(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-25
(45)【発行日】2024-01-09
(54)【発明の名称】液化ガスタンク、液化ガスタンク製造方法および船舶
(51)【国際特許分類】
F17C 3/04 20060101AFI20231226BHJP
B63B 25/16 20060101ALI20231226BHJP
【FI】
F17C3/04 A
B63B25/16 103
B63B25/16 F
(21)【出願番号】P 2020208393
(22)【出願日】2020-12-16
【審査請求日】2022-11-30
(73)【特許権者】
【識別番号】518144045
【氏名又は名称】三井E&S造船株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090169
【氏名又は名称】松浦 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100124497
【氏名又は名称】小倉 洋樹
(72)【発明者】
【氏名】中田 崇
【審査官】宮崎 基樹
(56)【参考文献】
【文献】特公昭51-031434(JP,B1)
【文献】特開2017-221889(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第107013802(CN,A)
【文献】韓国公開特許第10-2012-0044750(KR,A)
【文献】西独国特許出願公開第02720572(DE,A1)
【文献】特表2020-500278(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F17C 1/00-13/12
B63B 25/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
船体の一部を構成する壁面と、
前記壁面から内側に突出する骨材と、
前記壁面および前記内側に突出する骨材の周囲を覆う断熱材と、
前記断熱材の内側表面を被覆するポリウレア層とを備え
、
前記断熱材と前記ポリウレア層を組み合わせた層が2層配置される
ことを特徴とする液化ガスタンク。
【請求項2】
前記壁面が内殻、上甲板、バルクヘッドを含むことを特徴とする請求項
1に記載の液化ガスタンク。
【請求項3】
前記壁面が2重船側の内壁を含むことを特徴とする請求項
1に記載の液化ガスタンク
【請求項4】
前記壁面がトップサイドタンクの内壁を含むことを特徴とする請求項
1に記載の液化ガスタンク。
【請求項5】
前記液化ガスタンクに貯蔵される前記液化ガスがLPGまたはアンモニアであることを特徴とする請求項1~
4の何れか一項に記載の液化ガスタンク。
【請求項6】
請求項1~
5の何れか一項に記載の液化ガスタンクを備えることを特徴とする船舶。
【請求項7】
船体を構成する壁面の内側に断熱材を仮止めする工程と、
仮止めされた前記断熱材の内側表面にポリウレア層を形成する工程とを備え
、
前記断熱材と前記ポリウレア層を組み合わせた層が2層配置される
ことを特徴とする液化ガスタンク製造方法。
【請求項8】
前記仮止めする工程において、前記断熱材は、一方の面に塗布された接着剤により前記壁面の内側に仮止めされることを特徴とする請求項
7に記載の液化ガスタンク製造方法
【請求項9】
前記壁面が内側に突出する骨材を備え、前記仮止めする工程において前記断熱材が前記骨材を覆うように貼り付けられることを特徴とする請求項
7または請求項
8に記載の液化ガスタンク製造方法。
【請求項10】
前記断熱材の内側表面に形成された前記ポリウレア層の内側表面に断熱材を仮止めする工程と、前記ポリウレア層の内側表面に仮止めされた断熱材の内側表面にポリウレア層を形成する工程とを更に備えることを特徴とする請求項
7~9の何れか一項に記載の液化ガスタンク製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液化ガスを格納するタンクとして船体の一部を用いる船舶に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、液化ガスを運搬するメンブレン方式の液化ガス運搬船では、内殻の内側を断熱材で覆うとともに、その内側をステンレス鋼などのメンブレンで液密に覆って液化ガスタンクとしている(特許文献1)。タンク内の液化ガスは、内殻によりその重量が支持され、メンブレンと断熱材により液密かつ断熱的にタンク内に貯蔵される。また、液化ガスを燃料として利用する液化ガス燃料船では、船体内に例えば円筒形の液化ガスタンクを配置している(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-075636号公報
【文献】特開2018-188073号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来のメンブレン方式の液化ガスタンクでは、液化ガスタンクを構成する内殻や上甲板の内側表面に、フレームやビーム、ロンジやトランスなどの骨材(構造部材)が突出していると、これに沿ってメンブレン用の鋼板を変形し、溶接する必要があるため、多大な労力と経費が掛かる。そのため実際のメンブレン方式の液化ガスタンクでは、構造部材をタンク内に突出させておらず、タンク内壁は大きな平面で構成される。このようなタンク内壁を断熱材で被覆した後、その内壁を多数の金属板を溶接して液密に被覆するためには、保持具などで断熱材を内壁に強固に固定しておく必要がある。また、メンブレン方式の液化ガスタンクの防熱壁においては、一般に液密層となるメンブレン金属板を2重に設ける必要があり、その場合、1層目のメンブレン金属板に2層目の断熱材を保持するための保持具を設ける必要があり、作業効率が悪く、費用も増大する。
【0005】
また、船体内に独立した液化ガスタンクを設置して液化ガスを燃料タンクとして利用する場合、船体と燃料タンク間に空間を設ける必要があり、スペースが無駄となり、積載可能な燃料ガスも制限されてしまう。
【0006】
本発明は、簡略な方法で船体の一部を液化ガスタンクとして構成することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の液化ガスタンクは、船体の一部を構成する壁面と、壁面から内側に突出する骨材と、壁面および内側に突出する骨材の周囲を覆う断熱材と、断熱材の内側表面を被覆するポリウレア層とを備えることを特徴としている。
【0008】
例えば、断熱材とポリウレア層を組み合わせた層が2層配置されてもよい。また、断熱材とポリウレア層を組み合わせた層が1層であってもよく、このとき壁面および骨材は低温鋼で構成される。液化ガスタンクの壁面は内殻、上甲板、バルクヘッドを含む構成であってもよい。また、液化ガスタンクの壁面は、2重船側の内壁を含む構成であってもよく、あるいは、トップサイドタンクの内壁を含む構成であってもよい。また、液化ガスは、例えばLPGまたはアンモニアである。
【0009】
本発明の船舶は、上記何れかの液化ガスタンクを備えることを特徴としている。
【0010】
本発明の液化ガスタンク製造方法は、船体を構成する壁面の内側に断熱材を仮止めする工程と、仮止めされた断熱材の内側表面にポリウレア層を形成する工程とを備えることを特徴としている。
【0011】
仮止め工程において、断熱材は、一方の面に塗布された接着剤により壁面に仮止めされる。壁面は内側に突出する骨材を備え、仮止め工程において断熱材が骨材を覆うように貼り付けられる。断熱材の内側表面に形成されたポリウレア層の内側表面に断熱材を仮止めする工程と、ポリウレア層の内側表面に仮止めされた断熱材の内側表面にポリウレア層を形成する工程とを更に備えてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、簡略な方法で船体の一部を液化ガスタンクとして構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の第1実施形態の船体の一部を用いた液化ガスタンクの構成を示す模式的な横断面図(右半分)である。
【
図2】
図1の液化ガスタンクの構成を示す模式的な長手方向に沿った一部縦断面図である。
【
図3】第1実施形態の変形例の液化ガスタンクの構成を示す模式的な横断面図(右半分)である。
【
図4】
図3の液化ガスタンクの構成を示す模式的な長手方向に沿った一部縦断面図である。
【
図5】第2実施形態のばら積み貨物船の模式的な横断面図(右半分)である。
【
図7】第3実施形態の船舶の模式的な断面図(右半分)である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。
図1、
図2は、本発明の第1実施形態の船体の一部を用いた液化ガスタンクの構成を示す模式的な横断面図(右半分)と長手方向に沿った一部縦断面図である。
【0015】
第1実施形態の液化ガスタンク10は、例えばLPGを貨物として運搬する液化ガス運搬船の貨物タンクである。
図1に示されるように、船体の外殻12の内側には、幅d(800mm~2000mm)を隔てて内殻14が形成される。液化ガスタンク10は、内殻14の底面および側面で貯留される液化ガスの重量を支持するタンク底面およびタンク側面として構成される。液化ガスタンク10のタンク天面は、上甲板16により構成される。
【0016】
図2に示されるように、液化ガスタンク10は、例えば船体長手方向に複数設けられる。液化ガスタンク10は、例えばコルゲート型のバルクヘッド18により仕切られ、各バルクヘッド18の船体幅方向の両端は、内殻14の両側面により支持され、上方はアッパースツール20を介して上甲板16により支持され、下方はロワースツール22を介して内殻14の底面によって支持される。すなわち、本実施形態の液化ガスタンク10の壁面は、内殻14、上甲板16、バルクヘッド18により構成される。
【0017】
内殻14や上甲板16の内側の面には、例えばフレーム、ビーム、ロンジ、トランスなどの多数の骨材24が配置され、液化ガスタンク10の内側に向けて突出する。
図1には、1例として上甲板16に設けられた1本ロンジが模式的に描かれている。なお、第1実施形態では、内殻14、上甲板16、バルクヘッド18、骨材24に一般鋼が用いられる。
【0018】
内殻14の内側表面、上甲板16の内側表面、バルクヘッド18の内側表面、および、液化ガスタンク10内の骨材24は、複数の断熱パネルを密着させて形成される第1断熱層26により覆われる。断熱パネルは、例えばスタイロフォーム(登録商標)などの発泡スチロールや、ポリウレタンなどの断熱材を含む厚さ約100mm程のパネルである。また、第1断熱層26の内側表面は、約1~2mm程の第1ポリウレア層28により液密に被覆される。
【0019】
更に、第1ポリウレア層28の内側表面には、第1断熱層26と同様に、断熱パネルを密着させて形成される第2断熱層30により覆われ、第2断熱層30の内側表面は、約1~2mm程の第2ポリウレア層32により液密に被覆される。すなわち、液化ガスタンク10は、内殻14、上甲板16、バルクヘッド18をタンク外殻として、その内側に第1断熱層26、第1ポリウレア層28、第2断熱層30、第2ポリウレア層32の各層を順に備える。なお、第2断熱層30には、第1断熱層26と異なる断熱材を用いてもよい。
【0020】
なお、第1、第2ポリウレア層28、32を形成するポリウレアとしては、液化ガスタンク10内に貯蔵される液化ガスの沸点よりも低い温度で少なくとも柔軟性と強度とを備えるものが用いられる。LPGを貯蔵する場合には、-50℃においても柔軟性と強度を備えるポリウレアが用いられ、これによりポリウレア層は割れることなく液密を確保できる。
【0021】
液化ガスタンク10の製造は、骨材24を含む内殻14、上甲板16、バルクヘッド18からなるタンク外殻が形成された後、以下の工程で行われる。
【0022】
第1工程では、第1断熱層26の断熱パネルが接着剤により、タンク内側表面を構成する内殻14、上甲板16、バルクヘッド18の内側表面に貼りつけられるとともに骨材24の周囲に包むように貼り付けられ、タンク外殻の内側に仮止めされる。
【0023】
第2工程では、タンク外殻の内側に仮止めされた第1断熱層26の内側表面にポリウレアが塗布され第1ポリウレア層28が形成される。なお、ポリウレアは、例えばスプレーガンなどを用いて塗布される。
【0024】
第3工程では、第2断熱層30の断熱パネルが接着剤により、第1ポリウレア層28の内側表面を覆うように貼りつけられ仮止めされる。このとき、第2断熱層30は、第1工程と同様に骨材24の周囲を取り囲む第1断熱層26、第1ポリウレア層28を包むように貼り付けられる。
【0025】
第4工程では、第2断熱層30の内側表面にスプレーガンなど用いてポリウレアが塗布され第2ポリウレア層32が形成される。これにより、液化ガスの重量を支えるタンク外殻の内側に2重の断熱層および2重の液密層を備える液化ガスタンク10が形成される。なお、タンク外殻(例えば上甲板16)の所定の位置にはマンホールが形成され、運航後の点検時には、作業員が同マンホールを通してタンク内にアクセス可能である。
【0026】
また、第1、第3工程において、接着剤は、現場において第1、第2断熱層26、30を構成する各断熱パネルに塗布されてもよいが、予め各断熱パネルの一方の面に接着剤を塗布して剥離紙で保護しておき、現場では剥離紙を剥がして利用する構成であってもよい。また、各断熱パネルは、現場で切断する構成でも、予め切断されたものを利用する構成であってもよい。
【0027】
以上のように、第1実施形態によれば、ポリウレアを用いて液密構造を容易に構成できるので、骨材をタンク内側に配置できる。骨材の存在により断熱パネルを骨材の間に接着剤などの簡易な仮止めで保持することができ、また、スプレーガンなどを用いてポリウレアを断熱パネルの内側表面に塗布することで、タンク外殻の内面に仮止めされた断熱パネル表面に、断熱層の形状を維持するのに十分な強度のポリウレア層を迅速に形成できる。これにより、金属板を用いたメンブレンを用いる従来の工法に比べ、極めて簡略な方法で、迅速に船体の一部を液化ガスタンクとして構成することができる。
【0028】
次に、
図3、
図4を参照して、第1実施形態の液化ガスタンクの変形例について説明する。なお、
図3、
図4は、第1実施形態の
図1、
図2に対応する。
【0029】
第1実施形態では、内殻14、上甲板16、バルクヘッド18、骨材24に一般鋼が用いられたが、変形例では、これらの鋼材に低温鋼を用いることで、ポリウレア層を1重にしている。その他の構成は第1実施形態と同様であり、同様の構成に関しては同一参照符号を用い、その説明を省略する。
【0030】
図3、
図4に示されるように、変形例では、液化ガスタンク10の外殻を構成する内殻34、上甲板36、バルクヘッド38と、タンク内に配置される骨材40に低温鋼が用いられる。内殻34、上甲板36、バルクヘッド38の内側および骨材40の周りは、第1断熱層26により被覆され、第1断熱層26の内側表面は、第1ポリウレア層28によって液密に形成される。
【0031】
内殻34、上甲板36、バルクヘッド38、骨材40に低温鋼を採用することで、タンク内の断熱層と液密層を1層とすることができ、第3、第4工程を省略できる。以上のように、第1実施形態の変形例においても、第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0032】
次に
図5、
図6を参照して、第2実施形態の液化ガスタンクについて説明する。第1実施形態の液化ガスタンク10は、貨物である液化ガスを貯留する貨物タンクであった。しかし、第2実施形態の液化ガスタンク42は、液化ガス燃料船の燃料タンクとして用いられる。なお、第2実施形態の船舶は、例えばばら積み貨物船であり、本実施形態ではトップサイドタンクが液化ガス燃料タンクとして使用される。また、第1実施形態と同様の構成に関しては、同一参照符号を用い、その説明を省略する。
【0033】
図5は、第2実施形態のばら積み貨物船の右半分の横断面図であり、船体中央には、船体長手方向に沿って複数の貨物ホールド44が配置され、各貨物ホールド44はバルクヘッドにより仕切られる。各貨物ホールド44の頂面中央には、ハッチ44Aが形成され、ハッチ44Aに対して船側側の上甲板46下には、対称に各々断面形状が略三角形を呈する液化ガスタンク42が船体長手方向に沿って配置される。
【0034】
液化ガスタンク42の外殻は、上甲板46と、ハッチ44Aの側辺と船体の外殻12の間を斜めに連絡し、貨物ホールド44の頂面を構成する傾斜板50と、外殻12から距離d(例えば800mm)隔てて外殻12に平行に配置される内壁52と、前後のバルクヘッドなど、所定間隔で設けられる仕切り板(不図示)とで構成される。また、液化ガスタンク42は、満載喫水線Lよりも上に配置される。
【0035】
図6は、
図5の液化ガスタンク42の拡大断面図である。
図6に示されるように、外殻12の内面および内壁52の外面には多数の骨材24が設けられ、更に、上甲板46の下面、傾斜板50の上面には、タンク内側に突出する多数の骨材24が設けられる。第1実施形態と同様に、液化ガスタンク42のタンク外殻および骨材24は、第1断熱層26により覆われ、第1断熱層26の内側表面は、第1ポリウレア層28により液密に覆われる。また、第1ポリウレア層28の内側表面は、第2断熱層30によって覆われ、第2断熱層30の内側表面は第2ポリウレア層32によって液密に覆われる。なお、液化ガスタンク42の製造工程は、第1実施形態と同様である。なお、液化ガスタンク42には、LPGやアンモニアが燃料として貯留され、図示しない配管を通してエンジンなどのガス燃焼機関に供給される。なお、液化されたアンモニアをタンク内に貯蔵する場合、その沸点である-33℃よりも低い、例えば-40℃において少なくとも柔軟性と強度を備えるポリウレアがポリウレア層に用いられる。
【0036】
以上により、第2実施形態によれば、トップサイドタンクなど、骨材が突出する船体の一部を構成する鋼板で囲まれる空間を、簡略な方法で液化ガスタンクとして構成することができる。これにより、船体内に液化燃料ガス用の独立したタンクを別途配置する必要がなく、スペースを有効に利用することが可能となる。
【0037】
図7は、第3実施形態の船舶の横断面図(右半分)である。第2実施形態では、トップサイドタンクを液化ガスタンクとして用いたが、第3実施形態では、船体側面に沿って液化ガスタンク54が設けられ、液化ガス燃料船の燃料タンクとして用いられる。なお、第2実施形態と同様の構成に関しては同一参照符号を用いその説明を省略する。
【0038】
図7に示されるように、第3実施形態の船舶では、外殻55の舷側に平行に外側から2枚の内壁56、58が設けられる。内壁58は例えば貨物タンクの側壁であり、内壁56、58の下辺は、二重底の内底板60に支持され、各々の上辺は上甲板62によって支持される。これにより、内壁56、58、内底板60、上甲板62、不図示の前後のバルクヘッドに囲まれる空間が液化ガスタンク54とされる。すなわち、液化ガスタンク54は貨物タンクと舷側の間に沿って設けられる。
【0039】
外殻55の内側および内壁56の外側(液化ガスタンク54の外側の面)には多数の骨材24が設けられる。また、液化ガスタンク54の内側において、内壁58のタンク内側表面および上甲板62の下面(タンク内側表面)にも多数の骨材24が設けられる。第3実施形態の液化ガスタンク54においても、第2実施形態と同様に、液化燃料タンク54の内側表面には、外側から順に第1断熱層26、第1ポリウレア層28、第2断熱層30、第2ポリウレア層32が、各骨材24を包み込むように配置される。なお、内壁56は、舷側(外殻55)から距離d(例えば800mm)隔てられる。
【0040】
以上のように、第3実施形態の液化ガスタンクにおいても、第2実施形態と同様の効果が得られる。
【0041】
なお、第2実施形態や第3実施形態の液化ガスタンクを、第1実施形態の変形例と同様に構成することもできる。その場合、タンク外殻を構成する上甲板、内壁、バルクヘッド、傾斜板、内底板に低温鋼を用いる。また、ポリウレア層に用いられるポリウレアの特性は、タンク内に貯蔵される液化ガスの温度に対して液密を保てれば(ひび割れなどを生じなければ)よく、貯蔵される液化ガスの沸点よりも低い温度において、ポリウレア層が十分な柔軟性と強度を備えていればよい。また、より低い沸点に対応したポリウレアを用いたタンクは、より低沸点の液化ガスの貯蔵にも用いることができる。
【符号の説明】
【0042】
10、42、54 液化ガスタンク
12、55 外殻
14、34 内殻
16、36、46、62 上甲板
18、38 バルクヘッド
24、40 骨材
26 第1断熱層
28 第1ポリウレア層
30 第2断熱層
32 第2ポリウレア層
50 傾斜板
52、56、58 内壁
60 内底板