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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-25
(45)【発行日】2024-01-09
(54)【発明の名称】リードフレーム
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/50 20060101AFI20231226BHJP
【FI】
H01L23/50 N
H01L23/50 D
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020014013
(22)【出願日】2020-01-30
(65)【公開番号】P2021120991
(43)【公開日】2021-08-19
【審査請求日】2022-08-23
(73)【特許権者】
【識別番号】512243395
【氏名又は名称】長華科技股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001405
【氏名又は名称】弁理士法人篠原国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】久保田 覚史
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 直樹
【審査官】庄司 一隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-139263(JP,A)
【文献】実開昭61-069842(JP,U)
【文献】国際公開第2018/126038(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/145651(WO,A1)
【文献】特開平11-251505(JP,A)
【文献】特開平04-254366(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の側の面及び側面に外部接続用端子が露出する半導体パッケージに用いられるリードフレームであって、
銅系材料からなる金属板より形成されたリードの、前記外部接続用端子となる領域の一部を含み、且つ、個々のパッケージに切断するための切断領域の境界線を跨る第1の領域に、一方の面側に開口した凹形状の非銅系材料からなる補強めっき層が形成され、
前記リードの、前記補強めっき層が形成された前記第1の領域を含む第2の領域における一方の面側の表面に、非銅系材料からなる外部接続用めっき層が形成され、
前記リードの、前記切断領域の境界線を所定の幅で跨ぐ第3の領域における他方の面側は、前記金属板の表面より下がった位置で補強めっき層が露出し
前記凹形状の部位を切断領域の境界線位置で、個々のパッケージに切断したときに、前記半導体パッケージの側面に露出する前記外部接続用端子が門形状となるように構成されていることを特徴とするリードフレーム。
【請求項2】
前記補強めっき層は、ニッケルを含むめっき層であり、
前記補強めっき層における一方の面側に前記外部接続用めっき層が積層されていることを特徴とする請求項1に記載のリードフレーム。
【請求項3】
前記リードの、前記第3の領域は、前記補強めっき層と前記外部接続用めっき層のみで形成されていることを特徴とする請求項1に記載のリードフレーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、裏面側の外部接続用端子がプリント基板等の外部機器と接続されるタイプの半導体パッケージの製造に用いられるリードフレームに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体パッケージの外部機器への組み込みに際し、半導体パッケージと、外部機器との半田接続状態の良・不良を目視で検査できるように、半田接続部分の可視化が求められている。
【0003】
従来、外周部にアウターリードがない、例えば、QFN(Quad-Flat No-leaded)タイプの半導体パッケージは、半導体パッケージの裏面側に露出している複数の外部接続用端子をプリント基板等の外部機器と接続する構造となっていたため、半田接続されているか否かを目視検査することが困難であった。
【0004】
しかし、半田接続部分の目視検査ができないと、半田接続作業時に内在する接続不良が見逃され、その後の通電検査等で接続不良が発見されるまでの作業コストが余計にかかってしまう。また、半田接続部分は、X線装置を用いて透視検査することは可能ではあるが、それでは、X線装置の設備コストが増大してしまう。
【0005】
そこで、従来、QFNタイプの半導体パッケージの半田接続部分における半田接続状態の良・不良を目視検査できるようにするための技術として、特許文献1には、リードフレームにおけるリードの一方の面側(裏面側)の外部接続用端子となる端子部の切断位置に、リードを横断する溝を形成することで、個々に切断されたときの半導体パッケージの裏面に露出する外部接続用端子に、端縁部にかけて空間部を設け、空間部に半田を介在させるようにして、半導体パッケージの側面に露出した外部接続用端子から半田接続部分を目視可能にすることが提案されている。
【0006】
また、特許文献2には、リードフレームの一方の側の面(裏面)におけるリードの外部接続用端子となる領域を含む、切断領域の境界線を跨る所定領域の内側に凹部を設け、表面側を樹脂封止後に、凹部の側面が露出しうる位置で切断加工を施すことで、外部接続用端子が露出した側面が門形状となるようにし、半導体パッケージの側面に露出した外部接続用端子から半田接続部分を目視可能にする技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2000-294715号公報
【文献】特開2018-200994号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載のリードを横断する溝を形成する技術では、樹脂封止の際に溝に樹脂が入り込み、半田接続部分を目視可能にするための空間部が形成されず、半導体パッケージ製品の歩留まりが悪くなる虞がある。
【0009】
この点に関し、特許文献2に記載の外部接続用端子の側面が門形状となるようにする技術によれば、半田接続部分を目視可能にする空間部を得ることができるが、近年、門形状となる側面の開口面積をさらに拡げて、半田接続部分を極力目視し易くすることが望まれている。
【0010】
また、この種のリードフレームには、個々の半導体パッケージを得るためにブレードを用いて切断加工をしたとき、リードフレームを形成する銅系材料によってバリが発生する問題もある。
【0011】
半田接続部分の目視検査をし易くするために、特許文献2に記載のような構成のリードフレームにおける、外部接続用端子の門形状となる側面の開口面積を極力増大させると、切断対象となるリードを構成する銅系材料の体積が、切断領域の境界線を跨る位置で減少するため、バリの発生は低減できるが、リードが部分的に更に薄くなることで強度が不足し、半導体パッケージの組立工程において変形する虞がある。
【0012】
本発明は、上記従来の課題を鑑みてなされたものであり、半導体パッケージ製品の、半田接続部分を目視可能とする部位である門形状となる側面の開口面積を極力増大させると同時に、リードの強度低下による変形を防止することが可能で、且つ、個々の半導体パッケージに切断したときに、銅系材料によるバリの発生を無くすことが可能なリードフレームを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するため、本発明によるリードフレームは、一方の側の面及び側面に外部接続用端子が露出する半導体パッケージに用いられるリードフレームであって、銅系材料からなる金属板より形成されたリードの、前記外部接続用端子となる領域の一部を含み、且つ、個々のパッケージに切断するための切断領域の境界線を跨る第1の領域に、一方の面側に開口した凹形状の非銅系材料からなる補強めっき層が形成され、前記リードの、前記補強めっき層が形成された前記第1の領域を含む第2の領域における一方の面側の表面に、非銅系材料からなる外部接続用めっき層が形成され、前記リードの、前記切断領域の境界線を所定の幅で跨ぐ第3の領域における他方の面側は、前記金属板の表面より下がった位置で補強めっき層が露出し、前記凹形状の部位を切断領域の境界線位置で、個々のパッケージに切断したときに、前記半導体パッケージの側面に露出する前記外部接続用端子が門形状となるように構成されていることを特徴とする。
【0014】
また、本発明のリードフレームにおいては、前記補強めっき層は、ニッケルを含むめっき層であり、前記補強めっき層における一方の面側に前記外部接続用めっき層が積層されているのが好ましい。
【0015】
また、本発明のリードフレームにおいては、前記リードの、前記第3の領域は、前記補強めっき層と前記外部接続用めっき層のみで形成されているのが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、半田接続状態の良・不良を目視検査可能であり、しかも、半田接続部分を目視可能とする部位である門形状となる側面の開口面積を極力増大させると同時に、リードの強度低下による変形を防止することが可能で、且つ、個々の半導体パッケージに切断したときに、銅系材料によるバリの発生を無くすことが可能なリードフレームが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の第1実施形態に係るリードフレームの要部構成を示す説明図で、(a)は一方の面側(外部機器と接続する側)からみた図、(b)は(a)とは反対側からみた図、(c)は(a)のリードフレームにおける外部接続用端子となる領域のA-A断面図、(c’)は(c)の部分拡大図、(d)は(a)のリードフレームにおける外部接続用端子となる領域のB-B断面図である。
図2図1のリードフレームの製造手順の一例を図1(a)のA-A断面で示す説明図である。
図3図1のリードフレームの製造手順の一例を図1(a)のB-B断面で示す説明図である。
図4図2及び図3の製造手順によって製造されたリードフレームを用いたパッケージの製造手順の一例を示す説明図である。
図5図4の製造手順によって製造された半導体パッケージの外部接続用端子を外部機器に半田接続した状態を示す、図4(e)と同じ側からみた側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態の説明を行うこととする。
第1実施形態
第1実施形態のリードフレーム1は、図1に示すように、銅系材料からなる金属板10より形成されたリード11の、外部接続用端子となる領域の一部を含み、且つ、個々のパッケージに切断するための切断領域の境界線Lを跨り、ダムバー13と交差する第1の領域11-1に、一方の面側に開口した凹形状の非銅系材料からなる補強めっき層14が形成されている。
補強めっき層14は、ニッケルを含むめっき層からなり、図1(c)、図1(c’)に示すように、金属板10の板厚の70%以上の深さで開口し、且つ、金属板10の板厚の7.5%以上の厚さを有している。
また、リード11の、補強めっき層14が形成された第1の領域11-1を含む第2の領域11-2における一方の面側の表面には、非銅系材料のめっき層からなる外部接続用めっき層12が形成されている。
外部接続用めっき層12は、補強めっき層14における一方の面側に積層されている。
また、リード11の、切断領域の境界線Lを所定の幅で跨ぐ第3の領域11-3における他方の面側は、金属板10の表面より下がった位置で補強めっき層14が露出している。
そして、第1実施形態のリードフレーム1は、凹形状の部位を切断領域の境界線Lの位置で、個々のパッケージに切断したときに、半導体パッケージの側面に露出する外部接続用端子が、図1(d)に示すような門形状となるように構成されている。
また、リード11の、第3の領域11-3は、補強めっき層14と外部接続用めっき層12のみで形成されている。
このリード11の切断領域の境界線Lの位置における、補強めっき層14の他方の面側の表面は、金属板10の一方の面側から金属板10の板厚の略75%~95%の深さに位置することが好ましい。
また、補強めっき層14と外部接続用めっき層12を合わせた厚さが、金属板10の板厚の10%以上を有することが好ましい。その厚さは、概ね5~55μmの範囲が現実的である。
また、外部接続用めっき層12は、ニッケル、パラジウム、金が順に積層されためっき層で構成することが好ましい。
【0019】
次に、図1に示す本実施形態のリードフレームの製造工程の一例を、図2図3を用いて説明する。
まず、銅系材料の金属板10を準備する(図2(a)、図3(a)参照)。
次に、金属板10にエッチング・めっき兼用レジストマスク31を形成し、ハーフエッチング加工を施すことで、一方の面側に凹部11-1aを形成する(図2(b)~図2(d)、図3(b)~図3(d)参照)。このハーフエッチング加工は、金属板10の一方の面側から他方の面側に貫通することなく金属板10の板厚の70%以上(好ましくは75%~95%)の深さで、別途形成するリード11の、外部接続用端子となる領域の一部を含み、且つ、個々のパッケージに切断するための切断領域の境界線Lを跨り、ダムバー13と交差する、第1の領域11-1における一方の面側に、凹部11-1aを形成するハーフエッチング加工である。
次に、金属板10の一方の面側から凹部11-1aの表面(内面)に金属板10の板厚の7.5%(好ましくは10%)以上の厚さのニッケル又はニッケル合金めっきを施して凹形状の補強めっき層14を形成する(図2(e)、図3(e)参照)。そして、金属板10に形成したエッチング・めっき兼用レジストマスク31を除去する(図2(f)、図3(f)参照)。
【0020】
次に、内部接続用めっき層と外部接続用めっき層の形成について説明する。
まず、内部接続用めっき層と外部接続用めっき層とに同じ材料のめっき層が必要なリードフレームの場合は、めっき層を形成する部分が開口したレジストマスクを両面に形成してめっき加工を行う。例えば、ニッケル、パラジウム、金の順でめっきを施し、その後に両面のレジストマスクを除去する。
また、内部接続用めっき層と外部接続用めっき層とに異なる材料のめっき層が必要なリードフレームの場合は、他方の面側に内部接続用めっき層を形成する部分が開口したレジストマスクを形成し、一方の面側は全面を覆うレジストマスクを形成して、めっき加工を行い、例えば、銀めっきを施して内部接続用めっき層を形成し、その後に両面のレジストマスクを除去する。次に、他方の面側に全面を覆うレジストマスクを形成し、一方の面側は外部接続用めっき層を形成する部分が開口したレジストマスクを形成して、めっき加工を行い、例えば、ニッケル、パラジウム、金の順でめっきを施し、その後に両面のレジストマスクを除去する。
また、内部接続用めっき層は形成せず、外部接続用めっき層のみが必要なリードフレームの場合は、他方の面側に全面を覆うレジストマスクを形成し、一方の面側は外部接続用めっき層を形成する部分が開口したレジストマスクを形成して、めっき加工を行い、例えば、ニッケル、パラジウム、金の順でめっきを施し、その後に両面のレジストマスクを除去する。
【0021】
ここで、図2図3で外部接続用めっき層を形成する工程を再度説明する。
金属板10の両面にドライフィルムレジスト等の第2のレジスト層R2を形成する(図2(g)、図3(g)参照)。次いで、所定パターンが描画されたガラスマスクを用いて、金属板10の一方の面側の第2のレジスト層R2を露光し、他方の面側の第2のレジスト層は全面を露光し、現像を行い、リード11の第2の領域11-2に対応する部位を開口し、それ以外の部位を覆っためっき用レジストマスク32を形成する(図2(h)、図3(h)参照)。次いで、めっき用レジストマスク32から露出した部位に、例えば、ニッケル、パラジウム、金の順でめっきを施す(図2(i)、図3(i)参照)。これにより、リード11の、凹形状の補強めっき層14が形成された第1の領域11-1を含む、第2の領域11-2における一方の面側の表面に外部接続用めっき層12が形成される。
このとき、補強めっき層14と外部接続用めっき層12とを合わせた厚さが、金属板10の板厚の7.5%(好ましくは10%)以上を有するように形成するのが良い。
また、外部接続用めっき層の表面は、粗化面を備えても良い。外部接続用めっき層の表面が粗化面を備えるには、例えば、外部接続用めっき層のニッケルめっきを粗化面として形成し、パラジウム、金の順でめっき層を積層してもよい。
次いで、めっき用レジストマスク32を除去する(図2(j)、図3(j)参照)。
【0022】
次に、金属板10にエッチング加工を施すことで、リードフレーム形状を形成する。詳しくは、金属板の両面にドライフィルムレジスト等の第3のレジスト層R3を形成する(図3(k)参照)。次いで、所定パターンが描かれたガラスマスクを用いて金属板10の両面それぞれの第3のレジスト層R3を露光し、現像を行うことで、金属板10の他方の面側における、リードフレームのリード11の切断領域の境界線Lを所定の幅で跨ぐ第3の領域11-3に対応する部位を除いた部位と、ダムバーとなる部位とを含むリードフレーム形状に必要な部位を覆い、それ以外の部位を露出させたエッチング用レジストマスク33を形成するとともに、金属板10の一方の面側における、リードフレーム形状に必要な部位を覆い、それ以外の部位を露出させたエッチング用レジストマスク33を形成する(図3(l)参照)。
次いで、エッチング液を用いて金属板10の両方の面側からエッチング加工を施し、個々のリードフレームの領域がダムバー13に連結される多列型リードフレームを形成する(図3(m)参照)。なお、このエッチング液には、銅系材料を溶解し、補強めっき層14は溶解されない液を用いる。
このエッチング加工により、リード11の切断領域の境界線Lを所定の幅で跨ぐ第3の領域における他方の面側は、金属板10の表面より下がった位置で補強めっき層14が露出する。
他方の面側のエッチング用レジストマスク33は、リード11の切断領域の境界線Lを所定の幅で跨ぐ第3の領域11-3に対応する部位が開口しているため、エッチング加工により第3の領域11-3における他方の面側とその側面部分の銅系材料が溶解されて除去される。その結果、リード11の切断領域の境界線L上には、補強めっき層14と外部接続用めっき層12のみで形成されることになる。
次いで、エッチング用レジストマスク33を除去する(図3(n)参照)。
これにより、本実施形態のリードフレーム1が出来上がる。
なお、エッチング加工を施すことによるリードフレーム1の形成時には、リードの中間部分やその他の必要箇所にハーフエッチング加工を施しても良い。
【0023】
次に、本実施形態のリードフレームを用いた半導体装置の製造手順を、図4図5を用いて説明する。
まず、リードフレームの他方の面側の所定の部位に半導体素子を搭載し、半導体素子の電極と内部接続用端子とをワイヤーボンディング接続あるいはフリップチップ実装する(図示省略)。
次に、外部機器との接続側である一方の面側にシート状のマスキングテープm1を貼り付け(図4(a)参照)、図示しないモールド金型をセットし、半導体素子搭載側を樹脂21で封止する(図4(b)参照)。このとき、補強めっき層14及び外部接続用めっき層12が積層されて形成された凹形状の部分は、一方の側の端面がマスキングテープm1に密着し、内部が密閉された状態となる。このため、封止樹脂形成時に、補強めっき層14及び外部接続用めっき層12が積層されて形成された凹形状の部分の内部には、樹脂21が浸入することがない。
次に、マスキングテープm1を除去し(図4(c)参照)、所定の半導体装置40の寸法に切断する(図4(d)、図4(d’)参照)。これにより、本実施形態のリードフレームを用いた半導体装置40が完成する(図4(e)参照)。
このようにして得た、本実施形態のリードフレーム1を用いた半導体パッケージ40の外部接続用端子をプリント基板80の端子81に半田接続すると、半田90は半導体パッケージ40の側面に露出した外部接続用端子の門形状の開口から半田接続部分を目視確認でき、接続状態の良・不良を目視検査できる状態となる(図5参照)。
【0024】
本実施形態のリードフレーム1によれば、半導体パッケージを外部機器に半田接続したときの半田接続部分を、側面から目視確認でき、しかも、金属板の板厚の7.5%以上の厚さで補強めっき層を形成することによって、従来よりも門形状の開口面積を大きく(広く)形成しても、リード11の強度低下がなく半導体パッケージの製造工程で生じる変形を防止できる。そして、切断領域の境界線Lでブレードによる切断加工が行われたときに、半導体パッケージの側面となる切断面に銅系材料がないため、従来発生していた、半導体パッケージの側面に露出した外部接続用端子における銅系材料によるバリの発生を無くすことができる。
その結果、ブレードにより個々の半導体パッケージに切断加工する工程の生産性も向上する。
【実施例
【0025】
実施例1
まず、厚さ0.2mmの銅系材料の金属板10を準備し(図2(a)、図3(a)参照)、両面に第1のレジスト層R1としてドライフィルムレジストをラミネートした(図2(b)、図3(b)参照)。
次に、露光・現像を行い他方の面側(表面側)には全面を覆うエッチング・めっき兼用レジストマスク31を形成し、一方の面側(裏面側)には、第1の領域11-1に、凹部11-1aを形成するための開口を備え、それ以外の部位を覆うエッチング・めっき兼用レジストマスク31を形成した(図2(c)、図3(c)参照)。
次に、エッチング液を用いて金属板10にハーフエッチング加工を行い、金属板10の一方の側の面に凹部11-1aを形成した(図2(d)、図3(d)参照)。形成した凹部11-1aの底面の部分は、金属板10が0.01~0.05mm程度の薄い肉厚となるようにエッチング条件を調整したところ、約0.25mmの肉厚となった。凹部11-1aの幅方向は、リード11の幅寸法と同じ0.3mmとした。
次に、エッチング・めっき兼用レジストマスク31を用いてめっき加工を行い、凹部11-1aに設定厚さ20μmのニッケルめっきを施して、一方の面側が開口した凹形状の補強めっき層14を形成した(図2(e)、図3(e)参照)。
その後、両面のエッチング・めっき兼用レジストマスク31を除去した(図2(f)、図3(f)参照)。
【0026】
次に、補強めっき層14を形成した金属板10の両面に第2のレジスト層R2としてドライフィルムレジストをラミネートした(図2(g)、図3(g)参照)。
次に、所定パターンが描画されたガラスマスクを用いて、露光・現像を行い他方の面側には、内部接続用端子となる領域(不図示)に対応する部位を開口し、それ以外の部位を覆っためっき用レジストマスク32を形成し、一方の面側には、凹形状の補強めっき層14が形成された第1の領域11-1を含む第2の領域11-2に対応する部位を開口し、それ以外の部位を覆っためっき用レジストマスク32を形成した(図2(h)、図3(h)参照)。
次に、めっき加工を行い、順に設定厚さ1μmのニッケルめっき、設定厚さ0.01μmのパラジウムめっき、設定厚さ0.001μmの金めっきを施して、他方の面側には、リード11の内部接続用端子となる領域(不図示)の表面に内部接続用めっき層(不図示)を形成するとともに、一方の面側には、外部接続用めっき層12を形成した(図2(i)、図3(i)参照)。このめっき加工により、先に形成した凹形状の補強めっき層14の上に更にニッケル、パラジウム、金のめっきが積層された構成になった。
その後、両面のレジストマスク32を除去した(図2(j)、図3(j)参照)。
【0027】
次に、金属板10の両面に第3のレジスト層R3としてドライフィルムレジストをラミネートした(図3(k)参照)。
次に、露光・現像を行い他方の面側は、内部接続用めっき層(不図示)を含めてリードフレームとして必要な部位を覆い、リード11の切断領域の境界線Lを所定の幅で跨ぐ第3の領域11-3の金属板10を除去するための開口を含めたエッチング用レジストマスク33を形成し、一方の面側は、外部接続用めっき層12を含めてリードフレームとして必要な部位を覆い、それ以外の部位を露出させたエッチング用レジストマスク33を形成した(図3(l)参照)。
次に、銅系材料を溶解し、補強めっき層を溶解しないエッチング液を用いてエッチング加工を行い、金属板10から所定のリードフレーム形状を形成した(図3(m)参照)。
その後、両面のレジストマスク33を除去した(図3(n)参照)。
このようにしてリード11の切断領域の境界線Lを跨ぐ部位が補強めっき層14及び外部接続用めっき層12で形成され、一方の面側には、外部接続用めっき層12の内側に、凹形状の開口を備えた実施例1のリードフレームを得た。
得られた実施例1のリードフレームには、凹形状の開口を備えたリード11の変形が無いことが確認できた。
【0028】
実施例2
実施例1と同様に金属板10の一方の面側に凹部11-1aを形成した後、凹部11-1aの表面に設定厚さ15μmのニッケルめっきを施して、一方の面側が開口した凹形状の補強めっき層14を形成した。
その後、実施例1と同様に内部接続用めっき層(不図示)、外部接続用めっき層12を形成し、エッチング加工を行ってリードフレーム形状を形成し、実施例2のリードフレームを得た。
得られた実施例2のリードフレームには、凹形状の開口を備えたリード11の変形が無いことが確認できた。
【0029】
実施例3
実施例1と同様に金属板10の一方の面側に凹部11-1aを形成した後、凹部11-1aの表面に設定厚さ10μmのニッケルめっきを施して、一方の面側が開口した凹形状の補強めっき層14を形成した。
その後、実施例1と同様に内部接続用めっき層(不図示)、外部接続用めっき層12を形成し、エッチング加工を行ってリードフレーム形状を形成し、実施例3のリードフレームを得た。
得られた実施例3のリードフレームには、凹形状の開口を備えたリード11の変形が確認され、補強めっき層14が効果的に機能していないことが認められる結果となった。
【符号の説明】
【0030】
1 リードフレーム
10 金属板
11 リード
11-1 第1の領域
11-1a 凹部
11-2 第2の領域
11-3 第3の領域
12 外部接続用めっき層
13 ダムバー
14 補強めっき層
21 封止樹脂
31 エッチング・めっき兼用レジストマスク
32 めっき用レジストマスク
33 エッチング用レジストマスク
40 半導体パッケージ
80 外部機器(プリント基板)
81 端子
90 半田
m1 マスキングテープ
R1 第1のレジスト層
R2 第2のレジスト層
R3 第3のレジスト層
図1
図2
図3
図4
図5