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特許7408914印刷システム、情報処理装置及びデータ処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-25
(45)【発行日】2024-01-09
(54)【発明の名称】印刷システム、情報処理装置及びデータ処理方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/12 20060101AFI20231226BHJP
   H04N 1/387 20060101ALI20231226BHJP
【FI】
G06F3/12 345
G06F3/12 313
H04N1/387 110
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018237404
(22)【出願日】2018-12-19
(65)【公開番号】P2020098549
(43)【公開日】2020-06-25
【審査請求日】2021-11-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】弁理士法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】栗形 悠平
【審査官】白石 圭吾
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-203064(JP,A)
【文献】特開2011-056850(JP,A)
【文献】特開2013-132038(JP,A)
【文献】特開2001-219606(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/12
H04N 1/387
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷のために入力されたデータであって、ページ記述言語データである前記データをインタープリット処理により解析して中間データとして生成し、前記インタープリット処理の解析結果に基づいて、ページ内の領域ごとに前記領域の属性イメージ属性、又は、文字若しくは線画属性に分類、前記領域の属性が前記文字若しくは線画属性の場合に第1ラスタライズ処理前の前記中間データとして記憶部に記憶するか、前記領域の属性がイメージ属性の場合に前記第1ラスタライズ処理後の第1のラスタ画像データとして前記記憶部に記憶するかを選択し、それぞれ前記中間データと前記第1のラスタ画像データを前記記憶部に記憶させる選択部と、
前記領域の属性が前記文字若しくは線画属性の場合に前記記憶部から読み出した前記中間データを第2ラスタライズ処理した第2のラスタ画像データと、前記領域の属性がイメージ属性の場合に前記記憶部から読み出した前記第1のラスタ画像データと、を前記ページ毎に合成することにより印刷用画像データを生成する画像生成部と、を備えた
印刷システム。
【請求項2】
前記選択部は、前記領域の属性が前記文字若しくは線画属性の場合に前記中間データ、及び前記第1ラスタライズ処理後の第1のラスタ画像データを前記記憶部に記憶させるデータ形式として選択し、前記領域の属性が前記イメージ属性の場合に前記第1ラスタライズ処理後の前記第1のラスタ画像データ及び圧縮データ形式である前記中間データを前記記憶部に記憶させるデータ形式として選択し、
前記領域の属性が前記イメージ属性の場合に演算装置が前記第1ラスタライズ処理を実行することで前記演算装置にかかる負荷、及び前記演算装置が処理するデータのデータ量を所定単位毎に比較し、前記選択部によりデータ形式が選択された前記第1のラスタ画像データと、圧縮データ形式である前記中間データのうち、前記データ量が少ない方を前記記憶部に記憶させるデータ量比較部を備える
請求項1に記載の印刷システム。
【請求項3】
前記画像生成部は、前記演算装置の負荷が高ければ、前記領域の属性が前記イメージ属性の前記第1のラスタ画像データと、前記領域の属性が文字若しくは線画属性の前記第1のラスタ画像データを前記記憶部から読み出し、それぞれの前記第1のラスタ画像データを前記ページごとに合成することにより前記印刷用画像データを生成し、前記演算装置の負荷が低ければ前記領域の属性が前記イメージ属性の場合に圧縮データ形式である前記中間データを前記記憶部から読み出して伸張した前記中間データと、前記領域の属性が前記文字若しくは線画属性の場合に前記中間データを前記記憶部から読み出して前記第2ラスタライズ処理した前記第2のラスタ画像データを前記ページごとに合成することにより前記印刷用画像データを生成する
請求項2に記載の印刷システム。
【請求項4】
前記選択部と前記画像生成部を含む情報処理装置と、
前記情報処理装置から出力された前記印刷用画像データに基づいて、記録材に画像を印刷する印刷エンジンを有する印刷装置と、を備える
請求項2又は3に記載の印刷システム。
【請求項5】
前記データ量比較部は、前記ページ内の所定領域毎に比較した比較結果に基づいて、前記記憶部に保存するデータ形式を選択する
請求項4に記載の印刷システム。
【請求項6】
前記データ量比較部は、前記ページ内の一かたまりの描画表現範囲を表すオブジェクト単位毎に比較した比較結果に基づいて、前記オブジェクト単位毎に前記記憶部に保存するデータ形式を選択する
請求項4に記載の印刷システム。
【請求項7】
印刷のために入力されたデータであって、ページ記述言語データである前記データをインタープリット処理により解析して中間データとして生成し、前記インタープリット処理の解析結果に基づいて、ページ内の領域ごとに前記領域の属性イメージ属性、又は、文字若しくは線画属性に分類、前記領域の属性が前記文字若しくは線画属性の場合に第1ラスタライズ処理前の前記中間データとして記憶部に記憶するか、前記領域の属性がイメージ属性の場合に前記第1ラスタライズ処理後の第1のラスタ画像データとして前記記憶部に記憶するか、を選択し、それぞれ前記中間データと前記第1のラスタ画像データを記憶部に記憶させる選択部と、
前記領域の属性が前記文字若しくは線画属性の場合に前記記憶部から読み出した前記中間データを第2ラスタライズ処理した第2のラスタ画像データと、前記領域の属性がイメージ属性の場合に前記記憶部から読み出した前記第1のラスタ画像データと、を前記ページ毎に合成することにより印刷用画像データを生成する画像生成部と、
を備えた
情報処理装置。
【請求項8】
選択部及び画像生成部と、を備えた印刷システムで実行されるデータ処理方法であって、
前記選択部が、印刷のために入力されたデータであって、ページ記述言語データである前記データをインタープリット処理により解析して中間データとして生成し、前記インタープリット処理の解析結果に基づいて、ページ内の領域ごとに前記領域の属性イメージ属性、又は、文字若しくは線画属性に分類、前記領域の属性が前記文字若しくは線画属性の場合に第1ラスタライズ処理前の前記中間データとして記憶部に記憶するか、前記領域の属性がイメージ属性の場合に前記第1ラスタライズ処理後の第1のラスタ画像データとして前記記憶部に記憶するかを選択し、それぞれ前記中間データと前記第1のラスタ画像データを前記記憶部に記憶させる処理と、
前記画像生成部が、前記領域の属性が前記文字若しくは線画属性の場合に前記記憶部から読み出した前記中間データを第2ラスタライズ処理した第2のラスタ画像データと、前記領域の属性がイメージ属性の場合に前記記憶部から読み出した前記第1のラスタ画像データと、を前記ページ毎に合成することにより印刷用画像データを生成する処理と、を含む
データ処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷システム、情報処理装置及びデータ処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタル印刷の高速化が進んでいる。デジタル印刷では1部ごとにプリントする内容を変更できるバリアブルプリントを行えることが大きなメリットの一つとして挙げられる。バリアブルプリントとは、例えば、ダイレクトメールの印刷時に、宛名、宛先住所だけを変更して行われるような印刷方法である。バリアブルプリントを実現するために、印刷装置に併設されるプリンタコントローラが、ダイレクトメールの1部ごとにリアルタイムでRIP(Raster Image Processor)処理を行っていた。
【0003】
RIP処理の速度は、一般的にRIPを実行するCPU(Central Processing Unit)の処理能力に依存する。このCPUは、プリンタコントローラが備える処理装置である。近年では、デジタル印刷装置の処理が高速化したことに伴い、CPUの処理能力を増強することが求められる。しかし、単にCPUの処理能力を増強するだけでは、プリンタコントローラのコストが増大するという問題があった。また、RIP処理の対象となるページの内容次第でRIP処理にかかる時間が変わることから、印刷装置の生産性が安定しないという問題があった。
【0004】
このような問題の対応策として、全ての部数のページに対して事前にRIP処理を実施しておき、RIP済みのページデータ(ラスタ画像データ)をHDD(Hard Disk Drive)などの大容量ストレージに格納する方法がとられてきた。この方法について、図1を参照して説明する。
【0005】
図1は、従来のプリンタコントローラ100がラスタ画像データをHDD102に保存する処理の例を示すブロック図である。
プリンタコントローラ100が備えるCPU101,HDD102,DMA(Direct Memory Access)コントローラ103は、いずれもシステムバス104を介して接続されている。
【0006】
CPU101は、不図示のクライアント端末から入力されたPDL(Page Description Language)データを解釈して中間データを作成するインタープリット処理と、中間データをラスタ画像に変換するラスタライズ処理とを行う。インタープリット処理とラスタライズ処理とをまとめてRIP処理と呼ぶ。
そして、CPU101は、事前にRIP処理を行って生成したラスタ画像データを、システムバス104を介してHDD102に保存する。このように事前にRIP処理を行うことを、ここでは「プレRIP」と呼ぶ。印刷開始よりも前にCPU101がRIP処理を行うことで、印刷開始時にRIP処理を行う必要がなく、生産性を高めることができると考えられていた。
【0007】
このようにページデータをラスタ画像データに変換する技術として、例えば特許文献1に開示された技術が知られている。この特許文献1には、「再印刷時に、ページ毎に、リストに記載された対象ページのRIP時間と、印刷エンジンの最大処理速度から計算される、当該対象ページの印刷準備が完了する印刷準備時間と、を比較し、比較結果に基づいて、各々のページを、記憶部にラスタデータを残す保存ページ又は記憶部からラスタデータを削除する削除ページに決定する」と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2017-87583号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ここで、従来のプリンタコントローラ100がラスタ画像データを読み出す処理について、図2を参照して説明する。
図2は、従来のプリンタコントローラ100がラスタ画像データをHDD102から読出して出力する処理の例を示すブロック図である。
印刷時には、CPU101の処理とは別に、DMAコントローラ103が、HDD102に保存されたラスタ画像データを直接読出して印刷エンジンに出力する処理が行われる。これにより印刷エンジンの生産能力を十分に活かして印刷することができるため、CPU101のRIP処理における性能不足により生じる生産性のムラを解消できると考えられていた。
【0010】
しかし、一般にHDD102からの読出しバスインターフェイス(I/F)105における読出し帯域(単位時間当たりのデータ読出し量)は他のバスインターフェイスに比べて低い。このため、印刷時に、DMAコントローラ103がHDD102からラスタ画像データを読出す際、読出しバスインターフェイス105がボトルネックとなって読出し速度が低下する。このため、印刷エンジンを備えた印刷装置の印刷速度も低下し、印刷装置の生産性が低下してしまう。このようなHDD102の読出し時におけるボトルネックを原因とする生産性の低下は、オフセット機の代替として使用される超高速デジタル印刷装置にて顕著となる。
【0011】
ここで、特許文献1に記載された技術では、ラスタ画像データのHDD保存か再RIPするかをページ単位で選択することしかできない。このため、HDD保存の対象となったページデータに関しては、HDD読出し時間のボトルネックは解消せず、HDD保存対象となったページを出力する際に生産性が低下するという問題は解決できなかった。
【0012】
本発明はこのような状況に鑑みて成されたものであり、印刷装置の生産性を向上することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述した目的のうち少なくとも一つを実現するために、本発明の一側面を反映した印刷システムは、印刷のために入力されたデータであって、ページ記述言語データであるデータをインタープリット処理により解析して中間データとして生成し、インタープリット処理の解析結果に基づいて、ページ内の領域ごとに領域の属性イメージ属性、又は、文字若しくは線画属性に分類、領域の属性が文字若しくは線画属性の場合に第1ラスタライズ処理前の中間データとして記憶部に記憶するか、領域の属性がイメージ属性の場合に第1ラスタライズ処理後の第1のラスタ画像データとして記憶部に記憶するかを選択し、それぞれ中間データと第1のラスタ画像データを記憶部に記憶させる選択部と、領域の属性が文字若しくは線画属性の場合に記憶部から読み出した中間データを第2ラスタライズ処理した第2のラスタ画像データと、領域の属性がイメージ属性の場合に記憶部から読み出した第1のラスタ画像データと、をページ毎に合成することにより印刷用画像データを生成する画像生成部と、備える。
なお、上記の印刷システムは本発明の一態様であり、本発明の一側面を反映した情報処理装置、データ処理方法についても、上記の印刷システムと同様の構成を有する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、記憶部へのアクセス負荷が低減し、また、ラスタ画像データが記憶部から読出された場合にはデータ処理部が中間データをラスタ画像データに変換する処理を省略できる。したがって、印刷装置に出力される印刷用画像データの転送速度が向上するので、印刷装置の生産性を向上することができる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施の形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】従来のプリンタコントローラがラスタ画像データをHDDに保存する処理の例を示すブロック図である。
図2】従来のプリンタコントローラがラスタ画像データをHDDから読み出す処理の例を示すブロック図である。
図3】本発明の第1の実施の形態に係る画像形成システムの概要構成図である。
図4】本発明の第1の実施の形態に係るプリンタコントローラの内部構成例を示すブロック図である。
図5】本発明の第1の実施の形態に係るプリンタコントローラの動作例を示すブロック図である。
図6】本発明の第1の実施の形態に係るプリンタコントローラの各部の処理の例を示すフローチャートである。
図7】本発明の第1の実施の形態に係る原稿データと、ページ内で付与される属性データの例を示す説明図である。
図8】本発明の第2の実施の形態に係るプリンタコントローラの内部構成例を示すブロック図である。
図9】本発明の第2の実施の形態に係るCPUの空きリソースと、HDDから読み出される文字、線画属性のデータの割合を示す表である。
図10】本発明の第2の実施の形態に係るプリンタコントローラの動作例を示すブロック図である。
図11】本発明の変形例に係るPDLデータを矩形領域に分けた例を示す説明図である。
図12】本発明の変形例に係る全データ量に対するラスタ画像データ量の閾値と、HDDに保存されるデータ形式との対応を表す表である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための形態について、添付図面を参照して説明する。本明細書及び図面において、実質的に同一の機能又は構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複する説明を省略する。
【0017】
[第1の実施の形態]
<画像形成システムの構成>
始めに、図3を参照して、本発明の第1の実施の形態に係る画像形成システムの構成例について説明する。
図3は、本発明の第1の実施の形態に係る画像形成システム1の概要構成図である。なお、図3には、本発明の説明に必要と考える要素又はその関連要素を記載しており、本発明の画像形成システムは図3に示す例に限定されない。
【0018】
画像形成システム1は、プリンタコントローラ2及び印刷装置3を備える。
プリンタコントローラ2(情報処理装置の一例)は、不図示のLAN(Local Area Network)を介して、ユーザーによって操作される不図示のクライアント端末から入力されたジョブに含まれるPDLデータをRIP処理する。RIP処理後の印刷用画像データは、プリンタコントローラ2から印刷装置3に出力される。
【0019】
印刷装置3は、静電気を用いて画像の形成を行う電子写真方式によって用紙Sh(記録材の一例)に画像を形成する印刷装置の一例である。印刷装置3は、例えば、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の4色のトナー画像を重ね合わせるタンデム形式によって、用紙Sh上にカラー画像を形成する。この際、印刷装置3は、ジョブに設定された印刷情報に基づいて、片面/両面印刷を切替えたり、集約印刷を行ったりする。
【0020】
印刷装置3は、自動原稿給送装置(ADF:Auto Document Feeder)12を有する画像入力部11、操作表示部13及び給紙トレイ20を備える。また、印刷装置3は、画像形成部30を有する印刷エンジン10を備える。
【0021】
印刷エンジン10は、プリンタコントローラ2から出力された印刷用画像データに基づいて、画像形成部30の動作を制御し、用紙Shに画像を印刷する。
画像入力部11は、自動原稿給送装置12の原稿台上の原稿から画像を光学的に読み取り、読み取った画像をA/D変換して画像データ(スキャンデータ)を生成する。なお、画像入力部11は、プラテンガラス上で読み込むこともできる。
【0022】
操作表示部13は、液晶パネル等からなる表示部、及び、タッチセンサ等からなる操作部で構成される。表示部及び操作部は、例えばタッチパネルとして一体に形成される。操作表示部13は、操作部に入力されたユーザーからの操作の内容を表す操作信号を生成し、該操作信号を、印刷装置3の各部の動作を制御する、印刷エンジン10内の制御部に供給する。また、操作表示部13は、制御部から供給される表示信号に基づいて、操作表示部13に、ユーザーによる操作内容や設定情報等を含む操作画面を表示する。このように操作表示部13は、タッチパネルとして形成されるので、操作画面に対する操作入力が行われる。このため、ユーザーは、操作画面を通じて、機能の設定を行うことができる。
【0023】
なお、操作部をマウスやタブレットなどで構成し、操作表示部13とは別体で構成することも可能である。この場合、ユーザーは、操作表示部13に表示された操作画面を、別体で構成された操作部を通じて選択することが可能である。
【0024】
給紙トレイ20は、画像形成部30で画像形成が行われる用紙Shを収容する容器である。印刷装置3は、記録材の一例である樹脂製のシートにも画像を形成することが可能である。給紙トレイ20には、それぞれ、紙種や坪量等が異なる用紙Shが収容される。なお、本実施形態では、2つの給紙トレイ20を設けた例を挙げたが、給紙トレイ20の個数は1つであってもよく、3個以上であってもよい。
【0025】
印刷装置3には、給紙トレイ20から給紙された用紙Shを排紙トレイ25(排紙部の一例)まで搬送する搬送路21が設けられる。搬送路21には、用紙Shを搬送するための複数の搬送ローラが設けられる。
【0026】
画像形成部30は、Y、M、C及びKの各色のトナー画像を形成するための、4つの画像形成ユニット31Y,31M,31C及び31Kを備え、用紙Shに画像を形成する。画像形成ユニット31Y,31M,31C及び31Kはそれぞれ、帯電部、露光部(いずれも不図示)、像担持体としての感光体ドラム32Y,32M,32C,32K、及び、現像部33Y,33M,33C,33Kを備える。
【0027】
現像部33Y,33M,33C,33Kは、感光体ドラム32Y,32M,32C,32Kの各表面(外周部)に、画像に応じた光を照射することにより、各感光ドラムの周上に静電潜像を形成する。そして、現像部33Y,33M,33C,33Kは、該静電潜像にトナーを付着させて、感光体ドラム32Y,32M,32C,32K上にトナー画像を形成する。
【0028】
また、画像形成部30は、中間転写ベルト34、2次転写部35及び定着部36を備える。中間転写ベルト34は、感光体ドラム32Y,32M,32C,32Kに形成された画像が1次転写されるベルトである。2次転写部35は、中間転写ベルト34上に1次転写された各色のトナー画像を、搬送路21を搬送された用紙Shに2次転写するローラである。
【0029】
定着部36は、2次転写部35の用紙搬送方向の下流側に配置されて、画像形成部30から供給されるカラーのトナー画像が形成された用紙Shに対して、定着処理を施す。定着部36は、搬送された用紙Shを加熱及び加圧することにより用紙Shの表面側に、画像形成部30により転写された画像を定着する。定着部36の下流側では、搬送路21が伸長して排紙トレイ25に接続されている。
【0030】
また、搬送路21には、定着部36の下流側で分岐して、印刷エンジン10の上流側の搬送路21に合流する反転搬送路22が接続されている。反転搬送路22には、用紙Shを表裏反転させる反転部23が設けられている。定着部36により画像が定着した用紙Shは、搬送路21によって排紙トレイ25に排紙されるか、反転搬送路22を通して反転部23により表裏が反転された後、印刷エンジン10の上流側で搬送路21に返される。表裏反転された用紙Shは、印刷エンジン10によって裏面への画像形成が行われる。その後、定着部36によって定着処理が施された用紙Shは、排紙トレイ25に排紙される。
【0031】
次に、プリンタコントローラ2の構成例及び動作例について、図4図5を参照して説明する。
図4は、プリンタコントローラ2の内部構成例を示すブロック図である。
図5は、プリンタコントローラ2の動作例を示すブロック図である。
【0032】
プリンタコントローラ2は、CPU40、ROM(Read Only Memory)41、RAM(Random Access Memory)42、HDD43、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)44を備える。CPU40、ROM41、RAM42、HDD43及びASIC44は、いずれもシステムバス45を介して接続されている。
【0033】
CPU40(演算装置の一例)は、ROM41又はHDD43から読出したプログラムを実行することで所定の処理を行うことが可能である。CPU40での動作は、プリンタコントローラ2の各部の動作を制御する制御部として位置づけられる。
【0034】
ROM41には、CPU40が実行するプログラム又はプログラムの実行時に使用するデータ等が保存される。CPU40は、ROM41に保存されたプログラムを読み出すことにより、プリンタコントローラ2を構成する各部の制御を行う。
RAM42には、CPU40の演算処理の途中に発生した変数やパラメータなどが一時的に書き込まれる。
【0035】
HDD43は、大容量のストレージの一例であり、本実施の形態に係る中間データ、ラスタ画像データを記憶する記憶部として用いられる。このHDD43には、OS(Operating System)、各種のパラメーターの他に、プリンタコントローラ2を構成するコンピューターを機能させるためのプログラムが記録されている。ROM41、HDD43は、CPU40が動作するために必要なプログラムやデータ等を永続的に記録しており、プリンタコントローラ2を構成するコンピューターによって実行されるプログラムを格納した、コンピューターが読取可能な非一過性の記録媒体の一例として用いられる。なお、記憶部としては、SSD(Solid State Drive)、フレキシブルディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、CD-R、磁気テープ、不揮発性のメモリ等が用いられてもよい。
【0036】
CPU40は、PDLデータ受信部40a、データ処理部40b、及びデータ形式選択部40cを備える。
PDLデータ受信部40aは、ページ記述言語(PDL)で作成されたページ記述言語データ(以下、「PDLデータ」と呼ぶ)を不図示のクライアント端末からLAN等のネットワーク経由で受信する。
【0037】
データ処理部40bは、CPU40で実行されるインタープリット処理により解釈されたPDLデータから中間データを生成し、CPU40で実行されるラスタライズ処理により変換された中間データからラスタ画像データを生成する。ここで、データ処理部40bは、インタープリット処理によりPDLデータを解析した結果に基づいて、PDLデータを、イメージ属性(自然画)、又は、文字若しくは線画属性(以下、「文字、線画属性」と記載する)のいずれかに分類する。イメージ属性(自然画)とは、例えば、風景、人物像等の画像である。このデータ処理部40bは、中間データ生成部40b1、ラスタ画像データ生成部40b2を有する。
【0038】
中間データ生成部40b1及びラスタ画像データ生成部40b2は、RIP処理を行う。RIP処理により、PDLデータがラスタ画像データに変換される。上述したようにRIP処理は、インタープリット処理及びラスタライズ処理の2段階の処理によって実現される。そして、PDLデータに基づいて、画像属性ごとに、以下のインタープリット処理、ラスタライズ処理が順次実行される。
【0039】
ここで、中間データ生成部40b1は、PDLデータのインタープリット処理を行うことで中間データを生成する。インタープリット処理では、ページ記述言語データを解析し、文字などのオブジェクトの位置の特定やアウトライン化、フォントの呼び出しなどが行われた後、中間データが生成される。
【0040】
ラスタ画像データ生成部40b2は、中間データにラスタライズ処理を行うことでラスタ画像データを生成する。ラスタライズ処理では、中間データが、印刷エンジン10の解像度に合わせた画素ごとのラスタ画像データに変換される。
【0041】
データ形式選択部40cは、PDLデータに応じて選択したデータ形式で、データ処理部40bが生成した中間データ及びラスタ画像データの少なくとも一つをHDD43に保存するためのデータ形式を選択する。そこで、データ形式選択部40cは、ページ毎に予め定められた属性情報に基づいて、HDD43に保存するデータ形式を選択する。
【0042】
例えば、PDLデータが文字、線画属性であれば、データ形式選択部40cは、HDD43に保存するデータ形式として中間データを選択する。一方、PDLデータがイメージ属性(自然画)であれば、データ形式選択部40cは、HDD43に保存するデータ形式としてラスタ画像データを選択する。データ形式選択部40cは、ページ毎にデータ形式を選択してよい。
【0043】
HDD43は、ページ毎に中間データ及びラスタ画像データの少なくとも一つを記憶する。このため、HDD43には、中間データ記憶領域43a、ラスタ画像データ記憶領域43bが設けられる。中間データ記憶領域43aには、中間データ生成部40b1で生成された中間データのうち、文字、線画属性の中間データが記憶される。ラスタ画像データ記憶領域43bには、ラスタ画像データ生成部40b2で生成されたラスタ画像データのうち、イメージ属性(自然画)のラスタ画像データが記憶される。
【0044】
このように、文字、線画属性のPDLデータは中間データでHDD43に保存される。また、イメージ属性(自然画)のPDLデータはインタープリット処理及びラスタライズ処理が実施され、これらの処理が実施されたPDLデータは、ラスタ画像データに変換されてHDD43に保存される。HDD43に保存される中間データ、及びラスタ画像データをまとめてページデータとも呼ぶ。ページデータは、ジョブ毎、かつページ毎にHDD43内で管理される。
【0045】
ここで、データ処理部40bは、データ形式選択部40cによりHDD43に保存するデータ形式としてラスタ画像データが選択された場合に、HDD43に保存するラスタ画像データの解像度を、通常のラスタ画像データの解像度より低下させる処理を行ってよい。これにより、イメージ属性(自然画)のPDLデータから生成されたラスタ画像データは、解像度を落とした状態でHDD43に保存される。なお、イメージ属性(自然画)のPDLデータは、空間周波数が低いため、元の画像より解像度を落としても画質低下が少ない。
【0046】
なお、PDLデータには、文字、線画属性の画像領域と、イメージ属性の画像領域とが含まれる。データ形式選択部40cは、中間データ生成部40b1にて行われるインタープリット処理後に、画像領域毎に、HDD43に保存するデータ形式を中間データとするか、又はラスタ画像データとするかを選択する。
そして、HDD43には、ページ毎に、複数の中間データ、及び複数のラスタ画像データが保存されることもある。
【0047】
ASIC44は、本実施の形態に係る画像処理を行うための集積回路であり、画像処理部の一例として用いられる。ASIC44は、DMAコントローラ44a(読出し処理部の一例)と画像合成部44bを備える。
印刷時には、DMAコントローラ44aがラスタ画像データをHDD43から読み出す。DMAコントローラ44aは、データ形式選択部40cによりHDD43から読出されるデータ形式としてラスタ画像データが選択された場合に、HDD43からラスタ画像データを読出して画像合成部44bに出力する。
【0048】
ここで、文字、線画データは、HDD43に中間データとして保存されている。このため、データ処理部40bは、データ形式選択部40cによりHDD43から読出されるデータ形式として中間データが選択された場合に、HDD43から中間データを読出す。そして、データ処理部40b(ラスタ画像データ生成部40b2)は、読出した中間データをラスタライズ処理により変換したラスタ画像データを生成する。そして、データ処理部40bは、DMAコントローラ44aを介して画像合成部44bにラスタ画像データを出力する。
【0049】
なお、イメージ属性のデータは、ラスタライズ済みのラスタ画像データとしてHDD43に保存されているので、DMAコントローラ44aはデータ変換の処理(例えば、ラスタライズ処理)を実施することなく、HDD43から読出したラスタ画像データをそのまま画像合成部44bに送る。
【0050】
画像合成部44bは、データ形式選択部40cにより選択されたデータ形式でHDD43から読出された中間データがラスタライズ処理により変換されたラスタ画像データ、又はHDD43から読出されたラスタ画像データをページ毎に合成して印刷用画像データを得る。そして、画像合成部44bは、所定の転送速度で印刷用画像データを印刷装置3に出力する。このため、画像合成部44bは、DMAコントローラ44aから受け取った各データを合成し、印刷エンジン10が印刷可能な形式となるビットマップ形式の印刷用画像データを生成する。そして、画像合成部44bは、生成した印刷用画像データを印刷エンジン10に送信する。その後、印刷エンジン10は、受信した印刷用画像データに基づいて用紙Shに画像を形成し、用紙Shに画像を定着させる一連の印刷処理を行う。
【0051】
図6は、プリンタコントローラ2の各部の処理の例を示すフローチャートである。プリンタコントローラ2に入力されるPDLデータが、イメージ属性(自然画)であるか、文字、線画属性であるかによって処理が異なる。
【0052】
始めに、PDLデータを変換して、HDD43に保存するまでの処理について説明する。上述したようにPDLデータ受信部40aが受信したPDLデータに対して、CPU40がインタープリット処理を行うと、中間データが得られる。この中間データには、CPU40(中間データ生成部40b1)によってページ内で判定された、文字、線画、イメージの属性を表す属性データが付与される。ここで、ページ内に付与される属性データと、属性データが付与された領域の配置例について、図7を参照して説明する。
【0053】
図7は、原稿データのレイアウト(原稿レイアウト)と、インタープリット処理後の原稿データのページ内に付与される属性データの例を示す説明図である。図7に示す原稿データは、PDLデータを視覚化したものである。
【0054】
図7の原稿レイアウト(A)は、1ページの原稿データに含まれる文字等の配置例を表す。この例では、ページの左上に文章が配置され、ページの右上に、重ねられた丸、四角の図形が配置され、ページの下に風景写真が配置されている。
図7の属性レイアウト(B)は、原稿レイアウト(A)に示される原稿データ(PDLデータ)のインタープリット処理後に付与される属性データの配置例を表す。原稿レイアウト(A)に示される文章が配置された領域には文字属性の属性データが付与され、図形が配置された領域には線画属性の属性データが付与される。また、原稿レイアウト(A)に示される風景写真が配置された領域にはイメージ属性の属性データが付与される。このようにページ内に様々な属性の属性データが付与される。
【0055】
図6の説明に戻る。
中間データ生成部40b1は、受信したPDLデータのインタープリット処理を行って(S1)、中間データを生成する。そして、中間データ生成部40b1により、中間データに対して、イメージ属性、又は文字、線画属性の属性データが付与される。図7を参照して説明したように、イメージ属性、又は文字、線画属性の属性データは、PDLデータ(原稿データ)内の対応する領域に合わせて中間データに付与される。
【0056】
イメージ属性の属性データが中間データに付与されると、ラスタ画像データ生成部40b2は、イメージ属性の中間データにラスタライズ処理を行って(S2)、ラスタ画像データを生成する。その後、ラスタ画像データ生成部40b2は、HDD43のラスタ画像データ記憶領域43bにイメージ属性のラスタ画像データを保存する(S3)。
【0057】
一方、文字、線画属性の属性データが中間データに付与されると、中間データ生成部40b1は、インタープリット処理により生成した中間データを、そのままHDD43の中間データ記憶領域43aに保存する(S3)。ステップS1,S2の処理は、いずれもCPU40で行われる。なお、本実施の形態に係る中間データが、イメージ属性である場合、又は文字、線画属性である場合に行われる処理(S1~S3)は、ページ内に付与された属性データに応じて切替えられる。
【0058】
次に、印刷時の処理について説明する。
データ形式選択部40cにより読出すデータ形式としてラスタ画像データが選択されると、DMAコントローラ44aは、HDD43のラスタ画像データ記憶領域43bから、イメージ属性のラスタ画像データを読出し(S4)、画像合成部44bに読出したラスタ画像データを送る。
【0059】
一方、データ形式選択部40cにより読出すデータ形式として中間データが選択されると、CPU40のラスタ画像データ生成部40b2は、HDD43の中間データ記憶領域43aから、文字、線画属性の中間データを読み出し(S5)、この中間データに対してラスタライズ処理を行う(S6)。その後、ラスタ画像データ生成部40b2は、生成したラスタ画像データを、DMAコントローラ44aに送る。DMAコントローラ44aは、文字、線画属性のラスタ画像データを画像合成部44bに送る。
【0060】
画像合成部44bは、DMAコントローラ44aから受け取った、イメージ属性のラスタ画像データ、文字、線画属性のラスタ画像データを合成して、印刷用画像データを生成する(S7)。そして、画像合成部44bは、印刷用画像データを印刷エンジン10に送信する。これにより、プリンタコントローラ2の処理が終了する。
【0061】
以上説明した第1の実施の形態に係るプリンタコントローラ2は、PDLデータの属性に応じて、インタープリット処理、ラスタライズ処理の実施を変更する。文字、線画属性のPDLデータをインタープリット処理した中間データは、ラスタ画像データよりもデータ量が少ないため、HDD43からの読出しにかかる時間を短くすることができる。また、事前にPDLデータに対してインタープリット処理が行われているため、印刷時にはインタープリット処理を省略し、印刷装置3の印刷開始にかかる時間を短縮することができる。
【0062】
このようにHDD43からの読出しデータが中間データであり、中間データのデータ量が低下するため、HDD43に対するアクセス負荷が低減される。さらに、一部のデータは既にラスタ画像データとしてHDD43に保存されているため、HDD43からの読出し後のインタープリット、ラスタライズ処理にかかる負荷も低くて済む。このため、印刷装置3に出力される印刷用画像データの転送速度が向上するので、印刷装置3の生産性を向上することができる。
【0063】
また、印刷開始時には、既にCPU40によってプレRIP処理が終了した状態である。このため、印刷開始時には、CPU40が高負荷の処理(例えば、イメージ属性のPDLデータに対するRIP処理)を省略できる。そこで、CPU40は、HDD43から読出した、一部領域(文字、線画限定)の中間データにラスタライズ処理を行う余裕がある。ここで、文字、線画属性の中間データに対するラスタライズ処理は、イメージ属性の中間データに対するラスタライズ処理よりもCPU40に対する負荷が軽い。このため、CPU40は、文字、線画属性の中間データに対するラスタライズ処理を短時間で終了することができる。
【0064】
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施の形態に係るプリンタコントローラの処理について説明する。
上述した第1の実施の形態に係るプリンタコントローラ2では、PDLデータの属性に応じてHDD43から読み出すデータ形式が固定的に選択されていた。ここで、中間データ形式で読み出す場合は、前述の通りラスタライズ処理が必要となるため、CPU40のリソースを消費する。また、第1の実施の形態に係るプリンタコントローラ2では、HDD43に保存されるデータのデータ形式が、最初にRIP処理が行われた時点でラスタ画像データ又は中間データのいずれかに選択された状態である。
【0065】
第1の実施の形態ではCPU40のリソースを印刷のみに使用する例を挙げたが、印刷時に並行して別のジョブのRIP処理を行うなど、別のタスクがCPU40に割り当てられる場合がある。ラスタライズ処理に対して、十分なCPU40のリソースが割り当てられなければ、HDD43から読出されたデータが中間データである場合、この中間データのラスタライズ処理に時間がかかる。結果的に、印刷装置3における印刷速度が低下し、生産性が低下してしまう。そこで、第2の実施の形態に係るプリンタコントローラ2Aでは、CPU40の状況に応じて印刷速度の最適化を行えるようにする。
【0066】
以下に、プリンタコントローラ2Aの構成例及び動作例について、図8図10を参照して説明する。
図8は、プリンタコントローラ2Aの内部構成例を示すブロック図である。
図9は、CPU40の空きリソースと、HDD43から読み出される文字、線画属性のデータの割合を示す表である。
図10は、プリンタコントローラ2Aの動作例を示すブロック図である。
【0067】
プリンタコントローラ2Aは、上述したプリンタコントローラ2の各部を備え、さらにCPU40がデータ量比較部40dを備える構成としている。そして、プリンタコントローラ2Aは、CPU40の状況に応じて、HDD43に保存するデータ形式、HDD43から読出すデータ形式を変える処理を行う。CPU40の状況には、例えば、データ処理部40bがラスタライズ処理を実行することでCPU40にかかる負荷、及びCPU40が処理するデータのデータ量がある。
【0068】
データ量比較部40dは、CPU40にかかる負荷、及びCPU40が処理するデータのデータ量の少なくともいずれか一つを所定単位毎に比較して比較結果を出力する。例えば、CPU40が処理するデータとして、データ量比較部40dは、中間データ生成部40b1によって生成される中間データのデータ量を比較する。
【0069】
そして、データ形式選択部40cは、CPU40の空きリソースに基づいて、HDD43から読出されるデータのデータ形式をページ内の所定領域毎に選択する。このため、データ形式選択部40cは、ページ毎にデータ形式を中間データのみ、ラスタ画像データのみ、又は、中間データ及びラスタ画像データの混合かを選択する。
【0070】
本実施の形態に係るデータ形式選択部40cは、例えば、文字、線画属性のPDLデータであれば、プレRIP時に中間データとラスタ画像データの双方をHDD43に保存するようデータ形式を選択する。ここで、データの保存時は、データ形式選択部40cが、ページの属性毎にデータ量比較部40dが比較した比較結果に基づいて、属性毎にHDD43に保存するデータ形式を選択する。
【0071】
また、印刷時は、データ形式選択部40cが、印刷のラスタライズ処理に割り当てられるCPU40の空きリソースを考慮して、文字、線画属性のデータをHDD43から中間データで読み出すか、ラスタ画像データで読み出すか、又はその混合かを選択する。
【0072】
図9に示すように、データ形式選択部40cは、CPU40の空きリソースの大きさによって文字、線画属性のデータのそれぞれを、どのような割合で中間データとして読み出すかを決定する。CPU40の空きリソースが多い場合は、中間データの割合を多くし、CPU40の空きリソースが少ない場合はラスタ画像データの割合を多くする。
【0073】
例えば、CPU40の空きリソースが、0~33%であれば、CPU40のリソースのほぼ全てが他のタスクで使用されているので、文字、線画属性のラスタ画像データを100%の割合でHDD43から読み出すよう決定される。また、CPU40の空きリソースが、34~66%であれば、他のタスクで使用されるCPU40のリソースが少ないため、文字、線画属性の中間データを50%、ラスタ画像データを50%の割合でHDD43から読み出すよう決定される。また、CPU40の空きリソースが、67~100%であれば、他のタスクでCPU40のリソースがほぼ使用されていないため、文字、線画属性の中間データを100%の割合でHDD43から読出してもよいと決定される。
【0074】
一方、イメージ属性に関しては、プレRIP時にデータ形式選択部40cが、PDLデータから引き継いだJPEG(Joint Photographic Experts Group)圧縮データと、ラスタ画像データを解像度変換したデータの双方をHDD43に保存しておく。本実施の形態では、中間データは、PDLデータに埋め込まれる圧縮データ形式のデータを含むものとする。
【0075】
そして、印刷時は、データ形式選択部40cが、文字、線画属性のデータと同様に、CPU40の空きリソースの情報に応じてHDD43から読み出すデータ形式をJPEG圧縮データとラスタ画像データとから選択する。データ形式選択部40cが、HDD43からJPEG圧縮データを読出すことを選択すると、中間データと同様にCPU40のリソースを使用してJPEG伸張処理を行う。JPEG伸張処理は、例えば、ラスタ画像データ生成部40b2により行われてもよい。
【0076】
また、イメージ属性のデータでは、JPEG圧縮データの方が、解像度変換済みのラスタ画像データよりデータ量が大きい場合がある。このため、プレRIP時において、データ形式選択部40cは、JPEG圧縮データの方が、解像度変換済みのラスタ画像データよりデータ量が多い場合に、解像度変換済みデータのみをHDD43に保存するよう決定する。これにより、HDD43には、データ量がより小さい解像度変換済みデータが保存されることとなる。
【0077】
図10は、プリンタコントローラ2Aの各部の処理の例を示すフローチャートである。第2の実施の形態においても、プリンタコントローラ2Aに入力されるPDLデータが、イメージ属性(自然画)であるか、文字、線画属性であるかによってデータ処理部40bで行われる処理が異なる。
【0078】
始めに、PDLデータを変換して、HDD43に保存するまでの処理について説明する。
PDLデータ受信部40aがPDLデータを受信すると、中間データ生成部40b1は、PDLデータのインタープリット処理を行って(S11)、中間データを生成する。そして、中間データ生成部40b1により、中間データに対して、イメージ属性、又は文字、線画属性の属性データが付与される。ここで、イメージ属性の属性データが付与された中間データであれば、中間データ生成部40b1は、PDLデータに埋め込まれているJPEG圧縮データを抽出する。
【0079】
次に、ラスタ画像データ生成部40b2は、イメージ属性の中間データのラスタライズ処理を行って(S12)、ラスタ画像データを生成し、さらにラスタ画像データの解像度変換を行う(S13)。
【0080】
データ量比較部40dは、ステップS11の処理で抽出されたJPEG圧縮データと、ステップS13の処理で解像度変換されたラスタ画像データとのデータ量を比較する(S14)。そして、データ量比較部40dは、JPEG圧縮データ又はラスタ画像データのうち、データ量がより少ない方をHDD43に保存する(S16)。
【0081】
一方、ステップS11でインタープリット処理された中間データが文字、線画属性である場合、ラスタ画像データ生成部40b2は、中間データのラスタライズ処理を行って(S15)、ラスタ画像データを生成する。そして、文字、線画属性のデータであれば、データ形式選択部40cにより、HDD43に保存するデータのデータ形式が中間データ及びラスタ画像データと選択されるため、中間データ及びラスタ画像データが共にHDD43に保存される(S16)。
【0082】
次に、印刷時の処理について説明する。
以下のステップS17の処理を行うか、又はステップS18,S19の処理を行うかはCPU40のデータ形式選択部40cにより判断される。また、ステップS20の処理を行うか、又はステップS21,S22の処理を行うかについてもCPU40のデータ形式選択部40cにより判断される。
【0083】
データ形式選択部40cは、CPU40の空きリソースの情報に応じて、HDD43から読出したデータをDMAコントローラ44aに送るか、一旦、CPU40がデータを処理するかを選択する。イメージ属性のデータを処理する際、CPU40の空きリソースがない、すなわちCPU40の負荷が高ければ、データ形式選択部40cの判断に従って、DMAコントローラ44aがHDD43から読出したイメージ属性のラスタ画像データを画像合成部44bに送る(S17)。
【0084】
CPU40の空きリソースがある、すなわちCPU40の負荷が低ければ、CPU40がHDD43からJPEG圧縮データを読出し(S18)、JPEG伸張処理を行った後(S19)、DMAコントローラ44aにイメージ属性のラスタ画像データを送る。そして、DMAコントローラ44aが、イメージ属性のラスタ画像データを画像合成部44bに送る。
【0085】
また、文字、線画属性のデータを処理する際、CPU40の空きリソースがない、すなわちCPU40の負荷が高ければ、データ形式選択部40cの判断に従って、DMAコントローラ44aがHDD43から読出した文字、線画属性のラスタ画像データを画像合成部44bに送る(S20)。
【0086】
CPU40の空きリソースがある、すなわちCPU40の負荷が低ければ、CPU40がHDD43から中間データを読出し(S21)、ラスタ画像データ生成部40b2が中間データにラスタライズ処理を行う(S22)。その後、CPU40が、DMAコントローラ44aに文字、線画属性のラスタ画像データを送る。そして、DMAコントローラ44aが、文字、線画属性のラスタ画像データを画像合成部44bに送る。
【0087】
その後、画像合成部44bは、DMAコントローラ44aから受け取った、イメージ属性のラスタ画像データ、文字、線画属性のラスタ画像データを合成して、印刷用画像データを生成する(S23)。そして、画像合成部44bは、印刷用画像データを印刷エンジン10に送信する。これにより、プリンタコントローラ2Aの処理が終了する。
【0088】
以上説明した第2の実施の形態に係るプリンタコントローラ2Aでは、CPU40の空きリソースの大きさに応じて、文字、線画属性のPDLデータを、中間データに変換する割合と、ラスタ画像データまで変換する割合とが決定される。このため、HDD43には、データ量の少ない中間データで保存されることから、HDD43から中間データが読出されるときのデータ量も少なくすることができる。また、文字、線画属性のPDLデータから生成された中間データをラスタライズ処理する際のCPU40にかかる負荷も低くなるため、印刷時にCPU40に対して過度な負荷をかけることがない。
【0089】
また、プレRIP処理により、既にラスタ画像データに変換された状態であれば、DMAコントローラ44aがHDD43から直接ラスタ画像データを読出して画像合成部44bに出力する。このため、文字、線画属性のPDLデータから100%の割合で生成された中間データをHDD43から読出して、CPU40がラスタライズ処理する場合に比べて、全体の処理時間を短縮することができる。
【0090】
また、イメージ属性のPDLデータに対して、インタープリット処理及びラスタライズ処理が行われる。解像度変換済のラスタ画像データであれば、既にデータ処理部40bにより低解像度に変換されているため、中間データよりもデータ量が少ない。このため、やはりHDD43からのイメージ属性のラスタ画像データの読出しにかかる時間を短縮することができる。
【0091】
なお、CPU40の空きリソース(負荷)に応じて、ページ内に含まれる複数の領域毎に、HDD43から読出されるデータのデータ形式を選択してもよい。例えば、CPU40の空きリソースがなければ、あるページのある領域について、DMAコントローラ44aがHDD43からラスタ画像データを読出す。このラスタ画像データの読出し途中でCPU40の別のタスクが終了し、CPU40の空きリソースが増えると、CPU40がHDD43からJPEG圧縮データ又は中間データを読出して、JPEG伸張処理又はラスタライズ処理を行ってもよい。
【0092】
[変形例]
次に、上述した第1及び第2の実施の形態に係る変形例について、図11図12を参照して説明する。
HDD43に保存するデータのデータ量は少ない方が望ましいため、多くの画像データは中間データで保存することが望ましい。一方で、中間データで保存すると、印刷時に中間データからラスタ画像データに変換する処理が必要になる。
【0093】
しかし、ページ毎に全ての領域をデータ変換するとCPU40に負荷がかかり、その負荷が印刷速度を下げる要因になる。そこで、データ形式選択部40cは、データ量比較部40dがページ内の所定領域毎に比較した比較結果に基づいて、HDD43に保存するデータ形式を所定領域毎に選択する。例えば、データ形式選択部40cは、中間データ量が小さくなる領域のみを中間データで保存し、中間データ量が比較的大きい領域はラスタライズまでを事前に行い、ラスタ画像データをHDD43に保存するようにデータ形式を選択してもよい。
【0094】
図11は、PDLデータを矩形領域に分けた例を示す説明図である。
1枚の画像を構成するPDLデータは、所定の大きさの矩形領域に分けることができる。そして、データ形式選択部40cは、矩形領域毎に、インタープリット処理、及びラスタライズ処理を行って得られるラスタ画像データのデータ量が、所定の閾値未満であるか、所定の閾値以上であるかを判断する。
【0095】
図12は、全データ量に対するラスタ画像データのデータ量の閾値と、HDD43に保存されるデータ形式との対応を表す表である。
データ形式選択部40cは、矩形領域における全データ量に対するラスタ画像データ量が50%未満であると判断すると、この矩形領域を中間データでHDD43に保存するようデータ形式を選択する。一方、データ形式選択部40cは、矩形領域における全データ量に対するラスタ画像データ量が50%以上であると判断すると、この矩形領域をラスタ画像データでHDD43に保存するようデータ形式を選択する。
【0096】
このようにデータ形式選択部40cがHDD43に保存するページデータのデータ形式を矩形領域毎に変更することで、HDD43に保存するページデータのデータ量を削減することができる。このため、HDD43から読出されるページデータのデータ量も削減される。また、HDD43から読出されたページデータのうち、全てのデータが中間データではない。つまり、ページデータ内で中間データとラスタ画像データが混在しているので、CPU40が中間データをラスタライズ処理する際の負荷を低減することができる。
【0097】
なお、データ形式選択部40cは、ページ内の一かたまりの描画表現範囲を表すオブジェクト単位毎にデータ量比較部40dが比較した比較結果に基づいて、オブジェクト単位毎にHDD43に保存するデータ形式を選択してもよい。
また、データ形式選択部40cは、既にページに付与されている属性情報毎に求めた中間データ量に基づいて、HDD43に保存する際のデータ形式を選択してもよい。
【0098】
また、データ形式選択部40cは、データ量比較部40dにより比較された中間データ、又はラスタ画像データの相対値に基づいて、中間データ、又はラスタ画像データのうち、データ量がより小さい方のデータのデータ形式を、HDD43に保存するデータ形式として選択してもよい。
【0099】
また、上述した第1及び第2の実施の形態では、プリンタコントローラ2と印刷装置3とを分けて構成したが、印刷装置3がプリンタコントローラ2の機能を備えてもよい。この場合、印刷装置3が単体でPDLデータの変換処理等を行うことができる。また、プリンタコントローラ2の機能を不図示のクライアント端末や、印刷装置3に接続されたインターネット上にあるクラウドサーバが担ってもよい。
【0100】
本発明は上述した各実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の要旨を逸脱しない限りその他種々の応用例、変形例を取り得ることは勿論である。
例えば、上述した各実施の形態は本発明を分かりやすく説明するために装置及びシステムの構成を詳細かつ具体的に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されない。また、ここで説明した実施の形態の構成の一部を他の実施の形態の構成に置き換えることは可能であり、さらにはある実施の形態の構成に他の実施の形態の構成を加えることも可能である。また、各実施の形態の構成の一部について、他の構成の追加、削除、置換をすることも可能である。
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
【符号の説明】
【0101】
1…画像形成システム、2…プリンタコントローラ、3…印刷装置、10…印刷エンジン、40…CPU、40a…PDLデータ受信部、40b…データ処理部、40b1…中間データ生成部、40b2…ラスタ画像データ生成部、40c…データ形式選択部、40d…データ量比較部、43…HDD、43a…中間データ記憶領域、43b…ラスタ画像データ記憶領域、44…ASIC、44a…DMAコントローラ、44b…画像合成部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12