(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-22
(45)【発行日】2024-01-05
(54)【発明の名称】自動車シート及びそれを含む自動車
(51)【国際特許分類】
B60N 2/22 20060101AFI20231225BHJP
B60N 2/16 20060101ALI20231225BHJP
B60N 2/68 20060101ALI20231225BHJP
【FI】
B60N2/22
B60N2/16
B60N2/68
(21)【出願番号】P 2022513218
(86)(22)【出願日】2020-03-05
(86)【国際出願番号】 CN2020077923
(87)【国際公開番号】W WO2021036222
(87)【国際公開日】2021-03-04
【審査請求日】2022-04-22
(31)【優先権主張番号】201910782503.1
(32)【優先日】2019-08-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】522073146
【氏名又は名称】延鋒汽車飾件系統有限公司
【氏名又は名称原語表記】YANFENG AUTOMOTIVE TRIM SYSTEMS CO., LTD
【住所又は居所原語表記】399 Liuzhou Road, Xuhui District Shanghai 200235, China
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】銭 大海
(72)【発明者】
【氏名】竹 城梁
(72)【発明者】
【氏名】劉 ▲とく▼宇
(72)【発明者】
【氏名】陳 岳云
(72)【発明者】
【氏名】唐 勲
【審査官】近藤 裕之
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0065530(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2002/0023988(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/22
B60N 2/16
B60N 2/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートベース及びシートバックを含む自動車シートであって、前記自動車シートは更にシートバック調節機構を含み、前記シートバック調節機構は回転部を含み、前記回転部は前記シートバックの下端に設けられ、
前記シートバックと前記シートベースとの間の角度を変更するために、前記回転部は前記シートベースの後端部を回って回動するために用いられ、且つ前記回転部の回転セン
ターは前記シートベースの上端面の下方に位置
し、
前記自動車シートは更にシートベース調節機構を含み、前記シートベースの高さ方向での昇降調節を実現するために、前記シートベース調節機構は前記シートベースを調節するために用いられ、
前記シートベース調節機構は2つの第1ブラケットと2つの第2ブラケットとを含み、2つの前記第1ブラケットは前記シートベースの先端部の両側に対応して設けられ、2つの前記第2ブラケットは前記シートベースの後端部の両側に対応して設けられ、
前記第1ブラケットは前記シートベースの先端部にヒンジで連結され、前記第2ブラケットの上端部には回転センターを有し、前記第2ブラケットの上端部は前記回転部の回転センターを回って自由に回動し、前記第1ブラケット及び前記第2ブラケットの下端はそれぞれシート装着座にヒンジで連結され、前記第2ブラケットの上端部の回転センターと前記回転部の回転センターとは同一の軸線に位置し、
前記回転部に第1角度調整器が取り付けられており、前記第1角度調整器の固定部は前記シートベースに取り付けられ、前記第1角度調整器の回動部は前記回転部に取り付けられ、前記第2ブラケットの上端部は前記第1角度調整器の固定部に対して自由に回動し、
前記シートベースは2つの対称的に設けられる側壁板を含み、前記シートバックは2つの対称的に設けられる後壁板を含み、各前記後壁板の下端には接続板が固定されており、前記接続板に第2貫通孔が設けられ、前記第1角度調整器の回動部は前記第2貫通孔に取り付けられ、前記第1角度調整器は2つの前記側壁板の対向する側面に取り付けられる、ことを特徴とする自動車シート。
【請求項2】
前記シートバック調節機構と前記シートベース調節機構とは調節する時に相互独立する、ことを特徴とする請求項
1に記載の自動車シート。
【請求項3】
2つの前記側壁板の後端にはいずれも第1貫通孔が設けられており、
前記第1角度調整器の固定部
は前記第1貫通孔
に取り付けられる、ことを特徴とする請求項
1に記載の自動車シート。
【請求項4】
2つの前記側壁板の間にリンクが設けられており、前記リンクの両端はそれぞれ2つの前記第1角度調整器の回動部に固定的に接続される、ことを特徴とする請求項
3に記載の自動車シート。
【請求項5】
前記シートベース調節機構は
第2角度調整器を含み、
前記シートベースの高さ方向での昇降調節を実現するために、前記第2角度調整器は前記第1ブラケット又は前記第2ブラケットと前記シートベースとの角度を調節するために用いられる、ことを特徴とする請求項
1に記載の自動車シート。
【請求項6】
前記第2ブラケットの上端には収容孔が設けられており、前記第1角度調整器の固定部は前記収容孔を貫通し且つ前記収容孔と相対的自由に回動し、
前記第2ブラケットに歯形部が設けられており、前記第2角度調整器の固定部は前記シートベースに取り付けられ、前記第2角度調整器の回動部に前記歯形部の歯と噛み合う歯車が設けられており、前記シートベースの高さ方向での昇降調節を実現するために、前記歯車は駆動機構を介して前記第2ブラケットを駆動して回動させる、ことを特徴とする請求項
5に記載の自動車シート。
【請求項7】
前記第2ブラケットの上端には収容孔が設けられており、前記第1角度調整器の固定部は前記収容孔を貫通し且つ前記収容孔と相対的自由に回動し、
前記シートベース調節機構は更にラック板を含み、前記ラック板の両端はそれぞれ前記第1ブラケットの上端ヒンジ連結点及び前記第2ブラケットの下端ヒンジ連結点にヒンジで連結され、
前記第2角度調整器の回動部に前記ラック板の歯と噛み合う歯車が設けられており、前記シートベースの高さ方向での昇降調節を実現するために、前記歯車は駆動機構を介して前記ラック板を駆動して回動させる、ことを特徴とする請求項
5に記載の自動車シート。
【請求項8】
前記シート装着座に第1ヒンジ連結座及び第2ヒンジ連結座が設けられており、前記第1ブラケット及び前記第2ブラケットの下端はそれぞれ前記第1ヒンジ連結座及び前記第2ヒンジ連結座にヒンジで連結される、ことを特徴とする請求項
5~
7のいずれか一項に記載の自動車シート。
【請求項9】
前記第1角度調整器の回動部には第1駆動機構が設けられており、前記第1駆動機構は手動調節機構又は自動調節機構であり、前記第1駆動機構は前記第1角度調整器の回動部を駆動するために用いられる、ことを特徴とする請求項
1~
7のいずれか一項に記載の自動車シート。
【請求項10】
前記第2角度調整器の回動部には第2駆動機構が設けられており、前記第2駆動機構は手動調節機構又は自動調節機構であり、前記第2駆動機構は前記第2角度調整器の回動部を駆動するために用いられる、ことを特徴とする請求項
5~
7のいずれか一項に記載の自動車シート。
【請求項11】
請求項1~
10のいずれか一項に記載の自動車シートを含む、ことを特徴とする自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<関連出願の相互参照>
本願は、出願日が2019年8月23日である中国特許出願2019107825031の優先権を主張している。本願はこの中国特許出願の全文を引用する。
【0002】
本発明は自動車の技術分野に関し、具体的には、自動車シート及びそれを含む自動車に関する。
【背景技術】
【0003】
現在のシート機能は、一般的には、シートベースの高さ及びシートバックの角度調節を含み、且つ独立して作動する。シートベース調節の目的は異なる分位数の運転者とマッチングして運転時の視野要求を保証することであり、シートバック調節の目的は運転と乗車の快適性を高めることである。しかしながら、従来の自動車シートにおいて、その原理の概略図を
図1に示すように、シートバック2の回転セン
ターCがシートベース1の上方に設けられている。引き起こされた問題はシートバック2が後方へ調節される過程においてシートバック2の下端部とシートベース1が段差を形成し、且つシートバック2が後方へ調節される角度が大きいほど、段差が大きくなることである。
図2に示すように、シートバック2が後方へ調節される場合、シートバック2の下端部の前バンプAとシートベース1とが段差Sを形成し、乗客の体幹3は後方へ回動する過程で背中が前バンプAに押圧され、シートバック2に貼り合わせることができず、乗車の快適性に影響を与える。
【0004】
従来技術では、シートバックが調節された後の乗車快適性を高め、この段差を回避又は低減するために、シートバックの下端部における前バンプAの領域により柔軟な発泡を使用し、又はより大きい丸みを造形することが行われている。又は新たな機構を追加してシートベースとシートバックが一緒に回動することを保証する。例えば、中国発明特許出願「CN109050355A」のように、従来シートのスライドレールの下端に1つの付加的な機構を追加することにより、シートベースの角度を駆動するために用いられ、又は他の中国発明特許出願「CN107072396A」のように、マルチリンクの方式を採用する。以上のいくつかの方式はいずれもシートの快適性を向上させることができるが、それらは被覆材料を増加するか、付加的な機構を増加し、シートバックとシートベースとの間に形成された段差を低減させないだけでなく、シートの生産コストを増加させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする技術的問題は、従来技術において自動車シートのシートバックを単独で調節する場合、シートバックの下端部が乗員の背中に押圧し、乗車の快適性に影響を及ぼすという欠陥を克服するために、自動車シート及びそれを含む自動車を提供することである。
【0006】
本発明は下記技術的解決手段により上記技術的問題を解決する。
自動車シートであって、シートベース及びシートバックを含み、その特徴は、前記自動車シートは更にシートバック調節機構を含み、前記シートバック調節機構は回転部を含み、前記回転部は前記シートバックの下端に設けられ、
前記シートバックと前記シートベースとの間の角度を変更するために、前記回転部は前記シートベースの後端部を回って回動するために用いられ、且つ前記回転部の回転センターは前記シートベースの上端面の下方に位置することである。
【0007】
本解決手段において、シートバックの回転センターをシートバックの底部に設け、且つシートベースの上端面の下方に位置させることにより、シートバックが回転する時に、シートバックの下端部とシートベースの上端面とに非常に小さい段差を形成させ、ひいては段差がないようにさせる。このように、シートバックの下端部が基本的には乗員の背中に押圧しないように保証し、乗員の背中とシートバックとの貼り合わせ性を高め、乗車の快適性を保証する。
【0008】
好ましくは、前記自動車シートは更にシートベース調節機構を含み、前記シートベースの高さ方向での昇降調節を実現するために、前記シートベース調節機構は前記シートベースを調節するために用いられる。
【0009】
本解決手段において、シートベース調節機構を設けることにより、シートの高さを調節することができ、異なる身長の乗員のニーズを満たし、更に乗車の快適性を高める。
【0010】
好ましくは、前記シートバック調節機構と前記シートベース調節機構とは調節する時に相互独立する。
【0011】
本解決手段において、シートバック調節機構とシートベース調節機構とは調節する時に相互独立し、乗員の要求に応じて調節することができ、そのうちの1つが壊れ、他の1つが調節することができない状況を回避することができる。
【0012】
好ましくは、前記回転部に第1角度調整器が取り付けられており、前記第1角度調整器の固定部は前記シートベースに取り付けられ、前記第1角度調整器の回動部は前記回転部に取り付けられる。
【0013】
本解決手段において、シートバックの回転部に角度調整器を取り付けることにより、シートバックを便利に、定量的に調節することができる。
【0014】
好ましくは、前記シートベースは2つの対称的に設けられる側壁板を含み、2つの前記側壁板の後端にはいずれも第1貫通孔が設けられており、前記シートバックは2つの対称的に設けられる後壁板を含み、各前記後壁板の下端には接続板が固定されており、前記接続板に第2貫通孔が設けられており、
前記第1角度調整器の固定部及び前記第1角度調整器の回動部はそれぞれ前記第1貫通孔及び前記第2貫通孔に取り付けられる。
【0015】
本解決手段において、シートベース及びシートバックはいずれも骨格構造によって組み立てられ、シンプルな側壁板及び後壁板によってシートの組み立てを実現し、シートの重さを減少させるだけでなく、更に生産コストを低減する。
【0016】
好ましくは、2つの前記側壁板の間にリンクが設けられており、前記リンクの両端はそれぞれ2つの前記第1角度調整器の回動部に固定的に接続される。
【0017】
本解決手段において、リンクを介して2つの側壁板を接続させ、そのうちの1つの上側壁板にある角度調整器を駆動して作動させる時、他側の角度調整器を連れて作動させることができ、両側を同時に回動させる必要がない。
【0018】
好ましくは、前記シートベース調節機構は2つの第1ブラケット、2つの第2ブラケット及び第2角度調整器を含み、2つの前記第1ブラケットは前記シートベースの先端部の両側に対応して設けられ、2つの前記第2ブラケットは前記シートベースの後端部の両側に対応して設けられ、
そのうち、前記第1ブラケットは前記シートベースの先端部にヒンジで連結され、前記第2ブラケットの上端部は前記シートバックの回転センターを回って自由に回動し、前記第1ブラケット及び前記第2ブラケットの下端はそれぞれシート装着座にヒンジで連結され、
前記シートベースの高さ方向での昇降調節を実現するために、前記第2角度調整器は前記第1ブラケット又は前記第2ブラケットと前記シートベースとの角度を調節するために用いられる。
【0019】
本解決手段において、シートベース調節機構は2つの第1ブラケット、2つの第2ブラケット、シートベース、シート装着座を用いて共に2組の四リンク機構を組み立て、2組の四リンク機構は別の角度調整器によって調節され、シートベースと第1ブラケット又は第2ブラケットとの間の角度を変更させることによってシートベースの高さ方向での昇降調節を実現する。
【0020】
好ましくは、前記第2ブラケットの上端には収容孔が設けられており、前記第1角度調整器の固定部は前記収容孔を貫通し且つ前記収容孔と相対的自由に回動し、
前記第2ブラケットに歯形部が設けられており、前記第2角度調整器の固定部は前記シートベースに取り付けられ、前記第2角度調整器の回動部に前記歯形部の歯と噛み合う歯車が設けられており、前記シートベースの高さ方向での昇降調節を実現するために、前記歯車は駆動機構を介して前記第2ブラケットを駆動して回動させる。
【0021】
本解決手段において、第2角度調整器を介して第2ブラケットとシートベースとの角度を変更させ、第2ブラケットに1つの歯形部が設けられており、第2角度調整器にある歯車の回動によって第2ブラケットの回動を実現し、同時にシートベースを一緒に回動させるために、第2ブラケットに第1角度調整器の固定部と相対的自由に回動する収容孔が設けられており、第2ブラケットが回動する過程においてシートベースを連れて共に回動させ、第2ブラケットとシートベースとの間の夾角の変更により、シートベースの高さを調節することを実現する。
【0022】
好ましくは、前記第2ブラケットの上端には収容孔が設けられており、前記第1角度調整器の固定部は前記収容孔を貫通し且つ前記収容孔と相対的自由に回動し、
前記シートベース調節機構は更にラック板を含み、前記ラック板の両端はそれぞれ前記第1ブラケットの上端ヒンジ連結点及び前記第2ブラケットの下端ヒンジ連結点にヒンジで連結され、
前記第2角度調整器の回動部に前記ラック板の歯と噛み合う歯車が設けられており、前記シートベースの高さ方向での昇降調節を実現するために、前記歯車は駆動機構を介して前記ラック板を駆動して回動させる。
【0023】
本解決手段において、主に第2角度調整器により第1ブラケットとシートベースの角度を変更してシートの高さを調節し、1つのラック板を追加することにより、第2角度調整器にある歯車の回動によりラック板の上端部の回転を実現し、同時に第1ブラケットの回動を駆動し、第2ブラケットに第1角度調整器の固定部と相対的自由に回動する収容孔が設けられており、第1ブラケットが回動する過程においてシートベースを連れて共に回動させ、第1ブラケットとシートベースとの間の夾角の変更を実現してシートベースの高さを調節する。
【0024】
好ましくは、前記シート装着座に第1ヒンジ連結座及び第2ヒンジ連結座が設けられており、前記第1ブラケット及び前記第2ブラケットの下端はそれぞれ前記第1ヒンジ連結座及び前記第2ヒンジ連結座にヒンジで連結される。
【0025】
本解決手段において、第1ブラケット及び第2ブラケットの下端部のヒンジ連結を便利にするために、シート装着座にヒンジ連結座を設ける。
【0026】
好ましくは、前記第1角度調整器の回動部には第1駆動機構が設けられており、前記第1駆動機構は手動調節機構又は自動調節機構であり、前記第1駆動機構は前記第1角度調整器の回動部を駆動するために用いられる。
【0027】
好ましくは、前記第2角度調整器の回動部には第2駆動機構が設けられており、前記第2駆動機構は手動調節機構又は自動調節機構であり、前記第2駆動機構は前記第2角度調整器の回動部を駆動するために用いられる。
【0028】
本解決手段において、第1角度調整器及び第2角度調整器はいずれも手動調節機構によって駆動することができ、自動調節機構によって調節することもでき、シートベースの両側にそれぞれ手動調節機構と自動調節機構を取り付けることもでき、ニーズに応じて選択する。
【0029】
自動車であって、その特徴は、前記自動車は前に記載の自動車シートを含むことである。
【0030】
本分野の常識に合致する上で、上記各好ましい条件を、任意に組み合わせることができ、すなわち本発明の各好ましい実施例を得る。
【発明の効果】
【0031】
本発明の自動車シートは、シートバックの回転センターをシートバックの底部に設け、且つシートベースの上端面の下方に位置させることにより、シートバックが回転する時に、シートバックの下端部とシートベースの上端面とに非常に小さい段差を形成させ、ひいては段差がないようにさせる。このように、シートバックの下端部が基本的には乗員の背中に押圧しないように保証し、乗員の背中とシートバックとの貼り合わせ性を高め、乗車の快適性を保証する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】従来技術におけるシートの構造概略図である。
【
図2】従来技術におけるシートのシートバックの調節概略図である。
【
図3】本発明の実施例1におけるシートの構造概略図である。
【
図4】本発明の実施例1におけるシートの別の視角からの構造概略図である。
【
図5】本発明の実施例1におけるシートの局所的な構造概略図である。
【
図6】本発明の実施例1におけるシートの局所的な構造の爆発概略図である。
【
図7】本発明の実施例2におけるシートの局所的な構造概略図である。
【
図8】本発明の実施例2におけるシートの局所的な構造の爆発概略図である。
【
図9】本発明の実施例1におけるシートのシートバックの調節後の使用状態概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下は実施例の態様によって本発明を更に説明するが、それによって本発明を以下の実施例の範囲に限定するものではない。
【0034】
実施例1
図3~6に示すように、本発明の自動車シートであり、その自動車シートは、シートベース1及びシートバック2並びにシートバック調節機構を含み、シートバック調節機構は回転部を含み、回転部はシートバック2の下端に設けられ、シートバック2とシートベース1との間の角度を変更するために、回転部はシートベース1の後端部を回って回動するために用いられ、且つ回転部の回転セン
ターはシートベース1の上端面の下方に位置する。
【0035】
図9に示すように、本発明はシートバック2の回転セン
ターをシートバック2の下端に設け、且つシートベース1の上端面の下方に位置させることにより、シートバック2が回転する時に、シートバック2の下端部とシートベース1の上端面とに非常に小さい段差を形成させ、ひいては段差がないようにさせる。このように、シートバック2の下端部が基本的には乗員の背中に押圧しないように保証し、乗員の背中とシートバック2との貼り合わせ性を高め、乗車の快適性を保証する。
【0036】
当該自動車シートは更にシートベース調節機構を含み、シートベース調節機構は、シートベース1の高さ方向での昇降調節を実現するために、シートベース1を調節するために用いられる。本実施例において、シートベース調節機構を設けることにより、シートの高さを調整することができ、異なる身長の乗員のニーズを満たし、更に乗車の快適性を高める。
【0037】
本実施例において、シートバック調節機構とシートベース調節機構とは調節する時に相互独立する。このように、乗員の要求に応じて調節することができ、そのうちの1つが壊れ、他の1つが調節することができない状況を回避することができる。
【0038】
本実施例において、回転部に第1角度調整器7が取り付けられており、第1角度調整器7の固定部はシートベース1に取り付けられ、第1角度調整器7の回動部は回転部に取り付けられる。シートバック2の回転部に角度調整器を取り付けることにより、シートバック2を便利に、定量的に調節することができる。
【0039】
シートベース1は2つの対称的に設けられる側壁板101を含み、2つの側壁板101の後端にはいずれも第1貫通孔102が設けられており、シートバック2は2つの対称的に設けられる後壁板201を含み、各後壁板201の下端には接続板5が固定されており、接続板5に第2貫通孔501が設けられており、第1角度調整器7の固定部及び第1角度調整器7の回動部はそれぞれ第1貫通孔102及び第2貫通孔501に取り付けられる。本実施例において、シートベース1の回転部は接続板5の第2貫通孔501のところに設けられることに相当し、回転部は第1角度調整器7の回動部に固定的に接続されるため、第1角度調整器7を駆動して回動させることにより、シートバック2がシートベース1を回って回転することを実現する。
【0040】
シートベース1及びシートバック2はいずれも骨格構造によって組み立てられ、シンプルな側壁板101及び後壁板201によってシートの組み立てを実現し、シートの重さを減少させるだけでなく、更に生産コストを低減する。
【0041】
2つの側壁板101の間には第1リンク11が設けられており、第1リンク11の両端はそれぞれ2つの第1角度調整器7の回動部に固定的に接続される。本実施例において、2つの側壁板101にいずれも1つの第1角度調整器7が設けられており、第1リンク11の両端はそれぞれ2つの第1角度調整器7の回動部に固定される。このようにして第1リンク11を介して2つの側壁板101を接続させ、そのうちの1つの側壁板101における角度調整器を駆動して作動させる時、他側の角度調整器を連れて作動させることができ、両側を同時に駆動する必要がない。それと共に、側壁板101の先端に第2リンク12が設けられており、第2リンク12は2つの側壁板101が移動する時に安定させることができる。
【0042】
本実施例において、
図5~6に示すように、シートベース1調節機構は2つの第1ブラケット3、2つの第2ブラケット4及び第2角度調整器8を含み、2つの第1ブラケット3はシートベース1の先端部の両側に対応して設けられ、2つの第2ブラケット4はシートベース1の後端部の両側に対応して設けられ、そのうち、第1ブラケット3はシートベース1の先端部にヒンジで連結され、第2ブラケット4の上端部はシートバック2の回転セン
ターを回って自由に回動し、第1ブラケット3及び第2ブラケット4の下端はそれぞれシート装着座6にヒンジで連結され、シートベース1の高さ方向での昇降調節を実現するために、第2角度調整器8は第1ブラケット3又は第2ブラケット4とシートベース1との角度を調節するために用いられる。
【0043】
第2ブラケット4の上端には収容孔401が設けられており、第1角度調整器7の固定部は収容孔401を貫通し且つ収容孔401と相対的自由に回動し、第2ブラケット4に歯形部402が設けられており、第2角度調整器8の固定部はシートベース1に取り付けられ、第2角度調整器8の回動部に歯形部402の歯と噛み合う歯車801が設けられており、シートベース1の高さ方向での昇降調節を実現するために、歯車801は第2駆動機構10を介して第2ブラケット4を駆動して回動させる。そのうち、第2ブラケット4の回動を円滑にしやすいために、収容孔401は円形の貫通孔であり、円形の貫通孔内に更にブッシュ15が設けられており、第1角度調整器7の固定部はブッシュ15内に穿設され且つ固定され、ブッシュ15と収容孔401は相対的自由に回動する。
【0044】
シートベース1調節機構は2つの第1ブラケット3、2つの第2ブラケット4、シートベース1、シート装着座6を用いて共に2組の四リンク機構を組み立て、2組の四リンク機構は第2角度調整器8によって調節され、シートベース1と第1ブラケット3又は第2ブラケット4との間の角度を変更させることによってシートベース1の高さ方向での昇降調節を実現する。第2角度調整器8を介して第2ブラケット4とシートベース1との角度を変更させ、第2ブラケット4に1つの歯形部402が設けられており、第2角度調整器8にある歯車801の回動によって第2ブラケット4の回動を実現し、同時にシートベース1を一緒に回動させるために、第2ブラケット4に第1角度調整器7の固定部と相対的自由に回動する収容孔401が設けられており、第2ブラケット4が回動する過程においてシートベース1を連れて共に回動させ、第2ブラケット4とシートベース1との間の夾角の変更により、シートベース1の高さを調節することを実現する。
【0045】
本実施例において、シート装着座6に第1ヒンジ連結座13及び第2ヒンジ連結座14が設けられており、第1ブラケット3及び第2ブラケット4の下端はそれぞれ第1ヒンジ連結座13及び第2ヒンジ連結座14にヒンジで連結される。
【0046】
これは第1ブラケット3及び第2ブラケット4の下端部のヒンジ連結を容易にするためであり、シート装着座6にヒンジ連結座を設ける。
【0047】
本実施例において、第1角度調整器7及び第2角度調整器8にはそれぞれ第1駆動機構9及び第2駆動機構10が設けられており、第1角度調整器7の回動部を駆動して回動させるために用いられる。第1駆動機構9及び第2駆動機構10はいずれも手動調節機構又は自動調節機構であり、シートベース1の両側にそれぞれ手動調節機構と自動調節機構を取り付けることもでき、ニーズに応じて選択する。
【0048】
本発明は更に自動車を開示し、当該自動車は前に記載の自動車シートを含む。
【0049】
実施例2
本実施例は、実施例1に比べ、主な違いはシートベース1調節機構の構造が異なることである。
図7~8に示すように、シートベース1調節機構は2つの第1ブラケット3、2つの第2ブラケット4及び第2角度調整器8を含み、2つの第1ブラケット3はシートベース1の先端部の両側に対応して設けられ、2つの第2ブラケット4はシートベース1の後端部の両側に対応して設けられ、そのうち、第1ブラケット3はシートベース1の先端部にヒンジで連結され、第2ブラケット4の上端部はシートバック2の回転セン
ターを回って自由に回動し、第1ブラケット3及び第2ブラケット4の下端はそれぞれシート装着座6にヒンジで連結され、シートベース1の高さ方向での昇降調節を実現するために、第2角度調整器8は第1ブラケット3又は第2ブラケット4とシートベース1との角度を調節するために用いられる。第2ブラケット4の上端には収容孔401が設けられており、第1角度調整器7の固定部は収容孔401を貫通し且つ収容孔401と相対的自由に回動し、シートベース1調節機構は更にラック板16を含み、ラック板16の両端はそれぞれ第1ブラケット3の上端ヒンジ連結点及び第2ブラケット4の下端ヒンジ連結点にヒンジで連結され、第2角度調整器8の回動部にラック板16の歯と噛み合う歯車801が設けられており、シートベース1の高さ方向での昇降調節を実現するために、歯車801は駆動機構を介してラック板16を駆動して回動させる。そのうち、第2ブラケット4の回動を円滑にしやすいために、収容孔401は円形の貫通孔であり、円形の貫通孔内に更にブッシュ15が設けられており、第1角度調整器7の固定部はブッシュ15内に穿設され且つ固定され、ブッシュ15と収容孔401は相対的自由に回動する。第2角度調整器8を取り付ける時、側壁板101の外側に取り付けられ、歯車801が側壁板101にある第3貫通孔103を貫通して歯形部402の歯と噛み合い、側壁板101の他側には歯車801の回転軸を制限するストッパ17が設けられている。
【0050】
本実施例において、主に第2角度調整器8により第1ブラケット3とシートベース1の角度を変更してシートの高さを調節し、1つのラック板16を追加することにより、第2角度調整器8における歯車801の回動によってラック板16の上端部の回転を実現し、同時に第1ブラケット3の回動を駆動し、第2ブラケット4に第1角度調整器7の固定部と相対的自由に回動する収容孔401が設けられており、第1ブラケット3が回動する過程においてシートベース1を連れて共に回動させ、第1ブラケット3とシートベース1との間の夾角の変更により、シートの高さを調節することを実現する。
【0051】
以上、本発明の具体的な実施形態を説明したが、当業者であれば理解されるように、これは例示的なものに過ぎず、本発明の保護範囲は添付の特許請求の範囲によって限定される。当業者は本発明の原理及び実質から逸脱しない前提で、これらの実施形態に対して様々な変更又は修正を行うことができるが、これらの変更及び修正はいずれも本発明の保護範囲に属する。
【符号の説明】
【0052】
A シートバックの下端部の前バンプ
B 乗員の臀部とシートベースとの接触点
C シートバック調節時の回動センター
D シートベース調節時の回動センター
E 乗員の体幹
F 本発明におけるシートバック調節時の回動センター
1 シートベース
101 側壁板
102 第1貫通孔
103 第3貫通孔
2 シートバック
201 後壁板
3 第1ブラケット
4 第2ブラケット
401 収容孔
402 歯形部
5 接続板
501 第2貫通孔
6 シート装着座
7 第1角度調整器
8 第2角度調整器
801 歯車
9 第1駆動機構
10 第2駆動機構
11 第1リンク
12 第2リンク
13 第1ヒンジ連結座
14 第2ヒンジ連結座
15 ブッシュ
16 ラック板
17 ストッパ