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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-22
(45)【発行日】2024-01-05
(54)【発明の名称】密閉断熱タンク
(51)【国際特許分類】
   F17C 3/04 20060101AFI20231225BHJP
   F17C 9/00 20060101ALI20231225BHJP
   F17C 13/00 20060101ALI20231225BHJP
   B63B 25/16 20060101ALI20231225BHJP
   B67D 7/78 20100101ALI20231225BHJP
【FI】
F17C3/04 A
F17C9/00 A
F17C13/00 302E
B63B25/16 103
B67D7/78 Z
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2021557194
(86)(22)【出願日】2020-03-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-24
(86)【国際出願番号】 EP2020058436
(87)【国際公開番号】W WO2020193665
(87)【国際公開日】2020-10-01
【審査請求日】2022-10-31
(31)【優先権主張番号】1903169
(32)【優先日】2019-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】515220317
【氏名又は名称】ギャズトランスポルト エ テクニギャズ
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】ジヴォルー イラリオン
【審査官】植前 津子
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-525898(JP,A)
【文献】特表2013-528541(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F17C 1/00-13/12
B63B 25/16
B67D 7/78
B65D 88/00-90/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液化ガスを貯蔵するための密閉断熱タンク(71)であって、
前記密閉断熱タンク(71)は、支持壁(1)に固定されるタンク壁(2)を備え、
前記タンク壁は、厚さ方向に重ねられた、少なくとも1つの密閉メンブレン(3)と、前記支持壁と前記密閉メンブレン(3)との間に配置された少なくとも1つの断熱バリア(4)と、を含む複数の層を有する構造を備え、
前記密閉メンブレン(3)は、互いに密に溶接された複数のコルゲート金属シート(8)を備え、
前記断熱バリア(4)は複数の並置された断熱パネル(11)を備え、各断熱パネル(11)が前記密閉メンブレン(3)のための支持面(13)を形成する内面を有し、
前記密閉メンブレン(3)及び前記断熱バリア(4)は、特異ゾーンにおいて窓(7)によって中断されており、
前記断熱パネル(11)の前記内面には金属固定プレート(14)が固定されており、
前記コルゲート金属シート(8)の縁は前記金属固定プレート(14)に溶接されており、これにより前記密閉メンブレン(3)が前記支持面(13)に保持され、
前記密閉断熱タンクは、前記窓(7)の中に挿入された中空構造(15)を備え、
前記中空構造(15)は前記タンク壁(2)の前記厚さを貫通して配置され、
前記密閉断熱タンク(71)は金属閉鎖プレート(23)を備え、
前記金属閉鎖プレート(23)の内縁(24)は、前記中空構造(15)の周囲全体に溶接されており、
前記金属閉鎖プレート(23)の外縁(25)は、重なりゾーンを形成するように前記密閉メンブレン(3)の下に配置され、
前記金属閉鎖プレート(23)は、前記重なりゾーンにおいて前記密閉メンブレン(3)に密に溶接されており、
前記金属閉鎖プレート(23)は、前記断熱バリア(4)に対して自由に保たれている、密閉断熱タンク。
【請求項2】
前記密閉断熱タンクは、溶接不可能な熱保護コーティング(27)を備え、
前記熱保護コーティング(27)は、少なくとも、前記密閉メンブレン(3)が前記金属閉鎖プレート(23)を覆うゾーンにおいて、前記金属閉鎖プレート(23)と前記断熱バリア(4)との間に位置し、これにより、前記金属閉鎖プレート(23)と前記密閉メンブレン(3)との間に溶接部を作ることによって前記断熱パネル(11)の前記内面が劣化することを避けるよう構成されている、請求項1に記載の密閉断熱タンク。
【請求項3】
前記中空構造はサンプ構造(15)であり、
前記サンプ構造(15)は硬い容器(16)を備え、前記容器(16)は、側壁(18)と、前記側壁(18)の周囲全体において前記容器(16)から外側に突出するリム(19)と、を備え、
前記金属閉鎖プレート(23)の前記内縁(24)は、前記容器(16)の前記側壁(18)の周囲全体において前記容器(16)の前記リム(19)に溶接されている、請求項1又は2に記載の密閉断熱タンク。
【請求項4】
前記容器(16)は円筒形状であり、
前記密閉メンブレン(3)の前記窓(7)は正方形の形状であり、
前記金属閉鎖プレート(23)は正方形の形状であり、前記金属閉鎖プレート(23)の辺の寸法が前記窓(7)の辺の寸法よりも大きく、
前記金属閉鎖プレート(23)は、前記容器(16)の形状と合った形状のオリフィスを備える、請求項3に記載の密閉断熱タンク。
【請求項5】
前記タンクにおける前記特異ゾーンから離れたゾーンにおいて、前記密閉メンブレン(3)は、前記支持壁の平面内の第1の方向に延在する第1の一連の等間隔平行直線状コルゲーション(9)と、前記支持壁の前記平面内の第2の方向に延在する第2の一連の等間隔平行直線状コルゲーション(10)と、を備え、
前記第2の方向は前記第1の方向に対して直角であり、
前記第1の一連のコルゲーション(9)の2つの隣接するコルゲーション間の距離、及び前記第2の一連のコルゲーション(10)の2つの隣接するコルゲーション間の距離は、所定のコルゲーション間隔io(28)に等しい、請求項1~4の何れか一項に記載の密閉断熱タンク。
【請求項6】
前記コルゲート金属シート(8)は矩形形状であり、前記矩形形状の辺は前記支持壁の前記平面内の前記第1の方向及び前記第2の方向にそれぞれ平行であり、前記矩形形状の寸法は前記コルゲーション間隔ioの整数倍に実質的に等しく、
前記コルゲート金属シート(8)の各縁は、前記縁に平行な2つの隣接するコルゲーション間に位置する、請求項5に記載の密閉断熱タンク。
【請求項7】
前記金属閉鎖プレート(23)は、一方の辺が前記第1の方向に平行で他方の辺が前記第2の方向に平行となるよう配向され、
各前記辺は寸法が3ioに等しく、
前記金属閉鎖プレート(23)は、前記第1の方向の前記密閉メンブレン(3)の2つのコルゲーションを中断し、前記第2の方向の前記密閉メンブレン(3)の2つのコルゲーションを中断する、請求項6に記載の密閉断熱タンク。
【請求項8】
前記特異ゾーンにおいて、前記金属閉鎖プレート(23)によって中断された前記コルゲーションに直接隣接するコルゲーションは特異部分(29)を有し、
前記特異部分(29)は、前記金属閉鎖プレート(23)によって中断されないように、前記特異ゾーンの外側に、前記コルゲーションのガイドラインに対して前記金属閉鎖プレート(23)から離れる方向にオフセットされている、請求項に記載の密閉断熱タンク。
【請求項9】
前記密閉メンブレン(3)は、前記第1の方向における前記金属閉鎖プレート(23)の両側に、2つの切り欠き矩形コルゲート金属シート(31)を備え、
前記切り欠き矩形コルゲート金属シート(31)は、前記第1の方向の寸法が1ioで、前記第2の方向の寸法が7ioであり、
前記切り欠き付きシート(31)は、前記窓(7)の中心を通る前記第2の方向に平行な対称軸に関して互いに対称であり、
各前記切り欠き付きシート(31)は、前記金属閉鎖プレート(23)に溶接される内縁と、前記窓(7)を遮るのを避けるために形成された切り欠き部(32)とを備え、
前記切り欠き部(32)は、前記切り欠かれた内縁が前記窓(7)に沿って延在するよう、前記第1の方向の寸法が前記切り欠き付きシート(31)の前記第1の方向の寸法よりも小さく、前記第2の方向の寸法が3ioである、請求項5~8の何れか一項に記載の密閉断熱タンク。
【請求項10】
各前記切り欠き付きシート(31)は、前記第1の方向において前記切り欠かれた内縁とは反対側にある外縁を備え、
前記外縁は、隣接するコルゲート金属シート(8)に重ねられて溶接されており、
前記切り欠き付きシート(31)の前記外縁と前記隣接するコルゲート金属シート(8)との溶接部において、前記密閉断熱タンクは、前記断熱バリア(4)の上に配置された溶接不可能な熱保護コーティング(27)を備える、請求項9に記載の密閉断熱タンク。
【請求項11】
前記熱保護コーティング(27)は、アルミニウムのシートに固定された少なくとも1
つのガラス繊維層を備える複合材料で製造されている、請求項2又は請求項10に記載の密閉断熱タンク。
【請求項12】
前記密閉メンブレン(3)は一次密閉メンブレンであり、
前記断熱バリア(4)は一次断熱バリアであり、
前記断熱パネル(11)は一次断熱パネルであり、
前記タンク壁は、前記支持壁の上に置かれた二次断熱バリア(6)と、前記二次断熱バリア(6)と前記一次断熱バリア(4)との間に位置する二次密閉メンブレン(5)と、を備え、
前記二次密閉メンブレン(5)及び前記二次断熱バリア(6)は、前記特異ゾーンにおいて前記窓(7)によって中断されている、請求項1~11の何れか一項に記載の密閉断熱タンク。
【請求項13】
前記容器(16)は第1の容器であり、
前記リム(19)は第1のリムであり、
前記サンプ構造(15)は前記第1の容器(16)を取り囲む硬い第2の容器(17)を備え、前記第1の容器(16)の底部が前記第2の容器(17)内に位置するよう構成されており、
前記第2の容器(17)は、側壁(18)と、前記第2の容器(17)の前記側壁(18)の周囲全体において前記第2の容器(17)から外側に突出する第2のリム(20)と、を備え、
前記第2の容器(17)の前記第2のリム(20)は、前記二次密閉メンブレン(5)によって形成される平面と一致する平面内に延在し、
前記第2のリム(20)は、前記二次密閉メンブレン(5)に密に固定されるよう構成されている、請求項3を引用する請求項12に記載の密閉断熱タンク。
【請求項14】
前記特異ゾーンにおいて、前記二次断熱バリア(6)と前記サンプ構造(15)の前記第2の容器(17)とは調整チムニー(34)によって互いに離隔されており、
前記一次断熱バリアは複数の緩和スリット(33)を備え、
前記一次断熱バリア(4)の前記緩和スリット(33)の少なくとも一部は、前記調整チムニー(34)と一致する前記特異ゾーンにおいて中断されている、請求項13に記載の密閉断熱タンク。
【請求項15】
二重船体(72)と、前記二重船体(72)内に配置される請求項1~14の何れか一項に記載のタンクと、を備える、低温液体製品を輸送するための船(70)。
【請求項16】
請求項15に記載の船(70)と、
前記船の前記二重船体内に設置された前記タンク(71)を浮体又は陸上貯蔵設備(77)に接続するよう配された断熱パイプライン(73,79,76,81)と、
前記浮体若しくは陸上貯蔵設備から前記船の前記タンクへ又は前記船の前記タンクから前記浮体若しくは陸上貯蔵設備への前記断熱パイプラインを介する低温液体製品の流れを生じさせるためのポンプと、を備える、低温液体製品のための輸送システム。
【請求項17】
請求項15に記載の船(70)に対して積み降ろしを行うための方法であって、
浮体若しくは陸上貯蔵設備(77)から前記船(71)の前記タンクに又は前記船(71)の前記タンクから浮体若しくは陸上貯蔵設備(77)に、断熱パイプライン(73,79,76,81)を介して低温液体製品を送ることを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メンブレンを有する密閉断熱タンクの分野に関する。特に、本発明は、例えば-50℃から0℃の温度を有する液化石油ガス(別名LPG)を輸送するためのタンク又は大気圧で約-162℃の液化天然ガス(LNG)を輸送するためのタンクのような、低温で液化ガスを貯蔵及び/又は輸送するための密閉断熱タンクの分野に関する。これらのタンクは陸上又は浮体構造物に設置することができる。浮体構造物の場合、タンクは、液化ガスの輸送、又は浮体構造物を推進するための燃料として用いられる液化天然ガスの収容を意図したものであってもよい。
【背景技術】
【0002】
密閉断熱タンクは、例えば国際公開第2016/001142号パンフレットから知られている。このようなタンクは、支持壁、例えば船の船体内に配置され、そこに固定される。密閉断熱タンクは、厚さ方向に重ねられた、密閉メンブレンと、密閉メンブレンと支持壁との間に配置された断熱バリアとを含む複数の層を有する構造を備える。
【0003】
このようなタンクの運転効率を最大限に高めるためには、タンクに積み込む及びタンクから降ろすことができる有用貨物量を最適化することが望ましい。タンクから上方に液体を吸引する排出ポンプの使用は、タンクの底において一定の液体高さを維持する必要があり、そうしなければ、ポンプ吸引部材が気相に接触してポンプが汲み上げできなくなる及び/又は劣化する。そのような理由から、密閉メンブレンを局所的に中断するようなタンクの底壁上にサンプ構造を作製することが知られており、このサンプ構造は、容器内の液体がタンクの最低レベルになるようにタンクの底壁を貫通して低くされた容器を備えている。したがって、排出ポンプはこのようなサンプ構造内に配置され、これによりタンクの運転効率を最大限に高めることが可能となる。
【0004】
したがって、密閉メンブレンは、サンプ構造にてタンクの密な連続性を形成するためにサンプ構造に密に溶接される。
【0005】
コルゲーションを備える密閉メンブレンの場合、密閉メンブレンの熱収縮又は熱膨張を補償するようにコルゲーションが変形する可能性ある。しかしながら、サンプ構造に固定された密閉メンブレンもまたこの領域で変形する能力を有していなければならない。
【0006】
この問題は、積み降ろしデリックのガスドーム又は支持構造のような、タンク壁を通って設けられる全中空構造にも当てはまる。
【発明の概要】
【0007】
本発明の基礎を形成する思想の1つは、中空の硬い構造、特にサンプ構造、蒸気コレクタ又は支持脚への密閉メンブレンの固定を改善することである。
【0008】
一実施形態では、本発明は、液化ガスを貯蔵するための密閉断熱タンクを提供し、密閉断熱タンクは、支持壁に固定されるタンク壁を備え、タンク壁は、厚さ方向に重ねられた、少なくとも1つの密閉メンブレンと、支持壁と密閉メンブレンとの間に配置された少なくとも1つの断熱バリアと、を含む複数の層を有する構造を備え、密閉メンブレンは、互いに密に溶接された複数のコルゲート金属シートを備え、断熱バリアは複数の並置された断熱パネルを備え、各断熱パネルが密閉メンブレンのための支持面を形成する内面を有し、密閉メンブレン及び断熱バリアは、特異ゾーンにおいて窓によって中断されており、断熱パネルの内面には金属固定プレートが固定されており、コルゲート金属シートの縁は金属固定プレートに溶接されており、これにより密閉メンブレンが支持面に保持され、密閉断熱タンクは、窓の中に挿入された中空構造を備え、中空構造はタンク壁の厚さを貫通して配置され、密閉断熱タンクは金属閉鎖プレートを備え、金属閉鎖プレートの内縁は中空構造の周囲全体に溶接されており、金属閉鎖プレートの外縁は、重なりゾーンを形成するように密閉メンブレンの下に配置され、金属閉鎖プレートは重なりゾーンにおいて密閉メンブレンに密に溶接されており、金属閉鎖プレートは断熱バリアに対して自由に保たれている。
【0009】
上記の特徴により、金属閉鎖プレートによって密閉メンブレンと中空構造とを密な接合させることができる。さらに、金属閉鎖プレートを断熱バリアに対して自由に保つことにより、中空構造に近接するコルゲーションを、互いに近い複数の固定ゾーンに固定されないようにすることができる。したがって、コルゲーションは変形することができ、タンク壁の熱膨張及び熱収縮を吸収することができる。
【0010】
実施形態では、上記のタンクは以下の特徴のうちの1つ又は複数を有することができる。
【0011】
一実施形態では、タンク壁はタンクの底壁である。
【0012】
一実施形態では、タンク壁はタンクの天井壁である。
【0013】
一実施形態では、閉鎖プレートは互いに重ねられて溶接される少なくとも2つの部分、好ましくは厳密には2つの部分から構成される。
【0014】
一実施形態では、密閉断熱タンクは、少なくとも、密閉メンブレンが金属閉鎖プレートを覆うゾーンにおいて、金属閉鎖プレートと断熱バリアとの間に位置する溶接不可能な熱保護コーティングを備え、これにより、金属閉鎖プレートと密閉メンブレンとの間に溶接部を作ることによって断熱パネルの内面が劣化することを避けるよう構成されている。
【0015】
上記の特徴により、熱保護コーティングは、溶接温度から断熱パネルを保護しながら、金属閉鎖パネルと断熱バリアとの間の意図しない溶接を防止することが可能となる。
【0016】
一実施形態では、中空構造は、硬いジャケットと、硬いジャケットの周囲全体において外側に突出したリムとを備える。実施形態では、硬いジャケットは、特にタンクの天井壁にある蒸気コレクタ、又は特にタンクの底壁にある排出ポンプ用の支持脚を構成することができる。
【0017】
一実施形態では、金属閉鎖プレートの内縁は硬いジャケットの周囲全体において硬いジャケットのリムに溶接されている。
【0018】
一実施形態では、中空構造は硬い容器を備え、容器は、側壁と、側壁の周囲全体において容器から外側に突出するリムと、を備える。
【0019】
一実施形態では、金属閉鎖プレートの内縁は、容器の側壁の周囲全体において容器のリムに溶接されている。
【0020】
一実施形態では、中空構造は、サンプ構造の一部、ガスドームの一部又は積み降ろしデリック用の支持構造の一部を形成する。
【0021】
一実施形態では、容器又は硬いジャケットは円筒状の形状であり、密閉メンブレンの窓は正方形の形状であり、閉鎖プレートは正方形の形状であり、閉鎖プレートの辺の寸法は窓の辺の寸法よりも大きく、閉鎖プレートは容器又は硬いジャケットの形状と合うように形成されたオリフィスを含む。
【0022】
一実施形態では、タンクにおける特異ゾーンから離れたゾーンにおいて、密閉メンブレンは、支持壁の平面内の第1の方向に延在する第1の一連の等間隔平行直線状コルゲーションと、支持壁の平面内の第2の方向に延在する第2の一連の等間隔平行直線状コルゲーションとを備え、第2の方向は第1の方向に対して直角であり、第1の一連のコルゲーションの2つの隣接するコルゲーション間の距離、及び第2の一連のコルゲーションの2つの隣接するコルゲーション間の距離は、所定のコルゲーション間隔ioに等しい。
【0023】
一実施形態では、少なくとも1つ、一部又は全てのコルゲート金属シートは矩形形状であり、この矩形形状の辺は支持壁の平面内の第1の方向及び第2の方向にそれぞれ平行であり、この矩形形状の寸法はコルゲーション間隔ioの整数倍に実質的に等しく、コルゲート金属シートの少なくとも1つの縁又は各縁は、この縁に平行な2つの隣接するコルゲーション間に位置する。
【0024】
一実施形態では、閉鎖プレートは、一方の辺が第1の方向に平行で他方の辺が第2の方向に平行となるよう配向され、各辺は寸法が3io以下に等しく、好ましくは3ioに等しく、閉鎖プレートは、第1の方向の密閉メンブレンの少なくとも1つの、好ましくは2つのコルゲーションを中断し、第2の方向の密閉メンブレンの少なくとも1つの、好ましくは2つのコルゲーションを中断する。
【0025】
一実施形態では、特異ゾーンにおいて、閉鎖プレートによって中断されたコルゲーションに直接隣接するコルゲーションは特異部分を有し、特異部分は、閉鎖プレートによって中断されないように、特異ゾーンの外側に、このコルゲーションのガイドラインに対して閉鎖プレートから離れる方向にオフセットされている。
【0026】
したがって、特定のコルゲーションを、閉鎖プレートによって中断されるのを避けるために転向させることにより、密閉メンブレンの柔軟性を、特に熱収縮又は熱膨張時に変形するように最適化することが可能になる。
【0027】
一実施形態では、密閉メンブレンは、第1の方向における閉鎖プレートの両側に、2つの切り欠き矩形コルゲート金属シートを備え、切り欠き矩形コルゲート金属シートは、第1の方向の寸法が1ioで、第2の方向の寸法が7ioであり、切り欠き付きシートは、窓の中心を通る第2の方向に平行な対称軸に関して互いに対称であり、各切り欠き付きシートは、閉鎖プレートに溶接される内縁と、窓を遮るのを避けるために形成された切り欠き部とを備え、切り欠き部は、切り欠かれた内縁が窓に沿って延在するよう、第1の方向の寸法が1ioで、第2の方向の寸法が3ioである。
【0028】
一実施形態では、切り欠き付きシートによって、メンブレンとの最適な連続性を形成するために、閉鎖プレートの形状に適合することが可能となる。
【0029】
一実施形態では、切り欠き付きシートの少なくとも1つの又は各々は、第1の方向において切り欠かれた内縁とは反対側にある外縁を備え、外縁は、隣接するコルゲート金属シートに重ねられて溶接されており、切り欠き付きシートの外縁と隣接するコルゲート金属シートとの溶接部において、上記タンクは、断熱バリアの上に配置された溶接不可能な熱保護コーティングを備える。
【0030】
上記の特徴により、そして閉鎖プレートと密閉メンブレンとの間の重なりと同様に、熱保護コーティングは、溶接温度から断熱パネルを保護しながら、切り欠き付き金属シートと隣接するコルゲート金属シートとの間の意図しない溶接を防止することが可能となる。
【0031】
一実施形態では、熱保護コーティングは、アルミニウムのシートに固定された、好ましくは縫われたガラス繊維の少なくとも1つの層を備える複合材料で製造されている。
【0032】
一実施形態では、密閉メンブレンは一次密閉メンブレンであり、断熱バリアは一次断熱バリアであり、断熱パネルは一次断熱パネルであり、タンク壁は、支持壁の上に置かれた二次断熱バリアと、二次断熱バリアと一次断熱バリアとの間に位置する二次密閉メンブレンとを備え、二次密閉メンブレン及び二次断熱バリアは特異ゾーンにおいて窓によって中断されている。
【0033】
一実施形態では、容器は第1の容器であり、リムは第1のリムであり、サンプ構造は第1の容器を取り囲む硬い第2の容器を備え、第1の容器の底部が第2の容器内に位置するよう構成されており、第2の容器は、側壁と、第2の容器の側壁の周囲全体において第2の容器から外側に突出する第2のリムとを備え、第2の容器の第2のリムは、二次密閉メンブレンによって形成される平面と一致する平面内に延在し、第2のリムは、二次密閉メンブレンに密に固定されるよう構成されている。
【0034】
一実施形態では、一次断熱バリアは、一次密閉メンブレンのコルゲーションに一致して配置され、一次断熱バリアにひずみを加えることなく一次密閉メンブレンを変形させることができるように構成された複数の緩和スリットを含む。
【0035】
一実施形態では、特異ゾーンにおいて、二次断熱バリアとサンプ構造の第2の容器とは調整チムニーによって互いに離隔されており、一次断熱バリアは複数の緩和スリットを備え、一次断熱バリアの緩和スリットの少なくとも一部は、調整チムニーと一致する特異ゾーンにおいて中断されており、特に一次密閉メンブレンのコルゲーションが調整チムニーの上にあるゾーンで中断されている。
【0036】
一実施形態では、密閉メンブレン、密閉メンブレンのうちの1つ又は複数の密閉メンブレンは、ステンレス鋼、アルミニウム、Invar(登録商標)のうちの金属から作製され、つまり典型的な膨張係数が1.2×10-6-1から2×10-6-1である鉄とニッケルの合金、又は膨張係数が7×10-6-1から9×10-6-1のオーダーである高マンガン含有鉄の合金から製造される。
【0037】
一実施形態では、中空構造は、硬いジャケット又は容器又は第2の容器を、側壁の固定点において支持壁に固定するように配された少なくとも1つの固定手段を備える。
【0038】
一実施形態では、少なくとも1つの固定手段は、容器又は硬いジャケットの固定点において、容器又はジャケットの側壁が、側壁に対して直角の横方向に、支持壁に対して相対的に変位することを可能にするように構成されており、この相対的な変位は、1mmよりも大きく、例えば1mmから5mmの間である。
【0039】
一実施形態では、中空構造は、容器又は硬いジャケットの周囲に規則的又は不規則に分布する複数の固定手段、例えば3つ又は4つの固定手段を含む。
【0040】
上記のタンクは、例えばLNGを貯蔵するための陸上貯蔵設備の一部を形成するができ、あるいは、特にメタンタンカー船、浮体式貯蔵及び再ガス化ユニット(FSRU)、浮体式生産及び貯蔵沖合(FPSO)ユニットなどの浮体式の沿岸又は海中構造物に設置することができる。上記のタンクはあらゆるタイプの船の燃料タンクとしても機能することができる。
【0041】
一実施形態では、低温液体製品を輸送するための船は、二重船体と、二重船体内に配置される上記のタンクと、を備える。
【0042】
一実施形態では、本発明はまた、低温液体製品のための輸送システムを提供し、輸送システムは、上記の船と、船の船体内に設置されたタンクを浮体又は陸上貯蔵設備に接続するよう配された断熱パイプラインと、浮体若しくは陸上貯蔵設備から船のタンクへ又は船のタンクから浮体若しくは陸上貯蔵設備への断熱パイプラインを介する低温液体製品の流れを生じさせるためのポンプと、を備える。
【0043】
一実施形態では、本発明はまた、上記の船に対して積み降ろしを行うための方法を提供し、この方法は、浮体若しくは陸上貯蔵設備から船のタンクに又は船のタンクから浮体若しくは陸上貯蔵設備に、断熱パイプラインを介して低温液体製品を送ることを含む。
【0044】
本発明は、添付の図面を参照して、非限定的な例示としてのみ提供される本発明のいくつかの特定の実施形態の以下の説明においてより良く理解され、他の目的、詳細、特徴、及び利点がより明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0045】
図1図5のI-I線に沿って切り取られたタンクの底壁に組み込まれたサンプ構造の断面の概略図である。
図2】一次密閉メンブレン及びサンプ構造を省略したタンクの底壁の上面図である。
図3】一次密閉メンブレンを省略したタンクの底壁の上面図である。
図4図3のIV-IV線に沿って切り取られたタンクの底壁の断面の部分図である。
図5】タンクの底壁の上面図であり、図2及び図3よりも広いゾーンを示す。
図6】メタンタンカー及びこのタンクの積み降ろしターミナルの切り取り概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
以下の記載では、LNG貯蔵及び/又は輸送タンクの底壁2に使用することができるサンプ構造9を備える密閉断熱タンク71について説明する。底壁2は、地球の重力場に関してタンクの底に位置する好ましくは全体的に平面状の壁2を指す。また、タンクの全体的な幾何学的形状は異なるタイプのものとすることができる。多面体形状が最も一般的である。
【0047】
図1から分かるように、タンク壁2は、例えば二重船体を有する船70の内側船体のような厚い鋼板で製造された支持壁1に取り付けられる。タンク壁2は、例えばマスチックのビーズが間に挿入されて支持壁1に固定される二次断熱バリア6と、二次断熱バリア6によって支持される二次密閉メンブレン5と、二次密閉メンブレン5を覆う一次断熱バリア4と、一次断熱バリア4によって支持される一次密閉メンブレン3と、を連続して備える多層構造を有する。一次密閉メンブレン3は、タンク71内に収容される液化天然ガスと接触するように構成されている。
【0048】
断熱バリア4,6は、多くの材料で多くの方法で製造することができる。二次断熱バリア6は、別に知られている保持装置(図示せず)によって支持壁1に固定される複数の二次断熱パネル12を備える。また一次断熱バリア4も、保持装置(図示せず)を用いて二次断熱パネル12又は支持壁1に固定される複数の一次断熱パネル11を備える。
【0049】
これら断熱バリア4,6の断熱パネル11,12は密閉メンブレン3,5のための平面支持面13を共に形成する。このような断熱パネル11,12は、例えばポリウレタンフォームブロックで製造される。このようなポリウレタンフォームブロックの形態の断熱パネル11,12は、例えば合板で作製されたカバープレート及び/又は底プレートをさらに備えることができる。
【0050】
一例として、このようなタンクは、特許出願WO14057221及びFR2691520に記載されている。
【0051】
一実施形態では、二次密閉メンブレン5は、2つのガラス繊維布シートの間に挟まれたアルミニウムのシートを含む複合材料から形成される。一次密閉メンブレン3は、その一部について、複数のコルゲート金属シート8を互いに接合することで得られ、複数のコルゲート金属シートはその縁に沿って互いに溶接され、第1の一連のコルゲーション9及び第2の一連のコルゲーション10である2つの直角方向に延在するコルゲーション9,10を備える。2つの一連のコルゲーション9,10は、周期的な規則的又は不規則な間隔を有する。金属シートは、例えばステンレス鋼又はアルミニウムシートから製造され、折り畳み又はスタンピングによって成形される。
【0052】
このようなコルゲーション金属メンブレンに関する他の詳細については特にFR2861060に記載されている。
【0053】
別の実施形態では、二次密閉メンブレン5は隆起した縁を有する金属ストレーキの連続シートを含むことができる。ストレーキは、その隆起した縁によって、二次断熱パネル7,107のカバープレートに形成された溝に固定される平行な溶接支持体上に溶接される。ストレーキは、例えばInvar(登録商標)から作製され、つまり典型的な膨張係数が1.2×10-6-1から2×10-6-1である鉄とニッケルの合金から作製される。また、典型的な膨張係数が7×10-6-1から9×10-6-1のオーダーである鉄とマンガンの合金を使用することもできる。
【0054】
図1は窓7に挿入されたサンプ構造15も示す。窓7は、密閉メンブレン3,5及び断熱バリア4,6を特異ゾーンで中断する。窓7は、一次密閉メンブレン3において正方形(forme carree)であり、一方で断熱バリア4,6、二次密閉メンブレン5及び支持壁1において円形である。
【0055】
サンプ構造15は、タンク71の内部と接触する第1の容器16と、第1の容器16の底部を取り囲む第2の容器17とを備える。第1の容器16は、金属閉鎖プレート23用いて一次密閉メンブレン5に連続的に接続され、これにより、第1の容器16及び金属閉鎖プレート23が一次密閉メンブレン3を密閉して完全なものにしている。同様に、第2の容器16は二次密閉メンブレン5に連続的に接続されており、したがってこれを密閉して完全なものにしている。
【0056】
より具体的には、第1の容器16は、軸が支持壁1に対して直角である円筒状の側壁18を備える。支持壁1に平行な底壁によって円筒状の側壁18がその底部において閉鎖される。同様に、第2の容器17は、軸が支持壁1に対して直角である円筒状の側壁18を備える。支持壁1に平行な底壁によって第2の容器17の円筒状の側壁18がその底部において閉鎖される。第2の容器17の円筒状の側壁18は、第1の容器16の円筒状の側壁18を距離を置いて取り囲む。
【0057】
さらに、第2の容器17の側壁18は、側壁18の周囲全体において側壁18から二次密閉メンブレン5に向かって突出する第2のリム20を備える。二次密閉メンブレン5における窓7を画定する二次密閉メンブレン5の縁は、例えば接着によって第2のリム20に密に接続され、図1に見られるように、第2のリム20は一部が二次密閉メンブレンの下に配置される。
【0058】
第1の容器16の側壁18は、側壁18の周囲全体において側壁18から一次密閉メンブレン3に向かって突出する第1のリム19を備える。
【0059】
金属閉鎖プレート23は、互いに重ねられて溶接される2つの部分から構成されている。金属閉鎖プレート23の内縁24は、第1の容器16の側壁18の周囲全体で第1のリム19に密に溶接される、即ち連続溶接ビードで溶接される。さらに、金属閉鎖プレート23は、図6に示すように重なりゾーンを形成するように一次密閉メンブレン3の下に配置される外縁25を備える。したがって、金属閉鎖プレート23は、重なりゾーンにおいて一次密閉メンブレン3に密に溶接される。但し、金属閉鎖プレート23は一次断熱バリア4に固定されてはいない。この図示の実施形態では、金属閉鎖プレート23は、一次密閉メンブレン3の正方形の窓7と合った正方形の形状を有する。さらに、金属閉鎖プレート23は第1の容器16と合った形状を有するオリフィス26を備え、プレートの内縁24に対応するオリフィス26の輪郭が第1のリム19上に位置するように構成されている。
【0060】
タンク壁2において、支持壁1と二次密閉メンブレン5との間にある空間は、二次断熱バリア6を収容する二次空間である。サンプ構造15では、第2の容器17と支持壁1との間にある空間も二次空間である。サンプ構造15の二次空間内に断熱材料が収容されて、サンプ構造15におけるタンク壁2の二次断熱が完成する。実際には、二次密閉メンブレン5及び第2の容器17は、一次密閉メンブレン3における意図しない漏れが生じた場合に液化ガスと接触する可能性がある。
【0061】
同様に、二次密閉メンブレン5と一次密閉メンブレン3との間にある空間は、一次断熱バリア4を含む一次空間である。サンプ構造15において、第2の容器17と第1の容器16との間にある空間もまた一次空間である。サンプ構造15の一次空間内に断熱材料が収容されて、サンプ構造15におけるタンク壁2の一次断熱が完成する。実際には、一次密閉メンブレン3及び第1の容器16は使用時にLNGと接触する。
【0062】
このように一次断熱及び二次断熱を完成させるのに適し得る様々な断熱材料があり、例えば、ガラスウール又はロックウール、ポリマーフォーム、特にポリウレタン又はPVC、バルサ、合板などがある。
【0063】
二次断熱バリア6と第2の容器17は、調整チムニー34を形成するために互いに離隔している。調整チムニー34内では、二次密閉メンブレン5は二次断熱バリア6によって支持されていない。
【0064】
図2図5を比較すると分かるように、一次断熱バリア4は複数の緩和スリット33を含む。緩和スリットは一次密閉メンブレン3のコルゲーション9,10と一致するように位置し、一次密閉メンブレン3が一次断熱バリア4を歪ませずに変形することを可能にする。但し、二次密閉メンブレン5が二次断熱バリア6によって支持されていない調整チムニー34内での二次密閉メンブレン5の支持の欠如を避けるために、一次断熱パネル11は一次密閉メンブレン3のコルゲーション9,10の下の緩和スリット33を有していない。実際に、二次密閉メンブレン5が調整チムニーと緩和スリットとの間に配置される場合、二次密閉メンブレン5が結合する一次断熱バリア4による曲げ変形に対する保持が不十分となる危険性がある。
【0065】
図2は底壁2の上面図であり、サンプ構造15及び一次密閉メンブレン3はその下の底壁の構造がより見やすいように省略されている。
【0066】
図2に示すように、金属閉鎖プレート23と一次断熱バリア4との間に溶接不可能な熱保護コーティング27が位置している。閉鎖プレート23の下に位置する熱保護コーティング27は、図2に示すように、一次断熱パネルの熱保護を確実にするために閉鎖プレート23の形と同様の形を有することができる。しかしながら、熱保護コーティング27は図4に示すように閉鎖プレート23よりも大きいサイズであってもよい。このコーティングは、上述の二次密閉メンブレン5のように複合材料で作ることができる。
【0067】
コルゲート金属シート8の縁を固定プレート14に溶接するために金属固定プレート14が一次断熱パネル11の内面に固定され、例えばねじ止め又はリベット止めにより固定され、このようにして一次密閉メンブレン3が一次断熱バリア4に固定される。これらの金属固定プレート14は特に図2及び図3に示されている。
【0068】
図3は底壁2の上面図を示し、ここでは一次密閉メンブレン3のみが省略されている。したがってこの図では一次断熱バリア4上に金属閉鎖プレート23が配置されているのを見ることができる。
【0069】
図4図3の壁の断面を示す図であり、ここでは金属閉鎖プレート23は、一部が第1の容器16の第1のリム19によって支持され、他の部分が一次断熱バリア4によって支持されていることが分かる。
【0070】
図5に示すように、底壁2の上面図は、特異ゾーン内のサンプ構造15の周囲に一次密閉メンブレン3が配置されていることを示す。
【0071】
タンク71におけるサンプ構造15から離れたゾーン、即ちレギュラーゾーンでは、一次密閉メンブレン3は、支持壁の平面内の第1の方向に延在する第1の一連の等間隔平行直線状コルゲーション9と、支持壁の平面内の第2の方向に延在する第2の一連の等間隔平行直線状コルゲーション10とを有する。第2の方向は第1の方向に対して直角であり、2つの一連のコルゲーション9,10が直角に交わるように配されている。第1の一連のコルゲーション9の2つの隣接するコルゲーション間の距離、及び第2の一連のコルゲーション10の2つの隣接するコルゲーション間の距離は、符号28で示す所定のコルゲーション間隔ioに等しい。
【0072】
コルゲート金属シート8は矩形形状であり、その辺は支持壁1の平面の第1の方向及び第2の方向にそれぞれ平行であり、その寸法がコルゲーション間隔ioの整数倍に実質的に等しい。
【0073】
サンプ構造体15の周囲の特異ゾーンでは、閉鎖プレート23は、一方の辺が第1の方向に平行で他方の辺が第2の方向に平行となるよう配向される。さらに、閉鎖プレート23の各辺は3ioに等しい寸法を有する。図5からわかるように、閉鎖プレート23は、第1の方向の一次密閉メンブレン3の2つのコルゲーション9を中断し、第2の方向の一次密閉メンブレン3の2つのコルゲーション10を中断する。
【0074】
閉鎖プレート23の大きさから、サンプ構造15は各方向において4つのコルゲーションを中断することができ、これにより特異ゾーンにおける一次密閉メンブレン3の柔軟性が減少する可能性がある。これを避けるために、閉鎖プレート23によって中断されたコルゲーションに直接隣接するコルゲーション9,10は特異部分29を有し、特異部分29は、特異ゾーンの外側に、前記コルゲーションのガイドラインに対して閉鎖プレート23から距離を置いてオフセットされている。実際、コルゲーションにおけるオフセットされた特異部分29は、図5に示されるようにコルゲーション転向素子30を用いてそれらのガイドラインから転向されている。
【0075】
さらに、一次密閉メンブレン3は、第1の方向における閉鎖プレート23の両側に、2つの切り欠き矩形コルゲート金属シート31を備え、切り欠き矩形コルゲート金属シート31は、第1の方向の寸法が1ioで、第2の方向の寸法が7ioである。切り欠き付きシート31は、窓7の中心を通る第2の方向に平行な対称軸に関して互いに対称である。切り欠き付きシートは閉鎖プレート23に溶接される内縁と切り欠き部32とを備え、切り欠き部32は、窓7を遮ることを避けるため及び切り欠き付きシートと閉鎖プレートとの間の溶接を可能にする重なりを有して閉鎖プレート23の形を嵌合させるために、形成されている。切り欠き部32は、第1の方向の寸法が1ioで、第2の方向の寸法が3ioである。
【0076】
切り欠き付き金属シート31は、第1の方向において切り欠かれた内縁とは反対側の外縁を備える。外縁は、隣接するコルゲート金属シート8に重ねられて溶接される。図2及び図3に見られるように、切り欠き付きシート31の外縁と隣接するコルゲート金属シート8との溶接部において、溶接不可能な熱保護コーティング27が一次断熱バリア4の上に配置されている。実際には、切り欠き付きシート31は、その寸法から、第2の方向において1つのコルゲーション10のみを有する。熱膨張時又は熱収縮時にこのコルゲーション10の変形を可能にするためには、切り欠き付きシート31は一次断熱バリア4にあまりしっかりと固定しないことが好ましい。ここでの熱保護コーティング27は、高い溶接温度に対して一次断熱バリア4を保護するようにも作用する。
【0077】
より低温のガスに適した実施形態では、二次密閉メンブレン及び二次断熱バリアを省略することができる。
【0078】
一次密閉メンブレンとサンプ構造との間のリンクを作るために上で記載した技術は、例えばシングル密閉メンブレンを有するタンク、陸上設備又はメタンタンカーなどの浮体構造物内の液化天然ガス(LNG)用のダブルメンブレンを有するタンクといった異なるタイプのタンクにおいて、タンク壁内で厚さ方向に延在する他のあらゆる中空構造、例えばガスコレクタ又は支持脚の周囲に使用することもできる。
【0079】
図6を参照すると、メタンタンカー船70の切り取り図は、船の二重船体72に搭載された略プリズム形状の密閉断熱タンク71を示す。タンク71の壁は、タンク内に収容されるLNGと接触するように構成された一次密閉バリアと、一次密閉バリアと船の二重船体72との間に配置される二次密閉バリアと、一次密閉バリアと二次密閉バリアとの間及び二次密閉バリアと二重船体72との間にそれぞれ配置された二つの断熱バリアとを含む。
【0080】
知られているように、船の上甲板上に配置される積み降ろしパイプライン73を適切なコネクタによって海上又は港湾ターミナルに接続して、タンク71から又はタンク71にLNG貨物を移送することができる。
【0081】
図6は、積み降ろしステーション75と、水中ライン76と、陸上設備77とを備える海上ターミナルの一例を示す。積み降ろしステーション75は、可動アーム74と、可動アーム74を支持するライザ78とを備える固定沖合設備である。可動アーム74は、積み降ろしパイプライン73に接続され得る断熱可撓性パイプの束79を支持する。方向付け可能な可動アーム74は全メタンタンカーテンプレートに適合する。不図示のリンクラインがライザ78の内側に延在する。積み降ろしステーション75は、陸上設備77からメタンタンカー70へ又はメタンタンカー70から陸上設備77への積み降ろしを可能にする。この陸上設備は、液化ガス貯蔵タンク80と、水中ライン76を介して積み降ろしステーション75に接続されるリンクライン81とを備えている。水中ライン76は、積み降ろしステーション75と陸上設備77との間の液化ガスの長距離、例えば5kmにわたる移送を可能にし、これにより、積み降ろし作業中にメタンタンカー船70を沿岸から遠く離れた距離に保つことが可能になる。
【0082】
液化ガスの輸送に必要な圧力を生成するために、船70に搭載されたポンプ及び/又は陸上設備77に備わるポンプ及び/又は積み降ろしステーション75に備わるポンプが使用される。
【0083】
本発明は、いくつかの特定の実施形態に関連して記載したが、決してこれらに限定されず、記載された手段のすべての技術的均等物及びそれらの組み合わせを含み、これが本発明の範囲内であることは明らかである。
【0084】
「含む」又は「備える」との動詞及びそれらの活用形の使用は、特許請求の範囲に記載されているもの以外の要素又は工程の存在を除くものではない。
【0085】
特許請求の範囲において、括弧内の参照符号は、特許請求の範囲の限定として解釈されるべきではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6