(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-22
(45)【発行日】2024-01-05
(54)【発明の名称】仮想アイテム制御システム、仮想アイテム制御方法、および仮想アイテム制御プログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 21/62 20130101AFI20231225BHJP
H04L 67/131 20220101ALI20231225BHJP
【FI】
G06F21/62
H04L67/131
(21)【出願番号】P 2022050291
(22)【出願日】2022-03-25
【審査請求日】2022-03-25
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】518412081
【氏名又は名称】株式会社バーチャルキャスト
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100144440
【氏名又は名称】保坂 一之
(74)【代理人】
【識別番号】100208591
【氏名又は名称】井後 智哉
(74)【代理人】
【識別番号】100223424
【氏名又は名称】和田 雄二
(74)【代理人】
【識別番号】100165526
【氏名又は名称】阿部 寛
(72)【発明者】
【氏名】松井 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】岩城 進之介
【審査官】上島 拓也
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-224771(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0050100(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2022/0012920(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0239227(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 21/62
H04L 67/131
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つのプロセッサを備え、
前記少なくとも一つのプロセッサが、
所定の仮想現実空間であるルームに接続している入室者を特定する情報、および前記ルームに配置されている仮想アイテムの所有者を特定する情報を取得し、
前記入室者を特定する情報の中に前記所有者を特定する情報が含まれているか否か
、および、前記ルームに配置されている仮想アイテムの位置と、前記所有者のアバターの位置との位置関係に基づいて、前記ルームに配置されている仮想アイテムに対し、前記仮想アイテムに関連付けられた仕掛けを稼働する前記入室者の操作権限を制御する制御処理を実行する、
仮想アイテム制御システム。
【請求項2】
前記少なくとも一つのプロセッサが、前記ルームに配置されている仮想アイテムに対し、前記入室者のいずれかによる操作要求が発生したことをトリガとして、前記制御処理を実行する、請求項1に記載の仮想アイテム制御システム。
【請求項3】
前記少なくとも一つのプロセッサが、前記ルームに配置されている一つ以上の仮想アイテムのうち、前記操作要求が発生した仮想アイテムに対して前記制御処理を実行する、請求項2に記載の仮想アイテム制御システム。
【請求項4】
前記少なくとも一つのプロセッサが、前記入室者のうち、前記所有者以外の入室者の操作権限を制御するように前記制御処理を実行する、請求項3に記載の仮想アイテム制御システム。
【請求項5】
前記少なくとも一つのプロセッサが、前記操作要求を発生させた入室者の操作権限を制御するように前記制御処理を実行する、請求項4に記載の仮想アイテム制御システム。
【請求項6】
前記少なくとも一つのプロセッサが、
前記操作要求が発生した仮想アイテムに関連付けられた仮想アイテムである関連アイテムの所有者を特定する情報をさらに取得し、
前記関連アイテムの所有者を特定する情報の中に前記操作要求を発生させた入室者を特定する情報が含まれているか否かにさらに基づいて、前記制御処理を実行する、
請求項5に記載の仮想アイテム制御システム。
【請求項7】
前記少なくとも一つのプロセッサが、前記操作権限を制限しないモード、前記操作権限の一部を制限するモード、または前記操作権限の全部を制限するモードのいずれかを設定するように前記制御処理を実行する、請求項2~6のいずれか一項に記載の仮想アイテム制御システム。
【請求項8】
前記少なくとも一つのプロセッサが、前記操作権限の一部を制限するモード、または前記操作権限の全部を制限するモードのいずれかを設定する場合、前記操作要求を発生させた入室者のユーザ端末上に、前記操作要求が発生した仮想アイテムを取得するためのユーザインタフェースを表示させる、請求項7に記載の仮想アイテム制御システム。
【請求項9】
少なくとも一つのプロセッサを備える仮想アイテム制御システムによって実行される仮想アイテム制御方法であって、
所定の仮想現実空間であるルームに接続している入室者を特定する情報、および前記ルームに配置されている仮想アイテムの所有者を特定する情報を取得するステップと、
前記入室者を特定する情報の中に前記所有者を特定する情報が含まれているか否か
、および、前記ルームに配置されている仮想アイテムの位置と、前記所有者のアバターの位置との位置関係に基づいて、前記ルームに配置されている仮想アイテムに対し、前記仮想アイテムに関連付けられた仕掛けを稼働する前記入室者の操作権限を制御する制御処理を実行するステップと
を含む仮想アイテム制御方法。
【請求項10】
所定の仮想現実空間であるルームに接続している入室者を特定する情報、および前記ルームに配置されている仮想アイテムの所有者を特定する情報を取得するステップと、
前記入室者を特定する情報の中に前記所有者を特定する情報が含まれているか否か
、および、前記ルームに配置されている仮想アイテムの位置と、前記所有者のアバターの位置との位置関係に基づいて、前記ルームに配置されている仮想アイテムに対し、前記仮想アイテムに関連付けられた仕掛けを稼働する前記入室者の操作権限を制御する制御処理を実行するステップと
をコンピュータに実行させる仮想アイテム制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の一側面は仮想アイテム制御システム、仮想アイテム制御方法、および仮想アイテム制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、仮想現実空間における各ユーザが、ユーザオブジェクトを操作して所望の情報オブジェクトにアクセスすることにより、情報オブジェクトが管理する情報の提供を受けることが可能なシステムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
所定の仮想現実空間(ルーム)に、仮想アイテムを配置することができる仕組みがある。従来の仕組みでは、仮想アイテムの所有者ではない他のユーザであっても、該仮想アイテムに対し何らかの操作を実行することができてしまう。そこで、仮想アイテムに対する他のユーザの操作権限を適切に制御する仕組みが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一側面に係る仮想アイテム制御システムは、少なくとも一つのプロセッサを備える。少なくとも一つのプロセッサは、所定の仮想現実空間であるルームに接続している入室者を特定する情報、およびルームに配置されている仮想アイテムの所有者を特定する情報を取得し、入室者を特定する情報の中に所有者を特定する情報が含まれているか否かに基づいて、ルームに配置されている仮想アイテムに対する入室者の操作権限を制御する制御処理を実行する。
【0006】
このような側面においては、ルームの入室者の中に仮想アイテムの所有者がいるか否かに基づいて、該仮想アイテムに対する入室者の操作権限が制御される。例えば、仮想アイテムの所有者がルームにいる場合に、入室者が該仮想アイテムを操作できるか否か、または仮想アイテムの所有者がルームにいない場合に、入室者が該仮想アイテムを操作できるか否かを制御すること等が可能となる。これにより、他のユーザの操作権限を適切に制御することができる。
【発明の効果】
【0007】
本開示の一側面によれば、仮想アイテムに対する他のユーザの操作権限を適切に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】実施形態に係る仮想アイテム制御システムの適用の一例を示す図である。
【
図3】実施形態に係る仮想アイテム制御システムに関連するハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図4】実施形態に係る仮想アイテム制御システムに関連する機能構成の一例を示す図である。
【
図5】データの一例を示す図である。
図5の例(a)は、ユーザに関するデータの一例である。
図5の例(b)は、ルームに関するデータの一例である。
図5の例(c)は、アイテムに関するデータの一例である。
【
図6】ルームの接続に係る仮想アイテム制御システムの動作を示すシーケンス図である。
【
図7】仮想アイテムを配置するための画面を示す図である。
【
図8】仮想アイテムを配置するための画面を示す図である。
【
図9】仮想アイテムの配置に係る仮想アイテム制御システムの動作を示すシーケンス図である。
【
図10】所有者以外による仮想アイテムに対する操作を説明するための図である。
【
図11】仮想アイテムを取得するための画面の一例を示す図である。
【
図12】実施形態に係る仮想アイテム制御システムの動作を示すシーケンス図である。
【
図13】仮想アイテムと所有者のアバターとの位置関係の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しながら本開示での実施形態を詳細に説明する。図面の説明において同一または同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0010】
[システムの概要]
実施形態に係る仮想アイテム制御システムは、仮想現実空間をユーザに提供するコンピュータシステムである。仮想現実空間は、コンピュータ上に表示される画像によって表現される仮想の2次元または3次元の空間である。ユーザとは、仮想アイテム制御システムを利用する人である。提供とは、ネットワークを介してユーザ端末に情報を送信する処理のことをいう。ユーザ端末は、ユーザによって用いられるコンピュータである。仮想アイテム制御システムは、仮想現実空間をコンテンツとしてユーザ端末に送信する。コンテンツとは、コンピュータまたはコンピュータシステムによって提供され、人が認識可能な情報のことをいう。コンテンツを示す電子データのことをコンテンツデータという。
【0011】
コンテンツの表現形式は限定されず、例えば、コンテンツは画像(例えば、写真、映像など)、文書、音声、音楽、またはこれらの中の任意の2以上の要素の組合せによって表現されてもよい。本実施形態ではコンテンツは少なくとも画像を用いて表現される。コンテンツを示す画像を「コンテンツ画像」という。コンテンツ画像とは、人が視覚を通して何らかの情報を認識することができる像のことをいう。コンテンツ画像は動画像(映像)でもよいし静止画でもよい。
【0012】
一例では、コンテンツ画像は、仮想オブジェクトが存在する仮想現実空間を表現する。仮想オブジェクトは、現実世界には存在せず、コンピュータシステム上でのみ表現される物体である。仮想オブジェクトの表現方法は限定されない。仮想オブジェクトは、例えばアニメーション素材または実写画像等の画像素材を用いて、2次元または3次元のコンピュータグラフィックス(CG)によって表現される。コンテンツ画像は、例えば、仮想現実空間内に設定された仮想カメラから見える風景を示す画像である。仮想カメラは、コンテンツ画像を見るユーザの視線に対応するように仮想現実空間内に設定される仮想的な視点(仮想視点)である。ユーザはコンテンツ画像を見ることで、仮想現実(Virtual Reality(VR))を体験することができる。
【0013】
図1を参照して、ルームの概要を説明する。ルームとは、所定の仮想現実空間であり、屋内または屋外を問わない。ルームは複数存在し得る。各ルームはそれぞれ独立している。
図1に示されるルームRは、ルームの一例である。
【0014】
ユーザは、ユーザ端末を介してルームに接続することによって、ルームに入室する。以下、ルームに入室したユーザを「入室者」という。仮想アイテム制御システムは、入室者のユーザ端末に対し、該ルームをコンテンツとして送信する。入室者は、該ルーム内の仮想現実を体験することができる。入室者は、ルーム内においてアバターとして表示される。アバターは、人物の仮想オブジェクトである。ユーザは、ユーザ端末を介してアバターを操作する。
【0015】
一例では、第1ユーザおよび第2ユーザは、それぞれのユーザ端末を介してルームRに接続することにより、ルームRの入室者になる。第1ユーザおよび第2ユーザは、ルームR内においてアバターA1およびA2としてそれぞれ表示されている。第1ユーザは、アバターA1から見えるルームRの仮想現実を体験することができる。同様に、第2ユーザは、アバターA2から見えるルームRの仮想現実を体験することができる。
【0016】
ルームRには、仮想アイテムG1が配置されている。仮想アイテムは、アバターから視認可能な物体の仮想オブジェクトである。例えば、仮想アイテムG1は、ゲーム機の仮想オブジェクトである。仮想アイテムには、所有者が関連付けられている。例えば、仮想アイテムG1には、所有者として第1ユーザが関連付けられている。
【0017】
ユーザは、アバターを介して仮想アイテムに対し所定の操作(例えば位置の変更等)を行うことができる。仮想アイテム制御システムは、ルーム内に配置されている仮想アイテムの所有者がルーム内にいるか否かを判定し、仮想アイテムの所有者ではない他のユーザによる該仮想アイテムの操作権限を制御する。
【0018】
[システムの構成]
図2は仮想アイテム制御システム1の適用の一例を示す図である。本実施形態では、仮想アイテム制御システム1はサーバ10を備える。サーバ10は、コンテンツを少なくとも一つのユーザ端末20に送信するコンピュータである。サーバ10は通信ネットワークNを介して少なくとも一つのユーザ端末20と接続する。
図2は2台のユーザ端末20を示すが、ユーザ端末20の台数は何ら限定されない。さらに、サーバ10は通信ネットワークNを介して、ユーザデータベース30およびコンテンツデータベース40と接続されている。通信ネットワークNの構成は限定されない。例えば、通信ネットワークNはインターネットを含んで構成されてもよいし、イントラネットを含んで構成されてもよい。
【0019】
ユーザ端末20の種類および構成は限定されない。例えば、ユーザ端末20は高機能携帯電話機(スマートフォン)、タブレット端末、ウェアラブル端末(例えば、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)、スマートグラスなど)、ラップトップ型パーソナルコンピュータ、携帯電話機などの携帯端末でもよい。あるいは、ユーザ端末20はデスクトップ型パーソナルコンピュータなどの据置型端末でもよい。一例では、ユーザ端末20は、パーソナルコンピュータと、HMDと、コントローラとの組合せであってもよい。コントローラは、例えば、ボタン、トリガ、グリップ、スティック、およびタッチパッド等の少なくとも一つを備える入力装置である。
【0020】
ユーザデータベース30は、仮想アイテム制御システム1のユーザを管理する非一時的な記憶媒体または記憶装置である。コンテンツデータベース40は、コンテンツデータの生成に必要なデータを記憶する非一時的な記憶媒体または記憶装置である。ユーザデータベース30およびコンテンツデータベース40は、仮想アイテム制御システム1とは別のコンピュータシステム内に設けられてもよいし、仮想アイテム制御システム1の構成要素であってもよい。
【0021】
図3は、仮想アイテム制御システム1に関連するハードウェア構成の一例を示す図である。
図3は、サーバ10として機能するサーバコンピュータ100と、ユーザ端末20として機能する端末コンピュータ200とを示す。
【0022】
一例として、サーバコンピュータ100はハードウェア構成要素として、プロセッサ101、主記憶部102、補助記憶部103、および通信部104を備える。プロセッサ101は、オペレーティングシステムおよびアプリケーションプログラムを実行する演算装置である。プロセッサの例としてCPU(Central Processing Unit)およびGPU(Graphics Processing Unit)が挙げられる主記憶部102は、プログラム、演算結果などを記憶する装置であり、例えばROM(Read Only Memory)またはRAM(Random Access Memory)により構成される。補助記憶部103は、一般に主記憶部102よりも大量のデータを記憶することが可能な装置であり、ハードディスク、フラッシュメモリなどの不揮発性記憶媒体によって構成される。補助記憶部103は、サーバコンピュータ100をサーバ10として機能させるためのサーバプログラムP1と各種のデータとを記憶する。通信部104は、通信ネットワークNを介して他のコンピュータとの間でデータ通信を実行する装置であり、例えばネットワークカードまたは無線通信モジュールにより構成される。
【0023】
サーバ10の各機能要素は、プロセッサ101または主記憶部102の上にサーバプログラムP1を読み込ませてプロセッサ101にそのプログラムを実行させることで実現される。サーバプログラムP1は、サーバ10の各機能要素を実現するためのコードを含む。プロセッサ101はサーバプログラムP1に従って通信部104を動作させ、主記憶部102または補助記憶部103におけるデータの読み出しおよび書き込みを実行する。
【0024】
サーバ10は、一つまたは複数のコンピュータにより構成され得る。複数のコンピュータが用いられる場合には、通信ネットワークNを介してこれらのコンピュータが互いに接続されることで、論理的に一つのサーバ10が構成される。
【0025】
一例として、端末コンピュータ200はハードウェア構成要素として、プロセッサ201、主記憶部202、補助記憶部203、および通信部204、入力インタフェース205、出力インタフェース206、および撮像部207を備える。プロセッサ201は、オペレーティングシステムおよびアプリケーションプログラムを実行する演算装置であり、例えばCPUまたはGPUであり得る。主記憶部202は、プログラム、演算結果などを記憶する装置であり、例えばROMまたはRAMにより構成される。補助記憶部203は、一般に主記憶部202よりも大量のデータを記憶することが可能な装置であり、例えばハードディスク、フラッシュメモリなどの不揮発性記憶媒体によって構成される。補助記憶部203は、端末コンピュータ200をユーザ端末20として機能させるためのクライアントプログラムP2と各種のデータとを記憶する。通信部204は、通信ネットワークNを介して他のコンピュータとの間でデータ通信を実行する装置であり、例えばネットワークカードまたは無線通信モジュールにより構成される。入力インタフェース205は、ユーザの操作または動作に基づいてデータを受け付ける装置であり、例えば、キーボード、操作ボタン、ポインティングデバイス、タッチパネル、マイクロフォン、センサ、およびカメラのうちの少なくとも一つによって構成される。出力インタフェース206は、端末コンピュータ200で処理されたデータを出力する装置であり、例えば、モニタ、タッチパネル、HMDおよびスピーカのうちの少なくとも一つによって構成される。撮像部207は、現実世界を写した画像を撮影する装置であり、例えば、映像または写真を撮影するカメラである。撮像部207は入力インタフェース205としても機能し得る。
【0026】
ユーザ端末20の各機能要素は、対応するクライアントプログラムP2をプロセッサ201または主記憶部202に読み込ませてプロセッサ201にそのプログラムを実行させることで実現される。クライアントプログラムP2は、ユーザ端末20の各機能要素を実現するためのコードを含む。プロセッサ201はクライアントプログラムP2に従って通信部204、入力インタフェース205、出力インタフェース206、または撮像部207を動作させ、主記憶部202または補助記憶部203におけるデータの読み出しおよび書き込みを行う。
【0027】
サーバプログラムP1およびクライアントプログラムP2の少なくとも一つは、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリなどの有形の記録媒体に非一時的に記録された上で提供されてもよい。あるいは、これらのプログラムの少なくとも一つは、搬送波に重畳されたデータ信号として通信ネットワークNを介して提供されてもよい。これらのプログラムは別々に提供されてもよいし、一緒に提供されてもよい。仮想アイテム制御プログラムは、サーバプログラムP1およびクライアントプログラムP2のいずれか一方として実現されてもよいし、該二つのプログラムの双方によって実現されてもよい。
【0028】
図4は仮想アイテム制御システム1に関連する機能構成の一例を示す図である。サーバ10は、機能要素として接続受付部11、コンテンツ生成部12、操作受付部13および取得部14を備える。接続受付部11は、ルームに対する接続要求をユーザ端末20から受信する機能要素である。コンテンツ生成部12は、コンテンツデータを生成および更新する機能要素である。操作受付部13は、ユーザ端末20における操作の検知結果をユーザ端末20から受信する機能要素である。取得部14は、操作権限の判定のために必要な情報を取得する機能要素である。
【0029】
ユーザ端末20は、機能要素として接続要求部21、表示部22、検知部23および権限制御部24を備える。接続要求部21は、ルームに対する接続要求をサーバ10に送信する機能要素である。表示部22は、コンテンツデータを表示装置上に表示する機能要素である。検知部23は、ユーザ端末20における操作の検知結果をサーバ10に送信する機能要素である。権限制御部24は、仮想アイテムに対する入室者の操作権限を設定する機能要素である。
【0030】
ユーザデータベース30は、例えばユーザを一意に特定するユーザID等を記憶する。ユーザデータベース30は、入室者を特定する情報を記憶している。例えば、ユーザデータベース30は、ユーザIDに関連付けてルームを一意に特定するルームIDを記憶することにより、入室者を特定する情報を記憶している。
【0031】
コンテンツデータベース40は、空間データ41およびオブジェクトデータ42を記憶している。空間データ41は、コンテンツを構成する仮想現実空間を示す電子データである。例えば、空間データ41は、座標、背景を構成する個々の仮想オブジェクトの配置、仮想カメラの位置、または仮想光源の位置等を示す情報を含み得る。一例では、空間データ41は、ルームを示す電子データである。
【0032】
オブジェクトデータ42は、コンテンツを構成する仮想オブジェクトの仕様を規定するために用いられる電子データである。仮想オブジェクトの仕様とは、仮想オブジェクトを制御するための取り決めまたは方法のことをいう。例えば、仮想オブジェクトの仕様は、仮想オブジェクトの構成(例えば形状および寸法)、動作、および音声のうちの少なくとも一つを含む。一例では、オブジェクトデータ42は、アバターを示す電子データおよび仮想アイテムを示す電子データである。
【0033】
仮想アイテムに関するオブジェクトデータ42は、仮想アイテムの所有者を特定する情報を含む。例えば、コンテンツデータベース40は、仮想アイテムを一意に特定するアイテムIDに関連付けて、所有者としてユーザIDを記憶する。仮想アイテム制御システム1は、例えば仮想アイテムの購入等をトリガとして、該仮想アイテムの所有者をコンテンツデータベース40に格納してもよい。
【0034】
図5は、仮想アイテム制御システム1により用いられるデータの一例を示す図である。
図5の例(a)は、ユーザに関するデータの一例を示す図である。例えば、ユーザデータベース30は、ユーザIDとルームIDとを関連付けて記憶している。一例では、ユーザデータベース30は、第1ユーザのユーザID「0001」とルームID「R1」とを関連付けて記憶していると共に、第2ユーザのユーザID「0002」とルームID「R1」とを関連付けて記憶している。この場合、ルームID「R1」により特定されるルームに対し、第1ユーザおよび第2ユーザが入室者であることを示す。
図5の例(b)は、ルームに関するデータの一例を示す図である。例えば、コンテンツデータベース40は、ルームIDに関連付けてルームを示す各種データを記憶している。
図5の例(c)は、仮想アイテムに関するデータの一例を示す図である。例えば、コンテンツデータベース40は、アイテムIDに関連付けて所有者を記憶している。一例では、コンテンツデータベース40は、アイテムID「1111」に関連付けて所有者「0001」を記憶している。所有者はユーザIDに対応している。
【0035】
[システムの動作]
図6を参照しながら、ユーザがルームに入室する際の動作例を説明する。
図6は、仮想アイテム制御システム1の動作を処理フローS1として示すシーケンス図である。
【0036】
ステップS11では、ユーザ端末20の接続要求部21が、ルームRに接続するための接続要求をサーバ10に送信する。サーバ10の接続受付部11は、接続要求をユーザ端末20から受信する。接続受付部11は、ユーザ端末20とルームRとの接続を許可すると、ユーザデータベース30に入室者を特定する情報を格納する。例えば、接続受付部11は、ユーザのユーザIDと、ルームRのルームIDとを関連付けてユーザデータベース30に格納する。
【0037】
ステップS12では、サーバ10のコンテンツ生成部12が、ルームRの仮想現実空間をコンテンツデータとして生成する。コンテンツ生成部12は、コンテンツデータベース40を参照して、ルームRに関する空間データ41およびオブジェクトデータ42を取得する。コンテンツ生成部12は、ルームRの仮想現実空間をコンテンツデータとして生成する。
【0038】
ステップS13では、コンテンツ生成部12が、コンテンツデータをユーザ端末20に送信する。ユーザ端末20は、サーバ10からコンテンツデータを受信する。
【0039】
ステップS14では、ユーザ端末20の表示部22が、コンテンツデータを表示装置上に表示する。ユーザは、表示装置上のコンテンツデータを視認することにより、ルームRの仮想現実を体験することができる。一例では、第1ユーザがルームRに入室している場合、第1ユーザは、アバターA1から見えるルームRの仮想現実を体験することができる(
図1参照)。同様に、第2ユーザがルームRに入室している場合、第2ユーザは、アバターA2から見えるルームRの仮想現実を体験することができる(
図1参照)。コンテンツデータは、ルームRの入室者による各種操作に対応してリアルタイムに更新され得る。
【0040】
図7および
図8を参照して、仮想アイテムをルームに配置する操作の一例を説明する。
図7に示される画面V1および
図8に示される画面V2は、アバターA1から見えるルームRの仮想現実を示す画面である。画面V1および画面V2は、アバターA1に対応する第1ユーザのユーザ端末20上に表示される。
【0041】
画面V1には、アバターA1の腕、第2ユーザに対応するアバターA2、およびメニューMが表示されている。メニューMは、仮想現実空間における各種の操作を行うためのインタフェースであり、例えば仮想アイテムの配置またはルームの移動等の操作を受け付ける。一例では、メニューMは、仮想アイテムの配置を行うためのインタフェースである。メニューMは、ユーザが所有している仮想アイテムの一覧であるインベントリとして表示されている。例えば、インベントリには、第1ユーザが所有している仮想アイテムG1、G2およびG3が表示されている。インベントリに表示された仮想アイテムは、インベントリから取り出すこと、およびインベントリに収納することができる。
【0042】
第1ユーザは、ユーザ端末20を介してアバターA1を操作することができる。例えば、第1ユーザは、アバターA1の移動、方向転換、メニューMの選択、仮想アイテムを掴むまたは離す等の操作を実行できる。一例では、第1ユーザは、アバターA1を操作して、メニューMに表示された仮想アイテムG2を選択する。仮想アイテムG2は、ヘッドフォンの仮想オブジェクトである。
【0043】
画面V2は、画面V1における仮想アイテムG2の選択後の画面を示す。画面V2には、アバターA1の腕、アバターA2、および仮想アイテムG2が表示されている。画面V1において仮想アイテムG2が選択されると、仮想アイテムG2がルームRに配置される。すなわち、第1ユーザは、アバターA1を介してメニューM(インベントリ)から仮想アイテムG2を取り出すことができる。
【0044】
第1ユーザは、アバターA1を介して、配置されている仮想アイテムG2に対し所定の操作を行うことができる。所定の操作としては、例えば位置の変更が挙げられる。第1ユーザは、仮想アイテムG2を引き寄せる、掴むまたは離す、持って移動する、または装着する等の操作をアバターA1に実行させることができる。このような操作を行うことにより、ルームRにおける仮想アイテムG2の位置が変化し得る。
【0045】
所定の操作の別の例として、例えばギミックの稼働が挙げられる。ギミックとは、仮想アイテムに関連付けられた仕掛けのことをいう。仮想アイテムには、ギミックが関連付けられていなくてもよい。一例では、仮想アイテムG2には「音楽を聴く」というギミックが関連付けられている。第1ユーザは、アバターA1を介して仮想アイテムG2の「音楽を聴く」というギミックを稼働させることができる。例えば、第1ユーザは、アバターA1が仮想アイテムG2を装着することをトリガとしてギミックを稼働させることができるが、稼働の操作はこれに限られない。このような操作に応答して、ユーザ端末20は、スピーカ等から音声を出力してもよい。
【0046】
図9を参照しながら、仮想アイテムをルームに配置する操作の動作例を説明する。
図9は、仮想アイテム制御システム1の動作を処理フローS2として示すシーケンス図である。処理フローS2において、ユーザ端末20は、第1ユーザのユーザ端末20(以下、「第1ユーザ端末」という。)および第2ユーザのユーザ端末20(以下、「第2ユーザ端末」という。)として説明する。
【0047】
ステップS21では、第1ユーザ端末の検知部23が、アバターA1の操作を検知する。例えば、検知部23は、画面V1(
図7参照)上において、ルームRに仮想アイテムG2を配置するための操作を検知する。
【0048】
ステップS22では、検知部23が、第1ユーザ端末における操作の検知結果をサーバ10に送信する。検知結果には、仮想アイテムG2を特定する情報が含まれる。サーバ10の操作受付部13は、第1ユーザ端末から検知結果を取得する。
【0049】
ステップS23では、コンテンツ生成部12が、コンテンツデータを更新する。例えば、コンテンツ生成部12は、ルームRの所定の座標に仮想アイテムG2を配置するようにコンテンツデータを更新する。所定の座標は、アバターA1の座標および視線の方向等に基づき決定されてもよい。
【0050】
ステップS24では、コンテンツ生成部12が、更新されたコンテンツデータを第1ユーザ端末および第2ユーザ端末に送信する。第1ユーザ端末および第2ユーザ端末は、サーバ10からコンテンツデータを受信する。
【0051】
ステップS25では、第1ユーザ端末の表示部22および第2ユーザ端末の表示部22が、更新されたコンテンツデータをそれぞれの表示装置上に表示する。例えば、第1ユーザの表示部22は、画面V2(
図8参照)を表示装置上に表示する。
【0052】
図10および
図11を参照して、他のユーザによる仮想アイテムに対する操作の一例を説明する。
図10に示される画面V3および
図11に示される画面V4は、アバターA2から見えるルームRの仮想現実を示す画面である。画面V3および画面V4は、アバターA2に対応する第2ユーザのユーザ端末20上に表示される。
【0053】
画面V3には、アバターA2の腕、第1ユーザに対応するアバターA1、および仮想アイテムG2が表示されている。画面V3は、第2ユーザがアバターA2を介して仮想アイテムG2を操作しようとしている様子を示す。ここで、仮想アイテムG2の所有者は第1ユーザである。
【0054】
画面V4は、画面V3において、第2ユーザが仮想アイテムG2を操作しようとした後の画面を示す。画面V4には、アバターA2の腕、アバターA1、仮想アイテムG2、および仮想アイテムG2を取得するためのユーザインタフェースFが表示されている。ユーザインタフェースFは、商品情報F1および選択ボタンF2を有している。商品情報F1は、例えば仮想アイテムG2の寸法、ギミック、価格等を示す情報であるが、これらに限られない。選択ボタンF2は、例えば仮想アイテムG2を購入するか否かを選択するためのボタンである。
【0055】
第2ユーザは、アバターA2を介して選択ボタンF2の「購入する」を選択することにより、該当する仮想アイテムG2を取得する。仮想アイテムの取得方法はこれに限られない。仮想アイテム制御システム1では、新たに取得された仮想アイテムG2の所有者が登録される。例えば、仮想アイテム制御システム1は、新たに取得された仮想アイテムG2のアイテムIDと、第2ユーザのユーザIDとを関連付けてコンテンツデータベース40に格納する。
【0056】
図12を参照しながら仮想アイテム制御システム1の動作を説明するとともに、本実施形態に係る仮想アイテム制御方法について説明する。
図12は、仮想アイテム制御システム1の動作を処理フローS3として示すシーケンス図である。処理フローS3において、ユーザ端末20は第2ユーザ端末である。
【0057】
ステップS31では、第2ユーザ端末の検知部23が、仮想アイテムに対する操作要求の発生を検知する。例えば、検知部23は、第2ユーザがアバターA2を介して、ルームRに配置されている仮想アイテムG2に対する所定の操作を行おうとしたことを操作要求の発生として検知する。一例では、検知部23は、第2ユーザが仮想アイテムG2のギミックを稼働させようとしたことを検知する。
【0058】
ステップS32では、検知部23が、第2ユーザ端末における操作の検知結果をサーバ10に送信する。検知結果には、操作要求が発生した仮想アイテムG2のアイテムID等が含まれ得る。サーバ10の操作受付部13は、検知結果をユーザ端末20から受信する。
【0059】
ステップS33では、サーバ10の取得部14が、入室者を特定する情報を取得する。例えば、取得部14は、ユーザデータベース30を参照して、第2ユーザ端末が接続しているルームに関連付けられたユーザIDを取得する。一例では、ルームRに入室している第1ユーザのユーザIDおよび第2ユーザのユーザIDを取得する。
【0060】
ステップS34では、取得部14が、所有者を特定する情報を取得する。取得部14は、コンテンツデータベース40を参照して、仮想アイテムの所有者を特定する情報を取得する。例えば、取得部14は、仮想アイテムG2のアイテムIDに関連付けられた所有者のユーザIDを取得する。一例では、所有者のユーザIDは、第1ユーザのユーザIDである。
【0061】
ステップS35では、取得部14が、入室者を特定する情報および所有者を特定する情報を応答として第2ユーザ端末に送信する。第2ユーザ端末は、応答をサーバ10から受信する。
【0062】
ステップS36では、第2ユーザ端末の権限制御部24が、仮想アイテムに対する入室者の操作権限を判定する。例えば、権限制御部24は、入室者を特定する情報の中に所有者を特定する情報が含まれているか否かを判定する。一例では、入室者の第1ユーザのユーザIDおよび第2ユーザのユーザIDの中に、所有者である第1ユーザのユーザIDが含まれていると判定する。
【0063】
ステップS37では、権限制御部24が、ルームに配置されている仮想アイテムに対する入室者の操作権限を制御する制御処理を実行する。例えば、権限制御部24は、ルームRに配置されている仮想アイテムG2に対する入室者の操作権限を制御する。
【0064】
制御処理としては、例えば仮想アイテムに対する操作権限の設定が挙げられる。権限制御部24は、仮想アイテムG2に対し、操作権限を制限しないモード、操作権限の一部を制限するモード、または操作権限の全部を制限するモードのいずれかを設定する。例えば、権限制御部24は、所有者がルームRにいる場合に、仮想アイテムG2に対する入室者の操作権限を制限しないモードを設定してもよい。権限制御部24は、所有者がルームRにいない場合に、仮想アイテムG2に対する入室者の操作権限の一部を制限するモード、または操作権限の全部を制限するモードのいずれかを設定してもよい。
【0065】
権限制御部24は、仮想アイテムG2のギミックの稼働を制限しないモード、ギミックの稼働の一部を制限するモード、またはギミックの稼働の全部を制限するモードのいずれかを設定してもよい。ギミックの稼働の一部を制限するモードとしては、例えば、お試し版としてギミックの一部の稼働のみを許可するモードが挙げられる。あるいは、権限制御部24は、仮想アイテムG2の位置の変更を制限しないモード、位置の変更の一部を制限するモード、または位置の変更の全部を制限するモードのいずれかを設定してもよい。位置の変更の一部を制限するモードとしては、例えば、アバターA2が仮想アイテムG2を持てる(持ち上げられる)が、持って移動することはできない等のモードが挙げられる。
【0066】
権限制御部24は、所有者以外の入室者の操作権限を制御するように制御処理を実行してもよい。一例では、権限制御部24は、所有者である第1ユーザ以外の入室者である第2ユーザの操作権限を制御してもよい。
【0067】
権限制御部24は、操作要求を発生させた入室者の操作権限を制御するように制御処理を実行してもよい。一例では、権限制御部24は、仮想アイテムG2に対する操作要求を発生させた入室者である第2ユーザの操作権限を制御してもよい。
【0068】
ステップS37に関連して、権限制御部24は、操作権限の一部を制限するモード、または操作権限の全部を制限するモードのいずれかを設定する場合、操作要求を発生させた入室者である第2ユーザ端末上に、操作要求が発生した仮想アイテムG2を取得するためのユーザインタフェースF(
図11参照)を表示させてもよい。
【0069】
権限制御部24は、仮想アイテムG2の関連アイテムの所有者であるか否かにさらに基づいて、制御処理を実行してもよい。関連アイテムは、仮想アイテムG2とは異なる仮想アイテムである。コンテンツデータベース40は、仮想アイテムG2のアイテムIDに関連付けて、関連アイテムのアイテムIDを記憶していてもよい。ステップS34に関連して、取得部14は、操作要求が発生した仮想アイテムG2に関連付けられた仮想アイテムである関連アイテムの所有者を特定する情報をさらに取得してもよい。ステップS35に関連して、取得部14は、関連アイテムの所有者を特定する情報を第2ユーザ端末に送信してもよい。ステップS36に関連して、権限制御部24は、関連アイテムの所有者を特定する情報の中に操作要求を発生させた入室者を特定する情報が含まれているか否かにさらに基づいて、制御処理を実行してもよい。例えば、権限制御部24は、第2ユーザが関連アイテムの所有者である場合に、仮想アイテムG2に対する入室者の操作権限を制限しないモードを設定してもよい。権限制御部24は、第2ユーザが関連アイテムの所有者ではない場合に、仮想アイテムG2に対する入室者の操作権限の一部を制限するモード、または操作権限の全部を制限するモードのいずれかを設定してもよい。
【0070】
ステップS36に関連して、権限制御部24は、ルームに配置されている仮想アイテムの位置と、所有者のアバターの位置との位置関係にさらに基づいて、操作権限を判定してもよい。権限制御部24は、仮想アイテムG2の位置またはアバターA1の位置Cが変化した場合、仮想アイテムG2に対する入室者の操作権限を判定してもよい。
【0071】
図13を参照して、仮想アイテムの位置と、アバターの位置との位置関係を説明する。権限制御部24は、ルームRに配置されている仮想アイテムG2から所定の範囲RA内に、仮想アイテムG2の所有者である第1ユーザのアバターA1の位置Cがあるか否かに基づいて、仮想アイテムG2に対する入室者の操作権限を判定してもよい。例えば、所定の範囲R2内にアバターA1がいる場合に、仮想アイテムG2に対する入室者の操作権限を制限しないモードを設定してもよい。権限制御部24は、所定の範囲R2内にアバターA1がいない場合に、仮想アイテムG2に対する入室者の操作権限の一部を制限するモード、または操作権限の全部を制限するモードのいずれかを設定してもよい。
【0072】
[効果]
以上説明したように、本開示の一側面に係る仮想アイテム制御システムは、少なくとも一つのプロセッサを備える。少なくとも一つのプロセッサは、所定の仮想現実空間であるルームに接続している入室者を特定する情報、およびルームに配置されている仮想アイテムの所有者を特定する情報を取得し、入室者を特定する情報の中に所有者を特定する情報が含まれているか否かに基づいて、ルームに配置されている仮想アイテムに対する入室者の操作権限を制御する制御処理を実行する。
【0073】
本開示の一側面に係る仮想アイテム制御方法は、少なくとも一つのプロセッサを備える仮想アイテム制御システムによって実行される。仮想アイテム制御方法は、所定の仮想現実空間であるルームに接続している入室者を特定する情報、およびルームに配置されている仮想アイテムの所有者を特定する情報を取得するステップと、入室者を特定する情報の中に所有者を特定する情報が含まれているか否かに基づいて、ルームに配置されている仮想アイテムに対する入室者の操作権限を制御する制御処理を実行するステップとを含む。
【0074】
本開示の一側面に係る仮想アイテム制御プログラムは、所定の仮想現実空間であるルームに接続している入室者を特定する情報、およびルームに配置されている仮想アイテムの所有者を特定する情報を取得するステップと、入室者を特定する情報の中に所有者を特定する情報が含まれているか否かに基づいて、ルームに配置されている仮想アイテムに対する入室者の操作権限を制御する制御処理を実行するステップとをコンピュータに実行させる。
【0075】
このような側面においては、ルームの入室者の中に仮想アイテムの所有者がいるか否かに基づいて、該仮想アイテムに対する入室者の操作権限が制御される。例えば、仮想アイテムの所有者がルームにいる場合に、入室者が該仮想アイテムを操作できるか否か、または仮想アイテムの所有者がルームにいない場合に、入室者が該仮想アイテムを操作できるか否かを制御すること等が可能となる。これにより、他のユーザの操作権限を適切に制御することができる。
【0076】
他の側面に係る仮想アイテム制御システムでは、ルームに配置されている仮想アイテムに対し、入室者のいずれかによる操作要求が発生したことをトリガとして、制御処理を実行してもよい。この場合、仮想アイテムに対する操作が行われたタイミングで制御処理が実行される。制御処理のタイミングが適切に決定された上で制御処理が実行されるため、制御処理に係る計算コストを抑制できる。
【0077】
他の側面に係る仮想アイテム制御システムでは、少なくとも一つのプロセッサが、ルームに配置されている一つ以上の仮想アイテムのうち、操作要求が発生した仮想アイテムに対して制御処理を実行してもよい。この場合、入室者が操作しようとした仮想アイテムを対象として制御処理が実行される。制御処理の対象となる仮想アイテムが適切に決定された上で制御処理が実行されるため、制御処理に係る計算コストを抑制できる。
【0078】
他の側面に係る仮想アイテム制御システムでは、少なくとも一つのプロセッサが、入室者のうち、所有者以外の入室者の操作権限を制御するように制御処理を実行してもよい。この場合、制御処理の対象者が適切に決定された上で制御処理が実行されるため、制御処理に係る計算コストを抑制できる。
【0079】
他の側面に係る仮想アイテム制御システムでは、少なくとも一つのプロセッサが、操作要求を発生させた入室者の操作権限を制御するように制御処理を実行してもよい。この場合、制御処理の対象者がより適切に決定された上で制御処理が実行されるため、制御処理に係る計算コストを抑制できる。
【0080】
他の側面に係る仮想アイテム制御システムでは、少なくとも一つのプロセッサが、操作要求が発生した仮想アイテムに関連付けられた仮想アイテムである関連アイテムの所有者を特定する情報をさらに取得し、関連アイテムの所有者を特定する情報の中に操作要求を発生させた入室者を特定する情報が含まれているか否かにさらに基づいて、制御処理を実行してもよい。このような構成によれば、関連アイテムを所有しているか否かにさらに基づいて制御処理が実行される。これにより、操作権限を柔軟に設定できる。
【0081】
他の側面に係る仮想アイテム制御システムでは、少なくとも一つのプロセッサが、操作権限を制限しないモード、操作権限の一部を制限するモード、または操作権限の全部を制限するモードのいずれかを設定するように制御処理を実行してもよい。この場合、操作権限を柔軟に設定できる。
【0082】
他の側面に係る仮想アイテム制御システムでは、少なくとも一つのプロセッサが、操作権限の一部を制限するモード、または操作権限の全部を制限するモードのいずれかを設定する場合、操作要求を発生させた入室者のユーザ端末上に、操作要求が発生した仮想アイテムを取得するためのユーザインタフェースを表示させてもよい。このような構成によれば、操作権限の一部または全部が制限された入室者に対し、仮想アイテムの取得に係るユーザインタフェースが提供される。これにより、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0083】
他の側面に係る仮想アイテム制御システムでは、少なくとも一つのプロセッサが、ルームに配置されている仮想アイテムの位置と、所有者のアバターの位置との位置関係にさらに基づいて、制御処理を実行してもよい。この場合、操作権限を柔軟に設定できる。
【0084】
[変形例]
以上、本開示の実施形態に基づいて詳細に説明した。しかし、本開示は上記実施形態に限定されるものではない。本開示は、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
【0085】
上記実施形態では、ユーザ端末20が権限制御部24を備える例を説明したが、サーバ10が権限制御部24を備えてもよい。あるいは、上記実施形態では、ユーザ端末20の権限制御部24が操作権限を判定する例を説明したが、サーバ10が操作権限を判定してもよい。
【0086】
上記実施形態では、ルームRに配置されている仮想アイテムG2に対し、入室者のいずれかによる操作要求が発生したことをトリガとして、入室者の操作権限を制御する制御処理が実行されているが、制御処理の実行タイミングはこれに限られない。例えば、制御処理の実行タイミングは、入室者に変更があった場合(入室または退室)、所定の時間間隔、仮想アイテムの配置に変更があった場合(インベントリからの取り出しまたは収納)等であってもよい。
【0087】
上記実施形態では、ルームRに配置されている仮想アイテムG2に対し、入室者のいずれかによる操作要求が発生したことをトリガとして、仮想アイテムG2に対する操作権限を制御する制御処理が実行されているが、制御処理の制御対象はこれに限られない。例えば、その制御対象は、ルームに配置されている一つ以上の仮想アイテムの一部または全部等であってもよい。
【0088】
本開示において、「少なくとも一つのプロセッサが、第1の処理を実行し、第2の処理を実行し、…第nの処理を実行する。」との表現、またはこれに対応する表現は、第1の処理から第nの処理までのn個の処理の実行主体(すなわちプロセッサ)が途中で変わる場合を含む概念である。すなわち、この表現は、n個の処理のすべてが同じプロセッサで実行される場合と、n個の処理においてプロセッサが任意の方針で変わる場合との双方を含む概念である。
【0089】
少なくとも一つのプロセッサにより実行される方法の処理手順は上記実施形態での例に限定されない。例えば、上述したステップ(処理)の一部が省略されてもよいし、別の順序で各ステップが実行されてもよい。また、上述したステップのうちの任意の2以上のステップが組み合わされてもよいし、ステップの一部が修正または削除されてもよい。あるいは、上記の各ステップに加えて他のステップが実行されてもよい。
【0090】
本明細書で述べた各機能部の任意の一部または全部がプログラムによって実現されてもよい。本明細書で言及したプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に非一時的に記録して頒布されてもよいし、インターネットなどの通信回線(無線通信も含む)を介して頒布されてもよいし、任意の端末にインストールされた状態で頒布されてもよい。
【0091】
上記の記載に基づいて、当業者であれば、本開示についての追加の効果または種々の変形例を想到できるかもしれないが、本開示の態様は、上述した個々の実施形態に限定されるものではない。特許請求の範囲に規定された内容およびその均等物から導き出される本開示の概念的な思想と趣旨とを逸脱しない範囲で、種々の追加、変更および部分的削除が可能である。
【0092】
例えば、本明細書において1台の装置(あるいは部材。以下同じ)として説明される構成(これは、図面において1台の装置として描かれている構成を含む)が、複数の装置によって実現されもよい。あるいは、本明細書において複数の装置として説明される構成(これは、図面において複数の装置として描かれている構成を含む)が1台の装置によって実現されてもよい。あるいは、或る装置(例えばサーバ)に含まれる手段または機能の一部または全部が、他の装置(例えばユーザ端末)に含まれてもよい。
【0093】
本明細書に記載された事項のすべてが必須の要件というわけではない。例えば、本明細書に記載されているが特許請求の範囲に記載されていない事項は、任意の付加的事項ということができる。
【0094】
本出願人は本明細書の「先行技術文献」欄に記載された公知技術を知っているにすぎない。本開示は必ずしもその公知技術における課題を解決することを目的とするものではないことにも留意されたい。本開示において解決しようとする課題は、本明細書の全体を考慮して認定されるべきものである。例えば、本明細書において、特定の構成によって所定の効果を奏する旨の記載がある場合、当該所定の効果に対応する課題が解決されるということもできる。しかし、その効果に関する記載は必ずしも、そのような特定の構成を必須の要件とする趣旨ではない。
【符号の説明】
【0095】
1…仮想アイテム制御システム、10…サーバ、11…接続受付部、12…コンテンツ生成部、13…操作受付部、14…取得部、20…ユーザ端末、21…接続要求部、22…表示部、23…検知部、24…権限制御部、P1…サーバプログラム、P2…クライアントプログラム。