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特許7408801複部構成の回転可能なスリーブを備える、電気プラグ用のカップリング半部、ならびに電気プラグおよび方法
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  • 特許-複部構成の回転可能なスリーブを備える、電気プラグ用のカップリング半部、ならびに電気プラグおよび方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-22
(45)【発行日】2024-01-05
(54)【発明の名称】複部構成の回転可能なスリーブを備える、電気プラグ用のカップリング半部、ならびに電気プラグおよび方法
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/625 20060101AFI20231225BHJP
【FI】
H01R13/625
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2022528228
(86)(22)【出願日】2020-11-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-26
(86)【国際出願番号】 EP2020082384
(87)【国際公開番号】W WO2021099305
(87)【国際公開日】2021-05-27
【審査請求日】2022-07-11
(31)【優先権主張番号】19210069.1
(32)【優先日】2019-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】521216119
【氏名又は名称】ティーイー コネクティビティ インダストリアル ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100100077
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 充
(74)【代理人】
【識別番号】100136010
【弁理士】
【氏名又は名称】堀川 美夕紀
(74)【代理人】
【識別番号】100130030
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 夕香子
(74)【代理人】
【識別番号】100203046
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 聖子
(72)【発明者】
【氏名】モンシェール,フィーリップ
【審査官】鎌田 哲生
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-013683(JP,A)
【文献】特開2017-045597(JP,A)
【文献】特開2011-228212(JP,A)
【文献】実開昭63-164183(JP,U)
【文献】国際公開第2019/192654(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0020149(US,A1)
【文献】特開2012-059398(JP,A)
【文献】特開2000-182702(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/56-13/72
F16B 7/00- 7/22
F16L 21/00-21/09
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気プラグ(2)用のカップリング半部(1)であって、電気プラグ(1)のさらなるカップリング半部(3)に結合するように構成され、
前記カップリング半部(1)は、
- ハウジング(4)と、
- 前記ハウジング(4)に配置されている、電気コンタクト用のコンタクトキャリア(7)と、
- 前記ハウジング(4)とは別個であり、ねじなしで回転可能に前記ハウジング(4)に配置されているスリーブ(8)と、を備え、
前記スリーブ(8)は、前記さらなるカップリング半部(3)に接続するための、前記カップリング半部(1)の継ぎ手(8a)を形成し、
前記スリーブ(8)は、ねじなしで回転可能に前記ハウジング(4)に配置されている外側スリーブ(9)を含み、
前記スリーブ(8)は、前記外側スリーブ(9)とは別個の内側スリーブ(15)を含み、
前記内側スリーブ(15)は、前記外側スリーブ(9)に配置され、
前記内側スリーブ(15)は、前記ハウジング(4)および前記外側スリーブ(9)に対して、前記カップリング半部(1)の長手方向軸(A)の方向に可動であり、

前記外側スリーブ(9)と前記内側スリーブ(15)との間にガイド(22)が構成され、
前記ガイド(22)により、前記外側スリーブ(9)と前記内側スリーブ(15)との軸方向相対運動が導かれることを特徴とする、
カップリング半部(1)。
【請求項2】
前記ガイド(22)は、
前記外側スリーブ(9)の内側(11a)に配置されている第1のガイド部(23)と、
前記内側スリーブ(15)に配置されており、前記第1のガイド部(23)と互いに係合するように構成されている第2のガイド部(21)を含む、
請求項1に記載のカップリング半部(1)。
【請求項3】
前記ガイド(22)は、前記外側スリーブ(9)の内側(11a)に配置されている第1のガイド部(23)を含み、
前記ガイド(22)は、前記内側スリーブ(15)に配置されている第2のガイド部(21)を含み、
前記第1のガイド部(23)と前記第2のガイド部(21)とは、前記長手方向軸(A)に垂直な方向に互いに係合することを特徴とする、
請求項に記載のカップリング半部(1)。
【請求項4】
ガイド部(21、23)が、軸方向を向くように配され、半径方向外向きの溝であり、または、ガイド部(21、23)が、軸方向を向くように配され、半径方向内向きの隆起であることを特徴とする、
請求項3に記載のカップリング半部(1)。
【請求項5】
他方のガイド部(21、23)が、溝または隆起に相補的な結合形状を備えることを特徴とする、
請求項3または4に記載のカップリング半部(1)。
【請求項6】
前記長手方向軸(A)に垂直な方向において、前記他方のガイド部(21、23)は弾性であるように構成されていることを特徴とする、
請求項に記載のカップリング半部(1)。
【請求項7】
前記ガイド(22)により方位保持力が形成され、前記方位保持力により、前記外側スリーブ(9)と前記内側スリーブ(15)とは、前記長手方向軸(15)を中心に回転する間に運動結合し、
前記方位保持力により、力閾値が予め決められ、第2のカップリング半部(3)に結合するときに方位回転力が前記外側スリーブ(15)に作用し、力閾値を超える場合、前記外側スリーブ(9)と前記内側スリーブ(15)との回転結合が切り離されるようになっていることを特徴とする、
請求項1から6のいずれか一項に記載のカップリング半部(1)。
【請求項8】
前記ガイド(22)により触覚フィードバッカ(26)が形成され、前記触覚フィードバッカ(26)により、前記カップリング半部(1)と前記第2のカップリング半部(3)との結合最終位置が触覚的に知覚可能であり、前記回転結合を解除すると前記結合最終位置に到達し、前記回転結合を解除することにより、触覚信号が生成されることを特徴とする、
請求項7に記載のカップリング半部(1)。
【請求項9】
前記外側スリーブ(9)は視認窓(24)を含み、前記視認窓(24)は、前記長手方向軸(A)に垂直に向くように配され、前記外側スリーブ(9)の壁(11)を完全に貫通することができ、
前記視認窓(24)により視覚フィードバッカ(25)が構成され、前記視認窓(24)を通して、前記外側スリーブ(9)の外側から、前記カップリング半部(1)と前記第2のカップリング半部(3)との結合最終位置を見ることができることを特徴とする、
請求項7または8に記載のカップリング半部(1)。
【請求項10】
前記外側スリーブ(9)は前縁部(12)を含み、前記前縁部(12)は、前記長手方向軸(A)に垂直に内方に突出する止め(13)を含み、
前記内側スリーブ(15)は、前記長手方向軸(A)に垂直な方向から見て、前記外側スリーブ(9)に受け入れられて前記止め(13)に重なり、かつ/または、前記内側スリーブ(15)の前縁部(17)が、前記内側スリーブ(15)の基本位置において、前記止め(13)から軸方向に離間して配置され、前記カップリング半部(1)と前記第2のカップリング半部(3)との結合最終位置において、前記前縁部(17)は前記止め(13)の後側(13b)に直接接触することを特徴とする、
請求項から9のいずれか一項に記載のカップリング半部(1)。
【請求項11】
前記内側スリーブ(15)は前縁部(17)を含み、前記前縁部(17)に、前記第2のカップリング半部(3)に配置されたカップリングバー(19、19‘)に結合するための少なくとも1つのカップリング先端部(18)が配置され、
前記カップリング先端部(18)は、前記長手方向軸(A)に垂直な方向に内方に突出して配置されていることを特徴とする、
請求項から10のいずれか一項に記載のカップリング半部(1)。
【請求項12】
前記内側スリーブ(15)は、前記長手方向軸(A)の方向から見て、前記外側スリーブ(9)よりも短く、前記内側スリーブ(15)は、前記長手方向軸(A)の方向から見て、結合されていない基本位置と、前記カップリング半部(1)と前記第2のカップリング半部(3)とが結合された結合最終位置との両方において、前記外側スリーブ(9)内に完全に配置されていることを特徴とする、
請求項から11のいずれか一項に記載のカップリング半部(1)。
【請求項13】
前記内側スリーブ(15)は、前記長手方向軸(A)に沿った断面においては、前記ハウジング(4)に重なることなく配置されていることを特徴とする、
請求項1から12のいずれか一項に記載のカップリング半部(1)。
【請求項14】
電気プラグ(2)であって、
請求項1から13のいずれか一項に従って構成されている第1のカップリング半部(1)と、
外側スリーブ(9)とは別個の第2のカップリング半部(3)とを備え、
前記第1のカップリング半部(1)と前記第2のカップリング半部(3)は結合可能である、
電気プラグ。
【請求項15】
電気プラグ(2)の第1のカップリング半部(1)を前記電気プラグ(2)の第2のカップリング半部(3)に結合するための方法であって、
- ハウジング(4)とスリーブ(8)とを含む第1のカップリング半部(1)を準備するステップであって、前記スリーブ(8)は、ねじなしで回転可能に前記ハウジング(4)に配置され、外側スリーブ(9)と、前記外側スリーブ(9)とは別個の内側スリーブ(15)とを含む、ステップと、
- 第2のカップリング半部(3)を準備するステップと、
- 前記第1のカップリング半部(1)の前記スリーブ(8)が前記第2のカップリング半部(3)のハウジング(32)の前部(29)に軸方向に重なるように、前記第1のカップリング半部(1)を前記第2のカップリング半部(3)上に軸方向に滑らせるステップと、
- カップリング構造体(18)を結合するステップであって、前記カップリング構造体(18)は、前記スリーブ(8)の内側スリーブ(15)に形成されており、前記前部(29)の外側(28)に形成された対向カップリング構造体(19、19‘)を含む、ステップと、
- 前記スリーブ(8)の外側スリーブ(9)を前記第1のカップリング半部(1)の長手方向軸(A)を中心に回転させ、それにより、前記内側スリーブ(15)を前記外側スリーブ(9)に伴って回転させるステップと、
- 前記カップリング構造体(18)と前記カップリング構造体(18)に係合する前記対向カップリング構造体(19、19‘)との軸方向相対運動により、前記内側スリーブ(15)の軸方向移動を生じさせるステップであって、前記カップリング構造体(18)と前記対向カップリング構造体(19、19‘)との前記軸方向相対運動は、前記スリーブ(8)の回転によって生じる、ステップと、
- 前記内側スリーブ(15)が軸方向最終位置に到達したときに、前記カップリング半部(1、3)の結合最終位置に到達するステップと、
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一態様は、電気プラグ用のカップリング半部に関する。カップリング半部は、電気プラグのさらなるカップリング半部に結合するように構成されている。カップリング半部は、ハウジングを備える。さらに、カップリング半部は、電気コンタクト用のコンタクトキャリアを備える。コンタクトキャリアは、ハウジングに配置されている。さらに、カップリング半部は、ハウジングとは別個のスリーブを備える。このスリーブは、ねじなしで回転可能にハウジングに配置されている。スリーブは、カップリング半部をさらなるカップリング半部に接続するための継ぎ手を形成する。本発明のさらなる態様は、互いに結合可能な2つの別個のカップリング半部を備える電気プラグに関する。
さらに、本発明はまた、電気プラグの第1のカップリング半部を電気プラグの第2のカップリング半部に結合するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
独国特許第102005026148(B4)号から、プラグコネクタカップリングが知られている。ここでは、電気プラグが2つの別個のカップリング半部を備える。これらのカップリング半部は、非破壊的に解放可能な方法で互いに結合されている。第1のカップリングの半部はハウジングを有する。このハウジングに、一体構成のスリーブが回転可能に配置されている。スリーブとハウジングとは、この第1のカップリング半部の長手方向軸の方向に、互いに対して固定配置されている。しかしながら、スリーブは、この長手方向軸を中心にハウジングに対して回転することができる。2つのカップリング半部を接続するために、これらのカップリング半部は長手方向軸の方向に導かれることにより、互いに軸方向に導かれる。このために、第2のカップリング半部の前部がスリーブに押し込まれる。電気プラグは、高速ロック装置(fast locking device)を含む。この高速ロック装置は、スリーブに配置された半径方向内向きのバーを含む。
これらのバーは、2つのカップリング半部を軸方向に合わせたときに、ロック手段の後ろに係合する。これらのロック手段は、第2のカップリング半部の前部の外側に形成されている。これらのロック手段は、長手方向軸を中心に方位を向くように配されたバーである。したがって、スリーブを回転させると、これらのロック手段に対するスリーブの半径方向バーの相対運動も行われる。これらのバーはこれらのロック手段に直接接触するので、2つのカップリング半部は、互いに向かって軸方向に引っ張り合う。
これは、ロック手段が傾斜した接触面を有し、スリーブが方位方向(azimuthal direction)に回転すると、この接触面に沿ってスリーブのバーが導かれるからである。これにより、その後、2つのカップリング半部のロック状態が実現される。
【0003】
しかしながら、本実施形態において、方位公差(azimuthal tolerances)が生じることがある。これにより、カップリング半部間の結合最終状態が最終的に実現されないことがある。これは、スリーブが、完全結合最終状態または最終位置を実際に実現するのに十分なほど、長手方向軸を中心に回転しない場合に当てはまる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、スリーブに関して改良された構成を有し、かつ電気プラグのさらなるカップリング半部との結合時に、結合最終状態の実現を改善することのできる、電気プラグ用のカップリング半部を提供することである。特に、本発明の目的は、2つのカップリング半部の結合最終位置を実現するためのスリーブの回転最終位置に関する方位公差を少なくとも低減させることである。これは、電気プラグについて、2つのカップリング半部間の結合最終状態が安全に実現されるべきであることを意味する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本目的は、カップリング半部、電気プラグ、および2つのカップリング半部を結合するための方法によって解決される。
【0006】
本発明の一態様は、電気プラグ用のカップリング半部に関する。カップリング半部は、カップリング半部とは別個である、電気プラグのさらなるカップリング半部に結合するように構成されている。カップリング半部はハウジングを有する。さらに、カップリング半部は、電気コンタクト用のコンタクトキャリアを備える。このコンタクトキャリアは、特に、ハウジングとは別個に構成されている。コンタクトキャリアは、ハウジングに配置されている。さらに、カップリング半部は、ハウジングとは別個のスリーブを有する。このスリーブは、ねじなしで回転可能にハウジングに配置されている。これは、ハウジングにおけるスリーブの保持または配置がねじなしで行われることを意味する。
それにもかかわらず、スリーブは、カップリング半部の長手方向軸を中心にハウジングに対して回転することができるように、ハウジングに配置されている。スリーブは、さらなるカップリング半部に直接接続するための、カップリング半部の継ぎ手を形成する。したがって、特に、スリーブは、さらなるカップリング半部との直接結合を生じさせる構成部品である。
【0007】
スリーブは外側スリーブを含む。この外側スリーブは、ねじなしで回転可能にハウジングに配置されている。特に、ハウジングは外側スリーブに直接配置されている。スリーブは、外側スリーブとは別個の内側スリーブをさらに含む。内側スリーブも、ハウジングとは別個の構成部品である。内側スリーブは、外側スリーブに配置されている。内側スリーブは、外側スリーブに受け入れられている。内側スリーブは、カップリング半部の長手方向軸の方向から見て、ハウジングおよび外側スリーブに対して可動である。
したがって、内側スリーブは、この外側スリーブにおいて、この軸方向(長手方向軸の方向)に可動に配置されている。したがって、提案されたカップリング半部では、スリーブは複部構成部品(multi-part component)として構成されている。スリーブは2つの別個の部分を含み、すなわち、外側スリーブおよび内側スリーブが配置されている。内側スリーブは、特に使用目的に応じて、第2のカップリング半部に直接結合するように構成されている。
【0008】
このような概念により、第2のカップリング半部との結合を改善することが容易になる。したがって、特に、スリーブの方位最終位置(azimuthal final position)への到達を改善することが容易になる。したがって、このスリーブの回転中の方位公差を、少なくとも低減させることができる。したがって、カップリング半部間の結合最終状態の実現が、改善された方法で同様に実現可能である。これにより、結合状態に到達し、この結合状態が持続する。
【0009】
有利な実施形態において、外側スリーブと内側スリーブとの間にガイドが構成されていることが想定される。ガイドにより、外側スリーブと内側スリーブとの軸方向相対運動が導かれる。したがって、ガイドにより、外側スリーブと内側スリーブとの間の相対的な可動性の非常に正確な概念が容易になる。これは、2つのカップリング半部の軸方向結合において特に有利である。これにより、内側スリーブの望ましくない傾きが回避される。これにより、外側スリーブまたは内側スリーブが動かなくなることおよび/または詰まることが回避される。これも、2つのカップリング半部の結合最終位置への到達の改善に有利に寄与する。これによっても、外側スリーブが、長手方向軸を中心に改善された方法で回転することができ、規定された安全な方法で方位回転最終位置に到達することができるからである。
【0010】
有利な実施形態において、ガイドは第1のガイド部を含むことが想定される。第1のガイド部は、外側スリーブの内側に配置されている。特に、この第1のガイド部は、外側スリーブと一体に形成されている。ガイドは第2のガイド部を含むことが好ましい。第2のガイド部は、内側スリーブに配置されている。ここでも、第2のガイドは内側スリーブと一体に形成されていることが想定され得る。第1のガイド部と第2のガイド部とは、長手方向軸に垂直な方向から見て、互いに係合する。これは、ガイドの特に有利な概念である。これにより、非常に正確な運動の軸方向ガイドが容易になるだけでなく、外側スリーブをカップリング半部の長手方向軸を中心に回転させたときに、内側スリーブがそれに伴って自動的に回転することも実現されるからである。
したがって、内側スリーブが外側に向かって覆われており、ユーザがこれを把持することができないにもかかわらず、内側スリーブは、外側スリーブと同じ回転運動を行う。特に、これにより、ガイドは、外側スリーブと内側スリーブとの方位運動結合を容易にすることも想定される。この外側スリーブと内側スリーブとの方位運動結合は、外側スリーブの回転運動経路全体のうちの特定の部分経路を介して構成されている。しかしながら、特に、この方位運動結合は、外側スリーブの可能な回転運動経路全体にわたって構成されてはいない。この方位運動結合は、外側スリーブの可能な回転運動経路全体の100%未満、いずれにせよ、少なくとも80パーセント、特に少なくとも85パーセント、特に少なくとも90パーセント、特に少なくとも95パーセントに相当する回転運動経路のためのものであることが好ましい。
方位運動結合(azimuthal movement coupling)のこのような比較的大きい部分によって、外側スリーブを結合および回転させるときに、2つのカップリング半部が可能な限り最良の方法で互いに向かって軸方向に引っ張られることが実現される。しかしながら、一方で、スリーブの回転運動経路全体の、最後の小さい方位回転運動部分(last, minor azimuthal rotary movement portion)において、外側スリーブと内側スリーブとをこの方位方向に切り離すことができることも容易になる。これは、改善された方法で結合最終位置に到達するために特に有利である。特に、これは、ユーザが、場合により改善された方法でも、結合最終位置を知覚できるようにするためにも有利である。これは、これに関する外側スリーブと内側スリーブとの方位切離しをユーザが認識できるからである。
【0011】
ガイド部が軸方向に延びる溝であることが想定され得る。ガイド部が軸方向に延びる隆起であることも想定され得る。溝または隆起は、この軸方向、したがってカップリング半部の長手方向に完全に直線状に構成されていることが好ましい。したがって、直線状の軸方向ガイドに関して特に正確なガイド部が設けられる。
【0012】
他方のガイド部が溝または隆起と逆の結合形状を含むことが想定され得る。これに関するこのような設計により、2つのガイド部を可能な限り最良の方法で結合することが容易になる。一方、これにより、省スペース設計が実現される。これらの相補的な形状により、2つのガイド部が可能な限り大きい表面にわたって接触することも容易になる。これにより、対応する保持力を有利に発生させることもできる。したがって、外側スリーブと内側スリーブとの方位運動結合のための特に確実な保持力が容易になる。
【0013】
ガイド部、特に上記の他方のガイド部は、長手方向軸に垂直な方向に弾性であるように構成されていることが想定されると好ましい。特にこの半径方向におけるこのような設計により、ある半径方向押圧力を2つのガイド部間に発生させることもできる。したがって、これに関する結合は再び改善される。この弾性設計のさらなる利点は、結合および切離しが改善された方法で可能になることにも見られる。これは、両方の剛性部分において、切離しが行われる場合、これが非常に高い力でのみ容易になるからである。これにより、一部の構成部品が損傷するまたは破壊されることがある。
特に半径方向を向くこのような弾性設計によって、結合および切離しを、連続プロセスにおいても行うことができる。結合力または切離し力を着実に高めることができる。
【0014】
有利な実施形態において、この他方のガイド部は、例えば、ばねであることが想定される。例えば、これは板ばねであってよい。他方のガイド部を、スリーブ部、特に内側スリーブと一体に形成することができると好ましい。
【0015】
有利な実施形態において、ガイドにより方位保持力が形成され、この方位保持力により、外側スリーブと内側スリーブとは、長手方向軸を中心に回転するときに運動結合することが想定される。有利な実施形態において、この方位保持力により、力閾値も予め決められる。方位回転力が外側スリーブに作用し、力閾値を超える場合、外側スリーブと内側スリーブとの回転結合を切り離すことができる。したがって、予め決められた規定の条件下で、外側スリーブと内側スリーブとが方位方向に切り離されることを可能にする、規定の概念も提供される。
【0016】
これは、特に有利なガイドの実施形態であり、これに関し、これにより、長手方向軸を中心とする方位方向における外側スリーブと内側スリーブとの自動切離しをもたらす。
【0017】
特に、ガイドにより触覚フィードバッカ(haptic feedbacker)が形成されることが想定される。触覚フィードバッカにより、2つのカップリング半部の結合最終位置が触覚的に知覚可能である。回転結合を解除すると最終位置に到達し、回転結合を解除することにより、触覚信号が生成される。したがって、この設計により、ユーザは、結合最終位置に到達したという触覚フィードバックを与えられることが有利である。2つのガイド部を解放し、それにより触覚的に知覚可能な信号を生成することによって、すなわち、電気プラグの使用者は、結合最終位置への到達を容易に認識することができる。特に、トルクレンチの方式のようなこの有利な実施形態によっても、回転力が所定の力閾値を超える場合に、これにより2つのガイド部が切り離され、これにより触覚信号が生成されることが認識される。
特に、力閾値は、スリーブが方位方向においてその回転最終位置に到達したときのみ、回転力がこの力閾値を超え、これにより、2つのカップリング半部の結合最終位置が確実に設定されるように予め決められる。
【0018】
外側スリーブが視認窓(viewing window)を有することが想定されると好ましい。視認窓は、カップリング半部の長手方向軸に垂直に向くように配されている。視認窓は、外側スリーブの壁を完全に貫通するように構成されている。これは、視認窓が、特に外側スリーブの壁面の半径方向孔として構成されていることを意味する。視認窓により視覚フィードバッカが形成され、ユーザは、視認窓を通して、外側スリーブの外側から、2つのカップリング半部の結合最終位置を見ることができる。これに関して、さらなる有利な実施形態が与えられる。これは、スリーブの基本位置において、内側スリーブが、軸方向から見て、まだ視認窓に重なっていないからである。
したがって、ユーザは、視認窓を通して外側からスリーブを見ても、外側スリーブの内側に位置決めされるように配置された内側スリーブをまだ認識することができない。しかしながら、結合最終位置では、内側スリーブは、軸方向から見て、外側スリーブに対して十分に軸方向に移動して視認窓に重なる。したがって、この設計によっても、または上記の有利な触覚フィードバッカと組み合わせて、または触覚フィードバッカがなくても、結合最終位置を同様に確実に認識することができる。
【0019】
有利な実施形態において、外側スリーブは前縁部を有することが想定される。前縁部は、長手方向軸に垂直に内方を向きかつ内方に突出する少なくとも1つの止めを含む。この突出は、外側スリーブの壁、特に外側スリーブの外装壁に対して形成される。内側スリーブは、長手方向軸に垂直な方向から見て、この外側スリーブに受け入れられて止めに重なる。これは、長手方向軸に垂直に寸法設定された内側スリーブの外形寸法が、この止めの半径方向内縁部よりも大きいことを意味する。したがって、このような設計により、外側スリーブに対する内側スリーブの最大移動位置も制限される。さらに、止めを有するこの設計により、内側スリーブの紛失を防止する安全装置も構成される。切離し状態または切離し位置でも結合位置でも、内側スリーブが外側スリーブから軸方向に外れることはない。
【0020】
上記の止めは、方位方向において長手方向軸を中心に全周に延びるように構成されていることが想定され得る。したがって、このような設計において、止めは、途切れることなく周方向に延びるように構成されている。したがって、止めは環状のバーである。
【0021】
このような設計では、これにより長手方向軸に垂直に寸法設定されたこのような止めの半径方向高さは、第2のカップリング半部の前部の外側に形成されるロック手段の半径方向高さよりも小さいことが有利に想定される。したがって、止めのこのような半径方向内側に位置決めされた境界壁と前縁部の反対側縁部との間の内幅は、第2のカップリング半部の前部におけるロック手段の上縁部と、これに関して前部の外側とは反対側に位置決めされたさらなる外側部分との間の寸法よりも大きい。これに関して、上記の寸法は、第1のカップリング半部および第2のカップリング半部の長手方向軸に垂直な平面に各々見られる。それらの寸法が、上記のそれぞれの長手方向軸を通って延びていることも見られる。
したがって、このような寸法設定により、スリーブを、軸方向において、このロック手段に半径方向に触れることなく、ロック手段を通り越して押すことができる。
【0022】
しかしながら、さらなる実施形態において、前縁部において内方に突出する止めは、第1のカップリング半部の長手方向軸を中心に全周には延びないように構成されることも想定され得る。むしろ、止めは、少なくとも1度は途切れるように構成されてもよい。方位方向に互いに離間するように構成されている少なくとも2つの別個の止めが、この前縁部に存在することも想定され得る。特に、これらの止めは、第1のカップリング半部の長手方向軸を中心に方位方向に個々に寸法設定されてもよい。例えば、止めは、第2のカップリング半部の前部の外側に構成されている2つの別個のロック手段間の方位距離よりも小さくなるように寸法設定されることが好ましい。
これにより、その後、このような半径方向に大きい止めを、第2のカップリング半部の前部に配置された2つのそのようなロック手段間で軸方向に押すことができる。
【0023】
内側スリーブの前縁部が、内側スリーブの基本位置において、止めから軸方向に離間して配置されることが想定されると好ましい。特に、2つのカップリング半部の結合最終位置において、内側スリーブの前縁部は止めの後側に直接接触することが想定される。これは、さらなる非常に有利な実施形態である。一方では、それにより、外側スリーブに対する内側スリーブの所望の軸方向可動性が容易になる。他方では、結合最終位置において、内側スリーブの前縁部と止めのとの規定された直接接触も実現される。これにより、内側スリーブは、結合最終位置においても特に有利な方法で軸方向に固定される。
これは、一方では、その後、内側スリーブが止めの後側に直接接触し、他方では、この状態で、第2のカップリング半部の前部の外側に構成されているロック手段も、内側スリーブのこの前縁部に直接接触するからである。特に、この結合最終位置において、軸方向から見て、内側スリーブのこの前縁部は、第2のカップリング半部のロック手段と第1のカップリング半部の外側スリーブの前縁部の止めとの間に配置されることが想定される。特に、その後、内側スリーブのこの前縁部は、上記の構成部品間において動かなくなる。結合最終状態または結合最終位置における内側スリーブの特に有利な軸方向固定が、それにより実現される。
【0024】
有利な実施形態において、内側スリーブは前縁部を有することが想定される。前縁部に、少なくとも1つの半径方向カップリング先端部が形成されている。カップリング先端部は、第2のカップリング半部に配置されたカップリングバーに結合するように構成されている。カップリングバーは、特に、第2のカップリング半部のロック手段の一例を示す。カップリング先端部は、第1のカップリング半部のハウジングの壁、特に外壁に対して、第1のカップリング半部の長手方向軸に垂直な方向に内方に突出して配置されている。
これは、カップリング先端部が、内側スリーブの壁、特に外装壁に関してさらに内方に突出するように構成されていることを意味する。このカップリング先端部によって、第2のカップリング半部のロック手段、特にカップリングバーへの特に有利な結合が容易になる。これにより、これら2つの構成部品が後ろから特に有利に係合すること、および互いに沿って方位にスライドすることが容易になる。
【0025】
カップリング先端部は、第1のカップリングの半部の長手方向軸を中心に方位方向に、全周長の一部のみにわたって延びていることが好ましい。特に、このようなカップリング先端部の方位伸長は、360°の全周長のうちの3°~20°、特に5°~15°になる。このような設計により、一方では、容易に操作可能なカップリングの概念を提供することができる。他方では、これにより、このように寸法設定されたカップリング先端部を、方位方向に互いに離間して配置された第2のカップリング半部の2つのロック手段間の隙間を通して軸方向に導くことも、改善された方法で容易になる。
したがって、このようなカップリング先端部とこのようなカップリングバーの後壁との簡単な結合を行うこともできる。
【0026】
特に、このようなカップリング先端部およびカップリングバーにより、高速ロックシステムが構成される。特に、このようなカップリング先端部およびカップリングバーにより、バヨネットロックシステムが構成される。したがって、特に、360°の全周長に対して好ましくは40°~90°の外側スリーブの方位回転経路によって、このような結合最終位置に到達することができる。したがって、カップリング先端部は、高速ロック部分、特にバヨネットロックシステムの一部である。
【0027】
1つの有利な実施形態において、内側スリーブは、長手方向軸の方向から見て、外側スリーブよりも短いことが想定される。1つの有利な実施形態において、内側スリーブは、長手方向軸の方向から見て、結合されていない基本位置(uncoupled basic position)と、両カップリング半部が結合された結合最終位置との両方において、外側スリーブの軸方向長さ内に完全に配置されていることが想定される。したがって、内側スリーブは外側スリーブに完全に受け入れられる。したがって、一方では、内側スリーブは保護された方法でも配置される。したがって、他方では、内側スリーブの軸方向ガイドを特に正確に行うことができることが特に有利である。
【0028】
内側スリーブは、第1のカップリング半部の長手方向軸の方向から見て、ハウジングに重なることなく配置されていることが想定されると好ましい。したがって、この長手方向軸の方向から見て、ハウジングと内側スリーブとは互いに一列に配置されている。特に、第1のカップリング半部の長手方向軸に垂直な方向から見て、内側スリーブの壁がハウジングの壁に重なるように配置されていることが想定される。壁は外壁である。壁は、特に中空円筒の外壁である。
これにより、ハウジングと内側スリーブとを軸方向において互いに押し込んで、重なった状態にすることができることも実現される。実施形態において、内側スリーブは、第1のカップリング半部の長手方向軸の方向から見て、ハウジングに重なって配置されている。
【0029】
外側スリーブは、軸方向から見て、ハウジングに静止して固定されるように配置されることが想定されると好ましい。これにより、前述したように、ハウジングに対する外側スリーブの相対回転運動のみが容易になる。
【0030】
スリーブ、特に外側スリーブは、スナップリングによってハウジングの外側に直接固定されることが好ましい。特に、内側スリーブは、ハウジングに直接機械的に留めることなく配置されている。内側スリーブは、2つのカップリング半部がまだ結合されていない基本位置と結合最終位置との両方において、第1のカップリング半部のハウジングから軸方向に離間して、したがってハウジングに接触することなく配置されることが想定され得る。
【0031】
有利な実施形態において、外側スリーブはハウジングに軸方向に重なるように配置されることが想定される。特に、外側スリーブは、ハウジングを外側で軸方向重なり領域において囲むように構成されている。したがって、外側スリーブは、ハウジングの外側でハウジングを取り囲む。
【0032】
本発明のさらなる態様は、電気プラグに関する。電気プラグは、第1のカップリング半部を備える。第1のカップリング半部は、特に、上記の態様またはその有利な実施形態により構成される。さらに、電気プラグは、第1のカップリング半部とは別個の第2のカップリング半部を備える。2つのカップリング半部を、非破壊的に解放可能に結合することができる。
【0033】
第2のカップリング半部は、前部を含むことが好ましい。前部の外側にロッカ(locker)が形成されている。ロッカはねじ山であってよい。ロッカは、加えてまたは代わりに、ロック手段を含むことができる。ロック手段は、方位カップリングバーであってよい。このロック手段は、バヨネットロックの構成部品であってよい。したがって、このようなロック手段は、ねじ山ではない。このようなカップリングバーは、第2のカップリング半部の長手方向軸を中心に、360°の一部のみにわたって周方向に延びている。特に、このようなカップリングバーは、40°~100°の方位角長さにわたって延びている。
【0034】
1つの有利な実施形態において、第2のカップリングのハウジングが少なくとも部分的に中空管として構成されていることが想定される。特に、第2のカップリング半部のハウジングは、角度付き管として構成されている。特に、角度付き管は、互いに対して90°に向くように配されている2つの管部を含むように構成されている。特に、第2のカップリング半部のハウジングに、コンタクトキャリアが配置されている。このコンタクトキャリアに、電気コンタクトが配置されている。直接電気接触するためのこれらの電気コンタクトは、第1のカップリング半部の電気コンタクトを含むように構成されている。
【0035】
第1のカップリング半部のハウジングは、管として構成されることが好ましい。特に、管は直管である。コンタクトキャリアに、第1のカップリング半部、特に電気コンタクトが配置されている。
【0036】
本発明のさらなる態様は、電気プラグの第1のカップリング半部を電気プラグの第2のカップリング半部に、特に軸方向に結合するための方法であって、
- ハウジングとスリーブとを含む第1のカップリング半部を準備するステップであって、スリーブは、ねじなしで回転可能にハウジングに配置され、外側スリーブと、外側スリーブとは別個の内側スリーブとを含む、ステップと、
- 第2のカップリング半部を準備するステップと、
- 第1のカップリング半部のスリーブが第2のカップリング半部のハウジングの前部に軸方向に重なるように、第1のカップリング半部を第2のカップリング半部上に軸方向に滑らせるステップと、
- カップリング構造体を結合するステップであって、カップリング構造体は、スリーブの内側スリーブに形成されており、前部の外側に形成された対向カップリング構造体を含む、ステップと、
- スリーブの外側スリーブを第1のカップリング半部の長手方向軸(A)を中心に回転させ、それにより、内側スリーブをそれに伴って回転させるステップと、
- カップリング構造体とカップリング構造体に係合する対向カップリング構造体との軸方向相対運動により、内側スリーブの軸方向移動を生じさせるステップであって、カップリング構造体と対向カップリング構造体との軸方向相対運動は、スリーブの回転によって生じる、ステップと、
- 内側スリーブが軸方向最終位置に到達したときに、カップリング半部の結合最終位置を実現するステップと
を含む方法に関する。
【0037】
この方法により、2つのカップリング半部の特に有利な結合が容易になる。結合最終位置には、安全かつ確実に到達可能である。特に、このような手順により、第1のカップリング半部のスリーブ、特に外側スリーブの方位最終回転位置にも、より安全かつより確実な方法で到達する。特に、これにより、方位最終回転位置をより確実に設定することができる。
【0038】
有利な実施形態において、外側スリーブの基本位置から最大最終回転位置までの回転経路に沿った外側スリーブの回転時に、中間位置に到達することが想定される。この中間位置には、外側スリーブの可能な最大方位回転運動の少なくとも80パーセント、特に85パーセント、特に90パーセント、特に少なくとも95パーセント、いずれにせよ100パーセント未満の後に到達することができる。その後、この中間位置で、2つのカップリング半部の結合最終位置が実現される。外側スリーブがこの中間位置を超えて方位方向にさらに回転すると、外側スリーブおよび内側スリーブに形成されたガイドの2つのガイド部間の方位切離しが行われる。
このガイドの2つのガイド部の切離しにより、触覚信号が生成され、これはユーザが外側スリーブを把持することによって知覚される。これにより、結合最終位置が触覚的に認識される。加えてまたは代わりに、視覚フィードバッカを想定することができる。このフィードバッカでは、内側スリーブが、結合中に、したがって、外側スリーブに対して軸方向に方位回転するときに動く。2つのカップリング半部の結合状態で、内側スリーブは対応する軸方向最終位置に到達する。この軸方向最終位置で、内側スリーブの外側は、外側スリーブの壁に形成された視認窓に軸方向に重なっているように構成されている。
これにより、外側スリーブの外側から視認窓を見ることによって、この軸方向最終位置にある内側スリーブを認識することができ、したがって、結合最終位置に到達したことを認識することができる。
【0039】
内側スリーブは、その外側で、特に色で印付けされていることが想定され得る。結合最終位置におけるこの印付けを、視認窓を通して認識することができる。これにより、結合最終位置を再び改善された方法で認識することができる。
【0040】
外側スリーブに向かう内側スリーブの軸方向相対運動の場合、内側スリーブの前縁部が外側スリーブの止めに向かって軸方向に押される。結合最終位置で、内側スリーブのこの前縁部は、外側スリーブの止めの後側に当たって直接止まる。
【0041】
内側スリーブの前縁部に構成された、この半径方向内向きのカップリング先端部により、カップリング構造体が形成される。ロック手段により、特に、第2のカップリング半部の前部の外側に形成されたカップリングバーにより、対向カップリング構造体が形成される。カップリング構造体と対向カップリング構造体とは、互いに直接結合する。例えば、ここではバヨネットロックを構成することができる。また、ねじ山構造体を想定することもできる。
ねじ山構造体では、カップリング構造体および対向カップリング構造体の両方が、各々ねじ山であってよい。同様に、カップリング構造体が上記のカップリング先端部であり、対向カップリング構造体がねじ山であってもよい。
【0042】
結合最終位置におけるカップリング先端部は、第2のカップリング半部のロック手段と外側スリーブの止めのとの間で軸方向に動かなくなることが好ましい。
【0043】
2つのカップリング半部を結合するための方法ステップのさらなる有利な実施形態は、上記において既に述べられている。その上、さらなる有利な方法ステップは、カップリング半部の実質的な特徴によって単独で、または少なくとも部分的に互いに動作的に関連して与えられ、それに応じてそれぞれの方法ステップを実行できるようになっている。
【0044】
「上」、「下」、「前」、「後」、「水平」、「垂直」、「深さ方向」、「幅方向」、「高さ方向」の表示を用いて、プラグの意図された使用および意図された配置の場合において、ユーザがプラグの前に立ち、プラグの方向を見る場合の位置および向きが示される。
【0045】
本発明のさらなる特徴が、特許請求の範囲、図面、および図面の説明から明らかになる。上記の説明における特徴および特徴の組合せ、および以下の図面の説明に記載され、かつ/または図面のみに示されている特徴および特徴の組合せは、それぞれ指定された組合せだけでなく他の組合せでも、本発明の範囲から逸脱することなく使用可能である。したがって、図面に明示されず説明されないが、別々の特徴の組合せによって、説明された実装形態から明らかになり、生成できる実装形態も、本発明によって包含および開示されるものとみなされるべきである。
したがって、最初に策定された独立請求項の特徴のすべてを含むわけではない実装形態および特徴の組合せも、開示されるものとみなされるべきである。さらに、特許請求の範囲の後方参照(back-references of the claims)に記載される特徴の組合せを超える、または逸脱する実装形態および特徴の組合せは、特に上記の実装形態によって開示されるものとみなされるべきである。
【0046】
以下で、概略図面を参照することにより、本発明の実施形態についてより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0047】
図1】カップリング半部が、長手方向軸を基準とした部分領域によってのみ表されている、本発明によるカップリング半部の実施形態の概略図である。
図2】結合最終位置において、図1による第1のカップリング半部が、第1のカップリング半部とは別個の電気プラグの第2のカップリング半部と共に示されている、電気プラグの実施形態の断面図である。
図3】電気プラグの第2のカップリング半部の実施形態の斜視図である。
図4】第1のカップリング半部の長手方向軸に垂直な断面図であり、これに関して、断面が、第1のカップリング半部のスリーブによって概略的に形成され、スリーブが部分領域においてのみ表される図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
図中、同一の要素または同一の機能を有する要素を、同一の参照符号で示す。
【0049】
図1では、電気プラグ2(図2)用のカップリング半部1の断面図が示されている。この断面図は垂直面に形成され、第1のカップリング半部1の長手方向軸Aを含む。図1では、長手方向軸Aに対してカップリング半部1の上半分のみが示されている。第1のカップリング半部1は、第2のカップリング半部3(図2および図3)に結合するように構成されている。これに関し、第1のカップリング半部1と第2のカップリング半部3との非破壊的な解放可能な結合が容易になる。
【0050】
第1のカップリング半部1は、ハウジング4を含む。実施形態において、ハウジング4は中空円筒として示されている。このハウジング4は剛性である。ハウジング4は、特に金属から形成されるように構成されている。図1では、第1のカップリング半部1は、長手方向軸Aより上の部分領域のみが示されている。第1のカップリング半部1は、長手方向軸Aを中心に周方向に延びるように構成され、特に完全に周方向に閉じるように構成されている。このために、ハウジング4は、長手方向軸Aを中心に周方向に延びるように構成されている。
したがって、長手方向軸Aは、中空円筒として構成されているこのハウジング4の中心軸も形成する。これに関し、ハウジング4は、特に壁5を有する。壁5は、特に中空円筒壁である。1つの設計において、ハウジング4の内部6に、コンタクトキャリア7が配置されている。コンタクトキャリア7は、ハウジング4とは別個の構成部品である。コンタクトキャリア7は、電気コンタクト(図示せず)を受け入れるように構成されている。電気コンタクトはピンコンタクトであってよい。
しかしながら、電気コンタクトは、ピンである電気ピンコンタクトを挿入するためのコンタクトソケットであってもよい。コンタクトキャリア7は、特にプラスチックから形成されている。
【0051】
第1のカップリング半部1は、スリーブ8をさらに含む。スリーブ8は、ハウジング4とは別個に構成されている。スリーブ8は、ハウジング4に直接配置されている。スリーブ8は、ハウジング4に対して可動にハウジング4に配置されている。スリーブ8は、外側スリーブ9を含む。外側スリーブ9は、特に中空円筒として構成されている。外側スリーブ9は、ハウジング4に直接配置されている。特に、外側スリーブ9は、ねじなしで回転可能にハウジング4に配置されている。これは、外側ハウジング9とハウジング4とがねじ山によって互いに接続されていないことを意味する。特に、外側スリーブ9は、ハウジング4のスナップリング10によって、ねじなしで回転可能に配置されている。
このために、ハウジング4の壁5の外側5aに、特に、半径方向円周溝5bが形成されていることが想定される。円周溝5bにスナップリング10が受け入れられる。さらに、外側スリーブ9の壁11の内側11aに、溝11bが形成されていることが想定される。壁11は、壁5のような外壁でもある。壁11は、中空円筒壁である。スナップリング10は、この溝11b内に半径方向に延びている。この機械的接続部により、外側スリーブ9は、軸方向固定位置でハウジング4に配置されている。したがって、ハウジング4と外側スリーブ9との間の長手方向軸Aの方向への相対運動が、特に防止または本質的に回避される。
したがって、この軸方向運動は、最大でも溝5b、11bにおけるスナップリング10の隙間を介して生じることがある程度である。スリーブ8は、機械的な継ぎ手8aを形成する。機械的な継ぎ手8aは、第2のカップリング半部3に直接結合するように構成され、そのために想定される使用目的に従って構成されている。
【0052】
さらに認識できるように、外側スリーブ9は、軸方向、したがって長手方向軸Aの方向から見て、ハウジング4に重なるように配置されている。特に、外側スリーブ9は、ハウジング4を円周側で囲む。したがって、外側スリーブ9は、ハウジング4の外径よりも大きい内径を含む。
【0053】
有利な実施形態において、外側スリーブ9は、前縁部12に、長手方向軸Aに垂直に内方に突出する止め13を含む。止め13は、方位方向に構成され、したがって、長手方向軸Aを中心に周方向に完全に閉じていてよい。しかしながら、この止め13が、長手方向軸Aを中心に周方向に途切れるように構成されることも想定され得る。これにより、長手方向軸Aの周方向に、止め13のいくつかの止めセグメントを構成することができる。この止め13によって、外側スリーブ9の内部の受入空間14が制限される。内側11aの半径方向溝と呼ぶこともできるこの受入空間14に、スリーブ8の内側スリーブ15が配置されている。内側スリーブ15は、外側スリーブ9とは別個の構成部品である。
したがって、内側スリーブ15は、長手方向軸Aに垂直な方向から見て、この受入空間14内に延びている。したがって、内側スリーブ15は、長手方向軸Aに垂直な方向から見て、この止め13に重なっているように配置されている。特に、内側スリーブ15は、中空円筒として構成されている。内側スリーブ15は、一体構成として構成されている。内側スリーブ15を、例えばシートメタルから形成することができる。
【0054】
外側スリーブ9を、例えば、金属から形成するように構成することができる。外側スリーブ9は、例えば、亜鉛加圧ダイカストであってよい。しかしながら、外側スリーブ9を、例えば、プラスチックから形成してもよい。例えば、外側スリーブ9は射出成形部品であってよい。
【0055】
有利な実施形態において、内側スリーブ15は、軸方向においてハウジング4の前縁部16に隣接するように配置されることが想定される。内側スリーブ15は、軸方向のすべての位置において、特にハウジング4に重なることなく配置されている。したがって、内側スリーブ15は、ハウジング4と一列に配置されている。内側スリーブ15は、軸方向から見て、その全長にわたって外側スリーブ9内に配置されている。内側スリーブ15は、ハウジング4に直接、機械的に取り付けられていない。内側スリーブ15は、特に、外側スリーブ9に機械的に取り付けられているだけである。
これも、内側スリーブ15を受入空間14に受け入れることによって行われる。止め13により、内側スリーブ15は、軸方向において外側スリーブ9に受け入れられ、外れないように固定されている。これにより、内側スリーブ15が外側スリーブ9から軸方向に滑り出ることが防止される。
【0056】
内側スリーブ15は、その前縁部17に、少なくとも1つのカップリング先端部18を含む。カップリング先端部18は、長手方向軸Aに向かって半径方向内方に突出する先端部である。カップリング先端部18は、第2のカップリング半部3のカップリングバー19(図2)に直接結合するように構成されている。内側スリーブ15は、いくつかのカップリング先端部18、特に3つのカップリング先端部18を含むことが好ましい。これらのカップリング先端部18は、長手方向軸Aを中心とした周方向から見て、互いに等距離に配置されている。
【0057】
半径方向内側に位置決めされた止め13の前側13aとの半径方向距離a1が、距離a2に等しいことが想定され得る。距離a2は、半径方向内側に位置決めされたカップリング先端部18の前側18aと長手方向軸Aとの間の半径方向距離である。しかしながら、距離a1が距離a2よりも大きいことも想定され得る。止め13は、長手方向軸Aに垂直な方向から見て、形成される内側スリーブ15の中空円筒壁である壁20に対応して半径方向に重なるのに十分な大きさに必ず構成されることが、最も重要である。
【0058】
さらに、内側スリーブ15は、ガイド部21を含む。ガイド部21は、内側スリーブ15と一体に形成されるように構成されている。ガイド部21は、ガイド22の一体部分である。ガイド22により、内側スリーブ15と外側スリーブ9との相対運動が導かれる。特に、このガイド部21は、ばねである。例えば、これは板ばねであってよい。特に、このガイド部21は、半径方向に弾性であるように構成されている。さらに、ガイド部22は、さらなるガイド部23を含む。このガイド部23は、特に凹部である。特に、このガイド部23は、軸方向に直線状の凹部である。
例えば、このガイド部23を、溝状または筋状に構成することができる。このガイド部23に、他方のガイド部21の部分21aが係合する。この部分21aは、例えば、半径方向外向きに形成されたハンプ(hump)であってよい。これにより、ガイド部21、23間に半径方向の係合が形成される。
【0059】
このガイド22により、外側スリーブ9に対する内側スリーブ15の軸方向ガイドが実現される。さらに、有利な実施形態において、このガイド22により、内側スリーブ15と外側スリーブ9との方位運動結合が実現される。これは、スリーブ8がハウジング4に対して長手方向軸Aを中心に回転すると、外側スリーブ9と内側スリーブ15とが運動結合することを意味する。
したがって、ユーザが外側スリーブ9に触れ、それに対応して外側スリーブ9が長手方向軸Aを中心に回転すると、内側に位置決めされた、ユーザが触れることができない内側スリーブ15が、それに伴って自動的に回転する。特に、ガイド部23は第1のガイド部であってよい。特に、ガイド部21は第2のガイド部であってよい。
【0060】
内側スリーブ15は、外側スリーブ9に対して可動に外側スリーブ9に配置または装着されている。内側スリーブ15は、規定された方法で、外側スリーブ9に対して、かつハウジング4に対して軸方向に可動である。
【0061】
さらに図1に見られるように、外側スリーブ9は、視認窓24を有する。視認窓24は、壁11に形成されている。視認窓24は、半径方向貫通孔である。この孔24を通して、スリーブ8の外側から受入空間14内を見ることができる。
【0062】
図1では、基本位置にある第1のカップリング半部1が示されている。これは、第1のカップリング半部1が第2のカップリング半部3から切り離された状態で配置されていることを意味する。この基本位置で、内側スリーブ15は、軸方向基本位置に配置されている。この軸方向基本位置は、内側スリーブ15が、その前縁部17が止め13から離間した状態で配置される位置である。これに関して、距離a3が形成される。特に、距離a3は、内側スリーブ15と止め13との間の軸方向最大距離である。この基本位置において、内側スリーブ15は、軸方向から見て、視認窓24に重ならないように構成されている。これは、スリーブ8の外側から視認窓24を通して受入空間14内を見たときに、内側スリーブ15を認識できないことを意味する。
したがって、これに関して、内側スリーブ15が視認窓24を通して認識されないようにするために、内側スリーブ15はハウジング4の方向に十分に移動している。
【0063】
したがって、この視認窓24により、一体型の視覚フィードバッカ25が形成されている。この視覚フィードバッカ25により、外側スリーブ9の外側から、2つのカップリング半部1、3間の結合状態および切離し状態の両方を見ることができる。
【0064】
この視覚フィードバッカ25に加えてまたはその代わりに想定され得る有利な実施形態において、第1のカップリング半部1は、触覚フィードバッカ26を含む。このために、実施形態において、例えば、第2の凹部27が内側11aに形成されていることが想定される。この凹部27は、有利な実施形態において、軸方向を向くように配されている。有利な実施形態において、長手方向軸Aを中心に周方向から見ると、凹部27は、このガイド部23に直接隣接して延びるように構成されている。
特に、この凹部27は、軸方向において、ガイド部23よりも短い。凹部27の軸方向長さは、少なくとも部分21aの軸方向寸法を受け入れるのに十分な大きさであることが好ましい。
【0065】
この触覚フィードバッカ26により、2つのカップリング半部1、3間の結合最終位置に到達したときに触覚信号が生成される。
【0066】
ガイド22はまた、方位保持力(azimuthal holding force)を形成するように構成され、これにより、外側スリーブ9と内側スリーブ15とは、長手方向軸Aを中心に回転するときに運動結合する。特に、この方位保持力により、力閾値(force threshold value)が規定の方法で予め決められる。これは、方位回転力(azimuthal rotary force)が外側スリーブ9に作用し、力閾値を超える場合に、外側スリーブ9と内側スリーブ15との回転結合が規定の方法で切り離されることに当てはまる。したがって、方位回転力が力閾値を超える場合、部分21aはガイド部23から方位方向に抜け出て凹部27に嵌まる。このプロセスによって触覚信号が生成され、ユーザは、特に外側スリーブ9を把持しているときにこの触覚信号を知覚することができる。
特に、このガイド部23から凹部27への部分21aの嵌め換え(snapping over)が行われると、その後、2つのカップリング半部1、3間の結合最終位置も生じる。したがって、この触覚フィードバッカ26によって、明確な触覚信号も生成され、これにより、到達した結合最終位置を認識することが明らかに可能になる。
【0067】
図2に、図1と同様の対応する断面図で電気プラグ2全体が示されている。ここでは、長手方向軸A、Bに対して上半分のみが示されている。ここでは、第1のカップリング半部1と第2のカップリング半部3との結合最終位置が示されている。ここに見られるように、内側スリーブ15は、軸方向において、外側スリーブ9に対して前方に移動している。内側スリーブ15は、軸方向において、視認窓24に重なるように配置されている。視認窓24を通して外側から見ると、内側スリーブ15を認識することができる。
これにより、その後、結合最終位置も視覚的に認識可能である。さらに、前縁部17、特にカップリング先端部18は、前側が止め13の後側13bに直接接触していることが認識できる。さらに、カップリング先端部18の後側18bは、カップリングバー19の前側19aに直接接触している。これに関し、カップリングバー19は、ロック手段の実施形態を表す。このロック手段は、第2のカップリング半部3の前部29の外側28に一体構成として構成されている。加えて、この外側28に、ねじ山30を形成してもよい。特に、第2のカップリング半部3の長手方向軸Bを中心に周方向から見ると、いくつかの別個のカップリングバー19が形成されている。これは図3にも示されている。
これに関し、カップリングバー19およびカップリングバー19‘を認識することができる。3つの別個のカップリングバーがこの外側28に形成されていることが好ましい。
【0068】
カップリング半部1、3間の結合最終位置を示す図2に見られるように、カップリング先端部18は、軸方向において、止め13とカップリングバー19との間で動かなくなる。さらに、ハウジング4の前縁部16が第2のカップリング半部3のハウジング32の前縁部31に接触していることも認識できる。ここでは、前縁部16、31間に金属コンタクトが形成されている。
【0069】
特に、第2のカップリング半部3は、コンタクトキャリア33(図3)を含む。コンタクトキャリア33は、ハウジング32に挿入されている。コンタクトキャリア33を、プラスチックから形成することができる。図3に示すように、コンタクトキャリア33は電気コンタクト34を受け入れるためのものであることが想定される。電気コンタクト34は、ピンコンタクトであってよい。しかしながら、電気コンタクト34は、このようなピンコンタクトのコンタクトソケットであってもよい。
【0070】
図2に、内側スリーブ15が前方に向かって軸方向に最大限移動した位置が示されている。図2によるこの結合最終位置で、有利な実施形態において凹部27が存在するときに、部分21aもガイド部23から凹部27に嵌め換えられる。
【0071】
スリーブ8は、基本位置から始まり、長手方向軸Aを中心に最大90°回転して、2つのカップリング半部1、3間の結合最終位置に到達することができると好ましい。
【0072】
特に、スリーブ8、特にカップリング先端部18とカップリングバー19、19‘の形のロック手段とにより、高速ロックが形成されている。特に、ここでは、バヨネットロックを構成することができる。対応するバヨネット部は、カップリング先端部18およびカップリングバー19、19‘によって形成されている。カップリングバー19の前側19aは、長手方向軸Bに垂直に向く平面に配置されていないことが好ましい。むしろ、この前面19aは、わずかに傾斜している。前面19aは、螺旋状の部分巻きであってよい。
したがって、前面19aは、第2のカップリング半部3の長手方向軸Bを中心とする周方向に、あるピッチを含む。したがって、前面19aは、有利に設けられるさらなるカップリングバー19‘などに構成されている。
【0073】
図3に、第2のカップリング半部3の実施形態の斜視図が示されている。特に、第2のカップリング半部3は角度付き半部であってよい。これは、第2のカップリング半部3のコネクタ部35が、第1のカップリング半部1に結合するために設けられた前部29に、特に90°の角度で配置されていることを意味する。コネクタ部35に他の構成部品を接続することができる。
【0074】
図3に認識できるように、長手方向軸Bを中心とする周方向において、隣接する2つのカップリングバー19、19‘間に方位間隙(azimuthal gap)36が形成されている。
【0075】
2つのカップリング半部1、3を結合すると、これらは軸方向に互いに向かって、したがってそれらの長手方向軸A、Bの方向に導かれる。そこで、第1のカップリング半部1は、そのスリーブ8が前部29上にスライドする。特に、この状態で、止め13とカップリング先端部18とは、長手方向軸Aを中心に方位方向に重なるように配置されている。特に、第1のカップリング半部1は、第2のカップリング半部3に対して、止め13と前方から接近するカップリング先端部18とが間隙36を通って、したがって、カップリングバー19、19‘を通り過ぎて軸方向に押されるような向きに配されている。
この状態に達すると、スリーブ8は長手方向軸Aを中心に回転する。これに関し、カップリング先端部18は、周方向において、カップリングバー19、19‘に対して長手方向軸Aを中心に回転する。そこで、カップリング先端部18は、例えば、カップリングバー19の後ろに係合する。これに関し、カップリング先端部18の後側18bは、前側19aに直接沿ってスライドする。この方位運動におけるこの前側19aの有利な傾斜位置により、内側スリーブ15は、その軸方向最終位置に、したがってハウジング4から離れるように引っ張られる。
後側18bと前側19aとのこの回転および接触によりこの結合最終位置が生じると、続いてスリーブ8の回転力が増加する。その後、回転力が力閾値よりも大きくなると、部分21aは、第1のガイド部23から方位方向に抜け出て凹部27に嵌まる。
【0076】
止め13が、カップリングバー19、19‘の半径方向高さよりも大きい半径方向内方への延長部を有する場合、止め13を全周に構成することはできない。これは、それにより、間隙36上をスライドすることまたは間隙36を通過することができなくなるからである。したがって、実施形態において、止め13が全周に途切れなく構成されている場合、この止め13の半径方向延長部は、カップリングバー19、19‘の高さよりも小さい。前述した代替実施形態において、図1および図2に示すように、止め13は、半径方向にさらに内方に延びている。そのような実施形態において、止め13は、長手方向軸Aを中心に周方向に途切れている。
それにより、止め13は、複数の止めセグメントからなるように構成されている。止めセグメントは方位幅(azimuthal width)有することが好ましく、これは、特に、カップリング先端部18の方位幅に対応する。したがって、カップリング先端部18と止め13の止めセグメントとで1つの対を各々形成し、カップリング先端部18と止めセグメントとは各々、長手方向軸Aを中心に周方向に重なっているように、特に完全に重なっているように構成されている。
したがって、その後、この基本位置において、止めセグメントとカップリング先端部18とから各々形成された1対を、軸方向において対応する間隙36に押し通すことができる。止め13の止めセグメントとカップリング先端部18との間のこの方位幅は、その後の内側スリーブ15と外側スリーブ19との回転時に、特に、ガイド部23から凹部27への部分21aの嵌め換え時に、また図2に示す結合最終位置において、止めセグメントと対応付けられたカップリング先端部との間の方位の重なり(azimuthal overlap)が構成されるように寸法設定される。
【0077】
図4に、第1のカップリング半部1の実施形態の、長手方向軸Aに垂直な概略断面図が示されている。この断面は、図1における断面線IV-IVに沿って形成されている。したがって、断面はガイド22によって生じる。本実施形態において、部分21aがこのガイド部23内に半径方向外向きに挿入されていることが認識できる。図の平面に垂直な長手方向軸Aを中心とした回転方向Dが描かれている。
【0078】
代替実施形態において、このガイド部23は、内側11aの半径方向外向きの凹部ではなく、長手方向軸Aに向かう内向きの隆起であることが想定され得る。このような実施形態の場合には、他方のガイド部21、特に部分21aは、相補的に構成されている。それにより、この部分21は、長手方向軸Aに向かう方向に湾曲した溝または凹部であることが好ましい。
図1
図2
図3
図4