(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-22
(45)【発行日】2024-01-05
(54)【発明の名称】アトマイザー及び電子霧化装置
(51)【国際特許分類】
A24F 40/10 20200101AFI20231225BHJP
A24F 40/42 20200101ALI20231225BHJP
A24F 40/44 20200101ALI20231225BHJP
【FI】
A24F40/10
A24F40/42
A24F40/44
(21)【出願番号】P 2022120101
(22)【出願日】2022-07-28
【審査請求日】2022-07-28
(31)【優先権主張番号】202121758916.5
(32)【優先日】2021-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】517419906
【氏名又は名称】深▲せん▼麦克韋爾科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】SHENZHEN SMOORE TECHNOLOGY LIMITED
【住所又は居所原語表記】16#, Dongcai Industrial Park, Gushu Town, Xixiang Street, Baoan District, Shenzhen, Guangdong, China
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】呉 軍涛
【審査官】河内 誠
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/084799(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0360121(US,A1)
【文献】国際公開第2020/259692(WO,A1)
【文献】中国実用新案第211407644(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/00~47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
側壁と、前記側壁に接続されたハウジング底部とを有し、前記側壁と前記ハウジング底部とにより収納室が画定され、前記ハウジング底部には内底面を有し、前記側壁には吸気口が設けられるハウジングと、
前記収納室内に位置するとともに、前記内底面に接近し、前記ハウジング底部との間に間隙を有し、前記間隙を介して前記吸気口に連通している吸気孔が設けられる霧化ベースと、
前記収納室内に位置するとともに、前記霧化ベースに取り付けられ、前記吸気孔に連通している霧化芯とを含
み、
前記霧化ベースの前記内底面に近い側に貯液凹部が設けられ、前記吸気孔から流出した液体が毛細管力によって前記貯液凹部に流れる、ことを特徴とするアトマイザー。
【請求項2】
前記霧化ベースの前記内底面に近い側に貯液凹部及び導液トレンチが設けられ、前記導液トレンチは前記吸気孔と前記貯液凹部との間に位置し、前記吸気孔から流出した液体を前記貯液凹部に案内する、ことを特徴とする請求項1に記載のアトマイザー。
【請求項3】
前記貯液凹部の開口が前記内底面に向かっており、前記貯液凹部の前記内底面に近い側と前記内底面との間に間隔を有する、ことを特徴とする請求項
1又は
2に記載のアトマイザー。
【請求項4】
前記ハウジングはトップカバーとボトムカバーとを含み、前記トップカバーと前記ボトムカバーは取り外し可能に接続され、前記トップカバーと前記ボトムカバーによって前記霧化ベース及び前記霧化芯を収納する前記収納室が画定され、前記内底面は前記ボトムカバーの前記霧化ベースに近い面であり、
前記貯液凹部は前記ボトムカバーに向かっている開口を有し、前記貯液凹部の前記ボトムカバーに近い側と前記ボトムカバーとの間に間隔を有し、前記吸気口は前記ボトムカバーの側壁、前記トップカバーの側壁又は前記トップカバーと前記ボトムカバーとの接続箇所に位置する、ことを特徴とする請求項
1又は
2に記載のアトマイザー。
【請求項5】
前記ボトムカバーは、一端が開放するとともに、他端が閉鎖された中空構造であり、前記霧化ベースは前記ボトムカバー内に位置し、前記霧化ベースの側壁は前記ボトムカバーの内側壁に密封接続され、前記霧化ベースの前記ボトムカバーに近い側は前記ボトムカバーとともに吸気チャネルを構成し、前記吸気口は前記ボトムカバーの側壁に位置し、前記吸気チャネルに連通しており、前記吸気チャネルは前記吸気孔に連通している、ことを特徴とする請求項
4に記載のアトマイザー。
【請求項6】
前記吸気孔は前記霧化ベースの中央部に位置し、前記霧化ベースの前記ボトムカバーに近い側に気体溝が設けられ、前記気体溝は前記導液トレンチに連通しており、前記気体溝の溝壁が前記ボトムカバーと接触して前記吸気チャネルを構成し、前記気体溝の前記吸気孔に近い溝壁には、前記吸気チャネルを前記貯液凹部の開口及び前記吸気孔の両方と連通させる切り欠きが設けられる、ことを特徴とする
請求項2に従属する請求項
5に記載のアトマイザー。
【請求項7】
前記ハウジングの横断面が楕円形であり、前記吸気口の前記ハウジングの横断面での正投影が、該横断面の長軸上にある、ことを特徴とする請求項1に記載のアトマイザー。
【請求項8】
前記吸気口の数が2つであり、2つの前記吸気口の前記ハウジングの横断面での正投影が、前記長軸の端点と重なる、ことを特徴とする請求項
7に記載のアトマイザー。
【請求項9】
前記霧化芯は、発熱ユニットと、霧化媒体を収容するための貯液タンクとを含み、前記発熱ユニットは前記霧化ベースに取り付けられ、前記発熱ユニットは前記貯液タンク内の前記霧化媒体を霧化させるためのものであり、前記発熱ユニットは前記霧化ベースとともに霧化室を構成し、前記吸気孔は前記霧化室に連通しており、前記ハウジングには、前記霧化室に連通している排気口を有する、ことを特徴とする請求項1に記載のアトマイザー。
【請求項10】
前記発熱ユニットは、導液部材と、発熱部材とを含み、前記発熱部材は前記霧化ベースに取り付けられ、前記導液部材は前記貯液タンクと前記発熱部材との間に位置し、前記貯液タンク内の前記霧化媒体が前記導液部材を経て前記発熱部材に到達して前記発熱部材で霧化される、ことを特徴とする請求項
9に記載のアトマイザー。
【請求項11】
前記貯液タンクは筐体と蓋体とを含み、前記筐体は出口を有する貯液室を有し、前記蓋体は前記霧化ベースに位置し、前記筐体に覆設されて前記出口を閉鎖し、前記筐体に密封接続され、前記蓋体には出液チャネルが設けられ、前記出液チャネルは給液口と出液口を有し、前記給液口は前記出口に連通しており、前記導液部材の縁部が前記出液チャネルの前記出液口に近い一端に密封接続され、及び/又は
前記導液部材は多孔質セラミックである、ことを特徴とする請求項
10に記載のアトマイザー。
【請求項12】
前記蓋体及び/又は前記霧化ベースに排気チャネルが設けられ、前記霧化室は前記排気チャネルに連通しており、前記排気チャネルは前記排気口に連通している、ことを特徴とする請求項
11に記載のアトマイザー。
【請求項13】
請求項1に記載のアトマイザーと、電池ユニットとを含み、前記電池ユニットは前記アトマイザーの霧化芯に電気的に接続される、ことを特徴とする電子霧化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は霧化の技術分野に関し、特にアトマイザー及び電子霧化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子霧化装置は、霧化媒体を加熱してエアロゾルを発生させる電子製品である。電子霧化装置は、一般にアトマイザーと電源ユニットとから構成され、アトマイザーは、ベース、貯液タンク、加熱体、導液体、シーリングシリコーンなどのユニットを含み、貯液タンクと導液体が連通しており、導液体と加熱体が接触し、加熱体がベースに取り付けられ、取り付けベースと電源ユニットが接続されている。使用に際して、アトマイザーは、導液体によって貯液タンク中の霧化媒体を加熱のために加熱体に導液し、霧化媒体を霧化させてエアロゾルを発生させ、その後、エアロゾルは、吸気孔から入った空気とともに排気チャネルから吐出され、ユーザーにより吸われる。
【0003】
しかし、現在のアトマイザーでは、使用中に形成された凝縮液が、重力及び/又は他の作用力によって吸気孔へ流れ、電池カートリッジのマイクロフォンや電池素子の短絡を引き起こしやすく、気体の流れが悪くなり、安全上のリスクがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
以上に鑑み、安全性の高いアトマイザー及び電子霧化装置を提供することが期待される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
アトマイザーであって、
側壁と、前記側壁に接続されたハウジング底部とを有し、前記側壁と前記ハウジング底部とにより収納室が画定され、前記ハウジング底部には内底面を有し、前記側壁には吸気口が設けられるハウジングと、
前記収納室内に位置するとともに、前記内底面に接近し、前記ハウジング底部との間に間隙を有し、前記間隙を介して前記吸気口に連通している吸気孔が設けられる霧化ベースと、
前記収納室内に位置するとともに、前記霧化ベースに取り付けられ、前記吸気孔に連通している霧化芯と、を含む。
【0006】
上記アトマイザーは、ハウジングと、霧化ベースと、霧化芯とを含み、吸気口はハウジングの側壁に設けられ、これにより、吸気孔から流出した液体が、吸気口から電池ユニットに流れることができず、電池ユニットが短絡しにくくなり、安全性が向上し、しかも、吸気口と吸気孔が直接連通するのではなく、霧化ベースとベースとの間隙を介して連通するので、吸気孔が液体により詰まり、気体の流れが悪くなることが発生しにくくなる。
【0007】
一実施例では、前記霧化ベースの前記内底面に近い側に貯液凹部が設けられ、前記吸気孔から流出した液体が、毛細管力によって前記貯液凹部に流れることができる。
【0008】
一実施例では、前記霧化ベースの前記内底面に近い側に貯液凹部及び導液トレンチが設けられ、前記導液トレンチは前記吸気孔と前記貯液凹部との間に位置し、前記吸気孔から流出した液体を記貯液凹部に案内することに用いられる。
【0009】
一実施例では、前記貯液凹部の開口が前記内底面に向かっており、前記貯液凹部の前記内底面に近い側と前記内底面との間に間隔を有する。
【0010】
一実施例では、前記ハウジングはトップカバーとボトムカバーとを含み、前記トップカバーと前記ボトムカバーは取り外し可能に接続され、前記トップカバーと前記ボトムカバーによって前記霧化ベース及び前記霧化芯を収納する前記収納室が画定され、前記内底面は前記ボトムカバーの前記霧化ベースに近い面であり、
前記貯液凹部は、前記ボトムカバーに向かっている開口を有し、前記貯液凹部の前記ボトムカバーに近い側と前記ボトムカバーとの間に間隔を有し、前記吸気口は前記ボトムカバーの側壁、前記トップカバーの側壁又は前記トップカバーと前記ボトムカバーとの接続箇所に位置する。
【0011】
一実施例では、前記ボトムカバーは、一端が開放するとともに、他端が閉鎖された中空構造であり、前記霧化ベースは前記ボトムカバー内に位置し、前記霧化ベースの側壁は前記ボトムカバーの内側壁に密封接続され、前記霧化ベースの前記ボトムカバーに近い側は前記ボトムカバーとともに吸気チャネルを構成し、前記吸気口は前記ボトムカバーの側壁に位置し、前記吸気チャネルに連通しており、前記吸気チャネルは前記吸気孔に連通している。
【0012】
一実施例では、前記吸気孔は前記霧化ベースの中央部に位置し、前記霧化ベースの前記ボトムカバーに近い側に気体溝が設けられ、前記気体溝は前記導液トレンチに連通しており、前記気体溝の溝壁が前記ボトムカバーと接触して前記吸気チャネルを構成し、前記気体溝の前記吸気孔に近い溝壁には、前記吸気チャネルを前記貯液凹部の開口及び前記吸気孔の両方と連通させる切り欠きが設けられる。
【0013】
一実施例では、前記ハウジングの横断面が楕円形であり、前記吸気口の前記ハウジングの横断面での正投影が、該横断面の長軸上にある。
【0014】
一実施例では、前記吸気口の数が2つであり、2つの前記吸気口の前記ハウジングの横断面での正投影が、前記長軸の端点と重なる。
【0015】
一実施例では、前記霧化芯は、発熱ユニットと、霧化媒体を収容するための貯液タンクとを含み、前記発熱ユニットは前記霧化ベースに取り付けられ、前記発熱ユニットは、前記貯液タンク内の前記霧化媒体を霧化させるためのものであり、前記発熱ユニットは前記霧化ベースとともに霧化室を構成し、前記吸気孔は前記霧化室に連通しており、前記ハウジングには、前記霧化室に連通している排気口を有する。
【0016】
一実施例では、前記発熱ユニットは、導液部材と、発熱部材とを含み、前記発熱部材は前記霧化ベースに取り付けられ、前記導液部材は前記貯液タンクと前記発熱部材との間に位置し、前記貯液タンク内の前記霧化媒体が前記導液部材を経て前記発熱部材に到達して前記発熱部材で霧化される。
【0017】
一実施例では、前記貯液タンクは筐体と蓋体とを含み、前記筐体は出口を有する貯液室を有し、前記蓋体は前記霧化ベースに位置し、前記蓋体は前記筐体に覆設されて前記出口を閉鎖し、前記筐体に密封接続され、前記蓋体には出液チャネルが設けられ、前記出液チャネルは給液口と出液口を有し、前記給液口は前記出口に連通しており、前記導液部材の縁部が前記出液チャネルの前記出液口に近い一端に密封接続され、及び/又は、
前記導液部材は多孔質セラミックである。
【0018】
一実施例では、前記蓋体及び/又は前記霧化ベースに排気チャネルが設けられ、前記霧化室は前記排気チャネルに連通しており、前記排気チャネルは前記排気口に連通している。
【0019】
電子霧化装置であって、上記したアトマイザーと電池ユニットとを含み、前記電池ユニットは前記アトマイザーの霧化芯に電気的に接続される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図3】
図1に示す電子霧化装置のアトマイザーの斜視図である。
【
図5】
図3に示すアトマイザーの霧化ベースの斜視図である。
【
図7】
図3に示すアトマイザーの別の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明を理解しやすくするために、以下、関連する図面を参照して本発明を包括的に説明する。図面には本発明の一部の実施例が示されている。ただし、本発明は、多くのさまざまな形態で実現されてもよく、本明細書に記載の実施例に限定されるものではない。むしろ、これらの実施例を提供する目的は本発明の開示内容をより明確かつ包括的にすることである。
【0022】
なお、構成要素が別の構成要素に「固定される」と記載された場合、別の構成要素に直接位置するか、又は、これらの間に1つ又は複数の中間の構成要素が存在してもよい。1つの構成要素が別の構成要素に「接続される」と記載された場合、別の構成要素に直接接続されるか、又は1つ又は複数の中間の構成要素が存在してもよい。「垂直」、「水平」、「左」、「右」、「上」、「下」、「内」、「外」、「底部」などの用語により示される方位又は位置関係は、図面に示す方位又は位置関係に基づくものであり、説明の便宜のために過ぎず、係る装置又は構成要素が必ずしも特定の方位を有したり、特定の方位で構造、操作されたりすることを指示又は示唆するものではなく、このため、本願を限定するものとして理解すべきではない。さらに、「第1」、「第2」などの用語は説明することにのみ使用され、相対重要性を指示又は示唆するものとして理解すべきではない。
【0023】
別に定義しない限り、本明細書で使用される全ての技術的用語及び科学的用語は、当業者が通常理解するものと同義である。本明細書では、本発明の明細書に使用される用語は、具体的な実施例を説明するために過ぎず、本発明を制限することを意図していない。
【0024】
図1~
図2を参照すると、本願の一実施形態は、電子霧化装置10を提供し、該電子霧化装置10は、アトマイザー100と、電池ユニット200とを含み、電池ユニット200はアトマイザー100に電気的に接続され、電池ユニット200はアトマイザー100に電力を供給する。
【0025】
具体的には、
図3~
図5を併せて参照すると、アトマイザー100は、流動可能な霧化媒体(例えば油状の物質)を霧化させることができ、アトマイザー100は、ハウジング110と、霧化ベース120と、霧化ベース120に取り付けられた霧化芯130とを含み、ハウジング110は、側壁と、側壁に接続されたハウジング底部とを含み、側壁とハウジング底部によって収納室が画定され、ハウジング底部は、内底面111を有し、側壁には吸気口112が設けられ、霧化ベース120及び霧化芯130は全て収納室内に位置し、霧化ベース120は内底面111に接近し、霧化ベース120とハウジング底部との間に間隙を有し、霧化ベース120には吸気孔121が設けられ、吸気口112は霧化ベース120とハウジング底部との間隙を介して吸気孔121に連通しており、吸気孔121は霧化芯130に連通している。
【0026】
上記アトマイザー100が作動する際に、外気が吸気口112から入り、霧化ベース120とハウジング底部との間隙、吸気孔121を順次通過して霧化芯130に入り、霧化媒体は霧化芯130で霧化されてエアロゾルになり、霧化芯130内の空気とともに排気口115から流出する。上記アトマイザーでは、吸気口112はハウジングの側壁に設けられ、かつ、吸気孔121と直接連通するのではなく、霧化ベース120とハウジング底部との間隙を介して連通している。従来のアトマイザーに比べて、上記アトマイザー110は、霧化媒体が霧化芯で霧化されて凝縮液となり、吸気孔121から流出した後、吸気口112を介して電池ユニット200に流れることを回避し、使用中に発生させた凝縮液により電池ユニット200が短絡することを回避する。さらに、吸気口112は吸気孔121と直接連通するのではなく、霧化ベース120とベースとの間隙を介して連通しているので、吸気口112又は吸気チャネルは凝縮液により詰まり、気体の流れが悪くなることが発生しにくくなる。
【0027】
いくつかの実施例では、吸気口112はハウジング底部に接近する。いくつかの実施例では、ハウジング110は天壁をさらに含み、天壁はハウジング底部に対向しており、かつ側壁に接続され、側壁、ハウジング底部及び天壁は共同で収納室を構成する。このとき、吸気口112は天壁に設けられてもよい。
【0028】
図示した実施例では、吸気口112は方形である。もちろん、他の実施例では、吸気口112の形状は方形に限定されるものではなく、例えば円形などの他の形状としてもよい。
【0029】
任意選択的に、ハウジング110の横断面が楕円形であり、吸気口112のハウジング110の横断面での正投影が、ハウジング110の横断面の長軸上にある。図示した実施例では、ハウジング110の横断面が楕円形であり、吸気口112の数が2つであり、2つの吸気口112のハウジング110の横断面での正投影が、長軸の端点と重なる。なお、他の実施例では、ハウジング110の横断面は楕円形に限定されるものではなく、他の任意の形状であってもよい。例えば矩形、円形、多角形などである。もちろん、ハウジング110の横断面が楕円形である場合、吸気口112の位置は上記したものに限定されるものではなく、ハウジング110での他の位置であってもよい。例えば、吸気口112のハウジング110の横断面での正投影が長軸の端点に近い、短軸の端点に近いか、又は短軸の端点と重なる。なお、別の実施例では、吸気口112の数は2つに限定されるものではなく、他の数としてもよく、例えば、1つ又は2つよりも大きいいずれかの整数個であってもよい。
【0030】
図4を参照すると、任意選択的に、ハウジング110は、トップカバー113と、ボトムカバー114とを含み、トップカバー113とボトムカバー114は取り外し可能に接続され、トップカバー113とボトムカバー114によって霧化ベース120及び霧化芯130を収納する収納室が画定され、霧化ベース120はボトムカバー114内に位置し、ボトムカバー114の霧化ベース120に近い側の面は内底面111とし、吸気口112はボトムカバー114の側壁、トップカバー113の側壁又はトップカバー113とボトムカバー114との接続箇所に位置する。本明細書では、取り外し可能に接続されることは、係合接続、ネジ接続や磁気吸引接続のうちの少なくとも1つを含むが、これらに限定されるものではない。吸気口112はトップカバー113とボトムカバー114との接続箇所に位置するとは、トップカバー113及びボトムカバー114の両方に貫通孔が設けられ、トップカバー113の貫通孔とボトムカバー114の貫通孔がトップカバー113とボトムカバー114との接合部位に位置し、トップカバー113の貫通孔とボトムカバー114の貫通孔が連通して吸気口112となることを意味する。なお、いくつかの実施例では、トップカバー113は省略されてもよい。トップカバー113が省略されている場合、筐体131aの蓋体131bに近い一端とボトムカバー114とが取り外し可能に接続されて、ハウジング110が構成される。
【0031】
いくつかの実施例では、霧化ベース120の内底面111に近い側に貯液凹部122が設けられ、吸気孔121から流出した液体が毛細管力によって貯液凹部122に流れる。霧化ベース120に貯液凹部122が設けられることによって、吸気孔121から流出した液体が毛細管力の作用によって貯液凹部122に貯蔵され、これにより、電池ユニット200に落ちることが回避され、それにより、上記アトマイザー100が短絡しにくくなり、安全性が向上する。
【0032】
いくつかの実施例では、霧化ベース120の内底面111に近い側に貯液凹部122及び導液トレンチ123が設けられ、導液トレンチ123は吸気孔121と貯液凹部122との間に位置し、吸気孔121から流出した液体を貯液凹部122に案内することに用いられる。霧化ベース120に貯液凹部122及び導液トレンチ123が設けられることによって、吸気孔121から流出した液体が、導液トレンチ123を介して、貯液凹部122により貯蔵されやすくなり、電池ユニット200に落ちることが回避され、それにより、上記アトマイザー100がより短絡しにくくなり、安全性がより向上する。
【0033】
図5(
図5における、破線矢印の方向は気流方向を表す)を併せて参照すると、貯液凹部122は開口を有する。任意選択的に、開口が内底面111に向かっており、貯液凹部122の内底面111に近い側と内底面111との間に間隔を有する。貯液凹部122の内底面111に近い側が内底面111と間隔を空けて設けられることによって、貯液凹部122は内底面111に対してぶら下がっている状態となり、それにより、貯液凹部122の開口端と底面との接触に起因して吸気孔121から流出した液体が貯液凹部122を経て底面111に到達することが回避される。なお、貯液凹部122の開口が内底面111に向かっていない場合、貯液凹部122の内底面111に近い側は内底面111に接触してもよい。もちろん、この場合、貯液凹部122の内底面111に近い側は内底面111に接触しなくてもよい。1つの具体例では、貯液凹部122は開口を有する中空構造であり、貯液凹部122の開口がハウジング110の内側壁に向かっており、開口を構成する1つの溝壁は導液トレンチ123に連結され、導液トレンチ123内の液体が貯液凹部122に流れることを可能とし、このとき、貯液凹部122の内底面111に近い側は内底面111に接触するか、又は間隔を空けている。図示した実施例では、貯液凹部122は複数であり、複数の貯液凹部122は隣接しており、メッシュ状をしている。
【0034】
図4及び
図5を参照すると、いくつかの実施例では、ボトムカバー114は、一端が開口するとともに、他端が閉鎖された中空構造であり、霧化ベース120はボトムカバー114内に位置し、霧化ベース120の外側壁はボトムカバー114の内側壁に密封接続され、霧化ベース120のボトムカバー114に近い側はボトムカバー114とともに吸気チャネルを構成し、吸気口112はボトムカバー114の側壁に位置し、吸気チャネルに連通しており、吸気チャネルは吸気孔121に連通しており、貯液凹部122は吸気チャネルと吸気孔121との間に位置し、貯液凹部122の開口が吸気チャネルに連通している。なお、吸気口112がボトムカバー114に位置するとともに、トップカバー113に接近するか、又はトップカバー113に位置して、吸気口112と吸気チャネルが直接連通しないようにする場合、霧化ベース120及び/又は他の部材にチャネルが開けられて、吸気口112と吸気チャネルとを連通させるようにしてもよい。
【0035】
図5に示す実施例では、吸気孔121は霧化ベース120の中央部に位置し、霧化ベース120のボトムカバー114に近い側に気体溝124が設けられ、気体溝124は霧化ベース120の内底面111に近い側の外縁部に沿って設けられ、気体溝124の溝壁とボトムカバー114とが接触して、吸気チャネルが形成され、気体溝124の吸気孔121に近い溝壁には切り欠きを有し、これにより、吸気チャネルは貯液凹部122の開口及び吸気孔121の両方と連通している。図示した実施例では、外気が、両側の吸気口112から入ってから、気体溝124に沿って両側から中央部にある吸気孔121へ流れる。なお、いくつかの実施例では、気体溝124は省略されてもよい。気体溝124が省略されている場合、霧化ベース120とボトムカバー114との間には、吸気口112及び吸気孔121の両方と連通している隙間があり、外気が吸気口112、該隙間を経て吸気孔121に到達できればよい。もちろん、吸気孔121の位置は霧化ベース120の中央部に限定されるものではなく、実際の状況に応じて調整し得る。
【0036】
図示した実施例では、吸気孔121は円形孔であり、吸気孔121の数は5つである。もちろん、他の実施例では、吸気孔121の形状は円形孔に限定されるものではなく、他の形状であってもよく、また、吸気孔121の数は5つに限定されるものではなく、他の数であってもよい。
【0037】
任意選択的に、トップカバー113は半透明のプラスチック製トップカバーであり、ボトムカバー114はステンレス鋼製ボトムカバー114(例えば、SPCCボトムカバー)であり、霧化ベース120はプラスチック製霧化ベース120(例えば黒色プラスチック製霧化ベース120)である。SPCCとは、冷間圧延炭素鋼板及び鋼帯である。もちろん、他の実施例では、トップカバー113及び霧化ベース120のいずれの材質も上記したものに限定されるものではなく、他の材料としてもよい。
【0038】
霧化芯130は霧化媒体を霧化させるユニットである。任意選択的に、霧化芯130は、霧化媒体を収容するための貯液タンク131と、発熱ユニット132とを含み、発熱ユニット132は霧化ベース120に取り付けられ、発熱ユニット132と霧化ベース120によって霧化室133が構成され、発熱ユニット132は、貯液タンク131内の霧化媒体を霧化させるためのものであり、霧化室133は吸気孔121に連通しており、ハウジング110には、排気口115がさらに設けられ、排気口115は霧化室133に連通している。
図6及び
図7(
図6及び
図7において、破線矢印の方向は気流方向を表す)を参照すると、上記アトマイザー100が作動する際に、貯液タンク131内の霧化媒体は発熱ユニット132上で霧化されてエアロゾルとなり、霧化室133に放出され、外気は吸気口112から入り、吸気口112に連通している吸気孔121を介して霧化室133に入り、次に、霧化室133内のエアロゾルは空気とともにアトマイザー100に連通している排気口115から流出する。
【0039】
具体的には、発熱ユニット132は、導液部材134と、導液部材134に近い発熱部材135とを含み、導液部材134は霧化ベース120に取り付けられ、導液部材134は貯液タンク131と発熱部材135との間に位置し、発熱部材135は霧化室133に接近し、貯液タンク131内の霧化媒体は導液部材134を経て発熱部材135に到達して、発熱部材135で霧化されてエアロゾルとなり、霧化室133に放出される。より具体的には、貯液タンク131は開口部を有し、導液部材134は開口部に接近し、導液部材134の開口部に近い縁部が、開口部を構成する貯液タンク131のタンク壁部に密封接続され、これにより、貯液タンク131の開口部から流出した霧化媒体は導液部材134を経て発熱部材135に到達することを可能とする。
【0040】
任意選択的に、導液部材134は多孔質セラミックである。もちろん、導液部材134は多孔質セラミックに限定されるものではなく、導液可能な他の構造としてもよい。
【0041】
任意選択的に、貯液タンク131は、筐体131aと蓋体131bとを含み、筐体131aは出口を有する貯液室131cを有し、蓋体131bは霧化ベース120に位置し、筐体131aは蓋体131bに覆設されて出口を閉鎖し、蓋体131bに密封接続され、蓋体131bには出液チャネル131dが設けられ、出液チャネル131dは給液口と給液口に連通している出液口とを有し、給液口は出口に連通しており、導液部材134の縁部が出液チャネル131dの出液口に近い一端に密封接続される。図示した実施例では、出液チャネル131dは2つあり、2つの出液チャネル131dは間隔を空けて設けられる。もちろん、他の実施例では、出液チャネル131dの数は上記したものに限定されるものではなく、他の数であってもよい。なお、いくつかの実施例では、筐体131aは省略されてもよい。筐体131aが省略されている場合、トップカバー113と蓋体131bによって、霧化媒体を収容するリキッド貯蔵室が構成される。
【0042】
いくつかの実施例では、霧化芯130は、第1密封部材136をさらに含み、第1密封部材136は筐体131aと蓋体131bとの間に位置し、筐体131aと蓋体131bとの間のスリットを密封するためのものである。図示した実施例では、第1密封部材136は略キャップ状であり、蓋体131bに覆設され、外側壁が筐体131aの内側壁に密封接続され、第1密封部材136には、出液チャネル131dに対応する貫通孔が開けられる。任意選択的に、第1密封部材136の材料はシリコーンである。もちろん、第1密封部材136の材料はシリコーンに限定されるものではなく、密封部材として有用な材料であってもよい。なお、いくつかの実施例では、第1密封部材136は省略されてもよい。第1密封部材136が省略されている場合、蓋体131b及び筐体131aは他の方式によって密封接続されてもよい。例えば、蓋体131bはシリコーン蓋体131bであり、筐体131aに直接密封接続される。
【0043】
いくつかの実施例では、霧化芯130は第2密封部材137をさらに含み、第2密封部材137は蓋体131bと導液部材134との間に位置し、蓋体131bと導液部材134との間の間隙を密封するためのものである。なお、いくつかの実施例では、第2密封部材137は省略されてもよい。第2密封部材137が省略されている場合、蓋体131b及び導液部材134は他の方式によって密封接続されてもよい。例えば、蓋体131bはシリコーン蓋体131bであり、蓋体131bは導液部材134に直接密封接続される。
【0044】
もちろん、アトマイザー100はアトマイザー100と排気口115とを連通させるための排気チャネルをさらに有する。図示した実施例では、蓋体131bには排気用の第1チャネルが開けられ、霧化ベース120には排気用の第2チャネルが開けられ、第1チャネルと第2チャネルは連通して排気チャネルとなる。第2チャネルは、一端が霧化室133に連通するとともに、他端が第1チャネルに連通し、第1チャネルの第2チャネルから離れた一端は排気口115に連通している。図示した実施例では、ハウジング110には、第3チャネル116がさらに形成されており、第3チャネル116は、一端が第1チャネルに連通するとともに、他端が排気口115に連通する。なお、他の実施例では、排気チャネルは、蓋体131b又は霧化ベース120のみに設けられてもよく、具体的には、実際の状況に応じて調整し得る。
【0045】
任意選択的に、電池ユニット200はアトマイザー100に取り外し可能に接続される。いくつかの実施例では、電池ユニット200はアトマイザー100に磁気吸引により接続される。任意選択的に、霧化ベース120の内底面111に近い側に磁石が設けられ、電池ユニット200では、磁石と相互に吸引し得る金属部材(例えば鉄製カラム)が設けられることによって、アトマイザー100と電池ユニット200は磁気吸引作用によって組み立てられる。もちろん、他の実施例では、電池ユニット200とアトマイザー100は取り外し可能な他の接続方式によって組み立てられてもよい。
【0046】
具体的には、電池ユニット200は、電源210と電池ケース220とを含み、電源210は電池ケース220内に収容され、電源210は電気的接続部材を介して霧化芯130の発熱部材135に電気的に接続される。一実施例では、電気的接続部材はエジェクタ231を含み、ハウジング底部にはエジェクタ孔が開けられ、エジェクタ231はエジェクタ孔を通り抜けており、霧化ベース120及び霧化室133は発熱部材135に電気的に接続され、エジェクタ231はアトマイザー100の軸方向に往復移動可能とされ、発熱部材135との電気的接続をオフ又はオンにする。任意選択的に、アトマイザー100は、エジェクタ231とエジェクタ孔を構成する孔壁との間の間隙を密封するための第3密封部材をさらに含む。もちろん、ハウジング110が省略されている場合、エジェクタ231は霧化ベース120及び霧化室133を通り抜けて発熱部材135に電気的に接続される。任意選択的に、エジェクタ231の材料は金メッキ真鍮である。
【0047】
上記電子霧化装置10を組み立てる方法は、貯液タンク131、発熱ユニット132及び霧化ベース120をハウジング110内に組み立てて、アトマイザー100を得るステップと、電源210と電気的接続部材とを電池ケース220内に組み立てて、電池ユニット200を得るステップと、アトマイザー100のエジェクタ231を電池ユニット200の電源210に電気的に接続して、電子霧化装置10を得るステップとを含む。
【0048】
具体的には、貯液タンク131、発熱ユニット132、及び霧化ベース120をハウジング110内に組み立てるステップは、第1密封部材136を蓋体131bに套設して筐体131aに密封接続するステップと、第2密封部材137によって蓋体131bと導液部材134とを密封接続するステップと、霧化ベース120を蓋体131bと発熱ユニット132に取り付けて、エジェクタ231を霧化ベース120に押し込むステップと、霧化ベース120及び霧化ベース120に取り付けられた発熱ユニット132を貯液タンク131とともにボトムカバーに入れて、トップカバー113をかけるステップとを含む。
【0049】
なお、上記電子霧化装置の組み立て方法は上記したものに限定されるものではなく、他の方法であってもよい。
【0050】
以上の前記実施例の各技術的特徴は任意に組み合わせてもよいが、説明の便宜上、上記実施例の各技術的特徴の全ての可能な組み合わせを説明しておらず、ただし、これらの技術的特徴の組み合わせは、矛盾がない限り、本明細書に記載の範囲とみなすべきである。
【0051】
以上の実施例は本発明のいくつかの実施形態だけを示しており、本発明を具体的かつ詳細に理解することを容易にしたが、本発明の特許範囲を限定するものとして理解できない。なお、当業者であれば、本発明の構想を逸脱することなく、いくつかの変形や改良を行うこともでき、これらは全て本発明の特許範囲に属する。なお、当業者が本発明で提供される技術的解決手段に基づいて、論理的分析、推定や限られる試験を通じて得る技術的解決手段は、全て本発明の添付の特許請求の範囲による特許範囲に含まれるものとする。このため、本発明の特許範囲は添付の特許請求の範囲に準じるべきであり、明細書及び図面は特許請求の範囲の内容を解釈することに用いられ得る。
【符号の説明】
【0052】
10 電子霧化装置
100 アトマイザー
200 電池ユニット
110 ハウジング
120 霧化ベース
130 霧化芯
111 内底面
112 吸気口
121 吸気孔
122 貯液凹部
123 導液トレンチ
113 トップカバー
114 ボトムカバー
124 気体溝
131 貯液タンク
132 発熱ユニット
133 霧化室
115 排気口
134 導液部材
135 発熱部材
131a 筐体
131b 蓋体
131c 貯液室
131d 出液チャネル
136 第1密封部材
137 第2密封部材
210 電源
220 電池ケース
231 エジェクタ
116 第3チャネル