が第2の圧力チャンバの部分の中のガス圧力と等しい場合、接着結合される膜が圧力チャンバの部分を仕切るのに使用され得る。効果的には、ガス発生器のアイドル状態において上記膜が圧力荷重を受けない。
【0083】
本発明の別の主題は、モジュールであって、本発明による上で説明したガス発生器と、本発明によるガス発生器により膨らむことができるエアバッグと、モジュールを車両に設置するための設置デバイスとを備えるモジュールである。
【0084】
加えて、本発明の別の主題は、特に車両乗員または歩行者などの人を保護するための、車両安全システムであり、これが、本発明による上で説明したガス発生器と、モジュールの一部である、ガス発生器により膨らむことができるエアバッグと、始動状況時に本発明によるガス発生器を活性化することができる電子制御ユニットとを備える。
【0085】
図面に関連する好適な実施形態の以下の説明から本発明の別の特徴および利点が明らかとなる。図面では、同様の機能の部品に同様の参照符号が付される。しかし、これらは限定的であることを意図されない。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【
図1】圧力チャンバの中にパーティション要素を一切有さない、本発明によるガス発生器の第1の実施形態を示す図である。
【
図2】ガス発生器のハウジングの中に周囲環状溝を有する、本発明によるガス発生器の別の実施形態を示す図である。
【
図3】圧力チャンバの中にあるパーティション要素を有する、本発明によるガス発生器の実施形態を示す図である。
【
図4】燃焼チャンバの中に配設されるスクリーンを備える、本発明によるガス発生器の実施形態を示す図である。
【
図5】キャリアの上に巻き付けられた燃料ボディを備える、本発明によるガス発生器の実施形態を示す図である。
【
図6】燃料コイルの形態である燃料ボディを備える、本発明によるガス発生器の別の実施形態を示す図である。
【
図7】燃料コイルの形態である燃料ボディを備える、本発明によるガス発生器の代替の実施形態を示す図である。
【
図8】ガス発生器ハウジングの中にある周囲環状溝を備える、本発明によるガス発生器の別の実施形態を示す図である。
【
図9】燃料ボディを固定するための周囲環状溝を備える、本発明によるガス発生器の別の実施形態を示す図である。
【
図10】圧力チャンバの中にあるパーティション要素を備える、本発明によるガス発生器の別の実施形態を示す図である。
【
図11】燃焼チャンバの中にあるスクリーンを備える、本発明によるガス発生器の別の実施形態を示す図である。
【
図12】衝撃波を発生させるように構成される、本発明によるガス発生器の実施形態を示す部分図である。
【
図13】燃焼チャンバの中にあるガス透過性の燃料ボディと併せて提供される火工式の固体推進剤を備える、本発明によるガス発生器の別の実施形態を示す図である。
【
図14】ガス透過性の燃料ボディのマトリックスに統合される火工式の固体推進剤を備える、本発明によるガス発生器の実施形態を示す図である。
【
図15】ガス透過性の燃料ボディのマトリックスに統合される火工式の固体推進剤を備える、本発明によるガス発生器の別の実施形態を示す図である。
【
図16】火工式の固体推進剤のための固定要素および/または容積補償要素としてガス透過性の燃料ボディが使用される、本発明によるガス発生器の実施形態を示す図である。
【
図17】
図16の本発明によるガス発生器の変形形態を示す図である。
【
図18】
図16の本発明によるガス発生器の別の変形形態を示す図である。
【
図19】
図16の本発明によるガス発生器の別の変形形態を示す図である。
【
図20】
図20は、燃焼チャンバの中にあるガス透過性の燃料ボディと併せて提供される火工式の固体推進剤を備える、本発明によるガス発生器の別の実施形態を示す図である。
図20aは、燃焼チャンバの中にあるガス透過性の燃料ボディと併せて提供される火工式の固体推進剤を備える、本発明によるガス発生器の別の実施形態を示す図である。
【
図22】互いから耐圧的に分離される2つの圧力チャンバの部分を備える、本発明によるガス発生器の実施形態を示す図である。
【
図23】
図23aは、ガス透過性の燃料ボディの実施形態を示す図である。
図23bは、ガス透過性の燃料ボディの実施形態を示す図である。
図23cは、ガス透過性の燃料ボディの実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0087】
図1が本発明によるガス発生器10の第1の実施形態を示す。ガス発生器10が細長い円筒形ハウジング12を有し、細長い円筒形ハウジング12の第1の軸方向端部のところで一般的なデザインの点火装置が設けられ、細長い円筒形ハウジング12の第2の軸方向端部のところでハウジング12が膜16によりガス発生器10の環境から閉鎖される。
【0088】
ハウジング12がガス発生器10の外側ハウジングを形成する。流出開口部20を装備するディフューザ18が既知の手法で軸方向においてハウジング12に接続され、ディフューザ18から外に流れるガスを活性化されることになる安全デバイス(図示せず)まで案内する。
【0089】
ハウジング12が、軸方向Aにおいて点火装置14に接続される圧力チャンバ22を閉じ込める。圧縮チャンバ22に圧縮ガス24が充填される。圧縮ガス24が、アルゴン、ヘリウム、および/または窒素、あるいは任意の他の適切なガス混合物などの、不活性ガスを含み、さらに、気体の酸化性物質を含有する。気体の酸化性物質が主として(>50mol%)酸素から構成され、好適には完全に酸素から構成される。
【0090】
圧縮ガス24の平均モル質量が好適には7g/molから39g/molの範囲である。圧縮ガス24が閉じた圧力チャンバ22の中で少なくとも350バールの圧力で加圧され、好適には350バールから700バールの範囲の圧力で加圧される。したがって、圧縮ガス24の量は、例えばエアバッグを完全に膨らませることなどのために、ガス発生器10に接続される安全デバイスを活性化するのに十分な量である。
【0091】
点火装置14が圧力チャンバ22から耐圧的におよび気密的に分離される。この目的のために、点火装置14を中に受け入れている点火装置ハウジング28の中にある開口部26が、点火装置膜30により、圧力チャンバ22の方において閉じられている。点火装置膜30が例えば炭素鋼で作られるシート金属のディスクであってよい。
【0092】
本発明によると、圧力チャンバ22内で固定燃料31が受けられる。圧力チャンバ22がここで示される実施形態では別のパーティションデバイスを有さない。固定燃料31が、1つまたは複数の繊維で作られるガス透過性の燃料ボディ32として圧力チャンバ22内に存在する。したがって、圧縮ガス24が燃料ボディ32の孔を完全に通過することができ、ガス発生器10が活性化される前、圧縮ガス24が燃料31に直接密接に接触する。圧縮ガス24中の気体の酸化性物質のモル分率が、燃料31の化学量論的変換のために必要となる酸化性物質の量の少なくとも1.1倍である。したがって、活性化の場合に固体燃料ボディ32の迅速で完全な変換が保証される。好適には、燃料31に全体にわたっての酸化性物質の化学量論的過剰が、ガス透過性の燃料ボディ32の変換のために必要である量の2倍から10倍である。
【0093】
示される実施形態のガス透過性の燃料ボディ32が1つまたは複数の繊維から構成される3次元ボディであり、繊維材料で作られる。ガス透過性の燃料ボディ32が例えばファブリックで形成され得る。具体的には、ガス透過性の燃料ボディ32が巻き取られたファブリックであってよいか、または任意選択でスペーサを装備することができる複数のファブリック層のスタックであってよい。
【0094】
ファブリックが、当業者には既知の、モノフィラメント、スレッド、紡ぎ糸、または撚り糸の織り方によって得られ得、例えば、平織り、ボディウィーブ、繻子織、パナマウィーブ、さらにはそれらから得られるウィーブパターンによって得られ得る。
【0095】
別法として、ガス透過性の燃料ボディ32が、例えば、ニットファブリック、ニット、などのニットウェア、あるいはパッド、レイドファイバーファブリック、または不織物の形態として、任意の他の繊維材料で作られ得る。
【0096】
ここで示される実施形態では、繊維から構成されるガス透過性の燃料ボディ32が、例えば紡ぎ糸または撚り糸となるようにさらに処理され得るような複数の繊維で作られる。別法として、燃料ボディ32が、同様に3次元ボディとなるように形成され得る1つの繊維(モノフィルとも称される)のみで作られてもよい。
【0097】
示される実施形態では、繊維が、特にポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブタジエン、および/またはポリスチレンなどの、ポリオレフィン、さらには、ポリアミド、特にポリ酢酸ビニルなどのビニルポリマー、ポリウレタン、ポリエーテル、特にポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタラート、およびポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル、ポリイミド、ポリアミドイミド、アラミド、ポリアクリレート、polyacrylic nitrile、ポリベンゾイミダゾール、ポリ尿素、メラミン樹脂、ポリビニルアルコール、および/またはポリメタクリレートなどの紡糸可能な合成物質の合成繊維である。
【0098】
別法として、天然繊維が使用されてもよく、これは例えば、セルロースまたはでんぷんから得られる繊維であり、ここでは、天然繊維がやはり化学的に再処理され得る。これらの繊維には、特に、セルロースエーテル、セルロースエステル、酢酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、セルロースプロピオネート、ニトロセルロース、フェノール類、多糖質、およびポリアセタールが含まれる。基本的に、羊毛繊維も適する。
【0099】
ガス透過性の燃料ボディ32の密度が好適には10kg/m3から90kg/m3の範囲であり、より好適には10kg/m3から60kg/m3の範囲である。また、繊維で作られるガス透過性の燃料ボディ32の酸素を用いての変換により一般的な火工式の固体推進剤の変換の場合より少なくとも8倍多い反応熱が提供されることから、ここでは、非常に少量のガス透過性の燃料ボディ32のみで、圧縮ガス24を加熱するのに必要となるおよび/または膜16を破壊することを目的として圧力チャンバ22の内部に過剰圧力を発生させるのに必要となるエネルギーを放出するのに十分となる。
【0100】
ガス透過性の燃料ボディ32の圧縮硬さが好適には2.0kPaから10kPaの範囲である。これにより、ガス透過性の燃料ボディ32をハウジング12の中にプレス嵌めすること、および好適には最大10%圧縮するといったようにガス透過性の燃料ボディ32を径方向において圧縮することが可能となり、その結果、ガス透過性の燃料ボディ32が圧力嵌めにより圧力チャンバ22の内部で保持される。加えてまたは別法として、ガス透過性の燃料ボディ32が、接着結合により、またはハウジング12の中に摩擦面(図示せず)を形成することにより、固定され得る。
【0101】
ここでは、燃料ボディ32が圧力チャンバ22の容積の約50%を充填する。しかし、圧力チャンバ22内のガス透過性の燃料ボディ32の量が、例えば圧力チャンバ22の容積の10%から95%の範囲をとるように、所望のガス発生器の出力に応じて、自由に選択され得る。具体的には、ガス透過性の燃料ボディ32が圧力チャンバ22を完全に充填することができる。
【0102】
ガス発生器10が活性化されると、点火装置14が既知の手法で電気信号を受信し、それによりガス発生器10を点火する。最初に、これに伴う点火装置14内の圧力の急激な増大が点火装置膜30を破壊する。同時に、ガス透過性の燃料ボディ32が点火装置14によって放出される高温ガスおよび/または粒子により圧力チャンバ22内で加熱され、その結果、ガス透過性の燃料ボディ32の孔の中に収容される気体の酸化性物質を用いての燃料31の変換が開始される。上記変換中に起こる熱の発生が圧縮ガス24を加熱し、その結果、過剰圧力が発生する。上記過剰圧力により膜16が開けられ、加熱された圧縮ガス24がディフューザ18および環境につながる流出開口部20を介して圧力チャンバ22から外へ流れることができ、安全デバイスを作動させることができる。
【0103】
代替形態として、ガス発生器10の活性化が衝撃波を始動させるように実現され得、衝撃波が燃料ボディ32および圧力チャンバ22を通って伝播し、非常に迅速にかつ高い信頼性で膜16を開ける。衝撃波は点火装置膜30または点火装置14自体から放射され得る。燃料ボディ32が衝撃波を強化および/または制御するのに使用され得る。その後のガス透過性の燃料ボディ32の変換からの反応エネルギーが、ガス発生器10から外に流れる圧縮ガス24を加熱するように機能することができる。この変形形態では、圧縮ガス24が不活性ガスから構成され得、つまり気体の酸化性物質を有さなくてよい。この場合、ガス透過性の燃料ボディ32は、点火装置14によって発生する衝撃波を伝達および/または強化する機能のみを有する。
【0104】
図2が本発明によるガス発生器10の別の実施形態を示しており、ここでは、ハウジング12が、ここではラジアル方向の周囲環状溝36の形態である窪み34を備える。この事例では、ガス透過性の燃料ボディ32が環状溝36のみまで延在し、圧力チャンバ22の内部で環状溝36によって保持される。したがって、周囲環状溝36が、圧力チャンバ22の中に収容されるガス透過性の燃料ボディ32の量およびひいてはガス発生器の出力を示す働きをすることができる。
【0105】
その他の点では、
図2のガス発生器10の残りの構造が上記の
図1に示されるガス発生器10に対応する。
図1により既知であるガス発生器10の構成要素に関しては、上記の説明を参照する限りにおいて、同じ参照符号が使用される。
【0106】
示される実施形態では、点火装置膜30とガス透過性の燃料ボディ32との間の距離dが提示される。距離dはハウジング12の単一の内径の約0.6倍である。基本的に、距離dは、ハウジング12の単一の内径の最大2倍であり、好適には0.5から1.5倍であり、特に好適にはハウジング12の単一の内径である。
【0107】
別法として、この実施形態で、燃料ボディ32が点火装置ハウジング28まで延在することも可能である。この事例では、周囲環状溝36が圧力チャンバ22の内部で燃料ボディ32を固定し、それによりガス透過性の燃料ボディ32を必要以上に固定するための別の手段が作られる。
【0108】
ガス透過性の燃料ボディ32が、周囲環状溝36によって形成される窪み34の後方まで延在してもよい。この事例でも、同様に、環状溝36が圧力チャンバ22の内部でガス透過性の燃料ボディ32を保持する働きをする。その理由は、燃料ボディ32が環状溝36のエリアにおいて径方向に圧縮され、したがってハウジング12と燃料ボディ32との間に形状篏合及び/又は摩擦篏合による接続が形成されるからである。
【0109】
図3が、ガス発生器10のハウジング12が周囲環状溝36を有するように形成される実施形態を示しており、ここでは、
図2の類似の実施形態に加えて、点火装置14に隣接するところに燃焼チャンバ40を形成しながら圧力チャンバ22を分割するバースト要素38が環状溝36のところに設けられる。
【0110】
その他の点では、
図3のガス発生器10の残りの構造が上記の
図1および2に示されるガス発生器10に対応する。
図1および2により既知であるガス発生器10の構成要素に関しては、上記の説明を参照する限りにおいて、同じ参照符号が使用される。
【0111】
ガス透過性の燃料ボディ32が燃焼チャンバ40の中で受けられ、例えば、接着結合により、または摩擦面(ここでは図示せず)を形成することにより、ハウジング12の内壁42に固定され得る。しかし、好適には、ガス透過性の燃料ボディ32が径方向において圧縮され、燃焼チャンバ40の境界を画定するハウジング12の部分において圧力嵌めによって固定される。
【0112】
加えて、ガス透過性の燃料ボディ32が、ガス透過性の燃料ボディ32の軸方向に延在する連続する空洞44を有する。これに対応して、ガス透過性の燃料ボディ32が中空シリンダの形態で提供されるか、あるいは別法として複数の中空シリンダまたは軸方向において互いの上に積み重ねられる繊維材料の有孔ディスクの形態で提供されてもよい。燃料ボディ32の内部に複数の空洞44が存在してもよい。ガス透過性の燃料ボディ32のこのような実施形態は、衝撃波を発生させるかまたは伝達するのに特に適する。
【0113】
バースト要素38が、点火装置14を活性化するときに破壊されるように構成される脆化ゾーン46をさらに装備することができる。バースト要素38が、ガス発生器10を環境から閉鎖する膜16(
図1)より大きいバースト圧力を呈するように構成され得る。
【0114】
点火装置14が活性化されると、最初に点火装置膜30が破壊される。同時に、ガス透過性の燃料ボディ32が、点火装置14によって放射される高温ガスおよび/または粒子により燃焼チャンバ40内で加熱され、その結果、圧縮ガス24に含有される気体の酸化性物質を用いての燃料の変換が開始されることになり、ここでは気体の酸化性物質が燃料31を囲んでおり、ガス透過性の燃料ボディ32に直接接触している。酸化性物質を用いての燃料31の上記変換中に起こる熱の発生が圧縮ガス24をさらに加熱し、その結果、衝撃波を発生させながらまたは伝達しながらバースト要素38を開ける過剰圧力が発生する。
【0115】
加えてまたは別法として、ここでは、膜16を破壊するかまたは脆化させるような、点火装置14および/または点火装置膜30から放出される衝撃波を発生させることができる。この事例では、燃焼チャンバ40の中での気体の酸化性物質を用いての燃料31の変換が追加の熱エネルギーを発生させ、この追加の熱エネルギーが、圧力チャンバ22から外に流れて膨張する圧縮ガス24の冷却に反対に作用する。さらに、気体の酸化性物質を用いてのガス透過性の燃料ボディ32の変換から、安全デバイスの活性化のための追加の高温ガスが利用可能となり得る。
【0116】
図4が、本発明によるガス発生器10の別の実施形態を示す。この事例では、ガス発生器10のハウジング12が同様に周囲環状溝36を示す。加えて、点火装置14の反対側において燃焼チャンバ40の中に配置されるスクリーン48がバースト要素38を越えたところに設けられる。スクリーン48が、燃焼チャンバ40内でのガス透過性の燃料ボディ32または点火装置14の燃焼からの燃焼残留物を保持するように働く。
【0117】
その他の点では、
図4のガス発生器10の残りの構造が上記の
図1から3に示されるガス発生器10に対応する。
図1から3により既知であるガス発生器10の構成要素に関しては、上記の説明を参照する限りにおいて、同じ参照符号が使用される。
【0118】
この示される実施形態では、ガス透過性の燃料ボディ32が、燃焼チャンバ40の内部で中実シリンダの形態として構成される不織物である。中実シリンダの形態であるガス透過性の燃料ボディ32が例えば穿孔され得るかまたはラップとして提供され得る。ガス透過性の燃料ボディ32が不織物である場合、この不織物が、例えば、ニードルパンチング、絡み合い、バインダーを用いての正確な結合により、強固なものとされ得る、それによりガス透過性の燃料ボディ32の機械的な荷重性を向上させる。別法として、不織物の代わりに、レイドファブリック、パッド、フェルト、または上の実施形態で説明される燃料31が、燃料ボディ32のための材料として機能することができる。不織のファブリック、フェルト、およびパッドは、既知の方法に従って、天然繊維および/または合成繊維から製造され得る。これらの繊維は、エンドレスファイバー、限定的な長さの紡がれた繊維、ステイプルファイバー、または切断された紡ぎ糸、の形態で存在してよく、不織物、フェルト、またはバッドとなるようにさらに処理され得る。
【0119】
燃焼チャンバ40と圧力チャンバ22の残りの部分との間の圧力補償のためのオーバーフロー開口部を装備するバースト要素38が、ここで示される実施形態では、ハット形状である。バースト要素38の蓋54が、ガス発生器10を環境から閉鎖する膜16(
図1)より高いバースト圧力で裂けるように構成される脆化ゾーン46を有する。
【0120】
上で言及した実施形態と同様に、ここでは、点火装置14が活性化されると、衝撃波が点火装置自体によって発生することができる。加えてまたは別法として、点火装置14を燃焼チャンバ40から閉鎖する点火装置膜30が、点火装置膜30がバーストするときに衝撃波を始動させるように設計され得る。
【0121】
加えて、バースト要素38が開けられるときでも、膜16を開けるための衝撃波が発生することができる。バースト要素38のハット形状のデザインにより、
図3に示されるドーム形状のバースト要素38と比較していくらかの程度でより大きい燃焼チャンバ40の容積が得られ、それにより、より安定する衝撃波を発生させることが可能となる。
【0122】
図5では、燃料スレッド56の形態として、ガス透過性の燃料ボディ32をキャリア58の上に巻き付けるような、ガス発生器10の代替の実施形態が示される。燃料スレッド56も、モノフィル、紡ぎ糸、または撚り糸の形態であってよい。
【0123】
その他の点では、
図5のガス発生器10の残りの構造が上記の
図1から4に示されるガス発生器10に対応する。
図1から4により既知であるガス発生器10の構成要素に関しては、上記の説明を参照する限りにおいて、同じ参照符号が使用される。
【0124】
例えば、ガス透過性の燃料ボディ32としてスレッドラップを形成することを目的として、キャリア58として、繊維、スレッド、紡ぎ糸、および/または撚り糸をその上に巻き付けるのにリールが適する。キャリア58が例えば点火装置ハウジング28またはガス発生器10のハウジング12に押し付けられ得、その位置で固定され得る。
【0125】
この実施形態でも、ハウジング12がラジアル方向の周囲環状溝36の形態であってよい窪み34を備えることが可能である。この事例では、キャリア58が、加えて、または排他的に、環状溝36と同じレベルのところでハウジング12の内壁42に押し付けられ得る。
【0126】
図6および7では、ガス透過性の燃料ボディ32が繊維材料の自己支持型の燃料コイル60の形態として提供されるような、ガス発生器10の別の代替の実施形態が示されている。
【0127】
その他の点では、
図6および7のガス発生器10の残りの構造が上記の
図1から5に示されるガス発生器10に対応する。
図1から5により既知であるガス発生器10の構成要素に関しては、上記の説明を参照する限りにおいて、同じ参照符号が使用される。
【0128】
ガス透過性の燃料ボディ32が自己支持型の繊維の燃料コイル60の形態として提供される場合、キャリア58が省かれ得る。同時に、所望の螺旋形状で設置される繊維から構成されるストリップが燃料31として使用され得る。燃料コイル60をそこから形成するストリップの幅を介して、および燃料コイル60の2つの巻線の距離を介して、ガス透過性の燃料ボディ32の燃焼特性が調整され得る。
【0129】
この実施形態では、繊維の燃料コイル60がガス透過性の燃料ボディ32の表面を増大させるために微孔性繊維から構成されることが特に有利である。
【0130】
この実施形態のハウジング12がラジアル方向の周囲環状溝36の形態であってよい窪み34を備える場合、燃料コイル60の一方の端部が点火装置ハウジング28に押し付けられ得、燃料コイル60のもう一方の端部が環状溝36の同じレベルのところでハウジング12の内壁42に押し付けられ得る。
【0131】
繊維の燃料コイル60が
図7に示される二重の燃料コイル60であってよい。この目的のため、燃料コイル60が点火装置ハウジング28の反対側の端部のところで折り畳まれ、その結果、小さい直径を有する対向するという意味の第2のコイルが燃料コイル60の内部に形成される。
【0132】
燃料コイル60が追加のキャリアを有することができ、この追加のキャリアにより燃料コイル60の形状が予め決定され得、および/または安定化され得る。このキャリア自体も酸化性物質を用いての変換を呈することができ、このようにして反応熱に寄与することができる。
【0133】
図8が本発明によるガス発生器10の別の実施形態を示しており、ここでは、ハウジング12がここではラジアル方向の周囲環状溝36の形態である窪み34を備える。ガス透過性の燃料ボディ32がこの実施形態では軸方向Aにおいて環状溝36を越えて延在し、圧力チャンバ22を完全にまたは部分的に充填することができる。この事例では、環状溝36がさらに、圧力チャンバ22の内部でガス透過性の燃料ボディ32を保持する働きをする。その理由は、燃料ボディ32が環状溝36のエリアにおいてラジアル方向において圧縮されており、それによりハウジング12と燃料ボディ32との間に形状篏合及び/又は摩擦篏合による接続が形成される。
【0134】
図9に示される
図1のガス発生器10の変形形態によると、ハウジング12が同様にラジアル方向の周囲環状溝36を装備する。この事例では、燃料ボディ32が環状溝36のみまで延在し、環状溝36により圧力チャンバ22の内部で保持される。したがって、この実施形態では、燃料ボディ32を固定するための別の手段が必要ない。周囲環状溝36が圧力チャンバ22の中に収容される燃料の量およびひいてはガス発生器の出力を示す働きをすることができる。
【0135】
その他の点では、
図8および9のガス発生器10の残りの構造が上記の
図1から7に示されるガス発生器10に対応する。
図1から7により既知であるガス発生器10の構成要素に関しては、上記の説明を参照する限りにおいて、同じ参照符号が使用される。
【0136】
図10が、ガス発生器10のハウジング12が周囲環状溝36を有するように形成されるような別の実施形態を示しており、ここでは、
図9による実施形態に加えて、点火装置14に隣接して燃焼チャンバ40を形成しながら圧力チャンバ22を分割するバースト要素38が環状溝36のところに設けられる。ガス透過性の燃料ボディ32が燃焼チャンバ40の中で受けられ、例えば、接着結合により、または摩擦面(ここでは図示せず)を形成することにより、ハウジング12の内壁42に固定され得る。しかし、好適には、ガス透過性の燃料ボディ32が径方向において圧縮されており、それにより燃焼チャンバ40の境界を画定するハウジング12の部分の中に圧力嵌めにより固定される。
【0137】
しかし、気体の酸化性物質を有する圧縮ガスを収容する圧力チャンバ22の圧力チャンバの部分62のみと燃焼チャンバ40との間のバースト要素38によりパーティションが耐圧的ではない。具体的には、バースト要素38の中にオーバーフロー開口部またはオーバーフロー通路(図示せず)が設けられ得、それにより圧力チャンバの部分62と燃焼チャンバ40との間での圧力補償が可能となる。具体的には、これらのオーバーフロー通路がバースト要素38の外側周縁部の一部分に沿って軸方向に配設され得る。バースト要素38が、点火装置14の活性化中にまたは点火装置14の活性化の直後に破壊されるように構成される脆化ゾーン46をさらに装備することができる。バースト要素38が、ガス発生器10を環境から閉鎖する膜16より高いバースト圧力を有するように構成され得る。
【0138】
その他の点では、
図10のガス発生器10の残りの構造が上記の
図1から9に示されるガス発生器10に対応する。
図1から7により既知であるガス発生器10の構成要素に関しては、上記の説明を参照する限りにおいて、同じ参照符号が使用される。
【0139】
図11が本発明によるガス発生器10の別の実施形態を示す。この図では、ガス発生器10が同様に細長い円筒形ハウジング12を有し、この細長い円筒形ハウジング12の第1の軸方向端部のところに点火装置14が設けられ、この細長い円筒形ハウジング12の第2の軸方向端部のところでハウジングがガス発生器10の環境から膜16によって閉鎖される。アウトフロー開口部20を装備するディフューザ18が軸方向においてハウジング12に接続され、ディフューザ18から外に流れるガスを、活性化されることになる安全デバイス(図示せず)まで案内する。
【0140】
ハウジング12が、軸方向Aにおいて点火装置14に隣接する圧力チャンバ22の境界を画定する。圧力チャンバ22に圧縮ガス24が充填される。圧縮ガス24が、アルゴン、ヘリウム、および/または窒素、あるいは任意の他の適切なガス混合物などの、少なくとも1つの不活性ガスを含み、さらに、気体の酸化性物質を含有することができる。気体の酸化性物質が主として(>50mol%)酸素から構成される。
【0141】
点火装置14が圧力チャンバ22から耐圧的におよび気密的に分離される。この目的で、点火装置14を中に受け入れている点火装置ハウジング28の中にある開口部26が点火装置膜30により圧力チャンバ22の方において閉じられている。
【0142】
ハウジング12がガス発生器10の外側ハウジングを形成し、周囲環状溝36を装備し、周囲環状溝36のところでバースト要素38が保持される。バースト要素38が圧力チャンバ22を仕切り、それにより軸方向Aにおいて点火装置14に隣接して燃焼チャンバ40を形成する。ガス透過性の燃料ボディ32が燃焼チャンバ40の中で受けられる。加えて、点火装置14の反対側において燃焼チャンバ40の中に配設されるスクリーン48がバースト要素38を越えたところに設けられる。
【0143】
このようなガス発生器は、特に、バースト要素38の破壊によって始動される衝撃波が膜16を迅速にかつ安全に開けることになるように、構成され得る。
【0144】
図11に示される実施形態の代替形態として、バースト要素38が省略され得る。この場合、燃焼チャンバおよび圧力チャンバが、周囲環状溝36に固定され得るスクリーン48のみにより互いから分離される。さらに、スクリーン48を介して圧力補償が行われ、その結果、ガス透過性の燃料ボディ32が圧縮ガス24およびその中に含有される酸化性物質に直接接触するようになる。
【0145】
その他の点では、ガス透過性の燃料ボディ32および圧縮ガス24が
図1から10に関連して説明したように構成される。
【0146】
ガス発生器10が活性化されると、点火装置14が既知の手法で電気信号を受信し、それによりガス発生器10を点火する。最初に、これに伴う点火装置14内の圧力の急激な増大が点火装置膜30を破壊する。同時にまたは直後に、ガス透過性の燃料ボディ32が点火装置14によって放出される高温ガスおよび/または粒子により燃焼チャンバ40内で加熱され、その結果、ガス透過性の燃料ボディ32の開口部の中に収容される気体の酸化性物質を用いての燃料の変換が開始される。上記変換中に起こる熱の発生が圧縮ガス24を加熱し、その結果、過剰圧力が発生する。上記過剰圧力により、最初に、バースト要素38が破壊され、次いで膜16が即座に開けられる。次いで、加熱された圧縮ガス24がディフューザ18および環境につながる流出開口部20を介して圧力チャンバ22から外へ流れることができ、安全デバイスを作動させることができる。
【0147】
バースト要素38が破壊されることがさらに衝撃波を始動させることができ、衝撃波が圧力チャンバの部分62を伝播して膜16を非常に迅速に開ける。
【0148】
ここでは、衝撃波は点火装置膜30または点火装置14自体から放射され得る。ここでは、燃料ボディ32が衝撃波を強化および/または制御するのに使用され得る。圧縮ガス24が気体の酸化性物質を含有する場合、その後のガス透過性の燃料ボディ32の変換からの反応エネルギーが、ガス発生器10から外に流れる圧縮ガスを加熱するように機能することができる。
【0149】
図12が、衝撃波を発生させるための、多様な手法で形成され得る
図11のガス発生器10の変形形態を示す。燃焼チャンバ40の中で受けられるガス透過性の燃料ボディ32が、軸方向Aに延在する連続する開口部66を有する中空シリンダ64の形態である。しかし、ガス透過性の燃料ボディ32が大きいブロックとしても存在してよく、つまり開口部および軸方向貫通通路を有さなくてよいか、または2つ以上の連続する開口部を有することができる。頑丈な点火装置が点火装置14として使用され得る。点火装置14が活性化されると、ここでは、衝撃波が矢印Kによって示されるように点火装置自体によって発生することができる。加えてまたは別法として、点火装置14を燃焼チャンバ40から閉鎖する点火装置膜30が、点火装置膜30のバースト時に矢印Lによって示されるように衝撃波を始動させることになるように、設計され得る。
【0150】
燃焼チャンバ40と圧力チャンバ22の残りの圧力チャンバの部分62との間の圧力補償のためのオーバーフロー開口部を装備するバースト要素38が、ここで示される実施形態では、ハット形状である。バースト要素38の蓋が、ガス発生器10を環境から閉鎖する膜16(
図11)より高いバースト圧力で裂けるように構成される脆化ゾーン46を有する。したがって、バースト要素38が開けられる場合でも、矢印Mによって示されるように膜16を開けるために衝撃波が発生することができる。バースト要素38のハット形状の構成により、
図11に示されるドーム形状のバースト要素38と比較していくらかの程度でより大きい燃焼チャンバ40の容積が得られ、それにより、より安定する衝撃波を発生させることが可能となる。
【0151】
点火装置14が活性化されると、最初に点火装置膜30が破壊される。同時にまたは直後に、ガス透過性の燃料ボディ32が、点火装置14によって放出される高温ガスおよび/または粒子により燃焼チャンバ40内で加熱され、その結果、圧縮ガス24を囲んでおりガス透過性の燃料ボディ32に直接接触している、圧縮ガス24に含有される気体の酸化性物質を用いての燃料31の変換が開始されることになる。酸化性物質を用いての燃料31の上記変換中に起こる熱の発生が圧縮ガス24をさらに加熱し、その結果、衝撃波を発生させながらバースト要素38を開ける過剰圧力が発生する。衝撃波が圧力チャンバ22および圧力チャンバの部分62の中で非常に高い速度で伝播し、膜(
図11)を直接開ける。次いで、圧縮ガス24がディフューザ18の中の出口開口部20を介して流れて、活性化されることになる安全デバイスに到達する。
【0152】
加えてまたは別法として、ここでは、点火装置14および/または点火装置膜30から放射される衝撃波が、膜16を破壊するかまたは脆化させるために発生することができる。この事例では、燃焼チャンバ40内での気体の酸化性物質を用いての燃料31の変換が追加の熱エネルギーを提供し、この追加の熱エネルギーが、圧力チャンバ22から外に流れて膨張する圧縮ガス24の冷却に反対に作用する。さらに、安全装置を活性化するための気体の酸化性物質を用いてのガス透過性の燃料ボディ32の変換から追加の高温ガスが利用可能となり得る。
【0153】
その他の点では、
図11および12のガス発生器10の残りの構造が上記の
図1から10に示されるガス発生器10に対応する。
図1から10により既知であるガス発生器10の構成要素に関しては、上記の説明を参照する限りにおいて、同じ参照符号が使用される。
【0154】
図13が別の実施形態を示しており、ここでは、ガス透過性の燃料ボディ32および火工式の固体推進剤68が燃焼チャンバ40の中で一体に存在する。ガス透過性の燃料ボディ32が、この事例では、燃料ボディ32の中に、火工式の固体推進剤68を中で受けるための空洞44を形成するように、構成される。具体的には、ガス透過性の燃料ボディ32が中空シリンダの形態であり、中空シリンダの自由端が、それぞれ、任意選択で中空シリンダと一体に形成される蓋70または72に接続され、蓋70および72が同様にガス透過性の燃料ボディ32で作られる。この実施形態では、同様に、スクリーン48および/またはバースト要素38が省略され得る。中空シリンダの形態のガス透過性の燃料ボディ32がハウジング12に形状篏合又は摩擦篏合で当接され得るか、または環状溝36まで延在して圧力チャンバ22の中で固定され得る。
【0155】
図14による実施形態では、燃焼チャンバ40の中に導入されるガス透過性の燃料ボディ32がマトリックス74を形成することができ、火工式の固体推進剤68がこのマトリックス74に統合される。火工式の固体推進剤68の代わりに、この実施形態では、さらに、粉末金属、あるいは、例えば、ワイヤ形状、ホイル形状、または別の塊状の形状の他の金属ボディが、ガス透過性の燃料ボディ32で作られるマトリックス74に統合されるように提供され得る。
【0156】
したがって、この実施形態では、火工式の固体推進剤68および/または金属の含有物と共に、ガス透過性の燃料ボディ32が、取り扱いが特に容易である複合材料を形成する。具体的には、ガス透過性の燃料ボディ32で作られるマトリックス74の中を広がっている火工式の固体推進剤68の複合物が、圧力チャンバ22の中の環状溝36の上方で容易に保持され得る。したがって、スクリーン48および/またはバースト要素38をなくすことにより、特に単純である構成のガス発生器10が可能となる。このような変形形態が
図15に示される。
【0157】
ガス発生器の出力は、ガス透過性の燃料ボディ32で作られるマトリックス74の中を広がっている火工式の固体推進剤68の比率を介して大きく変更され得る。
【0158】
その他の点では、
図13から15のガス発生器10の残りの構造が上記の
図1から12に示されるガス発生器10に対応する。
図1から12により既知であるガス発生器10の構成要素に関しては、上記の説明を参照する限りにおいて、同じ参照符号が使用される。
【0159】
図16に示される実施形態によると、ガス発生器10が、バースト要素38により圧力チャンバ22の圧力チャンバの部分62から分離される燃焼チャンバ40を有し、しかし、バースト要素38がオーバーフロー開口部を有し、その結果、圧力チャンバの部分62および燃焼チャンバ40が互いに流体連通される。上記オーバーフロー開口部は詳細には示されない。上記オーバーフロー開口部が、例えば、バースト要素38の外側周縁部に沿って軸方向に延在することができる。別法としてまたは加えて、バースト要素38が、例えば、そのキャップ形状の端部において小さい直径を有する個別の材料透過性の開口部(図示せず)を有することも可能である。これらの開口部の数およびサイズは、バースト要素38を開けることで衝撃波の所望の形での形成を損なうことのないようにするための、少ない数および小さいサイズに留められる必要がある。バースト要素38に加えて、フィルタ76が点火装置14の反対側の燃焼チャンバ40の側に設けられ、フィルタ76がバースト要素38に押し付けられる。火工式の固体推進剤68が燃焼チャンバ40の中で受けられ、互いの上に積み重ねられて中央孔80を有する推進剤のリング78の形態の成形ボディとして提供される。推進剤のリング78が、フィルタ76により燃焼チャンバ40の内部で軸方向に保持される。
【0160】
ガス透過性の燃料ボディ32が、火工式の固体推進剤68の推進剤のリング78の中央孔80の中に係合される円筒形部分82を有する。したがって、ガス透過性の燃料ボディ32がさらに、ここでの実施形態で示されるように、燃焼チャンバ40の内部で火工式の固体推進剤68を固定するように働く。同時に、ガス透過性の燃料ボディ32がブースターチャージの機能をさらに有することができる。
【0161】
さらに、容積補償のために、ガス透過性の燃料ボディ32がディスク形状のベース部材84を有することができ、ディスク形状のベース部材84が燃焼チャンバ40内の点火装置側に配置され得、推進剤のリング78の中央孔80の中に係合され得る円筒形部分82と一体に形成され得る。別法として、ベース部材84が、別個の容積補償ボディとして、円筒形部分82とは別個に燃焼チャンバ40の中に導入され得る。ベース部材84が部分的に圧縮され得、したがって、推進剤のリング78に対して軸方向の圧力を作用させることができ、それにより、騒音を発生するのを回避する。燃焼チャンバ40の中での容積補償は、軸方向におけるディスク形状のベース部材84の厚さを介して実現され得る。したがって、ガス透過性の燃料ボディ32を介して、ガス発生器の出力を適合させることもできる。
【0162】
図16に示される実施形態の変形形態が
図17に示される。火工式の固体推進剤68で作られて燃焼チャンバ40の中に配設される推進剤のリング78が、同様に、互いの上に積み重ねられ、中央孔80を備える。ガス透過性の燃料ボディ32がここでは少なくとも3つの部品で形成され、推進剤のリング78の中央孔80の中に係合される円筒形部分82を有する。したがって、円筒形部分82が燃焼チャンバ40の内部で推進剤のリング78を固定する。さらに、ガス透過性の燃料ボディ32が、点火装置側に配置されるディスク形状のベース部材84を備え、このディスク形状のベース部材84が燃焼チャンバ40内での容積補償を実現する。最後に、ガス透過性の燃料ボディ32が、ディスク形状のベース部材84の反対側に設けられて推進剤のリング78の上に配置される蓋86をさらに備える。蓋86がフィルター76に当接され、フィルター76が、ハウジング12の中に導入されて燃焼チャンバ40を形成しながら圧力チャンバ22を仕切っている環状溝36により圧力チャンバ22の内部で保持される。したがって、
図17に示される実施形態では、燃焼チャンバ40を閉鎖するバースト要素38が設けられない。火工式の固体推進剤68の推進剤のリング78のスタックが、ガス透過性の燃料ボディ32のフィルター76および蓋86により、燃焼チャンバ40内で軸方向において固定される。したがって、この実施形態ではさらに、燃焼チャンバ40の内部で火工式の固体推進剤68およびガス透過性の燃料ボディ32を固定するのに必要となる追加の保持要素が必要ない。上で説明したように、ガス透過性の燃料ボディ32の円筒形部分82、ならびにベース部材84および/または蓋86のいずれかが、同様に、互いに一体に形成され得る。
【0163】
図18が、孔を有するかまたは有さないいずれかの形の、火工式の固体推進剤68で作られる推進剤のリング78または他のディスク形状の要素、ならびに燃料ボディ32で形成されるディスクボディ88が、交互に互いの上に積み重ねられる、
図16に示されるガス発生器10の別の変形形態を示す。この事例では、また、燃料ボディ32で作られるディスクボディ88が多様な厚さを有することができ、容積補償手段として機能することができ、および/またはガス発生器の出力を適合させるように機能することができる。さらに、燃料ボディ32で形成されるディスクボディ88が1つまたは複数の貫通孔を有することができる。上で説明したように、
図18に示されるバースト要素38が省略得るか、またはスクリーン48がバースト要素38および/またはフィルター76に加えて設けられ得る。
【0164】
図19に示される別の変形形態によると、燃料ボディ32で形成されるディスクボディ88が、火工式の固体推進剤68で作られる推進剤のリング78の中に設けられる孔80の中に係合される軸方向突出部90を装備することができる。さらに、この実施形態の別の修正形態も可能である。例えば、火工式の固体推進剤68が、複数の貫通孔を有するディスクの形態で提供され得、ガス透過性の燃料ボディ32が、貫通孔の中に各々係合される1つまたは複数の突出部を有する対応する形状を有することができる。こうすることで、燃焼チャンバ40の中で火工式の固体推進剤68を特に安定させて固定することが可能となる。
【0165】
その他の点では、
図16よび19のガス発生器10の残りの構造が上記の
図1から15に示されるガス発生器10に対応する。
図1から15により既知であるガス発生器10の構成要素に関しては、上記の説明を参照する限りにおいて、同じ参照符号が使用される。
【0166】
図20および20aの実施形態が本発明によるガス発生器10を示しており、ここでは、バースト要素38により圧力チャンバ22が燃焼チャンバから分離され、バースト要素38がオーバーフロー開口部(図示せず)を装備し、その結果、圧力チャンバ22および燃焼チャンバ40が互いに流体連通される。燃焼チャンバ40の中に配設されるガス透過性の燃料ボディ32が、軸方向に連続する孔94を装備する円筒形ボディ92の形態であるモノリシックブロックのとして提示される。火工式の固体推進剤68がガス透過性の燃料ボディ32内の軸方向孔94の中で受けられる。ここで示される実施形態では、火工式の固体推進剤68が推進剤ペレット96の形態であり、推進剤ペレット96の直径がガス透過性の燃料ボディ32の軸方向孔94の直径に一致するかまたは最大で10%わずかに大きい。軸方向孔94に顆粒形態または他の形態の火工式の固体推進剤68を充填することを意図することができる。このような事例では、追加のカバー(図示せず)が円筒形ボディ92のところに設けられる。バースト要素38の代わりに、スクリーン48またはフィルター76(図示せず)が提供され、これらが、燃焼チャンバ40の内部において火工式の固体推進剤68を充填されたガス透過性の燃料ボディ32を保持する。さらに、燃料31で作られる円筒形ボディ92が、燃料31で作られる蓋により一方の端部または両方の端部において閉じられ得、それにより燃焼チャンバ40の中で容積補償を実現することができる。
【0167】
図21に示される本発明によるガス発生器の実施形態では、火工式の固体推進剤68が燃焼チャンバ40内の推進剤ペレット96のベッドの形態で提供される。推進剤のペレット96の代わりに、ベッドが、粉末、顆粒、または他の成形ボディであってよい。燃焼チャンバ40がバースト要素38により圧力チャンバ22から仕切られる。バースト要素38が、ガス発生器10の活性化の前でも圧力チャンバ22と燃焼チャンバ40との間で圧力補償を実施するように、構成される。バースト要素38を越えたところにスクリーン48が設けられ、スクリーン48が、火工式の固体推進剤68の燃焼中にまたは点火装置膜30の開放中に燃焼チャンバ40内で生成される粒子を保持することができる。ガス透過性の燃料ボディ32が2つの層98、100を備え、2つの層98、100により火工式の固体推進剤68の推進剤のベッドが覆われる。燃料31で形成される層98、100が推進剤のベッドの両側に軸方向で配設され、したがって、燃焼チャンバ40内での容積補償要素として機能し、騒音を防止するようにも機能する。
【0168】
その他の点では、
図20よび21のガス発生器10の残りの構造が上記の
図1から19に示されるガス発生器10に対応する。
図1から19により既知であるガス発生器10の構成要素に関しては、上記の説明を参照する限りにおいて、同じ参照符号が使用される。
【0169】
図22に示される実施形態がガス発生器10を示しており、ここでは、圧力チャンバ22が、互いから耐圧的に分離される2つの圧力チャンバの部分104および106に分割される。したがって、圧力チャンバの部分104および106が第1のおよび第2の圧力チャンバともみなされ得る。
【0170】
管状ハウジング12が圧力チャンバの部分104および106の両方を包囲しており、その第1の軸方向端部のところで、点火装置14を有し、その第2の軸方向端部のところで、ガス発生器を環境から閉鎖する膜16を有する。アウトフロー開口部20を装備するディフューザ18が軸方向においてハウジング12に接続され、圧力チャンバ22の外に流れるガスを、活性化されることになる安全デバイス(図示せず)まで伝達する。ディフューザ18はハウジング12の軸方向端部のところに設けられ、ここには膜16も位置している。
【0171】
ハウジング12内の点火装置側に配設される第1の圧力チャンバの部分104が、点火装置14のためのホルダを装備するベースプレート108からハウジング12のラジアル方向の周囲環状溝36のところまで軸方向において延在し、この環状溝36のところで別の膜102が固定される。別の膜102が、軸方向において隣接する第2の圧力チャンバの部分106から第1の圧力チャンバの部分104を気密的におよび耐圧的に密閉する。点火装置14が同様に耐圧的にベースプレート108の中で受けられる。
【0172】
第1の圧力チャンバの部分104が、唯一の燃料31としての、ガス透過性の燃料ボディ32、さらには、熱エネルギーを発生させながら燃料31の変換を行うための気体の酸化性物質を有する圧縮ガス24を収容し、ここでは、圧縮ガス中の気体の酸化性物質のモル分率が、燃料31の化学量論的変換のために必要となる酸化性物質の量の少なくとも1.1倍である。加えて、第1の圧力チャンバの部分104の中の圧縮ガス24がさらに、ヘリウム、アルゴン、または窒素などの、不活性ガスを含有することができる。
【0173】
第2の圧力チャンバの部分106の中の圧縮ガス110が、好適には気体の酸化性物質を有さず、不活性ガスまたは不活性ガスの混合物で作られる。第2の圧力チャンバの部分106がガス透過性の燃料ボディ32を収容せず、また他の火工式の固体推進剤68も収容しない。
【0174】
互いに隣接する2つの圧力チャンバの部分104および106の中のガス圧力が好適には350バールから700バールの範囲であり、好適には等しく、その結果、圧力チャンバの部分104、106の間の別の膜102が、ガス発生器10のアイドル状態において、圧力荷重を実質的に受けないことから、圧力に抵抗する必要がない。
【0175】
点火装置14が活性化されると、第1の圧力チャンバの部分104の中のガス透過性の燃料ボディ32が、点火装置14によって放出される高温ガスおよび/または粒子によって加熱され、その結果、第1の圧力チャンバの部分104の中に同様に存在する気体の酸化性物質を用いての変換が行われる。上記変換中に生成される熱エネルギーにより第1の圧力チャンバの部分104の中で過剰圧力が発生し、その結果、第1の圧力チャンバの部分104と第2の圧力チャンバの部分106との間にあってかつそれらの隣接する膜102、および第2の圧力チャンバの部分106の反対側の端部のところにある膜16が開けられる。この場合、圧縮ガス24および110が圧力チャンバ22から出ることができ、アウトフロー開口部20を介して、活性化されることになる安全デバイスまで案内され得る。
【0176】
その他の点では、
図22のガス発生器10の残りの構造が上記の
図1から21に示されるガス発生器10に対応する。
図1から21により既知であるガス発生器10の構成要素に関しては、上記の説明を参照する限りにおいて、同じ参照符号が使用される。
【0177】
ガス透過性の燃料ボディ32の別の構成が
図23aから23cに示される。
図23aが、連続する空洞112を有するハニカム構造を有するガス透過性の燃料ボディ32を示しており、連続する空洞112が互いに実質的に平行に延在する。空洞112が通路を形成し、この通路の中に気体の酸化性物質が入ることができる。
【0178】
図23bがロールの形態のガス透過性の燃料ボディ32を示しており、ここでは、巻かれた状態の繊維の層114がスペーサ116によって互いから分離され、その結果、連続する空洞118がロール内に形成される。繊維の層114自体が5μmから200μmの厚さを有することができる。スペーサ116の高さは好適には層114の厚さの3倍から5倍である。圧縮ガス24中に含有される気体の酸化性物質が、層114の間にスペーサ116によって形成される空洞118を通過することができ、したがって層114に非常に密に接触する。しかし、スペーサ116は任意選択であるとみされる必要がある。言い換えると、このような代替の実施形態(図示せず)では、ファブリック、ニットファブリック、ニット、不織物、またはレイドファブリックの形態である繊維の層114の対応する幾何学的構造により、空洞118が実質的に自動で得られることを理由として、スペーサ116が必要ではなく、つまり存在しない。
【0179】
図23cが、気体の酸化性物質を用いて変換され得る材料である繊維の層120とは異なり迅速に燃焼する材料の繊維の中間層122から各々構成される、互いに上に積み重ねられる繊維の層120を有するガス透過性の燃料ボディ32を示す。繊維の層122がガス透過性の燃料ボディ32より迅速に燃焼するかまたはよりゆっくり燃焼することを理由として、この構成は、ガス透過性の燃料ボディ32の燃焼速度を制御するのをさらに補助する。
【0180】
本発明によるガス発生器の上で説明される実施形態は単に例であることを意図され、決して限定的ではない。本説明を読むことにより添付の特許請求で定義される本発明の範囲から逸脱することなく、当業者には本発明による説明される実施形態の修正形態および変形形態が明らかとなろう。
<付記>
[形態1]
特に車両の中の安全デバイスのための、ガス発生器であって、前記ガス発生器が、
圧縮ガス(24)を充填されており、前記ガス発生器(10)の環境から閉鎖されている圧力チャンバ(22)であって、前記圧縮ガス(24)が主として酸素から構成される気体の酸化性物質を含有する、圧力チャンバ(22)と、
前記圧力チャンバ(22)の中で受けられる固体燃料(31)であって、前記ガス発生器(10)が活性化される前、前記圧縮ガス(24)が前記燃料(31)に直接接触している、固体燃料(31)と、
前記圧力チャンバ(22)から耐圧的に分離される点火装置(14)であって、前記点火装置(14)により、前記ガス発生器(10)が活性化されるとき、前記固定燃料(31)を用いての前記気体の酸化性物質の変換が始動して熱を発生させる、点火装置(14)と
を備え、
前記燃料(31)が、1つまたは複数の繊維で作られるガス透過性の燃料ボディ(32)の形態で提供され、前記圧縮ガス(24)中の前記気体の酸化性物質のモル分率が、前記ガス透過性の燃料ボディ(32)の化学量論的変換のために必要となる酸化性物質の量の少なくとも1.1倍である、
ガス発生器。
[形態2]
形態1に記載のガス発生器において、前記気体の酸化性物質が酸素および別の気体の酸化性物質を含み、好適には、少なくとも60%の酸素のモル分率を有することを特徴とする、ガス発生器。
[形態3]
形態1または2に記載のガス発生器において、前記ガス透過性の燃料ボディ(32)が、具体的には、中に前記1つまたは複数の繊維が含まれる、ファブリック、ニットファブリック、ニット、不織物、フェルト、レイドファブリック、またはパッドなどの、繊維材料から作られることを特徴とする、ガス発生器。
[形態4]
前記形態のいずれか一項に記載のガス発生器において、前記1つまたは複数の繊維が天然繊維であり、好適にはセルロース繊維またはでんぷん繊維であることを特徴とする、ガス発生器。
[形態5]
前記形態のいずれか一項に記載のガス発生器において、前記1つまたは複数の繊維が合成繊維であることを特徴とする、ガス発生器。
[形態6]
前記形態のいずれか一項に記載のガス発生器において、前記1つまたは複数の繊維がスレッドとなるように紡がれ、ならびに/あるいは紡ぎ糸および/または撚り糸となるように撚り合わされ、好適には、繊維ファブリックおよび/または3次元繊維ボディとなるようにさらに処理されることを特徴とする、ガス発生器。
[形態7]
前記形態のいずれか一項に記載のガス発生器において、前記ガス透過性の燃料ボディ(32)が、円筒形ボディ、ラップ、またはコイルの形態であることを特徴とする、ガス発生器。
[形態8]
前記形態のいずれか一項に記載のガス発生器において、前記燃料(31)が1つまたは複数のスレッドの形態であること、および前記ガス透過性の燃料ボディ(32)が、好適にはリールである、キャリア(58)を備え、前記キャリア(58)の上に前記スレッドが巻き付けられることを特徴とする、ガス発生器。
[形態9]
前記形態のいずれか一項に記載のガス発生器において、前記ガス透過性の燃料ボディ(32)が前記圧力チャンバ(22)の容積の少なくとも3%を充填し、好適には前記圧力チャンバ(22)の容積の3%から95%を充填し、特に好適には前記圧力チャンバ(22)の容積の5%から50%を充填することを特徴とする、ガス発生器。
[形態10]
前記形態のいずれか一項に記載のガス発生器において、前記圧力チャンバ(22)が、前記ガス透過性の燃料ボディ(32)に加えて、前記圧力チャンバ(22)の中で受けられる火工式の固体推進剤を収容することを特徴とする、ガス発生器。
[形態11]
形態10に記載のガス発生器において、前記ガス透過性の燃料ボディが少なくとも中空シリンダの形態で存在し、前記中空シリンダの中に前記火工式の固体推進剤が導入されることを特徴とする、ガス発生器。
[形態12]
前記形態のいずれか一項に記載のガス発生器において、前記ガス透過性の燃料ボディ(32)が前記圧力チャンバ(22)の内部で前記点火装置(14)から離間されて存在し、前記燃料ボディ(32)が、前記ハウジング(12)の内径の最大2倍の距離のところに配置され、好適には0.5倍から1.5倍の距離のところに配置され、特に好適には1倍の距離のところに配置されることを特徴とする、ガス発生器。
[形態13]
前記形態のいずれか一項に記載のガス発生器において、前記点火装置(14)に隣接して燃焼チャンバ(40)を形成しながら前記圧力チャンバ(22)を仕切る構成要素が提供され、前記ガス透過性の燃料ボディ(32)および任意選択の前記火工式の固体推進剤が前記燃焼チャンバ(40)の中で受けられることを特徴とする、ガス発生器。
[形態14]
形態13に記載のガス発生器において、前記燃焼チャンバ(40)が、前記圧力チャンバ(22)の容積の約2%から50%、特に好適には5%から30%を占有することを特徴とする、ガス発生器。
[形態15]
前記形態のいずれか一項に記載のガス発生器において、前記ガス発生器(10)が活性化されると、少なくとも1つの衝撃波が発生し、前記少なくとも1つの衝撃波が前記圧力チャンバ(22)を少なくとも部分的に伝播することができ、それにより膜(16)を破壊することを特徴とする、ガス発生器。
[形態16]
モジュールであって、ガス発生器(10)と、前記ガス発生器(10)によって膨らむことができるエアバッグと、モジュールを車両に取り付けるための設置デバイスと、を備えるモジュールにおいて、
前記ガス発生器が形態1から15の少なくとも一項に従って構成されることを特徴とする、モジュール。
[形態17]
ガス発生器(10)と、モジュールの一部として、前記ガス発生器(10)によって膨らむことができるエアバッグと、電子制御ユニットであって、始動状況時に前記電子制御ユニットにより前記ガス発生器(10)が活性化され得る、電子制御ユニットとを備える、特に車両乗員または歩行者などの人を保護するための、車両安全システムであって、
前記ガス発生器(10)が形態1から15の少なくとも一項に従って構成されることを特徴とする、車両安全システム。