(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-22
(45)【発行日】2024-01-05
(54)【発明の名称】エチレン/プロピレン/非共役ジエンインターポリマー組成物
(51)【国際特許分類】
C08F 210/18 20060101AFI20231225BHJP
【FI】
C08F210/18
(21)【出願番号】P 2021564832
(86)(22)【出願日】2019-04-30
(86)【国際出願番号】 CN2019085136
(87)【国際公開番号】W WO2020220244
(87)【国際公開日】2020-11-05
【審査請求日】2022-04-19
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(72)【発明者】
【氏名】ウー、シャオソン
(72)【発明者】
【氏名】ハン、タオ
(72)【発明者】
【氏名】リピシャン、コリン
【審査官】堀内 建吾
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/005852(WO,A1)
【文献】特表2018-510244(JP,A)
【文献】特表2015-533913(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 210/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
組成物であって
、0重量%超~6.0重量%の非共役ポリエンを含む、ニートエチレン/プロピレン/非共役ポリエンインターポリマーを含み、
前記インターポリマーが、第1の反応器を用いて調製した第1のポリマー成分と第2の反応器を用いて調製した第2のポリマー成分とのブレンドであり、前記第1の反応器および前記第2の反応器が、直列に構成および操作され、互いと流体連通しており、
前記インターポリマーが、以下の特性
(i)240,000~270,000の分子量(Mw)と、
(ii)80~85のムーニー粘度(ML(1+4)、125℃)と、
(iii)35~65のレオロジー比
であって、前記レオロジー比が190℃でのV0.1/V100を指しており、V0.1が190℃および0.1ラジアン/秒で測定した粘度であり、V100が190℃および100ラジアン/秒で測定した粘度である、前記レオロジー比と、
(iv)2.2~3.5のMw/Mnと、
(v)0.6~0.9のタンデルタ比
であって、前記第1の反応器内で調製した前記第1のポリマー成分のタンデルタ(0.1ラジアン/秒、190℃)に対する、前記インターポリマーのタンデルタ(0.1ラジアン/秒、190℃)の比として定義される、タンデルタ比と、
(vi)5.0~10.0未満
であり、以下の式によって定義される、絶対タンデルタ勾配
m:
【数1】
(式中、前記0.1ラジアン/秒でのタンデルタおよび前記100ラジアン/秒でのタンデルタが190℃で測定される)と、
を有する、組成物。
【請求項2】
前記ニートエチレン/プロピレン/非共役ポリエンインターポリマーが、1.80(g/モル)未満のMw/V0.1比を有
し、前記Mw/V0.1比が、190℃および0.1ラジアン/秒で測定した粘度に対する分子量の比を意味する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記ニートエチレン/プロピレン/非共役ポリエンインターポリマーが、34.4ppm~34.6ppmの
13C NMRピークを欠いている、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
前記ニートエチレン/プロピレン/非共役ポリエンインターポリマーが、
45重量%~55重量%のエチレンモノマーと、
40重量%~50重量%のプロピレンコモノマーと、
3重量%~6重量%の5-エチリデン-2-ノルボルネンターモノマー(ENB)と、を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記ニートエチレン/プロピレン/非共役ポリエンインターポリマーが、以下の特性
(i)240,000~260,000の分子量(Mw)と、
(ii)80~85のムーニー粘度(ML(1+4、125℃)と、
(iii)35~45のレオロジー比と、
(iv)3.0~3.5のMw/Mnと、
(v)0.6~0.9のタンデルタ比と、
(vii)34.4ppm~34.6ppmの13C NMRピークを欠いていることと、
(viii)1.5~1.7のMw/V0.1比を有することと、を有する、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記ニートエチレン/プロピレン/非共役ポリエンインターポリマーが、3.2~3.5のMw/Mnを有する、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記ニートエチレン/プロピレン/非共役ポリエンインターポリマーが、0.7~0.9のタンデルタ比を有する、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
前記ニートエチレン/プロピレン/非共役ポリエンインターポリマーが、
375,000~400,000のMwを有する第1のポリマー成分と、
第2のポリマー成分と、の反応器内ブレンドである、請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記ニートエチレン/プロピレン/非共役ポリエンインターポリマーが、
30重量%~40重量%の前記第1のポリマー成分と、
70重量%~60重量%の前記第2のポリマー成分と、を含む、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
前記ニートエチレン/プロピレン/非共役ポリエンインターポリマーが、1ppm~5ppmのハフニウムおよび1ppm~5ppmのジルコニウムを含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
エチレン-プロピレン-非共役ポリエンターポリマー(「EPDM」としても知られている)は、多くの自動車および工業用途で広く使用されている。例えば、EPDMは、EPDMの熱安定性および酸化安定性、ならびに極性有機流体および水性無機流体に対するEPDMの耐化学性のために、自動車および工業用ホース製品に使用される。自動車用途では、(より低いボンネットラインの結果として)より高い「ボンネット下」の温度、エンジン領域内の低減した空気流、ターボチャージャーにより、冷却剤ホース、排気ホース、ブレーキホース、およびエアダクトなどの品物用のより高い耐熱性を有する材料の必要性が増している。しかしながら、従来のEPDM自動車用ホースは、長期的な熱老化性能が乏しいため、依然として制限される。
【0002】
EPDM中での鎖分岐が増加すると、熱老化性能が改善することが知られている。しかしながら、鎖分岐が増加すると、EPDMの加工性が低下する。当技術分野では、鎖分岐と加工性とのバランスを有するEPDM組成物の継続的な必要性が認識されている。
【発明の概要】
【0003】
本開示は、より良好な充填剤の取り込みおよび改善された加工性のための、より高い分子量を有するEPDMを提供する。本開示は、レオロジー比の増加によって示されるように、増加した分子量および改善された加工性を有するEPDM組成物に関する。本発明のEPDM組成物は、2つ以上の別個の反応器内で、異なる反応性を有する2つ以上の触媒を有する重合によって作製され、得られたインターポリマーは密接に組み合わされている。
【0004】
本開示は、組成物を提供する。一実施形態では、本組成物は、ニートエチレン/プロピレン/非共役ポリエンインターポリマーを含む。ニートエチレン/プロピレン/非共役ポリエンインターポリマーは、0重量%超~6.0重量%の非共役ポリエンを含む。ニートエチレン/プロピレン/非共役ポリエンインターポリマーは、以下の特性:
(i)240,000~270,000の分子量(Mw)と、
(ii)80~85のムーニー粘度(ML(1+4)、125℃)と、
(iii)35~65のレオロジー比(RR)と、
(iv)2.2~3.5のMw/Mnと、
(v)0.6~0.9のタンデルタ比と、
(vi)5.0~10.0未満の絶対タンデルタ勾配と、を有する。
【0005】
定義
元素周期表へのいかなる参照も、CRC Press,Inc.によって1990~1991に発行されたときのものである。この表の元素の族についての言及は、族に番号を付けるための新たな表記法によるものである。
【0006】
米国特許実務を目的として、任意の参照される特許、特許出願、または刊行物の内容は、特に定義の開示(本開示に具体的に提供される任意の定義に矛盾しない範囲で)、およびこの技術分野における一般的知識に関して、参照によりこれらの全体が本明細書に組み込まれる(または、その同等の米国版が参照によりそのように組み込まれる)。
【0007】
本明細書に開示の数値範囲は、下限値および上限値を含むすべての値を含む。明確な値(例えば、1、または2、または3~5、または6、または7)を含有する範囲では、任意の2つの明確な値の間の任意の部分範囲(例えば、1~2、2~6、5~7、3~7、5~6など)が含まれる。
【0008】
相反する記載がない限り、文脈から黙示的でない限り、または当該技術分野で慣習的でない限り、すべての部およびパーセントは、重量に基づき、すべての試験方法は、本開示の出願日時点で最新のものである。
【0009】
本明細書で使用される「ブレンド」または「ポリマーブレンド」という用語は、2つ以上のポリマーのブレンドである。そのようなブレンドは、相溶性(相分離)であってもなくてもよい。そのようなブレンドは、相分離していても、していなくてもよい。そのようなブレンドは、透過電子分光法、光散乱、X線散乱、および当技術分野で既知の他の方法から決定される1つ以上のドメイン構成を含有してもしなくてもよい。
【0010】
「組成物」という用語は、組成物を含む材料の混合物、ならびに組成物の材料から形成される反応生成物および分解生成物を指す。
【0011】
「含む(comprising)」、「含む(including)」、「有する」という用語、およびそれらの派生語は、同じことが具体的に開示されているかどうかにかかわらず、任意の追加の成分、ステップ、または手順の存在を除くことを意図しない。疑義を回避するために、「含む(comprising)」という用語の使用を通じて特許請求されるすべての組成物は、反対の記載がない限り、ポリマーであろうとなかろうと、任意の追加の添加剤、アジュバント、または化合物を含み得る。対照的に、「から本質的になる」という用語は、操作性に必須ではないものを除き、任意の続く記述の範囲から任意の他の成分、ステップ、または手順を除く。「からなる」という用語は、具体的に描写または列挙されていない任意の成分、ステップ、または手順も除く。「または」という用語は、特に明記しない限り、列挙されたメンバーを個別に、ならびに任意の組み合わせで指す。単数形の使用は、複数形の使用を含み、逆もまた同様である。
【0012】
「エチレン系ポリマー」は、ポリマーの総重量に基づいて、エチレンから由来した過半数の重量パーセントの単位を、重合形態で、含有するポリマーである。エチレン系ポリマーの非限定的な例としては、低密度ポリエチレン(LDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、極低密度ポリエチレン(VLDPE)、超低密度ポリエチレン(ULDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、および、例えば、エチレンビニルアセテート(EVA)、エチレンエチルアクリレート(EEA)などの官能化ポリエチレンが挙げられる。
【0013】
「インターポリマー」は、少なくとも2つの異なるモノマーの重合によって調製されるポリマーである。この総称は、2つの異なるモノマーから調製されるポリマーを指すために通常用いられるコポリマー、および3つ以上の異なる種類のモノマーから調製されるポリマー、例えばターポリマー、テトラポリマー等を含む。
【0014】
「オレフィン系ポリマー」または「ポリオレフィン」は、(重合可能モノマーの総量に基づいて)50重量パーセント超の重合オレフィンモノマーを含有するポリマーであり、任意で、少なくとも1つのコモノマーを含み得る。オレフィン系ポリマーの非限定的な例には、エチレン系ポリマーまたはプロピレン系ポリマーが挙げられる。
【0015】
「ポリマー」は、同一のタイプまたは異なるタイプであるかに関わらず、重合形態でポリマーを構成する複数のおよび/もしくは繰り返しの「単位」または「mer単位」を提供するモノマーを重合することによって調製される化合物である。したがって、ポリマーという総称は、1つのタイプのモノマーのみから調製されたポリマーを指すために通常用いられるホモポリマーという用語、および少なくとも2つのタイプのモノマーから調製されたポリマーを指すために通常用いられるコポリマーという用語を包含する。それはまた、例えばランダム、ブロックなどのすべての形態のコポリマーを包含する。「エチレン/α-オレフィンポリマー」および「プロピレン/α-オレフィンポリマー」という用語は、それぞれ、エチレンまたはプロピレンと、1つ以上の追加の重合性α-オレフィンモノマーとを重合することから調製された上述のコポリマーを示す。ポリマーは、多くの場合、1つ以上の特定のモノマー「で作製され」、特定のモノマーまたはモノマータイプに「基づいて」、特定のモノマー含有量を「含有する」などと称されるが、この文脈では、「モノマー」という用語は、特定のモノマーの重合残留物を指し、非重合種を指すものではないと理解されることに留意する。一般に、本明細書におけるポリマーは、対応するモノマーの重合形態である「単位」に基づくものを指す。
【0016】
試験方法
絶対タンデルタ勾配。タンデルタ勾配の絶対値は、以下の等式(A)によって定義される。
【数1】
【0017】
EPDM組成物分析のための13C NMR法試料を、10mmのNMRチューブの「0.2g試料」に、クロムアセチルアセトネート(緩和剤)中の「0.025M」である約「2.6g」の「テトラクロロエタン-d2/オルトジクロロベンゼンの50/50混合物」を加えることによって調製した。チューブとその内容物を150℃に加熱することにより、試料を溶解し、均質化した。データは、Bruker Dual DUL高温CryoProbeを備えたBruker 400MHz分光計を使用して回収した。データは、「データファイルごとに160回のスキャン」、試料温度120℃で6秒のパルス繰り返し遅延を使用して取得した。取得を、25,000Hzのスペクトル幅および32Kデータポイントのファイルサイズを使用して実行した。
【0018】
実施例の組成のNMRスペクトル分析を、以下の分析方法を使用して実行した。EPDMに存在するモノマーの定量は、次の式(1~9)を使用して計算できる。
【0019】
エチレンのモルの計算は、スペクトル領域を55.0~5.0ppmから1000の積分単位に正規化する。正規化された積分面積の下の寄与は、ENB炭素のうちの7つのみを占める。二重結合が高温で反応する場合があるため、111および147ppmのENBジエンピークを計算から除外する。
【数2】
等式2 モルENB=CH3(13.6~14.7ppm)
等式3 モルP=CH3(19.5~22.0ppm)
【数3】
【数4】
【数5】
【数6】
【数7】
【数8】
【0020】
中間鎖分岐%面積の13C NMR。「中間鎖分岐」(または「iCB」)は、その場で生成されたオリゴマーがポリマー骨格に急速に組み込まれる現象である。これらのオリゴマーの組み込みから生じる分岐は、低剪断速度で粘度を増加させず、それ故、得られるポリマーは線状分子のそれと同様の挙動を示す。オリゴマーの組み込みは、非常に効率的であるため、オリゴマー含有物は最終ポリマー内では検出不可能である。iCBポリマーが高密度の分岐の組み合わせ(NMRにより推定)を示し、それらの中間体の長さ(30~75炭素単位)が溶融状態での絡み合いに必要な骨格鎖長を延長すると考えられている。この挙動は線状分子の挙動とほぼ同じである。
【0021】
中間鎖分岐のレベルを定量するためのEPDMの13C NMRスペクトル分析を、34.6~34.4ppm領域中のスペクトル分解能を向上させるために、0.025Mクロムアセチルアセトネートを含むテトラクロロエタン-d2を使用して行った。試料を、10mmのNMRチューブ内の「0.3g試料」に、約「2.6g」の「0.025Mのクロムアセチルアセトネートを含むテトラクロロエタン-d2」を添加することによって調製した。チューブおよびその内容物を140℃に加熱することにより、試料を溶解し、均質化した。データは、Bruker Dual DUL高温CryoProbeを備えた、逆ゲートNMRパルスを有するBruker 400MHz分光計を用いて収集した。データは、「データファイルごとに8000回のスキャン」、試料温度120℃で7.3秒のパルス繰り返し遅延を使用して取得した。スペクトルデータは、30ppmでのEEE骨格を基準とした。
【0022】
iCBを含むEPDMポリマーは、34.4ppm~34.6ppmの領域内にメチレンピークを示し、それはWO2018/005922に開示されるように、160.0~100.0ppmおよび60.0~0.000ppmの総積分面積(テトラクロロエタン溶媒を除く全スペクトル)の0.01%超である。本発明のEPDMの13C NMRスペクトル分析は、34.4ppm~34.6ppmの領域内にメチレンピークを示さなかった。本開示の本発明のEPDMインターポリマーは、中間鎖分岐を欠いている。
【0023】
密度は、ASTM D792、方法Bに従って測定される。結果は、1立方センチメートル当たりのグラム(g/cc)で記録される。
【0024】
示差走査熱量測定(DSC)。エチレン系(PE)試料(EPDMを含む)およびプロピレン系(PP)試料の結晶化度を測定するのに示差走査熱量測定(DSC)を使用する。試料(0.5g)を190℃、5000psiで2分間圧縮成形してフィルムにした。約5~8mgのフィルム試料を秤量し、DSC皿の中に入れる。蓋を皿に圧着し、密閉雰囲気を確保する。試料皿を、DSCセル中に入れ、次いで、約10℃/分の速度で、PEについて180℃(PPについて230℃)の温度まで加熱した。試料をこの温度で3分間保持する。次いで、試料を10℃/分の速度で、PEの場合-90℃(PPの場合-90℃)に冷却し、その温度で3分間等温に保持する。次に、試料は、完全に溶融するまで10℃/分の速度で加熱される(第2の加熱)。結晶化度パーセントは、第2の熱曲線から決定された融解熱(Hf)をPEに関して292J/gの理論融解熱(PPに関して165J/g)で除算し、この量に100を乗算することによって計算される(例えば、結晶化度%=(Hf/292J/g)×100(PEについて))。
【0025】
別段記載されない限り、各ポリマーの融点(Tm)は、第2の熱曲線から決定され、結晶化温度(Tc)は、第1の冷却曲線から決定される。
【0026】
動的機械分光法(DMS)小角振動せん断(溶融DMS)を、窒素パージ下で、「25mm平行板」を備えたTA Instruments ARESを使用して行った。試料の充填から試験の開始までの時間は、すべての試料で5分に設定した。実験は、0.1ラジアン/秒~100ラジアン/秒の周波数範囲にわたって、190℃で行った。1~3%の試料の応答に基づいて、歪み振幅を調整した。応力応答を振幅と位相の観点から分析し、そこから貯蔵弾性率(G’)、損失弾性率(G”)、動的粘度η*、およびタンデルタを計算した。動的機械分光法用の試料は、「直径25mm×厚さ3.3mm」の圧縮成形ディスクで、180℃、10MPaの成形圧力で5分間形成し、その後、冷却プラテン(15~20℃)間で2分間急冷した。レオロジー比(190℃でV0.1/V100、「RR」とも呼ばれる)、タンデルタ(0.1ラジアン/秒、190℃)、およびタンデルタ(100ラジアン/秒、190℃)を記録した。
【0027】
EPDM組成物分析のためのFTIR法エチレン、プロピレン、および5-エチリデン-2-ノルボルネンを含有するターポリマーを、そのエチレン含有量についてはASTM D9300を使用し、そのエチリデン-ノルボルネンまたはジシクロペンタジエン含有量についてはASTM D6047を使用して分析した。
【0028】
ゲル浸透クロマトグラフィークロマトグラフィーシステムは、Polymer LaboratoriesモデルPL-210またはPolymer LaboratoriesモデルPL-220のいずれかからなった。カラムおよびカルーセルコンパートメントを、140℃で操作した。カラムは、3つのPolymer Laboratories、10ミクロンのMixed-Bカラムであった。使用した溶媒は、1,2,4トリクロロベンゼンであった。試料を、「50ミリリットルの溶媒中に0.1グラムのポリマー」の濃度で調製した。試料を調製するために使用した溶媒は、「200ppmのブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)」を含有した。試料を、160℃で2時間軽く撹拌することによって調製した。射出体積は100マイクロリットルであり、流速は1.0ミリリットル/分であった。
【0029】
GPCカラムセットのキャリブレーションを、21の「狭い分子量分布ポリスチレン標準」を用い、6つの「カクテル」混合物に配置した580~8,400,000g/モルの範囲の分子量を用いて、個々の分子量間で少なくとも10(a decade)離して実行した。標準を、Polymer Laboratories(Shropshire,UK)から購入した。ポリスチレン標準を、1,000kg/mol以上の分子量に対して「50ミリリットルの溶媒中に0.025グラム」、1,000kg/mol未満の分子量に対して「50ミリリットルの溶媒中に0.05グラム」で調製した。ポリスチレン標準を、穏やかに撹拌しながら、摂氏80度で30分間溶解した。狭い標準混合物を最初に較正し、劣化を最小限に抑えるよう「最高分子量」成分を減少させる順で較正した。ポリスチレン標準物質ピーク分子量を、以下の式を使用してポリエチレン分子量に変換した:Mポリエチレン=Ax(Mポリスチレン)B、式中、Mが分子量であり、Aが0.431の値を有し、Bが1.0に等しい(Williams and Ward,J.Polym.Sc.,Polym.Let.,6,621(1968)に記載される)。ポリエチレン等価分子量計算を、Viscotek TriSECソフトウェアバージョン3.0を使用して実行した。
【0030】
ムーニー粘度。ムーニー粘度(125℃でML1+4)を、ASTM D1646に従って、1分間の予熱時間および4分間のロータ動作時間で測定した。機器は、Alpha Technologies Mooney Viscometer 2000である。各配合組成物の粘度は、未硬化組成物の粘度を調べることができるように、未硬化ブランケットを使用して測定した(実験の項を参照)。試料を、試験前に室温で24時間調整した。
【0031】
タンデルタ比。タンデルタ比は、第1の反応器内で生成された第1のポリマー成分のタンデルタ(0.1ラジアン/秒、190℃)/第2の反応器内の最終組成物のタンデルタ(0.1ラジアン/秒、190℃)として定義した。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】本開示の実施形態による、本発明の実施例1(
図1B)のEPDMについての34.4ppm~34.6ppmでのピークを示さない
13C NMRスペクトルと比較して、比較試料3(CS3)(
図1A)の先行技術のEPDMについての34.4ppm~34.6PPMでのピークの存在を示す
13C NMRスペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本開示は、組成物を提供する。一実施形態では、本組成物は、ニートエチレン/プロピレン/非共役ポリエンインターポリマーを含む。ニートエチレン/プロピレン/非共役ポリエンインターポリマーは、0重量%超~6.0重量%の非共役ポリエンを含む。ニートエチレン/プロピレン/非共役ポリエンインターポリマーは、以下の特性:
(i)240,000~270,000の分子量(Mw)と、
(ii)80~85のムーニー粘度(ML(1+4)、125℃)と、
(iii)35~65のレオロジー比(RR)と、
(iv)2.2~3.5のMw/Mnと、
(v)0.6~0.9のタンデルタ比と、
(vi)5.0~10.0未満の絶対タンデルタ勾配と、を有する。
【0034】
エチレン/プロピレン/非共役ポリエンインターポリマーは、純粋(neat)である。「ニート」エチレン/プロピレン/非共役ポリエンインターポリマーは、添加油を含有しないか、そうでなければ、油を欠いているか、またはそうでなければ「油を含まない」。したがって、ムーニー粘度の値およびレオロジー比の値は、油を欠いているニートエチレン/プロピレン/非共役ポリエンインターポリマーについてであると理解されたい。
【0035】
ニートエチレン/プロピレン/非共役ポリエンインターポリマーは、エチレンモノマー、プロピレンコモノマー、および非共役ポリエンターポリマーを含む。プロピレンはコポリマーであるが、他のα-オレフィンがコモノマーとして使用され得ると理解されたい。プロピレン以外の適切なコモノマーの非限定的な例としては、1-ブテン、1-ヘキセン、および1-オクテンなどのC4~C8α-オレフィンが挙げられる。
【0036】
非共役ジオレフィンは、C6~C15直鎖、分岐鎖、または環式炭化水素ジエンである。適切な直鎖非環式ジエンの非限定的な例としては、1,4-ヘキサジエン1,5-ヘプタジエンが挙げられる。適切な分枝鎖非環式ジエンの非限定的な例としては、5-メチル-1,4-ヘキサジエン、2-メチル-l,5-ヘキサジエン、6-メチル-1,5-ヘプタジエン、7-メチル-1,6-オクタジエン、3,7-ジメチル-1,6-オクタジエン、3,7-ジメチル-1,7-オクタジエン、5,7-ジメチル-1,7-オクタジエン、1,9-デカジエン、およびジヒドロミルセンの混合異性体が挙げられる。適切な単環脂環式ジエンの非限定的な例としては、1,4-シクロヘキサジエン、1,5-シクロオクタジエン、および1,5-シクロドデカジエンが挙げられる。多環脂環式縮合環および架橋環ジエンの非限定的な例としては、テトラヒドロインデン、メチルテトラヒドロインデン、アルケニル、アルキリデン、シクロアルケニル、ならびに
5-メチレン-2-ノルボルネン(MNB)、5-エチリデン-2-ノルボルネン(ENB)、5-ビニル-2-ノルボルネン、5-プロペニル-2-ノルボルネン、5-イソプロピリデン-2-ノルボルネン、5-(4-シクロペンテニル)-2-ノルボルネン、および5-シクロヘキシリデン-2-ノルボルネンなどのシクロアルキリデンノルボルネンが挙げられる。
【0037】
一実施形態では、ジエンは、ENB、ジシクロペンタジエン、1,4-ヘキサジエン、7-メチル-1,6-オクタジエン、ジシクロペンタジエン、および1,4-ヘキサジエンから選択される。
【0038】
一実施形態では、ジエンは、5-エチリデン-2-ノルボルネン(ENB)である。
【0039】
一実施形態では、ニートエチレン/プロピレン/非共役ポリエンインターポリマーは、45重量%~55重量%、または47重量%~53重量%、または49重量%~51重量%のエチレンモノマー、40重量%~50重量%、または43重量%~49重量%、または45重量%~47重量%のプロピレンコモノマー、(iii)1重量%~6重量%、または2重量%~5重量%、または3重量%~4重量%、または4重量%~5重量%のENBを含み、エチレン/プロピレン/非共役ポリエンインターポリマーが、以下の特性:
(i)240,000~260,000、または245,000~258,000、または248,000~256,000の分子量(Mw)と、
(ii)80~85、または82~84のムーニー粘度と、
(iii)35~45、または37~43、または39~41のレオロジー比と、
(iv)2.2~3.5のMw/Mnと、
(v)0.6~0.9のタンデルタ比と、
(vi)5.0~10.0未満の絶対タンデルタ勾配と、
(vii)34.4ppm~34.6ppmの13C NMRピークを欠いていることと、を有する。
重量パーセントは、ニートエチレン/プロピレン/非共役ポリエンインターポリマーの総重量に基づく。前述の量のエチレン、プロピレン、およびENBと、特性(i)~(vii)と、を有するニートエチレン/プロピレン/非共役ポリエンインターポリマーを、以後、組成物1と呼ぶ。
【0040】
一実施形態では、組成物1は、47重量%~53重量%、または49重量%~51重量%のエチレンモノマー、43重量%~49重量%、または45重量%~47重量%のプロピレンコモノマー、(iii)2重量%~5重量%、または3重量%~4重量%、または4重量%~5重量%のENBを含み、エチレン/プロピレン/非共役ポリエンインターポリマーが、以下の特性:
(i)240,000~260,000、または245,000~258,000、または248,000~256,000のMwと、
(ii)80~105、または82~100、または85~95のムーニー粘度と、
(iii)35~65、または37~60、または39~55のレオロジー比と、
(iv)3.0~3.5のMw/Mnと、
(v)0.65~0.9、または0.7~0.85のタンデルタ比と、
(vi)6.0~12.0未満、または7.0~11.0未満の絶対タンデルタ勾配と、
(vii)34.4ppm~34.6ppmの13C NMRピークを欠いていることと、
(viii)1.8未満、または1.5~1.7のMw/V0.1比を有することと、を有する。
組成物1は、高分子量の線状ポリマーからの改善された物理的特性と、中間分岐がない、より低分子量の高度に分岐したポリマーからの改善された加工性とのバランスを示す高ムーニーEPDMである。
【0041】
一実施形態では、本発明のニートエチレン/プロピレン/非共役ポリエンインターポリマーは、直列に構成および操作される2つの重合反応器内で生成される、すなわち、1つの反応器の産出物が第2の反応器に供給される。反応器は、同じであっても異なっていてもよい。一実施形態では、各反応器は同じであり、各反応器はループ反応器である。
【0042】
反応器は、同様または異なるモードで操作することができる。一実施形態では、第1の反応器は、所望のポリマーの高分子量画分の形成が促進されるように操作され、一方、第2の反応器(すなわち、第1の反応器からの産出物を供給物として受け取る反応器)は、所望のポリマーの低分子量画分の形成が促進されるように操作される。
【0043】
第1の反応器と第2の反応器との間の温度差は、最終生成物のMw/Mnに影響を及ぼし、温度差が大きいほど、Mw/Mnはより広くなる。各反応器の操作温度は、多くの要因、例えば、α-オレフィン、ジエン、触媒、溶媒、装置および装置設計、圧力、流量および乱流、試薬の相対量、所望の製品特性などに依存し、第1の反応器についての典型的な操作温度は65℃~90℃であり、第2の反応器についての典型的な操作温度は85℃~120℃である。個々の反応器内の反応物の滞留時間もこれらの要因に依存するが、各反応器内の反応物についての典型的な滞留時間は、2分~90分である。
【0044】
エチレン、α-オレフィン(すなわち、プロピレン)、およびジエン(存在する場合)、溶媒、および任意で、水素は、任意の便利な手段によって、所望の割合でブレンドされ、次いでそのブレンドは、第1の反応器、すなわち産出物が他のまたは第2の反応器の供給物として使用される反応器に導入される。第1の触媒は、典型的には、他の試薬とは別に、第1の反応器に導入される。第1の反応器および第2の反応器は、第1の反応器からの産出物が第2の反応器のための供給物として取り出されると、追加の試薬が第1の反応器に添加されて、定常状態の反応質量、すなわち、エチレン、α-オレフィン、ジエン(存在する場合)、溶媒、触媒、および分子量調節剤(存在する場合)の比較的一定で、かつ比例する濃度を維持するように連続的に操作される。
【0045】
第1の反応器および第2の反応器は、互いに流体連通しており、典型的には、1つ以上の導管によって接続されている。これらの導管は、典型的には、(反応質量の均質なブレンドを促進するための)1つ以上のミキサーを備えている。
【0046】
第1の反応器と同様に、エチレン、α-オレフィン、ジエン(存在する場合)、溶媒、および任意で、水素は、所望の割合でブレンドされ、次いでそのブレンドは、第2の反応器、すなわち他のまたは第1の反応器からの産出物を供給物として受け取る反応器に導入される。同様に、第2の触媒(第1の反応器に導入された第1の触媒とは異なる触媒)は、典型的には、他の試薬とは別に、第2の反応器に導入される。第1の反応器からの産出物は、典型的には、1重量パーセント~30重量パーセントの固形物(すなわち、ポリマー)を含有し、他の試薬とは別に第2の反応器に供給されるか、またはその第2の反応器に導入する前に、最初に他の試薬のうちの1つ以上とブレンドすることができる。第2の反応器からの産出物は、典型的には、8重量パーセント~30重量パーセントの固形物を含有し、ここで、所望のポリマー生成物が溶媒および未反応モノマーから分離され、後者(すなわち、溶媒および未反応モノマー)は、個々に再利用されるか、または安全かつ環境的に許容可能な様態で廃棄される。
【0047】
一実施形態では、ニートエチレン/プロピレン/非共役ポリエンインターポリマーは、第1のポリマー成分と第2のポリマー成分との反応器内ブレンドである。第1のポリマー成分は第1の反応器内で生成され、第2のポリマー成分は第2の反応器内で生成される。第1のポリマー成分は、375,000、または380,000~390,000、または400,000のMwを有する。さらなる実施形態では、第1のポリマー成分は、375,000~400,000、または380,000~390,000のMwを有する。
【0048】
一実施形態では、第1の触媒は第1の反応器に導入され、第2の触媒は第2の反応器に導入される。第2の触媒は、第1の触媒とは異なる。第1の触媒(第1の反応器に導入される)はジルコニウム系の触媒であり、第2の触媒(第2の反応器に導入される)はハフニウム系の触媒であり、本発明のニートエチレン/プロピレン/非共役ポリエンインターポリマーは、残留量のハフニウムおよび残留量のジルコニウムを含有する。本明細書で使用される「残留量」という用語は、0ppm超~5ppmである。
【0049】
一実施形態では、第1の触媒は、[[レル-2’,2’’’-[[(1R、3S)-1,3-メチル-1,3-プロパンジイル]ビス(オキシ-κO)]ビス[3-[3,6-ビス(1,1-ジメチルエチル)-9H-カルバゾール-9-イル]-5’-フルオロ-5-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)[1,1’-ビフェニル]-2-オラト-κO]](2-)]ジメチルジルコニウムであり、以後、触媒Aと呼ぶ。触媒Aは、以下に提供されるような構造(A)を有する。
【化1】
【0050】
一実施形態では、第2の触媒は、[[[2’,2’’’-[1,3-プロパンジイルビス(オキシ-kO)]ビス[3-[3,6-ビス(1,1-ジメチルエチル)-9H-カルバゾール-9-イル]-5’-フルオロ-5-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)[1,1’-ビフェニル]-2-オラト-kO]](2-)]-ハフニウムジメチルまたはOC-6-33)-ジメチル[[2’,2’’’-[1,3-プロパンジイルビス(オキシ-κO)]ビス[3-[3,6-ビス(1,1-ジメチルエチル)-9H-カルバゾール-9-イル]-5’-フルオロ-5-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)[1,1’-ビフェニル]-2-オラト-κO]](2-)]ハフニウムであり、以後、触媒Bと呼ばれる。触媒Bは、以下に提供されるような構造(B)を有する。
【化2】
【0051】
一実施形態では、組成物1は、1ppm~5ppmの残留ジルコニウムおよび1ppm~5ppmの残留ハフニウムを含有する。さらなる実施形態では、ハフニウム金属およびジルコニウム金属の各々についての残留量は、チタンを除外したものである。
【0052】
2.添加剤
本発明のニートエチレン/プロピレン/非共役ポリエンインターポリマーは、任意の他の添加剤を含み得る。適切な添加剤の非限定的な例としては、油、充填剤、酸化防止剤、UV安定剤、発泡剤、難燃剤、着色剤または顔料、およびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0053】
一実施形態では、エチレン/プロピレン/非共役ポリエンインターポリマーがもはや油を欠くことがないように、ニートエチレン/プロピレン/非共役ポリエンインターポリマーに油が添加される。
【0054】
一実施形態では、ニートエチレン/プロピレン/非共役ポリエンインターポリマー組成物は、充填剤、酸化防止剤、UV安定剤、発泡剤、またはそれらの組み合わせから選択される少なくとも1つの添加剤を含む。充填剤としては、カーボンブラック;アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、ナトリウム、カリウムのケイ酸塩、およびそれらの混合物;カルシウム、マグネシウムの炭酸塩、およびそれらの混合物;ケイ素、カルシウム、亜鉛、鉄、チタン、およびアルミニウムの酸化物;カルシウム、バリウム、および鉛の硫酸塩;アルミナ三水和物;水酸化マグネシウム;フェノール-ホルムアルデヒド、ポリスチレン、およびポリ(a-メチル)-スチレン樹脂、天然繊維、合成繊維などが挙げられるが、これらに限定されない。一実施形態では、充填剤は、カーボンブラックである。
【0055】
一実施形態では、ニートエチレン/プロピレン/非共役ポリエンインターポリマーは、酸化防止剤を含む。適切な酸化防止剤の非限定的な例としては、ヒンダードフェノール、ビスフェノール、およびチオビスフェノール;置換ヒドロキノン;トリス(アルキルフェニル)ホスファイト;ジアルキルチオジプロピオネート;フェニルナフチルアミン;置換ジフェニルアミン;ジアルキル、アルキルアリール、およびジアリール置換p-フェニレンジアミン;モノマーおよびポリマーのジヒドロキノリン;2-(4-ヒドロキシ-3,5-t-ブチルアニリン)-4,6-ビス(オクチルチオ)l,3,5-トリアジン、ヘキサヒドロ-l,3,5-トリス-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニル-s-トリアジン、2,4,6-トリス(n-l,4-ジメチルペンチルフェニレン-ジアミノ)-l,3,5-トリアジン、トリス-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、ニッケルジブチルジチオカルバメート、2-メルカプトトリルイミダゾールおよびその亜鉛塩、石油ワックスなどが挙げられる。
【0056】
3.用途
本発明のニートエチレン/プロピレン/非共役ポリエンインターポリマー組成物は、ゴム配合物(バンバリーミキサーまたは押出機)にさらに調合され、さらに硬化されて最終製品になり得る(押出成形、射出成形、カレンダー加工)。
【0057】
ニートエチレン/プロピレン/非共役ポリエチレンインターポリマーおよび/または最終物品は、自動車用ホース、自動車用ベルト、ウェザーストリッププロファイル、建築用プロファイル、屋根ふき膜、射出成形物品、汎用ゴム商品、タイヤ、衝撃性改質、TPE化合物、および他の旧来型および非旧来型のゴムエラストマー使用で使用することができる。
【0058】
ここで、限定ではなく例として、本開示のいくつかの実施形態を、以下の実施例で詳細に説明する。
【実施例】
【0059】
1.実験用EPDMの合成
連続重合
重合反応は、定常状態条件、すなわち溶媒、モノマー、および触媒の一定の反応物濃度および連続的な投入、ならびに未反応モノマー、溶媒、およびポリマーの一定の回収のもと行った。反応器システムを冷却し、加圧して蒸気相の形成を防止した。モノマー:エチレン(CAS74-85-1);プロピレン(CAS115-07-1);5-エチリデン-2-ノルボルネン、ENB(CAS16219-75-3)。
【0060】
ポリマー組成物は、2つの反応器、(i)連続撹拌タンク型反応器(「第1の反応器」)、続いて(ii)ループ型反応器(「第2の反応器」)を使用する溶液重合プロセスで生成した。エチレンをISOPAR E(ExxonMobilから入手可能)の溶媒の混合物に導入し、プロピレンを導入し、5-エチリデン-2-ノルボルネン(ENB)を導入し、各々反応器原料流を形成した。
【0061】
触媒Aを第1の反応器に供給し、触媒Bを別個に第2の反応器に供給し、共触媒1および共触媒2を使用して、触媒Aおよび触媒Bをその場で活性化した。
【0062】
共触媒-1は、USP5,919,988(実施例2)に実質的に開示されているとおり、長鎖トリアルキルアミン(Akzo-Nobel,Inc.から入手可能なARMEEN M2HT)の反応によって調製されたテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのメチルジ(C14~18アルキル)アンモニウム塩と、HClと、Li[B(C6F5)4]との混合物である。共触媒-1は、Boulder Scientific製であり、さらに精製することなく使用した。
【0063】
共触媒-2は、Akzo Nobel製の変性メチルアルモキサン(MMAO)であり、さらに精製することなく使用した。
【0064】
触媒Aおよび触媒Bについての構造を以下に提供する。
【0065】
触媒A:[[レル-2’,2’’’-[[(1R、3S)-1,3-メチル-1,3-プロパンジイル]ビス(オキシ-κO)]ビス[3-[3,6-ビス(1,1-ジメチルエチル)-9H-カルバゾール-9-イル]-5’-フルオロ-5-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)[1,1’-ビフェニル]-2-オラト-κO]](2-)]ジメチルジルコニウム。CAS#1360629-63-5。
【化3】
【0066】
触媒B:[[[2’,2’’’-[1,3-プロパンジイルビス(オキシ-kO)]ビス[3-[3,6-ビス(1,1-ジメチルエチル)-9H-カルバゾール-9-イル]-5’-フルオロ-5-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)[1,1’-ビフェニル]-2-オラト-kO]](2-)]-ハフニウムジメチルまたはOC-6-33)-ジメチル[[2’,2’’’-[1,3-プロパンジイルビス(オキシ-κO)]ビス[3-[3,6-ビス(1,1-ジメチルエチル)-9H-カルバゾール-9-イル]-5’-フルオロ-5-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)[1,1’-ビフェニル]-2-オラト-κO]](2-)]ハフニウム。CAS#1360650-53-8。
【化4】
【0067】
その結果、各反応器の出口は、ポリマー、溶媒、および低下したレベルの初期モノマーの混合物であった。第1の反応器の出口は、第2の反応器に直接供給された(サンプリングされない限り)。ポリマーの分子量は、各反応器の温度、モノマー変換、および/または水素などの連鎖停止剤の添加を調節することによって制御した。
【0068】
重合後、少量の水を触媒失活剤として反応器出口流に導入し、反応器出口流を、固形分濃度が少なくとも100%増加したフラッシュ容器に導入した。次いで、未反応モノマーの一部分、すなわちENB、エチレン、およびプロピレン、ならびに未使用の希釈剤を回収し、必要に応じて反応器供給量に再循環させた。
【0069】
モノマー供給速度および重合温度ならびに他の条件を、以下の表1および表2に列挙する。
【表1】
【表2】
【表3】
【0070】
IE1は、38.6%の第1のポリマー成分(反応器1内で生成されたEPDM)および61.40重量%の第2のポリマー成分(反応器2内で生成されたEPDM)を含有する。重量パーセントは、最終的なEPDMターポリマーの総重量に基づく。
【0071】
図1Bに示すように、IE1がiCBを有しない(34.4ppm~34.6ppmに
13C NMRピークがない)のに対して、CS3は
図1Aの34.4ppm~34.6ppmに
13C NMRピークによって明らかなようにiCBを有する。
【0072】
IE1は、3.0~3.5(3.4)のMw/Mn 9.5の絶対タンデルタ勾配を有し、0.6~0.9(0.84)のタンデルタ比を有し、iCBはない。これらの特性の組み合わせは、IE1が加工性と分岐(iCBなし)とのバランスを有していることを示す。0.6~0.9のタンデルタ比は、最終的なEPDMターポリマーのタンデルタが第1の反応器内のEPDMターポリマーのタンデルタ値よりも低いことを示している。タンデルタ比は、特有の二重触媒/二重反応器構成の結果である。第1の反応器内の第1の触媒(触媒A)は高分子量(375,000~400,000)の線状EPDMターポリマーを生成し、第2の反応器内の第2の触媒(触媒B)は分岐EPDMターポリマーを生成する。
【0073】
本開示は、本明細書に含まれる実施形態および例示に限定されず、実施形態の一部分、および異なる実施形態の要素の組み合わせを含むこれらの実施形態の変更された形態を、次の特許請求の範囲内に該当するものとして含むことが、特に意図されている。
本出願の発明の例として、以下のものが挙げられる。
[1] 組成物であって、
0重量%超~6.0重量%の非共役ポリエンを含む、ニートエチレン/プロピレン/非共役ポリエンインターポリマーを含み、前記インターポリマーが、以下の特性
(i)240,000~270,000の分子量(Mw)と、
(ii)80~85のムーニー粘度(ML(1+4)、125℃)と、
(iii)35~65のレオロジー比と、
(iv)2.2~3.5のMw/Mnと、
(v)0.6~0.9のタンデルタ比と、
(vi)5.0~10.0未満の絶対タンデルタ勾配と、を有する、組成物。
[2] 前記ニートエチレン/プロピレン/非共役ポリエンインターポリマーが、1.80(g/モル)未満のMw/V0.1比を有する、上記[1]に記載の組成物。
[3] 前記ニートエチレン/プロピレン/非共役ポリエンインターポリマーが、34.4ppm~34.6ppmの13C NMRピークを欠いている、上記[1]または[2]に記載の組成物。
[4] 前記ニートエチレン/プロピレン/非共役ポリエンインターポリマーが、
45重量%~55重量%のエチレンモノマーと、
40重量%~50重量%のプロピレンコモノマーと、
3重量%~6重量%の5-エチリデン-2-ノルボルネンターモノマー(ENB)と、を含む、上記[1]~[3]のいずれか一項に記載の組成物。
[5] 前記ニートエチレン/プロピレン/非共役ポリエンインターポリマーが、以下の特性
(i)240,000~260,000の分子量(Mw)と、
(ii)80~85のムーニー粘度(ML(1+4、125℃)と、
(iii)35~45のレオロジー比と、
(iv)3.0~3.5のMw/Mnと、
(v)0.6~0.9のタンデルタ比と、
(vii)34.4ppm~34.6ppmの13C NMRピークを欠いていることと、
(viii)1.5~1.7のMw/V0.1比を有することと、を有する、上記[4]に記載の組成物。
[6] 前記ニートエチレン/プロピレン/非共役ポリエンインターポリマーが、3.2~3.5のMw/Mnを有する、上記[5]に記載の組成物。
[7] 前記ニートエチレン/プロピレン/非共役ポリエンインターポリマーが、0.7~0.9のタンデルタ比を有する、上記[6]に記載の組成物。
[8] 前記ニートエチレン/プロピレン/非共役ポリエンインターポリマーが、
375,000~400,000のMwを有する第1のポリマー成分と、
第2のポリマー成分と、の反応器内ブレンドである、上記[1]~[7]のいずれか一項に記載の組成物。
[9] 前記ニートエチレン/プロピレン/非共役ポリエンインターポリマーが、
30重量%~40重量%の前記第1のポリマー成分と、
70重量%~60重量%の前記第2のポリマー成分と、を含む、上記[8]に記載の組成物。
[10] 前記ニートエチレン/プロピレン/非共役ポリエンインターポリマーが、1ppm~5ppmのハフニウムおよび1ppm~5ppmのジルコニウムを含む、上記[1]~[9]のいずれか一項に記載の組成物。