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  • 特許-テーパ付きカーフ構造 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-22
(45)【発行日】2024-01-05
(54)【発明の名称】テーパ付きカーフ構造
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/82 20060101AFI20231225BHJP
   E04F 13/08 20060101ALI20231225BHJP
   E04C 2/26 20060101ALI20231225BHJP
   E04C 2/30 20060101ALI20231225BHJP
【FI】
E04B1/82 W
E04B1/82 H
E04F13/08 A
E04C2/26 Q
E04C2/30 D
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022509627
(86)(22)【出願日】2020-08-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-11
(86)【国際出願番号】 US2020047416
(87)【国際公開番号】W WO2021050246
(87)【国際公開日】2021-03-18
【審査請求日】2023-07-28
(31)【優先権主張番号】16/566,909
(32)【優先日】2019-09-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】512127109
【氏名又は名称】ユーエスジー・インテリアズ・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】スピールマン、マイケル ピー.
(72)【発明者】
【氏名】グルブランセン、ペーダー ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】フルカ、サミュエル ディー.
【審査官】河内 悠
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第01674632(EP,A2)
【文献】欧州特許出願公開第00006098(EP,A1)
【文献】実開昭54-161367(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04C 2/00- 2/54
E04F 13/00-13/30
E04B 1/82
B32B 1/00-43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
乾式壁シートであって、表および裏の紙層で外装された石膏コアと、前記シートの表面から裏面に向かってテーパ加工されている前記シートの端部と、を有し、前記テーパが、前記表紙の周縁領域及び前記表紙の周縁の内側に取り付けられた石膏の薄い層を含むフラップであって、前記フラップの幅にほぼ等しい深さまで前記シート縁部をスロット切断することにより生じる空間の中へ折り曲げられている、前記フラップによって形成され、前記フラップが、前記フラップによって占有されていない少なくとも前記スロットの前記空間の大部分を占有するホットメルト接着剤の連続層によって適所に保持されており、
前記ホットメルト接着剤は、前記それぞれのシート縁部の終端に向かって連続した石膏コア材料の厚さの漸減によって形成された前記シートのテーパ加工された端部の貫通抵抗よりも長い距離で、前記シートの表面から前記ホットメルト接着剤を含むテーパ加工された端部に締結具貫通抵抗を付与する弾性を有する、乾式壁シート。
【請求項2】
前記シートが、多数の孔によって貫通穿孔され、かつ前記表紙上で不織ガラス繊維スクリムおよび前記裏紙上で不織布で覆われている、請求項1に記載の乾式壁シート。
【請求項3】
前記ホットメルト接着剤の容積が、前記フラップによって占有されていない前記スロットの容積よりも少なく、それによって、前記フラップの最終位置付け中の前記ホットメルト接着剤の過剰な流体力が回避される、請求項1に記載の乾式壁シート。
【請求項4】
前記フラップの前記石膏は、前記フラップが元のスロット空間から離れて折り曲げられていることから生じる、前記スロットの基部での折れ線を有する、請求項1に記載の乾式壁シート。
【請求項5】
紙で外装された石膏コアを有する乾式壁シートのテーパなし端部にテーパを付ける方法であって、前記シートの表面に平行な、かつそこから離間された縁部の終端に深いカーフを切断することによって、石膏コア材料および表紙層が前記スロットの表側にフラップを形成することと、前記フラップを折り曲げることによって、前記フラップの石膏コア材料が前記スロットの基部に隣接する線に沿って砕ける一方、前記表紙層は損傷されないことにより、前記フラップが前記スロットの基部に隣接する線の周りに前記表紙層とヒンジ結合され、前記フラップの前記石膏が、前記ヒンジ線に隣接する前記石膏コアから折られることと、前記フラップが、前記ヒンジ線において表紙層によって前記シートに取り付けられたままである間に、前記スロットに隣接する元の位置から折り曲げられた状態で、前記スロットの残存する側に沿って溶融したホットメルト接着剤を塗布することと、前記ホットメルト接着剤が前記フラップと前記コアとの間の大部分の空間を占有し、かつ冷却することによって前記ホットメルト接着剤が固まるまで最終位置に前記フラップを保持する連続層を形成することを確実にする様式で、前記フラップを前記元のスロットの前記空間の中へ折り曲げて、前記ホットメルト接着剤と接触させることと、を含む、方法。
【請求項6】
前記ホットメルト接着剤が、フラップと接触し、前記スロット側およびフラップの両方を覆ってビードを横方向に押し出すことを確実にするように、前記ホットメルト接着剤が、前記フラップの移動を止めることを妨げる断面を有する溶融ビードとして堆積される、請求項5に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乾式壁シートまたはパネルの改善に関するものであり、具体的には、シート状のもので端部接合部を仕上げることを容易にする、そのようなシートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の乾式壁シートは、矩形パネルとして製造され、それらの長縁部は、面一テープ接合を容易にするようにテーパ付きである。長縁部は、典型的には、製造プロセスラインと位置合わせされて、テーパ部の形成を容易にする。短縁部は、容易にテーパ付けされず、したがって、大部分の乾式壁は、正方形端部と呼ばれる場合がある平坦なまたはテーパなしの端部を有する。
【0003】
石膏ボードとしても知られている乾式壁シートは、テーパ付き短端部を有して限られた大きさで生産されている。石膏シート鋳造プロセス中またはシートが硬化してある長さに切断された後のいずれかに、様々な技術が採用されている。後者の一実施例は、米国特許第4,584,224号に開示されている。
【0004】
穿孔されて、多孔質スクリムで覆われた音響乾式壁シートは、例えば米国特許第8,684,134号、同第8,770,345号、および同第8,925,677号によって知られている。これらの音響シートは、設置後に、好ましくは比較的滑らかな音響透過塗料でコーティングされる。この塗料またはコーティングは、ごくわずかな表面隠蔽特性しか有しないので、特に従来のテーパなしの突き合わせ接合において、パネルまたはシート間の凸凹の接合部が目立つ場合がある。
【0005】
音響有孔乾式壁シートは、シート縁部がテーパなしである場合に追加的な問題を提示する。従来の乾式壁による標準的な技術である、突き合わせた平坦なシート縁部の接合テープを隠すための幅広パターンへの接合化合物の塗布は、比例的にわずかな音響孔が遮断されてそれらの機能を失うので、吸音機能に不利益である。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、その長縁部が慣習的にテーパ加工され、かつその短縁部が、シートのサービス性を向上させる様式でテーパ部に改良される、乾式壁シートを提供する。本発明の乾式壁シートの改良された短縁部は、カーフ加工またはスロット加工され、カーフに接着剤が供給されて、永続的なテーパ部に変位される。
【0007】
接着剤は、ホットメルト製品であり、これは、改良された縁部の硬度、反発力、および伸び特性を高めることによって、改良された縁部のサービス性を驚くほど向上させ、取り扱い、輸送、および設置に関して、慣習的にテーパ加工された縁部と比較して、縁部の耐久性をより高くする。
【0008】
好ましい形態では、乾式壁シートは、多数の小さい孔によって貫通穿孔される表紙および裏紙で外装され、かつその室内に面する側が多孔質不織ガラス繊維スクリムまたはベールで覆われ、その裏面が不織布で覆われた、従来の石膏コアを有する。スクリムは、カーフ加工動作で形成されたフラップの取り付けを補強し、ホットメルト接着剤の塗布のために上方へ折り曲げ、次いで、所望のテーパ部を形成するように下方へ折り曲げることによって、乾式壁シートの穿孔紙面に接着剤で取り付けられて、本発明のテーパ付き縁部の生産を容易にする。
【0009】
接着剤の塗布は、下方へ折り曲げられたフラップの下側の空間が、好ましくはわずかにアンダーフィルされて、そうでない場合にフラップ接続時に破裂させ得る流体力が低減されるように、または別様に意図した空間から逃げるように測定される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】乾式壁シートの元のテーパなしまたは正方形の端部、ならびに端部をスロット加工するための円形のソーブレードおよびモータのいくらか図式的な断面図である。
図2】スロット加工された後のシート端部の図1と類似の図である。
図3】折り曲げによってフラップを変位させて、ディスペンサからのホットメルト接着剤のスロット付きゾーンへの堆積を可能にした、乾式壁シート端部の図である。
図4】フラップが折り曲げられて、テーパ付き縁部を形成した図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、乾式壁シート10のテーパなし端部を例示する。慣習的であるように、シート10は、矩形面を伴って製造され、表紙層12および裏紙層13で外装されて、それらに接合された石膏コア11を有する。矩形シート10の長縁部は、産業界で慣習的であるように、テーパ加工される。製造されたまたは工場での長縁部テーパは、コア11の周縁における石膏の連続体の厚さを低減させることによって達成される。典型的には、シートまたはパネル10は、4フィート×8フィート、10フィート、または12フィートの主要寸法を有する。例示する実施例では、シート10は、名目上、5/8インチの厚さであり、また、上述した米国特許第8,684,134号、同第8,770,345号、および同第8,925,677号などで開示されているような音響構造である。紙クラッド部12、13を含むシート10は、例えば約12%~20%の総開口区域を有する直径0.312インチ(8mm)の円形孔が貫通穿孔されている。シート10の周囲、例えば5-1/2インチの幅のゾーンは、穿孔されていない。シートの表面または部屋側は、好ましくは、天井パネル産業界で使用されるような、接着剤で取り付けられる多孔質不織ガラス繊維のベールまたはスクリムによって、その4つの縁部またはその近くが覆われ、シート10の裏面は、好ましくは、天井パネル産業界で使用される、接着剤で取り付けられる多孔質不織ガラス繊維のベールまたは布で、その4つの縁部またはその近くが覆われる。
【0012】
一般的であるように、シート10は、最初に、例えば正方形またはテーパなしである、例えば4フィートである短縁部を伴って製造される。本発明は、テーパなし縁部がテーパ付き縁部に変換される方法および結果として生じる製品を提供する。
【0013】
図1を参照すると、シート10の表面の長縁部の元のテーパは、上部破線14で示される。円形のソーブレードまたはカッタ16は、電気モータ17によって回転駆動される。ブレード16は、シート10の平面に平行な平面内にあり、好ましくは、シートの長縁部でのテーパが最小厚さである、破線14の下側にあるのに十分な距離だけシート表面から離間される。
【0014】
回転している間、ブレード16およびモータ17は、元のテーパなしシート縁部18と平行で、かつそれに沿った経路において、機構(図示せず)によって駆動されて、図2に示されるように、この縁部にカーフまたは深スロット19を形成する。一例として、例示される実施例においてシート10の平面と平行な状態で存在するスロットまたはカーフ19は、21で示されるシート10の表面から約0.080インチ離間され、約2-3/4インチの深さ、および理想的にはブレード16の歯の幅に対応する約0.090インチの幅を有する。実用的にできる限り多くの石膏の粉末を排出するために、好ましくは、ブレード16の切断領域に強い真空が印加される。所望に応じて、元の縁部18は、カーフ切断ブレード16の動作の前に、回転ソーブレードなどの好適な工具によって機械加工されるかまたは上張りされることができる。
【0015】
コア11からの石膏材料の薄い層23、ならびにカーフ19から生じる表紙12およびスクリム15と同一の空間に広がる領域を備えるフラップ22は、好ましくは自動的に動作されるプレート26によって上方へまたはシート10から離れて折り曲げられ、該プレートは、カーフに進入し、次いで、カーフ19の基部または底部の近くで、表紙12およびスクリム15と関連するヒンジまたは折り曲げ線27の周りにフラップを回転させる。紙12およびスクリム15は、フラップ22の折り曲げ運動中に「リビングヒンジ」として機能する。石膏フラップ材料23は、好ましくは、紙12およびスクリム15によってそのままの状態に維持し、確実に折り曲げて開いて(図3)、閉じる(図4)ための補強が提供される、十分な厚さのものである。フラップ22の石膏23は、石膏コア11の本体から、カーフまたはスロット19の基部において線28に沿って砕ける。表紙12が破れるまたは別様に損傷するあらゆる傾向が、不織ベールまたはそれに接着されたスクリム15によって阻止される。
【0016】
プレート26によってフラップ22をスロット19の元のゾーンから離して維持した状態で、自動的に動作されたディスペンサ31が、シート縁部18に沿って進行して、元のスロット19の側面33上に多量のホットメルト接着剤32を堆積させる。接着剤の機能温度まで加熱されたディスペンサ31は、複数のオリフィスまたはノズル34を含むことができる。ノズル34は、正確に測定された容積の接着剤32を連続したビードの形態でスロット側面33上へ塗布する。
【0017】
開いたスロット側33に接着剤32を分配した状態で、フラップの遠位端がスロット側33の外端部に接触するまで、または接近して隣接するまで、フラップ22を、平坦なプラテンによってスロット側33に向かって、折り曲げまたはヒンジ線27の周りに自動的に回転させる。プラテン36は、接着剤がスロット側33および石膏層23を形成する石膏に粘着するまでこの位置にフラップ22を保持し、冷却し、および固まらせ、それによって、テーパ付き位置にフラップ22を固定する。
【0018】
好ましくは、接着剤32の分配容積は、フラップがそのテーパ付き位置まで押圧されたときに、スロット側33およびフラップ22によって境界される容積または空間よりもわずかに少ない。これは、スロット19の底部の近くに、およびスロットの外端部に隣接して、接着剤がわずかなボイド領域41、42を残すことを確実にする。
【0019】
1つまたは複数の接着剤ビードは、最初にフラップ石膏層23と接触し、次いで、この層によって横方向に変位する、十分な直径または断面のものである。1つまたは複数の接着剤ビードは、スロット19の全長に沿って連続しているが、好ましくは、スロットの両端部においてわずかに不足する。
【0020】
スロット加工、フラップ制御、および接着剤の分配装置は、シート10の両端部を同時に処理するために複製することができる。
【0021】
好適なホットメルト接着剤の一例は、華氏350度の最適実行温度および摂氏108度の軟化点を有するEVAコポリマー型である。この接着剤32は、室温である程度の弾性を特徴とする。
【0022】
圧潰されたスロット内の接着剤32は、接着剤の両側の石膏11への接着によって、連続膜または層自体および一体複合構造を形成する。内方または後方へ折り曲げられたフラップ22、接着剤32、およびスロット19の後方の残存する石膏コア11によって作製されたテーパ付きシート縁部は、向上した締結具貫通抵抗の驚くべき結果を実証した。シート10の長縁部への従来のテーパ付き縁部によって示される締結具貫通抵抗と比較して、ベンチ試験における接着複合縁部は、約0.017インチの距離のシート長縁部に対する従来のテーパ付き縁部の貫通抵抗と比較して、約0.020インチの距離にわたって、最大負荷の後に、締結具プロファイルの貫通に抵抗する。本発明のテーパ付き接着剤含有シートの縁部でのこの18%の改善された貫通抵抗は、別のシート端部と共有されたジョイストまたはハンガに縁部が取り付けられる場合に特に有益である。この状況では、特にシート縁部がジョイストまたはハンガの正確な中心に正確に達しない場合に、ねじまたは釘の締結具が、ジョイストまたはハンガの中心線に向かって傾けられ得る。さらになお、50%の増加と測定される硬度の増加、およびホットメルト接着剤の柔軟性は、シートの取り扱い中、輸送中、および設置中の衝撃に抵抗する際のシート縁部の耐久性を高める。
【0023】
本開示が例示であること、および本開示に含まれる教示の公正な範囲から逸脱することなく、詳細を追加、修正、または削除することによって様々な変更を行ってもよいことが明白であろう。したがって、本発明は、本開示の特定の詳細に限定されないが、以下の特許請求の範囲がそのように必然的に限定される範囲を除く。

図1
図2
図3
図4