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特許7408773循環補助ポンプの固定及びセンタリング装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-22
(45)【発行日】2024-01-05
(54)【発明の名称】循環補助ポンプの固定及びセンタリング装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 60/178 20210101AFI20231225BHJP
   A61M 60/237 20210101ALI20231225BHJP
   A61M 60/857 20210101ALI20231225BHJP
   A61M 60/861 20210101ALI20231225BHJP
   A61M 60/865 20210101ALI20231225BHJP
【FI】
A61M60/178
A61M60/237
A61M60/857
A61M60/861
A61M60/865
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022508865
(86)(22)【出願日】2020-08-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-15
(86)【国際出願番号】 US2020046989
(87)【国際公開番号】W WO2021034929
(87)【国際公開日】2021-02-25
【審査請求日】2022-02-15
(31)【優先権主張番号】62/889,674
(32)【優先日】2019-08-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ストラザーズ、ブレット シー.
(72)【発明者】
【氏名】ジャンカリック、トーマス ピー.
(72)【発明者】
【氏名】シュイナード、ポール エフ.
(72)【発明者】
【氏名】アナンド、ウマン
【審査官】杉▲崎▼ 覚
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0339092(US,A1)
【文献】特表2013-540495(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0230915(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0249489(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 60/178
A61M 60/237
A61M 60/857
A61M 60/861
A61M 60/865
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象の心臓の左心室から血液をくみ出すように構成されたカニューレを含む心臓ポンプであって、前記対象の大動脈の中に血液を解放するように構成された、前記心臓ポンプと、
長手軸線に沿って延びる拡張可能な固定装置であって、前記拡張可能な固定装置は中心軸線の周りに配置され、前記拡張可能な固定装置の遠位部分は前記心臓ポンプが配置され、かつ、前記心臓ポンプの近位部分が解放可能に連結される環を規定し、前記拡張可能な固定装置の近位部分は前記環の直径よりも大きい断面直径を有する拘束されない形態まで周方向に拡張することで大動脈の内周に係合するように構成された、前記拡張可能な固定装置と、
前記拡張可能な固定装置の送達のための拘束された形態に前記拡張可能な固定装置を拘束するために、前記拡張可能な固定装置上に配置された拘束部材とを備える、器具。
【請求項2】
前記拡張可能な固定装置の近位部分は拘束されない形態であって大動脈壁に係合した時に中心軸線から等距離に拡張するように構成された複数の近位部分を備える、請求項1に記載の器具。
【請求項3】
前記複数の近位部分は大動脈壁に係合するように構成された複数の個別の部材を備える、請求項に記載の器具。
【請求項4】
前記複数の個別の部材は、大動脈壁に係合するように構成された返しである、請求項に記載の器具。
【請求項5】
前記複数の近位部分は複数のループ要素を備える、請求項から請求項4のいずれか一項に記載の器具。
【請求項6】
前記拡張可能な固定装置の前記遠位部分は締まりばめによって前記心臓ポンプの結合ループに固定された部材を含む、請求項1から請求項のいずれか一項に記載の器具。
【請求項7】
前記拡張可能な固定装置の前記近位部分は膜を含み、前記膜は拘束された形態の時には重なり合い、かつ、拘束されない形態の時には重なり合わない部分を備える、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の器具。
【請求項8】
尖の断面形状を有する送達カテーテルをさらに含み前記拡張可能な固定装置前記拡張可能な固定装置の送達中、前記送達カテーテル上に配置される、請求項1から請求項のいずれか一項に記載の器具。
【請求項9】
記拡張可能な固定装置はニチノールから形成された、請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は参照のためその全体をここに包含される、2019年8月21日に提出された仮出願第62/889,674号の優先権を主張する。
本開示は経皮的な循環補助装置に関する。さらに具体的には、本開示は循環補助ポンプのための固定及びセンタリング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
循環補助装置は心臓のポンピング動作を補助する装置である。これらの装置は例えば大動脈弁のような弁の開口を通して配置され得る。一般的な循環補助装置は移動する傾向があるため、治療を継続する前に再配置する必要がある。
【発明の概要】
【0003】
ここで開示された実施形態は循環補助ポンプのための固定及びセンタリング装置に関する。典型的な実施形態は、限定されないが、以下の例を含む。
例1では、心臓ポンプをセンタリングするための固定器具は、長手軸線に沿って延びる拡張可能な固定装置と、固定器具の送達のための拘束された形態に拡張可能な固定装置を拘束するために、拡張可能な固定装置上に配置された拘束部材とを備える。前記拡張可能な固定装置は中心軸線の周りに配置される。前記拡張可能な固定装置の遠位部分は心臓ポンプが配置及び心臓ポンプが解放可能に連結される環を規定する。前記拡張可能な固定装置の近位部分は前記環の直径よりも大きい断面直径を有する、拘束されない形態まで周方向に拡張するように構成される。
【0004】
例2では、例1の器具において、前記近位部分は円錐形を有する。
例3では、例1又は例2のうちいずれか一つの器具において、前記近位部分は拘束されない形態にある時、中心軸線から等距離に拡張するように構成された複数の近位部分を備える。
【0005】
例4では、例3の器具において、前記複数の近位部分は複数の個別の長尺状部材を備える。
例5では、例4の器具であって、前記複数の個別の長尺状部材は返しである。
【0006】
例6では、例3から例5のうちいずれか一つの器具において、前記複数の近位部分は複数のループ要素を備える。
例7では、例1から例6のうちいずれか一つの器具において、前記遠位部分は締まりばめによって心臓ポンプの結合ループに固定された長尺状部材を含む。
【0007】
例8では、例1から例7のうちいずれか一つの器具において、前記遠位部分は拘束された形態の時は重なり合い、かつ、拘束されない形態の時は重なり合わない部分を備える。
例9では、例1から例8のいずれか一つの器具は、さらに、送達カテーテルを備える。前記送達カテーテルは三尖の断面形状を有し、かつ、前記固定器具は、固定器具の送達中、送達カテーテル上に配置される。
【0008】
例10では、例1から例9のうちいずれか一つの器具において、前記複数の拡張可能な固定装置はニチノールから形成される。
例11では、心臓ポンプをセンタリングするための固定器具を送達するための方法において、前記固定器具は、長手軸線に沿って延びる拡張可能な固定装置と、固定器具の送達のための拘束された形態に拡張可能な固定装置を拘束するために拡張可能な固定装置上に配置された、拘束部材とを備える。前記拡張可能な固定装置は中心軸線の周りに配置される。前記拡張可能な固定装置の遠位部分は心臓ポンプが配置及び心臓ポンプが解放可能に連結される環を規定する。前記拡張可能な固定装置の近位部分は前記環の直径よりも大きい断面直径を有する、拘束されない形態まで周方向に拡張するように構成される。前記方法は、固定器具を送達カテーテル上又は送達カテーテル内に配置することと、対象者の心臓内に配置された心臓ポンプ上に前記器具を前進させることと、心臓ポンプに固定器具を解放可能に連結することと、拘束された形態から固定器具を作動することとからなる。
【0009】
例12では、例11の方法において、前記固定器具はさらに作動部材を備え、前記拘束部材は少なくとも一つの開口を有する近位部分の周辺に配置されたシースであり、かつ、固定器具の作動は、固定器具がシースの少なくとも一つの開口から突出するように作動部材を作動することを含む。
【0010】
例13では、例11の方法において、前記拘束部材は近位部分の周辺に配置されたシースであり、かつ、固定器具の作動は、シースが近位部分の周囲に配置されないようにシースを移動することを含む。
【0011】
例14では、例11から例13のうちいずれの一つの方法において、前記遠位部分は締まりばめによって心臓ポンプの結合ループに固定された長尺状部材を含み、かつ、固定器具を心臓ポンプに解放可能に連結することは、結合ループを通して長尺状部材を挿入することを含む。
【0012】
例15では、例11から例14のうち一つの方法において、さらに、拡張可能な固定装置上に拘束部材を配置し、かつ、固定器具を引き抜くことによって固定器具を取り外すことを含む。
【0013】
例16では、心臓ポンプをセンタリングするための固定器具は、長手軸線に沿って延びる拡張可能な固定装置と、固定器具の送達のための拘束された形態に、前記拡張可能な固定装置を拘束するために拡張可能な固定装置上に配置された拘束部材とからなる。前記拡張可能な固定装置は中心軸線の周りに配置される。前記拡張可能な固定装置の遠位部分は、心臓ポンプが配置及び心臓ポンプが解放可能に連結される環を規定する。前記拡張可能な固定装置の近位部分は前記環の直径よりも大きい断面半径を有する、拘束されない形態まで周方向に拡張するように構成される。
【0014】
例17では、例16の器具において、前記近位部分は円錐形を有する。
例18では、例16の器具において、前記近位部分の断面の形状は円盤状である。
例19では、例16の器具において、前記近位部分は拘束されない形態の時、中心軸線から等距離に拡張するように構成された複数の近位部分を備える。
【0015】
例20では、例19の器具において、前記複数の近位部分は複数の個別の長尺状部材を備える。
例21では、例20の器具において、前記複数の個別の長尺状部材は返しである。
【0016】
例22では、例19の器具において、前記複数の近位部分は複数のループ要素を備える。
例23では、例16の器具において、前記遠位部分は、締まりばめによって心臓ポンプの結合ループに固定された長尺状部材を備える。
【0017】
例24では、例16の器具において、前記遠位部分は拘束された形態の時は重なり合う部分を備え、かつ、拘束されない形態の時は重なり合わない。
例25では、例16の器具は、さらに送達カテーテルを備える。前記送達カテーテルは三尖の断面形状を有し、かつ、前記固定器具は固定器具の送達中、送達カテーテル上に配置される。
【0018】
例26では、例16の器具において、前記複数の拡張可能な固定装置はニチノールから形成される。
例27では、心臓ポンプをセンタリングするための固定器具を送達するための方法において、前記固定器具は長手軸線に沿って延びる拡張可能な固定装置、及び固定器具の送達のための拘束された形態に拡張可能な固定装置を拘束するために前記拡張可能な固定装置上に配置された、拘束部材を備える。前記拡張可能な固定装置は中心軸線の周りに配置される。前記拡張可能な固定装置の遠位部分は、心臓ポンプが配置及び心臓ポンプが解放可能に連結される環を規定する。前記拡張可能な固定装置の近位部分は前記環の直径よりも大きい断面直径を有する、拘束されない形態まで周方向に拡張するように構成される。前記方法は、固定器具を送達カテーテル上又は送達カテーテル内に配置することと、対象者の心臓内に配置された心臓ポンプ上に器具を前進させることと、心臓ポンプに固定器具を解放可能に連結することと、拘束された形態から固定器具を作動させることとからなる。
【0019】
例28では、例27の方法において、前記固定器具はさらに作動部材を備え、かつ、前記拘束部材は少なくとも一つの開口を備える近位部分の周辺に配置されたシースである。固定器具を作動することは、固定器具がシースの少なくとも一つの開口部から突出するように作動部材を作動することを含む。
【0020】
例29では、例27の方法において、前記拘束部材は、近位部分の周りに配置されたシースであり、かつ、前記固定器具を作動することは、シースが近位部分の周りに配置されないようにシースを移動することを含む。
【0021】
例30において、例27の方法において、前記遠位部分は締まりばめによって心臓ポンプの結合ループに固定された長尺状部材を含む。固定器具を心臓ポンプに解放可能に連結することは、結合ループを通して長尺状部材を挿入することを含む。
【0022】
例31では、例27の方法は、さらに、前記拡張可能な固定装置上に拘束部材を配置し、かつ、固定器具を引き抜くことによって固定器具を取り外すことを含む。
例32では、例27の方法において、前記近位部分は円錐形を有する。
【0023】
例33では、例27の方法において、前記遠位部分は拘束された形態の時は重なり合い、かつ、拘束されない形態の時は重なり合わない部分を備える。
例34では、例27の方法において、前記近位部分は拘束されない形態の時に中心軸線から等距離に拡張するように構成された複数の近位部分を備える。
【0024】
例35では、例33の方法において、前記複数の近位部分は複数の個別の長尺状部材を備える。
多数の実施形態が開示されたが、本開示の主題について例示の実施形態を示し、かつ説明する下記の詳細な説明から、本開示の主題のさらに他の実施形態は当業者にとって明らかとなるであろう。故に、図面及び詳細な説明は限定するものでなく実際の例としてみなされるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】ここで開示された主題の実施形態に従う、心臓内に固定された典型的な固定装置を有する循環補助装置の概念的な図を示す。
図2】ここで開示された主題の実施形態に従う、典型的な固定装置を有する循環補助装置の典型的な移植位置の概念的な図を示す。
図3】ここで開示された主題の実施形態に従う、典型的な固定装置を有する循環補助装置の側面図を示す。
図4A】ここで開示された主題の実施形態に従う、別の典型的な固定装置を有する循環補助装置の一部の側面図を示す。
図4B】ここで開示された主題の実施形態に従う、図4Aの循環補助装置の端面図を示す。
図5A】ここで開示された主題の実施形態に従う、別の典型的な固定装置の概念的な端面図を示す。
図5B】ここで開示された主題の実施形態に従う、別の典型的な固定装置の概念的な端面図を示す。
図6】ここで開示された主題の実施形態に従う、送達カテーテルの概念的な断面図を示す。
図7A】ここで開示された主題の実施形態に従う、典型的な固定配置機構の操作を示す概略図である。
図7B】ここで開示された主題の実施形態に従う、典型的な固定配置機構の操作を示す概略図である。
図8A】ここで開示された主題の実施形態に従う、別の典型的な固定配置機構の操作を示す概略図である。
図8B】ここで開示された主題の実施形態に従う、別の典型的な固定配置機構の操作を示す概略図である。
図9A】ここで開示された主題の実施形態に従う、別の典型的な固定配置機構の操作を示す概略図である。
図9B】ここで開示された主題の実施形態に従う、別の典型的な固定配置機構の操作を示す概略図である。
図10A】ここで開示された主題の実施形態に従う、別の典型的な固定配置機構の操作を示す概略図である。
図10B】ここで開示された主題の実施形態に従う、別の典型的な固定配置機構の操作を示す概略図である。
図11A】ここで開示された主題の実施形態に従う、別の典型的な固定配置機構の操作を示す概略図である。
図11B】ここで開示された主題の実施形態に従う、別の典型的な固定配置機構の操作を示す概略図である。
図12A】ここで開示された主題の実施形態に従う、別の典型的な固定配置機構の操作を示す概略図である。
図12B】ここで開示された主題の実施形態に従う、別の典型的な固定配置機構の操作を示す概略図である。
図12C】ここで開示された主題の実施形態に従う、別の典型的な固定配置機構の操作を示す概略図である。
図13A】ここで開示された主題の実施形態に従う、別の典型的な固定配置機構の操作を示す概略図である。
図13B】ここで開示された主題の実施形態に従う、別の典型的な固定配置機構の操作を示す概略図である。
【0026】
開示された主題は様々な別例及び代替の形態に適しているが、具体的な実施形態は図面に例として示され、かつ、以下に詳細に説明される。しかしながら、その意図はここで開示された主題を述べられた特定の実施形態に限定することではない。逆に、本開示はここで開示された主題及び添付の特許請求の範囲によって規定された範囲内に収まる全ての別例、同等品及び代替品を対象にすることを意図している。
【発明を実施するための形態】
【0027】
ここで開示される実施形態は心臓で使用するように構成された固定装置を有する循環補助装置を含む。固定装置は循環補助装置の動作中に典型的な位置から循環補助装置が不用意に移動することを防止するように構成され得る。例えば、固定装置は循環補助装置が大動脈の中又は外へ移動する可能性を低減するように構成され得る。別の例として、循環補助装置が大動脈弁の周囲に向かって付勢されることにより大動脈逆流を引き起こすことを防止するために、固定装置は大動脈弁内の循環補助装置をセンタリングするように構成され得る。循環補助装置をセンタリングすることはまた、循環補助装置による大動脈弁の弁尖への摩耗を軽減する点で利点を追加し得る。さらに、装置が大動脈弁の環と接触する可能性を低減することにより、大動脈弁の石灰化を妨害して塞栓を引き起こす確率が低減される。これにより、脳卒中又はその他の器官の損傷のリスクが低減する。センタリングされた装置はまた、乳頭又は腱索のような僧帽弁の要素に係合する可能性が低い。センタリングされた装置の別の利点は左心室壁、特に異所性拍動を起こし得る中隔壁との接触の可能性が低減されることである。
【0028】
図1はここで開示された主題の実施形態に従い、心臓106内に固定された典型的な固定装置104を有する循環補助装置102の概念図である。実施形態によると、循環補助装置102は対象者の左心室108から対象者の大動脈110へ血液を供給するように構成されたポンプのような心室アシスト装置であり得る。さらに具体的には、循環補助装置102の遠位部分112は左心室108に配置される。近位部分116が大動脈110内へと延びるように、循環補助装置102は大動脈弁114を通って延びる。動作中、循環補助装置102は左心室108から循環補助装置102のカニューレ118を介して血液をくみ出し、大動脈110に解放される。加えて、又はあるいは、循環補助装置102は対象者の心臓及び/又は血管系のいくつかの他の態様から心臓及び/又は血管系の隣接部分への血液のポンピングを促進するために使用され得る。
【0029】
長手方向の中心軸線120は大動脈弁114と交差する。典型的な実施形態において、循環補助装置102のカニューレ118がセンタリングされて、長手方向の中心軸線120に沿って延びることにより、循環補助装置102が大動脈弁114にてセンタリングされる。循環補助装置102が大動脈弁114内でセンタリングされない場合、循環補助装置102は大動脈弁114が閉鎖することを妨げ、大動脈逆流(例えば、血液が大動脈110から左心室108へ逆に流れる)を引き起こし得る。このような位置決めはまた大動脈弁114の弁尖を損傷し得る。さらに、典型的な実施形態において、循環補助装置102は遠位方向122又は近位方向124へ移動すべきでない。そうでなければ、循環補助装置102は意図されたよりもさらに左心室108又は大動脈110の中へ突出し、循環補助装置102の有用性を低減及び/又は排除し得る。従来の実施形態はこれらの問題に適切に対処していない。しかしながら、ここで開示される実施形態は、以下でさらに詳細に説明するが、固定装置104が心臓102に固定されて、循環補助装置102の並進運動及び/又は循環補助装置102の放射方向の運動を防止するように、循環補助装置102に解放可能に連結された固定装置104を含むことによって、これらの問題に解決策を提供する。
【0030】
図1に示される実例のシステムは本開示の実施形態の使用法又は機能性の範囲に関して、いかなる制限も示唆する意図はない。システムはまた、ここで示されたいくつかの単一の構成要素又は構成要素の組み合わせに関していかなる依存性又は必要条件も有すると理解されるべきでない。加えて、図1に示された様々な構成要素は、実施形態において、ここで示された他の構成要素(及び/又は示されていない構成要素)の様々なものと一体化され得、それら全ては本開示の範囲内であるとみなされる。
【0031】
図2はここで開示された主題の実施形態に従う典型的な固定装置104を有する循環補助装置102の典型的な移植位置の概念図である。典型的な実施形態において、循環補助装置102から出て大動脈110内へ向かう血液の効率的な流れを促進するため、循環補助装置102の流出窓126が右冠動脈(RCA)128及び左主幹動脈(LMA)130の約10mm近位にあるように、循環補助装置102は位置決めされるべきである。典型的な実施形態において、循環補助装置102の流出窓126はまた、腕頭動脈132に渡って位置決めされるべきでない。むしろ、流出窓126は腕頭動脈132から10mm遠位に位置決めされるべきである。
【0032】
実施形態において、固定装置104は循環補助装置102を上述した典型的な位置に保持することを促進する。例えば、循環補助装置102は上述した典型的な位置に位置決めされる。循環補助装置102の位置決め後又は位置決め中、固定装置104は拘束された位置に、送達カテーテルを覆って又は送達カテーテルの中で(示されていない)送達され得る。したがって、遠位部分104Aは循環補助装置102の近位部分102Aの上に配置される。実施形態において、遠位部分104Aの要素は循環補助装置102を受け入れられ得る環(例えば、図4B参照)を規定する。固定装置104を拘束された状態に維持するために、拘束部材(示されていない)は固定装置104の周囲に配置され得る。拘束部材はスリーブ、シース、カテーテル及び/又はそれらと同様のものでもよい。例示の拘束部材は図7Aから図13Bに関連して以下でさらに詳細に説明される。
【0033】
実施形態において、固定装置104の遠位部分104Aは循環補助装置102の近位部分102Aに解放可能に連結され得る。そのようにするために、近位部分102Aは固定装置104の長尺状部材136が挿入されるループ要素134を含み得る。上記において、長尺状部材136は固定装置104が配置できる環(例えば、図4B参照)を規定し得る。実施形態において、ループ要素134及び長尺状部材136は、ループ要素134による長尺状部材136の不用意な分離を防止するため、しまりばめを形成し得る。
【0034】
遠位部分104Aを近位部分102Aに連結する前又は後のいずれかにおいて、拘束部材は固定装置104から取り外され得る。したがって、固定装置104は拘束されない状態(示したように)まで周方向に拡張できる。拘束されない状態において、固定装置104は遠位部分104Aの環によって規定される直径よりも大きい断面直径を有するように拡張する近位部分104Bを含み得る。このように、近位部分104Bのエッジ104Cは拡張するため、エッジ104Cは大動脈114の壁に接触又は隣接する。固定装置104と大動脈114との間の接触により、固定装置104は循環補助装置102を心臓106に固定する。実施形態において、固定装置104は血液が自由に循環補助装置102の外側に沿って通過することを許容し得る。実施形態において、固定装置104は示したように円錐形を有するように拡張し得る。実施形態において、固定装置104はニチノールから形成され得る。さらなる固定装置の典型的な実施形態は図3から図5Bに関連して以下に説明される。
【0035】
図2に示される図解は本開示の実施形態における使用法又は機能性の範囲に関して、いかなる制限も示唆する意図はない。図解はまた、ここで示されたいくつかの単一の構成要素又は構成要素の組み合わせに関していかなる依存性又は必要条件も有すると理解されるべきでない。加えて、図2に示された様々な構成要素は、実施形態において、ここで示された他の構成要素(及び/又は示されていない構成要素)の様々なものと一体化され得、それら全ては本開示の範囲内であるとみなされる。
【0036】
図3はここで開示された主題の実施形態に従って、固定装置204を有する実例の循環補助装置202の側面図を示す。実施形態によると、循環補助装置202は図1に示した循環補助装置102であってもよく、又は類似していてもよい。加えて、又はあるいは、固定装置204は図1に示された固定装置104であってよく、又は類似していてもよい。
【0037】
実施形態によると、循環補助装置202は対象者の左心室(例えば左心室108)から対象者の大動脈(例えば大動脈106)へ血液を供給するように構成された心室アシスト装置であり得る。実施形態において、循環補助装置202は対象者の心臓及び/又は血管系のいくつかの他の態様から心臓及び/又は血管系の隣接部分へ血液を供給することを促進するために使用され得る。図3に示すように、循環補助装置202は少なくとも部分的に可撓性入口チューブ210で包まれた遠位端208を有する血液ポンプアセンブリ206を含む。いくつかの血流出口開口212が可撓性入口チューブ208の近位においてポンプアセンブリ206に配置される。図2に示された実施形態と類似して、固定装置204の遠位部分204Aは循環補助装置202の移植の前、途中又は後のいずれかでポンプアセンブリ206に連結され得る。
【0038】
実施形態において、固定装置204はまた、長手方向の中心軸線214から近位方向及び放射方向外側に延びる近位部分204Bを含む。示された実施形態において、近位部分204Bは複数の近位部分216A、216B、216Cを含む。各近位部分216A~216Cはループを形成している。各近位部分216A~216Cはポンプアセンブリ206にそれぞれ連結された第一端218及び第二端220を含み得る。実施形態において、第一及び第二端218、220はポンプアセンブリ306が挿入される環を形成し得る。第一及び第二端218、220の間で、近位部分216A~216Cは近位方向222に延びる。近位方向222へ一定距離延びた後、各近位部分216A~216Cは遠位端224に到達し、そして折り返して遠位方向226へ延び、第一及び第二端220、222に戻る。実施形態において、遠位端224は固定装置204を大動脈に固定するための返しを含み得る。実施形態において、近位部分216Aから216Cは籠状構造を形成し得る。実施形態において、近位部分216Aから216Cは重なり合ってもよく、又はそれらは重なり合わなくてもよい。
【0039】
実施形態において、近位部分216Aから216Cは、例えば拘束部材(示されていない)によって拘束された状態で送達され得る。拘束部材はスリーブ、シース、カテーテル及び/又はそれらと同様のものであり得る。典型的な拘束部材は図7Aから図13Bに関して以下に詳細に説明される。拘束部材は固定装置204から取り外され得るため、上述したように循環補助装置202を典型的な位置に固定するために、固定装置204が拘束されない状態(示されるように)まで周方向に拡張され得る。実施形態において、近位部分216Aから216Cは中心軸線214から等距離であり得る。
【0040】
図3に示される実例は本開示の実施形態の使用法又は機能性の範囲に関して、いかなる制限も示唆する意図はない。図解はまた、ここで示されたいくつかの単一の構成要素又は構成要素の組み合わせに関していかなる依存性又は必要条件も有すると理解されるべきでない。加えて、図3に示された様々な構成要素は、実施形態において、ここで示された他の構成要素(及び/又は示されていない構成要素)の様々なものと一体化され得、それら全ては本開示の範囲内であるとみなされる。
【0041】
図4Aはここで開示された主題の実施形態に従った、別の典型的な固定装置304を有する循環補助装置302の一部の側面図である。図4Bはここで開示された主題の実施形態に従った、図4Aの循環補助装置の端面図である。実施形態によると、循環補助装置302は図1に示された循環補助装置102及び/又は図3に示された循環補助装置202であってもよく、又は類似していてもよい。加えて、又はあるいは、固定装置304は図1に示された固定装置104及び/又は図3に示された固定装置204であってもよく、又は類似していてもよい。
【0042】
実施形態によると、循環補助装置302は対象者の左心室(例えば左心室108)から対象者の大動脈(例えば大動脈106)へ血液を供給するように構成された心室アシスト装置であり得る。実施形態において、循環補助装置302は対象者の心臓及び/又は血管系のいくつかの他の態様から心臓及び/又は血管系の隣接部分に血液を供給することを促進するために使用され得る。図4Aに示すように、循環補助装置302は少なくとも部分的に可撓性インレットチューブ310で包まれた遠位端308を有する血液ポンプアセンブリ306を含む。図3に示した実施形態と類似して、固定装置304の遠位部分304Aは循環補助装置302の移植の前、途中又は後のいずれかでポンプアセンブリ306に連結され得る。実施形態において、固定装置304はまた、長手方向の中心軸線314から近位方向及び放射方向外側に延びる近位部分304Bを含む。示された実施形態において、近位部分304Bは複数の近位部分316A、316B、316Cを含む。各近位部分316Aから316Cはループを形成する。例えば、各近位部分316Aから316Cは第一端318及び第二端320を含み、それらの各々はポンプアセンブリ306に連結される。実施形態において、第一及び第二端318、320はポンプアセンブリ306が挿入される環を形成し得る。第一及び第二端318、320の間で、近位部分316Aから316Cは近位方向322に延びる。第一距離分、近位方向322へ延びた後、各近位部分316Aから316Cは第一の中間点324に到達し、そして、第一距離より短い第二距離分、遠位方向326へ延びる。第二距離分、近位方向322へ延びた後、各近位部分316Aから316Cは第二の中間点328に到達し、第三距離分、近位方向へ延びる。第三距離は第二距離と概ね等しくてもよい。第三距離分、近位方向322へ延びた後、各近位部分316Aから316Cが遠位端330に到達する。次に、各近位部分316Aから316Cは第三距離分、遠位方向326へ延び、次に、第二距離分、近位方向322へ戻り、次に、第二端322まで第一距離分、遠位方向326へ戻る。実施形態において、遠位端324は大動脈に固定装置304を固定するための返しを含み得る。実施形態において、近位部分316Aから316Cは籠状構造を形成し得る。実施形態において、近位部分316Aから316Cは重なり合ってもよく、又はそれらは重なり合わなくてもよい。
【0043】
実施形態において、近位部分316Aから316Cは、例えば拘束部材(示されていない)によって拘束された状態で送達され得る。拘束部材はスリーブ、シース、カテーテル及び/又はそれらと同様のものであり得る。典型的な拘束部材は図7Aから図13Bに関して以下にさらに詳細に説明される。拘束部材は固定装置304から取り外され得るため、上述したように典型的循環補助装置302を典型的な位置に固定するために、固定装置304が拘束されない状態(示されるように)まで周方向に拡張され得る。実施形態において、近位部分316Aから316Bは中心軸線314から等距離であり得る。
【0044】
図4Aから図4Bに示される図解は本開示の実施形態の利用法又は機能性の範囲に関して何か制限を示唆する意図はない。図解はまた、ここで示されたいくつかの単一の構成要素又は構成要素の組み合わせに関して何か依存性又は必要条件を有すると理解されるべきでない。加えて、図4Aから図4Bに示された様々な構成要素は、実施形態において、ここで示された他の構成要素(及び/又は示されていない構成要素)の様々なものと統合され得、それら全ては本開示の範囲内であるとみなされる。
【0045】
図5A及び図5Bは、ここで開示された主題の実施形態に従う、別の典型的な固定装置400の概念的な端面図を示す。さらに具体的には、図5Aは拘束された形態における別の典型的な固定装置400の概念的な端面図を示し、図5Bは拘束されない形態における図5Aに示される典型的な固定装置400の概念的な端面図を示す。実施形態によると、固定装置400は図1に示した固定装置104、図3に示した固定装置204及び/又は図4に示した固定装置304であってもよく、又は類似し得る。
【0046】
示された実施形態において、固定装置400は膜406で包まれた複数の長尺状部材404を含む近位部分402を有する。実施形態によると、長尺状部材404及び膜406は中心軸線408の周りにセンタリングされる。拘束された形態の場合、近位部分404及び膜406は拘束部材410によって拘束される。実施形態において、拘束部材408はスリーブ、シース、カテーテル及び/又はそれらと同様のものであり得る。実施形態において、膜406は固定装置400が図5Aに示すように拘束された形態にある時、重なり合う重なり合い部分412を含む。しかしながら、拘束部材410が近位部分402から取り外される時、長尺状部材402及び周囲の膜406は図5Bに示すような拘束されない形態まで、中心軸線の周りに周方向に拡張する。実施形態において、膜406の外側のエッジは中心軸線314から等距離であり得る。
【0047】
図5A及び図5Bは、ここで開示された主題の実施形態に従った、別の典型的な固定装置を有する循環補助装置の概念的な断面図を示す。別の実施形態はそれ自体の上に折りたたまれるシースフレームからなる。シースがない場合、それは大動脈壁と対向する。この設計はバルーンカテーテル上で折りたたまれたバルーンのように機能する。これは、使用される導入シースに依存する非選択的に配置可能な装置と同様に、選択的に配置可能な固定装置であってもよい。シースフレームは装置のカニューレ上でそれ自体の上に折りたたまれることを切り抜け、取り外しのために回収される際には容易にカニューレの表面上に折り戻されるのに十分な弾性を必要とし得る。
【0048】
図6はここで開示された主題の実施形態に従った、送達カテーテル500の概念的な断面図である。上記のように、固定装置104、204、304、400は送達カテーテルによって循環補助装置上に配置され得る。実施形態において、送達カテーテル500は図6に示されるように三尖の断面形状を有し得る。実施形態において、三尖の形状は大動脈弁の形状を模倣している(例えば大動脈弁114)。この形状は大動脈弁自体に対する弁尖の接合を改善し得る。加えて、又はもしくは、この形状は大動脈逆流の可能性を低減するために固定装置104、204、304、400のセンタリングを容易にし得る。
【0049】
図7A及び図7Bはここで開示された主題の実施形態に従った、典型的な固定配置機構600の操作を示す概略図である。示された実施形態において、固定装置502はカテーテル504内に配置される。実施形態において、固定装置502は図1に示された固定装置104、図3に示された固定装置204、図4に示された固定装置304、及び/又は図5に示された固定装置400であってもよく、又は類似していてもよい。
【0050】
実施形態において、カテーテル504は固定装置502が突出する開口506を含む。実施形態において、固定装置502の遠位端502Aはカテーテル504の遠位端508に連結される。加えて、又は、代案としては、作動部材510は固定装置502の近位端502Bに取り付けられ得る。示された実施形態において、作動部材510はプッシュプルロッドである。拘束された形態において、作動部材510は図7Bに示されるように、近位位置に沿って配置される。固定装置502を作動するために、図7Aに示されるように、作動部材510は遠位方向にカテーテル504の遠位端508に向かって遠位位置まで付勢される。一旦遠位位置に配置されると、固定装置502が開口506の外へ突出し、図7Aに示されるように、拡張した形態まで周方向に拡張する。
【0051】
図8A及び図8Bはここで開示された主題の実施形態に従った、典型的な固定配置機構700の操作を示す概略図である。示された実施形態において、固定装置602はカテーテル604内に配置される。実施形態において、固定装置602は図1に示された固定装置104、図3に示された固定装置204、図4に示された固定装置304及び/又は図5に示された固定装置400であってもよく、又は類似していてもよい。
【0052】
実施形態においてカテーテル604は固定装置602が突出する開口606を含む。実施形態において、固定装置602の遠位端602Aはカテーテル604の遠位端608に連結される。加えて、又は、代案としては、作動部材610は固定装置602の近位端602Bに取り付けられ得る。示された実施形態において、作動部材610はプッシュプルワイヤ610である。拘束された形態において、作動部材610は図8Bに示されるように近位位置に沿って配置される。固定装置602を作動するために、作動部材610は図8Aに示すように、カテーテル604の遠位端608に向かって遠位位置まで遠位方向に付勢される。一旦遠位位置に配置されると、図8Aに示されるように、固定装置602は開口606の外に突出する。
【0053】
図9A及び図9Bはここで開示された主題の実施形態に従った、別の典型的な固定配置機構800の操作を示す概略図である。示された実施形態において、固定装置702はカテーテル704内に配置される。実施形態において、固定装置702は図1に示された固定装置104、図3に示された固定装置204、図4に示された固定装置304、及び/又は図5に示された固定装置400であってもよく、又は類似していてもよい。
【0054】
実施形態において、カテーテル704は固定装置702が突出する開口706を含む。実施形態において、作動部材708は固定装置702に取り付けられ得る。示された実施形態において、図9Bに示されるように作動部材708はプッシュプルロッドである。固定装置702を作動するために、作動部材708は図9Aに示すように近位方向へ遠位位置まで付勢される。一旦近位位置になると、図9Aに示されるように、固定装置702は開口706の外に突出する。
【0055】
図10A及び図10Bはここで開示された主題の実施形態に従った、別の典型的な固定配置機構900の操作を示した概略図である。示された実施形態において、固定装置802はカテーテル804内に配置される。実施形態において、固定装置802は図1に示された固定装置104、図3に示された固定装置204、図4に示された固定装置304及び/又は図5に示された固定装置400であってもよく、又は類似していてもよい。
【0056】
実施形態において、カテーテル804は固定装置802が突出する開口806を含む。実施形態において、開口806は切り欠きを含み、それによって固定装置802はカテーテル804内に完全に収容される。実施形態において、作動部材808は固定装置802に取り付けられ得る、示された実施形態において、作動部材808はプッシュプルロッドである。拘束された形態において、作動部材808は図10Bに示されるように遠位位置に配置される。固定装置802を作動させるために、作動部材808は図10Aに示されるように遠位位置まで近位方向に付勢されている。一旦近位位置に配置されると、固定装置802は図10Aに示されるように、開口806の外に突出する。
【0057】
図11A及び11Bは、ここで開示された主題の実施形態に従った、別の典型的な固定配置機構1000の操作を示す概略図である。示された実施形態において、固定装置902はカテーテル904の外側に配置される。実施形態において、固定装置902は図1に示された固定装置104、図3に示された固定装置204、図4に示された固定装置304及び/又は図5に示された固定装置400であってもよく、又は類似し得る。
【0058】
実施形態において、カテーテル904はカテーテル904の周辺に配置された拘束部材906を含む。実施形態において、作動部材908は拘束部材906に取り付けられ得る。示された実施形態において、作動部材908はプーリーシステムである。拘束された形態において、拘束部材906は図10Bに示されるように、近位位置に配置される。近位位置において、拘束部材906は固定装置902の周辺に配置され、カテーテル904の外側に対して固定装置902を保持する。固定装置902を作動するために、作動部材908は図11Aに示されるように、拘束部材906を遠位位置まで遠位方向に移動させるために作動される。一旦遠位位置に配置されると、固定装置902はカテーテル904の外側に対して拘束されず、それによって固定装置902はカテーテル904の側面から外部へ突出する。
【0059】
図12Aから図12Cは、ここで開示された主題の実施形態に従った、別の典型的な固定配置機構1100の操作を示す概略図である。実施形態において、固定装置1002は拘束部材1004内に配置される。実施形態において、固定装置1002は図1に示された固定装置104、図3に示された固定装置204、図4に示された固定装置304及び/又は図5に示された固定装置400であってもよく、又は類似し得る。
【0060】
実施形態において、拘束部材1004はカテーテル1006の外に配置され得る。拘束された形態において、拘束部材1004は図12Aに示されるように、遠位位置に配置される。遠位位置において、拘束部材1006は、図12に示されるように、固定装置1002を長手方向に拘束する。固定装置1002を作動するために、拘束部材1004は近位方向に移動する。拘束部材1004が近位方向に移動すると、図12B及び図12Cに示されるように、固定装置1002は拘束されず、拘束部材1004の遠位端1008の外に突出する。拘束部材1004の遠位端1008の外に突出した後、固定装置1002は図12Cに示されるように、カテーテル1006を取り囲むらせん状の事前に規定された形状をとる。
【0061】
図13A及び図13Bは、ここで開示された主題の実施形態に従った、別の典型的な固定配置機構1200の操作を示す概略図である。示された実施形態において、固定装置1102はカテーテル1104の内側に配置される。実施形態において、固定装置1102は図1に示された固定装置104、図3に示された固定装置204、図4に示された固定装置304及び/又は図5に示された固定装置400であってもよく、又は類似し得る。
【0062】
実施形態において、カテーテル1104は近位部分1104A及び遠位部分1104Bを含む。実施形態において、作動部材1106は近位部分1104Aに取り付けられ得る。示された実施形態において、作動部材1106は電気ワイヤである。拘束された形態において、図13Aに示されるように、近位部分1104Aは遠位部分1104Bに隣接する。拘束された形態において、カテーテル1104はカテーテル1104の内側にある固定装置1102を拘束する。固定装置1102を作動するために、作動部材1106は図13Bに示されるように、近位部分1104Aを近位位置まで近位方向に移動させるために作動される。一旦近位部分1104Aが近位位置に配置されると、固定装置1102はカテーテル1104の内側で拘束されず、そのため、固定装置1102は外側に突出する。
【0063】
本開示の範囲から逸脱することなく説明された典型的な実施形態に様々な変更及び追加がされ得る。例えば、上述した実施形態は具体的な特徴に言及しているが、本開示の範囲はまた、説明された特徴をすべて含むわけではない特徴及び実施形態の各種の組む合わせを有する実施形態を含む。したがって、本開示の範囲はこのような特許請求の範囲内にあるような代替例、修正例及び変形例をそれらと同等のものとともに、全て包含することを意図している。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B
図10A
図10B
図11A
図11B
図12A
図12B
図12C
図13A
図13B