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特許7408813横方向拡散金属酸化物半導体デバイス及び横方向拡散金属酸化物半導体デバイスを製造する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-22
(45)【発行日】2024-01-05
(54)【発明の名称】横方向拡散金属酸化物半導体デバイス及び横方向拡散金属酸化物半導体デバイスを製造する方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/336 20060101AFI20231225BHJP
   H01L 29/78 20060101ALI20231225BHJP
   H01L 29/06 20060101ALI20231225BHJP
【FI】
H01L29/78 301X
H01L29/06 301F
H01L29/78 301D
H01L29/78 301S
H01L29/78 301W
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2022538131
(86)(22)【出願日】2020-09-04
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-28
(86)【国際出願番号】 CN2020113361
(87)【国際公開番号】W WO2021135342
(87)【国際公開日】2021-07-08
【審査請求日】2022-07-29
(31)【優先権主張番号】201911418234.7
(32)【優先日】2019-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】512154998
【氏名又は名称】無錫華潤上華科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】CSMC TECHNOLOGIES FAB2 CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No.8 Xinzhou Road Wuxi New District,Jiangsu 214028 China
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】趙 景川
(72)【発明者】
【氏名】張 志▲麗▼
(72)【発明者】
【氏名】張 森
【審査官】石塚 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第110518056(CN,A)
【文献】特表2018-530922(JP,A)
【文献】特表2003-528471(JP,A)
【文献】特開2011-187939(JP,A)
【文献】特表2016-526804(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 29/78
H01L 21/336
H01L 29/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
横方向拡散金属酸化物半導体デバイスであって、
第1導電型の基板と、
前記第1導電型の基板内に位置する第2導電型のドリフト領域であって、前記第1導電型と第2導電型が反対である第2導電型のドリフト領域と、
多行多列に間隔を空けて配置される縦方向フローティングフィールドプレート構造を備える縦方向フローティングフィールドプレートアレイであって、行方向が導電チャネルの長手方向、列方向が前記導電チャネルの幅方向であり、前記縦方向フローティングフィールドプレート構造は、トレンチの内面に設けられる誘電体層と、前記トレンチ内に充填される導電層とを備え、前記トレンチは前記第2導電型のドリフト領域の表面から前記第2導電型のドリフト領域を貫通して前記第1導電型の基板内に延びる縦方向フローティングフィールドプレートアレイと、
前記第2導電型のドリフト領域内に位置し、且つ各行の隣接する2つの前記縦方向フローティングフィールドプレート構造の間に位置する複数の第1導電型の注入領域と、を備える、横方向拡散金属酸化物半導体デバイス。
【請求項2】
前記第1導電型の注入領域の幅は前記縦方向フローティングフィールドプレート構造の幅以下である、ことを特徴とする請求項1に記載の横方向拡散金属酸化物半導体デバイス。
【請求項3】
前記縦方向フローティングフィールドプレートアレイでは、複数の前記縦方向フローティングフィールドプレート構造は行方向及び列方向に沿って等間隔に配置される、ことを特徴とする請求項1に記載の横方向拡散金属酸化物半導体デバイス。
【請求項4】
前記第1導電型の注入領域の深さは前記第2導電型のドリフト領域の深さよりも小さい、ことを特徴とする請求項1に記載の横方向拡散金属酸化物半導体デバイス。
【請求項5】
前記第1導電型の注入領域は、前記第2導電型のドリフト領域の深さ方向に沿って配置される複数の第1導電型のサブ注入領域を備える、ことを特徴とする請求項1に記載の横方向拡散金属酸化物半導体デバイス。
【請求項6】
前記第1導電型の注入領域は前記第2導電型のドリフト領域の上部に位置し、且つ前記第1導電型の注入領域の頂部は前記第2導電型のドリフト領域の上面と面一である又は前記第2導電型のドリフト領域の上面から間隔を有するか、又は、前記第1導電型の注入領域は前記第2導電型のドリフト領域の中央部に位置するか、又は、前記第1導電型の注入領域は前記第2導電型のドリフト領域の下部に位置し、且つ前記第1導電型の注入領域の底部は前記第2導電型のドリフト領域の下面から間隔を有する、ことを特徴とする請求項1に記載の横方向拡散金属酸化物半導体デバイス。
【請求項7】
各行の前記縦方向フローティングフィールドプレート構造の数は前記縦方向フローティングフィールドプレートアレイの列数に等しく、各列の前記縦方向フローティングフィールドプレート構造の数は前記縦方向フローティングフィールドプレートアレイの行数に等しい、ことを特徴とする請求項1に記載の横方向拡散金属酸化物半導体デバイス。
【請求項8】
前記第1導電型の基板内に位置し、前記第2導電型のドリフト領域に隣接する第1導電型のウェル領域と、
前記第2導電型のドリフト領域内に位置し、且つ前記縦方向フローティングフィールドプレートアレイの前記第1導電型のウェル領域から離れる側に位置し、前記縦方向フローティングフィールドプレートアレイから間隔を有する第2導電型のウェル領域と、
前記第1導電型のウェル領域内に位置し、前記第2導電型のドリフト領域から間隔を有するソース領域と、
前記第2導電型のウェル領域内に位置するドレイン領域と、
前記第1導電型のウェル領域内に位置し、且つ前記ソース領域の前記縦方向フローティングフィールドプレートアレイから離れる側に位置し、前記ソース領域に接触する第1導電型のボディー領域と、
前記第2導電型のドリフト領域上に位置し、前記縦方向フローティングフィールドプレートアレイを被覆するフィールド酸化層と、
前記ソース領域及び前記第1導電型ウェル領域上にわたって設けられ、前記フィールド酸化層の表面に延びるゲートと、をさらに備える、ことを特徴とする請求項1に記載の横方向拡散金属酸化物半導体デバイス。
【請求項9】
前記フィールド酸化層上に設けられる複数の導電等電位ストリップをさらに備え、各前記導電等電位ストリップは前記導電チャネルの幅方向に沿って延びており、前記フィールド酸化層を貫通する導電構造を介してその下方に位置する1列の前記縦方向フローティングフィールドプレート構造に電気的に接続される、ことを特徴とする請求項8に記載の横方向拡散金属酸化物半導体デバイス。
【請求項10】
各前記導電等電位ストリップはレイアウト上ではレーストラック構造を構成する等電位リングである、ことを特徴とする請求項9に記載の横方向拡散金属酸化物半導体デバイス。
【請求項11】
隣接する2列の前記導電等電位ストリップの間隔は等しい、ことを特徴とする請求項9に記載の横方向拡散金属酸化物半導体デバイス。
【請求項12】
横方向拡散金属酸化物半導体デバイスの製造方法であって、
第1導電型の基板を提供するステップと、
前記第1導電型の基板内に第2導電型のドリフト領域を形成するステップと、
前記第2導電型のドリフト領域内に第1導電型の注入領域を形成するステップと、
前記第2導電型のドリフト領域内に縦方向フローティングフィールドプレートアレイを形成するステップであって、前記縦方向フローティングフィールドプレートアレイは多行多列に間隔を空けて配置される縦方向フローティングフィールドプレート構造を備え、前記縦方向フローティングフィールドプレート構造は、トレンチの内面に設けられる誘電体層と、前記トレンチ内に充填される導電層とを備え、前記トレンチは前記第2導電型のドリフト領域の表面から前記第2導電型のドリフト領域を貫通して前記第1導電型の基板内に延び、前記第1導電型の注入領域は各行の隣接する2つの前記縦方向フローティングフィールドプレート構造の間に位置するステップと、を含む、横方向拡散金属酸化物半導体デバイスの製造方法。
【請求項13】
前記第2導電型のドリフト領域内に第1導電型の注入領域を形成するステップは、
前記第2導電型のドリフト領域内に第1導電型イオンの注入を1回行って、前記第2導電型のドリフト領域内に前記第1導電型の注入領域を形成するステップを含み、
前記第1導電型の注入領域は前記第2導電型のドリフト領域の上部に位置し、且つ前記第1導電型の注入領域の頂部は前記第2導電型のドリフト領域の上面と面一である又は前記第2導電型のドリフト領域の上面から間隔を有するか、又は、前記第1導電型の注入領域は前記第2導電型のドリフト領域の中央部に位置するか、又は、前記第1導電型の注入領域は前記第2導電型のドリフト領域の下部に位置し、且つ前記第1導電型の注入領域の底部は前記第2導電型のドリフト領域の下面から間隔を有する、ことを特徴とする請求項12に記載の横方向拡散金属酸化物半導体デバイスの製造方法。
【請求項14】
前記第2導電型のドリフト領域内に第1導電型の注入領域を形成するステップは、
前記第2導電型のドリフト領域内に第1導電型イオンの注入を複数回行って、前記第2導電型のドリフト領域内に前記第2導電型のドリフト領域の深さ方向に沿って配置される複数の第1導電型のサブ注入領域を備える前記第1導電型の注入領域を形成するステップを含み、
前記第1導電型の注入領域は前記第2導電型のドリフト領域の上部に位置し、且つ前記第1導電型の注入領域の頂部は前記第2導電型のドリフト領域の上面と面一である又は前記第2導電型のドリフト領域の上面から間隔を有するか、又は、前記第1導電型の注入領域は前記第2導電型のドリフト領域の中央部に位置するか、又は、前記第1導電型の注入領域は前記第2導電型のドリフト領域の下部に位置し、且つ前記第1導電型の注入領域の底部は前記第2導電型のドリフト領域の下面から間隔を有する、ことを特徴とする請求項12に記載の横方向拡散金属酸化物半導体デバイスの製造方法。
【請求項15】
前記第2導電型のドリフト領域内に縦方向フローティングフィールドプレートアレイを形成した後に、
前記第2導電型のドリフト領域の一側に第1導電型のウェル領域を形成し、前記第2導電型のドリフト領域内に第2導電型のウェル領域を形成するステップであって、前記第2導電型のウェル領域は前記縦方向フローティングフィールドプレートアレイの前記第1導電型のウェル領域から離れる側に位置し、前記縦方向フローティングフィールドプレートアレイから間隔を有するステップと、
前記第2導電型のドリフト領域上に前記縦方向フローティングフィールドプレートアレイを被覆するフィールド酸化層を形成するステップと、
前記第1導電型のウェル領域上及び前記フィールド酸化層上に、前記第1導電型のウェル領域から前記フィールド酸化層の表面に延びるゲートを形成するステップと、
前記第1導電型のウェル領域内にソース領域及び第1導電型のボディー領域を形成し、前記第2導電型のウェル領域内にドレイン領域を形成するステップであって、前記ソース領域は前記第2導電型のドリフト領域から間隔を有し、前記第1導電型のボディー領域は前記ソース領域の前記縦方向フローティングフィールドプレートアレイから離れる側に位置し、前記ソース領域に接触するステップと、
前記フィールド酸化層内に複数の相互接続孔を形成するステップであって、前記相互接続孔は前記縦方向フローティングフィールドプレート構造に1対1で対応して設けられ、各前記縦方向フローティングフィールドプレート構造の前記導電層を露出させるステップと、
前記相互接続孔内に導電構造を形成するステップと、
前記フィールド酸化層上に複数の導電等電位ストリップを形成するステップであって、各前記導電等電位ストリップは導電チャネルの幅方向に沿って延びており、前記導電構造を介してその下方に位置する1列の前記縦方向フローティングフィールドプレート構造に電気的に接続されるステップと、をさらに含む、ことを特徴とする請求項12~14のいずれか1項に記載の横方向拡散金属酸化物半導体デバイスの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体の技術分野に関し、特に横方向拡散金属酸化物半導体デバイス及びその製造方法に関する。
【0002】
本願は、2019年12月31日に出願された、出願番号が201911418234.7、名称が「横方向拡散金属酸化物半導体デバイス及びその製造方法」の中国特許出願の優先権を主張し、その全内容をここに援用し参照するものとする。
【背景技術】
【0003】
横方向拡散金属酸化物半導体(LDMOS)デバイスの場合、デバイスの降伏電圧(BV)を高め、オン抵抗RDS(on)を低減させるために、フィールドプレート技術はよく使用される構造であり、即ち、ドリフト領域内に縦方向フローティングフィールドプレート構造が導入されることで、デバイスの耐電圧を高めるとともにそのオン抵抗を低減させる。しかしながら、縦方向フローティングフィールドプレート構造における深い溝はデバイスの導電チャネル内に位置し、ドリフト領域内の導電経路は減少し、デバイスの動作中の電流が流れる経路は遮断され、その結果、デバイスのオン抵抗は依然として高く、即ち、従来の横方向拡散金属酸化物半導体デバイスに縦方向フローティングフィールドプレート構造を導入することによって、デバイスのオン抵抗をある程度までしか低減させることができず、低減範囲は制限されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記事情に鑑みて、デバイスの降伏電圧を高めるとともに、デバイスのオン抵抗をさらに低減させるために、新型フィールドプレート構造を備えた横方向拡散金属酸化物半導体デバイス及びその製造方法を提供する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を実現するために、本発明は、
第1導電型の基板と、
前記第1導電型の基板内に位置する第2導電型のドリフト領域であって、前記第1導電型と第2導電型が反対である第2導電型のドリフト領域と、
多行多列に間隔を空けて配置される縦方向フローティングフィールドプレート構造を備える縦方向フローティングフィールドプレートアレイであって、行方向が導電チャネルの長手方向、列方向が前記導電チャネルの幅方向であり、前記縦方向フローティングフィールドプレート構造は、トレンチの内面に設けられる誘電体層と、前記トレンチ内に充填される導電層とを備え、前記トレンチは前記第2導電型のドリフト領域の表面から前記第2導電型のドリフト領域を貫通して前記第1導電型の基板内に延びる縦方向フローティングフィールドプレートアレイと、
前記第2導電型のドリフト領域内に位置し、且つ各行の隣接する2つの前記縦方向フローティングフィールドプレート構造の間に位置する複数の第1導電型の注入領域と、を備える横方向拡散金属酸化物半導体デバイスを提供する。
【0006】
本発明は、
第1導電型の基板を提供するステップと、
前記第1導電型の基板内に第2導電型のドリフト領域を形成するステップと、
前記第2導電型のドリフト領域内に第1導電型の注入領域を形成するステップと、
前記第2導電型のドリフト領域内に縦方向フローティングフィールドプレートアレイを形成するステップであって、前記縦方向フローティングフィールドプレートアレイは多行多列に間隔を空けて配置される縦方向フローティングフィールドプレート構造を備え、前記縦方向フローティングフィールドプレート構造は、トレンチの内面に設けられる誘電体層と、前記トレンチ内に充填される導電層とを備え、前記トレンチは前記第2導電型のドリフト領域の表面から前記第2導電型のドリフト領域を貫通して前記第1導電型の基板内に延び、前記第1導電型の注入領域は各行の隣接する2つの前記縦方向フローティングフィールドプレート構造の間に位置するステップと、を含む横方向拡散金属酸化物半導体デバイスの製造方法をさらに提供する。
【0007】
本願の1つ又は複数の実施例の詳細は、以下の図面及び説明に記載されている。本願の他の特徴、目的及び利点は、明細書、図面及び特許請求の範囲から明らかになる。
【0008】
ここで開示されているそれらの発明の実施例及び/又は例をよりよく説明するために、1つ又は複数の図面を参照してもよい。図面を説明するための付加的な詳細又は例は開示されている発明、現在説明されている実施例及び/又は例及び現在理解されているこれらの発明の最適な形態のうちのいずれか1つの範囲を限定するものではないと理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施例に係る横方向拡散金属酸化物半導体デバイスの製造方法のフローチャートである。
図2】本発明の一実施例に係る横方向拡散金属酸化物半導体デバイスの製造方法のステップS10で得られた構造の断面構造模式図である。
図3】本発明の一実施例に係る横方向拡散金属酸化物半導体デバイスの製造方法のステップS11で得られた構造の断面構造模式図である。
図4】本発明の一実施例に係る横方向拡散金属酸化物半導体デバイスの製造方法のステップS12で得られた構造の斜視構造模式図である。
図5図4の断面構造模式図である。
図6】本発明の一実施例に係る横方向拡散金属酸化物半導体デバイスの製造方法のステップS13で得られた構造の斜視構造模式図である。
図7図6の断面構造模式図である。
図8】本発明の一実施例に係る横方向拡散金属酸化物半導体デバイスの製造方法のステップS14で得られた構造の断面構造模式図である。
図9】本発明の一実施例に係る横方向拡散金属酸化物半導体デバイスの製造方法のステップS15で得られた構造の断面構造模式図である。
図10】本発明の一実施例に係る横方向拡散金属酸化物半導体デバイスの製造方法のステップS16で得られた構造の断面構造模式図である。
図11】本発明の一実施例に係る横方向拡散金属酸化物半導体デバイスの製造方法のステップS17で得られた構造の断面構造模式図である。
図12】本発明の一実施例に係る横方向拡散金属酸化物半導体デバイスの製造方法のステップS18で得られた構造の斜視構造模式図である。
図13図12の断面構造模式図である。
図14】本発明の一実施例に係る横方向拡散金属酸化物半導体デバイスの製造方法のステップS18~ステップS20で得られた構造の全体上面構造模式図である。
図15図14におけるA領域の拡大模式図である。
図16】本発明の別の実施例に係る横方向拡散金属酸化物半導体デバイスの製造方法で得られた構造の斜視構造模式図である。
図17図16の断面構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を理解しやすくするために、関連図面を参照しながら本発明をより全面的に説明する。図面は本発明の好ましい実施例を示すが、本発明は、多くの異なる形態で実施でき、本明細書に記載された実施例に限定されるものではない。逆に、これらの実施例を提供することは、本発明の開示内容をより明瞭且つ詳しくするためである。
【0011】
別途定義されていない限り、本明細書に使用されるすべての技術及び科学用語は、当業者が通常理解されるものと同じである。本発明の明細書に使用される用語は、具体的な実施例を説明するためのものに過ぎず、本発明を限定するものではない。本明細書に使用される用語「及び/又は」は、記載される1つ又は複数の関連要素の任意及びすべての組合せを含む。
【0012】
一実施例では、図1に示すように、本発明は、横方向拡散金属酸化物半導体デバイスの製造方法を提供し、
S10、第1導電型の基板を提供するステップと、
S11、前記第1導電型の基板内に第2導電型のドリフト領域を形成するステップと、
S12、前記第2導電型のドリフト領域内に第1導電型の注入領域を形成するステップと、
S13、前記第2導電型のドリフト領域内に縦方向フローティングフィールドプレートアレイを形成するステップであって、前記縦方向フローティングフィールドプレートアレイは多行多列に間隔を空けて配置される縦方向フローティングフィールドプレート構造を備え、前記縦方向フローティングフィールドプレート構造は、トレンチの内面に設けられる誘電体層と、前記トレンチ内に充填される導電層とを備え、前記トレンチは前記第2導電型のドリフト領域の表面から前記第2導電型のドリフト領域を貫通して前記第1導電型の基板内に延び、前記第1導電型の注入領域は各行の隣接する2つの前記縦方向フローティングフィールドプレート構造の間に位置するステップと、を含む。
【0013】
上記例では、縦方向フローティングフィールドプレート構造が第2導電型のドリフト領域の表面から第2導電型のドリフト領域を貫通して第1導電型の基板内に延びることで、横方向拡散金属酸化物半導体デバイスの表面と第1導電型の基板に等電位作用が存在し、縦方向フローティングフィールドプレート構造の底部の電位は表面によって制限され、それによりデバイスの安定性が向上する。縦方向フローティングフィールドプレート構造の導電層と第2導電型のドリフト領域及び第1導電型の基板との間に一定の厚さの誘電体層があり、このようにして、第2導電型のドリフト領域内のドープイオンと縦方向フローティングフィールドプレート構造間の電荷のバランスがより容易になり、電界分布のピークは第1導電型の基板と第2導電型のドリフト領域との境界部から第1導電型の基板の縦方向フローティングフィールドプレート構造の底部に移り、逆耐電圧時におけるデバイスの早期降伏を効果的に回避することができる。各行の隣接する縦方向フローティングフィールドプレート構造間の第2導電型のドリフト領域内に第1導電型の注入領域を形成することで、隣接する2列の縦方向フローティングフィールドプレート構造の間に超接合構造を形成することができ、第1導電型の注入領域と縦方向フローティングフィールドプレート構造は相乗作用してデバイスの空乏化を支援し、デバイスの耐電圧を高めるとともに、デバイスの電流能力を高め、デバイスのオン抵抗を低減させる。また、各行の隣接する縦方向フローティングフィールドプレート構造間の注入領域の導電型と第2導電型のドリフト領域の導電型は反対であり、回路がオンしない経路に第1導電型の電荷が増加することに対応する。このようにして、第2導電型のドリフト領域のドープ濃度を高めることができ、それによりデバイスのオン抵抗がさらに低減される。
【0014】
一例では、図2に示すように、ステップS10で提供された第1導電型の基板101は高抵抗率の基板を含む。具体的には、前記第1導電型の基板101は、第1導電型のシリコン基板、第1導電型の窒化ガリウム基板又は第1導電型のゲルマニウムシリコン基板などを含んでもよいが、これらに限定されない。
【0015】
一例では、図3に示すように、イオン注入プロセスで第1導電型の基板101内に第2導電型のイオン注入を行うことで、前記第1導電型の基板101の部分領域を第2導電型に反転させて第2導電型のドリフト領域102とするようにしてもよく、第2導電型のドリフト領域102の深さは第1導電型の基板101の厚さよりも小さい。
【0016】
一例では、図4及び図5に示すように、ステップS12は、第2導電型のドリフト領域102内に第1導電型イオンの注入を1回行って、第2導電型のドリフト領域102内に第1導電型の注入領域103を形成するステップを含んでもよい。第1導電型の注入領域103の数は複数であり、複数の第1導電型の注入領域103は多行多列のアレイ状に配置されてもよく、即ち、複数の第1導電型の注入領域103は多行多列に間隔を空けて配置されてもよい。具体的には、複数の第1導電型の注入領域103の列方向は後続で形成されるデバイスの導電チャネルの幅方向であり、行方向は後続で形成されるデバイスの導電チャネルの長手方向である。
【0017】
一例では、複数の第1導電型の注入領域103は等間隔に配置され、即ち、複数の第1導電型の注入領域103は行方向及び列方向に沿って等間隔に配置される。
【0018】
一例では、第1導電型の注入領域103の深さは第2導電型のドリフト領域102の深さよりも小さい。
【0019】
具体的には、ステップS12は、
S121、第2導電型のドリフト領域102の表面にパターン化マスク層(図示せず)を形成するステップであって、パターン化マスク層内に開口パターンが形成され、開口パターンは第2導電型のドリフト領域102を露出させ、開口パターンは第1導電型の注入領域103の形状及び位置を定義するステップと、
S122、パターン化マスク層に基づいて第2導電型のドリフト領域102に対してイオン注入を1回行い、高温プッシュアップを行って複数の第1導電型の注入領域103を形成するステップと、
S123、パターン化マスク層を除去するステップと、を含んでもよい。
【0020】
1つの選択可能な例では、第1導電型の注入領域103は第2導電型のドリフト領域102の上部に位置し、第1導電型の注入領域103の頂部は第2導電型のドリフト領域102の上面と面一であってもよく、図4図5に示すように、第1導電型の注入領域103の頂部は第2導電型のドリフト領域102の上面から間隔を有してもよい。
【0021】
別の選択可能な例では、第1導電型の注入領域103はさらに第2導電型のドリフト領域102の中央部に位置してもよい。
【0022】
さらに別の選択可能な例では、第1導電型の注入領域103はさらに第2導電型のドリフト領域102の下部に位置してもよく、第1導電型の注入領域103の底部は第2導電型のドリフト領域102の下面から間隔を有する。
【0023】
なお、上記例では、イオン注入エネルギーによって第1導電型の注入領域103の深さを制御してもよく、即ち、第1導電型の注入領域103の深さが大きいほど、所要のイオン注入エネルギーが大きい。
【0024】
一例では、図6図7に示すように、ステップS13は、
S131、第2導電型のドリフト領域102内に複数の多行多列に間隔を空けて配置されるトレンチ(図示せず)を形成するステップであって、トレンチの行方向は後続で形成される導電チャネルの長手方向であり、列方向は後続で形成される導電構造の幅方向であり、トレンチは第2導電型のドリフト領域102の表面から第2導電型のドリフト領域102を貫通して第1導電型の基板101内に延びるステップと、
S132、トレンチの内面(即ち、側壁及び底部)に誘電体層1041を形成するステップと、
S133、誘電体層1041の表面に導電層1042を形成し、導電層1042はトレンチを充填するステップと、を含んでもよい。
【0025】
具体的には、ステップS131では、具体的には、フォトリソグラフィー及びエッチングプロセスでトレンチを形成してもよい。
【0026】
具体的には、ステップS132では、熱酸化プロセスでトレンチの内面に酸化層(例えば、酸化シリコン層など)を誘電体層1041として形成してもよいが、これに限定されず、勿論、他の例では、物理気相堆積プロセス、化学気相堆積プロセス又は原子層堆積プロセスなどで誘電体層1041を形成してもよく、誘電体層1041は窒化物層又は酸窒化物層などであってもよい。
【0027】
具体的には、ステップS133では、物理気相堆積プロセス、化学気相堆積プロセス又は原子層堆積プロセスで導電層1042を形成してもよく、導電層1042はドープポリシリコン層を含んでもよいが、これらに限定されない。導電層1042は誘電体層1041とともに縦方向フローティングフィールドプレート構造104を構成する。
【0028】
一例では、縦方向フローティングフィールドプレート構造104を形成した後に、行方向に沿って、縦方向フローティングフィールドプレート構造104と第1導電型の注入領域103は交互に配置され、第1導電型の注入領域103の幅(即ち、第1導電型の注入領域103の列方向の寸法)はフローティングフィールドプレート構造104の幅(フローティングフィールドプレート構造104の列方向の寸法)以下である。
【0029】
上記例では、第1導電型の注入領域103の幅は縦方向フローティングフィールドプレート構造104の幅以下であり、このように、第1導電型の注入領域103が後続で形成されるデバイスのオン時における電子の移動を阻止しないことを確保できる。
【0030】
一例では、縦方向フローティングフィールドプレートアレイでは、複数の縦方向フローティングフィールドプレート構造104は行方向及び列方向に沿って等間隔に配置される。
【0031】
一例では、各行の縦方向フローティングフィールドプレート構造104の数は縦方向フローティングフィールドプレートアレイの列数に等しく、各列の縦方向フローティングフィールドプレート構造104の数は縦方向フローティングフィールドプレートアレイの行数に等しい。即ち、隣接する2行のフローティングフィールドプレート構造104はずれて配置されるのではなく、1対1で対応して設けられ、隣接する2列のフローティングフィールドプレート構造104はずれて配置されるのではなく、1対1で対応して設けられる。
【0032】
なお、導電層1042は第2導電型のドリフト領域102の表面から第2導電型のドリフト領域102を貫通して第1導電型の基板101内に延びる必要があることで、最終的に形成されるデバイスの表面と第1導電型の基板101との等電位を実現し、それによりデバイスの安定性が向上する。
【0033】
なお、他の例では、ステップS12はステップS13と交換してもよい。即ち、他の例では、まず、第2導電型のドリフト領域102内に縦方向フローティングフィールドプレートアレイ構造を形成し、次に、第2導電型のドリフト領域102内に第1導電型の注入領域103を形成するようにしてもよい。
【0034】
さらになお、縦方向フローティングフィールドプレート構造104の「フローティング」は、縦方向フローティングフィールドプレート構造104が外部電位に接続されていないことを示す。
【0035】
1つの選択可能な例では、図8図11に示すように、ステップS13の後に、以下のステップをさらに含んでもよい。
【0036】
S14では、第2導電型のドリフト領域102の一側に第1導電型のウェル領域105を形成し、第2導電型のドリフト領域102内に第2導電型のウェル領域106を形成する。図8に示すように、第2導電型のウェル領域106は縦方向フローティングフィールドプレートアレイの第1導電型のウェル領域105から離れる側に位置し、縦方向フローティングフィールドプレートアレイから間隔を有する。第2導電型のウェル領域106、ドレイン領域111のドリフト緩衝領域として機能し、順方向動作時におけるLDMOSデバイスのオン降伏電圧を高めることができる。第1導電型のウェル領域105はデバイスの導電チャネル形成領域として、その濃度は第2導電型のドリフト領域102の空乏化及びオン電圧に影響する。
【0037】
S15では、第2導電型のドリフト領域102上にフィールド酸化層107を形成し、図9に示すように、フィールド酸化層107は縦方向フローティングフィールドプレートアレイを被覆する。
【0038】
S16では、第1導電型のウェル領域105上及びフィールド酸化層107上にゲート108を形成し、図10に示すように、ゲート108は第1導電型のウェル領域105からフィールド酸化層107の表面に延びる。
【0039】
S17では、第1導電型のウェル領域105内にソース領域110及び第1導電型のボディー領域(即ち、第1導電型の基板101のリードアウト領域)109を形成し、第2導電型のウェル領域106内にドレイン領域111を形成し、図11に示すように、ソース領域110は第2導電型のドリフト領域102から間隔を有し、第1導電型のボディー領域109はソース領域110の縦方向フローティングフィールドプレートアレイから離れる側に位置し、ソース領域110に接触する。
【0040】
S18では、フィールド酸化層107内に複数の相互接続孔(図示せず)を形成し、相互接続孔は縦方向フローティングフィールドプレート構造104に1対1で対応して設けられ、各縦方向フローティングフィールドプレート構造104の導電層1042を露出させる。
【0041】
S19では、相互接続孔内に導電構造113を形成する。
【0042】
S20では、フィールド酸化層107上に複数の導電等電位ストリップ112を形成し、図12図13に示すように、各導電等電位ストリップ112は導電チャネルの幅方向に沿って延びており、導電構造113を介してその下方に位置する1列の縦方向フローティングフィールドプレート構造104に電気的に接続される。
【0043】
具体的には、ステップS14では、イオン注入プロセスで第1導電型のウェル領域105及び第2導電型のウェル領域106を形成してもよく、第1導電型のウェル領域105の深さは第2導電型のドリフト領域102の深さに等しく、第2導電型のウェル領域106の深さは第2導電型のドリフト領域102の深さよりも小さくしてもよい。
【0044】
具体的には、ステップS15では、熱酸化プロセスでフィールド酸化層107を形成してもよいが、これに限定されない。
【0045】
具体的には、ステップS16で形成されたゲート108はポリシリコンゲートを含んでもよいが、これに限定されず、具体的には、ゲート108はドープポリシリコンゲートを含んでもよい。
【0046】
具体的には、ステップS17では、イオン注入プロセスでソース領域110、ドレイン領域111及びボディー領域109を形成してもよい。ボディー領域109は第1導電型の領域、ソース領域110は第2導電型の領域、ドレイン領域111は第2導電型の領域である。より具体的には、ボディー領域109、ソース領域110及びドレイン領域111はいずれも高濃度ドープ領域であるが、第1導電型の基板101、第2導電型のドリフト領域102、第1導電型の注入領域103、第1導電型のウェル領域105及び第2導電型のウェル領域106はいずれも低濃度ドープ領域である。所謂「高濃度ドープ領域」とは、ドープ濃度が1×1018 atom/cm以上の領域であり、所謂「低濃度ドープ領域」とは、ドープ濃度が1×1018 atom/cm以下の領域である。
【0047】
なお、図12に示すように、上記例では、行方向はいずれも図12に示すX方向であり、列方向はいずれも図12に示すZ方向である。即ち、X方向はデバイスの導電チャネルの長手方向であり、Z方向はデバイスの導電チャネルの幅方向であり、Y方向はデバイスの垂直方向である。図13図12のY方向に沿う断面構造模式図である。
【0048】
一例では、導電等電位ストリップ112及び導電構造113の材料はいずれも金属であってもよく、具体的には、アルミニウム、銅、金又はニッケルなどであってもよい。
【0049】
一例では、隣接する2列の導電等電位ストリップ112の間隔は等しく、即ち、各導電等電位ストリップ112の列間隔は等しく、列間隔は等しいことで、隣接する2つの縦方向フローティングフィールドプレート構造104間の容量が等しいと見なすことができる。
【0050】
一例では、導電等電位ストリップ112はレイアウト上ではレーストラック構造を構成する等電位リングであり、図14に示す各導電等電位ストリップ112、第1導電型の注入領域103及び縦方向フローティングフィールドプレート構造104はいずれもレーストラック領域20内に位置する。
【0051】
一例では、図15に示すように、各縦方向フローティングフィールドプレート構造104は並べて設けられる。
【0052】
別の実施例では、図1図15と併せて図16図17に示すように、本発明は横方向拡散金属酸化物半導体デバイスの製造方法をさらに提供し、本実施例における横方向拡散金属酸化物半導体デバイスの製造方法は、上記実施例における図1図15に示す横方向拡散金属酸化物半導体デバイスの製造方法とほぼ同じであり、その相違点はステップS12が異なるだけであり、図1図15に示す横方向拡散金属酸化物半導体デバイスの製造方法のステップS12では、第2導電型のドリフト領域102内に第1導電型イオンの注入を1回だけ行い、形成された第1導電型の注入領域103の深さは小さくなるが、本実施例におけるステップS12では、第2導電型のドリフト領域102内に第1導電型イオンの注入を複数回行って、第2導電型のドリフト領域102内に第2導電型のドリフト領域102の深さ方向に沿って配置される複数の第1導電型のサブ注入領域1031を備える前記第1導電型の注入領域103を形成する。本実施例では、複数回のイオン注入によって配置される複数の第1導電型のサブ注入領域1031を形成することで、第2導電型のドリフト領域102の空乏化をよりよく支援でき、図1図15の手段に比べて、デバイスの性能をさらに向上させることができる。該実施例では、第1導電型の注入領域103の深さは同様に第2導電型のドリフト領域102の深さよりも小さい必要がある。
【0053】
一例では、第2導電型のドリフト領域102の深さ方向に沿って配置される複数の第1導電型のサブ注入領域1031は順に直列に接続されてもよく、間隔を空けて配置されてもよい。
【0054】
上記各横方向拡散金属酸化物半導体デバイスの製造方法において、一例では、第1導電型はP型であってもよく、第2導電型はN型であってもよく、別の例では、第1導電型はN型であってもよく、第2導電型はP型であってもよい。
【0055】
さらに別の実施例では、図12図15に示すように、本発明は横方向拡散金属酸化物半導体デバイスをさらに提供し、第1導電型の基板101と、第1導電型の基板101内に位置する第2導電型のドリフト領域102であって、第1導電型と第2導電型が反対である第2導電型のドリフト領域102と、多行多列に間隔を空けて配置される縦方向フローティングフィールドプレート構造104を備える縦方向フローティングフィールドプレートアレイであって、縦方向フローティングフィールドプレート構造104の行方向は導電チャネルの長手方向、列方向は導電チャネルの幅方向であり、縦方向フローティングフィールドプレート構造104は、トレンチ(図示せず)の内面に設けられる誘電体層1041と、トレンチ内に充填される導電層1042とを備え、トレンチは第2導電型のドリフト領域102の表面から第2導電型のドリフト領域102を貫通して第1導電型の基板101内に延びる縦方向フローティングフィールドプレートアレイと、第2導電型のドリフト領域102内に位置し、且つ各行の隣接する2つの縦方向フローティングフィールドプレート構造104の間に位置する複数の第1導電型の注入領域103と、を備える。
【0056】
上記例では、縦方向フローティングフィールドプレート構造104が第2導電型のドリフト領域102の表面から第2導電型のドリフト領域102を貫通して第1導電型の基板101内に延びることで、横方向拡散金属酸化物半導体デバイスの表面と第1導電型の基板101に等電位作用が存在し、縦方向フローティングフィールドプレート構造104の底部の電位は表面によって制限され、それによりデバイスの安定性が向上し、縦方向フローティングフィールドプレート構造104の導電層1042と第2導電型のドリフト領域102及び第1導電型の基板101との間に一定の厚さの誘電体層1041がある。このようにして、第2導電型のドリフト領域102内のドープイオンと縦方向フローティングフィールドプレート構造104との間の電荷のバランスがより容易になり、電界分布のピークは第1導電型の基板101と第2導電型のドリフト領域102との境界部から第1導電型の基板101の縦方向フローティングフィールドプレート構造104の底部に移り、逆耐電圧時におけるデバイスの早期降伏を効果的に回避することができる。各行の隣接する縦方向フローティングフィールドプレート構造104間の第2導電型のドリフト領域102内に第1導電型の注入領域103を形成することで、隣接する2列の縦方向フローティングフィールドプレート構造104の間に超接合構造を形成することができる。第1導電型の注入領域103と縦方向フローティングフィールドプレート構造104は相乗作用してデバイスの空乏化を支援し、デバイスの耐電圧を高めるとともに、デバイスの電流能力を高め、デバイスのオン抵抗を低減させる。また、各行の隣接する縦方向フローティングフィールドプレート構造104間の注入領域の導電型と第2導電型のドリフト領域102の導電型は反対であり、回路がオンしない経路に第1導電型の電荷が増加することに対応する。このようにして、第2導電型のドリフト領域102のドープ濃度を高めることができ、それによりデバイスのオン抵抗がさらに低減される。
【0057】
なお、図12に示すように、本実施例では、行方向はいずれも図12に示すX方向であり、列方向はいずれも図12に示すZ方向である。即ち、X方向はデバイスの導電チャネルの長手方向であり、Z方向はデバイスの導電チャネルの幅方向であり、Y方向はデバイスの垂直方向であり、図13図12のY方向に沿う断面構造模式図である。
【0058】
一例では、第1導電型の基板101は高抵抗率の基板を含み、具体的には、前記第1導電型の基板101は、第1導電型のシリコン基板、第1導電型の窒化ガリウム基板又は第1導電型のゲルマニウムシリコン基板などを含んでもよいが、これらに限定されない。
【0059】
一例では、第2導電型のドリフト領域102の深さは第1導電型の基板101の厚さよりも小さい。
【0060】
一例では、複数の第1導電型の注入領域103は等間隔に配置され、即ち、複数の第1導電型の注入領域103は行方向及び列方向に沿って等間隔に配置される。
【0061】
一例では、第1導電型の注入領域103の深さは第2導電型のドリフト領域102の深さよりも小さい。
【0062】
1つの選択可能な例では、第1導電型の注入領域103は第2導電型のドリフト領域102の上部に位置し、第1導電型の注入領域103の頂部は第2導電型のドリフト領域102の上面と面一であってもよく、図12図13に示すように、第1導電型の注入領域103の頂部は第2導電型のドリフト領域102の上面から間隔を有してもよい。
【0063】
別の選択可能な例では、第1導電型の注入領域103はさらに第2導電型のドリフト領域102の中央部に位置してもよい。
【0064】
さらに別の選択可能な例では、第1導電型の注入領域103はさらに第2導電型のドリフト領域102の下部に位置してもよく、第1導電型の注入領域103の底部は第2導電型のドリフト領域102の下面から間隔を有する。
【0065】
なお、上記例では、イオン注入エネルギーによって第1導電型の注入領域103の深さを制御してもよく、即ち、第1導電型の注入領域103の深さが大きほど、所要のイオン注入エネルギーが大きい。
【0066】
一例では、誘電体層1041は、例えば酸化シリコン層などの酸化層を含んでもよいが、これに限定されず、他の例では、誘電体層1041は窒化物層又は酸窒化物層を含んでもよい。
【0067】
一例では、導電層1042は、ドープポリシリコン層を含んでもよいが、これらに限定されない。
【0068】
一例では、行方向に沿って、縦方向フローティングフィールドプレート構造104と第1導電型の注入領域103は交互に配置され、第1導電型の注入領域103の幅(即ち、第1導電型の注入領域103の列方向の寸法)はフローティングフィールドプレート構造104の幅(フローティングフィールドプレート構造104の列方向の寸法)以下である。
【0069】
上記例では、第1導電型の注入領域103の幅は縦方向フローティングフィールドプレート構造104の幅以下であり、これにより、第1導電型の注入領域103が後続で形成されるデバイスのオン時における電子の移動を阻止しないことを確保できる。
【0070】
一例では、縦方向フローティングフィールドプレートアレイでは、複数の縦方向フローティングフィールドプレート構造104は行方向及び列方向に沿って等間隔に配置される。
【0071】
一例では、各行の縦方向フローティングフィールドプレート構造104の数は縦方向フローティングフィールドプレートアレイの列数に等しく、各列の縦方向フローティングフィールドプレート構造104の数は縦方向フローティングフィールドプレートアレイの行数に等しい。即ち、隣接する2行のフローティングフィールドプレート構造104はずれて配置されるのではなく、1対1で対応して設けられ、隣接する2列のフローティングフィールドプレート構造104はずれて配置されるのではなく、1対1で対応して設けられる。
【0072】
なお、導電層1042が第2導電型のドリフト領域102の表面から第2導電型のドリフト領域102を貫通して第1導電型の基板101内に延びる必要があることで、最終的に形成されるデバイスの表面と第1導電型の基板101との等電位を実現し、それによりデバイスの安定性が向上する。
【0073】
なお、縦方向フローティングフィールドプレート構造104の「フローティング」は、縦方向フローティングフィールドプレート構造104が外部電位に接続されていないことを示す。
【0074】
一例では、横方向拡散金属酸化物半導体デバイスは、第2導電型のドリフト領域102の一側に位置し、第2導電型のドリフト領域102に接触する第1導電型のウェル領域105と、第2導電型のドリフト領域102内に位置し、且つ縦方向フローティングフィールドプレートアレイの第1導電型のウェル領域105から離れる側に位置し、縦方向フローティングフィールドプレートアレイから間隔を有する第2導電型のウェル領域106と、第1導電型のウェル領域105内に位置し、第2導電型のドリフト領域102から間隔を有するソース領域110と、第2導電型のウェル領域106内に位置するドレイン領域111と、第1導電型のウェル領域105内に位置し、且つソース領域110の前記縦方向フローティングフィールドプレートアレイから離れる側に位置し、ソース領域110に接触する第1導電型のボディー領域109と、第2導電型のドリフト領域102上に位置し、縦方向フローティングフィールドプレートアレイを被覆するフィールド酸化層107と、第1導電型ウェル領域105からフィールド酸化層107の表面に延びるゲート108と、をさらに備える。第2導電型のウェル領域106のドレイン領域111のドリフト緩衝領域は、順方向動作時におけるLDMOSデバイスのオン降伏電圧を高めることができ、第1導電型のウェル領域105はデバイスの導電チャネル形成領域として、その濃度は第2導電型のドリフト領域102の空乏化及びオン電圧に影響する。
【0075】
一例では、第1導電型のウェル領域105の深さは第2導電型のドリフト領域102の深さに等しく、第2導電型のウェル領域106の深さは第2導電型のドリフト領域102の深さよりも小さいようにしてもよい。
【0076】
一例では、ゲート108はポリシリコンゲートを含んでもよいが、これに限定されず、具体的には、ゲート108はドープポリシリコンゲートを含んでもよい。
【0077】
具体的には、ボディー領域109は第1導電型の領域、ソース領域110は第2導電型の領域、ドレイン領域111は第2導電型の領域であり、より具体的には、ボディー領域109、ソース領域110及びドレイン領域111はいずれも高濃度ドープ領域であるが、第1導電型の基板101、第2導電型のドリフト領域102、第1導電型の注入領域103、第1導電型のウェル領域105及び第2導電型のウェル領域106はいずれも低濃度ドープ領域であり、所謂「高濃度ドープ領域」とは、ドープ濃度が1×1018 atom/cm以上の領域であり、所謂「低濃度ドープ領域」とは、ドープ濃度が1×1018 atom/cm以下の領域である。
【0078】
一例では、横方向拡散金属酸化物半導体デバイスは複数の導電等電位ストリップ112をさらに備え、導電等電位ストリップ112はフィールド酸化層107上に位置し、各導電等電位ストリップ112は導電チャネルの幅方向に沿って延びており、フィールド酸化層107の表面からフィールド酸化層107を貫通する導電構造113を介してその下方に位置する1列の縦方向フローティングフィールドプレート構造104に電気的に接続される。
【0079】
上記例では、導電等電位ストリップ112が設けられ、導電等電位ストリップ112がその下方に位置する1列の縦方向フローティングフィールドプレート構造104に電気的に接続されることで、隣接する2つの導電等電位ストリップ112を一対の平行板コンデンサと見なすことができ、その電位差は定数であり、デバイスの耐電圧は縦方向フローティングフィールドプレート構造104の増加に伴って増加することができる。
【0080】
一例では、導電等電位ストリップ112及び導電構造113の材料はいずれも金属であってもよく、具体的には、アルミニウム、銅、金又はニッケルなどであってもよい。
【0081】
一例では、隣接する2列の導電等電位ストリップ112の間隔は等しく、即ち、各導電等電位ストリップ112の列間隔は等しく、列間隔は等しいことで、隣接する2つの縦方向フローティングフィールドプレート構造104間の容量が等しいと見なすことができる。
【0082】
一例では、導電等電位ストリップ112を端から端まで接続してレーストラック構造の等電位リングを形成し、図14に示す各導電等電位ストリップ112、第1導電型の注入領域103及び縦方向フローティングフィールドプレート構造104はいずれもレーストラック領域20内に位置する。
【0083】
一例では、図15に示すように、各縦方向フローティングフィールドプレート構造104は並べて設けられる。
【0084】
さらに別の実施例では、図12図15と併せて図16図17に示すように、本発明は横方向拡散金属酸化物半導体デバイスをさらに提供し、本実施例における横方向拡散金属酸化物半導体デバイスは上記実施例における図12図15に示す横方向拡散金属酸化物半導体デバイスとほぼ同じである。その相違点は、図12図15に示す横方向拡散金属酸化物半導体デバイスでは第2導電型のドリフト領域102内に第1導電型イオンの注入を1回だけ行い、形成される第1導電型の注入領域103の深さは小さくなるが、本実施例では第2導電型のドリフト領域102内に第1導電型イオンの注入を複数回行い、第2導電型のドリフト領域102内には第2導電型のドリフト領域102の深さ方向に沿って配置される複数の第1導電型のサブ注入領域1031を備える前記第1導電型の注入領域103が形成されるだけである。本実施例では、複数回のイオン注入によって配置される複数の第1導電型のサブ注入領域1031を形成することで、第2導電型のドリフト領域102の空乏化をよりよく支援でき、図1図15の手段に比べて、デバイスの性能をさらに向上させることができる。該実施例では、第1導電型の注入領域103の深さは同様に第2導電型のドリフト領域102の深さよりも小さい必要がある。
【0085】
一例では、第2導電型のドリフト領域102の深さ方向に沿って配置される複数の第1導電型のサブ注入領域1031は順に直列に接続されてもよく、間隔を空けて配置されてもよい。
【0086】
上記各横方向拡散金属酸化物半導体デバイスにおいて、一例では、第1導電型はP型であってもよく、第2導電型はN型であってもよく、別の例では、第1導電型はN型であってもよく、第2導電型はP型であってもよい。
【0087】
なお、上記各実施例では、図4図13図16及び図17における省略記号は、省略される複数の第1導電型の注入領域103及び複数の縦方向フローティングフィールドプレート構造104を有するように変更されることを示す。
【0088】
以上の実施例は、本発明のいくつかの実施形態のみを示し、その説明が具体的で詳細なものであるが、本発明の特許範囲を限定するものではないと理解すべきである。ただし、当業者にとって、本発明の思想を逸脱せずに種々の変形や改良を行うことができ、これらはすべて本発明の特許範囲に属する。このため、本発明特許の特許範囲は添付特許請求の範囲に準じるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17