IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ビューレイ・インコーポレイテッドの特許一覧

特許7408743放射線治療のシステム、方法およびソフトウェア
<>
  • 特許-放射線治療のシステム、方法およびソフトウェア 図1
  • 特許-放射線治療のシステム、方法およびソフトウェア 図2
  • 特許-放射線治療のシステム、方法およびソフトウェア 図3
  • 特許-放射線治療のシステム、方法およびソフトウェア 図4
  • 特許-放射線治療のシステム、方法およびソフトウェア 図5A
  • 特許-放射線治療のシステム、方法およびソフトウェア 図5B
  • 特許-放射線治療のシステム、方法およびソフトウェア 図6
  • 特許-放射線治療のシステム、方法およびソフトウェア 図7
  • 特許-放射線治療のシステム、方法およびソフトウェア 図8
  • 特許-放射線治療のシステム、方法およびソフトウェア 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-22
(45)【発行日】2024-01-05
(54)【発明の名称】放射線治療のシステム、方法およびソフトウェア
(51)【国際特許分類】
   A61N 5/10 20060101AFI20231225BHJP
【FI】
A61N5/10 H
【請求項の数】 16
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022129939
(22)【出願日】2022-08-17
(62)【分割の表示】P 2020530330の分割
【原出願日】2018-11-29
(65)【公開番号】P2022166206
(43)【公開日】2022-11-01
【審査請求日】2022-08-18
(31)【優先権主張番号】62/595,478
(32)【優先日】2017-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512129837
【氏名又は名称】ビューレイ・テクノロジーズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ViewRay Technologies, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100126572
【弁理士】
【氏名又は名称】村越 智史
(72)【発明者】
【氏名】デンプシー, ジェイムズ, エフ
(72)【発明者】
【氏名】カブリコフ, イワン
【審査官】宮崎 敏長
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/151662(WO,A1)
【文献】特表2016-513560(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0090549(US,A1)
【文献】特開2013-138774(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 5/10
A61N 5/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
命令を格納している非一時的機械可読媒体を備えるコンピュータプログラム製品であって、前記命令がコンピューティングシステムの少なくとも一部を形成する少なくとも1つのプロセッサにより実行されると、
粒子線および光子線を利用して患者に放射線治療を行うための放射線治療ビーム情報を受け取る処理と、
前記放射線治療中に患者の磁気共鳴撮像(MRI)データを受け取る処理と、
前記粒子線が通過する軟組織の相互作用特性を考慮に入れつつ、前記粒子線および前記光子線について、線量付与の位置をリアルタイムで算出するべく前記患者のMRIデータを利用する処理と
が実行される、コンピュータプログラム製品。
【請求項2】
前記線量付与の位置をリアルタイムで算出する時に、MRIシステムが発生させる磁界が、前記粒子線および前記光子線に対して与える影響を考慮に入れることをさらに含む、請求項1に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項3】
前記線量投与の位置をリアルタイムで算出することが、線量付与が標的を外れている旨を示す場合、前記粒子線または前記光子線を中断することをさらに含む、請求項1に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項4】
前記放射線治療中に前記患者に対する前記線量付与の蓄積量を算出するべく前記患者のMRIデータおよび前記放射線治療ビーム情報を利用することをさらに含む、請求項1に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項5】
前記線量付与の算出結果に基づいて、前記放射線治療の最適化を再度行うことをさらに含む、請求項4に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項6】
ントローラに、粒子治療線量測定システムの再配置を行わせることをさらに含む、請求項1に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項7】
前記コントローラは、ビームラインエクステンダを動作させることにより、前記粒子治療線量測定システムを再配置する、請求項6に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項8】
前記コントローラは、ガントリーに取り付けられている遮蔽構造内に、前記粒子治療線量測定システムの少なくとも一部分を再配置する、請求項6に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項9】
少なくとも1つのプログラム可能プロセッサと、命令を格納する非一時的機械可読媒体とを備えるシステムであって、
前記少なくとも1つのプログラム可能プロセッサにより前記命令が実行されると、前記少なくとも1つのプログラム可能プロセッサに、
粒子線および光子線を利用して患者に放射線治療を行うための放射線治療ビーム情報を受け取る処理と、
前記放射線治療中に患者の磁気共鳴撮像(MRI)データを受け取る処理と、
前記粒子線が通過する軟組織の相互作用特性を考慮に入れつつ、前記粒子線および前記光子線について、線量付与の位置をリアルタイムで算出するべく前記患者のMRIデータ利用する処理と、
を含む処理を実行させる、システム。
【請求項10】
前記線量付与の位置をリアルタイムで算出する時に、MRIシステムが発生させる磁界が、前記粒子線および前記光子線に対して与える影響を考慮に入れることをさらに含む、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記線量投与の位置をリアルタイムで算出することが、線量付与が標的を外れている旨を示す場合、前記粒子線または前記光子線を中断することをさらに含む、請求項9に記載のシステム。
【請求項12】
前記放射線治療中に前記患者に対する前記線量付与の蓄積量を算出するべく前記患者のMRIデータおよび前記放射線治療ビーム情報を利用することをさらに含む、請求項9に記載のシステム。
【請求項13】
前記線量付与の算出結果に基づいて、前記放射線治療の最適化を再度行うことをさらに含む、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
コントローラに、粒子治療線量測定システムの再配置を行わせることをさらに含む、請求項9に記載のシステム。
【請求項15】
前記コントローラは、ビームラインエクステンダを動作させることにより、前記粒子治療線量測定システムを再配置する、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記コントローラは、ガントリーに取り付けられている遮蔽構造内に、前記粒子治療線量測定システムの少なくとも一部分を再配置する、請求項14に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、米国特許仮出願第62/595,478号(出願日:2017年12月6日
)に基づく優先権を主張するものであり、この米国仮特許出願の内容はすべて、参照によ
り本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
放射線治療は、放射線ビームを利用して細胞を死滅させる疾病の治療法であり、ガン等
の増殖性組織異常に利用されることが多い。放射線治療は、患者内の標的を治療するため
に用いることができ、治療効果を挙げるためには所与の線量のイオン化放射線が必要であ
る。標的は、例えば、肉眼で見える腫瘍、顕微鏡的病変を含む解剖学的部位もしくは疾病
が拡大する可能性がある解剖学的部位、または、動く余地がある部位および/あるいは到
達が不確実である部位である。放射線治療ビームにより照射されるイオン化放射線は、病
変細胞のDNAおよびその他の重要な成分を破壊し、病変細胞の複製を抑制する。
【0003】
通常の放射線治療では、処方した放射線量を標的にどのように照射するかを決定する治
療計画を立てると同時に、線量を許容し得るしきい値未満に限定して近接した正常組織を
保護することで致死性または消耗性の副作用を抑制する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本明細書は、患者に(例えば、光子線を利用して)放射線治療を提供するための放射線
治療システム(例えば、光子線治療提供システム)を開示する。特定の実施形態は、光子
線および粒子線を利用した放射線治療の提供を円滑化するよう構成されているコントロー
ラを含むとしてよい。
【0005】
光子線での放射線治療の提供および粒子線での放射線治療の提供はどちらも、患者を移
動させることなく、完了することができる。光子線治療提供システムは、複数の方向から
光子線で患者に放射線治療を提供するよう構成され得る。また、当該システムは、放射線
治療実施中に患者の画像を取得するよう構成されている磁気共鳴撮像システム(MRI)
を備えるとしてよい。
【0006】
さらに、粒子線および光子線を利用して患者に放射線治療を行うべく放射線治療ビーム
情報を受け取ることを可能とするコンピュータプログラム製品が開示されている。放射線
治療中に患者の磁気共鳴撮像(MRI)データを受け取るとしてよい。さらに、粒子線が
通過する軟組織の相互作用特性を考慮に入れつつ、粒子線および光子線について、線量付
与の位置をリアルタイムで算出するべく患者のMRIデータを利用するとしてよい。
【0007】
ある実施形態では、MRIシステムが発生させる磁界が粒子線および光子線に対して与
える影響をさらに、線量付与の位置のリアルタイム算出時に、考慮に入れるとしてよい。
患者のMRIデータおよび放射線治療ビーム情報を利用して、放射線治療中に患者に対し
て付与された線量の蓄積量を算出するとしてよい。任意で、付与された線量の算出結果に
基づいて、放射線治療の最適化を再度行うとしてよい。
【0008】
また、患者の放射線治療処方情報を受け取ることおよび患者の磁気共鳴撮像(MRI)
データを受け取ることを可能とする別のコンピュータプログラム製品が開示されている。
光子線照射および粒子線照射を組み合わせた放射線治療計画を決定するとしてよい。放射
線治療計画の決定には、患者の放射線治療処方情報およびMRIデータを利用することが
できる。
【0009】
現在の主題の実施例は、これらに限定されないが、本明細書で説明する内容と一致する
方法、および、説明した特徴のうち1または複数を実装する処理を1または複数の機械(
例えば、コンピュータ等)に実行させるよう構成されている有形で具現化された機械可読
媒体を含む物品を含むとしてよい。同様に、1または複数のプロセッサと、当該1または
複数のプロセッサに結合されている1または複数のメモリとを備えるコンピュータシステ
ムも考案される。メモリは、コンピュータ可読記憶媒体を含み、本明細書で説明する処理
のうち1または複数を、1または複数のプロセッサに実行させる1または複数のプログラ
ムを、含有、符号化、記憶等しているとしてよい。現在の主題の1または複数の実施例と
一致するコンピュータ実装方法は、1または複数のデータプロセッサで実装するとしてよ
い。当該データプロセッサは、1つのコンピューティングシステムに、または、複数のコ
ンピューティングシステムにわたって存在する。このような複数のコンピューティングシ
ステムは、互いに接続するとしてよく、1または複数の接続部を介して、データおよび/
またはコマンドあるいはその他の命令等をやり取りするとしてよい。接続部は、ネットワ
ークを介した接続(例えば、インターネット、ワイヤレスワイドエリアネットワーク、ロ
ーカルエリアネットワーク、ワイドエリアネットワーク、有線ネットワーク等)、複数の
コンピューティングシステムのうち1または複数同士の直接接続による接続等を含むが、
これらに限定されない。
【0010】
明細書で説明する主題の1または複数の変形例の詳細については、添付図面および以下
の説明に記載する。本明細書で説明する主題のその他の特徴および利点は、明細書および
図面から、そして、請求項から明らかになるであろう。本願で開示する主題の特徴は特定
の実施例に基づいて例示を目的として記載しているが、このような特徴に限定されるもの
ではないと容易に理解されたい。本開示に続く特許請求の範囲は、保護を求める主題の範
囲を定義するものである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
添付図面は、本明細書に組み込まれるとともにその一部を構成するが、本明細書で開示
する主題の態様を図示すると共に、明細書と組み合わせることで、開示した実施例に対応
付けられている原理の一部の説明となる。図面は以下の通りである。
【0012】
図1】放射線治療のさまざまな形態例における人間の組織への透過深度を示すグラフである。
【0013】
図2】ソフトウェアで実装可能な、MRIデータを用いた、粒子放射線治療の放射線治療を計画する方法を説明するフローチャートである。
【0014】
図3】本説明と一致する1または複数の特徴を持つ放射線治療システムを示す図である。
【0015】
図4】本説明と一致する1または複数の特徴を持つ放射線治療システムを示す図である。
【0016】
図5A】例えば、本説明と一致する1または複数の特徴を持つ、粒子治療システムの線量測定システムの一部を遮蔽する遮蔽システムを示す図である。
図5B】例えば、本説明と一致する1または複数の特徴を持つ、粒子治療システムの線量測定システムの一部を遮蔽する遮蔽システムを示す図である。
【0017】
図6】本説明に一致する1または複数の要素を備える粒子放射線治療方法を説明するフローチャートである。
【0018】
図7】本説明に一致する1または複数の特徴を持つ複合型放射線治療システムを示す図である。
【0019】
図8】本説明に一致する1または複数の特徴を持つ複合型放射線治療システムを示す図である。
【0020】
図9】本説明に一致する1または複数の特徴を持つ複合型放射線治療システムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本明細書では、光子線(例えば、X線)および粒子線の両方を利用して実行される治療
を利用する放射線治療を実施するシステム、方法およびコンピュータソフトウェアを開示
する。本明細書で説明するように、磁気共鳴撮像と組み合わせて利用するとしてよい。
【0022】
本開示は以下でまず、粒子治療、粒子治療の治療計画および磁気共鳴撮像を利用する粒
子治療に関する具体的な概念を説明する。続いて、粒子治療と光子線治療とを組み合わせ
る治療について説明する。説明する粒子治療に関する概念の大半は、粒子治療と光子線治
療とを組み合わせる場合にも同様に適用可能であると考えられると共に理解されたい。
【0023】
粒子治療は、ガン等の疾患を治療するためにエネルギーを持った粒子のビームを利用す
る放射線治療の一形態である。粒子線は、患者の体内の標的に向けることが可能であり、
標的細胞のDNAおよびその他の重要な細胞成分に損傷を与え、最終的に細胞を死滅させ
ることができる。ガン細胞は、非ガン細胞に比べると、放射線による損傷を修復する機能
が低いので、粒子治療が特に効果的である。文脈によって、「粒子治療」は、ハドロン、
例えば、陽子、中性子、反陽子、中間子等を利用した治療を意味するために用いられるこ
とがある一方で、イオンまたは原子核、例えば、リチウムイオン、ヘリウムイオン、炭素
イオン等を利用する治療を意味する場合もある。多くの場合、炭素イオン等のイオンを利
用する治療は、「重イオン治療」と呼ばれるが、「軽イオン」と「重イオン」との区別は
正確には定義されていない。本明細書で用いる場合、「粒子治療」、「粒子放射線治療」
、「粒子線」等の用語は、ハドロンおよび原子核(またはイオン)を利用する治療を意味
する。この用語は特に、光子線治療または電子線治療等の治療を除外している。
【0024】
図1は、さまざまな形態の放射線治療における人間の組織に対する透過深度を示すグラ
フ100である。所与のエネルギーについて、電子線は、他の放射線治療形態に比べて人
間の組織に対する透過深度が低い(線102で示す)。X線は、電子よりも人間の組織に
対する透過深度が大きいが、組織が吸収する線量は、線104で示すように、X線の透過
深度が大きくになるにつれて減少する。粒子治療用のビームは、線108が示すように、
飛程の末端において付与するエネルギーよりも、ある所定の深度において患者の組織に付
与するエネルギーの方が大きい。飛程の末端付近のこの深度は、ブラッグピークと呼ばれ
るとしてよく、108で示す。粒子治療の利点は、標的外の正常組織に付与されるエネル
ギーが少ないので、正常な組織に損傷を与える可能性が減る点である。これに加えて、ブ
ラッグピークを越えると、X線に比べて付与する線量がほとんどない。
【0025】
粒子放射線治療を実行する前に、治療計画を作成しなければならない。本開示は、磁気
共鳴撮像(MRI)データを特定の方式で治療計画を作成する際に任意で利用することを
考慮している。治療計画は予想付与線量を含む。予想付与線量は、患者に実際に照射され
る線量と略一致しており、所望の線量と略一致している。X線コンピュータ断層撮影(C
T)撮像データも利用して、例えば、患者の組織の質量密度、ならびに、低密度および高
密度の組織を含む患者の部位、または、肺、空気および骨等の領域を決定するとしてよい
。この分析は粒子線経路の全てについて実行するとしてよい。
【0026】
磁気共鳴撮像システムを用いてMRIデータを取得するとしてよい。当該MRIデータ
を分析することで、標的に到達するまでのビーム経路、および、標的を通過する際のビー
ム経路にある軟組織の種類をより正確に決定することができる。この後、MRIデータに
基づいて粒子相互作用特性を決定するとしてよい。これによって、患者の組織および標的
に照射される線量をより正確に決定することが可能となる。これに加えて、MRIデータ
によって、粒子線治療の生物学的効果をより正確に決定することができるようになる。
【0027】
本開示では、化学組成および質量密度の決定精度を高めて、これによって粒子治療の線
量を決定しやすくなるよう、MRIデータとX線CTデータとを(例えば、非剛体画像レ
ジストレーションを利用して)組み合わせることを考えている。X線CTデータが利用で
きない場合、骨を含む部位は超短エコー時間(ultra-short echo ti
me)(TE)MR撮像で決定する一方、肺および空気は陽子密度強調MR撮像で決定す
るとしてよい。
【0028】
X線CTは、人体の電子密度マップを生成するのに適しており、光子線放射線治療で照
射する線量を決定する際に有用である。これは、光子の主要相互作用の確率が電子密度に
比例するためである。人間の組織について原子番号が低いという事実を鑑みると、電子密
度は質量密度とも密接に相関している。ここで、原子核は陽子に対する中性子の比率が比
較的一定である。CTハンスフィールドナンバーは、X線に対する人間の組織の減衰係数
を反映した数値である。このため、ハンスフィールドナンバーは、元素組成、元素重量お
よび質量密度のさまざまな組み合わせについて同一になる可能性がある。画像ビームの硬
化効果およびその他のアーチファクトに起因して、測定されたハンスフィールドナンバー
が不正確であり得ることは言うまでもない。X線CTおよびハンスフィールドナンバーを
利用して組織を定義する際に組み込まれる元素組成が不明確であるので、決定した粒子線
の飛程が大きな誤りを含む可能性がある。このような誤りは直接、例えば、線量算出の誤
りにつながり得る。これは、エネルギーを持った粒子の経路に沿った線量付与を正確にモ
デル化するために、そして、粒子が飛程の末端でどこに到達するかを決定するために、粒
子阻止能が必要であるためである。阻止能が不明瞭であることはそのまま、図1に図示し
ているブラグブラッグピーク108の位置が不明瞭であることになる。この結果、標的お
よび腫瘍から多量線量領域がずれる可能性があり、有効な線量を治療標的に照射すること
ができず、その代わりに粒子放射線治療用の線量を、高線量の粒子放射線を受け取らない
ように遮蔽すべき正常組織に照射してしまう。
【0029】
軟組織は、X線CTよりもMRIシステムで撮像した場合の方が、コントラストおよび
解像度が良好である。上述したように、X線CTは、コントラストの高低およびハンスフ
ィールドナンバーの大小によって、さまざまな密度の組織の質量密度および空気または皮
質骨を含む部位の解像度を決定する上で優秀である。しかし、多くの軟組織は、元素組成
が大きく異なりつつも、密度が非常に類似している。例えば、組織は、脂質状(または脂
肪状)の性質または水状(また筋肉状)の性質を持つ一方で、質量密度が非常に似ている
ため、X線CTデータでは区別することが困難である。現在の方法では、X線CTデータ
の画像ノイズ、アーチファクトおよび低コントラストが相まって、組織の種類を誤認する
ことが多い。阻止能に関して、密度依存性を除外すると、脂肪状組織(CH2)と水状組
織(OH2)との間の阻止能の差異は、OとCとの間の原子番号の差異が主な要因である
。粒子治療で利用されている数十MeV/核子を超えるエネルギーについては、阻止能比
は重要である。
【0030】
水にのみ、または、脂肪にのみ感度が高いパルスシーケンスでMRIデータを取得する
ことで、組織の水対脂肪比を、例えば、Dixon法またはサンドイッチエコーで決定す
ることができるようになる。この後、治療標的の近傍において決定した水対脂肪比を利用
して、軟組織の元素組成に関して理解を深めることができる。MRIでは、異なるタイミ
ングでおよび/または異なる方法で励起陽子の信号を読み取ることによって(当該信号は
、水素が結合している分子の種類に応じて減衰の仕方が異なる)、さまざまな「コントラ
スト」を取得することができる。このため、MRIを利用することで、さまざまな組織の
種類をより高精度で区別して化学組成を推定することが可能になる。
【0031】
粒子線と粒子線が通過する組織との間の相互作用(相互作用の頻度および種類)は、粒
子線の粒子の種類、粒子のエネルギー、ならびに、組織の質量密度および化学組成等、多
くの要因に左右される。粒子相互作用とは、少なくとも荷電粒子の場合、クーロン相互作
用(つまり、電磁相互作用)を含む。クーロン相互作用によって略常に、入射した粒子が
わずかにエネルギーを損失し、および/または、方向がわずかに偏向される。偏向は、粒
子線が広がる原因となるが、クーロン散乱と呼ばれる。単位長さ当たりのエネルギー損失
量を阻止能と呼ぶとしてよい。クーロン相互作用によって粒子が失うエネルギー損失量は
少なく、組織の原子および分子のイオン化および励起が理由である。このような相互作用
の頻度によって、粒子の経路におけるイオン化密度が決まる。イオン化密度が高くなると
、細胞損傷の確率が高くなる。これは、線エネルギー付与(LET)と呼ばれる量で測定
することが多い。
【0032】
粒子相互作用には核相互作用も含まれる。核相互作用は、クーロン相互作用よりも頻度
は低いが、及ぼす影響ははるかに大きい。核相互作用が発生すると、衝突した核が分解さ
れて破片(例えば、陽子および中性子、重陽子、三重陽子、リチウム、アルファ等)にな
ることが多い。このような破片の種類および数は、入射した粒子の種類およびエネルギー
、そして、衝突した核に応じて決まる。核相互作用はさらに放射性核を生成し、放射性核
は崩壊してさらに線量を付与する。
【0033】
核相互作用およびクーロン散乱は、核の原子番号に大きく左右される。両方とも、ブラ
ッグピークを拡大することにつながる。イオンについて、核相互作用はブラッグピークを
越えて付与されるテールの線量の原因でもある。ビーム経路に異質なもの(例えば、空気
の空洞、骨)がある場合、クーロン散乱によって、この異質なものより深い位置には、複
雑な線量付与構造が発生する。
【0034】
本明細書で「相互作用特性」という用語を用いる場合、上述したクーロン相互作用およ
び核相互作用等の複数の相互作用特性の任意の組み合わせを意味する。例えば、放射線治
療の治療計画またはリアルタイムでのMRIの誘導についての本開示の一部の実施形態は
、患者の組織における線量付与の位置および量を決定する際に、必要な数の相互作用特性
を利用する。
【0035】
炭素イオン等の「重イオン」は、陽子よりも、細胞に与える影響がはるかに壊滅的であ
る可能性がある。重イオンの核相互作用の破片は、LETが高く、相互作用部位の周囲に
局所的にエネルギーを付与する傾向がある。これが、陽子よりもはるかに高い「生物学的
効果」を炭素イオンが持つ主なメカニズムである。この結果、光子、電子および陽子に比
べて、イオンの場合に組織に付与された単位エネルギー当たりの死滅(または損傷)する
細胞の数がより多くなる。組織に付与されるエネルギーは「吸収線量」と呼び、グレイ(
Gy)で測定する。炭素イオンビームによる1グレイの吸収線量が死滅させる細胞は、生
物学的効果が相違するので、光子線または電子線による1グレイの吸収線量の3~12倍
である。
【0036】
粒子線治療において、生物学的効果の決定は、有益であるが、適切な治療のためには必
要ともいえる。生物学的効果を決定する方法には多くの異なる方法がある。例えば、生物
学的実効線量(BED)を決定することは、特定の放射線治療の生物学的効果を定量的に
示すことを目的とし、治療の種類、分割分ごとの線量、線量率等の多くの要素を考慮に入
れる。これに加えて、相対的生物学的効果(RBE)は、ある特定のモードの治療の吸収
線量と、光子線治療の吸収線量とを比較する比率であり、各線量が同じ生物学的効果を奏
するものとする。
【0037】
陽子の場合、RBEは約1.1で一定であると今まで何年もの間仮定されてきたが、こ
の仮定で得られる計画による結果は準最適であるという意見もある。陽子のRBEは1.
0に非常に近いので、このような生物学的効果の算出を行わないとしても、治療に対する
影響は大きいものでないであろうが、中性子、イオン、中間子等のRBEははるかに高い
ので、考慮に入れなければ、治療に対する影響は甚大である。
【0038】
生物学的効果を決定するためには入射ビームのエネルギースペクトルおよびビームが通
過する材料または組織の相互作用特性を知る必要がある。このように、組織の化学組成を
正確に把握することは、生物学的効果を正確に決定するうえに絶対に不可欠である。また
、入射粒子線のエネルギー損失の大部分が発生した箇所(つまり、ブラッグピーク)を決
定することも重要である。これに加えて、細胞の損傷と修復、時間線量分割、組織活性化
および核反応に起因する線量分布への寄与を考慮して、生物学的効果を決定するとしてよ
い。このため、患者のMRIデータは、線量算出および治療計画作成において重要なのと
同様に、生物学的効果を決定するうえでも重要である。
【0039】
同様にMRIデータは、照射前に照射計画の質を評価するべく、組織の元素組成の評価
および正確な線量算出を行うために利用するとしてよい。照射する予定の線量の品質が不
十分である場合、セットアップ時に収集したデータに基づいて照射前に粒子治療計画を再
度最適化するとしてよい。これは、治療の実行直前に行うとしてもよいし、患者が治療カ
ウチに載っている間に行うとしてもよいし、または、患者が実際に治療を行うために到着
する前に行うとしてもよい。
【0040】
図2は、ソフトウェアで実装可能な、MRIを用いた、粒子放射線治療の放射線治療を
計画する方法200を説明するフローチャートである。当該方法は、本明細書の説明と一
致する1または複数の特徴を持つ。ソフトウェアは、システムコントローラの一部である
1または複数のデータプロセッサを利用して実装するとしてよい。ソフトウェアは、機械
可読命令を含むとしてよい。当該命令は、1または複数のデータプロセッサによって実行
されると、1または複数のデータプロセッサに1または複数の処理を実行させるとしてよ
い。
【0041】
図2の202において、患者の放射線治療処方情報を受け取るとしてよい。患者の放射
線治療処方情報は、標的である腫瘍に対して必要な最低線量、対象となる近隣の器官に許
容されている最大線量等のデータを含むとしてよい。本明細書で言及する患者の放射線治
療処方情報は、限定することを意図していない。放射線治療計画システムが受け取る患者
の放射線治療処方情報は、放射線治療計画において普通の処方情報を含むとしてよい。
【0042】
204において、患者のMRIデータを受け取るとしてよい。一部の変形例では、患者
のMRIデータは、粒子治療システムと一体化されている磁気共鳴撮像装置から受け取る
としてよい。患者のMRIデータは、治療の対象となる部位をカバーしているとしてよい
。例えば、患者の標的治療領域と、放射線治療ビームが通過し得るので、放射線量をモニ
タリングすべき周囲の組織とを含む。MRIデータは治療とは別の場所で治療前に取得さ
れるとしてもよいし、または、MRIデータはMRIが粒子放射線治療システムと一体化
されている場合には治療テーブルで取得されるとしてもよい。
【0043】
206において、粒子線と共に利用する放射線治療計画を決定するとしてよい。放射線
治療計画では、患者の放射線治療処方情報を利用し、粒子線が通過する患者の軟組織の相
互作用特性を考慮するべく患者のMRIデータを利用するとしてよい。放射線治療計画は
、例えば、利用するビームの数、ビームを照射する方向、ビームのエネルギー、コリメー
タ構成等を含むとしてよい。
【0044】
放射線治療計画の決定はさらに、MRIの磁界が粒子線に与える影響も考慮に入れると
してよい。この場合、患者に線量を付与するイオン化放射線の搬送に対するMRIの強磁
界の影響を含める。相互作用断面は、熱効果と競合するのでスピンの偏極に強い影響を受
けない(例えば、体温で1テスラの磁界内で整列するのはスピンのうち約4ppmに過ぎ
ない)が、より正確な線量算出を得るために考慮される動いている荷電粒子に対して、磁
界による外部ローレンツ力が作用する。
【0045】
放射線治療計画の決定はさらに、粒子線によって患者の軟組織に照射される線量の生物
学的効果を、患者の磁気共鳴撮像データを利用することで、決定することを含むとしてよ
い。
【0046】
図3は、本説明と一致する1または複数の特徴を持つ粒子治療システム300を示す図
である。粒子にエネルギーを与えるべく、最初に粒子を粒子加速器302で加速する。粒
子加速器は、シンクロトロン、サイクロトロン、リニアアクセラレータ等であってよい。
シンクロトロンは、低エネルギーサイクロトロンまたは低エネルギーリニアアクセラレー
タの何れかから入力を受け取るとしてよい。下流で調整するまでは、粒子線304のエネ
ルギーによって、エネルギーを持った粒子の患者306に対する透過深度が決まる。粒子
加速器は通常、生成されるエネルギーが付与された粒子線が所定のエネルギーを持つ。一
部の変形例では、例えば、粒子線が減衰媒体を通過することによって、粒子のエネルギー
が小さくなり得る。これは、二次中性子が患者に対して不要な線量を増加させ得るので、
患者から離れた位置で実行され得る。減衰媒体は、エネルギーを増減させるべく回転させ
る車輪型駆動部または線形駆動部に設けられた干渉物であってよい。最大エネルギーは、
粒子線に減衰媒体を適用しないことで得られる。最小エネルギーは、最も厚みの大きい減
衰媒体を粒子線で適用することで得られる。公知の材料について、システムを停止させる
ことなく粒子線を停止または中断するべく、エネルギーを持った粒子が全て患者に到達し
ないようになる厚みを決定し得る。
【0047】
シンクロトロンも、シンクロトロンリングにおける加速部を通過するパスの数を増減さ
せることで、ビームエネルギーを制御するよう構成されているとしてよい。原理的には、
リニアアクセラレータも、いくつかの所定のエネルギーについて、限定された飛程におい
て、加速ユニットの数を変更することができる。パルス間でのエネルギー変化は、適切な
設備を利用すれば実現可能である。
【0048】
一部の変形例では、粒子治療ガントリー312を用いて、エネルギーを持った粒子線3
04を患者306へと向けることができる。患者306は、粒子治療ガントリー312の
中心内のカウチ314に位置するとしてよい。粒子治療ガントリー312は、ビームが線
量測定システム318を通過して患者306に向くように制御するよう構成されているガ
ントリー電磁石316を有するとしてよい。
【0049】
粒子治療ガントリー312は、さまざまな角度での粒子治療の提供を円滑化するべく回
転するよう構成されているとしてよい。一部の変形例では、粒子治療ガントリー312は
360度回転するよう構成されているとしてよい。1または複数のスリップリングを利用
して、電磁石、および、粒子治療ガントリー312に設けられている他の構成要素への電
力の供給を円滑化するとしてよい。一部の変形例では、粒子治療ガントリー312は、約
360度の回転フィールドで回転するよう構成されているとしてよい。このような変形例
では、粒子治療ガントリー312は、限界まで一方向へと回転した後、限界まで他方向へ
回転するとしてよい。患者306の周囲で粒子治療ガントリー312を回転させることで
、エネルギーを持った粒子線304の標的への複数の異なる角度での照射を円滑化して、
正常組織を避け、治療計画の質を高めるとしてよい。
【0050】
粒子治療ガントリー312は、走査ビーム磁石320を含むとしてよい。走査ビーム磁
石320は、例えば、電磁石の対を複数含むとしてよい。複数の対の電磁石は、磁界が互
いに直交する平面に存在するように配置されるとしてよい。走査ビーム磁石320は、エ
ネルギーを持った粒子線304の方向を操作するよう構成されているとしてよい。一部の
変形例では、走査ビーム磁石320は、エネルギーを持った粒子線を、患者の治療標的を
前後に通過する走査の動きになるよう、方向付けるよう構成されているとしてよい。
【0051】
一部の変形例では、当該システムは固定ビームライン322を有するとしてよい。固定
ビームライン322は、ガントリーを使わず、エネルギーを持った粒子を直接患者に、線
量測定システム318を通して、照射するよう構成されているとしてよい。当該システム
はさらに、固定ラインビームのエネルギーを持った粒子の方向を修正するよう構成されて
いる1または複数の走査ビーム電磁石320を備えるとしてよい。
【0052】
粒子治療システムはさらに、散乱体を備えるとしてよい。散乱体は、エネルギーを持っ
た粒子線304を外向きに散乱させるよう構成されているとしてよい。当該システムはさ
らに、ビームを広げるためのビームウォブラ走査メカニズムまたはビームラスタ走査メカ
ニズムを含むとしてよい。当該システムはさらに、コリメータを備えるとしてよい。コリ
メータは、複数の薄い金属製のブレードを有するマルチリーフコリメータであってよい。
薄い金属製のブレードは、動かすことが可能であり、その位置はコンピュータで制御する
ことができる。薄い金属製のブレードは、エネルギーを持った粒子を吸収するよう構成さ
れているとしてよい。薄い金属製のブレードは、コントローラによって、当該ブレードに
よって形成される開口の形状が患者内の標的と相補的になるよう配置されるとしてよい。
このようにして、コリメータは、エネルギーを持った粒子に標的を透過させつつ、標的の
周囲にある正常組織を遮蔽しやすくするとしてよい。一部の変形例では、恒久的にある形
状を持つよう成形したコリメータを利用するとしてよい。同様に、エネルギーを持った粒
子線304の経路には、エネルギーを持った粒子に対して半透過性を有する材料で形成さ
れ、腫瘍の形状と相補的になるように成型されたボーラスを配置するとしてよい。
【0053】
図4は、本開示と一致する1または複数の特徴を持つ粒子治療提供システム400を示
す図である。粒子治療提供システム400は、図3に図示したシステム300の構成要素
と同様の1または複数の構成要素を備えるとしてよい。本開示に係る粒子治療システム4
00は、粒子線を用いて放射線治療を患者に提供する粒子治療提供システムと、放射線治
療中に患者の磁気共鳴撮像(MRI)データを取得するよう構成されている磁気共鳴撮像
システム402と、放射線治療中に患者のMRIデータを受け取り、患者内の粒子線が通
過する軟組織の相互作用特性を考慮しつつ、患者のMRIデータを用いて粒子線の線量付
与位置をリアルタイムで算出するよう構成されているコントローラ424とを備えるとし
てよい。
【0054】
粒子治療提供システム400は、スプリットマグネットMRI402を含むとしてよい
。スプリットマグネットMRI402は、2つのスプリット用メインマグネット404お
よび406を含むとしてよい。放射線治療システムはアイソセンタ407を備えるとして
よい。2つのスプリット用メインマグネット404および406は、複数のバットレス4
08によって離間しているとしてよい。複数のバットレス408は、2つのスプリット用
メインマグネット404および406の外縁に比べると、アイソセンタ407からの距離
が近いとしてよい。2つのスプリット用メインマグネット404および406はそれぞれ
1つのマグネットとして言及するが、これに限定されることを意図しているわけではない
。2つのスプリット用メインマグネット404および406はそれぞれ、患者のMRIデ
ータを取得することを目的として、複数のマグネットを含むとしてもよい。
【0055】
スプリットMRIシステムは図4に図示しているが、これは例示を目的としたものに過
ぎない。利用するMRIシステムは、任意の種類のMRIシステムであってよい。例えば
、メインマグネットは、バーティカルオープンマグネット、ショートボアマグネット、門
型または薄型の部分を含むマグネット等を含み得る。
【0056】
カウチ410がスプリットMRIシステム402の内部に設けられているとしてよい。
スプリットMRIシステム402は、2つのスプリット用メインマグネット404および
406の内部開口を通して患者412をカウチ410上に受け入れるように構成されてい
るとしてよい。
【0057】
スプリットマグネットMRIシステム402、カウチ410および患者412はすべて
図3に図示するガントリー312等の粒子治療ガントリーの内部に配されるとしてよい
。粒子治療ガントリーは、複数の角度から粒子治療を患者に提供するよう、患者412を
中心に回転するように構成されているとしてよい。
【0058】
複数のバットレス408は、2つのメインMRIマグネット404および406の間に
設けられているとしてよく、MRIシステムの全径がさらに大きくならないように2つの
メインMRIマグネット404および406の外縁より内側に配置されているとしてよい
。当該システムは、一例として、2つのメインMRIマグネット404および406に等
角度間隔で離間して設けられている3つのバットレス408を備えるとしてよい。当該シ
ステムは、粒子線がスプリットマグネット間で患者に向かって方向付けられ、バットレス
408のいずれも通過しないように進むよう動作させるとしてよい。
【0059】
当該粒子治療システムは、エネルギーを持った粒子の患者への提供を円滑化して、2つ
のメインMRIマグネット404と406との間のギャップ419に向かってエネルギー
を持った粒子が方向付けられるように構成されているとしてよい。
【0060】
粒子治療提供システム400は、患者に対する放射線治療をモニタリングする線量測定
システム416を含むとしてよい。線量測定システム416はさらに、例えば、コントロ
ーラにフィードバックを提供することによって、患者に対する粒子治療の提供を円滑化す
る1または複数の構成要素を含むとしてよい。
【0061】
粒子治療提供システム400は、例えば、線量測定システムの少なくとも一部分の周囲
を取り囲む1または複数の遮蔽構造420を備えるとしてよい。遮蔽構造420は、無線
周波数干渉またはメインMRIマグネット404および406が発生させる磁界から悪影
響を受け得る電子設備を収納するよう構成されているとしてよい。
【0062】
図5Aおよび図5Bは、本開示と一致する1または複数の特徴を持つ、粒子治療提供シ
ステムの線量測定システム502の少なくとも一部を遮蔽する遮蔽構造500の一例を示
す図である。遮蔽構造500は、複数のシェルを有するとしてよい。複数のシェルは、図
4に図示しているスプリットマグネットMRIシステム402が発生させる磁界を遮蔽す
るよう構成されている一連の同心円状シールドで形成され得る。同心円状のシールドは、
線量測定システム502の少なくとも一部分の周囲を取り囲むように構成されているとし
てよい。本開示ではさらに、例えば、本開示の特定の態様で利用されるリニアアクセラレ
ータから出射されるRF放射線が生じさせ得る悪影響を最小限に抑えるべく、RF吸収材
料またはRF反射材料または両者の組み合わせで形成される1または複数の層を有する遮
蔽構造も考えている。
【0063】
遮蔽構造500は、第1のシールド収納部504を含むとしてよい。第1のシールド収
納部504は、円筒状本体部506および円筒状本体部の一端を横切るように設けられて
いる環状ディスク508を含むとしてよい。環状ディスク508には、粒子が遮られるこ
となく通過できるよう開口510が設けられているとしてよい。一部の変形例では、第1
のシールド収納部504は、直径が約17インチであるとしてよい。第1のシールド収納
部504の直径は、線量測定システム502の構成要素のうち少なくとも一部分を十分に
収納できるように選択されるとしてよい。
【0064】
遮蔽構造500は、複数のシェルを有するとしてよい。例えば、図5Bに示す504、
512、514等である。複数のシェル504、512、514は入れ子状にするとして
よい。複数のシェルのうち少なくとも1つは、環状ディスク516、518等を持つ。
【0065】
遮蔽構造500は、スプリットマグネットMRIシステム402に対して固定された位
置に配置されるとしてもよいし、または、図3に図示しているガントリー312のような
ガントリーと共に回転するよう構成されているとしてもよい。1または複数の構造が、ス
プリットマグネットMRIシステム402に対向するよう、または、周囲に設けられてい
るとしてよく、MRIの磁界の均一性への干渉を最小限に抑えるべく遮蔽構造500の磁
気特性を模倣するよう構成されているとしてよい。
【0066】
図6は、ソフトウェアで実装可能な、MRIデータを用いた、粒子放射線治療の放射線
治療の方法600を説明するフローチャートである。当該方法は、本明細書の説明と一致
する1または複数の特徴を持つ。ソフトウェアは1または複数のデータプロセッサを利用
して実装され得る。ソフトウェアは、機械可読命令を含むとしてよい。当該命令は、1ま
たは複数のデータプロセッサによって実行されると、1または複数のデータプロセッサに
1または複数の処理を実行させるとしてよい。方法600は、本明細書で説明している、
コントローラ424が実行可能な処理の一例である。
【0067】
602において、粒子線を利用して患者に放射線治療を行うべく放射線治療ビーム情報
を受け取るとしてよい。放射線治療ビーム情報は、粒子線の1または複数の特性を含むと
してよい。この1または複数の特性は、粒子線の透過能力、粒子線の拡散特性、粒子線の
本数等の指定を含むとしてよい。
【0068】
604において、放射線治療中に患者の磁気共鳴撮像(MRI)データを受け取るとし
てよい。
【0069】
606において、本明細書で説明するように、粒子線が通過する患者の軟組織の相互作
用特性を考慮に入れつつ、患者のMRIデータを利用して粒子線について線量付与の位置
をリアルタイムで算出することができる。上述したように、線量付与の位置をリアルタイ
ムで算出する際に、MRIシステムが発生させる磁界が粒子線に与える影響もさらに考慮
するとしてよい。そして、粒子線が軟組織に提供する線量の生物学的効果の決定も、患者
の磁気共鳴撮像データを利用して、リアルタイムでの線量算出と組み合わせて、実行する
としてよい。
【0070】
608において、線量付与の位置のリアルタイム算出結果が、付与が標的を外れている
旨を示す場合、粒子線を中断するとしてよい。
【0071】
一部の変形例では、線量付与の位置のリアルタイム算出結果が、付与が標的を外れてい
る旨を示す場合、粒子線のエネルギーを調整するとしてよい。他の変形例では、患者のM
RIデータを利用することができ、線量付与の位置のリアルタイム算出は、標的を追跡す
るべく粒子線の方向を修正する。
【0072】
さらに本明細書で詳細に説明するように、図6の放射線治療の方法の例に関して説明す
る概念は、粒子治療と光子線治療とを組み合わせるシステム、方法およびコンピュータソ
フトウェアでも利用されるとしてよい。
【0073】
本開示のある実施例では、粒子治療提供システムは、光子線治療提供システムと組み合
わせるとしてよい。システムコントローラは、粒子線および光子線の両方の提供を円滑化
するよう構成されているとしてよい。例えば、粒子治療(陽子治療等)は、X線を提供す
るよう構成されているリニアアクセラレータによる治療と組み合わせて提供されるとして
よい。このような複合型システムは、治療セッション中に交互に粒子治療および光子線治
療を提供するが、治療の種類が切り替えられても患者を移動させる必要がないように構成
されているとしてよい。患者は、粒子治療システムおよび光子線治療システムの両方が共
有しているアイソセンタに対してカウチにいることが好ましい(しかし、本開示の意図の
範囲内では患者がわずかに移動すると考えられる)。
【0074】
複合型粒子/光子線治療システムにおいて、粒子治療システムは単一の固定ビームライ
ン、複数の固定ビームライン、または、一のガントリーシステムを持つように構成される
としてよく、光子線治療システムは(例えば、回転型ガントリー、ロボットアーム等を利
用して)複数の角度から光子線を提供するよう構成されるとしてよい。
【0075】
本開示の好ましい実施形態では、粒子治療ガントリーシステムが必要ない。これに代え
て、1または少数の固定ビームラインから粒子治療を提供し、このような治療を補完する
べく、より多数の角度から提供され得る光子線治療を行う。このような複合型治療システ
ムによれば、例えば、治療標的の周囲を取り囲む正常組織をより良く回避することができ
るより高品質の治療計画が得られる。
【0076】
図7は、光子線治療提供システム702および粒子治療提供システム704(図に図示
しているのはこの一部のみ)の態様を組み合わせる放射線治療システムの一例を示す図で
ある。図7の例に示す光子線治療システム702は、X線を発生させるよう構成されてい
るリニアアクセラレータである。しかし、本開示では、ラジオアイソトープ等を含む別の
光子線治療システムを考えている。電子線システムを利用するとしてもよい。
【0077】
図7は、光子線治療提供システム702の一の特定の実施例を図示している。リニアア
クセラレータの一部の構成要素はガントリー706の周囲に配設されている。このような
一部の構成要素は、ガントリー706上で複数の異なる位置に離間して設けているとして
もよく、RF導波路708を利用して互いに接続するとしてもよい。本開示ではさらに、
光子線治療システムのうち1または複数の部分が、図5を参照しつつ上述した遮蔽構造と
同様の形態の遮蔽構造710の内部に収納されることを考えている。
【0078】
ガントリー706はさらに、粒子治療システム704の線量測定システム416の少な
くとも一部分を遮蔽するよう構成されている空の遮蔽構造712を追加で有するとしてよ
い。このような空の遮蔽構造712も同様に、図5を参照しつつ上述した遮蔽構造の何れ
かと同様の形態を持つとしてよい。図7に図示している実施形態は空の遮蔽構造712が
ガントリーに取り付けられている様子を図示しているが、粒子治療線量測定システムの遮
蔽構造はガントリーとは無関係に取り付けられるとしてもよく、例えば、床に直接取り付
けられたり、光子線治療システム702およびそのガントリー706に隣接して取り付け
られることも考えられる。
【0079】
動作について説明すると、光子線治療提供システム702は、光子線714をさまざま
な角度から患者に向かって提供するよう構成されており、複合型放射線システムは、図8
および図9に一部を図示している方法例にしたがって粒子治療を提供するために用いられ
るとしてよい。この動作方法例によると、ガントリー706を回転させることで、図8
図示しているように、空の遮蔽構造712が粒子治療ビームライン716と並ぶようにな
るとしてよい。この後、ビームラインエクステンダ718を用いて、図9に図示している
ように、粒子治療システムの線量測定システム416を少なくとも一部分が空の遮蔽構造
712の内部に来る位置まで延長するとしてよい。伸縮式真空チャンバは、ビームライン
エクステンダの一例であるが、粒子治療システムの線量測定要素の位置を変更する方法と
しては他の方法も考えられる。
【0080】
上述したように、本開示ではさらに、粒子線量測定システムの遮蔽構造がガントリーか
ら外れた位置に配置されている実施形態も考えられる。このような実施形態では、ビーム
ラインエクステンダは必要ないとしてよい。これに加えて、空の遮蔽構造はガントリー7
06上に必要ではないとしてよい。これに代えて、ガントリー706は単に、光子線治療
システム設備が提供する粒子治療ビームとの干渉が確実に最小限になる位置まで回転させ
るとしてもよい。
【0081】
本開示の一部の実施例において、特定の粒子治療提供システムの構成要素は、光子線治
療提供システムから離れた位置に設けるのが有益であるとしてよい。一例を挙げると、粒
子治療システムの偏向/屈曲磁石は、光子線治療システムから離れた位置に設けられてい
るとしてよく、患者の治療室の外部であってもよい。このような構成要素720を光子線
治療提供システム702から分離するためにフリンジシールドを利用するとしてよい。フ
リンジシールドは、例えば、RFシールド722および/または磁界シールド724を含
むとしてよい。このようなフリンジシールドはまた、複合型光子/粒子治療システムと共
に利用される磁気共鳴撮像システムからこのような構成要素720を分離するために用い
るとしてもよい。
【0082】
本開示の複合型光子および粒子治療システムは、粒子治療に関して上述したように、磁
気共鳴撮像システムと共に利用するとしてよい。例えば、図4で図示している磁気共鳴撮
像システム402を、図7で一例を図示している複合型粒子/光子システムと組み合わせ
て利用するとしてよい。このような例では、光子線治療システム702およびそのガント
リー706は、図4の磁気共鳴撮像システム402のギャップ419内に配設されている
としてよい。
【0083】
粒子治療に関して上述したように、磁気共鳴撮像を複合型粒子/光子線治療システムと
組み合わせても同様に多くの利点が得られる。本開示では、上述した利点のうち複合型粒
子/光子システムで実現する適用可能な利点のそれぞれを考える。そのような利点には、
これらに限定されないが、治療中に患者の磁気共鳴撮像(MRI)データを受け取り、こ
のようなデータを利用して、粒子線および光子線の線量付与の位置をリアルタイムで算出
する当該システムの機能が含まれる。これに加えて、当該システムのコントローラは、線
量付与の位置のリアルタイム算出結果が、線量付与が標的を外れている旨を示す場合、粒
子線および/または光子線を中断するよう構成され得る。また、当該システムは、放射線
治療中に患者へ付与する線量の累積量を算出して、線量付与の算出結果に基づいて治療を
再度最適化するよう構成されているとしてよい。
【0084】
本開示は、本明細書の実施形態で開示する算出処理は、本明細書で教示する概念と同じ
概念を適用しつつ、多くの方法で実行され得ると共に、このような算出処理は開示した実
施形態の均等物であると考えている。
【0085】
本明細書で説明した主題の1または複数の態様または特徴は、デジタル電子回路、集積
回路、特別に設計された特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブル
ゲートアレイ(FPGA)コンピュータハードウェア、ファームウェア、ソフトウェアお
よび/またはこれらの組み合わせで実現するとしてよい。これらのさまざまな態様または
特徴は、特定用途型または汎用型にかかわらず少なくとも1つのプログラマブルプロセッ
サ、少なくとも1つの入力デバイスおよび少なくとも1つの出力デバイスを含むプログラ
マブルシステムで実行可能および/または解釈可能な1または複数のコンピュータプログ
ラムにおける実装を含むとしてよい。当該プログラマブルプロセッサは、ストレージシス
テムからデータおよび命令を受け取り、当該ストレージシステムへデータおよび命令を送
信するよう、結合されている。プログラマブルシステムまたはコンピューティングシステ
ムは、クライアント側およびサーバ側を含むとしてよい。クライアントおよびサーバは通
常、互いに離れた位置にあり、通信ネットワークを介してやり取りするのが普通である。
クライアントとサーバの関係は、それぞれのコンピュータで実行されていると共に互いに
クライアント-サーバ関係にあるコンピュータプログラムによって生じる。
【0086】
これらのコンピュータプログラムは、プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリ
ケーション、アプリケーション、コンポーネントまたはコードとも呼ばれるが、プログラ
マブルプロセッサ用の機械命令を含み、高級プロシージャ言語、オブジェクト指向型プロ
グラミング言語、機能プログラミング言語、論理プログラミング言語および/またはアセ
ンブリ言語/機械語で実装され得る。本明細書で用いる場合、「機械可読媒体」(または
「コンピュータ可読媒体」)という用語は、任意のコンピュータプログラム製品、装置お
よび/またはデバイス、例えば、磁気ディスク、光ディスク、メモリおよびプログラマブ
ルロジックデバイス(PLD)等を意味する。これらは、機械命令および/またはデータ
をプログラマブルプロセッサに提供するために用いられ、機械可読信号として機械命令を
受信する機械可読媒体を含む。「機械可読信号」(または「コンピュータ可読信号」)と
いう用語は、機械命令および/またはデータをプログラマブルプロセッサに提供するため
に用いられる任意の信号を意味する。機械可読媒体は、このような機械命令を非一時的に
、例えば、非一時的ソリッドステートメモリまたは磁気ハードドライブまたは任意の均等
物となる記憶媒体等がするように、格納することができる。機械可読媒体は、これに代え
てまたはこれに加えて、このような機械命令を一時的に、例えば、プロセッサキャッシュ
、または、1または複数の物理プロセッサコアに対応付けられているその他のランダムア
クセスメモリ等がするように、格納するとしてよい。
【0087】
ユーザとのやり取りを実現するべく、本明細書で説明する主題の1または複数の態様ま
たは特徴は、ディスプレイデバイス、例えば、ユーザに情報を表示する陰極線管(CRT
)または液晶ディスプレイ(LCD)または発光ダイオード(LED)モニタと、ユーザ
がコンピュータに入力を行うためのキーボードおよびポインティングデバイス、例えば、
マウスまたはトラックボール等とを含むコンピュータで実装され得る。他の種類のデバイ
スを利用してユーザとのやり取りを実現するとしてもよい。例えば、ユーザに与えられる
フィードバックは、任意の形式のセンサフィードバックであってよく、例えば、視覚フィ
ードバック、聴覚フィードバック、または、触覚フィードバック等である。ユーザからの
入力は、これらに限定されないが、音響入力、音声入力または触覚入力等の任意の形式で
受信するとしてよい。他の可能な入力デバイスとしては、これらに限定されないが、タッ
チスクリーンまたはその他のタッチセンサ式デバイス、例えば、シングルポイント型また
はマルチポイント型の抵抗膜方式トラックパッドまたは静電容量方式トラックパッド、音
声認識ハードウェアおよびソフトウェア、光スキャナ、光ポインタ、デジタルイメージキ
ャプチャデバイスおよび対応する解釈ソフトウェア等が含まれる。
【0088】
上記の記載および特許請求の範囲において、「~のうち少なくとも1つ」または「~の
うち1または複数」等の表現の後に、複数の要素または特徴が接続詞と共に並べられるこ
とがある。「および/または」という用語も、2つ以上の要素または特徴が列挙される際
に記載される場合がある。これらの表現は、使用されている文脈において暗示的または明
示的に相反する記載がない限り、列挙した要素または特徴のうちいずれかを個別に、また
は、記載した要素または特徴のうちいずれかと残りの要素または特徴の何れかとを組み合
わせたものを意味することを意図しているものである。例えば、「AおよびBのうち少な
くとも1つ」、「AおよびBのうち1または複数」および「Aおよび/またはB」という
表現はそれぞれ、「Aのみ」、「Bのみ」または「AおよびB」を意味することを意図し
ている。3つ以上が列挙されている場合も同様の解釈をするものとする。例えば、「A、
BおよびCのうち少なくとも1つ」、「A、BおよびCのうち1または複数」および「A
、Bおよび/またはC」という表現はそれぞれ、「Aのみ」、「Bのみ」、「Cのみ」、
「AおよびB」、「AおよびC」、「BおよびC」または「AおよびBおよびC」を意味
することを意図している。「~に基づき」という用語を上記および特許請求の範囲で用い
る場合、記載していない特徴または要素も考慮され得るように、「~に少なくとも部分的
に基づいて」を意味することを意図する。
【0089】
本明細書で説明する主題は、所望の構成に応じて、システム、装置、方法、コンピュー
タプログラムおよび/または物品で具現化され得る。添付図面で図示する、および/また
は、本明細書で説明する任意の方法またはロジックフローは、所望の結果を実現するため
に必ずしも図示している特定の順序または逐次順序が必要なわけではない。上記の説明に
記載した実施例は、本明細書で説明する主題に一致した全ての実施例を代表するものでは
ない。そうではなく、説明している主題に関するさまざまな態様に一致している一部の例
に過ぎない。上記でいくつか変形例を詳細に説明したが、他の点で変形または追加をする
ことも可能である。具体的には、本明細書で記載した内容に加えてさらなる特徴および/
または変形を行うこともできる。上述した実施例は、開示した特徴のさまざまなコンビネ
ーションおよびサブコンビネーション、および/または、上述したさらなる特徴のコンビ
ネーションおよびサブコンビネーションに関するとしてよい。さらに、上述した利点は、
請求項の適用を、これらの利点のうちいずれかまたはすべてを実現するプロセスおよび構
造に限定することを意図したものではない。
【0090】
これに加えて、各セクションのタイトルは、本開示に基づく請求項に記載されている発
明を限定または特徴付けるものではない。さらに、「背景技術」に記載した技術の説明は
、当該技術が本開示の発明に対する先行技術と認めたものと解釈されるべきではない。「
発明の概要」の記載もまた、請求項に記載されている本発明を特徴付けるものと解釈され
るべきではない。さらに、本開示に全体的に言及する場合、または、「発明」という用語
を単数形で使用する場合、以下に記載する請求項の範囲に対する限定を暗示していること
を意図するものではない。本開示にも基づく複数の請求項の限定事項にしたがって複数の
発明を記載するとしてよい。したがってこれらの請求項は、保護すべき発明およびその均
等物を定義する。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9