(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-22
(45)【発行日】2024-01-05
(54)【発明の名称】レーザー計測システム
(51)【国際特許分類】
G01S 17/875 20200101AFI20231225BHJP
【FI】
G01S17/875
(21)【出願番号】P 2022518651
(86)(22)【出願日】2020-09-09
(86)【国際出願番号】 US2020050024
(87)【国際公開番号】W WO2021086500
(87)【国際公開日】2021-05-06
【審査請求日】2023-07-12
(32)【優先日】2019-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】505315742
【氏名又は名称】トプコン ポジショニング システムズ, インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100112427
【氏名又は名称】藤本 芳洋
(72)【発明者】
【氏名】ニコライ,ブイ,カトゥンツェフ
【審査官】梶田 真也
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0284790(US,A1)
【文献】特開平10-047961(JP,A)
【文献】特開昭61-026813(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/48 - 7/51
G01S 17/00 - 17/95
G01B 11/00 - 11/30
G01C 1/00 - 15/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザー受信機の動作方法であって、
前記レーザー受信機の第1反射面によってレーザー送信機からの初期レーザーパルスを受信及び反射し、第1反射レーザーパルスを生成すること、
前記レーザー送信機の反射面を反射した前記第1反射レーザーパルスの結果として生成された第1二重反射レーザーパルスを、前記レーザー受信機の光検出部で検出すること、
前記レーザー受信機の第2反射面によって前記初期レーザーパルスを受信及び反射し、第2反射レーザーパルスを生成すること、
前記レーザー送信機の前記反射面を反射した前記第2反射レーザーパルスの結果として生成された第2二重反射レーザーパルスを、前記レーザー受信機の前記光検出部で検出すること、及び
前記第1二重反射レーザーパルスと前記第2二重反射レーザーパルスとの間の位相差に基づき、前記レーザー受信機と関連付けられた方位角度を決定すること、
を含む方法。
【請求項2】
前記レーザー受信機の前記光検出部で前記初期レーザーパルスを検出することを更に含み、
前記初期レーザーパルスは、前記光検出部が前記初期レーザーパルスを検出する前に前記レーザー受信機の前記第1反射面によって受信及び反射され、前記光検出部が前記初期レーザーパルスを検出した後に前記レーザー受信機の前記第2反射面によって受信及び反射される請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記レーザー送信機からの前記初期レーザーパルスは、前記レーザー送信機によってインターロックされた位相を有する複数の変調副搬送波で変調され、前記レーザー受信機と関連付けられた水平角度を送信する請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記変調された初期レーザーパルスを復調し、前記複数の変調副搬送波の位相を直交ベクトルに乗算することによって
前記水平角
度を抽出することを更に含む
請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記レーザー送信機からの前記初期レーザーパルスは、前記レーザー送信機によって前記複数の変調副搬送波で変調され、前記レーザー送信機と関連付けられた付加データを送信する
請求項3記載の方法。
【請求項6】
傾斜センサーを使用して、
前記レーザー受信機の1つ又は複数の姿勢角度を決定することを更に含む請求項1記載の方法。
【請求項7】
レーザー受信機であって、
レーザー送信機から初期レーザーパルスを受信及び反射し、第1反射レーザーパルスを生成する第1反射面と、
前記初期レーザーパルスを受信及び反射し、第2反射レーザーパルスを生成する第2反射面と、
1)前記レーザー送信機の反射面を反射した前記第1反射レーザーパルスの結果として生成された第1二重反射レーザーパルス、及び2)前記レーザー送信機の前記反射面を反射した前記第2反射レーザーパルスの結果として生成された第2二重反射レーザーパルスを検出する光検出部と、
プロセッサーと、
コンピュータープログラム指令を記憶するメモリと、を備え、
前記コンピュータープログラム指令は、前記プロセッサーによって実行されるときに前記プロセッサーに、
前記第1二重反射レーザーパルスと前記第2二重反射レーザーパルスとの間の位相差に基づき、前記レーザー受信機と関連付けられた方位角度を決定することを含むオペレーションを実行させるレーザー受信機。
【請求項8】
前記第1反射面及び前記第2反射面は、1)前記光検出部の中心点からオフセット配置される中心点を有し、且つ2)前記光検出部の中心と交差する平面の両側に位置する
請求項7記載のレーザー受信機。
【請求項9】
前記第1反射面及び前記第2反射面は、前記平面に対して対称に配置される
請求項8記載のレーザー受信機。
【請求項10】
前記平面は、前記光検出部の表面に対する法線上に位置する
請求項8記載のレーザー受信機。
【請求項11】
前記光検出部の周囲に位置する非反射領域を更に備える
請求項7記載のレーザー受信機。
【請求項12】
前記光検出部はレーザー送信機からの初期レーザーパルスを検出し、前記非反射領域のサイズは前記レーザー送信機の反射面のサイズの少なくとも2倍である
請求項11記載のレーザー受信機。
【請求項13】
1つ又は複数の姿勢角度を決定するセンサーを更に備える
請求項7記載のレーザー受信機。
【請求項14】
レーザー計測システムであって、
レーザー送信機と、
レーザー受信機と、を備え、
前記レーザー送信機は、
初期レーザーパルスを投射する1つ又は複数のレーザー光源と、反射面と、を備え、
前記レーザー受信機は、
前記初期レーザーパルスを前記レーザー送信機に反射し、第1反射レーザーパルスを提供する第1反射面と、
前記初期レーザーパルスを前記レーザー送信機に反射し、第2反射レーザーパルスを提供する第2反射面と、
1)前記レーザー送信機の前記反射面に反射する前記第1反射レーザーパルスによって生成された第1二重反射レーザーパルス、及び2)前記レーザー送信機の前記反射面に反射する前記第2反射レーザーパルスによって生成された第2二重反射レーザーパルスを検出する光検出部と、
プロセッサーと、
コンピュータープログラム指令を記憶するメモリと、を備え、
前記コンピュータープログラム指令は、前記プロセッサーによって実行されるときに前記プロセッサーに、
前記第1二重反射レーザーパルスと前記第2二重反射レーザーパルスとの間の位相差に基づき、前記レーザー受信機と関連付けられた方位角度を決定することを含むオペレーションを実行させるシステム。
【請求項15】
方法であって、
レーザー送信機によって初期レーザーパルスをレーザー受信機に向けて投射すること、
前記レーザー受信機の第1反射面によって前記初期レーザーパルスを受信及び反射し、第1反射レーザーパルスを生成すること、
前記レーザー送信機の反射面によって前記第1反射レーザーパルスを受信及び反射し、第1二重反射レーザーパルスを生成すること、
前記レーザー受信機の光検出部で前記第1二重反射レーザーパルスを検出すること、
前記レーザー受信機の第2反射面によって前記初期レーザーパルスを受信及び反射し、第2反射レーザーパルスを生成すること、
前記レーザー送信機の前記反射面によって前記第2反射レーザーパルスを受信及び反射し、第2二重反射レーザーパルスを生成すること、
前記レーザー受信機の前記光検出部で前記第2二重反射レーザーパルスを検出すること、及び
前記第1二重反射レーザーパルスと前記第2二重反射レーザーパルスとの間の位相差に基づき、前記レーザー受信機と関連付けられた方位角度を決定すること、を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
この出願は2019年10月28日に出願された先の米国特許出願No.16/665,118に基づく優先権を主張しており、その開示内容すべてが本明細書に取り込まれている。
【背景技術】
【0002】
本開示は概してレーザー計測システムに関するものであり、更に具体的には、レーザー受信機と関連付けられた完全な位置、及び一部の実施形態においては姿勢情報を提供するためのレーザー計測システムに関する。
【0003】
たとえば建設及び農業の作業現場などの作業現場における準備作業は、その作業現場の一部を整地及び掘削し、所望の地形とすることが一般的である。作業現場の準備作業では、このような整地及び掘削の精度を向上する目的で,位置計測が重要な側面を有している。レーザー計測システムは、位置計測を容易にする目的で、建設機械(たとえばドーザー、スクレーパー、掘削機など)において一般的に使用される。
【0004】
1つの従来のアプローチでは、位置計測を容易にするためにレーザー計測システムが利用されている。このような従来のレーザー計測システムでは、レーザー送信機のレーザーダイオードがレーザーパルスを投射し、レーザー受信機のフォトダイオードがレーザーパルスを受信する。レーザー送信機及びレーザー受信機は、それぞれレーザーダイオード及びフォトダイオードを中心とする反射面を備えている。反射面上のレーザーパルスの反射に基づき、レーザー送信機とレーザー受信機との間の距離を計算することができる。しかし、レーザー送信機がレーザー受信機に近接している場合には、レーザー送信機とレーザー受信機との距離を算出する目的で、直接レーザーパルスと反射レーザーパルスとを区別することは困難である。更に、このような従来のレーザー計測システムは、レーザー受信機の姿勢情報を提供しない。
【0005】
従来のレーザー計測システムの例の1つは、2018年12月4日に発行された米国特許第10,145,671号に記載されており、その開示内容すべてが本明細書に取り込まれている。
【発明の概要】
【0006】
一又は複数の実施形態によると、レーザー受信機の位置及び/又は姿勢を計測する目的で、レーザー受信機を動作させるためのシステム及び方法が提供される。レーザー送信機からの初期レーザーパルスからは、レーザー受信機の第1反射面を受信及び反射することにより第1反射レーザーパルスが生成され、レーザー受信機の第2反射面を受信及び反射することにより第2反射レーザーパルスが生成される。第1二重反射レーザーパルス及び第2二重反射パルスは、レーザー受信機の光検出部で検出される。第1二重反射レーザーパルスは、レーザー送信機の反射面に反射する第1反射レーザーパルスの結果として生成される。第2二重反射レーザーパルスは、レーザー送信機の反射面に反射する第2反射レーザーパルスの結果として生成される。第1二重反射レーザーパルス及び第2二重反射レーザーパルスに基づき、レーザー受信機と関連付けられた方位角度を決定する。
【0007】
一実施形態において方位角度は、第1二重反射レーザーパルスと第2二重反射レーザーパルスとの間の位相差を判定することによって決定される。1つ又は複数の追加の姿勢角度(たとえばピッチ角及びロール角)は、(たとえば傾斜)センサーを使用して決定することが考えられる。
【0008】
一実施形態において初期レーザーパルスは、レーザー受信機の光検出部において検出され、光検出部が初期レーザーパルスを検出する前にレーザー受信機の第1反射面が初期レーザーパルスを受信し、光検出部が初期レーザーパルスを検出した後にレーザー受信機の第2反射面が初期レーザーパルスを受信する。
【0009】
一実施形態において初期レーザーパルスは、レーザー送信機によって複数の変調副搬送波で変調され、レーザー送信機と関連付けられた水平角度、及びレーザー送信機と関連付けられた付加データを送信する。変調された初期レーザーパルスを復調し、複数の変調副搬送波の位相のベクトルを乗算ベクトルで乗算することによって、水平角度を抽出してもよい。
【0010】
一実施形態によるとレーザー受信機は、光検出部と、それぞれが光検出部の中心点からオフセット配置された中心点を有する少なくとも1つの反射面とを有する。
【0011】
一実施形態において少なくとも1つの反射面は、光検出部の中心と交差する平面の両側に位置する第1反射面及び第2反射面を有する。レーザー受信機の第1反射面及び第2反射面は、平面に対して対称に配置されうる。平面は光検出部の表面に対する法線上に位置する構成が考えられる。
【0012】
一実施形態においてレーザー受信機は更に、光検出部の周囲に位置する非反射領域を更に有する。光検出部は、レーザー送信機からの初期レーザーパルスを受信するものが考えられ、非反射領域のサイズは、レーザー送信機の反射面のサイズの少なくとも2倍である。
【0013】
一実施形態においてレーザー受信機は、1つ又は複数の追加の姿勢角度(たとえばピッチ角及びロール角)を決定するための(たとえば傾斜)センサーを有する。
【0014】
一又は複数の実施形態では、レーザー送信機を動作させるためのシステム及び方法が提供される。初期レーザーパルスがレーザー受信機に向けて投射される。第1反射レーザーパルスを受信及び反射して第1二重反射レーザーパルスが生成される。第2反射レーザーパルスを受信及び反射して第2二重反射レーザーパルスが生成される。第1反射レーザーパルス及び第2反射レーザーパルスは、初期レーザーパルスがレーザー受信機の第1反射面及び第2反射面それぞれを反射した結果として生成される。
【0015】
一実施形態において初期レーザーパルスは、レーザー送信機によって複数の変調副搬送波で変調され、レーザー送信機は、レーザー送信機と関連付けられた水平角度及びレーザー送信機と関連付けられた付加データを送信する。
【0016】
一実施形態では、レーザー送信機及びレーザー受信機を有するレーザー計測システムが提供される。レーザー送信機は、レーザー受信機に向けて初期レーザーパルスを投射する1つ又は複数のレーザー光源と、反射面とを有する。レーザー受信機は、初期レーザーパルスを反射して第1反射レーザーパルスを提供する第1反射面と、初期レーザーパルスを反射して第2反射レーザーパルスを提供する第2反射面とを有する。レーザー受信機は更に光検出部を有し、光検出部は、1)レーザー送信機の反射面に反射する第1反射レーザーパルスによって生成される第1二重反射レーザーパルスと、2)レーザー送信機の反射面に反射する第2反射レーザーパルスによって生成される第2二重反射レーザーパルスとを受信する。レーザー送信機は、第1及び第2二重反射レーザーパルスに基づき、レーザー受信機と関連付けられた方位角度を決定する。
【0017】
一実施形態では、レーザー受信機の位置及び/又は姿勢を計測する目的で、レーザー受信機及びレーザー送信機を動作させるためのシステム及び方法が提供される。レーザー送信機はレーザー受信機に向けて初期レーザーパルスを投射する。レーザー受信機の第1反射面は初期レーザーパルスを受信及び反射して第1反射レーザーパルスを生成する。レーザー送信機の反射面は第1反射レーザーパルスを受信及び反射して第1二重反射レーザーパルスを生成する。第1二重反射レーザーパルスはレーザー受信機の光検出部で検出される。レーザー受信機の第2反射面は初期レーザーパルスを受信及び反射して第2反射レーザーパルスを生成する。レーザー送信機の反射面は第2反射レーザーパルスを受信及び反射して第2二重反射レーザーパルスを生成する。第2二重反射レーザーパルスはレーザー受信機の光検出部で検出される。第1二重反射レーザーパルス及び第2二重反射レーザーパルスに基づき、レーザー受信機と関連付けられた方位角度を決定する。
【0018】
当業者にとって、本発明のこれらの利点及びその他の利点は、以下の詳細な説明及び添付図面を参照することによって明白なものとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1はレーザー計測システムの1つを例示する。
【0020】
【
図2A】
図2Aは2つの反射面を有するレーザー受信機を例示する。
【0021】
【0022】
【
図3】
図3はレーザー送信機とレーザー受信機との間のレーザー光線送信及び反射のダイアグラムである。
【0023】
【
図4】
図4はレーザー送信機が2回転するときレーザー受信機が受信するN-ビーム信号の例示的なグラフである。
【0024】
【
図5】
図5は1回転の間にレーザー受信機が受信するN-ビーム信号の例示的なグラフである。
【0025】
【
図6】
図6は1つの直接パルス及び1つの二重反射パルスを有するレーザー受信機が受信した信号の例示的なグラフ600である。
【0026】
【
図7A】
図7Aはレーザー計測システムの更なる詳細を示す上面図である。
【0027】
【
図7B】
図7Bはレーザー計測システムの更なる詳細を示す斜視図である。
【0028】
【
図8】
図8は水平角度を復調するための作業フロー図である。
【0029】
【
図9】
図9は
図8によるレーザー受信機が実行する復調の概要を例示する。
【0030】
【
図10】
図10は5つの副搬送波による復調の概要を例示する表である。
【0031】
【
図11】
図11は6つの副搬送波による復調の概要を例示する表である。
【0032】
【
図12】
図12はレーザー受信機と関連付けられた位置及び/又は姿勢を決定するためのレーザー受信機の動作方法を例示する。
【0033】
【
図13】
図13はレーザー受信機と関連付けられた位置及び/又は姿勢を決定するためのレーザー送信機の動作方法を例示する。
【0034】
【
図14】
図14は例示的なレーザー受信機の高レベルのブロックダイアグラムである。
【0035】
【
図15】
図15は例示的なレーザー送信機の高レベルのブロックダイアグラムである。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本発明のさまざまな実施形態によって提供されるレーザー計測システムは、レーザー送信機から受信したレーザーパルスに基づき、レーザー受信機と関連付けられた完全な3次元位置(すなわち垂直角度、水平角度、距離)及び/又は完全な3次元姿勢(すなわち方位角度及び2つの傾斜角度)を計算する。一実施形態においてレーザー送信機は、レーザーダイオードの中心からオフセット配置された反射面を有しており、レーザー受信機は、フォトダイオードの中心からそれぞれオフセット配置された2つの反射面を有する。この構成によって、レーザー送信機から投射された初期レーザーパルスは、レーザー受信機の2つのオフセット反射面によって、第1及び第2反射レーザーパルスとしてレーザー送信機に反射され、その後にレーザー送信機のオフセット反射面で反射され、第1及び第2二重反射レーザーパルスとしてレーザー受信機に戻る。レーザー受信機の反射面をオフセット配置することによって、直接初期レーザーパルスと、第1及び第2二重反射レーザーパルスとの間に時間遅延が追加されるので、時間領域における信号を分離することによって、レーザー受信機は、直接初期レーザーパルスと第1及び第2二重反射レーザーパルスとを容易に区別することが可能になる。レーザー受信機上の2つの反射面がフォトダイオードの両側に設置されているので、レーザー受信機は、第1二重反射レーザーパルスの位相と第2二重反射レーザーパルスの位相とを比較することによって、その方位角度を決定することができる。この構成の優位な点としてレーザー受信機は、送信及び反射した信号に基づき、レーザー受信機と関連付けられた3次元位置(すなわち垂直角度、水平角度、距離)だけでなく、方位角度も決定する。一実施形態においてレーザー受信機は更に、2つの追加の方位角度(すなわちロール角及びピッチ角)を提供するための1つ又は複数のセンサー(たとえば傾斜センサー)を備えてもよく、これは方位角度(すなわちヨー角)と併せて、レーザー受信機と関連付けられた完全な3次元姿勢を提供する。本発明の実施形態によるレーザー計測システムは、たとえば建設及び農業作業を実施するために使用することが考えられる。
【0037】
図1は、一又は複数の実施形態によるレーザー計測システム100を示す。レーザー計測シスム100は、レーザー送信機102及びレーザー受信機104を有する。
図1に例示するように、レーザー受信機104は測量用ポール106に取り付けられるように構成されているが、レーザー受信機104はさまざまな構成が可能と考えられる。たとえばレーザー受信機104は、建設機械(たとえば掘削機、ダンプカー、ブルドーザー等)に取り付けられる構成、又は手持ち式装置に取り付けられる構成が考えられる。レーザー受信機104及びレーザー送信機102は、それぞれ
図2A及び
図2Bで更に詳細に説明する。なおレーザー計測システム100は、レーザー送信機102から受信したレーザー光線に基づき各レーザー受信機104の位置及び姿勢情報を計算するための任意の数のレーザー受信機を含む構成も考えられる。
【0038】
レーザー送信機102は、たとえば2007年3月27日発行の米国特許第7,196,302号に記載されているように(その全体が、本明細書に参照によって組み込まれる)、一定速度での回転照射中にN形ビーム108を投射する。レーザー送信機102は、(たとえば位相又は周波数の)変調を伴うN形ビーム108を投射することが考えられる。N形ビーム108は、ビーム108の光束の断面がN形となるように投射された複数の扇形ビームからなる。
図1は、垂直ビーム110-A、垂直ビーム110-B、並びに垂直ビーム110-A及び110-Bに対して斜線上の角度θ112で傾斜するビーム110-CによってN形を形成するN形ビーム108を例示している。
【0039】
図2Aは一又は複数の実施形態によるレーザー受信機200の詳細図を示す。一実施形態においてレーザー受信機200は、
図1のレーザー受信機104である。レーザー受信機200は、レーザー送信機(たとえば
図1のレーザー送信機102)からのレーザーパルスを検出又は受信するための光検出部202(たとえばフォトダイオード)と、2つの反射面204-A及び204-B(集合的に複数反射面204と称する)とを有する。複数反射面204は、レーザーパルスを反射するのに適したあらゆる反射面が考えられる。たとえば複数反射面204としては、複数のミラーエッジを有するコーナーリフレクター若しくはプリズム、又は再帰反射器の平坦な表面が考えられる。複数反射面204それぞれに関して、複数反射面204それぞれの中心点は光検出部202の中心点からオフセット配置されながら、複数反射面204それぞれの中心は非反射領域206内に位置するように配置されている 一実施形態において複数反射面204それぞれの中心は、レーザー送信機の反射面(たとえば
図2Bのレーザー送信機210上の反射面214)のサイズ(たとえば直径)の2倍の領域内に位置する。一実施形態において複数反射面204は、平面208の両側にオフセット配置されている。平面208は光検出ユニット202の中心と交差しており、光検出ユニット202の表面に対して法線上に位置する。1つの例として複数反射面204は、面208の両側に、面208に対して対称に配置される。他の一実施形態において複数反射面204それぞれの中心点は、光検出ユニット202の中心点からオフセット配置され、これによって(たとえばレーザー送信機102から投射される)初期レーザーパルスは、光検出ユニット202が初期レーザーパルスを検出する前及び後それぞれにおいて、反射面204-A及び反射面204-B (又はその逆)をそれぞれ反射する。
【0040】
レーザー受信機200の筐体の前面209は、レーザー受信機200の後方の反射物体からの望ましくない反射を防止する目的で、レーザー送信機の反射面(たとえば
図2Bのレーザー送信機210上の反射面214)のサイズ(たとえば直径、表面積)の少なくとも2倍である。一実施形態においては、レーザー受信機200は非反射領域206を有し、非反射領域206は光検出ユニット202の周囲に位置し(たとえば光検出ユニット202を中心とし)、非反射面を有する。
図2Aにおいて非反射領域206は例示的に複数反射面204と一部重複する部分として示されているが、複数反射面204は非反射領域206を覆うように配置されており、複数反射面204のこのような部分は非反射性ではないことを理解すべきである。非反射領域206は、あらゆる適切なサイズが考えられ、黒色塗料など、あらゆる適切な非反射面を有する構成が考えられる。一実施形態において非反射領域206は、レーザー送信機の反射面(たとえば
図2Bのレーザー送信機210上の反射面214)のサイズ(たとえば表面積)の少なくとも2倍である。
【0041】
図2Bは一又は複数の実施形態によるレーザー送信機210の詳細図を示す。一実施形態においてレーザー送信機210は、
図1のレーザー送信機102である。レーザー送信機210は、たとえばレーザーダイオードなどの複数のレーザー光源212-A、212-B、212-C(集合的に複数レーザー光源212と称する)を有しており、回転照射において扇形ビームを投射することで、N形ビームを形成するように構成されている。レーザー送信機210は更に、反射面214を有しており、反射面214は、レーザーパルスを反射するのに適したあらゆる表面(たとえば複数のミラーエッジを有するコーナーリフレクター若しくはプリズム、又は再帰反射器の平坦面)が考えられる。反射面214の中心点は、複数レーザー光源212それぞれの中心点からオフセット配置され、非反射領域216内に位置する。一実施形態において反射面214の中心は、レーザー受信機の反射面(たとえば
図2Aのレーザー受信機200上の反射面206)のサイズ(たとえば直径)の2倍の領域内に位置する。一実施形態において反射面214は、レーザー受信機上の反射面(たとえば
図2Aのレーザー受信機200上の反射面206)と同一のサイズ(たとえば直径、表面積)であるが、異なるサイズも考えられる。
【0042】
レーザー送信機210の筐体の前面218は、レーザー送信機210の後方の反射物体からの望ましくない反射を防止する目的で、レーザー受信機の反射面(たとえば
図2Aのレーザー受信機200上の反射面204-A又は204-B)のサイズ(たとえば直径、表面積)の少なくとも2倍である。一実施形態においては、レーザー送信機210は非反射領域216を有し、非反射領域216は複数レーザー光源212の周囲に位置し(たとえば複数レーザー光源212を中心とし)、非反射面を有する。
図2Bにおいて非反射領域216は例示的に反射面214と一部重複する部分として示されているが、反射面214は非反射領域216を覆うように配置されており、反射面214のこのような部分は非反射性ではないことを理解すべきである。非反射領域216は、あらゆる適切なサイズが考えられ、黒色塗料など、あらゆる適切な非反射面を有する構成が考えられる。一実施形態において非反射領域216は、レーザー受信機の反射面(たとえば
図2Aのレーザー受信機200上の反射面204)のサイズ(たとえば表面積)の少なくとも2倍である。
【0043】
図3は一又は複数の実施形態によるレーザー送信機210とレーザー受信機200との間のレーザーパルス送信及び反射のダイアグラム300を示す。
図3の説明には、
図1、
図2A、
図2Bを参照する。ダイアグラム300は、一実施形態における、レーザー送信機210及びレーザー受信機200の各要素の間におけるレーザーパルスの送信及び反射を示し、各事象は垂直軸の上から下に向けて漸次的に発生する。
【0044】
レーザー送信機210の複数レーザー光源212は、レーザー受信機200に向けて初期レーザーパルス302を投射する。初期レーザーパルス302はレーザー受信機200を横断しながら、しばらく連続して回転照射で投射される。これによって初期レーザーパルス302は、時間ポイント312、320、324において、それぞれレーザー受信機200の反射面204-A、光検出部202、反射面204-Bを横断しながら、連続的に回転照射で投射される。一実施形態において初期レーザーパルス302は、レーザー光源212-A、212-B、212-Cによってそれぞれ投射された3つの別個のビーム110-A、110-C、110-BからなるN形ビーム(たとえばN形ビーム108)である。一実施形態において初期レーザーパルス302は、複数の変調副搬送波によって変調され、レーザー受信機200と関連付けられた水平角度及びレーザー送信機210と関連付けられた付加データを送信する。レーザー受信機200と関連付けられた水平角度は、レーザー送信機210のエンコーダーによって提供され、変調された初期レーザーパルス302を介してレーザー受信機200に送信される。
【0045】
時間ポイント312においてレーザー送信機210の複数レーザー光源212によって投射された初期レーザーパルス302は、時間ポイント314においてレーザー受信機200の反射面204-Aにより受光され、第1反射レーザーパルス304としてレーザー送信機210に向かって反射され、第1反射レーザーパルス304は、時間ポイント316においてレーザー送信機210の反射面214により受光され、第1二重反射レーザーパルス306としてレーザー受信機200に向かって反射され、時間ポイント318においてレーザー受信機200の光検出部202によって検出される。
【0046】
複数レーザー光源212がレーザー受信機200を横断しながら回転照射の投射を続けると、時間ポイント320において複数レーザー光源212によって投射された初期レーザーパルス302は、時間ポイント322においてレーザー受信機200の光検出部202によって検出される。
【0047】
複数レーザー光源212がレーザー受信機200を横断しながら回転照射の投射を続けると、時間ポイント324において複数レーザー光源212によって投射された初期レーザーパルス302は、時間ポイント326においてレーザー受信機200の反射面204-Bにより受光され、第2反射レーザーパルス308としてレーザー送信機210に向かって反射され、第2反射レーザーパルス308は、時間ポイント328においてレーザー送信機210の反射面214により受光され、第2二重反射レーザーパルス310としてレーザー受信機200に向かって反射され、時間ポイント330においてレーザー受信機200の光検出部202によって検出される。
【0048】
レーザー受信機200上の反射面204-A及び204-Bのオフセット配置によって、(時間ポイント322において)光検出部202が初期レーザーパルス302を検出する前に、初期レーザーパルス302は(時間ポイント314において)第1反射面204-Aにより受信及び反射され、(時間ポイント322において)光検出部202が初期レーザーパルス302を検出した後に、初期レーザーパルス302は(時間ポイント326において)第2反射面204-Bにより受信及び反射される。反射面204-A及び204-Bがオフセット配置されていることからレーザー受信機200は、(レーザー送信機210から直接受信された)初期レーザーパルス302と、第1及び第2二重反射レーザーパルス306及び310とを容易に識別することができる。レーザー受信機200は送信及び反射されたレーザーパルスに基づき、レーザー受信機200の完全な3次元位置情報(すなわち垂直角度、水平角度、距離)及び方位角度を決定する。
【0049】
図4は、一又は複数の実施形態において、2回転するレーザー送信機(たとえば
図2Bのレーザー送信機210)から送信され、レーザー受信機(たとえば
図2Aのレーザー受信機200)により受信されるN-ビーム信号のグラフ400を例示する。グラフ400は、第1回転中にレーザー光源212-Aが投射する第1レーザーパルス402-Aと、レーザー光源212-Bが送信する中間レーザーパルス402-Bと、レーザー光源212-Cが送信する最終レーザーパルス402-CとからなるN-ビーム信号402を検出し、更に、第2回転中にレーザー光源212-Aが投射する第1レーザーパルス404-Aと、レーザー光源212-Bが投射する中間レーザーパルス404-Bと、レーザー光源212-Cが投射する最終レーザーパルス404-CとからなるN-ビーム信号404を検出するレーザー受信機を示す。N-ビーム信号402とN-ビーム信号404との間の時間は、10ヘルツで回転するレーザー送信機(すなわちレーザー送信機の送信機ヘッド)の1回転を表す。なおレーザー受信機は、N-ビーム信号402及び404の二重反射レーザーパルス(グラフ400には不図示)を検出可能であることを理解すべきである。
【0050】
図5は、一又は複数の実施形態によるレーザー受信機(たとえば
図2のレーザー受信機200)が1回転で受信したN-ビームの信号のグラフ500を例示する。レーザー受信機は、集合的にN形ビーム(たとえば
図1のN形ビーム108)を形成するビーム502、504及び506を受信する。具体的にビーム502は垂直ビーム(たとえば垂直ビーム110-A)に対応し、ビーム504は傾斜ビーム(たとえば ビーム110-C)に対応し、ビーム506は垂直ビーム(たとえば垂直ビーム110-B)に対応する。
【0051】
図6は、一又は複数の実施形態による1つの直接パルスと1つの二重反射パルスとを有するレーザー受信機(たとえば
図2のレーザー受信機200)が受信する信号のグラフ600を例示する。
図6に関して説明するレーザー受信機は、単一の反射面(たとえば
図2の反射面204-B)を有する。したがってグラフ600に示すように、レーザー受信機は、直接初期レーザーパルス602及び二重反射レーザーパルス604を受信する。
【0052】
図7Aは一又は複数の実施形態によるレーザー計測システム700の更なる詳細を示す上面図、及び
図7Bはその斜視図である。
図7A及び
図7Bにおいてレーザー送信機702は、回転照射によってN形ビーム706をレーザー受信機704に連続的に投射する。レーザー送信機702及びレーザー受信機704は、それぞれ反射面718及び716を有する。一実施形態においてレーザー送信機702は、
図1のレーザー送信機102又は
図2Bのレーザー送信機210とすることが考えられ、レーザー受信機704は、
図1のレーザー受信機104又は
図2のレーザー受信機200とすることが考えられる。なお
図7A及び
図7Bは、レーザー計測システム700を高レベルで表したものであり、レーザー計測システム700には、追加の構成要素(たとえば非反射領域)を含むことが可能であると理解すべきである。
【0053】
レーザー受信機704の位置は、さまざまなパラメータによって規定することができる。一実施形態においてレーザー受信機704の位置は、3次元座標及び3次元姿勢角度によって表すことができる。レーザー受信機704の3次元座標は、垂直角度720、水平角度710、距離D708によって規定することが考えられる。レーザー受信機704の3次元姿勢角度は、方位姿勢角度712(すなわちヨー角)と、2つの傾斜角度(すなわち、たとえばピッチ角及びロール角)とによって規定することが考えられる。垂直角度720は、レーザー受信機704が送信機基準水平面722に対して位置する角度である。水平角度710は、レーザー受信機704が送信機基準方向714に対して位置する角度である。距離D708は、レーザー送信機702とレーザー受信機704との間の距離である。方位姿勢角度712は、レーザー受信機704が基準方向724に対してN形ビーム706を受信する角度である。
【0054】
レーザー受信機704の3次元座標及び3次元姿勢角度を規定するパラメータは、N形ビーム706及びその反射に基づき決定することができる。レーザー受信機704と関連付けられた垂直角度720は、次に示す等式1によって計算することができる。
【数1】
ここでkはN-ビーム706のレーザー傾斜角度に基づく(すなわち
図1の傾斜ビーム110-Cの角度112に基づく)係数であり、t1、t2及びt3は、N-ビーム706の各ビーム(たとえば
図1のビーム110-A、110-C及び110-B、
図4のパルス402-A、402-B、402-C、又は
図5のビーム502、504、506)を受信するタイムスタンプである。
【0055】
レーザー受信機704と関連付けられた水平角度710は、次に示す等式2によってN形ビーム706から復調することができる。
【数2】
ここでHは粗水平角度であり、P1、P2、P3及びP4はN形ビーム706の復調済副搬送波の位相である。水平角度は、N形ビーム706の各直接パルスについて(たとえば
図5の各ビーム502、504、506について)別個に復調することができる。N形ビーム706の各直接パルス間の物理角度を使用して、N形ビーム706の各パルス間の水平角度の差(たとえばビーム502、504及び506の水平角度の差)が補正される。補正後、N形ビーム706の各パルスの水平角度を平均化してノイズを低減することができる。
【0056】
レーザー送信機702とレーザー受信機704との間の距離D708は、N形ビーム706(すなわち直接初期レーザーパルス)の位相と、レーザー受信機704が受信したN形ビーム706の1つの二重反射レーザーパルス(たとえば
図3の第1二重反射レーザーパルス306若しくは第2二重反射レーザーパルス310、又は
図6のパルス602及び604)の位相とを、次に示す等式3によって比較することで計算される。
【数3】
ここでCは光の速度であり、P
riはラジアンによるN形ビーム706の反射パルスの位相(たとえばP1、P2、P3及びP4)であり、P
diはN形ビーム706(すなわち直接初期レーザーパルス)の位相であり、f
iはi番目の副搬送波の有効周波数である。ここでの距離は、4つの副搬送波すべてについて独立して計算され、平均化することも考えられる。一実施形態においてこの距離は、N形ビーム706の各直接パルスについて別個に計算し、平均化して計算することも考えられる。
【0057】
レーザー受信機704と関連付けられた方位姿勢角度712は、N形ビーム706の第1二重反射レーザーパルス(たとえば
図4の第1二重反射レーザーパルス306)の位相と、N形ビーム706の第2二重反射レーザーパルス(たとえば第2二重反射レーザーパルス310)の位相とを、次に示す等式4によって比較することで計算可能である。
【数4】
ここでCは光の速度であり、P
1及びP
2はそれぞれ第1二重反射レーザーパルス及び第2二重反射レーザーパルスの位相であり、Lは第1二重反射レーザーパルスを反射する反射面と第2二重反射レーザーパルスを反射する反射面(たとえば
図2Aの反射面204-Aと204-B)それぞれの中心点の間の距離であり、Fは効率的な搬送波周波数である。
【0058】
一実施形態においてレーザー受信機704は、レーザー受信機704の1つ又は複数の追加の姿勢角度、例えばロール角及びピッチ角などを計測する1つ又は複数のセンサー(不図示)を備える。1つ又は複数のセンサーは、レーザー受信機200の姿勢を計測するためのあらゆる適切なセンサーが考えられる。たとえば1つ又は複数のセンサーは、慣性計測ユニット、加速度計、傾斜計などの傾斜センサーを含むことが考えられる。
【0059】
優位な点として、一又は複数の実施形態によると、6次元における完全に確実な本体の姿勢に対して、完全な3次元位置及び3次元姿勢が達成される。このような完全な3次元位置及び3次元姿勢はレーザー受信機704により決定されるが、レーザー受信機704からレーザー送信機702への通信は行われない。具体的にレーザー受信機704は、その位置及び姿勢に関するすべての情報を決定し、その一方でレーザー送信機702は、すべての必要な情報を放送し、レーザーパルスを受動的に反射する。したがってレーザー受信機704からレーザー送信機702への通信が不要となる。
【0060】
図1に関して、一実施形態によるとレーザー送信機102は、複数の副搬送波を使用し、更にレーザー送信機102の瞬間的回転角度並びにレーザー受信機104に有用と思われる付加情報によって、N形ビーム108を変調する。この構成によると、変調後のN-ビーム108を受信したレーザー受信機104は、変調に使用された搬送波の副搬送波の位相(又は周波数)を計測することによって、レーザー受信機104と関連付けられた水平角度を追加的又は代替的に推定することができる。複数の副搬送波を使用した変調は、ここで説明したレーザー計測システムに限らず、たとえば無線周波数信号など、あらゆるタイプの信号送信に適用可能であることを理解すべきである。
【0061】
複数の副搬送波は、N形ビーム108を変調するために使用される搬送波の側波帯である。この複数の副搬送波には、あらゆる適切な数の副搬送波を含むことが考えられる。一実施形態において複数の副搬送波には、搬送波周波数とシンボル周波数との間で同期ロックしている直接合成方法を使用した(すなわち1つの発信器による)少なくとも2つの副搬送波が含まれる。他の一実施形態において複数の副搬送波には、搬送波周波数とシンボル周波数との間で同期していない直接合成方法を使用しない(すなわち2つの独立した発信器による)少なくとも3つの副搬送波が含まれる。
【0062】
レーザー受信機104は変調後のN形ビーム108を受信し、複数の副搬送波それぞれの位相を計測する。複数の副搬送波それぞれの位相はN次元空間におけるベクトルを形成し、ここでNは副搬送波の数である。このベクトルは変換マトリックスを使用して、変換ベクトルに変換される。レーザー送信機102の搬送波位相、副搬送波位相及びヘッド回転(水平)角度は、変換ベクトルから独立して抽出することができる。
【0063】
複数の副搬送波は複数の仮想チャンネルを提供し、これらの仮想チャンネルによってレーザー送信機102は、レーザー受信機104(更に、
図1に示されていないその他のレーザー受信機)にデータを送信する。これらの仮想チャンネルは、それぞれ独立して変調された信号であり、仮想チャンネルの数は副搬送波の数に対応する。これらの仮想チャンネルは、副搬送波位相ベクトル(たとえば4つの副搬送波についての副搬送波位相ベクトル{P1、P2、P3、P4})を、復調マトリックス(たとえば
図9の表900のマトリックス)に乗算することによって抽出される。一実施形態では、曖昧さなしにレーザー受信機104と関連付けられた水平角度の粗推定を送信する目的で、1つ又は複数の仮想チャンネルを使用することが考えられる。レーザー受信機104と関連付けられた水平角度の推定精度を向上させる目的で、異なる乗算を追加することが可能である。他の一実施形態では、1つ又は複数の仮想チャンネルを使用して、たとえばレーザー送信機102のシリアルナンバー、送信機チャンネル、レーザー送信機102の位置座標(たとえばユーザーにより入力された又はその他の方法で計算された)、校正データ(たとえばN形ビーム108の正確な角度)、又は受信機104に有用と考えられるその他のデータなどの付加データを放送することが考えられる。
【0064】
図8には
図1の参照に続き、一又は複数の実施形態による水平角度の復調のためのワークフロー800が示されている。ワークフロー800はたとえば、
図1のレーザー受信機104、
図2Aのレーザー受信機200、又は
図7のレーザー受信機704などのレーザー受信機による実施が可能である。
【0065】
レーザー送信機102は、4つの副搬送波を使用してN形ビーム108を変調することができる。変調信号(TxSignal)は次に示す等式5で表され、ここでAはレーザー送信機102の(そのエンコーダーからの)瞬間的ヘッド回転角度、Cは搬送波位相、Sは副搬送波位相、そしてP1、P2、P3及びP4はそれぞれ変調副搬送波信号の位相である。
【数5】
ここでP1=C+3S+(A/4)+A、P2=C+S-(A/4)-3A、P3=C-S-(A/4)+3A、及びP4=C-3S+(A/4)-Aである。位相P1、P2、P3及びP4は、それぞれ同一の位相Sから整数乗算して導出されることから、インターロックされている(同一の発信器から導出されており、無秩序なものではない)。
【0066】
図8に示すように、レーザー受信機104(たとえばレーザー受信機104の光検出部)は変調信号802を受信し、この変調信号は適切なレートでアナログ-デジタル変換器(ADC)804によってサンプリングされる。サンプリングされた信号は、周波数シフトを行う乗算器806-A、806-B、806-C、及び806-D(集合的に複数乗算器806と称する)、更にパルス検出器812に入力される。パルス検出器812は、たとえばサンプリングされた信号を閾値と比較することによって、サンプリングされた信号がパルスであるのか否かを判定し、それぞれの位相{P1、P2、P3、P4}のサンプリングをトリガーする。乗算器806は、サンプリングされた信号を、デジタル局部発振器840からのそれぞれの位相に乗算し、ここでそれぞれの位相は、搬送波位相+N*副搬送波位相として決定され、ここでNは
図8に示す例によると、それぞれ-3、-1、+1、及び+3である。複数乗算器806の出力は、ローパス(LP)フィルター808-A、808-B、808-C、及び808-Dそれぞれ(集合的に複数ローパス(LP)フィルター808と称する)によってローパスフィルタリングされる同位相(I)及び直角位相(Q)の成分を含む複素信号である。
【0067】
複数ローパス(LP)フィルター808からのフィルタリングされた信号は、位相=arctan(Q/I)を使用して、位相変換器810-A、810-B、810-C、及び810-D(集合的に複数位相変換器810と称する)によって1つの位相に変換され、位相P1、P2、P3、及びP4を決定する。乗算器814はスカラー乗法を適用し、位相P1、P2、P3、及びP4それぞれを、直交乗算ベクトル{+1、+1、+1、+1}に乗算する。これらの出力は結合器822によって結合され、搬送波位相Cを4倍の増倍率で抽出する。搬送波位相Cは搬送波位相ロックループ838に入力され、この搬送波位相ロックループ838は位相をデジタル局部発信器840に出力する。乗算器816はスカラー乗法を適用し、位相P1、P2、P3、及びP4それぞれを、直交乗算ベクトル{+3、+1、-1、-3}に乗算する。これらの出力は結合器824によって結合され、副搬送波位相Sを20倍の増倍率で抽出する。副搬送波位相Sは副搬送波位相ロックループ836に入力され、この副搬送波位相同期ループ836は位相をデジタル局部発信器840に出力する。
【0068】
乗算器818はスカラー乗法を適用し、位相P1、P2、P3、及びP4それぞれを、直交乗算ベクトル{+1、-1、-1、+1}に乗算する。これらの出力は結合器826によって結合され、曖昧さなしに1倍の倍増率で粗水平角度A826を抽出する。したがって水平角度Aの推定値は、次に示す等式6によって抽出することができる。
【数6】
乗算器820はスカラー乗法を適用し、位相P1、P2、P3、及びP4それぞれを、直交乗算ベクトル{+1、-3、+3、-1}に乗算する。これらの出力は結合器828によって結合され、曖昧さを伴う20倍の倍増率で正確水平角度A832を抽出する。曖昧さを伴わない粗水平角度830と、曖昧さを伴う正確水平角度832とは結合され、曖昧さを伴わない正確水平角度834を決定する。
【0069】
図9は、
図8のワークフロー800に示す復調を要約した表900を示す。
【0070】
ベクトル{+1、+1、+1、+1}、{+3、+1、-1、-3}、{+1、-1、-1、+1}、{+1、-3、+3、-1}は4次元の直交ベクトルである。{+1、-1、-1、+1}及び{+1、-3、+3、-1}は同一角度Aの情報でエンコードされるので、ノイズ推定ベクトル{+21、-23、-17、+19}を抽出することができる。具体的には、4つベクトルのうち2つのベクトルを相互依存情報(A/4及びA)でエンコードすることによって、新たな独立ベクトルをV’=(0.25)*{+1、-1、-1、+1}+{+1、-3、+3、-1}={1.25、-3.25、2.75、-0.75}の線形結合として表すことができる。整数係数を得るために4を乗算すると、V={5、-13、11、-3}となる。これによって回転角度Aに関するすべての情報が、基礎{5、-13、11、-3}に沿ってエンコードされる。{5、-13、11、-3}、{1、1、1、1}、及び{+3、+1、-1、-3}に対する整数係数を伴う直交ベクトルは{+21、-23、-17、+19}である。このベクトル{+21、-23、-17、+19}に沿って抽出された信号は、搬送波位相、副搬送波位相、及び回転角度Aに関する情報を搬送しないので、ノイズのみを有する。このノイズ量は計測可能であり、回転角度Aの精度を推定するために使用可能である。
【0071】
図10は5つの副搬送波による復調を要約した表1000を示し、ここでN個の副搬送波はN次元空間を規定する。2つの次元は搬送波位相情報及び副搬送波位相情報のために使用される。残りの3つの次元は、水平角度情報の送信及びその他のデータの送信のための3つの仮想データチャンネル(すなわちチャンネルA、チャンネルB、及びチャンネルC)を提供する。一実施形態においてチャンネルA、チャンネルB、及びチャンネルCは、異なる精度レベルで水平角度を送信するために使用することができる。他の一実施形態では、チャンネルA、チャンネルB、及びチャンネルCのうち2つのチャンネルのみが水平角度を送信するために使用され、その一方で3番目のチャンネルは、すべての受信機に支援情報を放送するために使用される。
【0072】
図11は6個の副搬送波による復調を要約した表1100を示す。4つの仮想データチャンネル(すなわちチャンネルA、チャンネルB、チャンネルC、及びチャンネルD)は、水平角度情報及びその他のデータ送信のために共用される。
【0073】
図12は、一又は複数の実施形態による、レーザー受信機と関連付けられた位置及び/又は姿勢を決定するためのレーザー受信機の動作方法1200を示す。方法1200は
図1乃至
図3を参照して説明される。一実施形態において方法1200の各ステップは、
図1のレーザー受信機104、
図2Aのレーザー受信機200、又は
図7A及び
図7Bのレーザー受信機704によって実施されることが考えられる。
【0074】
ステップ1202においてレーザー受信機200の第1反射面(たとえば反射面204-A)は、レーザー送信機210からの初期レーザーパルス302を受信して反射し、第1反射レーザーパルス304を生成する。初期レーザーパルス302は、レーザー受信機200を横断する回転照射においてレーザー送信機210の複数レーザー光源212が投射するN形ビーム108とすることが考えられる。一実施形態において初期レーザーパルス302は複数の変調副搬送波によって変調され、レーザー送信機210と関連付けられた水平角度情報、更にレーザー送信機210と関連付けられた付加データを、レーザー受信機200に送信する。
【0075】
ステップ1204においてレーザー受信機200の光検出部202は、第1二重反射レーザーパルス306を検出する。第1二重反射レーザーパルス306は、レーザー送信機210の反射面214が第1反射レーザーパルス304を反射することによって生成される。
【0076】
ステップ1206においてレーザー受信機200の光検出部202は、初期レーザーパルス302を検出する。
【0077】
ステップ1208においてレーザー受信機200の第2反射面(たとえば反射面204-B)は初期レーザーパルス302を受信して反射し、第2反射レーザーパルス308を生成する。一実施形態では、光検出部202が初期レーザーパルス302を検出する前に第1反射面204-Aが初期レーザーパルス302を受信して反射し、光検出部202が初期レーザーパルス302を検出した後に、第2反射面204-Bが初期レーザーパルス302を受信及び反射する。
【0078】
ステップ1210においてレーザー受信機200の光検出部202は、第2反射レーザーパルス310を検出する。第2二重反射レーザーパルス310は、レーザー送信機210の反射面214が第2反射レーザーパルス308を反射することによって生成される。
【0079】
ステップ1212では、第1二重反射レーザーパルス306及び第2二重反射レーザーパルス310に基づき、レーザー受信機200と関連付けられた姿勢方位角度を決定する。姿勢方位角度は、第1二重反射レーザーパルス306と第2二重反射レーザーパルス310との間の位相差の判定によって決定することができる。一実施形態においてレーザー受信機200は、1つ又は複数の追加の姿勢角度を決定する目的で、1つ又は複数のセンサーを有することも考えられる。
【0080】
ステップ1214ではレーザー受信機200と関連付けられた3次元位置が決定される。たとえばレーザー受信機200とレーザー送信機210との間の距離は、初期レーザーパルス302の位相と、第1二重反射レーザーパルス306若しくは第2二重反射レーザーパルス310のいずれか一方又は両方の位相との差に基づき決定することが考えられる。レーザー受信機200と関連付けられた垂直角度は、初期レーザーパルス302のN形ビームの3つのビームの時間差比に基づき決定することが考えられる。レーザー受信機200と関連付けられた水平角度は、変調後の初期レーザーパルス302の1つ又は複数の変調副搬送波から水平角度を復調することによって決定することが考えられる。
【0081】
図13は一又は複数の実施形態によるレーザー送信機の動作方法1300を示す。方法1300は、レーザー受信機と関連付けられた位置及び/又は姿勢を決定する目的で、
図12に示すレーザー受信機の動作方法1200と併せて適用することが考えられる。方法1300は、レーザーパルスを放射して受動的に反射するという点で受動的であるが、いずれの位置も計算しない。方法1300は
図1乃至
図3を参照して説明される。一実施形態において方法1300の各ステップは、
図1のレーザー送信機102、
図2Bのレーザー送信機210、又は
図7A及び
図7Bのレーザー送信機702によって実施されることが考えられる。
【0082】
ステップ1302では、回転照射において初期レーザーパルス302がレーザー受信機200に向けて連続的に投射される。初期レーザーパルス302は、回転照射においてレーザー送信機210の複数レーザー光源212が投射するN形ビーム108とすることが考えられる。一実施形態において初期レーザーパルス302は複数の変調副搬送波によって変調され、レーザー送信機と関連付けられた水平角度情報、更にレーザー送信機と関連付けられた付加データを、レーザー受信機に送信する。
【0083】
ステップ1304においてレーザー送信機210の反射面214は第1反射レーザーパルス304を受信して反射し、第1二重反射レーザーパルス306を生成する。第1反射レーザーパルス304は、レーザー受信機200の第1反射面(たとえば反射面204-A)が初期レーザーパルス302を反射することによって生成される。
【0084】
ステップ1306においてレーザー送信機210の反射面214は第2反射レーザーパルス308を受信して反射し、第2二重反射レーザーパルス310を生成する。第2反射レーザーパルス308は、レーザー受信機200の第2反射面(たとえば反射面204-B)が初期レーザーパルス302を反射することによって生成される。
【0085】
図14は一又は複数の実施形態によるレーザー受信機1402の高レベルブロックダイアグラムを示す。一実施形態においてレーザー受信機1402は、
図1のレーザー受信機104、
図2Aのレーザー受信機200、又は
図7A及び
図7Bのレーザー受信機704とすることが考えられる。なお
図14はレーザー受信機1402の高レベル表現であり、レーザー受信機1402の機能上のコンピューター関係の構成要素の概要を例示したものであり、レーザー受信機1402は追加の構造上又は機能上の構成部品で実施可能であることを理解すべきである。
【0086】
レーザー受信機1402は、1つ又は複数のレーザーパルス1416(たとえば
図1のN形ビーム108)を検出及び受信する光検出部1408を有する。光検出部1408は、たとえば1つ又は複数の光検出器、フォトダイオード、又はその他の適切な装置を含むことが考えられる。レーザーパルス1416を受信すると、光検出信号プロセッサー1406への入力として光検出信号が提供され、光検出信号プロセッサー1406は、レーザー受信機1402が光を受信したのか否かを判定する。一般的に理解されることであるが、たとえばアナログ-デジタル変換など、あらゆる周知の態様による所定の信号処理が実施可能であり、光検出信号プロセッサー1406はプロセッサー1404と組み合わせて、レーザーパルス1416に重畳されたあらゆる変調データを抽出及び解析する。電源1414は周知の方法でレーザー受信機1402に電力を供給する。電源1414としては、たとえば再充電可能型電池(たとえばNiMH)若しくはアルカリ電池などが考えられ、又は、たとえばレーザー受信機1402と関連付けられた建設機械などの外部電源からの電力供給も考えられる。メモリ1412はコンピュータープログラム指令(たとえばコード)を記憶しており、このコンピュータープログラム指令がプロセッサー1404によって実行される時点で、たとえば
図12の方法1200のステップ1212及び1214、又はそれ以外でここに記載するさまざまな実施形態の各種動作など、多様な動作を実行する。当業者であれば、レーザー受信機1402の実施にはその他の構造を有する可能性があること、並びにその他の構成要素を含む可能性もあると理解するであろうし、更に
図14は、このようなレーザー受信機の構成要素の一部を例示する高レベル表現であると理解するであろう。
【0087】
図15は一又は複数の実施形態によるレーザー送信機1502の高レベルブロックダイアグラムを示す。一実施形態においてレーザー送信機1502は、
図1のレーザー送信機102、
図2Bのレーザー送信機210、又は
図7A及び
図7Bのレーザー送信機702とすることが考えられる。なお
図15はレーザー送信機1502の高レベル表現であり、レーザー送信機1502の機能上のコンピューター関係の構成要素の概要を例示したものであり、レーザー送信機1502は追加の構造上又は機能上の構成部品で実施可能であることを理解すべきである。
【0088】
レーザー送信機1502は、1つ又は複数のレーザーパルス1514(たとえば
図1のN形ビーム108)を投射するレーザー光源1506を有する。レーザー送信機1502はレーザーパルス1514上のデータを変調することが考えられる。ロータリーエンコーダー1508は、レーザー送信機1502のヘッドの瞬間的角度を計測する。電源1512は周知の方法でレーザー送信機1502に電力を供給する。電源1512としては、たとえば再充電可能型電池(たとえばNiMH)若しくはアルカリ電池などが考えられ、又は、たとえばレーザー送信機1502と関連付けられた建設機械などの外部電源からの電力供給も考えられる。メモリ1510はコンピュータープログラム指令(たとえばコード)を記憶しており、このコンピュータープログラム指令がプロセッサー1504によって実行される時点で、さまざまな動作(たとえば変調)を実行する。当業者であれば、レーザー送信機1502の実施にはその他の構造を有する可能性があること、並びにその他の構成要素を含む可能性もあると理解するであろうし、更に
図15は、このようなレーザー送信機の構成要素の一部を例示する高レベル表現であると理解するであろう。
【0089】
ここに記載したシステム、装置、及び方法は、デジタル回路を使用することによって、又は、周知のコンピュータープロセッサー、メモリユニット、記憶装置、コンピューターソフトウェア、及びその他の構成要素を使用する1つ又は複数のコンピューターを使用することによって、実施することが考えられる。典型的な例としてコンピューターには、指令を実行するプロセッサーと、指令及びデータを記憶するための1つ又は複数のメモリとが含まれる。コンピューターには更に、1つ又は複数の磁気ディスク、内部ハードディスク、リムーバブルディスク、光磁気ディスク、光ディスクなど、1つ又は複数の大容量記憶装置を含むこと、又はそれに接続されることが考えられる。
【0090】
ここに記載したシステム、装置、及び方法は、クライアント-サーバー関係において動作するコンピューターを使用して実施することが考えられる。典型的な例としてこのようなシステムでは、クライアントコンピューターがサーバーコンピューターから遠隔した位置にあり、ネットワークを介して相互動作する。クライアント-サーバー関係は、それぞれのクライアントコンピューター及びサーバーコンピューター上で実行されるコンピュータープログラムによって、定義及び管理することが考えられる。
【0091】
ここに記載したシステム、装置、及び方法は、ネットワークベースのクラウドコンピューティングシステム内で実施することが考えられる。このようなネットワークベースのクラウドコンピューティングシステムでは、ネットワークに接続されたサーバー又はその他のプロセッサーが、ネットワークを介して1つ又は複数のクライアントコンピューターと通信する。クライアントコンピューターは、たとえばクライアントコンピューター上に常駐して動作するネットワークブラウザアプリケーションを介してサーバーと通信することが考えられる。クライアントコンピューターはサーバーにデータを格納し、ネットワークを介してデータにアクセスすることが考えられる。クライアントコンピューターはネットワークを介して、データの要求又はオンラインサービスの要求をサーバーに送信することが考えられる。サーバーは要求されたサービスを実行し、クライアントコンピューターにデータを提供することが考えられる。サーバーは更に、たとえば計算を行う目的で、特定の機能を実行させるための適切なデータをクライアントコンピューターに送信し、特定のデータを画面などに表示させる構成も考えられる。たとえばサーバーは、
図12の1つ若しくは複数のステップ又は機能などのここに記載した方法及びワークフローの1つ若しくは複数のステップ、又は各機能を実行させるための適切な要求をクライアントコンピューターに送信する構成も考えられる。
図12の1つ若しくは複数のステップ又は機能などのここに記載した方法及びワークフローのいくつかのステップ又は機能は、ネットワークベースのクラウドコンピューティングシステム内のサーバー、又はその他のプロセッサーによって実行される構成も考えられる。
図12の1つ若しくは複数のステップを含む、ここ記載した方法及びワークフローのいくつかのステップ又は機能は、ネットワークベースのクラウドコンピューティングシステム内のクライアントコンピューターによって実行される構成も考えられる。
図12の1つ又は複数のステップなどのここに記載した方法及びワークフローの各ステップ又は各機能は、ネットワークベースのクラウドコンピューティングシステム内のサーバー及び/又はクライアントコンピューターのあらゆる組合せによって実行されることも考えられる。
【0092】
ここ記載したシステム、装置、及び方法は、たとえばプログラム可能なプロセッサーが実行するための情報搬送体、たとえば非一時的機械可読記憶装置内に有体的に具現化されたコンピュータープログラム製品を使用して実施することが考えられ、
図12の1つ若しくは複数のステップ又は機能を含む、ここに記載した方法及びワークフローの各ステップは、そのプロセッサーによって実行可能な1つ又は複数のコンピュータープログラムを使用して実施することが考えられる。コンピュータープログラムとは、コンピューター内で直接的又は間接的に使用可能な1セットのコンピュータープログラム指令であって、何らかの活動を実行するもの又は何らかの結果を引き起こすものをいう。コンピュータープログラムは、コンパイルされた言語又は解釈された言語を含むあらゆる形式のプログラミング言語で書くことが可能であり、スタンドアローンプログラムとしての形態、又はモジュール、コンポーネント、サブルーチン、若しくはコンピューティング環境での使用に適したその他のユニットとしての形態を含むあらゆる形態で展開することが可能である。
【0093】
当業者であれば、
図14のレーザー受信機1402及び
図15のレーザー送信機1502の実施にはその他の構造を有する可能性があること、並びにその他の構成要素を含む可能性もあると理解するであろうし、更に
図14及び
図15は、このようなレーザー受信機及びレーザー送信機の構成要素の一部を例示する高レベル表現であると理解するであろう。たとえばレーザー受信機1402及びレーザー送信機1502には、ネットワークを介して他の装置と通信するための1つ又は複数のネットワークインターフェイスを含む構成、更に、他のコンピューター又はシステム(たとえばディスプレイ、キーボード、マウス、スピーカー、ボタンなど)とのユーザー相互作用を可能にする1つ又は複数の入出力装置を含む構成も考えられる。この入出力装置には、プリンター、スキャナー、表示画面などの周辺機器を含むことも考えられる。たとえば入出力装置には、情報をユーザーに表示する陰極線管(CRT)又は液晶ディスプレイ(LCD)モニターなどの表示装置、キーボード、更にユーザーが入力を提供可能なマウス又はトラックボールなどのポインティングデバイスを含むことも考えられる。
【0094】
プロセッサー1404及び1504には、汎用マイクロプロセッサー及び専用マイクロプロセッサーのいずれか又は両方を含む構成が考えられ、これは単独プロセッサー又は複数プロセッサーの構成が考えられる。プロセッサー1404及び1504には、たとえば1つ又は複数の中央処理ユニット(CPU)を含む構成が考えられる。プロセッサー1404及び1504、並びに/又はメモリ1412及び1510には、1つ又は複数の特定用途向け集積回路(ASIC)、及び/又は、1つ又は複数の書き換え可能型ゲートアレイ(FPGA)を含む構成、これらによって補完される構成、これらを組み込む構成などが考えられる。
【0095】
メモリ1412及び1510はそれぞれ、有形の非一時的コンピューター読取可能記憶媒体を有しており、各媒体には、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)、ダブルデータレート同期ダイナミックランダムアクセスメモリ(DDR RAM)、またはその他のランダムアクセス固体記憶装置などの高速ランダムアクセスメモリが含まれる。更に、各媒体には、内部ハードディスク及びリムーバブルディスクなどの1つ又は複数の磁気ディスク記憶装置、光磁気ディスク記憶装置、光ディスク記憶装置、フラッシュメモリ装置、消去可能読取り専用メモリ(EPROM)などの半導体記憶装置、書換え可能読取り専用メモリ(EEPROM)、コンパクトディスク読取り専用メモリ(CD-ROM)、デジタル汎用ディスク読取り専用メモリ(DVD-ROM)、またはその他の不揮発性固体記憶装置などの不揮発性メモリが含まれる。
【0096】
上述した詳細な説明は、すべての点において参考的かつ例示的であるが、限定的なものではないと理解され、ここで開示された発明の範囲は詳細な説明から決定すべきでなく、むしろ、各特許法で許される最大の幅によって解釈される請求の範囲から決定すべきである。ここで表示及び説明した各実施形態は本発明の原理を参考的に示したものに過ぎず、当業者であれば、発明の範囲及び要旨から逸脱することなく、各種変形例の実施が可能なものと理解するであろう。また当業者であれば、発明の範囲及び要旨から逸脱することなく、各種特徴のその他の組合せの実施が可能なものと考えるであろう。