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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-22
(45)【発行日】2024-01-05
(54)【発明の名称】スピーカ及び電子機器
(51)【国際特許分類】
   H04R 9/06 20060101AFI20231225BHJP
   H04R 3/00 20060101ALI20231225BHJP
【FI】
H04R9/06 A
H04R3/00 310
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2022566105
(86)(22)【出願日】2021-04-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-02
(86)【国際出願番号】 CN2021089895
(87)【国際公開番号】W WO2021218916
(87)【国際公開日】2021-11-04
【審査請求日】2022-10-28
(31)【優先権主張番号】202010359556.5
(32)【優先日】2020-04-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】517372494
【氏名又は名称】維沃移動通信有限公司
【氏名又は名称原語表記】VIVO MOBILE COMMUNICATION CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No.1, vivo Road, Chang’an, Dongguan,Guangdong 523863, China
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100211177
【弁理士】
【氏名又は名称】赤木 啓二
(72)【発明者】
【氏名】▲蒋▼ 国珠
(72)【発明者】
【氏名】李 偉
【審査官】大野 弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-228966(JP,A)
【文献】再公表特許第2014/174729(JP,A1)
【文献】特開2002-058094(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 9/06
H04R 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サポート(100)と、磁気アセンブリ(200)と、前記サポート(100)の第1側に設置される第1振動アセンブリ(300)と、前記サポート(100)の第2側に設置される第2振動アセンブリ(400)と、を含み、前記第1側と前記第2側とは反対して設置され、前記第1振動アセンブリ(300)は第1ボイスコイル(310)及び第1振動膜(320)を含み、前記第2振動アセンブリ(400)は第2ボイスコイル(410)及び第2振動膜(420)を含み、前記第1振動膜(320)及び前記第2振動膜(420)は両方とも前記サポート(100)に接続され、前記サポート(100)は収容空間(110)を有し、前記磁気アセンブリ(200)は前記収容空間(110)内に設置され、前記磁気アセンブリ(200)と前記サポート(100)との間に磁気ギャップ(500)が形成され、前記第1ボイスコイル(310)及び前記第2ボイスコイル(410)は両方とも少なくとも部分的に前記磁気ギャップ(500)に位置し、前記第1振動アセンブリ(300)は第1超音波を放出でき、前記第2振動アセンブリ(400)は第2超音波を放出でき、前記第1超音波の周波数と前記第2超音波の周波数は等しくない、スピーカ。
【請求項2】
前記収容空間(110)及び前記磁気アセンブリ(200)の数はいずれも1つであり、前記収容空間(110)は前記サポート(100)を貫通し、前記磁気アセンブリ(200)と前記収容空間(110)の内壁との間に前記磁気ギャップ(500)が形成される、請求項1に記載のスピーカ。
【請求項3】
前記磁気アセンブリ(200)は第1磁気部材(210)及び2つの第1透磁部材(220)を含み、2つの前記第1透磁部材(220)はそれぞれ前記第1磁気部材(210)の反対する両側に設置され、且つ2つの前記第1透磁部材(220)はそれぞれ前記第1振動アセンブリ(300)及び前記第2振動アセンブリ(400)に対向して設置される、請求項2に記載のスピーカ。
【請求項4】
前記収容空間(110)及び前記磁気アセンブリ(200)の数はいずれも2つであり、2つの前記収容空間(110)はそれぞれ前記第1側及び前記第2側に開設され、2つの前記磁気アセンブリ(200)は一対一に対応して2つの前記収容空間(110)内に設置され、且つ2つの前記磁気アセンブリ(200)は一対一に対応して2つの前記収容空間(110)の内壁と共に前記磁気ギャップ(500)を形成する、請求項1に記載のスピーカ。
【請求項5】
前記磁気アセンブリ(200)は第2磁気部材(230)及び第2透磁部材(240)を含み、前記第2透磁部材(240)は前記第2磁気部材(230)の一側に設置され、且つ前記第1振動アセンブリ(300)又は前記第2振動アセンブリ(400)に対向する、請求項4に記載のスピーカ。
【請求項6】
2つの前記磁気アセンブリ(200)の対向する端部は同じ極性である、請求項4に記載のスピーカ。
【請求項7】
前記サポート(100)は透磁サポートである、請求項1に記載のスピーカ。
【請求項8】
前記第1振動アセンブリ(300)は第1ドーム(330)をさらに含み、前記第1ボイスコイル(310)は前記第1ドーム(330)に接続され、前記第1振動膜(320)は前記第1ドーム(330)のエッジに接続され、且つ前記第1振動膜(320)は前記サポート(100)に接続され、
前記第2振動アセンブリ(400)は第2ドーム(430)をさらに含み、前記第2ボイスコイル(410)は前記第2ドーム(430)に接続され、前記第2振動膜(420)は前記第2ドーム(430)のエッジに接続され、且つ前記第2振動膜(420)は前記サポート(100)に接続される、請求項1に記載のスピーカ。
【請求項9】
前記第1側に設置され、前記第1振動膜(320)に接続される第1非透磁支持体(600)と、前記第2側に設置され、前記第2振動膜(420)に接続される第2非透磁支持体(700)と、をさらに含む、請求項8に記載のスピーカ。
【請求項10】
キャビティ(810)及び前記キャビティ(810)に連通するサウンドホール(820)が開設される機器本体(800)と、前記キャビティ(810)内に設置される請求項1から9のいずれか1項に記載のスピーカと、を含む、電子機器。
【請求項11】
前記スピーカは前記キャビティ(810)を第1キャビティと第2キャビティに仕切り、且つ前記第1振動アセンブリ(300)は前記第1キャビティに向かい、前記第2振動アセンブリ(400)は前記第2キャビティに向かい、前記機器本体(800)に第1導音路と第2導音路が開設され、前記サウンドホール(820)は前記第1導音路を介して前記第1キャビティに連通し、前記サウンドホール(820)は前記第2導音路を介して前記第2キャビティに連通する、請求項10に記載の電子機器。
【請求項12】
前記キャビティ(810)の側壁に取付溝が開設され、前記スピーカは前記取付溝に設置され、且つ前記スピーカはフォーム(900)を介して前記取付溝の側壁に接続される、請求項10に記載の電子機器。
【請求項13】
前記機器本体(800)は第1機能アセンブリ及び第2機能アセンブリを含み、前記第1機能アセンブリは前記第2機能アセンブリに取り付けられ、且つ前記第1機能アセンブリと前記第2機能アセンブリとの間に組立隙間があり、前記組立隙間は前記サウンドホール(820)を形成する、請求項10に記載の電子機器。
【請求項14】
前記サウンドホール(820)の数は複数であり、且つ前記複数のサウンドホール(820)はいずれも前記キャビティ(810)に連通する、請求項10に記載の電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本発明は、2020年04月29日に中国で提出された、出願番号202010359556.5、発明の名称「スピーカ及び電子機器」の中国特許出願の優先権を主張し、この出願の全ては参照によって本発明に組み込まれる。
本発明は、通信機器の技術分野に関し、特に、スピーカ及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器の急速な発展に伴い、電子機器の用途はますます広がり、携帯電話やタブレットパソコン等の電子機器は、人々の仕事、生活、娯楽においてますます重要な役割を果たしている。現在、電子機器のスピーカ及びレシーバは、オーディオ信号を増幅した後、音響膜で空気を押して音を発するものである。人間の耳の可聴音の周波数範囲は20Hz~20kHzであり、可聴音の音波は空気中で伝搬される時に明らかな指向性がないため、音は四方八方に広がり、多くの人に聞こえるようになる。人々は電子機器によって音楽を再生したり、ビデオを見たり、ビデオチャットをしたりする場合、他人に迷惑を掛けやすい。現在では、主にイヤホンを装着することでそれを解決しているが、イヤホンを長時間装着すると、不快感や中耳炎等の問題が発生する可能性があると共に、外出時に持ち運びを忘れる可能性もある。従って、周囲の環境に影響を与えることなく、指定された場所へ音を指向的に送ることができる発音方式が求められている。
【0003】
上記問題に対して、現在、周囲の環境に影響を与えることなく、指定された場所へ音を指向的に送るオーディオ指向性技術が採用されており、このオーディオ指向性技術とは、非線形音響理論を用いて音の指向性伝搬を実現するものである。超音波の高い指向性及び空気の非線形復調効果を利用して、同じ方向に伝搬する2つの超音波は空気中で差周波数波に復調され、生成された差周波数波は人間の耳に聞こえる。また、差周波数波の指向性が高いため、音は指定された領域に伝搬されるが、他の領域では聞こえない。
【0004】
現在、スピーカは一般的に、超音波が遠端で差周波数復調により可聴音波となるために、2つの周波数の超音波を同時に生成する必要がある。しかしながら、スピーカが2つの周波数の超音波を同時に放出する場合、スピーカの振動膜が振動して2つの周波数の超音波を同時に生成する必要があるため、2つの周波数の超音波は明らかな相互変調歪みが発生することがあり、スピーカの歪みが大きくなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、スピーカの歪みが大きいという問題を解決するための、ピーカ及び電子機器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施例は、サポートと、磁気アセンブリと、前記サポートの第1側に設置される第1振動アセンブリと、前記サポートの第2側に設置される第2振動アセンブリと、を含み、前記第1側と前記第2側とは反対して設置され、前記第1振動アセンブリは第1ボイスコイル及び第1振動膜を含み、前記第2振動アセンブリは第2ボイスコイル及び第2振動膜を含み、前記第1振動膜及び前記第2振動膜は両方とも前記サポートに接続され、前記サポートは収容空間を有し、前記磁気アセンブリは前記収容空間内に設置され、前記磁気アセンブリと前記サポートとの間に磁気ギャップが形成され、前記第1ボイスコイル及び前記第2ボイスコイルは両方とも少なくとも部分的に前記磁気ギャップに位置し、前記第1振動アセンブリは第1超音波を放出でき、前記第2振動アセンブリは第2超音波を放出でき、前記第1超音波の周波数と前記第2超音波の周波数は等しくない、スピーカを開示する。
【0007】
本発明の実施例は、キャビティ及び前記キャビティに連通するサウンドホールが開設される機器本体と、前記キャビティ内に設置される上記スピーカと、を含む、電子機器を開示する。
【0008】
本発明で使用される技術的解決手段は以下の有益な効果を達成することができる。
【0009】
本発明の実施例で開示されるスピーカにおいて、第1振動アセンブリはサポートの第1側に設置され、第2振動アセンブリはサポートの第2側に設置され、第1振動アセンブリは第1ボイスコイル及び第1振動膜を含み、第2振動アセンブリは第2ボイスコイル及び第2振動膜を含み、第1振動膜及び第2振動膜は両方ともサポートに接続され、第1ボイスコイル及び第2ボイスコイルは両方とも少なくとも部分的に磁気ギャップに位置する。第1振動アセンブリと第2振動アセンブリとは互いに独立しており、2つの振動アセンブリはそれぞれ2つの超音波ビームを生成し、各振動アセンブリは独立して作動し、それぞれ1つの超音波ビームを生成するため、同一の振動アセンブリの振動により2つの超音波ビームを同時に生成する必要性は回避され、それにより、スピーカは2つの超音波ビームを放出する時に明らかな相互変調歪みが発生することが防止され、スピーカの歪みが小さくなる。
【発明の効果】
【0010】
また、第1振動アセンブリの共振周波数を第1超音波の周波数に近づけ、第2振動アセンブリの共振周波数を第2超音波の周波数に近づけるように、第1振動アセンブリと第2振動アセンブリの共振周波数は異なっていてもよく、第1振動アセンブリの共振周波数と同じ又は類似の励起電気信号を第1ボイスコイルに印加し、第2振動アセンブリの共振周波数と同じ又は類似の励起電気信号を第2ボイスコイルに印加することで、第1振動アセンブリは電気音響変換効率が最高となる共振周波数位置で第1超音波を放出することができ、第2振動アセンブリは電気音響変換効率が最高となる共振周波数位置で第2超音波を放出することができ、それにより、スピーカのエネルギー効率が高くなる。
【0011】
本発明の実施例又は背景技術の技術的解決手段をより明確に説明するために、以下において、実施例又は背景技術の説明に用いられる図面を簡単に説明し、当然ながら、当業者であれば、創造的な労力を要することなく、これらの図面から他の図面に想到し得る。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施例で開示されるスピーカの模式図である。
図2】本発明の別の実施例で開示されるスピーカの模式図である。
図3】本発明の実施例で開示される電子機器の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の目的、技術的解決手段及び利点をより明確にするために、以下に本発明の具体的な実施例及び対応する図面を参照して、本発明の技術的解決手段を明確に、完全に説明する。当然ながら、説明される実施例は本発明の実施例の一部に過ぎず、全ての実施例ではない。本発明における実施例に基づき、当業者が創造的な労力を要することなく得られた他の全ての実施例は、いずれも本発明の保護範囲に属する。
【0014】
以下において、図面を参照しながら、本発明の各実施例に開示される技術的解決手段を詳細に説明する。
【0015】
図1から図3を参照すると、本発明の実施例はスピーカを開示する。開示されたスピーカはサポート100、磁気アセンブリ200、第1振動アセンブリ300及び第2振動アセンブリ400を含む。
【0016】
サポート100はスピーカの基礎部材であり、サポート100はスピーカの他の部材の取り付け基盤を提供することができる。本発明の実施例では、サポート100は反対する第1側及び第2側を含み、且つサポート100は収容空間110を有する。
【0017】
磁気アセンブリ200は収容空間110内に設置され、且つ磁気アセンブリ200とサポート100との間に磁気ギャップ500が形成され、該磁気ギャップ500には磁力線があり、つまり、該磁気ギャップ500には磁場がある。
【0018】
第1振動アセンブリ300はサポート100の第1側に設置され、第2振動アセンブリ400はサポート100の第2側に設置され、第1振動アセンブリ300は第1ボイスコイル310及び第1振動膜320を含み、第2振動アセンブリ400は第2ボイスコイル410及び第2振動膜420を含み、第1振動膜320及び第2振動膜420は両方ともサポート100に接続され、第1ボイスコイル310及び第2ボイスコイル410は両方とも少なくとも部分的に磁気ギャップ500に位置し、第1振動アセンブリ300及び第2振動アセンブリ400はスピーカの発音部材である。
【0019】
具体的には、第1ボイスコイル310及び第2ボイスコイル410が通電される場合、通電リードが磁場中でアンペア力を受けるため、磁気ギャップ500に位置する第1ボイスコイル310の少なくとも一部及び第2ボイスコイル410の少なくとも一部はアンペア力により変位する。第1ボイスコイル310及び第2ボイスコイル410の電流の大きさ及び方向を調整することで、第1ボイスコイル310及び第2ボイスコイル410の変位振幅及び変位方向を制御することができ、それにより、第1振動アセンブリ300及び第2振動アセンブリ400は振動によって音波を放出し、第1振動アセンブリ300は第1超音波を放出でき、第2振動アセンブリ400は第2超音波を放出でき、第1超音波の周波数と第2超音波の周波数は等しくない。第1超音波及び第2超音波は空気中で伝搬される時に空気の非線形復調によって可聴音波となることができ、該可聴音波は人間の耳に認識することができる。
【0020】
本発明の実施例では、該スピーカは2つの超音波ビームを放出でき、超音波の高い指向性によって、この2つの超音波ビームは空気中で指向的に伝搬でき、また、空気の非線形復調効果により、2つの超音波ビームは複数の音波に復調される。スピーカが放出する2つの超音波ビームの周波数を合理的に選択することで、2つの超音波ビームの差周波数音波を可聴音波にする。例えば、スピーカは周波数がf1とf2の2つの超音波ビームを放出し、空気の非線形相互作用により、周波数がf1とf2の2つの超音波ビームはf1、f2、f1+f2、f1-f2、2f1、2f2等の複数の音波ビームに復調され、そのうち、f1-f2は該差周波数音波である。f1とf2の周波数を合理的に選択することで、f1-f2を可聴音波にすることができ、例えば、f1=41kHz、f2=40kHz、f1-f2=1kHzとすると、1kHz周波数の音波は可聴音波となる。また、2つの超音波ビームが空気中で非線形復調されてなる差周波数音波は依然として高い指向性を有するため、該差周波数音波は空気中で指向的に伝搬でき、さらに音は指向的に伝搬できるようになる。超音波指向的伝搬の原理は全て従来技術であり、簡潔化するために、ここでは詳細な説明を省略する。
【0021】
特定の作業プロセスでは、ユーザが秘話通話を必要とし、又は周囲の環境への影響を回避しようとする場合、ユーザは操作ボタン又は音声制御によって、それぞれ電気信号を通電させるように第1ボイスコイル310及び第2ボイスコイル410を制御することができる。磁気ギャップ500内の磁場及び第1ボイスコイル310と第2ボイスコイル410の電気信号の複合作用によって、第1振動アセンブリ300及び第2振動アセンブリ400は振動により2つの超音波ビームを放出する。この2つの超音波ビームは空気中で可聴音波に復調され、且つ聴取対象に指向的に伝搬されるため、スピーカによって発せられる音は周囲の環境へ伝搬されず、周囲の環境へ影響を与えることや他人に聞こえることが回避され、それにより、ユーザ通話の秘匿性が向上し、ユーザのプライバシーが保護される。
【0022】
本発明の実施例で開示されるスピーカにおいて、第1振動アセンブリ300はサポート100の第1側に設置され、第2振動アセンブリ400はサポート100の第2側に設置され、第1振動アセンブリ300は第1ボイスコイル310及び第1振動膜320を含み、第2振動アセンブリ400は第2ボイスコイル410及び第2振動膜420を含み、第1振動膜320及び第2振動膜420は両方ともサポート100に接続され、第1ボイスコイル310及び第2ボイスコイル410は両方とも少なくとも部分的に磁気ギャップ500に位置する。第1振動アセンブリ300と第2振動アセンブリ400とは互いに独立しており、2つの振動アセンブリはそれぞれ2つの超音波ビームを生成し、各振動アセンブリは独立して作動し、それぞれ1つの超音波ビームを生成するため、同一の振動アセンブリの振動により2つの超音波ビームを同時に生成する必要性は回避され、それにより、スピーカは2つの超音波ビームを放出する時に明らかな相互変調歪みが発生することが防止され、スピーカの歪みが小さくなる。
【0023】
また、第1振動アセンブリ300の共振周波数を第1超音波の周波数に近づけ、第2振動アセンブリ400の共振周波数を第2超音波の周波数に近づけるように、第1振動アセンブリ300と第2振動アセンブリ400の共振周波数は異なっていてもよく、第1振動アセンブリ300の共振周波数と同じ又は類似の励起電気信号を第1ボイスコイル310に印加し、第2振動アセンブリ400の共振周波数と同じ又は類似の励起電気信号を第2ボイスコイル410に印加することで、第1振動アセンブリ300は電気音響変換効率が最高となる共振周波数位置で第1超音波を放出することができ、第2振動アセンブリ400は電気音響変換効率が最高となる共振周波数位置で第2超音波を放出することができ、それにより、スピーカのエネルギー効率が高くなる。
【0024】
1つの選択可能な実施例において、収容空間110及び磁気アセンブリ200の数はいずれも1つであってもよく、収容空間110はサポート100を貫通し、磁気アセンブリ200と収容空間110の内壁との間に磁気ギャップ500が形成される。再び図1を参照し、第1振動アセンブリ300と第2振動アセンブリ400は同一の磁気アセンブリ200を共用でき、磁気アセンブリ200の数を減らすことで、スピーカのコストが低減される。また、1つの磁気アセンブリ200が占めるスピーカ空間が小さいため、スピーカを小さくすることができ、それにより、スピーカの体積を小さくして、現在、電子機器に対する軽量薄型化のユーザ要求が満たされる。
【0025】
具体的には、磁気アセンブリ200は第1磁気部材210及び2つの第1透磁部材220を含んでもよく、2つの第1透磁部材220はそれぞれ第1磁気部材210の反対する両側に設置され、且つ2つの第1透磁部材220はそれぞれ第1振動アセンブリ300及び第2振動アセンブリ400に対向して設置される。透磁部材のコストは通常、磁気部材のコストよりも低いため、本実施例では、磁気アセンブリ200と収容空間110の内壁との間に磁気ギャップ500が形成されることを満たす条件下で、2つの第1透磁部材220によって第1磁気部材210の一部を代替することで、第1磁気部材210のサイズを小さくすることができ、それにより、コストを低減することができる。そして、第1透磁部材220と収容空間110の内壁との間に磁場の強い磁気ギャップ500が好適に形成され得、スピーカの通常の作動に影響を与えることが回避される。第1透磁部材220は、例えば、鉄材及びケイ素鋼板等、様々であり得、本発明の実施例では、第1透磁部材220の種類を制限しない。
【0026】
上述したように、収容空間110及び磁気アセンブリ200の数はいずれも1つであってもよく、当然ながら、収容空間110及び磁気アセンブリ200の数はいずれも2つであってもよく、2つの収容空間110はそれぞれ、第1側及び第2側に開設されてもよく、2つの磁気アセンブリ200は一対一に対応して2つの収容空間110内に設置され、且つ2つの磁気アセンブリ200は一対一に対応して2つの収容空間110の内壁と共に磁気ギャップ500を形成する。本実施例では、サポート100が貫通されないため、サポート100の強度を高めることができ、それにより、サポート100の強度が高くなり、さらにサポート100の信頼性が向上し、最終的にスピーカの信頼性が向上する。
【0027】
具体的には、磁気アセンブリ200は第2磁気部材230及び第2透磁部材240を含み、第2透磁部材240は第2磁気部材230の一側に設置され、且つ第1振動アセンブリ300又は第2振動アセンブリ400に対向する。2つの磁気アセンブリ200のそれぞれと2つの収容空間110の内壁との間に磁気ギャップ500が形成されることを満たす条件下で、第2透磁部材240によって第2磁気部材230の一部を代替することで、第2磁気部材230のサイズを小さくすることができ、それにより、コストを低減することができ、そして、第2透磁部材240と収容空間110の内壁との間に磁気ギャップ500が好適に形成され得、スピーカの通常の作動に影響を与えることが回避される。第2透磁部材240は、例えば、鉄材及びケイ素鋼板等、様々であり得、本発明の実施例では、第2透磁部材240の種類を制限しない。
【0028】
上述したように、磁気ギャップ500には磁力線があり、磁気ギャップ500内の磁力線を密に分布させて、磁気ギャップ500内の磁場をより強くするために、1つの選択可能な実施例において、2つの磁気アセンブリ200の対向する端部は同じ極性であってもよい。このような配列方式によって、磁気ギャップ500内の磁気誘導密度をより大きくして、磁気ギャップ500内の磁場をより強くすることができるため、第1ボイスコイル310及び第2ボイスコイル410が通電される場合、第1ボイスコイル310及び第2ボイスコイル410が磁場の強い磁気ギャップ500において受けたアンペア力は大きくなく、それにより、第1振動アセンブリ300及び第2振動アセンブリ400の振動をより強くすることができる。また、第1振動アセンブリ300及び第2振動アセンブリ400が同じ振幅で振動する場合、第1ボイスコイル310及び第2ボイスコイル410に流れる電流を小さくして、スピーカの消費電力を小さくすることができる。
【0029】
磁気ギャップ500内の磁気誘導密度をさらに高めるために、選択的に、サポート100は透磁サポートであってもよく、透磁サポートは磁気アセンブリ200の作用下で磁気を有するため、磁気アセンブリ200との間に磁気誘導密度の大きい磁気ギャップ500が形成され得、それにより、磁気ギャップ500内の磁気誘導密度をさらに高めることができる。
【0030】
本発明の実施例では、第1振動アセンブリ300及び第2振動アセンブリ400はスピーカの発音部材であり、且つ第1振動アセンブリ300は第1超音波を放出でき、第2振動アセンブリ400は第2超音波を放出できる。具体的には、第1振動アセンブリ300は第1ドーム330をさらに含んでもよく、第1ボイスコイル310は第1ドーム330に接続され、第1振動膜320は第1ドーム330のエッジに接続され、且つ第1振動膜320はサポート100に接続される。このように構成された第1振動アセンブリ300は構造が簡単で、設置しやすく、発音効果が高い。
【0031】
第2振動アセンブリ400は第2ドーム430をさらに含んでもよく、第2ボイスコイル410は第2ドーム430に接続され、第2振動膜420は第2ドーム430のエッジに接続され、且つ第2振動膜420はサポート100に接続される。このように構成された第2振動アセンブリ400は構造が簡単で、設置しやすく、発音効果が高い。具体的に、第1振動膜320と第2振動膜420の材質及び形状、第1ドーム330と第2ドーム430の重量及び第1ボイスコイル310と第2ボイスコイル410の重量を調節することで、第1振動アセンブリ300及び第2振動アセンブリ400の共振周波数に対する調節を実現することができる。また、該スピーカは超音波を放出する必要があるため、第1振動膜320及び第2振動膜420の材質硬度が高く、第1ドーム330と第2ドーム430の重量及び第1ボイスコイル310と第2ボイスコイル410の重量が軽いように求められている。
【0032】
サポート100が透磁サポートである場合、サポート100に接続される第1振動膜320及び第2振動膜420はサポート100の磁力の影響を受けるため、第1振動アセンブリ300及び第2振動アセンブリ400はより良好に振動しにくくなり、第1振動アセンブリ300及び第2振動アセンブリ400によって発せられる音の歪みが発生することがある。これに踏まえて、1つの選択可能な実施例において、スピーカは第1非透磁支持体600及び第2非透磁支持体700をさらに含んでもよく、第1非透磁支持体600は第1側に設置され、第1振動膜320は第1非透磁支持体600に接続され、第2非透磁支持体700は第2側に設置され、第2振動膜420は第2非透磁支持体700に接続される。サポート100が透磁サポートである場合、第1非透磁支持体600及び第2非透磁支持体700は、第1振動膜320及び第2振動膜420がサポート100の磁力の影響を受けることを防止できるため、第1振動アセンブリ300及び第2振動アセンブリ400はサポート100の磁力の影響を受けることなく独立して振動でき、それにより、第1振動アセンブリ300及び第2振動アセンブリ400の振動効果を高くして、第1振動アセンブリ300及び第2振動アセンブリ400によって発せられる音の歪みを防止する。
【0033】
本発明の実施例で開示されるスピーカを基に、本発明の実施例は電子機器をさらに開示する。開示された電子機器は機器本体800及び上述した任意の実施例に記載のスピーカを含み、機器本体800にはキャビティ810及びサウンドホール820が開設され、サウンドホール820はキャビティ810に連通し、スピーカはキャビティ810内に設置される。本発明の実施例で開示される電子機器では、スピーカが放出した超音波はサウンドホール820を介して電子機器の外部へ伝搬できるため、電子機器の音を指向的に伝搬することができる。そして、サウンドホール820の向きを調整することで、電子機器の音を聴取対象に指向的に伝搬して、電子機器によって発せられる音を聴取対象の位置に指向的に伝搬することができるため、該音は周囲の環境へ伝搬されず、周囲の環境へ影響を与えることや他人に聞こえることが回避され、それにより、ユーザ通話の秘匿性が向上し、ユーザのプライバシーが保護される。
【0034】
説明すべきは、該聴取対象は該電子機器の使用者であってもよく、該電子機器の使用者が指定した音の受信対象であってもよく、例えば、電子機器の使用者は音を他人と共有してもよい点である。
【0035】
具体的には、スピーカはキャビティ810を第1キャビティ及び第2キャビティに仕切ってもよく、且つ第1振動アセンブリ300は第1キャビティに向かい、第2振動アセンブリ400は第2キャビティに向かい、機器本体800には第1導音路と第2導音路が開設され、サウンドホール820は第1導音路を介して第1キャビティに連通し、サウンドホール820は第2導音路を介して第2キャビティに連通するため、2つの超音波ビームはいずれも1つのサウンドホール820を介して遠くまで伝搬され、それにより、音の伝搬指向性をより高くすることができる。
【0036】
1つの選択可能な実施例において、キャビティ810の側壁に取付溝を開設してもよく、スピーカを取付溝に設置してもよく、且つスピーカはフォーム900を介して取付溝の側壁に接続される。このような設置方式は簡単で、設置しやすい。また、電子機器が衝撃を受けたり、電子機器が振動したりすると、フォーム900はスピーカに対して緩衝の役割を果し、電子機器の衝撃や振動によるスピーカの損傷を防止することができるため、電子機器の信頼性を向上させる。
【0037】
サウンドホール820は後処理によって電子機器に開設してもよいが、このような方式は電子機器の一体性を破壊し、電子機器の外観意匠性を低下させる。選択的に、機器本体800は第1機能アセンブリ及び第2機能アセンブリを含んでもよく、第1機能アセンブリは第2機能アセンブリに取り付けられ、且つ第1機能アセンブリと第2機能アセンブリとの間には組立隙間があり、組立隙間はサウンドホール820を形成する。電子機器の組立プロセスでは、通常、組立隙間があり、後処理によって電子機器に開設されるサウンドホール820を該組立隙間によって代替することで、電子機器に穴を開けることを回避できる。このような方式は電子機器の一体性を破壊することがないため、電子機器の外観意匠性を高くして、ユーザ体験感をよくする。
【0038】
具体的には、電子機器が携帯電話である場合、第1機能アセンブリはハウジングであってもよく、第2機能アセンブリは電池カバーであってもよく、第2機能アセンブリはさらにボタンであってもよく、ボタンとハウジングとの間には、通常、組立隙間があり、本発明の実施例では、組立隙間の形成方式を制限しない。
【0039】
さらに、サウンドホール820の数は複数であってもよく、且つ複数のサウンドホール820はいずれもキャビティ810に連通する。サウンドホール820は複数であれば、より多くの超音波を電子機器の外部へ伝搬することができるため、電子機器の発音効果を高くし、電子機器のユーザ体験感を向上させる。
【0040】
本発明の実施例で開示される電子機器は、スマートフォン、タブレットパソコン、電子ブックリーダ、スマートグラス(例えば、スマートウォッチ)、電子ゲーム機等の機器であってもよく、本発明の実施例は電子機器の具体的な種類を制限しない。
【0041】
本発明の以上の実施例では各実施例の違いを重点的に説明しており、各実施例の異なる最適化された特徴は、矛盾しない限り、いずれも組み合わせてより好ましい実施例を形成することができ、説明を簡潔化するために、ここでは省略する。
【0042】
以上は本発明の実施例に過ぎず、本発明を制限するためのものではない。当業者にとって、本発明は様々な変更及び変化が可能である。本発明の主旨と原理から逸脱しない限り行った修正、同等な取替、改良等は、全て本発明の特許請求の範囲に含まれるものとする。
【符号の説明】
【0043】
100:サポート
110:収容空間
200:磁気アセンブリ
210:第1磁気部材
220:第1透磁部材
230:第2磁気部材
240:第2透磁部材
300:第1振動アセンブリ
310:第1ボイスコイル
320:第1振動膜
330:第1ドーム
400:第2振動アセンブリ
410:第2ボイスコイル
420:第2振動膜
430:第2ドーム
500:磁気ギャップ
600:第1非透磁支持体
700:第2非透磁支持体
800:機器本体
810:キャビティ
820:サウンドホール
900:フォーム
図1
図2
図3