(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-22
(45)【発行日】2024-01-05
(54)【発明の名称】熱交換システム
(51)【国際特許分類】
F28F 3/04 20060101AFI20231225BHJP
F28D 1/047 20060101ALI20231225BHJP
F28F 27/00 20060101ALI20231225BHJP
F28F 1/32 20060101ALI20231225BHJP
【FI】
F28F3/04 B
F28D1/047 B
F28F27/00 511H
F28F1/32 X
F28F1/32 V
(21)【出願番号】P 2022512566
(86)(22)【出願日】2021-03-30
(86)【国際出願番号】 JP2021013615
(87)【国際公開番号】W WO2021200992
(87)【国際公開日】2021-10-07
【審査請求日】2022-08-22
(31)【優先権主張番号】P 2020062488
(32)【優先日】2020-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000183369
【氏名又は名称】住友精密工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【氏名又は名称】宮園 博一
(72)【発明者】
【氏名】花房 翔大
(72)【発明者】
【氏名】安東 賢二
【審査官】礒部 賢
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-141451(JP,A)
【文献】実開平05-038985(JP,U)
【文献】特開平10-200278(JP,A)
【文献】中国実用新案第209609064(CN,U)
【文献】国際公開第2016/158020(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28F 1/00 - 99/00
F28D 1/00 - 13/00
F25B 39/00 - 39/04
F24F 1/00 - 140/60
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱交換器を備え、
前記熱交換器は、
熱交換対象と当接
可能な平板状の基部と、
前記平板状の基部から立ち上がるように設けられた複数のフィン部分
とを有し、
前記複数のフィン部分は、
前記平板状の基部に沿って空気が流れる層状の第1流路
を形成し、
前記第1流路の幅方向の全幅に亘って、一定の間隔に配置され、
前記第1流路の一端から他端に亘って、連続して設けられ、
前記第1流路の幅方向に一定の幅で周期的にうねり、
前記一定の幅は、前記一定の間隔の半分未満の大きさであり、
前記第1流路は、前記第1流路に空気を強制的に流入させることにより前記熱交換対象の熱交換を行う第1モードと、自然対流により前記熱交換対象の熱交換を行う第2モード
とにおいて兼用される
、
熱交換システム。
【請求項2】
前記
第1流路がうねる波形は、前記第1流路の幅方向において、一方側に突出する山部分と、他方側に突出する谷部分と、前記山部分と前記谷部分とを接続する接続部分とを含み、
前記接続部分の前記第1流路の一端側から他端側に向かう方向に対する最大傾斜角度は、10度以上30度以下の角度範囲に含まれる、請求項
1に記載の熱交換システム。
【請求項3】
前記複数のフィン部分の配置間隔は、5mm以上10mm以下の範囲である、請求項1
または2に記載の熱交換システム。
【請求項4】
前記第1流路に対して空気を流入させるファンと、
前記第1モードと前記第2モードとを切り替える制御部とをさらに備え、
前記制御部は、前記熱交換対象の温度に基づいて、前記第1モードと前記第2モードとを切り替えるように構成されている、請求項1~
3のいずれか1項に記載の熱交換システム。
【請求項5】
前記熱交換対象は、熱交換対象流体を含み、
前記熱交換器は、前記平板状の基部と当接した状態で前記熱交換対象流体が流れる第2流路をさらに備える、請求項1~
4のいずれか1項に記載の熱交換システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、熱交換システムおよび熱交換器のフィン構造に関し、特に、自然対流による熱交換と、強制的に空気を流入させることによる熱交換とを行う熱交換システムおよび熱交換器のフィン構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自然対流による熱交換と、強制的に空気を流入させることによる熱交換とを行う熱交換システムおよび熱交換器のフィン構造が知られている。このような熱交換システムは、たとえば、実開昭61-197416号公報に開示されている。
【0003】
実開昭61-197416号公報には、複数本の導管と、導管を連結するU状連結管と、複数のフィンと、電動機ファンとを備える熱交換器が開示されている。複数の導管は、並列して配置されており、端部同士がU状連結管で連結されている。複数のフィンは、ピッチ(配置間隔)を狭くした強制対流部と、自然対流部とを形成するように配置されている。強制対流部は、複数のフィンの中央部に設けられ、自然対流部は強制対流部の左右に設けられている。また、実開昭61-197416号公報に開示されている構成は、強制対流部内に電動機ファンが設けられている。実開昭61-197416号公報に開示された熱交換器は、必要に応じて自然対流と強制対流とを切り替えて冷却(熱交換)を行うように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、実開昭61-197416号公報に開示されている強制対流部は、自然対流部よりもフィンの配置間隔が狭い(小さい)ため、流路抵抗が大きくなる。このような構成では、実開昭61-197416号公報には明記されていないが、強制対流部は、自然対流による熱交換では用いることができない。そのため、実開昭61-197416号公報に開示されている構成では、自然対流による熱交換は自然対流部においてのみ行い、空気を強制的に流入させることによる熱交換は、強制対流部においてのみ行っている。
【0006】
しかしながら、複数のフィンを用いて自然対流部と強制対流部とを形成した場合、複数のフィンは、自然対流による熱交換のみに用いられるフィンと、空気を強制的に流入させることによる熱交換のみに用いられるフィンとに分かれる。すなわち、複数のフィンのうちの一部が自然対流による熱交換にのみ用いられ、残りのフィンが空気を強制的に流入させることによる熱交換にのみ用いられるため、全てのフィンを用いて熱交換を行う構成と比較して、自然対流による熱交換に用いられるフィンの数および空気を強制的に流入させることによる熱交換に用いられるフィンの数が減少する。そのため、自然対流による熱交換と、空気を強制的に流入させることによる熱交換とを切り替えて行う場合に、各々の熱交換効率が低下するという問題点がある。
【0007】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、自然対流による熱交換と、空気を強制的に流入させることによる熱交換とを切り替えて行う場合に、各々の熱交換効率が低下することを抑制することが可能な熱交換システム、および、熱交換器のフィン構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本願発明者らが鋭意検討した結果、熱交換器が備える第1流路内の複数のフィン部分をうねらせることにより、自然対流による熱交換と、第1流路内に空気を強制的に流入させることによる熱交換とにおいて兼用することが可能であることを見出した。この知見に基づき、この発明による熱交換システムは、熱交換器を備え、熱交換器は、熱交換対象と当接可能な平板状の基部と、平板状の基部から立ち上がるように設けられた複数のフィン部分とを有し、複数のフィン部分は、平板状の基部に沿って空気が流れる層状の第1流路を形成し、第1流路の幅方向の全幅に亘って、一定の間隔に配置され、第1流路の一端から他端に亘って、連続して設けられ、第1流路の幅方向に一定の幅で周期的にうねり、一定の幅は、一定の間隔の半分未満の大きさであり、第1流路は、第1流路に空気を強制的に流入させることにより熱交換対象の熱交換を行う第1モードと、自然対流により熱交換対象の熱交換を行う第2モードとにおいて兼用される。
【0009】
この発明による熱交換器では、上記のように、複数のフィン部分は、平板状の基部に沿って空気が流れる層状の第1流路の幅方向の全幅に亘って、一定の間隔に配置される。また、複数のフィン部分は、第1流路の一端から他端に亘って、連続して設けられる。また、複数のフィン部分は、第1流路の幅方向に一定の幅で周期的にうねる。また、一定の幅は、一定の間隔の半分未満の大きさである。また、第1流路は、空気を強制的に流入させることにより熱交換を行う第1モードと、自然対流により熱交換を行う第2モードとにおいて兼用されるように構成されている。これにより、第1流路が、第1モードと第2モードとにおいて兼用されるので、第1流路内で第1モードのみに用いられるフィン部分と第2モードのみに用いられるフィン部分との両方のフィン部分を備える構成と比較して、各熱交換モードに用いられるフィン部分の数が減少することを抑制することができる。また、複数のフィン部分が、第1流路の幅方向においてうねり形状を有するので、複数のフィン部分がうねり形状を有していない構成と比較して、流入させた空気の乱流により、伝熱を促進させることができる。また、フィン部分の配置間隔を狭めることなく伝熱面積を増加させることができる。これらの結果、自然対流による熱交換と、空気を強制的に流入させることによる熱交換とを切り替えて行う場合に、各々の熱交換効率が低下することを抑制することができる。
【0012】
上記発明による熱交換システムにおいて、好ましくは、第1流路がうねる波形は、第1流路の幅方向において、一定のうねり幅で同じ波形のうねりパターンが反復するようにうねっており、うねりパターンは、第1流路の幅方向において、一方側に突出する山部分と、他方側に突出する谷部分と、山部分と谷部分とを接続する接続部分とを含み、接続部分の第1流路の一端側から他端側に向かう方向に対する最大傾斜角度は、10度以上30度以下の角度範囲に含まれる。
【0013】
ここで、第1流路のうねりの周期が一定の場合、接続部分の最大傾斜角度が大きいほど、第1流路における乱流の効果が大きくなり、さらに伝熱面積を大きくすることができる。第1流路の伝熱面積が大きくなると、空気を強制的に流入させる第1モードによる熱交換性能を向上させることができる。しかしながら、接続部分の最大傾斜角度が大きい場合、第1流路における圧力損失が増加するため、空気の自然対流によって熱交換を行う第2モードにおける熱交換効率が低下する。また、第1流路のうねりの周期が一定の場合、接続部分の最大傾斜角度が小さいほど、第1流路の乱流の効果が小さくなり、伝熱面積が小さくなるので、第1モードによる熱交換性能が低下する。しかしながら、接続部分の最大傾斜角度が小さい場合、第1流路の圧力損失が低下するので、第2モードにおける熱交換効率が向上する。そこで、本願発明者らが検討した結果、接続部分の最大傾斜角度が10度以上30度以下の角度範囲に含まれる場合に、第1モードにおける熱交換、および、第2モードにおける熱交換のいずれにおいても、高い性能を確保できることが確認できた。
【0014】
上記発明による熱交換システムにおいて、好ましくは、複数のフィン部分の配置間隔は、5mm以上10mm以下の範囲である。このように構成すれば、複数のフィン部分を、自然対流によって熱交換を行う第2モードに適した間隔で配置することができる。また、複数のフィン部分の配置間隔をこの範囲にすると、空気の自然対流によって熱交換を行う第2モードで高い性能が得られる一方、空気を強制的に流入させることにより熱交換を行う第1モードの用途としては、配置間隔が大きい。すなわち、複数のフィン部分を5mm以上10mm以下の範囲の配置間隔で配置した場合、第1モードによる熱交換性能が低下する。そこで、本願発明者らが検討した結果、複数のフィン部分がうねり形状を有していることによって、複数のフィン部分を5mm以上10mm以下の範囲の配置間隔で配置した場合でも、第1モードによる熱交換でも高い性能を確保できることが確認できた。
【0016】
上記発明による熱交換システムにおいて、好ましくは、第1流路に対して空気を流入させるファンと、第1モードと第2モードとを切り替える制御部とをさらに備え、制御部は、熱交換対象の温度に基づいて、第1モードと第2モードとを切り替えるように構成されている。このように構成すれば、熱交換対象の温度に基づいて、第1モードと第2モードとが切り替えられるので、たとえば、常に第1モードによって熱交換を行う構成と比較して、消費電力が増加することを抑制することができる。また、たとえば、常に第2モードによって熱交換を行う構成と比較して、効率的に熱交換対象の熱交換を行うことができる。その結果、消費電力の増加を抑制しつつ、効率的に熱交換対象の熱交換を行うことができる。
【0017】
上記発明による熱交換システムにおいて、好ましくは、熱交換対象は、熱交換対象流体を含み、熱交換器は、複数のフィン部分が設けられた基部と当接した状態で熱交換対象流体が流れる第2流路をさらに備える。このように構成すれば、第2流路に熱交換対象流体を流入させることにより、複数のフィン部分が設けられた基部と熱交換対象流体とを容易に当接させることが可能となり、熱交換対象流体の熱交換を容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、上記のように、自然対流による熱交換と、空気を強制的に流入させることによる熱交換とを切り替えて行う場合に、各々の熱交換効率が低下することを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】第1実施形態による熱交換システムを示した斜視図である。
【
図2】第1実施形態による熱交換器の基部および複数のフィン部分を示した斜視図である。
【
図3】第1実施形態による第1流路をX1方向から見た模式図である。
【
図4】第1実施形態による第1流路をZ1方向から見た模式図である。
【
図5】第1実施形態による熱交換器と、比較例による熱交換器とを用いて、前面風速を変化させた際の熱交換量の変化を示したシミュレーション結果である。
【
図6】第1実施形態による熱交換器と、比較例による熱交換器とを用いて、前面風速を変化させた際の圧力損失の変化を示したシミュレーション結果である。
【
図7】第1実施形態による熱交換システムが、第1モードと第2モードとを切り替える処理を説明するためのフローチャートである。
【
図8】第2実施形態による接続部分の最大傾斜角度を説明するための模式図である。
【
図9】第2実施形態によるシミュレーションに用いた熱交換器および比較例の熱交換器を説明するための模式図(A)~模式図(F)である。
【
図10】第2実施形態による第1流路の接続部分の角度および周期を異ならせた熱交換器における、前面風速を変化させた際の熱交換量の変化を示したシミュレーション結果である。
【
図11】第2実施形態による第1流路の接続部分の角度および周期を異ならせた熱交換器における、前面風速を変化させた際の圧力損失の変化を示したシミュレーション結果である。
【
図12】変形例による熱交換器の基部および複数のフィン部分を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0024】
[第1実施形態]
(熱交換器の構成)
まず、
図1~
図4を参照して、本実施形態による熱交換システム100の全体構成について説明する。
【0025】
(全体構成)
図1に示すように、熱交換システム100は、熱交換器1と、ファン2と、制御部3と、第1温度センサ4と、第2温度センサ5とを備える。なお、本明細書では、上下方向をZ方向とし、上方向をZ1方向、下方向をZ2方向とする。また、Z方向と直交する面内において互いに直交する2方向をそれぞれX方向およびY方向とする。X方向のうち、一方側をX1方向とし、他方側をX2方向とする。また、Y方向のうち、一方側をY1方向とし、他方側をY2方向とする。
【0026】
熱交換器1は、流体の流入口または流出口となる開口を有し、流体を流通させて熱交換を行うように構成されている。
図1では、熱交換器1がプレートフィン型の熱交換器である例を示している。プレートフィン型の熱交換器1は、開口が形成された表面(側面)を含む直方体形状を有する。熱交換器1は、内部に流体を流通させる流路を有し、流体を流通させる過程で熱交換するように構成されている。なお、熱交換器1が行う熱交換には、冷却および加熱が含まれる。本実施形態では、熱交換器1が熱交換対象の冷却を行う場合について説明する。
【0027】
熱交換器1は、セパレートプレート10と、第1コルゲートフィン13と、第2コルゲートフィン14とが積層された構造を有する。また、第1コルゲートフィン13の外周部には、第1サイドバー15が配置されている。また、第2コルゲートフィン14の外周部分には、第2サイドバー16が配置されている。これらの第1コルゲートフィン13と、第2コルゲートフィン14と、セパレートプレート10と、第1サイドバー15、第2サイドバー16とがろう付けによってそれぞれ接合されることにより、熱交換器1が構成されている。セパレートプレート10は、請求の範囲の「基部」の一例である。
【0028】
第1流路11は、セパレートプレート10と、第1サイドバー15と、セパレートプレート10とにより区画され、内部に第1コルゲートフィン13が配置された各層によって構成されている。第1流路11内には、流体として、空気が流れる。本実施形態では、第1流路11は、上下方向(Z方向)に延びるように形成されている。
図1に示す例では、Y方向が、第1流路11の幅方向である。また、X方向が、第1流路11の高さ方向である。
【0029】
また、第2流路12は、セパレートプレート10と、第2サイドバー16とセパレートプレート10とにより区画され、内部に第2コルゲートフィン14が配置された各層によって構成されている。また、第2流路12内にはセパレートプレート10と当接した状態で熱交換対象流体が流れる。
【0030】
本実施形態では、熱交換器1は、第1流路11および第2流路12のそれぞれを流通する空気と熱交換対象流体との間で熱交換を行う。なお、
図1に示す例では、空気は、Z2方向側から第1流路11内に流入し、Z1方向側から流出する。また、熱交換対象流体は、Y1方向側から第2流路12に流入し、Y2方向側から流出する。
【0031】
セパレートプレート10は、矩形形状を有している。また、セパレートプレート10は、熱交換対象と当接するように構成されている。熱交換対象は、熱交換対象流体を含む。熱交換対象流体は、たとえば、オイル、または、冷媒などを含む。
【0032】
熱交換器1は、第1流路11と第2流路12とが直交するように、第1流路11と第2流路12とが交互に積層された構造を有する。また、第1流路11および第2流路12は、X方向において積層されている。
【0033】
図1の例では、熱交換器1は、第1流路11の開口11aが形成された表面1aと、第2流路12の開口12aが形成された表面1bとを含む。Z方向の両表面1aに第1流路11の開口11aが形成され、表面1aと直交するY方向側の両表面1bに、第2流路12の開口12aが形成されている。開口11aは、表面1aのうち、第2流路12を除く部分に形成されている。また、開口12aは、表面1bのうち、第1流路11を除く部分に形成されている。
【0034】
ファン2は、制御部3の制御の下、第1流路11に対して空気を流入させるように構成されている。ファン2は、Z2方向側の開口11aから、第1流路11に空気を流入させるように構成されている。ファン2は、Z2方向側の開口11aを塞ぐように、Z2方向側の表面1aに接触した状態で設けられている。ファン2は、たとえば、第1流路11に空気を送風する送風機を含む。
【0035】
制御部3は、ファン2によって第1流路11に空気を強制的に流入させることにより熱交換対象の熱交換を行う第1モードと、自然対流により熱交換対象の熱交換を行う第2モードとを切り替える制御を行うように構成されている。また、制御部3は、第1温度センサ4が取得した空気の温度および第2温度センサ5が取得した熱交換対象の温度に基づいて、空気と熱交換対象との温度差を取得するように構成されている。本実施形態では、第1流路11は、第1モードと第2モードとにおいて兼用されるように構成されている。制御部3は、たとえば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)などを含む。
【0036】
第1温度センサ4は、空気の温度を取得するように構成されている。第1温度センサ4は、Z2方向側の開口11aの近傍に設けられており、第1流路11に流入する空気の温度を取得する。また、第1温度センサ4は、取得した空気の温度を、制御部3に出力するように構成されている。
【0037】
第2温度センサ5は、熱交換対象の温度を取得するように構成されている。第2温度センサ5は、Y1方向側の開口12aの近傍に設けられており、第2流路12に流入する熱交換対象の温度を取得する。また、第2温度センサ5は、取得した熱交換対象の温度を、制御部3に出力するように構成されている。
【0038】
(第1流路の構成)
次に、
図2を参照して、第1流路11の構成について説明する。
図2に示すように、第1流路11は、セパレートプレート10と、1つの第1コルゲートフィン13とによって形成される。なお、
図2に示す例では、便宜上、X1方向側のセパレートプレート10の図示を省略している。
【0039】
図2に示すように、セパレートプレート10は、YZ平面に沿って延びている。
図2に示す例は、セパレートプレート10は、長辺がZ方向に沿う向きで配置されている。第1コルゲートフィン13は、複数のフィン部分13aと、第1接続部分13bと、第2接続部分13cとを含む。複数のフィン部分13aは、セパレートプレート10から立ち上がるように設けられている。複数のフィン部分13aは、X2方向側からX1方向側に向けて、セパレートプレート10から立ち上がるように設けられている。また、複数のフィン部分13aは、X1方向側において、第1接続部分13bによって接続される。また、複数のフィン部分13aは、X2方向側において、第2接続部分13cによって接続される。なお、第1接続部分13bと第2接続部分13cとは、Y方向において、交互に設けられている。第1流路11は、セパレートプレート10から立ち上がるように設けられた複数のフィン部分13aによって区画されている。
【0040】
また、
図2に示すように、複数のフィン部分13aは、第1流路11の幅方向(Y方向)において所定の間隔p1で並んで配置されている。また、複数のフィン部分13aは、第1流路11の一端11bから他端11cに向けて第1流路11の幅方向(Y方向)においてうねり形状を有するように形成されている。具体的には、複数のフィン部分13aは、第1流路11の幅方向(Y方向)の全幅に亘って、間隔p1で等間隔となるように配置されている。なお、複数のフィン部分13aの間隔p1とは、フィン部分13aの板厚を除いた隙間部分の距離である。なお、うねり形状とは、第1流路11の一端11bから他端11cに向かう方向(Z方向)において、山部分11dと、谷部分11eとが、交互に繰り返される形状のことである。
【0041】
また、本実施形態では、複数のフィン部分13aは、周期p2によってうねっている。なお、周期p2とは、Z方向において、フィン部分13aのY1方向側の山部分11d同士の間の距離である。
【0042】
図3に示すように、複数のフィン部分13aは、第1流路11の幅方向(Y方向)において、一定のうねり幅Wで同じ波形のうねりパターンが反復するようにうねっている。なお、うねり幅Wとは、フィン部分13aのY1方向側の山部分11dから、フィン部分13aのY1方向側の谷部分11eまでの距離である。また、うねりパターンとは、Z方向において、複数のフィン部分13aがうねる際の繰り返しの単位のことを意味する。
【0043】
本実施形態では、うねり幅Wが一定であるため、フィン部分13aのY2方向側の谷部分11gから、フィン部分13aのY2方向側の山部分11fまでの距離も、フィン部分13aのY1方向側の山部分11dから、フィン部分13aのY1方向側の谷部分11eまでの距離と等しくなる。
【0044】
図4は、第1流路11をZ1方向側から見た模式図である。
図4では、フィン部分13aと、第1接続部分13bと、第2接続部分13cと、フィン部分13aの山部分11d(
図3参照)のうち、Z2方向側から見える面110aと、フィン部分13aの谷部分11e(
図3参照)のうち、Z2方向側から見える面110bと、フィン部分13aの山部分11f(
図3参照)のうち、Z2方向側から見える面110cと、フィン部分13aの谷部分11g(
図3参照)のうち、Z2方向側から見える面110dとを図示している。なお、
図4は、断面図ではなく、セパレートプレート10と、フィン部分13aと、第1接続部分13bと、第2接続部分13cと、面110a~面110dとを識別し易くするために、互いに異なるハッチングを付して図示している。
【0045】
図4に示すように、複数のフィン部分13aは、第1流路11の一端11bから見た際に、第1流路11の他端11cが見えるように周期的にうねっている。具体的には、うねり幅Wは、少なくとも、複数のフィン部分13aの間隔p1の半分未満の大きさである。言い換えると、複数のフィン部分13aは、面110bのY2方向側の端部111aと、面110cのY1方向側の端部111bとの間の距離Dが0(ゼロ)とならないようにうねっている。すなわち、複数のフィン部分13aは、複数のフィン部分13aの面110bのY方向における幅W1と、面110cのY方向における幅W2とを足し合わせた大きさが、複数のフィン部分13aの間隔p1よりも小さくなるようにうねっている。本実施形態では、複数のフィン部分13aの間隔p1は、5mm以上10mm以下の範囲である。本実施形態では、複数のフィン部分13aの間隔p1は、たとえば、約8mmである。また、本実施形態では、第1フィン部分の厚みは、約0.25mmである。
【0046】
本実施形態では、第1流路11は、熱交換対象の熱交換を行う際に、第1流路11に対して強制的に空気を流入させることにより熱交換対象の熱交換を行う強制熱交換と、自然対流により熱交換対象の熱交換を行う自然熱交換と、において兼用される。以下、本実施形態による熱交換器1と、比較例とを用いてシミュレーションを行うことにより、本実施形態による熱交換器1が強制熱交換と自然熱交換とにおいて兼用可能であることを確認した。なお、以下に示すシミュレーション結果は、実施形態による熱交換器1と、比較例とを用いて熱交換対象を冷却したものである。
【0047】
(熱交換量のシミュレーション結果)
図5に示すグラフG1は、本実施形態における熱交換器1と、比較例による熱交換器とを用いて、前面風速を変化させた際の熱交換量の変化を示している。グラフG1は、熱交換量(kW:キロワット)を縦軸にとり、前面風速(m/s:メートル毎秒)を横軸にとっている。なお、前面風速とは、熱交換器1に流入する際の開口11aにおける空気の風速であり、複数のフィン部分13aの間を流れる空気の風速ではない。また、グラフG1に示すシミュレーション結果は、第1流路11に流入する際の開口11aにおける空気の温度を30度、第2流路12を流れる熱交換対象流体の温度を85度に固定した状態でシミュレーションを行ったことにより得られた結果である。
【0048】
また、グラフG1では、実施例として、厚みが約0.25mmのフィンが、約8mmの配置間隔となるように配置された熱交換器を用いた。また、比較例として、自然熱交換に適した配置のフィンを備えた自然熱交換用熱交換器と、強制熱交換に適したフィンを備えた強制熱交換用熱交換器とを用いた。自然熱交換用の熱交換器は、たとえば、厚みが約0.25mmのフィンが、約8mmの配置間隔となるように配置されたものである。また、強制熱交換用熱交換器は、たとえば、厚みが約0.25mmのフィンが、約3.4mmの配置間隔となるように配置されたものである。また、自然熱交換用熱交換器のフィンおよび強制熱交換用熱交換器のフィンは、どちらも、第1流路の一端から他端に向けてY方向にうねる形状を有していない。自然熱交換用熱交換器のフィンおよび強制熱交換用熱交換器のフィンは、プレーンタイプのコルゲートフィンによって構成されている。
【0049】
グラフG1では、本実施形態による熱交換器1のシミュレーション結果を、実線20で図示している。また、自然熱交換用熱交換器のシミュレーション結果を、破線21で図示している。また、強制熱交換用熱交換器のシミュレーション結果を、一点鎖線22で図示している。なお、グラフG1では、便宜的に、前面風速が0(ゼロ)の位置に、自然熱交換によるシミュレーション結果の値を示している。
【0050】
グラフG1に示すように、前面風速が0(ゼロ)の場合、自然熱交換用熱交換器の熱交換量が1番大きく、次いで本実施形態による熱交換器1の熱交換量が大きく、強制熱交換用熱交換器の熱交換量が一番小さい結果となった。なお、前面風速が0(ゼロ)とは、自然対流による熱交換である。すなわち、第2モードによる熱交換である。また、前面風速が0(ゼロ)以上の場合が、第1モードによる熱交換である。
【0051】
また、グラフG1に示すように、前面風速を0.5(m/s)まで大きくすると、強制風用熱交換器の熱交換量が最も大きくなり自然熱交換用熱交換器の熱交換量が最も小さくなった。前面風速が0.5(m/s)から2.0(m/s)までの範囲では、強制熱交換用熱交換器の熱交換量が最も大きくなり、自然熱交換用熱交換器の熱交換量が最も小さくなった。前面風速を2.0(m/s)よりも大きくすると、本実施形態による熱交換器1の熱交換量が最も大きくなり、自然熱交換用熱交換器の熱交換量が最も小さくなった。具体的には、前面風速が2.0(m/s)の場合、強制熱交換用熱交換器の熱交換量に対する本実施形態による熱交換器1の熱交換量の比率は、約96%であった。また、強制熱交換用熱交換器の熱交換量に対する自然熱交換用熱交換器の熱交換量の比率は、約39%であった。また、前面風速が3.0(m/s)の場合、強制熱交換用熱交換器の熱交換量に対する本実施形態による熱交換器1の熱交換量の比率は、約112%であった。また、強制熱交換用熱交換器の熱交換量に対する自然熱交換用熱交換器の熱交換量の比率は、約40%であった。すなわち、本実施形態による熱交換器1は、第1モードによる熱交換では、強制熱交換用熱交換器と同等か、それ以上の熱交換効率であることが確認された。
【0052】
また、本実施形態による熱交換器1は、第2モードによる熱交換では、自然熱交換用熱交換器の熱交換量に対する本実施形態による熱交換器1の熱交換量の比率は、約93%であった。また、自然熱交換用熱交換器の熱交換量に対する強制熱交換用熱交換器の熱交換量の比率は、約39%であった。すなわち、本実施形態による熱交換器1は、第2モードによる熱交換では、自然熱交換用熱交換器と同等の熱交換効率であることが確認された。これらにより、本実施形態による熱交換器1は、第1モードおよび第2モードにおいて兼用することが可能であることが確認された。
【0053】
(圧力損失のシミュレーション結果)
また、
図6に示すグラフG2は、本実施形態における熱交換器1と、比較例による熱交換器とを用いて、前面風速を変化させた際の圧力損失の変化を示している。グラフG2は、圧力損失(Pa:パスカル)を縦軸にとり、前面風速(m/s:メートル毎秒)を横軸にとっている。なお、グラフG2においても、本実施形態による熱交換器1と、自然熱交換用熱交換器と、強制熱交換用熱交換器とを用いてシミュレーションを行った。
【0054】
グラフG2では、本実施形態による熱交換器1のシミュレーション結果を、実線23で図示している。また、自然熱交換用熱交換器のシミュレーション結果を、破線24で図示している。また、強制熱交換用熱交換器のシミュレーション結果を、一点鎖線25で図示している。なお、グラフG2においても、便宜的に、前面風速が0(ゼロ)の位置に、自然熱交換によるシミュレーション結果の値を示している。
【0055】
グラフG2に示すように、前面風速が0(ゼロ)の場合、いずれの熱交換器においても、圧力損失は0(ゼロ)であった。また、前面風速が1.5(m/s)までの範囲では、強制熱交換用熱交換器の圧力損失が最も大きくなり、自然熱交換用熱交換器の圧力損失が最も小さくなる結果となった。また、前面風速が1.5(m/s)よりも大きくなる範囲では、本実施形態による熱交換器1の圧力損失が最も大きくなり、自然熱交換用熱交換器の熱交換量が最も小さくなる結果となった。この結果からも、本実施形態による熱交換器1は、前面風速が大きい場合には、圧力損失が大きくなる分、熱交換効率も大きくなるため、第1モードによる熱交換に用いることが可能であることを確認できた。本実施形態による熱交換器1は、強制熱交換用熱交換器よりも、フィンの配置間隔が大きいにもかかわらず、1.5(m/s)付近で強制熱交換用熱交換器のフィンよりも高い圧力損失が発生するのは、第1フィン部のうねり形状によって、風速の増大に伴い乱流形成が促進されるためと考えられる。また、本実施形態による熱交換器1は、前面風速が小さい場合は、自然熱交換用熱交換器と同様に圧力損失が小さいので、第2モードによる熱交換に用いることが可能であることが確認できた。これらにより、本実施形態による熱交換器1は、第1モードと第2モードとを兼用することが可能であることが確認できた。
【0056】
(第1モードと第2モードとの切り替え)
本実施形態では、制御部3は、熱交換対象の温度に基づいて、第1モードと第2モードとを切り替えるように構成されている。具体的には、制御部3は、第2温度センサ5によって取得された第2流路12に流入する熱交換対象流体の温度が、所定の温度以下になるように、ファン2によって空気を強制的に第1流路11に流入させる。本実施形態では、制御部3は、第1温度センサ4によって取得された第1流路11に流入する空気の温度と、第2温度センサ5によって取得された第2流路12に流入する熱交換対象流体の温度との差分を取得する。制御部3は、取得した第1流路11に流入する空気と第2流路12に流入する熱交換対象流体との温度差に基づいて、ファン2による空気の流入量を調整する。すなわち、空気と熱交換対象との温度差が小さい場合には、制御部3は、ファン2による空気の流入量を増加させる。また、空気と熱交換対象との温度差が大きい場合には、制御部3は、ファン2による空気の流入量を減少させる。
【0057】
また、制御部3は、取得した第1流路11に流入する空気と第2流路12に流入する熱交換対象流体との温度差が大きく、必要となる熱交換量が減少した場合には、ファン2の動作を停止する。すなわち、制御部3は、第2モードによって熱交換を行う制御を行う。なお、第2モードによって熱交換を行う際には、ファン2は停止される。したがって、空気は、自然対流により、ファン2の隙間を通り、Z2方向側の開口11aから第1流路11に流入する。
【0058】
次に、
図7を参照して、本実施形態による制御部3が、第1モードと第2モードとを切り替える処理について説明する。
【0059】
ステップS1において、制御部3は、自然熱交換と強制熱交換との自動切換えの開始の操作入力が行われたか否かを判定する。自動切換えの開始の操作入力が行われた場合、処理は、ステップS2へ進む。自動切換えの開始の操作入力が行われなかった場合、ステップS1の処理を繰り返す。
【0060】
ステップS2において、制御部3は、第2流路12に流入される熱交換対象流体の温度を取得する。具体的には、制御部3は、第2温度センサ5(
図1参照)によって第2流路12に流入される熱交換対象流体の温度を取得する。
【0061】
ステップS3において、制御部3は、熱交換対象流体の温度が所定の温度以上であるか否かを判定する。熱交換対象流体の温度が所定の温度以上の場合、処理は、ステップS4へ進む。熱交換対象流体の温度が所定の温度未満の場合、処理は、ステップS5へ進む。
【0062】
ステップS4において、制御部3は、第2モードに切り替える。具体的には、制御部3は、ファン2を停止させることにより、第2モードに切り替える。なお、ファン2が停止している場合には、ステップS4の処理は省略される。すなわち、第2モードで動作している場合、ステップS4の処理は省略される。
【0063】
また、ステップS3からステップS5へ進んだ場合、ステップS5において、制御部3は、第1モードに切り替える。具体的には、制御部3は、ファン2を作動させることにより、第1モードに切り替える。なお、制御部3は、第1温度センサ4によって取得された空気の温度に基づいて、ファン2によって第1流路11内に流入させる空気の量を制御してもよい。また、ファン2が作動している場合、ステップS5の処理は省略される。
【0064】
ステップS6において、制御部3は、自動切換えの終了の操作入力が行われたか否かを判定する。自動切換えの終了の操作入力が行われていない場合、処理は、ステップS2へ進む。自動切換えの終了の操作入力が行われた場合、処理は、終了する。
【0065】
[第1実施形態の効果]
第1実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0066】
第1実施形態では、上記のように、複数のフィン部分13aは、空気が流れる第1流路11の幅方向(Y方向)において所定の間隔p1で並んで配置されており、第1流路11の一端11bから他端11cに向けて第1流路11の幅方向においてうねり形状を有するように形成されており、第1流路11は、空気を強制的に流入させることにより熱交換を行う第1モードと、自然対流により熱交換を行う第2モードとにおいて兼用されるように構成されているので、第1流路11が、第1モードと第2モードとにおいて兼用されるので、第1モード用の流路と第2モード用の流路との両方の流路を備える構成と比較して、熱交換器1の構造が複雑化することを抑制することができる。また、複数のフィン部分13aが、第1流路11の幅方向(Y方向)においてうねり形状を有するので、複数のフィン部分13aがうねり形状を有していない構成と比較して、流入させた空気の乱流により、伝熱を促進させることができる。また、伝熱面積を増加させることができる。その結果、自然対流による熱交換と、空気を強制的に流入させることによる熱交換とを切り替えて行うことが可能であるとともに、熱交換器1の構造が複雑化することを抑制することができる。
【0067】
また、複数のフィン部分13aは、第1流路11の一端11bから他端11cに亘って、連続して設けられており、第1流路11の一端11bから見た際に、第1流路11の他端が見えるように周期的にうねっているので、第1流路11内において、貫通した流路が形成される。したがって、複数のフィン部分13aによって第1流路11内に貫通した流路が形成されない構成と比較して、第1流路11内を流れる空気の圧力損失が増加することを抑制することができる。その結果、複数のフィン部分13aがうねり形状を有している場合でも、自然対流によって熱交換を行う第2モードにおける熱交換効率を確保することができる。
【0068】
また、複数のフィン部分13aは、第1流路11の幅方向(Y方向)において、一定のうねり幅Wで同じ波形のうねりパターンが反復するようにうねっており、うねり幅Wは、少なくとも、複数のフィン部分13aの間隔p1の半分未満の大きさであるので、複数のフィン部分13aが第1流路11の幅方向(Y方向)において、一定のうねり幅Wで同じ波形のうねりパターンが反復するようにうねっている。そのため、複数のフィン部分13aのうねり幅Wおよび/またはうねりパターンが途中で異なる構成と比較して、複数のフィン部分13aの構造(形状)を簡素化することができる。また、複数のフィン部分13aのうねり幅Wは、少なくとも、複数のフィン部分13aの配置間隔p1の半分未満の大きさであるので、第1流路11の一端11bから見た際に、第1流路11の他端11cが見える構成とすることが可能となり、第2モードにおける熱交換効率を確保することができる。その結果、複数のフィン部分13aの構造(形状)の簡素化と、第2モードでの熱交換効率の確保とを両立することができる。
【0069】
また、複数のフィン部分13aの間隔p1は、5mm以上10mm以下の範囲であるので、複数のフィン部分13aを、自然対流によって熱交換を行う第2モードに適した間隔で配置することができる。また、複数のフィン部分13aの配置間隔をこの範囲にすると、空気の自然対流によって熱交換を行う第2モードで高い性能が得られる一方、空気を強制的に流入させることにより熱交換を行う第1モードの用途としては、配置間隔が大きい。すなわち、複数のフィン部分13aを5mm以上10mm以下の範囲の配置間隔で配置した場合、第1モードによる熱交換性能が低下する。そこで、上記実施例に示したように、複数のフィン部分13aがうねり形状を有していることによって、複数のフィン部分13aを5mm以上10mm以下の範囲の配置間隔で配置した場合でも、第1モードによる熱交換でも高い性能を確保できることが確認できた。
【0070】
また、複数のフィン部分13aは、第1流路11の幅方向(Y方向)の全幅に亘って、等間隔となるように配置されているので、複数のフィン部分13aが、第1流路11の幅方向(Y方向)の全幅に亘って、等間隔となるように配置されているので、第1流路11の途中で複数のフィン部分13aの間隔p1を変更することにより、第1モードによって熱交換を行う部分と、第2モードによって熱交換を行う部分とを形成する構成と異なり、第1流路11全体を用いて、第1モードによる熱交換および第2モードによる熱交換を行うことができる。その結果、各熱交換モードの熱交換効率が低下することを抑制することができる。
【0071】
また、制御部3は、熱交換対象の温度に基づいて、第1モードと第2モードとを切り替えるように構成されているので、熱交換対象の温度に基づいて、第1モードと第2モードとが切り替えられる。したがって、たとえば、常に第1モードによって熱交換を行う構成と比較して、消費電力が増加することを抑制することができる。また、たとえば、常に第2熱交換モードによって熱交換を行う構成と比較して、効率的に熱交換対象を熱交換することができる。その結果、消費電力の増加を抑制しつつ、効率的に熱交換対象を熱交換することができる。
【0072】
また、熱交換対象は、熱交換対象流体を含み、熱交換器1は、複数のフィン部分13aが設けられたセパレートプレート10と当接した状態で熱交換対象流体が流れる第2流路12をさらに備えるので、第2流路12に熱交換対象流体を流入させることにより、複数のフィン部分13aが設けられたセパレートプレート10と熱交換対象流体とを容易に当接させることが可能となり、熱交換対象流体の熱交換を容易に行うことができる。
【0073】
また、熱交換器1のフィン構造は、複数のフィン部分13aが、空気が流れる第1流路11の幅方向(Y方向)において所定の間隔p1で並んで配置されており、第1流路11の一端11bから他端11cに向けて第1流路11の幅方向においてうねり形状を有するように形成されており、第1流路11は、熱交換対象の熱交換を行う際に、第1流路11に対して強制的に空気を流入させることにより熱交換対象の熱交換を行う強制熱交換と、自然対流により熱交換対象の熱交換を行う自然熱交換と、において兼用されるように構成されているので、上記熱交換システム100と同様に、自然対流による熱交換と、空気を強制的に流入させることによる熱交換とを切り替えて行うことが可能であるとともに、熱交換器1の構造が複雑化することを抑制することが可能な熱交換器1のフィン構造を提供することができる。また、熱交換器1のフィン構造は、複数のフィン部分13aが、第1流路11の幅方向(Y方向)の全幅に亘って、等間隔となるように配置されているので、第1流路11の途中で複数のフィン部分13aの配置間隔p1を変更することにより、第1モードによって熱交換を行う部分と、第2モードによって熱交換を行う部分とを形成する構成と異なり、第1流路11全体を用いて、第1モードによる熱交換および第2モードによる熱交換を行うことができる。その結果、各熱交換モードの熱交換効率が低下することを抑制することができる。
【0074】
また、熱交換器1のフィン構造は、複数のフィン部分13aが、第1流路11の一端11bから他端11cに亘って、連続して設けられており、第1流路11の一端11bから見た際に、第1流路11の他端が見えるように周期的にうねっているので、第1流路11内において、貫通した流路が形成される。したがって、複数のフィン部分13aによって第1流路11内に貫通した流路が形成されない構成と比較して、第1流路11内を流れる空気の圧力損失が増加することを抑制することができる。その結果、複数のフィン部分13aがうねり形状を有している場合でも、自然対流によって熱交換を行う第2モードにおける熱交換効率を確保することができる。
【0075】
[第2実施形態]
次に、
図8~
図11を参照して、第2実施形態による第1コルゲートフィン130(
図8参照)の複数のフィン部分131(
図8参照)が有する接続部分11h(
図8参照)の最大傾斜角度θ(
図8参照)の角度範囲について説明する。なお、上記第1実施形態と同様の構成については、同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0076】
第2実施形態による複数のフィン部分131は、最大傾斜角度θが異なる場合を除いては、上記第1実施形態による複数のフィン部分13aと同様の構成である。
図8に示すように、複数のフィン部分131は、第1流路11の幅方向(Y方向)において、一定のうねり幅Wで同じ波形のうねりパターンが反復するようにうねっている。うねりパターンは、第1流路11の幅方向において、一方側(Y1方向側)に突出する山部分11dと、他方側(Y2方向側)に突出する谷部分11eと、山部分11dと谷部分11eとを接続する接続部分11hとを含む。本実施形態では、接続部分11hの第1流路11の一端11b側から他端11c側に向かう方向(Z方向)に対する最大傾斜角度θは、10度以上30度以下の角度範囲に含まれる。
図8に示す例は、最大傾斜角度θが、20度の場合である。
【0077】
なお、
図8に示す例では、山部分11dおよび谷部分11eの各々が、第1流路11が延びる方向(Z方向)に沿って延びる形状を有しているが、山部分11dおよび谷部分11eは、第1流路11が延びる方向(Z方向)に沿って延びていなくてもよい。すなわち、接続部分11h同士が連続して接続することにより、うねりパターンを形成してもよい。この場合、接続部分11h同士の接点のうち、一方側(Y1方向側)に突出する接点を山部分とし、他方側(Y2方向側)に突出する接点を谷部分とすればよい。
【0078】
また、うねりの周期p2は、フィン部分131の配置間隔p1と、接続部分11hの最大傾斜角度θとによって決まる。なお、第2実施形態においても、熱交換器1は、第1モードと第2モードとで併用される。したがって、うねりの周期p2は、フィン部分131の配置間隔p1の範囲と、接続部分11hの最大傾斜角度θの範囲と、第1モードおよび第2モードを兼用可能な放熱量とに基づいて範囲に設定される。具体的には、うねりの周期p2の下限値は、フィン部分131の配置間隔p1の0.5倍である。また、うねりの周期p2の上限値は、フィン部分131の配置間隔p1を、5mm以上10mm以下の範囲に設定した場合で、かつ、接続部分11hの最大傾斜角度θを10度以上30度以下に設定した場合において、第1流路11の一端11bから見た際に、第1流路11の他端11cが見えるように第1流路11を構成した際の値である。
【0079】
次に、
図9~
図11を参照して、接続部分11hの最大傾斜角度θおよびうねりの周期p2を変更した場合の、熱交換量および圧力損失のシミュレーション結果について説明する。なお、以下に示すシミュレーション結果は、
図9(A)~
図9(F)に示すように、熱交換器1における接続部分11hの最大傾斜角度θを20度、10度、および、30度に設定した第1コルゲートフィン130、接続部分11hの最大傾斜角度θが20度であり、うねりの周期p3がうねりの周期p2の半分の第1コルゲートフィン130、および、うねりの周期p4がうねりの周期p2の2倍の第1コルゲートフィン130を用いた結果である。また、以下に示すシミュレーション結果には、比較例として接続部分11hの最大傾斜角度θが0度(いわゆる、プレーンフィン)の第1コルゲートフィン140を用いた結果も含む。なお、
図9(F)に示すように、比較例による第1コルゲートフィン140は、フィン部分にうねりがない形状である。
【0080】
図9(A)に示すように、第1コルゲートフィン130aは、接続部分11hの最大傾斜角度θが20度となるように、接続部分11hが配置されている。また、
図9(B)に示すように、第1コルゲートフィン130bは、接続部分11hの最大傾斜角度θが10度となるように、接続部分11hが配置されている。また、
図9(C)に示すように、第1コルゲートフィン130cは、接続部分11hの最大傾斜角度θが30度となるように、接続部分11hが配置されている。なお、
図9(A)~
図9(C)に示すように、第1コルゲートフィン130a~第1コルゲートフィン130cのうねりの周期は、いずれも周期p2である。
【0081】
また、
図9(D)に示すように、第1コルゲートフィン130dは、接続部分11hの最大傾斜角度θが20度であり、うねりの周期p4がうねりの周期p2の半分となるように構成されている。また、
図9(E)に示すように、第1コルゲートフィン130eは、接続部分11hの最大傾斜角度θが20度であり、うねりの周期p4がうねりの周期p2の2倍となるように構成されている。
【0082】
(接続部分の最大傾斜角度およびうねりの周期に対する熱交換量のシミュレーション結果)
図10に示すグラフG3は、熱交換量を縦軸にとり、前面風速を横軸にとっている。グラフG3では、接続部分11hの最大傾斜角度θが10度のシミュレーション結果を、一点鎖線30で図示している。また、グラフG3では、接続部分11hの最大傾斜角度θが20度のシミュレーション結果を、実線31で図示している。また、グラフG3では、接続部分11hの最大傾斜角度θが30度のシミュレーション結果を、破線32で図示している。また、グラフG3では、接続部分11hの最大傾斜角度θが20度であり、うねりの周期p3がうねりの周期p2の半分のシミュレーション結果を、二点鎖線33で図示している。また、グラフG3では、接続部分11hの最大傾斜角度θが20度であり、うねりの周期p4がうねりの周期p2の2倍のシミュレーション結果を、太線34で図示している。また、グラフG3では、比較例によるシミュレーション結果を、太い点線35で図示している。なお、グラフG3において、前面風速が0(ゼロ)の場合は、第2モードによる熱交換を意味している。また、グラフG3において、前面風速が0(ゼロ)以上の場合は、第1モードによる熱交換を意味している。
【0083】
グラフG3に示すように、第2モードの場合、接続部分11hの最大傾斜角度θが10度、20度、および、30度のいずれのシミュレーション結果も、比較例によるシミュレーション結果とほぼ同等の熱交換量となった。
【0084】
また、グラフG3に示すように、第1モードによる熱交換の場合、接続部分11hの最大傾斜角度θが10度のシミュレーション結果は、比較例によるシミュレーション結果よりも、熱交換量が大きくなった。具体的には、第1モードでは、接続部分11hの最大傾斜角度θが10度のシミュレーション結果は、比較例によるシミュレーション結果に対して、熱交換量が平均して略1.4倍となった。
【0085】
また、グラフG3に示すように、接続部分11hの最大傾斜角度θが20度のシミュレーション結果は、第1モードの場合、比較例によるシミュレーション結果に対して、熱交換量が平均して略1.7倍となった。
【0086】
また、グラフG3に示すように、接続部分11hの最大傾斜角度θが30度のシミュレーション結果は、第1モードの場合、比較例によるシミュレーション結果に対して、熱交換量が平均して略2.0倍となった。
【0087】
グラフG3に示すように、第1モードの場合、接続部分11hの最大傾斜角度θが大きくなるにつれて、熱交換量が大きくなることが確認された。
【0088】
また、グラフG3に示すように、第2モードの場合、接続部分11hの最大傾斜角度θが20度であり、うねりの周期p3がうねりの周期p2の半分のシミュレーション結果、および、接続部分11hの最大傾斜角度θが20度であり、うねりの周期p3がうねりの周期p2の半分のシミュレーション結果のいずれにおいても、比較例によるシミュレーション結果とほぼ同等の熱交換量となった。
【0089】
また、グラフG3に示すように、第1モードの場合、うねりの周期p3がうねりの周期p2の半分のシミュレーション結果は、比較例によるシミュレーション結果よりも、熱交換量が大きくなった。具体的には、うねりの周期p3がうねりの周期p2の半分のシミュレーション結果は、第1モードの場合、比較例によるシミュレーション結果と比較して、熱交換量が平均して略1.4倍となった。
【0090】
また、グラフG3に示すように、第1モードの場合、うねりの周期p4がうねりの周期p2の2倍のシミュレーション結果は、比較例によるシミュレーション結果よりも、熱交換量が大きくなった。具体的には、うねりの周期p4がうねりの周期p2の2倍のシミュレーション結果は、第1モードの場合、比較例によるシミュレーション結果と比較して、熱交換量が平均して略1.7倍となった。
【0091】
また、グラフG3に示すように、うねりの周期p4のシミュレーション結果と、うねりの周期p3のシミュレーション結果とを比較した場合、第1モードの場合における熱交換量は、うねりの周期p4のシミュレーション結果が、うねりの周期p3のシミュレーション結果と同等かそれ以上の熱交換量であった。
【0092】
以上により、接続部分11hの最大傾斜角度θが10度以上30度以下の場合に、比較例よりも熱交換量が大きいことが確認された。また、接続部分11hの最大傾斜角度θは、10度から30度の範囲において、角度が大きくなるにつれ、熱交換量が大きくなることが確認された。また、うねりの周期p2は、熱交換量に対する影響が、接続部分11hの最大傾斜角度θによる熱交換量に対する影響よりも少ないことが確認された。
【0093】
(接続部分の最大傾斜角度およびうねりの周期に対する圧力損失のシミュレーション結果)
図11に示すグラフG4は、圧力損失を縦軸にとり、前面風速を横軸にとっている。グラフG4では、接続部分11hの最大傾斜角度θが10度のシミュレーション結果を、一点鎖線36で図示している。また、グラフG4では、接続部分11hの最大傾斜角度θが20度のシミュレーション結果を、実線37で図示している。また、グラフG4では、接続部分11hの最大傾斜角度θが30度のシミュレーション結果を、破線38で図示している。また、グラフG4では、接続部分11hの最大傾斜角度θが20度であり、うねりの周期p3がうねりの周期p2の半分のシミュレーション結果を、二点鎖線39で図示している。また、グラフG4では、接続部分11hの最大傾斜角度θが20度であり、うねりの周期p4がうねりの周期p2の2倍のシミュレーション結果を、太線40で図示している。また、グラフG4では、比較例によるシミュレーション結果を、太い点線41で図示している。なお、グラフG4において、前面風速が0(ゼロ)の場合は、第2モードによる熱交換を意味している。また、グラフG4において、前面風速が0(ゼロ)以上の場合は、第1モードによる熱交換を意味している。
【0094】
グラフG4に示すように、第2モードの場合、接続部分11hの最大傾斜角度θが10度、20度、および、30度のいずれのシミュレーション結果も、比較例によるシミュレーション結果とほぼ同等の圧力損失となった。
【0095】
また、グラフG4に示すように、第1モードの場合、接続部分11hの最大傾斜角度θが10度のシミュレーション結果は、比較例によるシミュレーション結果よりも、圧力損失が大きくなった。具体的には、接続部分11hの最大傾斜角度θが10度のシミュレーション結果は、第1モードの場合、比較例によるシミュレーション結果に対して、圧力損失が平均して略1.6倍となった。
【0096】
また、グラフG4に示すように、接続部分11hの最大傾斜角度θが20度のシミュレーション結果は、第1モードの場合、比較例によるシミュレーション結果に対して、圧力損失が平均して略2.8倍となった。
【0097】
また、グラフG4に示すように、接続部分11hの最大傾斜角度θが30度のシミュレーション結果は、第1モードの場合、比較例によるシミュレーション結果に対して、圧力損失が平均して略6.3倍となった。
【0098】
グラフG4に示すように、第1モードの場合、接続部分11hの最大傾斜角度θが大きくなるにつれて、圧力損失が大きくなることが確認された。
【0099】
また、グラフG4に示すように、第1モードの場合、うねりの周期p3がうねりの周期p2の半分のシミュレーション結果は、比較例によるシミュレーション結果よりも、圧力損失が大きくなった。具体的には、うねりの周期p3がうねりの周期p2の半分のシミュレーション結果は、第1モードの場合、比較例によるシミュレーション結果と比較して、圧力損失が略2.2倍となった。
【0100】
また、グラフG4に示すように、第1モードの場合、うねりの周期p4がうねりの周期p2の2倍のシミュレーション結果は、比較例によるシミュレーション結果よりも、圧力損失が大きくなった。具体的には、うねりの周期p4がうねりの周期p2の2倍のシミュレーション結果は、第1モードの場合、比較例によるシミュレーション結果と比較して、圧力損失が平均して略2.2倍となった。
【0101】
また、グラフG4に示すように、うねりの周期p4のシミュレーション結果と、うねりの周期p3のシミュレーション結果とを比較した場合、第1モードの場合における圧力損失は、うねりの周期p4のシミュレーション結果と、うねりの周期p3のシミュレーション結果とで、略同等であった。
【0102】
以上により、接続部分11hの最大傾斜角度θが10度以上30度以下の場合に、比較例よりも圧力損失が大きいことが確認された。また、接続部分11hの最大傾斜角度θは、10度から30度の範囲において、角度が大きくなるにつれ、圧力損失が大きくなることが確認された。また、うねりの周期p2は、圧力損失に対する影響が、接続部分11hの最大傾斜角度θによる圧力損失に対する影響よりも少ないことが確認された。
【0103】
グラフG3およびG4より、接続部分11hの最大傾斜角度θが10度の場合には、接続部分11hの最大傾斜角度θが20度および30度の場合と比較して、熱交換量の増加率は大きくないが、熱交換の効率が高いことが確認された。また、接続部分11hの最大傾斜角度θが30度の場合には、接続部分11hの最大傾斜角度θが10度および20度の場合と比較して、熱交換の効率は高くないが、熱交換量の増加率が大きいことが確認された。すなわち、接続部分11hの最大傾斜角度θが、10度以上30度以下の範囲に含まれることが好ましいことが確認された。なお、接続部分11hの最大傾斜角度θが20度の場合、放熱量および熱交換効率を両立できる角度であることが確認された。なお、熱交換量の増加率の評価、および、熱交換の効率の評価は、接続部分11hの最大傾斜角度θを変更した場合のプレーンフィンに対する熱交換量の変化量および圧力損失の変化量によって評価したものである。また、熱交換の効率は、熱交換量を圧力損失で除算することにより算出される値である。
【0104】
[第2実施形態の効果]
第2実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0105】
第2実施形態では、上記のように、複数のフィン部分131は、第1流路11の幅方向(Y方向)において、一定のうねり幅Wで同じ波形のうねりパターンが反復するようにうねっている。このうねりパターンは、第1流路11の幅方向において、一方側(Y1方向側)に突出する山部分11dと、他方側(Y2方向側)に突出する谷部分11eと、山部分11dと谷部分11eとを接続する接続部分11hとを含んでいる。接続部分11hの第1流路11の一端11b側から他端11c側に向かう方向(Z方向)に対する最大傾斜角度θは、10度以上30度以下の角度範囲に含まれる。
【0106】
ここで、第1流路11のうねりの周期p2が一定の場合、接続部分11hの最大傾斜角度θが大きいほど、第1流路11における乱流の効果が大きくなり、伝熱面積を大きくすることができる。第1流路11の伝熱面積が大きくなると、
図10に示すように、空気を強制的に流入させる第1モードによる熱交換性能を向上させることができる。しかしながら、接続部分11hの最大傾斜角度θが大きい場合、
図11に示すように、第1流路11における圧力損失が増加する。また、
図10に示すように、第1流路11のうねりの周期p2が一定の場合、接続部分11hの最大傾斜角度θが小さいほど、第1流路11の乱流の効果が小さくなり、伝熱面積が小さくなるので、第1モードによる熱交換性能が低下する。しかしながら、接続部分11hの最大傾斜角度θが小さい場合、
図11に示すように、第1流路11の圧力損失が低下する。そこで、本願発明者らがシミュレーションにより検討した結果、接続部分11hの最大傾斜角度θが10度以上30度以下の角度範囲に含まれる場合に、第1モードにおける熱交換、および、第2モードにおける熱交換のいずれにおいても、高い性能を確保できることが確認できた。なお、接続部分11hの最大傾斜角度θが20度の場合、放熱量および熱交換効率を両立できる角度であることが確認された。
【0107】
なお、第2実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態による効果と同様の効果である。
【0108】
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく請求の範囲によって示され、さらに請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0109】
たとえば、上記第1および第2実施形態では、第1流路11が上下方向(Z方向)に延びるように形成されている構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、第1流路11は、斜め方向に延びるように形成されていてもよい。
【0110】
また、上記第1および第2実施形態では、熱交換器1がプレートフィン型の熱交換器である構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、熱交換器1は、プレートフィン以外のフィンアンドチューブ型の熱交換器などでもよい。また、
図12に示す変形例によるヒートシンク6のように、本発明をヒートシンクに適用してもよい。
図12に示すヒートシンク6は、基部60から複数のフィン部分61aが立ち上がるように設けられている。基部60は、たとえば、板状の金属部材を含む。ヒートシンク6では、複数のフィン部分61aの間が、第1流路61となる。また、ヒートシンク6では、たとえば、半導体素子などが熱交換対象であり、基部60に半導体素子などを当接させることにより、半導体素子などの熱交換を行う。変形例によるヒートシンク6でも、複数のフィン部分61aは、第1流路11の一端11bから他端11cに向けて複数のフィン部分61aの第1流路11の幅方向(Y方向)においてうねり形状を有するように形成されている。すなわち、第1流路11は、コルゲートフィンでなく、個々の第1フィン部分が個別に設けられた複数のフィンによって区画されていてもよい。なお、
図12に示す例では、第1流路11は、上下方向(Z方向)に延びるように形成されているが、第1流路11が斜め方向に延びるように形成されていてもよい。
【0111】
また、上記第1および第2実施形態では、第1流路11と第2流路12とが直交する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、第1流路11と第2流路12とが、対向するように構成されていてもよいし、第1流路11と第2流路12とが、並行するように構成されていてもよい。
【0112】
また、上記第1および第2実施形態では、第1流路11と第2流路12とが、X方向において、交互に積層される構成の例を示したが本発明はこれに限られない。第1流路11と第2流路12とが交互に積層されていなくてもよい。たとえば、第1流路11、第1流路11、第2流路12、第1流路11、第1流路11、第2流路12などの順で積層されていてもよい。
【0113】
また、上記第1および第2実施形態では、複数のフィン部分13a(複数のフィン部分131)が、第1流路11の幅方向(Y方向)の全幅に亘って、等間隔となるように配置されている構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、複数のフィン部分13a(複数のフィン部分131)は、Y方向の全幅に亘って、等間隔に配置されていなくてもよい。しかしながら、複数のフィン部分13a(複数のフィン部分131)がY方向の全幅に亘って、等間隔で配置されていない場合、熱交換器1の構造が複雑化するため、複数のフィン部分13a(複数のフィン部分131)はY方向の全幅に亘って、等間隔で配置されていることが好ましい。
【0114】
また、上記第1および第2実施形態では、複数のフィン部分13a(複数のフィン部分131)が、第1流路11の幅方向(Y方向)において、一定のうねり幅Wでうねる構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、複数のフィン部分13a(複数のフィン部分131)のうねり幅Wは、一定でなくてもよい。しかしながら、複数のフィン部分13a(複数のフィン部分131)のうねり幅Wが一定でない場合、熱交換器1の構造が複雑化するため、複数のフィン部分13a(複数のフィン部分131)のうねり幅Wは一定であることが好ましい。
【0115】
また、上記第1および第2実施形態では、複数のフィン部分13a(複数のフィン部分131)が同じ波形のうねりパターンが反復するようにうねる構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、複数のフィン部分13a(複数のフィン部分131)は、異なる波形のうねりパターンを組み合わせたうねり形状を有していてもよい。しかしながら、複数のフィン部分13a(複数のフィン部分131)が異なる波形のうねりパターンを組み合わせたうねり形状を有している場合、熱交換器1の構造が複雑化するため、複数のフィン部分13a(複数のフィン部分131)は、同じ波形のパターンが反復するようにうねる構成であることが好ましい。
【0116】
また、上記第1および第2実施形態では、複数のフィン部分13a(複数のフィン部分131)の間隔p1が、約8mmである構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。複数のフィン部分13a(複数のフィン部分131)の間隔p1は、たとえば、約6mmであってもよいし、約9mmであってもよい。複数のフィン部分13aの間隔p1が5mm以上10mm以下の範囲であれば、複数のフィン部分13a(複数のフィン部分131)の間隔p1はどのような値であってもよい。
【0117】
また、上記2実施形態では、フィン部分13aが、山部分11dと谷部分11eとが、一定の角度で傾斜した接続部分11hによって接続される構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、山部分11dと谷部分11eとが、連続的に角度が変化する接続部分によって接続されていてもよい。一例としては、上面視において、第1流路11が、いわゆるサインカーブ状の形状を有していてもよい。第1流路11がサインカーブ状の形状を有する場合、連続的に角度が変化する接続部分の最大角度が、10度以上30度以下の角度範囲に含まれればよい。
【0118】
また、上記第1および第2実施形態では、制御部3が、空気と熱交換対象との温度差に基づいて、第1モードと第2モードとを切り替える構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、ユーザの入力を受け付ける入力受付部を備え、制御部3は、ユーザの入力信号に基づいて第1モードと第2モードとを切り替えるように構成されていてもよい。
【0119】
また、上記第1および第2実施形態では、ファン2が、Z2方向側の開口11aに設けられる構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、ファン2は、Z1方向側の開口11aに設けられていてもよい。すなわち、第1モードでは、Z1方向側からファン2によって空気を強制的に流入させることにより熱交換を行い、第2モードでは、Z2方向側から自然対流によって空気を流入させることにより熱交換行ってもよい。ファン2が設けられる位置は、Z1方向側の開口11a、および、Z2方向側の開口11aのどちらに設けられていてもよい。
【0120】
また、上記第1および第2実施形態では、ファン2が、第1流路11に空気を送風する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、ファン2は、空気を吸引することにより、第1流路11に空気を流入させるように構成されていてもよい。
【0121】
また、上記第1および第2実施形態では、ファン2がZ2方向側の開口11aを覆うように、Z2方向側の表面1aに接触した状態で設けられる構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、ファン2は、開口11aを覆う構成でなくてもよい。ファン2が開口11aを覆う構成でない場合、ダクト、ケーシング等で接続されて離れた位置にファン2が設けられていてもよい。
【0122】
また、上記第1および第2実施形態では、熱交換対象の冷却を行う構成の例を示したが、本願はこれに限られない。たとえば、熱交換器1は、熱交換対象の加熱を行うように構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0123】
1、6 熱交換器
2 ファン
3 制御部
10 セパレートプレート(基部)
11、41 第1流路
11d 山部分
11e 谷部分
11h 接続部分
12 第2流路
13a、61a、131 複数のフィン部分
60 基部
100 熱交換システム
p1 配置間隔(複数のフィン部分の配置間隔)
W うねり幅
θ 最大傾斜角度