(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-22
(45)【発行日】2024-01-05
(54)【発明の名称】多機能デバイス、システム、多機能デバイスを構成する方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 1/00 20060101AFI20231225BHJP
G06F 21/31 20130101ALI20231225BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20231225BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20231225BHJP
【FI】
H04N1/00 127A
G06F21/31
B41J29/38 203
G03G21/00 390
(21)【出願番号】P 2022509195
(86)(22)【出願日】2020-08-14
(86)【国際出願番号】 EP2020072932
(87)【国際公開番号】W WO2021028589
(87)【国際公開日】2021-02-18
【審査請求日】2022-04-14
(32)【優先日】2019-08-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】599041075
【氏名又は名称】キヤノン オイローパ エヌ.ヴェー.
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハスター, カーステン
(72)【発明者】
【氏名】ティックラー, クリス
(72)【発明者】
【氏名】ローズマン, ミカエル
【審査官】橋爪 正樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-239067(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00
B41J 29/38
G03G 21/00
G06F 21/31-21/43
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーバ(111)及びクラウドサービス(121)の両方と通信するよう構成された多機能デバイス(112)であって、
前記多機能デバイス(112)の識別情報を前記クラウドサービス(121)に送信する(S102、S401)ように構成された出力部(407)と、
前記サーバ(111)又は前記クラウドサービス(121)のいずれかを前記多機能デバイス(112)のコントローラとして識別するコントローラ情報を
前記クラウドサービス(121)から受信する(S106、S403)ように構成された入力部(407)と、
認証情報を受信する(S201、S501)ように構成されたログイン部(406)と、を備え、
前記出力部(407)はさらに、前記コントローラ情報によって識別される前記コントローラ(111、121)に前記認証情報を含む認証要求を送信する(S202、S204)ように構成され、
前記入力部(407)はさらに、前記認証情報が受け付けられたか否かを示す認証応答を前記コントローラ(111、121)から受信する(S203、S205)ように構成される、多機能デバイス(112)。
【請求項2】
前記コントローラ情報が前記サーバ(111)を前記多機能デバイス(112)の前記コントローラとして識別するが、前記サーバ(111)が前記認証情報を受信するために利用可能でない場合
であっても、前記認証情報は前記クラウドサービス(121)に送信される(S204)、請求項1に記載の多機能デバイス(112)。
【請求項3】
前記コントローラ情報が前記クラウドサービス(121)を前記多機能デバイス(112)の前記コントローラとして識別するが、前記クラウドサービス(121)が前記認証情報を受信するために利用可能でない場合、前記多機能デバイス(112)は前記認証要求を処理するように構成される、請求項1又は2に記載の多機能デバイス(112)。
【請求項4】
前記入力部(407)はさらに、前記サーバ(111)から第1の情報を、前記クラウドサービス(121)から第2の情報を受信する(S302、S304)ように構成される、請求項1乃至3の何れか一項に記載の多機能デバイス(112)。
【請求項5】
前記サーバ(111)から受信した前記第1の情報と、前記クラウドサービス(121)から受信した前記第2の情報とに基づいてユーザインタフェースを生成するように構成されるユーザインタフェース生成部(401)をさらに備える、請求項4に記載の多機能デバイス(112)。
【請求項6】
前記第1の情報はジョブの第1のリストを含み、
前記第2の情報はジョブの第2のリストを含み、
前記ユーザインタフェース生成部(401)は、前記ジョブの第1のリスト及び前記ジョブの第2のリストに基づいて前記ユーザインタフェースを生成する、請求項5に記載の多機能デバイス(112)。
【請求項7】
前記第1の情報は第1のワークフローを識別する情報を含み、
前記第2の情報は第2のワークフローを識別する情報を含み、
前記ユーザインタフェース生成部(401)は、前記第1のワークフロー及び前記第2のワークフローにアクセスするためのアイコンを表示する前記ユーザインタフェースを生成する、
請求項5又は6に記載の多機能デバイス(112)。
【請求項8】
前記ユーザインタフェース生成部(401)は、前記第1の情報又は前記第2の情報の更新がある場合に、前記ユーザインタフェースを更新するように構成される、請求項5乃至7の何れか一項に記載の多機能デバイス(112)。
【請求項9】
前記出力部(407)は、前記多機能デバイス(112)の起動時に、前記多機能デバイス(112)の前記識別情報を前記クラウドサービス(121)に送信する(S401)ように構成されている、請求項1乃至8の何れか一項に記載の多機能デバイス(112)。
【請求項10】
前記認証情報がユーザの識別(S201)を含み、前記ユーザの識別は、利用可能なサービスへのアクセスを前記多機能デバイス(112)のユーザに提供する、請求項1乃至9の何れか一項に記載の多機能デバイス(112)。
【請求項11】
前記認証情報はジョブコードの識別(S501)を含み、前記ジョブコードは、前記多機能デバイス(112)によって実行されるジョブを与える、請求項1乃至10の何れか一項に記載の多機能デバイス(112)。
【請求項12】
請求項1乃至11の何れか一項に記載の多機能デバイス(112)と、
サーバ(111)と、
クラウドサービス(121)と、
を備えるシステム(10、20、30)。
【請求項13】
前記クラウドサービス(121)はレジスタを格納するように構成されたメモリを備え、
前記クラウドサービス(121)は、前記多機能デバイス(112)の前記出力部(407)が前記多機能デバイス(112)の前記識別情報を前記クラウドサービス(121)に送信(S102)すると、前記レジスタ(C12)を更新する、請求項12に記載のシステム(10、20、30)。
【請求項14】
前記クラウドサービス(121)は、前記多機能デバイス(112)の前記識別情報を前記サーバ(111)に送信(S103)するように構成される、請求項12又は13に記載のシステム(10、20、30)。
【請求項15】
前記クラウドサービス(121)は、
前記サーバ(111)を第1の位置に関連付け、
前記多機能デバイス(112)の前記識別情報に基づいて、前記多機能デバイス(112)の第2の位置を決定し、
前記多機能デバイス(112)の前記第2の位置が前記サーバ(111)の前記第1の位置に対応する場合は、前記サーバ(111)を前記コントローラ(C44)として識別し、
前記多機能デバイス(112)の前記第2の位置が前記サーバ(111)の前記第1の位置に対応していない場合は、前記クラウドサービス(121)を前記コントローラ(C44)として識別する
ように構成される、請求項12乃至14の何れか1項に記載のシステム(10、20、30)。
【請求項16】
複数のサーバ(111A、111B)であって、
前記クラウドサービス(121)が、
前記複数のサーバ(111A、111B)各々をそれぞれの位置(A、B)に関連付け、
前記多機能デバイス(112A、112C)の前記識別情報に基づいて、前記多機能デバイス(112A、112C)の位置(A、C)を決定し、
前記多機能デバイス(112A)の前記位置(A)が前記複数のサーバ(111A、111B)のうちのサーバ(111A)の前記位置(A)に対応する場合は、前記複数のサーバ(111A、111B)のうちの前記サーバ(111A)を前記コントローラ(C44)として識別し、
前記多機能デバイス(112C)の第2の前記位置(C)が前記複数のサーバ(111A、111B)の前記位置(A、B)のいずれにも対応しない場合は、前記クラウドサービス(121)を前記コントローラ(C44)として識別する
ように構成される、前記複数のサーバ(111A、111B)
を備える、請求項12乃至15の何れか1項に記載のシステム(30)。
【請求項17】
前記コントローラは、第1の情報及び第2の情報に基づいてユーザインタフェースを作成し、前記多機能デバイス(112)によって生成されるように前記ユーザインタフェースを送信するように構成される、請求項12乃至16の何れか一項に記載のシステム(30)。
【請求項18】
多機能デバイス(112)をサーバ(111)及びクラウドサービス(121)の両方と通信するよう構成する方法であって、前記方法は、
前記多機能デバイス(112)が、前記多機能デバイス(112)の識別情報を前記クラウドサービス(121)に送信する(S102、S401)ことと、
前記多機能デバイス(112)が、前記サーバ(111)又は前記クラウドサービス(121)のいずれかを前記多機能デバイス(112)のコントローラとして識別するコントローラ情報を
前記クラウドサービス(121)から受信する(S106、S403)ことと、
前記多機能デバイス(112)が、認証情報を受信する(S201、S501)ことと、
前記多機能デバイス(112)が、前記コントローラ情報によって識別される前記コントローラ(111、121)に前記認証情報を含む認証要求を送信する(S202、S204)ことと、
前記多機能デバイス(112)が、前記認証情報が受け付けられたか否かを示す認証応答を前記コントローラ(111、121)から受信する(S203、S205)ことと、を含む、方法。
【請求項19】
多機能デバイス(112)により実行された場合に、多機能デバイス(112)をサーバ(111)及びクラウドサービス(121)の両方と通信するよう構成するプログラムであって、前記プログラムは、
前記多機能デバイス(112)が、前記多機能デバイス(112)の識別情報を前記クラウドサービス(121)に送信する(S102、S401)ことと、
前記多機能デバイス(112)が、前記サーバ(111)又は前記クラウドサービス(121)のいずれかを前記多機能デバイス(112)のコントローラとして識別するコントローラ情報を
前記クラウドサービス(121)から受信する(S106、S403)ことと、
前記多機能デバイス(112)が、認証情報を受信する(S201、S501)ことと、
前記多機能デバイス(112)が、前記コントローラ情報によって識別される前記コントローラ(111、121)に前記認証情報を含む認証要求を送信する(S202、S204)ことと、
前記多機能デバイス(112)が、前記認証情報が受け付けられたか否かを示す認証応答を前記コントローラ(111、121)から受信する(S203、S205)ことと、を含む、方法を実行するよう構成される、プログラム。
【請求項20】
請求項19に記載のプログラムを格納するコンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[技術分野]
【0002】
本発明は、多機能デバイス及び多機能デバイスを構成する方法に関する。さらに、多機能デバイスのディスプレイから異なるサービスへのアクセスを可能とするため、多機能デバイスがサーバ及びクラウドサービスに登録される。特に、この多機能デバイスは、これらの複数のサービスのうちの1つを多機能デバイスのコントローラとして識別するように構成される。本発明はまた、上記の特徴を備えるシステム、及び上記の機能を付与するように構成されたプログラムに関する。
【0003】
[背景技術]
【0004】
ネットワークに含まれるMFP(Multi function peripheral Device)は、文書の印刷及びスキャンなどの様々な機能を提供する。周知のように、MFPは、ラップトップ又はPCなどのクライアントからサーバを介して印刷ジョブを受信するように構成されてもよい。このサーバは、MFPに多数のサービスを提供し得る印刷、スキャン及び/又はデバイス管理サーバである。
【0005】
いくつかのMFPインストールでは、このようなサーバはローカルネットワーク上に提供され、MFPのすぐ近くに配置されるため、オンプレミスサーバ(OPS)と呼ばれる。この場合のすぐ近くは、MFPと同じ建物内、同じネットワーク内、又は同じ領域内を意味し得る。ネットワークには、単一のオンプレミスサーバが含まれることが多いだろう。場合によってはネットワークは複数のオンプレミスサーバを含み、そのそれぞれが、メインサーバが利用不可能である場合にバックアップを提供するフェイルオーバーサーバなどの専用機能を有する。
【0006】
あるいは、印刷、スキャン及び/又はデバイス管理サービスはネットワークの外部に提供されてもよい。このようなサービスは通常、インターネット経由でアクセスされ、これはクラウドサービス(CS)と呼ばれる。クラウドサービスは、実際には複数のオンラインサーバのいずれか1つによって提供されるサーバ機能故に、仮想サーバと見なすことができる。このような複数のオンラインサーバは、ネットワークから外部及び遠隔に位置するためために、クラウドと呼ばれることが多い。したがって、この文脈では、クラウドサービスと情報を交換するように構成されているMFPを指すことが適切である。
【0007】
したがって、MFPは、オンプレミスサーバ又はクラウドサービスのいずれかに登録可能であることが知られている。このMFPの登録により、登録されているオンプレミスサーバ又はクラウドサービスのうちの1つで利用可能なサービスにアクセスするために、ユーザがMFPにログインできるようになる。
【0008】
オンプレミスサーバを使用する利点は、印刷される文書、又はスキャンされた文書がネットワーク上に保持可能であり、文書のセキュリティが強化されることである。他方で、クラウドサービスは、ソフトウェアを集中的に更新する能力、及びエンドユーザのためのITサービス/メンテナンスコストを下げる能力など、いくつかの利点を有していた。したがって、オンプレミス及びクラウドサービスの両方を同時に提供することが望まれている。
【発明の概要】
【0009】
[概要]
【0010】
本発明の態様は、独立請求項によって示される。
【0011】
第1の態様によれば、請求項1に係る多機能デバイスが提供される。第2の態様によれば、請求項12に係るシステムが提供される。第3の態様によれば、請求項18に係る方法が提供される。第4の態様によれば、請求項19に係るプログラムが提供される。第5の態様によれば、請求項20に係るコンピュータ可読記憶媒体が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
[図面の簡単な説明]
【0013】
ここで、実施形態は、単なる例として、添付の図面を参照して説明される。
【0014】
【
図1A】内部ネットワークを介してオンプレミスサーバに接続され、外部ネットワークを介してクラウドサービスに接続されるMFPを含むシステムの一例を示す図。
【0015】
【
図1B】複数の位置にわたって分散された複数のMFPを含むシステムの一例を示す図。
【0016】
【
図1C】複数のオンプレミスサーバと、複数の位置にわたって分散された複数のMFPとを含むシステムの一例を示す図。
【0017】
【
図2A】クライアントのハードウェア構成の一例を示す図である。
【0018】
【
図2B】オンプレミスサーバのハードウェア構成の一例を示す図。
【0019】
【
図2C】MFPのハードウェア構成の一例を示す図。
【0020】
【
図3A】登録中のデバイス間の情報の受け渡しを示すフローチャート。
【0021】
【
図3B】ユーザ識別情報を用いたログインに続く、デバイス間の情報の受け渡しを示すフローチャート。
【0022】
【
図3C】印刷又はスキャンなどの機能の実行中の、デバイス間の情報の受け渡しを示すフローチャート。
【0023】
【
図3D】MFPのコントローラの、オンプレミスサーバ又はクラウドサービスのいずれかとしての識別中の、デバイス間の情報の受け渡しを示すフローチャート。
【0024】
【
図3E】ジョブコード情報を用いたログインに続く、デバイス間の情報の受け渡しを示すフローチャート。
【0025】
【
図4C】MFP上で実行されるオペレーティングシステムのためのユーザインタフェースを示す図。このユーザインタフェースは、印刷及びスキャンを含む様々な機能を容易にするように構成される。
【発明を実施するための形態】
【0026】
[発明を実施するための形態]
【0027】
本発明の様々な実施形態、特徴、及び態様が、図面を参照して以下に詳細に説明されるだろう。以下に説明する本発明の各実施形態は、単独で、又は、必要に応じて、若しくは単一の実施形態における個々の実施形態からの要素又は特徴の組合せが有益である場合、複数の実施形態又はその特徴の組合せとして実施することができる。
【0028】
図1Aは、内部ネットワーク110を介してオンプレミスサーバ(OPS)111に接続されたMFP112と、インターネット120などの外部接続を介してクラウドサービス(CS)121とを備える印刷システム10を示す。クライアントコンピュータ100は内部ネットワーク110に接続することもでき、クライアントコンピュータ100は内部ネットワーク110を介してオンプレミスサーバ111及びMFP112と通信することができる。
【0029】
さらに、以下でより詳細に説明するように、MFP112、クライアントコンピュータ100、オンプレミスサーバ111及びクラウドサービス121は、情報を交換するため互いに通信する。
【0030】
図1Bは、
図1Aに対応する特徴を備える印刷システム20を示す。しかしながら、複数のMFP112A、112B及び複数のクライアント100A、100Bは、複数の位置A、Bに設けられている。位置Aは、ネットワーク110Aを介して通信するオンプレミスサーバ111、MFP112A、及びクライアント100Aを提供する。位置Bは、ネットワーク110Bを介して通信するMFP112B及びクライアント100Bを提供するが、位置Bはオンプレミスサーバを含まない。位置A及び位置Bの両方が、外部ネットワーク接続120A、120Bを介してクラウドサービス121と通信するように構成されている。
【0031】
印刷システム20はスケーラブルであり、それぞれが複数のMFP及びクライアントを含む複数の位置を可能にし、これらの位置のいくつかはオンプレミスサーバ111を含む。印刷システム20の典型的な構成は、オンプレミスサーバ111を含む位置Aの本社と、オンプレミスサーバを含まない位置Bの支社である。
【0032】
クライアント100A、100B、及びMFP112A、112Bは位置Aと位置Bとの間で移動することができる。このクライアント100A、100B及びMFP112A、112Bは、オンプレミスサーバ111又はクラウドサービス121によって制御されるべきかどうかを識別するために、それらの位置を確立するように構成される。
【0033】
ユーザがMFP112A又は112Bにアクセスした場合、そのユーザは現在利用可能な機能オプションを提示されるべきである。おそらくネットワークの中断が原因で機能が一時的に利用不可能となった場合に、その機能性が戻ると、その機能は再びユーザに提供される。好ましくは、機能が可能であれば、MFP112A、112Bが移動されたとしてもその機能が提供されるので、ユーザ体験が強化される。したがって、機能の利用可能性は、MFP112A、112Bがオンプレミスサーバ111及び/又はクラウドサービス121にアクセスできるか否かに対して動的である。
【0034】
図1Cは、
図1A及び1Bに対応する特徴を備えるさらなる印刷システム30を示す。しかしながら、複数のオンプレミスサーバ111A~B、複数のMFP112A~C、及び複数のクライアント100A~Cは、複数の位置A~Cに設けられる。なお、
図1Cに示す印刷システムの詳細については後述されるだろう。
【0035】
図2Aは、クライアントコンピュータ100内に存在する選択された標準コンポーネントを示す。クライアントコンピュータ100は情報処理装置の一例であり、本実施形態では、汎用のラップトップコンピュータである。クライアントコンピュータ100は、CPU(Central Processing Unit)201、RAM(Random Access Memory)202、ROM(Read Only Memory)203、キーボード204、マウス205、表示部206、外部記憶装置207、及びバスを介して互いに接続されたネットワークインタフェース208を有する。
【0036】
CPU201は、Intel(登録商標)又はAMD(登録商標)から入手可能なものなどの標準的なプロセッサである。RAM202は従来のRAMであり、CPU201によって処理される命令の一時記憶領域として使用される。ROM203は、基本入出力システム(BIOS)など、クライアントコンピュータ100による使用のために特定のアプリケーションを格納するメモリである。キーボード204及びマウス205は、従来の手法でクライアントコンピュータ100の入力デバイスを形成する。表示部206は、ユーザに出力表示を提供するための薄膜トランジスタ液晶ディスプレイ(TFT、LCD)である。外部記憶装置207は、リムーバブルUSBハードディスクドライブである。ネットワークインタフェース208は、クライアントコンピュータ100が内部ネットワーク110を介して通信することを可能にする標準コンポーネントのセットである。このようなクライアントコンピュータは当技術分野で周知であり、追加構成(ビデオカードなど)又は他のコンポーネントを含んでもよい。
【0037】
図2Bは、オンプレミスサーバ111に存在する選択された標準コンポーネントを示す。オンプレミスサーバ111は、CPU301、RAM302、ROM303、記憶部304、及びネットワークインタフェース305を有し、これらはすべてバスを介して互いに接続されている。オンプレミスサーバ111のこれらの構成要素は、複数の物理的位置に分散されるか、又は単一の筐体に統合されることが可能である。
【0038】
CPU301は、Intel(登録商標)又はAMD(登録商標)から入手可能なものなどの標準的なプロセッサである。RAM302は従来のRAMであり、CPU301によって処理される命令の一時記憶領域として使用される。ROM303は、BIOSなど、オンプレミスサーバ111による使用のために特定のアプリケーションを格納するメモリである。記憶部304は、ハードディスクドライブである。ネットワークインタフェース305は、オンプレミスサーバ111が内部ネットワーク110又はインターネットを介して通信することを可能にする標準コンポーネントのセットである。ネットワークインタフェースを使用するオンプレミスサーバ111によるインターネット上の通信は、直接的に、又はプロキシを介して実行されることができる。
【0039】
図1に示すクラウドサービス121は、クラウドサービスプラットフォーム上でホストされるソフトウェアアプリケーションである。このクラウドサービスプラットフォームは、クラウドサービス121をホストするためのオペレーティングシステムを提供し、クラウドサービス121の実行を可能にするスケーラブルな処理及び格納能力を可能にする。クラウドサービスプラットフォームは、インターネット経由でサービスを提供するためのハードウェアとソフトウェアを有する。このようなクラウドプラットフォームは、Microsoft Azure(登録商標)及びAmazon AWS(登録商標)などでよく知られている。したがって、簡潔にするため、クラウドプラットフォームのハードウェアの説明は省略する。
【0040】
図2Cは、MFP112に存在する選択された標準コンポーネントを示す。MFP112は、CPU401、RAM402、ROM403、印刷部404、ユーザ入出力405、ログイン部406、ネットワークインタフェース、スキャン部408、及びディスプレイを有し、これらはすべてバスを介して互いに接続されている。
【0041】
CPU401は、Intel(登録商標)又はAMD(登録商標)から入手可能なものなどの標準的なプロセッサである。RAM402は従来のRAMであり、CPU401によって処理される命令の一時記憶領域として使用される。ROM403は、BIOSなど、MFP112による使用のために特定のアプリケーションを格納するメモリである。CPU401は、ユーザインタフェースを生成し、そのユーザインタフェースがその後、MFP112のディスプレイによって表示される、ユーザインタフェース生成部を備える。
【0042】
印刷部404は電子写真方式のプリンタエンジン又はインクジェット方式のプリンタエンジンで実装することができ、提供されたデータに基づいて用紙などの印刷媒体に画像を印刷することができる。スキャン部408は、スキャンされた原稿の画像をキャプチャするように構成されるハードウェアを備える。
【0043】
ユーザ入出力405は、複数のハードウェアボタンと、ユーザがMFP112に入力を提供するために選択できるソフトウェアボタンとを含む。このユーザ入力/出力405は、ディスプレイ409の一部としてタッチスクリーンを含む。ユーザ入出力405は、ユーザID及びパスワード情報などの英数字のテキストを入力するために使用することができるキーボードを含む。したがって、このキーボードは物理キーボード又は仮想キーボードである。ディスプレイ409は、タッチスクリーン機能を提供するタッチセンサと共に、LCDディスプレイを含む。
【0044】
ユーザはMFP112から利用可能なサービスにアクセスするために、認証情報をMFP112に提供する。登録ユーザの場合、認証情報は、ユーザをユーザアカウントに関連付ける識別情報に対応する。ゲストユーザの場合、認証情報は、MFP112が実行するジョブを識別するジョブコードに対応する。
【0045】
カードリーダは、ユーザの認証情報の提供を可能とするよう機能するログイン部406の一例である。カードリーダ406は、非接触カードからユーザID情報を読み出す。読み出したIDは、MFP112を操作しているユーザを識別又は認証するために用いられる。
【0046】
代替ログイン部406は、カードリーダ406の代わりにキーボードを使用することで、ユーザIDをMFP112に入力するためのものである。ジョブコードを入力するためにキーボードを使用することができるため、ゲストユーザは実行されるジョブを識別できる。ユーザ又はジョブの認証は、各内部ネットワーク内に設けられている個別にインストールされた認証サーバと連携して行うことができる。
【0047】
ネットワークインタフェース407は、MFP112が内部ネットワーク110を介して通信することを可能にする標準コンポーネントのセットである。このように、ネットワークインタフェース407は、MFP112によりオンプレミスサーバ111及びクラウドサービス121と通信するために使用され得る入力部並びに出力部を備える。
【0048】
オンプレミスサーバ111及びクラウドサービス121は、異なるワークフローへのアクセスを提供し、ジョブの異なるリストを格納するなどの異なる機能性を付与する。オンプレミスサーバ111に格納された印刷ジョブは、クライアントコンピュータ100上のプリンタドライバから受信される、モバイルデバイスから受信される、印刷サーバへの電子メールにより受信されるなど、異なる位置から受信されてもよい。同様に、クラウドサービス121は、クライアントデバイス100から印刷ジョブを受信し、クラウドドライブ(Google Drive(登録商標)など)に格納された文書に基づいて印刷ジョブを生成してもよい。クラウドサービス121は印刷ジョブに関するメタデータを格納することができる一方で、印刷ジョブは、プリンタへのリリースを待機しながら、依然としてクライアントデバイス100上に格納される。したがって、クラウドサービス121で利用可能な印刷ジョブは、オンプレミスサーバ111を介して利用可能なものとは異なる場合がある。
【0049】
この実施形態の利点は、オンプレミスサーバ111及びクラウドサービス121の両方に利用可能な機能へのアクセスを同時に提供することである。これは、MFP112がオンプレミスサーバ111及びクラウドサービス121の両方に同時に登録されることを可能にすることによって達成される。
【0050】
様々なレジスタは、オンプレミスサーバ111及びクラウドサービス121によって維持される。登録は、レジスタを更新する処理である。具体的には、クラウドサービス121が、登録されたMFPデバイスの登録を行う。オンプレミスサーバ111は、それに登録されているMFPデバイスのレジスタを有する。クラウドサービス121はは、それに登録されているオンプレミスサーバのレジスタも有する。
【0051】
MFP112は、以下により詳細に説明するように、クラウドサービス121及びオンプレミスサーバ111に登録されており、したがって、MFP112は、登録されたオンプレミスサーバ111及びクラウドサービス121のリストを保持している。したがって、MFP112は、それが登録されたオンプレミスサーバ111及びクラウドサービス121のレジスタを含む。
【0052】
このMFP112をオンプレミスサーバ111及びクラウドサービス121の両方に登録させるために、多数の登録方法が利用可能である。
【0053】
これは、MFP112がオンプレミスサーバ111及びクラウドサービス121の両方に個別に登録することによって達成することができる。
【0054】
オンプレミスサーバ111とクラウドサービス121とが互いに通信することは必須ではないが、これが利用可能な場合には多数の利点が提供される。以下、
図3Aに関連して説明するように、MFP112がオンプレミスサーバ111及びクラウドサービス121のうちの1つに登録可能であり、その後、そのサーバ/クラウドサービスがMFP112の他のクラウドサービス/サーバへの登録に参加可能であるため、MFP112による登録は一度だけ行われる。
【0055】
ここで、「位置」の概念について説明する。クラウドサービス121は、多数の異なる顧客に対するプリンタインストールを管理する。特定の顧客のための印刷システムが
図1A、1B、及び1Cに示されているが、当業者はクラウドサービス121が多くの別個の印刷システムをサポートできることを理解するであろう。これに対して、オンプレミスサーバは通常、印刷システム固有であり、異なる顧客の印刷システムをサポートするためには使用されない。
【0056】
異なる顧客に対して異なる印刷システムを別々に保つために、各顧客はクラウドサービス上の「テナント」に関連付けられる。テナントに関連付けられた情報は、そのテナントに関連付けられた登録オンプレミス印刷サーバ、そのテナントに関連付けられた登録MFPデバイス、そのテナントの登録ユーザなどを含む。テナントに1つ以上のオンプレミスサーバが関連付けられている場合、位置の概念が関連するようになる。テナントに関連付けられた各MFP112、112A、112B、112C は、クラウドサービス121又は登録オンプレミスサーバのうちの1つで管理する必要がある。この文脈における管理は、MFP112のためのログインサービスの提供を含む。
【0057】
管理者がこれを設定できるように、テナントには位置が設定されている。例えば、テナントは、異なる地理的位置にある2つのオフィスビルに対応する2つの位置を登録してもよい。各登録MFPデバイスは、クラウドサービス121上の位置パラメータに関連付けることができる。例えば、第1の建物内のすべてのMFPデバイスは、テナント上に構成された第1の建物の位置に関連付けられてもよい。これにより、オンプレミスサーバ111及びクラウドサービス121のどちらがその位置に関連付けられたMFPデバイスを管理するかを制御するために特定の位置を使用することができるので、MFPデバイスの管理がより容易になる。例えば、第1のビルの位置がオンプレミスサーバ111に関連付けられ、その結果、第1のビルにおける、第1のビルの位置パラメータに関連付けられるすべてのMFPデバイスがオンプレミスサーバ111によって管理されてもよい。位置パラメータは、その位置パラメータに対応する特定の地理的位置にあるネットワークに関連付けられた特定のIPアドレス範囲などの、それに関連付けられる追加のパラメータを有していてもよい。
【0058】
図3Aは、MFP112のオンプレミスサーバ111及びクラウドサービス121への登録を示す図である。MFP112は、対応するMFP ID(A11)を有する。このMFP IDには、デバイスのシリアル番号、ネットワーク110上のIPアドレスなどの情報が含まれてもよい。同様に、オンプレミスサーバ111はオンプレミスサーバID(B11)を有し、クラウドサービス121はクラウドサービスID(C11)を有する。そのようなアイデンティティ(A11、B11、C11)は、それらの対応するデバイスの名前及び宛先を含む。
【0059】
図3Aに示す登録フローでは、ステップS101に示すように、まずオンプレミスサーバ111がオンラインサービス121に登録されているものとする。この登録ステップS101は、ウェブブラウザを用いてクライアント100からオンラインサービスにアクセスし、オンプレミスサーバID、IPアドレスなどのオンプレミスサーバ111の詳細を手動で入力することにより実行することができる。
【0060】
オンプレミスサーバ111のクラウドサービス121への登録ステップS101は、顧客の詳細を提供する管理者によって達成される。管理者は、オンプレミスサーバ111に関連付けられたテナントシリアル番号又はテナントドメイン名を入力する。
【0061】
そのテナントが設定された位置を有していない場合、オンプレミスサーバ111と接続するためには、そのテナントが少なくとも1つの位置を有する必要があることを示すメッセージが表示される。管理者が別個のブラウザセッションを使用して位置を作成し、設定を続行できるように、更新ボタンが提供される。
【0062】
リンクをクリックすることで、現在のテナントについての位置設定が新しいウィンドウで開く。
【0063】
そのテナントが少なくとも1つの設定された位置を有している場合、ユーザは位置を選択できる。更新ボタンは、ユーザが別のブラウザセッションで同時に新しい位置を作成した場合に、その表示される位置の更新を可能にする。
【0064】
すでにオンプレミスサーバ111又はリモート印刷サーバに接続されている位置が選択されると、エラーメッセージが表示され、選択されたその位置がすでに別のサーバに接続されていることをユーザに通知する。そのユーザは位置の選択に戻ることができる。代替として、その位置は単純に選択可能でなく、「次へ」ボタンは有効な(空き)位置が選択されるまで無効のままである。
【0065】
位置を選択すると、オンプレミスサーバ111はその位置に直接接続される。情報は、クラウドサービス121によって生成され、オンプレミスサーバ111に直接送信される。管理者は、オンプレミスサーバ111とクラウドサービス121との間の接続が成功したことを確認するメッセージを受信する。
【0066】
図3Aは、続いて、クラウドサービス121及びオンプレミスサーバ111の両方に新たなMFP112を登録したい場合を示している。
【0067】
ステップS102では、MFP112がクラウドサービス121に登録される。これは、次の3つの手法のうちの1つで行うことができる。
第1にはウェブインタフェースを介してクラウドサービス121上にMFP112の詳細(MFP ID、IPアドレス等)を手動で設定することによる。
第2にはセットアップツールが、内部ネットワーク110内のクライアントデバイス100上で使用される。このセットアップツールは、IPアドレスに基づいて内部ネットワーク110上のクライアントデバイス100からネットワーク検索を実行し、検出されたMFP ID及びIPアドレスを収集し、その後、それらのMFPをクラウドサービス121上に登録するためにそれらをクラウドサービス121に送信する。
第3には、MFP112がクラウドサービス121に直接接続するように動作することができ、クラウドサービス121に登録するために、そのMFP ID及びIPアドレス情報を含む登録要求を送信することができる。
図3Aは、MFPがその識別情報をクラウドサービス121に送信するステップS102におけるこの技術を示す。
【0068】
クラウドサービス121及びオンプレミスサーバ111は、ユーザ及びMFPデバイスに関するデータを定期的に同期するように構成される。
【0069】
ユーザを同期するとき、次のデータ、すなわち表示名、電話番号、メール送信アイデンティティ、個人識別番号、カード番号アイデンティティ、ユーザ名アイデンティティが、オンプレミスサーバ111とクラウドサービスとの間で同期される。いくつかのオンプレミスサーバを接続すると、一意の電子メールアドレスを備えるいくつかのユーザアカウントが作成され、同期すると、それらはすべて同じ単一のクラウドサービス121ユーザにマッピングされることに注意されたい。
【0070】
このMFPデバイスの同期は、ステップS103~S106によって示される。
【0071】
ステップS103では、クラウドサービス121におけるMFP112の登録に続く次の同期において、クラウドサービス121が、クラウドサービス121に新しいデバイスが登録されたというメッセージをオンプレミスサーバ111に送信する。この新しいメッセージは、デバイスIPアドレス、デバイスシリアル番号、デバイスタイプ、MFPを制御すべきサーバ又はクラウドサービス121の名前(位置情報に基づいて決定される)、及びデバイス名を含む。オンプレミスサーバ111は、同期中にクラウドサービス121から新たに登録された機器情報を受信し、格納する。この登録の確認は、オンプレミスサーバ111によってクラウドサービス121(S104)及びMFP112(S105)に送信される。
【0072】
複数の位置及び複数のオンプレミスサーバが存在する場合、S103で新しいデバイスが登録されたというメッセージは新しいデバイスが関連付けられたオンプレミスサーバにのみ送信される。つまり、MFPの詳細は、新しく登録されたMFPを管理するオンプレミスサーバに送信され、異なる位置に関連付けられた他の登録オンプレミスサーバには送信されない。
【0073】
登録確認S106は、クラウドサービス121からMFP112に送信される。第1の確認通知は、MFP121がクラウドサービス121に正常に登録されたことを識別し、第2の確認通知は、オンプレミスサーバ111がクラウドサービス121に正常に登録されたことを識別する。この確認は2つの別々のメッセージによって、又は単一のメッセージによって送ることができる。
【0074】
登録確認S106は、既に決定されている場合、多機能デバイス112のコントローラ(111、121)のアイデンティティを含んでもよい。このコントローラ(111、121)のアイデンティティは、MFP112の起動時などの後の段階で識別又は更新することができる。
【0075】
MFPデバイス112がクラウドサービス121に登録されると、クラウドサービス121は、以前に設定された位置に対する新たに登録されたMFP112のIPアドレスと、それに関連付けられるPアドレス範囲とをチェックすることができる。そのMFPのIPアドレスが事前に設定されたIPアドレス範囲内にある場合、新しく登録されたMFP112はその位置に関連付けられることになる。一致する位置が複数ある場合、又は一致する位置がない場合、MFP112は、自動的には位置に関連付けられない。MFP112は、その後、システム管理者などによって手動で位置に関連付けられてもよい。
【0076】
図3Aは、MFP112デバイスをクラウドサービス121に登録するために使用される技術を示す。また、MFP112及びクラウドサービス121が互いに通信を行う場合には、MFP112はクラウドサービス121に接続するようにも構成される。この構成は、クラウドサービス121の位置(アドレス)が変化しないため、容易に行うことができる。このMFPデバイスが最初にインターネットに接続されたとき、例えば、電源投入時に、MFP112はクラウドサービス121に接続し、そのMFP112のためにクラウドサービス121上でセットアップされている場合には、その位置を含む情報を受信し、クラウドサービス121によって管理されているか、オンプレミスサーバ111によって管理されているかを示す情報を受信する。MFP112及びオンプレミスサーバ111の位置がどのように識別されるかについてのさらなる詳細は、以下に提供される(
図3D参照)。MFP112がオンプレミスサーバ111によって管理されている場合、クラウドサービス121はMFP112とオンプレミスサーバ111との間の通信を可能にするために、オンプレミスサーバ111のIPアドレスなどの追加情報を送信することもできる。
【0077】
登録処理により、3つのデバイス(MFP、オンプレミスサーバ、クラウドサービス)が相互に通信できる。後に詳細に説明するように、オンプレミスサーバ111及びクラウドサービス121は互いに通信可能であり(S106)、これはこれらのサーバの両方が、MFP112へのログインなどの処理のフェイルオーバーサーバとして機能することを可能にすることによって、システムの復元力を強化する。フェイルオーバー機能を提供することにより、オンプレミスサーバ111及びクラウドサービス121の両方が利用可能なサービスへの継続的なアクセスが可能になるので、MFP112は、使用中に障害が発生した場合に機能し続ける。
【0078】
図3Bは、MFP112のユーザによる、オンプレミスサーバ111及びクラウドサービス121へのログインを示す。この処理は、
図3Aに関連して上述した初期セットアップ及び登録の後、MFP112の通常の使用中に生じる。
【0079】
ステップS201において、ユーザはMFP112のログイン部406にユーザID情報を提供し、これは、カード部に非接触カードを提示することによって達成することができる。代替として、ユーザはキーボードを介してユーザ名及びパスワードを入力することができる。MFP112により格納される情報(A21)は、カードリーダから受信したユーザIDと、起動時にMFP112がクラウドサービス121に連絡した際に受信したテナントIDとを含む。さらに、MFP112により格納される情報(A21)は、MFP112の位置を識別し、MFP112がオンプレミスサーバ111によって制御されているのか、クラウドサービス121によって制御されているのかを判断するために使用される。MFP112により格納される情報(A21)は、どのデバイスがコントローラとして機能するかを示し、これは、MFP112の位置を見て、これらのうちのどちらがMFP112を制御するかに応じて、オンプレミスサーバ111又はクラウドサービス121であると判断される。
【0080】
コントローラがどのように識別されるかについてのさらなる詳細は後述する。
【0081】
図3Bの説明を続けると、MFP112がオンプレミスサーバ111によって制御されている場合、ユーザIDはオンプレミスサーバ111に送信S202される。オンプレミスサーバ111は認証が成功したか否かを判断し、これは、ユーザIDが既存の登録ユーザと一致するかをチェックすることによって達成される。一致がある場合には、オンプレミスサーバ111は、オンプレミスサーバ111上の対応するユーザアカウントB22へのアクセスを可能にする。一致がない場合はログインが失敗し、失敗メッセージがMFP112に返信される。クラウドサービス121は、ログインの詳細についてはチェックされない。ログインが成功したかどうかの確認は、MFPに送られるS203。
【0082】
代わりに、MFP112がクラウドサービス121によって制御される場合は、ユーザIDはテナントIDと共にクラウドサービス121に送信S204される。MFP112は、ログインの詳細を含むHTTP要求をクラウドサービス121に送信する。クラウドサービス121は、ログイン詳細を登録ユーザのリストと照合し、ログイン詳細が登録ユーザと一致した場合に認証を返す。
【0083】
ログインの結果として、ステップS206において、オンプレミスサーバ111とクラウドサービス121は、特定のユーザアカウントB22及びC22に関する情報を通信することが許可される。これは、サーバの1つが一時的に利用不可能になった場合に、サーバの機能が再開されるとそこで接続が再確立されるため、復元力を提供するために特に利点がある。
【0084】
図3Cは、MFP112によるジョブ又はワークフローの実行を示す。ログインが完了した後、
図3Bに関連して説明されるように、ユーザには、オンプレミスサーバ111及びクラウドサービス121の両方から受信した情報が入力されたユーザインタフェースが提示される。
【0085】
表示されるユーザインタフェースは、MFP112のオペレーティングシステムによって部分的に制御される。このユーザインタフェースの要素には、利用可能なサービスに関する情報がA31に入力される。表示されるコンテンツの一部は、MFP112のメモリに格納される。また、表示される内容は、オンプレミスサーバ111及びクラウドサービス121によって格納される。
【0086】
オンプレミスサーバ111は、MFP112に送信する情報B31を格納する。情報B31はジョブリストを含み、ジョブ自体も含み得る。しかしながら、代わりに、ジョブが印刷のために選択された後に、クライアントコンピュータ100などの他の位置に格納され続けることが可能である。さらに、情報B31は、一旦それらが選択された場合、オンプレミスサーバ111によって実行可能なワークフローも含む。
【0087】
クラウドサービス121は、MFP112に送信する情報C31を格納する。情報C31はジョブリストを含み、ジョブ自体も含み得る。しかしながら、代わりに、ジョブが印刷のために選択された後に、クライアントコンピュータ100などの他の位置に格納され続けることが可能である。さらに、情報C31は、一旦それらが選択された場合、クラウドサービス121によって実行可能なワークフローも含む。
【0088】
MFP112は、MFP112がオンプレミスサーバ111によって制御されているか、クラウドサービス121によって制御されているかを判断する。MFP112がオンプレミスサーバ111によって制御されている場合、そのユーザインタフェースには、ステップS301~S302及びS303~S304に続くジョブが入力される。MFP112がクラウドサービス121によって制御されている場合、オンプレミスサーバ111に利用可能な接続がないため、ユーザインタフェースには、ステップS303~S304に続くジョブが入力される。これにより、MFP112は、オンプレミスサーバ111又はクラウドサービス121のいずれかをMFP112のコントローラ(111、121)として識別するコントローラ情報を受信する。
【0089】
ステップS301において、MFP112はオンプレミスサーバ111にコンタクトし、特定のユーザアカウントに関する情報B31を要求する。ステップS302で、オンプレミスサーバ111は、特定のユーザアカウントに関する情報B31をMFP112に送信する。
【0090】
ステップS303において、MFP112はクラウドサービス121にコンタクトし、特定のユーザアカウントに関する情報C31を要求する。ステップS304において、クラウドサービス121は、特定のユーザアカウントに関する情報C31をMFP112に送信する。
【0091】
MFP112は、オンプレミスサーバ111及びクラウドサービス121から受信した情報B31及びC31を照合する。したがって、MFP112のユーザインタフェースには、ジョブリスト及び利用可能なサーバのワークフローに対応する情報A32が入力される。
【0092】
例えば、ユーザは、オンプレミスサーバ111から利用可能なジョブを選択A33することができる。その結果、要求S305がオンプレミスサーバ111に送信され、応答S306で、要求された印刷ジョブがMFP112によって受信される。
【0093】
例えば、ユーザは、クラウドサービス121によって実行可能なワークフローを選択A34することができる。その結果、要求S307がクラウドサービス121に送信され、そのワークフローがクラウドサービス121によって実行される。
【0094】
好ましくは、ユーザインタフェースA32は、オンプレミスサーバ111及びクラウドサービス121の両方の機能を表示する。ユーザインタフェースは動的であり、機能が利用可能になると、使用可能な機能の変更を示すためにユーザインタフェースが更新される。その結果、クラウドサービス121が新しいワークフローを含むように更新されると、この新しい機能を導入するためにMFP112のユーザインタフェースが更新される一方で、オンプレミスサーバ111を介して利用可能な機能も提供される。さらに、サーバの1つが一時的に利用不可能になった場合、ユーザインタフェースは、完全なサービスが再開されるまで、その機能の提供に制限される。
【0095】
図3Dは、MFPがオンプレミスサーバ111又はクラウドサービス121によって制御されるかどうかをMFPが判定するための可能な技術を示す。
【0096】
MFP112のアイデンティティ情報は、IPアドレス(A41)を含む。オンプレミスサーバ111のアイデンティティ情報は、IPアドレス(B41)を含む。クラウドサービス121のアイデンティティ情報(C41)は例えば、ユニフォームリソースロケータ(URL、つまりウェブアドレス)又はIPアドレスを含む。
【0097】
上述したように、コントローラ(111、121)を決定するために使用できる第1の技術は、登録時にコントローラIDを確認する(S106)ことである。コントローラID情報は、MFP112のメモリによって格納され、MFP112はこれを調べて、オンプレミスサーバ111又はクラウドサービス121によって制御されているかどうかを確認することができる。
【0098】
コントローラ(111、121)がすでに確認されている場合(S106)、
図3Dに示す技術を実行することなく、コントローラ(111、121)からサービスを取り出すことが可能になる。それにも関わらず、コントローラ(111、121)が既に確認されている場合であっても、MFP112の起動時に典型的に発生する、コントローラIDを更新することは、依然として価値がある。
【0099】
MFP112が移動されると、再び登録処理(
図3A)を実行することにより、正しいコントローラ(111、121)が識別される(S106)ことが保証される。しかしながら、コントローラ(111、121)のアイデンティティに更新を提供する(
図3D)ことにより、登録処理(
図3A)を再び実行する必要がないことが保証される。
【0100】
コントローラ(111、121)を決定するために使用できる第2の技術は、コントローラID(C44)がクラウドサービス121のメモリによって格納されるためのものである。コントローラ(111、112)のアイデンティティは、登録時に決定することができ(
図3A)、クラウドサービス121のメモリによって格納することができる。
【0101】
ステップS401で、MFP112は、そのアイデンティティ情報A41をクラウドサービス121に送信する。コントローラID(C44)のアイデンティティは、クラウドサービス121のメモリから取り出される。ステップS403では、コントローラIDがMFP112に通知される(A42)。
【0102】
コントローラ(111、121)を決定するために使用できる第3の技術は、コントローラID(C44)がMFP112に確認される前に更新されることである。その結果、コントローラ(111、121)のアイデンティティは動的となる。これにより、MFP112を移動させることができ、コントローラ(111、121)のアイデンティティをそれに応じて更新することができる。この第3の技術は、
図3Dによって詳細に示される。
【0103】
ステップS401で、MFP112は、そのアイデンティティ情報A41をクラウドサービス121に送信する。MFP112の起動時に、MFP112によりクラウドサービス121に識別情報A41が送信されると、起動時にコントローラを識別しやすくなり、これにより、MFP112が別の位置に移動した可能性に対応することができる。
【0104】
ステップS402で、オンプレミスサーバ111は、そのID情報A42をクラウドサービス121に送信する。したがって、クラウドサービス121のメモリは、MFP112のIPアドレスと、それに登録されているサーバ111(C42)のIPアドレスとを格納する。
【0105】
クラウドサービス121は、第1の位置をオンプレミスサーバ111のIPアドレスに関連付け、第2の位置をMFP112に関連付けるように構成される。これにより、クラウドサービス121は、MFP112の第1の位置と、オンプレミスサーバ111の第2の位置とを格納する(C43)。
【0106】
MFP112及びオンプレミスサーバ111のIPアドレスが特定の範囲内にある場合、第2の位置は第1の位置に対応するものと見なされる。これは、MFP112とオンプレミスサーバ111が同一の内部ネットワーク110の一部であることを示す。この場合、MFP112のコントローラはオンプレミスサーバ111である必要があると判断される。
【0107】
MFP112及びオンプレミスサーバ111のIPアドレスが特定の範囲外である場合、第2の位置は第1の位置に対応しないとみなされる。これは、MFP112とオンプレミスサーバ111が同一の内部ネットワーク110の一部ではないことを示す。この場合、MFP112のコントローラはクラウドサービス121である必要があると判定される。
【0108】
代替として、MFP112及びオンプレミスサーバ111の位置は、クラウドサービス121のメモリに手動で入力される。したがって、MFP112の位置をMFP112のIPアドレスに基づいて決定することは必須ではない。
【0109】
したがって、クラウドサービス121は、MFP112がオンプレミスサーバ111と同じ内部ネットワーク110の一部であるかどうかに基づいて、MFP112のコントローラがオンプレミスサーバ111であるかクラウドサービス121であるかを決定する。これにより、クラウドサービス121は、MFP112のコントローラのアイデンティティをクラウドサービス121又はオンプレミスサーバ111のいずれかとして格納する(C44)。
【0110】
コントローラ(111、121)が識別されると、ステップS403において、この情報がMFP112に通信される(A42)。
【0111】
図1Cに戻ると、この印刷システムがどのように動作するかについての様々なコメントを行うことができる。印刷システムの位置Aは、オンプレミスサーバ111A、MFP112A、及びネットワーク110Aを介して通信するクライアント100Aを有する。位置Bは、ネットワーク110Bを介して通信するオンプレミスサーバ111B、MFP112B、及びクライアント100Bを有する。位置Cにはオンプレミスサーバは含まれていないが、位置CはMFP112Cとネットワーク110Cを介して通信するクライアント100Cとを有する。位置A~Cは、外部ネットワーク接続120A~Cを介してクラウドサービス121と通信するように構成されている。
【0112】
クラウドサービス121は、複数のオンプレミスサーバ111A~Bのそれぞれを位置A~Bに関連付ける。このオンプレミスサーバ及び位置は、オンプレミスサーバが固有の位置を有するように、1対1で関連づけられている。前述したように、クラウドサービス121は、多機能デバイス112A~Cの識別情報に基づいて、各多機能デバイス112A~Cの位置A~Cを決定する。位置Cはオンプレミスサーバを有さないため、位置CのMFP112Cはクラウドサービス121によって管理される。
【0113】
多機能デバイス112Aの位置Aがオンプレミスサーバ111Aの位置Aに対応しているため、クラウドサービス121はオンプレミスサーバ111Aを多機能デバイス111Aのコントローラとして識別する。
【0114】
同様に、多機能デバイス112Bの位置Bがオンプレミスサーバ111Bの位置Bに対応しているため、クラウドサービス121はオンプレミスサーバ111Bを多機能デバイス111Bのコントローラとして識別する。
【0115】
多機能デバイス112Cの第2の位置Cが複数のオンプレミスサーバ111A~Bの位置A~Bのいずれにも対応しないので、クラウドサービス121は、クラウドサービス121を多機能デバイス111Cのコントローラとして識別する。
【0116】
好ましくは、多機能デバイス112A~Cのいずれかを異なる位置A~Cの間で移動させることが可能であり、同期すると、多機能デバイス112A~Cのための正しいコントローラが、ユーザ又は管理者によって要求されるいかなるアクションもなく識別され、変更される。
【0117】
より一般的にはコントローラ(111、121)はログイン(
図3B参照)などのいくつかの機能を実行する責任を負う。しかしながら、コントローラ(111、121)が利用可能でない場合、コントローラ(111、121)が再び利用可能になるまで、機能を実行するために別の技術が必要とされる。
【0118】
コントローラ情報がMFP112のコントローラとしてオンプレミスサーバ111を識別しているが、サーバが認証情報を受信するために利用できない場合、認証情報はクラウドサービス121に送られる。したがって、クラウドサービス121は、オンプレミスサーバ111が利用可能でない場合でもログインが達成されるようにフォールバックを提供する。
【0119】
コントローラ情報がクラウドサービス121をMFP112のコントローラとして識別するが、クラウドサービス121が認証情報を受信するために利用できない場合、MFP112は認証要求を処理するように構成される。これにより、MFP112は、緊急モードに移行する。緊急モードでは、MFP112が任意のユーザへのアクセスを拒否するように構成され、したがって、高レベルのセキュリティを保証する。あるいは、緊急モードではMFP112が全てのユーザにアクセスできるように構成されており、それにより、クラウドサービス121とのコネクションが確立できなくても、MFP112によりその機能が実行されることを保証する。
【0120】
コントローラ(111、121)が再び使用可能になると、その機能はコントローラ(111、121)によって実行される。
【0121】
図3Eは
図3Bに関連して説明したユーザログイン処理とは異なるワークフローを示し、そこではユーザは、MFP112のログイン部406にジョブコードを提供する。このワークフローは
図3Aの登録に従い、
図3B~3Dによって提供されるワークフローに加えて提供される。なお、
図3Eに示すワークフローを使用するためにユーザがログインする必要はなく、したがってワークフロー3Bと3Eの両方が提供され、ワークフローに互換性がない場合があることには注意されたい。典型的には、
図3B及び
図3Eの両方のワークフローが選択するために利用可能である。
【0122】
図3Eの背景として、ユーザはクラウドサービス121にジョブを送信し、クラウドサービス121が印刷ジョブを関連付けるジョブコードを応答で受信することができる。これは、例えば、ウェブインタフェースを介してジョブをクラウドサービスに送信するか、プリンタドライバ又は電子メールを使用して印刷ジョブをクラウドに送信することによって実行されてもよい。いずれの場合も、クラウドサービスはジョブコードをユーザに表示させるか、ジョブコードを含む電子メールをユーザに送信するか、他の方法でジョブコードを返す。
【0123】
ステップS501では、ユーザは、MFP112に居合わせ、MFP上でジョブコードA51を入力することによってジョブを識別する。このようにして、ユーザは、ジョブを特定のユーザのログイン詳細に関連付けるのではなく、ジョブコードに関連付けられたジョブを取得することができる。これは、例えば、ゲストユーザに関連付けられたユーザプロファイルを作成する手間にかけたくない場合に、ネットワーク上でゲスト印刷を行う場合に便利である。
【0124】
ステップS502で、MFP112は、入力されたジョブコードA51をクラウドサービス121に送信する。クラウドサービス121は、ジョブコードがクラウドサービス121によって維持されているジョブコードリストC51上の印刷ジョブに関連付けられているかどうかをチェックする。ジョブコードリストC51がジョブコードA51を含む場合、そのジョブコードに対応するジョブが識別される。このジョブは、クラウドサービス121によって既に格納されていてもよい。あるいは、そのジョブは異なるサーバ又はクライアント100によって格納されてもよく、この場合、クラウドサービス121はジョブコードに対応するジョブを検索するだろう。クラウドサービス121のジョブコード一覧に一致するジョブコードがない場合、MFP112にエラーメッセージが送信される。
【0125】
ステップS503では、ジョブコードC52に対応するジョブがMFP112に送信される。ジョブA52を受信すると、MFP112は、通常、ジョブコードに関連するジョブをプリントアウトすることによって、ジョブを実行するように構成される。
【0126】
ユーザがジョブコードA51を提供する状況に対して、MFP112はクラウドサービス121と通信する。したがって、ジョブがジョブコードに関連付けられる状況では、クライアント100は、そのジョブをクラウドサービス121に送信するように構成される。クラウドサービス121によって維持されているジョブコードリストの結果として、ユーザは、任意の位置A~Cに拠点を置くMFP112A~Cを使用して、ジョブを検索することができる。
【0127】
この機能は、ユーザが実際には識別されないゲストユーザにとって有益である。一例として、ゲストユーザは、クライアント100からクラウドサービス121に送信される電子メールを介して印刷ジョブを送信する。クラウドサービス121はジョブコードを生成し、電子メールを介してユーザに送り返す。MFP112では、ユーザが自身を識別するのではなく、ジョブコードを入力する。したがって、MFP112がオンプレミスサーバ111のみによって制御される状況であっても、ジョブコードはクラウドサービス121によって生成可能であり、MFP112は、ジョブコードが入力された場合にはクラウドサービス121に要求する。
【0128】
この機能の利点は、オンプレミスサーバ111を使用するよりも、ジョブコードワークフローをクラウドサービス121を用いて設定する方がはるかに簡単であることである。したがって、オンプレミスサーバ111の顧客は、「通常の」ユーザがこのケースでコントローラとして識別されたオンプレミスサーバ111を有するにもかかわらず、ゲストユーザのためにクラウドサービス121を使用することによって、利益を得ることができる。
【0129】
代替として、そのジョブコードは、オンプレミス111又はクラウドサービス121のいずれかである、
図3Dによって識別されるコントローラに代わりに送信され得る。この配置により、ジョブコードリストはコントローラによって維持される。クライアント100がコントローラにジョブを送信するとき。コントローラがクラウドサービス121である場合、MFP112は、
図3Eに関連して上述したように、ジョブコードリストにアクセスする。
【0130】
コントローラがオンプレミスサーバ111として識別される場合、ジョブは、代わりにオンプレミスサーバ111に登録される。ジョブコードは、オンプレミスサーバ111によって生成され、電子メールによってクライアント100に送信される。そのジョブは、オンプレミスサーバ111又はクライアント100に格納することができる。MFP112がオンプレミスサーバ111にジョブコードを送信する際、そのジョブコードがジョブコード一覧に含まれていれば、MFP112にジョブが送信される。
【0131】
ジョブコードがオンプレミスサーバ111のジョブコードリストに含まれていない場合、ジョブコードがクラウドサービス121のジョブコードリストに含まれているかどうかをチェックするために、オンプレミスサーバ111によってクラウドサービス121に要求が送信される。ジョブコードがオンプレミスサーバ111のジョブコードリスト又はクラウドサービス121のジョブコードリストに含まれていない場合、オンプレミスサーバ111はMFP112にエラーメッセージを送信する。
【0132】
図4A~4Cは、ユーザがMFP112にログインした後にMFP112によって表示されるユーザインタフェースの詳細を示す。「Secure PrintScan」ユーザインタフェースは、NT-Ware Systemprogrammierungs GMBH(登録商標)から入手可能なuniFLOW software(登録商標)によって提供される、そのようなユーザインタフェースの例を提供する。
【0133】
図4Aは、MFP112によって実行される機能を決定するために使用されるメニューを示す。ユーザインタフェースは、「印刷」アイコン、「スキャン」アイコン、「ログアウト」アイコンを含む。
【0134】
MFP112のユーザ入出力405は、ユーザがディスプレイ409によって提示されるアイコンの間で選択することを可能にする。
【0135】
ユーザが「印刷」アイコンを選択すると、ユーザインタフェースは
図4Bに示すメニューに進む。ユーザが「スキャン」アイコンを選択すると、ユーザインタフェースは
図4Cに示すメニューに進む。ユーザが「ログアウト」アイコンを選択すると、ユーザはMFP112からログアウトされる。
【0136】
機能が利用できない場合は、対応するアイコンが一時的にユーザインタフェースから削除され、機能が使用可能になったら復元される。あるいは、一次停止中のアイコンを選択する可能性のために、そのアイコンを変更して、使用できないことを示すことができる。
【0137】
図4Bは、ユーザが「印刷」アイコンを選択した場合に表示されるユーザインタフェースを示す。このユーザインタフェースは、印刷ジョブのリスト、「印刷+削除」アイコン、「削除」アイコン、「オプション」アイコン、「全選択」アイコン、「スキャン」アイコン、及び「ログアウト」アイコンを含む。このユーザインタフェースは、「新しいジョブ」アイコンと「印刷したジョブ」アイコンをさらに含む。このユーザインタフェースはユーザ名を表示し、印刷ジョブがユーザアカウントに関連付けられていることがユーザに確認される。
【0138】
ユーザは、使用可能な印刷ジョブにアクセスするために、オペレーティングシステムをナビゲート可能である。このオペレーティングシステムは
図3Cに関連して前述したように、オンプレミスサーバ111及びクラウドサービス121の両方によって提供されるジョブリストから作成される印刷ジョブのリストを提示する。印刷ジョブリストからの印刷ジョブの選択により、印刷ジョブが印刷されるためにMFP112に送信される。
【0139】
ユーザは、利用可能な印刷ワークフローにアクセスするために、オペレーティングシステムをナビゲート可能である。印刷ワークフローの選択により、MFP112が指定された設定に従って印刷動作を実行する。印刷ワークフローの例は、カラーオプションや製本オプションを提供するなどの仕上げ機能である。
【0140】
印刷ジョブリストはテーブル形式で提示され、ジョブの詳細、形式、ページ数、印刷するコピー数、印刷ジョブの値段を提供する。さらに、この表は、印刷ジョブがカラーであるか白黒であるかなどの印刷ジョブの属性を識別するアイコンをユーザに表示するために使用することができる追加の列を含む。スクロールバーは、テーブルの現在表示されていない部分にアクセスするために、上/下及び左/右にナビゲートするために使用することができる。
【0141】
ユーザは印刷ジョブリストに表示される印刷ジョブの数を選択できる。あるいは、ユーザは、「全選択」アイコンを選択することにより、すべての印刷ジョブを選択することもできる。
【0142】
ユーザが「印刷+削除」アイコンを選択すると、MFP112はワークフローを実行して、選択されたすべての印刷ジョブを印刷し、印刷ジョブリストから印刷ジョブを削除する。ユーザが「削除」アイコンを選択すると、MFP112は、ワークフローを実行して、選択されたすべての印刷ジョブを印刷せずに削除する。ユーザが「オプション」アイコンを選択すると、MFP112は印刷ジョブ設定を調整するためのアクセスを提供する。
【0143】
ユーザが「スキャン」アイコンを選択すると、ユーザインタフェースは
図4Cに示すメニューに進む。ユーザが「ログアウト」アイコンを選択すると、ユーザはMFP112からログアウトされる。
【0144】
ユーザが「新しいジョブ」アイコンを選択すると、ユーザインタフェースは、まだ印刷されていないジョブをユーザに提示する。ユーザが「印刷したジョブ」アイコンを選択すると、ユーザインタフェースは、以前に印刷したジョブのリストをユーザに提示する。
【0145】
図4Cは、ユーザが「スキャン」アイコンを選択した場合に表示されるユーザインタフェースを示す。このユーザインタフェースは、「Dropbox」アイコン、「フォルダにスキャン」アイコン、「Googleにスキャン」アイコン、及び「自分にスキャン」アイコンを含む。
【0146】
ユーザが「DropBox」アイコンを選択すると、MFP112はワークフローを実行して、DropBox(登録商標)などの外部記憶装置機能にスキャンする。ユーザが「フォルダにスキャン」アイコンを選択すると、MFP112は、ワークフローを実行して、クライアント101のメモリ上などの内部記憶装置機能にスキャンする。ユーザが「Googleにスキャン」アイコンを選択すると、MFP112はワークフローを実行して、Google Drive(登録商標)が提供するようなクラウドサービスのクラウドストレージ機能にスキャンする。ユーザが「自分にスキャン」アイコンを選択すると、MFP112はワークフローを実行して、ユーザに関連付けられた電子メールアドレスにスキャンする。
【0147】
ユーザは、利用可能なスキャンワークフローにアクセスするために、ユーザインタフェースをナビゲート可能である。スキャンワークフローの選択により、MFP112は、スキャンする画像のサイズの決定、又は画像の特定部分の文字認識の実行の決定などの、指定された設定に従うスキャン動作を実行する。さらに、このスキャンワークフローは、画像の編集、ファイル名の決定、電子メールを介したユーザへの文書の送信、又はスキャンされた情報のコピーのプリントアウトなど、そのスキャンされた情報を用いて行うべきことを決定する。
【0148】
このユーザインタフェースはコントローラによって提供され、このコントローラは、
図3Dに従って、オンプレミスサーバ111又はクラウドサービス121となるように決定される。コントローラ(111、121)は、オンプレミスサーバ111によって格納された第1の情報とクラウドサービス121によって格納された第2の情報とを含むユーザインタフェースを提供する。次いで、そのユーザインタフェースは、コントローラによってMFP112に送信され、MFP112によってレンダリングされ、表示される。これにより、MFP112は、オンプレミスサーバ111から受信した第1の情報とクラウドサービス121から受信した第2の情報とに基づいて、ユーザインタフェースを生成するように構成される。
【0149】
上記例は上記例の機能を実行するために記憶デバイスに記録されたプログラムを読み出して実行するシステムや装置(又はCPU若しくはMPUなどの装置)のコンピュータによって実現することもでき、また、上記例の機能を実行するために、記憶デバイスに記録されたプログラムを読み出して実行することなどによって、システムや装置のコンピュータによって実行される方法によって実現することもできる。この目的のために、プログラムは例えば、ネットワークを介して、又は記憶デバイスとして機能する様々なタイプの記録媒体(例えば、非一時的コンピュータ可読媒体のようなコンピュータ可読媒体)から、コンピュータに提供される。
【0150】
本発明は実施形態を参照して説明されてきたが、本発明は開示された実施形態に限定されないことを理解されたい。本発明は、本発明の主な特徴から逸脱することなく、様々な形態で実施することができる。以下の特許請求の範囲は、そのようなすべての修正及び同等の構造及び機能を包含するように、最も広い解釈を与えられるべきである。